地震火山部会 観測研究計画推進委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成24年9月27日(木曜日)10時~11時46分

2.場所

文部科学省16階 16F特別会議室

3.議題

  1. 「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の平成23年度年次報告(成果の概要)について
  2. 地震及び火山観測研究における年次基礎データ調査について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)平田、藤井
(臨時委員)清水、望月
(専門委員)市原、小平、齋藤、棚田、畑中、三浦、宮澤

文部科学省

(事務局)寺田地震・防災研究課長、鈴木防災科学技術推進室長、吉田地震調査管理官、迫田地震・防災研究課長補佐、安藤地震火山専門官、森田科学官、吉本学術調査官、他関係官

オブザーバー

松本

5.議事録

[委員の出欠状況,事務局の異動,議事次第について事務局から説明]

  • 松澤臨時委員,小泉専門委員,鷺谷専門委員,西澤専門委員が欠席。
  • 西澤専門委員の代わりに松本オブザーバ。

[議事1「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の平成23年度年次報告(成果の概要)について]

【清水主査】   最初の議題は,「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の平成23年度年次報告(成果の概要)についてです。初めに事務局から説明をお願いします。
【安藤地震火山専門官】  参考資料1を御覧くださいませ。前回の委員会で承認いただいた【成果の概要】の作成方針ですが,地震・火山噴火予知研究協議会を中心としたとりまとめ委員会と事務局を含めたメンバーにて取りまとめ作業を行っております。本日用意させていただきました資料1-1,1-2,1-3は一式となっておりますが,本日特に御議論いただきたいのは資料1-1と1-2,つまり,成果の概要の本文と,それに係る図のイラストの部分です。資料1-3については,例年,参考資料として各部会から報告として上がってきているもので,少し専門的になりますが,資料1-1と1-2については,参考資料1にもございますが,「専門家以外でも読みやすく具体的な成果が分かりやすいように取りまとめる」という方針で,できる限り平易な表現の形で作業を行っております。本日,委員の皆様から更に御意見を頂ければいいと思っております。
【清水主査】  ありがとうございました。今,事務局から簡単に説明していただきましたけれども,成果の報告の概要ですが,今日はこれを皆さんの御意見を伺って確定したいと思っております。なお,資料1-3は【成果の概要】としては参考資料の扱いになりますので,本日は時間の関係上,1-3については基本的には議論はいたしません。もし,特別に何かお気付きの点があれば承りますが,主に今日は資料1-1と1-2について検討します。1-1が概要の本文,それから1-2が図と用語解説になっております。まず資料1-2の図について先に見ていただきたいと思いますが,これについては委員の皆様に事前に照会をして,頂いた意見に基づいて修正を加えております。また,皆さんから意見を頂いて修正した8月30日のバージョンに対して,本日は御欠席ですが,松澤委員から追加意見を頂きましたので,それに対しては,若干の修正をしています。ですから,今,皆さんのお手元にある資料1-2の図面については,皆さんに照会したものから若干変わっている部分がありますので,その点について取りまとめ委員の三浦委員から,大きく変わったところなど,御説明をお願いします。
【三浦専門委員】  松澤委員からは本文並びに図の内容について幾つか指摘を頂きましたが,それ以外にも,この委員会の各委員の方々からも指摘を頂いております。それらを総合して,本日までに修正できるものについては大体対応したつもりです。ですので,いろいろ御指摘いただいた委員の方々には,御指摘いただいた部分がきちんと反映されているかどうかについて,御確認いただければと思います。特に議論になりましたのは,図2のところですが,海底地殻変動による観測結果ということで,海底地形を含めて3Dのマップをとりまとめ委員会の方で作成しまして,そこに観測結果として水平,それから上下変動について矢印で表現しましたが,下の方にある断層滑りの表現について問題になりました。最新の研究では,海底地殻変動の観測データも含めて断層滑り量を推定すると,最大で80メートルぐらいの滑りが推定されたという結果が得られております。それを表現すると,非常に大きな矢印で滑りを表現しないといけないのですが,ここにありますように,最大80メートルの滑りと吹き出しで指している矢印のスケールが,観測結果である上の地殻変動量の矢印とスケールが異なるという御指摘がありました。これはスケールを合わせようとした場合,観測結果に合わせると,滑りの黄色い矢印が非常に大きくなりますし,プレートの滑り量のスケールに合わせると,観測結果の方が,非常に小さく表現しなければならなくなり,迫力がなくなってしまいます。そこで,ここでは,飽くまでイラストであるということで概略を示したものだと,その点を御理解いただいて,最終的にはこのような形にさせていただいています。あとは,基本的には,とりまとめ委員会で採用した成果の図については,大筋で御同意いただいており,細かな表現や図中の数値などについて御指摘を頂き,それについてはその都度,とりまとめ委員会,それから部会長,あとは実際にこの研究成果を出された研究連絡担当者と協議しながら,修正を加えた結果ということで御報告させていただきました。
【清水主査】  どうもありがとうございました。今,三浦委員から説明がございましたけれども,図について,一番大きな問題になったのが図2ということでございますが,意見を取り入れつつも,元のところで残すところは残すという形で,結果として今現在,皆さんのお手元にある図になっているということでございます。これも含めて,あと皆さんからそれぞれ頂いた意見が取り込まれて修正されているかどうか御確認を頂きたいと思います。
【藤井委員】  図の中身ではありませんが,図5と図8は同じものがついていて,東伊豆のシナリオが抜けています。
【清水主査】  御指摘の点については,事務局から差し替えの説明がございました。他に御意見ございますでしょうか。
【平田委員】  図の中にあるマグマだまりや,数字が印刷上,つぶれていて読めません。
【安藤地震火山専門官】  その点は印刷上の問題だけなので問題ありません。今回は若干解像度を落として印刷しています。最終的にはきれいな図を掲載できると思いますので御理解いただければと思います。
【清水主査】  今のことに関連しますが,最終的な印刷物としても,図の大きさはこの大きさなのでしょうか。レイアウトについても同じでしょうか。もしそうだとすれば,余白がすごく多い絵になっているページがあるので,御検討いただければと思います。
【安藤地震火山専門官】  ありがとうございます。お手元の机上資料のうち,外部評価委員関連資料のところに,実は平成22年度の成果の概要がとじてございます。それに倣って取りまとめをしようと考えていますが,基本的に半分程度の大きさの図については,一ページに二枚の絵を入れる格好で編集されておりますので,製本時には空白をなるべく埋める格好で編集を行いたいと考えています。ただ,資料1-2の例えば30ページのようなものについては,1ページ分として掲載したいと思いますが,差し替えた32ページのものについては,半分程度で恐らく収まると思いますので,そのような場合については詰めさせていただく予定です。
【宮澤専門委員】  図の1枚目,図1ではなくて,成果の概要を説明している最初の図ですが,本来,ここの図の中に,それぞれの,例えば場所に吹き出しが入って,ページや項目名が入ると思いますが,これは印刷の都合で入っていないのでしょうか。一応キャプションの二行目に「詳しくは吹き出しに記載された頁と図を参照」となっているので,本来ここに吹き出しが入るはずだと思いますが,これは何かの手違いでしょうか。
【三浦専門委員】  すいません。御指摘のとおり手違いがございました。吹き出しについては,修正させていただきます。
【齋藤専門委員】  先ほどの差し替えの御説明があった図8についてですが,東伊豆火山群と書いてありますが,伊豆東部火山群にした方が良いと思います。確か以前に意見を出させていただいたはずですが,これは東伊豆火山群のままにする何か理由があるのでしょうか。
【三浦専門委員】  すいません。修正したつもりでしたが,どこかの時点でまた古いバージョンに戻ってしまったようです。再度修正いたします。
【齋藤専門委員】  本当に細かいところで申し訳ありませんが,もう一点,図1の説明の二行目で,赤色と緑色の星印は,小繰り返し地震に類似したイベントと書いてありますが,上の図を見ると,本震のマークが,星印より大きいのですが,赤い星に見えますので,何か色を変えた方が良いのではないかと思います。非常に細かいところですが,赤色と緑色の星印と書いていると,本震も含んでしまうので,本震の色を変えるようにした方が良いと思います。
【清水主査】  斜めに見た絵の,本震の一番右端にあるところが,赤い星になっているということですね。
【齋藤専門委員】  はい。それと左上の平面図でも赤になっています。
【三浦専門委員】  確かに混同されると困りますので,本震の方の色を変えたいと思います。
【森田科学官】  本文の最後の節ですが,「23年度は順調に進められ,所期の成果が得られた。その一方で」といって,太平洋沖地震のことが書いてあるわけですけれども,順序はやっぱり逆の方が良いのではないでしょうか。成果についても,基本的には東北地方太平洋沖地震のことについて最初に書いてあるわけなので,最後の締めの文章も,そういう順序で,少しつなぎ方は考えるとしても,その方が良いのではないかと思います。
【清水主査】  本文の最後,23ページ最後の結びの段落の順番を,東北地方太平洋沖を先に持ってくるということですね。通常の,いわゆる当初計画のものについては,順調に成果が出たという方を後ろに持ってくるという御意見ですが,これについてはいろいろと御意見があるかもしれないと思いますが,少し考えていただいて,御意見を頂ければと思います。私はこの後ろの,今の御指摘の部分だけ読むと,元の文章の方が,据わりが良いような気もしますが,確かに,成果の概要全体の構成としては,最初に東北地方太平洋沖地震が来ているのですよね。ここは,最後の文章なので,要するに問題があるという形で終わるのか,問題はあるけれども,もともとの所定の計画については着実に研究が進められたという形で終わるか,そこの違いだと思いますが。
【森田科学官】  問題があるというよりは,この地震に関して非常に努力して,これだけ理解が進んだ。一方で,当初の計画どおり,予定されているものも進んだという書き方の方が,この文章全体として,最初の報告書の順序からしてもその方が良いのかなと思った次第です。ですから,接続詞などの修正,文章は少し変える必要があると思います。
【清水主査】  いかがでしょうか。今,森田科学官の言われたように直す方が,確かに何か前向きな印象はあるかもしれないですね。
【宮澤専門委員】  今,森田科学官が言われたことは,実は私も原稿の段階で読んでいて少し引っかかっていました。「所期の成果が得られた。その一方で」とつながると,僕は最初,この文章の理解として,計画自体は予定していた計画を三年度目として所期の成果は得られたものであると一つまとめて,それとは別に問題点を提起して,それをこの成果の概要の中にこのような形でまとめるのは,それでいいのかなと思ったのですけれども,実際にこの文章がほとんどそのままで来ていますので,実際に作業をされた方がどのように考えられてこの文章を残したかというのをお伺いしたいのですけれども。
【三浦専門委員】  これはとりまとめ委員会で作成された文章ですが,この研究計画の中では,やはり計画の立案当初から進められてきた研究について,まずは報告することが第一だろうということで,その東北地方太平洋沖地震につきましては,計画の中でもちろん考えられていなかったイベントですので,それで特出しという形で,報告書も書きました。順番は別にしましても,特出しで出てきているということですので,書いた方の考え方としては,まずは当初計画が順調に進んだということを最初に述べて,その後で太平洋沖地震について進められた研究について,それから分かったこと,そして問題点ということを付記するような形で結んだという考え方です。
【清水主査】  どうもありがとうございます。21ページの中段下ぐらいの4.まとめでは,基本的には太平洋沖地震から始まって,それについてまとめた後で,既定の研究課題についてまとめていますので,最後の段落についても,もし残すとすれば科学官が言われたような形で,少し文章を修正するとしても順番を入れ替えてうまく接続するようにということでいかがでしょうか。三浦委員,今の御説明であれば入れ替えること自体は特に問題ないでしょうか。
【三浦専門委員】  はい,それはそのとおりです。
【清水主査】  では,接続詞については,科学官考えていただけますか。
【森田科学官】  主査と相談して決めさせていただきます。
【清水主査】  はい,分かりました。ありがとうございます。その他,本文の方でも結構でございますので,お気付きの点があったらお願いしたいと思います。
【畑中専門委員】  非常に細かいことで恐縮ですが,資料1-2の最後の用語集で,後ろから二ページ目のところにGEONETが載っています。例のGEONETの名称の問題,GPSかGNSSかという問題がありまして,他のところは全くGPSでは差し支えないと思いますが,最初の一文,「国土地理院が全国に展開しているGPS連続観測網」のところは,GEONETに特化した書き方であることが明瞭なので,できればGNSSにしていただきたいと思います。ただし,そうしますとGNSSという新しい用語が出てきてしまい,少々厄介なので,一案としては,括弧書きで「(GPSを含む衛星測位システムの総称)」と入れるというやり方があるかと思います。
【清水主査】  はい。そうですね。どうしましょうか。今は基本的にはGNSSと言っているので,そういうふうにここでも書いた方が良いと思いますが,他のところとの整合があるので,今の御指摘のような形で,括弧付きで説明するという形の御提案ですね。
【畑中専門委員】  はい。GEONETの最初の一文だけで結構です。後半にもGPSは出てきますが,ここは間違いにはならないので結構です。
【清水主査】  GPS連続観測網と書いてあるところを……。
【畑中専門委員】  はい,そうです。
【清水主査】  含むという形にするのですね。それとも,そこでGNSSと書いてから括弧して。
【畑中専門委員】  私の案を言いますと,最初の一文だけですが,「国土地理院が全国に展開しているGNSS連続観測網(GNSSはGPSを含む,衛星測位システムの総称)」です。
【清水主査】  今,畑中委員からの御指摘は,国土地理院が全国に展開している,GPS連続観測網をGNSS連続観測網というふうに表記を変えるという御提案。括弧をつけてGNSSはGPSを含む衛星測位システムの総称という,そういう説明を加えるということです。その下の項目のGPSはこのまま残すことでよろしいわけですね。
【畑中専門委員】  はい。これは結構です。
【清水主査】  いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。
【三浦専門委員】  一点よろしいですか。
【清水主査】  はい,三浦委員。
【三浦専門委員】  二行目についてですが,これは実際にはGPSだけじゃなくて,他の衛星のデータも送られているのではないかと思います。もしそうだとすると,ここもGNSSの方が逆にいいような感じもしますが,いかがでしょうか。
【畑中専門委員】  それでも,結構です。実際に,グロナスのデータも最近は送っていますので,それは事実なのですが,書かれている,GPS観測データが送られているという事実自体は間違いではないので,どちらでもいいのかという気はします。
【平田委員】  二つ目はいいのではないでしょうか。最初の方がすごく困るので修正した方がよいと思います。この成果が出た時にはまだGPSって言っていたわけですし。
【清水主査】  では,二行目はこのままでよろしいですか。
 実は用語解説についても皆さんにお示しした案からは幾つか変わっているところがありますので,もう一度確認いただいて,御自身に一番関係するところの用語についてはもう一回見ていただいて問題ないか確認をお願いしたいと思います。
【齋藤専門委員】  30ページの図6ですが,下の図で陸側のプレート,ユーラシアプレートとなっていますが,よろしいでしょうか。気がつかなかったのですがユーラシアプレートではないような気がします。それから,あとは細かくなりますが,下の図で重なって黄色に見える,黄色の右図の凡例では,本震時の巨大滑り域となっていて,下の説明のところは地震時破壊域となっていますので,この報告書は一般の方も読まれるということを考えれば,ここも同じ表現にした方が良いのではないかと思います。もう一つ,非常に細かい話,一番下の行で正断層(M7.5)の地震ではなく,正断層の地震(M7.5)と順番は入れ替えた方が良いと思います。
【清水主査】  はい,ありがとうございました。30ページの図6について何点か御指摘がありました。まずはプレートですが,これは北米プレートの間違いですね。それから,次は,本震時の滑り域が黄色で,説明のところが黄色になっていますが,色についてもあまり黄色に見えませんが,これを御指摘になったのは色ではなくて言葉です。キャプションでは地震時破壊域と書いてあるので,これもどちらかに統一ということですね。もし,統一するとしたら,どちらがよろしいですか。本震時の巨大滑り域でよろしいでしょうか。
【齋藤専門委員】  その方が,分かりやすいと思います。
【清水主査】  でも,これ図6のキャプションのタイトルは地震時破壊領域というように破壊という言葉を使っています。そういう意味でいうと図の右上の黄色と赤と青,それぞれ説明したところも黄色は巨大滑り域だけれども,水色については過去の大地震の破壊域というふうに,破壊域と滑り域というのは結構混ざっています。我々研究者には分かりますがどうしましょうか。
【三浦専門委員】  図の説明としては,6ページの下から7行目のところに本本震時に大きく滑った領域という意味です。
【清水主査】  なるほど,6ページの,本震時に大きく滑った領域ではという表現ですね。
【平田委員】  では,全部変えてはいかがでしょうか。
【清水主査】  「破壊」という表現をやめて,「滑り」にしますか。
【平田委員】  タイトルも全部。
【清水主査】  これ,ざっと見た感じでは本文の中では「破壊開始点」は出てくるけれども「破壊域」というのは書いていませんね。
【吉本学術調査官】  図の黄色囲みを見る限りは,これは巨大滑り域であって,飽くまで破壊域ではないので,そういう意味では巨大滑り域を残した方が自然ではないかと思います。
【清水主査】  分かりました。そうすると,図6のページの一番上にも青い大きな字で「地震時破壊領域と余効すべり域」と書いてありますが,これも「滑り」に修正しますか。この一番上の破壊領域というのは必ずしも本震時の巨大滑り域だけじゃないとは思いますが,もっと大きく含んでいると。どうでしょうか。ただし,本文の方では「滑り」と書かれているので,できれば図6については,タイトルも含めて「滑り」という表現に直した方が良いのではないかという,平田委員からの御意見ですが,三浦委員いかがでしょうか。
【三浦専門委員】  先ほど吉本学術調査官から御意見がありましたように,本震時の破壊域というのはもっと広いので,これはやはり「巨大滑り域」というのを残す形で,図のタイトルにつきましても合わせたいと思います。つまり本震時の巨大滑り域と余効滑り域。あと,滑りが平仮名になっていますけれども,漢字混じりの「滑り」に修正します。あとは,キャプションの方も地震時破壊領域とか破壊域についても全て本震時の巨大滑り域というふうに変更したいと思います。あと,本文の方もそれに対応して直したいと思います。
【清水主査】  ありがとうございます。そうしましたら,一応「巨大滑り域」という表現に統一するということでお願いしたいと思います。あと,もう一つが細かいことですけれども,図6の最後の正断層のところについては齋藤委員の御指摘のとおりでよろしいでしょうか。正断層の地震(M7.5)というふうに修正をお願いしたいと思います。
【小平専門委員】  これを見て一点気になったのですが,本文やその前の方の図で今回の滑りの大きいところの特徴については,本震破壊開始点付近から海溝にかけての領域で大きな滑りがあったというのが5ページの本文や,それから図4のポイントとして書かれていますが,この黄色い領域とあえてこの日本海溝って,日本海溝軸だと思いますけれども,こう図示してあって,その間が非常に空いているように感覚的に見えますけれども,これは整合性がないということはありませんでしょうか。
【三浦専門委員】  少し正確性に欠けていたと思われますので,修正したいと思います。海溝軸を滑り域に沿わせる形で変更したいと思います。
【清水主査】  はい。よろしくお願いいたします。
【寺田地震・防災研究課長】  25ページの図の1のところで下の方,「本震時に大きく滑った領域」についても,先ほどお話のあった「巨大滑り域」という形で統一するのかしないのかはいかがでしょうか。
【清水主査】  ここは,「巨大滑り域」と「大きく滑った領域」で厳密に使い分けているわけではありませんよね。
【平田委員】  図1は(~20m以上)と書いて,それで大きく滑ったという形容詞にしているので,本文にどう表現されているかですが,あえてこれを「巨大滑り域」としなくても,いいのではないでしょうか。
【清水主査】  本文は基本的に「大きく滑った」という表現を,例えば5ページの中ほどあたりに何回か使っています。「大きく滑った領域」という言い方です。その一方で例えば,5ページの下から19行目,ちょうど真ん中あたりでは,「宮城県沖の海溝近くの浅部では巨大な滑り」という表現も使っています。だから,どちらも使っているということです。ほかにも,本文5ページの下から九行目のところでは図1の絵のとおり,「プレート境界浅部で20メートル以上もの大きな滑りが生じた理由として」と書かれていますので,この部分はこのままでよろしいのではないでしょうか。
【齋藤専門委員】  「すべり」や「滑り」が統一されていないので,全体的にもう一度チェックをお願いします。
【清水主査】  「滑り」については,漢字を使うということで統一していますので,もう一度チェックをしたいと思います。
【市原専門委員】  用語解説について気になるところが幾つかあって,他の委員の方々の意見も聞きたいと思います。まず,空振に関する説明ですが,これは噴火に伴う振動に限らないので,例えば,波動として空中を伝播する圧力変動と書いて,その次の文章は削って,桜島や浅間山などで発生するブルカノ式噴火は強い空振を発生することが特徴で,場合によっては火口から10キロ以上も離れた家屋の窓ガラスが破壊されることがある。こういった形の方が正確かと思います。それから,その次のページの玄武岩質マグマに関する説明については,火山岩の説明になっていて,玄武岩質マグマの説明にはなっていないと思います。藤井委員いかがでしょうか。
【藤井委員】  確かにこれおかしいですね。
【市原専門委員】  後ほど御提案頂く形でいいでしょうか。
【藤井委員】  はい。
【市原専門委員】  その次,43ページの素過程のところですが,地震の視点で書かれているので,「岩石の物性や」というふうに限定されていますけれども,流体の物性などそういうのも研究計画の中では非常に重要視されていて,今の素過程はむしろそちらに集中しているところもありますので,基本となる要素物質というか,ただの物質でいいかもしれません。物質の物性や物理現象のプロセスを指すという形ではどうでしょうか。
【清水主査】  御指摘ありがとうございました。
【市原専門委員】  あ,まだあります。
【清水主査】  まだあるのですね。少し今までのところで確認させていただくと,空振はおっしゃるとおりだと思いますので,そのように書き直すということで良いのではないかと思います。玄武岩質マグマについては,今,藤井委員に考えていただいていますが,素過程については,「岩石」を「物質」と変えろという御指摘ですが,どうしましょうか。まったくそのとおりですが,例えば,この文章はあまり詳しくない人が読むわけですよね。そのときに,「物質の物性」では分からないのではないでしょうか。そもそも物性とは大体物質の性質のことを指すと思いますが,やはりもう少し具体的に書かないと,読む人はイメージがつかめないということはないでしょうか。
【市原専門委員】  では,「岩石や流体の」……。
【清水主査】  その方が,まだ読む人のイメージがわきやすいのかなという気はしますが...。
【平田委員】  「岩石や流体の性質」ぐらいの方が良いのではないでしょうか。
【清水主査】  そうですね。「性質」の方が良いですね。これは,我々が判断するよりも,少し離れた方に読んでいただいた方が良いのですよね。我々は「物性」という表現でよく分かるのですが,「岩石や流体の性質」の方が分かりやすいですね。
【平田委員】  岩石は,岩石とか流体と。岩石と流体,どちらも……。
【清水主査】  固体? 固体や流体?
【藤井委員】  流体じゃなくて,何だろうね。
【平田委員】  流体だって分からない人には分からないと思います。
【畑中専門委員】  その二行下のところにも「岩石の性質」とありますが,そこも同じではないでしょうか。
【平田委員】  全く同じですね。
【清水主査】  どうしましょうか。「岩石や流体」でよろしいでしょうか。
【平田委員】  そのときの流体って,具体的には何のこと指しているのでしょうか。
【市原専門委員】  例えば地震分野であれば,間隙流体ではないでしょうか。
【平田委員】  水とかガスとか,溶けたマグマとか,そういうことですね。
【市原専門委員】  そうですね。
【平田委員】  恐らく,そのぐらい開いて書かないと,流体といっても,やっぱり一般人には分からないと思います。
【市原専門委員】  本文の中では,結構,「流体の影響」という表現が出てきますが,それはどのような感じで修正すればよろしいでしょうか。
【寺田地震・防災研究課長】  同じ素過程のところですけれども,一行目のところの「プロセスを指す」までは素過程を説明しているような感じがするのですが,それから後,「具体的には」の文章が,素過程を説明しているのではなくて,素過程の解析によって何が得られるかが書いてあるのではないかという気がしますが。
【清水主査】  そのとおりですね。今の課長の御指摘はそのとおりだと思いますが,それでも,素過程がどういう役に立つかということが分かりにくいから,ここで説明をしていると解釈しましたが……。
【吉本学術調査官】  課長から御指摘があったようなおまけの文章については,他の項目でも付いておりますので,それも含めて要,不要を御検討いただければと思います。
【寺田地震・防災研究課長】  ここの文章では,まず「具体的に」を削って,「シミュレーションをとおして,・・・について理解を深めるために重要な過程である」とかという形で結ぶと,それほど違和感ないと思います。
【平田委員】  「具体的には」という接続詞はやめるということですね。
【清水主査】  そうですね。では,「具体的」をやめて,課長が言われたように修正したいと思います。
【平田委員】  初めの部分は,「岩石や流体」で特に問題ないと思います。
【市原専門委員】  むしろ「地殻流体」と書けば,その隣に地殻流体が用語集に入っていて,そこで「水やマグマ等」とあります。
【清水主査】  では,「地殻流体」。最初は「岩石や地殻流体の性質」というふうにします。「具体的に」以下のところですが,まず「具体的に」を削除します。それから……。
【寺田地震・防災研究課長】  先ほど私が言ったのは,最後の方を「深める上で重要な過程である」とかという形で結ぶのはどうですかという御提案をしたのですが,それはその幾つか下の「脱ガス」のところで,「重要な要素である」という形で,これが何の役に立つのかというところを解説している部分があるので,簡単に変えようとするとそんな感じかなというところで御提案しました。
【清水主査】  ありがとうございました。それで意味が通じますでしょうか。例えば,今,「具体的には」をとって,そのままですよね。「室内実験や野外観測,あるいはシミュレーションを通して,摩擦・破壊現象や噴火現象について,岩石や地殻流体の性質や基本となる物理現象を基に地震現象や火山現象の理解を深めるために重要なプロセスである」。やや長文ですね,もう少し削りたいのですが,最後の行の,「岩石の性質や基本となる」は要らないと思いますがいかがでしょうか。
【平田委員】  主査に一任します。
【清水主査】  分かりました。私と関係する方で考えさせていただいて,また皆さんにもう一回提示をさせていただきたいと思います。
【市原専門委員】  次,脱ガスですけれども,これもよく議論の中で混同されて誤解を生むのですが,その後で使われている脱ガス,用語集の中で使われている脱ガスもそうですけれども,今の火山学では一般的にマグマから気泡が分離することであって,溶けているマグマが溶け出すことでは,使われていません。つまり,マグマ中に溶解していなくてもよくて,気泡として存在しているガスが系から逃げていくことを脱ガスと言っています。例えば,46ページのマグマのところで,「火道での気泡の離脱(脱ガス)」というふうに書かれていまして,「気泡の離脱」としてしまってもいいかもしれません。
【清水主査】  よろしいでしょうか。今の御指摘は,マグマに溶けていたものでなくてもいいということですね。
【市原専門委員】  はい。
【清水主査】  要するに気泡が離脱するということですね。藤井委員,どうでしょうか。
【藤井委員】  今の議論の意味がよく分かりませんが。溶けていなかった揮発性成分というのはどういうものですか。
【市原専門委員】  気泡になってマグマに含まれていったもので,マグマに溶けていた水が気泡になってマグマから出てくることは,いわば爆発性を促進するもので,気泡として含まれていたものがマグマから系外に出ていくことは爆発性を抑制するもので,逆の効果があるのです。それを正確に……。
【藤井委員】  マグマから出てこない,分離しない,レスキレーションをしない揮発性成分というのはどういうものですか。
【市原専門委員】  マグマの中に溶けている水や揮発性成分がマグマの中にマグマの一成分としての気相になることは脱ガスとは言わない。
【藤井委員】  マグマの成分になることは脱ガスとは言わない。だけど溶解するのだから,一成分になる。
【市原専門委員】  でも,気泡もマグマに含まれますよね。結晶も気泡に…。
【藤井委員】  ああ,そういう意味ですか。確かに。
【市原専門委員】  でも,ここも私と後で相談に乗っていただいて。
【清水主査】  そうですね。
【藤井委員】  それは確かに難しいですね。
【市原専門委員】  もう少し全体的に大事なところは,噴火シナリオのところのまとめを書かせていただきましたが,その時の噴火事象系統樹,大学側が考えている噴火事象系統樹と,気象庁さんが実用的に使っている噴火シナリオという言葉が非常に紛らわしくて,そこをきちんとどういうふうに言い分けるかという点で,噴火事象系統樹と噴火シナリオというのが出てきましたけれども,ここの用語集のところでは,それがきちんと読んでも何が違うのかいま一つよく分からなく,ここできちんと説明する必要はないでしょうか。
【清水主査】  用語集の46ページに噴火事象系統樹と噴火シナリオ,両方書いてありますが,この違いがよく分からないということですね。予知計画では噴火事象系統樹のことを噴火シナリオというふうに呼んでいます。呼んでいますが,気象庁が使っている噴火シナリオとは違います。だから,今後どうするかはともかくとして,この計画の中ではこれは基本的にイコールだと思って我々は使っているので,多分この文章を読んでも違いが分からないのはそのとおりだろうと思うのですが,森田科学官,何かアイデアありますか。
【森田科学官】  いや,清水主査が言われたとおり,最初にこの計画を策定したときには,あまりこの区別がみなさんの中にありませんでした。気象庁がそれぞれの個別の火山について,気象庁のいう噴火シナリオをどんどん作っていかれて,それがこの計画の中の噴火事象系統樹と少し離れてきたというのが実態ではないかと思います。ですから,次の計画の時に少し言葉を変えるという方法もありますが,外部評価のレビュー報告書でも随分苦労してここを書き分けたという経緯もありますので,今ここを修正するかどうかというのは非常に悩ましいところだと思います。
【清水主査】  でも,例えば46ページの用語説明の噴火シナリオの中に噴火事象系統樹のことを書いてはいけないでしょうか。
【森田科学官】  いや,噴火シナリオの方が多分,概念として噴火事象系統樹も含むのではないでしょうか。というか,噴火シナリオの中でも非常に細かく記載したものを噴火事象系統樹と言うのではないでしょうか。ですから,ここにあるように,噴火シナリオとして「規模や現象パターンなどの分岐判断について示した系統樹を指すこともある」というのは,私は今のところはこれが一番いい表現ではないかと思います。
【清水主査】  どうもありがとうございました。市原委員,どうですか。なかなかこれ以上に書こうと思うと難しいですね。現時点で妙案はないのですが。
【藤井委員】  でも,市原委員が整理されたのではないのですか。
【市原専門委員】  はい。レビューの時には私が整理しました。
【藤井委員】  レビューの時に整理したのであれば,それに基づいて書けばいいのではないでしょうか。
【市原専門委員】  レビューの噴火シナリオのところは半分近くが気象庁の成果で,そこで噴火シナリオを作成した成果というのが強調されていましたので,そこではシナリオを使って,大学側の研究の方は事象系統樹にしようという合意だったと思います。
【清水主査】  今すぐ妙案は浮かばないので,もう少し考えてから相談したいと思います。
【市原専門委員】  あと三点ですが,同じ46ページのマグマで,「岩石物質の高温溶融体で地表付近にあるもの」は「地下にあるもの」でいいですよね。
【清水主査】  そうですね。
【市原専門委員】  先ほど言いましたように,最後の文章での「火道での気泡の離脱(脱ガス)」と書かれている脱ガスが先の用語解説と違うというのが問題になったところです。
【藤井委員】  そういう意味ですか。
【清水主査】  では「気泡の離脱」にするということですね。
【市原専門委員】  はい。それについては,後で案を出します。その次のページ,48ページの連続微動,「火山活動によって発生する非地震性の振動を火山性微動という」とありますけれども,これは非地震性ではないと思うのですが。
【清水主査】  これ,地震以外,地震というふうに呼ばないものをみんな微動と言っているのですが,確かに地震性なのですよね。
【市原専門委員】  はい。
【清水主査】  非地震性ではなくて,地震性ですね,確かに。
【平田委員】  では「地震以外の」でいかがでしょうか。
【藤井委員】  「地震以外の」と言ってしまえばいいと思います。
【清水主査】  地震以外のものをみんな微動と呼んでいる,地震以外の地震性の振動をみんな微地動と呼んでいるのです。
【藤井委員】  地震以外の地震性というのはおかしいから「地震以外の」だけでいいのではないでしょうか。
【平田委員】  「振動」でいいのではないですか。
【清水主査】  では「地震以外の振動」。でも,分かるでしょうか。
【齋藤専門委員】  空振も含まれるので……。地動が一番いいのではないでしょうか。地動という言葉はあまり使わないでしょうか。
【清水主査】  確かに空振は当てはまりませんね。
【市原専門委員】  空振も今はだんだん言われるようになっていますけれども,この計画の段階では使われていません。
【清水主査】  空振は火山性微動と言いますか。
【市原専門委員】  いや,火山性微動とは言わないですけれども,インフラソニックトレマーという形で表現されます。
【藤井委員】  確かにトレマーと言いますね。
【清水主査】  ではこのままにしておきますか。このままというか,「火山活動によって発生する地震以外の振動を火山性微動という」と。
【市原専門委員】  あと,SARのところ,最後ですけれども,一文,二文はよくて,「SAR(Interferometric SAR)」と書くとやっぱりよくなくて,「SAR干渉解析(Interferometric SAR)」,後ろに持ってきた方が正確だと思います。
【清水主査】  はい。これは畑中委員,それでよろしいですか。このままでは,確かにSARのことをInSARみたいに読めてしまいますね。
【畑中専門委員】  そうですね。「干渉解析」の後に括弧を持ってきた方が良いですね。
【清水主査】  はい。ではここは入れ替えます。市原委員,以上ですか。
【市原専門委員】  あと,もう一つ忘れていました。39ページ用語解説の二ページ目の「貫入(マグマの貫入)」。マグマの貫入は周辺岩体を破砕するというのは,必ずしも貫入の必須条項ではなくて,組成的な貫入もありますので,「破砕して」は外していただいて,「周辺岩体内部に経路を作り移動すること」。としてはいかがでしょうか。「移動」は必要なのですかね。「経路を作り,入り込む」。
【森田科学官】  岩体の内部に移動するのだから,それは「入り込む」という理解です。
【藤井委員】  「周辺岩体内部に入り込む」でいいのではないですか。
【清水主査】  では,「マグマが周辺岩体内部に入り込むこと」とします。確かにこれ,用語解説は厳密に考えると結構難しい。多分他のところも同じような問題があるだろうとは思うのですが,厳密性と,要するにそもそも分からない方が読むわけなので,専門家じゃない方が分かりやすいというのと,その辺の兼ね合いだと思います。
【藤井委員】  先ほどの「玄武岩質マグマ」の部分ですが,「主成分である二酸化ケイ素(SiO2)の質量が全化学成分の45~52%のマグマ。」,それから,「冷え固まると玄武岩質の火山岩となる。」でいかがでしょうか。
【清水主査】  はい。よろしいですかね。
【宮澤専門委員】  本文の14ページの真ん中ぐらいにモーメントマグニチュードという単語が出てきますが,他にはマグニチュードという使い方をしていて,ここだけモーメントマグニチュードという表現を使っています。実際に用字用語辞典の方では,41ページに地震モーメントという言葉が出ているので大丈夫かなと思いましたが,やはりモーメントマグニチュードを理解するほどの説明にはなっていないので修正が必要かと思います。いろいろ見てみますと,本文の4ページの2-1「地震発生前の先行過程」の第3段落の1行目に,東北地方太平洋沖地震に関する研究成果の中で,例えばモーメントマグニチュード7.0の説明をするために,例えば「マグニチュード7.0に相当する地震モーメントが解放されたことが分かった」と,こういう表現を使えばモーメントマグニチュードというテクニカルタームを,例えば14ページで使わなくて済むのではないかと思いました。これが一点目です。
 もう一点は,8ページの3の3-1,(1)の本文中2行目に,稠密(ちゅうみつ)という用語が出てきます。これ,昨年度も御指摘申し上げましたけれども,平成23年の「公文書の書き表し方の基準」では「法令に関する諸通知」において,「稠密」という漢字使用について今後「用いない。」というふうに書かれています。実際にこの報告書がそういった法令に出てくるようなものではないからいいのかもしれませんけれども,昨年度はそのような話が出た時に,稠密という言葉を利用するのはやめて,確か,「高密度」という表現を使ったかと思いますけれども,用語を変更した記憶があります。ですので,今年度も稠密というのをこのまま使い続けずに,例えば高密度等に置き替えてはいかがでしょうか。
【清水主査】  どうもありがとうございました。今,二つご指摘があったのですが,後の方からいきますと,「稠密」については「高密度」と置き替えたいと思います
【平田委員】  賛成。
【清水主査】  はい。では高密度に変更いたします。これは,この部分だけで使われているのか分かりませんが,もし他にもあるようであれば,全て「稠密」については「高密度」と変更したいと思います。それから,最初の方の御指摘ですが,地震モーメントとモーメントマグニチュードで,モーメントマグニチュードは14ページの中ほどに出てくるわけですが,実は私も読んでいて気になりましたが,地震モーメントという概念を書かれているのでいいかと思っていました。ただ,御指摘あったように,少し分かりにくい。同じように,4ページの中ほどに,M7.0に相当する地震モーメントが解放されたという表現がありますが,このように少し説明的に書いてあれば分かるということですね。例えばこのモーメントマグニチュードについては用語解説には無かったのでしたっけ。
【平田委員】  いや,あったと思います。
【清水主査】  そうしたら,地震モーメントから決められるマグニチュードというのもよく分からない表現ですね。例えば,4ページと同じように「M8.57に相当する地震モーメントが解放された」と書きましょうか。
【安藤地震火山専門官】  実は,レビューの時にはモーメントマグニチュードというのは用語集に載せました。レビュー報告書の89ページにありますが,今,議論いただいている「成果の概要」は,最初に申し上げましたとおり,平易に分かりやすくというのが方針であるので,用語集に書いてあるからいいという発想ではなくて,むしろ,平易に書いていただいた方が良いと思います。
【平田委員】  そうすると,モーメントも書かない方が良いです。要は,最大滑り2.9メートルで,地震規模に換算すると8.57に達する滑りが生じたとか,マグニチュードに換算すると8.57に達する滑りが進行したとか,そのような感じで書いてはいかがでしょうか。最大が2.9ということと,全体としてどうであるかということが分かればよろしいのではないでしょうか。
【清水主査】  ありがとうございました。確かに読んでいる人はその方が分かりやすいかもしれません。例えば,「マグニチュードに換算すると8.57に達する大きな滑りが発生した」というような表現にしてはいかがでしょうか。基本的には,用語解説はあまりない方が,ほんとはいいわけですよね。だから,用語解説にしないように,なるべく本文の中で分かりやすいように展開して書いているのですが,あまり展開するとかえって文章が分かりにくくなるので用語解説をやっているわけです。なるべく最小限ということで,特に概要のところは,その辺,気を付けたいとは思いますが,なかなか難しいとは思います。
【安藤地震火山専門官】  今の点もそうですが,例えば震度とマグニチュードの違いの説明などで,比較的何度も繰り返し説明していますので,一般の方も,少しこの分野に興味ある方は知っていると思いますが,「モーメント」という言葉が出てくると非常に難しいので,モーメントという部分が,今,平田先生も言われましたけど,14ページのところ,宮澤先生が言われた数行下にもモーメントと出てきます。それから引き合いに出された4ページのところにも,「地震モーメントが解放された」と,確かにこの方が平易ではありますが,それですら,すこし難しいのかもしれません。もし地震モーメントという用語を使わずにマグニチュードという言葉でうまく説明いただけるのであれば,用語集からも「地震モーメント」の説明が不要になりますので,その方が断然いいと思います。
【平田委員】  私の理解では,モーメントはリニアなのです。それに対してマグニチュードは対数なのです。だから,倍とか何倍とかというときも,モーメントだと,桁で変わるような非常に大きな違いがあるけど,マグニチュードにすると1とか2とかしか違わないので,例えば14行目の滑りの量は2.9――その下についても,何もモーメントを比べる必要はなくて,大きさが同じということしか言っていないので,別にモーメントという用語を使う必要は無いと思います。地震の大きさとか,地震の規模とかの表現でいいと思います。
【清水主査】  14ページの下の段落ですね。「余効滑りによるモーメントを比べる」というのは,別にモーメントは要らなくて,規模を比べる,大きさを比べると表現した方が良いということですね。
【平田委員】  「地震時の滑り及び地震後の余効滑りを比べる」と書けば,意味は通じると思います。
【畑中専門委員】  「滑りを比べる」だけだと,滑りの変位量のことと勘違いされる可能性があるので,下の方で,「両者がほぼ同程度の規模であるのに対し」とした方が良いかと思います。
【平田委員】  御指摘の点は分かります。厳密にはそうですけど,瞬間値と,面積を入れた規模ですよね。だから,それでモーメントを使ったのは理解していますけど,これ,普通の人が読んだときには,概念に面積も入っている。だから,それを開いて書いた方が良いと思います。少し考えます。
【清水主査】  モーメントは,ここだけではなくて何か所か出てきます。だから,これはモーメントを全部言い換えようとすると結構大変かもしれません。今のところは,平田委員,考えていただきますが・・・。モーメントを,エネルギーと言っては間違いでようか。
【平田委員】  これは,滑りの大きさと面積が両方関係しているから,わざわざモーメントと書かれたわけですよね。
【清水主査】  そうですね。
【平田委員】  だから,解放されたエネルギーと言えば,多分,同じことになると思います。エネルギーだって分からないけど,エネルギーという言葉は一般的に使われているから,読んだ人は何となく分かった気になるけど,モーメントと言われると,多分分からないのだと思います。しかも,ここで言っているのは地震モーメントですよね。普通の力学で使われているモーメントとはまた違うので,結局,ここの文章は業界の人にしか分からない言葉ですよね。だから,解放されたエネルギーの方が良いと思います。
【清水主査】  実際はモーメントで計算や比較をしているわけですが,読む方のイメージとしては,エネルギーと言えば何となくそういうものかと分かるけど,モーメントと言われると,面積に滑り量に剛性率も掛けなければいけないわけですよね。
【平田委員】  少し下の方には,「ひずみエネルギーが解放されている」という記述もあるから,「解放されたエネルギー」でよろしいのではないでしょうか。
【畑中専門委員】  エネルギーで差し支えないと思います。
【清水主査】  そうしましたら,多分他のところにもあると思いますので,もしそういうふうな,平易な言葉に置き替えられるのであれば置き替えるという方針で修正したいと思います。その結果,用語解説も要らなくなりますね。
【平田委員】  そうですね。
【清水主査】  それでは,この部分は,もう一回通して見て,修正できるところは修正したいと思います。ほかに御意見,ございますでしょうか。もし,今すぐなければ,幾つか宿題も出ましたので,早急に,宿題については対応して,皆さんにお諮りしたいと思いますので,もしお気付きの点があれば,なるべく早くメール等でお知らせいただければ,その部分も併せて考えることにしたいと思います。なお,御指摘いただく場合は,あわせて修正案についても提案をお願いします。それでは,今後の作業スケジュールについて,事務局から簡単に説明いただけますか。
【安藤地震火山専門官】  今後のスケジュールですけれども,本日,幾つか御指摘いただきましたので,その部分については,主査と取りまとめ委員を中心に修正作業を行います。その後,委員の皆様に再度照会させていただきます。その後,日本語としてのチェックをこちらの方でさせていただいて,最終版としたいと思います。確定次第,製本という段取りになりますが, 10月中は学会シーズンでもありますので,照会,修正,確認という作業を何回かやる必要があると思いますので,来月中に何とか完成したいと思っております。

[議事2「地震及び火山観測研究における年次基礎データ調査について]

【清水主査】  二番目の議題は,地震及び火山観測研究における年次基礎データ調査についてです。これも最初に事務局から説明お願いします。
【安藤地震火山専門官】  簡単に説明させていただきます。まず,参考資料2を御覧ください。これは平成22年度に実施した際の事務連絡になります。一枚目を御覧いただければ分かると思いますが,三段落目,「そこで」以降ですけど,平成22年4月の地震火山部会,それから,同年9月の観測研究計画推進委員会で,「この調査については毎年実施する」ということを決定しております。実際に取りまとめられた資料については机上資料として配付させていただいたドッジファイルのうち,外部評価委員会関連資料と書いてあるファイルにございます。一番後ろにとじてある14ページ程度の資料ですけれども,平成22年度年次基礎データというものです。一枚めくっていただきますと,目次がございます。まず,予算関係の集計結果が掲載されていて,9ページから研究者数の集計結果が掲載されています。集計については大学法人,独立行政法人,政府機関ごとに集計をさせていただいています。先ほど,毎年実施するとお伝えしましたが,昨年度は,レビューの取りまとめ作業があったため,基礎データ調査については実施していません。そこで,本年については平成23年度と平成24年度について集計をしたいと考えています。
 そのため,今年度の作業方針について,前回を参考にして,主査と相談しまして,資料2のように案を作成しております。調査方法については,平成19年度と22年度に実施した方法を踏襲するということを書かせていただいていますが,本日は,これについて御検討いただければと思います。
【清水主査】  どうもありがとうございました。事務局から御説明いただきましたが,今回は,23年度と24年度の二年分を調査するということです。23年度と24年度の二年分を調査するというのはどこかに書いてあるのでしょうか。今,口頭では御説明いただきましたが,例えば参考資料2の依頼文書に,23年度と24年度分というのが書いてないようですが・・・。
【安藤地震火山専門官】  参考資料2は平成22年度に実施した依頼文書です。今年度の案は資料2になります。ただいまの御指摘についてですが,資料2の最後に,「23年度分から」と書かせていただいています。申し訳ございません。それから,資料2の裏に,本調査の依頼送付先ということで,大学法人16機関,それから関係機関7機関で合計23機関について,これも前回,平成22年度のときの実施に倣って記載させていただいています。また,実際の調査方法についても前回実施した形式を踏襲したいと考えていますが,宛先等,もし間違っている点がございましたら,事務局まで御連絡いただければと思います。
【平田委員】  東大理学系の施設長は違うと思います。
【清水主査】  野津先生はもう定年になられていると思いますが,ホームページなどを調べると,まだ所長名は野津先生になっています。
【藤井委員】  長尾敬介先生ではないですか。
【清水主査】  ホームページでは,まだ野津先生となっていました。
【森田科学官】  現在は鍵先生ですね。
【平田委員】  少なくとも野津先生は定年で退官されているので,修正が必要だと思います。
【清水主査】  他に,皆さんに関係するところについて間違いないでしょうか。御確認願います。
【畑中専門委員】  国土地理院ですけども,資料2では今給黎が送付先になっているのですが,最近,異動がありましたので,確認してまた御連絡します。
【清水主査】  分かりました。確認を頂いて事務局まで御連絡をお願いします。全てについて確認できた段階で,文科省から事務連絡が送られるということになると思います。そのほか,よろしいでしょうか。それでは,依頼が届きましたら,各機関におかれましては,作業をよろしくお願いしたいと思います。

[議事3 その他]

【安藤地震火山専門官】  見直し計画の進捗状況について,簡単に触れさせていただきます。次期計画の作業と見直し計画の作業が平行して行われており複雑になっています。現在,見直し計画の方は8月1日の総会の段階では,審議経過報告ということで藤井分科会長から御報告をさせていただいております。その際,国際評価を受けるべしという指摘がありましたので,現在,8月1日に提出した見直し計画案について,全文を英訳して,海外の主要な研究者宛てに評価を依頼しているところです。10月上旬にはその回答を回収し,それを原案の見直し計画に反映し,今のところ10月末を考えていますが,分科会を開催して取りまとめる予定になっております。さらに,その後年内には総会が開かれますので,そこで報告をするというスケジュールで,作業をしているところです。
【清水主査】  ただ今の,見直し計画の進捗状況についての御説明についてですが,ご質問あれば。
【齋藤専門委員】  今,年内の総会で報告予定という話でしたが,報告だけで建議の予定はないのでしょうか。
【安藤地震火山専門官】  はい,それは分かりません。ですから,測地学分科会としては,総会で報告ということになります。つまり,飽くまで報告であって,その総会で認められれば建議ということになりますので,そこについては総会での判断になりますので,分かりません。
【清水主査】  齋藤委員,よろしいでしょうか。
【齋藤専門委員】  分かりました。その時点で建議していただくことを考えて調整するということで理解しました。
【清水主査】  ほかになければ,本日の議題は以上になりますが,事務局の方から何かありましたら,お願いします。
【安藤地震火山専門官】  ありがとうございます。先ほども触れましたが,「成果の概要」については,本日頂いた御意見について,取りまとめ委員と主査と事務局の方で修正をして,できるだけ早く委員の皆様に再度照会をかけたいと思いますので,御協力のほどよろしくお願いします。
【清水主査】  そういうことですので,引き続き御協力をよろしくお願いします。それでは,本日は以上で終了します。どうもありがとうございました。

以上。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)