○ 我が国の競争的研究資金制度は、それぞれ外部専門家を中心とした評価システムを有し、研究課題の採択・評価を実施している。一方、米国をはじめとする諸外国の配分機関は、外部専門家に加えて、研究経歴のある多人数のPO(各制度の個々のプログラムや研究課題の選定、評価、フォローアップ等の実務を行う研究経歴のある責任者)やPD(競争的研究資金制度と運用について統括する研究経歴のある高い地位の責任者)を擁し、プログラムの計画から、最後の評価の段階まで一貫してマネジメントする体制を徹底。
(注)
○ 我が国の競争的研究資金制度についても、「科学技術基本計画」、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」において、研究経歴のある責任者を各配分機関に専任で配置し、競争的研究資金制度の一連の業務を一貫して、科学技術の側面から責任を持ち得る実施体制が整備されるよう努めるとされている。これを踏まえ、本プロジェクトの「中間まとめ」において、POやPDを配置し、POやPDを中心とする一貫したマネジメント体制の導入を決定した。
○ 各制度においては、平成15年度からPO・PD配置への取り組みを開始している。しかし、人数の面でも、また、雇用形態(非常勤、大学等からの併任等)等制度の位置付けの面からも、必ずしも十分とはいえない状況にある。
また、PO・PDの具体像が明確でないため、制度間でPOやPDの役割に関する理解にばらつきがある。
○ 我が国には、POやPDという職務が、研究者のキャリアパスとして確立されていないため、質および量の面での確保の困難が予想される。
○ PO・PDに期待される機能は、課題の採択・評価等における専門性・機動性・戦略性の確保、研究費の執行を含むマネジメント等の説明責任の遂行である。その観点から、各制度においてPO・PDが以下の基本的な役割を果たすこととする。また、各制度の趣旨や目的はそれぞれ異なることを踏まえ、PO・PDの各制度における具体的な権限、責任は各制度で位置付け(評価委員会とPO・PDとの適切な役割分担)を検討する。
○ これを踏まえ、各制度は、今後、競争的研究資金の規模に見合う人数のPO・PDを配置し、その責任を果たし得るような身分、処遇を確保する。特に、非常勤や併任といった雇用形態は、過度的な措置とし、とりわけ大型の制度においては、できるだけ早期に専任へ転換を図る。
○ 本省の制度においても、適切なマネジメントシステムの確立の観点から、POのみならず、それらを統括するPDを配置することを検討する。
○ 各制度は、PO・PDの基本的な役割が十分果たし得るマネジメントシステムの構築を行い、第2期科学技術基本計画期間中(平成17年度まで)に、PO・PDの最終的な配置体制を完了する。
○ 優れた人材をPO・PDとして確保していくためには、産学官が協力し、PO・PDが研究者のキャリアパスとして位置付けられるように努めていくことが必要である。
-大学・公的研究機関は、PO・PDに優秀な人材を輩出、育成に努力する。特に、研究者の評価に際して、PO・PDとしての経験を適切に評価する。
-産業界も研究開発マネジメント能力向上の観点から、優れた人材を競争的研究資金のPO・PDとして人材交流を図る。
-配分機関においては、PO・PDの適切な業務遂行を可能とするための活動経費の確保等の体制を整備を図る。
○ 関係各省及び配分機関は、PO・PD育成のための研修等を実施(例えば、内外における実務研修)する。
○ 総合科学技術会議のイニシアティブにより、各配分機関のPDで構成される会議を設置し、各競争的研究資金制度のマネジメントシステムの向上を図るとともに、課題の不必要な重複の排除や制度間の調整等、我が国の競争的研究資金全体の有機的な運用を図る。
研究振興局振興企画課学術企画室
-- 登録:平成21年以前 --