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2. 地殻活動の予測シミュレーションとモニタリングのための観測研究の推進
(2) 地殻活動モニタリングシステムの高度化 → 研究課題(または観測項目)

 地殻活動予測シミュレーションへのデータ提供とシミュレーション結果の検証、および地震発生時における即時対応のためにモニタリングデータは重要である。平成16年度は、日本列島全域、東海地域、東南海・南海地域などを対象として次のような観測研究を行う。

ア. 日本列島全域
 GEONET等GPSによる地殻活動監視の継続と、GPSのデータを用いた日本列島の歪の空間分布と時間変化のモニタリング手法を開発する。またリアルタイムでGPSデータを取得できる様になりつつあることに対応し、リアルタイム解析システムを整備する。地震活動も地殻活動監視のために重要なデータであり、3次元不均質構造等を用いた震源決定精度の向上、発震機構の決定精度の向上、およびそれらを用いた地殻活動モニタリング手法を開発する。その他、潮位、水準測量や地磁気観測を継続するとともに、観測の高度化を図る。

イ. 東海地域
 東海地震が想定されている地域で、より高度な地殻活動監視のための研究開発を行う。
 具体的には、高密度なGPS観測網を設置し、GEONETと統合処理をして、現在進行中の東海スロースリップイベントをより詳細に解析する。また海域での海底地殻変動観測を進め、精度向上を目指す。東海地震のプレスリップ検出の鍵となる体積歪計のノイズレベル低減を進めるとともに地下水位によるプレスリップ検出能力の検証を行う。重力変化、SAR、電磁気変化、地下水溶存ガスなどのデータを用いたモニタリング手法の高度化を図る。東海地域における繰り返し水準測量や歪や傾斜の連続観測を継続する。

ウ. 東海・東南海地域
 この地域では比較的近い将来の巨大地震発生が懸念されており、東海に比べて遅れていたモニタリングの高度化を図るとともに高密度諸観測を推進する。東南海・南海地域は震源域のほとんどが海域にあるため、音響結合方式による海底地殻変動観測を増強する。陸上においても、歪・地下水位の観測を拡充する。水準測量を実施して地殻の上下変動をとらえるとともにSARやGPSのデータを用いた解析を行う。またこの地域全体にわたって発生している深部低周波微動のモニタリングを行う。

エ. その他特定の地域
 大地震の発生が非常に切迫していると考えられている宮城県沖地震の震源域、内陸で最も地震発生の確率の高い糸魚川―静岡構造線の震源域、地震が発生すると首都圏に甚大な影響を与えると考えられる南関東地域、首都圏に次ぐ人口密度である関西地域、長期にわたって地震や火山活動が活発な伊豆半島東部および伊豆諸島における、地殻活動モニタリングシステムの高度化を行う。特に宮城県沖においては相似地震を用いた新しい手法を実用化する。西南日本に置いては低周波地震・微動と活断層との関係の解明も進める。また全国の活断層周辺に置いて地殻変動観測・測量を実施する。


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