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資 料 (2)

当面の富士山の観測研究の強化について(要約)

  何故、今富士山の観測研究を強化する必要があるのか
富士山については、平成12年10月以降、何らかの深部マグマ活動に関連して発生していると考えられる深部低周波地震が増加し、通常と比べて多い状態が続いている。現時点(平成13年6月)で、直ちに噴火するおそれはないものの、今後の活動の推移について、注意を払っていく必要があり、また、国民の関心も高まっているところであり、早急に観測研究を強化し、活動の変化を的確に把握できるようにする必要がある。
富士山の観測研究については、休止期が長かったこと(1707年の噴火以来、噴火活動はない。)や山体も大きいことから、火山活動を的確に評価するための観測の体制はなお不十分であり、また、噴火メカニズムの解明のための基礎研究も十分行われていない。特に、マグマ活動に何らかの関連があると考えられる深部低周波地震の発生メカニズムやマグマ溜まりなど地下のマグマ供給系について、基礎研究を進める必要がある。
富士山のように休止期の長い火山については、世界的にも本格的に取り組んだ例がほとんどなく、火山噴火予知の分野で先導的役割を果たしてきた我が国が取り組むべき重要な研究課題である。

  何に取り組むのか
関係機関の連携により、3年程度の期間に以下のような観測研究を緊急に実施する。
観測体制の強化
  マグマの上昇などマグマ活動の変化や深部低周波地震を含む火山性地震の状況などの火山活動を把握し、その変化を的確に評価するため、中腹以上を中心に地震観測や地殻変動の観測体制を強化する。
噴火履歴の調査
  噴火の時期や規模、場所、様式の予測に資するため、掘削等による噴火履歴の調査を行う。
構造探査
  深部低周波地震の発生メカニズムやマグマ溜まりなどマグマ供給系を解明するため、高密度地震観測や人工震源による探査等により、富士山の浅部から深部にかけての構造探査を行う。
集中総合観測
  富士山の活動の現状を総合的に評価するため、各大学は協力して集中総合観測(地震、地殻変動、重力、電磁気、火山ガスなど)を実施する。

  研究成果をどう活かすのか
  観測研究の成果については、火山噴火予知連絡会における富士山の火山活動の総合評価や噴火様式や規模等の推定に活かすとともに、分かりやすい火山情報の発表,ハザードマップの作成・活用などその成果を広く社会に活かしていくことが重要。また、シンポジウムの開催などにより、地方公共団体や地域住民に、成果を普及することも重要である。


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