3.深海掘削の経緯

(1)深海掘削の歩み

 深海掘削は1959年マントルへの到達を目標とする「モホール計画」の提唱を起源とする。モホール計画では、1961年にカス1号という掘削船を用いて世界初の深海掘削を行ったが、約170メートルのコアを得ることしかできなかった。モホール計画は、1968年からのグローマーチャレンジャー号を用いた深海掘削計画(Deep Sea Drilling Project :DSDP)に受け継がれ、1975年からは、米国国立科学財団(National Science Foundation :NSF)主導の国際プロジェクトとして国際共同深海掘削計画(International Phase of Ocean Drilling :IPOD)が開始された。我が国からは東京大学海洋研究所が参加した。その後、米国主導のもと、22カ国が参加するODPが1985年から2003年まで行われた。これらの深海掘削計画は、プレートテクトニクスの証明、白亜紀の地球の状態の把握、小天体衝突による生物大絶滅の詳細な過程の解明等多くの成果をあげ、地球科学の発展において重要な役割を果たした。

(2)統合国際深海掘削計画(IODP)

 IODPは、ODP後の新しい計画として2003年10月より我が国と米国によって開始された国際研究協力プロジェクトであり、その後、欧州12カ国で構成される欧州海洋研究掘削コンソーシアム(European Consortium for Ocean Research Drilling :ECORD)及び中国が参加し、国際的な推進体制が構築された。IODPは、我が国が提供するライザー方式の地球深部探査船「ちきゅう」と米国が提供するノンライザー方式の科学掘削船を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船(Mission Specific Platform :MSP)を加えた複数の掘削船を用い、地球上の各地の海底を掘削することで、地球環境変動解明、地球内部構造解明、地殻内生命探求等の科学目標を達成するため、戦略的かつ効果的に研究を行うこととしている。

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