地震部会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成14年10月25日(金曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 別館 大会議室

3.出席者

委員

 平澤部会長、石田、石原、小平
臨時委員
 入倉、大竹、長谷川、本藏、松浦、山下、堀内、加藤(代理:佃)、海津、藤谷、佐々木
専門委員
 梅田、大久保、笠原、金沢、野津、濱野、平田、藤井

文部科学省

 磯谷地震調査研究課長、吉田学術調査官 他関係官

4.議事要旨

(1)人事異動の紹介

 事務局から、吉野臨時委員に代わり浦塚臨時委員が、内池臨時委員に代わり藤谷臨時委員が、八島臨時委員に代わり佐々木臨時委員が就任した旨紹介があった。

(2)「地震予知のための新たな観測研究計画」の実施状況等に関する外部評価報告について

 平澤部会長は、平成14年4月24日の測地学分科会(第3回)において決定した「「地震予知のための新たな観測研究計画」及び「第6次火山噴火予知計画」の外部評価の実施について」に基づく外部評価が終了し、平成14年10月22日の測地学分科会(第4回)に報告された旨を述べ、事務局に同報告書について説明を求めた。

 事務局は、「「地震予知のための新たな観測研究計画」の実施状況等に関する外部評価報告書」(資料(1))の骨子等を説明した。
続いて、意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。(○:委員等、△:事務局)

委員等
 どのような資料を用いて何を評価したのか。また、ヒアリングは実施したのか。

事務局
 旧測地学審議会、本部会の建議や報告を活用し、今後の方向性を中心に外部の者としての視点から提言を受けたものである。部会長と本藏臨時委員が説明等のため、第1回及び第2回の会合に出席した。

委員等
 2.1)五つ目の○(丸)に、「次期計画の名称については、「地震予知研究」あるいは「地震予知のため」という表現にこだわらないことが適当である」とある。「地震予知研究」という表現は不適当であるという指摘か。

委員等
 文面は厳しいが、計画の内容に則して名称を決めた方がよいという提案である。

委員等
 地震予知が直ぐ実用化するという誤解を国民に与えることはよくないが、「地震予知」という表現自体がその原因となっているという指摘か。

委員等
 用語の定義と国民の一部が持つイメージの乖離に問題があると言っている。

委員等
 測地学分科会において決定したのは次期計画の策定であり、名称の検討は本部会に委ねられているが、国として社会的な要請に応えるという視点に配慮して名称を取り扱うべきであるとしている。

(3)次期計画の策定について

 平澤部会長は、測地学分科会(第4回)において、平成15年度を以って終了する現行計画の次期計画策定を決定した旨を述べ、今後の審議の進め方について事務局に説明を求めた。
 事務局は、資料(2)~(5)に基づき、同分科会の議論を踏まえつつ、地震部会において次期計画策定の基本的考え方を整理すること、地震部会において要綱を定めて起草委員会を設置し、次期計画の原案作成に関する作業を進め、平成15年7月を目処に建議することを説明した。
 続いて、平澤部会長は、次期計画策定の基本的考え方に関する審議を委員等に求めた。主な意見は次のとおり。(○:委員等)

委員等
 計画の枠組みを再考する必要がある。例えば、昨今の議論の源泉である岩石実験は、現行計画の1-(3)-ウという小項目の更に一部という不十分な扱いである。目的達成のためには、観測に基礎を置きつつも、あらゆる方法を駆使すべきであり、「観測研究」という枠組みでは不十分ではないか。

委員等
 系統的・組織的な研究を促進する必要がある。個々の研究者の発想に基づく先進的研究の成果は、目的研究である以上、機関として継承し、発展させなければならない。国土地理院による房総半島沖におけるスロースリップの発見はその例であり、今後、試験研究機関の役割は更に重要となる。先進的研究を更に効率的に推進するためにも必要なことである。

委員等
 計画の実施体制を検討する必要がある。計画立案とその進捗管理は、測地学分科会の所掌とされるが、実質的に事業を実施する母体ではない。地震予知研究協議会がこれに相当するという意見もあろうが、大学連合としての位置付けである。国としての実施体制を整備する時期に来ているのではないか。旧測地学審議会は測地学分科会と異なり、測地事業計画を行う政府機関の代表として国土地理院長や気象庁長官等が構成員となり、少なくとも国としての姿勢は表現されていた。

委員等
 測地学分科会は、計画を実施する大学や政府機関の者が調査・審議を行う唯一の場となっており、同分科会において国としての計画を立案する以上は、実施母体と見なすよりほかにないのではないか。

委員等
 旧測地学審議会において、常置機関の設置について議論があったが、実現していない。国としての体制について、何らかの形で提言できればよいと思う。

委員等
 実施体制の問題は、日本の学術研究全般に言えることであり、事業の経費配分や評価を行うリサーチ・カウンシルという仕組みなどが議論されている。

委員等
 地震調査研究推進本部は、予算小委員会において各省庁が実施する地震調査研究関係の概算要求を調整しているが、実施母体ではない。地震予知研究協議会は有効に機能しているが、大学以外の関係機関も含めて統括する形態となってはいない。実施体制の問題は、今後も議論を継続する必要がある。

委員等
 測地学分科会は計画立案の責任を有するが故に実施母体であると見なしたとしても、予算を掌理していないので、統率力を発揮することは難しい。

委員等
 国立大学は独立行政法人化を控えているが、運営費交付金は使途を特定しない経費なので、機関の長の意向に左右される惧れもある。国としての考えを測地学分科会において明確にしておく必要がある。

委員等
 観測データの流通・一元化など、業務面と研究面の連係が進んでおり、地震予知研究協議会の機能は更に強化・拡大すべきである。体制を明確にすることは、業務官庁における地震関連予算の確保のためにも有効であると思う。

 平澤部会長は、審議の参考とするために、地震予知研究協議会における次期計画の検討状況について、平田専門委員に説明を求めた。
 平田専門委員は、本年7月16日、9月17~18日に次期計画に関するシンポジウムが開催され、おおよそ現行計画は着実に成果を挙げているとの認識の下、その方向性を継承する形で次期計画の検討が行われている旨を報告し、同協議会における検討案の骨子を説明した。
 続いて、意向交換が行われた。主な意見は以下のとおり。(○:委員等)

委員等
 現行計画には特定の地域名を冠した小項目があるが、この検討案にはない。特定地域の観測を軽視していると誤解される可能性もあるのではないか。

委員等
 近年の観測研究の成果が、東海地域の監視やデータ解析に役立っていると思うが、このことをもっと社会にアピールしてもいいと思う。

委員等
 地震予知に関する計画は、防災に資することから予算面で特段の配慮がなされてきた。なぜ観測研究の推進が必要か、どのように役立つのかが明確に分かる項目立てをすべきである。社会に分かるようにまとめる必要がある。

委員等
 観測研究の成果を直接社会に還元できない場合も多い。外部評価報告書の「大学等の研究機関が「研究計画」に基づいて地震発生予測に関する研究を進め、地震防災に将来的に役立つ基礎的な知見を推進本部に提供する」という視点を取り入れるべきである。

委員等
 地震調査研究推進本部の枠組みを活用する方向性を出すのならば、体制の整備に関する項目が不十分ではないか。

委員等
 この検討案には地震予測の高度化のため何をすべきかが書かれており、地震調査研究推進本部との関連の中で、計画がどのような位置付けにあるべきかという議論がなされていない。

委員等
 大学を中心に検討しているので、先端的研究をしたいという気持ちが表れており、業務的側面については、まだ十分に検討されていない。

委員等
 地震調査研究推進本部の調査観測や、東海・東南海・南海地震への対応について調整せずに計画立案をするわけにはいかない。項目については、更に検討する必要がある。

委員等
 ボトムアップ式に検討する計画は寄せ集め的内容になりやすいが、政策的計画としての位置付けを十分認識しなければならない。科学研究費補助金の特定領域研究のように、全体の総括、計画の実施、進捗の評価をする班を編成するという考え方も参考になるのではないか。次期計画の骨子については起草委員会に任せ、文章化の中で議論を進めることにしてはどうか。

(4)次期観測研究計画起草委員会の設置について

 平澤部会長は、資料(5)により次期観測研究計画起草委員会を設置し、今回の地震部会において提議された事項について、引き続き更に検討することとしたい旨を諮り、了承を得た。
 続いて、起草委員会の構成案を委員等に示し、意見を聴取した上で、梅田、笠原、金沢、堀内、長谷川、濱野、平田、藤井、本藏の各委員等を起草委員として指名した。

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研究開発局地震調査研究課