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学術分科会(第66回) 議事録

1.日時

平成29年3月14日(火曜日)13時15分~14時45分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂

(〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 分科会長及び分科会長代理の選出について
  2. 議事運営等について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員)
西尾分科会長、庄田分科会長代理、安西委員、稲永委員、甲斐委員、勝委員、栗原委員、小長谷委員、白波瀬委員、松本委員、荒川委員、井関委員、井野瀬委員、大竹委員、小川委員、亀山委員、喜連川委員、小林委員、里見委員、瀧澤委員、永原委員
(科学官)
相澤科学官、三原科学官、森科学官

文部科学省

関研究開発局長、板倉研究振興局審議官、柿田振興企画課長、鈴木学術研究助成課長、石崎学術研究調整官、田村学術企画室長、石田学術研究助成課企画室長、渡邊学術基盤整備室長、松本学術企画室長補佐、佐々木学術機関課課長補佐、小野学術研究助成課課長補佐、中山学術企画室専門官

5.議事録

・議事のはじめに委員の互選により、西尾委員が分科会長に選任された。
・続いて西尾分科会長により、庄田委員が分科会長代理に指名された。
(以上の議事録は、人事に係る案件のため非公開。)

【西尾分科会長】 前もってお願いがございます。今日は初回でございます。そのようなこともあり、後で事務局から少々の御説明はございますけれど、今日は、学術振興に係ることで皆様方から日頃思っておられること、あるいは、第9期で是非とも議論すべきこと等につきまして、是非、御意見を賜りたいと考えております。一言ずつ、皆様お一人お一人から伺えればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、よろしいでしょうか。
 第9期における調査・審議事項についてということで、これから事務局より、第9期における調査・審議事項について説明をお願いいたします。

【田村学術企画室長】 それでは、資料4、5、6を使いまして、御説明させていただければと思います。
 まず、資料4を御覧ください。これは、前期、第8期の学術分科会で最後取りまとめた、第8期の学術分科会におきます主な審議経過及び今後の検討課題を取りまとめたものでございます。
 1ページ目を御覧ください。第8期の学術分科会における審議経過の概要でございますけれども、先ほどから何回か出てきております、第7期の学術分科会で「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」が出ましたので、その改革の実効性を高めるために、改革の4つの基本的考え方を踏まえて、具体的取組についてのフォローアップを進めてきたところでございます。
 また、2つ目の丸にございますように、そういった学術の総合的な推進的な考え方、推進の重要性について、「科学技術基本計画」、昨年1月の閣議決定にも盛り込まれたところでございまして、そこに盛り込まれている内容と併せて、フォローアップを総合的に推進してきたというところがございます。
 その次の丸を御覧ください。また、一方で、学術研究の研究力とか評価の指標に関して、特に分野別・大学の機能別分化の特性を踏まえた評価が十分に進んでいないのではないかという状況を踏まえまして、大学における学術研究の研究力・活動状況を把握する指標の在り方について、専門家による調査研究も踏まえながら、審議を進めていこうとなったところでございます。
 それから、その下の丸にございますように、第5期の科学技術基本計画では、初めてトップ10%論文数の割合を計画期間中に10%までしていくという目標値が設定される一方で、今の論文指標は国際的相対的に低下傾向にあるとか、大学の構造別に論文指標を見た場合に、研究活動を牽引(けんいん)している大学よりも、厚みを増加させるような大学、そういったところが弱体化してきているようなデータがございまして、そういったことを踏まえて、追加的な審議を前期の学術分科会では行ってまいりました。この下にございますように、科研費の改革、共同利用・共同研究体制の強化、学術情報のオープン化と並んで、トップレベルの研究拠点群の層を厚くしていかないと、というような検討を今後進めていこうとなっていたところでございます。
 その点を踏まえまして、次は8ページへ飛んでください。そこまでの間は詳しいことが書いてございますので、後ほど御参照いただければと思います。
 今後、第9期の学術分科会で検討すべき課題として、前期の分科会で申し送られている事項でございます。
 まず1つ目のところにつきましては、先ほどの学術分科会の既存の提言とか、第5期に科学技術基本計画、これらの学術振興方策については、引き続き総合的に推進していく必要があるだろうと。フォローアップ等も行いながら、各部会、分科会での検討に適切に反映させていこうということでございます。
 次の丸を御覧ください。学術研究の研究力強化に関しても、追加的に審議を行ってきた、先ほどのトップレベルの研究拠点群の厚層化ということにつきましては、別途、「研究力強化に向けた研究拠点の在り方に関する懇談会」というものを設置して、今、検討を進めているところでございまして、その取りまとめ等も参考にしながら、今後行っていく必要があろうかと思います。この懇談会に内容につきましては、後ほど、資料6を使いまして御説明させていただきます。また、学術研究の活動状況を把握する指標につきましては、現在、専門家による調査研究等を進めてもらっているところでございますけれど、この最終報告等も踏まえながら、引き続き審議を行っていきたいということが、課題として残っているところでございます。
 また、その下の丸に、大きな課題といたしまして、学術政策に関わる中長期的な課題や部会等を横断するような課題について、前の分科会よりも時間も経ってきておりますので、審議する必要がある場合には、必要に応じて「学術の基本問題に関する特別委員会」を設置して審議を行っていくことも考えられるのではないかと考えております。その際には、先ほどから述べております、文部科学省に設置されております「基礎科学力の強化に関するタスクフォース」の取りまとめ等も参考にしていただければ幸いでございます。
 それから、その下の人文学・社会科学の振興につきましても、自然科学とは異なる特徴を踏まえた評価の在り方とか、大事であるというような提言はこれまで頂いておるところでございますが、そのあたりの検討も進めていく必要があるのではないかとか、学術分科会の提言を受けまして、現在、先導的な共同研究を推進するような事業を行っておりますが、その検証とか改善も行う必要があるのではないかというふうに、前期から残っているところでございます。
 資料4につきましては、以上でございます。この後、資料4に出てきております関係で、2つ追加で説明をさせていただければと思います。
 資料5を御覧ください。こちらが、基礎科学力の強化に関するタスクフォースの検討状況ということでございます。先ほど述べましたように、昨年の11月から、省内に田野瀬大臣政務官を座長とするタスクフォースを設置いたしまして、我が国の学術・基礎研究とか若手研究者をめぐる諸課題に対応するため、研究者目線に立ったような制度、仕組みを検討するために、現在、強化策について検討しているところでございます。
 主な検討事項といたしましては、左下のところに5つ設けているところでございまして、1つは、研究費の安定的な確保・充実、2つ目といたしまして、若手研究者が活躍できる環境の整備、3つ目といたしまして、制度やルールの見直し等による研究力の向上、4つ目といたしまして、世界に開かれた魅力ある研究拠点も含めた研究環境の構築、5番目といたしまして、社会全体で科学を文化として育むための方策等について検討を進めているところでございます。
 右側にございますように、12月以降、会議等を加えさせて、有識者の方々からヒアリング等も行いながら、検討を進めているところでございまして、今春ではございますけれど、今春の取りまとめを早く進めていきたいと予定しているところでございます。
 次のページをお開きください。幾つか、主な検討事項の検討状況について御報告させていただきます。
 研究費の安定的な確保・充実ということにつきましては、何よりも、今も進めている科研費の改革推進、これを進めていくことが大事と。1つは、やはり新規採択率30%の達成をはじめ、将来を見据えた基礎研究への投資を充実していくことが必要であろうと。また、現在も取り進めております「科研費若手支援プラン」、これを着実に実行していくことが必要と考えております。また、審査システムにつきましても、見直しの提言を頂いているところでございまして、これの全面的実施を進めていかなければならないと考えております。
 また、研究費の2つ目の項目といたしまして、イノベーション創出に向けた戦略的な基礎研究の推進ということで、若手研究者の活躍促進とか、民間資金を引き込むための仕組みを検討して、導入していこうというようなことを考えているところでございます。
 それから、2つ目といたしまして、若手研究者が活躍できる環境の整備ということでございます。優秀な者が研究者を目指すための支援の充実ということで、今、博士課程の進学者が減ってきているというような状況を踏まえて、やはりそういった進学、研究者を目指すために、経済面も含めた支援の充実が必要であろうと。また、29年度から予算を取って、若手研究者を海外に短期で派遣するようなプログラムをやっておりますけれど、そういった共同研究の機会を提供していくことも重要であると考えております。また、博士やポストドクターの研究者に対して、多様なキャリアパスを目指せるようにしていくというような支援も検討していかなければならないのではないかと考えております。
 次に、若手研究者が安定かつ自立して研究できる環境の創出ということで、1つには、28年から始まっております「卓越研究員事業」を拡充していく必要があるであろう。また、海外経験を積んだ優秀な若手研究者が日本の研究機関でポストを得るための支援の検討とか、若手研究者の研究時間の確保とか研究環境の充実のために、研究施設・設備の共用促進、研究支援人材の充実をしていかなければならないというようなことを検討しているところでございます。
 次に、3つ目といたしまして、世界に開かれた魅力ある研究環境の構築ということで、まず拠点のことに関しては、やはりトップレベルの研究拠点の拡充、このことは引き続き進めていく必要があるということで、また、そこで出てきたような成果を、プログラムの枠を超えて展開・普及させていくようなことにも29年度からは着手していきたいということを盛り込もうとしているところでございます。
 また、新たに、特定の研究分野で我が国をリードし、世界と競争できるような研究拠点の形成ということで、こういった拠点が全国に点在して、規模は小さくとも特定の分野で優れた研究成果を上げている研究拠点が出てきているところですので、こういった拠点が世界と競争できるような仕組みを検討、導入していきたいというようなことを、今現在検討しているところでございます。
 そのほか、制度やルールの見直し等による研究力の向上という検討課題については、研究費の運営改善とか、研究評価の改革、社会全体で科学を文化として育むための方策という検討事項については、科学に関する国民の意識の向上とか寄附の促進等について、どのようなことが盛り込めるかということについて、今、検討を進めているところでございます。
 資料5に関連しては、以上でございます。
 最後に、もう一つ、資料6を御覧ください。研究拠点の関係につきましては、昨年の8月に学術分科会等の方針とか政府の方針等も踏まえまして、研究拠点の在り方に関する懇談会というものを設けておるところでございます。委員等につきましては、別紙で付いておりますので、御参照ください。
 学術分科会ということだけには限らず、大学院の教育の関係とか、戦略とか、人材の関係とか、そういった様々な分科会、審議会等で御議論いただいている先生方にお集まりいただいて、議論を進めているところでございます。
 現時点の方向性ということでございますけれど、まず、我が国の研究力の課題ということにつきましては、先ほどから述べているような、論文指標の話とか、世界の中で日本の存在感が後退してきている、また、アイデアを生み出す若手人材について育成・確保が脆弱(ぜいじゃく)化しているというような課題を取り上げております。
 そういった中で、これまでの研究拠点政策の課題というところでございますけれど、WPIとか、かつては21世紀COEプログラムとか、拠点政策、個々で見ていきますと、優れた成果を上げているところでございますが、日本全体として見ていくと、なかなかそれが我が国全体の研究力の向上につながり切っていないというような懸念が言われているところでございます。
 また、丸の2つ目のところにございますように、近年の拠点事業の支援規模の大型化と支援拠点の減少という中で、実際に大学でアクティブに研究している方々の分布と、こういった拠点事業で支援している採択先の実態が少しずつ乖離(かいり)してきている。日本全体での研究者の流動性が低下して、アイデアも生まれにくいのではないかというようなことが指摘されているところでございます。
 そこで、今後の拠点政策の方向性という下のところでございますけれど、もちろん、上記のような研究力の課題については、「研究費」の改革、「人材育成」に関する施策の改革等も必要でございますけれど、「研究拠点」についても、やはり世界レベルの組織的な研究活動の厚みを質・量ともに増すための強化策が不可欠ではないかと考えております。
 そのために、次の丸でございますように、トップレベルの研究拠点への支援を強化するとともに、全国に存在する、特定分野において我が国の研究をリードし、世界に通用する研究拠点に対する支援も行っていく必要だというふうに、現時点では方向としてなっているところでございます。
 その際、多様性・独創性の観点とか、若手研究者の育成の観点を含めた施策の有機的な連携が必要であり、また、人材育成に関する施策、大学改革に関する政策とも有機的に連携して運用していくことが必要となっておるところでございます。
 裏のページにございますように、具体的に世界トップレベル研究拠点の形成プログラム(WPI)については、今後も推進していきますが、最大で20拠点程度を目途に形成しようと。その際に、成果を普及するための新たな枠組み“WPIアカデミー”といったものを創設して、プログラムを超えたせいかの展開・波及に着手していこうということになっております。
 共同利用・共同研究体制につきましても、国内外の組織との連携の構築、新たな学問領域の創出に向けて引き続き推進していくとともに、特に、学術の大型プロジェクトにつきましては、ノーベル賞受賞につながるような大きな研究成果も出しているところでございますけれど、同時に、プロジェクトの支援期間の明確化とか評価体制の強化によって進捗管理を徹底していこうというようなことが書かれているという方向でございます。
 それから、特定の分野で我が国をリードする研究拠点ということにつきましては、ここにございますように、規模が小さくても特定の分野で我が国の研究をリードし、世界と競争できる研究拠点の形成を支援していこうと。こういった拠点で若手人材を育成し、拠点間を通じた人材の好循環サイクルを促進して、我が国全体の研究力を向上させていこうというような方向になっております。
 こういった研究拠点の選定に当たっては、やはり多様な基準を基にしていくことが大事であろう。各大学からの提案を踏まえて採択していくべきではないか。また、拠点の規模とか分野の特性に応じた柔軟な支援が必要。長期間にわたって支援していくことが必要と言われております。
 また、一番下のところ、研究拠点施策の推進に当たっての留意点というところでございますけれど、やはりそういった改革の成果を大学全体に波及させていくこととか、大学自身の改革の取組と連動させていくことが重要である。特に拠点の形成・維持に当たっては、既存の研究組織の改廃等も検討しながら、大学全体の中で位置付けていくことが必要。また、優れた取組については、継続性の確保に向けた仕組みも考えていくことが必要と言われております。また、あわせて、関連分野の大学院教育との連携とか、産業界を含めた社会との連携、こういったことにも留意していくことが必要という方向で、現在、取りまとめに向けて、委員の方々との最後の調整に入っているという状況でございます。以上、紹介をさせていただきました。
 最後に、参考資料4のところに、今後の学術分科会とも関連が深いかと思いますけれど、中央教育審議会の方に、我が国の高等教育に関する将来構想について諮問がなされております。社会経済の大きな変化、18歳人口の減少、高等教育機関の果たすべき役割等を踏まえて、これからの時代の高等教育の将来構想について、総合的な検討を行っていこうということで、これから1年半から2年ぐらいにわたって検討していこうとなっているところでございます。
 主な検討事項が4つ挙がっているところですけれど、3つ目のところでは、今後の高等教育全体の規模も視野に入れた、地域における質の高い高等教育機会の確保の在り方とか、4番目のところでは、高等教育の改革を支える支援方策ということで、教育研究を支える基盤的経費、競争的資金の充実、配分の在り方の検討とかも入ってきておりますので、こういったことも視野に入れながら、今後、学術分科会としても検討を行っていく必要があるかなと考えているところでございます。
 以上、事務局からの説明を終わらせていただきます。

【西尾分科会長】 事務局からの御説明、ありがとうございました。
 多岐にわたりますいろいろな課題について、本委員会で早急に審議をしていかなければならない事項等も含めまして御説明を頂き、ありがとうございました。
 先ほど来、この委員会の審議の重要なこととしましては、科学研究費補助金等のことが何回か出てきております。これから自由討論ということにいたします。

【田村学術企画室長】 先生、稲永委員の方からも。

【西尾分科会長】 そうですね。もう一つ説明いただくことがございました。
 稲永先生、ご説明をよろしくお願いいたします。

【稲永委員】 分かりました。前期の検討状況の一つでありました、今後の共同利用・共同研究体制の在り方についての意見の整理、お手元の資料7の概要集を御覧ください。これについて、若干の説明をさせていただきます。私がこの任を担うのは、前期の研究環境基盤部会において委員を務めたからであります。
 この資料7の意見の整理は、平成27年1月の研究環境基盤部会による審議のまとめを踏まえて、今後の共同利用・共同研究体制の中長期的な在り方について、4つの視点から整理したものであります。この中は、次期、つまりは、今期、第9期において検討すべき事項まで示した内容となっています。
 1つ目の視点は、学術研究の動向に対応できる柔軟な研究組織の在り方として、共同利用・共同研究体制が我が国の学術研究の発展の中核を担ってきたことを確認しつつ、その1として、学問の内在的要求に基づいて、研究組織の在り方を変えていくことの重要性に係るもので、既存研究組織のスクラップ・アンド・ビルドも視野に入れた検討を要すること、その2として、大学共同利用機関を、時代の要請に添った構造とすべく検証を行う枠組みを作ることなどがまとめられています。大学共同利用機関法人においては、法人間での業務の共通化、例えば、広報、知的財産、研究不正への対応、契約書等の各種様式の統一化、男女共同参画に係る取組、事務職員の研修等の共通化が課題として指摘されています。今期の研究環境基盤部会においては、第4期中期目標期間における大学共同利用機関法人の在り方について議論が求められているところです。
 2つ目の視点は、大学の研究力・教育力強化への貢献として、共同利用・共同研究体制が研究者の英知を結集することで、研究力の向上に寄与してきたことを確認しつつ、体制そのものが大学関係者に必ずしも十分に知られていない現状に係るもので、まずは、大学関係者の要望を主体的に把握すること、また、大学の人材育成の貢献について、より主体的に関与することなどがまとめられています。また、今後の対応として、大学共同利用機関法人においては、組織的対話の推進及び情報発信の強化・共通化が求められているところです。
 3つ目の視点は、研究の国際化の推進に係るもので、共同利用・共同研究体制が、我が国の各研究分野におけるCOEを形成するものであり、それぞれの国際化を推進する機能や、海外組織と共同研究を行う上でのハブ機能を引き続き果たすべきことを確認しながら、まずは、諸外国のタイムテーブルに合わせた研究者公募の実施をはじめ、人的流動性の確保や、国際的な情報発信の強化など、諸外国との連携・協力関係の構築を図ること、また、海外との共同利用・共同研究における費用負担の在り方について、基本的な考え方や留意点を整理することなどがまとめられています。今後の対応として、大学共同利用機関法人においては、大学共同利用機関の活動に関する国際的な観点からの評価体制の構築が求められているところです。
 4つ目の視点は、産業界など社会との連携として、昨今、大学が民間企業と連携する、組織対組織の共同研究を進めていくことの重要性に係るもので、まず、共同利用・共同研究体制においても、産業界を含む社会との連携に果たすべき役割があることを確認しました。その上で、学術研究が産学連携に果たしうる役割や、産学官連携における学術的な成果の位置付けを整理し、加えて評価の仕組みを整理すること、また、産業界に対する窓口を明確化し、見える化を図ること、さらには、企業の若手研究人材の育成に貢献することなどがまとめられています。今後の対応として、大学共同利用機関法人においては、産業界関係者等との間で研究力向上や人材育成等に関する組織的対話を推進すること、そして、今期の研究環境基盤部会においては、異なる組織間の共同研究推進における知的財産の管理のあり方の整理が求められているところです。
 このほか、概要集には掲載されておりませんが、共同利用・共同研究体制のネットワーク化や国際的研究環境の整備を進める取組に対する重点的な支援の必要性を検討するなど、文部科学省における対応が期待される事項も整理しています。
 以上、御説明しましたとおり、特に、大学共同利用機関法人においては、諸課題への対応が求められるとともに、今期、第9期の研究環境基盤部会においては、主として、第4期中期目標期間における大学共同利用機関法人の在り方を整理することとしています。
 以上でございます。

【西尾分科会長】 稲永先生、どうもありがとうございました。
 第8期の研究環境基盤部会におきまして、今後の共同利用・共同研究体制の在り方につきまして深い議論がなされ、それが資料7の1ページ目のような形でまとめられているというところです。
 共同利用・共同研究体制というのは、日本が、今後、科学技術・学術の分野で国際競争力をいかに発揮していくのか、高めるのかということに関して、非常に重要な課題です。その観点から議論をなされ、また、稲永先生の最後の方で御説明ありましたように、今後もこれに関する審議がまだ展開されるということです。その審議に対しましても、是非、期待をしたいと思っております。どうもありがとうございました。
 それでは、今までの御説明等に対しまして、まず御意見等ございましたら頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
 ございませんか。そうしましたら、先ほどお願いしましたように、時間の関係もございますので、1人2分ぐらいしかお時間がないですけれども、今まで御説明ありましたことを踏まえて、いろいろ御意見いただければと思います。
 最初に安西先生に、科学技術・学術の振興のこと、あるいは、科学研究費のまさにリーダーシップを取っておられる観点で、御意見いただければと思います。

【安西委員】 安西でございます。
 科研費の改革についてまず申し上げますと、研究費部会や審査部会をはじめ、多くの方々に御尽力いただき、平成29年度に募集をする段階になっております。
 特徴としては、総合審査の方式を取り入れますので、狭い分野を超えて集まった研究者が合議による審査をきちっと行うという新しい一種の文化を創っていかなければなりません。これはそれほど簡単なことではないと思っておりますが、挑戦的な研究をしっかり推進していくには、どうしてもこれを超えなければなりませんので、日本学術振興会としても、そのあたりをしっかり検討している段階にあり、今後実施段階に入っていきますので、どうかご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 もう1点は、国内で一流の研究をするのは当然のこととして、あらゆる分野で国際的な場で世界の一流の研究をやっていかなければいけない。そういう意味では、日本学術振興会としては、国内で研究をやっていればいいという文化を超えるということを、今、いろいろな形で検討しておりまして、それを総合的に発信していきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

【西尾分科会長】 安西先生、貴重なコメント、ありがとうございました。
 先ほどのタスクフォースにおいても、今、先生が最後の方でおっしゃった、国際的な観点から、どのように日本の研究者のプレゼンスを示していくのかということに関して、いろいろ議論されているということですので、またそのまとめ等をもとに、いろんな議論を展開してまいりたいと思っています。
 稲永先生、今朝の総会とはまた別の観点での御意見をよろしくお願いします。

【稲永委員】 この何年間か、共同利用・共同研究体制をさらに発展させるにはどうしたら良いのかということに関わらせていただいていますが、ますます大学共同利用機関の重要性、それから、共同利用・共同研究拠点の重要性ということを認識しているところであります。
 それはなぜか。やはり人的資源の乏しい我が国、また、財政的にも基盤の弱い我が国にあって、世界に打ち勝つためには、オールジャパンの体の構築が不可欠であり、その一つの方策が、共同利用・共同研究体制だと思うからです。
 この辺のところを、本分科会でも議論していただければと思います。どうもありがとうございました。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。是非とも、審議のほどをお願いします。
 甲斐先生、お願いします。

【甲斐委員】 科研のことは朝の総会でもちょっと御説明いたしましたけれども、非常に大きな改革の一歩を踏み出したばかりですので、これからそれを本当に実現させるためには、体制が本当に動くのかということの検証も含めて、まだまだ大変だと思いますから、この1年は大変な年になるかなと思います。
 何より、研究費の安定的な確保と若手研究者が活躍できる環境の整備。言うは易しですがたくさんの問題が含まれていますので、できれば、この部会で本質的なところからもう一回掘り起こして、一番難しい問題のことをちゃんと取り上げて議論する場を作っていただけたらと思います。期待しております。

【西尾分科会長】 是非とも、そういう議論をここで展開していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 勝先生、いかがですか。

【勝委員】 私も朝の会議で申し上げたのですが、その内容は、先ほど御説明ありました、前期の分科会で検討された研究力強化に向けた研究拠点の在り方に関する懇談会、ここにかなり端的にまとめられておりまして、特に日本の非常に大きな問題というのは、論文指標が相対的に低下しているということか、国際共著論文の割合が低下していることなど科学力そのものの低下なのかと思います。
 そういう中で、先ほど稲永委員がおっしゃった、共同利用・共同研究体制の在り方についてということで、ここの部分、やはり基盤となる部分の構造的な改革というのが非常に重要になるだろうと。これはやはり閉じられたものではなくて、オープンなものになっていく、リソースを共有していくということが非常に重要なんだろうと思います。
 そういう中で、例えば、Times Higher Educationが大学ランキングを公表しているわけですが、特にランキング100位以内に日本の大学が2つしかないと悲観的に捉える向きが多いのですけれども、ただ、ランキングに掲載された980の大学の中で、日本の大学は69大学がランクインし、これはアメリカ、イギリスに次ぐ3位の水準になっておりまして、非常に広く高い研究・教育拠点があるということも示唆されることでもあるので、これは、先ほど来議論になっているような研究拠点群の厚層化ということを通じて、この分科会でそういった有意義な議論がされることを非常に大きく期待しています。
 以上でございます。

【西尾分科会長】 貴重な観点からの御指摘、ありがとうございました。
 途中で退席されるという委員の方がいらっしゃいますので、まず井野瀬先生、どうぞ。

【井野瀬委員】 急に、ちょっとどきっとしております。
 先ほど甲斐先生がおっしゃいました点が、実は、私もずっと人文・社会科学の視点からも思っていることです。優秀な学生が就職していく、このまま研究したら伸びるだろうという学生が就職していく。人文・社会科学の場合は、研究の場の、多くが大学という場なので、理系とは違って、一旦就職してしまうと、かつて研究しようと思っていたことと離れていってしまう。それがとてももったいなくて仕方がないと、ここ何年も思っています。
 若い世代に、研究する人生もいいものだと思ってもらえるように、日本社会に対するメッセージでもあるのですが、研究する人生を支えられるような、そういう議論をここでしっかりしなければならないと考えています。安定して研究に打ち込める、研究を継続できる、そういう「研究する人生」を、そういう立場を、日本の社会の中にどうやって作っていくかを、人文・社会科学の立場から、この委員会で真剣に考えてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

【西尾分科会長】 大切な観点からのご意見、ありがとうございました。
 瀧澤委員、どうぞ。

【瀧澤委員】 私は、先生方のように大学などに属しておりませんで、社会と学術の間にぶら下がっているような者かなと思っているんですけれども、今の井野瀬先生のお話にもありましたように、社会の中で学術というものの価値をもっと理解していただくということについて、私自身、もっと努力しなければいけないと思っております。
 実は先日、生物多様性条約の会議に参加したんですけれども、ああいった持続可能な発展といった分野では、特に科学というものが、考慮すべき項目の一つではなくて、全体をまとめ上げるための素地になっていると感じました。そこには、もちろん、地域の人たちの知恵とか、そういった知識も含むんですけれども、議論の土台として、社会に科学・学術というものが非常に重要であるということをもっと発信していかなければいけない。また、学術に携わる方々の間のリンケージですとか、橋渡しといったことも重要なのではないかなと思います。
 社会と学術のハーモニーということを念頭に置きながら、先生方の議論に参加させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。最後の言葉、肝に銘じて頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 では、栗原先生。

【栗原委員】 私も、ほかの先生と非常に似た意見だと思いますが、やはり今、応用とか重点化とかいうことで、非常に多くの戦略的な研究推進をされているわけですが、そういう戦略的な研究推進がされるからこそ、逆に、広範・多様な研究を支える科研費というのは非常に重要だと思っていまして、若い人たちに未知への挑戦ということの意欲を常に持ってもらえるような科研費の在り方というものをずっと支えていけたらいいと考えています。
 その一方で、どこの大学にいても、例えば、大型機器や設備が使えるというような拠点とか共同利用や共同研究も、やはり今御報告いただいたように大事だと思います。今後の在り方を考えるときに、大規模だったり小規模だったりする、いろんな従来のプラクティスがあると思いますので、そういう実践の中の良い部分をなるたけくみ取っていくようなことも、早くいい制度設計を作るという意味でも大事だと思いますし、人あってということもあると思いますので、いろいろな多面的なことを配慮して、議論が進められるといいと思っております。
 以上です。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、小長谷委員、是非ともお願いいたします。

【小長谷委員】 ありがとうございます。
 私は人文系の共同利用機関を束ねているという立場から、やはり人文・社会科学の持っている特徴ですとか、共同利用機関が持っている特徴、例えば地味なことをこつこつして、光が当初当たらなくても長期的に人の役に立つというか、そういうちょっと地味目な、その持てる強みを大いに発揮して、学際的なイノベーションの要になっていくようなことを、ここで議論できればいいなと思っております。ありがとうございます。

【西尾分科会長】 これからの議論で非常に重要な観点だと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 同じく、人文・社会科学系ということで、白波瀬先生、お願いいたします。

【白波瀬委員】 白波瀬です。よろしくお願いいたします。
 もう先生方、既におっしゃっていることが多いんですけれども、科学技術ということで、の、学術一般ということですが、人文・社会科学系の中でも、それぞれの市場の成熟度と標準化の程度というのがかなり違いまして、そこの中で、例えば、国際化ということを進める場合に、どういう形で進めればよいのかということは、やっぱり現実問題としては深刻なというか、緊急の課題なんですけれども、具体的なところが見えないというところだと思います。
 ただ、そこの中で、やはりどの試みについても評価というのがついて回るんですけれども、学際性とかが強調されるということは、専門性であり、そこにある基礎というのが極めて重要になるという側面は否めないと思います。言い換えれば、いろんな新しい試みが、必ずしもまとまったきれいな形での成果にはならないというようなことを許容していただけるようなチャレンジの在り方が、ここのところでも議論できればいいなと思います。よろしくお願いいたします。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。多様な評価については、きっちりと行っていく必要があると思います。どうもありがとうございました。
 荒川先生、是非ともお願いいたします。

【荒川委員】 私は工学の分野で主に研究している者でありますが、これまでのお話のとおり、基礎研究は極めて重要でありまして、それが我が国の研究力強化につながっていくものだと思っています。
 しかし、一方で、それのみならず、やはり産業技術研究との関わりというものも、基礎科学もそろそろ考えるべき段階にあるのではないかと思います。その際に、今までも産学連携研究というのは行われているわけでありますが、よりシームレスに、基礎科学と産業技術がどう融合していくか。あるいは、先ほどのハーモニーというお言葉もありましたけれども、それを実現していくかということを考えていくことも、1つの議論の対象になるのではないかと考えております。
 これにより、学術の研究力と産業技術研究の両方の強化をもたらすとともに、人材資源の配置の観点から、はじめはアカデミアで研究を進め、その後、産業界に行くようなキャリアパスもハッピーになるストーリーも積極的に描いていけるのではないかと考えております。
 以上です。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。我々、工学系に携わる者にとっては、非常に重要な課題であり、どうもありがとうございます。
 井関先生、お願いいたします。

【井関委員】 私、今期からこちらの委員を務めさせていただくことになりまして、いろいろ勉強することばかりだと考えております。これまでも別の研究費を扱う会の専門委員として、甲斐先生の御指導を頂きながら、微力ながら、少しは科研費改革に対して貢献できたかなとは考えております。
 今期も、科研費の改革に関しては、私なりに力を注いでいきたいと思っています。今、先生方のお話を聞きますと、いろいろな問題というのは、少しずつ、少なくともオーバーラップしているということがよく分かりまして、じゃ、このオーバーラップをなくして改革をするのか、それとも、オーバーラップを維持しながら、うまい具合に問題を解決していかなければいけないかというのはなかなか難しい問題と感じています。
 すなわち、1つを何かを変化させると、他の部分も一緒に動いていくのだということを強く感じまして、難しいとは思いますが、精いっぱい努めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【西尾分科会長】 どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 大竹先生、いかがですか。

【大竹委員】 私は社会科学の専門家ですが、人文・社会科学の振興という観点で、ここで議論させていただければと思っていることがございます。
 ここの課題に、先導的な共同研究を推進する事業の検証・改善というのが挙げられています。人文・社会科学の多くは、今まで科研費を中心としたボトムアップ型の研究でなされてきたのですが、理科系と違い、戦略的な課題設定型のものが非常に少なかった。それで、ここに挙げられているような幾つかのものが、小規模な予算で設定されるようになりました。しかし、実社会対応とか、グローバル化とか、様々な課題設定型がありますが、それをもう少し増やしていくということが、人文・社会科学系の振興につながるだろうと思っています。特に、社会科学系としては、例えば、政策評価研究というような、政策の評価をするということを課題設定に入れるというのも今後必要ではないかと思っています。
 それから、もう1点ですが、社会科学の研究振興においては、データの構築ということが非常に大事です。そこが、日本の場合まだまだ欠けていて、パネルデータや、世帯、企業についての継続的なデータの収集、あるいは、公開の仕組みというのが、諸外国に比べて非常に遅れていて、それが日本の社会科学の発展を妨げているのではないかと思っています。是非、そういったことを議論させていただければと思っています。
 以上です。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。オープンサイエンスの観点からも、非常に貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。
 小川先生、いかがですか。

【小川委員】 本日から参加させていただきまして、まだ今日はお話を聞いたばっかりなんですが。若年人口が減少しているところから、理系人材の不足ということは予測されますので、イノベーションの創出を更に活性化するために、私は、この2年ほど、主に高校生や中学生を対象にした理系進路の選択促進というようなことに力を入れていまして、特に理系の女性を増やすということで、リケジョの育成やなんかを行っております。
 今日、ちょっとお話を伺って、科研費、大事なんですけれども、科研費だけに頼らない研究を継続していく道というのも併せて複数用意されていないと、科研費の採択・不採択がもうその後の運命を決めてしまうみたいなところがあるので、そういうような幾つかのグラントが取れるような方策ということを考えて、それを普及していくということも併せて必要かなと考えました。
 以上です。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。非常に貴重なコメントでして、運営費交付金が削減され、講座費とかが枯渇していく中で、科研費だけが、その一つの命綱になりつつあります。ただし、その採択率が30%にも届かないということになりますと、もし採択されなかったらどうするのかという深刻な問題があります。そこを安全サイドにどのように補っていくのかということは、今後、非常に大事なことです。何かの策が本当に必要だと思っております。どうもありがとうございました。
 亀山先生、よろしくお願いいたします。

【亀山委員】 ちょっと大上段に振りかぶったような言い方になるんですけれども、今のトランプ時代の登場とともに、世界が大きな危機、特に様々な面で精神的な危惧があるのかなという予感を持つわけですね。そういった中で、人文学的な創造力の大事さというものは、やはりしっかりと我々が学問の中核の一角に据えるような、そういう積極的な努力をしないとまずいのではないかなという気が非常に強くしております。学問をする喜びを若い世代に伝えていく。その人たちが、次の世代へまた喜びをつないでいくということが、とても大事なことであるので。
 また、先ほど世界ランキングの話が出ましたけれども、英語という存在によって、我々の学問というものが、言葉は若干語弊があるかもしれませんけど、蹂躙(じゅうりん)されているような気がするんですね。グローバリズムという一つの大きな力による蹂躙と、もう一つは、大学のポストの数で、英語教育のポストがもうべらぼうに多くて、それが逆に英語以外に関する――もちろん、そこに多言語・多文化ということ以上に、様々な人文学の領域が入るわけなんですが、その人たちのポストだけがどんどん少なくなっていくという、こういう蹂躙のされ方があって、ここの方向性を何とか変えないと、やはり人文学になかなか人材は育っていかないのではないかという、そういう気がしております。この危機的な状況を、何とか国の力で打破していただければというふうに夢見ております。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。トランプ政権のこと、あるいは、ヨーロッパの動きが、科学技術・学術の振興においても、いろんな意味での影響を及ぼしていて、その状況の中で、この第9期は非常に重要な時期であると思っています。非常に貴重なコメントをいただききましてありがとうございました。
 喜連川先生、よろしくお願いいたします。

【喜連川委員】 私も、今回から参加させていただきます、国立情報学研究所の所長を務めておりまして、いわゆるIT系の研究をしている者でございます。極度に大きな変革案を社会に与えている技術の一つがやはりITであるということは、皆様、共通意識として認識されているかと思うんですけれども、学術の発展におきましても、やはりITのパワーをうまく使うことがすごく重要かなと感じております。学術会議で、私は情報学委員会の委員長を務めて、今年、マスタープランをヒアリングしていて感じましたのは、非常に多くの研究のプロポーザルが、ITを利活用したデータ基盤によって学問をもう一回リシェイプするというような形となっており、それが大変多かったのが非常に印象的でした。
 そういうふうに、先ほどオープンサイエンスのお話も出ましたけれども、その中でも、やはりデータ基盤が次の新たな潮流であり、これは人文・社会におかれてもそうだと思うんですけれども、変革案を与えているというとこら辺を皆様と一緒に考えさせていただく機会がありますことは、大変有り難いと思っております。
 また同時に、ITは変化の方が速すぎまして、法整備が追いついていないということが非常に大きな課題でして、研究者にとりますと、どこまでをやっていいのか、やってはいけないのかというのが非常にアンクリアになっておりまして、こういうやや悩ましい状況につきましても、日本の力を最大限にするために議論ができればと思っております。
 以上でございます。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。最後の御指摘は、本当に重要な問題であると思っておりまして、今後、何らかの方針がきっちり出てくるということでないと、現場は多分混乱するのではないかということを思います。今後、そういうことについても、分科会において情報提供をして、審議してもらうということを考えたいと思います。ありがとうございました。
 小林先生、いかがですか。

【小林委員】 私は社会科学ですけれども、大竹先生と同じ意見で、やっぱり日本の文系のデータ化が非常に遅れている。欧米と比べてではなくて、アジアと比べても遅れていると。資料4を拝見すると、学術情報のオープン化というのは何度も議論されていて、今期でも、学術情報の発信力強化及び大学図書館の機能強化というところに書かれているんですけれども、大学図書館で本当にそれができるのかなというのが、私としては疑問に思います。
 データ化が遅れているというのは、データを作るということ自体が遅れているというのと、そのデータがもうタコツボ化されているんですね。それぞれの研究者が握って離さないみたいなところがある。それをみんなで使おうという発想がなくて。
 大学図書館というと、その大学に閉ざされてしまうようなイメージがあって、私は、もっとジャーナルをJSTのJ-Dreamでオープンにしているような、もっとそういうふうにしていく必要が。でないと、とてもではないけど、世界の大学ランキング競争に太刀打ちできないのではないかなという気がしています。これが1点です。
 もう1点は、資料4の8ページの人文・社会科学の評価の在り方の問題で、これは人文・社会科学でも、文学部と経済学部と法学部で評価の仕方は違いますけれども、今、理系と違うから、そこは余り見なくていいみたいな。そうではなくて、文系は文系できちんと、やっぱり競争しなければいけない。ほかの国は、それぞれの分野ごとに、ちゃんと競争しているんです。何でそれを日本で参考にして、それぞれの評価基準にしてやらないのかというのが、私が、なぜそれが進まないのか、何年言っても進まないんですけれども、それがちょっと不思議だなというのを思っております。
 それから、稲永先生がかなり御努力して、共同利用・共同研究体制、本当に共同利用機構は、私は、重要性はますます重要になってくると思いますが、やはりミッションとして、大学の研究力・教育力強化への貢献があるので、その研究の課題設定は、公募をちゃんとしてほしいと。機構の方でもう全部決めてしまって、そこに入れてあげるよではなくて、そこが持っているいろんな施設や資料を使って、それぞれの大学が何ができるかという公募をちゃんとやってほしいと思います。
 それから、産業界と社会との連携の話になってきますと、実は、大学のJ1、J2、J3という評価は、表現は適切かどうか分かりませんけれども、国立大学によっては、ミッションは、地域社会と生きるというミッションを持っているところがあります。そこで、一方で、地方創生と言われます。例えば、今年度予算、たしか事業費規模で2,000億円ですけれども、2回に分けて公募して、結局、1回目が550億で、2回目が55億で、600億しか使っていないんですよね。理由はなぜかというと、ものすごくデータエビデンスで提案しなければいけないんです。それができるのって、都道府県や政令市は自分でできますけれども、それ以外の市町村にやれという方が、私は無理だと思います。本当に霞が関から出向している方がいて、その方が努力してやっているところはやれていると思いますが、他はなかなかやれていない。だから、そういうところが、私は、地方の大学でもやるべきこと、果たすべきこと、まだまだたくさんある。それが、だから、産業界だけではなくて、「等」が大事で、やっぱり自治体を含めて、社会にどう連携していくのかということは議論すべきだと思います。
 それから、誰もおっしゃらないので、ここのテーマではないのかもしれませんが、若手のことですね。これ、資料5を見て驚くんですけれども、博士課程に行く人が減っている。平成12年に進学率15%が、今、9.4%しかいません。これ、やっぱり奨学金の問題です。
 一例を挙げますと、福井県、私、福井と何の縁もないんですが、なぜか福井県の行政評価委員長というのをしているときに、あそこは、ものづくりが重要で、人材が足りないんです。で、福井県は、大学院、県外でもいいんですけれども、理系の修士を出た後、福井に来て7年働いたらば、その修士課程の授業料と生活費は県が出すというのを作ってもらった。その結果、福井県出身で県外の大学に進学した女性で戻ってくる割合が35%、男性で、県外の大学に進学して戻ってくる割合が64%です。これは、ほかの県と比べて圧倒的に高いです。
 やっぱりそれだけ、今、授業料の問題が非常に問題になっている。それが、もっと根本的な、高尚な話は分かるんですけれども、もっと基盤から日本の科学技術が危なくなっているのではないのかなという気がします。
 幸い、文科省と総務省さんが一緒になって、今度、学生支援機構の返済の一部を補助するというのを始めていただいたのは、あれは非常にすばらしい試みだと思いますけれども、やっぱりそういうことをしていかないと、とてもではないけど厳しいと思います。
 それから、本当に給付型奨学金も入れていただいたのはいいんですけれど、3万円ですよね。本当に私のゼミの一番優秀な学生が、残念ながら、アメリカの大学院に行ってしまいますけど、これ、奨学金、6万ドルなんですよね。とてもじゃないけどかなわないという、今、そういう状態にあります。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。3つの観点からご意見をいただきましたけれども、最初の図書館の役割等については、私も先生が今もっておられる危機感を共有いたしております。そういったことも含めまして、今後、関連部会で審議していただくことにしたいと思います。
 里見先生、国立大学の協会長のお立場も含めまして、ご意見をいただけますか。

【里見委員】 東北大の里見です。第8期からこの委員会に参画しておりますが、活動する時間があまり取れませんでした。せっかく9期にも入れていただきましたので、今度は活動していこうと思っております。
 委員の方々の報告を聞いておりますと、もうかなり深いところまで議論が進んでいますので、私が改めて意見を出すようなこともあまりないのではないかと思います。ただ、これが具体的な成果として表れないというところに大きな問題があるような気がいたします。
 先ほど小林先生が話されましたけれども、今、大学では、若手がなかなか研究の方に参加しなくなっています。特に修士や博士課程に進学する学生が徐々に減っています。大学の基礎研究が段々枯渇していくということは大きな問題になりますが、これに対処する方法というのもこれまで多くの方が提案されてはいるんですよね。それが具体化されていないというところに問題がありますので、できるだけそれを具体化する方策について、いろいろ議論していければと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。
 永原先生、最後になってしまいましたがお願いします。

【永原委員】 永原でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、ここしばらく学審の学術システム研究センターで、科研費の配分ですとか審査の現場に関わっておりますが、一番の問題は、今、既に里見先生から御指摘があったように、審議会等では、本質的なことが議論され、従来の報告書を拝見しますと、実に重要な問題がかなり前から指摘されて、改善方向も指摘されているのですが、一番の問題は、研究者自身ですね。多くの研究者自身にそれらのことが全く伝わっていません。それをどのように伝えたらよいのかということが問題ではないかと思います。
 確かに、環境がよろしくありません。詰まるところ、運営費が少なく科研費の獲得競争になり、その結果、とにかく業績がなくてはということで、研究者は、論文が少しでもたくさん書ける内容の科研費の申請をするし、審査員はひどい場合は、申請書をよく読まないで、この人は論文がたくさんあるというだけで点数を付けるほどです。日本の研究者がどこかおかしくなってしまっている感じです。特に若い人は、物心ついたときにはすでにこのような状態にいるのです。これでは幾ら挑戦的という新しい枠組みを作ってみても、多くの若い研究者は、それよりも、3年後にこれで論文が幾つ書けるかなとしか考えません。さらに、ポストもないので、ますます論文を多くすること、それしか考えません。本来、学術というのは、もっと自由になされるべきだとは思ってもみません。年配者は、学術はこうあるべきだと思っていますが、本来は一番クリエイティブであるべき若い人が、自由な発想で、自由に研究しようと思っていないのが現状です。
 このような現状をどうしたら変えられるのかとことを議論する必要があると思います。報告書で書かれていることは、本当にすばらしく、問題点も実に的確に指摘されていますが、これをどのように実現したらよいかという問題ですね。今、既に御指摘がありましたように、この問題をみなで論じていかなくてはならないと思います。科研費改革の意図も、実は、研究者たちにほとんど伝わっていないのですね。審査会で説明したり、その場で委員のみなさんから意見を伺ったりしていますが、科研費改革が行われなくてはいけない理由や、改革の意図はまったく理解されていません。ですので、学術とは何かとか、現状でよいのかということを現場に投げかけるには、どうしたらよいかという議論を是非したいと思います。

【西尾分科会長】 本当に貴重な観点ありがとうございました。非常に重要な観点を御指摘いただきましたので、第9期では、そういう観点からの議論も是非行っていきたいと思います。
 短い時間で恐縮だったのですけれども、各委員から本当に貴重な御意見を頂きました。いただきました御意見については、単に聞くだけ、聞き流しということでは考えておりません。皆様方から頂きました御意見をきっちり整理しまして、委員会であるとか部会の議題に必ずフィードバックさせていただき、それについての審議を深めていただくことを、事務局の方々と一緒に企画してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。本当に貴重な御意見、ありがとうございました。
 それでは、本日の委員会は、このあたりで時間が来ておりますので、今後のスケジュール等について、事務局より説明をお願いいたします。

【田村学術企画室長】 次回の学術分科会の日程につきましては、早急にまた日程調整の上、改めて御連絡させていただければと思っております。
 本日の資料につきましては、お名前を御記入の上、卓上に残していただければ、郵送させていただきます。
 また、議事録についてでございますが、後日、メールにてお送りいたしますので、御確認の上、修正の上、公開というような形で今後もやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【西尾分科会長】 どうもありがとうございました。
 本日の会議は、これにて終了といたしたいと思います。貴重な御意見、どうもありがとうございました。


―― 了 ――


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-- 登録:平成29年12月 --