地震火山部会 観測研究計画推進委員会(第11回) 議事録

1.日時

平成23年12月26日(月曜日) 10時~12時

2.場所

新霞ヶ関ビル LB階201D号室

3.出席者

委員

(委員)平田、藤井
(臨時委員)清水、松澤、森田
(専門委員)小泉、齋藤、鷺谷、棚田、飛田、西澤、三浦、宮澤

文部科学省

寺田地震・防災研究課課長、南山防災科学技術推進室長、迫田地震・防災研究課課長補佐、安藤地震火山専門官、飯高学術調査官、他関係官

オブザーバー

4.議事録

[議題1.地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」のレビューについて]

(事務局から資料1-1、1-2、1-3および資料2、参考資料1、2および3を用いて経緯等について説明。)

【清水主査】  経緯については、事務局からご説明いただいたとおりです。事前に事務局等と相談して論点を絞らせていただき、本日は次の3点について重点的に検討いただきます。まず3章の太平洋沖地震の「7.今後に向けて」、次に、「5章の計画推進のための体制の強化」、最後にもう1つ、「6章の総括的評価」の構成について議論いただきたいと思います。そのような進め方でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【清水主査】  それでは、「3章東北地方太平洋沖地震について」について、執筆主担当である松澤委員から概略説明をお願いします。

【松澤主査代理】  資料1-1をごらんください。3章について主な変更点だけ申し上げます。2頁「3.本震に先行した活動」で、防災科学技術研究所から、5年ほど前から地球潮汐による応力変化等が見られたことについて追記の要望がございました。それについて関係者とご相談させていただき含めることにいたしました。また、同時期に地震研究所のほうの研究において、b値もこの頃から値が変化していたという報告があり、データに変化が見えている場所もほぼ同じため、その2つを組み合わせてコンパクトに3行だけ加筆させていただきました。

 それから、3頁において、山岡科学官からご指摘があった部分について、「マグニチュード5の地震規模に達した理由」と「その発生可能性を事前に指摘できなかった理由」の順序の入れ替えを行っています。

 それから、1から6項目に関しては、関係者の打ち合わせにより前回の草案よりもかなりコンパクトになっており、かなり修正しています。

 最後の4頁の「7.今後に向けて」につきましては、一度ブラッシュアップをしていますが、先ほど事務局からご説明があったように、並行して現行計画の一部見直しの作業が進んでおり、そこで出てきたキーワードをとりあえず拾いまして、再整理しています。ただし、一部見直し作業についてもオンゴーイングで行われており、参考資料3からさらに修正がなされています。したがいまして、本日のご意見を反映しても再度ブラッシュアップが必要ということをご理解ください。

 その中で、現行計画の一部見直し作業で進められている短期的な観測研究計画と、長期的な観測研究計画について整理して書く必要があるというご意見を頂いています。しかしながら、例えば海底地殻変動などは短期的にも長期的にも実施する必要があり、そのあたりをうまく書くことができず、本日の資料にはまだ反映されていません。

【平田委員】  2頁の22から24行目ですが、5年前から地球潮汐による変化があり、また、長期的にb値もこの頃から低下していると書いてありますが、地震研の見解では、この長期的というのは、気象庁の観測以来、1965年のデータからずっと低下しているということが重要な点で、15行目の「通常この地域で発生する地震のb値は小さいため」というところと、少し意見が違うのです。それは両論併記でも結構ですが、東北地方は、非常に長期といってもせいぜい40年ですが、b値が減少していた、そういう見解があるということは少し明示的に書いたほうがよろしいと思います。

【松澤主査代理】  わかりました。個人的な意見としては、非常に長期的なb値というのはカタログの変化があるのでなかなか難しいだろうと思い、ここでは一元化震源以降のところに注目して書かせていただきました。ただ、研究された方がそういうことを考えているということが分かるような文章に修正したいと思います。

【平田委員】  それは今後のところに非常に関連していて、マグニチュード9クラスの地震については長期的なb値の変化が広域にというか、ローカルに起こる可能性が、例えば、スマトラのときでも見えていましたので、それは重要な視点だと思います。

【小泉専門委員】  「また長期的に見てもb値もこの頃から値が低下していた」という「この頃」というのは5年ほど前からという理解でよろしいのでしょうか。つまり、ずっと前から、40年くらい前から下がっていて、かつ5年前から特に下がってきたというのが見えるということならこの文章でいいと思いますが、どちらなのでしょうか。

【松澤主査代理】  私は5年ほど前からという意味で書かせていただきました。

【平田委員】  それはデータが非常によくなっているので、もちろんこの5年は明確に下がっていることが確認できます。昔は、ある程度でこぼこしてエラーバーが大きいけれども、重要なことは、500年のサイクルのうちの最後の40年というのは、我々の使えるデータを全部見てもどんどん下がっていたというのが重要であるというのが、地震研の認識です。その傾向は、5年前から、つまり2000年以降はどんどん下がっていて、2006年くらいから特に明確です。

【小泉専門委員】  わかりました。

【松澤主査代理】  この5年ほどというのが、精度があるかと言われると結構難しいところがあります。地球潮汐のほうもオリジナルは数年から10年くらい前からと書かれています。まあ、5、10の区切りで「ほど」と書けばそれほど間違いではないかと思って「5年ほど前」というふうな書き方にさせていただきました。

【清水主査】  3頁17行目「滑り域が広大になったのは、条件付安定領域」という言葉を使っているのですが、「(通常はゆっくり滑りが発生するが、大きな有力攪乱を受けたときには拘束滑りが生じる領域)が広域に及んでいたといする考え方もある」と括弧して説明してあります。また、滑り域が広大になった理由についても、精査の結果、現在の形になっています。

【安藤地震火山専門官】  今の部分について補足します。資料1-1は現在の最終形ですが、資料1-2の3頁目を一緒にご覧ください。「3頁17から19」と、原案がそのような状態でしたので、表現方法を松澤委員にご検討いただいたということです。

【松澤主査代理】  原案では「すべり域が広大になったのは、そこで弱化する摩擦特性を持つ」と非常にコンパクトに書いてありました。これは当たり前というご意見があり、「条件付」という言葉を入れたところ、意味がわからない文章になり、説明が必要になったという背景がございます。

【安藤地震火山専門官】  最終案ではございませんのでご意見をいただければと思います。

【清水主査】  このような形でよろしいのか少しお考えください。該当箇所

だけではなく、前後を読んでいただかないといけないかもしれませんが、個別打ち合わせにおいても議論になった箇所です。

【小泉専門委員】  これ以上に書きようがないように思います。この長さでもって非常によくまとめられていると思いますが、私はこれでよろしいと思いますが、「条件付安定領域」という言葉は、最近使われますか。

【平田委員】  論文にはあります。

【小泉専門委員】  そうですか。では、この言葉でよろしいのではないですか。

【清水主査】  では次、資料1-1の4頁10行目からですが、事務局読んでいただけますか。

(事務局により、資料1-1の4頁10行目から24行目まで読み上げ)

【松澤主査代理】  4頁の22行目ですが、個別打ち合わせでは、「海域及び陸域における測地測量」について、少なくとも海域は測地測量ではないと三浦委員にご指摘いただいたのですが。「測地測量・地殻変動観測」か、それとも「地殻変動観測」だけでいいのか。

【飛田専門委員】  地殻変動観測だけで十分だと思います。

【清水主査】  「地殻変動観測」に「測地測量」を置きかえるということですね。

【松澤主査代理】  18行目については「測地測量」を書くということでよろしいですか。

【飛田専門委員】  はい、ぜひ、そちらは入れていただきたいと思います。

【平田委員】  11行目から12行目ですが、「東北地方でM9の地震が発生したことは……可能性を意味する」というのは、あまりにも限定的過ぎませんか。一般論としては、世界中のあらゆる沈み込み帯でM9の地震が発生する可能性があるということは、もう既に2004年のスマトラの後に指摘されています。だけど、こういうふうに書いてしまうと少し短絡的過ぎる気がします。ここは出だしの文章ですから、もう少しここは工夫が必要だと思います。

【小泉専門委員】  2004年にそう指摘されていても、東北地方太平洋沖でM9が起こるとは、我々は思っていなかったということですよね。

【平田委員】  そう。原案には「我々は」という主語がないのです。

【小泉専門委員】  これは、いわゆる比較沈み込み学の考えを否定しようということだと思います。しかし、2004年時にはまだ、スマトラの沈み込み帯のプレートは結構若く、マリアナ海溝付近の太平洋プレートみたいに古くはないので、多くの人間が、比較沈み込み学を誤りだとは思わなかった。つまり、多くの人が東北地方太平洋沖ではM9は起こらないと思っていたのではないでしょうか。

【平田委員】  いや、そう思っていた人もいる。

【小泉専門委員】  それはつまり、日本人はみんな知らなくて、世界の多くの人がそう思っていたというわけではないでしょう。M9が起きると思っていた人は一部で、世界の多くの人は、日本人も含めて、M9が起こると思っていなかったわけですから、それが東北地方で明らかになったというような書き方ではまずいのではないでしょうか。

【藤井委員】  3-6章のところに既に書かれてありますが、確かにこの文章は主語がないからわかりにくいけど。

【松澤主査代理】  確かにこの部分は3-6章を受けて書いた部分ですが、少し唐突な気はしたので、例えば、東北地方と限定せずに、「スマトラや東北地方でM9の地震が生じたことにより、世界中のあらゆる沈み込み帯においてM9の地震が生じる可能性を検討しなければならなくなった」ではいかがでしょうか。

【平田委員】  なるほど、それであればよいと思います。 後から引用する人は前後関係なく引用するので注意が必要です。

【宮澤専門委員】  11行目の最初の「東北地方で…」は、「東北地方太平洋沖で…」ですね。

【清水主査】  そうですね。

【平田委員】  15行目、「特に余効変動は」と、まず余効変動を出されていますが、やはり、M9の地震を数百年間ためる固着域なりアスペリティなりが東北地方太平洋沖に存在していたことがわからなかったということが、まず基本ではないでしょうか。それはどこかに書いてあるのでしょうか。

【清水主査】  25行目にモデルの話があり、31行目に海域の話が書かれています。平田委員のご指摘については、ここで触れています。

【松澤主査代理】  先ほど申し上げたように、重要な順に書いていくのか、それとも短期的に急いでやるべきことを先に書いて、長期的にじっくりやることを後ろに書くのか、その辺の書き方によると思います。

【平田委員】  それは、論理的に重要なものをまず書くべきだと思います。

【清水主査】  現在の草案では、急いで実施すべき順番で書かれています。つまり現行計画の見直しを意識して書かれていると思います。

【平田委員】  現行計画の見直しについてはその順番で良いと思いますが、レビューは次の計画を策定するための作業でもあるので、31行目からの文章を先に書かれた方が良いと思います。

【松澤主査代理】  重要な順番で書いて、かつ急いで実施すべき研究に関しては「早急に実施する必要がある」などと追記するようにします。

【鷺谷専門委員】  ここではM9というのが起こり得る地震規模の上限だということが暗黙の内に仮定されているような書き方が少し気になります。我々はそこの部分で認識を間違ったと思います。M10クラスが現実的かどうかということはきちんと議論すべきだと思いますけれども、自分たちの知識が足りなかった部分に実際に起きた現象を追加して、それで全体だと言えるのかどうか。具体的にどう書くべきかと言われると困りますが、地震現象に対する認識の部分について考えるべきことがあるのではないでしょうか。

 平田委員もおっしゃいましたが、我々はM8の地震がどういうものかということに関する一般的なイメージは、ある程度できていると思いますが、M9クラスの地震はそんなに実例がないので、そういう意味では、M9の地震というものに対する一般像はまだきちんと作り上げられていません。だから、M9の地震というのは、そもそもどういうものなのだという研究がおそらく一番重要な課題で、それを抜きにして余効変動などの各論について議論をしてしまうと、何かまた将来的に同じ轍を踏むことにならないのかなという危惧を感じました。

【松澤主査代理】  最初のバージョンでは、「海外とも協力してM10の可能性も含めて検討する」という話を少し書いていたのですが、文章を精査する中でどうも削ってしまったようです。どこかで追記したいと思います。

【平田委員】  「M10」と限定することはなくて、「M8を超える超巨大地震」とした方が良いですね。

【小泉専門委員】  「M8を超える」よりは「M9クラスまたはそれ以上」という書き方にして、以後は「M9」を「超巨大地震」にすればよいのではないでしょうか。具体的には「東北地方でマグニチュード9の地震が起きたことは世界中のあらゆる沈み込み帯において超巨大地震(M9クラスまたはそれ以上の地震)」と書いて、あとは、「M9」のところを全部「超巨大地震」と書く。超巨大地震が「M9クラスまたはそれ以上の地震」というのは共通認識であると思うので。

【平田委員】  共通認識はあくまでも我々の共通認識であって、どこかに明示しておく必要があります。

【小泉専門委員】  だから最初に「超巨大地震」という言葉を使ったときに、それを定義しておけば良いと思います。

【松澤主査代理】  「超巨大地震」という定義を明確にして、かつ用語のほうにも入れていただければ良いと思います。

【清水主査】  あと、鷺谷委員のご指摘は、言葉の問題だけではなく考え方の問題ですよね。

【鷺谷専門委員】  ええ。多分、自分たちがこれまで経験したことが、ある意味、そこで起きる地震の全体像だと思っている部分がM9を予見できなかったことにつながってくると思います。それと当然、自分たちの知っている文脈の中にいろいろなことを押し込んでいって理解しようというのは当然ですが、それをまた同じような枠組みで考えているような印象を少し持ったので、少し心配になりました。

【清水主査】  そうすると、先ほど平田委員からも指摘されましたけれども、今後に向けての書く順番を再考いただいた方がよいですね。

【松澤主査代理】  はい。わかりました。

(事務局により、資料1-1の4頁25行目から5頁1行目まで読み上げ)

【平田委員】  アスペリティモデルについて、そもそもあいまいだからけしからんという議論があります。しかし、少なくとも現行計画の中におけるアスペリティモデルの定義について、一定の了解を得ておきたいと思います。それは、現行の計画の3頁1行目に、「プレート境界では非地震性滑りの進行による固着領域(アスペリティ)に応力が集中し、やがて地震発生に至るというモデル(アスペリティモデル)が提唱された」と定義されています。

 そうすると、資料1-1の4頁25行目にかかれてあるアスペリティモデルと現行計画の3頁1行目に書かれてあるアスペリティモデルは違うと私は思います。

【松澤主査代理】  現行計画に書かれているアスペリティモデルを否定することになりそうなので少しややこしいのですが、東北地方において現行計画に定義されているアスペリティモデルは構築されましたが、例えば、西南日本で考えているアスペリティモデルには合致しないと思います。東北地方に関してはM9ということを全く考えていなかったので、東北地方については今後もアスペリティモデルで成立すると考えていた訳ですが、M9の地震について現行計画で書かれているようなアスペリティモデルも含めて成立しているかどうかは、かなり微妙だろうと考えています。

【平田委員】  だから、現行計画に書かれているアスペリティモデルを否定するのであれば、そういう書き方をする必要があるし、あるいは、現行計画に書かれているアスペリティモデルを基本に構築するならば、それを明確にする必要があります。そこの議論がかなり混乱しているので、少なくとも、レビューとしては明快にする必要があると思います。

【松澤主査代理】  わかりました。そうすると、それはちょっとほかの部分の表現にも波及するかもしれませんが。

【平田委員】  一般論としてアスペリティモデルがあいまいな定義であること自体を問題にしてもいいと思いますが、少なくとも、このレビューの議論では明確にする必要があると思いますのでご検討ください。

【清水主査】  はい。そうすると、それは今後に向けてだけではなくて。

【平田委員】  全部です。

【清水主査】  すべてですね。少なくとも、今の東北地方、第3章の中でも、前の部分のところでも関係してきますよね。

【松澤主査代理】  そうかもしれません。

【平田委員】  25行目の「巨大な地震の発生はまれなため、その再現性を検証」という、「再現性」というのは、何の再現性でしょうか。巨大地震ですか。

【松澤主査代理】  「繰り返し地震」のことですが、周期性があるかどうかわからないという観点から「サイクル」という言葉を使いたくなかったということでです。「再来性」がよろしいでしょうか。

【平田委員】  巨大地震が繰り返すかどうかということですか。

【松澤主査代理】  そういうことも含めて検討が必要だという意味です。

【平田委員】  では、「再現性」というのはよくない。

【松澤主査代理】  そうですね、モデルで再現すると読めてしまいますね。

【平田委員】  33~34行目の「分岐断層の分布や滑り履歴も含めた広範な構造調査を行うとともに」と書いてありますが、滑り履歴の研究は構造調査ではないと思います。「広範な構造調査」と言ったとき、これは具体的に何をイメージされているのでしょうか。その中に分岐断層の分布が存在しても良いと思いますが、滑り履歴というのは構造調査でわかるのでしょうか。

【松澤主査代理】  例えば、日本海東縁では実際に実施されているので、そういうイメージを持って書きました。つまり、ある程度、地層が見えてくれば、1回の滑りでつくられたものなのか、複数回でつくられたものかぐらいは検討できるわけですよね。

【平田委員】  滑り履歴というと、やはり時間が入らないと難しいと思います。だから、Stratigraphy(層序学)だけでは滑り履歴は難しいと思います。

【松澤主査代理】  本当はボーリング調査が必要ですが。

【平田委員】  そこまで考えられて「構造調査」という言葉を使っているのであればよいです。

【清水主査】  ボーリング調査はその次の行に書いてありますね。

【松澤主査代理】  その辺を少し整理します。

【清水主査】  構造調査を行うとともにボーリング調査が有効だから、一応、構造調査とボーリングは分けて書いてあります。

【堀オブザーバー】  履歴についてのボーリング調査は、深部ボーリング調査ではなくて浅いボーリング調査のことです。多分、先ほど松澤委員が言われたような履歴についてはかなり浅部の詳細な構造調査でなければ見えてこない話だと思います。広範な構造調査というと、やはり平田委員が言われたような分岐断層の分布を見るためのものという印象です。

【清水主査】  そうすると、構造調査で滑り履歴を明らかにするのであれば浅部の詳細な調査ということを書かないといけないということですね。

【堀オブザーバー】  はい。

【松澤主査代理】  少し考えます。

【平田委員】  書いてないことですが、やはり、M9クラスの大きな地震の時間スケール、準備過程の時間スケールというのは非常に長い。その中で近代的な観測をしてから、我々は長くて100年で、もっと限定的に言うのなら、実はここ10年とか20年のごく最近のデータしかない。もちろん、それを補うために古地震学や地質学的な津波対策はありますが、全体のデータ量というのは圧倒的に最近のものしかない。そこをもう少し明確にして、少しでも前にさかのぼるために、歴史地震や古地震というものを取り入れるというニュアンスを少し書いた方がよいですね。もちろん、近代の最先端の観測をするということは非常に重要なのですが、それはごく最近しかデータはとれていないということをどこかに書いたほうがいいと思います。

【松澤主査代理】  そのような問題意識は持っていましたが、抜けていました。

【小泉専門委員】  4頁の25と26行のところで、「再現性を検証するためには、古文書や津波堆積物の調査を」と書いてあるのですけれども、この表現はかなり限定した書き方であって、津波堆積物というのは実は万能ではなくて、どんどん隆起していくようなところだと全然使えないのです。だから、この言葉だけ宿題にさせてください。

【清水主査】  そうですね。確かにこれは津波堆積物に限定されていますね。

【小泉専門委員】  見直し計画の草案ではもう少し幅広く指定してあるのですが、ここでは2つのみで限定されているので宿題にさせてください。

【清水主査】  それでは、再現性のところとともに、よく検討してください。

【松澤主査代理】  同じ地震が繰り返すのかということも含めて検討ということですが、「再現」という言葉以外に、良い言葉はないでしょうか。

【平田委員】  素直に「超巨大地震が同じ場で二度起きるかどうかも含めて」ではいかがですか。

【松澤主査代理】  そうするとますます文章が長くなってしまって。

【平田委員】  ここは重要だからわかりやすく書いてください。

【松澤主査代理】  はい、わかりました。

【清水主査】  おそらく、まだご意見はあると思いますが、今日は皆さんからいただいたご意見をもとに、もう一度、松澤委員に修文していただき、皆さんにメールでお諮りしたいと思います。

【松澤主査代理】  現行計画の一部見直し作業も、もうすぐ確定すると思いますので、作業させていただきます。

【清水主査】  次は、第5章の4.「計画推進のための体制の強化」についてご意見をいただきたいと思います。まず、執筆の主担当である森田委員のから説明をお願いします。

(資料1-3について森田臨時委員から説明)

【清水主査】  森田委員から説明がありましたが、体制の中で、観測研究計画推進委員会、の充実、それから関係機関の役割の明確化という点について説明いただきました。皆さんにご意見をいただきたいのは、この表の一番右側の少し太い字になっている「今後の展望」のところです。まずは、この委員会の体制の強化について、具体的にはアイデアをお持ちでしょうか

【森田臨時委員】  少なくともこの体制を維持してほしいということです。

【小泉専門委員】  それは強化ではないと思いますが。

【森田臨時委員】  ここでいう、「強化」は、最低限この体制を維持してほしいということです。

【平田委員】  それならば体制を維持すると書かなければいけない。

【森田臨時委員】  できれば人を増やしてほしい。

【小泉専門委員】  この委員会を設置したときに、あまり委員が多いと委員会は機能しないと言われた記憶がありますが、現状は、火山分野の委員が少ないのですね。

【森田臨時委員】  そのとおりです。

【小泉専門委員】  では、具体的にはどの機関のどのような人を増やすイメージをお持ちでしょうか。

【森田臨時委員】  イメージとしては、前回のレビュー作業時は地震と火山でそれぞれ委員会を設置しましたが、今回、地震と火山が統合されて同じレビュー作業をしてみて厳しいことが分かりました。少なくとも、火山の実働部隊が、少なくなかなか機能していないのが現状だと思います。

【小泉専門委員】  実際、実働部隊のあてはありますか。

【森田臨時委員】  あります。

【平田委員】  しかし、会議を正式に開くためには定足数があって、全員を集めないと開けないわけです。だから、人数を増やしてしまうということは、善し悪しと思います。

【清水主査】  委員を増やすということは、委員会開催時には出席しなければいけないということになるので、そうではなくて、レビュー作業のときにもうちょっと実働部隊が欲しいということだと思います。

【森田臨時委員】  例えば、レビュー作業も、地震部分と火山部分というものを並行して進めればもう少し早く物事が進むかと。

【清水主査】  それもまた問題があります。例えば、現行の計画は地震と火山が一緒になっている。さらに、今回は東北地方太平洋沖地震についての作業もあるので、3倍ぐらいの作業量を同じ日程でやらなければいけないということなのです。それをグループに分けて、並行してやれればもう少し効率的なのではないかという意見なのですが、それは、地震と火山が一緒になったというのは、現行計画の大きな柱の1つで、個別にやれる部分と一緒にやる部分がありますので、今回のレビューでは、その辺もまた難しいところだと思います。

【森田臨時委員】  賛成者が非常に少ないようですが、基本的には問題意識を持っていただければ良いと思います。

【小泉専門委員】  いや、強化するということは賛成です。

【平田委員】  具体的に強化をするというのは、おそらくポストをつくるか、組織をつくるかということですね。例えば、この委員会のもとにさらにワーキンググループをつくるというのはありますが、深堀りになるだけで余り意味がないと思います。

【森田臨時委員】  「体制の話」でいうと、この観測研究計画推進委員会は地震火山部会の1つの委員会なので、例えば、地震予知研究を主に議論する委員会をつくる。もう1つ、火山噴火予知を議論する別の委員会をつくる。そういう委員会を増やすということも1つの方向かと思います。

【寺田地震・防災研究課長】  計画が1つになっているときに、実は2つですということになりますが。

【森田臨時委員】  いや、2つに分けた方が作業については合理的かもしれないということです。

【平田委員】  やはり、これは測地学分科会をボトムアップの機能で動かしている以上、関連コミュニティーの協力を仰ぐというのが必要だと思います。観測研究計画推進委員会は、ある意味で、現行計画を推進するヘッドクォーターとしての役目があるのだから、それについて関連のところに意見を聞くということ。その任は、大学の地震火山噴火予知研究協議会が該当しますが、例えば、地震学会などに委員会を設置して作業を行うという考えもあります。現在は、地震火山の共同利用・共同研究機関の地震研究所の中にある地震火山噴火予知協議会の中にそのような委員会ができるのであれば、それは構いませんが、現在の組織としては、地震火山の共同利用・共同研究機関の地震研究所の中にある地震火山噴火予知協議会の企画部がその任にあるので、もう少し組織的に観測研究計画推進委員会から地震火山噴火予知協議会企画部へ依頼を出して、もう少し明確に組織上、規則上位置づけられれば、それは強化になると思います。

 それで、地震火山噴火予知協議会には、アドバイザー委員と称して各関連機関の方にも参加していただいていますから、研究の実質については、そこで議論ができると思います。現在は、紳士協定で行っている作業を規則改正することにより機能を強化できると思います。

 地震火山噴火予知研究協議会にお願いする根拠は、地震火山の共同利用・共同研究機関として地震研究所があるということですから、ほかに適切な組織があれば、そういうところを使ってコミュニティーの意見を聞くという方向はできると思います。

【清水主査】  平田委員から具体的な方策についてのご意見をいただきましたが、いかがでしょうか。

【森田臨時委員】  議事になったということがここでは一番大事で、そういう意味では、目的を達したので、ここは削除させていただきます。

【小泉専門委員】  いやいや、別に書いておいて構わないです。

【平田委員】  いや、そういうことが一定のコンセンサスがあれば残しておいて、評価したと。

【清水主査】  今回は森田委員が献身的に作業をとりまとめていただいていますが、仮に次期計画がある場合、今回と同じやり方で進めると、破綻が生じると感じています。現在は紳士協定で作業を行っていますが、明文化することが大事だと思います。

【藤井委員】  今回は紳士協定が機能していなかったということですか。

【清水主査】  いいえ、ある程度は機能していますが、どうしても特定の数人に負荷がかかっています。

【小泉専門委員】  紳士協定というのは、要は、声をかけてやらせているということでしょう。

【清水主査】  はい、そうです。

【小泉専門委員】  それがさすがに少し限度を超えてきたというのが森田委員の主張ですよね。

【平田委員】  だけど、それは、予知協議会の部会に原案を。

【森田臨時委員】  いや、個人的問題はこの際、置いておいて。少なくとも非常に重要な委員会なので、現実問題として少し、平田委員のご指摘のように修文を考えます。

【小泉専門委員】  事務局の増員については言及しなくてよろしいですか。

【平田委員】  事務局を増やしてほしいということですか。

【小泉専門委員】  そうです。それについても考慮いただきたいということです。

【平田委員】  測地学分科会が重要な点は、コミュニティーのボトムアップの計画であるという点です。つまり、研究者の意見がそのまま直接全体の計画に反映するという、非常に貴重な窓であるわけです。それは、大変ではあるけれども、これを放棄してしまったら、研究者が自分の意思でやる計画にはならなくなってしまいます。だからもっと仲間を増やすという努力をすると。

【森田臨時委員】  いや、継続可能性が問題なのです。先ほど少し清水主査が発言されましたが、次の計画、さらに次の計画を考えたとき、現行の体制では、なかなか継続できないのではないかと危惧しています。

【平田委員】  これまでの計画に比べれば、現行計画では、はるかに組織的に多くの人が参加しています。事務局側についても、学術調査官や科学官にもご協力いただければ、少し改善されるかと思います。

【藤井委員】  もともと観測研究計画推進委員会を設置するときにこのような議論があって、火山関係者のメンバーが足りないという話でした。地震予知計画は背後に予知協議会の企画部がありましたが、火山噴火予知計画はそれがなかった。地震及び火山噴火予知計画と統合された現在は、全国の関係者の意見を予知協議会の企画部に糾合できるのであれば、あえてメンバーを増やす必要はないという経緯がありました。だから、予知協議会の企画部がその機能を担うと考えられていたと理解しています。

【平田委員】  だから、地震火山予知研究協議会の役割をもう少し明確に書いたほうがいいかもしれないですね。

【清水主査】  そうしたら、資料1-3の1ページ目右下の部分については、もう少し明示的に書いてはいかがでしょうか。

【平田委員】  ただし、これはあくまで大学の組織の問題なので、本日、観測研究計画推進委員会で関係機関の方のご意見を聞いた上で、大学の機関にそういう機能を付託してもいいかというのは議論するべきだと思いますが、一定の了解が得られれば、ここでの議論を今度は予知協議会のほうにもう少し反映させてやったほうがよろしいかと思います。部会の議論の中には予知計画全体の計画の立案と進捗状況の把握という仕事は当然ありますので、そこにうまく工夫して、この観測研究計画推進委員会の実務を少し分担するというようなことを明確化することはできると思います。

【森田臨時委員】  次に「観測研究計画推進本部が策定する基本的な施策への反映」というところ。これは地震本部とこの建議とのかかわり合いを書きましたが、特に問題ないかと思います。

 次に、「火山観測網の整備と火山観測研究の充実、火山噴火予知連絡会の機能強化」というところ。これは地震調査研究推進本部に代わる機能がない火山噴火予知研究については、火山噴火予知連絡会が非常に重要な役割をしているという観点から書きました。議論していただきたい点は、今後の展望の最初の項目についてです。

【清水主査】  ありがとうございます。個人的には総論としてはいいと思いますが、気象庁あるいは、火山噴火予知連絡会会長の藤井委員からご意見ございますでしょうか。

【齋藤専門委員】  書き方の問題として1点。「気象庁長官の諮問機関と位置づけられ」については「位置づけられている」というよりも、「気象庁に置かれている」という書き方のほうがいいと思います。

 それから、問題なのは、地震調査研究推進本部は法令で設置されているけれども、火山噴火予知連絡会は法令で設置されたものではないということです。

 それから、体制というと、制度面、要因も含まれるのでしょうか。

【清水主査】  ここでは具体的に書いてなくてぼかしてあるのだと思います。

【齋藤専門委員】  「必要である」や、「強化が望まれる」ということであればそのとおりだとは思います。

【森田臨時委員】  それと、ご指摘の点なのですけれども、そもそも、火山噴火予知連というのは火山噴火予知計画の中でつくられ、気象庁の諮問機関として位置づけられているというつもりで書きました。

【寺田地震・防災研究課長】  火山噴火予知計画で設置すると明記されています。

【森田臨時委員】  法律というところが重要であるということと、必要であることを期待するというくらいでいいというのであれば、そのように修文したいと思います。

【寺田地震・防災研究課長】  何が足りないというふうに考えるかによって書きぶりは全然変わってしまいますが、法律で設置されているか否かが問題なのか、研究を推進する体制として何が不足していると考えているのかが問題なのかで、書き方が変わると思います。

【森田臨時委員】  例えば、地震防災については地震調査研究推進本部の部会が、国としてやるべき事を順序づけて実施されているが、火山に関してはそういう機能が不足しているということを書きたいということです。

【小泉専門委員】  もう少し詳しくお聞きしたいのですが、地震調査研究推進本部は「防災」が前面に出ていません。火山噴火予知連絡会は気象庁の諮問機関であるがゆえに「防災」が前面に出てくると思います。もう少し基本的な調査研究をやりやすいような体制をつくってほしいということでしょうか。

【森田臨時委員】  火山噴火予知連絡会での議論では、防災も基礎研究も、両方協力して進めなければいけないという考え方に立って議論されています。そのときに火山観測体制検討委員会で議論はされていますが、そこでの意見が政策にはうまく反映されていない。このプロセスをうまくやることにより、基本的には合理的な観測体制がとれるのではないかと思うわけです。

【齋藤専門委員】  それは、地震調査研究推進本部でもあまり変わらないのではないかという気がします。確かに地震調査研究推進本部は調整して施策を進めていますが、火山の場合は、調整機能という観点はもちろんあるかもしれませんが、それだけでは無いと思います。

【清水主査】  火山噴火予知連絡会にある火山観測体制検討委員会では、長期的な施策の観点からの議論はされていません。一方、地震調査研究推進本部は一応、施策という観点から議論されていると考えられます。さらに、地震及び火山噴火予知のための観測研究計画になったけれども、計画推進のための体制の観点になると、足並みが揃っていない。これらの問題をどのようにまとめて記載するかは難しいですが。

【齋藤専門委員】  全体として、もし、枠組みを見直す必要があるというのであれば、やぶさかではありませんが、現在の枠組みの中ではやるべき事をしっかりやっているという認識です。

【清水主査】  ここも重要な箇所なので、もっと議論が必要です。本日は主査預かりとさせてください。

【森田臨時委員】  次に、「(3)計画を推進するための予算的措置」の項目で、現行計画には、各機関がそれぞれ予算獲得に努力しなさいと書かれてあります。それで、今後の展望では、大学法人の現状について強調して書いています。

【清水主査】  この観点は、前回の火山噴火予知計画のレビューでも指摘したことで、引き続き明記するということでしょうか。

【森田臨時委員】  共同利用・共同研究拠点として、責任を持つことが大事だということは書き加えています。

【宮澤専門委員】  質問ですが、ここで言う中核となる共同利用・共同研究拠点というのは東京大学の地震研究所のことでしょうか。

【森田臨時委員】  はい、具体的に言うとそうです。

【平田委員】  だけど、京都大学防災研究所についても共同利用・共同研究拠点なので、役割はあるはずです。

【宮澤専門委員】  いや、何を申し上げたかったかと言いますと、もし京都大学防災研究所も入るとすると、「十分に配慮する」の意味の具体性がどのような中身を想定しているのかと。それによっては大学のほうの中期計画とおそらく兼ね合いがあるので、ただ、最後の文章が「期待する」でまとまっているので、そんなに強い表現ではないのでいいのかなと思ったのですが、「十分に配慮する」というのは、例えば、予算面の配慮なのか、それとも共同利用研究という観点なのか、どのようなものを想定されているのでしょうか。

【平田委員】  それは予算でも人員でも総合的に共同利用という枠に入ると思います。だから、ここでは、東京大学の地震研究所と京都大学の防災研究所と明記したほうがいいと思います。それから、「自治体に配慮を期待する」というのは、具体にどういうことでしょうか。

【森田臨時委員】  例えば、火山の場合は、幾つかの地方自治体が観測網を実際につくっているという実績があります。

【平田委員】  だけど、それはレビューの中にそういうことを記載されていますか。

【森田臨時委員】  レビューの中では記載されていません。

【平田委員】  もしそうするのであればレビューの本文中に、明記すべきではないでしょうか。

【小泉専門委員】  成果や実施状況のどこかに書くべきだと思います。

【森田臨時委員】  具体的に「○○が△△に観測点を設置している」と明記するということですね。

【清水主査】  共同利用・共同研究拠点については、固有名詞を明記するということでよろしいですか。

【森田臨時委員】  現行計画の中では、共同利用・共同研究拠点の機能を強化すべしと書かれているだけで、固有名詞は記載されていません。

【清水主査】  では、具体的に書いてもよいでしょうか。宮澤委員。

【宮澤専門委員】  構わないと思います。

【森田臨時委員】  5の「国際共同研究・国際協力の推進」で、産業技術総合研究所の記述、「23年度末にワークショップを開催した」と書きましたが、よろしいでしょうか。

【小泉専門委員】  23年度末の2月に開催予定なので、構いません。

【森田臨時委員】  了解しました。

【森田臨時委員】  では、次に6の「研究成果の社会への還元」の「今後の展望」というところについて、特に下線部分についてご意見をお願いします。

【清水主査】  表現が適切かどうかはともかく、火山のほうで行っているような防災エキスパートのシステムも参考にして、より自治体等と密接な啓発活動を行ったらどうかということについてアンダーラインの部分を書き加えるということについてですが。

【平田委員】  見直し計画でも議論になりましたが、成果をわかりやすく社会に発信するだけではなくて、この研究計画自体がどういう計画であることが、そもそも知られていなかったという意見が結構強かったわけです。特に、地震学会のような一定の専門家に対しても、現行の研究計画についてあまり知られていなかったのは事実です。だから、内容についてもう少しわかりやすくする必要があります。つまり、我々がどういう計画でやっているかということについて、広報活動をすべきということを少し明確に書いたほうがいいと思います。

 限界がどこにあるかというのは、かなり難しいことです。文章として書くことは結構だと思いますが、そうではなくて、我々が何を目指して、どういう方向でやっているかということを明記することで、まさにこの計画の限界がおのずとわかるということです。ここの広報活動の具体の内容として、成果だけではなくて、この計画そのものをもう少し広報する必要があるかと思います。

 それから、国際研究のところで、これも見直し建議の中ではかなり強調したことですが、もう少し世界のほかの地域の地震火山噴火予知、あるいは予測の研究のコミュニティーとの交流を組織的にやる必要があります。

【森田臨時委員】  それは、今後の展望の国際協力の推進の2つ目の項目のところに「超巨大地震や、カルデラ形成を伴う極大噴火などの低頻度大規模現象を正確に把握するためには、国際協力によるグローバルな観測と研究体制が不可欠である」として、具体的には、国土地理院が既に進められているような例を挙げながら一応書いております。 おそらく、今後、参考資料に各関係機関の国際共同研究の一覧が掲載されます。これについては、各機関から相当な数が報告されていますが、足りないのはグローバルという視点なのだと思います。

【平田委員】  ほんとうは外部評価を外国人も入れてやるべきですね。例えば、成果報告会に類するようなものを国際シンポジウムとして開催してもよいと思います。つまり、国内の一般の人向けだけでなく、国際的な研究コミュニティーに対して、予知計画の成果を共有する必要があります。

昔は日米地震予知会議というのがあって、現在は、USGSと国土地理院が窓口となって行っている会議があります。今は現行の計画とは全く関係なくされていますが、昔は予知計画の中で行っていました。これらについて、レビューの中でも少し明確に記載が必要かなと思います。

【藤井委員】  火山では、外国人を呼んで行っています。

【平田委員】  そうですか、事務局、大変ですけれども、今度やってもいいですよ、そのためにはレビューを英語化しなければいけませんが。

【藤井委員】  過去には地震研究所で翻訳をやりましたね。

【平田委員】  兵庫県南部地震後のレビューは英語化しました。 時間とお金がかかりますが、そのくらいやる必要があるかもしれません。

【清水主査】  大変な提案をいただきましたが、この場では結論が出ませんので、事務局も含めて少し検討させていただきたいと思います。まず、国際協力の部分については、平田委員から具体的に文章を提示していただけると非常にありがたいと思います。

【平田委員】  わかりました。まず、内容について検討いただきたい。その上で書かせていただきます。

【鷺谷専門委員】  いや、当然それはぜひやるべきだと思います。

【森田臨時委員】  そうなると、やはり、委員会の体制を考えないと。

【平田委員】  だから、それは各部会や予知研究関係の研究者に、自分の関係しているところを英訳するように依頼すればよいと思います。

【清水主査】  では、次に成果の還元のところはいかがでしょうか。

【森田臨時委員】  成果の還元のところは、今回いろいろ意見をいただきました。<<資料1-3を読み上げ>>ご意見をお願いします。

【寺田地震・防災研究課長】  今、読み上げられたひとつ前の項目の冒頭で、「広報活動が活発に行われ、気象庁でも高度化が図られるなど、各機関は研究成果の社会への還元には努力している」と書かれていますが、その後に森田委員が読み上げられた部分が続くと、文章の構成がよろしくないと思います。

【森田臨時委員】  努力はしているが、なかなかうまくいかないというニュアンスを主張したいのですが。

【寺田地震・防災研究課長】  そうであるならば、還元に努めてきてはいるが、なかなか皆さんに伝わらない、あるいは不十分なところがある、というように、最初に指摘をしておいてから受ける文章を書かないといけないと思います。

【小泉専門委員】  今の後半の部分については、「成果を還元するなどの努力を怠ることは許されない」は「努力をすべきである」と書いた方が良いと思います。

【堀オブザーバー】  今の最後の部分ですが。この最後の内容というのは、地震調査研究推進本部の新総合基本政策で書かれている内容と思っていたのですが、予知研究計画の建議で書くということは、どういう位置づけになるのでしょうか。

【森田臨時委員】  新総合基本政策で書かれている内容は、基本的に国がこうすべきであるという計画です。「高度化することで成果を還元する」と書いたのは、例えば、予知研究計画は高度化を具体的にするためのいろいろな部品をつくるということだと整理しています。

【平田委員】  この研究計画のアウトプットは、防災情報ではなくて、研究成果だと思います。

【小泉専門委員】  火山噴火予知連絡会は、直接防災情報を出していますが、それはあくまで火山噴火予知連絡会が行うことであり、この研究計画が行っていることではないということですね。

【森田臨時委員】  基本的には防災の高度化に役に立つような最新の研究成果を出すことが我々の責務であるというつもりで書きました。

【鷺谷専門委員】  このことは研究の内容から読み取れますでしょうか。

【森田臨時委員】  例えば、津波の逐次予報などというものの手法が開発されたということ、これは防災に今後役に立つだろうというような書き方をしています。

【鷺谷専門委員】  研究計画の内容の箇所で、ある程度具体的に明記されていないと、還元すべき成果が何であるかというところが不明確になります。

 もう1つは、防災という面で住民たちに情報提供をする際、やはり防災の専門家が中心な訳ですが、我々の分野との関係を「連携」と表現しているのは良いのですが、「役割」については明記されていないように思います。

【森田臨時委員】  そこについては、我々は基本的には防災機関にこの研究成果を提供する、防災に役に立つ研究成果を提供するというスタンスで、かなり意識して書いたつもりです。

【堀オブザーバー】  ここは地震と火山では書きぶりが多分違うと思います。

【清水主査】  火山の場合には研究者が直接社会と接していて、防災に結構踏み込んだアドバイスもしていますが、地震の場合には、堀オブザーバーからも指摘があったように、地震調査研究推進本部があるので、そことの役割分担の整理が必要です。

【小泉専門委員】  要するに、地震調査研究推進本部の先には中央防災会議があるので、地震調査研究推進本部も防災には触れません。この点が火山の場合と違いますね。だから、「社会実装」は強い言葉だなと思いました。難しいですね。

【清水主査】  ここについても、今すぐに結論は出ませんが、書き方については考えたいと思います。

【森田臨時委員】  どうもご意見ありがとうございました。

【清水主査】  <<資料2について説明>>。

【平田委員】  「地震と火山の研究の到達点は違う」ということがわかるということが2つ一緒にやったことの一番重要なことです。だから、むしろ、ここの3を最初に持ってきて、最初に統合した成果と展望を書いたうえで、個別の成果と展望を書いてはいかがでしょうか。

【清水主査】  わかりました。確かにその方が明瞭ですね。

【平田委員】  執筆は大変だと思いますけれども、地震と火山の計画を統合した点が一番重要で、各々比較することで初めてわかったことが統合した一番の効果だと思います。その上で、地震と火山の相互作用や体制の違いあるいは違いについても明記すれば良いと思います。

【清水主査】  今の平田意見の委員で、特に反対がなければ、その方針でたたき台(草案)を準備させていただきたいと思います。

 次に、4番の総括的評価の総括的評価と今後の展望についてですが、3章、4章、5章を全部踏まえて整理する必要がありますが、まだ、精査できていないので現時点ではなかなか難しいかもしれません。資料2には書くべき論点を整理させていただきました。本日はお時間がないので、後で議論させていただきたいと思います。

【平田委員】  参考資料3の一部見直し計画の1頁目27行目では、「予測のための観測研究」と「解明のための観測研究」と「観測技術の開発」と「体制の強化」という4つの項目を柱として推進してきて、この4項目を柱として進めるという考え方は現在においても有効であると整理しました。この「現在においても」というのは、「現在の5カ年計画の間は」という意味で、その次の予知計画ではこれがいいかどうかということはここでは拘束していません。ですから、ここで一番重要なのは、こういう4つの柱で、順番より何より、こういう4つの整理でいいのかが最も重要なことです。

地震予知のための新たな観測研究計画(第1次新計画)のときには、「理解する研究」と「体制の整備」と「新技術の開発」という3つの柱で計画が推進されてきている。それで、第2次新計画になったところで「予測のための研究」という柱を追加して、予測と理解と新技術と体制という4つの柱にしました。それで地震と火山が統合されたときに、この地震の4つの柱というのに火山も一緒になっていただいてつくったという経緯がありますので、これは、私としてはかなり自覚的にこの4つの柱立てをつくっていますので、ここはもう1回この4本柱で良いのか議論が必要。さらに、その上で予測のための研究と理解のための研究の順番についての検討が必要です。

【清水主査】  ありがとうございました。平田委員から考え方について整理をしていただきました。

【藤井委員】  測地学分科会のほうでも、やはり今回の大震災を受けて社会の中の科学という視点で議論しなさいという宿題があるので、それは最後のところに、成果の還元を含めて追記してください。。

【平田委員】  「科学のための科学」ではなくて「社会のための科学」というのは、あらゆる分野において70%か80%の研究者はそういうつもりでやっているというアンケート結果があります。

【齋藤専門委員】  今回のレビューにも各所で触れていますが、大規模地震に起因する現象の予測にも重点を置くということであれば、4.の中の項目として考えていただければと思います。例えば、津波についても触れていただきたい。

【清水主査】  わかりました。ありがとうございます。

 今後、本日頂いた貴重なご意見を踏まえて、3章、4章、5章についてはブラッシュアップを、また6章の総括的評価についてはたたき台(草案)を準備させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

[議題2.その他]

(事務局から資料3-1、3-2を用いて平成23年度年次報告について説明。)

  •  昨年と同様に、オンライン入力システムを使って行うこと。
  •  具体的には1月中頃に再度案内すること。

【宮澤専門委員】  資料3-2の裏面の一番下に注意事項が書いてありますが、前年度と同じようなシステムであれば、報告様式が印刷用とweb公開用の2種類あるだけなので、報告者側が作業上、特に気にする必要はないと思います。

【小泉専門委員】  参考資料3の現行の一部見直し計画についてはいつのものでしょうか。

【安藤地震火山専門官】  これは地震及び火山噴火予知のための観測研究計画再検討委員会(第2回)の配付資料ですので、内容は古いものです。

【小泉専門委員】  まだ修正が反映されていないということで了解しました。

【平田委員】  観測研究計画推進委員会では供覧されていないのですか。

【安藤地震火山専門官】  日々リバイスが進んでいますので、未定稿という点を了解いただければ供覧することが可能です。

【平田委員】  内容については一部変わりますが、最新版を供覧しないと、レビューの内容についても矛盾が生じる可能性があるので、是非お願いします。

【安藤地震火山専門官】  了解しました。

【飛田専門委員】  資料の3-1についてですが、依頼から締め切りまでの時間を十分取っていただきたいと思います。

 それともう1つ、東北地方太平洋沖地震についての取り扱いについては、WEB入力依頼の際に明確にしていただければと思います。

【安藤地震火山専門官】  了解しました。

 

(以上)

 

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研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)