地震火山部会(第31回) 議事録

1.日時

平成30年10月2日(火曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成29年度年次報告【成果の概要】について
  2. 地震火山観測研究における年次基礎データ調査について
  3. 「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成30年度年次報告【機関別】について
  4. 次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの実施状況について
  5. その他

4.出席者

委員

(委員)平田、鈴木
(臨時委員)石川、尾崎、加藤、関口(渉)、仲西、西村、森田、山元
(専門委員)関口(春)、寺川、三宅、宮澤、森岡、山中

文部科学省

大山審議官、竹内地震・防災研究課長、林地震調査管理官、中出地震・防災研究課長補佐、大河原地震火山専門官、三浦科学官

オブザーバー

大湊

5.議事録

[委員の出欠状況など]

・委員の出欠状況:市原臨時委員、清水臨時委員、中川臨時委員、矢来臨時委員、井口専門委員が欠席。地震・火山噴火予知研究協議会より、東京大学地震研究所の大湊隆雄准教授がオブザーバー参加。
・事務局の異動:松室寛治防災科学技術推進室長に代わり村山綾介防災科学技術推進室長が着任。根津純也地震・防災研究課長補佐に代わり中出雅大地震・防災研究課長補佐が着任。
・配布資料確認

【平田部会長】  それでは議事に入りたいと思いますが、その前に、議事次第には含まれていませんが、次期の地震火山観測研究計画の進捗状況について事務局から簡単に御説明をお願いします。
【大河原地震火山専門官】  次期の地震火山観測研究計画につきましては、この部会の下に検討委員会を設置して原案の作成を行っていただいたところです。作成いただいた原案を踏まえて、6月の測地学分科会・地震火山部会合同会議において御議論を頂きまして、分科会長預かりとさせていただいたところです。その後事務局で修正を施しまして、平田分科会長より御了承を頂きました。
 続いて、本来であればこれを受けて科学技術・学術審議会の会議の場で審議経過報告を行って、審議会の委員より直接御意見を頂くべきところですが、ちょうど審議会の開催スケジュールのはざまに当たったこともありまして、審議会の委員の皆様には9月中旬に持ち回りという形でメールで計画案をお送りして、御報告に代えさせていただきました。この計画案に対して委員の皆様から御意見があれば頂くこととしておりまして、この締め切りをちょうど昨日としておりました。昨日現在、委員からは計画案の修正が必要という御意見は頂いておりません。
 これを踏まえまして、準備ができ次第、この計画案のパブリックコメントを開始したいと考えております。パブリックコメントの期間は約1か月間となります。パブリックコメントの結果を踏まえて、必要に応じて計画案の修正を施した上で、その次の科学技術・学術審議会の総会で建議いただくというスケジュールを想定しておりまして、現時点では年明け1月に建議というスケジュールを見込んでおります。
【平田部会長】  ありがとうございました。審議会の会長と副会長にはお会いして御説明をさせていただきました。ただいまの事務局の報告について、よろしいでしょうか。

[議事1.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成29年度年次報告【成果の概要】について]

【平田部会長】 それでは本日の議題に入らせていただきます。議題1は「「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」平成29年度年次報告【成果の概要】について」となっております。まず事務局と、取りまとめ委員で本日御参加の宮澤先生からの御説明をお願いしたいと思います。
【大河原地震火山専門官】  それでは、事務局より説明をいたします。お手元の資料で、平成29年度「成果の概要」本文が資料1-1、参考資料が資料1-2となります。
 内容に入る前に参考資料1を御覧ください。ここにありますように、6月の地震火山部会で成果の概要の作成方針を決定いたしました。成果の概要の取りまとめ委員には、宮澤委員と市原委員に大変お忙しいところ無理を申しましてお引き受けいただきました。この成果の概要の本文を作成いただきました取りまとめ委員の宮澤先生、市原先生、そして地震・火山噴火予知研究協議会の御担当の皆様、用語集をまとめていただいた望月学術調査官に感謝申し上げます。また、後半の参考資料の中にはグループごとの成果がまとめられておりますけれども、これをまとめていただいた、ここにおられる方を含めまして、各執筆者の皆様に感謝申し上げます。どうもありがとうございます。
 それでは、資料1-1の成果の概要本文の構成について簡単に申し上げます。目次の後に「はじめに」がありまして、3ページに今年度の成果の概要の概念図を持ってきました。これは昨年度まではもう少し後ろのページにあったのですが、今年度はここに持ってきています。
 5ページからは、顕著な地震及び火山噴火現象に関する成果として、今年度は草津白根山の噴火、霧島山の火山活動、南海トラフ巨大地震の3つを掲載しております。もうお気付きかもしれませんが、昨年度までは、成果の概要では、中の挿絵の図を本文の後方のページにまとめて掲載しておりました。今年度の原稿では、本文の該当する文章の場所の近くにそれぞれの図を掲載するという配置にしております。
 15ページから34ページが、地震火山観測研究計画のそれぞれの項目に対応する成果を記入したものになります。細かい点ですけれども、今年度の原稿の中では各観測研究課題の成果に該当する部分の右肩に研究課題の番号を新たに付けています。4桁の数字が付いているところがあると思います。これは昨年度は付けてはいなかったのですが、新たに付けまして、またこの番号がどの研究課題に該当するかが分かるように、44ページから48ページに研究課題の一覧を新たに掲載いたしました。
 35ページがまとめ、37ページから42ページが用語解説になります。43ページは地震火山観測研究計画の実施機関一覧表で、これは昨年度までは後半の参考資料に入れていましたけれども、今年度は前半のこの場所に移しています。その後、先ほど申し上げましたとおり、44ページから48ページに研究課題の一覧として実施機関名、研究課題の番号、課題名、研究代表者名の一覧表を新たに掲載するという案としております。
 続きまして、資料1-2の参考資料の部分ですが、基本的にはこれまでと同じ構成です。49ページから53ページにまず建議の概要を掲載しています。これは昨年度は末尾に持ってきていたんですけれども、参考資料の中の一番初めの部分に移動しています。内容については昨年度から変更はありません。
 続けて55ページ以降は、8つの計画推進部会と観測・解析技術開発の研究グループ、4つの総合研究グループ、拠点間連携共同研究、それぞれのグループによる学術報告を、基本的には皆様に作成いただいた内容をそのまま掲載しています。
 成果の概要の大まかな構成につきましては以上ですが、本日の御意見・御議論などを経て地震火山部会として内容の御了承を頂けましたら、例年と同じように、印刷製本を行うとともにPDFでも公開し、文部科学省のホームページにも掲載したいと考えております。
 なお、本日はこの成果の概要の案について御意見を頂きたいと思いますが、細かい修正箇所で、今日のこの会議の場で発言するほどでもないものにつきましては、別途、今月の10日ぐらいまでを目途に事務局まで気付いた点をお伝えいただければ、最終版までには反映させたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 私からの説明は以上です。内容について宮澤先生より説明をお願いいたします。
【宮澤専門委員】  宮澤です。成果の概要の構成については今事務局から説明を頂いたとおりですので、少し細かく中身を御説明します。
 資料のページ番号で説明したいと思いますが、昨年度と変わった点がもう1点あります。2ページを御覧いただくと、ページの真ん中あたりに、専門用語については難解なもので説明が必要なものについては用語解説で説明するとありますが、今年度から用語解説の印について、右肩に※印を単に付けるのではなくて、点線の下線を引いております。これはなぜかというと、長い専門用語があった際に右肩に印が付いてしまうと、その用語がどこから始まっているか分からないため、説明をしたい用語がどこから始まっているかを明確にするために下線を引くようにしております。
 3ページに移っていただくと、成果の概要の図に関して本計画内での位置付けを示したものがあります。これから特筆すべき成果について説明していきますが、それぞれ図にしております。その図がこの概念図の中でどこに当たるかを1枚にまとめたものです。概念図の下を見ていただくと、それぞれの項目が書いてありまして、図の番号が書いてあります。ページ番号を記しておりませんが、ページが確定し次第記入する予定でございます。
 5ページに移っていただきまして、顕著な火山噴火及び地震に関して得られた重要な成果ですが、先ほど事務局から説明がありましたとおり、草津白根山の噴火と霧島山の火山活動及び南海トラフ巨大地震について御報告いたします。2つの火山活動については実際に昨年度起きた現象ですが、3番目の南海トラフ巨大地震は来るべき南海トラフ巨大地震に向けた昨年度の研究成果を報告しております。
 まず、5ページの草津白根山鏡池北火口からの噴火ですが、草津白根山での地震活動を説明した後、それぞれの細かい研究成果に入っています。
 6ページに図1がありますが、これは2018年1月23日の噴火を境に、傾斜計の変化を右上のグラフに示しておりますけれども、その膨張が収縮に反転したという観測結果を示しております。この観測に基づいて図の右下の鉛直クラックモデルを仮定して、火山噴火前後の地殻変動を説明しました。
 続きまして2-2、霧島山の火山活動です。7ページに図2がございます。図2では航空機SARによって捉えられた硫黄山付近の地殻変動を観測しまして、実際に2016年から2017年において硫黄山付近で膨張を示す地殻変動が捉えられたという結果が得られました。
 8ページに図3がありますが、2017年10月9日に最初に微弱な地殻変動が観測されて、その2日後の10月11日に噴火が発生しました。図の中でもその様子が左上から真ん中に示されております。その後、3月1日に爆発的な噴火が起きて、3月9日には溶岩が火口からあふれ出して斜面を流下したことが報告されております。実際にそのときの火口下の微動源の位置等もその図の中には示されております。
 9ページの2-3、南海トラフ巨大地震についてですが、これについてもまず簡単に南海トラフ巨大地震を研究する社会的背景を説明しております。
 10ページに移っていただくと図4がありまして、これは南海トラフ沿いで発生する地震活動についての成果です。地震活動の指標である規模別頻度分布の指標であるb値というものがありますけれども、それの空間的分布を示しておりまして、1944年の東南海地震と1946年の南海地震の発生域ではb値が低いことが分かりました。
 11ページには図5があります。これは南海トラフでの掘削孔内での間隙水圧の観測から、熊野灘でのプレート境界でゆっくり滑りが5か月から15か月間隔で繰り返し発生していることが見つかったという報告です。また、その繰り返しのゆっくり滑りに伴って、海溝軸付近で深部低周波地震が伴っていることが分かりました。
 12ページに移っていただくと、2016年4月1日に発生した三重県南東沖の地震についての報告があります。この地震自体は被害を及ぼすことがなかったんですが、南海トラフのプレート境界で起きた、特に1944年、1946年の東南海地震、南海地震の活動以来約70年ぶりに発生した規模の大きな地震ということで、今後の活動が当時から着目されていたところです。その三重県南東沖地震についての研究成果が図6と図7にあります。図6は強震動生成領域の応力降下を調べたものです。図の22メガパスカルというのが応力降下の量になっていまして、それが東北沖で発生する同規模のプレート間地震よりも値が小さいことが分かりました。
 図7は2016年の三重県南東沖地震と同様の地震が起きた後、プレート境界の様子がどのようになるかシミュレーションをした研究結果です。いろいろなケースがあるんですが、例えば左側のケースの場合のように、マグニチュード6クラスの地震が発生した後、余効滑りが起きて、そのまままたプレート間の滑りが固着してしまう場合がある一方、右側のケースでは余効滑りが広がっていって巨大地震につながるという結果も得られています。現在のところはケース1に近いのではないかということです。
 南海トラフについてはもう一つ、成果が図8、14ページにあります。これは巨大地震のリスク評価の精度向上のための研究を行った成果です。この図を細かく1つ1つは説明できませんが、例えば左下にオレンジ色で囲っているところでは、人口や建物の動態の傾向分析を通じてリスク評価を行うといった研究が行われました。
 15ページからは、それぞれの建議の項目に沿った成果となっております。
 16ページの図9は、安政東海・南海地震について日記史料に基づいて有感地震の記録日数をまとめた図となっております。図の左端が安政の東海地震、安政の南海地震が発生した時で、高知では比較的地震活動の報告が多いことが分かります。その後、安政2年の9月末から10月初めにかけてまたピークがあるということで、ここから地震活動の推移が分かると考えられます。
 18ページの図10は東北地方太平洋沖地震後の余効変動を捉えた研究結果になりまして、観測自体は継続的に行っておりますけれども、昨年度の成果としては、例えば海底基準局FUKU、これは福島県沖海底基準局の変動ですが、2015年以降地殻変動が鈍化する傾向が見られるという成果が得られました。
 次の図は20ページの図11、この図は2016年熊本地震の断層滑りの方向が予測できるという研究成果です。熊本地震の本震の滑りの方向が応力場によって規定されていることが明らかになったという成果です。
 次のページには図12があります。地震のメカニズム解から間隙流体圧場を推定する手法を用いて御嶽山周辺の3次元間隙流体圧分布を推定したものです。この結果自体は2009年から2014年の状態を示しておりますが、左側の図の真ん中、深度5キロのところに四角でBと囲った領域がありますが、そういったところに間隙流体圧が高い断層が存在することが推定されました。
 25ページの図13に飛びます。日向灘など南西諸島域での相似地震解析からプレート間滑り速度の時間変化を求めたものです。図の下側にグラフがありますが、2015年頃から滑り速度が加速している様子が分かりました。
 27ページの図14に移ります。これは阿蘇山において多項目観測で火山活動の活発化の前兆現象を捉えたものです。阿蘇山ではマグマ噴火と水蒸気噴火の発生前の現象が比較されて、噴火様式の予測の可能性が調べられました。
 29ページに図15-1、図15-2があります。図15-1についてはハザードを社会に顕在化させる社会の脆弱性というものを、左側の図の土地利用、災害対策、社会的凝集性、災害文化という4要素から成ると仮定して検証を行っております。下の図は東北での過去100年間の土地利用の変化を可視化しております。東北地方の太平洋沿岸を示しておりまして、4つあるのはそれぞれ異なる年代の地図ですが、これは図の上の部分の年代表示が欠けておりまして、オリジナルの図は資料1-2の214ページにあります。1915年頃から2009年までの土地利用の様子ですが、こういったものを可視化することに成功したという研究成果となっております。
 31ページに図16があります。2016年の熊本地震の、いわゆる本震の断層の滑りを新たな方法で推定したということです。GNSSの搬送波位相データから断層滑りを直接推定することに成功したということで、通常の解析のようにGNSS観測点の位置を推定する必要がないので解析が軽くなり、より早くそうした断層面を推定することができるという研究成果です。
 最後に、図ではありませんが、35ページにまとめがあります。まとめは3段落ありますが、最初の段落については顕著な火山活動についてのまとめとなっております。2段落目は南海トラフで発生する巨大地震に関するまとめです。3段落目ですが、平成29年7月の外部評価書でいろいろ評価されたことに対して、本計画中でできる対応についてまとめで述べたものになっております。
 駆け足でしたが、内容については以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局と宮澤委員からの御説明について審議をしたいと思います。まず質問のある方は御発言ください。
 考えている間に私が言いますけれども、構成を少し変えていただいて分かりやすくなったと思います。いろいろ考えがあったんだけれども、本文の間に図がある方が、読んでいったときには分かりやすいのでこれはいいかなと。前は図だけを見れば内容が分かるようにということで、グラビアという感じで図を集めていたんですけれども、今回は文章と図の位置が関連した場所に書かれているので通して読むにはいいかなと思います。さらに、研究成果について課題番号を本文の中に埋め込んでいただいた、そして後ろに表が出るというのは普通の論文みたいな感じになって、研究者には分かりがいいなと思いました。それぞれの図も非常にきれいで、鮮明でよく分かると思います。
 質問でなくてもコメントや御意見でも結構ですので、御発言ください。どうぞ。
【寺川専門委員】  図6の応力降下量なんですけれども、これはこの断層の赤い星のところなんでしょうか。それとも平均の値なんでしょうか。もし平均だとすると、少し値が大きいような気がするんですけれども。
【宮澤専門委員】  関口委員が詳しいので。お願いします。
【関口(春)専門委員】  四角い全体の平均です。これは断層面全体ではなくて、断層面全体の中の強い波を出しているところなので、アスペリティーに近いみたいな感じですので、それくらい大きくなっているということです。
【平田部会長】  そうすると、この図6の四角があって、格子に切ってあるけれども、全体の中でも22メガパスカルになった場所はさらに限定的なんですかね。
【関口(春)専門委員】  実際はそうかもしれませんけれども、解析としてはべた一面の平均値を求めているということです。
【寺川専門委員】  ありがとうございます。6.5というと、もうちょっとこの断層より大きいので、全体が示されているわけではないということですね。
【関口(春)専門委員】  はい。
【寺川専門委員】  分かりました。
【平田部会長】  ほかにございますか。どうぞ。
【加藤臨時委員】  図11ですけれども、赤いところで白線の方向と黒線の方向が割と一致していて、その右側の青いところで白線と黒線の方向がかなりずれているように見えますが、それで間隙流体圧の大きさで説明するのでいいのかどうかよく分からないんですけれども。
【宮澤専門委員】  実際にこの図を見ると、必ずしもきれいに1対1対応をしているように思えません。今加藤委員が言われたようなところについても恐らくそのような場所になっていると思います。白いバーのようなものが、本震時の実際の滑りの方向と量となっているので、ここでは滑りもあったし、応力場というものが事前から求められているとなっております。今御指摘になったのは右側の青のところですよね。
【加藤臨時委員】  はい。
【宮澤専門委員】  それと、左側の青のところは同じように観測量があるにも関わらず違った傾向が見えるというのは、ある意味この手法での限界でもあるし、あと仮定の置き方の問題ではないかとも思っております。
【加藤臨時委員】  図と書いてあることが矛盾しているように見えてしまうので、何か説明があった方がいいかなと思いました。
【宮澤専門委員】  ありがとうございます。色で示した相対間隙流耐圧は、期待された滑り方向と実際の滑り方向の違いを用いたのではなく、期待された断層面と実際の断層面のずれの程度から求めたものとなっています。図と矛盾しないような説明にするために、より分かりやすい説明文の表現をもう一度検討したいと思います。ありがとうございます。
【山元臨時委員】  ちょっとお願いがあるんですけれども、28,29ページ、災害発生機構の解明というところで使われている図、例えば図15-1ですとか、中身がよく分からないというのが正直なところです。文章で書いてあることが単に表になっているだけで、何をやったのかがよく分からないというのが私の印象です。
 成果としてもう少し違うものを出してほしいと思っていて、特に例えば28ページにあるように、避難の制約となる「降灰が交通網に与える影響」に関するフラジリティー・カーブ・モデルを今回作ったんですよね。私がここのパートで非常に興味があるのは何かというと、当然フラジリティー・カーブそのものを出してほしいというのが正直なところです。霧島の噴火のときに仮のものが多分できたんですけれども、それをリバイスしてどう使うかというところの方がむしろ興味があって、図15-1のような絵が成果として出てきても全然訴えるものがないように私としては思うので、できることならもう少し違う絵を出してくれた方が成果がより強調されるのではないかと思います。
【宮澤専門委員】  ありがとうございます。図の選び方に関しては、地震・火山噴火予知研究協議会の担当者の方と相談した上で、その担当者の方が最もふさわしいと思うものを選んでおりますので、そこのところで研究者個人の主観や好みが出てきてしまっていると思います。
 ただ、今御指摘いただいたような図について、もし必要とあれば、時間の制約もあると思いますが、追加で入れることも検討したいと思いますし、例えば図15-1についてもこのような単なるポンチ絵にするのではなくて、もう少し工夫した描き方を検討したいと思います。少し時間との相談となりますが、御意見はなるべく反映したいと思います。ありがとうございます。
【山元臨時委員】  もし本当にフラジリティー・カーブがあるなら図を貼り込んでほしいだけですので、可能ならお願いします。
【平田部会長】  資料1-2にはないですか。
【山元臨時委員】  探したけれど見つからなかった。
【宮澤専門委員】  成果の概要の本文中には課題番号が無いのですが、1914のはずです。
【平田部会長】  新しい図を探すというよりは資料1-2の中にある図を使っていただいた方がいいので、1914だったら資料1-2の214ページの図5は成果ではないですか。シミュレーションをして、降灰があったときにどのくらい時間がかかるかとか。
【宮澤専門委員】  実際に今御指摘を頂いた資料1-2の214ページの上の図5がまさに今議論になっているところに対応しますけれども、フラジリティー・カーブそれ自体はこの図には載っておりません。それともう一つ、この図に相当するものが平成28年度の成果に既に使われてしまっているので、余り似たものを入れるのはどうかということで、ひょっとしたら担当者の方がわざわざ外されたのかもしれません。
【平田部会長】  確かに去年もそういう議論があったような気がしますね。では、少し御検討いただいて、図15-1は概念的過ぎて成果というよりは研究計画のような感じがするので、もし可能であれば御検討ください。ありがとうございました。
 ほかに。どうぞ。
【森田臨時委員】  この成果の概要を作るときに、この成果の概要そのものは非常に平易に、つまりいろいろな人、研究者でない人にも分かるようにものにして、後の成果の概要の参考資料の方に非常に専門的にするという使い分けで始めたと思うんですよね。今読むとかなり専門的に進化してしまったというか、方向が変わってきた気がするんですね。文章を読んでみても、多分専門以外の人には非常に難解になってきたのかなという気がします。今さらこれを変えることは多分できないと思うので、今年度はこれでいいと思いますけれども、最初の意図、成果の概要をより多くの人に知ってもらうために平易にするということを考えたときと今の状況が変わってきていることに対して少し意見を交換されたらどうかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。
【平田部会長】  では、少し時間をとって、今の森田委員からの御指摘について。まず作った側の宮澤委員、何か御意見はございますか。
【宮澤専門委員】  私もいつからか記憶にないんですが、ここ三、四年間ぐらいでしょうか、成果の概要の担当を仰せ付かって。今御説明したところについては森田委員が言われたように普通の方、つまり、地震とか火山について専門知識がない方が読んでも分かるような内容で書こうという努力で始めました。実際に毎年同じことを考えてやっております。
 ただ、ここは少し言い訳になりますけれども、作業を行うに当たって、当然1人の人間が全てを把握して同じような文章レベルで書き上げることはできないために、地震・火山噴火予知研究協議会の全面的な御協力を仰いで分担作業としております。最後の段階で同じような文章のレベルになるように、つまり誰が読んでも分かるような内容に、なるべく平易な文章にしておりますが、結果として、最初の作業の段階である程度文章の難易度に差が出てきてしまっているので、どうしてもそういったところが最終原稿に反映されてきていると思います。
 ただ、細かく、例えば資料1-2に書かれている内容と一つ一つ照らし合わせていただくと、手法についてとかは、例えば「新しい手法を開発して」といった表現に直すことで、なるべく難しい説明を省いて何が分かったかを明確に書くようにしております。ただ、同じような人が毎年作業をしておりますと慣れてしまって、慣れというのは作業に慣れるという意味ではなくて、内容自体について、この程度で我々は分かると勘違いしてしまって、その分簡単な、一般の方にも分かるような表現ができなくなっているのではないかと思っております。
【平田部会長】  なるべく正確に書こうと思うとだんだん難しくなってくるというところはあるんですね。例えば今例として、先程の図15-1の28ページの文章ですけれども、専門家はフラジリティー・カーブに興味があるんですけれども、多分一般の人はフラジリティー・カーブには興味がなくて、例えばここの文章も「避難の制約となる降灰が交通網に与える影響を調べた」で十分なんですね。影響を調べるためにフラジリティー・カーブを作ったわけだから。実はフラジリティー・カーブも出ていないんだから、ここで「フラジリティー・カーブのモデルの構築を実施した」というのも、これもいかにも業界用語ですから、モデルを作ったというよりは、避難の制約となる降灰が交通網に与える影響について検討したとか、影響を調べたとかすれば一見分かりやすくなると思うんですね。実態はもっと難しいんですけれども、そのぐらいはできるのではないかなという印象ですが。
 でも、これはいちいちそういう観点で読んでいるわけではないので、ほかのところにもあるかもしれませんし、それぞれの御専門の立場から見たときに詳し過ぎるという御意見があればこの場で是非御発言ください。
【森田臨時委員】  ちょっとよろしいですか。これを今から直せという指摘ではなくて、これはこれでいいんですけれども、成果の概要を本編と参考資料とに分けたという経緯を、今事務局としてどう思われるか。そして来年もう一度作るときにその方向に戻すのか、あるいはこれぐらい専門性があった方がいいのかということを少し聞いて、それをここで共有するのが非常にいいのではないかと思って発言した次第です。
【平田部会長】  分かりました。事務局、何か御意見ありますか。
【竹内地震・防災研究課長】  私も過去の議論をしたときの経緯には参画していないのですけれども、我々あるいは一般の方についてはこういう研究内容は分かりにくいので、まず何をやっているのかが分かることが重要なのが1つ。その研究成果で何が出たのか、どういうことが分かってきたのか、また今後分かる必要があるのかということが分かりやすいとなおよいと思いますので、先生方に分かりやすく御努力を頂いているという中でも専門家的な記述になっているということであれば、可能ならば一般の方にもより分かりやすい方に努力を頂いたらありがたいのかなと思いました。
 もう一つは、今申し上げた中に少し触れたんですけれども、何かをしたということについて、それがどういう意味を持つか、これもなかなか難しいところはあるのかもしれませんけれども、そういうことが入ってくるとなおよいのかなと思いました。例えば先ほどのフラジリティー・カーブのモデルを構築したという話とか、又は影響度について調査したという話よりは、例えばそれを調査したところどういうことが分かったとか、書いてあるところもあるんですけれども、よりそういうところが分かりやすくなると一般の理解も深まりやすいし、我々としても使いやすいと思います。
【宮澤専門委員】  今課長が御指摘になった点については、幾つか書いてあるところがあるとおっしゃったとおりで、この文章の中では特に2の「顕著な火山噴火及び南海トラフ巨大地震に関して得られた重要な成果」についてはなるべく意識して書いたつもりです。特に南海トラフ巨大地震についてはそうです。具体的に10ページの図4に関しては単にb値のばらつきが分かったのではなくて、破壊過程の解明につながる成果であると書いたり、先ほど議論があった図6については、今後の強震動予測の高度化をするための重要な知見が得られたとか、あるいは図7に関しても、こういったことを認識しておくことは防災上重要であるとか、それぞれについて、全てではないですけれども、できるだけ努力して書いております。
 可能であればほかの成果についても全部書きたいところですが、この成果として何が分かったかに重点を置いて書きたかったということ、それからトータルとしてそういったものがこの計画についてどのようになるかを、個々の計画の中の細かい分野から比べると、分野としては偏ってしまいますけれども、そういったものをまとめで記したことになっております。課長に御指摘いただいた点については今後も成果の概要の中にも記しておくべき点だと思っております。
【竹内地震・防災研究課長】  どうもありがとうございます。森田先生が言われるように、今回この資料を直すということではなくて、次回以降よりよいものになることを目指す形で反映いただければ大変ありがたいなと。なかなか私も申し上げて難しいことを言っているので、書かれる方も苦労しているような気がして、先ほどのb値のところも、このb値が南海トラフ巨大地震の破壊過程の詳細解明にどこまでつながるかというのは難しくて、多分書いた方も苦労されたんじゃないかと思いつつ、一方で一般の人にある程度分かりやすいという観点も重要だと考えましたので、申し上げました。今後努力いただけるということで、ありがとうございました。
【平田部会長】  ありがとうございました。森田委員が言われたことについては、過度に専門的にならないで、専門以外の一定の科学的知見のある人が読んで分かることを目指すべきですので、かといって、全く科学のバックグラウンドのない人が読んでも分かるほど、これを薄める必要はないと私は思います。5年に1度ずつのレビューの総合的なまとめのところではもっと分かりやすくする必要があると思いますけれども、各年度については、研究の成果が実際に何かということが分かるぐらいにする必要があると思います。
 ただ、余りにもその分野でしか使われていない用語で書くのは分かりにくくて、用語集を作ってはいますけれども、なるべく開いた形で書いた方がいいかなと思います。ただし、今回のどの研究成果につながったかということを注のような形で書いていただいたのは分かりやすいかなと思いました。
 ほかの観点で結構ですが御意見はございますか。
【西村臨時委員】  重要な成果ということで、最初にある2の火山関係の記述ですけれども、今宮澤委員がおっしゃったようにどういうことが結果から言えるかを記してあるという形で、地震の方はおっしゃるとおりそう読めました。火山の方はざっと読んだところ、観測量で明らかになったものが、いろいろな現象が定量化できて、何が起きているかしっかり分かったと書いてあるんですけれども、実際に何が新しい知見で得られたのかが少し分かりにくくなっていると思うんです。
 1つ思ったのは、この文章を変えるとすると、それぞれは非常に重要な成果があるので、例えば草津白根の文章の中の3段落目に「以下に、このイベントに関する観測結果や噴火前の活動状況などに関連する知見をまとめる」とありますけれども、これをもう少し、多項目分野によって非常に詳細な状況が短時間のうちに分かるようになったとか、全体として色々な観測をすることが重要で、その結果非常に早く結果が出てくることが分かる、といったことを少し付けて、何がこの計画で新しく分かったかを加えてもらえたらいいのではないかと思いました。いろいろな観測があって多分優劣を付けにくいので、それぞれ記述されてしまうのは分かるんですけれども、全体をもう少し成果を浮かび上がらせるように書いていただければと思います。
【平田部会長】  大湊さん、何か。お願いします。
【大湊オブザーバー】  草津白根、それから霧島もそうですけれども、この2つの噴火については年度末に近い時期に起こったということもありまして、実際にこの観測で得られた情報・データから得られた知見はあるんですけれども、それを平成29年度の成果に書くことが適切かという議論がありまして、この段階では平成29年度の時点で分かったことで収めるという方針があったので、淡々とした事実の記載のような書きぶりになったという面はあります。
 ただ、西村委員がおっしゃったとおり、多項目で観測していろいろなことが分かったことがそもそもどう重要なのかということは、個々の噴火に限らず一般的な研究のやり方として分かっていることなので、それを書いて、こういうことが分かっていること自体が重要なんだということが伝わる文章を書き加えることが重要だと思うので、それを反映させるような方針を入れたいと思います。
【平田部会長】  ありがとうございました。どうぞ。
【宮澤専門委員】  今の西村委員の御指摘はそのとおりでして、5ページから始まる火山については、このページ内には先ほどの南海トラフのような、そこから何が分かって何が言えるかについては触れられておりませんが、35ページのまとめのところでこのような研究成果を踏まえて言えることを少し述べております。
 具体的には第1段落の下から2行目等で、「活動度の高い火山を対象に重点的な観測研究を進めるとともに、効率のよい火山監視手法の開発や、火山活動史の解明のための地質学的研究をより一層推進する必要がある」ということで、少し漠然としておりますけれども、こういった平成29年度の研究成果を踏まえてどうだというのをまとめでは記そうとしておりますが、もちろんこのまとめ方が必ずしも十分ではないという御指摘もあるかもしれません。
【平田部会長】  多分まとめに書いてあるようなことを5ページにちらっと書くと分かりやすいという御指摘で、大湊委員が、市原委員の意見も聞く必要があるかもしれませんが、御検討いただいて、そういう趣旨で少し文章を御検討ください。初めの部分は結構重要ですので5ページは皆読みますが、35ページまでたどり着くという保証はないので、やはり最初のうちに書いた方がいいかなと思います。
 ほかにございますか。では、そろそろこの議題については終わりにしたいと思います。幾つか貴重な御意見を頂きましたので、作業をしている委員の方には申し訳ございませんが、もう少し改善できる部分については御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 これは今日皆様の御了解を得て、修正については部会長預かりにしたいんですけれども、皆さんの意見については10月10日の水曜までに事務局に具体的にお伝えいただきたいと思います。それについて私と事務局で相談して反映させていただきます。そういうことを留保した上で、本日提案されている資料、資料1-2については参考資料ですのでここでは特に審議いたしませんが、資料1-1について部会として御了承いただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【平田部会長】  異議がないようですので、そのようにしたいと思います。ありがとうございました。

[議事2.地震火山観測研究における年次基礎データ調査について]

【平田部会長】 それでは議題2に移ります。議題2は「地震火山観測研究計画における年次基礎データ調査について」で、事務局から御説明いただきます。
【大河原地震火山専門官】  それでは事務局より御説明します。資料2を御覧ください。
 地震火山観測研究計画の実施機関を対象としまして、例年どおり、今年度も年次基礎データ調査を実施させていただきたいと考えております。昨年度と同様に、地震及び火山研究関連の予算及びその内訳、地震及び火山研究に従事する研究者数及びその内訳についての質問項目を設ける予定でおります。皆様に御記入いただく様式を、昨年度までのものから少し改めて分かりやすくする予定ですけれども、調査項目や御記入いただく内容自体についてはこれまでの調査と変わりありません。これは事務的な話になりますが、資料2の裏面に、事務連絡の左肩に記載する宛先を、昨年度と同様の並びで記載しておりますので、もし誤りがありましたら、後ほどでも結構ですのでお知らせいただければと思っております。
 この基礎データ調査は、準備ができ次第、10月の上中旬ぐらいには各大学・機関の御担当として御登録いただいている方にお送りいたしまして、締め切りは送付から3週間程度を目途としてお願いしたいと思っておりますので、各機関の皆様におかれましては御協力のほどよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明について、質問ございますか。質問が特になければこのように進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【平田部会長】  特に反対がございませんようなので、恐れ入りますが、今年度も年次基礎調査を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

[議事3.「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の平成30年度年次報告【機関別】について]

【平田部会長】 それでは議題3に移ります。議題3は、「平成30年度年次報告【機関別】について」について議論をいたしますので、まず事務局で御説明ください。
【大河原地震火山専門官】  事務局より説明いたします。資料3-1及び資料3-2を御覧ください。
 こちらもまた例年どおりのお願いとなりますが、平成30年度の年次報告を年明け以降に依頼をする予定でおります。地震・火山噴火予知研究協議会のご協力で昨年度分もオンラインの入力システムを御準備いただきましたけれども、今年度も御準備いただけるということですので、こちらへの入力をお願いしたいと思っております。資料3-2が入力をお願いする内容で、基本的には今年度とほぼ変更はありませんけれども、1点だけ、(10)には次期計画における平成31年度実施計画の概要を御記入いただきたいと思います。これまでは単に5か年の計画の中で次年度の計画の概要を書いていただく欄でしたが、今度は次期計画における実施計画の概要を書いていただきたいと思います。今期の計画から実質的に継続となるような課題がある場合については、その計画で実施予定の事項を記入していただきたいと思います。次期計画の中に該当するものがない場合は該当なしの旨を御記入いただきたいと思っております。
 資料3-1に戻りますけれども、来年1月に年次報告の作成を依頼しようと思っております。また例年どおり2月頃締め切りとさせていただく予定です。それから、ここにも書いていますけれども、3月13日から3月15日に今年度の成果報告シンポジウムを東大で開催する予定となっております。その後、来年度早々に年次報告の機関別、これはいつもパワーポイントでまとめていただいているものですけれども、そしてその後この成果の概要を取りまとめるという流れで、今年度分の取りまとめについては考えております。
 事務局からは以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。今の話のポイントは、平成30年度の年次報告を例年どおりウェブページで入力するけれども、5か年の最終年度ですから(10)のところを御注意ください。つまり平成31年度の計画については、実質上継続のような計画については書いていただくけれども、ない場合には該当なしと書いていただければいいということです。そのデータを使って今年度の成果報告シンポジウムが計画されております。今年度は最終年度ですから、5か年の全体の報告になるのではないかと考えております。
 例年どおりでございますが、成果報告シンポジウムは実施主体を実行委員会形式でやっております。実は皆様には地震火山部会の委員として今日御出席いただいておりますけれども、さらに平成30年度成果報告シンポジウムの実行委員になっていただきたいと思っておりました。特段の御異議がなければ是非断らずにお引き受けいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、特に御発言がないので、後で事務局から連絡が行くと思いますから、よろしくお願いします。実質的には、地震火山噴火予知研究協議会の企画部にはまた御苦労をかけますので、よろしくお願いいたします。
【石川臨時委員】  成果の報告について、たしか5年前は、建議の最終年として5年分の成果を書いたような気がするんですけれども、今回は平成30年度だけということでよろしいでしょうか。
【大河原地震火山専門官】  そのあたりも皆様に御意見を頂きたくて、今の想定では平成30年度のものと考えているんですけれども、5年間のまとめを記入するところを1つ作った方がいいのかどうか、皆様、どうでしょうか。
【平田部会長】  提案ですけれども、5か年計画の最終年度の平成30年度の成果というのは5年間の成果と同じと私は理解しています。平成30年度にやったことだけを書くのではなくて、それに至るまでの成果があるわけですから、それを含めて平成30年度の成果にしていただければ、内容的には5か年の成果だと思いますので。ここを項目として平成30年度の成果とするのか、平成30年度までの5か年間の成果とするのかというのは、厳密に考えれば違うかもしれませんけれども、さらっと書いてあっても、5か年とお考えになって書いていただければよろしいのではないかと。とりたてて平成30年度に非常に成果が上がった分にはそれを強調していただいてもいいですけれども、4年間の成果を5年目にまとめたということも十分平成30年度の成果だと思いますので、そういうことで書いていただければいいのではないかと思いますが、予知協の方はそれでいいですか。
【加藤臨時委員】  私が答えていいかどうか分かりませんけれども、今の理解でいいと思うんですけれども、ここの会議の委員だけが知っていても困るので、何らかの形で様式の注意書きを少し丁寧に書くのがよいのかなと思いますので、よろしくお願いします。
【平田部会長】  分かりました。どうぞ。
【西村臨時委員】  多分この成果は、これを取りまとめる人にとって一番重要な資料になるので、あるいは部会長とかですね。各課題で書きぶりのバランスが違うと、まとめるのが大変だと思うんです。だから、ある程度どのように書くかを明示してあげないといけないのではないかと思います。
【平田部会長】  分かりました。そうすると前言を翻して、(8)の書く欄を(8-1)と(8-2)か何かにして、狭い意味の平成30年度の成果と5か年の成果を両方書くことにしましょう。あるいは注として、ここには平成30年度の成果と5か年の全体の成果をまとめたものも両方書いてくださいということを明示した方がいいかもしれませんね。確かにここで今話を聞いている人は理解しても、これを関係者全体にお知らせするときには、これだけを読んで書く人がいますので、それを少し追加してください。ありがとうございます。
【竹内地震・防災研究課長】  承知しました。追加いたします。明確に平成30年度と、それから5年間と、それぞれ項目を分けた方が読んだ人も分かりやすいので、そのような案を作ります。
【平田部会長】  ありがとうございました。大変貴重な御提案でしたので、そのようにしたいと思います。よろしくお願いします。
 余計なことですが、例年言いますけれども、これはちゃんと期日を守って、さくっと作っていただくことが重要です。3月の成果報告会の前に取りまとめる人たちの目にこれが触れることが重要で、これを基にして成果報告会のプログラムが編成されると思ってください。ですから、ぎりぎりになるというよりは、早めにお願いします。締め切りはどこかに書いてあるんですかね。
【大河原地震火山専門官】  締め切りはまだ明示していないですが、そのあたりは予知協議会とも確認調整して決めたいと思っています。
【平田部会長】  成果報告会ぎりぎりでは余り意味がないのですが。結局ぎりぎりになってしまうんですけれども、そうはいっても1週間ぐらいは余裕を持って、部会長がこれを読んで、どういう成果があったか御理解いただくのが大事だと思います。ありがとうございました。 
( 休憩 )
【平田部会長】  それでは再開いたします。

[議事4.次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの実施状況について]

【平田部会長】 4番目の議題で、「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの実施状況について」を議論したいと思います。今期の最初の地震火山部会において「地震火山部会の当面の審議事項」を決定いたしました。この中で、現行計画の進捗状況の把握及び成果の取りまとめ、次期計画の検討のほかに、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトに対するフォローアップの実施という項目が含まれております。これを踏まえて、今日は火山プロジェクトのこれまでの進捗状況についての御説明を頂き、意見交換を行いたいと思います。
 それでは事務局から御説明ください。
【大河原地震火山専門官】  事務局より説明いたします。先ほど平田部会長からもありましたとおり、今期の最初の地震火山部会で、この次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトのフォローアップが地震火山部会の当面の審議事項に入りました。次期建議の策定という非常に重要なミッションがありましたので、このプロジェクトについてはしばらく議題に上ることがなかったのですが、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトが平成28年度から始まっており今年度は3年目に当たりますので、これまでの進捗について簡単に説明させていただいて、それに対して御意見を頂きたいと思います。
 資料4を御覧ください。まず2ページです。このプロジェクトは平成26年9月の御嶽山の噴火などを踏まえて、観測・予測・対策の一体的な火山研究の推進、理学にとどまらず工学・社会科学等の広範な知識と高度な技能を有する火山研究者の育成・確保を目的として、平成28年度より実施しているプロジェクトです。事業は、赤枠の次世代火山研究推進事業、青枠の火山研究・人材育成コンソーシアム構築事業から成り、年間の予算額はおよそ6.5億円で毎年推移をしております。
 続きまして、3ページを御覧ください。こちらは次世代火山研究推進事業の個別の研究課題の内容になります。次世代火山研究推進事業では分野を融合した先端的な火山研究を実施しておりまして、大きく分けると3+1本柱というんでしょうか、上の3つ、課題Bの先端的な火山観測技術の開発、課題C、火山噴火の予測技術の開発、課題D、火山災害対策技術の開発、それからこれを支える、下にあります火山分野での各種観測データの一元化を通して火山研究の促進を目指すという課題A、その3+1本柱からなります。
 ここで、これまでの研究及び技術開発の成果について少し触れたいと思います。なお、このページの中で、サブテーマごとに2行ぐらいのタイトルを書いておりますけれども、このタイトルは火山プロジェクトの公式な研究テーマ名とは異なるものがありますので、その点は御了承いただきたいと思います。
 まず課題Aですけれども、これは火山観測データのデータネットワークの構築によって火山研究や火山防災への貢献を目指すものです。このプロジェクトにより行っている観測などで取得したデータのほか、火山分野にいろいろあります各種観測データなどの流通を、可能なものから順次共有を進めていくこととしております。平成29年度は、データ流通の仕組みあるいは方法について、このプロジェクトの下にワーキンググループを設置して検討を行い、データ流通の仕組み作りのための方針を取りまとめました。この方針を踏まえて、早ければ今年度中のシステムの運用開始を目指して現在システムの開発を進めている状況です。
 なお、火山観測データの流通の在り方につきましては、地震・火山噴火予知研究協議会の下でも、主に大学等のデータ流通の方策について検討を進めていただいておりますけれども、この火山プロジェクトの課題Aの成果は、こうした方策について主にハード面からも貢献ができるものと考えております。
 右上に行きまして、課題Bのサブテーマ1、素粒子ミューオンを用いた火山透視技術の開発ですけれども、これは皆さん御存じのとおり、素粒子ミューオンを用いて火山の内部構造の状態を推定しようというもので、解像度の向上やデータ取得自動化に向けた技術開発が進められています。主に桜島で継続的にテスト観測を現在行っていまして、平成29年度にはリアルタイムに桜島の浅部の透視画像を1日1枚提供することを目指した技術開発が進められています。また、ミオグラフィーの理解を深めるための展示や講演会なども実施しています。
 課題Bのサブテーマ2、リモートセンシングを利用した火山観測技術の開発です。衛星SARはよく使われていますけれども、時間の分解能がやはり大きな制約となりますので、車などに搭載して、どこでも高精度なレーダー干渉法の観測を行えることを目指して可搬型のレーダー干渉計の開発に現在取り組んでいます。実験機を作成しまして、現在それのテストなどを行っている状況です。また、衛星SARによる地殻変動データベースの作成や、地表の温度、火山ガス、火山灰などを計測する分光装置技術を小型化して可搬型のカメラに埋め込むといった研究技術開発も現在進められているところです。
 課題Bのサブテーマ3、これは火山ガスによる火山活動の状況把握の技術の開発です。噴火前に火山ガス中の成分の割合が変動することがありますので、そういう火山ガスの地球科学的な定量的観測を通して噴火の切迫性を評価することを目指しまして、オンサイトの同位体比の計測の実現に向けた可搬型質量分析計などの開発を進めています。また、箱根山、草津白根山、霧島山など現在活動している火山がいろいろありますけれども、そういった火山でも、現在連続的に火山ガスのサンプル採取と同位体比解析をこのサブテーマで進めています。また、噴煙を航空機を用いて採取して化学的に解析することを目指した技術開発も今取り組んでおります。
 課題Bのサブテーマ4ですけれども、多項目・精密観測・機動的観測による火山内部構造・状態把握技術の開発ということで、火山噴火の予測を実現するには日々定常的な観測をする、それから、それを補完する機動的な観測を行って、正確で詳細な火山活動の情報を事前に蓄積・集積しておいて、いざ何か変化が現れたときに、その異常を検知する能力を底上げしておくことが必要です。このサブテーマでは、これまで霧島山の硫黄山、北海道の倶多楽、箱根山などで集中的な観測を行っていまして、地震計や傾斜計、GNSS、MT観測などを行いまして、例えば霧島山や倶多楽では比抵抗構造調査を実施しまして、それが火山活動に果たす役割などについての調査が進んでいる状況です。またこの課題では、噴火の切迫度を評価するために有用な評価ツール、地震計のアレイデータを解析するシステムなどの評価ツールの開発も進めております。
 課題B2-1、課題B2-2は特に技術開発的なものになります。課題B2-1、ドローン等を用いた上空からの送電及び自動データ回収の技術開発ですけれども、火山観測では得てして電源が途絶して観測データが失われてしまったりということが起こり得ますので、この課題では空中マイクロ波送電技術を活用して、ドローンなどを使って上空から地上の観測機器に送電を行ったり、地上の観測機器で観測したデータを、ドローンに積んだ機器を媒体として自動的に回収するという技術開発を進めています。これまでにこうした技術に使用するアンテナなどの設計・試作を行いまして、送電試験などを行っている状況です。
 課題B2-2は、位相シフト光干渉法による電気的回路を持たない火山観測方式の検討及び開発ということで、火山の観測は、雷、雪、火山ガスといった非常に厳しい環境がありますので、そういうところでも耐性があるような観測機器の開発を進めていまして、本課題では地震の振動をレーザー光の位相差として検出して、その信号を光ファイバーで伝送する方法によって、電気的回路を持たず雷などに強い地震計の検討及び開発を進めています。これまでのテスト観測で従来の地震計と遜色ない振動データを観測することに成功しております。
 課題Cのサブテーマ1ですけれども、噴出物分析による噴火事象分岐予測手法の開発ということで、火山の噴出物には噴火時のマグマの特性などいろいろな情報がありますので、そういった情報を得て、観測や歴史記録などによって明らかになっている噴火の経緯と比較することで、噴火などの火山活動の推移の分岐条件を明らかにして、噴火予測の高度化につなげることを目指すものになっています。これまでに火山噴出物を高精度かつ効率的に分析・解析できる環境の構築を進めまして、有珠山、榛名山、富士山、伊豆大島、阿蘇山、霧島、桜島、諏訪之瀬島、西ノ島などの噴出物をこれまでに解析して、噴火事象分岐予測手法の開発に向けて多くのデータがこれまでに得られております。
 課題Cのサブテーマ2、ボーリング、トレンチ調査、地表調査等による噴火履歴・推移の解明ですけれども、これは個々の火山について高精度に噴火履歴を解明し、噴火推移の情報をできる限り多く蓄積して、最終的には蓄積されたデータを用いて噴火事象系統樹を作成するところまでを目指す課題となっています。これまでに、高度な物質科学的解析を行うマグマ変遷解析センターの整備を進めるとともに、分析のルーチンの手法の確立を行いました。浅間山ではトレンチ調査などの集中調査を行って、噴火履歴がこれまでよりも高精度に分かったということもありますし、鬼界カルデラでは今、非常に深いところまでのボーリング掘削を行っている状況です。ほかにも雌阿寒岳、恵山、鳥海山、蔵王山、日光白根山、白山、阿蘇山などなどで噴火履歴等に関する多くの知見がこれまでに得られております。
 課題Cのサブテーマ3ですけれども、これは数値シミュレーションによる噴火ハザード予測ということで、数値シミュレーションを通して火山噴火の事象分岐の判断基準を検討するとともに、火山活動予測及び被害予測の高度化を目指すものになっています。これまでに地下におけるマグマの挙動・移動についてのシミュレーションの開発を進めて、地殻変動によって噴火の遷移過程を検知できる可能性について検討を進めている状況です。また、噴火ハザード・シミュレーションについても開発高度化を進めていて、富士山の降灰シミュレーションなども実施しております。
 課題D、火山災害対策技術ですけれども、課題D-1はドローン等によるリアルタイムの火山災害把握ということで、これは最近急速に普及しているドローンなどを活用して噴火前後の火口や火山体を撮影して解析を行いまして、噴石、溶岩流などの表面現象を含む状況を迅速かつ高精度に把握して、迅速に防災関係機関などに提供して防災に役立てようという研究開発です。これまでに、例えば伊豆大島の火口の内側の3Dモデルなどを撮影した画像を基に作成したり、今年3月の新燃岳の噴火ではこの画像解析の技術を活用しまして、別に撮影された映像を基にして、火口内に噴出した溶岩の体積の推定なども行って、噴火予知連などにも報告をしている状況です。
 課題Dのサブテーマ2、リアルタイムの火山灰状況把握及び予測手法の開発ですけれども、これは桜島をメインの対象としまして、レーダー等を活用して火山灰の観測技術高度化、火山灰拡散予測高度化、さらには噴火発生前に火山体の膨張などを検知して、それを基に確率的な噴火予測、降灰予測を行えるようにしようというものになっています。これまでに、桜島の周辺にGNSS、ライダー、XバンドMPレーダーなどを設置して、火山灰放出量の即時把握のためのマルチパラメータ観測網を整えています。実際にその観測網を使って、天気が悪い場合などでも噴煙が高精度に検知されている状況になっています。また、火山灰の拡散予測のシミュレーションなどについても高精度化に向けた技術開発を現在進めております。
 課題Dのサブテーマ3ですけれども、火山災害対策のための情報ツールの開発ということで、この火山プロジェクトをはじめとして、火山について様々観測・予測の研究が行われていますけれども、そういった観測研究の成果が防災にうまく生かされるのが非常に重要ですので、そのための情報ツールの開発をこのD-3で進めております。いわばこの火山プロジェクトのメインの出口部分に当たるものの1つと言えるかと思います。この情報ツールについては、特に市民社会に影響が大きい降灰、それから救助や避難、市民の皆さんへの周知啓発という3つのコンテンツから成るものを今考えておりまして、降灰の被害予測コンテンツの開発に向けては、空調機器を対象として降灰の実験を行って、空調機器への影響を調査したり、あるいは救助・避難のコンテンツの開発に向けては、実際に富士山というフィールドでの登山者の動向把握の実験などを行ったりしています。それから、ハザードマップのデジタル化なども進めている状況です。また、周知啓発や教育のコンテンツの開発に向けて防災担当者へのヒアリング調査などを実施しているというのがこれまでの進捗になっています。
 少し長くなりましたけれども、以上が次世代火山研究推進事業の各課題、サブテーマの具体的な内容及び進捗状況となります。
 4ページに行きまして、このページは短く紹介しますけれども、これまでに得られた知見の例を挙げています。左上は課題C-2、トレンチ調査によって浅間山の噴火履歴がより高精度に分かったというものです。左下は課題B-4で、ここにあるのは霧島の硫黄山などですけれども、霧島山の比抵抗調査によって地下の構造がより詳細に分かったというものになっています。
 それから右上にあるとおり、火山噴火緊急観測という枠組みを設けておりまして、これは、噴火の予兆が把握された場合や噴火が発生した際に、この火山プロジェクトで実施している研究の推進とか、このプロジェクトのアウトプットに貢献するような調査観測を、実際に動きが見られる火山において速やかに実施をするというものです。その結果が研究に資するというのも当然そうですけれども、その観測などによって得られた情報や観測結果をもって火山噴火に対する防災・減災に役立てることも目的としまして、この火山噴火研究観測を迅速に行うことができるような枠組みを整備しております。実際に今年1月の草津白根山の噴火では、この枠組みに基づいて研究者を3名派遣いたしまして、臨時の地震観測点を3点設置しました。また3月には、霧島の硫黄山において、この枠組みに基づきまして研究者を派遣して、火山ガスの採取・分析を実施しております。また、今年8月末から9月頭にかけては伊豆大島で、伊豆大島は前回の噴火から年月が経過しており、次の噴火に向けて着実にステージが進んでいると考えられるわけですけれども、その伊豆大島でこの多数の課題・サブテーマの皆さんに参加を頂きまして火山噴火緊急観測を実施しております。地震計とかGNSSとか、地磁力とか、火山ガスといったものについての総合的な緊急観測を伊豆大島で実施したということがありました。
 右下のデータ流通ワーキンググループについては課題Aのところでも述べたとおり、報告書を取りまとめて、それに基づいてシステム開発を進めているという状況になっています。
 続きまして5ページ、火山研究・人材育成コンソーシアム構築事業でして、これは大学や研究機関、国の機関、地方自治体などから成るコンソーシアムを構築して、その受講生、主に大学院生が、所属する大学にとどまらない学際的な火山学を系統的に学べる環境を整えることで次世代の火山研究者を育成するもので、具体的な実施内容としては主要3分野、地球物理学、地質・岩石学、地球化学の専門科目の授業、それから火山学セミナー、これは工学とか社会科学とかも含みます、それから国内・国外でのフィールド実習、インターンシップなどを実施しております。
 平成28年11月から始まっているので、実質的には平成28年度と29年度が1年目と思っていただければいいのですけれども、そこで40名の受講生を受け入れました。学年別は以下の括弧のとおりですけれども、平成29年度にはこのうち基礎コースで38名、そのうち応用コース4名の修了を認定しております。今年度は新たに22名の修士1年の受講生の受け入れを行っている状況になっています。今年度の実施状況及び実施予定は右に書いておりますけれども、海外のフィールド実習とか国内のフィールド実習、それから、ここに書いていないですけれども、火山学セミナーとか、もちろん通常の授業なども実施しております。インターンシップなども実施あるいは実施予定となっています。下にコンソーシアムの参画機関を書いておりますが、特に協力団体としては自治体であったり、火山学会であったり、イタリアの大学間火山コンソーシアムなども協力団体として新たに参画を頂いている状況になっています。
 6ページ、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトのアウトリーチイベントとして今年1月に実施した次世代火山研究・人材育成総合フォーラムの実施状況でございます。これは池袋で行われました「ぎゅっとぼうさい博!」のスペースの一角を使用しまして、「火山噴火予測研究の今!及びその将来展望」ということでフォーラムを開催しました。このような2つのセッションで実施しまして、100名以上の御参加を頂いております。
 最終の7ページですれども、こちらは本プロジェクトについて毎年実施しておりますフォローアップの平成29年度の結果を掲載しております。次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの実施事業について、文部科学省研究開発局に次世代火山研究・人材育成プロジェクトの評価会を設置しまして、この取組の進捗を確認するフォローアップを毎年実施しております。毎年といっても平成28年度からですので、平成28年度、平成29年度と実施しているわけですけれども、このフォローアップに関連しまして、各課題の成果報告書を火山プロジェクトのホームページで公表しております。
 フォローアップの結果ですけれども、平成29年度については各課題とも概ね順調に進んでいるというコメントを頂いております。また、人材育成コンソーシアム構築事業については、概ねないし想定以上に順調に進んでいるというコメントを頂いております。言い忘れましたけれども、この評価会については平田先生にも委員として参画していただいております。火山プロジェクトは10年計画ですけれども、1年目から3年目までフォローアップを行った後、4年目に中間評価を行います。4年目というのは来年度に当たるわけですけれども、ここで1回中間評価を行います。あとは5年目、6年目とフォローアップを行いまして、7年目にももう一度中間評価を行うことになっています。それから8年目、9年目のフォローアップを経まして、最終年度に最終評価を行うという評価の形態になっています。
 火山プロジェクトの進捗状況などにつきまして、事務局からは以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。詳しい御説明を頂きましたので、少し議論をしたいと思いますが、ここには関係者の方もいらっしゃると思うので、もし補足することがございましたら御発言ください。西村先生、何か一言。
【西村臨時委員】  付け加えるとしましたら、協力団体ですけれども、大学が5つほど増えました。秋田大学、広島大学、茨城大学、首都大学東京、早稲田大学にも機関に入っていただいて、今年度から受講生を送っていただくことになりました。以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。日本中の火山の関連の大学がほとんど全て参加していると考えていいですね。
【西村臨時委員】  ほとんど全てというほど全てではないです。
【平田部会長】  失礼いたしました。関係者の御努力によって非常に順調に進んでいると思います。最後のフォローアップのところでもおおむね順調ですけれども、火山研究・人材育成コンソーシアム構築事業については想定以上に順調に進んでいるという評価も頂いておりますので、成果が上がっていると思います。ほかに何か。
【三浦科学官】  よろしいですか。一研究者としてコメントしたいと思いますけれども、私は4ページにあります火山噴火研究観測部会というものの一番下にあります伊豆大島での緊急観測に参加しました。伊豆大島は噴火したわけではないので、緊急観測の意味はちょっと違って、多分緊急観測のための準備みたいな意義付けだと思うんですけれども、教職員、それから学生も含めて総勢40人集まりまして、地震、測地、化学等の観測を行いました。一度こうやって現場に集まっていろいろな観測をしておくと、いわゆる土地勘が養われて、次に実際に緊急的な火山活動の活発化などがあった場合には非常にスムーズに観測が実施できるのではないかと思います。ですので、そういう意味では非常に有意義な緊急観測だったということを御紹介いたします。以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。森田委員、何か付け足すことはありますか。
【森田臨時委員】  今の話でもう一つ付け加えることとして、研究者だけではなくて気象庁の方にも参加いただきました。気象庁も伊豆大島に関しては連絡事務所があり、測候所がなくなったために役場に職員が駐在していますが、そういった方にも、大学流の観測はこういう格好でやりますよ、気象庁の観測はこういうところでやっていますよ、ということをお互いに情報交換しながら、また本庁や地磁気観測所からも気象庁の職員が参加され、お互いにもう少し現場で情報の交換を積極的にしましょうということを、この緊急観測訓練で行いました。こういったことが次の噴火に際しては非常に力になるのではないかと私は考えております。以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。ほかに関係の方でもよろしいし、そうではない方でも結構ですので、御意見ありますか。どうぞ。
【三宅専門委員】  人材育成に関して1点お伺いしたいのですけれども、特に大学院生が関わっている場合に、数年後のキャリアパスは具体的にどういうものを用意されたり、展望があるのかお聞かせいただけましたら幸いです。
【西村臨時委員】  このコンソーシアムは今マスターを主対象でやっていまして、ドクターコースに進学する学生を奨励することもありますが、防災関係をしている企業も含めて、あるいは国の機関、あるいは地方自治体などへの就職も奨励しています。ですから、キャリアパスとしては全てが研究者ではなくて、火山災害だけの防災は狭いので、広い意味での自然災害の防災に関する職業に是非ついてくださいということで進めております。
 昨年度若干名卒業生が出たんですけれども、今年度ここにあるマスター2年生が十数名ぐらい出ますので、その人たちの就職状況を確認していこうと思っています。ドクターに進学した後のキャリアパスについては、多分どこの研究所でも問題になっておりまして、ポスドクだったりパーマネントをとることを奨励しますけれども、こればかりはコンソーシアムで何か新しいことはできませんので、担当の先生には、我々自身がいい研究をして、いいポストを確保できるように頑張りましょうということで伝えております。あるいは文部科学省の方々に何かいいお知恵をということをお願いしているというぐらいです。
【竹内地震・防災研究課長】  この人材育成コンソーシアムで、火山研究者80人を倍増ということを目標にもしているところで、今西村先生がおっしゃったような形でやっていただいているところです。
 就職先としましては、気象庁・気象研とか産総研とか、火山研究を行っている機関も非常に重要です。これらの機関でインターンシップを積極的に行っていただいているところで、昨年度も気象庁等にコンソーシアムの参加学生が参加したりしているところです。先ほど最後の方で紹介した評価の委員会の中では、例えば気象庁の職員研修と連動させるようなことをすると、例えば参加する学生には気象庁の火山関係の仕事がどういうものか分かるし、気象庁にもメリットがあるという相乗効果があるので、そういうこともできないかという意見が出て、これは今御検討いただいているところです。
 あと、研究者については、先ほどありましたように文部科学省で研究者のポストを増やすという権限はなくて、どちらかというとこのような一定のコースを受けて、そういう火山の知見を学んだ学生を供給するという立場でやっていますので、ポストを用意するというところはなかなかできないのですけれども、むしろ先生の皆様方のほうで、もしこのような学生を採用するようなことがあれば是非前向きにやっていただければ大変ありがたいなと思っているところでございます。
 以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。森田委員。
【森田臨時委員】  さらにちょっと付け加えますと、今、火山人材というのは、活火山法の改正によって、各地の火山防災協議会に火山専門家を入れなさいということで、社会的に火山人材が不足しているという背景がございます。そういった人材が不足している中で、逆にどういったところにポストが作れるのかといったら、これはもう社会全体で考えてもらわないといけないということを、実は内閣府で議論しております。
 ただ、ここでいう火山専門家というのは、一流の研究者というよりは、社会の火山防災の専門家を増やさなければいけないという発想でございます。どういった人がそういう火山防災の専門家になり得るかといったときに、例えばここの人材コンソーシアムで出た学生が、気象庁にうまく勤めていただき、監視能力及び評価能力をより専門的にすることも必要だろうといったこともございまして、気象庁との連携をこの研究プロジェクトでも一生懸命やっております。
 それともう一つ、そうやってせっかくここで出てきたマスターの学生をつなぎ止めるというわけでもないんですけれども、研究プロジェクトでPDとして雇用し、研究もさることながら、その研究成果がどういう格好で現場に伝わっていくかも身をもって体験してもらおうという努力もしております。ですから、確かに結果としては80人のポストを用意しろということを目指されるかもしれませんけれども、なかなかそれは難しい。だけど、できる範囲でいろいろなところで努力しているというのが実態でございます。
 以上です。
【平田部会長】  ありがとうございました。いろいろと努力して人材を作って、その人材が適切に活躍できる場を確保することが行われていると思いますので、引き続きよろしくお願いします。
 ほかに何かコメントのある方はいらっしゃいますか。
 それでは他に、今日の地震火山部会で議題にすべき話題をお持ちの方はいらっしゃいますか。無ければ事務局お願いします。
【大河原地震火山専門官】  皆様、本日はどうもありがとうございました。次回の地震火山部会の会議の日程は現在未定でございますけれども、地震火山部会、測地学分科会の今期の任期が来年の2月14日までとなっておりまして、それまでにもう1回は開催することになるだろうと考えております。もしかしたら2回開催することがあるかもしれませんが、そのあたりはまた相談をさせていただきたいと思います。日程が決まりましたら改めて御連絡をさせていただきます。
【平田部会長】  ありがとうございました。それでは、ほかに何もなければこれで終了したいと思います。本日はお忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。

―― 了 ――

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