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(0) 課題番号:1405
(1) 実施機関名:東京大学地震研究所
(2) 研究課題名:電磁気・重力の同期観測による、地震発生に果たす地殻内流体の役割の解明
(3) 最も関連の深い建議の項目
1.(2)ウ.地震発生直前の物理・化学過程
(4) その他関連する建議の項目
1. (2)イ.内陸地震発生域の不均質構造と歪・応力集中機構
2. (2)イ.東海地域、エ.その他特定の地域
(5) 平成15年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要
三宅島・神津島におけるハイブリッド重力測定を通じて、2000年伊豆諸島(新島・神津島―三宅島)海域群発地震活動に、三宅島マグマ等の大規模な流体移動があったことを示し。流体移動と亀裂生成との間に、正のフィードバックが働いていたことを示唆した。また、1998年4月の伊豆東方沖群発地震活動の初期に、急激な重力増加を見出した。これは空隙への熱水の浸入によるものと解釈され、この流体移動が実効封圧の減少をもたらし、群発地震活動につながったと考えられる。
伊豆半島東部域における高密度全磁力観測を通じて、数例の地震に対してコサイスミック全磁力変化がとらえられ、ピエゾ磁気効果で説明が可能であった。また、伊豆東方沖群発地震活動や隆起に伴う全磁力変化がとらえられ、ピエゾ磁気効果、ないしは熱水の移動による消磁と考えられた。さらに、水の流動に伴うと考えられる地電位差変化が、1996年10月の伊豆東方沖群発地震活動や2000年三宅島噴火の際にとらえられた。
(6) 本課題の平成16年度からの5ヶ年の到達目標と、それに対する平成16年度実施計画の位置付け
 流体が地震発生に果たす役割について、室内の岩石実験から得られる知見に基づいた理論予測を、野外での観測事実を通じて検証することを目的とする。電磁気観測と重力観測とを、同期して実施することにより、応力変化や地殻内流体の移動やそれに伴う温度変化を高い信頼度で検知する。
 従来から行ってきた、電磁気観測、および、重力繰り返し観測を、平成16年度にも伊豆、伊豆諸島、東海地方などで継続し、流体の移動に関連した物理現象を、電磁気の様々な観測項目、重力観測で同時にとらえ、地震発生に流体がどのように関与するかの定量化を目指す。目的を達成するために、最も適当な観測地域、観測項目を考えると共に、松代地震のように明らかに流体が関与する顕著な地殻活動が起こったときに、そこで観測を実施するためのノウハウを蓄積する。
(7) 平成16年度実施計画の概要
 熱水やマグマなどの高温地殻流体による地震・火山活動が活発な伊豆半島・伊豆諸島、ゆっくりすべりが継続している東海地方などで以下の観測を同期して実施する。
流体の移動方向を推定するための、電話回線網を用いた面的な地電位変化連続観測(伊豆、伊豆諸島)。
流体の連結状況を把握するための、人工制御電流源を用いた比抵抗の連続観測(伊豆)。
高温流体の移動に伴う温度変化および応力変化を検出するための、プロトン磁力計観測網を用いた全磁力連続観測(伊豆、東海)。
 特に群発地震活動発生の際には、全期間をとおして重力連続観測を継続することにより、流体の流入・流出の時間的経過を追跡する。重力補正に必要な面的な地殻変動パターンを把握するために、人工衛星干渉SARの解析をおこなう。同時に、全磁力の臨時連続観測点を設ける。
(8) 実施機関の参加者氏名または部署等名
上嶋誠、小河勉、大久保修平、古屋正人
他機関との共同研究:東工大(2)、京大(3)、東海大(2)、名古屋大(2)
(9) 問い合わせ先
 部署等名:地震予知研究推進センター
 電話:03-5841-5712
 e-mail:
 URL:http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/index-j.html


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