測地学分科会(第39回)・地震火山部会(第30回)合同会議 議事録

1.日時

平成30年6月1日(金曜日)13時30分~16時30分(※地震火山部会(第30回)と合同開催)

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成29年度年次報告について
  2. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成30年度年次計画について
  3. 地震及び火山観測研究における年次基礎データ調査について
  4. 次期観測研究計画の検討について
  5. 次期観測研究計画の実施機関の募集結果について(非公開)
  6. その他

4.出席者

委員

(委員)平田、鈴木
(臨時委員)市原、榎原、小平、清水、土井、中田、松澤、矢来、石川、尾崎、加藤(尚)、関口(渉)、仲西、西村、森田、山元
(専門委員)井口、関口(春)、寺川、三宅、宮澤、山中

文部科学省

佐伯研究開発局長、竹内地震・防災研究課長、松室防災科学技術推進室長、大河原地震火山専門官、三浦科学官、望月学術調査官

オブザーバー

吉本

5.議事録

【平田分科会長】  それでは、第39回測地学分科会と第30回地震火山部会の合同会議を開催いたします。
 まず開催に当たりまして、最初に佐伯研究開発局長より御挨拶をお願いいたします。
【佐伯研究開発局長】  御紹介にあずかりました研究開発局長の佐伯でございます。私は今年の1月1日にこの職を拝命いたしておりまして、よろしくお願いいたします。
 先生方におかれましては、常日頃から地震・火山に関する研究のための計画、あるいは様々な施策に関する検討に御参加いただきまして、まことにありがとうございます。
 また、本日も御多用中、また、非常に暑い中にもかかわらず、御参加いただきまして、感謝申し上げます。
 申すまでもございませんが、我が国、地震・火山に関して大国と言われる状況でございますし、特に最近、大きな地震が続いており、また、火山もあちこちで噴火が続いています。このような中、社会全体、国民の皆さんの間にも地震や火山に対する関心が非常に高まっていると同時に、災害に対する懸念も非常に高まっておりますので、是非、先生方におかれましては、このような会議での御審議などを通じまして、一層の研究開発の推進に御協力いただければありがたいと思います。
 本日はよろしくいたします。
【平田分科会長】  ありがとうございました。
 会議は、測地学分科会運営規則第4条により公開となります。ただし、議題5「次期観測研究計画の実施機関の募集結果について」は、審査に係る案件ということで、委員及び事務局で自由闊達な議論をするために、分科会運営規則の「審議の円滑な実施に影響が生ずるもの」として、非公開とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、委員の交代及び出欠状況について、事務局から御説明お願いいたします。

[委員の出欠状況など]

・委員の交代:上垣内臨時委員に代わり土井恵治臨時委員が就任。
・委員の所属変更:加藤照之臨時委員、中田臨時委員の所属が変更。
・委員の出欠状況:小原臨時委員、加藤照之臨時委員、棚田臨時委員、田村臨時委員、森岡専門委員、久家臨時委員、中川臨時委員が欠席。山梨県富士山科学研究所の吉本主任研究員がオブザーバー参加。
・配布資料確認

【大河原地震火山専門官】  会議資料につきましては、測地学分科会運営規則第4条により原則公開となります。
【平田分科会長】  それでは、議題に入ります。

[議事1.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成29年度年次報告について]

【平田分科会長】   まず議題1「平成29年度年次報告について」でございます。資料1-1が各機関から提出された年次報告の資料です。
 それでは、各機関から順番に、それぞれ数分程度でお願いいたします。まず大学からお願いします。
【加藤(尚)臨時委員】  それでは、大学の研究成果について、加藤から説明させていただきたいと思います。
 資料1-1の冒頭のところです。最初は、今年1月の草津白根山の噴火についての成果です。この件については、前回、東工大から報告がありましたけれども、東工大の観測点で噴火時のデータが得られています。今回の噴火は、ふだん活動度の高い湯釜ではなくて、比較的静かな本白根山での噴火でした。この計画での経費などにより、東工大の観測網が維持されていたために、噴火時のデータが得られたということです。
 右側の図は傾斜計のデータで、新しくできた火口の直下の鉛直クラックが噴火の発生前には膨張して、噴火の直後には収縮する様子が捉えられたということです。
 次は、現行計画になって新しく本格的に取り組むようになった史料を用いた歴史地震の研究で、これは日記史料から、安政南海地震の余震数、余震の様子が推定されたという結果です。
 歴史地震に基づく地震の研究というのは、これまで大きな地震、被害を及ぼすような大きな地震が中心でしたけれども、継続して書かれている日記史料を用いると、有感地震の記録が継続的に得られるので、より詳細な地震活動の様子が分かるようになってきたということです。余震の減少の様子が見えているということです。
 次は内陸地震の成果で、2016年の熊本地震の研究が更に進められているというものです。一番上の図は応力場で、小さい地震の発震機構解から本震断層面のせん断応力の方向が推定されています。それが赤い線です。
 あと、本震の震源過程解析から、本震のすべりベクトルが推定されていますが、それが青い線で示されています。このように事前に推定された応力場とおおむね一致する方向、最大せん断の方向に断層がすべっているということが分かります。
 青い線と赤い線が食い違っているところがありますが、ここは流体圧が大きいところと推定されていて、こういったところでは流体の効果でこういったことが起こったのではないかという議論があります。
 次は海溝型地震の成果と同時に、国際共同研究の成果ということで、日本とニュージーランドとアメリカで国際共同研究が進められています。ニュージーランドは日本と同じで、プレートの沈み込み帯で、巨大地震であるとかスロー地震が発生しています。真ん中の点々の図はGPSの記録ですけれども、ここでは周期的にスロースリップイベントが発生していますけれども、これまでの履歴からスロースリップイベントの発生を予測して待ち構えていて、観測に成功したということです。海底の圧力計と陸上のGPSできれいに取れて、右側の図にあるように、スロースリップイベントのすべり分布がきれいに求められているということです。
 この場所では、この国際共同研究で構造探査が行われていて、海山の位置が推定されています。それが右側の図で沈み込んだ海山と書いてありますけれども、そういったところで微動が発生しているのと、あと、スロースリップイベントのすべり量分布にも影響を与えているようだという結果が得られています。
 次は、地震の先行現象です。現行計画では、地震の先行現象が予測にどれだけ役立つかということを統計的に、系統的に評価することを目指していますけれども、それの現在までの成果です。ここでは11の手法で地震の予測が行われた、その成果を示しています。データを見ていただくと分かるように、地震活動であるとか、電離層の電子数密度、それから、それら多くの予測値を組み合わせたものなどが使われています。
 色々な領域や期間、様々な方法がありますけれども、その成果が右側の方にまとめられています。ゲインというのは、ふだん地震がランダムに起こったときに比べて、この予測手法で地震を予測した場合、その発生のゲインが通常の何倍になっているかというものを示しているもので、数倍のものから数万倍のものまで、かなり予測ゲインが大きいものも見つけられているということです。
 次は火山の研究ですけれども、現行計画で取り組んでいる熱水系が卓越する火山で、水蒸気噴火を主体とする火山の研究です。右上の図では、過去の火山の噴火の履歴や観測の状況などを考慮して、熱水系が卓越する火山のうち、5つの火山を主たる研究対象としてきましたけれども、このうち、最近発生した草津白根山を含めて、阿蘇山や口永良部島で噴火が発生して、この選定が適切であったと考えられるということです。
 それから、近年、観測網の整備がある程度進んでいる火山において、噴火直前に浅部での膨張が捉えられた事例が幾つか見られています。それが左下の方に書かれていますけれども、赤線で示した噴火の直前あたりに傾斜計などで膨張が見られているということです。時間としては数分と短いですけれども、こういった膨張を捉えることによって、直前の予測であるとか警報の発信につながる可能性があるというふうに考えています。
 次は地震動の予測、災害予測ですけれども、南海トラフの巨大地震の破壊過程については様々なシナリオが考えられています。破壊の領域であるとか、南海や東南海領域での連動であるとか、破壊の時間差などで様々なシナリオが考えられるわけですけれども、そういった破壊過程の違いによって、強震動や津波にどのような影響を及ぼすかというのを数値シミュレーションで調べています。
 これは東京での地震動の様子ですけれども、東海・東南海・南海が同時に発生した場合と、5分とか10分の時間間隔で地震が発生したときで、地震動がどのように変わるかというものを示したものです。同時発生が緑色で、時間差があるものが赤で示されていますけれども、このように時間差をもって破壊が発生すると、巨大振幅の振動が長時間続くことがあるということが示されています。
 次は、首都直下地震に関する成果です。非常に稠密な地震観測が首都圏では行われていますけれども、ここでは100メートル程度しか離れていない地震観測点でも地震動の振幅が大きく変わることがあるということを示した例を持ってきました。この写真にある黄色の三角のところに地震計が置いてありますけれども、そこで取られた地震波形が右上にあるように、振幅で数倍違っていて、100メートル程度しか離れていなくても、これだけ地震動の振幅が異なることがあるということです。
 次は、災害誘因の即時予測の研究で、GNSSデータを用いた断層の即時推定を行う手法の開発ということです。これは熊本地震で行ったものですけれども、GNSSを用いた解析では、厳密な解析では精密暦が必要ですが、実際、精密暦が使えるようになるのは数週間、2週間ほど時間が掛かると思いますけれども、GNSSから放送されている放送暦を使っても、かなり精度よく断層モデルが推定できるということを示したものです。ここで2つ示しているように、余り違いがないということで、こういったことができれば、津波の即時予測の高次精度化などにもつながると考えられます。
 次は、災害情報に関連する研究として、準リアルタイムの火山情報表示システムの開発です。火山活動に関する多くの情報を表示するシステムを開発して、北海道や道内の幾つかの市や町に実際に置いて、試験的に運用しています。このシステムの使い方について、地方自治体での使い方の講習会を行ったり、意見交換会を行ったりしているということです。
 最後ですけれども、相似地震カタログの構築ですが、これは相似地震そのものの研究というよりも、データベースの研究成果ということで持ってきました。相似地震のカタログは、準リアルタイムで構築するためのシステムを構築中で、今、試験運用中です。最終的には、多分今年度中にはウエブで公表するというような形になると思われます。右と左は、相似地震の検出の方法を変えているものです。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。今の大学の御報告について御意見ございますか。地震と火山といろんな成果が出ていて、重要な成果が出ていると思いますが、何かございますか。
 それでは、次はNICTからですが、これは大河原さんからお願いします。
【大河原地震火山専門官】  本日、中川委員御欠席のため、私から代わりに説明させていただきます。
 2ページ目は航空機SAR観測について、それから、3ページ目は実施内容ということで、これは昨年度も話をしているものになります。4ページ目の霧島連山新燃岳の噴火状況観測ですけれども、10月に噴火しました新燃岳について、Pi-SAR2による新燃岳の噴火状況観測を「噴火時のSAR観測・試行運用スキームの実施マニュアル」に基づいて、11月16日に観測を実施しました。そして、観測データの速報画像を処理して、観測後およそ15分後に衛星回線経由で伝送・公開しました。着陸後、フル解像度の画像データを関係機関に公開しています。
 それから、5ページ目ですけれども、次世代航空機SAR(Pi-SAR3)を開発中で、今年度末に完成予定というものになっております。
【平田分科会長】  ありがとうございました。ただいまの御説明について、質問や御意見ございますか。
 非常にリアルタイム性がよく情報が提供されるという御説明だと思います。ありがとうございました。
 それでは、次に、防災科研の御説明をお願いいたします。
【関口(渉)臨時委員】  防災科研は3001-3005番までの5課題を実施しております。最初の3001番「巨大地震による潜在的ハザードの把握に関する研究」、これは室内実験、シミュレーションを組み合わせて、地震発生の多様性を検討して、シナリオの高度化を実現するというのが目標になります。
 昨年度は、ここに書いてありますように、弾性・粘弾性構造を考慮したプレート境界への応力蓄積の評価ということで、アセノスフェアに粘性緩和効果を入れた場合にどうなるかというのを計算してみました。
 左側はGPSの経過を基に、すべり遅れをこのモデルで計算すると、このようなものが得られるというものです。これを考慮することによって、すべり遅れのピークが増加するであるとか、遅れの領域が海溝に移動した、といった違いが現れてきたということです。
 右側は、そのすべり遅れと余効変動を加えて、地震間の応力蓄積を求めたのが右側で、地震時が左側ですね。このような考慮を入れても、このような矛盾のない応力蓄積量を求めることができたということが分かったというものです。
 次は3002番、「基盤地震観測等データのモニタリングによる地殻活動の理解と予測技術の開発」です。「潮汐の効果を考慮したスロースリップイベントの数値モデリング」は、ずっと続けている研究なんですけれども、昨年度は、この四国のところに潮汐効果を入れた場合に短期的SSEが長期的SSEの前後にどういうふうにパターン変化するかというのも解析したというものです。
 M2分潮の周期擾乱を入れた場合に、入れてない方が青で、入れた方が赤ということで、その真ん中のLong-Term SSEの直後を注目していただくと、その潮汐効果を入れた場合の方が、長期的なepisodicなパターンが早く回復するという違いが出てきたということです。
 そのほか、ちょっと細々したところですけれども、2015年6月に深発地震が連発しましたけれども、それを波形にさかのぼってよくよく解析すると、マグニチュードの大きさがそれまで見積もられたものよりも大きく見積もられたのがあったと。4つある中の下から2番目、ここはちょっと大きめに見積もることになったということです。
 最後の低周波地震活動状況、これはずっと東北地方太平洋沖地震の後に、この地方での超低周波地震についてモニタリングしておりまして、それを引き続き実施して、地震調査委員会等に報告している、それを継続しているということです。
 次は3003番、「噴火予測システムの開発に関する研究」。これは火山についてです。多角的・戦略的アプローチにより、多様な火山現象・災害過程のメカニズムを解明し、火山災害軽減に向けた対策手法に関する研究を進めるということで、項目としては4つあります。
 1番は、多項目観測データによる火山現象・災害過程の把握のための研究として、そのうちの成果の一つとしては、V-net、火山の観測網の空振データを使うと、その噴煙の規模についての予測が可能になったということです。
 2番目が、リモートセンシング技術の開発研究ということで、この図は、熊本地震の余効変動の観測をずっと、解析を続けて、簡単な数式で表したんですけれども、このような変動をしているということが分かったということです。
 3番目の噴火・災害ポテンシャル評価のためのモデリング研究。これは火山灰の分類をディープラーニングによって自動分類して、それが有効に分けられるということを確認できたということですね。それと右側は、阿蘇山の噴火の堆積物から火道浅部の変化を把握することができたということです。
 最後、4番目は火山災害軽減のためのリスクコミュニケーションに関する研究ということで、これは阿蘇中岳の噴火の降灰についてヒアリング調査を実施したということです。
 次は3004番です。「基盤的地震・火山観測網の整備・維持及び超大容量の地震・火山観測データの効率的流通システムの構築」ということで、昨年度は、陸海統合地震津波観測網、MOWLASの構築を行いました。下はS-netとDONETですが、海底の水圧計によって、メキシコ湾沖で発生した地震についての津波波形の記録が取れました。
 右に行きまして、S-netを用いた震源決定ということで、海底の地震計のデータを使いますと、左側は入れていない場合、右側は入れた場合でして、海溝の外側のところにちゃんと求まる地震が増えたと。あとは震源が深めに決まるといったような違いが出てきています。
 また、2018年1月23日の草津白根山の噴火については、その前後のV-netの掲載のデータを見ますと、噴火の直前に火山性微動であったり、傾斜活動が捉えられたということですね。
 最後は3005番、「火山活動把握のためのリモートセンシング観測・解析技術に関する研究」。これは2つありまして、合成開口レーダーと航空機搭載型光学センサーに関する研究。合成開口レーダーについては、これは新燃岳の噴火の前後について解析しまして、この図の左側ですけれども、火口内において、2017年の7月頃から急速に沈降の加速が見られたと。左側の図の沈降量だけを取り上げたものが真ん中の点々の図でして、6月1月が一番左、噴火が一番右ぐらいのところで、7月頃から沈降が加速していったと。
 それと、よく見ますと、噴火発生直前に火口内の東縁付近に、右の図の赤いところですが、そこに地表間距離の短縮変化、膨張傾向の変化が見られたということです。
 次に、下の航空機搭載型光学センサーに関する研究として、昨年度は、ARTS-SEというカメラ型センサデータの処理方法の開発。そのうち赤外データの技術開発を行って、観測データから箱根山大涌谷付近のDSM(デジタルサーフェスマップ)、標高のデータを得ることができたと。それがこの右の方の色が付いた図ですね。この縦線に沿って、高さを表したのがその下の真ん中のBの図でして、これは2種類の図が描いてあって、1つはレファレンスとして、地理院の標高モデル10メートルメッシュ、もう1つは今回得られたもので、画像の周辺部分を除いては、標高差は大体10メートル以内という精度で得られるようになりましたという結果です。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。それでは、今の防災科研からの御説明について、質問やコメント、ございますか。
【竹内地震・防災研究課長】  済みません。ちょっと教えていただけるとありがたいんですけれども、潮汐の効果を考慮したスロースリップイベントの数値モデリングで、潮汐を導入した場合の方がよいということなんですけど、潮汐の導入というのは具体的にはどういう計算あるいは考え方を入れているんでしょうか。
【関口(渉)臨時委員】  詳しいところはちょっと分からないんですけれども、圧力、応力として入れているはずです。応力として潮汐を入れることによってパターンが変わると。どちらがいいとかいうことではないですが、半日周期の潮汐の効果を入れると、このLong-Term SSEの長期的SSEの前後で、短期的SSEの周期的な活動が早く回復するということで、そういう効果を入れるとこれだけパターンが変わりますよということですね。
【平田分科会長】  よろしいでしょうか。私もこれを今ちょっと聞こうかと思ったんだけど、そもそもこの右上の(a)の図には赤と青の線が2個あるんですよね。これは観測なんですか。
【関口(渉)臨時委員】  いや、これは両方シミュレーションです。観測はこの図にはありません。シミュレーション上で、その効果を評価したと。
【平田分科会長】  はい。ほかにございますか。
 S-netを入れると震源がそういう意味でたくさん決まるというのはよく分かりやすい絵ですが。
 ほかにございますかね。特にないようですので、次は海洋研究開発機構の御説明、お願いいたします。
【仲西臨時委員】  海洋研究開発機構は2つの課題があります。
 最初の4001課題、「先端的掘削技術を活用した総合海洋掘削科学の推進」から3つほど、主な成果を報告します。左上の南海トラフ熊野灘沖の3次元地震探査データの再処理及び掘削調査から、地震断層群の形状とSlip tendencyを推定したところ、分岐断層の海底(出口)付近で大きな値が、その赤いところですが、得られたという結果です。
 それから、右上に移って、熊野灘付加体先端部に、この海域では3点目となります長期孔内観測システムを、その図の一番海側のC0006の点に設置しました。
 陸側のC0002と0010に既に設置した観測システムのデータを使用した成果については、次の4002課題の成果として後ほど報告します。
 その下の図で、更に室戸沖に平成28年に設置した孔内温度計アレーから、1年半にわたるデコルマ付近の温度データ回収に成功しました。ちょっと見にくいですが、C0023の場所です。これらのデータは、DONETで得られるデータと併せて、固着域とその浅部延長における挙動について明らかになることが期待されるということです。
 次のページからは4002課題、「海域地震発生帯研究開発」ですが、この課題からも3つほど報告します。
 1つ目は、先ほど触れた熊野灘沖の長期孔内観測システム、C0002と0010のデータを使用した成果についてです。この2点の約6年間の孔内での間隙水圧の連続観測データを解析したところ、期間中、8回のゆっくりすべりが観測されたということで、その8回が右下の図に書いてありますが、そのうち矢印を引いている2つの例について、観測した間隙水圧記録が上に示してあります。これらのゆっくりすべりによって、海洋プレートの沈み込みによって発生するひずみの30から55%に相当するひずみが解放されているということが分かりました。
 次は、2011年の東北地方太平洋沖地震の前後の地形の比較により、震源付近の宮城沖、北緯38度から38.5度では、地震時の断層すべりが50から70メートルであったことが報告されておりましたが、より広範囲での海底地形の変動について詳細が分かっていませんでしたので、今年度は特に津波波高が最大化した三陸沖について、より北部の三陸沖について地震前後のデータを比較検討した結果、大規模な変動はなかったということが新たな結果です。
 ここで、この海域で津波が極大化した可能性については、地震後の陸側斜面の鉛直変動が大きく、広範囲にわたったことが原因ではないかと解釈しております。
 次です。3つ目ですが、これはスパースモデリングで豊後水道スロースリップのすべり急変位置を特定したという結果です。スパースモデリングは、近年様々な分野に適用されて成果を上げているデータ解析手法で、この方法を取り入れて、GNSS地殻変動観測データを解析し、南海地震震源域の深部延長における豊後水道のプレート間ゆっくりすべり、長期的スロースリップイベントの解析を実施したというものです。
 従来の手法で得られたすべり分布では、右上の図の黒線、あとは下の図で、赤、緑、青の線で書かれているように、その下の方の図で説明しますが、3つのイベントについて、ほぼ同じ中心から外側に向かって緩やかに変化する分布が推定されていましたが、今回の結果では、ピンク色の濃い方ですね。そこは0.2メートル以上すべったと考えられる領域ですが、それの浅い側で、すべりがゼロまで急激しているということが分かり、さらに、薄いピンクのところ、0.1メートル以上すべった領域の深部側でも、すべりが半分近く減少して、急な変化があることが分かりました。
 この急変の位置が浅い側は日向灘の地震、左の図の地図と比べていただければいいんですが、日向灘の地震発生帯の下限ですとか、温度350度の等温線に一致している。それから、深部側の急変位置は、深部低周波微動の上限と一致するというような、地震現象の空間的なすみわけも明瞭に見えるようになったという結果です。
 この手法の適用によって、巨大地震震源域の地殻変動解析の解像度の向上が期待され、今後の固着域のモニタリングに有用と考えられます。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見ございますか。よろしいですか。
 熊野灘沖の海底の観測装置が、観測所が1か所増設されたというお話です。
 特によろしいですか。はい。それでは、ありがとうございました。
 次は、産業技術総合研究所の御説明お願いいたします。
【山元臨時委員】  産総研は9つの課題があります。
 5001は「津波浸水履歴情報の整備」ということで、これは津波堆積物データベースになります。昨年度は三重県、高知県のデータを集積していまして、これは今年度、公開予定にしています。
 5002は「活断層データベースの整備」ですけれども、もうかなりできているものは、既にシステムを改修して、なるべく見やすいようにするということを行っています。グラフは利用数で、地震のときにバンとはね上がっています。
 5003番は「火山活動の履歴調査とデータベース整備」ですけれども、昨年度、八丈島の地質図が完成して出版しております。今、北海道の恵山と日光白根、それと御嶽が調査中で、近々出版になります。
 5004番は「海溝型巨大地震の履歴とメカニズム解析」ということで、実際に行っている津波堆積物の調査ですとか、相模トラフと書いているのは房総の野島崎のところの地震性の隆起の地形変動をもう一度見直して精密化しているというもの、あと、南海トラフでも隆起の調査などを続けているというところです。
 5005番ですけれども、糸静線の北の方の断層ですね。2014年に長野県北部地震が起きて、断層が出現しましたけれども、それの周辺のデータをもう一遍、再解析した結果、イベント数が増えた。全体のトレンドは変わらないんですけれども、幾つか連動と見られる小さいイベントが確認できたという話になります。
 5006番、これは火山の話ですけれども、2014年から2015年の阿蘇中岳の噴火活動に伴って、高密度で火山ガスサンプルを採っております。この真ん中のグラフですけれども、特に横軸のSO2とH2Sの比を取りますと、時間、結構変化していると。それは脱ガスの圧力によるもので、非常に噴火の初期には圧力の高いところ、深部のマグマからの供給を受けて、高圧で分離したガスが出てくるんですけれども、噴火活動の終了に向かうと、そういうようなものが消えていって、浅いところから来ないというような、そういう変化トレンドがきれいに取れたというお話になります。
 5007番、「地下水・地殻変動観測による地震予測精度の向上」ですけれども、これは南海トラフ沿いの巨大地震観測のために産総研が東海地域に置いているひずみ計を使いまして、そのひずみデータからスロースリップイベントの検出ですとか、断層すべり分布が非常に簡便に推定できるような手法を改良したという話です。
 5008番、「高分解能地殻応力場の解明と造構造場の研究」ですけれども、これは地震の発生場としての地殻、浅いところで起きている微小地震を使って、実際の地下の応力状況がどうなっているかということで、微小地震の発震機構解析をやって、その発生の場のバックグラウンドとしてのテクトニックマップを全国展開してやろうということで、昨年度、関東近辺の部分ができたということで、図を付けています。
 赤いのは正断層系で、ブルーが逆断層系で、黄色とか緑が横ずれだということで、それが非常に複雑なんですけれども、狭い範囲で見ると、ある地域にはあるパターンの地震が発生しているということが示されています。
 最後ですけれども、5009番、「アジア太平洋地域地震・火山ハザード情報整備」ということで、これは産総研がG-EVERとしてやっていることですけれども、特に東南アジアと連携しながら、いろんな情報発信をしているというところで、幾つか公開システムの改修を行ったということが書いております。
 産総研は以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。今の御説明について、質問や御意見ございますか。特にハザードの関係で。よろしいでしょうか。
 では、ありがとうございました。
 それでは、次は、国土地理院の御説明お願いいたします。
【矢来臨時委員】  国土地理院ですけれども、13課題あります。そのうち6課題、赤で示したものについて抜粋して説明させていただきます。
 順序がばらばらになって申し訳ありませんけれども、まず6005番のGEONETについてです。GEONETでは、次世代GNSSへの対応ということで、現在、Galileo対応の受信装置への更新を行っておりまして、平成29年度、約200点で交換を行った結果、これで全国のほぼ全点で更新を完了したことになります。
 また、解析について、現在、F3の解析を行っているんですけれども、これを2009年に運用を開始しておりまして、かなり時間がたっているということで、新しい解析戦略の検討を行っています。これは従来、F3ではGPSのみで解析を行っていたんですけれども、F4と仮に呼んでおりますが、これはマルチGNSS解析を行うであるとか、解析座標系の更新や解析ソフトウェアを更新していくというようなことで、新しい解析戦略を検討しているということであります。
 また、このGEONET、全国にあるということで、地殻変動のモニタリングを行っております。右側の上の図に示したような東北地方太平洋沖地震後の余効変動でありますとか、その下には霧島山の例を示しておりますけれども、今年は3月の噴火までの膨張と、その後の収縮がきちんと捉えることができたということで、これらの結果については、ホームページの公表であるとか、地震調査委員会、火山噴火予知連絡会などに報告を行っております。
 この霧島山につきましては、地形変化も検出することができまして、次のページでございますが、左側は6008の課題で行ったものですけれども、だいち2号のSARの強度画像を使いまして、火口内の地形変化を把握したというものです。左上が3月5日に当たりますけれども、3月5日には火口内、特段変化はありませんけれども、その翌日の3月6日から、中で溶岩が出てきて、一番右下の3月21日には溶岩が縁から流出しているという様子が捉えられております。
 この地形変化について、6006番の課題では、航空機SARでの観測を行っております。それは右の図にありますように、くにかぜ3にSARを搭載して観測実施した結果がございます。これを見ますと、火口内が溶岩でほぼ満たされて、北西の縁から流出している様子が、溶岩の表面の地形も含めて、よく分かるという結果が得られています。
 次のページでございます。6008番は、宇宙測地技術による地殻変動監視ということで、干渉SARで、だいち2号のSARデータを用いて、北方四島を含む国土全域を対象にSAR干渉解析を行っております。国内の火山等の変動を検出しております。
 その左側の下のところに、雌阿寒岳・雄阿寒岳周辺の地殻変動という例を持ってきておりますけれども、2016年以降、地殻変動がSARで捉えられておりまして、この結果について、モデル計算を行った結果、深さ約6キロでシル状のクラックが50センチ開口したというモデルで説明できることが分かったというものです。
 右側の図は、霧島山新燃岳周辺の地殻変動でございますけれども、これは干渉SARの時系列解析を行った結果を示しています。図が4枚ありますけれども、その下の2枚がそれぞれ上の図を拡大したものであります。左側の図が準上下成分で、右側の図が準東西成分ということでありますけれども、準上下成分を見ますと、青くなっているところがちょうど新燃岳の火口内に当たりますが、火口内で沈降、その周りで隆起というものが捉えられていると。
 東西成分を見ますと、その火口内沈降に対応するように、火口内では東西が短縮するような、収縮するような動きになっていて、その火口の外側では、逆に広がるような変動となっているということが分かったと思います。
 次のページでございますが、こちらは6001番の「内陸の地殻活動の発生・準備過程の解明」という課題でございますが、示しておりますのは、2016年の熊本地震の余効変動モデルに関するものであります。図が9枚ございますが、上側の3枚が観測値、一番左がGNSSで、真ん中がSARの準東西成分で、その右がSARの準上下成分というものであります。
 これは地震後1年間の変動を示したものですけれども、このような地殻変動が観測されているということで、それを粘性緩和と余効すべりで説明を試みたというものであります。
 真ん中の段に粘性緩和による地殻変動を示しておりますけれども、その地殻変動を検討した結果、一番右にありますように、弾性層で25キロで、その下、粘弾性層を持ってきて、そこに示されているような粘性率で計算した結果を示しておりますが、この結果が今のところ余効変動を一番よく説明できるというものであります。
 観測値から粘性緩和を引いた残りが余効すべりということで考えられるわけですけれども、その変動について試行錯誤的に断層のすべり、断層面でのすべりを推定した結果が一番右下にありますけれども、布田川断層と日奈久断層の境界付近で一番大きなすべりが求まったということで、また、干渉SARの結果を見ましても、日奈久断層のあたりにすべりが集中しているということが分かっております。
 次、6012番、「GNSS観測・解析技術の高度化」ということで、こちらでは電子基準点のPPPリアルタイム解析システムの開発というものと、REGARDの開発というものを行っています。
 PPPリアルタイム解析システムの開発では、精密単独測位法、PPP法によるリアルタイム解析を構築して、試験的な解析を実施しているというものであります。安定的に高精度なリアルタイム解析ができるということを確認したというものです。
 これを利用して、後処理でキネマティック解析システムを行うというシステムを構築しておりまして、これでは電子基準点に加えて、気象庁など他機関が設置したGNSS観測点も定常的に解析できるようにしたというものであります。
 右側に、GEONETリアルタイム解析システム(REGARD)の開発というものを示しておりますけれども、現在、試験運用を開始しているGEONETリアルタイム解析システムについて、システムの安定性向上に向けた開発を行ったというものです。このシステムでは、地殻変動を基に断層モデルを自動的に推定するということを行っておりますけれども、この断層モデルの信頼性を評価する指標というものは何かないかということで、モデルの観測値再現性(Variance Reduction)を用いることにしたというものです。Variance Reductionのしきい値を設定するために、過去の地震断層を用いて、シミュレーション計算を行って、それを使って、実際にどの程度再現できるかというものを試みたというものです。
 図が分かりにくくて申し訳ないんですけれども、REGARDで、擬似的な観測データからREGARDで断層推定をした結果から判断すると、Variance Reductionが80%以上であれば、おおむね断層モデルの信頼性が高いということが分かったというものです。
 次です。6013番、「SAR観測・解析技術の高度化」でございます。こちらは干渉SAR時系列解析ソフトウェアを作るというものと、それ以外、新しい解析技術について検討するということを行っています。
 左側が干渉SAR時系列解析ソフトウェアについてですけれども、こちらはソフトウェアを改造しているというものであります。右側は、新しい解析について示したものですけれども、だいち2号という衛星はLバンドのマイクロ波を用いておりまして、電離層の影響を大きく受けてしまうという弱点がございます。これについて、Range Split-Spectrum法という新しい解析方法が提案されておりまして、これのプログラムを開発して、効果を検証したというものです。
 この図が5枚ありまして、一番左が何も誤差を考慮せずに解析した、通常の解析結果を示しています。これは長野県北部地震の解析結果を示しておりますけれども、何か地震の変動以外に少し誤差が乗ったような分布になっていることが分かります。
 その右側が、そのデータを基に電離層の誤差を推定した結果でありまして、南北にやや傾斜するような地層変化が見えていると。この誤差を差し引いたものがその真ん中の図で、ある程度きれいになったけれども、まだ少し誤差が残っているように見えるというもので、ここから右側の大気誤差モデルを、数値気象モデルを用いて、大気誤差を計算した結果がございます。これを差し引くことで、最終的な結果が一番右のように得られるというものであります。
 最後、地震予知連絡会についても建議に載っているということで、ここに掲載させていただいております。地震予知連絡会、年4回開催して、様々、モニタリングによる地下活動の状況であるとか、観測研究の現状を伝えるということを行っています。
 重点検討課題、平成29年度は4回行いまして、その課題名は一番下に挙げたとおりでございます。
 国土地理院から以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの地理院の御説明について、質問、コメント、ございますでしょうか。はい。
【鈴木分科会長代理】  雌阿寒・雄阿寒岳の地殻変動が、11キロ×2キロのシルが50センチ上がったということですけれど、これはオープンクラックというのは、鉛直方向のオープンクラックと理解してよろしいですね。
【矢来臨時委員】  はい。そのとおりです。
【平田分科会長】  ほかにございますか。よろしいですか。
 特になければ、次は気象庁、お願いいたします。
【大河原地震火山専門官】  事務局ですけれども、時間が押しているので、少し要点を絞って、よろしくお願いします。
【尾崎臨時委員】  気象庁の研究課題のうち、気象研究所、地磁気観測所のもの、7テーマについて御説明いたします。
 まず課題番号7003ですけれども、伊豆大島の測定、観測です。GNSS観測などから伊豆大島全体の地殻変動として、長期にわたって継続している膨張、それから、周期1~2年程度の膨張・収縮の繰り返しが引き続き見られているということと、それから、相対重力計による重力変化測定を絶対重力点を利用して補正して、三原山で局所的にこの様子が見られるといったような研究でございます。
 続きまして、7003のもう一つ、衛星SARです。左側が衛星SARのALOS-2データを用いた解析によって、国内の活火山周辺の地殻変動検出を試み、25火山において地殻変動分布を検出したというものです。
 右側は、マグマだまり内の気泡の上昇による地殻変動のモデル化を行ったということで、伊豆大島で観測されている周期1~2年の膨張・収縮サイクルと比較して、変動の周期や地殻変動量を適切なモデルパラメータを与えることで説明できることを示したというものです。
 続いて、7005番、地磁気ですけれども、火山起源の全磁力変化を検出するために、山麓参照点に設置された三成分磁力計データを用いたDI補正という方法で補正を行って、山上観測点と山麓観測点の単純差を用いるよりも、火山起源の全磁力変化の検出精度が向上できるということを確かめたというものです。
 続きまして、7006番、GNSSデータを用いて、フィリピン海プレートの沈み込み逆方向の成分について、南海トラフのプレート等深線30キロ沿いに並べた地点を中心とする一定範囲内の平均を求めて、1週間の傾斜期間を持つランプ関数との相関を取ることで、南海トラフ沿いの短期的スロースリップの客観的な時空間分布を得る方法を開発したというものです。
 続きまして、地震発生シミュレーションですけれども、南海トラフ沿い巨大地震の発生履歴を再現するモデルの構築を進めております。各地震のすべり分布はおおむね再現しておりますが、宝永、安政、昭和の発生順は再現できていないという状況でございます。
 続きまして、地震動即時予報のもの、2枚ございますけれども、気象庁では、昨年度末にPLUM法、揺れを予測する方法を取り入れた緊急地震速報の運用を開始してございますが、PLUM法導入によって、巨大地震発生時の予測震度の精度向上が見込まれますけれども、気象研究所において現在、P波の情報を用いたPLUM法の研究を進めていて、迅速性の向上が期待されるということと、それから、減衰構造(吸収強度と散乱強度)の導入による予測精度向上の研究を進めてございます。
 続きまして、「海溝沿い巨大地震の地震像の即時的把握に関する研究」ということで、津波地震対策のこと、それから、自動震源決定手法の改良、これは既に運用に導入されておりますけれども、それから、震源過程解析。気象庁は、大きい地震が起こった後に、震源過程解析を行っておりますが、それを自動化することで迅速化を図るというような研究テーマを進めてございます。
 続きまして、7010番で、「大規模噴火時の火山現象の即時把握及び予測技術の高度化に関する研究」で、左側は、気象レーダーですね。XバンドMPレーダーやKuバンド高速スキャンレーダーによる桜島噴火の解析を進めているというものです。右側は、富士山宝永噴火を想定した降灰予測の例を記載してございますけれども、2015年から2017年の日々の気象場を用いて1日1例、398時間予測をするといったような入力値でもって、富士山宝永噴火を想定した降灰予測を用いて、月別の予想最大降灰量分布図等々を作成しているというものです。
 最後に、津波予測ですけれども、沖合で観測された津波波形の逆解析に基づく津波即時予測システムについて、波源が小さいケースにも対応できるように、波源付近は空間分解能を細かくするという解析アルゴリズムを考案して、予測の精度が向上できるというところを確認したということでございます。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。今の御説明について質問ございますか。
 ちょっと時間が押していますので、先に移ります。次は海上保安庁の御説明、お願いいたします。
【石川臨時委員】  海上保安庁は6つの課題が登録されております。
 まずは8001の「海底地殻変動観測」ですけれども、左側が最近4年間の南海トラフの海底の平均的な変動場ということになります。熊野灘周辺の速度が他の地域よりも小さいといったような、場所による速度のムラが見えているという形になっています。
 右側は、日本海溝沿いの東北地方太平洋沖地震の余効変動の様子で、左側が地震後の最初の3年間で、右側が最近3年間です。2つの期間の比較で見ますと、全体的に余効変動は小さくなってきている様子が見えますが、その一方で、一番北側のKAMNと書いてある点は、西向きの速度が増加しているというような傾向も見えてきております。
 次に、「海域火山観測」ですけれども、当庁では、南方諸島と南西諸島にある火山島及び海底火山において、航空機による目視観測、及び測量船による周辺の海底地形調査を行っております。
 ここでは、幾つか例として西之島や薩摩硫黄島の写真を幾つか掲載しておりますけれども、これらの成果については、当庁ホームページ内にある海域火山データベースにおいて、適宜公開を行っております。
 最後は4課題まとめてありますけれども、これらの課題につきましては、当庁においての海図の作成であるとか、船舶の航行援助といったような目的のために観測を行っているものですけれども、そこで得られた地球科学データによって、この計画に貢献しているというような形になります。こちらについての説明は省略いたします。
 以上になります。
【平田分科会長】  ありがとうございました。それでは、何か短い質問ございましたらお願いいたします。
 それでは、次が北海道立総合研究機構、お願いします。
【大河原地震火山専門官】  事務局から説明をさせていただきます。
 まず9101ですけれども、1741年の渡島大島の津波と、津波堆積物から明らかになった13世紀頃の古津波について、津波堆積物をコントロールポイントとして、津波シミュレーションモデルを構築しました。1741年の津波シミュレーション結果は、歴史記録でも検証を行い、十分な精度があることが確認されました。計算結果は、Web GISにより公開予定ということです。
 それから、9102番ですけれども、北海道内の特に活動的な5火山、雌阿寒岳、十勝岳、樽前山、有珠山、北海道駒ヶ岳において、引き続き地球物理学的、地球科学的なモニタリングを行っています。
 また、十勝岳に関しては、熱水流動系について検討し、周辺の温泉で認められる温泉成分の変化の原因を明らかにしました。このモデルに基づくことで、山麓の温泉での温度や化学成分の変化をおおむね説明することができ、今後の火山活動の変化を温泉成分の変化から検知できる可能性を示したというものになります。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、富士山科学研究所、お願いします。
【吉本オブザーバー】  富士山科学研究所の吉本です。富士山科学研究所は2課題あります。
 9201は、地下水観測ですが、今のところ、雨による変動だけしか認められておりません。
 2つ目は、溶岩の古地磁気を用いた溶岩の年代の決定というものを実施していますが、古地磁気変化と富士山周辺の溶岩の既知の溶岩を見比べると、今までの古地磁気変動に非常によく乗ってくるということで、今後、炭素などによる年代測定ができない溶岩についての年代測定が可能となったということが結果として挙げられます。
 さらに、未解明な降下火山灰等のトレンチ調査等を進めております。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、今の御説明、平成29年度の機関別の年次報告の御説明があって、これで審議をして、測地学分科会地震火山部会としてこれを29年度の機関別の報告書として公開するということですね。それに当たって、ここで皆様の御了解を得る必要がございますが、全体を通して何か御意見ございますか。
 これは機関別ですので、基本的にそれぞれの機関が自分の責任で公開しているということになります。つまり、クレジットは、地震火山部会にはなりますけれども、特段問題がなければ、これで御了承いただきたいと思いますが、何か御意見はありませんか。大丈夫ですか。
 特段なければ、これで御了解いただきたいと思います。これで承認されました。ありがとうございます。
 それでは、今のは機関別ですけれども、これを毎年、成果の概要というまとめを作って、冊子を作成していますので、これについては少し審議をしますので、まず資料の説明を事務局からお願いいたします。
【大河原地震火山専門官】  資料1-2を御覧ください。平成29年度年次報告、成果の概要の作成方針(案)ということで作っております。基本的には昨年度と同じような内容になっております。
 構成など、内容につきましても、昨年度と基本的には同じですので、省略いたします。取りまとめ方法も、取りまとめ委員、2名程度を選出し、関係機関の各委員の協力を得て作成することを考えております。
 今の時点で、まだ取りまとめ委員の方を選定していないのですが、どなたかお願いさせていただくことになりますので、今後御協力をお願いしたいと思っております。
 事務局からは以上です。
【平田分科会長】  各機関からの成果については、まとめていただいたんですけれども、単に機関からの研究報告ではなくて、この「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の全体として29年度は何を実施したかということをまとめていただくことになっています。例年、これは地震・火山研究協議会の方である程度議論していただいていることだと思いますので、引き続き、後で事務局からお願いすることになるわけですよね。それで、それについてはここで審議をしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、この方針でよろしいでしょうか。原案を予知協議会で作っていただくということで、その原案について、ここで審議をするということにしたいと思いますが、御反対がなければ、そのようにしていきたいと思います。ありがとうございました。

[議題2.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成30年度年次計画について]

【平田分科会長】  それでは、議題2に進みます。地震火山観測研究計画の平成30年度の年次計画についてでございます。事務局から御説明お願いいたします。
【大河原地震火山専門官】  資料2-1と2-2について説明をさせていただきます。まず資料2-2、A3の紙ですけれども、4枚ありまして、最初の2枚が来年度の計画の個別課題一覧を機関別に並べたものになります。それから、3枚目、4枚目は、同じ計画ですけれども、建議の項目別に並べたものになります。基本的には、昨年度までの計画から大きな内容の変更などがあるものはございません。
 昨年度からの変更につきましては、資料2-1で一覧として掲載しておりますけれども、担当者の変更などがあるものはありますけれども、大きく内容を変更するというものはありません。ですので、資料2-2の内容につきましては、平成29年度から基本的には継続という形になっております。
【平田分科会長】  ありがとうございました。30年度はもう既に始まっていますが、30年度はこの計画に沿って進めていきたいと思いますが、資料2-1は修正したところだけ記載したもの、資料2-2は機関ごとに課題番号が振ってあって、この白丸とか黒丸は、建議の項目、研究計画の項目のどこに対応しているかということが書かれているものです。30年度はこの方針に従って研究を進めていただくということになると思いますが、何か御意見ございますでしょうか。
 変更したところは、所属というか、担当者が変わったということだけということですので、特段御意見がなければ、このままで進めたいと思います。よろしいですか。
 30年度は今期の最終年度ですから、大きく変わることはないはずですけれども。特に御反対がありませんので、30年度の年次計画はこの資料2-1と2-2に沿って進めるということで御了解いただいたというふうに思います。ありがとうございました。

[議題3. 地震及び火山観測研究における年次基礎データ調査について]

【平田分科会長】  それでは、議題3に移ります。3は、地震及び火山研究における年次基礎データ調査ということでございますので、事務局からまず御説明いただきたいと思います。お願いします。
【大河原地震火山専門官】  資料3につきまして説明をさせていただきます。これは、平成29年度年次基礎データ調査結果ということで、昨年の9月、10月頃に、建議の実施機関の皆様に対して調査をしたものです。本来、もう少し早く取りまとめるべきでしたが、この時期になってしまいまして、申し訳ありませんでした。
 この年次基礎データ調査というのは、平成7年度以降の地震・火山研究関連の予算について、それから、後半は、研究者数についての推移を調査して、それをグラフにしているものになります。
 研究者数につきましては、毎年の4月1日現在の数となっております。
 大まかに言いますと、平成29年度の調査結果は、総じて、平成28年度と同様の状況となっております。なお、1ページ目に書いていますけれども、平成29年度補正予算は未調査のため、この表には計上はしておりません。
 それで、ここの下に書いてありますように、今回の調査に併せて、過去のデータも確認、精査していますので、過去に公表しているデータから一部変更が生じているところもあります。内容については、見ていただければと思います。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。
 これは見るといろいろよく分かることがありますが、皆さん御存じというか、あえて言うことではないと思いますが、これは地震及び火山研究全体の予算ですので、建議の計画だけではないので御注意ください。
 それで、私が何か言うことはないんですけれども、この1ページ目の最初のグラフを見ると、まるで地震の余震分布みたいで、大きな地震現象に対応していることが分かります。ですが、水色のところ、当初予算はそれほど変わってなくて、大体100億ぐらいという感じですが、まあ、いろいろ思うところはあると思います。
 重要なのは、人の方もそうですが、研究者の数は7ページからですが、これも興味深いデータがいろいろありますので、これをうまくお使いになって、それぞれの研究計画やいろいろなところでこれを活用していただきたいと思います。
 何か質問ございますか。
 地震と火山を分けられないところがあるので、ある年から一緒になっているというところもありますし、最後の13ページとか14ページは、あえて分けたというか、最後の14ページはあえて分けて、大学の火山の研究者が少ないというデータになっていますが。
 森田先生、何か意見ございますか。
【森田臨時委員】  例えば10ページにあります国立開発法人の地震火山研究者、職種別といったとき、ここ数年、任期付の方がちょっと減っている一方、パーマネントの方が増えているという話なんですけど、これは主にどこで増えたんですかね。
【大河原地震火山専門官】  前の9ページの一番下を御覧いただくと分かるんですけど、あと、9ページの一番上に※印も書いているんですけれども、海洋研究開発機構で、平成26年度以降、報告する対象を少し変更しているというのがありまして、基本的には、これに伴って大きく、26、27、28に掛けて数が減っているというものでございます。
【森田臨時委員】  これを見たときに、私は、任期付の方がちょっと増えて、しばらくたって、これがパーマネントな人が増えるという、非常にハッピーな話が見えてきたのかと思ったら、そういうわけでもないということですね。
【平田分科会長】  研究開発法人は任期なしのコストを増やしたんですよね。小平さん、何か。
【小平臨時委員】  JAMSTECの事例になりますけれど、任期付で雇用していた者を、雇用法の関係がありまして、パーマネントの方に移行するという審査を行って、パーマネントに移行していますので、JAMSTECに関してはそういう形で、パーマネントの職員が増えてきています。
【平田分科会長】  恐らく産総研や防災科研も似たようなところはあるかなとは思いますけれども、大学はむしろ逆。逆ということはないけど、増えてはいないはずです。
 ここ、じっくり見ると、いろいろ思うところがあると思いますので、後でよく見てください。
 それでは、これはこの辺で、この議題は終わります。
( 休憩 )
【平田分科会長】  それでは、再開いたします。

[議題4.次期観測研究計画の検討について]

【平田分科会長】  議題4、次期研究計画の検討についての議題になりますので、まず事務局から御説明ください。
【大河原地震火山専門官】  資料4-1と4-2を御覧ください。
 資料4-2ですけれども、「次期観測研究計画 審議経過報告(案)」というタイトルのものになります。こちらが次期観測研究計画の検討委員会で議論されました次期観測研究計画案そのものとなります。次の総会で、これまでの審議経過の報告という形で報告を行いまして、御議論をいただく予定ですので、このように「審議経過報告(案)」というタイトルとしておりますけれども、実質、これが次期観測研究計画の案となります。
 それから、資料4-1はこの次期地震火山観測研究計画の概要紙の案となります。現行計画でも冊子の一番後ろにこの表の1枚のようなものを付けておりますけれども、それの次期計画版ということになります。
 あと、参考資料1が次期計画の検討のスケジュールとなります。本日の会議で頂いた御意見などを反映させまして、総会に報告して御議論をいただく予定です。総会で御意見頂いた場合には、その御意見を踏まえて、また測地学分科会、地震火山部会で再度その御意見を踏まえて検討いたしまして、その後、パブリックコメントを経て、建議というスケジュールで考えております。
 そうしましたら、次期計画について、次期計画検討委員会の加藤主査から簡単に御説明をいただきたいと思います。お願いします。
【加藤(尚)臨時委員】  それでは、御説明します。3月2日、前回のこの会議で、次期計画(案)について概要、経過を御説明しましたが、その際に頂いた意見を踏まえ、それから、2回の次期計画検討委員会での議論を踏まえて、このような案を作成しました。
 概要の図、資料4-1を使って、まず説明しますけれども、前回、3月に説明したところから、骨格については大きな変更はありません。全体は5つの柱で構成されていて、地震・火山現象の解明のための研究、地震・火山噴火の予測のための研究、地震・火山噴火の災害誘因予測のための研究。防災リテラシー向上のための研究。研究を推進するための体制の整備という5つの柱から構成されています。
 現行の計画に比べると、大きく違った点というのは、防災リテラシー向上のための研究というものを新たな大きな柱として作ったというところが大きな違いです。概要の図の上の方にあるように、現在の計画は、それまで地震や火山の発生の予測に基づいて、地震・火山災害の軽減を目指すという計画だったわけですけれども、それだけではなくて、地震や火山噴火に関する理学的な知識に基づいて、分野横断で、災害科学の一部として地震・火山災害を軽減するための研究として、現行計画が始まったということです。
 その計画についてレビューをして、外部評価を受けたところ、この方向で、災害の軽減に貢献するための研究を一層推進するように、さらに、理学、工学、人文・社会科学の研究者の一層の連携の強化などの事項を指摘されたところです。
 そういったことも考えて、次期計画検討委員会では、計画の名前についても議論して、現在の研究計画の精神をより一層進めるということなので、現在は計画名と同じで、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」というのが適当ではないかというのが次期計画検討委員会でのおおよその意見でした。
 この計画について、5つの柱からなっていると言いましたけれども、それ以外に強調する部分があって、1つは、総合的な研究ということです。現在でも災害科学の発展に貢献できる対象として、南海トラフ沿いの巨大地震、首都直下地震、東北地方太平洋沖地震、それから、桜島の火山噴火というのが総合的な研究として行われていますけれども、今、検討中の内容では、総合的な研究として、この図の左下の方に灰色で書いてありますけれども、南海トラフ沿いの巨大地震、首都直下地震、千島海溝沿いの巨大地震、桜島大規模火山噴火、小規模・高リスク火山噴火という5つの対象について、総合的な研究を行うように考えています。
 前回、3月から変わった点としては、細かな名前は変わっているかもしれませんけれども、大きくは2つあって、桜島については、これまでは桜島の火山噴火だったんですけれども、総合的な研究をする対象としては、被害が出るような大規模な火山噴火にどのように立ち向かっていくかということで、「大規模」を加えたということ。
 それから、前回は、観光地における火山といった名称でしたけれども、より科学的な対象を明確にするということで、小規模・高リスク火山噴火という名称に変えています。
 それから、もう一つ、次の計画で新しいところは、重点的な研究ということで、近い将来の社会実装につながるような研究を目指すということで、地震発生の新たな長期予測、地殻活動モニタリングに基づく地震発生予測、火山活動推移モデルの構築による火山噴火予測という、この3つの対象を重点的な研究として、今後5年間で、社会実装につなげられるような研究成果を目指すというふうにしています。
 これについては、前回の報告と変わっていませんけれども、火山については、少し名称や内容が変わっていると思います。
 次に、文章の方について説明します。資料4-2です。
 まず形式的なところですけれども、1ページに「はじめに」というものがあります。これまでは「はじめに」はなくて、建議の文章の後すぐに目次になっていたんですけれども、全体を説明するということで「はじめに」という文章を新たに作りました。この計画を進めるための背景ですね。日本は、地震や火山に見舞われて、これまでの災害を受けてきたために、こういった研究計画が必要であるということと、現行計画のことなどについて簡単に触れています。
 その後、目次の後に第1章があります。第1章については、前回、概要しか議論していなかったので、少し説明します。まず第1章の1として、「地震火山観測研究計画のこれまでの経緯と位置づけ」。1-1、「地震火山観測研究計画のこれまでの経緯」として、これまでの経緯をまとめています。これは「はじめに」と重複する部分を省いていますので、これまでの最初の冒頭の文章と最初のところがちょっと変わっているかもしれません。地震予知、火山噴火予知の計画が始まってからの流れを簡単にまとめています。
 2ページ目に、「地震火山観測研究計画の位置づけ」としていますが、これはこれまでの計画では余り書いてなかったことですけれども、地震調査研究推進本部との関係などについて書かれています。あと、火山については、地震本部のような体制はないですけれども、火山噴火予知連絡会等との関係が書いてあります。この研究は、地震本部が推進する調査研究などとの関係で言えば、基礎的な研究として、将来、地震・火山の研究を発展させるために必要な研究であるという位置付けを書いています。
 次の3ページ目から、「災害の経験に貢献するための地震火山観測研究計画」の成果と課題ということです。現行計画の成果と課題をまとめています。現行計画については、先ほどお話ししたように、これまでの地震や火山噴火の予知を目指した研究から、それに加えて、地震や火山に関する科学的な理解に基づいて、分野横断で災害軽減に貢献するための研究を行っているということ、そのレビューを書いています。
 次に、4ページのこの計画の今後の課題ですけれども、分野横断で新しい計画が始まって、異なる研究分野間の相互理解が進んでいますけれども、研究成果としては、萌芽的なものが多いということで、新しい計画になってからの流れを更に強化して、分野横断での成果を目指すということについて書かれています。
 5ページ目からは、「地震火山観測研究の長期的な方針」として、基本的な方針について書いています。基本的な方針というのは、大ざっぱに言えば、これまで言ってきたように、地震や火山に関する様々な理解を我々は持っているわけで、それを更に進めて、理解を深めると同時に、その理解に基づいて地震や火山噴火の予測であるとか、災害誘因の予測、それから、地震に関する理解を様々に利用して、災害軽減に役立てるための研究を行うということについて書かれています。
 次の7ページ目から、長期的な方針に基づく当面の取組の方向性と進め方ということで、中長期的には、地震や火山の研究に基づいて、災害軽減をするための4つの考え方にまとめています。
 1つ目として、地震や火山噴火が引き起こす災害はどのようなものであるかを解明して、国民や関係機関に広く知らしめること。
 2番目として、地震や火山噴火が、どこで、どの程度の頻度・規模で発生し、それらによる地震動、地盤変形、津波、噴火様式等がどのようなものかを想定して、長期的な防災・減災対策の基礎とすること。これは長期的な発生予測であったり、事前の災害誘因予測ということだと思います。
 3番目として、地震や火山噴火の発生直後に、地震動や津波、火砕流や降灰、溶岩流などの災害を予測することにより、対策を立てること。これは災害誘因の即時予測ということになります。
 4番目として、地震の発生や火山噴火の発生とその推移を事前に予測することにより有効な防災・減災対策を取ること。地震や火山噴火の中短期予測ということになります。
 1番目に対応することとして、新しい計画で新たに大きな柱とする防災リテラシー向上のための研究があるということになります。それぞれ1、2、3、4について、その後、細かく書いてあります。
 8ページ目の最後のところから、重点的な研究についての説明があります。
 その後、9ページ目から、観測研究計画の実施体制の整備と計画の推進ということで、地震や火山の研究のための体制の整備の必要性について書かれています。
 2章以降は、前回と大きく変わっていません。先ほど言ったように、5つの柱からなっています。中項目以下については、名称の変更であるとか、順序の変更などはありますが、特にここで説明することもないかと思います。
 事前に、早めにこれをお送りして見ていただければよかったんですけれども、十分な時間がなくて、申し訳ないですが、この後、御質問、御意見等頂ければと思います。
 以上です。
【平田分科会長】  ありがとうございました。大河原さんの方から何か追加はいいですか。
【大河原地震火山専門官】  特に大丈夫です。
【平田分科会長】  それでは、これについての審議をいたしますが、予定では、本日議論して、御意見を頂いた後に、まとめて、それを次の科学技術・学術審議会の総会にこの審議経過報告として報告することになっておりますので、ここで、ある意味、本質的な議論を是非していただきたいと思います。
 それで、形式的な文言の修正だとか、「てにをは」が間違っているとかというのは事務局で直すにしても、これまで次期計画の検討会がやっていただいたものについて、今、ある意味、最終的な報告がございましたので、御意見を是非頂きたいと思います。
 それで、内容が重要ですけれども、次期の計画の名称について、「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」というのを仮称として御提案を頂いているので、これも御意見があれば是非頂きたいと思います。
 それで、資料4-1を見ていただくと、今、御説明があったとおり、この次期の計画は、現行計画を更に進めた形になっていて、大きな構造としては、現行計画は3つの研究と体制という4つの柱だったものが、研究のところにもう一つ、4番目として、防災リテラシー向上のための研究というのを加えて、全体の計画になるということ。それと、そういう項目と別な概念として重点的な研究と総合的な研究ということを掲げています。体制と目標と、それがこの研究計画の骨格になっていて、分野横断型の総合的な研究としては、5つの課題が掲げられておりまして、3つの地震、それから、2つの火山噴火に関連したもので、火山については、名称が3月の案とは変わっているというところも含めて御提案がございました。
 名称については最後に御意見頂くことにして、まず4-1を見ていただいて、計画の骨格と、それから、細かい名称について何か御意見ございますでしょうか。はい、どうぞ。
【小平臨時委員】  4-1のマル2の緑色の箱のところで、重点的な研究ということで、3つの項目を挙げられて、今後この5年たったところで、社会実装を目指したものを重点的な研究と定義すると御説明なさったかと思うんですけど、そういう目で本文の方に書かれている記述を見ると、かなり大きなテーマになっていて、意識されている社会実装というのはどういう状態を意識されているのか、本当に社会実装というところに行けるのかなというのが少し判断できないんですけど、どうでしょう。
【加藤(尚)臨時委員】  5年後にすぐに社会実装というところまでは考えていません。例えばですけれども、地震発生の新たな長期予測について言えば、現在、地震本部で行っている長期評価というのは、基本的には過去の地震の履歴に基づいた経験的なものですけれども、現在は、様々な観測データでプレート境界での状態であるとか、内陸の応力の変動などが分かるようになってきていますから、そういった観測データを利用できるような手法、それから、理論的なモデルなどによって現象をある程度説明できるようになっていますから、そういったものも活用して、地震発生の長期評価を刷新できるようなものを提案したいということです。
 5年後にそれが直ちに地震本部の方で採用していただけることまで考えているわけではなくて、5年後になったら、確かにこれは有力な方法なので、地震本部の方で実際採用を検討するくらいになれば十分というか、上出来なところで、5年後に実用化されるところまでは考えていないということです。
【小平臨時委員】  そうすると、御説明のところに、5年後の社会実装というふうに説明されたような気もしますけれど、将来の社会実装を見据えて、重点的に進める研究と、そういうニュアンスですか。
【加藤(尚)臨時委員】  済みません。5年後ともし言ったとすると間違いで、この資料4-1の紫色で囲った「体制と目標」と書いてありますけれども、そこに「近い将来の社会実装を目指し」と書いてありますけれども、「近い将来」です。100年後というわけではなくて、10年とかそのぐらいのことを考えているということです。
【竹内地震・防災研究課長】  そうすると、絵の中の「近い将来」とか、それから、この計画(案)だと二-2ページのところに「重点的に取り組む研究」の中で「早期の社会実装」となっているのが、例えば10年後くらいに実装できればということと離れるから、例えば「近い将来」の「近い」を取るとか、「早期の社会実装」を「将来の社会実装」とするような案もあるでしょうか。
【加藤(尚)臨時委員】  はい。その辺はあまり誤解がないように適切な表現に変えたいと思います。
【平田分科会長】  今の件は、例えば一-8ページの最後のところでも、「早期の社会実装を目指した観測研究として、今後5年間は」云々とあって、これが重点的な研究に出ている「近い将来の社会実装を目指し達成目標を明示して進める『重点的な研究』」というのに対応するものですよね。
【加藤(尚)臨時委員】  そうです。
【平田分科会長】  だから、多分、社会実装というのがきっと引っ掛かるんだと思うんですよね。皆さん。
【加藤(尚)臨時委員】  そこの言葉を変えた方がいいですかね。もっと適切な言葉はあるでしょうか。
【平田分科会長】  これは主として調査委員会が使うということですかね。非常に限定的に言うなら。それとも、もっと広い意味で言っている。
【加藤(尚)臨時委員】  限定し過ぎかもしれないですけれども、想定している一つとしてはそうです。なぜこういうことを書いたかというと、外部評価で、研究目標や目標に対する達成度の明確化と言われていますので、それを考慮して、ただ基礎研究をやっているのではなくて、すぐには社会実装にはつながらないけれども、将来的には社会実装につながるような研究を行うという意味で、このような言葉を使っています。もちろんもっと適切な表現があれば変えたいと思います。
【竹内地震・防災研究課長】  例えば「将来の地震本部における活用を目指し」などもあるかなと思いますけど。
【加藤(尚)臨時委員】  はい。地震本部としてそれで構わなければ。ちょっと特定し過ぎかなという気もするんですけど。
【平田分科会長】  地震本部はいいけど、でも、地震本部だけじゃなくて、例えば内閣府だとか、自治体の被害想定を出すとか、そういうのでもあるから、例えば、この同じページの上の方に、「社会的ニーズの変化に対応した」と、ちょっと違う文脈で書かれていますけれども、社会的なニーズ、社会的な要請に応えるような成果を出すとかでは。
【加藤(尚)臨時委員】  検討します。
【平田分科会長】  何かそんなような感じにした方が。
 ありがとうございました。ここのところは結構重要なところで、割と踏み込んだ御提案があったので分かりやすかったんですが、分野横断型の方の火山噴火についてはいかがでしょう。これも相当議論があって、やっとここに落ち着いて、提案があったというふうに思いましたので、地震火山部会、測地学分科会の委員の皆様の御意見を聞けるといいんですが、どうでしょうか。
【加藤(尚)臨時委員】  たしか前回、以前の案では、観光地における火山とかそういった名称で3月の測地学分科会と地震火山部会の合同会で意見があって、災害に寄り過ぎで、もうちょっと理学的な名称の方が、この計画としては適切ではないかというような意見があったと記憶しています。それに基づいて、かなりの議論を行って、最終的にはこのように落ち着きました。
【平田分科会長】  いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【松澤臨時委員】  小規模・高リスクというのは非常に分かりやすくて、いい名称だと思いました。
【加藤(尚)臨時委員】  ちなみに、小規模・高リスク火山噴火の説明は、三-22ページに書いてあります。
【森田臨時委員】  それに関連してなんですけど、この三-22ページのエとオを読み比べてみると、エは、住民を対象としたようなことが書いてあって、オについては、観光客、登山客というふうに、これまで行政で余り対象としていなかった人たちの被害を想定していると。これは非常に難しい、チャレンジングな課題だと思うんですよね。これをここでやるという皆さんの決意があるというのは、これは立派なことだとは思うんですけど、ここを皆さんの決意をもう一回確認した方がいいんじゃないかと思いまして、ちょっとお尋ねする次第です。
【西村臨時委員】  確かに今までやったことのない分野というか、対象を選んでやっているんですけれども、やはり御嶽山、あるいは草津白根山、いろんなところでこのような被害が今出ています。それから、霧島でも出ていまして、この問題について、ひとつ動き出す必要があるだろうと。この総合的研究というのは、いろいろなやり方があると思いますけれども、まずはこのようなテーマに関係する研究を集めて、どのようなことができるかという方向性を出す。あるいは問題点を洗い出すということが目的だと考えておりますので、まずこの次の建議で、このテーマで動き出したいということです。
【森田臨時委員】  分かりました。覚悟があってやっていただくというのは非常にいいことだと思うんですけど、この文章で一つだけ気になるのは、「風評被害による経済的損害」が生じるとか、こういう文言があると、なかなかこれは誤解を生じるのかもしれないから、ここの表現は少し柔らかくした方がいいんじゃないかという気がしました。
【西村臨時委員】  分かりました。もう一度読み直して、少し検討したいと思います。
【平田分科会長】  ありがとうございました。そうすると、内容については、若干文章を修正する必要があるかもしれないという議論はございましたが、この小見出しですね。エとオについて、桜島大規模火山噴火と、小規模・高リスク火山噴火とするということについては、御意見ございませんか。
 特に火山の関係者の方の御意見、御反対がなければこれで進めたいと思いますが、よろしいですか。はい、どうぞ。
【小平臨時委員】  この「小規模・高リスク」という、この「・」の行政文書での意味合いというのは、前と後を並列に並べて書くときのような気がするんですけれど、そうすると、小規模のものと高リスクのものの火山噴火を研究するという表題のように読めてしまうんですけど。その辺は役所の文書として、この「・」の使い方は正しいんでしょうか。
【平田分科会長】  まず、これはどういう意味でこの「・」があるんでしょうか。つまり、「and」なのか、「or」なのか。
【加藤(尚)臨時委員】  これは小規模であるけれども、高リスクな火山噴火ということを本当は言いたいと。
【小平臨時委員】  そうすると、この「・」の使い方は正しくないような気がします。
【中田臨時委員】  今の意味だと、「高リスクな小規模噴火」ということですかね。正しく伝えるなら。
【加藤(尚)臨時委員】  そうですね。
【平田分科会長】  まず意味から理解しましょう。それでいいんですか。
【加藤(尚)臨時委員】  先ほど言ったのは、小規模であるけれども、高リスクな火山噴火ということで、小規模というのは、例えば先ほど西村委員から話があったような御嶽であるとか草津白根のような、あの程度の規模の噴火であっても、火山は観光地であることが多いので、人が多くいて、高リスクなことが多いと。そういった災害も考慮して、科学的にはそういった小規模な噴火の予測の研究をしたいということです。
【平田分科会長】  はい。私は分かりましたが、皆さん、それでいいですか。まず内容を理解すると。それで、次は、「小規模ではあるが、高リスクな火山噴火」では長過ぎるから、これを縮めて、言いやすい言葉にしたらどうなるかということですが、鈴木さん、何か意見あります?
【鈴木分科会長代理】  私は「・」でいいと思うんですが、要するに、公文書としてまずいのであれば考えなきゃいけないかなと思いますが、いかがなんでしょうか。そこは判断できませんが。
【竹内地震・防災研究課長】  確かに小平委員が御指摘になったように、通常、文書において「・」と言うと、それは「かつ」というよりは「and」と。例えば科学技術・学術政策局という局がありますけれども、科学技術であって、学術であるということではなくて、科学技術と学術と両方やっています。今日のこの議題でも、測地学分科会・地震火山部会というような、「かつ」では使わないというのは確かなので、そういう観点からすれば、よりよい言葉があればベターかと思います。
 ただ、先生方として、とはいっても、そこまで厳密にその公文書の使い方をしなくてもいいので、これでそういう内容だと認識していただくというのであれば、それでもいいと思います。
【平田分科会長】  途切れてしまいましたから、いい考えがあれば、それを決めた方がいいですが、じゃあとりあえずは、小規模ではあるが高リスクな火山噴火というふうにしておいて、それを縮めていい名前を思い付いた方は御提案いただいて、加藤さんの方で少し考えるということで。
【加藤(尚)臨時委員】  ここは火山の方の意見を重視して決めたいと思います。
【平田分科会長】  はい。ありがとうございました。
 桜島の方は桜島大規模火山噴火でよろしいですね。井口さん、これでよろしいですか。
【井口専門委員】  はい。特に問題はないと思いますが、オの方と比べたときに、高リスクと言えば、要するに、桜島大規模噴火はもともと高リスクなので、初めからそんなことは入れてなくて、多分ほかの項目も全部、アからウまでも全部高リスクなので、わざわざ入れてないだろうというふうに思いますけども、オのところは、あえて高リスクと入れたのは、小規模だけどということで読み取ってあげないと、私はしようがないのかなというふうに思いますけど、もともとこの総合研究グループで挙げているというのは、もう高リスクが前提ですよね。
【平田分科会長】  はい。ありがとうございました。
 それでは、この分野横断の総合的な研究というところは、最後のところの名称についてはもう少し考えるということですが、基本的にはこれで了承していただいたというふうに考えました。
 そうすると、ほかのところですが、資料4-1のマル2の重点的な研究というもの、この赤い字で書いてあって、アンダーラインが引いてあるところが重点的な研究なんですよね。
【加藤(尚)臨時委員】  そうです。資料4-1の概念図についてももし御意見頂ければと思っていまして、先ほど言ったように、項目として5つの柱があるということと、分野横断で取り組む総合的な研究と重点的な研究と3つの違った考え方で進めるというところがあります。ただ、重点的研究というのが、中項目と一致はしているのですけれども、これらをどういうふうにこの図の中で表現すればいいかというのはちょっと迷っていまして、そのあたりについてもよいアイデアがあれば頂ければと思います。
【平田分科会長】  質問ですが、マル2のところに点が5個あって、この5個は、中項目の1、2、3、4、5にぴったり対応しているんですよね。
【加藤(尚)臨時委員】  資料4-2の初めの方に目次がありますので、その目次と見比べていただければいいと思います。
【平田分科会長】  例えば一番最初の「地震発生の新たな長期予測」は、アとイがあるんだけど、アもイも重点的な研究なんですか。
【加藤(尚)臨時委員】  そうです。もちろんその中である程度の強弱はあるとは思いますけれども、両方とも重点的な研究で。
【宮澤専門委員】  質問よろしいですか。今の点に関して、例えば「はじめに」の最後の段落の1行目で、「この計画では、地震や火山現象の解明と予測に関する理学的研究を重要項目と位置付けて」と書いていますが、この「重要項目」というのが重点的な研究に対応すると思いました。このように「はじめに」では「解明と予測」の両方が入っておりまして、これを例えば資料4-1で見ると、青色のマル1と緑色のマル2に対応するように思ったんですが、このポンチ絵の中では、そのマル2の予測の方だけを重点的な研究と書いていますけれども、これはどう考えたらいいんでしょうか。
【加藤(尚)臨時委員】  「重要な項目」という表現が余りよくないのかもしれない。重点的な研究と表現が似ていて、誤解させるのかもしれないです。重点的な研究というのは、今後5年間で特に力を入れて、将来的な、もともとの言葉を使えば、社会実装を目指した研究という意味で、重点的なわけです。
 1の地震・火山現象の解明のための研究は、基礎的な研究、まあ、この計画全体が基礎的な研究なわけですけれども、その中でも特に基礎的な研究であるので、理解したからといって、それが直ちに災害の軽減に貢献するためではなくて、地震や火山を解明することによって、それを利用して、予測のための研究を行うだとか、災害誘因の予測のための研究を行うということなので、項目としては重要ではありますけれども、それが直接、災害軽減に結び付くというわけではないので、重点的な項目ではないということです。だから、この「はじめに」に書いてある「重要項目」という表現がちょっと誤解を与えるのかもしれないです。ということでよろしいでしょうか。
【宮澤専門委員】  はい。分かりました。そうすると、例えば現行計画でももともと災害誘因の予測に基づき、災害の軽減に貢献することを最終的な目標と位置付けているわけで、その中で重点的な研究は、この理学的な研究、マル2だけ。確かに地震・火山噴火の予測のための研究のこの部分を重点的な研究として進め、社会実装を目指すというのは分かるんですが、例えばそこから先の部分については、例えば災害予測とかそういったところには含まれていないわけで、そのもともとの建議の目標、次の計画に関しても現行計画の目標をそのまま引き継ぐというふうに理解しておりますけれども、そういった目標に合致するためには、ここだけを重点的な研究と位置付けるには、ちょっと理由が足りないような気がするんですが、いかがでしょうか。
【加藤(尚)臨時委員】  具体的には、災害誘因予測のための研究の中でも、重点的な研究を行うべきだと、そういうことなんでしょうか。
【宮澤専門委員】  まず「重点的」という言葉と「重要な研究」というのを分けて言いますと、まず全て重要な研究だというのは、皆さん御認識のとおりだと思いますけれども、その中で、特にこの5か年の中で、ここを重点的というふうに位置付ける理由というものがもしお考えであればお願いします。
【加藤(尚)臨時委員】  それは今後5年間で、この研究者がそれなりの精力を傾ければかなり大きな進展が見込まれて、将来の社会実装への道が開けるものが何かということを研究者間で議論した結果、この3つを選んだということです。
【宮澤専門委員】  分かりました。そうしましたら、いろいろ裏付けがあるということと理解しました。
【加藤(尚)臨時委員】  そうですね。
【宮澤専門委員】  ありがとうございます。
【松澤臨時委員】  多分、今おっしゃっていることは、地震・火山現象の解明と予測に関する理学的研究を引き続き柱として位置付けるということですね。柱の一つとして。
【加藤(尚)臨時委員】  はい。重要項目というのはそういう意味です。
【松澤臨時委員】  ええ。重要項目というのは、おっしゃるとおり、最重要項目と読めてしまうので、そこだけ確かに誤解を招くかもしれない。ちょっと考えていただければと思いました。
【加藤(尚)臨時委員】  はい。
【松澤臨時委員】  あともう一点、ここで初めて「はじめに」というのが入ったんですが、「はじめに」があって「おわりに」がないとバランス取れないような気がするので。多分これは英語ではPrefaceのつもりで書かれていると思うんですね。そうすると、前書きか、序文か、序か、そういうあたりの方が収まりがいいかと思いました。
【加藤(尚)臨時委員】  事務局と相談して考えたいと思います。
【平田分科会長】  平田ですが、重点的な研究というので、若干私が誤解していたのは、小項目が重点的な研究になったのかと思ったけれども、これは中項目として入れたんですね。そうだとすると、だけど、例えば地震発生の新たな長期予測で、海溝型巨大地震の長期予測については、一定の5年でという目途があるけど、内陸地震の長期予測も地震本部調査委員会が新しく採用できるほどの成果が上がるという認識なんですかね。
 同じことは、例えば(2)のモニタリングというのも、これはプレート境界の時空間変化と、地震活動評価と、地震活動の系統樹。これをみんなア、イ、ウともに重点的にやるという、そういう認識だったんですか。
【加藤(尚)臨時委員】  いや、この中で、もちろんアとイとウの中で重み付けはある程度はあるとは思いますけども、基本的には両方とも重点的に取り組むということだと思いますけれども。
【平田分科会長】  ちょっと議論を始めちゃったのは、今まで重点的な研究というのは、ぼんやりと、単に重点的なとしか言ってなかったけど、それは最初の原案では、早期の社会実装を目指したとか、何かそういうニュアンスをかなり限定的にして、調査委員会で使えるような手法の開発とかというふうに明確にしていただいたので、かえってはっきりしてしまったんですけれども、そうしたときに、あるいは火山だったら噴火予知連で使えるような知見の獲得ということとすると、もう少し絞らなくて本当に大丈夫なのかなというのは若干心配にはなってきたんですけれども、それは実施担当者は大丈夫ですかね。
【加藤(尚)臨時委員】  ある程度、近い将来といっても幅があるので、先ほど言ったように、5年間ですぐに実用化するところまでは考えていないので。少し細かい内容で言えば、地震発生の新たな長期予測に関しては、三-9ページの冒頭のところを読んでいただければいいと思いますが、海溝型巨大地震と内陸地震、それぞれについて、どういった考えで進めていくかということを説明はしています。この2つが全く同じ速度で進んでいくとまでは分からないですけれども。
【大河原地震火山専門官】  多分気にされているのは、この中項目レベルで重点的研究という表現をしてしまっていいか。それとも小項目でこの項目は特に重点的に進めるというのをもっと具体的に絞って重点的と言った方がいいかというところかと思います。実際、今、この中項目の中に何か大きく進展が期待できるような内容があれば、その分野が大きく進展できるということを期待して、少し広めに中項目名を重点的研究として書いていると思うので、その項目の中の全ての物事が全てにおいて非常に大きな進展が期待できるということでは必ずしもないかもしれないですけれども、表し方としては、中項目レベルで重点的な研究と表現するというのはありではないかと事務局としては思っています。
【平田分科会長】  はい。分かりました。まず事実は認識するところまで行きましたので。そうすると、そういう御提案はそういうことですけれども、特にこれについて御意見ありますか。
 加藤さん、何か補足することはありますか。
【加藤(尚)臨時委員】  そうですね。重点的に取り組む研究のところの説明をもうちょっと限定するというのはありかもしれないです。ただ、この概念図で、小項目まで言及して細かく記述するというのも、それもそれでかえって難しくなるというところもあると思うので、中項目レベルで重点と言っておいた方がむしろ安全な気もしています。
【平田分科会長】  分かりました。そうすると、元に戻って、やっぱり重点的な研究とはどういうことかというのをもう一回限定的にここで。原案では、早期の社会実装を目指した観測研究としてというのがあるから、ここを少し変えていただいて。
【加藤(尚)臨時委員】  はい。
【平田分科会長】  それで、内容としては、中項目を重点的な研究項目とするというのは理解しましたので、これを実際にやるときにどうするかはちょっと、やや玉虫色にしておいて、成果をこの中のどこかで出すというふうに理解しました。
【松澤臨時委員】  多分この社会実装というのは非常に重要なんですけど、社会実装のニーズがあって、ある程度は可能そうなものという形で選ばれたんじゃないかと思うんですね。
【加藤(尚)臨時委員】  そうです。
【松澤臨時委員】  はい。ただ、今ここでそれを短く書いてしまうと、社会実装が近いと思えるようなものを選ばれているように読まれてしまう危険性があるので、そこだけちょっと気を付けていただければいいかと思いますけど。
【加藤(尚)臨時委員】  表現、工夫してみます。
【平田分科会長】  大分議論いたしましたので、違う話題に行きたいと思うんですが、今指摘したこと以外のことで何かお気付きの点ございますか。はい、どうぞ。
【山中専門委員】  資料4-1なんですけれども、一番下の5のところに、「研究基盤の整備」となっているんですが、実際には、整備と開発と両方入っているので、この「整備」というタイトルはいまいちかなということと、それから、整備開発の方は、研究にある程度関わっていることもあるので、何か矢印が必要じゃないかということと、もう一つは、この両脇にグレーのあんまり目立たない文字で書かれているところの外側の矢印というのが、これは社会に向かっているのかなと思うんですが、何か分かりにくいような気がしました。
【加藤(尚)臨時委員】  最後のところからお答えしますけれども、これは社会のつもりですが、ここはどう書いたらいいかというのは非常に悩みましたが、よりよい表現が思い付かなかったので、今のところこうなっています。よいアイデアがあれば頂ければと思います。
【山中専門委員】  もうちょっと字をはっきりさせた方が。何か自信がなさそうな感じが。
【加藤(尚)臨時委員】  灰色というのは確かにそうかもしれないですね。色は考えます。
 研究基盤の開発整備はおっしゃるとおりなので、開発整備とします。この研究であることを示す方法というのは、ちょっと今、思い付かないですけれども、ちょっと考えてみます。
【平田分科会長】  ほかにございますか。
【森田臨時委員】  1-2、地震火山観測研究計画の位置づけのところで、少しこの現行の考え方についてお伺いしたいんですけど、特に1-2の一番最後の「火山の調査研究については、・・・」の段落を読みますと、「組織は存在しないが」と言ったあと、それでもうまくいっているじゃないか、というふうに読めるんですよね。つまり、これは何かというと、これでいいんじゃないかというふうに見えるんですけど、そういう認識でよろしいですか。
【西村臨時委員】  必ずしもそういう認識では、私自身はありませんが、そうでないニュアンスをもう少し入れる形にはした方がいいという御指摘は少し考えていますが、ただ、今すぐ案がないというところです。
【森田臨時委員】  それにちょっと安心したんですけど、例えば「一元的に推進するような組織は存在しない」で1回切るとか。それで、ずっと行って、いろんなところで役に立っている。あるいは文科省では次世代火山研究・人材育成を始めたと。今後実施していくことが重要であるとともに、早急に体制を強化する必要があるとかね。そこに最終的に持っていくべきではないかというふうに思いました。
 それと、それに関連して、三-19から始まるところで、同じような趣旨で、推進体制の整備といろいろ書いてあって、その三-20ページにいろいろ丸があって、その次のページに進んで一番最後のところに火山の体制の強化が書かれているんですよね。これを読むと、主語がないし、結局、何をどうするのかが全く何もない。つまり、これは言うだけ言って、放っておこうという意思が表れているんじゃないかというふうに取れるんですよね。
 私としては、やはり火山の問題を真剣に考えていただくのであったら、もっと上の方、「測地学分科会は」という丸が2つあります。その次あたりに入れて、この最後の火山のところの最後の文章のところで、「測地学分科会は」と主語を入れて、「検討することを強く期待する」ぐらいの文章を入れる方がいいと思います。
【平田分科会長】  今の御発言は提案でございますので、今の提案について、どなたかセカンドする人いますか。議長がセカンドしちゃいけないんですけど、私がセカンドしたいので、これについて、今のお考えに反対の方、いますか。反対はないけど、いろいろ問題があるかもしれないということがあれば、事務局からコメント、今、森田さんの意見についてありますでしょうか。
 まず最初から行きましょう。2つの場所について、御提案がありましたから、1つは一-2ページから3ページに掛けての1-2ですね。「火山の調査研究については、地震本部のように国が政策として一元的に推進するような組織は存在しないが」と続いていますけど、これをまず切るというのはどうですか。
 一つは、逆にしたらいいですよね。「火山の調査研究については・・・」と書いて、「~が、地震本部のように国が政策として一元的に推進するような組織は存在しない」と。そうしたら事実は同じことが書いてありますから。ニュアンスは大分違っちゃいますけど、それは事実だからどうでしょうと。いかがですかね。
【西村臨時委員】  趣旨は森田委員と同じなんですけれども、最初に森田委員が指摘された「存在しない」というところで切る方がやはり明確であろうということと、あと、最後の「今後も、こうした国等の施策と連携しながら計画を実施していくことが重要である」というところに、やはり最初に言ってある、組織がないということをもう一度振って、「体制を整えながら」とか、「体制を早急に整えながら」という言葉を入れることで、その体制が重要であることが改めて伝えられるんじゃないかと思います。いかがでしょうか。
【平田分科会長】  じゃ、今の意見で、最初の森田さんの御提案をサポートする意見が出たということですが、事務局、いかがでしょうか。
【大河原地震火山専門官】  そうですね。議論が必要かと思いますけれども、最後の地震火山観測研究計画として、皆さんにやっていただく計画のところの中で、測地学分科会が早急な体制の整備を期待するというところまで言えるのか。実際、動きとしては、例えば内閣府の下の会議などで、そういう連携体を目指しての動きなどを進めていまして、もちろん文部科学省も一省庁として協力をして、議論に加わって、行っているわけですけれども、そういう動きの中で、よりよい方向を見つけ出していくということかと思います。測地学分科会としてというようなところが言えるのかどうかというのは、こちらでも考えさせてください。
【平田分科会長】  今の事務局の御発言は3のことで、1の部分についても修文すると。じゃ、そうしたら、御意見は頂きましたので、西村委員、森田委員と私の方で、事務局と併せて修文を提案するということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 何かこの件に関して御意見があれば御発言ください。
 気象庁、いいですか。火山は、火山噴火予知連とかもありますし、何か。
【土井臨時委員】  はい。測地学分科会とか、あるいは審議会の方で新しい組織を作る、作らないという建議を出すというのはなかなか難しかろうと思うんですが、そういう組織があることを期待しつつも、それができるまでの間はこの研究計画に沿ってしっかりやっていくというふうな打ち出し方だったら行けるかなと。この計画の中に書き込めるかなというふうには思いました。
 今のその作文だと、やっぱり中途半端な表現になっているので、先ほど平田先生おっしゃったような、森田さん、西村さんの意見をベースに、少しワードを変えていただく方がいいかなと思いますが。
【平田分科会長】  はい。そうしましたら、2か所です。一-2ページから3ページに掛けての文章と、それから、三-20ページから21ページにあるところですけれども、ここについて西村委員と森田委員とで検討していただいて、私の方と事務局とで調整をする。改めて御提案するということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 はい。特に御反対ないので、それでは、これで進めます。
 それでは、ほかにございますか。最初に申し上げたとおり、今日の議論を基にして、科学技術・学術審議会の総会に測地学分科会からの審議経過報告ということで出しますので、そこでの総会での御意見を頂いて、また、これが少しずつ変わっていくということはございますけれども、現時点で分科会と、それから、地震火山部会と測地学分科会の意見ということで御報告したいと思いますので、御意見のある方は是非御発言ください。はい、どうぞ。
【市原臨時委員】  先ほどの灰色の右下のところなんですけれど、「社会的要請の高い共通理解の醸成・人材育成に対する研究の実施・成果の発信」という言葉に少し違和感がありまして、共通理解の醸成に関しては、読んで、研究項目として立てられているのでいいんですけれど、人材育成に対しては研究項目がないと思いますので、「成果の発信」の代わりに「取組の強化」ぐらいがいいのではないでしょうか。
【加藤(尚)臨時委員】  取組の強化。検討します。
【平田分科会長】  ありがとうございました。ちょっと気になったのは、この灰色のところの左側の方は矢印が左にしかなくて、下にはないんですけど、これは何か意味があるんですか。
【加藤(尚)臨時委員】  これは右側の灰色の箱は、主に「防災リテラシー向上のための研究」の出力で、この下の矢印は、「社会との共通理解の醸成と災害教育」の方に向いていると思うんですけれども、そういった流れがあるので、ここで下に行っているんですが、左側の灰色の箱は、「総合的な研究」のアウトプットで、それは下の5の「研究を推進するための体制の整備」に直接結び付くよりは、「社会」に行くというので、下の矢印はないということです。
【平田分科会長】  今やっと理解しましたが、そうしたら、右の灰色はマル4の色にして、左の灰色は、まあ、左の灰色は灰色っぽいから。もうちょっとこのすき間を右ににじり寄らせて、総合的な研究のアウトプットに見えるようにしていただけば、今の意図が分かりますので、御検討ください。
【加藤(尚)臨時委員】  はい。分かりました。
【平田分科会長】  見ているといろいろ言いたくなって、きりがありませんので、とりあえず非常に重要なことだけ、今御発言いただいて、あとは気が付いたらなるべく早い時期に事務局の方に御提案いただいて、事務局の方で、必要があれば委員に照会するということにしたいと思います。
 そろそろこれの話を終わらせていきたいんですが、はい、どうぞ。
【矢来臨時委員】  意見ではございませんが、3章の計画の実施内容について、国土地理院が実施する内容に少し漏れがありましたので、それについて追加させていただきたいと考えております。
【平田分科会長】  分かりました。口頭でいいので、項目ぐらいでもいいですから、ざっと言っていただけますか。どこを何と何というふうな感じで。
【矢来臨時委員】  主には研究基盤の開発整備のところになりますけれども、後でまた確認させていただければと思います。
【平田分科会長】  三-22ページの(3)、研究基盤の開発整備というところですか。
【矢来臨時委員】  はい。
【平田分科会長】  そこにアの観測基盤の整備とか何かいろいろございますが、そこに国土地理院の提案する計画が少し落ちているから、後で足すということですね。じゃ、それは事務局の方に御連絡いただいて、皆さんに照会した上で進めていきたいと思います。よろしいですか。
【大河原地震火山専門官】  はい。それで結構です。よろしくお願いします。
【平田分科会長】  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
 そうすると、それでは、大分議論いただきましたので、幾つかの論点がややペンディングになっていますが、それは整理して、事務局の方でもう一度修文(案)を作って、皆さんにお諮りしたいと思いますので、ここまでのところで基本的には検討会の方で作っていただいた原案について、地震火山部会と測地学分科会で了承したということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

[議題5.次期観測研究計画の実施機関の募集結果について]

【平田分科会長】  それでは、次に、議題5に入りますので、事務局お願いします。
【大河原地震火山専門官】  では、御説明に入ります前に、冒頭でも申し上げましたけれども、測地学分科会の運営規則で、審議の円滑な実施に影響が生じるものとして、分科会において非公開とすることが適当であると認める案件は非公開とするというものがあります。議題5につきましては、審査に係る案件ですので、自由闊達に御議論いただくために非公開とさせていただきたいと思いますので、申し訳ございませんが、報道、傍聴の方は御退室をお願いいたします。
【平田分科会長】  それでは、今、事務局から御説明ありましたように、議題5は非公開で進めたいと思います。

〔選考の結果、国立大学法人東京大学地震火山史料連携研究機構が、次期観測研究計画の新規実施機関として認められた。〕

[議題6.その他]

【平田分科会長】  それでは、ここからは、科学技術・学術審議会運営規則に基づいて、会議を公開にいたします。議題6、その他に入ります。
【大河原地震火山専門官】  そのほか、皆様から何かございましたら。
【平田分科会長】  無いようですので、今日は長いこと、活発な御意見ありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から連絡事項があればお願いいたします。
【大河原地震火山専門官】  本日は長い時間、ありがとうございました。
 次期の計画につきましては、平田先生からも御発言いただきましたけれども、御意見などがございましたら、事務局にお伝えいただければ、また平田先生などとも御相談をしまして、適宜修正など反映させたいと思います。
 また、本日、会議で頂いた御意見につきましても検討したいと思います。
 次回の会議については、おそらく夏に総会が開催されることになると思いますので、その総会の後のタイミングを予定しております。日程が決まりましたら御連絡をさせていただきたいと思います。
【平田分科会長】  ありがとうございました。それでは、これで全て終了いたします。本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)