地震部会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成15年3月24日(月曜日) 14時~16時

2.場所

経済産業省 別館 825号会議室

3.出席者

委員

 田中分科会長、石田、石原、平、長谷川
臨時委員
 大竹、久家、長谷見、平澤、本藏、松浦、山下、浦塚、堀内、加藤、海津、藤谷、佐々木
専門委員
 梅田、大久保、笠原、金沢、野津、濱野、平田、清水

文部科学省

 磯谷地震調査研究課長、太田主任学術調査官、吉田学術調査官 他関係官

4.議事要旨

(1)部会長の選出等について

 科学技術・学術審議会令第6条第3項に基づき、委員の互選により長谷川委員が部会長に選出された。
 引き続き、事務局から資料(2)~(6)に基づき、地震部会設置の経緯について説明があった。
 また、資料(7)に基づき議事内容の公開について説明があり、審議の結果、第1期の部会において制定した要項を引き続き用いることについて了承された。

(2)次期観測研究計画起草委員会の設置について

 事務局から資料(8)に基づき、起草委員会の設置について説明があり、審議の結果、第1期の部会において制定した要項を引き続き用いることについて了承された。
 引き続き、長谷川部会長は、要項第3項に基づき、平澤、本藏、梅田、笠原、金沢、濱野、平田、藤井の各臨時委員及び専門委員を起草委員に指名した。

(3)「次期観測研究計画(仮称)の推進について」の中間報告案について

 長谷川部会長は、第1期の次期観測研究計画起草委員会主査であった平田専門委員に「次期観測研究計画(仮称)の推進について」の中間報告案について説明を求めた。平田専門委員は、中間報告案の序章及び草案からの修正点を中心に説明を行った。
 続いて、意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。(○:委員等、□:起草委員、△:事務局)

(「地震予知のための新たな観測研究計画」の成果と今後の展望について)

委員等
 読み下しにくい部分は更に文章を練ってほしい。

委員等
 「今後の展望」の箇所に「地殻活動予測シミュレーションモデルを構築し」とあるが、通常は「地殻活動予測モデルを構築してシミュレーションし」と表現するのではないか。構築するのは、モデルである。

起草委員
 「地殻活動予測シミュレーションモデル」は固有名詞的に用いる意図である。

委員等
  第1章には、地震調査研究推進本部の下に地震予知のための観測研究体制の整備を進める旨記述があるが、第3章の対応する箇所には、代わりに測地学分科会が登場する。地震予知連絡会が地震調査研究推進本部及び測地学分科会とどのような関係にあるのかも分かりにくい。また、各大学の研究施設を全国的組織の一部として位置づける旨記述があるが、大学の独自性を損なわせるような印象を与えかねない。

委員等
  この議論はまだ始まったばかりなので、議論は早急に行いつつも結論は急がず、方向性を示せば良いと思う。

委員等
  研究施設を全国的組織の一部として位置づけても、制度的には位置づけられていない。また、計画の評価及びフォローアップについても、今までも行ってきたことであり、本当に行いたいことの意図が尽くされているとは考えにくい。

委員等
  第2章の2-(4)の記述の方が簡潔で、第1章にふさわしいのではないか。

委員等
  片仮名が多く読みづらい。用語集を備えるとはいえ、地震研究者以外の読者も想定すべきである。「アスペリティ」は鍵概念であるが、そのまま用いて適当か。

起草委員
  現計画のレビューにおいて用いられており、定着しつつあるとの認識である。

委員等
  「地震学用語集」の編集方針は、外来語を無理に日本語にしないこととしており、本中間報告案もその影響から免れ得ない面もある。

委員等
  プレート境界域についてはシミュレーションモデルの記述があり、内陸について言及していないのはなぜか。

起草委員
  前者については、アスペリティモデル等手掛かりがあるが、後者についてはまだ知見が不足しているためである。5箇年の達成度を考慮した記述となっている。

委員等
  両者の状況の相違を記述しても良いのではないか。

委員等
  「地震予知のための新たな観測研究計画の成果」の箇所で、プレート間の結合状態には様々な形態があることと、地震発生に至る地殻活動の理解が進んだことに直接因果関係があるような記述となっているが、論理の飛躍である。「理解が進んだ」というより「理解が深まった」という方が実際ではないか。

委員等
  レビューや外部評価の結果、今後も計画を継続すべき旨及びこれらを反映させて計画を策定する旨記述しても良いのではないか。

(本計画の基本方針について)

委員等
  「“予測”することのできる“予測”シミュレーションモデル」は重複表現である。

委員等
  「現状をモニターし、観測データを」の「観測データ」と「モニタリングデータ」は同じ意味に見える。

起草委員
  前者はモデルを調整するデータであり、後者はこれを検証するデータである。

委員等
  この部分は地震予知研究の最終目標を記述した部分であり、正確に理解されるよう記述しなければならない。

委員等
  「地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進」の箇所で、地震発生サイクル全体及びその変動性を解明する旨記述があるが、5箇年で達成できるとは思えない。ここだけが強調した表現となっているので、例えば、「解明に努める」など、他の箇所と表現を合わせるべきである。

(計画の内容について)

委員等
  「地震破壊過程と強震動」、「地震発生の素過程」の箇所では「本研究は○○研究所が実施する」という表現であり、他の項目では「○○研究所は・・・を実施する」という表現であるのはなぜか。

起草委員
  簡潔な文にするための表現である。

委員等
  この表現は、挙げてある機関以外を排除するような雰囲気があるので、例えば、「~等が中心となって」を追記して表現してはどうか。

委員等
  「日本列島地殻活動情報データベースの構築」に産業技術総合研究所等が日本列島の主要活断層のデータを収集・整理する旨記述があるが、地震調査研究推進本部の基盤的調査観測による活断層評価との相違が分かりにくい。

委員等
  同箇所で、産業技術総合研究所等が統一的基準による危険度評価を行う旨記述があるが、「評価に資するものを提供する」など表現を工夫する必要がある。

委員等
  「危険度」という語は被害の大きさにつながるので、使用について検討する必要がある。

委員等
  過去の地震記象のマイクロフィルム化が記述されているが、数値化はしないのか。

委員等
  記憶媒体等で解決すべき問題があるため、今後の検討課題としている。

委員等
  気象庁が過去の「日本の地震カタログ」を作成する旨記述があるが、今まで全く作成されていないような印象を与えるので、「改訂する」と言い換えてはどうか。

委員等
  これは、気象庁のみでなく、大学等も含めたものを作成する計画である。

委員等
  「地殻活動予測シミュレーション同化システム」という語は分かりにくい。

起草委員
  予測のできるシミュレータでなければならないという議論を反映した造語である。

委員等
  「宇宙技術等の利用の高度化」の箇所で「陸域における地殻変動を1km以下の空間分解能で決定する」とあるが、1kmは粗すぎる。間違いではないか。

委員等
  ピクセルのことを記述しているのであろうが、分かりにくいので、表現を工夫する必要がある。

委員等
  「宇宙技術等の利用の高度化」の「機動的観測を高度化するとともに、地震波形データの流通強化のため・・・」という箇所は、その前文とのつながりが悪い。

委員等
  カンマ(,)で表現すべき箇所を中黒(・)で表記している部分があるので、統一すべきである。

委員等
  「全国を概観した地震動予測地図」は、災害危険区域予測図と同一のものではないので、「地震危険度」という語は適当ではない。例えば「強い地震動に見舞われる可能性」と言い換えれば良いのではないか。

委員等
  地震予知連絡会が指定した特定観測地域等の在り方を見直しについて言及されているが、具体にどういうことか。地震発生の切迫性等、時間スケールを考慮した地震動予測地図であれば、整理は必要であると思う。

委員等
  両者の共通性が高ければ、国民の受け取り方、調査研究への資源配分という観点を考慮して見直すべきである。ただし、両者の地域指定の目的は異なる。

(計画の名称について)

委員等
  本計画は観測、実験、理論等種々の要素を全て「研究」に含め、計画の名称として打ち出すべきである。

起草委員
  10年、20年と継続的かつ安定的に推進するためには、「観測」は重要である。

委員等
  「観測」を削除すると、その重要性が低下したと見なされかねない。東南海・南海地震対策特別措置法に対応する施策立案の面でもやりにくくなる。

委員等
  計画に参加している現業官庁にとっては「観測」は重要である。

委員等
  「観測研究」は「観測・研究」の意であり、「観測」と「研究」は計画の両輪と考えている。

委員等
  外部評価では「地震予知」という名称にこだわらないことが適当とされているので、用いるのであれば、しかるべき説明を用意する必要がある。

委員等
  現計画は地震調査研究推進本部の総合基本施策に位置づけられており、次期計画はこれを継承・発展させるのであるから、現在の名称を踏襲することが自然である。

委員等
  計画の継続性を重視するのであれば、名称は余り変更しない方が良い。

委員等
  地震予知を目指さずに単なる地震学の計画であるならば、予算措置に特段の配慮をすべき計画でなくなる。

委員等
  外部評価では、計画内容について問題は指摘されていないが、計画内容に即した名称にした方が良いのではないかと指摘されている。現計画でも「地震予知とは何か」を明確に定義づけたつもりであるが、国民への浸透はまだ十分と言えない。

事務局
 外部評価への対応としては、次期計画において、少なくとも、「地震予知」を定義し、社会から誤解を招かないよう内容を記述するとともに、国民の正しい理解が得られるよう努力を継続してゆく旨説明することが必要ではないのか。

委員等
  「地震予知」という名称を削除すると、「地震予知はできない」ではなく、「地震予知をする努力をしない」と受け取られる。毎回名称を変更するようでは、長期間にわたる着実な計画の実施ができなくなる。

委員等
  「予知」より「予測」が良いと思うが、再度名称を変更すると混乱を招く。むしろ、国民の誤解を解消する方向で努力した方が良いかも知れない。

委員等
  現計画において名称変更した際も、相当の議論を行った。余程の覚悟がなければ名称変更は困難である。

委員等
  計画の内容がどのように地震予知につながっているのか分かりにくい。

 また、平田専門委員から、海底地殻構造探査や地球シミュレータを用いたシミュレーションモデルの構築等において海洋科学技術センターとの連携が図られつつある旨説明があった。今後も連携協力が重要であり、地震予知に関する計画を更に効果的に推進するため、海洋科学技術センターに所属する有識者を審議に加えることについて提案があった。
 審議の結果、次回の部会から専門委員として出席を求めることについて了承された。

 なお、中間報告案に対する意見等については、4月4日(金曜日)までに事務局宛て連絡することとし、今回の部会における意見等と併せて起草委員会において修文の上、次回の部会において更に検討を深めることとした。

(4)その他

 事務局から、資料(11)に基づき、国立大学法人法案の要点について説明があった。

お問合せ先

研究開発局地震・防災研究課

(研究開発局地震・防災研究課)