地震火山部会 観測研究計画推進委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成24年3月9日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 3階3F1特別会議室

3.出席者

委員

(委員)平田、藤井
(臨時委員)清水、松澤、森田
(専門委員)市原、齋藤、鷺谷、飛田、西澤、三浦、宮澤

文部科学省

(事務局)飯高学術調査官、山岡科学官、安藤地震火山専門官

オブザーバー

桑原

4.議事録

[議事1「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の実施状況のレビューについて]

 (資料1-1、1-2、2、参考資料1、2を用いて事務局より説明。)

【清水主査】  本日は、資料1-1を中心にご意見を伺いたいと思います。事前に目を通していただいているとは思いますが、資料2以外にも、本日口頭で構いませんので、お気づきの点がありましたら、御発言をお願いします。 なお、本日は、時間も限られていますので、6章の総括的評価を中心に検討を行います。前回の委員会のときには項目立てのみお示ししておりました。それから、1章と2章についても、同様に、本委員会では未検討でしたので、そこについても少し時間をとりますのでよろしくお願いします。

 それでは、資料1-1の54ページ以降が総括的評価になっております。まず、事前にメールでいただいている箇所は、小泉専門委員から、「国民の地震及び火山災害」という表現について、「国民の」というのはかえってわかりにくいというご意見をいただいております。今日は代理で桑原さんが出席されておりますが、ここについて何か聞かれていますでしょうか。御指摘どおりの修正でよろしいでしょうか。

【松澤主査代理】  これ、書いた方は。

【清水主査】  書いたのは、私と森田臨時委員です。

【森田臨時委員】  「国民」を意識して書いたわけですが、わかりにくいという御指摘なので、削除してよろしいかと思います。

【清水主査】  はい。それでは、その前の5章の体制のところにも、2カ所ほど同じ表現が出てきますが、そこも含めて、「国民の」は削除させていただきます。 それ以外に、この総括的評価のところで、お気づきの点がありましたらお願いします。

【宮澤専門委員】  事前にコメントをしたのですが、夕べ非常に遅い時間にメールを差し上げたので、資料には入っていません。また、追加で申し上げますが、ひょっとしたら私の勘違いかもしれませんので、その場合は御指摘ください。 御指摘申し上げたいのは、56ページの24行目から37行目に関して、これは東北地方太平洋沖地震についての総括的評価で、どうしてここでこのような大きな地震が起きるのか予測することができなかったかについての総括的評価だと思います。それで、実際に東北地方太平洋沖地震に関しては、3章に書いてありますが、ここの内容について、私は、非常にサイエンティフィックで、内容についてはいいと思いますけれども、総括的評価のところに書く場合には、おそらく体制のことも含めて、サイエンティフィックなことと体制のことをここに書くべきだと私は思っています。

 それで、順番からいくと、本来、総括的評価のところで御指摘申し上げようと思いましたが、東北地方太平洋沖地震に限りませんけれども、そういった超巨大地震を予測とかしようとしたときに、例えば、我々の中でのある意味の研究体制に不備があったということをこの中に書くべきではないかというのがコメントの趣旨です。

 それで、その話をはしょってここでお話しするのは非常に議論がややこしくなるかもしれませんけれども、既に3章のほうでは、例えば、過去に東北沖では非常に固着が大きくて、そこで大きな地震が発生するかもしれないと指摘した研究があったし、2004年のスマトラ沖の地震を受けて、やはりいろいろなところのサブダクションゾーンでマグニチュード9はどこでも起きるという研究があったというのを、まず認めているわけですよね。一方、ここの建議で考えているアスペリティモデルというものは、当然、最初に規定したわけですから、それはある意味正しいと思って、これまで話をしてきたと思います。だけど、実際には、そういった過去の研究で指摘された、そういったアスペリティモデル、建議でいうアスペリティモデルが必ずしも正しくない、ある程度不確かさがあるという議論について、多分、前に書いてある内容からすると、それを認めたことになっていると思います。

 逆に、今申し上げたような、例えば、東北沖でのそういった大きな固着に関しては、我々というか、このコミュニティとしては、不確かさがあるから、そういったものは十分に考慮しなくてもよいというような判断だったと思います。

 そうすると、今までの研究の不確かさと我々の持っている不確かさというのは、不確かさという意味で同程度のものではないかと。そういったものをきちんと評価しないような体制でこの計画を行ってしまったという点を、我々はここで、反省という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、そこに研究体制の不備があったというのを指摘すべきではないかというのが意見です。

【清水主査】  どうもありがとうございました。

 それを指摘して、例えば、そうすると、指摘をするとともに、今後、そこに向けてどういう体制がいいのかという、具体的な提言というのもありますでしょうか。

【宮澤専門委員】  今、6章の総括的評価について話をしていますけれども、実際には、52ページの「計画推進のための体制の強化」の4.2.今後の展望の中の、地震本部が策定する新しい総合的かつ基本的な施策への反映ということが2行目から1段落にわたって書かれています。この中で、本来、この研究計画自体は、ここで出た成果というものを地震本部に対して提言をするような枠組みで位置づけられていたと思います。

 そういった中で、我々の研究も含めてですけれども、ほかのあらゆる世界で行われている研究の知見というものを適切に地震本部に提言するような体制が、今まできちんとできていなかったというのがまず反省点で、これを踏まえると、やはりそういった提言がきちんと自由に行えるような体制にする必要があると私は考えています。

【清水主査】  どうもご意見ありがとうございました。

 まず一つずつ分けて考えたいのですが、1つは、宮澤委員のご提言の最初の部分で、今回の超巨大地震の前に、幾つか指摘する意見というか、考えがあったけれども、それが結果的には反映されなかったということですが、その辺のある意味科学的な認識ですが、そこについてはいかがですか。

【松澤主査代理】  まず前半の、56ページの固着状況の過小評価のところですが、元々の原稿では、2つにセクションを分けて書いていましたが、それをまとめていただく段階で、混在されてしまったようです。先日の成果報告会では、2つ分けて説明させていただきましたので、そのようにしていただければと思います。

 その上で、これまで、地震調査研究推進本部に対して、地震津波防災・減災に活用されることを期待するという書き方になっていますが、宮澤委員の今のご意見は、これよりももっと強く、ほんとうに枠組みとしてつくるべきという御指摘なのかということと、自由に提言ということはほとんどあり得ない話なので、観測研究計画推進委員会でまずコンセンサスを積み上げて持って、地震本部へ提案するという指摘なのかという2点について、確認させてください。

【宮澤専門委員】  確かに現行計画の中では、活用されることを期待すると書かれてありますが、私は、この言葉の意味を、地震本部から見て、測地学分科会がアプローチをしていないという意味と思ったので、それはよくないと意味で、発言しました。それから、例えば、自由かどうかわかりませんが、成果報告の中などでも、きちんと提言を行うというような形になればよいと思い発言しました。ただし、「期待する」という解釈に関して、私が勘違いしているかもしれませんが。

【平田委員】  宮澤さんの言われたことは非常によく理解できます。つまり、仕組みとして、ここのコミュニティの意見、あるいは、ほかの科学的な知見が地震本部の議論に反映される、具体的に言うと、政策委員会の立案とか、調査委員会の調査の判断にする必要があると、私も思っています。

 ただ、この現行計画に基づいた研究と地震本部の関係が、権限というか、全体の枠組みとして、そのような仕組みになっていません。だから、現行計画を作成したときには、「期待する」というのが限界だったのです。

 つまり、地震本部としては、新総合基本施策の中に「その建議の研究成果を十分取り入れるようにする」ということを書いていただいたので、努力義務がある。 一方、このコミュニティ側としては、せいぜい努力義務しかないので、きっちり制度的に、政策委員会とか調査委員会に、この観測研究推進委員会や地震部会の委員が、地震本部の委員会に代表つまりリプリゼンタティブとして参加しているという仕組みができれば、制度的に担保されたことになると思います。現状は、どちらにも所属しているメンバーは多いので、意見はそれなりに反映されているけれども、例えば、私が地震本部の会議に出ても、それは決してこの測地の計画を代表して参加しているわけではないわけです。

 だから、もし宮澤委員の意見を実現するためには、測地学分科会での意見が非常に強ければ、それはできないことではないと思いますが、基本的には地震本部の問題と思います。だから、地震本部のほうが制度的に、我々の観測研究計画の成果なりを取り入れる仕組みをきちんとつくるように、ここがリコメンデーションを出すということはあるかもしれません。だから、それが、期待するというのが限界だったというのは、まさに正しい認識だと思います。

【清水主査】  ありがとうございます。 ただ、宮澤委員はもっときちんと明文化してほしいというご意見ですね。

【宮澤専門委員】  はい。地震本部と測地学分科会の立場については、よくわかりました。

 ただ、我々が現行計画のレビューをここでして、また、報告書もここで作成しているので、我々が今後どうしていきたいかということを書くことまでを禁止している、実際にそういうふうに情報発信することを禁じているわけではありませんよね。

 確かに、組織として、今の地震本部と我々との関係において、実際にそれを行うことが難しくても、将来的にできるようなことを、あくまでここのレビューなり報告書なりで提言することは可能だと思うので、そういった内容にはできないでしょうかというのが私の意見です。

【山岡科学官】  それとは全く直接には関係ありませんが、あるところで地震学コミュニティの意見を取り入れたらどうでしょうかという話をしましたが、基本的に地震本部の考え方としては、そういう意見を取り入れるために、学会のことをよく知っていらっしゃる先生方を委員として受け入れて、そこで議論をして、それで施策を決めるというのがどうも立場だと僕は理解しています。

 だから、ここで提案を出すということは、そういう政策に測地学分科会が絡むということを言ってしまうことになるので、ちょっと違うのではないかと思います。だから、今までは、どっちかというと、シーズを測地学分科会として出していって、施策のほうで必要と判断したものを利用するというような感じでした。だから、先ほどの「期待する」みたいな書き方は、そういう背景があった。

 ここをもし言うのであれば、もう一つ踏み込んで、既に施策として実用化されたと考えられた課題についても、常に最新の知見で本研究の中で研究を進める必要があるとか、そういう書き方をするほうが、多分、研究の立場としてはいいのではないか。だから、施策とは少し距離を置くことのほうが、私はいいのではないかと思います。だから、提言というのは、かなり施策のほうに踏み込んでしまうのではないかなと、僕は個人的には危惧するので、そこはもう少しフリーのほうが、サイエンスコミュニティとしてはいいような気がするのですが、いかがでしょうか。

【清水主査】  まだ課長は来られていませんが、これについても政治的なものに絡むし、役割分担もあるので、なかなか判断は難しいと思います。ただ、宮澤委員のご意見は、個人的には大変もっともだと思います。やっぱりそれを、地震本部側が差し支えない範囲内で、やはりもう少し書き込むようなことができればよいと思います。

【平田委員】  今のレビュー原案の、「地震調査研究推進本部が策定する新しい総合的かつ基本的な施策への反映」という小項目ができているのは、多分、前の建議にこの項目があるからだと思います。それを入れた心は、まさに宮澤委員が考えていたとおりで、つまり、研究の最先端の知識が、例えば、今後10年間何をしなければいけないかというのを決める地震本部の施策に反映させてほしいということです。科学の最先端の知識は、いろんなところから情報収集するだろうけれども、その一番大きなソースとしては、この測地の建議に基づく研究計画があるということを明確にしたかったので、わざわざ書かれているわけです。

 もっと強力に主張するのであれば、「期待する」んじゃなくて、「するべきである」と書けば済むけれども、それは受け取る側が一定のコンセンサスがなければ、単に一般の知になってしまう。だけど、重要なことは、山岡科学官が言われたように、少し距離を置いたほうがいいという考えもあるかもしれない。だから、それは、この観測研究計画推進委員会で議論していただいて、やっぱり強力に、ここのコミュニティの成果というのは相当重視する必要がある。非常に極端に言えば、例えば、非常に極端に言えばここでエンドースしない限り採用できないという仕組みだってあるわけです。だけど、それはやはり頃合いがあると思うのです。だけど、かなりの部分は、このいわゆる予知の研究計画で進めている成果が、国の施策の判断に採用されるべきだと思うので、宮澤委員のような意見が強ければ、それはやっぱりきちんと議論して、レビューにも書き込むことはできると思います。

【松澤主査代理】  もともと地震本部の体制というのは、1995年の神戸の反省をもとに生まれていて、そのときに、予知研究というものに対してものすごくネガティブな考えのもとに地震本部が作られていて、そのときには、予知研究のことなんて、もう完全に切り離されていたのです。予知研究側も、推本の体制とは一線を画すべきだという考え方も結構あって、分けて考えていたのですが、法律でも政策関係は地震本部がやることになっていますので、そうすると、そこで何らかの位置づけをしてもらわなければ予知研究もできないという形になっていました。

 現時点では、予知研究のほうも、サイエンスの理解というものを最重要視しようと中身が変わってきました。多分、今の宮澤委員のご意見も、そのサイエンスの面では一生懸命やっているのは我々なのだから、その意見を反映してほしいという、そういうことだというふうに理解しました。

 そうなってくると、書き方も多少は変わってくるのかなという気はしますが、これは我々のほうで書けば済むことでもないので、やっぱり今後地震本部との調整が必要だと思います。平田委員のおっしゃったとおり、その方向でなるべくできるように、調整は各機関にお願いしたいと思います。

【清水主査】  もしなければ、今、まだ課長はいらっしゃいませんが、この場でこういう意見があったとご報告したいと思います。基本的には宮澤委員のおっしゃっていることはもっともで、皆さん、それに反論していないわけですので、もう少し……。

【平田委員】  しかし、山岡科学官は少し立場が違うかと思います。

【清水主査】  そうでした。距離を置いたほうがいいというご意見でしたね。

【山岡科学官】  例えば、総合基本施策の側の考え方とか、要するに、調査委員会で議論された話を少し反映して、今日少しお話ししたので、僕の個人的なところは若干異なりますが。あまり言い過ぎると、施策に組み込まれるので、それは逆によろしくないと思い、ある程度距離を置いたほうがよいというのはそういう意味です。だから、むしろ科学を一生懸命やることが大事であるということ。 最終的な判断は、防災等も含めて判断されるところがあるので、例えば、ここできちんとエンドースされなければいけないというのは、多分、言い過ぎで、もしそんなことを言うと、「おまえたち、何を考えているんか」と言われると僕は思います。だから、そこは、やっぱり最後に清水主査が言われたように、今、総合的基本施策の見直しも進めていることもあるので、そことの調整で進めていく必要があるのかなと思います。

【清水主査】  どうも失礼しました。 山岡科学官のような考え方はあると思いますので、これは預からせていただいて、その辺、文部科学省とも相談しながら進めたいと思います。

【山岡科学官】  それで、できれば、総合部会長とも相談していただくという形がよろしいかと思います。

【森田臨時委員】  私も宮澤委員の言うことはよく理解できますが、この現行計画(建議)は、自由な発想に基づく研究であると理解しています。逆に言うと、提言するということを最終的な目標にすると、その自由な発想による、非常にバラエティに富んだ研究というものがなかなかしにくくなるのではないかという気が少しします。私は、そういう意味では、「期待する」というところというのが、非常にいいバランスのところではないかという気がします。

【鷺谷専門委員】  改めて読み直していて、東北の地震の見逃しとか、ポテンシャル評価ができなかったということが、これを読むと、研究者コミュニティが全責任を引っかぶるようなニュアンスでとられかねないなというように、少し心配になりました。だから、そこにコミットするかわりに、半分責任を引き受けるというか、そこら辺のバランスの部分だと思いますがいかがでしょうか。もし、全部お任せであるならば、もう少し総括の部分で、例えば、宮澤委員が実際に指摘されましたが、見逃したとか、評価できなかったのは、主体はどこなのかというところは、例えば、それは国であるということを明確にしておくべきだと思いました。

【松澤主査代理】  非常に難しいところですね。危うさという意味で言うと、今ふと思いましたが、例えば、学会みたいに、いろんな方がいろんな形でもってご批判されるのは全然問題ありませんが、この測地学分科会から地震本部にもし提言を出すとしたら、何らかの形で一本化しないといけないわけです。その際に、例えば、現行計画(建議)がそのままもし提言として認められていたら、どういうことになっていたか、あるいは、アスペリティモデルにのっとった形でもって出ていくわけなので、それがほんとうにオーソライズされた形で地震本部が認めて、今回、今の計画ができ上がったということを考えると、我々にまさしく責任がのしかかってくることになります。そういうことも考慮した上で、ある程度のバランスは確かに考えなければ、少し問題かもしれないです。

【清水主査】  ありがとうございました。 最初の件について、多少ニュアンスが変わってきましたが、いかがいたしましょうか。

 鷺谷委員、そうすると、例えば、地震本部との関わりについては、どのようにお考えでしょうか。

【鷺谷専門委員】  コミュニティとしてコミットして、覚悟があるのであれば、そのように書くべきですし、そこまで言わずに一歩引くというのであれば、逆に言えば、ここまで起きたことについての、責任の所在というとちょっと重くなりますが、そこの部分については、多少留保しておく必要があるんじゃないかという、そこのバランスの問題があります。

 どちらの立場をとるかということについては、私自身、必ずしもきちっとした意見が決まっているわけではないです。

【清水主査】  どうもありがとうございました。

 今、例えば、このレビューを読んだときに、その責任の所在が、宮澤委員からもわかりにくいという話もありました。確かに、どこに責任があるというような書き方ではありませんが、実際には書きにくいと思います。だから、原案くらいの書き方が私は限度かなと、個人的には思っていますが、いかがでしょうか。

【鷺谷専門委員】  だから、責任の所在は、長期評価のようなものを明示しているので、形式的には国だと思います。ただ、コミュニティとして、そこに全く責任が無いというわけには当然いかないわけです。だから、そこの切り分けというか、それが原案では見えないので、読む人によっては、研究者がやり玉に挙がるように解釈されてしまいそうなので、そこが少し心配です。

【森田臨時委員】  私は、ここに書いてあるのは、研究として未熟であったところということをきっちり書くというスタンスが非常によいと思いますが、そういう意味では、ここで宮澤委員の意見だと、少し言い尽くしていないところもあると思います。その部分については書き足すにしても、ここでは、基本的には科学的に未熟であったところということを明確にする。それを政策に取り入れるかどうかというのは、政策実行者の判断ではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。

【清水主査】  だから、それが、地震本部との役割分担というか、切り分けというのは、おそらくそういうところにあったのだろうと思うのですが。

【宮澤専門委員】  まず、先ほどの主語はどちらかということになりますが、私が読んだときには、国だと思いました。

【平田委員】  どこの部分で。

【宮澤専門委員】  先ほどの鷺谷委員の発言のところですけれども。どうして事前に指摘することができなかったのかということに関して、我々研究者は、ホームページや論文で勝手にいろいろ情報発信していますが、やはり国民に対してきちんとした公の情報発信ができるのは、やはり地震本部のような、きちんとした組織でなければできないと思います。確率的地震動予測地図に関しても、当然地震本部から出ているわけですし、そういった意味で、東北沖で想定している地震がこんなものですよというのも、当然、地震本部でやっているわけで、例え我々が全く別のことを言っても、やはり国民としては、政府が出す情報というのがある意味正しいと思っているわけです。やはり指摘していなかった、指摘できなかったのは、別に責任を押しつけるわけではありませんが、国をさしているのではないかと、私はそういうふうに思っています。

【清水主査】  今の宮澤委員のご意見だと、追究できなかったのは国の責任だとおっしゃっているわけですが。だから、私、さっきどちらとも言えないと言ったのは、もちろんそういう面もありますが、ただ、宮澤委員が言われたように、こちら側からもっと提言するシステムみたいなものがきちんとできていたら、今回のような超巨大地震については、もっと違った結果になっていたのかどうかといったところなのですね。先ほど森田委員も言われましたけど、科学的に見ても、もちろん幾つかそういうことを指摘していた研究者がいたのも多分事実だと思いますが、ただ、ある意味、この予知研究グループ以外も、地震学全体、地震学会全体で見ても、そういうことをコンセンサスというか、国の施策に反映させるだけの実力があったのだろうかという疑問もあると思うのです。だから、すべて国が悪い、提言するシステムがあれば違っていたと言い切るのは少し違うと思うのですが、その辺いかがでしょうか。

【宮澤専門委員】  まさにそのとおりだと思います。我々がもっと昔に提言していたら、事態が変わっていたかというと、多分、そうではなかったと思います。おそらくいろんな意見がある中で、当時は、いわゆるアスペリティモデルというのが非常に主流で、そういった考えが我々の学会の中でもある程度認められていたので、それが揺らぐということはおそらくなかったと思います。

 私が主語をつけたほうがいいと言ったのは、別に責任の所在を明らかにするということではなくて、やはりだれがその指摘をすることができなかったのかについて、普通に読むと、最初に書かれているはずの、我々のこの委員会の名前か部会の名前が主語になってしまうからです。実際にはそうではなくて、我々はやはり自由な発想に基づく研究をしているグループですので、我々はそういった予測、踏み込んだ、超巨大地震が起きるということを指摘して、それを国民に知らしめるような、そういった立場ではないという意味で、やはりここは国がそういうことを指摘することができなかったと、主語を明確にしておいたほうがいいのではないかという指摘です。

【山岡科学官】  おっしゃっているのは、多分5ページの件ですよね。

【宮澤専門委員】  そうです。あと、1ページの25行目からです。

【山岡科学官】  国が指摘できなかったというか、地震本部が指摘できなかったというふうに書くと、多分、その内容は随分変わってくると思います。それは、少なくとも今の長期評価の枠組みは、ある意味で、既往最大とは言わないけれども、要するに、既往の地震の調査に基づいて行っているので、そういうものが知られていなかった以上は、指摘できなかったという、そういう理屈になりますが、ここはそうではなくて、要するに、地震科学として、そういう巨大地震が起こる可能性を、過去に知られていなかってにもかかわらず、なぜ指摘できなかったかというような書き方かなと思うのですがいかがでしょうか。そうすると、すいません、松澤委員にあとを引き受けてほしいのだけれど、何でこの書き方が変わるのか。主語を変えると書き方が変わるのかなと思ったりします。

【松澤主査代理】  ここで文章の中で書かれている主語は何かというと、要するに、現行計画(建議)で指摘できたかできなかったかという、その1点にかかると思います。もともと現行計画(建議)に関するレビューなので、少なくとも建議において、こんなマグニチュード9の超巨大地震はターゲットに入っていなかったことは事実なので、それを正直に認めた文章として書かれているというふうに私は認識しています。

 ですので、もちろん、研究者全員が間違ったと言うつもりはありません。でも、その研究者の意見をまとめていて、公約数としてつくっていたのが現行計画(建議)のはずなので、その建議が指摘できなかったのであれば、それはきちんと反省すべきだと、そういう考え方です。

【山岡科学官】  もう一つは、指摘という表現があまり適切ではないかもしれなくて、むしろ研究課題として取り込めなかったとか、何かそういうことなのかもしれないです。指摘というと、また中身が随分違うような気がするので、宮澤委員のおっしゃることはもっともですから、少しこの見出しの表現を変えることも検討したほうがいいような気もしますがいかがでしょうか。

【清水主査】  前書きは、「指摘」ではなくて、「発生を予測することはできなかった」ですね。あと、見直し計画では、「追究」という言葉をたしか使っていたと思うのです。

【藤井委員】  ここは、これ、国がという問題ではなくて、地震学そのものが、やっぱり今となっては未熟だったということをここで認めなくてはいけないことですよね。だから、コミュニティとして、ここはそれができなかったということだけなので、国の責任ということを言う必要はないと思います。

 だから、今書いてあるような表現で、確かに超巨大地震を指摘する人たちはいたわけですが、それがメジャーにならなかった。もし成熟したサイエンスだったら、その意見が全体を引っ張っていたはずですが、実際はそうならなくて、幾つかある議論の一つに過ぎなかったわけで、それを一つのちゃんとした統合的なモデルとして組み込めなかったのは、やっぱりサイエンスとしての未熟さの問題。だから、それを反省すべきであって、わざわざ国と書く必要はないというふうに私は思います。

【清水主査】  今いろいろお聞きし、松澤委員が言われた、要するに、基本的には、書いている立場は、これはやっぱり予知計画に対するレビュー、自己点検評価なので、基本的にこの予知計画の中で、我々がそれを指摘することはできなかったということなのではないか。そういうつもりでやっぱりここは書いています。

 もちろん、これは国のプロジェクトでもありますので、広い意味では国にももちろん責任はあるかもしれませんが、ここでやっぱり主語として「国」と書くのは、適切ではないような気がします。

【宮澤専門委員】  私は、「国」という中には、実は予知計画に基づき地震学をやっている我々のコミュニティもすべてひっくるめてという意味で言っています。

 それで、先ほどの議論を聞いていて、取りまとめたような意見になってしまいますが、非常にいいなと思ったのが、やはり現行計画(建議)として、そういったものを取り入れることができなかったという表現が一番適切かなというように思いました。

【清水主査】  ありがとうございます。

 今の最後の宮澤委員の意見については、私も同意いたします。皆さん、それでよろしいでしょうか。 それでは、そういうことがわかるように、その辺は表現を考えたいと思います。それ以外にご意見ありますでしょうか。

【齋藤専門委員】  成果と課題と今後の展望がありますが、一応書き分けようとしていただいているとは思いますが、成果と展望のどちらにも、「必要がある」と書かれていて、同じことを書いているように感じます。

 今、机上資料の前回のレビューを見ていると、ちょっと目次の立て方は違いますが、現行計画の評価には、こういうことができた、できなかったということは書いてあっても、「何とかする必要がある」というようなことは書かれていなくて、執筆者でないので申し訳ありませんが、書き分けたほうが非常に読みやすいのではないかというふうに思います。

【清水主査】  御指摘の件は、そのとおりだと思います。 成果の中では、なるべく「必要がある」とは書かないようにしましたが、もう一度読み返して修正します。

 ただ、展望のところについては、成果に書くべき事もあえて書いてあります。これは、成果を受けて書かないと分からないところがあるためです。これは、例えば、地震のモニタリングの高度化について、成果と課題と展望をまとめて書くのであれば、多分、展望のところでもう一回成果を書く必要はないのですが、今の総括的評価の書き方というのは、成果を羅列したのち各々の展望を書く必要があります。このため、ある程度成果を踏まえて書かないと、展望での文章がつながらないので、そこはある意味やむを得ないところもあるかなとは思っております。

 ただ、成果の中に、本来展望のところに書くべきことが混在しているというのは、御指摘のとおりだと思いますので、そこについては、もう一回見直して、あまり重複がある場合は、修正するようにしたいと思います。

 齋藤委員からも、メールで結構ですので、お気づきの点について是非、具体的に、御指摘いただければと思います。

【市原専門委員】  人材育成と若手研究者の育成。基本的にどういう人材が必要かということは一切書かれていなくて、特に53ページの(4)人材確保、まず大学院生が減ってきて、その理由が、ポストがないからで、だからポストを増やさなければいけないという流れになっていて、順序が逆だと思ういます。この研究の推進のためには、どういう人材が必要で、それを今後育成しようと思っていて、そのためには、根本的にそもそも大学院生が減っているという流れならいいと思いますが。

 あと、人材が必要であるというようなことから書き出しているのは50ページのほうですが、これも数のことしか書かれていなくて、もう少し、どういう方針で人を育成して、活用していくつもりでいるのかというのを書いていただいたほうがいいかなと思いました。

【森田臨時委員】  そういうときに、具体的にどういう人材がほんとうに必要かという、具体的な提言をここでしていただくということが、まず一番大事だということが1つ。

 それから、地震・火山噴火予知研究協議会の山岡委員が、非常に深刻な問題としてとらえて、人材育成ワーキンググループというものをつくって、議論し内容を踏まえて、ここでは書いています。

 我々の研究というのは、非常にすそ野を広く、多様性を持たなければいけない。そのときに、個々のこういう分野の研究が要るとか、こういう分野の研究が非常に不足しているというような、こういう人材が不足しているということをここで書くほど、この中でコンセンサスが得られているかという問題が1つ、あると思います。そういうことを含めて、今ご質問されたことをもう一度少し考えていただければと私は思います。

【市原専門委員】  その点に関しては、まず多様性が必要だという思いは、若い人たちには伝わっていません。地震予知研究、火山噴火予知というのは、まず必要な地震の解析ができるとか、地殻変動が解析できるとか、非常に似通った人たちが大量にとられている印象があります。ほんとうに多様な人材を確保しようという動きには見えていません。もし多様性が必要であるというコンセンサスがあるのであれば、それを書いていただいて、今後どういうふうに多様性をポストとして確保していくかということを明記してほしいなと思います。

【清水主査】  まず、多様な人材が必要だというのは、それはコンセンサスが今あまりないとおっしゃいましたけど、それはやはり基本的に地震学なり火山学の基礎的研究の上に立っている予知研究ですから、当然、それは多様性があるのは当たり前だと思います。  ただ、多様な人を採れるような、そういうポストを確保すべきだというところについては、これはなかなか難しい問題です。それでも、例えば、今、予知計画は、噴火にしても、地震にしても、以前はほんとうにいわゆるモニタリングというか、地球物理観測一辺倒でしたが、理論なり実験なりがどんどん入ってきて、最近は物質科学の人たちも入ってくるようになりましたので、なかなかすぐにはいかないかもしれませんが、そういう分野の人たちが予知研究の中で活躍できるようにしていくべきであるぐらいのことは書けるけれども、ただ、直接的に、例えば、今市原さんがおっしゃったポストというのは、予知研究のポストというと、観測所のポストみたいなことで、狭く限定して考えると、これはなかなか実際そのようにいくのは難しいかなとは思います。

【平田委員】  多様な人材が必要だというのは重要で、だから、分野として多様なということと、あとは、いわゆるプロの狭い意味の研究者と、それから、それを周辺で支える技術者みたいな人材も必要だし、それから、科学のことを理解した行政官や政治家も必要だということ。  だから、多分、みんなそう思っているとにもかかわらず、原案ではそれが読めないというご批判であれば、ここはもう少し修正して、ディシプリンとして、地震学、火山学だけではなくて、例えば、計算機科学だとか、物質科学だとか、そういうのを少し開いてわかるように書くのと、あと、狭い大学のポストだけではなくて、いろんな広い観点から、少しはここに書いてありますが、専門知識が必要な職員の採用などもう少し丁寧に書く必要はあるかなと私も思いますので、できれば具体的な文章をご提案していただくといいと思います。

【清水主査】  ありがとうございます。  市原委員、だから、少し文章を考えてください。

【市原専門委員】  はい。

【清水主査】  あと、森田委員にも、今、平田委員が言われたように、そういうのが少し読めるように修正できるといいかなとは思います。

【齋藤専門委員】  確認も兼ねてですが、例えば、57ページの下のほうの(1)、(2)、(3)、これはもともと見直し計画で書こうとしていたところですが、これは見直し建議が延びたから、ここに書いたということ、要するに、レビューが出ていく段階では、まだ見直しされていないから、やはり書いておかなければいけないということでしょうか。

【清水主査】  そのとおりです。最初のときの案にはありませんでした。見直し計画のほうが延びて、レビューが先に出るということになりましたので、当然、見直し計画は、レビューを見て見直し計画が出たというような順序を考えて、ここでは見直し計画の項目をここに書いたということです。

【齋藤専門委員】  わかりました。  あと、言葉のこともありますが、67ページの社会への還元ですが、「防災情報には誤差」というのは、多分、これは「予測情報には誤差」でしょうか。  その後で、「今後は、防災情報の」、ここも「防災情報」でいいのかどうかわかりませんが、「更なる高度化を意識した観測研究の推進を志向」と書いてあります。「社会への還元」としてはほかにもあると思いますが、ここでは「防災情報」もしくは「予測情報」だけに特化しているような気がします。多分、予知研究の成果のいたしどころというのは、昨日のシンポジウムでも出ていましたが、もっとほかにもあって、我々としては、こういうものを高度化するためにいろんな成果が出てくるのは非常にありがたいのですが、もっとほかにも目を向けるべきではないのかなと思います。  実は67ページの一番下には、「観測研究にも力を」と、ここは「も」となっています。どちらかというと、視点として、いわゆる予測情報以外のところにも貢献していくようなということをもっとうたっていったほうがいいのではないかなというふうに思います。

【松澤主査代理】  ここの研究成果の社会への還元は、2つのパラグラフになっていて、前半のパラグラフは、予測のための観測研究の継続で、2番目のパラグラフは、それプラスアルファという書き方になっていて、今、齋藤委員がおっしゃられたような書き方になっていると理解していました。

【清水主査】  ただ、齋藤委員が言われたのは、多分、下のパラグラフ、上の部分は今までどおりで、下は、それに加えて、それ以外の貢献を書くべきで、それにもいろいろあるはずなのに、それが防災情報に特化ような書き方になっているという御指摘だったと思います。もちろん、これ以外にも、いわゆる普通の社会的な啓発など、いろんなことがあります。今までもそういうことは書いてあるし、今回も、5章では書いてありますが、ここは、最後の総括として、特に今後、今まであまりやっていなかったものの中で、よりもう少し重点的にやることとして、防災情報と書きました。この防災情報という言葉がいいかどうかについては、私もまだ疑問がありますが、これは、言いかえれば、ハザードという意識で書いています。だから、もう少し言い方を変えたほうがいいかもしれませんが。

【齋藤専門委員】  なるほど。

【清水主査】  要するに、その辺の高度化という意味で、これは書き方を変えたほうがいいでしょうか。情報というと、多分、今、気象庁がいろいろ情報を出されているわけで、それそのものというわけではありません。

【松澤主査代理】  別に防災情報はそういうふうに書かれているということですね。

【山岡科学官】  そのとおりで、例えば、ハザードマップを防災情報に含むかどうかということだと思います。これを読むと、ハザードマップを想像するのはなかなか難しい。だから、ハザードマップのようなものを高度化するのも、やっぱり基礎研究がないと高度化できないと思いますし、強震動予測だって、当然、基礎研究がないとできないので、そこまで読めるような書き方にしたほうがよいと思います。

【清水主査】  わかりました。実はハザードというつもりで書きましたが、ハザードという言葉がどの程度社会的に認知されているのかよくわからなかったのですね。それを日本語で置きかえるのに、何にしたらいいかよくわからなくて、……。

【平田委員】  災害誘因ですね。

【山岡科学官】  だから、もう一つ明示的に、ハザードマップというのも書いたほうがいいと思います。ここだけだと、それこそ気象庁の何とか情報というふうにしか読めません。

【清水主査】  ただ、もっと言うと、我々が意味しているのは、もう少し、リアルタイムを意識して書いています。例えば、噴火した場合、もう既に気象庁が実行されていますが、火山灰の予想、火山ガス、津波、強震動も含まれています。  だから、上の段落は、これはまさにフォーキャストとかプレディクションですけど、そうじゃなくて、下の段落はナウキャスト的なものの高度化に役に立つようなことを考えた研究も必要ではないですかという、そこに貢献ができないかという、意味です。もしそれが読めないのであれば、読めるようにもう少し文章を変えなければいけないということです。

【齋藤専門委員】  今、清水主査がおっしゃったように、ナウキャスト的なものでない、当然、まさにハザードマップみたいなものというのも含んでいいと思いますので、そちらのほうも重要だという意識もあったほうがいいと思います。

【清水主査】  そうしたら、少しここも修正します。

【齋藤専門委員】  あと、63ページに、「地震調査研究推進本部が行う研究がトップダウン・・・」と書いてありますが、本当でしょうか。要するに、研究者の自由な発想について、それをボトムアップと位置づけに対応して、トップダウンという言葉を使っていると思いますが、ほんとうにトップが決めて、これをやれと言っているものでもないような気がします。これは単純に言葉の問題なので、考えていただきたいと思います。

【平田委員】  これは政策課題解決型の研究ということですね。トップダウンというのはちょっと多義的だから、政策課題解決対応型の研究」と書いた方がよいかもしれません。それをやる手段としては、解決すべきものは何かというのをトップが決めて、それを解決するように、受託した研究者に対して指示していて、お金の流れもそうなっていて、最後の報告もそうなっているから、まさにトップダウンだとは私は思いますが。

【齋藤専門委員】  ただ、トップダウンというのが。

【平田委員】  確かに、読んだ人のイメージが変わるから、やっぱり課題解決型や、課題解決対応型という言葉に変えたほうがいいと思います。

【飛田専門委員】  63ページ、24行目の最後のほう、「陸域の地震やGPSの基盤的な観測網については整備が進んでおり」というところがあるんですけど、少なくともGPSについては、整備は進んでいなくて、もう止まっています。維持更新のみです。これ、ずっと読んでいくと、「一方、海域はこうこうこうで」と言って、「期待する」となっています。この文章をそのまま読んでしまうと、陸域のほうでは進んでいるから、そっちのお金を海域のほうに回すみたいにも読めてしまいます。陸域のGPSについて整備する予算はもうもらっておらず、回す予算もないということで、海域のほうを整備するのは大賛成ですが、例えば、「陸域の」から始まる文章を丸々削除してしまうなど、ご配慮いただければと思います。

【清水主査】  飛田委員、「陸域の」から意向を削除しても大丈夫でしょうか。

【飛田専門委員】  26行目の「一方」からのはじまりのところを工夫していただいて、例えば、「海域については、観測網の設置が困難であるため、その整備が遅れていた」から始まっても問題ないと思います。陸域を引き合いに出す必要はないと思います。

【清水主査】  了解しました。それでは、「陸域」のところを削除して、「一方」のところのつなぎを少し修正するということにしたいと思います。

【平田委員】  56ページのアスペリティについてのところについて、前にも、発言しましたが、ここに書かれている意味については理解しますが、少なくとも現行計画(建議)の中では、アスペリティモデルというのは何かとはっきり定義してあります。それで、私の理解では、それを超えたアスペリティモデルに単純化したというところが問題だったと思っています。だから、56ページ39行目の、「非地震性滑りによってアスペリティでの応力の集中と蓄積が進み、やがて地震の発生に至るとするアスペリティモデル」というのを、現行計画(建議)ではアスペリティモデルとしました。これについては、私は間違っているとは今でも思いません。それに、アスペリティが空間的に保存するとか、時間的に保存するとか、それから、そういうことが暗黙のうちに仮定されてしまって、アスペリティモデルが単純化されたと思っています。ただ、この意見はマジョリティの意見ではないということを理解した上で発言しています。  だから、ここの書きぶりは少し気をつけていただきたくて、何を単純化したかというと、アスペリティに応力が集中していくということが単純なモデルではなく、それは単純なモデルではあるけれども、一般的なモデルであって、それではほとんど役に立たないので、例えば、アスペリティの保存や、アスペリティの相互作用があるということが単純化されていったと私は思うので、少しご検討いただきたいと思います。

【松澤主査代理】  アスペリティが保存されるというのは、金森先生の根本のアスペリティモデルの考え方で、それに非地震性滑りによる応力の集中というのをプラスアルファしたのが、アスペリティモデルの発展としての現行計画(建議)のとらえ方だというふうに私は認識していました。つまり、アスペリティが保存するという考え方は、もう最初から内在していたというふうに理解しています。

【平田委員】  それはわかっていますが、私が現行計画(建議)に書くときには、そこまでは踏み込んで書いていません。それは非常に気をつけて書いていて、宮澤委員の意見もお聞きしたい。もし、それは違うというのであれば、私の意見は撤回してもいいが、少なくとも私が書いたときには、そういう考えがあるということを知った上で、例えば、モリさんみたいな考えがあるということも知っていた上で、アスペリティモデルについて定義しました。それは一段落でしか書いていなくて、非常に単純化し、一般化した、非常に低いあるいは緩いモデルです。  もちろん、それを、アスペリティモデルを高度化するとか、それに実体を付与するとかということが研究の重要性で、アスペリティの実体は何かというのを研究対象にしたのは、アスペリティが保存するのかしないのかも、まだあの時点ではわかっていない、そういう認識で書いているのですが、それを強くはあまり言わなかったかもしれないので、その言い方自体については反省したほうがいいかもしれません。  だから、アスペリティのモデルがあいまいであるとか、多義的であるとかいうご批判はありますが、あえてそういうようなものを、あのときのアスペリティモデルと私はしたつもりです。

【宮澤専門委員】  今、現行計画(建議)の3ページにあるアスペリティモデルの定義を見て、そういう心で書かれたのかなというのは、言われるとわかりますが、やはり我々はその背景を知らないので普通に読んでしまいます。あるいは、この研究に参加していると、やはりアスペリティモデルに対して内在していた問題というのは、56ページの下に書かれているようなことに集約されていると考えます。現行計画(建議)では、非常に簡略化して書かれたために、そこのところまで読み取れる能力が私にはありませんでしたが。

【平田委員】  だから、3ページの上の3行に書いてあったのがアスペリティだけれども、それが実際にはアスペリティが保存するとか、そういうふうに理解されてしまった事態を反省することは多分よいと思います。あるいは、この書き方があまりにもあいまい過ぎたから、そうなってしまったのは事実です。だから、ここは、一応ここで書いたときには、私の気持ちとしては、そんなに硬いモデルではなかったというのは、一応議事録には残してほしいと思います。

【宮澤専門委員】  おそらく個々の研究課題の中では、もう少しスペシフィックに、アスペリティモデルとはどういうもので、こういうことをやるというのが書かれていたので、そこを読む限りは……。

【平田委員】  でも、個々の研究課題では、アスペリティモデルについて定義していません。だから、個々の研究課題で、どういうモデルとか、どういう考えであるというのは、確かにあります。だけど、それは結果的にそうなったのは事実だから、否定はしませんが、少なくとも、例えば、次の計画(建議)を作るときには、つまり、こういう非常にモデルディペンデントな書き方はしないというのがやっぱり基本だと思います。現行計画についても、アスペリティモデルというのは唯一ということはないが、なるべく片仮名は排除して、アスペリティという言葉だけを残して、アスペリティが中心的な課題にしたけれども、それでも、その概念は非常に幅広いというか、それをアスペリティモデルとここでは定義した。そういう配慮はしたけれど、結果的にそれが全体に行き渡らなかったのは、それはまずかったとは、それは反省する必要があると思います。

【清水主査】  どうもありがとうございます。

 次の計画(建議)については、今、平田委員から、あまりモデルディペンデントにしないというのは、これはある意味、計画を策定するときには大切な視点だと思います。ただ、レビューの場合には、おそらくこのような形で書かないと、多分、読んでいる人もかえってわかりにくいと思います。次の計画(建議)のときはまた考えるということでいいですか。

【平田委員】  はい。それでは、56ページの39行目は、少し正確にして、ここでいかにも現行計画(建議)の3ページ目のところを引用しているけれども、少しここはニュアンスが違っているので、そこは切り分けていただきたいと思います。

【清水主査】  では、平田委員、具体的に意見をお願いいたします。  それでは、6章についてはまだ御指摘の箇所があると思いますので、もう一度お読みいただいて、ご意見をメールでお願いします。そのときには、必ず、修正案についても具体的な提案をお送りいただくように、お願いいたします。  それでは、次に、1章と2章について検討します。  特に資料2では、事前の御指摘はありませんでしたが、もしこの場でご意見がありましたらお願いします。例えば、特に1章の前書きであると、例えば、資料1-1の1ページの、先ほど宮澤委員も少し指摘されましたが、24行目の段落ですね。それまでは、これまでの予知計画の経緯をただ淡々と書いてあります。24行目からが、東北地方太平洋沖地震が起きたことによって、見直しを行っているということが書いてありますが、この辺も含めて、1章の前書きについて、もしご意見があればお願いします。  これは、事務局に確認したいのですが、今の24行目からのところについて、東北地方太平洋沖地震の発生を踏まえて、計画の見直しも行っていると書いていますが、この順序と表現についてはこれでよろしいでしょうか。  そうしたら、次に、資料1-1の2ページに2章、「基本的な考え方」があります。ここも、現在の地震と火山が統合された現行の計画の基本的な考え方を書いていますが、これについては、基本的に現行計画(建議)の中から抜粋しています。ここも是非ご一読いただいて、もし不適切な表現があれば、御指摘ください。  次に、3章以降について、ご意見をお願いしたいのですが、前回の委員会でご審議いただいた以降、大きく書きかわったところは、資料1-1の6ページから7ページにかけて、ある程度整理をして、項目別に表記を変えています。  それ以外には、4章は、霧島山の新燃岳について、鍵山先生に意見をいただいて、それについては、鍵山委員の意見を入れて、さらに修正しています。  それから、18ページの5章-1-(2-1)の地震発生予測システムの「今後の展望」も大きく書きかえています。  それから、43ページ41行目以降、5章-2-(4)の火山の素過程については、市原委員から修正意見、修正案をいただき、それに基づいて書き直しております。  それから、48ページ5章「体制の強化」についても、書き直しがございます。

 大きく変わったところは以上です。それ以外を含めて、どこでも結構ですので、お気づきの点があればお願いします。

【西澤専門委員】  51ページの今後の展望のところの39行目のあたりですが。

【清水主査】  51ページというのは、体制ですね。体制の今後の展望。

【西澤専門委員】  そこで、「研究計画をすみやかに変更できたことは、良好に機能していた」と書いてありますが、これは変更できていないということですね。

【清水主査】  そのとおりです。

【森田臨時委員】  この部分は、見直し計画が出るというときに書いた原稿が、そのまま残っております。

【清水主査】  これはそうですね。修正します。

 最初に草案を書いたときは、見直し計画が先に出ることを前提に書いていたので、修正しきれていないところが多くあるかもしれません。

【宮澤専門委員】  15ページの15行目から16行目、「東北地方太平洋沖地震の発生により、千島海溝、日本海溝、南海トラフ等の沈み込み帯では、今後同じような巨大地震の発生が危惧される。」というのは、これは因果関係があると認めていることですよね。つまり、今回の東北の地震が発生したため、そのほかの場所でも地震が誘発されると読めてしまいますが、実際には「危惧される」ということを言いたいのであれば、「東北地方太平洋沖地震の発生により」ではなくて、「発生を受け」のほうが良いと思います。執筆者は、因果関係があると思われて書かれたとも思ったのですが、どちらなのでしょうか。

【清水主査】  どうもありがとうございます。

 明らかな因果関係は、証明はできないとは思いますが。

【三浦専門委員】  宮澤委員の御指摘のように、因果関係があると思って書いたわけではなくて、同じようなことが今後も起きるという、そういう意味合いなので、「により」は表現的にまずいかなと思います。御指摘のとおり「発生を受け」と修正させていただきます。

【松澤主査代理】  すいません、これ、私の執筆したほかのところでも同じような文章があって、そのときに、やっぱり因果関係に読めてしまうため、東北地方太平洋沖地震やスマトラ地震の発生したことは、世界中どこでも起こり得るということを忘れてはいけませんよという、ニュアンスで書いたつもりでした。そちらのほうは修正しましたが、御指摘の箇所は修正し忘れていました。

【清水主査】  あまり直接的な因果関係があるというふうに誤解されないような書き方に直すということですね。

【市原専門委員】  7ページの誘発活動の解明のところで、まだ火山噴火はしていませんが、火山地域でも、M9の地震の発生の後、火山周辺地域では特に微少地震が高まっていますので、内陸地震だけではなくて、火山活動のほうも一言ぐらい書いてはいかがでしょうか。

【清水主査】  これは松澤委員の部分ですが、これは見直し計画では書きました。なので、それはどういうふうに修正したか、見直し計画を参照しますが、同じような表現の修正が必要かもしれませんね。

【松澤主査代理】  最初は火山を追記しましたが、火山活動そのものは活発化したわけでなく、火山周辺で地震活動が活発化しただけであるというご意見があったので、地震活動という表現だけにしてしまったという背景があります。その辺は、火山の専門家の方々のご意見を私はむしろお聞きしたいと思います。

【市原専門委員】  井口委員に言われたことですが、実際に火山周辺で地震が活発化したのですが、地震が活発化したという意味をまだ理解できていないのですね。だから、噴火しなかった関係ないというのではなく、地震活動が活発化したということの意味を理解する方が大事かなと思います。

【平田委員】  参考資料3の22ページに、(1)のウで、超巨大地震に誘発された内陸地震や火山活動等の解明というふうにして入れています。

【清水主査】  わかりました。それでは火山活動についても、追加するようにしたいと思います。

【飛田専門委員】  21ページの2行目からですが、ここは成果を書くところだと思いますが、4行目に「重要である」とあって、5行目に「重要である」とあって、6行目に「有意義である」とあって、8行目が「役立っている」となっていて、少し成果という感じがしません。ほかのところは、「見出した」、「推定した」、「示された」や、「構築した」という書き方をしていますが、書きぶりを変えたほうがいいかもしれません。

【清水主査】  これは、先ほど齋藤委員から御指摘いただいたことと同じですね。要するに、全部成果のところに「重要である」や「有意義である」という自己評価が入っているということですよね。

【松澤主査代理】  ここは、実施状況で何をしたかを書いて、成果は多少位置づけを書かないといけないと思います。

【平田委員】  でも、ここは成果です。

【清水主査】  飛田委員から指摘いただいた21ページは、成果ですね。だから、データベースの何とかを作成したと書くと、それは実施状況になりますね。実施状況と成果を切り分けるのが難しいですね。

【松澤主査代理】  あと、今後こうすべきだということは、確かに、「え.今後の展望」に書くつもりで、「今後の本格的な統合データベースの構築に向けた第一歩として、非常に重要な試みである」という書き方は、微妙な書き方かもしれません。

【平田委員】  だから、「監視に役立っている」というのは成果で、「有意義だ」というのは入れないから、だから、「データ流通が開始された」とか。「開始された」は実施状況?

【清水主査】  実施状況ですね。

【平田委員】  実施状況と成果の切り分けは、もう少しイメージをはっきりさせて書かないと難しいですね。

【清水主査】  開始されて活用されたものは成果に書くのでしょうか。

【松澤主査代理】  特にモニタリングの項目は、実施状況と成果の切り分けが難しいです。ほかはわりと実施状況は淡々と書いて、成果はトピック的に取り出していますが、モニタリングの項目は、その辺の分類が非常に難しいのだと思います。

【清水主査】  そうだと思います。多分、モニタリングの項目の他にも体制の項目も非常に難しいですね。

【平田委員】  ここは無理に分けなくてもよろしいのではないでしょうか。

【清水主査】  そうすると、フォーマットの形が崩れますよね。データベースのところだけ、その小項目なしという形になりますが。

【藤井委員】  前は、実施状況と成果というのでまとめて書いたことがあった気がしますが。

【森田臨時委員】  それは体制のところです。

【清水主査】  体制はまとめたのですね。

【森田臨時委員】  体制だけは、実施状況と成果を一緒にした草案です。

【平田委員】  だから、サイエンスみたいな話だと、実施状況と成果というのを分けて書くことができますが、実施したこと自体が成果というものがあるわけですね。

【清水主査】  特にデータベースみたいなのはそうですよね。

【平田委員】  そうしたら、無理しないで、実施状況と成果を一緒にすればいかがでしょうか。

【森田臨時委員】  その方針だと、実務的に大変なので、表現だけ変更する方向でお願いします。

【清水主査】  宮澤委員からメールでいただいた箇所はいかがでしょうか。

【宮澤専門委員】  まず、これは事務局に確認です。5か年という表現について、以前、5か年の「か」が平仮名か片仮名かという話があって、平仮名の「か」に統一するという話がありました。それでよろしかったでしょうか。

【安藤地震火山専門官】  そのけんについては最終的に統一させていただきます。

【宮澤専門委員】  あと、テクニカルタームに近いことですが、気になることとして、4ページの5行目、アウターライズ地震の話ですけれども、「海溝軸外側」といったときに、どこから見て海溝軸の外側なのかよくわからないので、「日本列島から見て海溝軸より外側」と書いたほうがわかりやすいのではないでしょうか。

【西澤専門委員】  海溝軸の海側ではだめですか。

【宮澤専門委員】  私も最初、それがいいと思いましたが、海溝軸より海側というと、太平洋側ですが、陸側を見ても海がありますよね。陸側というか、日本列島のほうを見ても。

【西澤専門委員】  じゃ、海洋側とか。

【飛田専門委員】  東側とか。

【松澤主査代理】  ここに関しては、東側でいかがでしょうか。

【清水主査】  ありがとうございます。

 そういうことも含めて、幾つか読んでいてちょっとわかりにくいとか、しっくりこないとかありましたら、修正案と同時に御指摘いただければと思います。

 次に参考資料について事務局から説明をお願いいたします。

 (資料1-2について事務局より説明。)

  • 27の審議状況については作業中
  • 各実施機関において、数字など細かい点も含めて最終確認を依頼
  • ページ順についても意見があれば事務局まで

【清水主査】  事務局からも説明があったように、内容についてご確認いただければと思います。特に数値などは正確を期さないといけませんので、もう一度、各関係機関において関係するところをご覧いただき確認をして、もし間違いがあれば、事務局のほうまでご連絡をお願いします。

 以上で一応レビューの検討については、とりあえずは終了させていただきたいと思います。 本日いただいた意見については、軽微なところにつきましては、基本的に私と事務局で修正します。また、内容に関して検討が必要なことにつきましては、御指摘いただいた委員の皆さんに、修正案を提示いただき、コアメンバーで調整をさせていただきます。なお、その結果については、後日、できるかぎり早く還元させていただきます

 それから、この場で皆さんにご了解いただきたいのは、本日資料として提示されているレビュー草案ですが、現在、地震・火山噴火予知研究協議会の計画推進部会の部会長にもご確認いただいております。これは、昨日まで開催されていた成果シンポジウムでの各部会長の発表内容が、昨年のアンケートに基づいて書かれたレビュー原案と異なる部分があるためです。〆切りは来週と聞いています。これらの加筆修正案についても考慮して、今月末に予定されている地震火山部会で、私のほうから報告をさせていただきます。

 

[議事2 その他について]

 (資料4、参考資料4に基づいて事務局より説明。)

  • 今後の日程について
  • 外部評価について
  • 「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」について

【平田委員】  野依会長からかなり強く言われたのは、建議の研究と地震本部の研究とは必ずしも分離していなくて、全体のことですが、それでも、いわゆる地震予知の研究というのは、国民に何を約束したかということを明確に意識して、約束したことについて応えているかどうかという観点からの議論が必要であるということを、総会の場で言われました。また、その事前のご説明に伺ったときも言われましたので、やはり社会の中の科学という観点は、一般に強調されていることですけれども、地震予知研究、火山噴火予知研究についても当てはまるということが重要かなと思います。

【山岡科学官】  最初の草案(ドラフト)については、私のほうで書かせていただいて、皆さんのご意見をいただいて上げていったわけですが、最終的にこんな形で出てきました。その作業過程で、悩ましかったのは、報告内容について話がいわゆる建議の枠組みの中での話にとどまるのか、それとも、もう少し広い範囲の議論をすべきかというところで、測地学分科会の委員の方々の中にも、やや意見の違いがあって、そこら辺を取りまとめるところについて少し苦労しました。

 ここで言うと、例えば、基本論点の中の②の括弧内の、「焼け太り」というのは、どちらかというと測地学分科会に直接関係する部分ではないと思っています。これは、どういう範囲の議論をするかというところも明確にしないと中身がかなり曖昧になってしまうのではないかという危惧があります。この辺りの感覚は、まだ僕もはかりかねているのですが、今の平田委員のお話で言うと、もう少し広い範囲で、要するに、地震とか火山が社会の中の科学としてどうあるべきかみたいな観点で議論するのだろうというふうに理解しました。だから、今後も、測地学分科会の下で議論するのではあるけれども、建議の中のことだけではなくて、もう少し広く議論したほうが良いと思います。

 それから、もう一つは、建議の中身と一般的な施策のところをやっぱりある程度分けて表現をしておかないといけないと思います。というのは、世の中のというか、いろんなところでの批判や、あまり根拠のはっきりしない批判をされたりするところは、その辺りを混同しているように見受けられるので、地震や火山の研究は社会の中でどうあるべきかというところを議論しつつ、こういう基礎的な研究の部分と施策の部分は、一応分けて表現するようにした方がいいと思います。そこのところをうまくやらないと、我々の責任でないようなところまで、いわれのない批判をされることがあるので、そこについてはきちんと丁寧に説明していかなければいけないのかなと思いました。

【藤井委員】  今の発言に関連しますが、要するに、世の中は、地震本部も予知のための観測研究計画も、みんな同じコミュニティだと思っているのです。その違いはきちんと理解をしてもらわないといけないのですが、科学技術・学術審議会でも同じような理解だと思われます。だから、こういう批判が出てくるのだと思います。だけど、大部分がそう思っているのは事実なので、アウトリーチが足りないと言えばそのとおりなのですが、そのような誤解はやっぱりいろんな機会にきちんと解いておかないと、いわれのない批判を受けることもあると思います。

【山岡科学官】  だから、かなり短い言葉でわかりやすく表現しないと、結局はわかりませんと言って終わるので。最近は、分からない方が悪いのではなく、説明しない方が悪いと言われるので、できるだけ短い言葉でわかりやすく説明することが大事かなと思います。 それで、要するに、これは我々のコミュニティの将来にとって非常に重要で、ここはきちんと理解してもらわないと、次の計画にも直接にかかわってくる問題だと思いますので、いいかげんには決してできないだろうと思います。だから、少なくとも野依会長にはきちんと理解してもらうということは必要で、それができないと、おそらく次の建議が出るということもないというぐらいのつもりで作業を進めた方がいいと私は感じております。

【安藤地震火山専門官】  ありがとうございます。引き続き議論を深めますのでどうぞよろしくお願いいたします。

【清水主査】  どうもありがとうございました。

 本日準備した議題は以上でございますが、ほかに何かありますでしょうか。特になければ、以上で終了したいと思います。

 

(以上)

 

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)