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海洋開発分科会(第41回) 議事要旨

1.日時

平成25年8月26日(月曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 平成26年度の海洋科学技術関連新規施策の事前評価について
  2. 我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針について
  3. その他

4.出席者

委員

小池分科会長,山脇分科会長代理,浦,金田,白山,瀧澤,竹山,寺島,中田,西村,花輪,増田,茂里,鷲尾 各委員

5.議事要旨

【小池分科会長】第41回科学技術・学術審議会海洋開発分科会を開会いたします。本日は御多忙の中御出席いただきまして誠にありがとうございます。今日は議題がその他を除いて二つです。議題1の「平成26年度の海洋科学技術関連新規施策の事前評価について」を最初の議題とします。事務局から御説明をお願いします。

【事務局】資料1-1を御覧ください。平成26年度の海洋科学技術関連新規施策の事前評価についてという1枚ものの紙でございます。事前評価につきましては毎年,その翌年度の概算要求に向けてヒアリングを実施しているところですが,今年も海洋科学技術に関する研究開発に係る各省庁の新規施策あるいは拡充施策について事前評価を行います。具体的なものについてはこの資料1-1に書いてあるものでございます。
 まず1ポツ,対象施策でございます。海洋科学技術に関する研究開発に係る施策のうち,次に該当するものを目安として対象としております。一つ目は翌年度に開始を予定しております新規施策のうち1億円以上と想定されるもの。二つ目が継続施策のうち,予算額の増加が5億円以上のもの。その他,海洋開発分科会において評価することが適当と判断されたものとなってございます。これらに該当するものとして,事前に関係省庁あるいは関係部局に連絡したところその下の2件について連絡がありましたので,この2件について事前評価を実施いたします。一つ目が「次世代有人潜水調査船システムの開発に向けた検討」,これは新規施策として3.8億円くらいとの御提案でございます。二つ目が「深海地球ドリリング計画推進」で,こちらは拡充施策で12億円ほど増の,計115億円との御提案でございます。
 2ポツの実施方法でございます。これから両施策につきましてヒアリングを実施しまして,それを踏まえて各委員より意見を集め,報告書を取りまとめます。
 具体的なスケジュールは3ポツにございます。本日ヒアリングを実施したあと,事務局で本日委員の皆さまに出していただいた御意見を集約しまして,評価案をメールで送付いたします。委員の皆さまには明後日(あさって)28日水曜日までに評価結果の修正意見を頂きまして,事務局の方で取りまとめを行います。30日金曜日までには修正意見等を踏まえまして,分科会長了承のもと評価結果を取りまとめるというスケジュールになってございます。短い時間で恐縮ですが,どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆さまには事前評価記入用紙という1枚ものの紙を配布しております。先ほどの2施策について項目だけ書いてございますので,実際のヒアリング等を通じて,本日この記入用紙に評価を手書きで書き込みをお願いいたします。本日のヒアリングの進め方でございます。評価の対象課題は2課題ございます。時間配分としましては両課題,説明を10分,質疑20分,計30分とさせていただきます。ヒアリング実施後,評価記入用紙に評価を御記入いただき,評価用紙は机上に置いてお帰り下さるようお願いいたします。その後,事務局にて評価案をまとめましてメール等によって委員の皆さまに御確認いただく予定です。最終的な取りまとめは資料1-3,資料1-4を御覧ください。事前評価票2施策分がございます。3ページ目に総合評価がございますが,こちらに本日委員の皆さまに書いていただいた評価が載るような形で最終的に取りまとめることになります。
 次に評価に関する利益相反について御説明いたします。今回対象となります課題はいずれも海洋研究開発機構による提案課題となっております。資料1-2の「利益相反に関する考え方について」に照らしますと,当該機構に所属されている金田委員と白山委員の二人が「(1)利益相反の考え方」の「ア 評価対象施策の中核機関に所属する場合」に該当しまして,お二人を除いた委員の皆さまで議論,評価をしていただくことになります。事務局からは以上でございます。

【分科会長】ありがとうございました。事務局から説明がありましたように,金田委員と白山委員は評価の議論には参加しないことになります。資料1-2では退室ということになっておりますが,二人とも事務局の後ろにある席に移動していただくということでよろしいでしょうか。はい。それでは移動をお願いします。これは毎年行っていることなので,皆さま御存じだと思います。最後の総合評価のところをまとめるコメントを書いていただきたいということです。それでは事前評価を始めさせていただきたいと思います。一つ目の課題,次世代有人潜水船システムの開発に向けた検討について海洋研究開発機構の海洋工学センターの田代運航部長より御説明をお願いいたします。10分間ということでよろしくお願いします。

【海洋機構】海洋研究開発機構海洋工学センター運航管理部長の田代と申します。よろしくお願いいたします。
 我が国の領海及び排他的経済水域には,海底の熱水鉱床と近年レアアース泥といった新たな海洋資源の存在が明らかになりつつあります。これらの調査に既存のAUV,ROVだけではなく次世代有人潜水船と必要と考えております。本日はそれの説明をさせていただきたいと思います。
 まず過去の有人潜水船ですが,20年以上前,最初は1988年に沖縄トラフの伊是名海穴においてチムニーの発見,それから翌年1989年伊平屋海域,それと同じく伊是名海穴でのブラックスモーカーの発見と当時幾つかの熱水鉱床が日本近海で,有人潜水船により見つけられております。当時は科学的な調査が主で資源という観点ではなかったのですが,20年たって近年その海域の熱水鉱床等が非常に注目を浴びております。また昨年度,実際の調査は今年の1月だったと思いますが,機構の調査船「かいれい」が南鳥島周辺,水深5,800m付近の海底からレアアース泥を発見しております。これらのように日本の近海にはまだまだ調査できていない海底資源が豊富にあると考えられます。また,世界的な動向を見ましてもメジャーの石油開発はどんどん大深度化が進んでおります。先々月,「しんかい6500」が「QUELLE」という世界一周航海でカリブ海のケイマンで5,000m,今までそんな深いところにはないと言われていたところからの熱水鉱床。これは「しんかい」が発見したのではありませんが調査を行っております。そういう調査をどうすればいいかというところですが,皆さま御存じのようにAUVを開発しておりますが,AUVというのは大体速力は2ノットから3ノット,潜航艇にしては非常に高速のスピードで一気に広範囲の調査が行えます。近年では科学センサを付けて熱水鉱床等の発見においても大きな力を発揮しております。ただしAUVは熱水なら熱水のセンサを付けた,搭載したセンサの分しか調査はできないという欠点もあります。また非常に広範囲でありその中の特異点をみつけるのは非常に得意な船ですが,その次のステップとして有人船による,研究者が現場に行って直接その特異点を確認するという作業は,過去の先ほど御紹介しました熱水の調査においても重要なことでわかります。またこのAUV,有人潜水船はケーブルが付いていませんので非常に自由に海底を調査できるという利点もあります。私が思いますのは,それで見つかった特異点,それが熱水なり海底資源のところを最終的にROVで行ってサンプリングする,計測機械を設置するとか,この三つの観測機器の使い分け,三つを使っての調査が今後重要になると考えております。その一つの例として下に紹介させていただいております2009年マリアナ海域で「うらしま」の潜航により,矢印のところ,特異点を見つけました。そこに「しんかい6500」で潜航してチムニー,ブラックスモーカーを発見しております。これは正にそれぞれの機器を使っての調査と考えております。ただし既存の「しんかい」での問題点としては,今,窓が三つしかなくパイロット,研究者が覗(のぞ)いているところの共通視野が不足しているということが研究者から御指摘があります。6,500mに片道2時間半かかります。これをフルデプスの1,100mとしたら4時間以上かかります。上昇下降の速力を上げる,視界をもう少し広くする。沖合に行きますと天候等により潜航できない可能性もかなり深くなっております。新しい着水揚収システム等の検討が必要だと思っております。海外の動向を簡単に御紹介させていただきます。昨年,アメリカの映画監督ジェームズ・キャメロンがディープシー・チャレンジャー号で50年ぶりにマリアナ海溝の底に行っております。またアメリカのウッズホール海洋研究所がアルビン号を6,500m,実は耐圧殻を交換いたしました。今後徐々にグレードアップして最終的には6,500m仕様になる予定です。この船は視界を増やすために窓が5個になっております。それ以外の国,インド,ブラジルでも現在6,000m潜水船,これは資源開発のために建造の検討を開始しております。中国は昨年,7,000mの潜航に成功し,国連海底機構が中国に採鉱権を認可した,海域での科学調査を実施しております。あと主にアメリカですが,アメリカのメーカでもここにありますトライトン36000やバージン航空が11,000mの小型潜水艇の開発を現在進めております。どちらもフルデプスを目指しております。
 ここで日本の有人潜水船の歴史を簡単に御紹介させていただきます。日本は有人潜水船,深海技術が非常に発達した国で,最初は1929年の西村式豆潜航艇から始まっていると私は考えます。300mまで潜れる今の潜航艇とほとんど変わらないものを日本人は,これは世界で初めて作っております。その後も御覧のように10年くらいのインターバルで次々と船を造っております。残念ながら「しんかい6500」が完成してから24年間,次の船はまだできていない状態でございます。日本の船の特徴は決して最大潜航深度を世界で競っているものではなく,地道に大陸棚の開発,それぞれの目的に特化した船が造られているのが特徴と考えます。
 次の船ですが,我々としましても従来までのシステム,チタン耐圧穀,シンタクチックフォームと呼ばれる浮力材,これに変わる新しい素材,フルデプスでも小型化が重要なことと考えております。広い視野,これも研究者からの強い要望ですので,何らかの対策をしたいと思います。潜航時間の短縮。ディープシー・チャレンジャー号のような船体とするのか,それともそこまでやらなくてももっと短時間で海底まで行って帰ってこられる方式を考えたいと思います。最後は潜航機会の拡大として着水揚収装置の見直しを行いたいと考えております。以上でございます。

【小池分科会長】ありがとうございました。それではただいまの御説明に対して質問,コメントがございましたらお願いします。はい,どうぞ。

【増田委員】資源に関わる調査,研究を中心にお話をされました。そのためになぜ有人潜水船ではなくてはいけないのか。人が見るよりカメラやいろいろなセンサを積んで調べた方が,初期の段階では良いのではないかと思います。そのへんはいかがでしょうか。

【海洋機構】熱水を探すとなれば今のAUV等で探せると思います。しかしそれ以外にも全く新しい資源があるかもしれません。無人機は搭載したセンサ以外のものは分からないのでやはり人間が行く必要があると私は考えます。AUVで特異点を見つけ,そこへ調べに行くのは研究者が行くべきだと思いますのでやはり有人である必要があると考えます。

【増田委員】レアアースや石油の話をされました。必ずしも人が見てみつかるものでもないわけです。見て見つかるものもあると思います。どういった新しい資源を想定されているのでしょうか。

【海洋機構】鉱物等に限らず,生物等もあるわけです。こういうものというイメージで行くのではなく,何か地形的な特異点へ行ってみて,実際には何があるかわからない。私はそう思っております。特に日本近海は周りを全部海溝に囲まれており,大深度ですので,行ってみないと分からないところはあると思います。

【浦委員】ありがとうございます。ROVとどうすみ分けていくかということが非常に重要なところだと思います。今委員の御発言があったところですが,時々発表の中で聞こえるのはフルデプスという考え方です。デプスレイティングをどういうふうに考えるか。昔「かいこう」というROVを持っていたわけですが,今はリプレイスされて完成しつつあると伺っています。それに代わって10,000mに行くようなものを作ることが,今回は検討するということで提案されているのでいいのかもしれませんが,どういう意味があるのかなと。フルデプスにすればその分大きく重くなってしまい,機動性は当然悪くなります。また深くすることによって機器開発に非常に大きなお金がかかる。もちろんフルデプスに行ければということであればどこでもカバーできますが,そのことによって発生する船上装置大型化,そのものの大型化,機動性がなくなる,ということをよく考えなくてはいけないのではないかと思います。フルデプスに行くことは確かに意味があるかもしれません,有人潜水船でフルデプスに行くことは意味があるのでしょうか,ということが一つです。もう一つ,有人潜水船は何がいいかというとケーブルが付いていないということだと思います。ROVの問題点は,深くなるとケーブルが問題になり,そのためにデッキスペースが非常に大きくなる。それは「かいこう」の場合で分かります。そのウィンチなどもとても大きなものになり,船そのものが大きくなり,トータルシステムとしては非常に大きなものになってしまうということがあります。その点有人潜水船はケーブルがないので深く行くことに関しては意味があると私は思っています。ですがそれはトータルなバランスの問題で,今申し上げたようにフルデプスがどういう意味があるのかなということがあります。それからもう1点は,人間を深海に送りこむということは非常にエキサイティングで,この間のケイマン島における潜航の生中継を見ていてもよく分かるかと思います。ある意味アウトリーチ的な活動として,人がそこに行って新しい行動を起こすということは,深海に一般の人たちを引き付けるためには非常に良い活動ではないかと思っています。ROVが行っても成果は上がりますが,いろんな人たちが現場に出かけていくことが大切ではないかと思います。同時に,この間のケイマン島の例を見ていると,リアルタイムで深海で活動している人たち,研究者たちの活動,現象をお茶の間で見られることが大切で,そのことを考えるとただ潜っているだけではなくて,コミュニケーション手段の開発が平行して重要なのではないかと思います。現在,音響装置,画像通信装置が「しんかい6500」に付いているようですが,ほとんど使われていないと聞いています。性能も十数年前のレベルのものだと思います。そこを高度化していかないと,いつまでもただ現状の2,000,6,500といっている昔からの路線の中で進めているだけであって,何か新しい時代に対応していくようなシステム設計ができていないのではないかと思います。広く見えればいいという拡張だけの話ではなく,新しい展開を考える予定はないのかなと思います。以上です。

【寺島委員】「しんかい6500」が作られた頃,当時の雰囲気などを思い出しながら聞いていました。それから24年間,有人潜水船の方はそのままになってきたということを考えるとそれなりの有人船の建造には意味があると思い聞いていました。先ほど浦先生が言われたような,本当にフルデプスまで行くことを考えるのかはそのニーズとの関係でよく検討した方がいいのではないかと思いました。それと同時に確かめたいのですが,この新しい有人船を建造することの意味の一つには,「しんかい6500」の代替という要素はありますか。そこのところを考えたいのですが。「しんかい6500」はまだまだ使えるのか,あるいは現状どう使っているのかということがあって,それとの関係が新しいものを作るときに議論されるべきではないかと思います。そのあたりを伺いたいと思います。

【海洋機構】「しんかい6500」の代替とは今のところ思っていませんが,どんどん年次が増えてそれが1隻の船でいけるということはあるかと思います。私は潜水船が何台かあって良いと思います。また,今の既存の技術でフルデプスを作るのでは非常に大きいものになってしまいます。ここで日本の深海技術をもう一度世界一に高めるという意味も含めて,新しい素材を使っての潜水船の開発ができればと思っております。そしてこれができても「しんかい6500」も活躍すると思います。「しんかい6500」は今でも日本近海の資源,学術調査もやっていて大活躍をしております。

【花輪委員】今日のプレゼンですが,私自身はフルデプスで有人調査船を一刻も早く,日本も持った方がいいなと個人的には思います。ただ,今日の御提案は必ずしもその必然性,これだからいるのだということが伝わってこない気がします。例えばもう1隻こういう有人調査船が必要だと考えるなら,日本の置かれている現状を踏まえ,少なくとも日本周辺の我が国が権利を持っているEEZの海底調査はくまなくやる必要があり,これは喫緊の課題であるので「しんかい6500」に加えてもう1隻必要ですという,例えばそういうニーズのようなところから説きおこさないとなかなか説得できないのかなという印象を受けます。6,500mまで潜れると日本の周辺の95%以上が網羅できる,つまり数%除いて全部調べられるわけです。それにもかかわらず日本海溝含めて6,500m以深に行かざるをえない,行くことが非常に必要なのだということを説得する必要があると思います。私は無条件に,サイエンスの観点から言って,じかに人間の目で見るということが非常に大切だと思います。しかし多額の税金を使って作るわけですから,そこの説得もしなければいけないなと思います。そういう意味では少し今日はぼんやりしていたかなという印象を受けます。

【茂里委員】開発に向けた検討の是非について評価するという趣旨で理解しても,この御提案は各委員がおっしゃっているとおりで,深さや,有人潜水船の利点等について私も技術系ではないので疑問はありますが,時間軸としては,26年度の事業として検討するということはよろしいかと思います。いつまでにこういうものを作るのか,作らなくてはいけないのか,作りたいのか。そこをはっきりさせないと,潜航速度,コミュニケーション技術,新しい素材といろいろな言葉が飛び交っていますが,いつを想定してこういうことを考えておられるのかという御説明を頂かないと,検討は構いませんが検討しているだけではつまらないし,またお金も使うことですから,いつまでに何を,何のためにやるのかをはっきりして,それから検討を始めるという提案であってほしいと思っています。いつということについてお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。

【海洋機構】まず検討から始まりますが5年くらいで基本設計,形を決めて,その次建造に入る。10年以内にできればと考えております。

【小池分科会長】ほかに。どうぞ。

【山脇分科会長代理】山脇です。海洋の国家基幹技術の在り方をまとめた際,そのときの考え方が,個別要素や個別の機器について,全体のプロジェクト,システムとしてそれぞれの位置付けがどうあるのかということをもっと考えるべきではないかというものでした。全体の取決めとしては三つのプロジェクト,調査探査,開発生産,環境影響調査というようなシステムを,ハードだけではなくてソフトやそういうものを含めて全体的に見ていこうという形でまとまりました。今回,この提案が出てきたときに,果たして有人潜水船が必要なのかという議論,この有人潜水船が,日本がこれからやっていこうとする海洋資源への取組の中でどういう位置付けにあるのか,というところが見えてきません。あれもこれも作りたいということは,以前「しんかい6500」のときには通った議論だと思いますが,これからは限られた予算になりますし,時代時代の要請があります。全体の中での位置づけをもう少しはっきりするということを検討項目の中に加える必要があるのではないかと思います。そうしますと,検討の時間軸ということで5年以内に設計して10年以内に建造ということになると,そこの中で必ず位置付けの問題が出てきますので,整合性等も含めた検討が必要だと思います。

【小池分科会長】ありがとうございます。先ほど浦委員より開発そのものに既存のではなくて新しい技術を入れていかなくてはいけないという意見もありましたが,そのときに今言った5年プラス5年のロードマップの中で,お金さえかければできるのか,技術的にまだ難しいところはたくさんあるのか,こういった問題が出てきます。かなり多目的な潜水船を考えられているので,そのような新しい技術を積極的に入れていくというところと時間軸が整合するのかについては,いかがでしょうか。

【海洋機構】整合させたいと思っています。先ほど海外の有人潜水船と言いましたが,アメリカではガラス,セラミック,カーボンといった新しい素材がこの24年間で出てきております。それを有人潜水船として使う可能性を早急に確認したいと思います。AUV,ROVを含む深海調査技術において,有人潜水船はその集大成だと思います。これを基に日本の深海技術を一気に高める,そのアプローチにおいて新しいものをいろいろ試してみる,そのようなイメージです。

【瀧澤委員】個人的には24年間は長かったと思うぐらいで,大深度の海底を有する日本はフルデプスを是非目指していただきたいと思っていたので,こういった提案を頂いたのは喜ばしく思っています。ただ,今御指摘いただいたことですが,この開発によって国民の皆様に海という視点を感じていただくこと,先ほど浦先生がおっしゃったように,海からの映像,音声などを直接皆さんに届けることによって臨場感を含めて感じていただくことがとても大事だと思います。それによって日本の技術開発の中で産業界の中に新しい波及効果が得られるような,そういった面も是非期待したいと思います。アメリカは民間企業が率先してこういうことをやられていますが,日本ではどういった体制で有効な技術開発が行われるのかということがとても興味を持っているところです。

【小池分科会長】どうもありがとうございました。委員の先生方は記入用紙にコメントをよろしくお願いします。続きまして二つ目の課題,深海地球ドリリング計画推進について行います。海洋研究開発機構の地球深部探査センターの東センター長からお願いします。

【海洋機構】東です。よろしくお願いします。今日は千葉大学から金川先生に同伴させていただきたいと思います。
 地球深海ドリリング計画,これはそのやり方として非常に国際的な知恵を入れ込むオープンイノベーションという考え方をとっています。その一環として我々は統合国際深海掘削計画(IODP)という枠組みを作りました。この枠組みは,これまで日本が関わってきた国際プロジェクトの中でも非常に珍しいのですが,単なるメンバーでなく,まずは日本と米国が主導する国際科学計画で,後に欧州も加わって計画全体の主導権を持つということになっております。IODPはその後の発展し,この海洋の分野では最大級の国際プロジェクトで,現在26か国が参画する多国間国際共同プロジェクトとなり,それを日本が主導しています。国内では大学及び研究機関の53機関が参画し,機構は,そのうちの総合推進機関として位置づけられております。ゆえに,総合推進機関として,「ちきゅう」の運用の面倒をみなさい,科学推進をしなさいというようなタスクが現在与えられております。 
 次に,「ちきゅう」を使ってどのような研究をするかということです。基本的にはケーススタディと称されような,この場所にもありました,別の場所でも見つかりましたという研究をするのではなく,本当に教科書に載るような,誰も挑めていない研究,カッティングエッジのサイエンスをするということを目標にしております。すなわち,我々が今まで知らなかったこと,こんなことが起こるのかというような発見をとおして,新しい計画,新しい科学を推進するというのがこのIODPでの「ちきゅう」の目的でございます。
 さらに,どのように実施するのかということです。もちろん,「ちきゅう」も日本としてこれを提供しますが,当然ながら日米という形で,また欧州は入り込むという形になりますので,米国からは掘削船「ジョイデス・レゾリューション号:JR号」,欧州からは特定任務掘削船を統合的に使っていきます。このうち「ちきゅう」は基本的には一定に留(とど)まって深く掘るということをミッションにしております。それに比べてジョイデスは稼働性がよく浅いところしか掘れない少し古いタイプの掘削プラットフォームですがたくさんのところから数多く試料を採りたい。また,この二つの掘削船が入れないような,例えば氷が張っているところや水深が浅く掘削船が行きにくいような場所に関しては特定任務掘削船を使って掘削することで,基本的には,地球の70%を占める海洋のいかなる場所でも掘削できるように全体をデザインして作られた計画です。実際に,この次の10年間の掘削計画を議論するために国際ワークショップなどを開いております。オープンイノベーションが我々の立場ですので日本の研究者以外にも世界中の叡智(えいち)を集めるということで,このようなワークショップを開いて次の10年間にいったい何をすべきかということを議論しております。例えば,この4月21日から23日まで東京で開かれたワークショップでは,世界21か国から約400名が参加。内訳はそのうちの約200名が外国から残りの200名は国内からで,科学者も集まりましたが政府機関,企業,あと面白いのは米国等の科学財団やNPO,そういうところが出席しております。今回お話しする海溝型地震の機構解明に関する研究課題はIODPの中でも非常に大きなフラッグシップとして挙がっております。それ以外にも,マントルへの挑戦,島弧の深部掘削,グローバルでより古い時代の全球的なの気候変動解明という研究課題が具体的に掘削サイト候補を含め提案されています。さらには,深海での熱水鉱床や海底下深部の生物圏という新たな問題もクローズアップされて,次はこうやるべきだという広い意味での挑戦課題が合意されております。
 さて,これまでの「ちきゅう」ですが,これまで何をやってきたのか,日本周辺でいうとこの四つが主な海域になると思います。特に今日は南海と東北日本のことを少し関連させて説明させていただきたいと思います。南海地震発生帯掘削はIODPにとって非常に大きな課題で,海溝型巨大地震とそれに関連する津波,これは社会的な影響を考えた上では非常に喫緊の問題として捉えられております。言うまでもなく,南海地震は日本国民以外にも太平洋に面する国々の人たちが皆心配しています。少しでも機構解明が進み,減災,防災につながっていけばという思いがあります。我々IODPのプログラムなかでもハイエストプライオリティとして南海地震発生帯掘削計画が進められております。特に3.11以降,今まであった南海の掘削計画の一部を新たに見直すという機運が高まり,提案当初からの掘削計画の変更等もありました。もちろん,これまでたくさんの研究成果があがっていますが,一つ例として持ってきましたものは,図中にあるcとdという地点で,これは次の南海地震を起こす可能性のある二つの地震断層に関する挙動の理解です。二つの断層を取り囲んで南海で掘削をしました。結果的に何が分かったかというと,このcで表したメガスプレー断層とdのプレート境界断層,この二つは共に地震を起こしうるということです。根拠は,採取されたコア試料,目で見るとなかなか分かりませんが,高精度な密度差や比熱履歴痕等を検討した結果,この断層面は粒子が機械的に潰されており,かつて300度から400度の熱をこうむったという記録が見つかっております。その記録は併せてその直上の擾乱(じょうらん)堆積物の年代からcであれば1944年に動いた可能性があるというところまで分かっております。このような形で,地震がどこで動くかということがだんだん明らかになってきました。
 話が変わりますが,昨年度になりますが,3.11が起こったあと10か月後に緊急にこの地震断層で掘削(東北地方太平洋沖地震調査掘削計画:JFAST)をしました。その意図は,地震が起きてすぐでないと決して得られないデータを取るということです。その目的としてここでは実際に行った場所は海溝側に向かって50m,隆起としては7m,非常に大きく地殻変動した海溝部のところであります。水深が7 kmと非常に深いところでございます。そこから約900mの掘削をし,データを得てコアを取って(サンプルリターン)おります。まだ同時検層してどの断層が滑ったのか,どの場所(断層面)が動いたのかということを特定する,それと同時に(地震に伴う応力開放を含め)応力がどのように変化したのか,実際に地震を起こした地震断層試料を採取する。これによって室内においていろいろな実験等を通してより細かなデータを得られるというふうに期待されております。前回LWD(Logging While Drilling:検層センサの一種)の結果から応力変化の問題に関しても雑誌「サイエンス」に既に発表されております。2案目の地層のサンプルリターンによって得られた断層試料や孔内検層結果に関しては二つほど「サイエンス」に投稿しております。3番目は断層を採ったあとでないと得られないデータとして摩擦に伴って生じる剪断(せんだん)熱を測定します。放っておけば熱はどんどん拡散してデータとして失われてしまいます。この測定のため,先ほどのLWDの結果を用いて,断層がどこにあるかということをはっきりさせて,55個の温度センサ,非常に精度の高い温度センサを意図的に配置しました。7 kmの深海底,「ちきゅう」は幾度となくトライ,リトライを重ね,一度掘った孔口へ向け,温度計センサシステムを挿入するという形でパイプを降ろしてはまたその孔に向かってパイプを入れるという作業をしております。結果としては挿入に成功し,10か月後に「かいこう7000」を使ってこれらセンサを無事回収しました。55本のセンサは全て生きており,非常によいデータが得られました。この結果も現在「サイエンス」に投稿しております。(最終的にはコア試料等の形跡結果を含め3つの論文が受理され12月6日号のサイエンスで発表された)。
  南海掘削計画に戻りますが掘削の中にいろいろな地殻変動観測センサを挿入して長期に観測することは,南海掘削にとっても重要な役割の一つだと我々は理解しております。なぜならば,地震は動的な挙動ですが,ある意味ではずっと平衡で安定状態が続いたものがある日突然大きく破壊されるという非平衡な現象が起こる訳です。地震のような現象理解には,幾度も訪ねスナップショット的にそれを調査検討するだけでは理解できなくて,連続的に物事を見続けるという観点,これが非常に重要だろうと思っています。ここに書きましたのはDONETという海底ケーブル観測システムですが,このDONETに直接つなげて水深2,000mのところから更に1,000mほど海底に孔を掘り,その孔内にたくさんのセンサを入れて海底地下の現象を連続して観測することに成功しました。このセンサを入れるためには孔内のセンサを固定する目的でのセメントの物性,同時に周辺の堆積物の物性,ケーシングが要るところ裸孔で観測するところ,いろんな観測条件に答えるための多様な環境下でそのセンサが最も上手に動く形をよく考え,オーダーメードで設置することに成功しております。今このセンサは全て動いて,DONETケーブル網をとおしてパソコンで観測データを見ることができます。
 最近こういう「ちきゅう」を使った観測や研究結果に関する興味については,日本よりは,むしろアメリカでの方がセンシティブでございます。図にあるのは8月19日に出ました科学雑誌サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)の記事でございます。内容的には神業だという文章が若干入っておりました。非常に高く評価されております。隣の写真は科学雑誌ジオフィジックストゥデイ(Geophysics Today)の8月号の表紙ですが,「ちきゅう」のやぐらの部分だけですがこういう形で写されており,むしろ米国の方が一生懸命宣評価してくれているというような気がして,ちょっと残念です。非常に国際的に高い評価を受けているだろうと考えております。今年度は是非,段階において,我々メンバーは5,200mまで掘削していきたいと思っております。以上です。

【小池分科会長】ありがとうございました。それではただいまの御説明について御質問,コメントがありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。はい,どうぞ。

【寺島委員】全体が100億円以上の中で12億円のプラスだと伺いました。具体的にはそのへんはどのようなところでしょうか。

【海洋機構】今年度の我々の計画でいきますと3,600mまで,水深2,000mの海底から3,600mまで掘削をします。来年度に関しては5,200mということで,当然ながらそれに伴う掘削の日数が増えます。それと同時にドリルビット等を含めていろんな資材,内容的にはかなりタフな状況になってきます。その分のコストとして計上させていただきました。再来年度以降はこんなに高くなるわけではありません。来年度が我々にとり非常に大きなヤマだと思い予算を計上しております。

【寺島委員】場所は先ほど説明いただいたその場所で深く掘削していくということですか。

【海洋機構】そうです。我々が決めたわけではなくて,国際会議において2,000mの中で最も科学的に意味のある場所という形でオーサライズを受けてこの場所で掘削を予定しております。ただし我々にとって大変なのは,ここには黒潮が流れておりまして,この黒潮との戦いは本当に大変です。そのために技術的なノウハウも蓄積できたと思います。過去には20インチのケーシングパイプを落としたという事故もございましたが,それは明らかに黒潮が原因しております。想定していない自然の流れや現象によってこういうことが起こりました。現在はそれに対して何度も何度もオペレーションクライテリアという形でそれに対応する対抗策の検討,シミュレーション等をしております。

【竹山委員】このドリリング計画は日本だけではなくある種国際共同的な立場で進められています。その観点で明確にしていただきたい部分は,100億円を支出しプラス10億円の予算要求ということで,これは日本のお金ですね。国際計画のような大きな枠組みに関しては様々な国からのお金や支援があるもので,それは当然インターナショナルだから出るのであり,日本が閉鎖的にやっていればこんなに出してくれるかどうか分かりません。アメリカのサイエンティストがたくさん載っているのは,自分たちの一つのステータスとして出しているという意味合いも強いのではないかと思います。この計画を推進することに関して私は非常にポジティブですが,国がそれだけ資金を投じて開発していくことに対して,国際社会だけではなく,日本に対してどの程度還元されているか,そこのところを切り分けた形で教えていただきたいと思います。

【海洋機構】IODPというプロジェクト自身が年間300億円弱のお金で推進されております。日米が主導ということで,日米は応分負担という現状でございます。ほかの掘削船に関しては,日本から研究者を載せてもらっている。ゆえに我々は欧米の研究者,アジアの研究者を迎え入れて「ちきゅう」でオペレーションをするということです。2番目ですがリワードに関してですが,直接見れば南海地震は日本においては国家的な問題です。それに対して大きく寄与するということは間違いないですが,同時に私が特に強調したいのは,技術的な面で,今こういうようなことをやることが産業界に大きな貢献をしているということです。直接的に申しますと,まず船に乗ってオペレーションをしている人たちは,ずっとこのオペレーションをしているわけではなくて,その一部はブラジルにおいて石油掘削等でDPオペレータとして実際に働いております。「ちきゅう」でトレーニングを受けけた人たちが海外に出て活躍しています。技術の面でも様々なことを開発しております。企業との関係でなかなか申し上げにくいところもありますが,企業に対して様々な提案をして,今後具体的な形で出てくると思いますが,だんだん結実するということができています。実際にこの掘削船に乗った人たちを,日本人化という形で経験を蓄積させています。例えばそれが海洋事業という形で,造船,日本郵船などの企業でも新しい機軸,人材として活躍しております。これでよろしいでしょうか。

【浦委員】このドリリング計画に関しては今まで「ちきゅう」がやる前はあまり日本では経験がなく,海外のオペレータやドリラーを導入して,技術試験をするというお話をしていただきました。定性的にはよく分かっていますが,定量的にはどういうふうになっているのでしょうか。

【海洋機構】DPオペレータに関しては100%日本人化が進んでおります。ドリラーに関しては少し考えがございまして,我々はこれを100%日本人化したいとは思っておりません。日本人化することによって,ガラパゴス化ではないですが,誤ってある方向に偏ってしまうということを是正するため,国際的に今石油業界で最も進んだところの人間との,技術,ノウハウとのコミュニケーション,導入が必要だと考え,大体40%の人が,シニアのクラスの人たちが主ですが,外国からのドリラーとして働いてもらっています。もう一つ我々が非常に気にかけているのは安全面です。掘削船では国際的に,HSE(Health and Safe Environment Policy)という考え方が常にございます。その安全面に関するノウハウは,長いことオイルメジャーの人たちが培ってきたものでございます。そういうものに関しては積極的に導入したいと考えております。そういう意味では必ずしも担当者を全て日本人化することが日本の若いドリラーを育てることではないと理解しております。もちろん我々の実力が上がっていけばその考え方の見直しは考えなくてはいけないと思いますが今の段階では日本人ドリラー6に対して外国人4という比がいいのではないかと判断してそれを推進させていただいております。

【浦委員】IODPにおける「ちきゅう」の位置づけは当初計画を考えたときと少しずつ変わってきているということを聞いておりますが,どうなっていますでしょうか。

【海洋機構】IODPという科学掘削の中での「ちきゅう」は,最初はトラブル等もあって,IODPの貢献は弱かったという側面はありました。しかしここ2年の貢献は非常に大きいものです。この間のシンポジウムもそうですが,予想以上に多くの人たちからいろんなプロポーザルがあり,検討があり,IODPにおいての次期フラッグシップという認識は揺らいでいないと思っております。一時米国の財政の問題で少し我々に対して冷たい風が送られてきた気がしますが,最近はそれもなく,「ちきゅう」なしには新しいブレイクスルーはないという考え方に至っております。NSFと我々との関係も非常によくなってきております。実力を見せるということが一番の対策だと思います。

【小池分科会長】ほかにございますか。私の方から一つ。孔内計測が非常に大事だと思います。従来のいろんな地震のための計測がやられていますが,掘削した数千メートルのところに計測システムを入れることで,画期的に違うデータが出得る可能性はどの程度あるのでしょうか。

【海洋機構】今日は残念ながら観測精度を示すデータをお見せすることはできませんでしたが,精度的には全く違います。当たり前ですがDONET以上に精度は高いです。実際に問題になっている地層中の間隙水圧に関しても今まで全く取れないデータが取れております。すばらしく良いデータが出ています。これは夢でございますが,これらを使って将来地震予知というところにも,もう一度踏み込みたいと思っています。そのためのデータが出ています。本当に驚くべきものです。我々にとっては,10年前は夢のまた夢でしたが,今はそれが現実としてみることができるのは喜ばしい限りだと思っています。

【海洋機構】ちょっと補足説明させていただきたいのですが,実際に今5,200mまで掘ると地震が起こる領域になります。その地震が起こるような領域で長期に孔内観測をするということは,事前に何か通常とは違う現象が起こったときに一早く察知できるということです。非常に大きな進展だと思います。

【花輪委員】御提案されていることは地震に関係することが非常にシャープにフォーカスされていると思います。そういうサンプルからいろんな観点でそれを解析することによって地震という最初の目的ではありませんが,いろんなバイプロダクツがたくさん出てくると思います。こういう提案をされるということはそういうことまで含めて議論されているのでしょうか。例えば付加体を掘りわけてそれによって日本列島ができるこういう歴史がわかるとか,そういうところですが。

【海洋機構】まず決定の枠組みですが,IODPの科学提案評価パネルの中で世界中から30名強のその分野の専門家が議論し提案の科学的な評価を行い,実施に当たっては,掘削技術者,ロジスティック関係者と科学者等で構成されるプロジェクトマネジメントチームで議論し,それに基づき機構理事長の最終判断で決定するという枠組みでやっています。今花輪先生からおっしゃったところで我々が一つ挙げられるとすれば,地下圏の微生物の話がございます。地震と微生物は何も関係ないと思っていましたが,地震が起こることにより剪断(せんだん)により温度が上がり,そこに新しいニッチができ,今までとは全く違う新たな微生物が発生するということが最近分かってきています。それ以外にも水素の発生,流体の移動だとか,地震に伴っていろんな流体の移動などが分かってきています。微生物研究等,地震の力学や挙動だけでなく様々なところから議論されていることは間違いないと思います。

【小池分科会長】よろしいですか。それではどうもありがとうございました。以上をもちまして審議施策の事前評価のヒアリングをおしまいにしたいと思います。詳細につきましては後ほど事務局より連絡いたしますが,評価結果をまとめていきたいと思いますので御協力をよろしくお願いします。時間的に忙しいと思いますがよろしくお願いします。金田委員,白山委員,お席にお戻りください。
 それでは次の議題に移りたいと思います。議題の2は我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針についてです。まず事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】「資料2 我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針」を御覧ください。こちらは今年の4月22日に科学技術・学術審議会において決定したものでございます。第6期科学技術・学術審議会で「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方について」(建議)が取りまとめられました。こちらは参考資料1で付けております。この建議の指摘事項は我が国にとって非常に根本的なものでして,実効性のある施策が立案されることが必要であるとされております。また近年,論文数や被引用数など,我が国の研究開発力を示す指標が停滞していることは憂慮すべき事態である。こういった状況を踏まえまして今期,第7期の科学技術・学術審議会の総会あるいは各分科会等々で建議の指摘事項を踏まえつつ,我が国の研究開発力の抜本的強化のため以下の基本方針に基づき具体的方策を検討するということで,基本方針について分科会で検討してくださいということもございますので,本日このような説明をさせていただきます。
 その中身ですが,資料2は大きく3本の柱に構成されております。一つ目が「若手,女性,外国人の積極的登用」,二つ目が「研究の質及び生産性の向上,新規性の高い研究の推進」,三つ目が「世界最高水準の運営や人材育成システムを目指した改革」ということで基本方針が取りまとめられております。
 一つ目の柱ですが,ポイントのみ説明させていただきます。(1)若手研究者等の活躍の場の創出と独立促進ということで,独立したLeaderとして登用するため,平成17年の学校教育法改正の趣旨,これは准教授,助教の設置というものですが,こうした趣旨を徹底するということ。あるいは丸2の学術研究を行う際に現在主流である職階管理型の研究体制から自律的な分野連携・融合型研究体制への転換を促進するための支援の推進。あるいは丸4の優れた若手,女性,外国人が労働力として使われるのではなく,研究を自ら主導する"laborからLeaderへ"施策を推進するためのファンディング等の推進。丸5では新たな着任した優秀な研究者が独立した研究を円滑に開始するための資金等の援助や,研究資金申請を行う際の英語対応を含む負担軽減などの方策の実施。丸6,異分野の若手研究者が集い,連携・融合による研究を主体的に推進することを促進するための支援の推進。丸7,若手研究者の中長期の海外派遣を支援するため,海外での研究者ネットワーク化や帰国後の就職等環境整備の推進。というようなことを促進あるいは推進すべきということが書かれています。科学技術・学術審議会の分科会の研究費部会,経評分科会,情報科学審議会等々でもこれは関連するところでは今,検討議論が行われているところでございます。引き続き御説明いたします。(2)は国際的頭脳循環への対応ということで,丸1は国内外の優秀な研究者の確保,育成あるいは丸2,先進国のみならず新興国との頭脳循環も想定した戦略的な国際研究機関・大学間ネットワークの構築ということも書かれております。このようなところは例えば丸2のところですと,国際の関係の議論をしております国際戦略委員会で議論をされております。
 二つ目の柱は2ポツ,研究の質及び生産性の向上,新規性の高い研究の推進です。こちらは(1)から(6)までございます。(1)新規性の高い研究,ハイリスク研究等の推進ということで,丸1では革新的であり,成果が社会的,経済的に大きな価値を生む可能性が高いが,目標達成が困難な研究,いわゆるハイリスク研究の推進。一つ飛ばしまして丸3 新規分野の開拓や,研究者の分野間連携・融合による研究を促進するための支援の充実。また国全体における研究ポテンシャルを上げるためには,一極集中型ではなく,多極分散型で活性化を図ることが重要ということが書かれております。飛ばしまして次のページ(2)新たな評価システムの構築でございます。丸1でサイエンスメリットにより個々の研究者の能力,実績評価を行うとともに,基礎研究から開発研究までの共通する評価軸と研究段階,研究方法,研究目的,潜在的発展可能性などの特性を踏まえた評価軸とを組み合わせた適切な研究評価の推進。あるいは丸2,従来にはない新たな観点からの研究,分野間連携・融合や学際研究などによって牽引される未踏の科学技術イノベーションに資する研究やハイリスク研究を奨励し,積極的に支援するための新たな評価システムの構築というようなことが書かれております。(3)では社会的ニーズの把握ということで,研究課題を適切に設定するため,経常的に組織や分野を超えて連携し,様々な観点から実社会の現状を捉え,社会的ニーズを掘り起こす体制の確立。続きまして(4)研究に打ち込める環境の整備ということで丸1には研究者が本来の活動に集中して,優れた研究成果を上げ,またそれを最大限活用するためには,国際水準を目指した研究環境の改善,特に研究者とともに車の両輪として研究を推進する高度な専門性を有したリサーチ・アドミニストレーターの存在が不可欠である。研究活動の活性化や,研究開発マネジメントの強化による研究推進体制の充実強化を図るため,専門性の高い人材の育成,確保,かつ安定的な職種としての定着の促進。また丸2,研究者が高度な研究を実施する上で不可欠な環境整備,研究機器の維持や整備等のため,研究基盤を指させる人材育成,獲得,確保のための取組の促進や,外部連携も含めた人材のキャリアパスの確立ということが書かれてございます。(5)には研究開発機器等の一層の開発,適切な調達,共用の促進ということで先端研究機器等の導入状況の調査,分析等を踏まえ,焦点を定めた戦略的な国産の先端研究機器等の開発,普及の一層の促進。丸2は合理的な調達の促進,丸3では研究開発機器等の共用促進による研究環境整備,経費効率化等ということが書かれております。(6)は国民の信頼と相互理解を基にした政策形成ということで,丸1は国民の科学技術リテラシーやリスクリテラシーと,研究者等の社会リテラシーの双方の向上,あるいは丸2ではリスクコミュニケーションを推進するための効果的な科学技術コミュニケーションの在り方の検討というようなことが書かれております。
 最後5ページ目,3ポツは世界最高水準の運営や人材育成システムを目指した改革ということで,(1)新たな研究開発法人制度の創設,(2)研究人材育成システムの改革。この中には例えば,厳しい国際競争の中,我が国が目指す高付加価値を創造する社会構造の樹立のため,優れた研究人材の育成が不可欠であり,博士課程修了者の質的向上と量的拡大,博士課程修了者の社会的価値の向上,初等中等教育,学部教育,大学院教育の各段階に通じた教育振興と科学技術振興の有機的連携を含め,優秀な人材が博士課程を目指し,高付加価値を創造する人材育成のための魅力ある環境の整備ということが書かれております。
 科学技術・学術会議ではこの基本方針の下で推進すべき事項について各分科会等で検討を行うこととしております。その進捗につきましては総会で適宜フォローアップをされているところです。研究開発の様々な基本方針の中でシステムなどかなり横軸のことを中心に書かれております。本海洋開発分科会でも一度御審議いただきたいということで本日御説明させていただきました。以上でございます。

【小池分科会長】ありがとうございました。今説明いただいたのは,今年の4月に出されたものです。最初に書かれておりますように,我が国の研究開発力を示す指標が停滞あるいは少しずつ落ちてきているということが,科学技術・学術審議会では重要な課題だと考えていて,こういう基本方針をまとめたわけです。非常に一般的な書き方をしていて,海洋開発分科会としますと,海洋の分野で例えば人材育成やいろいろな議論はありますが,それをどこまで一般化して話せるかということはなかなか難しいと思います。できましたら本件につきましては後ほど事務局から連絡を差し上げて9月半ばくらいまでには各委員から御意見を頂きたいというふうに考えております。もし今,説明していただいたことで何かコメントがありましたら頂ければと思います。いかがでしょうか。非常に一般的な書き方になっていて,特に大学等におられる方は既にこれに関してはいろんな議論を聞かれていると思います。何かありましたら御発言をお願いします。

【花輪委員】全体的にはごもっともということですが,特に私は大学の現場にいまして非常に感ずるのは,3番の人材育成です。例えば理工系の博士課程の進学率はここ10年間右肩下がりです。主要な大学は多分理工系は60%ぐらいに落ちていると思います。極めて憂慮すべき事態です。それから私は昨年度まで海洋学会の監事を務めていましたが,学生の会員が激減しています。どこの大学でも,修士課程はいますが,博士に進学しないということで,大学の役割というのは社会に対して育成した人たちを送り出すということですが,自分たちの後継者すら作れないのではないかというほどの大きな危機感を持っています。どうしてこのような状況になったのかというと,やはり日本のサイエンスをやる現場があまりにも魅力がないように映っているのではないかと思います。特にここに書いてありますが,いろんな経済の支援策等々は充実させようとしていますが,将来展望がないということです。特にポスドクになりますと,例えば改正労働契約法への対応で任期が5年以内になるのではないかという問題があるように,やはり若い人にとって研究現場にいるということの魅力がどんどんなくなっているような状況が作り出されているのではないかと思います。そのあたりを基本的に解決しないと,一般に研究うんぬんと言いますがなかなかうまくいかないのではないかと思います。私は大学にいるので強くそう思いますが,人材育成のところが一番大切ではないかという気がします。

【竹山委員】今のお話は,本当に身近で感じながら毎日暮らしております。世の中の需要と供給のバランス,人材のマッチングがうまくいっていないということが,学生に不安を感じさせる。だから博士課程に進まないという話になってしまう。これはアカデミアの中で幾ら話してもしょうがない部分があって,アカデミアではない人々,いわゆる受け側になってくる企業連合のような場で,例えば海洋分野であればどういうこれからの展開を考えていて,どういう人材が欲しいのか,そういった議論が必要なのだろうと思います。

【山脇分科会長代理】非常に難しい議論です。いつもこの議論は「にわとりとたまご」みたいなところがあります。正直に申し上げると,企業等が求める人材とアカデミアが排出しようとする人材に,人数においても質においてもミスマッチがある。産業界に余裕のある間は基礎研究などをしてもらうことができたわけですが,近年は企業自身が非常に短期的な指向に走っておりなかなかその需要もない。それから,企業に合った人材は自分の企業で育てていくということもあって,なかなかポスドクの人たちの需要がないということになります。審議会でも産業界からの委員は非常に少なく,私もその数少ない人間です。経団連や同友会でも議論のかみ合わない部分があります。それを考えると,こういう審議会や分科会は,文部科学省において,どうしてもアカデミアな分野が主体になってしまいます。企業自身としてももうちょっと何とかしたいという思いはありますので,意見交換の場,例えば大学の管理運営そのものを産業界の観点から考えるというような,そんな場を作った方が良いのではないでしょうか。海運業は研究者やポスドクの人は全然いない分野で,専ら実務優先になっておりますので,あまりそういうことについてコメントはないのですが,一般的な話としてはそういう場をまず作ってお互いに意見交換をしたらどうかと思います。毎回私がこの場で言っているのは,商業化は常に念頭に置いて議論を進めないとどうしても離れていってしまいます。全てがそれに結びつくわけではありませんが,そういうことも必要ではないかと思います。

【花輪委員】昨年の5月7日に経済産業省と文部科学省がお世話をして産業界20数社,大きい会社だけですが,それから12大学で産学共同人材育成に関する円卓会議が開かれました。そのアクションプランが七つ提案されました。それはある意味画期的で,産業界と大学が一つの場に集まり,その会議で議論し合ったということはすばらしいと思います。結論はお互いがお互いのことを知らな過ぎるということが結論だったと思います。とは言いましても,こういう人材が必要だということでそのアクションプランが七つありますが,イノベーションできる人材,グローバルに活躍できる人材ということで,グローバル人材とイノベーション人材がキーワードでした。各大学がそういう要望に対してやっていないかというと,結構いろんな模索をしています。私は去年の4月から今のような立場でいますが,東北大学はどういうことをやっているかということで,アクションプランごとにやっている施策をまとめました。それがどのくらい期待に応えられているか分かりませんが,かなりの点において実施していました。ほかの大学でも恐らく同じ状況だろうと思います。それはそれでいいとして,山脇委員の意見はその通りで,今後も意見をぶつける場を恒常的にも持っていくべきだろうと思います。そしてお互いが誤解をなくして,意見を戦わせる場があった方が良いのかなと思います。

【小池分科会長】ありがとうございました。これはいろいろ議論すればいろんな問題が出てきます。先ほど言いましたように皆さんからのコメントを頂いて,それを基にまとめていきたいと思っております。今日はここまでにしておきたいと思います。
 議題の3その他について事務局からお願いします。

【事務局】今後のスケジュール関係につきまして4点説明いたします。
 一つ目は今後の分科会の開催ですが,今のところは予定がございません。必要に応じまして分科会長と相談をして皆さまに御了承いただいて御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
 二つ目は本日議論いただきました事前評価につきまして,事務局で委員の皆さまの評価を集約したあと評価案をメールで送付させていただきますのでその御確認をお願いしたいと思います。非常に短時間で申し訳ございませんが,28日明後日(あさって)までには取りまとめる予定でございます。今週中には分科会長と御相談の上,分科会として決定したいと考えておりますので,お忙しいところ誠に恐縮でございますが御協力よろしくお願いいたします。
 三つ目は先ほどの議題2で御説明しました基本方針についてでございます。また後ほど御連絡いたしますが,9月中くらいを目途に御意見を頂ければと思います。詳しくはまたメールで御連絡いたします。
 最後4点目でございます。こちらは議題ではなかったんですが,深海地球ドリリング計画中間評価について進捗を御報告いたします。本海洋開発分科会の下には三つの委員会が設置されております。その一つ,深海掘削委員会において今,深海地球ドリリング計画の中間評価の作業を進めております。既に今期3回委員会開催しまして現在評価結果の最終取りまとめを行っているところでございます。9月の上旬頃には深海掘削委員会として取りまとめる予定です。この評価報告書ですが最終的にはこの分科会に諮り了承を頂くことになっております。当面本分科会を開催する予定がございませんので,事務局としては後日,深海ドリリング計画の評価報告書を委員の皆さまにメールで送付させていただいて,ざっと御確認いただくという段取りにしたいと考えております。以上でございます。

【小池分科会長】ありがとうございました。今の御説明にありましたように深海地球ドリリング計画の中間評価に関しては委員会での検討結果を基に分科会で諮った上で決定することになります。これは後日事務局から案を委員の皆さまに連絡していただき,もし問題がなければ分科会で決定ということで最終的には分会会長であります私に一任いただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。それではそういう形で進めさせていただきます。大分予定よりも早い時間ですが今日の議題は全て終了いたしましたので本日の委員会はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。 


 

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

二村
電話番号:03-6734-4142

-- 登録:平成26年05月 --