資料2 「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」を踏まえた学術分科会等における検討状況

(平成24年7月25日現在)

 第5期に設置された基本計画特別委員会では、S(科学)とT(技術)に、I(イノベーション)を加えたSTIへの転換が提言された。しかしながら、我が国観測史上最大の地震やそれに伴う原子力発電所事故等による未曾有の災害を踏まえ、新たにR(リコンストラクション(再建)、リフォーム(改革))を加えたSTIRを政策の基調とすべきである。
 こうした考えのもと、今後、科学技術・学術審議会においては、東日本大震災の現状を踏まえ、科学技術・学術の観点から真摯に検証を行う。その上で、国家的危機の克服と復興、環境変化に強い社会基盤の構築への貢献を視野に入れ、我が国の存立基盤である科学技術・学術の総合的な振興を図るために必要な審議を進めていく。
 その際、総会及び各分科会、部会、委員会等においては、これまで以上に「社会のための、社会の中の科学技術」という観点を踏まえつつ、以下の視点に留意し、検討を行う。特に、科学技術・学術の国際連携と、自然科学者と人文・社会科学者との連携の促進には十分配慮することとする。

1.東日本大震災についての科学技術・学術の観点からの検証

 震災下において、科学技術・学術の観点から、適確に機能した面、機能しなかった面、想定が十分でなかった面はどういうところか。
 これらの検証により判明した震災からの教訓や反省を踏まえ、今後の科学技術・学術政策を進めるにあたって、改善すべき点、取り組むべき点、新たにルール化すべき点は何か。また、研究開発を推進するための環境や体制を変化に強いものにする方策として何が必要か。

(視点1)

(1)改善すべき点、取り組むべき点、新たにルール化すべき点

  1. 東日本大震災の記録を永遠に残し、広く学術関係者により科学的に分析し、その教訓を次世代に伝承し、国内外に発信するための学術調査の実施が求められている(復興構想7原則の1)。平成24年度より日本学術振興会においては、関係機関の有機的連携に配慮するとともに、学術分科会等における意見等も参考としつつ、人文・社会科学分野を中心とする学術調査を開始した。
  • 歴史的な記録の発掘も含めた震災の記録保存については、貞観地震などの震災の記録のほか、そこから復興に向けてどのような人間活動(施策も含めて)があったか、救援救済活動があったか、住まいを高台に移すなども含めて、人文・社会科学者の間で可能な限り掘り起こすことが必要。
  • 東日本大震災の記録保存や学術調査の実施は非常に重要。その際、各研究機関に蓄積されているデータを相互利用すべき。また、各研究機関からの情報提供と発信も必要。
  • 東日本大震災に係る学術調査については、福島、宮城、岩手の自治体で起こったことだけでなく、東京で起こったことも調査対象とすべき。
  • メディア上と世論の関係、メデイア上の情報がサイエンスも含めた行政上の判断に及ぼす影響、あるいは世論形成の変化という点についても調査が必要。

<平成24年2月以降の追加意見>

  1. 研究者が多様な社会的活動に参画するとともに、社会に研究への参加を求めることで、社会的要請への積極的な応答を試みる必要がある。また、社会的リスクへの対処のために、みずから研究課題を探索し発見する行動が必要である。
  2. 様々な観点から実社会のあり様を捉えていく目標の設定が関係者に対し強く求められる。このため、NPO、NGO、行政、司法、シンクタンク、企業等における実務の専門家やジャーナリストなど研究と実務の間を橋渡しできる研究者以外の者も含めた共同研究が必要である。また、共同研究事業の実績や評価結果に基づいて継続支援を可能とする枠組を構築することが必要である。
  3. 研究の推進から成果の発信までの連携を確保するなど、社会的貢献に向けた実効的な体制作りが必要であり、その際に、関連分野の知見や実社会での経験を有する実務者を含めた審査・評価を試行するなど、社会からの視点を取り入れることについての検討も求められる。
  4. 知識の共同生産のすそ野を広げていく観点からは、若手研究者が、横断的なプロジェクトを推進できるような支援方策を検討することも必要である。
  5. 東日本大震災後の科学技術・学術の在り方について、一般社会のニーズや課題の認識、科学技術・学術の専門家からの積極的な情報発信、社会の課題解決のための学際的研究の必要性が求められていることからも、教育研究成果の電子化やオープンアクセスの推進等学術情報基盤の整備は大きな意義を持つと考えられる。

2.課題解決のための学際研究や分野間連携

 社会が抱える様々な課題の解決のために、個々の専門分野を越えて、様々な領域にまたがる学際研究や分野間の連携がなされているか。特に、自然科学者と人文・社会科学者との連携がなされているか。
 また、社会が抱える様々な課題を適確に把握するための方策は何か。課題解決のための学際研究や分野間連携を行うためにはどのような取組が必要か。
 さらに、これらを支える人材育成のための方策として何が必要か。

(視点2)

(1)課題解決のための学際研究や分野間連携を行うための取組

  1. 分野を融合した新しい分野を開拓するためには、異なる分野間の研究者の不断の接触が必要。今ある分野や領域を前提にした分野横断では新しいものは生まれない。学問が1箇所に集まることによって新しい分野や領域を形成し、それが学術を先導していく、という方向性が必要。単なるネットワークではなく、強制的に融合することも必要。
  2. 異分野融合のメリットは、普段それぞれの分野でしている研究では気付かなかった視角に出会えることである。研究室で違う分野の人と話をすることや、メディアが触媒として機能していた「お見合い機能」を確保することが大事。
  3. 成功事例の蓄積や情報交換ができるような場が必要。
  4. 継続的に会う機会を設けることが大事。いろいろな分野の人に直接会えるような環境を、あまりコストをかけずに作ることが重要。(ただし、それを義務だと思ってやっても生産的ではない。)
  5. 学術の世界において課題解決のための学際研究や分野間連携を進めるためには、政策誘導的なメカニズムがないと実現できない。
  6. 学術研究のネットワークについては、ネットワーク強化と自発的な離合集散のダイナミズムとのバランスが必要。
  7. 日米を比較すると、日本の方が異分野融合研究を進めやすい。米国はすぐに成果が上がらなければやめてしまうが、日本ではいろいろな研究をすることに寛容性がある。このような日本の研究システムの強みを生かした方がよい。
  8. 社会課題に寄与しようとする研究を大括りしたプロジェクト型研究を設定して、実務家を含めたピアレビューを試みることも検討する必要がある。
  9. 若手研究者や実務経験のある研究者といった人達が、相互交流できるような分野横断的な社会連携型の研究コミュニティをつくることが必要。

<平成24年2月以降の追加意見>

  1. 科学技術・学術審議会における基本的な方針や議論を踏まえて、推進すべき共同研究の課題を定めることにより、政策の実現性を高めていく課題設定プロセスも必要である。その際、日本学術振興会の調査機能を活用するなどして、海外における諸分野の学術動向を継続的に把握することも重要である。
(分野間の連携や社会とともに進めることが求められる研究領域の例)
  • 非常時における適切な対応を可能とするための社会システムのあり方
  • 社会的背景や文化的土壌等から発想する新たな科学技術や制度の創出・普及
  • アジアの協調的な発展を目指した科学技術の制度設計
  1. 基礎的な共同研究を社会実装のレベルにまで引き上げていくには、自然科学中心のプロジェクトの中にも人文学・社会科学の研究者の参画を要件として取り入れることが必要である。
  2. 人文学・社会科学が中心となった小規模で基礎的な共同研究であるプロジェクトにおいて、人文学・社会科学そのものが発展するのみならず、その成果が自然科学に裨益する場合には、社会の具体的な問題解決に向け様々な分野の知見を活用するより実装段階に近い共同研究へ波及していくことも有益であり、事業・制度の枠組みをこえた展開も必要である。
  3. 分野間連携の研究は、研究者間の刺激をきっかけにして自律的に研究が成長するため、既存の専門分野の中での位置づけが不明確になりやすく、研究継続が困難になりやすい。そのため、研究者間の接触と追求によって自律的に成長しているものを評価して、安定的・継続的に支援するという観点が重要。
  4. 課題解決を目指す上では、エビデンスに基づく研究をさらに推進していく必要がある。その際、エビデンスや研究成果を一面的にとらえすぎると本来の社会的貢献の目的や内容を狭めてしまう危険性もあることに留意が必要である。
  5. 異分野連携・共同研究等により新たな芽を育む研究を支援していくことが学術研究の発展にとって重要であることはいうまでもなく、新興・融合領域や異分野連携などの意欲的な研究を推進する科研費の「新学術領域研究」において、当領域内での成果評価のみならず、様々なかたちで築かれつつある研究ネットワークの成果についても、適切に評価し、支援していくことが重要である。
  6. 大学共同利用機関法人においては、機構長のイニシアティブの下、理念を共有しつつ、研究手法や研究対象への視点を異にする複数の研究所が融合することで、新たな方法論が生み出され、戦略的かつ効率的に新分野を創成することが期待されている。
     この際、法人の中だけで完結して新分野の創成を行うだけでなく、法人がハブとなって、他の法人や大学の共同利用・共同研究拠点などとのネットワークを形成することも考えられる。

(2)人材育成

  1. 国として課題を解決する「官」と、将来に向けて芽を作り、課題を新しく見つける点が評価される「学」との間に、「学」から出てきた成果を課題に敷衍してつなげる人材が必要。また、研究者が長期的に政策を見ていくシステムがない。JSPSの学術システム研究センターにおける活動など動きが出てきているとは思うが、研究者が自分の専門分野から出て、その知見を還元することが評価され、キャリアパスとしてつながっていくシステムを作ることが必要。
  2. 若手研究者にとって異分野融合研究は重要。博士論文を書いた分野とは異なる分野も含めて勉強することは、キャリアパターンの上でも意味がある。一方で、そういった若手研究者をきちんと評価することも必要。

<平成24年2月以降の追加意見>

  1. 大学等において、学部・研究科横断的な履修や実社会と学術の関連性を追求する教育プログラムを実施するとともに、広く社会の人々と対話し、分野間連携の実践を重ねる意欲ある者を評価することが重要である。また、キャリア開発のための講義やセミナー、長期インターンシップなど、若手の研究者の多様なキャリアパスの確立に向けた組織的な取組を広げることが必要である。

3.研究開発の成果の適切かつ効果的な活用

 様々な研究開発の成果が、適切かつ効果的に結集され、社会が抱える様々な課題の解決に結びついているか。
 また、研究開発の成果が、課題解決のために適切かつ効果的に活用されるためには、どのような取組が必要か。

4.社会への発信と対話

 研究者、研究機関、国等が、科学技術・学術に関する知見や成果、リスク等について、情報を受け取る立場に立った適切な表現や方法で、海外を含めた社会へ発信し、対話できているか。
 また、社会への発信や対話を一層促進するとともに、国民の科学リテラシーを向上するためにどのような取組が必要か。

(視点4)

(1)社会への発信や対話を一層促進し、国民の科学リテラシーを向上するための取組

  1. 科学者・技術者への信頼が低下していることに関して、今後、社会に向けていかにきちんと説明をして信頼を取り戻していくか、議論が必要。
  2. 中学生、高校生は、科学技術・学術研究は役に立たないと思っているかもしれない。社会、特に中学生、高校生に研究がどう役立つのか説明していくことが必要。
  3. 東日本大震災の際には、マスコミによって別々の研究者が発言したことが混乱を招いたと思われる。英国の主席科学顧問のように、緊急時に情報を正確にまとめて発表するような組織や機関が必要。政治家が科学を正確に理解し、災害対処に果たす科学の役割が大きいことを把握してもらうことも必要。
  4. 科学者は情報発信をしているが、不十分であったり、口べたであったりして社会に対してうまく伝わっていない。科学者と社会をつなぐ媒介者はすでに大学等にいるので、そういう方々と協力して、文科省で情報を集中的にまとめて科学者のコメントとして発信することも必要。
  5. 情報発信に関しては、情報の質の管理が重要。最終的に信頼すべき情報やその意味について一般の人が理解できるよう、情報を選別して解釈を整理する者が必要。その役割を担っているのは研究者もしくは学協会であり、研究者や学協会はそういった認識を持つことが必要。
     また、その地方や地域で起きた災害史を検証し、住民に正確な情報を発信することが重要。
<平成24年2月以降の追加意見>
  1. 社会的貢献を目指す研究を行うにあたっては、目標の設定に際しては、個々の実証研究の積み重ねにより、政府や自治体等の政策形成や実施のために選択肢を提供することを研究の本務ととらえ、価値選択は政治の役割とする考え方や、政策形成・実施に係る価値判断にまで踏み込むという考え方など、多様な考え方があることに留意しつつ、様々な観点から実社会のあり様を捉えていく目標の設定が関係者に対し強く求められる。
  2. 大学共同利用機関における研究の成果を広く社会・国民と共有することは、研究活動に対する国民の理解と信頼を得ることに資するものであり、あらゆる手段・方法を用いて、社会・国民とのコミュニケーションを展開・継続していく必要がある。
  3. 電子化の進展を前提に、学術情報の国際発信・流通を一層促進する観点から、利用者側が費用負担無しに、必要な資料を入手することを可能とするオープンアクセスが国際的に大きな関心を集めている。特に、公的助成を受けた研究成果についてはオープンアクセス化を図るべきという考えが強くなってきていることを十分認識すべきである。
  4. 大学等の生み出す多様な知的生産物は、第4期科学技術基本計画において形成が謳われている「知識インフラ」を構成する中核的要素であり、我が国の貴重な財産として、社会に共有され、活用されることが、今後の発展のために必要である。
     研究成果のオープンアクセス化への対応を含め、こうした知的情報の蓄積・発信は、社会への貢献が求められる大学等の責務であり、そのための重要な手段として機関リポジトリを位置づけ、整備・充実を図ることが望まれる。

5.復興、再生及び安全性の向上への貢献

 被災した広範な地域・コミュニティの様々なニーズや、復興、再生にあたって直面する問題をきめ細かく捉えているか。また、それらを踏まえ、科学技術・学術の観点から、復興、再生、安全性の向上及び環境変化に強い社会基盤の構築のためにどのような貢献ができるか。その際、国土のあらゆる地域で自然災害への備えが求められる我が国の地学的状況を踏まえることが必要である。

(視点5)

(1)復興、再生、安全性の向上及び環境変化に強い社会基盤の構築のための貢献

  1. 科学技術の問題だけではなく、現在の社会システムが弱さを露呈しており、社会の在り方を検討することが重要。
  2. 今後起きるであろう災害に対して、いかにして被害を減らすべきか、学術の世界から発信するという姿勢も必要。
  3. 現場で話をしながら被災者の生活再建等に学術がコミットすることは、新しい学術の推進の仕方だと思う。意識的にノウハウを蓄積・共有して、さまざまな分野の研究者がコミットしていく体制を作ることが重要。
<平成24年2月以降の追加意見>
  1. 東日本大震災以降大学共同利用機関法人において実施している、文化財レスキュー事業への参加等の社会貢献の取組は、被災地・被災者の被害を軽減し、復興に貢献するだけでなく、大学共同利用機関の研究の成果が、我々が直面している社会的な課題解決に役立ちうるとのメッセージになるものであり、社会・国民とのコミュニケーションの一環として積極的に取り組む必要がある。

(参考1)「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」に係るこれまでの審議経緯

○平成23年5月31日 科学技術・学術審議会 総会(第36回)

  • 「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」(以下「検討の視点」という。)を決定。
    → 野依会長より、各分科会において、「検討の視点」に基づく審議を行うよう依頼。

○平成23年7月21日 学術分科会(第44回)

  • 「検討の視点」及び「各部会等における東日本大震災に係る主な意見の整理」(「検討の視点」を踏まえた各部会等での議論を整理したもの)に基づき、東日本大震災を踏まえた学術政策の在り方について議論。

○平成23年10月5日 学術分科会(第45回)

  • 「学術分科会における東日本大震災に係る主な意見の整理」に基づき議論。

○平成24年2月29日 科学技術・学術審議会 総会(第38回)

  • 「検討の視点」を踏まえた各分科会等における検討状況や、「検討の視点」に係る基本論点(野依会長の指示に基づき、各分科会等の審議状況や審議会委員の意見を整理したもの)に基づき議論。
    → 野依会長より、基本論点及び各委員からの指摘を踏まえ、各分科会において「検討の視点」に基づく審議を引き続き行うよう依頼。

(参考2)基本論点

(※会長の指示に基づき、各分科会等の審議状況や審議会委員の意見を整理)

○視点1 東日本大震災についての科学技術・学術の観点からの検証

1.社会の要請を十分に認識する必要性

  • 一般社会と専門科学者集団の対話が不足しているため、研究者等が社会からの要請を十分に認識していないのではないか。研究者等は学術の深化と科学技術の進展に努めるにとどまらず、多様な手段により自ら積極的に社会から学び、社会リテラシーを向上させることが必要ではないか。
  • また、国民の負託を受け公的資金を得て研究を行う者は、その意味を十分に認識するとともに、機会を捉えて社会に対し自らの研究の意義を説明する責任を負う。
  • 我が国の将来を支え、社会が要請する多様な人材の育成が必要。

2.地震・防災に関する従来の取組方針の検証

  • 今般の大地震発生の可能性を追究できなかった理由について十分な検証を行うことが必要。常に研究体制の見直しが求められる中で、これまでの取組について不十分なところはどこか(焼け太りと言われないこと)。地震、防災にかかわる直接の専門家のみならず人文・社会科学分野も含め、総合的、学際的取組の強化が必要ではないか。
  • 国民の生命や財産を守るために真に何が必要かを追求。一般社会の声を十分に取り入れる。

3.日本の科学技術のシステム化の必要性

  • 日本の科学技術は、要素技術の開発に偏りがちで、社会における実際の運用までを考慮したシステム化が行われない傾向があり、この結果、科学技術の成果が課題解決、社会実装に結びつかない場合があるのではないか。例)ロボットショック

○視点2 課題解決のための学際研究や分野間連携

1.課題解決のための政策誘導

  • 課題解決のために、学術の世界においても、学際研究や分野間連携を進めるための政策誘導的なメカニズムの構築が必要ではないか。

2.学際研究や分野間連携を支える人材育成

  • 学生や若手研究者が、社会の多様な視点や発想を有するようにするための取組が必要ではないか。

○視点3 研究開発の成果の適切かつ効果的な活用

1.社会的ニーズの把握と研究課題への反映

  • 研究課題を設定する段階で、ユーザー、応用分野の研究者、人文・社会学者等との広範かつ積極的連携などにより、社会的ニーズを掘り起こし、それを適切に課題に反映する取組を強化することが必要ではないか。

○視点4 社会への発信と対話

1.科学的助言の在り方

  • 科学技術に関する専門的助言と政府の意志決定の関係の明確化が必要ではないか。広く科学者の意見を求めることが重要である。科学者の見解が分かれる場合には、複数の政策オプションに集約、提示し、それらを踏まえ政策を決定するというプロセスを確立すべきではないか。

2.リスクコミュニケーションの在り方

  • 科学技術の限界や不確実性に関する認識を踏まえ、政府は、科学技術のリスクに関して社会とどのように対話すべきか。すぐに「地震予知」ができるとか、「ゼロリスク」が可能と誤解させたりしないことが重要。
  • また、科学技術への信頼を得るため、どのように取り組むべきか。社会との双方向のコミュニケーションを強化し、科学技術の社会的得失(リスクとベネフィット)の均衡を適切に判断しなければならない。国民のリスクリテラシーと研究者等の社会リテラシーの双方を向上することが必要ではないか。

○視点5 復興、再生及び安全性への貢献

1.安全社会の実現や防災力向上のための研究開発の在り方

  • 安全・安心を念頭に置いた研究開発や、災害に強い社会基盤を構築するための研究開発として、どのような取組を行うべきか。

2.研究機関の復興支援

  • 研究機関の成果や人材を、更に被災地の復興に役立てるため、どのような取組が必要か。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成25年05月 --