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(0) 課題番号:1102
(1) 実施機関名:弘前大学理工学部
(2) 研究課題名:十和田における地殻流体の分布と挙動の解明
(3) 最も関連の深い建議の項目
1(2)イ. 内陸地震発生域の不均質構造と歪・応力集中機構
(4) その他関連する建議の項目
1(4)ア. 摩擦・破壊現象の物理・化学的素過程
(5) 平成15年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要
 15年度までに、十和田付近で発生している低周波地震活動の概要を明らかにした。低周波地震は地殻中部(深さ10キロメートル程度)と地殻深部(深さ25キロメートル程度)の2か所に分かれて分布し、深さ5キロメートルを中心に分布する高周波地震の震源域とはオーバーラップせず、震源域の棲み分けがあることを見いだした。また、十和田西方の小坂付近で発生している低周波地震の深さは約20キロメートルであることを、臨時地震観測により確認した。十和田周辺ではさらに、13年10月・12月、及び14年1月に、特異な連続的低周波振動を観測した。低周波振動の主要動をS波と見なして決定した震源は浅部低周波地震の震源域に含まれることと、主要動の振動様式は浅部低周波地震のS波部分の振動と共通した特徴をもつことから、低周波振動は低周波地震の連続的発生によるものと解釈した。さらに、レシーバ関数解析を行った結果、十和田近傍の深さ10キロメートル付近と25キロメートル付近に低速度層が存在することがわかり、地殻中部及び深部の低周波地震が低速度域の上端付近で発生していることが明らかになった。
(6) 本課題の平成16年度からの5ヶ年の到達目標と、それに対する平成16年度実施計画の位置付け
 低周波地震が流体の移動で発生しているならば、高周波地震震源域と低周波地震震源域での地震波速度・異方性・地震波散乱強度に差があり、地震活動の変化に対応する地震波散乱構造の時間変化が見られることが期待される。そこで、十和田地域を対象に高密度地震観測とアレイ地震観測を実施して、低周波地震・高周波地震発生域の地殻構造と地震発生様式を詳細に解明し、地殻流体の分布と挙動、及び浅発地震発生への寄与に関する知見を得ることが5ヶ年の到達目標である。16年度はこのうち、低周波地震の震源を高精度に決め直すことと、地震波速度構造の推定を行う。また、歪集中帯において行われる内陸合同観測にも参加する。
(7) 平成16年度実施計画の概要
(a) 高周波地震と低周波地震の高精度震源決定
 Double difference法などを用いて高精度な震源分布を得て、両地震の震源の棲み分けが完全に成り立っているのか、一部重複して分布する地域があるのかを明らかにする。
(b) 高周波地震・低周波地震発生域の地震波速度構造の解明
 レシーバ関数解析とトモグラフィー法により、両地震の発生域及びその深部での地震波速度構造を推定する。また、深発地震と遠地地震を用いてS波偏向異方性を調査し、異なる深さで発生する地殻深部低周波地震・地殻中部低周波地震・地殻浅部高周波地震の震源域で異方性の程度が異なるかどうかを明らかにする。
(c) 内陸合同観測への参加
 合同観測実施要領はまだ未定であるが、観測点選定・設置・保守作業のいずれか一部を分担して実施する予定である。
(8) 実施機関の参加者氏名または部署等名
小菅正裕・渡辺和俊・田中和夫・佐藤勝人
他機関との共同研究の有無:
合同観測は参加大学との共同研究、参加予定は3名程度。
(9) 問い合わせ先
 部署等名:理工学部附属地震火山観測所
 電話:0172-39-3652
 e-mail:
 URL:http://hrsryu.geo.hirosaki-u.ac.jp


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