参考資料5 東北マリンサイエンス拠点委員会海洋生態系小委員会(6月3日)概要

東北マリンサイエンス拠点委員会海洋生態系小委員※1を開催した。研究代表者及び各課題担当者から、成果や今後の課題・計画等についてご説明頂いた後、全体に対する議論を行った(別紙開催目的参照)ところ、各委員より以下のようなコメントがあった。
※1当小委員会は、東北マリンサイエンス拠点形成事業を適切に推進していくために評価や進捗管理、助言等を行う小委員会として設置されている。

○委員コメント
【東北マリンサイエンス拠点形成事業の現状の取組に対する評価】
・文部科学省は復興にあたり、「科学技術立国」という視点を考慮すべきである。津波被害を受ける国は多数あり、我が国として復興に関して大きく貢献できる。
・「女川研究」は実学的、「大槌研究」は基礎科学的であり、実学と基礎科学の融合による新たな科学の役割の創生が重要である。基礎科学をベースに現実的課題(漁業)へ貢献する道を開くことが基本ではないのか。
・モニタリングは、予算の獲得が難しいが、長期データの蓄積は、何にも替えがたい説得力と信頼性を有し、非常に重要である。
・東北マリンサイエンス拠点形成事業の第一期で広がり深まった科学的知見をいかに統合的に整理し、これまでなかった新たなブレークスルーを導き出せるかが重要となる。
・多様なステークホルダーを巻き込んだ科学の展開として、科学と社会の新たな関係を創造すべきである。
・今後の展開の焦点は、得られたデータを総合的に駆使して全体を統合し、より普遍性が高く、より汎用性の高い道を開くモデルの構築にある。
・「女川湾」「大槌湾」「沖合」の3つチームが、異なるアプローチで推進しているが、それらが統合されることが重要で、それによりブレークスルーが生まれる。
・社会への発信を通じ、新しいタイプの科学の芽生えを感じる。
・漁業者の科学的知見への関心の高まりや、実学を基礎科学の連携を実感している。
・文部科学省プロジェクトの基本は、人材育成ではないのか。
・水産研究に携わろうとする学生が非常に少なくなっている。この東北マリンサイエンス拠点形成事業を通じて、水産研究に携わる若い研究者が増えることは、広く社会に貢献することに繋がる。

【別事業への展開や本事業終了後を視野に入れた意見】
・東北マリンサイエンス拠点形成事業の推進手法自体のマニュアル化は、津波被害国に対して大いに貢献できる。
・東北マリンサイエンス拠点形成事業について、世界への発信や続く世代へ継承のために映像化を検討してはどうか。
・ポスト東北マリンサイエンスを見据えつつ、事業後半では、自治体や漁協等の多くのステークホルダーの関わる仕組みの強化が重要である。
・プロジェクト終了後も、海洋生物研究は続く。現在、育ってきている人材は、温暖化により津波被害が想定される諸国に大いに必要とされる。
・本事業の対象海域だけでなく、臨海実験場や水産試験場のデータも整備しておくべきである。
・世界は新たに海洋に大きな関心を示し始めている。これまでの陸の論理ではなく、海の論理に基づく人と海の関わりに関する科学知見の充実が急務である。本事業が世界の規範となる、命のふるさと海の保全と利用に関する、新たな「マリンサイエンス」を創生する今日的意義は極めて大きい。


 

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-- 登録:平成27年10月 --