ここからサイトの主なメニューです

学術分科会(第54回) 議事録

1.日時

平成25年9月30日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省3F講堂

3.出席者

委員

(委員、臨時委員)
平野分科会長、奥野委員、甲斐委員、鎌田委員、小谷委員、高橋委員、西尾委員、羽入委員、荒川委員、大沢委員、亀山委員、小安委員、鈴村委員、瀧澤委員、武市委員、鍋倉委員、野崎委員、藤井委員、宮下委員
(科学官)
上村科学官、小菅科学官、塩見科学官、島野科学官、関科学官、中島科学官、美濃科学官

文部科学省

藤木文部科学審議官、板東文部科学審議官、布村高等教育局長、吉田研究振興局長、川上政策評価審議官、関文教施設部長、小山企画評価課長、生川振興企画課長、袖山学術研究助成課長、下間参事官(情報担当)、斉藤政策課評価室長、佐藤人材政策推進室長、中野学術企画室長、齊藤競争的資金調整室長、山口学術研究助成課企画室長、鎌田企画評価課企画官

4.議事録

【平野分科会長】
皆さん、こんにちは。多くの方々が、お集まりいただきましてありがとうございます。大きい会場を用意していただきましたので、お互いが少し離れておりますが、是非皆さん方、熱心な討論を顔が近づいているというぐらいの気持ちでお話をしてもらえればと思います。よろしくお願いします。今日は、皆さん方にこの前議論いただきまして御案内したように、東北大学の小谷先生からも実際のWPIの活動の例を踏まえても御発表いただきますので、よろしくお願い申し上げます。
第54回の学術分科会を開催させていただきます。
事務局より配付資料の確認をお願いします。

【中野学術企画室長】
本日の配付資料でございますが、お手元の議事次第に配付資料一覧として示させていただいております。大部になりますので一つ一つの確認は省略させていただきますが、資料の欠落等ございましたら、その都度、事務の方までお申し付けいただければと思います。

【平野分科会長】
よろしいでしょうか。では、議事に入りたいと思います。本日は、まず各部会等の審議状況、研究及び開発に関する評価指針改定案、学術及び大学改革を巡る動向、大学の研究力強化についての御報告、御議論を頂くということになっております。まずは各部会等の審議状況等についてですが、研究費部会、それから、学術情報委員会で報告書を取りまとめてくださっておりますので、その報告書に基づきまして御発表していただきたいと思いますが、研究費部会の報告については、小谷研究費部会長代理から、学術情報委員会の報告については西尾学術情報委員会の主査より御報告をお願いします。
では、まず小谷委員からよろしくお願いします。

【小谷委員】
よろしくお願いいたします。資料1-1の31ページをごらんください。31ページからの概要に基づいて説明させていただきます。第7期の研究費部会においては、科研費を中心とする学術研究助成の在り方全般について検討を行い、一定の方向性が得られた事項について審議の取りまとめを行いました。以下、その内容について御説明申し上げます。
まず、最初に学術研究助成に関する基本的な考え方ということで三つまとめております。最初の○では、学術研究への継続的な支援は、将来における学術のブレークスルーやイノベーションの芽を絶え間なく育むことであり、国民の負託を受け学術研究に従事する者は社会の要請や課題を十分に認識した行動が求められていること。二つ目の○は、そのようなイノベーションの芽を育むためには、課題解決型の研究の重点的な推進と独立的で多様な基礎研究の抜本的強化とは車の両輪であり、そのような独創的な基盤研究を次のフェーズに適切につなぐための取組が今後ますます重要であるということ。3番目の○では、科研費は人文・社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり、また、萌芽(ほうが)的な段階から学術研究を支える他の政策手段にはない大きな役割を果たしていること。そして、研究現場の機能発揮のためには研究費の拡充はもとより、基盤的経費の確保、プロジェクト研究への間接経費措置や研究大学強化促進費の拡充等、研究環境改善のための支援の一層の拡充が必要であるというようなことが書かれております。
次に2番目の項目といたしまして、科研費による研究活動の論文生産性等でございます。こちらは総合科学技術会議から「資金の大幅な増加が結果に結びついていない」との指摘を受けたことを踏まえつつ、科研費による研究活動の論文生産性につきまして、科学技術・学術政策研究所の検討、つまり、Web of Scienceと科研費助成事業データベース「KAKEN」との論文情報のマッチング等による分析結果等に基づき検討を行いました。その内容ですが、2番目の丸に具体的にデータが挙がってございます。
我が国の論文における科研費が関与した論文の状況は、科研論文数は約1.5倍に、被引用トップ10%論文は約1.4倍に増加していること、科研論文は我が国の論文数の約5割を占め、被引用トップ10%論文数の約6割を占めていること。被引用トップ10%論文の割合は科研論文では10%超である一方で非科研費論文は5%台であることから、科研費は我が国の論文産出における量及び質の両面で大きな役割を果たしており、分析期間における予算額の増加に対応して増加傾向にあり、全体として科研費による研究成果は着実に上がっていると考えられる。このように分析をしております。
次、おめくりいただきまして研究種目ごとの論文産出状況、各論と書いてあるところの(ア)でございますが、こちらに関しましては、まず採択件数の多い種目は論文産出数や研究費当たりの論文数が多いこと。質の高い論文の割合は研究費規模の大きい種目ほど高いこと、「若手研究」は同規模の「基盤研究」よりも質の高い論文の割合が高い傾向があり、各種目の趣旨・目的が反映されており、制度の枠組みが十分機能していると考えられることが書いてございます。
次に(2)ですが、研究費と論文生産性の関係についての考察も行っております。まず、論文産出が伸び悩んでいるのは主要国で我が国のみである要因としましては、投資額の伸びが主要国に比べ過小であることをまず指摘する必要がある。更に論文と相関性が高いと考えられる政府負担研究費の割合も低水準となっていることが書かれてございます。そして、大学の基盤的経費は論文産出への影響が極めて大きいことに十分留意する必要がございますが、研究費の遍在やプロジェクト経費の間接経費の措置等の必要もここで十分留意することが必要であると述べてございます。
そして、次に33ページでは科研費における当面論ずべき制度・運用改善の方針について、「我が国の研究開発力の抜本的強化のための基本方針」等に基づき、多岐にわたる事項を審議した結果に基づきまして以下のように述べてございます。まず、1番目の事項として研究活動の国際化進展に対応した科研費の在り方でございますが、特に外国人研究者への配慮といたしましては、来日当座の支援として「研究活動スタート支援」の一層の周知を図るとともに新規採択率を向上させること。それから、応募手続上必要なWeb入力関連部分について英語併記等の一層の便宜を図ること、毎年度提出が必要となる研究実績報告書等における英語記入を認めること等が述べられています。
2番目の項目といたしまして、若手研究者の更なる活躍を促すための科研費の在り方といたしまして、特にポスドクに「特別研究員奨励費」以外の研究費の一定の研究種目への応募・受給を可能とするとともに、間接経費を措置することが適当であること。そして、次でございますが、「若手研究(A)」は非常に大きな効果を上げていることから、「研究活動スタート支援」についても同様に新規採用率を向上させることの必要が書いてございます。3番目の項目といたしまして、新研究分野支援のための科研費の在り方でございますが、分科細目表の見直し時期を柔軟化すること、時限付き分科細目にかかわる課題(小規模のもの、重複制限、2段審査等)の改善をすることが必要であるということで、「基盤研究(B・C)」に新たな審査区分として「特設分野研究」を試行的に導入することが必要であると述べられています。さらに、分科細目表が研究の蛸壺(たこつぼ)化を助長している側面があり、細目の在り方等については抜本的な見直しが必要という意見もございましたので、引き続き検討をすることとしております。
最後に研究者倫理教育でございますが、研究上の不正行為(ねつ造、改ざん、盗用)について、これは第一義的には学協会や所属研究機関が果たすべき役割ですが、資金配分機関としても一定の対応が必要であること。特に各研究機関における一定の履修を科研費の支給条件にすることや研究者倫理教育等に関わる体制整備を機関管理の要件とすることについて検討すべきであることが述べられています。しかしながら、分野ごとの実情や文化的な違いがございますので、研究現場を取り巻く現状の改善に向けた対応も必要であり、関係する方面での更なる議論が望まれております。
ということで、以上が概要でございます。

【平野分科会長】
どうもありがとうございました。
続きまして、学術情報委員会の御報告を西尾主査からお願いします。

【西尾委員】
それでは、御報告を申し上げます。学術情報委員会では学術振興を支える学術情報の発信、流通に関わる諸課題、基盤となるコンピュータネットワーク、大学図書館の整備等に関する審議を行っております。本委員会においては、これまで学生支援の側面からの審議は余り行ってはこなかったのですが、平成24年8月の中教審の答申を始め、学生の主体的な学びの確立に向けた大学教育の質的転換として、図書館の整備やICTの利活用の促進等、学術情報基盤整備に関わる内容が多く含まれておりますことから、学修環境充実のための学術情報基盤整備の在り方について審議をすることとしまして、皆さん方のお手元の資料1-2のとおり、その審議をまとめ、先般8月にそれを発信いたしました。資料1の21ページを開いていただけませんでしょうか。ここに審議のまとめの概要がございますので、このページに沿って簡単に紹介をいたしたいと思います。
まず、背景としまして、我が国の国際競争力強化のための人材育成の重要性、学士教育における学修時間、特に授業時間外の学修時間が少ない現状、これらを踏まえ、教育振興基本計画等において明示されているアクティブラーニングへの転換のための課題認識について言及しました。学修環境充実のための学術情報基盤整備の在り方としては、主体的学習に必要なコンテンツ、学習空間、人的支援の3要素について有機的な連携が重要であるとしました。
22ページに移っていただきたいのですけれども、まず、コンテンツについては利活用の促進のため、電子化の促進が課題であり、学術書とともに教材や講義の流通、保存、それから、最近非常にクローズアップされていますMOOC、これは日本語では大規模公開オンライン講座といいますけれども、そのMOOCをはじめとするオンライン教育の体制整備を進めるべきであり、また、最近の傾向としてデータについての流通管理システムの整備も必要であるとしました。更に電子化の流れに併せてコンテンツの適切な管理を行い、アクティブラーニングのための学習空間の確保を検討すべきであるとしました。
次に第2番目の要素であります学習空間については、学生の多様な学習活動に対応可能な空間を用意するとともに、開放性、透明性の高い空間とすることが重要であり、見る、見られるという環境の中で学生の互いの学習意欲を刺激するとともに、教員の教育姿勢にも好影響を与えることを指摘しました。
次、23ページですけれども、人的支援、これは三つ目の要素でございますが、単に空間を提供するだけでなく、大学院生、図書館員、教員によるサポート体制の構築が必要であり、学生同士が支援し合う、ピアチュータリングの推進も重要としました。
加えて、組織運営として大学内における図書館、情報系センター、教材開発センターなどの関連組織の連携とともに授業を担当する教員が協力する実施体制が重要であること、学術情報については効果的な充実を図るため、情報ネットワークやクラウド環境の構築等を通じて、できる限り共有すること。また、大学教育の質を保証し、アクティブラーニングの効果を向上させる観点から、教育課程で提供する情報の標準化や教育課程の体系化が必要であること。更に取得した学習データについては、学生の指導に生かすべきであり、利用者制限等を適切に施した上で学生の学習到達度など学習効果の分析、検証に利用できるシステムを構築する必要があることなどについて提言しました。
最後、24ページでございますが、今後の展開における考え方として教室や図書館を中心とした物理的空間とICTの活用による仮想空間を組み合わせ、効果的な学習を展開するための基盤整備が重要であるとともに、その際、各大学が画一的なサービスを提供するのではなく、大学教育は多様性が重要であることを認識し、学生のニーズや特性等の状況に応じてユニークで効果的な基盤整備を展開すべきとしました。
以上でございます。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
ただいま二つの委員会から御報告いただきましたけれども、何か御質問等ございましたら是非よろしくお願いします。どうぞ。

【小菅科学官】
小谷先生が発表された学術研究助成の在り方についてですが、最近、米国のファンディングシステムを調べる機会がありまして、トランスフォーマティブリサーチというコンセプトが日本の研究助成にないことに気がつきました。アメリカはDARPAだけではなくてNSFもトランスフォーマティブリサーチというのをきちっと言っておりまして、それはどういうのかというと将来の我々の生活とか社会を変える可能性があるような、そういう研究に投資をするというふうに書いてあるんですね。
それは課題解決でもないし、基盤研究でもないのですが、どのような研究でも、社会の変革につながるようなものに対してちゃんと投資をするというふうにきちっと書かれておりまして、それがひょっとしたら日本に欠けているように思えます。サイエンティフィックな研究だったら何でもいいというふうにちょっと勘違いしているようなところがあるような気がいたします。是非,将来の社会や我々の生活に影響を与えるような研究かどうかという観点から研究を評価することによって、社会にインパクトのある研究に対して助成をするということをどこかに一言入れておいていただくといいのではないかと思います。要するに基盤研究とか課題解決とかというものの、課題解決と言うと何かすぐに解決しなければいけないようなイメージがあるのですが、そうではなくて将来的にいろいろきちっと社会にインパクトのあるようなものに投資をすることによって、やがてその課題は解決されるでしょうし、イノベーションが起こると思いますので、是非そういう観点のことを少し御検討いただければ有り難いと思うのですけれども。

【平野分科会長】
どうぞ。何かありますか。

【小谷委員】
先ほど紹介させていただきました概要の最初の方にございますとおり、課題解決と基盤研究が車の両輪であり、その次のフェーズに適切につなげていく取組がますます重要であると書かれてございます。この部分はまさしく先生がおっしゃったとおりで、課題をすぐ解決するということではなくて、むしろ社会を変革していくために独創的な基盤研究がどのように活用されていくかという視点が必要であることを指摘しているものです。是非先生の御意見を反映したいと思っております。よろしくお願いします。

【小菅科学官】
ありがとうございます。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。どうぞ。

【藤井委員】
今の意見、とても賛成なのですが、そういう研究というのは割とリスクを伴うというか、成果が上がる場合もありますが、うまくいかない場合もあるので、そのことも是非考えていただければ有り難いなと思います。

【平野分科会長】
よろしいですね。いいですか。

【小谷委員】
結構です。今、ハイリスクという言葉も随分いろいろなところで聞かれていますので、取り入れたいと思います。

【平野分科会長】
あと事務局から報告を頂きますが、評価の項目でも今のようなところでの議論はされておりますが、良い形で反映していけばと思っております。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。続きまして、科学学術審議会研究計画・評価分科会の中の研究開発評価部会において審議されております文部科学省における研究及び開発に関する評価指針改定案について説明をしていただきます。よろしくお願いします。

【鎌田企画評価課企画官】
科学技術学術政策局で研究開発評価担当の企画官をしております鎌田でございます。私の方から資料2-1に基づきまして、現在、文部科学省研究開発評価指針の改定が行われていますので、その状況につきまして御説明させていただきます。
資料2-1の1ページでございます。まず、我が国の研究開発評価の背景についてでございますけれども、科学技術基本計画を踏まえまして、国の研究開発評価に関する大綱的指針が内閣府総合科学技術会議の方で作られており、それを踏まえ、文部科学省も含めまして各省で研究開発評価指針を定めております。その研究開発評価指針に基づきまして各大学、あるいは研究開発法人で評価の実施を行っていただいているという状況でございます。
2ページ目でございますが、文部科学省研究開発評価指針の概要でございます。基本的考え方として、評価の主たる意義などについてまとめるとともに、対象別事項といたしまして研究開発施策、あるいは課題、機関、研究者の評価に係る参考となる留意事項などがまとめられたガイドラインとして機能しているところでございます。
1ページおめくりいただきまして3ページでございます。これまで科学技術基本計画等様々な機会を捉え、内閣府において大綱的指針が改定され、それを踏まえ文部科学省の研究開発評価指針も改定されてきており、今般、昨年12月の大綱的指針のが改定を踏まえ、文部科学省の研究開発評価指針の改定について研究開発評価部会を中心に御議論いただいているという状況でございます。
4ページ目でございますが、その研究開発評価部会、本分科会長をされております平野部会長の下、有信作業部会主査などの検討チームを中心に論点整理をおまとめいただきまして、今年の4月に科学技術・学術審議会の総会におきましても、その改定の基本的方向性をお示しいただきました。論点は五つ、主なものとしてそこに挙げられてございますけれども、1点目として科学技術イノベーションの創出、課題解決のためのシステムの推進、2点目といたしましてハイリスク研究、学際・複合領域・分野間連携研究等の推進、3点目といたしまして次代を担う若手研究者の育成・支援の推進、4点目といたしまして評価の形式化・形骸化、評価負担増大の改善、5点目といたしまして研究開発プログラム評価という五つのポイントでございます。
1ページおめくりいただきまして5ページ目でございますけれども、研究開発評価部会及びその作業部会の関係の委員のメンバーでございます。黒丸印を付けている先生方が作業部会で集中的に御議論いただいた先生方でございます。
6ページ目でございます。各論に入らせていただきます。この論点を全て紹介させていただく時間はございませんので、ピックアップさせていただきまして掲載させていただいております。まず、指針改定に当たっての背景、課題の認識でございますが、東日本大震災で顕在化した科学技術の課題への対応を図るため、研究者自身が社会の要請を的確に把握し、多様な専門知を結集などして課題解決をしていくような必要性があるという点。それから、国際的には、サイエンス自体の方法・体制・規範などについて急速な変化が求められており、この潮流を踏まえて、我が国の科学研究、研究開発評価につきましてもグローバルな視点で進めていく必要があるという点。
それから、厳しい経済、財政事情の中、限られた資源・財源で研究開発を行っていかなければいけないという事情を踏まえて、科学者コミュニティ自らが研究開発活動の意義・在り方について考え、改善・行動し、説明していくという姿勢を示す必要があるという点。それから、第4期基本計画では科学技術イノベーションを推進するという点が掲げられておりますけれども、そのためにも基礎研究・学術研究の推進は重要である。ただし、最新の科学技術・学術の知見を基に既存の学理の再体系化を促すというようなことも意識しながら基礎研究を推進することで、科学技術・学術の進歩に資する研究成果の効果的な創出をするべきであるという点。
1ページをおめくりいただきまして、こちら、(g)につきましては国やファンディングエージェンシーの課題でございますけれども、研究開発施策と高等教育施策などの人材育成施策というのがより有機的な連携を図っていく必要があるかという点。それから、(h)でございますけれども、評価の頻度・負担の増大による弊害が発生しているという課題の点でございます。それから、最後、(j)でございますけれども、評価を導入・システム化してきた結果として、逆に意思決定プロセスの不明確化が生じているという事態もございます。そのため責任・権限を有する主体を明確化して、その主体が適切な判断を行うために評価が活用されるべきであるという観点から評価の在り方を再構築していくべきというような課題も御議論いただいているところでございます。
このような現状課題を踏まえまして、評価指針の改定を御議論いただいたところでございますが、一つ目、科学技術イノベーションの創出、課題解決のためのシステムの推進の具体的な御提言の内容といたしまして、まず(a)でございますけれども、今後、課題解決のためのシステム化を促進するため、知の探求のみならず社会ニーズに対応した知の活用を促し、成果の受渡し、成果の実用化など社会実装に至る全段階を通じた取組を評価すべきであるという点。それから、(c)の論文関係につきましては、論文発表数等については客観的な評価指標でありますけれども、その数値だけに頼り安易に目的化するということは適当ではなく、必ずしも論文主義に偏重し過ぎないようにするという点。それから、(e)でございますけれども、イノベーションの創出につきましても基礎研究・学術研究の活動は不可欠でございますけれども、自由な発想に基づく研究といえども聖域化することなく、分野、課題等に応じた適切な目標を明確に提示するとともに、期間について明確な意識と得られる結果の価値を研究者自ら評価し、説明していく等の取組を推進することが重要であるという点が御議論いただいているところでございます。
それから、次のページでございます。インパクトの大きなハイリスク研究、学際・複合領域・分野間連携研究等の推進につきましては、例えばハイリスク研究の事後評価につきましては、当初の目標達成に失敗しても次につながる有意義なものとして評定するということを許容するような評価基準を設定することが大事であるという点。それから、ハイリスク研究につきましては、評価者の立場からしますと、なかなか客観的で明確な評価基準を持って評価・判断するということは困難でございますので、プログラム・オフィサー、あるいはプロジェクトリーダーなどに裁量の権限を委ねるということで評価の仕組みを構築するという点も重要であるという点でございます。それから、学際・融合・分野間連携研究につきましても、様々なプログラム・制度がございますけれども、それらにおきましても、その分野間研究等に不利にならないように扱い方を明記するというようなことで研究の芽を適切に拾い上げるということが必要であるという点を御審議いただいているところでございます。
次の次代を担う若手研究者の育成支援の推進の課題につきましては、若手研究者が励まされ、創造性を発揮しやすくなるような評価方法を検討する。それから、若手研究者の経歴・年齢・国籍などの属性が多様化しているという状況を踏まえまして、それらの人材を不当に不利益を被ることがないような評価制度を構築すべきだという点。それから、研究支援者、技術者の役割につきましても、言うまでもなく大切なことでございますので、それらの方々の活動、能力等を適切に評価するような仕組みが大切であるという点。それから、国や資金配分機関の課題といたしましても、個々の若手研究者に評価資料の作成負担をかけるような評価を行うというのではなく、研究代表者を対象の中心として評価を行うような評価の在り方に切り替えていくべきだという点でございます。
次のページをおめくりいただきまして、評価の形式化・形骸化・評価負担の増大の改善に係る課題でございますけれども、評価の質を高めるということがまず第一に重要でございまして、評価の観点・項目、これらにつきまして網羅的に評価をするというのではなく、重み付けを行って研究特性、方法等を踏まえた評価の在り方を構築することが重要であるという点。それから、国におきましても、研究資金制度の全体構成、基盤的資金とのバランス、あるいは社会情勢を踏まえた研究開発以外の施策全体の在り方につきましても適切に評価していくことが重要であるという点。それから、評価者の課題でございますけれども、プログラム・ディレクター等の評価者は、当該案件に相当の時間・労力を掛けるということが可能であるとともに、内容・事情等にも精通している必要があり、そのような責任・権限を行使できる体制を整備していくことが重要であるという点でございます。
最後に研究開発プログラム評価、内閣府の大綱的指針で導入された概念でございますけれども、これらにつきましても例えば既存の評価体系と合理的、実効的な形で導入を進めるべきであるという点。それから、基礎研究、学術研究につきましても文部科学省の施策といたしまして、その特性に十分配慮、考慮するようなやり方で導入すべきだという点。それから、最後でございますが、研究開発プログラムの企画・立案の段階から国や資金配分機関、PD・POなどが参画して役割分担を明確な形で実施していくというようなことも重要な課題であるという点が御議論いただいているところでございます。
以上の内容が資料2-4にございますが、現在、文部科学省研究開発評価指針の具体的な改定案として下線、あるいは下線の見え消しの形で現状の案を御提示させていただいております。研究開発評価部会を中心に御審議いただいており、今後、科学技術・学術審議会の御審議やパブリックコメント手続等を踏まえまして、できれば年度内の改定を視野に入れて御審議いただいているという状況でございます。
以上でございます。

【平野分科会長】
ありがとうございました。
ただいま問題点、あるいは議論している論点について説明をしてもらいましたが、何か御質問等ございましたら、是非よろしくお願いします。どうぞ。

【小安委員】
2点お願いいたします。1点目は10ページの次代を担う若手研究者の育成支援というところですが、恐らくCというところに若手研究者の経歴等々が多様化しているという点が含まれるのだろうと思います。昨今、若手研究者がポジションの非常な不安定性ということを抱えていると多くの方が認識されていると思うのですが、そういう観点も入れないと思います。例えば、パーマネントのポジションを持っている方と任期制の方の間で同じ評価軸でいいのかどうか、そういうことがいろいろ議論されていると思います。そういう点が少し入るような配慮をしていただいた方が良いのではないかというのが1点です。
2点目はもう少し大ざっぱな話になってしまうのですが、これは改定案ということですね。この2-4を読み込めばいいのだろうと思うのですが、全く時間がないので、どういう点に最も集中してこの改定を行っているかというところを少し御説明いただかないと良く分かりません。もう少し補足をしていただけると有り難いです。

【平野分科会長】
事務局、いいですか。

【鎌田企画評価課企画官】
ありがとうございます。若手研究者の多様性の観点につきましては、御指摘いただきましたように重要な課題でございます。研究開発評価部会におきましても御審議を頂いているところでございますが、指針に具体的に盛り込む内容として、御指摘いただいた点も踏まえまして適切な表現を検討させていただきたいと思います。
それから、改定案のポイントでございますけれども、時間が限られている中、大変早口な説明で恐縮でございます。端的に申し上げますと、先ほど御説明の資料2-1の4ページ目でございますけれども、この五つの科学技術イノベーションの創出やハイリスク研究の推進、若手研究者の育成・支援の推進、評価の形式化・形骸化の改善、研究開発プログラム評価、これは全て重要なポイントとして御議論いただいているところでございますけれども、実際、内閣府の大綱的指針で改定された内容は、最後の研究開発プログラム評価の部分だけでございまして、文部科学省の評価指針といたしましては、これ以外にも重要な課題があるということで四つ加えて御審議をしていただいているという状況でございます。

【平野分科会長】
そのほか、よろしいですか。ありがとうございます。是非この分科会の委員の方々から御意見があったら、まず事務局にまたお寄せいただいて、評価部会で議論を続けて取りまとめに入りたいと思っております。よろしくお願いします。資料2-4を見ていただきますとお分かりのように、今いろいろな状況があります。議論真っただ中でありますので、是非御協力よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
続きましては、学術及び大学改革を巡る動向についてであります。学術研究関係予算の概算要求の状況、それから、研究大学強化促進費の進捗状況、昨今の研究不正等の事案を踏まえまして、福井副大臣の下に設置されております研究不正タスクフォースの中間まとめについて事務局より説明をしていただきます。よろしくお願いします。

【中野学術企画室長】
まず、事務局より平成26年度概算要求の概要について御報告させていただきます。お手元に資料3-1を御用意いただきたいと思います。資料3-1でございますが、前半の方に学術研究関係予算として、26年度概算要求のうち、とりわけ学術研究に関係の深いものをピックアップしたものがございまして、その後7ページ以降、より詳しい資料を参考として添付させていただいております。時間の関係で関係予算1ページから6ページまでを中心に御報告をさせていただきたいと思います。
まず、1番といたしまして大学等における研究力の強化でございます。(1)世界水準の優れた研究大学群の増強、こちらは前期のこの学術分科会での御審議も踏まえまして、平成25年度より研究大学強化促進事業として立ち上げさせていただいているものでございます。後ほどこちらの促進費につきましては御説明いたしますが、今年度、22機関を採択したところでございますが、来年度要求に向けましては24億円の増要求ということで、研究に関して特定の面で突出した力のある機関を追加選定し、支援を行うという方向で要求しているところでございます。(2)といたしまして、多様な学術研究への支援でございます。まず、科学研究費助成事業、これは先ほど御報告いただきました研究費部会の御提言を踏まえまして、対前年度20億円増の助成額を確保するとともに、とりわけ先ほどの部会の御提言にもありました若手研究者の自立支援、あるいは特別研究員の受入れ環境整備のための間接経費といった部分で拡充要求しているところでございます。
2ページをごらんいただきたいと思います。人文・社会科学の振興ということで、独立行政法人日本学術振興会による共同研究の推進、あるいは文科省直轄で共同利用・共同研究拠点の整備といったことで5億円の要求をしているところでございます。(3)国際的に卓越した研究・教育拠点の形成ということで、一つ目はWPI、後ほどグッド・プラクティスとして御報告いただきますけれども、こちらは98億円の要求をしているところでございます。それから、二つ目の丸は世界の学術フロンティアを促進する国立大学等における国際研究力の強化ということで、これは研究環境基盤部会の学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会の御審議を踏まえまして、233億円増の469億円の要求額でございます。26年度の主な大規模プロジェクトとして、そこに挙げておりますけれども、2番目の日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画が新規事業でございます。
3ページ目をごらんいただきたいと思います。(4)の学術国際交流の推進ということで、独立行政法人日本学術振興会の海外学術振興機関との協力による国際共同研究、あるいは外国人研究者招聘(しょうへい)ネットワーク強化ということで、それぞれ増要求しております。更に頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進ということ、これも増要求の21億円の要求でございます。
4ページ、(5)でございます。すぐれた研究人材の養成、確保等ということで、一つ目の丸は同じく日本学術振興会の特別研究員事業でございます。そこに掲げておりますように、DC、PD、SPD、RPD、それぞれ拡充ということで増要求の210億円の要求でございます。次にテニュアトラック普及・定着事業、こちらも機関選抜型、個人選抜型ともに新規支援者数を拡充ということで増要求でございます。それから、女性研究者研究活動支援事業につきましても拡充ということで、新規のコンソーシアム型を含めまして13億円の概算要求でございます。また、日本学術振興会の海外特別研究員事業でございますが、これも新規採用者数を182人から300人に拡充ということで25億円の要求でございます。
5ページに参ります。大きな2といたしまして大学の教育研究を支える基盤の維持・強化でございます。5ページは国立大学法人運営費交付金等ということで、運営費交付金のほか国立大学改革強化促進事業を含めまして、1兆1,630億円の要求でございます。基盤を支えるとともに各大学の強み、特色を生かした機能強化への取組を支援するということで、国立大学改革を促進するものでございます。とりわけ学術研究関係につきましては、研究環境基盤部会の運営費交付金に関する作業部会での御審議を踏まえまして、要求に盛り込んでいるところでございます。
次、6ページでございますが、私立大学等経常費補助、こちらも基盤とともに大学改革の取組を含めまして、3,584億円の要求でございます。最後に国立大学法人等施設整備費ということで、1,177億円の要求でございます。その後は、参考資料で細かい資料を付けてございますが、お時間も限られておりますので、お気づきの点がありましたら事務局までお申しつけいただければと思います。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
説明を頂いて、その後、質問を頂きたいと思いますか、続いて研究大学強化促進費の進捗状況について説明をお願いします。

【山口学術研究助成課企画室長】
学術研究助成課企画室長の山口でございます。資料3-2をごらんください。前回の本分科会において、新規事業となるこの研究大学強化促進事業の経緯や狙い、あるいは10個の指標を活用したエビデンスベーストな選定プロセスといった特徴も含め、途中経過を報告申し上げたところですが、その後8月6日に支援対象機関として22機関を決定し、既に交付、執行に移っております。具体の機関名はページ右下に記載のあるとおりでして、内訳としては国立大学17機関、私立大学2機関、大学共同利用機関法人3機関となっております。2ページ目以降に各機関の構想の概要を付けております。 
本事業により必置とされているリサーチ・アドミニストレータの規模感としては、初年度は執行期間も短うございますので、全採択機関を通じて150人程度となっておりますが、自主財源等を含めるとその倍以上となる相乗効果が見込まれており、また息の長い支援を想定しておりますので、例えば一番研究者数の多い東京大学の場合ですと、10年でURA100人規模を目指すといったことも表明されております。また、各機関の構想においては、若手、女性、外国人研究者の支援、あるいは人事労務改革や国際化、産学連携の推進などに係る方針や目標が意欲的に掲げられており、それらを通じて、いわゆる世界大学ランキングでトップ100位入りなどを目指す旨が明示的に表明されている大学も少なくありません。
なお、実は本事業の構想当初の段階では、ページ左上にございますように、いわゆる論文指標を踏まえた諸外国との相場観から、30機関程度の厚みを想定して約100億円の予算要求をしておりましたが、満額確保というわけにはまいりませんでした。実際、今回のヒアリングを通じて、やはり若干予算規模が足りなかったのではないかと、あるいは総合点ということではかなわなかったものの、10個の指標を見ていく中で、キラリと光る機関というのも多数ございまして、そういったところにもなるべく光が当たるようにという趣旨で、引き続き拡充の予算要求をしております。そのこととも関連して、10個の指標それぞれについて、上位30機関も別途公表しており、今般の22の採択機関以外にも80機関ほどが顔を見せる形になりまして、合わせると約100機関について、それぞれこういった強みがあるということが対外的にも周知され、それが更に研究力強化に力を入れていく上での一つの励みともなっていただければと思っているところでございます。
簡単ですが、進捗状況として、以上御報告申し上げます。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
続いて研究不正タスクフォースの中間取りまとめについて説明をお願いします。

【斉藤政策課評価室長】  
担当いたします評価室長の斉藤でございます。資料3-3を基に説明させていただきます。こちらは先週の26日に、1枚めくっていただきますと研究における不正行為、研究費の不正使用に関するタスクフォース中間取りまとめということで取りまとめられたものでございます。めくっていただきまして16ページを御覧いただきたいのですが、こちらのタスクフォースですけれども、こちらにございますとおり8月2日に文部科学大臣の指示によりまして、福井副大臣を座長に関連の文科省内の担当の局長級が入りまして検討を進めてきたという中身でございます。報告書の中身は字で書いてございますけれども、それの概要が最初の1枚ということになっておりますので、この概要の1枚に沿って説明をさせていただきたいと思っております。
まず、研究不正につきましてですけれども、研究活動に対する信用を失墜させる行為であり、科学技術・学術の健全な発展を阻害するものであるという基本認識に立ちまして、これまでの研究不正の対応を総括した上で、今後、講ずべき対応策について議論を行っております。研究不正と一言で申しましても研究データのねつ造などの不正行為と預け金やプール金などの不正使用と二つに分けておりまして、それぞれ異質でものであり、これまでも別々に対応してきたものでございますけれども、今後は双方に共通なもの及び個別に対応すべきもの、峻別(しゅんべつ)した上で対応をとっていくということになっております。この1ページ目の図の3-3の図の右上に、灰色のところに星と四角とダイヤのマークみたいなのがございますけれども、それぞれ共通事項、不正行為、不正使用ということで、下にあります各項目について、どれに対応しているのかが分かるような形になっております。
これ全体を通してなのですけれども、今回の検討におきましては、特に組織における管理責任の在り方に着目いたしまして、これまで個人への責任を中心に対応してきた枠組みに対しまして、今後は組織にも対応を促すような方向性を打ち出していくというのが一つの特徴になっております。中間取りまとめの具体的な内容ですけれども、こちらの図にございますとおり、大きく3本の柱に対応しておりまして、一つは不正を未然に防止する取組、もう一つは組織の管理責任の明確化、一つは国による監視と支援という3本になっております。一番上の不正を事前に防止する取組につきましては、不正を未然に防ぐ手段としまして、先ほども御説明がございましたけれども、研究者に対する倫理教育の強化ですとか、不正事案の公開を進めるということ。さらには研究データを一定期間保存を義務付ける。不正使用に関する機動的な調査の実施をするなど不正を抑止するための環境の整備に努めることとしております。
二つ目、組織の管理責任の明確化につきましては、いわゆるコーポレートガバナンスの概念を導入いたしまして、組織に対して倫理教育や研究の管理、執行に関する責任者の設置を求めまして、組織としての管理責任を果たす体制の整備を促していこうというような柱になっております。最後、国による監視と支援につきましては、組織における規則や体制の整備状況の調査や不正使用に関するモニタリングを強化するなど国の監視機能の強化、充実を図ること、更に倫理教育や規則の整備を行う際の支援や調査研究の実施など国として対応すべき支援を行うこととしております。
今後ですけれども、実効性を高めるためにも現場の実情に配慮しつつ、ここで打ち出しました方向性に沿って、具体的にガイドラインの見直しを進めていくということになっております。先ほども研究不正の不正行為と不正使用と、それぞれ現在ガイドラインがございますので、そのガイドラインの具体的な見直しを進めるということになっております。さらに、これらの活動は文部科学省に閉じるだけではなくて、政府全体の取組として対処すべきものであることから、もう既にある程度各省庁ともやりとりをさせていただいていますが、関係する府省に対しても我々の対策について働き掛けを行って、政府全体の取組として不正への対応を行っていこうというような方向になっております。
説明は以上です。

【平野分科会長】
ありがとうございました。
ただいま事務局より説明いただいた件について、どこからでも結構ですから、御質問等ありましたら是非発言をお願いします。いかがでしょうか。どうぞ。

【武市委員】
武市でございます。最後に資料3-3で御説明されました研究における不正行為等に対するタスクフォースの中間取りまとめ、私もこれを公開されました26日に拝見いたしました。その上で2点ほどお願いをさせていただきたい点がございます。1点につきましては、この本文の2ページにございますが、研究における不正行為という限定的な不正行為というものが対象とされている点です。
もちろん、このタスクフォースのタイトルが研究における不正行為でありますが、この2ページの(2)の二つ目のパラグラフにありますように、いわゆる不正行為というものは研究だけではなくて、学術界における不正行為というのはそれ以外にも、例えば経歴詐称、ディグリーミルとか、あるいは研究業績の誇称、水増し等々による業績の誇称がございますが、そういったことも含めて検討すべきだということです。これは第2パラグラフにも、そういったことにも少々触れてありますけれども、今現在、話題になっている形でのいわゆる研究不正、FFPと呼ばれるねつ造、改ざん、盗用だけではなくて、今申し上げたような事柄についてもやはりこの枠の中で検討いただくのがよろしいのではないかというのが1点でございます。
それともう1点は、この三つ柱があるということの最後でございますが、国による監視と支援、これを最初に拝見したときに、学術界に対して「国による監視」と言われてしまうというのは、科学者、研究者の自律性が問われていながら、解決してこられなかったことにあるのではないかと思いました。もちろん自分自身をも戒めるわけですが、「支援」の方はともかくとして、「監視」というよりも、学術界で自律的な解決を促すという形での施策というものが有り難いと思います。
ただ、その中に書かれております第三者機関については、15ページを拝見しますと、ここにも第三者的監視組織という「監視」という言葉が出てくるのが少々、先ほど申し上げたような印象から違和感をもちます。日本学術会議では8年ほど前に当時の黒川清会長のときにミスコンダクトに対する議論をして提言、報告を出した中にも第三者機関の検討をすべきであるということをうたっております。そこでは「審理裁定」を行う第三者機関という言い方をしております。学術会議でこれまで具体的にその後検討されたということがないというのも、科学者、研究者が反省をしなければいけない点であることは承知しておりますが、それをスキップした形での「監視」というところに持っていくのは少々お考えいただいた方がよいという感じを持ったということです。この2点、何とぞよろしくお願いしたいと思います。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
何か事務局から今の点についてお答えがありますでしょうか。

【斉藤政策課評価室長】
お答えさせていただきます。まず、一つ目の不正の範囲についてでございますけれども、まさに今、先生の方からも御指摘いただきました、引き続き検討課題だという、15ページに書いてあるあたりですけれども、研究公正局(仮称)のような第三者的な機関の設置も含めて引き続き検討していくということになっております。今回、これを検討するに当たりまして、諸外国の同じような制度などもいろいろ調べさせていただきましたけれども、不正の範囲がそもそも国によってある程度異なっておりますし、第三者機関も国直結なのか、資源配分機関なのか、学術会議のような組織なのか、様々な組織形態がございますので、そういうことも含めまして引き続き検討させていただきたいと思っております。
二つ目に御指摘の国の監視という部分ですけれども、今回、新聞等でも大きく報道されました不正事案が基になって検討が始まっているということもあって、少し厳しめの表現になっているのかなという感じもしておりますけれども、今回、この報告書を出すに当たりまして下村大臣の方にもいろいろ御相談させていただきまして、大臣の方からの御指示としましては、研究コミュニティの自主性や自立性を尊重して研究者自らが襟を正すようにしていくことが重要であるというような御指摘も頂いておりますので、この報告書は少し厳しい書きぶりになっているかもしれませんけれども、基本的には研究者の自立性を尊重して、それの対応がしっかり進むように国として応援していくための仕組みというように考えております。
以上です。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【奥野委員】
やはり同じこの資料3-3なのですけれども、新聞等で報道された事案というのは全く許せない非常に悪質なケースが多いわけですが、そういうものに対してきちんと取締りといいますか、対応するということのために御努力されているということは、それなりに敬意を表するものですけれども、他方では研究者というのも一様ではなくて、悪質な研究者も一方でいる一方、大多数の研究者は善意の研究者なので、その善意の研究者にまで余り負担がかかって、結果的に研究ができなくなるような、そういう副作用が出るような対応はできるだけ避けるようにしていただきたいと思います。
具体的には倫理教育というのも大事だと思うのですけれども、余りその倫理教育を義務付け過ぎると、そのために研究のための時間が失われるということもありますし、それから、組織としての管理責任、これも非常に大事だとは思うのですけれども、その組織として対応しろというと、一部の組織は極めて硬直的な対応をしてしまって、無用に厳しい対応をしかねないという部分もありますので、基本的にはむしろ悪質な個人、悪質なケースに対して強い罰則を事後的にかける。そういうことを事前に発表する、公表するというようなこと、そこをいわば、もっと言えば悪質な、とりわけ研究費の不正使用等に関してもそうですし、場合によっては、その研究における不正行為に関して、ある種の刑事罰を科すということまでを大々的に、もう少し具体的、積極的に検討していただいてもいいのではないかと思います。
以上です。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
そのほか。どうぞ。

【高橋委員】
京都大学の高橋と申します。資料3-2の研究大学強化促進事業の資料を拝見いたしました。そして、これを拝見いたしますと、私が所属している大学も含め、ものすごい改革が行われており、今の御説明を伺う限りにおいては、これがうまくいくと何か難なく日本は世界一になるような感じがするのでありますが、恐らく私がここにいる意味の一つは、現場が今どういうふうになっているかということに照らし合わせて少しだけ発言させていただこうと思います。
京都大学においては改革の嵐でございまして、私たち研究者は、ほとんど研究する時間がないのです。会議のための会議のための会議がずっとありまして、大学の改革のためにはそれもある程度はやむを得ないと思って頑張っておりますが、現場の声としては、それも部局でいろいろな声があるのは当然ですけれども、ちょっと違うんじゃないのというようなことが日常茶飯事なわけです。恐らくその部会において熟議されているとは思いますけれども、大学の教員が企業の論理ではなく、大学の自治をきちっと守って研究、教育に専念できる環境をどういうふうに担保されるか。ごめんなさい、私はこれ、今日、ついていけなくて、そういうことがどこかにきちっと明示されなければ、大学の教員が100%スーパーマンでなければ、これはできないのではないかというようなふうに私には映ってしまいます。その延長線としてこの不正行為もあるわけですね。
我が大学の恥さらしをするわけにはいかないのですが、予算の不正を防ぐためにここまでしなければいけないのか。過ぎたるは及ばざるがごとしのことが24時間続いているというような中で頑張っている研究者が全国、多いのではないかと思います。おまけに運営費交付金を減らされるばっかりで、事務サポートが減るばっかりで、そしてこういう、この理念は大変すばらしいのですが、これが本当に実現されるためには、今の事務サポートは、あと5倍も10倍もなければいけないのではないかなどという感覚にも陥るわけです。そこら辺のバランスの議論が行われているのだと思うのですが、どこを見れば書いてあるのかお教え願えればと思います。

【平野分科会長】
どうもありがとうございます。
事務局でお答えいただければ有り難いのですが、そうでなくてもここの分科会はその議論を今後とも続けていかなければいけないところであります。

【高橋委員】
恐れ入ります。ありがとうございます。

【平野分科会長】
この後、4番目の議題に入ります大学の研究力強化についてという問題点を洗いながら対応を考えていくということになっておりますので、また、大変貴重な御意見ですし、今後とも考えなければいけないところでありますが、事務局で御発言があったらどうぞ。

【袖山学術研究助成課長】
学術研究助成課長でございます。研究大学強化促進事業でございますけれども、ただいま高橋委員から御指摘があったような点、特に大学における、いわゆる研究マネジメント、リサーチ・アドミニストレーションをはじめとする研究支援をしていく人材というのが我が国において決定的に不足をしているというような状況を改善するということを第一義的な目的といたしまして、10年間という計画でもって、この研究環境、研究マネジメントというものの改善を図っていくということを主眼としている事業ということで、この事業を実施しているところでございます。
各大学の取組におきましても、様々な研究大学としての力というものを高めていくための構想を実現する上で、どのようにリサーチ・アドミニストレータというものをしっかりと活用していくかというような観点から、この構想というのを作っていただいているところでございます。もちろん、構想でございますので、今後10年にわたる取組を通じて、ここに書かれているような内容の実現を図っていくというものではございますけれども、私どもといたしましては、こういった今回の事業では支援人材の人件費などを集中的にサポートしていくということを主眼としている事業でございますので、この事業をはじめとして様々な研究支援のための取組ということを通じまして、まさに研究者ができるだけ研究に専念できるような環境というものを作ってまいりたいという趣旨でこの事業を実施してございます。
以上でございます。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
今、高橋委員が発言された内容というのは非常に重い、重要な内容を含んでいると思っておりますし、一大学だけの問題でもありませんので、是非大切な課題として議論を詰め、改善に結び付くようにしていかなければいけないと思っております。この後もまた引き続きここの分科会でも、今後とも議論をしていきますので、よろしくお願いします。
少し時間が押していますので、どうぞ、よろしく。

【島野科学官】
手短に。先ほどの国による監視という不正行為に対することなのですけれども、私も研究者、大学の人間としては余り国から監視という言葉はちょっとそぐわないかなとは思う一方、この言葉の意味合いなのですけれども、これは言葉の問題かもしれませんが、不正が見つかってきた今までの経緯というのは、一部ネットなどで不正をしらみ潰しに調べてくるような、そういう組織や団体があって、それは必ずしも善意に基づいてやっているとは思えない。そういったシステムが出てきている中、そういうシステムが現状あるのであれば、それをちゃんとやるのはパブリックなものであるべきだろうというような意味合いでの国による監視というふうなニュアンスに取りたいなと思いましたので、この辺は表現の問題で、研究者や、それから、大学の人間はやっぱり監視や自治といったことに対して非常にセンシティブですので、言葉を少し意識していただければと思います。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
是非今後のタスクフォースの中においても詰めていっていただきたいと思います。小安委員どうぞ。

【小安委員】
すみません、短くやります。先ほど高橋委員がおっしゃったことに関しては、少し現場の動向を調査していただいて、それを生かしていただくというのが大事ではないかというのが1点。
2点目は研究不正のことですが、今おっしゃったのはまさにそうだと思います。本来、サイエンスはお互いがピアレビューをして、論文もお互いが見ることによって成り立っている世界なので、本来はそういうところがきちんと監視しているべきものであるという立場に立つことが大事だと思います。それから、第三者機関といいましても、この中にも御経験のある方がおられるかもしれませんが、実際に不正行為の調査を依頼された人間がどれだけ時間を使うかということをもう少し考えていただきたいと思います。ですから、結局のところ、科研費の審査をするのに皆さんのお力を借りるのと逆の意味で、そういうことに皆さんが駆り出されることになったら、更に研究どころではなくなるような気がしますので、ここら辺はきちんとお考えいただきたいというのが2点目です。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
大変重要な御提言だと思います。よろしいでしょうか。どうぞ。手短にお願いします。

【上村科学官】
手短に申します。今、御指摘があった資料3-3の国による監視という言葉ですが、私としては「監視」ではなくて「国による調査と調査結果の速やかな公表」というふうに置き換えていただければと思います。具体的には資料3-3の10ページにございますけれども、管理責任の追及というところでありまして、「組織」というのは、これは所属機関と私は理解いたしておりますけれども、所属機関に対して文科省が内部調査を求める。それも速やかな対応を求めるということを是非実行していただきたいと思います。
その調査結果、具体的な事例が公になることによって初めて具体的な倫理教育の実が上がります。道徳教育では全く効果は期待できなくて、具体的な事例に基づいて、なぜこういうことが発生したのか、それを二度と起こさないためにはどうするかということが教材として要求されます。ここの監視という言葉は響きも非常によろしくないし、「調査と調査結果の速やかな公表」ということを強調していただきたいと思っております。
以上です。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
今、重要なポイントについて発言していただいております。分科会長として発言は控えますけれども、一委員に戻りますと、ここは少し心配をする点でもありますので、是非今日の皆さん方の発言を踏まえてタスクフォースの今度の委員会の中で反映していただければと願っておりますし、それから、研究費部会、あるいは評価部会においても取りまとめの中で必ずこういう問題が入っておりますので、またそのほかの委員会もそうでありますが、是非委員会の取りまとめの中でも議論していただき、私どもがきちっと責任持って動けるような、そういう学術界の体制にしていかなければいけないと思っております。是非よろしくお願いします。
重要な御提言を頂きながら大変申し訳ありませんけれども、今日、時間を更に延ばしていただければよろしいのですが、お帰りの方もあると思いますし、今後まだこの課題については議論をするところであります。また次回にも議論を続けていきたいと思いますし、御意見は事務局の方へまたお寄せいただければ有り難いと思います。
4番目の議題に入らせていただきます。前回に引き続きまして大学の研究力強化についてということであります。皆さん方の御意見を踏まえまして、研究支援体制や研究環境の在り方について引き続き議論を頂きたいと思います。まず、その議論の前にWPIプログラムに採択されております東北大学の事例を御紹介いただきまして、議論の基にしたいと思います。東北大学のAIMRについての拠点長である小谷委員に御紹介いただきまして、その後、事務局からの資料も参考にしつつ、自由討論をしたいと思います。小谷委員、よろしくお願いします。

【小谷委員】
15分ほどお時間を頂きたいと思います。国からWPIプログラムで御支援いただいて今年が7年目でございます。このプログラムはトップレベルの研究を推進することはもちろんですが、いわゆるシステム改革物でして、それぞれの研究拠点でシステム改革を行い、それを大学全体に波及することがミッションの一つとなっています。大学のシステム改革だけではなく、国全体に改革したノウハウを伝えていくことができればと前回発言し、今回、このような機会を与えていただきました。私が知っておりますのは、自分の拠点のことのみでございますが、せっかくの機会ですので、WPIプログラムについて、まず冒頭、紹介させていただきたいと思います。この最初のパートに関しましては、文科省の担当係から資料を頂きました。
WPIプログラムの目的ですが、こちらにありますように国際的な研究拠点を構築し世界の頭脳を引きつけることでございます。現在、全部で9拠点ございますが、2007年にプログラムが始まりました最初の年に採択されたのがこの五拠点です。その後、九州大学に一つ、そして今年、小型拠点、ちょうど予算半分のものですが、3件採択されてございます。
WPI拠点には四つのミッションがございまして、世界最高レベルの研究を行うということ、これはもちろん大切ですが、新しい融合領域を創造するということ、システム改革とグローバリゼーション、そしてこのミッションを研究拠点で実行するだけではなくて、大学全体に波及することが求められています。
これらを実施していくことで、全体で100人から200人程度の拠点を築き、そこに世界トップレベルの研究者が存在し、また、外国人がたくさん集まる。そのような研究環境を作ることがWPIプログラム目的です。最初に始まった5拠点に関しては、今年は7年目で、非常に高い研究成果を上げております。例えば、世界トップ1%ペーパーですが、1%論文ですので1%出版が標準だとしますと、WPI五つの拠点で大体5%程度出版してございます。また、井村委員長の率いるプログラム委員会ですが、半分以上が外国人で、この委員会は英語で全部議論しています。それから、専門家からなる、これも外国人が半分ですが、専門委員会があります。このプログラム委員会と専門委員会より、各拠点は毎年評価されますが、高い評価を受けております。また、各拠点、様々な重要な賞を頂いていますし、世界から目に見える存在となることが重要なキーワードですが、現在の認知度と括弧内に書かれた開始したときの認知パーセンテージを比較しますと認知度が高まっていることが分かります。
また、外国人比率を30%確保することが元々の要請でございましたが、どこの拠点も、それをはるかに超える外国人が集まっています。もちろん単に外国人を増やすということが目的ではございませんで、世界中から優秀な研究者が集まるということが研究所の魅力を表しているということです。ちなみに、我が国全体における外国人教員の比率は3.7%です。
また、様々な国がこのプログラムについて非常に高い関心を持ち、問合せが多数来ているそうです。ここまでは文科省が用意した資料でございますが、私個人的な意見としては、このようにWPIプログラムがうまくいっているのはプログラム・ディレクター、プログラムオフィサー制度が非常にうまく機能しているからであると思っております。必ずしもすべてのプログラムに対してPD・PO制度がいいかどうか分かりませんが、WPIプログラムに関しては非常にうまく機能していると考えています。
以上でWPIプログラムの概要を説明させていただきましたので、あとうちのAIMR、材料科学高等研究機構について少し説明させていただきたいと思います。伝統的な材料科学に物理、化学、工学を統合して新しい材料科学を構築することによって社会に貢献するとことがAIMRの目標です。現在、主任研究員31名、大体200名のスタッフがおりまして、半分以上が外国人でございます。当然、公用語は英語です。私は数学者ですので、数学と材料の科学連携がとAIMRの特色です。五つの研究グループがございます。また、WPIの一つの特徴としてプログラム・ディレクターからの強い要請で、事務部門長は研究者です。しかも、AIMRでは国際的に非常に著名な研究者が事務部門長を務めており。私が、経験がない中でやっていけているのは、このような研究者の視点を持った事務部門があるからでございます。国際アドバイザリーボードはノーベル賞等の研究者からなり、世界の学問動向を適格に助言いただきます。
高い研究成果が上がっております。年間300の研究論文がハイインパクトの雑誌から出版され、国際受賞もありますし、外部資金もこれは大学全体の6%を獲得していす。このように、いろいろな指標で成果が上がっています。それから、若手研究者を育てるということが非常に大切です。AIMRではジュニアPI制度を作っていまして、准教授の方に完全に独立な研究室を持たせ、スペース、人件費、研究費等フルにサポートしています。女性研究者も増やしたいですが、一番下に書いてありますとおり、現在では9%と非常に低いです。少しだけ言い訳しますと、数は少ないのですけれども、非常に優秀な女性研究者がここで活躍しています。例えば高山あかりさんはJSPSの育志賞、プレスティンシャスな大学院生対称の賞でございますが、を受賞いたしまして、更にこの間、日本ロレアル・ユネスコ賞も受賞いたしました。活躍中の女性研究者です。
日本にこれまでなかった国際的でオープンな雰囲気を作ることが目的で、広いコンビネーションルームを確保しています。お茶を飲みながらの気楽な雰囲気での議論が異分野融合、異文化融合には大切です。一体感を強めるために時々コンサート等もやっていますが、プロフェッショナルな音楽家を呼んでいるのではなくて、AIMRの研究者や事務スタッフが演奏しています。外国人が半数以上で、分野、国別のバランスもとれているのではないかと思います。国際連携では15のパートナー大学と連携契約を結んでいますが、中でもケンブリッジ、サンタバーバラ、中国科学院とジョイントラボの契約を昨年結びました。
ジョイントラボを作ることのメリットは、そこにAIMR研究者を配置することができまして、国際共同研究を進めるのに非常に有効です。著名な海外研究者とAIMRの若手の、若手を特に育成したいと思っていますので、共同研究を前提にジョイントラボ、ジョイントリサーチを進めています。今日の話題の一つが研究支援体制でございますが、WPI研究拠点では従来の大学とは全く異なる運営形態を求められ、機構長の権限が非常に強いトップダウン形式です。教授会がなく、機構長が決めたらそれでいいという、そういう運営体制でございます。
事務部門と研究支援体制は、このWPIならではの特色になっております。研究支援センターと、事務部門として国際ユニット、サポートセンターがございます。私はこれまでにもいろいろシステム改革プログラムに関わってきましたけれども、大学で改革は難しいと感じておりました。特に事務の国際対応は難しいと思っていました。しかし、AIMRでは事務が非常に積極的で、いろいろな新しい試みに柔軟に対応してくれるので驚きました。どうしてこのように従来と異なる対応が可能なのか事務部門に聞きました。ここに書いてあるのは事務側からの意見です。私自身、いまだにピンと来ていないのですが、機構長によるトップダウンであるということが有り難いとのことです。それから、事務に権限を、少なくともここまではあなたの権限で、ここまでがそうではないという裁量の範囲が明確で意思決定が自分でできるのが非常に有り難いとも言われています。
支援センターでは四つのユニットからなっておりまして、今日特に御紹介したいのは共通機器ユニットです。実験系では研究設備が整っているということはとても大切です。50%以上の研究者が海外から来ており、これまで持っていた研究設備を全く持たずに日本で研究を始めるわけですので、共通機器のシステムが非常に大切です。研究所の中にベーシックな装置を置く共通機器センター、それから、機構の中でお互いに装置を貸し借りするためのネットワーク、そして大学内・国内のネットワークという3段階の共通機器利用のネットワークを作っています。このシステムが非常にうまく機能する理由は、研究者のパートナーとして機器利用を助けてくれる博士号を取ったテクニカルスタッフが常駐しているということです。 研究者支援室ではシニア研究者メンターによる助言を行っています。特に若手の助成金申請指導を行っています。外国人が多いですので、こういうことは大切です。また、AIMRではありませんが、別のWPI拠点が作っている漫画形式のこういう本が出ていて、今、ネットで手に入ります。
事務部門の国際ユニットがございますが、先ほど御紹介したような海外のジョイントラボの契約、それから、外国人の研究支援全てをこの部署で行います。科研費のハンドブックを英訳し、日常的な研究費助成情報が英語と日本語で毎日のようにこういうメールで通知されます。英語のアウトリーチもすべてここで行います。事務の国際化が大学改革・国際化の鍵だと思っています。これが大学全体にも少しずつ波及していまして、事務の国際化は非常に大切であるという認識で企画された大学全体の事務系セミナーにおいて、AIMR事務部門での試みが紹介されました。時間がないので異分野融合のことについては述べませんが、様々な融合の仕組みを用意しています。数学と材料を始めて1年半ですが、Scienceから論文が出たところです。国の支援を受けて様々なシステム改革を7年かけて推進してきました。AIMR内の知識としてとどめるのではなくて日本全体の力となることを強く望んでいます。
以上です。

【平野分科会長】
小谷先生、どうもありがとうございました。
それでは、御質問は後でお受けすることにいたしまして、事務局から用意していただいております資料に基づいて説明をお願いします。

【中野学術企画室長】
資料4-2をごらんいただきたいと思います。今、小谷先生からWPIについて、いろいろな重要な点を含む御発表を頂いたわけですけれども、前回のこの審議会の御議論の中で、研究力強化というと、いろいろお金が必要だとか、人が必要だとかあるのですけれども、研究時間、先ほど前半の議論でも高橋先生から御提示がありましたけれども、研究者の方に研究に専念していただく時間の確保という切り口にあえて絞らせていただきまして、論点のたたき台ということで参考までに整理したものでございます。
まず、1.ですけれども、研究に関する周辺業務の軽減、研究といっても純粋な研究と研究活動以外の業務があり、この中には必ずしも研究者の方自らが実施する必要がないものも含まれているのではないかという御意見もありまして、そのあたりを支援者という形でサポートすることで研究者の純粋な研究時間を確保できないかという視点でございます。そのために研究支援者との望ましい役割分担の在り方、あるいは研究支援者の確保、育成方策といったことが、これまでも言われております。文科省でも促進費を含めましてURAを中心として現在事業を行っておりますけれども、ここで支援者と書いておりますのは、必ずしもURAに限らず、技術的、事務的に研究を補助する体制ということで、逆に言えば※にありますように支援業務の分類をした上で研究支援者の定義の明確化が必要ではないかといった御意見もあるところでございます。
それから、二つ目の丸ですが、特に支援の中でも国際的な学術研究の展開のために必要なこととして、外国からの研究者の受入れ、あるいは国際的な研究集会開催がございますが、それに係るいわゆる周辺業務ということも、事務体制が英語での対応ができないということもありまして、かなり細かいことが研究者の先生方の負担になっているというような意見が前回もございました。このあたりも論点ではないかと考えております。それから、今、小谷先生からの御発表にもありましたけれども、トップの強力なリーダーシップが発揮できる体制、あるいは迅速な意思決定システムの構築ということで、当然、必要な議論というのは時間をかけて意思決定しなければならないわけですが、必ずしも全て時間をかける必要がないものもあるのではないかということで、括弧内にありますように大学レベルでは学長のリーダーシップで戦略的な資源配分、組織構築をする、また、部局レベルでも少数の執行部によるマネジメントをすることによって、時間的な問題を解決できる部分があるのではないかということでございます。
それから、最後の丸ですけれども、学術分科会では研究中心に御議論いただきますが、大学では当然、教育ですとか社会サービス、また、その他大学の管理運営業務等もございまして、それも全て重要な業務でございますが、それらの周辺業務というものもありますので、各機関等における教育改革、組織改革等と併せて、研究も含めて抜本的な見直しの必要があるのではないかということでございます。最後、※のところはWPIをはじめといたしまして、いろいろなグッド・プラクティスが既にあると思いますけれども、これをどのように全学的、あるいは全日本的に展開できるのかといった論点もあるかと思っております。
次のページ以下には関係するデータ等を並べております。一度ごらんになったことがあるような資料かもしれませんけれども、ごく簡単に御説明させていただきたいと思います。1ページ、研究時間に関する状況の1ですけれども、上の段は優れた成果を上げたトップリサーチャーの方へのアンケート調査でございますが、研究活動の障害、制約となる要素として研究時間が圧倒的に多く挙げられております。一方で、下の段にありますように、ごらんいただいたことがある資料かと思いますが、研究時間の確保のための取組、あるいは支援という面につきましては著しく不十分という認識が継続的に続いているという状況でございます。
2ページの研究時間に関する状況2でございますが、大学の総職務時間につきまして、(A)のところにございますように青色が2002年、赤色が2008年のデータですが、国公私立を通じて総職務時間が増加している。一方で、(B)の研究時間をごらんいただきますと、研究時間は減少しているということでございます。(C)、(D)と教育時間、社会サービスの時間は増加しておりまして、(E)ですけれども、その他、病院の診療等もありますけれども、よく言われます大学運営に関する業務で非常に時間を取られているということなのですけれども、このデータだけを見ますと、教育等に比べて増加幅はそれほど大きくない。ただ、個別にお聞きしますと、これは全体ではこうなっているけれども、一部の方にそういった大学運営業務が集中していることから、そういう方が特に研究のピークにそういうことになると非常に研究時間にしわ寄せが行ってしまうということでございます。
それから、3ページは今申し上げたような研究活動の減少という部分については、設置形態を問わず、国公私立共通の状況であるということ。
4ページですが、上の職位別ですと全て研究時間の割合というのは下がっているのですけれども、比較的助教につきましては研究活動の割合が高く、下がり幅も小さい。講師、准教授、教授につきましては、研究活動の割合が著しく減少しておりまして、その主たる要因として教育活動の増加が見られるということでございます。また、下のグラフは専門分野別ですけれども、これも分野によっていろいろ異なりますけれども、傾向として研究の割合が減っているというのは分野共通でございます。
それから、5ページは研究支援人材に関する状況でございます。これは研究者1人当たりの研究支援者数はほぼ横ばい、若干上がってはおりますけれども、ほぼ横ばいと書かせていただいております。
6ページは国際比較ですけれども、これは定義にもよるのですけれども、日本が0.21に対し、ドイツ、フランス、韓国などは高くなっているということでございます。
それから、7ページですけれども、冒頭、論点のたたき台で申し上げましたように、研究支援人材と一言で言ってもいろいろあるのではないかということで、分類が必要かと思うのですが、必ずしもそういった試みは体系立ってなされておりませんで、これは1999年という古い資料なのですけれども、当時の振興調整費で東レ経営研究所に委託した調査にあった分類の例でございます。専門研究スタッフ、研究アシスタント、秘書、技術者、技能者、専門事務スタッフ、一般事務スタッフ、その他ということで、試みだと思うのですけれども、専門知識性、技能性、個別テーマ指向性、共通性といったことで概念図も掲載されておりましたので、紹介させていただきます。
8ページ以下ですけれども、小谷先生のAIMRも含めましてWPIのほかの拠点の研究組織・支援体制例でございますので、適宜御参考にしていただければと思います。
10ページに飛んでいただきまして、下のところに参考としてホスト機関の支援機構への波及例というのがございます。WPIは、お金も付けて特区的にこういった支援体制が可能になっているという性格もあろうかと思いますけれども、大学全体への波及ということで、例えば国際化対応について本部機構と統合したというような例、あるいは外部研究資金獲得に関する戦略、支援機構について、WPIをモデルに大学本部の事務組織を構築した、あるいはURA組織の構築に当たってWPIの例を具体的な参考事例としたというような事例がございます。
それから、11ページはWPI全体における研究環境の成果と具体例、これも時間の関係で全て紹介できませんけれども、今回の事務支援部門、支援体制ということにつきましては、左側の下半分のところでございます。事務支援部門の活躍により研究に専念できる支援体制ということで、外国からの研究者の受入れに関する支援、あるいは国際的な研究集会、海外機関との連携協定に関する支援、それから、渉外・アウトリーチについての支援という例が掲げられております。
12ページ以下は科学技術基本計画における研究支援体制に関する記述でございます。第1期からそれぞれ何らか研究支援体制という記述があるのですけれども、現在の第4期は13ページの下の方でございます。リサーチ・アドミニストレータ、サイエンステクニシャン、知的財産専門家等として、博士課程の学生や修了者、ポスドクに対し専門性を身に付けることができるような取組を進めること。大学、公的機関がこれらの人材を適切に評価し、処遇に反映するとともにキャリアパスを構築していくこと。大学が計画的なスタッフ・ディベロップメントによって研究活動の推進に関わる人材の養成と確保を進め、事務局体制を強化することなどが掲げられております。
また、14ページでございますが、今年に入りましてからの政府の重要決定における記述でございます。上は日本再興戦略、下が科学技術イノベーション総合戦略でございますが、重複するところもございます。リサーチ・アドミニストレータ等の研究支援人材の着実な配置ということで、リサーチ・アドミニストレータが一つキーワードにはなっておりますが、全体の支援人材の確保に向けた自主的な取組を促す、あるいは長期的、安定的に支援人材を確保するため、人材の類型化や専門的な職種としての確立、全国的なネットワーク化等を産学官の連携の下で取り組むということが述べられておりまして、イノベーション総合戦略については主な施策として具体的な施策のイメージも挙がっております。
それから、15ページ、16ページは支援体制に係るものも含む文科省の最近の施策例でございます。促進費は先ほど御説明したとおりですけれども、先ほどの資料にもありましたが、各研究機関から出された構想を拝見しますと、URAの取組例としていろいろなものがありましたので、時間がございませんので説明は省略しますが、15ページの下に掲げさせていただいております。
また、16ページですけれども、26年度の要求で、すみません、先ほどの概算要求の説明では省略いたしましたが、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築ということで、これは若手研究人材のみならず、研究支援人材も念頭に置いたコンソーシアムの構築のための予算、それから、リサーチ・アドミニストレータの育成確保、これは23年度来やっているものですけれども、今年度、25年度にスキル標準や研修教育プログラムといったものが完成されますので、また来年度以降新たな展開を予定しているということでございます。
事務局からの説明は以上でございます。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
文部科学省の方でいろいろな施策を提案、あるいは施策を執行していただいております。同時に機関においても努力をされているわけでありますが、長年、今、説明がありましたように研究環境についてはずっと問題を抱えております。ここにおいて資料4-3、今日は説明がありませんが、これはここの分科会において、前回、いろいろな重要な意見を頂きました。それを事務局で主な意見として取りまとめをしてくださったわけでありますが、先ほど高橋委員を始め、皆さんから意見を出していただいたのが、まさにここに凝縮されている問題だと考えます。残念ながら、まだ解決には至っていない。ここの分科会として是非このあたりをきちっと議論を積みながら、必要な施策を出してもらうときにはそれに応じて対応をお願いしたい、こう考えているところであります。
特に今日は時間も限られてしまっておりますが、是非一般的なところからでも結構ですので御意見を頂き、次回から少し絞りながら議論していただきたいと思っております。全てが研究環境の改善に向けてというところに一語で言えば集約されるわけでありまして、その観点からの、先ほどWPIの御紹介を含めて、また質問等があったら意見を出していただきたい。よろしく。

【宮下委員】
東大の宮下でございます。研究支援人材の問題について発言します。まず最初に申し上げるべきは、文科省が現在進めている施策は、従来に比べるとポジティブで、いい方向に向かってきている。殊にURAの施策は非常にポジティブだと、積極的に評価したいと思います。更にそれを進めるために二つほど論点を追加したい。一つは、せっかくWPIも含めて、今回のURA、これだけのものが投入されていますので、是非それらで雇用される人材を全体としてプールして流動化することを積極的に推進してほしい。こういう研究支援人材というのは、人材のプールが大きければ大きいほど、5年での雇い止めのリスクが減り、継続性やキャリアアップが可能になって、人材側のモチベーションもあがり、結果として、支援の若しくは養成の効率は上がります。現在、WPIもURAも、人材の流動性という観点では、割とタコつぼ的に始まっていると思うのですが、これを是非全部まとめて横につなぐ、若しくは一体化してプールして流動性を高めることをお願いしたい。それが1点。
それからもう一つは、現在は公的制度の直接契約の範囲内で議論をしていますが、これでは視野が狭い、足らないと思うんですね。私自身の研究室での現場経験から言いますと、間接雇用といいますか、派遣業界といいますか、一般の民間の人材派遣業種との契約によって雇用される人材が、現場ではものすごく多くなってきています。こうした雇用形態は、別にコンビニ業界の話ではなく、私のところを含めて、現場の研究室がそうした雇用形態に大きく依存するようになってきているし、今後更に増えるのではないかと思っています。実際、研究者も派遣してもらっているし、事務関係の人も派遣してもらっている。先ほどの資料に研究支援人材の役割、概念図という分類がありましたけれども、そこで前提とされている公的直接雇用にそもそも入らないような雇用形態で働く人材が増えてくる、ということにも是非眼(め)を向けてほしいと思います。今回のこの部会の議論の中では、そういう現在の日本の民間の企業で行われている雇用の問題、人材派遣事業との関係みたいなものを視野に入れた議論というのを聞いていないのですが、それは極めて片手落ちであって、是非そういうものが現在の日本に存在しているということを見据えて、長期的な視野で議論を進めていってほしいと思います。
以上、2点です。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
それでは、高橋委員。

【高橋委員】
今日の議論、いろいろとお聞きしまして研究環境の改善というのは本当に重要な問題で、これは申し上げるまでもないのですが、一つキーワードとして、理念としてもう一つ申し上げたいことがあります。私も最近危機感を感じていることは、学部生が大学の教員になる。いわゆる昔で言うところの大学に残るというやつですが、昔はものすごく魅力があったはずなのですが、今余り魅力がないんですって。何か大学の先生を見ていたら、みんな死にそうな顔をしてやっているし、眉間にしわを寄せて、いつも文句ばっかり言っているし、それよりも違うところに行った方がええぞと。
これはちょっとショッキングで、ですから、もちろん大学のいろいろなWPI等々の研究は世界に発信するというのは全く問題なく進めるべきだと思いますけれども、一方で、もう少し足元を見据えた科学政策、あるいは大学研究環境の改善、学部生の立場に立つ、あるいは学生の立場に立つというとちょっと違う次元の議論が進んでいて、それはそれで悪いとは申しませんが、要するに教員がサクリファイスされるようなところでは学生は育たないですね。
学生は学部生も大学院生も高校の延長ではなくて、大学に入ると、まず自分で問題を見つけて、そして答えのない問題にいかに果敢に取り組んでいくかという全く新しいところで、その中で初めて日本の研究はそこにこそ独創性が出てくるし、また、ハイリスクに挑戦する若者も育つ。ここの議論が――もしも書いてあったらごめんなさい。でも、今日は、私はそれを余り感じることができませんでした。これは非常に総合的な問題であって、学生にとって魅力のある大学をどういうふうに作るか、そういうところをまた今後の議論の論点として是非ともお願いしたいと思います。
以上です。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
小安委員。

【小安委員】
小安です。度々すみません。WPIのことに関して少し、私も作業部会委員を、具体的には西尾先生のところだったのですけれども、やったことがありまして、その経験から言うと、このシステム、非常によく動いていると感じています。先ほど小谷先生がおっしゃったように、機構長のリーダーシップが非常に発揮されるというのはすばらしいことですが、どうしてもサイズの問題があると思います。これをいきなり学長に同じことをやれといっても、多分、無理ではないでしょうか。そこら辺のところをもう一つ考えなければいけないのではないかなと思います。
もう一つは、このWPIのプログラムも未来永劫(みらいえいごう)支援が続くわけではなくて、どこかで終わります。そのときに、それを大学がどのように受け止めるかという視点がまだはっきりしていないと思っています。丸ごと大学が自分たちの運営費交付金で抱えられるのであればすばらしいのですが、どこかでそれをシュリンクしなければいけないとなったときに、研究支援部門をシュリンクさせるのか、そうするとそれまでトップだった研究支援システムがなくなる。研究者をシュリンクすれば、それまで掲げてきた旗がなくなってしまう。そういうことが生じ得ると思います。先ほどの小谷先生のところでも、あの塚田先生が事務部門長をやっておられるなんてびっくりするのですけれども、そういうようなことが本当にどのぐらい続けられるかというのが気になります。今後は、先ほど御説明のあったURAプログラムにかなり負っている部分があるのではないかと思いますので、WPIプログラムの後をうまくつなげるということを是非文科省でお考えいただいて、この勢いが落ちないようにしていただくということが大事なのではないかなと感じています。
以上です。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】
今のお話と関連してなのですが、小谷先生にはお答えしづらいかもしれないのですけれども、敢(あ)えてお伺いします。が、WPIの本来の目的として、キャンバス内に特区を設けて、そこが大学におけるグローバル化の拠点になり、例えば、事務部も英語で対応することになっています。そこで、その特区でのグローバル化に関する先進的な活動が学内的において広がっているのか、そこら辺について実際のところを教えていただけますと有り難く思います。

【平野分科会長】
どうぞ。

【小谷委員】
WPIで開発してきたノウハウ、特に事務の国際化は、研究特区の中に閉じ込めていたら、きっとプログラムが終わったら消滅してしまう。私は、そういう消滅してしまうもののためにエネルギーを使う気はないので、どうやって大学全体に広げるかという視点を持ってほしいと総長に話しました。総長は、AIMRの事務部門を事務の――事務は大学の中で部署を移動していくのですが、エリートコースとしたい。モチベーションの高い職員をここに投入し、ここで育って、更にその人たちが部局に出ていくことによって大学全体を改革していきたいといわれました 先ほどスライドの中にありましたように、大学全体で事務の国際化が始まっております。AIMRの事務スタッフは、皆さん英語で完全に対応していますけれども、必ずしも全員に海外経験があるというわけではありません。必要があり、モチベーションがあれば、ある程度できるようになるということなんです。 機構長のトップダウンについてです。大学は2種類の組織が必要で、伝統的な学問分野をきちっと守って、ボトムアップで進めていく組織と、それから、ある程度は柔軟性を持って機動的に動く組織と両方必要だと思います。ミッションを持って、ある一定機関トップダウンで実施することが必要なこともありますし、一方では伝統的な組織がきっちりと保たれることも必要です。それがうまくリンクして全体の研究力を高めるようなシステムを作ることが、これが学長の務めなのではないでしょうか。

【西尾委員】
どうもありがとうございました。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【荒川委員】
荒川でございます。研究力の強化のためには、当然のことながら若い人材が希望を持って、その研究に携わるということは大変重要だと思います。その観点から見ますと、分野にはよると思いますが、ポスドクが随分たまっていて、若い人たちから見て将来のキャリアパスが描けないような状況も見られるというようにも聞いております。私のエレクトロニクスの分野はそれほどではありませんが、サイエンス系の分野によってはそういうような状況があると聞いております。そういう中で、この今回のWPIがそういうキャリアパスの循環、あるいは発展に向けていい形で活用されていくと望ましいと思いますが、そのような方向というものが見いだされているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。

【小谷委員】
若手の人材育成の重要さ非常に強く認識しています。元々頭脳循環のハブがWPIのキーワードですので、キャリアアップのデータは提出しており、どこの拠点も割といい成績を上げているようです。私が、機構長として、今一番責任を感じているのは、異分野融合、新しい領域への挑戦を奨励しているわけですので、それを生かしてキャリアアップをしていくための場が用意されるのか。用意されるように私は頑張らなければいけないと思っています。そこが一番国に考えていただきたいことです。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
では、どうぞ。

【島野科学官】
先ほどのURAについてですが、元々研究者の人がプログラム・ディレクターをやる、あるいは事務部門からそういった人が育つ、両方が必要ではないかと思います。しかし研究者からすると、そういったことに転進するというのはどうしても研究の道から外れたという意識がはたらきます。そういった職務に関してもう少しリスペクトが払われるような環境作りということも大事だと思います。
どんどんうまく回っていけば当然人も増えると思いますし、当然、仕事の価値ややる人たちのやりがいも上がってくるはずです。当座は非常にアクティブにやっている方たちに対していろいろなインセンティブとリスペクトされる土壌作り、例えば研究成果同様賞を設けるなども一計と思います。

【平野分科会長】
ありがとうございます。
以前、URAの議論があった部会においても今のような御意見もありました。第三のという言葉も言われておりますけれども、どのようにリスペクトをきちっとするか、一体化して動けるかということは重要な問題であろうかと思っております。まだ御意見をいろいろ頂きたいわけでありますが、次回には先ほどお話をしましたように、これまでの御議論を整理しながら、大学等における研究力の強化について議論を深めていきたい、と考えております。是非また次回から熱心な御討議を頂きたいと願っております。
事務局の方から今後のスケジュールについて御説明をお願いします。

【中野学術企画室長】
次回の日程につきましては、日程調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。また、本日の資料ですけれども、封筒にお名前を御記入いただき残していただけましたら、郵送させていただきます。
以上でございます。

【平野分科会長】  よろしいでしょうか。次回については、また事務局の方から日程の調整をさせていただきます。よろしくお願いします。本日は熱心な御議論を頂きまして、どうもありがとうございます。お忙しい中でこれだけ多くの委員の方々が出てくださったことは大変有り難く思っております。それこそ、少し小グループに分けながら集中的に議論して、また、分科会に意見を踏まえて出しながらというやり方もあるのかと思いますが、大変忙しい委員の方々ばっかりでありますので、会議を多くつづける代わりに、恐縮ですが、事務局の方に意見をまた出しておいていただいて、私もその意見はいつも見せていただきますので、ここの場で議論を続けていきたいと思っております。よろしくお願いします。今日は、どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)

-- 登録:平成25年10月 --