【資料4-1】当面の重点事項について


海洋科学技術に係る当面の重点事項(案)


 我が国の科学技術イノベーション政策の基本となる第5期科学技術基本計画(平成28年1月閣議決定)において、海洋科学技術は我が国の産業競争力の強化や経済・社会的課題への対応に資するのみならず、我が国の存立基盤を確固たるものとするものと位置付けられている。また、昨年度の総合海洋政策本部参与会議においては海洋科学技術について集中的に評価・検討が行われ、総合海洋政策本部参与会議意見書として取りまとめられている。
 他方、昨年9月に国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs: Sustainable Development Goals)においては、海洋の持続可能な利用がその目標の一つとして掲げられ、また、海洋環境の保護を掲げた昨年のG7ドイツ・エルマウサミット首脳宣言に引き続き、本年のG7伊勢志摩サミット首脳宣言においても、科学的知見に基づく海洋の持続可能な利用等のための科学的取組が支持されるなど、国際的にも海洋科学技術に対する期待は年々高まりを見せている。
 こうした国内外の状況を踏まえ、海洋国家たる我が国における海洋の位置付け等も考慮しつつ、関係省庁や研究機関、産業界と連携を図りながら、以下の点について来年度に向けて重点的に取り組む必要がある。


1.経済・社会的課題の解決に向けた取組の強化
(1)科学的根拠に基づく海洋の管理等に資する取組
  G7伊勢志摩サミット首脳宣言を踏まえ、海洋国家たる我が国にとって重要な資源である海洋鉱物・生物資源の持続可能な利用を確保する観点からも、科学的根拠に基づく海洋の管理、保全及び持続可能な利用に資する取組を推進することが重要である。

(2)北極域研究の戦略的な推進
  近年の北極域に関する国内外の関心の高まりを踏まえ、北極研究戦略委員会の検討を基に、観測技術の高度化等を含めた北極域研究の戦略的な推進を図ることが重要である。

(3)国民の安全・安心の確保に資する研究開発
  南海トラフ地震などの巨大災害の切迫性が指摘されている中、国民の安全・安心の確保に資する研究開発や、東日本大震災を経て蓄積された知見をより良い復興に生かすための研究開発等を推進することが重要である。
  なお、海洋開発分科会における「海洋科学技術に係る研究開発計画(仮称)」の検討においては、海洋科学技術に関する施策がそれぞれ想定する課題の解決に向けて適切に進捗しているか否かを含め、海洋科学技術に係る政策のPDCAサイクルの在り方について議論を深めていくことが必要である。


2.オープンイノベーションの推進
 ○ 海洋に関する多種多様なデータの整理・収集・解析とオープンデータ化を図り、分野を超えた連携も含め新たな価値を創造する研究開発(海洋地球インフォマティクス)を推進し、超スマート社会に向けた基盤技術を構築していくことが必要である。
 ○ 分野を超えた多様な人材が参入しやすい環境作りを進め、中小企業をはじめとする産業界と大学・国立研究開発法人との協働の推進や他分野の技術の利活用を図るとともに、海洋分野における先端技術や成果の他分野への移転・利活用を推進することが必要である。
 ○ 海洋分野における先端技術や成果を、スタンダード化も視野に入れ、日本のみならず、国際的に展開していくことも重要である。
 ○ これらにより、海洋分野におけるイノベーションを加速し、課題解決に貢献するとともに、新たな経済的・社会的価値を創造していく。


3.海洋科学技術に係る基盤的施策の推進
 ○ 海洋に関する科学的知見は未だ不十分であり、また、科学的知見の拡大には長期的な観測や先端技術も必要であることから、これらの活動の基盤となる、基礎研究、基盤技術の開発、人材育成等の強化やリテラシーの向上について、1.及び2.の取組と並行し、着実に取り組むことが重要である。
 ○ 機動的かつ統合的な深海探査システムの構築に向け、無人探査機の大深度へのアクセス能力を確立していくことが必要である。
 ○ 研究船等の運航日数を確保するためにも、研究船等による海洋観測・研究の必要性や意義、成果をより明確にしていくことが必要である。


以上


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-- 登録:平成30年02月 --