参考資料4 第7回海洋生物委員会概要

事務局より開催目的の説明
平成23年1月から同年7月まで計6回開催し、海洋生物研究について中長期的な方向性についての検討が行われ、同年9月に「海洋生物資源に関する研究の在り方」に関して報告書がまとめられた。この報告書の中で、重点化すべき研究課題として、(1)「海洋生態系に関する知見の充実」(2)「生理機能の解明と革新的な生産技術」(3)「新たな有用資源としての活用」(4)「観測、モニタリング技術の開発」(5)「東日本大震災への対応」の5項目に整理された。この報告から4年が過ぎ、その間に文部科学省として、生物資源確保技術高度化事業や東北マリンサイエンス拠点形成事業などを行ってきた。内外の情勢等の変化を踏まえ、政策立案の基礎となる科学的知見、そのもととなる海洋生物に関する研究の在り方について議論を行いたい。

事務局の説明を受けて委員から出された意見・コメント
1.現状について
・上記(5)が東北マリンサイエンス拠点事業に結実している。
・上記(1)(2)が、海洋生物資源確保技術高度化の中に実現している。
・研究開発した結果をデータとして速やかに公表すべき。データを研究者が使うだけでなく、一般の方が使うには加工が必要で、東北マリンサイエンス拠点事業で行われている、ハビタットマッピングという手法が有効である。

2.研究の方向性
・辺境の離島は手つかずの自然が残っており、そこでの生物多様性を研究していくことは重要だ。西之表新島は、高温で生物が少なく、これからの進化の研究は重要で、生物の擾乱が起きないように配慮して調査が行われるべきだ。
・LNG船や脱硫装置でほぼ硫化物質の排出がゼロになるような新しい考え方の船を建造しつつ、生物多様性の新たなチャレンジングを西之島新島で行ったらいいのではないか。
・新しく海洋政策学会ができ、海洋政策に関する発信が重要だ。
・水産海洋を1つにまとめるという方向性もあるべき。
・海洋生物研究には時間がかかるため、継続的に行うことが重要だ。
・海の問題としてしっかり取り組んでいくべきは地球温暖化にどう対応していくのか。
・海洋生物資源の持続ということに関して、よく調査されているが、公海や途上国のEEZでのモニタリングが十分ではない。ニホンウナギの産卵場については分かっているが、回遊ルートは分かっておらず、沖合について行うべきことは多くある。
・海洋再生エネルギーは重要だが、コストが問題であるが、議論したい。
・表層から中層だけじゃなくて、海底も含めた物の流れとか、そういうものをトータルで理解をする視点というのがやっぱり大事
・海洋生態系、生態系とその鉱物資源なんかも含めた中でのモニタリングなどをどういうふうにやっていくかということは、今後の大きな課題。
・科学技術振興機構(JST)で海洋生態系等々の技術開発のプログラムが動いており、海洋の研究に役に立つような測器なども開発されつつあり、その成果を結びつけて、展開を考えると非常に充実するのではないか。

3.人材育成・人材確保・アウトリーチについて
・人材育成は、アウトリーチ活動も含めて、それほどお金はかからないので、教科書も作成というような話から系統立てて、人材育成の中身を持って行くべき。
・大学や大学院での教育内容と現業機関が求める人物像がマッチしていない。
・その後の雇用が不安定で、博士課程進学者が減っている。
・高校生以下の若年層に、早いうちに海洋科学について知ってもらって、人材育成につなげていければよい。
・持続可能な漁業に注目が集まっているが、目の前の産業振興という部分が多い。それだけなく科学的にどうなっているのか、何が分かって何が分かっていないのかを一般の方に伝えることが大事。
・学術会議などで教育問題を扱うことは難しいが、海洋生物の問題点、生物多様性が本委員会で議論されていることを盛り込み、提言をまとめたい。

 

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-- 登録:平成27年10月 --