海洋資源の有効活用に向けた検討委員会(第10回) 議事録

1.日時

平成23年1月28日(金曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省16階 16F特別会議室

3.議題

  1. 海洋資源探査の技術実証計画についての議論の進め方について
  2. 資源探査用自律型無人探査機の仕様について
  3. その他

4.出席者

委員

阿部、磯﨑、浦、浦辺、鈴木、瀧澤、寺島 の 各委員

文部科学省

笹木文部科学副大臣、藤木研究開発局長、田中政策評価審議官、加藤大臣官房審議官、川端開発企画課長、堀内海洋地球課長、鈴木海洋地球課長補佐、川口企画調査係長、竹内技術参与

オブザーバー

(関係府省庁)
 内閣官房総合海洋政策本部事務局 鈴木参事官、谷参事官
 資源エネルギー庁資源・燃料部 久保田鉱物資源課長補佐
 海上保安庁海洋情報部 冨山海洋調査課長補佐
(発表者)
 独立行政法人海洋研究開発機構海洋工学センター 吉田グループリーダー

5.議事録

【浦辺主査】 それでは時間になりましたので、「第10回科学技術・学術審議会海洋開発分科会海洋資源の有効活用に向けた検討委員会」を開催したいと思います。本日寒い中、ご多忙中お集まりいただきまして大変ありがとうございます。
 今回は文科省の会議ということですけれども、日本全体に関わることでオブザーバの方にご出席いただいております。まず総合海洋政策本部の鈴木、谷両参事官。それから資源エネルギー庁の資源・燃料部鉱物資源課の久保田課長補佐です。

【久保田課長補佐】 資源エネルギー庁でございます。

【浦辺主査】 それから、海上保安庁海洋情報部海洋調査課の冨山課長補佐です。

【冨山課長補佐】 よろしくお願いいたします。

【浦辺主査】 それから本日は笹木文部科学副大臣にもご出席いただいておりますので、副大臣から一言お願いいたします。

【笹木副大臣】 どうも皆さんご苦労さまです。この海洋開発分科会でお力をいただいていることを心からお礼を申し上げたいと思います。副大臣の笹木竜三でございます。
 今までの歴史を振り返ってみると、あるいは昨年の中国とのいろんなやり取りを見ても、資源ですとかエネルギーで極端な弱点を持っている国というのは、外交をやる余地が非常に狭められる。これはもうはっきりしていることだと思っております。そういう意味でも、世界で6番目の広さの領海・排他的経済水域を持っている我が国においては、皆さんのお力で是非、調査、探査を行い、あるいは資源等を獲得していく活動をますます盛んにしていかないといけないと思っています。
 既に、補正予算で前倒しして、新規で資源獲得のための取組を進めておりますが、これは「新成長戦略」において、グリーン・イノベーションを支える資源確保の推進ということで、重点事項に位置付けられております。レアアースやレアメタルの確保を含めていろんな活動が必要だと思うのですが、皆さんも専門家ですからよくご存じだと思いますが、その時期、その時期でどういう資源が必要になってくるか、これは時代とともに変わってくる。レアアースだって数十年前にはそんなに意識されなかった資源だと思っています。
  これを踏まえて、是非お願いしたいのは、中期長期のスケジュール、短期からつながっているスケジュールの策定をお願いできたらありがたいなと思っております。もちろん大事な事業ですから私としては予算獲得等も含めてこれからも一生懸命やってまいりますが、財政は皆さんご存じのとおりでございます。ですから中期長期で、90%などという確実性を求めるものでは決してありません。不確定要素は今言ったように非常にあるわけですから、それは承知の上で、例えば10年後、15年後このような資源が多分、今より重要になってくるだろうとか、新しいこういう資源もまたいろいろあってこれも活用の余地が出て来るとのではないかとか、そのようなことを踏まえて今こうして分布図を作っていること、探査機を作っていることを示す。そしてこの取組が資源を確実に獲得する可能性が、他の国に比べて非常に増すのだということを示す。予算でのことを考えますと、このような説得をしていくしかないのだろうなと思うものです。今日は関係省庁の皆様もお出ででいらっしゃいますので、省を超えて短期から中期長期のスケジュール、メインは中期長期ですが、そのような国民に対してしっかりと説得をしていける材料をさらにいろいろご用意いただけたらありがたいなと、そう思っておりますのでよろしくお願いします。
 合わせてこの探査に伴う例えば海洋の環境の保全、このことについてはいろいろな基準を設けていくことも必要だろうと思います。我が国はそのようなことをやり得る立場だと思っております。是非、科学技術外交の一環としても、そのような視点でもいろいろ今後アドバイス、ご指導いただけたら大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

【浦辺主査】 どうも大変長期的な方向をお示しいただけるようなご挨拶をいただきまして大変ありがとうございます。力強い限りでございます。なお、副大臣は公務のため途中退席されますのでご承知おきください。それでは事務局の方から資料の確認をお願いします。

【鈴木課長補佐】 議事次第の「4.配布資料」に沿って資料を確認させていただきます。資料1「平成23年度予算案における海洋関連施策について」、資料2「海洋資源探査の技術実証計画の検討について(案)」、資料3-1「『海洋資源の利用促進に向けた基盤ツールプログラム』における探査技術開発について」、資料3-2「資源探査用自律型無人探査機の仕様(案)」、資料4「当面の予定」です。この他、浦先生の方からいただいた東京大学生産技術研究所と右上に書いてある資料を机上に配布させていただいておりますし、机上資料集としまして「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」や当省の委員会の報告書がまとまったファイルを配布しております。不足等があれば事務局までお申しつけいただければと思っております。
 また、今回はテープ起こしにより議事録を作成します。録音のため、ご発言の際にはマイクを使用していただきますようにお願いいたします。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。

事務局説明

【浦辺主査】 それでは早速議事に入りたいと思います。最初に昨年の12月24日に平成23年度当初予算の政府案が閣議決定されましたということですので、このうちの海洋資源関連事項について堀内課長の方からお願いいたします。

【堀内課長】 予算案につきまして、私の方からご説明申し上げたいと思います。昨年政府予算案がまとまりましたが、各先生におかれましては、いろいろ中身の検討、それから予算を作るに当たっていろいろご協力いただきまして本当にありがとうございました。
 それでは内容に入りたいと思います。資料の1をご用意ください。2枚めくっていただいて、2ページ目を出していただけると、今日はこの2つの予算案につきまして説明したいと思います。一つは左側「海洋資源探査システムの実証」ということでございまして、平成23年度予算案23億円ということになっています。これは先ほど副大臣からもお話がありました補正予算ですね、5億円というものが22年度に措置されておりまして、合わせて28億円という規模になってございます。趣旨は海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト等を対象とした、鉱物資源がいろいろ含まれているところについての調査をするための機材であるとか、または調査に関する経費をここに積んでいるということでございまして、無人探査機、それから掘削技術の開発、整備そのようなものを合わせて学術的な検討も加えた上で、戦略的な探査手法を研究開発していく。合わせてその開発をしていく中で実証試験をするということで調査を進め、新しい熱水鉱床の発見や必要な情報などを得て商業化に向けた取組を進めていくという考え方のものでございます。
 右側の方の説明に行きたいと思いますが、「海洋資源利用促進技術開発プログラム」ということでございまして、この海洋資源2つありまして、鉱物資源と生物資源という構成になってございます。総額で7億円ということでございます。右側の上段でありますけれども鉱物資源の方なのですが、7億円のうち5億3千万ほどはこちらの経費でございまして、下の方になります生物資源の方が、1億7千万ほどが海洋生物資源の経費ということになっています。上の方ですが鉱物資源につきましては、この委員会でもいろいろ議論をいただいております鉱物のセンサー、探査のためのセンサーの開発費ということで、5億3千万継続で認められておりまして、それから下の方ですが新規になりますけれども、海洋生物について生理機能を解明して革新的な生産、養殖等を研究開発するもの、それから海洋の環境の場に注目して資源量予測等をするような研究開発をするという柱立てで、予算案を要求できることになってございます。
 左側の海洋資源システムミッションについては、1枚めくっていただいてもう少し詳しく説明したいと思いますが、これがその全体像を書いてあるものでございますが、その左側の四角で「体制」と書いてあるところをご覧いただければと思いますけれども、この主要なこの予算の主要な構成としましてまず一つ目に挙げられるのは自律型の無人探査機ということで通称AUVと呼んでいるものございますけれども、これを開発、整備するということ。それからその下になりますが遠隔操作型の無人探査機、これはROVと呼んでおりますがこれを開発、整備をすると。この2つを使って調査を進めるということで、それをちょっと右に書いてありますその支援母船であるとか、「ちきゅう」なども既存のものを使いまして調査を進めるということを考えてございます。それから右側の「計画」というところで、有望海域におけるこういった探査機を使って調査をするという話、また、各センサー、各技術をしっかり技術開発をしていくと。また、その下に書いてあります海洋鉱物資源の成因などを、研究をしっかりしまして、こういったものを合わせて総合的に戦略的に探査をしていくための手法、考え方を、研究を進めて行きたいというようなことを考えておりまして、もって必要な情報を集めて資源、海洋資源の商業化に向けて進めて行きたいと考えているということでございます。私の方から予算について以上でございます。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。

笹木文部科学副大臣を迎えてのフリーディスカッション

【浦辺主査】 せっかく笹木副大臣がいらっしゃっている機会ですので、副大臣を交えてのフリーディスカッションを20分程度やりたいと思います。それで先ほど事務局の鈴木課長補佐からもお話がありましたように、テープ起こしをしますので、マイクを通じて発言をお願いしたいということですので、こちらか指名をさせていただきます。よろしくお願いします。
 それで、まず先ほどAUVの話が出ましたけれども日本でずっとAUVの基礎からの開発をしていただいた浦さんからちょっと口火を切っていただければと思います。

【浦委員】 東京大学生産技術研究所の浦でございます。私、30年くらい自律型海中ロボットの研究をしていて、この全自動で海底鉱物資源を観察できるようなシステムができあがりつつあるということでございまして、それが先ほどご説明がありました左側の23ページの中に組み込まれて新たな日本初の新しい技術で海底を探索しようというようなことができるかと思います。この自律型ロボットは観測するプラットフォーム、海の中でどのようなものを使って調査するかということがまずなければできないのですけれども、そのありようは、まず第一は「しんかい6500」のような有人潜水船、それから遠隔操縦型のROV、それから新しく自律型なのですが、自律型海中ロボットが活躍するところというのは深海、あるいは広い領域でいろいろ活躍できる。これが日本の鉱物資源、深海の鉱物資源を新たに発見し開発していくための新しい技術として位置付けられるのではないかと思います。
 その点に関しまして、今回23億円という予算が付いてさらにそれがこれを基盤にして今まで他の国々がやってこなかったようなこと、具体的な仕事がはっきりしているということが非常に重要なのですが、何でもできるではなくて具体的な仕事をしてそれで調査ができるということはとても喜ばしい。さらに、これが1台、2台。日本のこういう技術において私が常々思っているのは、試作機を1台作ってそれで終わりというのがたいていで、これではだめで、2台、3台作ってより新しいもの、よりよいものに改良していく。そのためには成果を上げ、かつ予算を付けていただくということが大切かと思います。
 その時に、船が実はそれを連れて行くわけですけれども、船も既存の船では、観測の状況というかシップタイムと言われるのですが、それが足らない。いろいろ新しい船を作って広くロボットたちを展開していくような総合的なシステム、先ほどもお話がありましたけれども、全体像を見据えてどのようなものを、その時にいろいろなプラットフォームを候補の中に入れて計画をするというようなことが大切ではないかと思います。
 では具体的に机上配布で1枚こういう紙を用意したのですけれども、これは今JAMSTECが考えられているこの補正予算も含めて、JAMSTECが当面の間に4台くらいのロボットの体制になって、そうした時にそれがどのような仕事をすればいいかなという、私の全く私案でございますが、ある意味で言ったら年度ロードマップを含めた総合的な企画というものを勝手に考えさせていただきました。ここでそういうことを是非推進していただいて、日本発の技術を世界に展開していただきたいと思います。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。これについては何かございますか。では磯﨑委員お願いします。

【磯﨑委員】 海洋研究開発機構の磯﨑でございます。今浦先生からご説明があったように、AUVを私どもで鋭意開発しているところなのですが、今先生もお話になったように私どもも研究船や潜水機器を持っているのですが、いかに開発というのはAUVだけでもだめでそれぞれの機器はそれぞれ整備していかなければならないと思いますし、後でご説明もあるかと思いますが基盤ツールは基盤ツールで開発していかないといけない。
 船でまず大きな粗粗の探査をしていく。やはりこれは、船は海面から非常に広範囲に届きます、平均15ノットくらいで動きますから非常に広い範囲で、それで絞りこんで次はAUVと。AUVもいくつかの種類があって大型、小型と。最終的には今のようなROVや「しんかい」で探査する。最終的には「ちきゅう」も私は海洋鉱物資源に対しては、一つのサンプリングするための大きなファミリーというか、フリートといった中の一つだと思っていますけれども、そういったものを上手く使っていきたい。それぞれが少しずつ整備されつつあるものですから、それを全体としていかに力を出していくかということを、これはやはり何を目指すか、どこを目指すかということによって決まっていくと思いますけれども、まずこのようにやっていきたい。
 船を動かすにもこういった資源探査にAUVをいかに動かすか。やはり作ることも技術ですけれども、それを動かしていくということも、非常に私は重要な技術で、それは営々とノウハウを積み重ねて来ていますので、それも一つ大きな技術だと思います。一つはやはり、それをいかに今後も保持していくか。ですから、ある時にたまたまAUVをひとつ作ったのではなくて、それを動かして、動かし続けていくことも大きな技術であるし、技術の継続。また、作り続けていくということがやはり技術の伝承ということなので、やはり次の世代へどう繋げていくかと考えた時に、やはり国の総合力として、そのような長い目で見て、まさに副大臣がおっしゃったとおり、長い目で見て継続、切れ目なくやっていくということが必要だと思います。そういった意味で、予算の方をお願いしますということになるのですけれども、我々もそういっていかに次につないでいくかということは、是非考えて行きたいと思っております。

【笹木副大臣】 全く細かいことは別にしてですが、我が国は最先端の技術を今後も保持していく、そのために切れ目なくというのもよくわかる。一方で、例えば、他の国でいろいろ協力をしていくこと、今よりもさらに協力を広げて行くことが可能な国というは、この分野でどのような国になりますか。

【浦委員】 まずそのROV、遠隔操縦式の有索無人潜水艇や自律型海中ロボットAUVでは、アメリカ、ノルウェー、フランス、イギリスが世界のトップランナーで、我々日本もそのトップランナーに入っているわけなのですけれども、彼らも彼らとして非常に新しい技術をどんどん投入していって、今まで他人がやらないことをやっていくという、進取の気性に非常に長けています。バイキングの人たちはとにかくフロンティアに向かって突き進むのだという根性があるのですね。日本もそのような根性がないと、なかなか新しく海の危険なところへ行けない。それでご質問のテーマの国がそのような国々になっています。

【笹木副大臣】 それぞれ得意分野は違うのでしょうか。世界一の技術、この分野が強いというのは、それぞれがそれぞれに違った分野であるということになりますか。

【浦委員】 海中技術は、AUVというのは非常に特殊な技術で自律型ロボットですね。自律性が高いということは、ある意味では信頼性とか危険性をクリアするためのいろいろな方策というものがありまして、自律型海中ロボットの分野ではアメリカ、ノルウェーでその次に続くのはイギリスかなというようなところになっています。
 それから、遠隔操縦機に関しましては、これは海洋石油資源開発に関連しまして非常に世界的に発展しています。この前のメキシコ湾の油が出たのを止めたのも遠隔操縦機で、これは23億円の中に入っていて一つそれを作るということになっているようですけれども、そこの分野は海底石油資源を開発している国々、それはアメリカ、ノルウェー、イギリスですが、そういったところは非常に強い力を持っています。

【浦辺主査】 やはり日本は石油が弱い、石油探査が非常に弱いというところがありますが、今回の鉱物資源ということになりますと、世界的にどこもそんなにものすごく他を圧しているというところはない。その中で日本が今回の文科省のセンサー開発等をやっていくことによって、相当世界の先導的な立場に立てる。
 石油は海底下の深いところ何千メートルのところにある巨大な鉱床を探査するわけですけれども、鉱物資源は海底面に近い非常にやや小さなものを、非常に高精度、高密度で探査するということで、先ほどのAUVのように対象に近付いていけるものが必要。その分野では今、日本が非常にリードしているし、センサーができると、将来すごく楽しみ。ただこれは、やはり副大臣からもお話ありましたように、結構時間がかかると。1年でできるものではなくて、やはり実証試験その他、シップタイムも取ってやっていかなくてはいけないというところで、これからそれが本当にやれるのか、根性を据えてやるのかというちょうどその瀬戸際というところだと思います。

【笹木副大臣】 「その瀬戸際」というのはどういう意味ですか。

【浦辺主査】 やはり今、プラットフォームをこうして作る。それからセンサーを作る。それらを本当に動かして、海で実際にテストをやり始める。ただ、1年、2年でどこでも使えるようなものにはならないので、それをこれからずっとやる体制を作って、本当にこれは日本の技術で、世界に持っていけるものというものにするために、やはりそれなりの時間がかかる。ちょうど今その体制を作る時期だという認識です。他にせっかくですのでどなたか。寺島さんいかがでしょうか。

【寺島委員】 私、海洋政策研究財団というところで、技術というよりは政策を中心にやっております。海洋基本法では、海洋基本計画を作って海の問題に総合的に取り組むとこういうことになっておりますが、やはり先ほどからお話が出ていますように、この分野は非常にいろんなところが関係しております。
 この基盤ツールを開発しようという関係では、まさにこの文科省のこの委員会が中心になってやっておりますが、これを全般的に進めて行くためには、例えば海洋基本計画ですとか、科学技術基本計画ですとか、あるいは鉱物資源の開発計画ですとか、そのようなところにきちんと位置付けて、相互に連携をして進めていくということが、非常に大事だと思います。今、そのような方向で進んでおりますが、科学技術基本計画は来年度から、あるいは海洋基本計画は5年見直しで2013年から新基本計画になりますので、そちらの方にもきちんと書き込んでやっていくということが、非常に大事ではないかと思いますので、また副大臣によろしくお願いしたいと思います。

【笹木副大臣】 もう一つ、これは今日でなくて結構なのですが、先ほどお話しました科学技術外交ということで、海洋の環境の問題を検討いただければと思います。あともう一つ、先ほどアメリカ、ノルウェー、フランス、イギリスという名前が出ていましたがそのような国と共同で事業化するとか、あるいは運用するとか、あるいは分布図を作っていくとか、そのようなことも含めて、科学技術を外交的に、他の国と、世界的な流れを作っていくような、そのようなことも含めていろいろご検討いただけたらありがたいなと思います。
 他の省庁との関係でこの基盤から実用化までという、そのような流れは頑張ってやっておられると聞いていますので、さらにそれを切れ目なくというか、なるべく効率よくというか、そういったところで何かやることはないのかという点、先ほど言った基本計画との関係もあると思いますが、それは我々の仕事だと思いますので、是非またいろいろお教えいただけたらと思っております。
 残念ですけれども、ここで私は退室しますが、また別の機会に参加させていただきたいと思います。また、年末、予算の関係でキャンセルになったのですが、必ず一度実際に見させていただきたいと思っております。近いうちに是非現地に行きたいと思っていますので、よろしくお願いします。

【浦辺主査】どうもお忙しいところありがとうございました。

(笹木副大臣退出)

(1) 海洋資源探査の技術実証計画についての議論の進め方について

【浦辺主査】 それでは次の議題に進めさせていただいて、それでまた最終的に討論の時間を少し取れればと思っております。議事の「(1)海洋資源探査の技術実証計画についての議論の進め方について」ということで事務局から説明をお願いします。

【鈴木課長補佐】 資料2に基づいて説明させていただきます。資料2「海洋資源探査の技術実証計画の検討について(案)」ですけれども、本案のように進めるということを委員会としてご決定いただければと思っております。
 検討の背景といたしましては、先ほど課長からも説明がありましたが、平成23年度予算案に「海洋資源探査システムの実証」が盛り込まれましたので、次年度から海洋鉱物資源の資源量把握に資するような海洋調査に本格的に着手するということになりました。そのため、本委員会において必要な研究開発の具体的な内容やスケジュールについて議論していただいて、5箇年程度の中長期的な実証計画を策定していただければと思っております。
 2.が、具体的な議論の内容ですけれども、まず(1)といたしましては「探査技術開発の具体的な内容とスケジュールについて」ということで、マル1基盤ツール開発プログラムで実施しているセンサー等の開発を今後どのようにやっていくべきか、マル2AUVやROVなどの無人探査機、探査プラットフォーム開発をどうやっていくべきか、マル3無人探査機やセンサー、支援母船を組み合わせた探査システムとして、全体的にどのように運用していくのが効率的か、についてご検討いただきたいと思っております。また、マル1から、マル3を合わせまして、その実証や海洋調査のやり方についてもご議論をいただきたいと思っております。(2)といたしましては、「技術実証をする上で海洋調査を行うことが有効な海域について」ご意見をいただければと思っております。(3)といたしましては、「海洋資源に関する学術的課題について」として、例えばコバルトリッチクラストの生成過程、どこを探せば熱水鉱床の発見が効率的にできるかというような、学術的な研究課題について、何をすべきか、方針を示していただければと思っております。(4)として、「関係省庁との連携について」もご意見をいただきたいと思っております。
 3.「スケジュール」ですけれども、本日検討を開始しまして、その後委員会を3~4回程度開催して、6月を目途に技術実証計画を取りまとめるというスケジュールでどうかと思っております。
 本日は、次の議題でAUVの仕様についてご検討いただきますが、これは2.の(1)②に関するところです。今回、平成22年度の補正予算でAUVの予算を措置できたので、この仕様について、ご検討いただきたいと思ってございます。以上です。

【浦辺主査】 はい。どうもありがとうございました。今資料に基づいてご説明ありました。この議論の内容というのは非常に重要なことで、世界的に見ても海底資源探査でこのような取組が、今この時点で行われているというのは、非常に画期的なことだと思います。ですので、ある意味で、やはり最初の出方を間違えると大変なことになりますので、皆さん専門家の方のご意見をお伺いして、きちんとした方向性を出していきたいと思っています。
 それで、まずどなたか、今ご説明あったところで何か最初に説明をしておきたいということがございますでしょうか。是非これは皆さん委員の方全員にご発言をしていただいて、それを反映していきたいと思いますので、考えておいていただいていただければと思います。
 まず、ここの議論の内容のところで、これが5年程度の中長期的な計画ということですけれども、まず2.(1)で、(1)のマル1がセンサー開発、マル2がプラットフォーム、マル3が支援母船その他のシステム、それからマル4がその他の海洋調査ということですけれども、まずJAMSTECの方でこの点についてだいたいどのようなことを考えているかということから口火を切っていただければと思います。

【磯﨑委員】 今ちょっとまずご質問なのですが、これは今、現有である程度想定している枠組み、もっと広げていいのですか。例えば、やはりこれだけのことをやるには、それだけの量のAUVなり、そういう母船であり、そのようなプラットフォームがいるという議論になっていいのか、ある程度見えている中をどのように活用するのかという、両方があるかと思うのですが。

【堀内課長】 今あるものというのはどれくらいあるかというのは、ある程度わかっているということで予測できますので、それはきちんとどこを使っていくかと、海域等を決めていただけないかというのが、まずは一つ目にありますが、我々のこの計画はこの年度で終わるわけではありませんので、また24年度の予算要求、25年度の予算要求はこれからということでございますので、広げてというか、これくらいの物資があればこれくらいのものができるのではないかとか、これくらいはやっておかないととか、そういったところを当然含めてご議論いただいて、ちょっと言っておかないことがあるとすれば、必ずその目標を達成できるかどうかというのは、副大臣からもありましたとおり財政事情というのはありますが、ここの委員会の場では、こういったことをやるべきだというようなところもありますれば、そこまで広げていただいて議論していただいて結構でございます。

【磯﨑委員】 今の主査のご質問に対してちょっとお答えしますと、AUVからお話ししますと、JAMSTECの中で現に動かしていますのが「うらしま」というAUVがありますし、今JSPSの方で作らせていただいているのが来年度になりますけれども、巡航型のAUVが1機と、作業型と呼んでいますけれども動き回る範囲が一番せまいのがありますけれども、非常に高精度な写真を撮るようなAUV、それを1隻ずつ作っておりまして、さらに先ほどの資源探査の補正で1機、今、巡航型を作ろうと。これについては今日ご説明申し上げますけれども、そう言ったものを作っていると。
 一応そのようなフリートがあって、それとROVとの組み合わせをどう動かすかということで考えております。今も動かす船が少しずつ決まっておりますので、ただ先ほど浦先生からもお話がありましたようにシップタイムは非常に制限がありますので、今JAMSTECの中では、少しそのシップタイムを外す方法を考えようと。と言いますのは、AUV、今「うらしま」は「よこすか」という船でしか使えませんけれども、少し何かの工夫をしたらそれが他の船でも使えるようにならないかとか、まさにさらにこれから作っていくAUVについては、少し他の船、どの船で使うかと。あるいは共通で使えないか。そのようなことを言いながら、少し先ほどありましたどう組み合わせて行くかということに対して、少しずつフレキシブルに考えていきたい。それがやはり今後作っていくことにもつながっていくし、最終的にはやはりシップタイムをどう確保して、どのくらい走らせるかということにもつながってくると思いますので、そのようなことをやっております。
 今我々の船を作っている時に、基盤ツールの方もいろいろ公募で使っていただいているので、少しずつ我々のフリートとのマッチングができていますので、是非総合的なことをやっていきたいということを思っています。そのようなことを少しずつ積み重ねていこうかと思っていまして、先はまたそれから考えていこうと思っています。

【浦辺主査】 今の磯﨑さんの説明で何かお聞きになりたいことはございますか。では鈴木さん。

【鈴木委員】 鈴木ですが、今磯﨑委員の方からJAMSTECとして取り組む考え方というのをお示しになったのですけれども、このテーマが支援母船、それから無人探査機、センサーを組み合わせて有効にというテーマですよね。
 私が気になっているのは、いわゆるセンサー、基盤ツール。これを手掛けて一番早くスタートしているわけですね。このセンサーをどのように使うかということが明解になりませんと、AUVにしても支援母船にしてもどうするのかという、大変困るのではないか。AUVはどんどんどんどん開発が進む。支援母船も今のシップタイムを都合すれば何とかなる。あるいは、新しい船を持ってくる、チャーターしてくるということもできるのですけれども、肝心のセンサーが、何が有効でどうなのかはっきりしないと大変困ると。遅れてしまうのではないかと思うのですけれども、大変懸念しているところですけれども。

【浦委員】 とにかくいろんなことをはかるには全てセンサーが必要で、そのセンサーにいったい何をはからせるかということも同様に重要だと思うわけです。何が知りたいのかということとどうやってはかるのかということで、例えば熱水のベヨネーズの白嶺鉱床などは、音響ではなかなか内部の構造が見えないから、どれだけ鉱量があるかわからないというわけで、それができるようなシステムを作ろうというのが、基盤ツールの第2期計画、21年度スタートのプログラムがそのようなプログラムがたくさん乗っかっているわけで、それがいつ完成するか、あるいは実際それでどう観測していくかというのは、その基盤ツールのセンサーの進捗状況にもよるのではないかなと。あるいはできあがったものが、東京ドームみたいな大きなものだったら何にも載りませんから、それは技術のところで、センサー開発というのはある意味でいえば、こうやれば必ずできるというものではないので、いろいろ工夫が必要なので、なかなかロードマップができないなということが。そうすると既存でかなり確立されたものを載せて、やれることをとにかくどんどんやっていこうという考え方もあるかと。つまり、あまり21年度発足のものに捉われると、わけがわからなくなってしまうような気がする。ロードマップがどうも上手く書けないなというような気がします。プラットフォーム、AUV、開発ですということを私は思っているところです。
 ただ、もう一つは、そのセンサー開発というのは、実は文科省でないとできないプログラムではないかと思っていると。ここで今の質問にも関連して一緒に申し上げますと、結局、相手方としてJOGMECがやっているプログラムがあって、そこでも大型の予算が付いていろいろやっているわけで、そちら側はもう開発に向かっていろいろな調査をやっているはずなのですが、そこの位置付けとここで作っていくセンサーなりプラットフォームなりがどのように仕分けられているのかというのは、明確にしなくてはならないと思うし、JOGMECがやっていることを同じようにできますよというのでは、あまり文科省としてやりようがないのではないかなと。センサー開発においてもそのプラットフォームの開発においても然りなわけですね。ですので、一つはJOGMECが何をやっているのかというのはあまりよく知らないというのがあって、やっていることが公になっていないというか秘密で先ほど副大臣は協力し合うとおっしゃったけど、非常に秘密な部分もたくさんあるしナショナルセキュリティーの問題もあるし、そこはとても難しいなと。ですが、これは海底資源をターゲットにした時に、そのプラットフォームとセンサー、センサーはよく我々は開発をするという、個々の分野で開発するのですが、プラットフォームをどういうふうに使っていくかということはよく調べておかないと、プラットフォームに何を作っていけばいいかがわからないようになると。JOGMECのプログラムの中ではROVはあるけれども、AUVは導入されるような計画になっていないと思っているのですけれども、それは私の理解は当面はベヨネーズと伊是名海穴を攻めて、そこの鉱量を調べることに力を入れるというようなことになっている。そうするとそこではいろいろなことがなされるのではないかなと思うのですが、それ以外のところは、JOGMECは一体何を考えて、経産省が何を考えているのかと。
 ここで平さんの受け売りですが、今私がお配りした、この2枚目のパワーポイントで、上下2枚で書いてあるところですけれども、そこの下のところに未知の「ギガ鉱床発見」というのを書いてあるのですが、これは平朝彦委員のお考えなのですが、この何兆トンという鉱床、このようなものを探したりするというのは、非常に科学的には楽しそうなのですが、仕分けがあるわけですけれども、そこの仕分けで何がいいというか。例えばJOGMECがやっていることと同じようなことをやってもしょうがないと。それを超える新しいプログラムを作っていくのが我々の使命だし、そのための基盤技術を作っていかなければならないということです。

【浦辺主査】 久保田補佐ちょっとお願いします。

【久保田課長補佐】 資源エネルギー庁鉱物資源課の久保田です。現在、私ども「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」に基づき、海底熱水鉱床について10年計画で商業化を目指すというプログラムを進めております。
 文科省が今回やられる技術実証では、新しいセンサーで海底下の3次元地下構造の把握を目指すことについては、とても期待しています。これは浦先生の質問に答えると、この技術は我々にないということでございます。センサーで把握出来た海底下地下構造の探査技術というものに対しては経済産業省としても、現在JOGMECが保有しているボーリングデータなり探査データなりとの照合も含めて、全面的に支援協力したいと思っています。
 ただし一つの懸念と言いますか注意点があるのは、資源エネルギー庁とJOGMECがやっているものというのは、資源エネルギー安全保障上の問題で、安易にこのようなところで得られた、特に資源エネルギーに関する情報が安易に出てしまうと、それは具体的には品位の情報だったり、位置情報だったり、あるいは資源量を想定させるような情報に成りますが、こういうものを上手くある程度コントロールする必要があります。一方では国民に対してこういう成果が出ていますよという、バランスを考慮して情報公開については検討していかないと、どこかで大きな政治問題化して、先ほど副大臣が言われた中長期的にプログラムを進めて行く、あるいは中長期的に進めるということは予算を獲得することに大きな制約にならないような、最終的に国益を損なうことのないような形で連携をしていきたいと思っています。
 その意味では浦先生の質問の答えにならえば、海底下構造の3次元構造については、陸上においては、例えば電磁探査である程度どこを掘ったらいいのか、どこをボーリングしたらいいのかというのは、事前にある程度把握できてやるのですが、海についてはそれがまだできていない状態でございます。したがって、広い海である程度目星を付けるという意味では、是非、現在、JOGMECが持っているボーリングデータ、資源データとの照合をしてできるだけ早く実用化と言いますか、海底地下構造の3次元把握の実用化に貢献したい。また、あるいは7割、8割程度実証ができた段階で、即座に海洋での他の広域プログラム、広域探査プログラムと一緒に合わせて、平行同時にこういうものも先行的にJOGMECの船もしくはその環境のプロジェクトと同じように、JOGMEC、JAMSTECと協力をしながら、この技術を先行して使っていきたいと思っております。

【浦辺主査】 今大変協力的なお話がありまして、資源量そのものはともかくなかなか公表するのに慎重でなければいけないということですけれども、資源エネルギー庁としては例えば、センサーを利用していろいろなことをやる時に、ボーリングデータ等はその公開、その人に対しては公開するというお話があったと思います。
 それで特に資源エネルギー庁の方では海底の下、海底面下の資源量の把握に興味を持っておられるというお話でして、ちょうどセンサーはほとんどのものがそのような目的で、今作られようとしているわけですから、非常に目的としては相互補完的かなと思います。
 センサーに関しては、名前が示すとおりセンサーで、それをいろいろなものに実装してテストをする。これが第一段階というか第二段階になります。センサーを開発し実装する。それが本当に使えるものなのか、海底の情報が得られるのかというテストをする必要がありますけれども、そのテストフィールドとしては、多分そのようなボーリングのデータがある場所、JOGMECがやっているところが最適だと思うのですが、それについてはそのようなところを解放すると言ったらおかしいですけれども、その先ほどのボーリングのデータを見せるというところを来てもらってやってもいいというそういうことになるのでしょうか。久保田さん。

【久保田課長補佐】 1点修正をさせていただきたいなと。今のご質問に対する回答でございます。資源エネルギー庁なりJOGMECが持っているデータを一般公開するとは申しあげてございません。これは冒頭に申した資源エネルギー安全保障上の問題です。したがって実証段階に必要なデータの照合なりそのようなものについては、ある程度機微な情報、センシティブな情報だというのを分かった上で、何らかの分析のタイミングで、例えばJOGMECとJAMSTECがいわゆる共同で分析するとか、貴重な、センシティブなデータが外に出ないという条件の基に、実証に対しての貢献をすることは可能ですというのが1点修正でございます。
 それから今のご質問に対しては、いわゆる海域、議論の2.の先ほど鈴木補佐からも言われたようにどこの海域をやるのか、2.議論の内容(2)になると思いますが、これは冒頭資源エネルギー安全保障上というお話をしましたが、実は具体的にどこをやりますという場所が、安易に公開されてしまうと、例えばJAMSTECのホームページに具体的にこのエリアとこのエリアをやりますと、当然その背景にはJOGMECのデータがあり、JOGMECがやりたいエリアになり、それは対外的あるいはマスコミ、プレスの側から見れば、資源探査の優先順位として見てとれる可能性があります。
 したがって、安易にどこの海域をやりますというのを詳細な具体的な場所が出てしまうと、それは将来の資源エネルギー開発上とても問題になる可能性があるので、そこはある程度考慮していただいて、ある程度広い範囲で、例えば沖縄、伊豆から小笠原にかけて、あるいは南鳥島周辺にかけてのような、あまり限定されない、あるいは既に今出ている情報の範囲内で情報をある程度コントロールしていただいて、内部ではしっかりと細かいエリアで具体的に、浦先生ご指摘の、まさに目的をもってどこのエリアをどのような資源の探査加速のために使うのかということを持ってやっていただきたいというのが、資源エネルギー庁の要望でございます。

【浦辺主査】 では浦さん。

【浦委員】 よくわかりましたが、一つお願いがあるのは基盤ツールで、いろいろ新しいセンサーの開発をしている。かなり上手く私どもがやっているコバルトの計測装置だとか音響装置、あるいは化学センサーもかなりいいものができていて、具体的には文科省の方のAUVなりROVもですが、そこはJAMSTECのシップタイムと、それからビークルの関係で限りがあると。実際に活用できるような状況になっているものをJOGMECなり経産省が積極的に使っていって、要するに我々が1号機を作っているだけだからこれは使えますねと。それでは経産省の方で自分たちの観測にこれを使うからさらに良くしていこうというような協力体制と言うのですか。似たようなものをアメリカから買ってくればいいということではなくて、日本発の技術を現場でより良くしていくという努力ができれば、とても素晴らしいと思っているのですけれども。

【久保田課長補佐】 今の浦先生からご指摘があったとおりです。具体的にはJOGMEC、JAMSTECの技術陣が、常に今まで以上に、今までも実は環境分野なりいろいろなところで協力をさせていただいていまして、これは文科省と経産省の連携、省庁連携にもなるのですが、資源探査分野においても今、浦先生のご指摘のような協力をやって、より次の世代として新しいものを作って行こうということに対して異論はございません。

【浦辺主査】 この分野に関してはそのようなセンサー技術の実証ということを話しました。その次の段階ではもう少し先の2次元探査ですね。面をカバー有望な地域を探していくということに関しては、数年前に海上保安庁の海洋情報部の方で沖縄の地形、精密な地形調査をやられて有望地域というのを出されて、そこで何回か、その後科学的な調査が行われて、それが一つ熱水の発見につながったという、非常に連携としては上手くいった。これはJAMSTECの船を使って見つけたわけですけれども、このようなことがあったわけですが、冨山さん何か。

【冨山課長補佐】 海上保安庁でございます。海上保安庁はご承知のとおり海図を作成するということで大変昔から海洋調査をやっておりまして、特に地形なのですけれども、海域の基本的な地図を作るということが重要なミッションで、基盤情報を整備するというのが我々の仕事だと思っています。そういった中で、大陸棚調査でかなり頑張って調査をいたしまして、データの整理が進んだ部分もあるのですが、まだ日本の周辺海域につきましてはデータがない。基礎的なデータがないところがあるということで、平成20年度から空白域を中心に、地形、地下構造の調査というのをやっています。そういった中で、目的はそういうことなのですが、資源探査開発の方にも役立つようなデータが得られると思っておりますので、そういう部分につきまして、是非我々のデータをしっかりと使っていただくということが、連携の第一歩かなと思っております。

【浦辺主査】 海上保安庁の方もプラットフォームの整備というのを進められていると思うのですけれども。

【冨山課長補佐】 はい。現在までは海上保安庁測量船というもので、海面から地形なり、地質を調べるというようなことをやっていましたけれども、平成23年度予算に自律型航行AUVの整備ということで予算を計上しておりまして、こちら認められましたら、平成25年度から、特にこれは地形調査、精密な海底の地形調査を、深海でもできるようにするということをターゲットにしておりますけれども、それが25年度から動くということです。

【浦辺主査】 ありがとうございました。それではまだご発言されていない阿部さん、その他委員の方、何かコメントいただければと思います。

【阿部委員】 阿部です。私は鉱山会社で海の中の鉱山はまだまったくありませんけれども、陸上の鉱山で鉱床、鉱脈の評価という、掘れるか掘れないか、経済性はどうなのかというようなことを専門にやっております。
 いろいろ今お話を聞かせていただきましたけれども、流れとしてはいいのかなと。まずはやることは確かにセンサーのケイパビリティをきちんと既知鉱床の上で確かめていただきたい。それで、そのセンサーの能力が証明されたならば、今度はそれを先ほど冨山さんがおっしゃいました有望なところに持って行って、今度は探していただきたい。なかなか容易なことではないとは思っています。ただ、流れとしてはそのようになるのが筋だろうなと。闇雲に何もわからないところへ行って探しましょうということにはならないはずですから。
 それで一つ冨山さんに質問があるのですけれども、海底の地形というのはどれくらいの精度でやるのでしょうか。かなり精密とおっしゃいましても、この海底の熱水型の場合には、かなりのものの細かいレゾリューションが必要だろうなと感じるのですけれども、大雑把でいいですからどれくらいのスケールでやられるのでしょうか。

【冨山課長補佐】 海上保安庁でございまして、この場に来てあれですが、資源の探査ということを直接の目的にはしておりません。船上からの調査ですと、例えば沖縄ですと2,000メートル以上の水深がございますので、非常にぼやっとした地形しかわからないということもありまして、基盤情報としてもより詳細なものということで、今想定しておりますのは、50メートルの高さで運航した場合に2メートル以下の分解能というようなもので、比較的広い範囲についてそこそこ精度のいい地形データを取るということをターゲットにしています。

【阿部委員】 ありがとうございました。要望なのですけれども、やはり省庁間でしっかりと連携してやっていただきたいというのが、私民間ですからやはり税金の有効な使い方ということを頭に置いた場合には、しっかり連携してやっていただきたいというのが私の意見です。以上です。

【浦辺主査】 ありがとうございます。今その省庁間の連携ということが出ましたけれども、総合海洋政策本部事務局の方で参事官の方から何か、谷さんか鈴木さんか。

【鈴木参事官】 総合海洋政策本部事務局の鈴木と申します。先ほどから省庁の連携の話が出ておりますけれども、ボーリングデータとセンサーのデータのつきあわせや、データの面での協力に加え、先ほど海上保安庁の方から紹介がありました既存の船や、AUVも今後整備していくということでプラットフォームの側面での協力といった側面もあろうかと思います。
 そのような意味で、ここの2.の(1)のマル3の探査システムと言った場合にJAMSTECがおそらく中心になると思うのですけれども、関係の省庁ですとか関係の省庁が所管している法人ですとか、またさらに大学の協力の可能性ということもあろうかと思います。そういった意味で探査システムと言った場合に少し広めに対象をとらえて、それぞれの機関が、今現在どのような能力のものをどの程度持っているのか、今後どのような形で整備する予定なのかといったものを、しっかりテーブルに出して、そういったものを踏まえて議論を進めていっていただければと。ともすれば、JAMSTECの現在保有している、今後保有するというものに限って議論がなされがちで、少し視界が狭くなりがちだと思うので、少し広めに見ていただいてこの探査システム全体をどういった連携のもとで運用、開発していくのかというご議論をいただければと思っています。

【浦辺主査】 磯﨑委員。

【磯﨑委員】 今おっしゃるとおりで、私どももどうも、自分たちの狭い範囲に入っているつもりはないのですが、個別的には先ほど久保田課長補佐がおっしゃいましたように、JOGMECとは実フィールドで環境の問題とか、個々にやっています。もちろん大学との連携も、私どものフリートを使って公募ということで、いろいろな形でやっていただいていて、それぞれの個々の部分では連携はあると思うのですが、ただ、いかんせんあるストーリーというかストラテジーを持って、ではどう連携していきましょうというのは、残念ながらまだありません。私たちも自分たちの船を動かすことで必死なので、その意味ではこれを契機にというと変ですけれども、やはり少しこういったことを、やはり全体でこのような方向で、それぞれの連携をやっていきましょうという、連携に対する方針みたいなものを立てていく。私たちだけではありませんけれども、ということを議論していくといいのかなと思っております。

【浦辺主査】 そうですね。今このように、パーツといったら変ですけれども、このような情報、あのような情報と、今いくつか話が出て来て、それが結構いろいろ出揃って来た中で、先ほど副大臣がおっしゃったような中長期的な見通しの中では、やはり国の考え方でどのようにしてやっていくのかということが、非常に必要だという気がしますけれども、この点はいかがでしょうか。谷参事官。

【谷参事官】 政府にはいくつかの基本計画がございまして、それに沿って何をしていくかということを考えていくわけです。それぞれの計画の中で、各省庁は一生懸命やっておられます。海底資源関係に関して例えますと、一般的な海底地形の調査は海上保安庁がやっていますし、探査ツールやあるいは詳細な海底地形の調査は文科省がやっておられる。資源探査の最後の仕上げに必要な調査は資源エネルギー庁、JOGMECでやっておられる。こう見るとちゃんと役割分担ができていていいのですが、外から見ると、縦割りで、それぞれどちらを向いているのか判らん、というようなことがあるのかもしれません。どちらに向いているか、向いている方向は明らかです。冒頭副大臣のお話にもありましたように、資源の力がなければ外交交渉もできないよということがございます。何のためにやっているか、ということは常に考えていなければいけません。
 そういった、我が国の海洋が持っているポテンシャルは何か、日本は何をするべきか、という観点に立って必要な調整をするために、私の居ります内閣官房があるのだと思っております。ちょっと昔話になりますけれども、2009年5月までに国連に大陸棚の延長の申請をしなければならない、ということがありました。そこで海上保安庁が申請のために必要な調査をしていたのですが、それまで計画していた調査ではとても質・量ともに足りない、ということがわかりました。必要な調査を期日までに完了させることは海上保安庁だけではとてもできない。そこで内閣官房が何をしたかと申しますと、JOGMEC、JAMSTEC、あるいは防衛省といった調査能力のある機関が力を合わせ、政府一丸となって間に合わせようということです。ところがそれぞれの機関には、それぞれ予算の問題や、そもそも設置目的が、というような制約、また、既存の仕事があって、というような問題がありまして、明日からみんな大陸棚調査をやりなさい、というわけにはいかない。それで、どうするかということを内閣官房が取りまとめしました。まず、これからの4年間で、いつまでにどういう調査をしないといけないか、を検討し、次いで、大陸棚調査のために各機関、各省庁は何ができますかというご相談をし、それぞれの設置法の範囲でこれができる、これができるということを整理してもらいました。すると、隙間もあるしオーバーラップもあります。それをどうするかというところの調整が必要だったのですけれども、結果的に隙間がなくオーバーラップもない、しかもそれぞれの機関が胸を張って「私の仕事です」と言える状態を実現できまして、あとは皆さんに一生懸命仕事をしていただき、期限までに立派な調査が完了した、ということがございました。いつも同じようにできるかどうかはわかりませんけれども、一つの良い先行事例だと思っています。
 ですので、資源についてどう進めていきたいか、その中で各機関にどういう機能があって、各機関の中でどういう調整をするか、また各機関相互間の調整、さらにはもっと大きなポリシーのところでの調整ということについて、この分科会でいろんなご検討がされると思いますが、各省レベルの調整の世界となると、私どもの方でお引き取りをして、必要な調整をさせていただくんだ、と思っています。 

【浦辺主査】 今のだいたいそのような方向を国民の皆さんと言いますか、皆さんも望んでおられると思うのですけれども寺島さん、瀧澤さんどういうお考えでしょうか。寺島さん。

【寺島委員】 今非常に何と言いますか、いい方向で話が来ているのではないかと思いますけれども、私、海洋の問題に取り組むという場合には、私どもやはりまずは正確にどうなっているかということを把握するというところが非常に大事で、陸上と違って、海のことについてはまだまだ調査が十分行き届いていない。したがって、科学的なデータも十分でないというところで、そこをどうするのかということが非常に大きな問題だと思うのです。各省庁をはじめ、あるいはJAMSTEC、JOGMEC、それぞれこの分野で一生懸命やっていると思いますが、やはり一つの目的が明確になって来たときには、総合的に何ができるかといったところを、戦略を立ててやる必要があるのではないか考えていまして、海洋調査全般についても、我が国としての海洋調査戦略が必要ではないかと、ちょっと申し上げているのですけれども。例えばそこまでいかなくても、今回のようなケースに関しては、やはり海洋本部の方でリーダーシップを取っていただいて、国としての戦略を立てて臨むということをやっていただきたいなと思っています。

【瀧澤委員】 瀧澤でございます。私も今寺島委員がご発言なさった内容にだいぶ重なるのですけれども、先ほど資源エネルギー庁の久保田さんからお話がありましたように、機微情報をどうしても扱わなければならないということですが、やはり政府としてのリーダーシップというものが非常に重要で、その中の一つの役割分担として、この科学の先端でやられている先生方がどのような力を発揮していくのかということを明確に示していただきたいと思います。
 それで、今実用化ということが非常に叫ばれていまして、その中で敢えて申し上げるのですけれども、研究というのは常に発見や環境保全という視点も重要で、皆さん本当に重々認識されていることで申し訳ないのですけれども、今日何か発言をというお話だったので、ちょっとお話をするのですけれども、近代科学の出発点というふうに未だに言われております19世紀の英国のチャレンジャー号、3年半で全世界を航海したのですけれども、その時非常に科学的成果もありましたが、その背景にはやはり、政治的な自然科学の実用性というものを重要視されるという盛り上がりがありまして、海底ケーブルの敷設ですとか、そういった実用的な必要性もあって、あのような大規模な探査が行われたと言われています。
 今中国など新聞報道によりますと、海底資源に非常に強い興味を示しているということですけれども、こういった日本の今のような活動が、国際社会にも非常に理解されるメッセージとして伝わるためにも、日本がこの探査を通じて環境保全とか、成因論を含めた新しい科学的発見につながるような技術開発をしていただきたいと思っております。以上です。

【浦辺主査】 ありがとうございます。鈴木委員、何かございますか?

【鈴木委員】 今、センサーの話から段々こんなところへ来てしまったようでございますけれども、皆さんのお話をうかがって、久保田さんがおっしゃった国にとって必要な情報というものを、いかにきちんと管理するかということ。これからその辺の問題が大変シビアになっていくのではないかと思いますけれども、各省庁、各研究機関が、この問題についてきちんと認識をして、何かコードを作るということにはならないかもしれませんけれども、この仕事に携わっていかなければいけないのではないかなということを痛感しました。

【浦辺主査】 ありがとうございます。

(2) 資源探査用自律型無人探査機の仕様について

【浦辺主査】まだまだ議論は尽きないと思いますけれども、今センサーから、ずっと話が広がってきましたけれども、センサーそのものについてどのような仕様を考えておられるのか、ちょっと事務局の方からお話をお伺いして、それでまた次の議論につなげていければと思います。もともとこの委員会は、このセンサー開発だったわけですけれども。では説明よろしくお願いします。

 【川口企画調査係長】 事務局の川口でございます。よろしくお願いいたします。資料3-1というものをご覧いただきながらご説明をしたいと思います。
 まず委員の皆様は既にご案内かと思いますが、おさらいがてらご説明いたします。まず「海洋資源の利用促進に向けた基盤ツール開発プログラム」という事業で、センサーの開発を実施してございます。施策の概要としては、大学等が有する基盤的な研究や要素技術を核として、海洋資源の有効活用技術を開発するということを、競争的資金として実施をしているところでございます。海洋資源の発見、分布やどのくらいの資源量があるのかということが把握できるようなセンサーということで、海水の化学成分であるとか、海底の地形、海底の下の構造、先ほど資源エネルギー庁の方から大変期待をしているというお言葉を頂戴しましたけれども、などの探査に用いるセンサー等を開発するものを、20年度から実施をしてございます。来年度23年度からは海洋生物資源の部分と一緒になりまして、先ほど資料1の説明でも出てまいりましたが、若干名前が変わりまして、「海洋資源利用促進技術開発プログラム」の一部「海洋鉱物資源探査技術高度化」という形で実施をするということを予定してございます。
 現在研究開発中の課題といたしましては、20年度採択分4課題、海底地形や海水の化学成分、あるいは電磁的な探査の技術、音響による今まで難しいとされておりましたコバルトリッチクラストの厚みを測ると、このようなものをやってございました。これは20年度から22年度まで3年間が第1期、23年度、24年度が第2期という二つに分かれてございまして、本年度は第1期最終年度でございますので、この後中間評価を実施いたしまして、この4課題、第2期の実証の部分になりますが、これに移行できるかどうかというところの判断をしたいと考えているところでございます。
 平成21年度の採択の部分に関しましてはちょっと課題が多いですので細かくは説明いたしませんが、16課題ほど採択をいたしまして、昨年度末結果を評価いたしまして、研究を継続する課題として6つに絞りこんでいるところでございます。
 ページをめくっていただきまして次、これまでにいくつか成果が出てございます。既に特許を出願するような技術となっているものが2件ございます。
 さらに実際に海の中で試してみたところ、実際に使えたというものがいくつか出てございます。下の段の左側にございますのが化学成分のセンサーを使いまして海底を調べたというところ、先ほど議論にも出てまいりましたけれども、保安庁で調べられたようなところを実際に調べてみましたら化学成分の異常があったというところで、実際潜って見てみると果たして熱水活動が発見されたということがございます。次右側でございますが、これは今まで難しいとはされていたのですが、音響センサーを使ってコバルトリッチクラストの厚みの計測というものに成功をしたところでございます。これに関しましては、実は資料の一番最後のところに、東京大学生産技術研究所浦研究室「基盤ツール課題にてコバルトリッチクラストの厚さの非接触計測技術の開発に成功」という文言のものも付けてございますので、ご覧いただければと思っております。
 実際このセンサーがプラットフォームに載るのかというところが、目下この委員会としては大事なところになってくるかと思いますので、今後この後ご議論いただきますAUVの仕様等にも随分と影響を及ぼしてくると思いますので、1枚の紙にまとめてございます。委員の皆様方にはお手元にこのような表にした資料、細かい資料もございますが、大まかにまとめたものがこの資料3-1の3ページ目でございまして、それぞれのセンサーの特性というものを記述してございます。
 音響センサーに関しましては、海底下の構造であるとか海底地形を精密に調べるというものでございまして、探査機に載せる上では、現在のところはやや重たいものであると。あるいはサイズが大きいと。あるいは電気をそれなりに使ってしまうというところがございます。探査機側の設計としては、音でものを探すわけでございますから、雑音が入ると当然よろしくないということで、音響ノイズはできるだけ抑えていただきたいということ。
 電磁探査のセンサーにつきましてはこれが鉱石、いわゆる金属鉱物ですので、電気や磁気に反応するという性質を使ってございまして、これで海底下の構造を調べようというものでございますが、電気や磁気で調べるということは、海中に電流を流さないと、あるいは磁気を発生させないといけませんので、非常に大きな電力を使ってしまうというところでございます。先ほどの音響にも似てございますが、電気や磁気で調べるからには、モーターで余計な電気が漏れる、磁気が漏れる、そういったことをやめてほしいというところでございます。
 さらに重力の部分ですが金属鉱物、やはり周りの基盤岩より重たいという性質がございますので、重力の大きさを精密に調べますとわかるというところでございます。これはどのようなものかと申しますと、やはり消費電力というものが大きくなってくるということと、重力の大きさを測るという上では、探査機自体が揺れるということを非常に嫌うということですので、できるだけ揺れない探査機が必要であるということでございます。
 その隣、化学に関しましては、海底熱水鉱床というものは平たく言うと海底温泉ですので、海水の成分も変わって来るということです。これはサイズも比較的小さくてものも軽いのですけれども、ただ化学成分を見るという関係上どうしてもタイムラグというものが生じてまいりますので、例えば1回の分析のワンサイクルに10分かかるところを、探査機3ノットで行くと1か所を測る間に0.5ノーティカルくらい進んでしまうというようなことで、どこを測っているか分からなくなるようなこともあり得るというところが、ちょっと気を付けなければならないという部分でございます。
 下の段に行きますとこれは、AUVへの搭載は現在のところはあまり想定されていない部分ではございますが、破壊分光。これは強力なレーザーを使いまして、ちょっと量子論的な話になるのですけれども、光のスペクトル解析をやって、実際の海底の試料にどのようなものが含まれているかというものを調べるというものでございます。これは例えば埋まっているものであると、それに穴をあけてきれいな表面で測らなければいけないと、そのようなところもございますので、それなりの能力が必要で、おそらくROVが適当だろうと考えているところです。
 地震波や画像の部分に関しましては、これは船から吊り下げて下ろす、あるいは極めて重たいものを扱うようなROVのようなものが出て来て活躍する場面もあろうかと思いますが、今回の場合は、後ほど出て来る議論がAUVですので、詳しいご説明は割愛したいと考えております。私の方からは以上でございます。

 【浦辺主査】 どうもありがとうございました。大変このセンサーは多様で、ほぼ必要なものをカバーしていてどれも捨てがたいものだと思います。このようなものが非常に進んでいるものも、それからまだ開発中のものもあると思いますけれども、これについてはこのセンサー開発のプログラム・ディレクターをしてくださっている竹内先生が、非常に細かく足を運んでくださって進捗を管理してくださっています。竹内先生から何かご発言、追加の説明ございますでしょうか。

 【竹内技術参与】 竹内ですけれども、まずセンサー開発におきましてプラットフォームに載せて共通的なものとしまして、いずれもその位置測定、地形測定というものは重要になってきています。センサーによっては、センチメートルのオーダーの精度が欲しいというものがあります。それから場合によっては1メートルでもいいというものもあります。これらはまず共通的な要素として求められています。
 この中の音響のセンサーの方で海底地形と高度、位置測定という開発項目もありまして、数センチメートルのオーダーで測定できるとしています。ところが、これ自身が200キログラムくらいの重量になります。ですから、AUVに装備する場合に、これを使ってさらに他のセンサーを載せるということが可能になるかどうかという問題が当然起こってくると思います。重量の問題が、AUVを考える上で重要になります。いずれにしても、その位置測定、地形測定というのは、センサーを運用する上で非常に重要な要素になっていますので注意しなければならないと思います。

 【浦辺主査】 ありがとうございました。結局今、重量のことが随分出てまいりました。この重量や位置決め、地形の微妙な測定ということが、それぞれのセンサーで重要ということでしたけれども、これを載せるAUVがどのような仕様を持つべきかということが、今日の議事の2番目です。資源探査用自律型無人探査機の仕様についてということで、これはJAMSTECで吉田さんが検討しておられる。これを皆さんで話を聞いて検討していただきたいという2番目の議題になります。では説明をよろしくお願いいたします。

 【吉田グループリーダー】 JAMSTECの吉田です。よろしくお願いします。皆様の前でAUVの話をさせていただくのはこれで二度目だと思いますけれども、今日は改めて資源探査専用として開発させていただくAUVの仕様について概要を説明させていただき、皆様からその概要に基づきまして、いろいろなコメントを頂戴したいと思っております。一応エンジニアの立場から、現時点で少々難しいと思われるところに関しては、素直にそれは難しいですと言わせていただくつもりでございますので、皆様遠慮なさらずいろいろご指摘ください。
 それではお手元の資料3-2を開いていただきまして、「資源探査用自律型無人探査機の開発(案)」2ページをご覧ください。本探査機は資源探査利用で、現在既にこれで開発を初めて3機目になりますので、複数機運用をまさに念頭に置いた開発ということを行っていきたいと思います。また、資源探査に特化した新機能を盛り込んだAUVとしております。ターゲットはもちろん、資源探査でございます。開発コンセプト、これは前回のJSPSのものも同じ、より使いやすいビークルということで、多くの船舶で運用が可能ということは当然盛り込みます。また先ほどから先生方から出ておりますセンサーに関して、センサーオリエンティッドということで、基盤ツールや新規開発センサーのプラットフォームとして、フレキシブルに利用できるように考えております。そして「資源探査に特化したAUV」です。
 今回の技術ポイントですけれども、インターフェロメトリまたは合成開口ソナーを搭載して高解像度マッピングを行う。鉱床を探査するための制御ソフトウエアということで、特に後ほど出てきますが、浦先生のアドバイスもありまして、サンライズ鉱床をターゲットに入れまして、そこで運用するためのステップを考えていくということにしています。また、ペイロード容量を、前回のJSPSでは小さかったのですが、今回は確保して多くのセンサーに柔軟に対応しようということを考えております。
 それではさらにめくっていただきまして、3ページで具体的な仕様(案)ということで、非常に概要ではございますが記述させていただきました。まず最大潜航深度は3,000ということで、前回とほぼ同じにさせていただいています。現在までに国内で鉱床が見つかっているところの水深から考えますと十分と考えています。
 最大速力は3ノット以上。
 機体サイズなのですが、今回これを5メートル以下ということで、前回ちょっとご覧になっていない先生方には失礼ですけれども、前回に比べて1メートル長くさせていただいております。
 連続航行時間は8時間以上でございます。
 航行センサーは国内産のINS、それからDVL、深度計、高度計、方位計、そして航行を予測してできる前方障害物探査センサーを搭載いたします。
 最も興味があると思われます観測センサーについては、標準搭載として塩分濃度、温度、深度を測るCTD、それから一般的に鉱床等の存在を確認するために濁度計やpHセンサーを搭載いたします。次にオプション搭載と書いてありますが、これは目的別積替え式ということで、インターフェロメトリまたは合成開口ソナーまたはサブボトムプロファイラを目的別に積み替えていく形にいたします。
 ユーザー拡張領域は前回の30キログラムに比べて大幅に増やしまして100キログラムといたしました。
 その他音響通信、測位、音響通信機能を持っておりまして、潜航中のAUVのモニタリングは母船からできるようにしております。測位は船から簡便に行えるSSBL、それから海底にトランスポンダをうちまして、精度の高いメートル程度の誤差で済むVLBLという方式を使います。
 またビークル自体は低音響雑音、低電磁雑音で設計させていただきます。
 先ほど申し上げた運動性能として、サンライズ鉱床での運動を目指すということで、運動性能を今回新たに設けさせていただきまして、4ページ目に記述しております。基本運動、船首方位制御というのは、ビークルの向きをいつも同じ方へ向けるという意味でございます。ただしこの場合は、流れがあると目標が変わっていきます。方位角をキープいたしますので。それから針路制御、これは、方位は関係なくある方向、例えば南南西に向けて走っていく、ただし方位は北かもしれません。そのように走って行くことを針路制御といいます。こういった水平面内。それから垂直面内には深度制御と高度制御、ここで言う深度というのは海面からビークルの位置までの深さの距離ですけれども、高度制御というのは海底面からの音響の計測による高さでございますので、海底起伏が激しければ、基本的にはそのとおりにビークルが動いて行くということになります。ただし、あまりにもセンチなところ、細かい起伏はもちろん対応できません。
 また、ここに書いておりませんが、航路制御というものを当然取り入れていまして、ユーザーが予め指定した航路に沿って走っていくということもあります。それが結局次に書いてある観測制御ということで、シナリオによる3次元航行ということで、ユーザーが3次元的にどのような方法で海中を走っていくか、どのようなミッションを行ってくるかというプログラミングができるというものでございます。ここに特に特化しているのが、特別に配慮したのはサンライズ鉱床の観測が可能な制御ということで、現在例えば、「うらしま」等はマウンドを越えた時に急激な変化がありますと、高度計の値がいきなり飛んでしまって予測ができませんので、そのまま制御状態が不安定になることがありますけれども、そのような変化に対して追従して走って行く制御を行うということを考えております。
 次に書いてある最低可制御速度2ノット以下というのは、実際には1ノット台を目指そうとしていますが、今回特にソナーによる観測を考えておりますので、ビークルはそれほど低速で走らないということは、ラダーによる制御ができると。そのラダーによる制御の最低速度をここで2ノット以下とさせていただいております。ラダーの方が安定して走ることができるのですが、ただし低速になりますと今度は何もできない。例えば、水平スラスターがなければその場回頭は無理ということにはなりますが、とにかく走ってソナーで見ようということに特化させています。
 最低可制御高度、これは高度10メートルまでは先ほど申したように高度制御ができるというような形にいたします。したがって、一番近い状態でソナーによる観測を行った場合は、10メートルでの観測ができます。ただし、サンライズ鉱床などの論文や計測データを見させていただきますと、15メートル程度のチムニーが乱立したりしておりますので、そのようなところでの10メートル制御はちょっと、例えば2ノットで走っていくのは難しいと考えております。したがって、可制御高度10メートルというは、突起物があまりないところという条件を付けさせていただきました。この高度の制御精度ですが、搭載ソナーのデータに影響を与えない精度とさせていただきます。
 それから最小旋回半径も前回は15メートルと書かせていただいたのですが、今回はソナーのスワス幅と同等というふうな記述にさせていただきました。
 それから、今回サンライズ鉱床なのですけれども、最大だいたい30度程度、切り立った真っ直ぐな壁もあるそうなのですがそれはさすがにAUVでは無理ということで、概ね最大30度登り下りがあるということで、そこをなめていくことができる性能ということを考えております。
 ここに書いてあるのはほんの一部なのですけれども、基本的にこのようなことを考えて、我々が実際に鉱床で使えるAUVの制御をしようとして規定しております。簡単ではございますが。

【浦辺主査】 ありがとうございました。大変に前回のものに比べて良く検討して、合目的的になっているという部分で感心をしました。これについてちょっとご意見を皆さんこれで良いかということでご意見をお伺いしたいのですが、いかがでしょうか。浦さんは何か言いたいことがありますか。

【浦委員】 実は今日お配りした1枚ものの紙に新たにお配りしたのは、この今やっているJSPSのAUVどう考えているのかというわけですけれども、同じような規模のものも2つ作って、それからJSPSの予算では作業型というものを作るというのが平さんの意見で決まったと。かつ「うらしま」があって、先ほどちょっと申しましたが、平さんがギガ鉱床を発見するのに力を入れたいと、それが非常に大きなものを載せて発進するのですけれども、そのようなバウンダリ条件と、それから先ほどの例えばベヨネーズの白嶺鉱床等の、JOGMECが掘ったところをサーベイすれば、この道具を使ってどのようなことがわかるかということもわかるのですね。
 その時に同じようなものを同じように作って、とするよりは、いろいろなセンサーもあるし、それから機動性等があるから、ある程度これはこれができて、あちらはあれができると。何でもできるという、汎用と我々が言うのですが、汎用ばかり作っていてもしょうがないというところがあって、それぞれの性質がある程度見通しを付けてやることを考えていくということが、非常に重要ではないかなと思っています。
 この絵を下の方のように作っていたわけですけれども、これはもう年次計画といってどこを観測するとか入れているのですが、私が考えていたのは、JSPSは意外と汎用になっているのではないかと思っていて、いろいろなアプリケーションは観測しなければならないということかなと。
 補正で議論しているのは、とにかく熱水地帯の観測だろうということで、熱水地帯の観測をなぜやるかというと、基盤ツールでやっているインターフェロメトリなり合成開口を載せて、それで詳細な地形データを計測するのがまずプライマリーミッションだと。このプライマリーミッションをクリアさせるために作れば、ではJSPSの一番上の方のものがそれを載せなくてもいいのかなというようなことも考えられるわけですね。それによってスペックが違ってくると思うのです。
 それから平さんのギガ鉱床を発見するのはその大きいやつでやらないと当然無理ということなので、それを下の方に書いてあるというわけです。
 それがミッションを切り分けていくためで、今、吉田さんがおっしゃったのはこの補正のところの2番目のものはこのようなものなので、この後何をするか僕が勝手に書いているので申し訳ないのですが、完成するのは2012年度で、その後はすぐサンライズ鉱床調査、これ重要なのは完成の前のところには試験と書いてあって、その後に調査と書いてあるのが重要です。つまり、ロボットの試験をしていろいろなことができませんということではだめなので、すぐに完成したら調査をしようというスタイルでやって、そのミッションを設定すればいいかなということで申し上げてきたのです。
 もっと予算がさらに付いてもう2台くらい作るとなると、またこれをフリート構成を考えていろいろするのですが当面はこういうことかなと。13年度くらいまでは。という線を引いてみてはどうかと。これに基づいて、今の補正のものを考えるというようなほうがいいのではないかということを考えています。
 それからもう一つは重要なのは、このAUVと今、吉田さんが説明されたのは資源探査用自律型と書いてあるのですが、このだいたい海中機器を作っていく時に、「自律型というものは何か」ということを考えなければいけないと。自律型のスペックを書くのはとても難しい。私も造船屋なのですけれども、船を作るのはハードウエアといろいろ装置を乗っける。船は船長が乗っているので、造船設計をする時に船長設計はしません。誰かが船長を連れて来て、有能な船長が操船をするわけです。ところがAUVというものは、自律型で船長が頭の中に入っているわけですね。船長がこのようなことができますよ、このようなことをやりますよというスペックを書かないと、それは自律型ではなくて単なる無索の潜水機です。自律型にするためには、この自律型の中に船長が一体何なのか、非常に重要なのはどんな仕事をするかですね。何の仕事をするか、鈴木さんもその船長さんの仲間でしょうから、仕事がはっきりしないとはなんなのか。要するに来島海峡を通る、通らないの技量があるのかというようなことなのですが、そこはとても難しい。その定義をいちいち書くのは大変です、実は。船長の技量を。そこで何を私が提案したいかというと、例えば、補正のものだとサンライズ総合試験、つまりサンライズ鉱床をインターフェロメトリなりサイドスキャンソナーで予定の計測ができるということを全自動で行うと。それが船長の技量、これは遠隔操縦で進むとそれは船長ではなくてリモコン機ですから、自律型でもなんでもないので、それを開発することが大事ではないかと。ですから、今のソフトウエアのスペシフィケーションのところは完成の前の検収というか、検収要件ですね、検収要件にある程度要求されるようなパフォーマンスを示す。それを示すことによってソフトウエアがちゃんとしていることがわかる。ベンチマークテストというわけですけれども、そのベンチマークを、補正に関してはサンライズ、JSPSに関してはベヨネーズというところでベンチマークをやればいいと。その時になすべきパフォーマンスというものは、そこで観測されているいわゆるJOGMECや、もちろんJAMSTECもやられているので、このようなことをここで全自動でやれればいいですよという形でスペックを作っていくのがいいのではないかと私は思っています。以上です。

 【浦辺主査】 ありがとうございます。他にコメントがございますでしょうか。吉田さんで今のコメントに対して何かこれだけは言っておきたいというのはありますか。

 【吉田グループリーダー】 そうですね、それでは先ほどちょっと難しいというところの話を一つ敢えてさせていただきたいのですけれども、今回ソナーでもって走るという言葉に重点を置きました。
 ただし、このスペックでいろいろなセンサーをもちろん積むことはできるのですが、私どもの推定では重力計だけは非常に難しくなります。と申しますのは、既存の論文や私どもの知見を合わせて重力計のためにどれくらいのAUVの精度が必要かと、制御精度が必要かということを算出いたしますと3つほど大きな要件がございまして、一つはAUV自身の針路方向の加速度を生まないというための、つまりある範囲内でAUVを常におさえておかなければいけないという制御なのですが、例えばAUVが0.5メートル毎秒。つまり1ノットで走ったとしても1ミリガル程度の重力までしか抑え込むことができなくて、現在重力計を開発していらっしゃる先生方のスペックを見ますと、0.1ミリガル以下の感度が必要と書いてございます。それでいきますと、たった2センチの幅しか制御幅が許されなくなりまして、これは非常に現在困難でございます。もちろんAUV自身の針路の直進性をとても高めて、全くぶれずに走って来る機体を作ればそれに近いものはできるのですが、それをやってしまうと、今度はビークルが安定しすぎて、そのトレードオフとして、曲がりにくくなってしまいます。そうすると、サンライズ鉱床を走ろうとした時に機体の運動性能が取れなくなってしまいますので、どうしてもまず1番目だけの重力計の搭載のスペックを考えるとしても、現在求められているものを、この補正AUVに載せるということはちょっときついと考えています。
 2つ目は方位精度でございます。調べたところによると、東西方向に走りますと地球の自転によりまして加速度が生れますので、機体の進む方向によって地球の自転との兼ね合いで機体に作用する遠心力が変化し、結果的に見かけの重量が変わってしまう、「エトベス効果」と言うそうですけれども、これの効果をキャンセリングするために方位をきちんと計測しなければいけない。1ミリガルの精度を出すために方位をどれくらいの精度で見なければいけないかというと0.01度です。ところが我々が使おうとしている慣性航法装置の方位精度というのは、時間とともにバイアス誤差が出て来ますので、一応分解能としてはもっていますが、精度としてキープし続けるのはなかなか難しい。
 3番目は全体としてビークルの機体をどれくらい正確に計測できているのかということなのですけれども、これに関してはドップラー等の値を使えばいけるのかもしれない。ただ、どうしても第1番目が非常に厳しいということで、ちょっと話が長くてすみませんが重力計に関しては先生方が高いレベルでいいよと言っていただければ大丈夫なのですけれども、現在求められているレベルですと、この今回開発するビークルとしてはちょっときついですと言わざるをえない。以上です。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。この件、何か竹内先生追加のコメントございますか。 

【竹内技術参与】 今おっしゃるとおり、現在の仕様のAUVに重力センサーを載せること自身はおそらく無理だろうと見ています。ただ、MEMSを使っているグループの発言や仕様を見ていますと、もう少し楽に考えているようです。センサー開発で実際にやってみないと何とも言えないでしょう。

【浦辺主査】 はい。どうもありがとうございました。今いくつかの困難点もあるということですけれども、これはこの開発をしていく上で常に発生することですので、だいぶ原案の説明を受けましたけれども、浦さんのコメントも含めて修正をして、概略仕様としたいと思います。案を修正してそれを皆さんにお示しをするということですけれども、最終的には主査の方にお任せをいただきたいということでよろしゅうございますでしょうか。はい。ではどうもありがとうございます。

(3) その他

【浦辺主査】 それでは最後の議事、その他ですけれども、今、経済産業省において鉱業法制の検討をしておられるということで、事務局から説明をお願いいたします。

【鈴木課長補佐】 事務局ですけれども、鉱業法制の改正については、簡単に紹介させていただきます。参考資料4として、鉱業法制改正関連資料を付けてございますが、資源エネルギー庁の審議会の配布資料を集めたものになります。12月初めに、資源エネルギー庁で鉱業法の改正に関する議論を始めました。その中で試掘権、採掘権の許可要件の見直し、先願主義の見直しや資源探査規制について議論を行っているところです。近日中に答申が出るやに聞いていますのでまた適宜情報提供させていただきたいと思っております。以上です。

【浦辺主査】 ちょっと今この範囲内でこの厚い資料を読むということはほとんど不可能に近いのですけれども。今ちょっと鈴木さんの方から説明がありました探査規制ということですね。そうすると、センサーやAUVで若干関係が出て来ると思うのですが、もうちょっと追加で説明していただければと思います。

【鈴木課長補佐】 参考資料4「鉱業法改正関連資料参考資料」の一番最後の方に付いている、資料2「資源探査の規制について 平成23年1月14日」の資料の後ろに、(6)「具体的な制度イメージ(案)」があります。これが資源探査のも具体的な規制の案として審議会に諮られているものです。
 マル1「資源探査を行うものについては事前に許可を受けなければならないこととする」と記載されているように、資源探査については許認可を行うということが想定されています。また、マル2として「許可の対象としては、資源探査と科学的調査の行為形態の類似性には留意しつつ、国内資源の適正な管理・開発の観点から必要な範囲を規定することとする。」と記載されいてる後で、具体的な行為について書いてありまして、「例えば、地震探査や電磁探査など、外形上、一定の行為を行う者を許可にかからしめるものとする。」と記載されているため、基盤ツール開発しているセンサーについても、許認可の対象になるのではないかと考えられます。資源探査を許可する要件としては、マル3「原則として、鉱業権の設定を許可する場合の許可要件と同様のものとする」とされてございます。基本的に大学等で実施している研究開発が実施できなくなるということではないと思います。けれども、一定の手続きを経た上で研究開発をしていただくということになるものもあるのではないかと思っております。以上です。

【浦辺主査】 はい。難しいです。ちょっとここに書かれてあることが、センサー開発も対象になるのかと言われているのですけれども、鉱業法という法律は、個人の権利、それから財産にも関わることで、慎重に検討されていたわけでございますが、この報告書が出たあと、非常に早い時期に法案化ということが言われております。ですので、そのいろいろなご意見に関しては、もう本当にあと1、2カ月の間にいろいろ考えなければいけない、すごく差し迫った状況もございますので、是非海洋地球課の方には、今言った若干の懸念についてもご配慮いただければと思います。よろしいでしょうか。それでは今後の予定をお願いいたします。

【鈴木課長補佐】 配布資料4に今後の予定が記載してあります。当面の予定といたしまして、1月31日で第5期の科学技術・学術審議会の委員の任期が満了しまして、次の第6期の科学技術・学術審議会が、2月1日から始まる予定です。委員の皆様には手続き等のお願いをしているところかと思います。これを踏まえまして、2月中に第6期の科学技術・学術審議会海洋開発分科会、この海洋資源有効活用に向けた検討委員会の上の委員会、の第1回会合を開催しまして、そこで再度この海洋資源有効活用に向けた検討委員会の設置をオーソライズしていただくという手続きになります。その後に、本委員会、海洋資源の有効活用に向けた検討委員会を開催することになりますので、3月の予定と記載してありますが3月初旬または2月下旬頃に次の委員会を開催できるのではないかと思っています。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。

【浦委員】 すいません。その次のページにコバルトリッチクラストの厚さを成功した例をお示ししているのですけれども。これはこの基盤ツールで開発したコバルトクラスト音響センサーが上手くいっていると。今後コバルト資源の開発に役立つと。
 一番最後のページでございますがこの見方を。いろいろなものがここに書いてあってわかりにくいですが、真ん中のところの深度と書いて黄色く、だいだい色っぽい絵を見てください。これは1,420メートルくらい。右の上に書いてあるのが拓洋第五海山の調査海域の四角のところでございますが、ここにハイパードルフィンに基盤ツールで開発した音響センサーを載せまして走らせました。横方向はだいたい40メートルくらいなのですけれども、この黄色い帯みたいになっていて真ん中のところに茶色で太いところがあります。これがコバルトリッチクラストの厚さにあたるものです。その上に表面的にあるのはロボットが動いている高度みたいなものなので、あまり気にしないでください。そうすると、ここで見ますとこの太い濃い茶色のところの部分が、この40メートルの領域にわたっておおよそ10センチの厚さでずっとつながっているというのが連続的にはかられています。私どもはこれがこれで非常に上手くいくということがわかりまして、穴を掘ってみたりして、それから断面のところを見て、サンプリングもして、これがそのとおり正しい値であるということは確認しております。
 現状では非常に大きなものがあるので、これをさらに来年度以降小さくしていって、現実的に使えるものにして、かつ、コバルト地帯をいろいろJOGMECとも経産省とも協力し合って展開していって、いろいろはかるのがいいのではないかと思っております。それがこのようなものができたというのは、基盤ツールというファウンディング・システムができたおかげでございます。他の3つのテーマも非常に成果が上がっているということでございますので、是非これを文科省としては継続して、このスキームをやっていただければ、大学発の新しい技術がどんどんできていくのではないかなと思います。以上です。

【浦辺主査】 どうもありがとうございました。それでは以上をもちまして第10回海洋資源の有効活用に向けた検討委員会というものを終了したいと思います。
 なお、鈴木委員については今回をもって退任ということでございます。何か一言ありますか。大変ご尽力ありがとうございました。
 それから事務局からお話がありましたようにまた次回については3月ということですけれども、改めてご連絡あるということでまたよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

 

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