地震火山部会 観測研究計画推進委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成23年6月8日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室

3.出席者

委員

(委員)	平田
(臨時委員)	清水、松澤、森田
(専門委員)	市原、齋藤、鷺谷、棚田、飛田、西澤、三浦

文部科学省

鈴木地震・防災研究課課長、北川地震調査管理官、迫田課長補佐、高木地震火山専門官、飯高学術調査官

オブザーバー

高橋、桑原

4.議事録

[議題1 「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」のレビューに実施について]

「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」のレビューに実施について測地学分科会運営規則第3条第7項の規定に基づき、松澤臨時委員が清水主査から主査代理に指名された。測地学分科会運営規則(参考資料1-2)等により、議事運営について事務局より説明があり、了承された。

 

【清水主査】最初の議題ですが、「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」のレビューの実施についてです。レビューは当委員会で起草するということになっており、既に地震火山部会で作成方針と進め方について了承されており、それに基づいてレビューの作業に入るはずでしたが、その直前に東北地方太平洋沖地震が発生いたしました。そのままの既定の方針で進めてよいかどうか疑問に思いまして、前回は皆さんにご意見をいただいたところです。その意見を取りまとめて地震火山部会に上げて、先日、再度審議をいただきました。その審議結果に基づいて、きょうさらにこちらで細かく皆さんにご意見をいただき方針を決めたいと思います。

事務局から説明をお願いします。

【高木地震火山専門官】(資料1-1を用いて、本議事の進め方について説明。)

【清水主査】どうもありがとうございます。

資料1-1ですが、よろしいでしょうか。本日はこの流れに沿って検討をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

最初の検討事項は、(1)作成方針と進め方についての確認です。事務局から説明をお願いします。

【高木地震火山専門官】(資料1-1、1-2、及び資料2-3を用い、地震火山部会で審議・了承された、レビューの作成方針と進め方の修正案について説明。)

【清水主査】ありがとうございました。資料1-2が地震火山部会の審議を経まして部会長・部会長代理一任という形でまとめたレビューの作成方針と進め方です。下線を引いた部分が、以前の作成方針と進め方から変更・追加されたところです。地震火山部会ではいろいろな意見が出ました。レビューと建議を行う人たちが同じでいいのか等、かなり幅広い意見もありました。具体的にレビューを行うということに関してですが、レビューの進め方については、東北地方太平洋沖地震についての特別の章を設けるということです。この取り扱いについては、近年発生した地震及び火山現象の中で扱うという意見や、特別に別冊としてもいいのではないかという意見もありましたが、いろいろご意見を伺った結果、特別の章を設けることは必要であろうとなりました。そこで、東北地方太平洋沖地震の、現時点における知見をとりまとめ、特にあの地域でマグニチュード9の規模の地震が起こることを想定できなかったことも含めて徹底的に総括して、その上で、今後の課題、それから、それに基づき、これから進めるべき研究の方向性、戦略といったものをまとめていくという意見で、大枠で皆さん一致したと考えております。

具体的な構成ですが、これも意見交換をおこない最終的に部会長一任となったわけですが、東北地方太平洋沖地震について、資料1-2の中に3つあるように、○この地震発生までに理解できていたこと、○この地震の発生によって新たにわかったこと(今回の研究成果)、○今後理解をしなければいけない課題をふまえて記述することになりました。具体的にこの名前で小項目を立てるかどうかは別とて、この3つについては、きちんと書くことが必要だろうとなりました。

この作成方針に基づいて進めてよいか、皆さんにご確認をいただきたいと思うので、ご質問等ありましたらお願いします。

【鷺谷専門委員】ここに3項目あり、前向きな書き方をしているように見えるのですが、なぜこの地震が想定できなかったのかという観点が項目立てに見えないので、これでよいのかなと少し心配なのですが、何か議論があったのでしょうか。

【清水主査】おっしゃるとおりですが、この細かい項目については部会長及び部会長代理に一任だったので後から考えたことです。ただ、地震火山部会での議論では、先ほど申し上げましたように、長谷川先生や松澤委員から、今、鷺谷委員がおっしゃったような観点・視点で、あの場所のM9の地震が想定できなかったということを徹底的に検証すべきであるというご意見をいただいていますので、それもこの中に書くのですが、この項目ではそれがよく見えないということはあろうかと思います。ということは、例えば、そういう項目を1つ設けるか、あるいは、もう少しそれがわかるような項目に変えるかということですね。もしその部分を書くとしたら、どこで書くのですかね。理解できていたところで触れるのでしょうか。

【松澤主査代理】もう既にこの章は私の担当だということを先に決められているようですけど、この並びでいけば、最初の○が「この地震発生までに理解できていたこと、理解できていなかったこと」、というような書き方でまとめるしかないと思うのですが、個人的にはさらにその一つの細項目としても、なぜM9を想定できなかったのかということを明示的に示したほうが、国民の皆様の理解が得られるのではないかと考えています。

【清水主査】今、鷺谷委員からいただいたコメントは非常に貴重ですので、それを含める形で書くということです。細かい項目名とか項目の内容については、まず、たたき台を書いていただく方にある程度お任せして、とにかく想定できなかったこともきちんと書くということでお願いするということでよろしいでしょうか。

そうしましたら、あくまでも最低限この3つの項目、それから想定できなかったことも書くということにして、細部はこれからたたき台を書いていただく委員にある程度お任せするということにさせていただきます。

【森田臨時委員】東北地方太平洋沖地震についてですが、この地震発生で今後理解しなければいけない課題という中では、当然のことながら、これほどの超巨大地震の発生という、より一般化したものについても書くと思っていいのですね。

【清水主査】そうだと思います。平田部会長、何かご意見ありますでしょうか。

【平田委員】この3つの○は、こういう視点は必ず入れる必要があるということで、別にこういう項目を3つつくるということではないと思います。議論の中で最低限度これをやるということです。例えば理解できていたことを明確に書くということは、理解できていないことと当然セットになります。それから、新たに理解できたことというのは、「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」でやってきたことではできなかったけれども、この地震が起きたことによって新たに得られた知見が中心になると思います。地震が起きたけれども、わからなかったことも当然あると思います。そういう観点からも、3つ目の今後理解しなければならないことというのは、森田委員が言われたように、太平洋沖地震そのものもあるし、マグニチュード9クラスの地震についての研究をどうしなければいけないかというようなことも含まれていると思っています。

重要な点は、これは建議された今の計画のレビューとしてやることです。今の建議の中には当然ですが東北地方太平洋沖地震という章はないにもかかわらず、これをわざわざ入れたということは、今の建議のレビューの枠組みの中にこういう章を立てなければいけないほど非常に重要なことだということです。例えば、超巨大地震とかハイパーサイクルのようなことは、実は今の建議の中にも書いてあるわけですけれども、それは小項目として書いてあって、その他の幾つかの研究課題の1つのような扱いをしていたわけです。このこと自体が合理的だったのかどうかということは検討すべきことですので、この東北地方太平洋沖地震は今の研究計画の中でどう位置づけるべきかというような観点のレビューも必要で、それは今後理解しなければいけないことに当然入ってくるものと思います。

【清水主査】平田委員からいただいたコメントに関連する議事は、実は、本日、その他のところで一応用意しておりまして、現行の建議の項目で足りない新たに加えなければいけない課題があるのかどうかということについて、ご意見をいただこうと思っておりますので、よろしくお願いします。

それから、この地震はかなり大きな地震だったので、いろんな誘発現象を伴っております。今のところ直接の火山噴火はありませんが、火山性地震も含めて少なくとも地震はいろんなところで起きております。そういう全国の誘発の現象についても、この東北地方太平洋沖地震の章の中で書くべきではないのか、という意見を地震火山部会でいただいています。誘発現象をあまり強調し過ぎると、逆に、M9の地震があの場所で起こることをなぜ想定できなかったかという、一番書くべきことの主題がぼけてしまうこともあり得るわけですが、これだけの地震で実際に誘発現象が起きているわけですので、それでよいか、ご意見いただければと思います。

【棚田専門委員】火山のほうでは、108の活火山、実はきのう110個になったのですが、その20%の火山で火山近傍の地震活動が高まったということがわかっております。ただ、火山噴火の連動性で言えば、数年以内に噴火する例も入ってくるので、火山活動の誘発現象をどこまで書けるのか、少し気になるところです。

【清水主査】レビューは今年度実施することになっていますので、取りまとめ時点までの地震火山現象です。先の噴火を予測するわけにはいかないので、現時点では、主に地震活動ですね。特に、今までなかった正断層型の地震が起きるなど特筆すべきことがありますので、そのような地震現象を主に書くことになると思います。

【平田委員】この章のレビューの進め方ですが、時間の節約にもなると思うので、事務局はなるべく理路整然と議論できるよう、まず枠組みを決めてから進めることを望まれるかもしれませんが、1回ぐらいは、少なくともこの3本柱は前提に、レビューで考慮すべき事項は何かということをブレーンストーミングに近い形で自由に意見交換をして、それを事務局で整理し再構築するというのはどうでしょう。その議論はこの3つにはおさまり切れない別の項目がある場合には特に必要でしょうし、その議論を踏まえた形でこの章の担当になった委員にある程度整理していただくというようなやり方もあるかと思います。

地震火山部会とこの観測研究計画推進委員会との違いは、研究の現状をより理解されている方がこの委員会のほうが多いということですので、概念的なレビュー実施内容の点検のほかに、個々の現象に基づいた科学的な議論を1回はやったほうがいいと思います。

【清水主査】ご意見ありがとうございました。事務局、いかがですか。

【高木地震火山専門官】平田先生のご意見は、ごもっともなお考えだと思います。わざわざ新たに章立てするという位置づけの確認にもなりますし、確かにこれだけで執筆担当者に草稿を取りまとめていただくのは不十分だと考えます。もう少し科学的な議論を行い、レビューで具体的にどう書くべきかということをふまえつつ、自由に意見交換するという場を一度は設けた方が、よりよいものができるのではないかと思っておりますので、検討させていただきます。

【清水主査】では、そのようにしたいと思います。先ほど平田委員が言われていた、新たな項目、必要な項目とか、欠けていた項目ということも、そういうブレーンストーミングをすることによって見えてくるかもしれませんので、一度それを行う方向で準備をさせていただきたいと思います。

それでは次に、もう少し具体的に、レビューに向かって必要な準備のため、(3)レビュー資料の調査項目について、事務局から説明をお願いします。

【高木地震火山専門官】(資料1-1、1-3を用いて、レビュー資料の調査項目等について説明。)

【清水主査】どうもありがとうございました。少し込み入っていますが、基本的には前回のレビューの調査項目にそろえたということです。違うところは東北地方太平洋沖地震の部分だけだと思います。

前計画の最後の2年は、火山については地震のように項目別、機関別の年次報告をまとめていませんので、その部分は新た調査にする必要があるということで、火山の分だけは調査項目に入っています。平成23年度、地震も火山もまだ報告が出ていませんので、それはアンケートをするということです。

【森田臨時委員】フォーマット1の火山の平成19~20年度ですが、火山の前計画は、集中観測と構造探査が予知計画でやっているということになっておりまして、それぞれ報告書は一応まとまっております。それを、例えば今の計画の課題に分けるとなると、事務的な作業なのに、あまり実質を伴わないような作業が生じてしまうのではないか。最終的にはレビューとして資料1-2の2枚目のような格好にまとめればよいという趣旨だと思うのですが、そのときに、火山についての19~20年度をこういう形式でさらに資料収集する必要があるかどうか、少し考えたほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【清水主査】森田委員からご指摘のあった点ですが、あとで2か年分の集中観測と構造探査についてレビューの中でどう扱うかということを皆さんにお伺いしようとは思っていたのです。例えばアンケートの中では事務局の説明のとおり課題番号9200として、これは火山体構造探査で集中観測だとしていただければ、アンケート調査の報告はあるし、現に研究成果についても報告書がまとまっているわけですから、それをまとめればいいわけで、何とかなると思ったのです。

ところが問題は、それを具体的にレビューの中で書くときにどこに入れるかというのは、実は少し悩ましいのですね。資料1-2の2枚目の構成案を見ると、ここには集中総合観測と火山体構造探査がないので、これを書くときに、例えば噴火準備過程とか噴火過程に振り分けて書くのか、あるいは別にどこかで小項目をつくって書くのか、きょうご意見を伺いたいと思っていました。

さらに私の考えを言うと、基本的に火山体構造探査と集中総合観測は、準備過程、噴火過程、両方を含んでいるので、その近い項目として書く。そのときに、これは火山体構造探査、あるいは集中総合観測ということで行ったということを明記してもらうようにしたらどうかと思ったのですが、いかがでしょうか。

【高木地震火山専門官】少し補足しますが、地震の5年前のレビューのときは、そのときの第2次新計画とその前の第1次新計画のところをまたいだので、建議の項目によっては対応表が必要になり、前の建議の2年間分の項目がどこに対応するかがわかるような対応表をつくったわけですね。それを考えると、例えば前回の第7次火山噴火予知計画の中にも、例えばマグマ供給系の構造と時間的変化の把握等、建議の大項目、中項目があります。それが今の建議のどの項目に対応するかという一覧表をつくった上で、それに沿って構造探査なり集中観測の成果を取り込んでいったらいいのではないかという考え方もあります。

それと、実際にこれまでの火山噴火予知計画というのは集中観測や構造探査の成果を報告することによってレビューの一部の役割を果たしてきたという経緯もありますので、それまでと同じようなやり方として、構造探査、集中観測の成果を別の項としてつくって、前の2年間はそれに置き換えるという考えも、あるのかもしれないので、少しご意見をいただけたらと思います。

【清水主査】実は、以前の火山噴火予知計画のレビューの中でも、火山体構造探査、集中総合観測という項目は、そもそもないのですね。ただ、観測研究の強化というところで実施状況を全体的に述べているのです。何年次にどんな構造探査をやった、集中総合観測をやったということを述べて、サイエンスとしての成果について、マグマ供給系の時間的変化とか、それぞれの現象を理解する中項目にそれぞれ対応させて書いているのです。だから、そういう意味では、実験観測という中項目で実施状況を書いていたので、その部分が今度の新しい項目案にないだけで、サイエンスとして書くのは、今回で言えば、準備過程、噴火過程、場合によったら長期・広域かもしれませんが、その項目の中に散りばめる形になるのではないかと思うのです。そうすると、集中総合観測と構造探査をやったということ自体がよくわからなくなるのですが、例えば今まで構造探査は何年次に何をやってきたかを取りまとめた報告書のリストは後ろの参考資料にありますので、そういう資料を用意することによって事業が行われてきたことをわかるようにするということが多分現実的ではないかと、思っているのですが、いかがでしょうか。

【森田臨時委員】今回レビューすることになり、火山噴火予知にかかわっている人の意見をいろいろ聞きますと、火山は、地震と一緒の計画になり、今までの地震予知計画のやり方に合わせ過ぎたので、火山研究のやり方そのものを随分変えてしまい、やりにくくなったという意見も耳に入ってくるのですね。ですから、レビューの中では、地震と火山が協調する部分はやはり進めていかなくてはならないけれども、火山研究を進めるためにもう少し項目を入れかえるだとか、つくり直すということも念頭に置いたレビューにすべきではないかと。そうしたときに、今まで構造探査、集中観測をやってきて、それによって成果が上がってきたということがもう少し見えるようなかたちのまとめ方が必要ではないか思うのです。過去の地震と火山のレビューを見比べると、つくり方は全く違いますよね。これをどう一緒にするのかというのは非常に悩ましいとは思いますが、清水主査が言われるような格好でうまくまとまればいいとは思います。今回、霧島火山が噴火したというのをもう少し何年か前に集中観測というような格好で集中的に取り組んでいればというような反省も含めて考えると、集中観測のようなものを次にはもう少し考えてもよいのではないかと個人的に思っています。

【清水主査】わかりました。構造探査等の成果については、それぞれの準備過程や噴火過程の中で扱っていただくとします。ただ、森田委員が言われたように、火山は火山独自の計画の進め方があって、それを次の建議ではよい方向に生かすというのであれば、それがわかるような形でレビューのどこかで書くということですかね。後の総括的評価のところでもいいかもしれませんし、あるいは体制のところでもいいかもしれません。

さらに、レビューの書き方が地震と火山で大分違うとおっしゃいましたが、ほんとうにそうでして、例えば近年発生した地震及び火山現象に関する重要な観測研究成果の章のところでも、地震の場合には、地震調査研究推進本部があるので、それとのある程度のすみ分けというのもあるので、基本的に地震のレビューではサイエンスを書いているのですね。だから、どこの機関がどんな観測研究をやったなんていう書き方でなくて、こういう地震が起きてその地震に関してこういうことがわかったという書き方です。火山のほうは、地震本部に対応する組織はないので、予知計画の中でいわゆる活動評価も全部やってきたという経緯もあります。もちろんサイエンスも書いてあるのですが、例えば気象庁であれば、どういう取り組みを行いどういう情報を出したというようなことまで触れており、そういうことが結構メーンに書かれているのです。このように地震のレビューとは、かなり書きぶりが異なります。地震本部のあるなしで、根本的にかなり違うところがあるので、全く同じような書き方に統一することは、多分難しいと思います。現象解明のため研究については学術的成果を書けばよいので、そろえられると思いますが、特に体制に関する部分については、書き方は若干変えざるを得ないのではと思っています。

【松澤主査代理】火山のことをよく知らないので少し教えてください。森田委員のお話だと、前の火山噴火予知計画の最後の2年間の主な成果は、基本的に集中観測と構造探査という理解で、それ以外は特に必要ないということでよろしいですか。

【森田臨時委員】基本的には、地震火山噴火予知事業費で行った大きな事業はそのふたつです。個々の火山に対しては、各大学のセンター等でふだんからやっています。火山は、いまの計画が始まってからの2年から3年間はこの項目できれいに書けるのですが、それ以前は新たな項目をつくるのはなかなか難しい気がするので、アンケートの取り方は考えたほうがいい。レビューするときの具体的な格好の枠はもう決まっているわけですから、どのように書くのかは執筆担当者に任せて進めるしかないのではないかとおもうのですが。

【松澤主査代理】私の質問の意図は、レビュー起草の担当者は構造探査とか集中観測のことだけ拾えばいいのかということで、そうであれば話はかなり簡単で、その報告書を読めばいいのですが、それ以外に拾う必要あるかないかです。

【清水主査】それ以外に拾う必要はありますね。火山噴火予知計画における事業費は構造探査と集中観測に対してしかないのです。今、地震のほうは細かくいっぱい課題があって、それぞれに事業費が振り分けられていますが、火山の場合には集中総合観測と火山体構造探査の大きな課題ふたつしかないので、それだけ報告すれば、事業費に対する責任は果たしているのですね。しかし、実際は、事業費は振り分けられてないが、それぞれ基礎的な研究等やっており、それは今までのレビューでも全部拾い上げ、事業費のあるなしにかかわらず全部書いていましたので、今回のレビューでも、そういう形にする必要があると思います。

【高木地震火山専門官】補足ですが、建議の実施機関は国立大学法人だけではなく、独法研究機関等もあります。今回、この建議の実施計画を最初に個別につくったときでも、国立大学法人以外の各機関ではおそらく、中期計画等の研究課題とか、それまでに取り組んでいたものがあったと思うのですね。その中で、この課題は今回の建議の中のこの項目に対応するとかを考えつつ、個別の課題の実施計画をつくったと思います。ですから、大学の地震火山噴火予知研究事業費以外の研究も、今の建議の前の2年間について、対応はまったくできないとは思わないのです。科研費等の競争的資金で進めている研究も当然ありますし、政府機関によってはそれぞれの組織の中の研究計画で進めているものもあるかもしれません。国立大学法人の課題数は多いとはいえ、国立大学法人の考え方だけではなく建議の実施機関全体を広く考えていくと、構造探査と集中観測だけの報告だけで済ますというのは難しいのではないかと考えているのですが。

【清水主査】私も自分たちの大学のことしか頭になかったのですが、官庁も含め全体で予知計画を進めており、それを全部レビューしていますので、これは当然です。以前、今回の新しい建議の項目と、前の建議の項目の対応表をつくったはずですので、それで前の計画の2年分のことも書き込めると思います。基本的には、実際に分担執筆する委員の判断で、前の2か年分の成果はうまく振り分けていただき、振り分け切れない、あるいは漏れたりとか重複したりというのが出てくるかもしれませんが、それは、今後この場で修正していくということになると思います。

そういうことを今考えていたら、確かに火山の前のレビューの起草委員会でも、構造探査とか集中観測はレビューの項目名にないので結局振り分けていて、その際重複とかが結構出てきたのを思い出しました。後に草稿を持ち寄った段階で、ある程度整理をして、重複がないよう対応し覚えがございますので、今回もそういう形になるのだろうと思います。

【齋藤専門委員】私も思い出したのですが、地震と火山が一体になる前の、たしか平成20年度末の予知協議会の成果報告のシンポジウムでは、火山も一緒にやるということで、完全に網羅はできていなかったかもしれないですが、このフォーマットのようなものを幾つかの課題ではつくった記憶もあるのですが、そういうものは参考になる程度かもしれませんが、今回利用できないのでしょうか。

【清水主査】ありがとうございます。完全に忘れていますので、今、この場ではすぐに答えられないです。

【森田臨時委員】結局、従来からやっていた、19年度、20年度の火山研究に対して、フォーマット1の(5)と(6)を除いて書くということですね。

【清水主査】そういうことです。実際、書きようがないところは白紙になるところもあるとは思うのですが、一応、こういう形で皆さんにアンケート調査をして、書ける範囲で書いていただくということにします。

【三浦専門委員】フォーマット1についての、※の3番目ですが、これは太平洋沖地震に関連するような既往の課題研究があった場合にはその中で書くという、そういう意味ですね。そうであれば、レビューを書く側からすると、別にしたほうが書きやすいのではないかと思うので、むしろ積極的に分けて書いていただいたほうがいいのではないかと思うのですが。

【高木地震火山専門官】第3章を書く執筆者はそうかもしれませんが、それぞれの中項目の執筆者にとっては、もしこれまでの建議の中項目に当てはまる課題であった場合には、逆に漏れてしまう可能性もあるわけですね。

【三浦専門委員】重複は許すような格好にしていただいたら思いますけど。

【高木地震火山専門官】書き方は事務局で考えますが、基本的には実施計画個別課題の中に盛り込まれうるものであれば個別課題番号を書いていただき、それがさらに東北地方太平洋沖地震に関する研究成果であれば、それがわかるようなフォーマットにしたいと思います。どこにも入らない場合には、例えば課題番号9100番として報告していただければ、それは太平洋沖地震の成果ということで、わかります。そうであれば、各項目の執筆担当者も、東北地方太平洋沖地震の担当者も、それぞれわかると思います。

ですから、各項目と東北地方太平洋沖地震の項目の両方に関連するものは、2つの課題番号をつけておけば、そのアンケート調査結果用紙をもとに、執筆担当者が取りまとめるときにわかりやすいかと思います。

【清水主査】よろしいでしょうか。

それでは、ほかのフォーマット、2、3、4はいかがでしょうか。

【飛田専門委員】論文および報告書のフォーマット3を確認したいのですが、まず、対象年度は19~23年度ということで、年次報告に記載のあるものプラス23年度のすべてを対象になるということでしょうか。それとも査読つきのみでしょうか。

【高木地震火山専門官】5か年分をまとめて報告いただきたいと考えております。

【鷺谷専門委員】ここで集めるのは19年度から23年度ということになっていますが、23年度はどうしても年度の前半部分しか入ってこないですね。前回のレビューというのも18年度の途中に作成をしているはずなので、19年度からですと18年度の後半部分が抜け落ちているような気がするのですが、いかがでしょうか。

【高木地震火山専門官】鷺谷委員のおっしゃるとおりです。正確に言うと、18年度途中からなのですね。けれども、資料1-3の概要のところを見てもらうとわかるように前回のレビュー実施対象期間以降の報告ということになっており、それをここで記述すると煩雑になるので、ここでは「19年度~」という数字を使っております。ですから、実際は前回のレビューで報告した後も含めて漏れがなく報告いただければありがたいというのが、ほんとうのところでございます。

【清水主査】確かに19年度って書いてしまうと、普通18年度は報告しませんよね。前回のレビュー報告の後からということになるのですが、そうすると、どこまで書いたかということになります。火山はレビューの後ろに文献の一覧がありますが、地震のレビューには、少なくともこの冊子にはついてないですよね。別冊になっていたのでしょうか。そこも覚えていないのですが。

【平田委員】予知協議会のホームページのどこかに載っていました。

それでは提案ですけど、これは多いほうがいいのですから、平成18年、2006年以降とすれば、悩まないのではないですか。発行年が2006年から、それ以降すべて。つまり、年次報告書に皆さん書いているけれども、それは早い段階で書くから、サブミットとか、インプレスとか、不確定な論文がいっぱいあるのですね。それは後々役に立たないので、直していただいたほうがいいからです。一般の組織の年次報告書というのは、普通2年分やるのですよ。少しくらい重複してもだれも文句は言わないと思うので、単純に2006年以降の論文及び報告書を報告してくださいということにすれば、紛れはないと思うのですか。

【高木地震火山専門官】わかりました。そのようにいたします。

【清水主査】それでは、修正いたします。フォーマット3の論文あるいは報告書につきましては、平成18年以降、2006年以降ということにします。

【飛田専門委員】できれば、そこに「発行年が」と書いていただいたほうがいいと思います。研究自体が2006年というふうにとらえる人もいますので。

【清水主査】わかりました。パブリッシュされたのが平成18年以降という形でアンケートをとりたいと思います。

【松澤主査代理】同じくフォーマット3ですが、例えば一覧表をつくるのであれば、最初からエクセルに打ち込んでもらうか、あるいはワードの形にするのなら、例えば地震学会誌か火山学会誌かのフォーマットに合わせて打ち込んでもらったほうが、作業をするうえでは、はるかに楽だと思うのですが。

【高木地震火山専門官】今回、会議資料としてわかりやすいようにフォーマット3のような形式にしております。松澤委員がおっしゃるとおり、前回も前々回も、テーブル形式で行っており、そのほうがわかりやすいですし、この形式ですと1つの論文で1ページ分を占めてしまいますので、それは現実的ではないです。実際の調査では、テーブル形式で行うことを考えております。

【清水主査】お手元の机上資料の火山噴火予知の一番新しいレビューの後ろを見ていただけると、一覧表になっています。前回アンケートをとるときも、多分こういう表形式でアンケートをとったはずですね。そうでないと分量もかなりのページ数になるので、このように入れ込むような形にしていきたいと思います。

【松澤主査代理】最近はページじゃなくてDOIになっているものが多いと思うので、それも考慮したフォーマットにしておいたほうがよいと思います。

【高木地震火山専門官】前回のレビューにおいてもDOIで報告されているものもございますので、それは考慮してアンケートしたいと思います。

補足ですが、レビューをするということ、つまり執筆するための準備資料としてのアンケート調査を行うわけですので、委員のみなさまが執筆する上で、こういう調査内容であったらいいのではないかというご意見があれば、実際にアンケートを行うときにそれが反映されますので、よろしくご意見いただきたいと思います。

【齋藤専門委員】今のフォーマット3のところで、最も関連の深い建議の項目については、平成18~20年度のものは現建議の項目に当てはめるということですか。

【高木地震火山専門官】今の建議に対するレビューですので、そのとおりでございます。建議の項目の対応表が必要になると思いますので、それは用意いたします。

【齋藤専門委員】フォーマット2ですが、これは課題に該当するものがないのですが、体制の強化とか、人材だとか、国際協力とか、いろんな項目が書いてあると思いますが、要するに1機関1枚で、それぞれつくるということですか。

【高木地震火山専門官】いろいろな項目で進捗があると考えておりますので、それらひとうひとつを、(3)調査の観点のところの(3-1)から(3-4)に積み重ねて記述するということになります。少しわかりにくいようなので、もうわかりやすいよう、フォーマットを書きかえておきたいと思います。

【清水主査】そうですね。齋藤委員の意見のとおりだと思います。フォーマット2の最も関連の深い建議の項目は4.計画推進のための体制の強化に固定していますが、その下の中項目についても、ここに書くべきではないでしょうか。それぞれについて、目標があり、実施状況がありますからね。

ほかにどなたか。じゃあ、市原委員。

【市原専門委員】火山の噴火素過程に関しては、以前は全く入ってなかったので、今回かかわっているのは完全に新しい人なのですが、アンケートのとり方次第によっては、全然拾われないか、あるいは、混乱すると思いますが。

【清水主査】火山では、今期から初めて素過程が入ったわけです。その前は予知計画にこの項目はなかったのですが、もちろん火山の素過程を研究している人はいたのです。予知計画の中に組み込まれていなかっただけなのですね。市原委員の意見は、それをどうしたらいいかということです。当時、予知計画に入ってなかった人の成果までくみ上げるとなると、それはそれでまた大変ですね。例えば市原委員にそのアンケートが行ったとすると、前の予知計画の残り2年で自分がやったことをレビューの中で予知計画の成果として書くのか、その判断が要るわけですね。

【高木地震火山専門官】逆に質問なのですが、例えば地震のレビューのときに新たにある段階で建議の項目がふえたとことはございましたでしょうか。要するに、今の火山と同じような状況が、5年前、10年前にございましたでしょうか。

【平田委員】研究というのは突然始まるわけではなくて、その前があるから、当然考慮はしますけれども、実際にレビューを行うためにアンケートをとるときには、まだ予知計画に取り入れられていない時期のものまでアンケートをとる必要はないのではないですか。担当者が必要と判断すれば、調査をするなり、文献を調べるなりすればいいわけで、際限がなくなるので、一応切り分けとしては、その時点で予知計画として項目が挙げられているものだけにすればよろしいかと思います。

【清水主査】では、そのようにしましょう。ほかにどなたか。

【棚田専門委員】フォーマット4についてですが、全機関と地震火山部会委員ということで、委員は個人の意見で回答できるのでしょうが、全機関というのは、所属長を含めてのような意見をとりまとめるということでいいのでしょうか。

【高木地震火山専門官】フォーマット4につきましては、実施機関とは、例えば防災科学技術研究所という機関に対してのアンケートということです。

あと、補足ですが、フォーマット4に関しては部会の委員という立場での調査も依頼しますので、重複する委員がいるかもしれません。

【清水主査】この場合は機関名ですので、それぞれの機関において、相談してまとめていただくということです。機関の長が独断で書くこともあるかもしれませんが、それは機関の責任で回答していただくということです。多くの機関のそれぞれの代表者は地震火山部会の委員になっている方も多いと思いますので、その方は重複して書かなくてはいけない。そのときには、委員としては委員個人としての考え方で書くということでございます。よろしいでしょうか。

この後、このアンケートの作業に入るわけですが、もし途中でお気づきの点がありましたら、事務局に言っていただければ、アンケート実施前であれば反映できると思います。それでは、こういう形でアンケートの実施をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

このアンケートですが、今までは地震であれば地震部会長名、それから、火山については火山部会長名で各実施機関に依頼をしておりました。今回も基本的にはそういうことで、今回は地震と火山が一緒になりましたので、地震火山部会長名、具体的には平田委員ですが、平田地震火山部会長から各機関にこのアンケートの依頼が行くと思いますので、それもあわせてよろしくお願いしたいと思います。

それでは、次の検討項目について、事務局、お願いいたします。

【高木地震火山専門官】(資料1-1、1-4を用いて、(4)近年発生した地震及び火山噴火の観測研究成果について(案)を確認した。)

【清水主査】資料1-4の上に個別にあります。能登半島の地震、新潟県中越沖地震、岩手・宮城内陸地震、以上が地震です。東北地方太平洋沖地震は別に章を設けますので、ここには入っていません。それから、火山については、桜島、霧島山新燃岳ということですが、この他に漏れているものがあるでしょうか。

【平田委員】中国の四川地震。

【清水主査】そうなのですね。下のほうを見ていただくと、平成14年度のトルコのイズミットの地震とか、海外の地震も入っていますので、そういう意味では、今期は四川地震が入ってくることになるのですが、それも含める形になりますね。

【高木地震火山専門官】四川地震に関するものでは、一昨年度の年次報告等でも出てきており、リモートセンシングの関連ではかなり成果がございますけれども、ほかにも成果があって、そこでちゃんと予知研究として進捗したというものということであれば、やはり載せなくてはいけないなと考えております。

【清水主査】ありがとうございます。ここに挙げられた事務局案と四川地震は書くということですが、アンケートをとったときに多分、例えば外国の地震や火山の成果というのが上がってきますよね。それを見て、それは非常に顕著な成果があると思ったらこの章で扱うということも考えていいと思います。もしアンケートの結果で顕著な成果等がある場合はここで扱うという形でよろしいでしょうか。それも、ここを執筆する人の考えにある程度ゆだねる。それが不適切であれば当委員会でそれはたたくという形になると思いますが、そういう形でよろしいでしょうか。

【鷺谷専門委員】前々回の平成14年のレビューにはトルコとか台湾の地震があるのですが、前回のときにはそれがないのですね。この時期には例えばスマトラの地震とかが入るはずです。今回のレビューでは、それをきちんと見ておくことは、今回の東北地方太平洋沖地震につながってくるかもしれない。だから、海外で起きた地震だからという意識で見ないほうが本来はいいのではないかと思います。

【清水主査】ありがとうございました。では、なるべく海外の地震も取り込むということですね。確かにスマトラの地震は今回の地震にもつながってくると思いますので、その成果と課題をきちんと書くということは非常に重要だと思います。

それでは、次の説明を、事務局からお願いします。

【高木地震火山専門官】(資料1-1を用いて、(5)のその他の説明。)

【清水主査】(5)のその他については、先ほど少し議論をしました。どうしても地震と火山で違う面があるので、そこについては無理やり地震と火山を同じ形で書くのではなくて、例えば火山については、火山の情報だとか体制のところも地震とは若干書きぶりが違うということは仕方がないと。ただ、研究成果のことに関しては極力同じように書くという形でいきたいと思います。それが一応、地震と火山のレビューの実施内容の違いについてというところです。

【高木地震火山専門官】(資料1-5を用いて、参考資料編について説明。)

【清水主査】これは後ろの参考資料の部分ですが、前回のレビューの火山のほうはかなり参考資料が多いのです。これはもちろん事情があるのですが、それを例えば地震のほうにすべてそろえるということになると、資料1-5の1.の(1)から(6)までということで、かなりスリムにはなります。ただ、2.というのが、それ以外に火山のほうであったということで、非常に多いわけですね。この項目は、今回のレビューでは火山に限ってつけるのか、つけないのか。あるいは、地震もある程度必要なものは、2.にあるような項目を追加するのか。例えば2.の最後の(12)というのはJICAの研修ですが、これは地震のほうでは建築研究所でやっていると思うのですが、例えばこういったものも上げるのか、上げないのか。いろいろご意見はあろうかと思います。

少なくとも、先ほどから申し上げているように、火山には地震本部のようなものがないので、例えば、2.の(3)の情報流れ、それから、先ほど森田委員からありました集中総合観測と火山体構造探査の実施内容の一覧の(5)と(6)、(7)の気象庁の機動観測、あとは(8)の火山噴火予知連絡会による火山の活動経過のようなものは、火山の場合にはあったほうがいいと、個人的には思っております。

【平田委員】(3)の情報の流れというのは、気象庁がやることではなくて、火山噴火予知連絡会がやることがあるのですか、気象庁以外のところも。

【高木地震火山専門官】火山噴火予知連絡会も含めた気象庁の情報発信の流れと、あと、今回はレベル化導入なども入ってくるので、これは必要とは思っております。

【平田委員】2.に対応することで、地震も一緒にやらなくてはいけないということは、具体的にあるんですか。

【高木地震火山専門官】すべてを対応してやるべきものかどうかわかりませんが、例えば情報に関するものであれば、気象庁が、緊急地震速報や東海の方法等も含めて、持っておりますので、地震も火山も同じ枠組みで作成するのであれば、それらも載せるべきかとも思います。

【平田委員】事務局がまとめてくれるというのであれば、だれも反対はしないので、そこは整理して、やっていただければいいのではないですか。

【高木地震火山専門官】わかりました。これらのとりまとめは事務局の作業ですので、なるべく資料の質は落とさないことをこころがけながら、実際に作業をするのに必要な機関と相談の上、この案に沿って進めたいと考えております。

【齋藤専門委員】質は落とさないほうがいいと思いますが、機動観測の資料はほんとうに要るのかなと思っています。昭和39年ぐらいからの機動観測の資料がありますが、今ではすでに連続観測を開始している火山との関係もあり、このままの形式で続けても意味があるのかどうかわかりませんので、事務局と相談をさせていただきたいと思います。

情報の流れについてですが、単に緊急的な情報だけではなくて、観測からはじめて、どういうふうに火山噴火予知連絡会で火山を評価していくかという流れになってきますので、これこそまさに地震調査研究推進本部との関係で、こちらで整理して資料を載せるかどうかということを検討して、判断いただければと思います。

【清水主査】この情報の流れは、地震の場合には多分、地震調査研究推進本部のほうだと思うのですが、火山の場合には火山噴火予知計画の中で火山噴火予知連絡会として行っていますので、それはこの中でまとめる必要があると思いますが、機動観測等については、事務局と気象庁で相談をされて、必要なければ削除してもいいかもしれません。そこら辺は検討をしていただければと思います。

今後も当委員会で皆さんの意見をいただきますので、まずはこれに沿って事務局で準備をしていただくということでお願いしたいと思います。

次は、レビュー執筆の担当者についてです。事務局お願いいたします。

【高木地震火山専門官】(資料1-6を用いて、レビュー執筆担当者(案)を説明。)

【清水主査】これは、事務局と関係する何人かの方と相談しながら、たたき台としてつくってみましたので、ご意見をいただきたいと思います。順番に見ていきますが、前書きと基本的な考え方は私が主担当をいたしますが、これは予知計画のこれまでのいろいろな経緯とかございますので、これまで担当されていた平田部会長、それから藤井敏嗣分科会長等のサポートを得ながら、進めさせていただきます。

それから、3の東北地方太平洋沖地震ですが、今、これは松澤委員が主担当ということで、あと、森田委員、金田委員、飛田委員、西澤委員、齋藤委員の6名挙がっておりますけれども、ご意見ありますでしょうか。松澤委員は主に東北のことを研究されていて一番詳しいわけですが、森田委員は大学の予知協議会企画部関係ですね。それから、金田委員、飛田委員、西澤委員、齋藤委員はそれぞれの機関ということで、東北地方太平洋沖地震に関しての知見をまとめていただく形になるのですが、こういう形でよろしいでしょうか。

一般論として言うと、あまり人数が多いと無責任体制になるのですが、でも、東北地方太平洋沖地震というのは特別な現象で、総力を挙げて総括的に評価をすべきなので、その意味では多くの方に入っていただくほうがいいと思います。

【平田委員】おっしゃるとおり、産総研の意見も必要だろうし、GEONETやHi-netなどの成果がここに入ってきますので防災科研も必要ですが、まとめ役が1人か2人いて、基本的にはこの委員会で議論をした上でまとめていけばよいと思います。

【清水主査】わかりました。それでは、ここは、松澤委員を中心として6名という形にさせていただきます。ただし、平田委員も言われたように、これは総力戦でいきますので、当委員会で徹底的にやるという形で、6名としていますが、この中に皆さん全員入っているというつもりでお願いしたいと思います。

次は近年発生した地震火山現象に関する研究成果で、森田委員、三浦委員、齋藤委員という形ですけれども、これはよろしいでしょうか。

では、一応この3人ということにしたいと思いますが、とにかく、必要に応じて意見をいただいたり、あるいは資料をいただいたりという形にしたいと思います。

次は観測研究計画の実施状況で、項目別にいきますが、最初は地震・火山現象のモニタリングシステムの高度化です。これは、三浦委員、齋藤委員、飛田委員、小泉委員と4人になっています。よろしいでしょうか。では、これはこれでいきます。

次は(2)地震・火山現象に関する予測システムの構築で、これは鷺谷委員と市原委員ですが、鷺谷委員は当然だと思いますが、市原委員、いかがでしょうか。予測システムの構築ということなのですが。

基本的にはアンケートが上がってきますので、それをもとまとめるという形になります。たたき台をつくっていただいて、後はここで議論しますので、アンケートのエッセンスをコンパクトにまとめるという作業ですので、ぜひお願いします。

【市原専門委員】大丈夫かと思います。

【清水主査】ありがとうございます。では、これはお二人が中心になってやるということでお願いしたいと思います。

次は地震・火山現象に関するデータベースの構築で、これは、森田委員、小泉委員です。よろしいでしょうか。

【森田臨時委員】はい。

【清水主査】小泉委員はいらっしゃらないけど、桑原委員にいいと言っていただきましたので、お願いします。

次は、2.の地震・火山現象解明のための観測研究の推進の(1)日本列島及び周辺域の長期・広域の地震火山現象で、これは、松澤委員、小泉委員。松澤委員はこの項目の予知協議会の計画推進部会長でした。松澤委員が中心になってまとめていただくということで、お願いしたいと思います。

次は(2)地震・火山噴火に至る準備過程。三浦委員、松澤委員なのですが。

【松澤主査代理】準備過程に関してだけは、計画推進部会は地震と火山で別々なのですね。これを三浦委員と私だけでやるというのは……。

【森田臨時委員】それでは、私が加わります。

【松澤主査代理】ありがとうございます。この委員会には火山の委員の方は少ないので、負担をこれ以上ふやしたくないのですが、準備過程だけは部会がそもそも別なので、これだけは入れていただきたいと思います。

【清水主査】わかりました。それでは、準備過程は三浦委員、松澤委員に加えて、森田委員を入れた3人という体制です。

次は地震発生先行・破壊過程と火山噴火過程ということで、これは、森田委員、棚田委員ですが、よろしいでしょうか。

【棚田専門委員】はい。

【清水主査】次は、(4)は素過程ですが、市原委員、金田委員ということで、お願いしたいと思います。これはお願いします。

次は3.の新たな観測技術の開発で、三浦委員、棚田委員、金田委員、西澤委員、4人ですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、よろしくお願いいたします。

4.計画推進のための体制の強化です。これついては、森田委員、西澤委員、飛田委員、小泉委員、齋藤委員。体制は大学以外の機関がかかわってきますのでやや多くなっておりますが、一応、取りまとめは森田委員のほうにお願いをするという形でこの5人にお願いしたいと思いますか、よろしいでしょうか。

【森田臨時委員】はい。

【清水主査】では、お願いします。

総括的評価は、主査である私と主査代理の松澤委員が中心になって行うということにさせていただきたいと思います。

それから、用語解説は飯高学術調査官にお願いいたします。

参考資料は事務局ということです。

特にご異論なかったので、若干追加はありましたが、基本的にはこの案のとおり進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

あと、スケジュールについて、事務局、お願いします。

【高木地震火山専門官】どうもありがとうございました。執筆担当者の委員の皆様、よろしくお願いいたします。執筆のためのアンケート調査の結果については、地震火山部会長名における依頼文書の準備を進めて、近日中に各実施機関の長に依頼することになります。5年前は大体6月ぐらいから1カ月弱の調査期間を設けましたので、今回も同様に、今、6月上旬ですけれども、7月中旬ぐらいをめどにアンケート調査を収集しまして、次に実際の執筆に移っていきたいと思っております。

具体的なスケジュールですが、参考資料1-1をごらんください。これは前回の当委員会で配付したものと同じですが、基本的にはこれをもとに進めていきたいと思います。アンケート調査が終わった後、草稿を作成した後、7月以降9月までに一度、委員会を開催して、草稿を検討したいと思います。

スケジュールに関しては、以上のとおりでございます。

【清水主査】どうもありがとうございました。今のようなスケジュールでこれから作業を進めていきたいと思いますので、ご協力、よろしくお願いいたします。

 

 

[議題2 その他]

東北地方太平洋沖地震の発生をうけて、新たな個別課題を設定する必要があるかどうか意見交換を行い、緊急的な研究等を進めるための準備等があるかどうかの情報共有の必要性が指摘され、そのための調査を実施することが了承された。

平成22年度年次報告【成果の概要】のとりまとめ委員である三浦委員から、作業の進捗状況についての説明があった。

 

【清水主査】時間は残り少なくなりましたが、その他の議事が若干ございます。1つは、今度の東北地方太平洋沖地震の発生を受けて、新たな個別研究課題の設定が必要かどうかということです。事務局から簡単に説明をお願いします。

【高木地震火山専門官】(参考資料1-2を用い、東北地方太平洋沖地震を受けて新たな個別課題の新設が必要かどうかについて説明。)

【清水主査】研究課題を新たに追加する必要がある可能性が高いわけですが、現時点でかなり明確にそういう考えがあるのか、もう既に新たな課題をそれぞれの機関で立てられて取り組んでおられるところがある場合は、それを当然このレビューや計画に反映させるべきと考えますので、ご意見をいただきたいと思います。

【森田臨時委員】大学のほうの現状について、説明させていただきます。地震・火山噴火予知協議会で、この地震を受けての緊急研究というものを既に初めております。今年度中ということで、主に科学研究費補助金(特別研究促進費)で動いているもの、それから地震火山噴火予知研究事業費の中から一部持ち出しをしてやっているもので、海底地震を主にした震源域での地震活動、それから誘発地震に伴う研究というものを進めております。もしほかの機関でそういった緊急研究の動きがありましたら、この際、いろいろな情報交換というのが必要ではないかと思います。

【清水主査】どうもありがとうございました。そういうことですが、その情報交換の仕方なのですが、各機関、そういったものがあれば上げていただく。あるいは、今なくても、これは今後絶対必要であるというのがあれば上げていただいて、それを整理するということを、例えば事務局のほうでしていただけますか。

【高木地震火山専門官】情報交換は必要だとは思います。その情報交換をするということの意味は、似たような課題であれば連携して一緒の課題とするほうがいいからという、そういう理解でよろしいですか。

【森田臨時委員】それもありますし、海底観測というものは、大学だけでなくて、JAMSTECと共同で研究したり、あるいは気象研究所と共同でやったりということもありますので、協力してよりいい成果が出るものは、協力する体制をしっかりつくっていくということが今一番必要じゃないかと思うので、情報の共有ということをすべきだと思います。

【高木地震火山専門官】わかりました。今は観測研究のお話でしたけれども、例えば最大規模の地震がどう発生に至ったかとか、そういう研究をどこかで新たにやるべきという考えもあるかもしれません。すべてを含めて情報共有するという意味もありますので、事務局で調査を行いたいと思います。それでよろしいでしょうか。

【清水主査】そうですね。そもそも当委員会の任務に各機関の研究の調整というのがありますので、本来、そのためにこの委員会で情報を収集して共有して、その研究を調整していくという役割はありますので、それはこの委員会としてやっていきたいと思います。あと、最大地震の想定の話もありましたけど、こういう新たな項目が出てくれば、これは当然、レビューの中の総括的評価の中でも生かされてくるし、次の建議に向けて、あるいは建議の修正に向けて、その提言というところにも生かされてくるはずですので、レビューの作業と並行してその辺は行っていきたいと思いますが、皆さん、それでよろしいでしょうか。

【平田委員】アンケートで9000番台の項目をつくりましたよね。大学で緊急研究といってつくったものはまだ番号は振ってないけど、いずれは振ったほうがいいかと思います。そのときに、これまで予知計画の4本柱で位置づけてやっていますけれども、レビューでも東北地方太平洋沖地震は別に考えているから、必要であれば、それはそれで固めておいて実施していってもいいのではないかと思います。

【清水主査】よろしいですか。これは、建議の小項目の追加ぐらいだったらあまり問題ないかもしれないけど、今、平田委員が4項目と言われましたが、それに匹敵するような大きな項目が立つのなら、当然これは建議の見直しという形にもなってくると思います。そういうことも含めて継続して議論をしていきたいと思います。

それではもう1つの議事、平成22年度の年次報告【成果の概要】の作成の進捗状況について、三浦委員からお願いします。

【三浦専門委員】資料2-2にありますように平成22年度の年次報告【成果の概要】を作成中です。通常、【成果の概要】には、冒頭に当該年度の代表的な成果という項目を設けていまして、その掲載をするわけですけれども、今年度は、東北地方太平洋沖地震という非常に大きな地震があったので、それと、あとは霧島山新燃岳の噴火、この2つについて、代表的な成果として取り上げることにしました。現状は、推進部会長等のご協力も得ながら、あと地震研究所の予知協議会企画部のほうで部会長と連絡を取りながら、東北地方太平洋沖地震、新燃岳噴火につきまして、その中で特に代表的な成果を1つだけ選んで、【成果の概要】を作成中です。

昨年度からの試みとして、【成果の概要】に掲載する図は、専門家以外の方にもわかりやすいようなものを掲載するという方針で、論文に掲載されるようなものではなくて、それをかみ砕いてわかりやすくしたような図を掲載するという方針をとりました。それが非常に好評だったということもありまして、今年度もそれを踏襲して同様の作業を行っているところです。具体的には、6月1日にイラストをつくっていただける専門家を呼んで、各項目、あるいは地震・噴火現象の1つ1つのポンチ絵の原案をこちらから提示して、イラストを作成してもらうところです。

それと並行して、計画推進部会長担当と企画部委員の間で、文章についても現在鋭意作成中です。ポンチ絵、イラストについては、6月22日に最終的なものに固めていくという計画です。ですので、文案も含めまして6月中にはほぼ完成するのではないかと考えているところです。先ほどのスケジュールにありましたが、委員会にご提示できるような形で作業をしているという状況でございます。

【清水主査】ありがとうございました。今、三浦委員を中心に企画部でまとめ中という説明がありましたが、事務局から補足ありますか。

【高木地震火山専門官】年次報告【機関別】をベースに年次報告【成果の概要】をつくるのですが、年次報告【機関別】の締め切りが2月でしたが、東北地方太平洋沖地震の発生は3月11日でした。今回は平成22年度の成果の取りまとめなのですが、実は東北地方太平洋沖地震は正式には対象期間ではないのですね。しかし、このような特別な現象ということで取り上げないわけにはいきません。しかし、年次報告【機関別】の報告はないので、個々の項目のところには、個別の成果を取り込めない状況であるということです。

【清水主査】どうもありがとうございます。6月いっぱいぐらいででき上がる予定ということですので、その後、当委員会で審議となると思います。特に確認することがなければ、これでよろしくお願いいたします。

最後に、前回の会議の議事録について、事務局からお願いします。

【高木地震火山専門官】事前に議事録(案)について、意見をいただき修正したものが、資料2-3でございます。ここで最終的な了承いただけたらと思います。

 

【清水主査】一応これで用意した議題はすべて終了いたしましたが、皆さんから他に何かありますでしょうか。

【鷺谷専門委員】少し教えていただきたいのですが、先ほど来、きちんとした形ではないのですが、建議の見直しという言葉が時々出てきたりします。現在の計画はいま3年目になるので、例えばレビューを踏まえて見直しをするとなると、来年度そういった作業をして、結局、実質残り1年しかないかもしれません。そのようなことでの建議の見直しをしても、どれだけの意味があるのか、ややスピード感が足りないのではという気もするのです。そういう見直しに関係するような部分だけでもレビューに先行させてやるとか、特にお考えではないのでしょうか。

【高木地震火山専門官】やや説明不足なところがありました。地震火山部会において、建議のあり方についてもいろいろ意見交換がありました。今の建議で設定したやり方については、例えば松澤委員などからはあと10年あればM9の地震が想定できたかもしれないというようなご発言がございましたけれども、ほんとうに設定した建議を進めていたら最終的にはM9という規模がわかったのか、あるいは全く別の考えで組み立てなければ結局わからなかったのではないかということすら、実は結論が出ているわけではないので、結局、今何をやるべきかは、まず徹底的に東北地方太平洋沖地震を明らかにすることを進めながら、果たして建議のあり方がどうかということも考えなくてはいけない、ということになりました。平田部会長に補足していただいたほうがいいかもしれませんが、この委員会の使命としては、建議にもとづいた計画の進捗チェックをすることなので、とりあえずレビューを進めて、進めるに当たっては、きょう紹介しました地震火山部会で修正した「レビューの方針と進め方」を取り込んで、とりあえず徹底的に東北地方太平洋沖地震の解明を中心に、レビューを実施するということになりました。

【平田委員】レビューの中に東北地方太平洋沖地震という1つの独立した章をつくるということは、ある意味で徹底的に解明する、それができるかどうかという、そういうレビューを、自己点検をするわけです。その結果、現計画ではもうできないと、今の枠組みでは、マグニチュード9の地震について理解をして、それを予測のシステムに組み込むことができないという一定のコンセンサスが得られれば、これは計画そのものを変えなければいけないと思います。すぐにでも変えたほうがいいという意見が非常に強ければ、それは議論をすぐに始めなければいけませんが、今のところは、まず何が起きたかをちゃんと理解することをやれという意見のほうが強いように理解しています。研究の現状を理解するということでレビューをしていただいて、その過程で必要があれば建議そのものについて議論を進めるということにしたいと思っております。

【清水主査】スピード感のことをおっしゃいましたが、今の事務局とか平田部会長のお話だと、まずは徹底的にここでということになると、レビューが出るのは年度末ですね。例えば必要だということになったとして、それから建議の見直しを始めたとすると、実際、見直したとしても、残り1年ということになるかもしれないわけで、それでいいのかというお話だったと思うのですが、いかがでしょう。

【高木地震火山専門官】今までどおりの方針でこのまま進めていいのか結論が出ていないということだったと思うので、スピード感はなくなったとしても、事務局としてはそういうやり方しかないのかなと考えております。

【鷺谷専門委員】参考資料1-1に今後の検討予定というのがあります。多分これは、今回の地震があっても、なくても、同じだったのかもしれません。それでいいのかなという気持ちは正直少しあります。

【高木地震火山専門官】補足ですが、前回の地震火山部会では、レビューをどうするかについての審議はしたのですが、建議のあり方そのものについては言ってみれば継続審議のような形でおりますので、そこは上の部会も含めて引き続き考えていかなくてはいけないと、事務局では考えております。

【鷺谷専門委員】ぜひよろしくお願いします。

【松澤主査代理】今、スピード感とおっしゃられたのは、前回の建議の見直しのことを考えておられるのだと思います。兵庫県南部地震が起こって、計画の見直しを非常に短期間で行ったのですね。そういう意味ではスピード感はあのときのほうがずっと高かったのですが、あのときに何が起こったのか比較的明確であったので、では我々は何が足りなかったかということも、わかりやすかったと思うのです。残念ながら今回の地震に関しては、いまだに地震像が明確でない状態なので、スピード感という面ではいたし方ないと感じています。兵庫県南部地震の後、新たな計画を立ち上げる際、いろんな分野の人たちが入ってきたのは、実は結構後なのです。1995年に地震が起こったけれども、実際に動きが起こったのは1997年ぐらいでしたし、地震像が明らかになってくると今後の展望なども見えてくるのではないかと、期待しています。

【桑原オブザーバー】何がわかったかという議論ですが、ある程度のことはわかっていると思うのですが、これ以上何がわかればいいとお考えなのでしょうか。

【松澤主査代理】今一番わからないのは、今回の地震が起こる前に我々が考えていたのは、大きな地震が起これば、その後、深部で余効滑りが発生して海岸付近は隆起するだろうと思っていたわけですが、そうではなかったことです。それがあるか、ないかというのは、今考えられている2つのモデル、加藤尚之さんに代表されるモデルと堀高峰さんに代表されるモデルでは、大きく異なります。今後観測していくことによってモデルを絞り込める可能性があるということが、1つあります。

もう1つは、あまり考えたくないのですが、ほんとうに今回の地震が最大規模であったのかということに関しても、議論されている方はいらっしゃいます。実際は、もっと大きな地震が起こって、そのときに初めてプレート境界の深いところが動くのではないかと。そういうことも含めて、残念ながら全体像がわかるまでには時間がかなりかかると考えています。

レビューまでに何ができるかということに関しては、時間が許される範囲でということでしかお約束はできないのですが、少なくとも現時点で、海溝付近がほんとうに大きく滑ったのかということに関しても、いまだに分岐断層が動いたのではないかということを主張されている方もいらっしゃるわけで、それに関してはレビューぐらいのときまでには決着をつけたいと考えています。

【桑原オブザーバー】今の話は3点あって、最初の2つは多分、ちょっとやそっとじゃわかることじゃなくて、10年かかっても何も出ないかもしれない。分岐断層の海溝型の話は、これからもう少しすれば、わかるかもしれない。そこだけで次に進めるのだったら、それはそれでいいと思いますが、そこがわかれば次に進めるのか、そこら辺は少し考えたほうがいいかなという気がします。

【清水主査】どうもありがとうございます。

今までのアスペリティモデルがあるわけですけど、意外と狭い範囲が大きく滑っていることがわかってきましたね。それは、すみ分けているのか、それとも、階層構造のように、もう1つ下に大きなものが隠れているのか、その辺をはっきりさせることのほうが、もっと大きくないでしょうか。

【松澤主査代理】加藤尚之さんに代表されるモデルというのは、今までのアスペリティモデルの完全な延長です。単に、巨大でしっかりとしたアスペリティが、今まで地震が全く起こってなかったので、数百年間、地上で活動していなかった部分があって、それを我々は、地震すら起こさないでゆっくり滑っている場所だと勘違いしたことがそもそも原因であって、アスペリティモデルそのものは破綻していないという考え方があります。

もう一つ代表されるのは、階層的なアスペリティ構造――これをアスペリティという名前を使うかどうかに関しては議論はありますが、いわゆる階層構造を持っているのではないかという考え方があって、その階層性をどこまで持っているかということに関して幾つかのモデルがあります。

桑原さんのおっしゃるとおり、短期間で決着をつけることができるかどうかは、残念ながらかなり難しいいう予想を抱いています。ただ、それも含めて正直に国民に説明していくことしか、我々にできることはないのではないかと考えています。

【清水主査】どうもありがとうございました。

時間を超過しましたけれども、これをもちましてきょうの委員会は終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 

(以 上)

 

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