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海洋開発分科会(第48回) 議事録

1.日時

平成28年8月5日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 次世代深海探査システム委員会の審議状況について
  2. 北極研究戦略委員会の審議状況について
  3. 当面の重点事項について
  4. 平成29年度の海洋科学技術関連施策の事前評価について【非公開】
  5. その他

4.出席者

委員

長澤分科会長代理、浦委員、木島委員、窪川委員、白山委員、高橋委員、田村委員、辻本委員、津田委員、中田委員、西村委員、花輪委員、平田委員、藤井委員、鷲尾委員

文部科学省

白間大臣官房審議官、林海洋地球課長、小酒井極域科学企画官、三宅海洋地球課課長補佐 他

5.議事録

【長澤分科会長代理】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第48回科学技術・学術審議会海洋開発分科会を開催いたします。
 今回は、浦辺分科会長が御出張で御欠席のため、私が代理を務めさせていただきます。日本郵船の長澤でございます。
 委員の皆様におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、2時間でございますが、よろしくお願いいたします。
 それでは初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
【事務局】  では、事務局より失礼いたします。
 本日の配付資料になります。資料について非公開制度がございますので机上のみの資料もございますが、基本的には机上の資料について、資料の確認をさせていただきます。
 お手元の資料を御確認ください。座席表、議事次第がございまして、まず、資料1-1といたしまして、今後の深海探査システムの在り方について、資料1-2として、その概要があります。資料2-1といたしまして、北極研究の在り方について(議論の取りまとめ)、資料2-2がその概要でございます。資料3が、海洋開発分科会、前回の第47回における主な御意見についての一枚紙でございます。資料4-1、海洋科学技術に係る当面の重点事項(案)の一枚紙でございます。資料4-2がその概要のポンチ絵でございます。
 ここからは机上のみの資料になっております。資料5-1、海洋科学技術関連施策の事前評価についての一枚紙でございます。資料5-1別紙としまして、事前評価記入用紙でございます。また、資料5-2-1から4で、それぞれの事業についての事前評価票の写しでございます。
 続きまして参考資料でございます。参考資料1、前回の議事録でございます。参考資料2、平成28年度海洋開発分科会における評価の実施についてでございます。参考資料3-1から3-5につきましては、こちらも机上のみの資料となっております。各事業の概要資料でございます。
 また、議事次第には記載しておりませんが、参考として、総合海洋政策本部決定の「我が国の海洋状況把握の能力強化に向けた取組」というペーパー及びそれの概要指針を机上配付しております。
 資料については以上でございます。
 不足等ございましたら事務局までお知らせください。
【長澤分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、本日の議題ですが、議事次第にございましたように、その他を含め五つございます。
 次世代深海探査システム委員会と北極研究戦略委員会の審議状況については、前回の分科会で御議論いただいたところでございますが、本日は、各委員会の主査様より、前回の議論を踏まえた取りまとめについて御報告いただきます。
 次に、本日、議決事項になっております海洋科学技術に関する当面の重点事項について、御審議いただきたいと思っております。
 また、平成29年度の海洋科学技術関連施策の事前評価についても御議論をお願いいたします。
 それでは、議事の方に入りたいと思います。
 初めに議題1、次世代深海探査システム委員会の審議状況についてですが、前回の分科会での議論を踏まえ、委員会で報告書を取りまとめました。主査の道田委員より御説明をお願い申し上げます。
【道田主査】  今御紹介いただきました、東京大学大気海洋研究所の道田でございます。次世代深海探査システム委員会の主査を仰せつかりました。
 今、部会長の方から御説明ありましたように、前回、この分科会で、その時点での報告案についてお示し申し上げたところですけれども、その御意見いただきましたので、その辺も踏まえ、今日配付していただいている資料を取りまとめたということでございます。これについて、約10分間お時間をいただきまして、御説明申し上げます。
 資料は1-1及び1-2です。1-2の横紙、概要版になっておりますが、プレゼン資料的な構成になっておりまして、主として資料1-1に基づいて御説明を申し上げたいと思います。
 おさらいですけれども、昨年、ちょうど1年ぐらい前に、この分科会において次世代深海探査システムの検討をするということが決まりまして、それで、私が主査を仰せつかった検討委員会が立ち上がりました。
 今年に入りまして、平成28年1月から先月まで、計5回の委員会を開催いたしまして、この次世代深海探査システムの在り方についての課題をしたところでございます。
 委員の構成につきましては、資料1-1の後ろの方、(参考1)と書いてありますが、この海洋開発分科会のメンバーの方々も含めて、全部で13名のメンバー構成でございました。構成を見ていただきますと分かりますように、非常に幅広い分野の専門家の方々に集まっていただきまして、我が国の次世代の深海探査システムの在り方について、いろんな角度から意見交換していただくということで、本日お示ししている、全部で10ページほどの報告書でございますが、前回のこの分科会での意見も踏まえて、若干修正を加えた、私どもとしては最新版ということでございます。
 資料ですが、本文10ページになっておりまして、全部で6節の構成になっております。
 経緯、これまでの深海探査、有人・無人を含めてですけれども、我が国の深海探査の成果についてが第2節。
 それから、第3節で技術的な方向性。これにつきましては、後ほどまたお話しいたしますが、私どもの委員会で、少なくとも技術的方向性について、全く夢物語という内容の議論は控え、少なくとも共通認識として、こんな技術に特徴とか方向性があるんだということを踏まえた上で議論を進めるという観点から、第3節にまとめているところでございます。
 第4節、第5節がニーズです。第4節が分野別、研究分野、あるいは調査分野別のニーズ。それから第5節が、深海探査技術、どうしても深さによって技術的なスペックが変わってまいりますものですから、深度別の、大まかな深度ですけれども、大体3,000メートルまで、それから7,000メートル、それ以深というふうなことでございます。
 最後に、第6節に取りまとめさせていただいております。
 時間の都合もありますので、詳細は省略いたしますけれども、前回の分科会で頂いた意見が幾つかありまして、例えば成果のところです。有人のところはたくさん書いてあって、無人機のところが余り書いてないといった御指摘を頂き、それについては、無人機についても含め、肉づけという形で追加させていただいているところでございますし、それから、幾つか文言のところも御意見いただきました。それについては適宜反映させていただいております。
 また、大きな論点として、有人フルデプスをどうするのかというような、我々の委員会でもかなり議論になりましたけれども、それについて、当初案ですと、この有人フルデプスについては将来的に実行していくだろうという書きぶりになっておったと思いますが、将来的と言うと若干消極的に過ぎる嫌いもあるのではないかという御指摘もありましたし、それは我々の委員会の中でもそういう意見がありましたので、その点については、もう少しこちらの消極的な意味を込めまして、将来的に検討するということでも十分かなという御意見もあろうと思いますが、ここでは少し、もう一歩進めていければというふうに検討するような書きぶりに直させていただいているということでございます。
 以上が前回との変更点等でございますけれども、まとめのポイントについて、特に第6節を見ていって、もう一回振り返って御説明申し上げたいと思います。
 まとめとしては、現状を踏まえて、7,000メートルを超える部分についてもアクセスを確保する必要があるということは多分共通認識だろうということで、そこを目指そうというふうに書いてあります。とりあえず、7,000メートル超の部分について、我が国として、資源探査を含みその他、いろんな観点からのアクセスは確保する必要があるだろうというのが、その方向性でございます。
 それから、二つ目といたしまして、有人機でございますが、もともと「しんかい6500」は建造・供用開始から25年経過しておりまして、それをどうするのかということが背景にもあるわけですけれども、有人機につきましては、昨今の動向、それから調査ニーズも踏まえ、そのスペックの向上を目指していこうということで、例えばスペックの向上というのは深さ方向の大きさになるわけです。ビジュアル、ビジョン、フルビジョンというようなことが、本当にフルビジョン等は別ですけれども、フルビジョン化など立体的な課題はございますので、それについては恐らくニーズが、指定があるでしょうから、それについて検討を進めていく必要はあるだろうというのが2点目。
 それから、社会的な関心も高い7,000メートル超級の有人機につきましては、いろんな情勢を踏まえ、技術動向、費用対効果、それから技術開発戦略等を踏まえて、継続的に検討していこうということです。
 恐らく、私の理解ですけれども、今すぐお話に出た長距離無人探査機について若干の検討すべき課題が幾つかあるということから、このような書きぶりにさせていただいたところでございます。
 続いて、総合的・統合的な探査システムとするためには、複合機による、有人探査、無人探査ですけれども、同時搭載・同時運用等についても検討していく必要はあるだろう。それによって、探査範囲あるいは探査記録を、大幅に拾える。あるいは、新たなニーズに応えることができるという観点から、そのようなことについても検討する必要があるということでございます。
 第6節の最後のところで3点ほど、留意すべき事項ということで、少し切り口を変えて記述させていただいておりますけれども、技術動向、人工知能とか土木技術の進展ということを記載いたしておりますけれども、ここは、技術開発を踏まえて、これまでの技術開発とか、あるいは、この次世代深海探査技術を通じて開発されるであろう技術を他分野へ波及するといったことも大事ではないかというのが1点目。
 それから、これまで有人潜水船を我が国は無事故で運用してきたという多くの実績があるわけですので、これをいかに継続・発展させていくべきかということをしっかり検討する必要があり、しっかり見て留意する必要はあるだろうというのが2点目。
 それから3点目、ちょっと広い観点ですけれども、深海探査は夢ある技術ですので、将来の科学技術あるいは海洋開発分野を担う若者、子供たちに夢を与えるような魅力的な探査システムであるように留意していただく。
 この3点を加えさせていただいて、とりまとめてございます。
 以上の内容でございますけれども、どうしても検討委員会、メディアにも公開されていたということもあって、非常に注目度が高いというふうに認識しています。この深海探査システム検討委員会の後、幾つか新聞記事も取り上げていただいておりますけれども、やはりそこで、有人フルデプスについてどのような方向性があるのかという声について、記者の方々の関心は非常に高いなという印象を私も持っていますので、そこについては、今申し上げたとおり、我が国として継続的に検討していきながら、採用していくということを述べさせていただいております。
 それから、先ほど申し上げましたけれども、やはり周辺海域、日本の周辺海域の、一番深い部分も含めてですけれども、それらへのアクセスを確保するという観点は非常に大事なんじゃないかなというのを、もう一度強調させていただきたいと思います。
 それと、一度その在り方という観点で、少し広い視野からの検討を踏まえて、これをまとめさせていただいたところでございますけれども、技術的な観点については、更に深く掘って検討する課題は幾つかあるようでございますので、それにつきましては、私が今御説明申し上げている報告書、あるいはこの場での議論、分科会そのものの議論を踏まえて、将来的にどのような技術的な課題があるかを含めて、より深く、この報告書以上に深く検討していただく必要はあるのかなということを、1点強調して申し上げさせていただきたいなというふうに思います。
 委員の方々の、我々の方の委員の方々から頂いた意見は大体反映されておりますし、幾つか、また論点については、委員、分科会から頂いた諮問に応じた検討課題としては、委員会としては、これに包摂されたということでございますが、見ていただきますと分かりますように、若干、こういうことを言っていいか分かりませんけれども、少し丸まった表現になっているところもあるかもしれません。それについては、今日の分科会の先生方による御検討も含めて、今後の議論の材料にできるというふうに思っております。
 最後ですけれども、私、実は深海探査技術そのものをやってきた者ではなく、非常に古いわけでございまして、「しんかい6500」当時のことをわかっていない者でございますけれども、主査を仰せつかって、いろいろ勉強させていただく中で、次世代の深海探査システムの在り方について、非常に大事な観点を幾つか私自身も勉強いたしましたし、それなりに意義のある取りまとめができたのかなというふうに思っております。
 議論に参加していただいた委員の先生方と、それから取りまとめ、なかなか、いろんな議論がありましたので難しかった面もあるわけですけれども、取りまとめを担当していただいた事務局の方々に感謝申し上げます。
 以上です。
【長澤分科会長代理】  道田先生、どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御意見、御質問等ございますでしょうか。
 なお、議事録を作成する都合上、発言の前にお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。
 お願いいたします。
【津田委員】  大気海洋研究所の津田と申します。
 道田先生、取りまとめ、ありがとうございました。
 議論の過程で、バーチャルリアリティー技術というのは出てきたんでしょうか。何か非常に深海調査というものとは相性がいい技術のような気がしますし、最近進歩も著しいですし、例えばフルビジョン化と言ったときにも、人間がフルビジョンで見るよりも明らかに安全にパーフェクトに行われる技術かなと感じるのですが、この辺は、AIという言葉は出てきていますが、VRでしたっけ、というのは議論の中でどういうふうな扱われ方をしたのか、教えていただけないでしょうか。
【道田主査】  バーチャルリアリティーという言葉そのもの、必ずしも、たくさん出てきたかと言われると、そうではない、なかったです。
 ただし、今御指摘のあったように、フルビジョン化の仕方、肉眼で見るのが今の有人探査機に関するフルビジョン化の方で意識があるところでありますけれども、無人機のビジュアルの向上という観点、多分それは重要な観点の一つですので、今御指摘のバーチャルリアリティーそのものが議論にしっかり上ったということではないですけれども、人工知能、それから情報通信等のいろんな技術で、今御指摘の既存技術については、取り上げていたというところです。もう一度お答えいたしますと、バーチャルリアリティーそのものについて、特に詳しい訳ではありませんので、今頂いた御意見につきましては、先ほど私が申し上げた、今後更に技術的な検討を深めていく場で、是非検討していただければなというふうに思います。
【長澤分科会長代理】  ほかに、御意見、御質問ございますか。
 特に御意見、御質問ないようですので、本報告書は分科会で了承したということにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
【道田主査】  ありがとうございました。
【長澤分科会長代理】  それでは、続きまして議題の2、北極研究戦略委員会の審議状況についてですが、前回、この分科会で頂いた意見等を踏まえ、委員会で御報告書を取りまとめておられます。
 主査の藤井委員より御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【藤井主査】  ありがとうございます。
 北極研究戦略委員会の主査を務めさせていただきました、情報・システム研究機構の藤井良一でございます。よろしくお願いいたします。
 本年の2月から5回にわたりまして、今後の北極域研究の在り方について議論を重ねさせていただきまして、このたび、資料2のとおりですけれども、取りまとめがございましたので、本分科会に御報告させていただきます。
 2-1を見ていただきますと、まず目次のところで、「北極域研究の意義、我が国の役割」、「北極域研究におけるこれまでの取り組み、成果、現状」、それから「今後、取り組むべき課題」という形で、そして「おわりに」という形になっております。
 18ページに委員の名簿がございますが、13名呼集させていただきました。
 資料2-2の概要版で御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページ目ですけれども、本取りまとめの主なポイントとしまして、我が国の強みであります科学技術を生かしまして、北極域の持続的発展へ貢献していくため、北極域におけるこれまでの取組、成果、現状など、北極域研究全体を俯瞰して、中長期的な課題を抽出・整理しまして、今後取り組むべき研究・観測分野や観測手法について提案するところでございます。
 この抽出につきましては、資料2-1の13ページ以降に要点を、重要となります課題を洗い出しまして、その取組状況等について取りまとめてありますので、後で御参考にしていただければと思います。
 1の「はじめに」ですが、北極域の現状として、北極域の急速な環境変化による地球全体の環境や生態系への懸念がある一方、海氷減少に伴う北極海航路の確立や資源開発の可能性への期待など、世界的に大きな注目を集めている。そうした現状を踏まえまして、この委員会としまして、北極域研究全体を俯瞰しつつ、我が国としての戦略的な取組について検討を行ったという、現状認識と取りまとめについてまとめさせていただきました。
 2の「北極域研究の意義、我が国の役割」でございますけれども、まず、(1)の北極域研究の意義としまして、我が国の科学技術を生かして北極域の環境変化の全球的な影響の可能性や精巧な将来予測によりまして、社会・経済的なインパクトを明らかにすること、そして、非北極域である我が国の立場を生かした北極域の持続的な発展、利用における国際的なルール形成や政策形成過程へ、科学的見地から貢献していくことの重要性について述べさせていただきました。
 (2)の北極域研究に関する我が国の役割としまして、国際的に未着手となっている課題や、我が国の強み等が生かせる課題解決を通じて、世界の北極域研究をリードしていく。そして、これまでの研究・観測や各種データの公開等の実績をもとに、オープンデータサイエンスを積極的に主張していく。科学的知見に基づいて、情報や課題解決のための手法や選択肢を積極的に北極域に暮らす住民や自治体へ発信等をする、そういう役割として取組は出ております。
 3の「北極域研究におけるこれまでの取り組み、成果、現状」でございますけれども、これは2ページでございますが、これまでの主な取組としまして、北極海のニーオルスン基地における大気、雪氷、生態系の観測、それから、海洋地球研究船の「みらい」による海洋観測、それから、北極気候システム及び全球的な影響の総合的な解明を目的としましたGRENE事業などを例として挙げさせていただいております。
 主な成果としましては、これまでの取組によりまして、多くの研究成果を創出するとともに、我が国の北極域における科学技術のプレゼンスに貢献してきた。その結果として、国際的に評価されまして、国際北極科学委員会への加盟や、北極評議会(AC)へのオブザーバー参加、こちらができているということを述べております。
 現状としましては、GRENE事業が終了し、2015年から開始されましたArCSプロジェクトの実施や、本年4月に共同利用・共同研究拠点に認定されました北極域研究共同推進拠点、3拠点、3機関でございますが、に北極域研究推進の役割が期待されるということを述べております。
 今後の取り組むべき課題ですが、研究全般としましては、これまで取り組んできた北極域における研究・観測を引き続き着実に実施することとともに、これまで組織的な研究プロジェクトとしては十分に取り組まれていない課題がございますので、そして、我が国が主導的立場をとり得る課題についても新たに取り組むことが必要であることとしまして、これは飽くまで例でございますが、永久凍土に関する研究・観測、それから、中層・超高層大気のモニタリング観測による予測精度向上に関する課題、人間社会に直接影響する生物多様性に関する課題等を挙げております。さらに、3ページで、国際的な観測データの実データの共有化に関する課題も挙げさせていただいております。
 (2)の研究の枠組みでございますけれども、ArCS終了後も、目的を明確にした研究推進の枠組みや、北極域における環境変化に弾力的に対応できるような柔軟な研究体制の構築が必要であるということ、そして、インフラ的な面におきましても、長期間の観測実施を可能とする体制の確保が必要であるということを述べさせていただいております。
 (3)の人文・社会科学分野を含めた研究ネットワークの強化についてでございますけれども、人文科学や社会科学の間における学際研究の推進や、人文・社会科学と自然科学分野全体における研究者ネットワークの構築、研究者が協働して働こうという、協働を促進して、北極域全体をより総合的に理解していくことの必要性が述べられております。
 データの共有の促進でございますけれども、現状としましては、実データの連携が不十分な状況であるということを認識した上で、我が国は国際的に率先して実データの連携構築に取り組む必要性が述べられております。
 (5)の研究拠点の整備でございますけれども、体制を構築するとともに、現在、空白となっている部分がございますので、そこでの観測力の強化の必要性について述べさせていただきました。
 (6)の国際連携・国際協力についてでございますが、北極域における研究・観測における国際連携の必要性とともに、効率的・効果的な研究・観測の実施のためには、アジアを含む非北極域の国との連携が必要であるということが報告されております。
 4ページに移らせていただきまして、研究・観測のための施設・設備についてでございますけれども、北極域研究の研究・観測を実施するための観測機器の開発及び維持のための技術の必要性とともに、こうした技術を担う人材育成の必要性について述べさせていただきまして、さらに、北極域で活動できる研究船の検討や、無人探査機などの船舶以外の海氷下の観測機器等の開発が必要であるということが述べられております。
 人材育成につきましては、次代の北極域研究者育成のために、大学院連携プログラム構築などの若手研究者育成の枠組みの必要性と、北極域研究者としてのキャリアパスを描けるようにするために、大学、研究機関におけるポストを増やす枠組み構築の必要性について述べさせていただきました。
 社会との連携、社会への情報発信としましては、民間企業が長期的な資金投入をしやすくなるような産官学連携による魅力的な研究支援の枠組みづくりの必要性や、ステークホルダーの理解を得るための積極的なアウトリーチ活動、さらには、北極域で生活する人々の、研究成果で得られた、研究・観測で得られました成果の情報提供等につきまして、人々の暮らしに貢献することの必要性について述べさせていただきました。
 最後でございますけれども、北極域を対象とした研究領域は非常に広範でございまして、かつ、その間で非常に複雑な相互作用もありますために、科学的には、かなり多くのことがわかってきておりますけれども、未解明の点はまだまだ多いということで、より戦略的に北極域における研究・観測を進めていくためには、必要な施設・設備の在り方等を含めまして、多面的に議論を更に継続して深めていくことが必要だという形でさせていただきました。
 以上でございますけれども、本取りまとめに当たりまして、委員の皆様をはじめ、委員会にあって、いろいろな情報等を発表していただきました方々の多大な御協力で取りまとめが行えました。この場をおかりしまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
 以上でございます。
【長澤分科会長代理】  藤井先生、どうもありがとうございます。
 ただいまの御説明について、御意見、御質問等ございますか。
 お願いいたします。
【花輪委員】  東北大学の花輪と申します。
 今日はありがとうございました。二つ質問があります。
 一つは、これは北極域、極域の中でも北極域を取り上げているんですが、同時に、極域は南極ももちろんありまして、その双方を見ることで初めてわかってくる。例えば藤井先生の御専門もそうだと思うのですが、その辺の、これまで南極域の方が先行していたと思うのですが、そこの関連と言うか、関係性と言いますか、そういうことは議論されたのでしょうかというのが1点。
 もう一つは人材育成のところで、大学院連携プログラムの構築ってことがうたわれているのですが、少し具体的なところも議論されているのであれば、その中身を教えていただきたいということです。
 以上です。
【藤井主査】  どうもありがとうございます。
 南極、北極、両極あるということは最初の方で議論いたしました。今回は北極に絞るということで、今回、社会科学・人文科学的な側面もまた入れていくという観点から申しますと、やはりその場所に様々な方々が住んでおられるとか、そういうこともありますので、北極を特に今回はターゲットにさせていただいたということと、北極域における温暖化の状況が中低緯度に比べてかなり早く進んでいることというような緊急性もあることから、こういう形でテーマの方にさせていただいたということでございます。
 それから、連携のプログラムにつきましては、具体的にこういうふうにあるべきだというようなことは、そこでは議論は深められてはおりません。
【花輪委員】  どうもありがとうございます。
【事務局】  1点補足、よろしいですか。
 最初の点に関しまして、報告書の9ページの(6)の国際連携、国際協力の最後の段落のところに、少し南極等との関係も書いてございまして、議論的には、北極に関しての諸課題は北極に限定したものではないということで、南極や全球を専門とする研究者やデータサイエンスとの連携・協力というようなことも含め、この報告書をまとめた趣旨がございます。
【長澤分科会長代理】  そのほか、御意見、御質問ございますか。
 お願いいたします。
【窪川委員】  大分前の議論の中で、北極研究を国際的な連携の中でやっていくという話があって、その中で人材育成が議論になっていた覚えがあります。世界のいろいろな国の人たちと一緒に協力しながら、議論しながら研究を進めていける能力を培っていければいいという議論があったと思います。人材育成の書きぶりは、一般的になっているので、その辺はもう少し強調したらどうかと思いました。
【藤井主査】  どうもありがとうございます。
 双方向での国際的な人材の交流ということは、もう委員会の中でも激しく議論されました。
 それから、10ページの方の、本編の10ページの方に書いてございますけれども、そのほかにも、フィールドワークをやっておられる方は非常に多くの経験を積んでおられますので、そういう意味から、非常に応用力もすごく優れた方が、優れるというところはあって、必ずしも北極域の研究へのキャリアパスだけではなくて、もう少し広く有能な人材を社会にも輩出できるという観点も書かせていただいていますが、先生のおっしゃった国際的な人材育成についてもここにもし必要あれば、つけ加えても、特に問題ないです。
【長澤分科会長代理】  今の、つけ加えられるということで、よろしくお願いします。
 そのほか、御意見ございますか。
【津田委員】  全体としてはすごくよくまとまっていると思うんですが、ちょっと文言で、つまらんことで申し訳ありません。
 例えば北極域研究の意義で、それから、我が国の役割というところが最初のページにあるんですが、意義が、何々「することが重要」、「貢献することが重要」という、どうも何か意義に思えない。それから、役割に関しても、役割で、「が必要」、「ことも必要」というのも、何かまとまりが悪いので、意義と役割というところの文言を少し変えた方が、1ページ目でもあるので、いいかなと思いました。
【藤井主査】  どうもありがとうございます。
その辺、検討させていただきたいと思います。
【長澤分科会長代理】  その修正は御一任させていただくということで、よろしくお願いします。
【藤井主査】  はい。ありがとうございます。
【長澤分科会長代理】  お願いします。
【鷲尾委員】  ただいまのことと関連して、研究成果も上がってきて、国際的なプレゼンスも示しているということなのですけれども、北極圏に関係している、国際的な求められているもの、あるいは進んでいくことを、我が国が狙っていこうというと、どちらかといったらニッチな分野を狙っていくというような感じの提案になっていくかと思うのですけれども、その辺の位置づけがもう一つよく分からない。その意味では、うちでできることはこんなことだからこれをやっておきましょうという、何か独善に陥りがちなところがあるのではないかな。そういう意味で、北極圏で今、全体として求められている部分というのは、もう少し補強しておいた方がいいのではないかという気はします。その中での位置づけが分かれば、今のお話とつながってくるのではないかと思います。
【藤井主査】  ありがとうございます。
 今日は御説明いたしませんでしたけれども、本編の方の13ページからの表を作らせていただきまして、これは今までの、例えば温暖化等を理解していくときには、どういうようなコンポーネントがあって、それを全て理解しないと、そこを押さえておりませんので分からないのだという議論がありまして、その中で出させていただきました。
 この表を作ったというのは、今、先生がおっしゃったみたいに、日本が得意なところでやってきたこともありますし、外国が得意でやってきていることもございますので、総合的なものもございますので、それはちゃんと評価しながら、日本がやるべき、日本がやった方がいい、主導が取れるというようなものを選ぶと言うかな、そういう考え方でこれを作らせていただいた。
 ということで、外国、国際的な動きというものも一応、全体的情報、全体を俯瞰しながら、その中から日本としてやるべきところは何かということを抽出させていただいたということでございます。
【長澤分科会長代理】  鷲尾先生、今のでよろしゅうございますか。
【鷲尾委員】  はい。ありがとうございます。
【長澤分科会長代理】  ほか、御意見、御質問ございますか。
【高橋委員】  教えてほしいのですけれども、ここに5年から10年の中期計画の表が出ているんですが、結局、5年から10年の先を見て、こういう研究をなされようとしているわけですか。どの程度の研究スパンで、どの程度の成果が出てくるのでしょうか。
【藤井主査】  実際の我々の計画が5年程度で進んでいるものもあるということは意識をしながら、施策を作ったときには、現在まで行っている、今の段階の5年間の先も実は作っております。それで、やはりこういうものというのは10年、15年という先の動向を見ながら作る必要があるということで、それで検討させていただきました。
 ただ、先のことはなかなか分からないということもあり、また、いろいろ意見も分かれるということもありまして、今回は、この表からは除かせていただいております。
 ということで、一つずつ時間を区切ってやらざるを得ないというのは、プロジェクト性はあるわけですけれども、研究としては非常に長期的な予測って言いますか展望のもとに、こういうものを作らせていただいたということで、数年、5年とか、そういう形で考えているわけではございません。ある程度先を見させていただいて、こういうものが必要になってくる、我が国はこういうものが強みであろうという形で研究させていただいたということでございます。
【長澤分科会長代理】  よろしゅうございますか。
【高橋委員】  どうもありがとうございます。
【長澤分科会長代理】  ほか、御意見ございますか。
 それでは、一部、語句の修正あるいは文章の補強については藤井主査に一任ということで、いただいている本報告書は分科会でも了承したということにしたいと思います。
 藤井さん、どうもありがとうございました。
 それでは、次に議決事項として、議題3、当面の重点事項について、事務局より御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、資料3と資料4-1に基づきまして、当面の重点事項を御説明いたします。本件につきましては、過去の分科会でも何度かにわたり議論いただいているところですが、それまでの議論も踏まえて修正したものを御説明いたします。
 まずは前回、資料3の方ですが、前回頂いた主な御意見ということで、幾つか合わせて書いてございますが、ステークホルダーについて、政府全体ではないかと、国民全体だという御議論があったのと、あと、分野を超えた連携ということで、多様な人材がアプローチしやすい環境づくりであるとか、他の分野などの連携、そういうもの。そして、先端的な技術開発やイノベーションについてと、オープン化みたいな話であるとか、あと、イノベーションとしては経済的価値だけではなくて社会的な価値もあるだろう。最後は、日本国内だけではなくて、共有化なども目指して諸外国への技術提供、そういうようなこと。続きまして、4としては、基盤技術関係やリテラシーで、海だから基礎研究・基盤技術が大切だというのをもう少し書いた方がいいのではないかという話と、リテラシーの話、そういうものがございました。
 この中では、この前も申し上げましたけれども、当面すぐできるものと、少し時間をかけてまた議論していただいて、今後作ろうとしている計画に反映した方がいいものとあると思いますので、当面の重点事項に取り入れられるものを入れて、4-1を少し修正させていただきました。
 最初、頭書きのところの一番後に、もともと関係省庁との連携を図りながらといったところで、前回のコメントを踏まえまして、「研究機関、産業界」というような文言も入れて、いろいろな形で連携や、いろんなところと連携を図るというようなことにしてございます。
 そして、課題解決に向けた取組の強化につきましては、今までもいろいろとやっているところでございますが、来年特に打ち出したいものというようなことで、G7を踏まえた海洋の管理、あるいは、今御説明になった北極域研究、さらに、安全・安心の確保に関する研究開発というのを3本入れております。これは特に内容を変えているものではございません。
 2枚目にいきまして、2.で、オープンイノベーションの推進というところで、ここに結構、前回いろいろ意見があったと思いますけれども、ここをちょっと変えて、最初のマルのところに「オープンデータ化」と、こういうものをまず提起をしたということと、2番目のマルのところで「分野を超えた多様な人材が参入しやすい環境作り」というのも入れた。3番目のマルには、スタンダード化というのを視野に入れて国際的な展開ということを。それで、そういうのを受けながら、4番目で、海洋分野におけるイノベーションを加速して課題解決に貢献するとともに、新たな経済的、そして社会的価値を創造していくと、こういうふうな形に修正をさせていただいております。
 そして、3.のところの最初のマルの基礎研究・基盤技術のところでございますけれども、少し海洋だからというようなところで、「海洋に関する科学的知見は未だ不十分」、これについて詳しくは書けなかったんですけれども、やっぱり海洋は広いし、いろんな具体的な現象があるので、なかなかその科学的な知見はまだ不十分であると、そういうこと。最後に、海洋、そういった形で、知見の拡大には長期的な観測や先端技術、そういうものも必要であることから、「これらの活動の基盤となる、基礎研究、基盤技術の開発、人材育成」というような形で、文章を追加修正させていただいています。
 参考資料としまして、資料4-2では、この文章を簡単に絵にしたものと、その具体は、これまでに出してきているイノベーションという観点、課題解決であるとか、価値の創造によって取組を強化するという観点を少し強調した絵。それを参考としてつけさせていただいて、我々が少し説明するときに、こういった絵も適宜活用しながら御説明しようかなということもお示しをいたします。内容的には資料4-1の文章ということになります。
 以上でございます。
【長澤分科会長代理】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御意見、御質問ございますか。
 よろしゅうございますか。
 特に御意見ないようですので、本案をもって当分科会の決定ということにいたしたいと思います。
 ありがとうございました。
それでは続きまして、議題1~3の議論を踏まえつつ、議題4、平成29年度の海洋科学技術関連施策の事前評価に移りたいと思います。
 事前にお伝えしていますとおり、ここからは29年度の概算要求の内容にもかかわるため、非公開とさせていただきます。取材・傍聴の方におかれましては、恐れ入りますが、御退席をお願いいたします。
                              (取材・傍聴者 退室)
【長澤分科会長代理】  それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
【事務局】  それでは、まず、資料5-1に基づきまして、評価のやり方について、簡単に御説明をいたします。
 事前評価につきましては、昨年度もやっていただいたわけでございますけれども、1.に書いてありますように、対象施策として、総額が10億円以上を要することが見込まれる新規・拡充課題ということと、分科会において評価というのが適当と判断されたものということでございます。
 今の段階、まず、額についてはもう想定中とのこともございますので、必ずしも最終的に10億円を超えたかどうかというのは若干見えないところはございますけれども、超えそうだというものについて、以下の4件ございますので、それを事前評価していただきたいということでございます。
 国土強靭化に向けた海底広域変動観測プロジェクト。これ、先ほどの重点事項にもありました、国民の安全・安心とかかわってくるようなプロジェクトでございます。
 2番目が統合的な海洋観測網の構築。これも先ほどありましたけれども、G7を踏まえて海洋観測プロジェクトを評価していく、そういったようなもの。
 3番目は北極域研究の戦略的推進。これは、先ほど報告書の御報告、御説明がありましたけれども、そういったものを踏まえて評価する内容でございます。
 あとは、次世代深海探査システム実現に向けたプロジェクトも、これまでの報告書を踏まえて少し評価することです。
 ということで、四つのものを事前評価ということで挙げさせていただいております。
 評価の観点は、これも評価指針に基づくものでございますけれども、その研究開発施策の位置づけ、重要性、緊急性などの必要性、その施策の目的・目標、その範囲に関する有効性、すなわち、必要性に対して有効なものになっているかというような有効性。あと、実施方法や体制等がきちんとできているのかといったような観点の効率性。この三つの観点から評価をいただくということで、評価書の御説明資料も、その三つの観点について書いてあるということになってございます。
 事前評価の実施方法では、今回、ヒアリングを実施して、各委員にその場で一応書いていただき、それを取りまとめますということになってございますが、これの裏にスケジュールとして書いてありますように、一旦今日取りまとめますけれども、多分書き足りない部分もあると思いますし、皆さんの意見を見てからという部分もあるかと思いますので、各委員の意見を我々が集約して作成した評価案をメールで送付いたします。それについて、各委員から頂いた評価結果の修正意見を取りまとめて、31日までに分科会長の了承をとって当分科会の評価結果を取りまとめる、こういう形でやっていきたいと思います。
 それと、時間が非常にタイトなのでございますけれども、説明並びに質問部分、そして記入。別紙がございますけれども、それぞれのプロジェクトについて、必要性、有効性、効率性の観点からコメント等、このようにした方がよいというような意見、そういったものを書いていただく時間が3分、それを4回、4プロジェクト分やっていただくということを考えてございます。全体的にタイトなものですから、説明者においてはなるべく簡潔に説明をしていただくということをお願いしたいと思います。
 やり方については以上です。
 あとは、各プロジェクトについて、利益相反の関係で、関係者がいる場合はその評価に加われないということになってございますので、その都度、分科会長代理の方から確認があるかと思いますので、関係があると思われる方についてはお申出いただきたいと思います。
 以上です。
【長澤分科会長代理】  それでは、今の事前評価について、評価のやり方等について、何かあれば、御質問あればと思いますが。
 ないようですので、早速、国土強靭化に向けた海底広域変動観測プロジェクトについて、事前評価を行っていきたいと思います。
 参考資料の2になりますが、4.の留意事項のところで、評価に関する利益相反の考え方について示しております。白山委員以外の皆様について、利益相反の問題は生じないということでよろしゅうございますか。
 では、申し訳ありませんけれども、白山委員は傍聴席の方へ移っていただきまして、その他の方は利益相反なしということと了解しますので、海洋研究開発機構の方より御説明をお願い申し上げます。
【JAMSTEC】  それでは、海洋研究開発機構、JAMSTECの方から説明いたします。
 まず初め、1点、国土強靭化に向けた海底広域変動観測プロジェクトについてでして、口頭でいろいろ補足しながら説明いたします。
 まず背景、必要性のところですが、東北地方太平洋沖地震発生以来、本州へのプレート沈み込み帯、それから熊本地震に代表されるような広域的な地質境界での地震活動、それから日本列島での火山活動が活発化している点等であります。その状況を踏まえて、我が国においては、次の災害リスクを的確に把握・評価するということ、それとともに、切迫する南海トラフの巨大地震の地震・津波予測の高精度化が喫緊の課題となっているという現状であります。これを受けて、国の科学技術政策においても、地震・津波の早期予測、危険度予測の必要性は様々な文書等で提言されているところであります。
 具体的に、地震調査研究におきましても、推進すべき調査・観測課題というものが、地震調査研究推進本部のまとめられた「地震に関する総合的な調査観測計画」に記されておりまして、本プロジェクトで提案しております海底の調査、すなわち、連続リアルタイムの地殻変動観測、プレート境界付近の孔内観測、海域の断層やプレート境界の詳細構造等の調査の必要性というのが強調されているところであります。
 しかしながら、現状では、これまでは海底あるいははるか沖合というような環境へのアクセスの困難さ、それから、国でのデータ取得、国のデータベース技術の問題から、海底の地殻変動観測やプレート境界、それからプレート内の三次元の断層情報というのは極端に不足しているというのが現状でした。
 一方で、御存じのように、昨年度末には海底での連続観測を可能とする海底ケーブルに接続された地震・津波観測網、南海トラフではDONETが完成いたしました。また、三次元の地殻構造探査能力を有している海底広域研究船「かいめい」が就航いたしました。これにより、これまで取得が非常に困難であった海域の連続リアルタイムの観測データ、それからプレート境界、プレート内の三次元的な断層情報の取得というのが可能となってきました。
 このような背景を受けて、JAMSTECでは本プロジェクトを提案するということになりました。
 それで、事業課題の方に入りますが、本プロジェクトには三つの柱があります。
 まず一つ目は、連続のリアルタイム海底地殻変動観測技術開発とその展開です。
 ちなみに、陸上では防災科研の地震観測網、Hi-netと呼ばれている観測網や、それから、国土地理院の地殻変動観測網―GEONETと呼ばれています―があり、陸域研究の点、それから防災の点で、大きな貢献をしているところであります。
 一方、海域では、先ほど述べましたようにDONET、それから日本海溝ではS-netという、地震と津波の海域の観測網は急速に進んでいますが、GEONETの海底版に当たる、つまり、海底のゆっくりとした変動を記録する、あるいはモニタリングする、海底の地殻変動観測網というのは今まで未整備の状態です。
 そこで、本プロジェクトでは、DONETの高度利用を図り、連続のリアルタイム海底地殻変動観測技術開発、それからその展開を進めていき、地震発生推移予測の鍵として現在注目されているプレート境界のゆっくりとした変動、スロースリップ、あるいはゆっくり地震と呼ばれていますが、ゆっくり地震やプレート境界の固着状態のモニタリングを進めていきます。
 具体的には、DONETに津波計がついています。水圧計ですが、この高精度化を図って、上下の地殻変動観測の実用化を行います。また同時に、海底傾斜計の開発とDONETへの接続による推定精度も含んだ傾斜変動の連続のリアルタイム観測を実施します。さらに、これらのセンサーをより安定した環境である掘削孔内に設置し、DONETに接続することによって、ごく微小な地殻変動を含んだプレートのゆっくりとした変動、それから、プレート固着の状況や変化を連続的にモニタリングすることをいたします。
 二つ目の柱は海底活断層の高精度広域調査で、これは新しく就航しました「かいめい」の持てる能力を最大限活用して、これまで明らかにできなかったプレート境界や、さらにはプレート内部の断層の三次元的分布の構造の把握に努めます。
 特に南海トラフでは、プレート境界型地震、南海トラフ地震の震源域、セグメントの境界、東南海と南海地震の境界、紀伊半島沖のところですが、非常に複雑な断層分布が予想されております。巨大地震の連動発生、それから時間差の発生の推移予測に向けては、プレート境界の形だけではなくて、プレート内の断層分布もモデル化するということが必要不可欠とされていました。本プロジェクトで提案する調査によって三次元の断層情報が得られて、初めてそのモデル化が可能となります。
 また、「かいめい」の探査能力を100%駆使することによって、これらの調査を狙った沿岸域の三次元的な海底の断層分布、それから、日本海溝のはるか沖合の広域的な、アウターライズ地震と呼ばれている地震の潜在断層分布を明らかにしていきます。
 それから、三つ目の柱は地震・津波伝播シミュレーション及び地震発生推移の予測です。
 ここでは、さきに述べた構造調査によって得られた技術的なモデルを用いた地震発生シミュレーション、それと、その結果と連続の地殻変動データを統合あるいは同化させることによって地震発生の推移予測の開発、それについての手法の開発を進めます。これによって、来るべき南海トラフ巨大地震の長期評価に貢献していきます。
 また、これ、現実的なモデルを作ることによって、地震動とか、それから津波伝播のシミュレーションの向上を図って、震度予測、浸水予測の高精度化を図ります。
 これまで見て、以上の点はJAMSTEC、海の研究機関として、これまでの知見を生かしてリードしていっていきますが、地震研究全体としては、他機関との密接な連携をして本研究を進めていきます。
 例えば、海底ケーブルシステムの技術開発、活用、データ配信、社会実装という面においては、防災科学研究所と緊密に連携します。
 また、地殻変動データに関しては、海域の広域データの解析を図るために国土地理院、海上保安庁と連携を進めていきます。
 大学研究者とは、観測の実施やデータ取得、それから新たな地震発生予測手法の開発ということで、研究面での連携を進めていきます。
 また、得られたデータ成果は地震本部での地震発生に関する現状評価、それから、長期計画に活用されていきます。
 また、社会実装の観点からは、気象庁、自治体等での活躍が期待されます。
 最後にまとめますが、本プロジェクトによって新たに期待する成果としては三つあると考えています。
 一つ目は、連続リアル海底地殻変動観測が可能となって、そのデータの活用あるいは同化によって、地震発生準備から破壊に至る、断層破壊に至る過程の予測が可能となります。
 二つ目は、プレート境界の地震だけではなくて、はるか沖合のアウターライズ地震、あるいはプレート内の断層にも対応した津波、それから地震波の伝播シミュレーションの高精度化が行われます。
 さらに、三つ目は、三次元の構造データに基づく海底活断層の連続性、それからセグメントを評価した高精度な沖合の海底活断層マップの作成が進められることになるというふうに考えております。
 説明は以上です。
【長澤分科会長代理】  どうもありがとうございました。
 今のJAMSTECさんからの御説明について、御質問ございますか。
【平田委員】  全体としてはよく理解できる御説明だったのですけれども、マル2の海底活断層の高精度広域調査といったときに、活断層と、もしターゲットを言われるのであれば、活動履歴が入らないと活断層の調査にはならないと思います。もしこの言葉だけを読むと、多数のボーリングをして活動履歴を調べるというようなことが入っているのかなと思ったのですが、それは御説明の中にはなかったので、多分、スコープの中に入っていないというふうに理解しますが。
 質問は、まず、そういうことをやるのか。ボーリングを、シャローのボーリングをやって活動履歴を調べられるのであればこのタイトルで構わないと思う。もしそれが入っていないのであれば、海底活断層ではなくて、例えば海底震源断層であるとかと言う方が適切でないかと思われますが、いかがでしょうか。
【JAMSTEC】  御指摘をありがとうございます。
 本プロジェクトの中では、今御指摘いただいたような後者の方が、どっちか適切かもしれません。少し検討させていただきたいと思います。
 ただし、別プロジェクトで現在進行中のプロジェクトもありますが、掘削よりもピストンコア、それで10メートル、あるいは「かいめい」の10メートルのものですが、そのコアを用いて地震履歴を明らかにするということは進めてきましたので、それとあわせると地震履歴も入ってくると思いますが、このプロジェクトだけで閉じて表現する場合は、今御指摘のあったようなネーミングの方がいいかとは思っておりますので、検討いたします。
【長澤分科会長代理】  それでは、花輪委員、お願いいたします。
【花輪委員】  マル1のところで質問なのですが、「ちきゅう」であけた掘削孔を利用するというのはなかなかいいアイデアだと思うのですけれども、いわゆる観測のデザインとして、今まで掘削した点だけで十分活用できるのか。あるいは、あけるというのは大変な事業だと思うんですが、きっちりした観測デザインにするためにはもっと必要なのか。その辺の検討はいかがでしょうか。
【JAMSTEC】  今日、時間がなくてきちんと御説明できなかったわけですけれども、本プロジェクトの中では、掘削孔による観測所の設置というのは数点、5から6、7点ぐらいを面的に設置して、DONETに接続というのを計画しております。
 具体的には、来年度は南海トラフ、紀伊半島沖の一番プレート沈み込みの先端部分の掘削孔に観測システムを設置するということを検討、計画しているところです。
【長澤分科会長代理】  花輪先生、よろしゅうございますか。
 ほか、御質問ございますか。
【平田委員】  今、花輪先生からの御質問と重複するのですけれども、これは、タイトルは「技術の開発・展開」となっているので、この技術は、要素技術としてはできているとは思いますけれども、まだ実際に展開されていないので、開発というのがかなりメインの部分というふうに理解したのですけれども、それで間違いありませんか。
【JAMSTEC】  難しいのですが、基本的に両者あります。
 掘削孔に関しては、既に2点、IODPの枠組みで観測孔は、観測網が掘削孔内で展開されていて、整備されていて、データもリアルタイムで上がってきていますので、DONETを用いた、掘削孔を用いた装置、センサーの展開というのは、ある意味、技術開発というよりも、むしろ展開の状態になると思います。
 ただし、説明の際、二つ目に言いましたが、海底傾斜計に関してはやや技術的要素がありまして、これは開発に重点を置いてやるという方向だというふうに理解し、考えております。
【平田委員】  水圧計は。
【JAMSTEC】  水圧計も、その中間。なかなか表現が難しいのですが、現在、水圧計を高精度化するための、ある意味、システム作りは8割ぐらいできております。残りの2割部分を完成させて、次に広域的に展開するという、そういう状況が現状です。
【平田委員】  大変意欲的な計画だと思えますので、実現性があるという観点から大体できているという御説明だと思いますけれども、やはりこれは、海底での地殻変動の連続観測をするというのは、やられたことがないことなので、開発的要素は相当強いというふうに思っています。そこのところは十分御注意というか、説明のときには注意していただいきたいと思います。
【長澤分科会長代理】  では、お願いします。
【窪川委員】  東京大学の窪川と申します。
 大変緊急性と必要性があるプロジェクトですので、是非こういうことを実現、期待しております。
 一つだけ、これは当たり前のことをお伺いすることになってしまうのですけれども、事業期間が5年間ということで、これは別の5年間ではありますけれども、その中で高精度化を図る事業になっているんですが、どこまでを高精度化と言うか、具体的に言うのは難しいと思うのですけれども、何か指標となるようなものが、もし一つでもあれば、それを教えていただきたいと思います。
【JAMSTEC】  今日は年次計画を時間の都合できちんと示すことができなかったのですが、例えばマル1のリアルタイム観測に関しては、先ほど少し御説明がありましたように、DONETの津波計を上下動の地殻変動計にするというところに関しては、この5年で、DONETの観測計に全面的に変えていくというふうに考えております。
 それから、掘削孔での観測所、いわゆる観測点の構築というのは、これは比較的予算のかかる仕事ですので、予算整備によりますが、少なくとも来年度には一番沖合のところに1点構築していくという計画を持っています。
 それから、傾斜計に関しては、これは開発要素が非常に多いので、この5年間で実用的なものを造るというふうなタイムスケジュールにしています。
 ですので、一番明確にコメントできるというふうに言えるのは、水圧計の高精度化を図って、上下変動の連続の地殻変動データをリアルタイムで上げてくるというところまではいけるというふうに考えています。
【長澤分科会長代理】  よろしゅうございますか。
 その他、御質問ございますか。
【津田委員】  非常に緊急性と重要性の高い御提案と考えます。
 最近、文科省からKPIというのをいろいろ要求されて、例えばこういうのを、私、専門外なので、高精度化と言った場合に、どういう高精度化なのか。具体的にそれがどうなる、どのぐらい高精度化されるのかっていうのがなかなか分からないのですが、例えば、ここにKPIのような何か具体的な数値目標みたいなものを入れるということは可能なのでしょうか。
【JAMSTEC】  全てに対して開発要素を含むところですので、全てに対して数値目標を入れるというのは非常に難しいものですが、一番現実的なところで言うと、水圧計の話を先ほどさせていただきましたが、これに関しては、年間1センチ程度の上下方向の地殻変動を捉えるためのDONETの観測点、51点で可能にするというのは数値目標として、やや早い時期ではありますが、数値目標として挙げてもよいのかというふうに思っているところです。
 それから、傾斜計については、これは非常に開発要素が多いので、傾斜観測をできるセンサーを開発して、DONETの観測計、51点に接続するという数値的なところは挙げられるというふうに考えています。
 あと、孔内観測点に関しては、これは予算との兼ね合いですので、今はなかなか数字的なことをこの段階で申し上げるのは非常に難しいものがあるというふうに思っていますが、それは検討させていただきたいというふうに思っています。
【津田委員】  目標として、巨大地震の発生予測の高精度化というのがあって、これに対応するものとしては、例えば南海トラフでは30年間で最大70%の発生確率がある。目標としては、切迫度の評価、発生規模、分布の推定というのが挙げられて、例えば切迫度の評価というのが、30年度で70%というのをもう少し精度を上げられるのかどうか。それから発生規模、今、マグニチュードが8~9クラスと言われていますけれども、これをもうちょっと、例えば信頼限界を含んだような形での高精度化が可能なのかどうか。例えば分布の推定も、南海トラフという、南海という場所は特定されていますけれども、それをどういうふうに高精度化していくのか。この辺に関して、例えばこれ、海洋側の方だけではできないことだと思いますけれども、そこに対しては、具体性というのは何か検討されていますか。
【JAMSTEC】  非常に難しい問題で、お答えしなければいけないものでありますが、最後の方でおっしゃっていただいたように、海洋研究開発機構だけの事業から、今の部分に100%を期待するのはなかなか難しいところであるというふうに思っています。
 ただし、我々ができることは、地震本部等で行います長期評価、その中に必要不可欠なデータを提供していって活用していただく。それを目指していくというところまではお答えできますが、今の部分の定量的な評価をJAMSTECの本事業の成果として挙げるのはなかなか難しいというのが正直なところです。
【長澤分科会長代理】 津田先生、よろしゅうございますか。
【津田委員】  はい。
【長澤分科会長代理】  その他、御質問ございますか。
 質問も出尽くしたようですので、それでは、お手元の事前評価記入用紙に御記入をお願いいたします。時間が余りありません。3分程度でよろしくお願いします。
                                (事前評価記入)
【長澤分科会長代理】  すみません、時間がなくて申し訳ありません。
 それでは、次に移りたいと思います。
 先ほどの御説明にもありましたように、追加コメントある場合、後ほどコメントできるということもございますので。
 続いて、総合的海洋観測網の構築について事前評価を行いたいと思います。
 本施策もJAMSTECさんによる施策ということでありまして、引き続き白山先生には傍聴席ということで、よろしくお願いいたします。
 その他、先生以外に利益相反という関係あるという委員の方、いらっしゃいますでしょうか。
 いらっしゃらなければ、評価の方に入っていきたいと思います。
 それでは、JAMSTECさんより御説明をお願いいたします。
【JAMSTEC】  それでは、引き続きまして、持続可能な海洋資源の利活用に資する統合的海洋観測網の構築ということで、御説明をいたします。
 先般、パリで開催されましたCOP21におきまして、平均気温上昇2度未満、できれば1.5度未満に抑えることが重要との共通認識となりました。
 海洋は、地球に蓄えられた熱を貯蔵するばかりでなく、温暖化の遠因の一つとされる二酸化炭素の貯蔵庫としても機能しています。この機能の現状の把握と、今後どのように変化していくかを調べるということが重要な研究課題になります。
 一方、地球温暖化の進行とともに、これら海洋の変化の社会への影響が顕在化しつつあるとされています。二酸化炭素を吸収することで海洋は酸性化が進行しますが、これが生態系にも影響し、ひいては水産資源にも影響を及ぼすだろうことが懸念されております。今回も、海洋に酸素濃度の低いエリアが広がっていることなども顕在となっています。
 科学的には、これらの変動や変化、そのメカニズムを解明することが重要な課題でありますが、政策的には、持続可能な海洋資源の利活用のためのルール作りが急務です。
 例えば、生物多様性に関する海域別での議論。国家管轄圏外の生物多様性、BBNJに関するルール。国連で実施されるワールド・オーシャン・アセスメント(WOA)での議論などが進められています。このような場に科学的な根拠をインプットするためには、海洋観測を強化し、物理観測ばかりではなく、新たに微生物地球化学的データを全球対応で計測していくことが重要だと認識されるようになってきています。
 我が国では、直近では、統合海洋政策本部の決定として海洋観測の強化が行われておりますし、G7つくば科学技術大臣会合や、その後の首脳宣言においても、海洋観測の強化の重要性が記されております。
 さらに、国連においても、海洋資源の保護と持続可能な利用が開発目標として設定されました。
 また、海洋の持つ重要性に鑑み、IPCCにおいても、特別報告を出版することに決まっております。
 本事業は、これらの動きに対応して、我が国の海洋観測を強化し、特に生物地球化学的観測を、国際的リーダーシップを発揮しつつ進めていきたいというものであります。
 今の海洋観測は、高性能・多項目の船舶観測、時々刻々の変化を知るための係留系観測、そして、ある程度即時性を持ちつつ面的にカバーする漂流フロート観測の組合せによって行われています。全てについて強化していく必要があるわけですが、そのうち、漂流フロート観測の拡張が重要視されています。
 本事業では、溶存酸素、栄養塩、クロロフィルなどといった表層のセンサーばかりではなく、ATP、基礎生産活性などを計測する新たなセンサーを開発します。そして、これらのセンサーと気象のセンサーを組み合わせたセンサー群を漂流フロートに搭載し、これを展開いたします。これにより、従来の物理的環境のみならず、生物地球化学的な環境を把握することが可能となります。例えば、酸性化の進行をはじめとする海洋環境の変化などのモニターが可能となりますし、政策的には、IPBES、BBNJ、WOAなどに科学的なデータを提供できるようになるわけです。
 本事業では、さらに、深海フロートの開発を行います。日本海洋学会では、学術審議会のマスタープラン2017として、深海アルゴフロートの全球展開による気候・生態系予測の高精度化という研究を提案しております。こういった御議論をいたしまして、例えば重要な現象が生じている海域に集中的にフロートを投入するなど、新たに開発したフロートを柔軟に活用して、機動的な海洋観測等を実施してまいります。
 それから、海洋観測強化について、特に生物地球化学的なデータがこれまで以上に取得されるようになります。多項目のデータを統合的に解釈するために、地球シミュレータを活用しまして、高度なデータ統合化技術を用いて、四次元再解析データセットを作成いたします。また、可能な限りの場合を予測した多量の将来予測、アンサブルシミュレーションを実施し、起こり得る現象を検討します。
 これらのビッグデータを用いまして、更に現象を可視化するというようなことも行った上で、仮想デジタル地球データベースというようなものを構築します。これらは、もちろんDIASにも貢献いたしますし、また、機械学習用のデータセットとしても動かせるものです。
 なお、フロートの形態をはじめ、海洋観測の強化はもちろん我々だけでできるものではありません。そこで、地球観測に関する政府間会合(GEO)ですとか、あるいはユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)、あるいはその配下のプロジェクトに関するGOOSなどと連携しつつ、また、可能な限り、その中でリーダーシップをとりつつ進めてまいります。
 また、国内でも成果の実装につきましては、水産庁、気象庁、海上保安庁海洋情報部等の方々の御協力をいただきたいと考えております。
 この事業を通じてのアウトカムとしては、EEZ内の基礎生産力の把握、あるいは持続可能な水産資源管理を通じ食糧安全保障へ貢献することが書いてあります。これは、我が国の海洋権益の確保につながります。
 また、IPBESやBBNJなど、国際的な政策目標立案時に我が国から科学的根拠に基づいた意見を言うことで外交交渉が可能となりますので、これは我が国のプレゼンスの向上や外交的権益確保の一助になると考えております。
 以上です。
【長澤分科会長代理】  御説明、ありがとうございました。
 ただいまの御説明に、御質問ございますか。
 お願いします。
【浦委員】  九工大の浦でございます。
 今の、要するに定量的な観測というのは非常に大事なものだというふうに理解しているんですが、それを、今までのフロートは浅いものと言うか、そんなに深いところまでできなくて、今度、深いものをやろうとする意欲的なものだと私は思っているのですけれども、この開発する2,000メートル級フロートというようなものが既に技術的にはできているものなのでしょうか。
 それを使って、かつ、今まで聞いていると、アルゴフロートは日本が、後発でと言うか、海外のものを引き受けてやっていて、イニシアティブが取れていないというころがあるのですけれども、これを2,000メートル級でやれば日本が世界的なイニシアティブ、機器の開発についてのリーダーシップを取れるものなのでしょうか。
 以上2点、お願いします。
【JAMSTEC】  まず、アルゴフロートと言われているものが2,000メートルまでの観測を可能とするものでありまして、主に水温、塩分を測るものです。これは2000年ごろにミレニアムプロジェクトとして開始されまして、このときは日本も開発競争に参加いたしましたが、残念ながらイニシアティブを取られてしまったということになります。
 今、開発をしようとしておりますのは、それを更に4,000メートルまで、深層まで拡張したい。そして、できれば近い将来、6,000メートルまで拡張したいというものと、深い方へいくものと、それから、水温・塩分のみならず、生物化学的なセンサーを開発して、それを取りつけて展開していくという、2方向の開発です。
 リーダーシップが取れるのかということは、最終的にはたくさん造った方がリーズナブルで国際ルールに耐え得るというところになるわけで、私たちができることは、場を提供し、それを活用して、科学的な成果を上げることで重要性をアピールしていくことになると考えています。
 ちなみに、4,000メートル級のフロートについては、我が国の製品が世界で初めて商品化されました。現在は、フランス製のものが比較的最近発売されておりますけれども、そういう意味では、アドバンテージがあります。
 また、基礎生産活性を測るようなセンサー、あるいはATPを測れるセンサーは、我が国のかなり独創性が生かされているということですので、これについては今後期待できるものの一つだと考えられます。
 以上です。
【長澤分科会長代理】  浦先生、よろしゅうございますか。
【浦委員】  はい。
【長澤分科会長代理】  ほか。お願いいたします。
【藤井委員】  目的のところで、温暖化に伴う海洋酸性化等の御説明があったのですけれども、議論されている中には、廃棄物による海洋プラスチックの問題がありますね。その分野も観測の対象の中に入っているのかどうかという点がよく分かりません。もし入っているとすれば、それは書いた方がいいと思います。これを読む限りは入っていないように感じられますので、もし対象に入れていないならば、その旨を明確に書いた方がいいのではないかなというふうに思います。
 以上です。どうでしょうか。
【JAMSTEC】  マイクロプラスチックそのものを観測するというようなセンサーは入っておりませんので、厳密に解釈するならば入っていないということになるのかもしれませんが、マイクロプラスチックの影響によって何らかの変化が他の生物に、生態系みたいなものに影響が出るようなことがあれば、それはひょっとすると観測可能かもしれません。
【長澤分科会長代理】  よろしゅうございますか。
 じゃ、どうぞ。
【浦委員】  世界の海洋をくまなく観測してデータを蓄積するというのは、もう言うまでもなく大事だと思います。これがどの程度このプログラムに入っているかどうか分からないのですけれども、最後のところの価値創造の部分、いわゆる取ったデータをモデルに入れて、いわゆるデータ同化をしてデータセットを作っていくというのが、もう海洋でもやっぱりやっていかなければいけないなと私は思うのですが、そこの部分というのは、今だとコンピューターにすごい負担がかかって、必ずしもスムーズにできてないんだろうと思うのですが、そこのところの見通しって言いますか、そこはどう考えていらっしゃるでしょうか。
【JAMSTEC】  おっしゃるとおり、今、こういった全球スケールの海洋観測をした場合、単にデータを提供するだけではなくて、それと同化して、様々な海洋観測の情報を出していくことが必須のことと考えられています。
 JAMSTECにおきましても、例えば日本を含む海域に限定しますと、既に公開している海洋環境データセットを作っておりますし、もう少し精度が上がって、上がるものであれば、生物化学的データもとり、ESTOCという再解析データを作っております。
 本事業によりまして大量のデータが取れるようになれば、こういった活動はますます重要になっていくわけで、地球シミュレータなどを駆使しまして、そういったものをタイムリーに発信していきたい。また、そうしなければ、WOAやBBNJの議論の中に、普通の人が理解できるような絵を、あるいは理解できるような変化、過去からの変化を提供できないというふうに考えておりますので、この事業の柱の一つだと認識しております。
【浦委員】  そこの部分は、この計画の中に含まれて……
【JAMSTEC】  はい、そのとおりです。
【長澤分科会長代理】  よろしゅうございますか。
 じゃ、中田先生、お願いします。
【中田委員】  今のお話の中で大体答えてしまってくださったのですけれども、JAMSTECの講演会で、このデータを使って海の情報をいろいろ集めたり指摘してもらうというのを私も拝見させていただきました。
 ああいう情報としてきっちり出していただくと、どう使うかすごくイメージしやすいですね。本当にすごく水産分野でも使いたいものですので、その辺、力を入れてやっていくということ、すごく重要だと思っています。エールを送りたいと思います。
【JAMSTEC】  ありがとうございます。社会実装というのが我々にとって非常に重要な課題ですので、大変心強いエールで、ありがとうございました。
【津田委員】  バックグラウンドが非常にしっかりしているし、大変重要なことだと思います。
 余り私は文句をつけちゃいけないのでしょうけれども、例えば、少しセンサーに偏り過ぎた書き方になっているのではないかというのが気になります。
 例えば有効性のところで、BBNJとかIPBESって出てきますけれども、これ、多様性ですから、センサーと直接関係ないですよね。モデルの中でどうのこうのという話は出てくるかと思いますけれども、その前のところだと、海洋調査等をやると、センサー観測をやって、こういうことをやるのだというふうなことまで書いてあるのですけれども、全体としては、センサーの展開、開発ということに非常に特化したプロポーザルに見えてしまうんですが、多分、この目的を達成しようとすると、センサーだけではなくて、調査船による観測とか、衛星によるものも組み合わせてやっていかなくちゃいけない。そのニュアンスはもう少し強く書いた方がいいような気がしました。
【JAMSTEC】  ありがとうございます。
 おっしゃることの意味は大変よく分かります。現在なされているところは物理的、それから生物地球化学的な観点で観測されたところですので、課題となるのはモデリングであるという指摘でありますが、実際それを社会実装する中で、生物地球化学に属するもののうち、センサーの開発が見込まれるものについて書いたということであります。
 実は今回、時間の関係でこの1枚にいたしましたけれども、本当は船舶観測の強化と、それから時系列観測の強化と、漂流フロートの強化、この三つです。現実に、例えばG7科学技術大臣会合の中で海洋観測の強化ということで議論するときにも、この三つはセットでした。どれか一つだけができればいいというものではないということは当然になっておりますし、これから施設などの内容等々を整備していけばその精度管理という意味でも、また、船舶観測というものが現在、高精度で深層まで測る唯一の方法ですので、これも同時に強化していかなければ対応できないということは強く認識しています。
 ちょっとダイジェスト的に偏り過ぎたという御指摘だと思いますので、検討します。
【長澤分科会長代理】  ほか、御質問、ございますか。
 それでは、お手元の事前評価記入用紙に記入の方をお願いいたします。
                                (事前評価記入)
【長澤分科会長代理】  それでは、次に移らせていただきます。
 続いて、北極域研究の戦略的推進について事前評価を行います。
 本施策も、また白山先生、申し訳ありません、傍聴席ということなんですが、その他の先生、委員の方々は利益的相反がないということでよろしゅうございますか。
 それでは、評価の方に入りたいと思います。
 本施策は、海洋地球課が実施する部分と、JAMSTECさんが実施する部分の双方がございますが、全体を通じて海洋地球課の方で御説明をお願いいたします。
【事務局】  時間もございませんので、私の方で全体を簡単に御説明し、質問対応としてはJAMSTECさんの方から答えてもらうということにしたいと思います。
 資料としては5-2-3の事前評価票をベースに、適宜、参考資料3-3と、あと、参考資料3-4、技術開発の部分、それを照らして見ながら、具体的内容を聞いていただければと思います。
 事前評価票の最初の欄、課題概要の背景のところに書いてございますけれども、これは先ほどの委員会の議論のところで同じような議論になったわけでございますが、北極域、環境変化の問題、さらに、それが今度、経済活動の拡大が見込まれる、その辺のバランスをどうとっていくのかということについては国際的な議論になっている。
 そういった国際的な影響が懸念される中、我が国としては、やはり科学技術を基盤として、積極的に主導力を発揮することが必要だということで、昨年10月に海洋政策本部で決定された「我が国の北極政策」をベースに昨年度からプロジェクトを実施しており、また今年度からはJAMSTECの方で先端技術の開発というものを始めているわけでございますが、先ほどの報告書でありましたように、今後どうやって進めていくかについては、北極研究戦略委員会の方で報告書を取りまとめていただきましたので、それを踏まえて、来年度に何を強化するかということでございます。
 (2)の方が、ArCSということでございますが、ArCSにつきましては、28年度、8テーマで共同研究をしております。国際共同研究のほか、連携拠点であるとか、若手研究者の育成、そういった部分についてやっているところでございますが、29年度につきましては、先ほどの報告書を踏まえまして、ここにございますように、これまで組織的な取組が未着手であった永久凍土の融解及びメタンの放出に関する課題というものを追加して実施したいということとともに、これは今ある、やってございますけれども、人文・社会科学的な視点の融合、あるいは観測データの共有化、その辺の強化をしていくということを考えてございます。
 また、技術開発といたしましては、今、JAMSTECの方でフロートの研究開発、技術開発をしてございますが、それを発展させて、更に自律型の無人探査機(AUV)に係る要素技術の開発をして、海氷下において位置を把握するための技術開発にも着手していく。さらには、これは議論がございましたけれども、北極研究船の方は引き続き検討。これも報告書の方に、更なる検討が必要である、こういうことが書いてございますので、そういう部分を踏まえて、JAMSTECの方で北極海観測のプラットフォームとして当該AUVの運用も担う北極域研究船の機能検討を実施したらどうかということの中身になってございます。
 4.で、各観点からの評価と書いてありますが、(1)の必要性については、御説明したとおりでございますが、3ページの上に書いてありますように、国の様々な戦略、政策においても、北極政策の重要性がうたわれているところで、科学技術基本計画しかり、我が国の北極政策もしかり。先ほど出てきました、海洋政策本部の「海洋状況把握の能力強化に向けた取組」、そういったものにも書いてございますところで、こういった政策的な意義が非常に高いというふうに思っています。
 (2)の有効性でございますけれども、こういった研究開発のプロジェクトをすることによって、我々も、国際的なルール作りに基本的に積極的に参画していく。北極というのは、北極圏国というのがございまして、日本は北極圏国ではございませんので、やはり何らかのものを、強みを持って入っていかないと、なかなか相手にしてもらないというのもございますけれども、こういった研究開発をリードすることによって、そういう国際的な議論で主導的な立場を得られるのではないかということでございます。
 あと、4ページに書いてありますように、こういうことは研究開発プロジェクトをすることによって、何らかの知見の創出、さらには、そういった若手人材の養成、こういったものにも貢献していくだろうというふうに思っています。
 (3)の効率性で、計画・実施体制の妥当性ということでございますけれども、研究開発プロジェクトとしましては、既にArCSというものが立ち上がって、極地研、海洋研究開発機構、北海道大学、この3機関の連携体制、さらに、そこに入ってくる多くの大学・研究機関の参画体制というのは様々でございますので、そこからやっていくのが一番いいだろうということ。
 あと、技術開発につきましては、特に、観測船でありますとかAUVにつきましては、今までもそういったものを使って北極の観測をしていること、さらには、AUVについては、様々な形で今までも開発してきておりまして知見もあるということなので、海洋機構に実施させるというのが一番効率的だろうということで、そういうような計画になってございます。
 以上でございます。
【長澤分科会長代理】  ありがとうございました。
 今の御説明に、御質問ある方、お願いいたします。
 お願いします。
【浦委員】  全体的な北極圏の基礎研究が重要であることはよく理解しているのですけれども、一つ、この中の技術開発、私の専門であるAUVについて、JAMSTECのポテンシャルを生かしてとされています。北極圏でAUVを、ここでは何て言い方をしているのでしょうか、要素技術開発というふうに言っているわけなのですけれども、なかなかこれは大変なことなんですよ。氷海の下にAUVを展開するというのは並大抵なことではございません。これまでJAMSTECがやられてきたことで、何の要素技術を開発すればこれができるのかという見通しはあるのでしょうか。
【JAMSTEC】  今考えているのは、やはり海氷下でどうやって位置をきちんと知るかというところとか見ています。
 今、ポーラーチャレンジと言って、海氷下を反対側から反対側まで行くというような競争みたいなものがあるのですけれども、これでも結局のところ、グライダーで位置の把握とかは余りきちんとできない状態で、とにかく真っすぐ行って反対側から幾つか出てくればいいみたいな競争になってしまっているのですね。
 私自身、AUVの専門家ではないのですけれども、使う側の立場としては、場所が特定できないデータをどれだけたくさん取られても、結局使えないわけです。そこで、海氷下でどうやって位置を探れるかと。二つのステップぐらい考えてみて、一つは、氷の上を見ることと氷の下を見ることで何となく位置を知りながら、同時に、できれば数百キロ届くような音響灯台をこっちに置いて少しずつやっていく方法と、将来的には、氷の上から表面を突き刺してそこから音なりを出して、それを灯台として位置をきちんと把握し、データを取得する方法。そういう、ある程度のデータだったら、そこを通じて衛星回線でデータを送ってこられるようなものを造っていく。そういった技術開発からスタートかなと思っています。
 実際のAUVというのは、どんな目的で何に使うのかということと、また、船に乗せられないといけませんので、それは今後の課題かなというふうに思います。
【浦委員】  ポジショニングが非常に重要で、ユーザー側も大切だと思いますけれども、オペレーター側からすると、それは一つの記号みたいなものですけれども、私が思うには、要するに信頼性を、長時間のオペレーションの信頼性、99%帰って、私は90%がいいと思っているんですけれども、10台に1台ぐらいはなくなってもいいような、要するにシステム構成にしないと、それは誰も怖がって使わないということになる。つまり、信頼性をどの程度にすればいいかっていうことですね。
 それともう一つは、AUVを展開すると同時に、どういうふうなところでどういうふうに入れて、どうやって回収するのかというトータルシステムとしてのプランニングを、絵を描いて、それに必要な技術、つまり、今おっしゃっているようなポジショニング技術と、それは大切でそれは前提ですが、その上で、トータルとして動かすものを造るのだということを前提にして、ロジも含めた要素技術というのを考えていただきたいと私は思います。
【JAMSTEC】  おっしゃっていることの意味は大変よく分かります。
 とりあえず、すごくラフな検討ということで、例えば500キロメートルまで行って帰ってこられる、1,000キロメートルぐらいの運用を可能として、かつ、採水ができて、基本的な塩分、水温、溶存酸素等、センサーで測れるもの全て測るというようなところを仮に念頭に置いたとして、どんなことから入ったらいいだろうということを議論したんです。
 北極域、極域によるオペレーション、信頼性の確保、もちろん重要で、そういうトータルシステムを考えていなきゃいけないわけですけれども、それを全てやるまでにはかなり詳細な検討が必要で、それは次年度かなと思っていて、中でもポジショニングだけは外せないので、先行的に着手しておくべきだというふうに考えたということです。
【浦委員】  もう一つ、このことは、実はJOGMECがかなり先行してやっているのです。彼らはグリーンランド沖合の油田開発を、鉱区を獲得したのですかね。それに関連して、そこにAUVを展開しようということをいろいろ検討しています。是非、それを参考にしていただきたいというふうに思います。
【JAMSTEC】  ありがとうございます。是非参考にさせていただきたいと思っています。
【長澤分科会長代理】  ほか、何かご質問ございますか。
 それでは、お手元の事前評価記入用紙に記入をお願いいたします。
                                (事前評価記入)
【長澤分科会長代理】  すみません、時間が押しておりまして。
 それでは最後に、次世代深海探査システムの実現に向けたプロジェクトについて事前評価を行いたいと思います。
 本施策についても、白山先生以外の利益相反はないということで理解しておりますが、それでよろしゅうございますね。
 それでは、JAMSTECさんの方より、御説明をお願いいたします。
【JAMSTEC】  海洋工学センター長の田中でございます。よろしくお願いいたします。
 先ほど、この分科会で承認されました今後の深海探査システムの在り方についての報告書、これを実現させるためのプロジェクトということでございます。
 内容につきましては、まさに報告書に示されたとおりでございますが、課題・必要性について、主に三つで取りまとめられたうちの、上と真ん中についてはそのとおりでございます。
 なお、その中で、三つ目の矢印に書かれてございますニーズの緊急性や重要性のところでは、とりわけ3.11などの海溝域で巨大な海底変動が甚大な災害を引き起こしたということが、委員会でもかなり議論がされ、深海、超深海ということに対して注目された点でございます。
 あわせて、そのような超深海において、海底下に広大かつ豊かな生命圏の存在が確認されている。非常に可能性のある微生物等々が期待されるわけでございますが、諸外国が、これはいよいよ大深度、超深海にアクセスを始めていくとか、そういう海底もあるということが、この緊急性、重要性みたいなところに配慮されたというふうに考えております。
 これら課題の必要性を見ながら、このパワーポイントの下の方の次世代深海探査システムが貢献する研究開発等、分野、項目ということで、これは報告書の方の各研究分野における今後の深海探査のニーズ、あるいは水深別のニーズというものであったものを基本的に取りまとめたものとして、5項目ぐらいになるわけでございますけれども、これらにつきましては、事前評価票の有効性の方で、例えば行政施策ということで記載させていただいております海底地震観測システム設置等々、あるいは、EEZにくまなく到達が可能となる、そういうようなフルデプス潜航能力というようなことの行政施策に関しましては、ここでの5項目のうち、一番上の項目、あるいは、一番下のEEZへのアクセス等々の項目に対応するもの。あるいは、新しい知の創出の貢献ということでは、1番目、2番目、3番目ということの領域が重なるものというふうに考えられております。とりわけ、知の創出への貢献につきましては、これらシステムが大学の研究者等々にも広く使われる、そのようなものであるということを認識しながら、これらを実現に向けて検討させていただきたい、そのように思っております。実用化や事業化につきましては、とりわけ期待されている項目というのが、この項目の中の3番目、4番目という辺りにあるんだろうな、このように思っております。
 我々は、このようなこととして、事業の概要といたしましては、これも先ほど道田先生が言われ、そして、委員会の報告書で、非常に明確な方針を立てていただきました。真ん中の青字で書かれた五つの、この方針のことです。
 最初に、国・国民の安全・安心の観点から、大深度遠隔操作型無人探査機、いわゆるROVシステムを活用し、7,000メートル以深のフルデプス海域へのアクセス能力をしっかりと確立させる。次に、今、世界も含めて、基本的には現状3,000メートル程度というAUVシステムの大深度化を図りつつ、7,000メートル以深の超深海域においても広範囲の海底地形や科学データの取得を効率的に行える技術を確立うんぬん。
 ということでございまして、我が国の周辺海域、EEZの中で水深4,000メートル以上が50%、更に6,000メートル、海溝に囲まれている6,000メートル以上の領域が6%以上ある。そのような深海に囲まれた国土というものを持っている我が国に対して、次世代深海探査システムにおいて、様々なことに対して貢献させていただきたい、そのように思っております。
 以上でございます。
【長澤分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に関し、質問ございますか。
【辻本委員】  まさに今の御説明は、次世代深海探査システム委員会で検討された報告書の内容をそのまま書かれているわけですけれども、それ以上に少し食い込んだ、具体的な書かれ方ってなかなか難しいのでしょうか、この段階で。
【JAMSTEC】  まずは、ここに示されたことを確実にやりながら、そして、先ほど道田先生が言われましたように、まだ残る技術課題等々もございますので、各委員会に広く専門家、有識者の皆様を募りながら、これを実現させていくのだと、そういうようなことを提言されておりまして、我々はそのことを十分認識しながらこれをやらせていただければ、そのように思っております。
【長澤分科会長代理】  窪川先生、お願いします。
【窪川委員】  フルデプスになった場合には、有人、無人と、それぞれ何メートルまでの耐圧と言いますか、可能な潜航艇を造るということになるのでしょうか。具体的に何メートルになるのか。
【JAMSTEC】  無人の場合においてはフルデプス対応ということで、議論がなされていたと思います。
 有人につきましてはフルデプスというところまでの結論は出ていなかったかと、そのように思っております。
【窪川委員】  すみません、私の興味からお伺いして大変申し訳ないのですけれども、最深が1万数百メートルであるとすると、どこまでの耐圧と言いますか、どこまでの水深までのものをお造りになるのかということを具体的にお聞きしたかっただけです。
【事務局】  辻本委員の質問と窪川委員の質問に補足なのですけれども、一応ここに書いてありますのは私たちの報告書に書いてあるんですけれども、来年度から具体的にやる話としましては、ここにも強調されていますように、まずは「かいこう」の改造をして、1万メートル、フルデプスまで潜れるようにするということが、まず具体的な話としてございます。
 そのほかのものについては、まずその技術的な検討が考えられていないというところはございますので、そのほかの点については、細かい要素技術の開発あるいは技術的な検討、そういうものをして、再来年度以降、具体的な議論についてはしていくということになってございます。
 したがって、来年度につきましては、フルビジョンのケーブルの話と、あるいは今7,000メートルぐらいまでの数値しか数えられない機器が何個かありますので、それの改造をするということで、それは今のところ3年ぐらい、2年ちょっとかけてやって、平成31年にはフルデプスの運用ができれば、そういうようなことで今進めているところでございます。
【長澤分科会長代理】  お願いします。
【高橋委員】  次世代深海探査システムの委員会の報告書の方にもあるのですけれども、有人船探査機については、水深3,000メートル程度までの有人探査機の導入について検討するというのが入っていますが、それは、7,000に行く過程として3,000をもう一回検討し直すということなのでしょうか。そのときに質問すればよかったのですが、具体的にここに入っているので、その辺のことをお聞きしたい。
【事務局】  主査もいらっしゃるので、私の方から経緯を御説明しますと、まず、有人についてフルデプスにする、しないという議論がもちろんあったんですけれども、報告書にも書いてありますように、フルデプスにするまでの、まだ具体的なニーズというものが明確になっていないという議論がございます。
 それで、「しんかい6500」につきましては、来年、再来年にすぐ使えなくなるということではなくて、使い方の良し悪しによって10年ぐらいはもつということなので、それも最大限使うということは必要だろうという議論。
 ただし、有人の特長を生かすためには、今新たに出てきている視野を広げる、そういうものというのも重要だろう。特に視野が広がっていけば有人船の特徴を生かせるようなものとして、生態系とか多様性とか、そういう生物関係の調査のニーズが高いのではないかということはありまして、それは、まずは浅いところからやれば十分ということで、有人の特長を生かすものについて、まずは3,000メートル程度のフルビジョンのものをやって、あとは、フルデプスについては、まずは無人機でやりながら、様々な、そこで出たニーズ、あるいは7,000メートル以降の地形の状況とか、本当に有人で行けば意味があるのかとか、そういうことも踏まえながら継続的に検討していきましょうと、そういうような議論になったということでございます。
【高橋委員】  そうしますと、フルビジョンの3,000メートル級をちょっと検討しようという。
【事務局】  そういうことでございます。
【高橋委員】  ありがとうございます。
【長澤分科会長代理】  お願いします。
【花輪委員】  恐らく私も含めて、委員の先生方はちょっと戸惑っているのではと思うのですが、この提案書っていうのは、道田先生が説明されたものの縮約版ですね。その内容はよく分かるのですけれども、一旦プロジェクトとしてこう提出されると、えっ、ロードマップどうなっているの、まず来年何をやる等々、やっぱりきちんと示されないといけないのではないでしょうか。
 分からない、来年何やるか、どこまでやるか、幾らお金をかけるか、フルデプスの有人船は引き続き検討と言うけれども、いつごろまでを目処にと。そういうものが、通常、ロードマップで、あるいは年次計画と言っていいと思うんですが、そういうことがかなりブレークダウンされたところでプロジェクト提案されると、ああ、これはいいよねとかなるかと思うんですが、これ、幾らお金かけるのかも分からないし、何年計画なのかも分からないし、ちょっと私たち、私だけかも知れませんが、戸惑っています。
【JAMSTEC】  すみません、確かに先ほど説明したとおり、具体的なところは、今の「かいこう」をフルデプス化するということで、額的には、これまだ決まっていないので、なかなか書けないんですけれども、来年度5億円程度というふうに考えておりまして、全体では10億程度の額を考えています。
 そして、その先については、やはりその中でいろいろ検討した結果を踏まえて、また別途、多分、評価をしながら進めていくということになろうかと思いますので、今回の部分については、まずは「かいこう」をフルデプス化するという部分と、プラス先のことについて、いろんな技術的な検討を含めてやっていきますというのを3年程度でやるということで、その後、特にフルビジョンの3,000メートル級のスペックを含めるのかどうか、更にAUVをどういうふうにして深く潜らせるような開発をしていくかというのは、また別途検討していくという話になろうかと思います。
 したがって、その辺が分かるものを、今度は別途、もっと先生方に、この評価書のまとめを送るときに一緒に送らせていただきますので、それを見て、また何かコメントがあればメールでメッセージいただければと思います。
【花輪委員】  是非そうしていただきたいのですが。本当にプロジェクトらしい課題、提案という、そういう資料作成していただくと我々は判断しやすい。
【長澤分科会長代理】  よろしくお願いします。
 その他、御質問ございますか。
 それでは、本件も評価、お手元の事前評価記入用紙に記入をお願いいたします。
                              (事前評価記入)
【長澤分科会長代理】  以上で事前評価は全て終了いたしました。
 記入いただいた評価については事務局で取りまとめ、総合評価案を皆様に後日お示しする予定でございます。
 それでは、事務局の方からお願いいたします。
【事務局】  それでは、時間は過ぎてございましたけれども、評価いただき、どうもありがとうございました。今回、四つのプロジェクトということだったのでございますけれども、重点項目の方も取りまとめていただき、私どももうれしく思ってございます。これは、実はお金が余りかからないものですから、これ出てきてはいないんですけれども、来年度予算の要求の中ではそういうことも組み入れた要求にしていきたいと思っておりますので、今後ともまたよろしくお願いします。
 あと、津田先生の方からKPIの話をされましたけれども、KPIの話については、多分最初のプロジェクトだけではなくて、今、全てのものについて求められるということになってございますので、予算要求の方を整理しながら、少し、どういうKPIがつけられるのか。これは当然、概算要求として財務省に持っていったときに聞かれる話でございますので、我々としても少し整理して、概算要求後で、ここでもう一度説明するときには、そういうことも含めて説明できるようになっていればなと思っております。
 それでは、評価用紙は終了後に回収しますので、机上に置いたまま御退席いただければと思います。次回の海洋開発分科会は、今、1月、2月までに作らないといけない長期的な計画というものの議論に入っていくわけですけれども、9月以降の開催に向けて、今調整を行っておりますので、またよろしくお願いします。
【長澤分科会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間が過ぎてしまい申し訳なかったのですが、以上で本日の海洋開発分科会を終了したいと思います。お忙しい中、どうもありがとうございました。

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-- 登録:平成30年02月 --