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第10期研究費部会(第3回) 議事録

1.日時

令和元年6月25日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 令和2年度公募及び概算要求に向けた制度改善等に関する主な論点について
  2. その他

4.出席者

委員

甲斐委員,栗原委員,白波瀬委員,西尾委員,井関委員,射場委員,大野委員,小安委員,竹山委員,中村委員,山本委員,上田委員,中野委員

文部科学省

磯谷研究振興局長,増子大臣官房審議官,原振興企画課長,梶山学術研究助成課長,岡本学術研究助成課企画室長,中塚学術研究助成課企画室室長補佐,他関係官

オブザーバー

家日本学術振興会理事,西村日本学術振興会学術システム研究センター副所長,白須日本学術振興会学術システム研究センター主任研究員

5.議事録

【西尾部会長】
 おはようございます。それでは,時間となりましたので,ただいまより,第10期第3回の研究費部会を開催いたします。
 本日は,令和2年度公募及び概算要求に向けた制度改善などに関する主な論点について審議をしたいと思います。
 事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】  
 本日の配付資料につきましては,お手元の議事次第に記載されているとおりでございます。個々の資料の読み上げはいたしませんが,資料の欠落等がございましたら,事務局までお申しつけください。

(1)令和2年度公募及び概算要求に向けた制度改善等に関する主な論点について

【西尾部会長】  
 それでは,議事に入ります。これまで議論してきました新学術領域研究の見直しについて,事務局より御説明をお願いします。また科研費改革に関する作業部会において御議論いただいている内容があるとのことですので,御説明をお願いいたします。
 まず初めに,新学術領域研究の見直しについて御説明をお願いいたします。
【辻山課長補佐】  
 それでは,資料1を御覧ください。まず初めに,学術変革領域研究(仮称)における研究者の範囲等について(案)でございます。
 前回の議論におきまして,例えば分野や研究規模によって,どの年齢まで中堅という考え方が異なるのではないか,一律に45歳以下で切ってしまうのが本当にいいのだろうかとか,あと年齢制限を設けるということは,それ以外の研究者に対して,どう手当するのかという施策がないと無責任ではないかというような御意見を頂いております。それを踏まえて,改めて作業部会において,1-1のように整理をし直しております。
 囲みにございますとおり,領域構成における要件というところで,1つ目のポツの下線部,学術変革領域研究(B)は次代の学術の担い手となる研究者(45歳以下)を要件とすると整理し直しております。ここの部分が,前回までは若手から中堅の研究者としておりまして,45歳以下の研究者を想定としていたところでございます。
 このように整理し直した考え方でございますが,まず四角ポツの1つ目にございます,学術変革領域研究については,新学術領域研究と同様に,若手研究者の育成を目的の一つとしております。グループ研究として様々な視点から新たな学術の変革を目指すことを目的としております。このような観点から,複数の次代の学術の担い手となる研究者の視点をもって領域を構成することが重要であると考えます。このため,審査評価を考慮する必要もありますので,年齢を明確にしております。次代の学術の担い手となる研究者の範囲を,そのため45歳以下と今整理しております。
 なぜ45歳なのかというところでございますが,まず1点目として,現在,国際共同研究加速基金,国際共同研究強化(A)の応募資格が,国際的に活躍できる独立した研究者の養成にも資することを目指すという対象になっておりまして,こちらが36歳以上45歳以下の研究者となっております。
 また,平成30年度の科研費の主要な種目の応募件数の状況を見たときに,年齢別に積み上げていくと,45歳の研究者のところで全体の半数に達しているというところがございます。また,現行の新学術領域研究の計画研究の代表者の平均の年齢を見ますと,こちらが47.8歳,おおむね48歳となっておりますので,例えば45歳で(B)を採択となったグループが,その3年後に成果を残して(A)にステップアップしたようなときに,48歳を中心としたメンバーになることが想定されますので,そうすると現行の応募状況とも大きく変わらない,大きな変化が起こらないのではないかということで,45歳としております。
 ただ,年齢を明確にするということは,46歳以上の研究者の参画が不可能となるようなイメージがございますので,具体的な領域のイメージを示すなどで,領域への参画が従前と変わらず可能であるということを,公募要領や説明会などにおいて周知したいと思います。
 次ページを見ていただきますと,領域構成のイメージ図を載せております。記号の意味でございますが,丸にひし形が領域代表者で,丸に上三角が計画研究の代表者,丸に下三角が公募研究となっております。
 要件として今整理しておりますのは,学術変革領域研究の(A)の場合,領域代表者については特に年齢の制限,要件は設けていない一方で,(B)については45歳以下の領域代表者を要件としております。また,計画研究につきましては,複数で構成するということは要件と考えておりますので,(A),(B)共通して,図のように2名以上で構成される領域というのを考えております。
 したがいまして,例えば(B)の場合,4つ計画研究があるうちに2つまでは,特に年齢を意識することなく,従来どおりの三角というのが可能になるし,(A)につきましては,これは現在の新学術領域研究と,必要に応じて計画研究を設けていただくことになりますので,特に参画するようなイメージは与えないのではないかと考えております。
 1-1については以上になります。
 続きまして,1-2を見ていただければと思います。こちらが新学術領域の見直しについて(案)ということで,前回もお示しした資料になっております。
 2ページ目を御覧いただければと思います。特に前回等の議論を踏まえて,変更というか,修正しているところについて中心に説明をさせていただければと思います。
 1点目が,繰り返しになりますが,例えば(B)の頭,目的のところですね。次代の学術の担い手となる研究者による少数というふうに,若手から中堅というのは表現を変えております。
 また(A)の方につきましては,具体的に金額を入れております。5,000万から3億円程度ということです。
 あと計画研究の領域の構成のところも,先ほどの1-1にありますようなところを修正しております。具体には計画研究のところで(A)のポツの2つ目,次代の学術の担い手となる研究者(45歳以下の研究者)を研究代表者とする計画研究(総括班を除く)が,複数含まれる領域構成とする。(B)については,領域代表者は次代の学術の担い手となる研究者(45歳以下の研究者)であることを必須とするというようにしております。
 また,(A)の公募研究のところでございます。一番最後のところ,若手研究者を積極的に採択ということで,前回までは留意するというような表現ぶりになっていたかと思うんですが,ここ,方向性を示すということで,要件とか数を確保するという意味ではなくて,積極的に採択するという方向性を示すような書きぶりに直しております。
 3ページについては特に変更点はございません。
 4ページ目を御覧いただければと思いますが,こちらから審査の実施時期や審査方式についてでございます。こちら,前回まで,現行の4系のところを3系で大くくりした形ということで考えているところでございますが,引き続き科学研究費補助金審査部会における議論などを踏まえて検討させていただければと思っております。
 資料1-2で主な変更点について,以上でございます。
 1-3を見ていただければと思いますが,1-3は,1-2に書かれてある要素について,1枚にまとめると,このような形になります。上半分にこちら,新しい種目の説明として,次代の学術の担い手となる研究者の参画を得つつ,多様な研究グループによる有機的な連携の下,様々な視点から,これまでの学術の体系や方向性を大きく変換・転換させることを先導することなどを目的として新設するものということで,それぞれ(A)と(B)を設けるということで,1枚にまとめております。
 2ページ目を見ていただきますと,先ほどの1-1にあった同じ図になるんですが,領域のイメージということを示しております。
 資料の説明は以上です。
【西尾部会長】  
 どうもありがとうございました。ここまでの説明につきまして,御質問ございましたらお願いします。いかがでしょうか。どうぞ。
【甲斐委員】  
 すみません,学術変革研究ということで,新しい枠組みを作っていただいて,良いことだと思っております。(A)につきましては従来どおりの引き続きということで,(B)という小さな枠を作ってくださったのは,とりあえず試したいというような試みができるので,とても良いと考えています。ただ、このできた経緯というのは,単に若手のために作ったものではなくて,新しい大きな,学術領域を超える領域を作ろうと考える人が出たときに,小さく試せるということで,とてもいいと賛成していたんですが,これに,わざわざ45歳という年限を設けることに少し違和感がございます。次世代の担い手を育てるために,わざわざ若手の研究を1個作ったかのように感じられるんですね。
 例えば,この47,8ぐらいで新しいラボ持って,ちょうど大きな変革で自分の研究を違う方向にシフトしてみたいと思った人が,若手の40とか30代の人を入れて,3人ぐらいで,ちょっと試してみる。急に大きな学術領域の(A)のようなのは立てられないけれど,とりあえずやってみたいと考える人が出た場合,その人が年齢制限に引っ掛かるというのは,すごく違和感を感じます。それでは仕方がないから,自分のところの若手の30代の人に,あなたがボスになって立ててくれというのは,おかしいと思うんですね。
 研究というのは本来その人が考えて変革しようと思うものであって,年齢に縛られてということに違和感を感じますので,(B)の方に若手の担い手を必ず主要メンバーというか,半分以上とか入れることぐらいにして,代表者に年齢制限ははずすことを考えていただけたらと思います。
【西尾部会長】  
 どうも貴重な御意見ありがとうございました。甲斐先生から御指摘いただきました点で,45歳という年齢制限,特に代表者が,その制限に拘束されるということについて,この学術変革領域研究(B)の本来の趣旨から,再考する必要があるのではないかと。例えば若手ということを考えるにおいても,甲斐先生のおっしゃった案としては,構成員の過半数,半分ですか。
【甲斐委員】  
 それはどのように設計してもよいと思うんです。これが3,4人と規定しているので,まあ,そうでしょうね。
【西尾部会長】  
 構成員に関して何らかの条件を付す等の方法で,本来のこの領域の趣旨を生かすことになるのか,という御意見でございましたけど,何か御意見ございますか。はい,どうぞ。
【白波瀬委員】  
 御説明ありがとうございました。年齢制限については良いと思いません。
 まず大枠のところから申し上げると,やはり多様な生き方,ダイバーシティというのが学術研究の傘としてあるのであれば,全く逆行する位置付けだと思います。ただ,制度を考えるに当たって,人口構造はかなり上にシフトしますし,それから今までの時代的な様々な機会の平等,不平等という世代的な違いのところですね。そこのところを,このプログラムで少なくとも是正しようということであれば,それを目的にして,若手というところがあっても良いと思います。ただ,今,甲斐先生がおっしゃったように,代表者である場合に年齢制限を設けるのは慎重であるべきと思います。例えば,国語的な工夫というか,次世代を担うという修飾が良いかもしれません。目指すべき結果がありますので,それを目指して人選するということについても,若干無理があるように思います。
 そういう意味では,小型の大型のということでのやり方なんですけど,すごく理論的に考えると,幅はあるわけですよね。5,000万から3億という。ですから,そこの中で,5,000万で。それは5,000万以下か。というところで小型ということなのであれば,その範囲のところでのサイズ感を考えなければなりません。もし若手を,年齢構成からも考えて優遇したいというか,後押ししたいということであれば,それで別枠作ってもらっていった方がよいのではないでしょうか。何か今,甲斐先生もおっしゃいましたけれども,目的と実態把握の上に説明があるので,それは間違っていて,この実態でなくて,将来見据えたところの制度設計であるべきだから,そういう意味では説明が逆向きかなという印象を受けたのと,やはり年齢制限については,これは注意深くされた方がいいかなと思います。
 以上です。
【西尾部会長】  
 どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】
 ありがとうございます。検討に当たっては原案を私どもで出させていただきまして,作業部会でも御議論いただいたという経緯がございますので,私からも一言,御説明させていただければと思っております。
 今回の(B)というものでございますけれども,基本的には,この学術変革領域(A),今までの新学術領域研究というもの,こちらが非常に学術の創成であったり,新しいものを生み出しているのではないかというようなところがベースとなって,このような研究を進めていこうということは前提にあったわけでございます。
 ただ,最近,応募数が減ってまいっております。多くの方々が,こういうところに応募していくときに,いきなり(A)はなかなか難しいのじゃないかというところで,今おっしゃっていただいたように,フィージビリティ・スタディ,大きな領域になるまでの前のアイデアを,集中的に3年ほど取り組んた上で(A)につなげていこうというようなものでございます。
 その際に,新学術研究というものが研究領域を広めていくという考え方に立った上では,その領域を若い方々,シニアな方々,様々な方々がそこに参画していくというところに,なかなか参画しにくいような若手の方を育成していくということが,新学術研究でも目的となっていたわけでございます。
 今,(B)に関しましては,大小というような,そのフィージビリティということにできればいいのではないかというところはあろうかと思いますけれども,この(B)を新たに起こすときに,予算の確保をどれぐらいできるかかというときに,事務局として,それほど大きなところが確保することが難しい可能性があるのではないかとは思っているという正直なところはございます。
 そのような中で,まずは若手の方々,次代を担っていく方々が(A)につなげていくようなところに,まずは制度として始めていただいて,金額が増えていければ,そういうことをやって見直していくということもあるのではないかなと。ある意味,最初のアクションとして,こういうことができるのではないかというところがあると思っているところでございます。
【西尾部会長】  
 どうも御説明ありがとうございました。どうぞ。
【大野委員】  
 今までの科研費の流れを考えてみると,急速に若手の支援というのが増えてきているように思うんですね。その中で,予算規模の問題もあるかと思うんですけれども,あえてここに若手を,このプレのステップに充てることを考える必要が,まずあるのかどうかということですね。ほかにもたくさん若手優遇支援策というのは打ち出してきているわけですね。その中で,いろんな若手というのは育ってきているわけで,この変革の(B)が必ずしも(A)につながる唯一の道なのかと考えた場合には,これはあまりそうではないんじゃないかと。あえてなくても,その(A)というところにつながっていく可能性は十分あるんじゃないかと思います。
 あえてここで,また45歳以下というのを入れることによって,違うレベルの研究というものをとるようなことが起こってくる危険性があるんじゃないかと。
 ですから,あえて,この(B)が必要であるというのであるならば,45歳以下というのは取るべきじゃないかと思います。
【西尾部会長】  
 貴重な御意見ありがとうございました。どうぞ。そうしましたら,井関先生,白波瀬先生。
【井関委員】  
 ありがとうございます。今の大野委員がおっしゃったのにちょっと近いと思うんですけれども。(B)で少し変革できそうな,変革が出そうな研究領域が採択され成功したら(A)に持っていきましょうとしたときに,この図だと,45歳より上の人は,そういう研究はできないと言い切っちゃっているようなものです。いや,本当にそうだと思います。
 研究種目名が学術変革領域研究ですと、言葉も一致しないと私は思うんですけれども。
【西尾部会長】  
 白波瀬先生,どうぞ。
【白波瀬委員】  
 すみません,1点だけなんですけど。やっぱり(A)という原型があって,そこをベースとする考え方としては,どっちかというと,硬いというか,この新しい領域を作るということを第1目的にされると,最初に思い浮かぶのが,学術領域はグローバルですから,日本の国だけではなくて別の方も入るということですね。さあ,このときに年齢制限があるようなことが公募に書いてあるというのは,やっぱり学術に対する日本の投資の姿勢としては,私はよろしくないとちょっと思っております。
 以上です。
【西尾部会長】  
 梶山課長。今様々な意見が出ていますが,総意として年齢制限のことは非常に問題であるということです。そういうときに,この(B)を設けることについての意義について,一貫性を持って説明できるのか,というについてはいかがでしょうか。
 それと,その背景には予算が非常に厳しい状況で,今,若手研究者ということがクローズアップされている中で,新たな領域を何とか開拓したいときに,その予算の確保というもう一方の大きな課題がある関係で,あえて若手研究者ということを強調しておられるのか。その辺りのことについての御説明をお願いします。
【梶山学術研究助成課長】  
 ありがとうございます。まず(B)を設けたというものに関しては,先ほどもちょっと御説明申し上げたところでございますが,やはり最初から5年間,大きなグループ研究を始めるというところに当たって,今まで成果が上がっているところも多いわけですが,もうちょっと準備をした方が,より良い研究ができたのではないかというようなところが見られたというのはお感じになっているところだと思います。そのような中で(B)というある程度小型の研究で,そのコンセプトをしっかり作って,領域を開いていこうという種目を作っていこうということは,この審議会において,前回御議論いただきました,この新学術領域の自由性を増していこうというところ,それに沿ったものだと考えているところでございます。
 そのような中で,今の新学術研究を拝見していると,若手の方々が学界横断的にグループを作って,新学術に出そうというような動きも承知しておるところでございまして,そのようなものを強力に進めていく,そういうところも新しい領域を日本で求めている中で,動きとして進めていく必要があるのではないかと思っております。
 (B)というものに関して(A)につなげていくときに,より今後の学術というものを考えていく必要があるというところに関しては,皆様方,御意見のところと方向性は一緒じゃないかと思っているところでございます。ただ,そのような中で,予算のところは大変恐縮ではございますが,実は学術変革研究(B)につきましては,5,000万というところで,大体1本採択するに当たって2億ぐらい,多分必要になります。2億必要になるときに,じゃあ何本これがとれていくかだろうというところを考えた際に,頑張っていきたいとは思うんですが,まずどちらを応援するというか,そういうことを考えた際には,45歳以下の方々の,いわゆる未来の学術界を担う方々を応援してはどうか。シニアの方についてはこの種目で支援するのはそういう方であっても,ほかのシステムで対応するというのは当然でございますので,この(B)のシステムという限られた中で支援するというものに当たって,今回このようなことではどうかというのは,事務局としては提案させていただき,御意見を頂いたところだと思っております。
【西尾部会長】  
 もし年齢が45歳を超えた研究者が,今,課長が説明されたような,日本の学術の新たな扉を開いていくということに関して非常に意欲的な方がおられた,とします。そういう方が(B)に申請できないことになってしまう。そのような状況に関して,ここの委員会の意見としては,問題がある,との結論に至った場合に,文部科学省としては,その年齢制限のことを緩和できるという状況なのか。その辺りはどうですか。
【梶山学術研究助成課長】  
 科研費自体が私どもとして,先生方の基本的な合意を持ってやっていくことは極めて重要だと思っておりますので,そのようなところで要求をさせていただくということは当然だと思います。
 ただ,予算の状況など結果的に,ちょっと難しくなっていくということがあった場合に,そのときどうしましょうという御相談することもあり得るかもしれません。いずれにしても,新たな種目につきましては来年の1月の公募になろうかと思います。新しい予算要求になりますので。大きな方向性はできるだけ決めておいていただきたいと思います。
【小安委員】  
 よろしいですか。
【西尾部会長】  
 はい,どうぞ。
【小安委員】  
 私が作業部会の主査をやっていますので,一言言わなければいけないと思いますが、私にとっても苦渋の選択です。御存じの方もおられると思いますが,若手を区別する必要はない,重複制限は一切要らない,全員が平場で競争するのが正しい,というのが私の一貫した主張です。ですから,これは私にとっては非常に苦しいのです。年齢を付けるのもおかしいという主張を私自身が色々なところでして,若手の年齢制限も変えてもらいました。しかし,今おっしゃったような(B)のサイズの研究費はシニアの人が出すとなったら,実は今の制度でも出せるのです。だから,ある意味で,(B)を作る理由が立たない。5年と3年の違いはありますけれど,別に小さいのでスタートしようと思ったら,それを妨げるものは,今何もないのです。だったらなぜ新しいもの作るのかといったときに,それなりの理屈を付けなければいけない。議事録に残るところで,こういうことは余り言いたくはないのですが。ですから,そこを,やはりもう少し酌んでいただき,どういう制度にするかということに関して皆さんに議論していただきたい。単に年齢を取っ払うだけでは多分,理屈として通らないと思ったので,私はこういう形にしました。
【西尾部会長】  
 甲斐先生,中村先生。
【甲斐委員】  
 短く,すみません。今までも財務省からお金をとるためにといって若手と付けたのを次々と作ってきたという経緯がございます。若(A),若(S)というふうにどんどん増やして守っていって,もう40代半ばになっても若手枠で日本人は守られているという,極めて世界的に見てもいびつな構造になってしまい,一回,42才でとれば47才まで続きますから,47でも私は若手をもらっていますと世界で公言できるかという非常に恥ずかしいことをやってきてしまった。最終的に若(S)をとった人が,もう基盤になんか戻っても魅力がないから特推しかないなんていうことを言い出す。こういう若手だけ守ったような変な構造を作ってしまったのは,常にここの議論が,財務省からお金とるために若手って付けた方がいいんですという,それで委員会ではその案を受け入れてきたことによるんですね。
 それが良くなかったという反省の下に、やっぱりここは襟を正して,最初の一,二回は守ってあげて,もうそこから後は普通に平場で戦ってくださいというふうにして変えてきたわけですよね。それはもう小安先生もトップだったと思うんですけど,そこであえて,またここに新たな若手枠を作る。その理由に,お金をとるのに年齢制限が必要だから45にしようというと,同じ事の繰り返しになることを危惧します。やっぱり説明文には若手を大事にするということを書くにしても,トップの人に年齢制限を付けるということをしてはいけないんじゃないかなと思います。
【西尾部会長】  
 中村先生,どうぞ。
【中村委員】  
 私は根本的に,今のお二人と同じで,研究というのは内容だけで評価するべきで,年齢制限,年齢差別やジェンダー差別はもってのほか,これが世界的なコンセンサスだと思ってます。
 一方で,現実的にどうなのかというと,若手を支援を明確にしろという国の方針ですから,国の方針に従わざるを得ない。そうなると,私は,以前のシステムは悪くなかったと思うんですね。若手(S)というの,私が旗振って作ったものです。なぜ作ったかというと,あの当時,もう十数年前ですが,注意深く調べてみると,三十七,八で教授になるというすばらしい人がいるわけです。このような人は研究室立ち上げのために数千万円,毎年欲しいわけですけれども,一気に基盤(A),基盤(S)に行くのは無理なので,どうしても,小さいお金をとらざるを得ないというのが現実でした。
 言葉の定義の上で45歳が若手なのかという話になると,話の方向が曲がるのですが,とにかく38歳で教授になった,35歳で教授になった人を支援するという意味で,ちょっと特殊な支援の仕方が要るというのが基本的な考えだったんです。今行われているもう一方の考え方,全ての人は平等だという考え方,基本的には賛成しますけれども,これでは若手のリーダーが死んでしまう。一般的には差別なしだけど,現実的には,区別が要るので,優れた若手を支援する仕組みが必要と今でも思っています。
 その上で,今回の議論です。私は学術変革領域研究の(B)は,代表者は45歳以下に限るとしてしまって,これは若手のプログラムですと打ち出すのはどうでしょうか。その代わり,分担者に入る人は,もちろん誰でもいい。だから,もし予算を通すこと考えるんだったら,若手に限ったプログラムを打ち出したというふうにしたら分かりやすいんじゃないかと思ってはいます。
【西尾部会長】  
 甲斐先生の御意見も分かりますし,中村先生の御意見,また小安先生の御説明をはじめ皆さんの御意見全てごもっとも、と思います。これまでの意見を踏まえて,再度,御検討いただくということでお願いできますでしょうか。それでよろしいですか。どうもありがとうございました。
 それでは,作業部会における議論の状況について,事務局から御説明をお願いいたします。
【岡本企画室長】  
 それでは,資料2の関係を御説明させていただきます。資料2-1,2-2,2-3と資料3点ございます。
 まず資料2-1を御覧ください。こちら,令和2年度公募及び概算要求に係る制度改善の方向性の案というものでございます。前回の研究費部会におきまして,この公募と制度改善に関する主な論点ということで1枚お示しさせていただいて,説明させていただきました。そのときの柱といたしましては,ここにありますとおり,新興・融合領域の開拓の強化について,それと若手研究者の重点支援についてということで,これから議論をしていくということで,作業部会,また振興会においての検討を踏まえて,今回の研究費部会で報告させていただくということで御説明をさせていただきました。
 それに1枚にまとめたのがこの方向性でございます。それぞれの事項ごとの詳しい,ここに至った経緯については,後ほど2-2で御説明いたしますけれども,まず新興・融合領域の開拓の強化につきましては,先ほど御議論いただきました新学術領域研究の発展的見直しによる学術変革領域研究(A),(B)の創設ということが1つ。2つ目が,より幅広い層の挑戦的で優れた研究を促進するため,挑戦的研究(開拓)と基盤研究(B)の重複応募,受給制限を緩和する。3つ目が,挑戦的研究(開拓)の基金化。現在,萌芽だけが基金化されておりますけれども,開拓も基金化する方向が必要ではないかということです。
 2つ目の大きな柱,若手研究者の重点支援についてですけれども,若手研究者による大型種目への更なる挑戦を促すということで,「若手研究(2回目)」と「基盤研究(S),(A),(B)」との重複応募制限を緩和するということ。ただし,受給については,「基盤研究(S),(A),(B)」が採択になった場合は,そちらを受給するということ。
 2つ目は,「研究活動スタート支援」の他研究種目との重複受給制限の緩和ということで,こちらは資料2-3で,また後ほど御説明をさせていただきます。
 以上が令和2年度の公募及び概算要求に係る制度改善の方向性として考えている事項でございます。
 なお,概算要求に関する事項につきましては,今後調整が必要であると考えております。
 この2-1をまとめるに当たっての,これまでの作業部会での議論,また日本学術振興会の学術システム研究センターでの議論などについては,資料2-2を御覧いただければと思います。
 こちら,「科研費改革に関する作業部会」からの検討要請に対する回答についての改訂版ということでお示ししているものでございます。
 4月の「科研費改革に関する作業部会」におきまして,当面の審議事項として,若手研究者の大型種目への応募促進,挑戦的な研究の促進,審査委員の負担軽減や適切な判断に資する審査情報の取扱いについてということで,この3つにつきまして,日本学術振興会の学術システムセンターで検討を行っていただくよう,文科省から要請をしたということがございます。
 これらの要請を受けまして,センターの方で,この3つの課題につきまして検討を行い,回答をまとめていただき,6月18日の作業部会におきまして,この報告に基づいて審議を行い,取りまとめを行ったということでございます。
 次の2ページ目を御覧ください。順に御説明をさせていただきます。
 まず1つ目の若手研究者の大型種目への応募促進についてということでございまして,作業部会において示した論点が2つございます。若手研究(A)を廃止したことによって基盤研究(B),(C)への移行があり,採択者に占める若手研究者が増加しているということはあるわけですけれども,基盤研究(A),(S)については,若手研究者の応募自体が非常に少ないのが現状であるということが1つ。
 2つ目が,若手研究(A)の廃止に伴って基盤研究(B)への移行,これはしているんですけれども,必ずしも期待どおりとは言えないのではないかという状況があるということで,さらに若手研究者の,より大型種目への応募を一層促進する方策を考える必要があるだろうということでございます。
 ①が若手研究者を対象とした重複応募制限の緩和の検討,②が若手研究者の積極採択に関する仕組みの拡大,見直しの検討。これらについて,日本学術振興会で検討をしていただいたということでございます。
 具体的提案ということで,先ほど御説明しましたけれども,「若手研究(1回目)」を受給中で最終年度の者,又は過去に「若手研究」の採択実績がある者のうち,若手研究の応募要件を満たす者が「基盤研究(S),(A),(B)」の「基盤研究」種目に応募する場合は,「若手研究(2回目)」との重複応募をできるようにする。「基盤研究(S),(A),(B)」と「若手研究」の重複受給は不可とすることの提案を頂いたということでございます。
 このような提案に至った背景でございますが,2ページ目の一番下にございます。基盤研究(B)への応募を希望し,採択され得る実力のある若手研究者が,不採択となった場合のリスクを恐れて若手研究や基盤研究(C)に応募するようなケースを想定したもので,次のステップに進もうとする金額規模の大きな種目への挑戦を望む若手研究者に対して,リスク緩和を図り,その挑戦を可能とする環境を整備したいということでございます。
 実力のある若手研究者に基盤研究種目群で切磋琢磨してもらうという若手研究の見直しの趣旨は維持しつつも,リスクを大きく捉え挑戦に躊躇せざるを得ない状況に置かれている若手研究者に挑戦を促すという観点からの提案であるということでございます。
 また,無条件に重複制限を緩和してしまいますと,現実的に審査を進める上で大きな悪影響,支障が出るということもございますので,様々な試算などもしていただいた上で,このような形がよろしいのではないかということで提案を頂いたものでございます。
 本提案に至る主な検討のポイントなどございますけれども,4ページを御覧いただければと思います。4ページに,若手研究者に対する優先的な採択枠を設ける考え方についてというところがございます。若手研究(A)の新規公募を停止することに伴いまして,基盤研究(B)で若手研究者の積極採択に関する仕組みが導入されたわけですけれども,期待される規模の応募件数の増加に至っていない現状を見ると,本仕組みだけでは若手研究者の挑戦を促す効果としては十分とは言えないということで,今回の重複応募の制限の緩和という考えに至っているということです。
 次の丸にあります,若手研究の継続採択者を対象とした重複応募制限の緩和と研究計画最終年度前年度応募についてというところもまとめていただいております。
 若手研究を受給中の者が研究課題の実施途中で,いつでも「基盤研究(S),(A),(B)」の種目に応募を可能とする案については,これまで研究計画最終年度前年度応募を認めている現行制度とともに重複応募制限に係る特例措置を更に拡大するという考え方になるわけですけれども,結論として,これは適当ではないということで,5ページ目の一番下に検討を踏まえた結論がございます。
 センターとしては,若手研究者の大型種目への応募促進のため,具体的方策として,優先的な採択枠の設定や重複応募制限の特例措置の拡大というものではなく,科研費の本質である公正な競争の下,一定の経験を有する若手研究者に挑戦する機会を与える方策が妥当であるということで,具体的提案を頂いてございます。
 次が6ページでございますが,挑戦的な研究の促進ということでございます。こちらについては論点が2つございまして,挑戦的研究の開拓と基盤研究(B)及び若手研究に係る重複応募制限の緩和についてが1つ。また,重複応募制限の緩和につきましては,挑戦的研究の審査方式等の改善を含めた審査負担軽減策の具体化をもう一つの論点としてお示しをさせていただいて,センターから具体的提案を頂いております。
 「挑戦的研究(開拓)」と「基盤研究(B)」については,重複応募及び重複受給を可能とする。それと,「挑戦的研究(開拓)」については基金化をするということでございます。
 この開拓と基盤研究(B)の重複応募につきましては,センターのタスクフォースのまとめにおきましても書かれていた内容でございまして,このようなことをしていくことが適当であろうということで取りまとめを頂いてございます。
 それと,次の7ページに審査方式等の改善についてまとめていただいております。重複応募制限を緩和することによって開拓の応募件数が増えることが予想されますが,現時点では実際に挑戦的研究の中での応募件数がどう動くか見込みが難しいということもありますので,現在の審査方式でやってくということを考えているということでございます。
 さらに,その下,審査負担軽減については、今後応募動向などを見ながら検討をしていくということでございます。
 それと,次のアスタリスクの1及び2における具体的提案の実施に当たっての留意点及び要望ということでまとめていただいているところでございます。
 アンダーラインのところですけれども,この重複応募制限の緩和の実施に当たっては,応募件数の増加に際しても一定の採択率を維持し適正な競争環境を保つことが必要であるということでございます。平成30年度の開拓は採択率10%,萌芽は12.1%ということで,かなり低い採択率となっておりますので,応募件数が多くなりまして,予算の増がないと,もっと採択率が低くなってしまうということで,一定の予算措置を行うことが前提となるということでございます。
 それと7ページ目の一番下からが,基金化について書かれております。基金化が必要であるということでございまして,次の8ページ目を御覧いただければと思います。
 現在,挑戦的研究の萌芽については基金化されているわけですけれども,この開拓と萌芽は同じ審査会で同時に審査を行っているということですが,補助金と基金で分かれているということで,両研究種目間での採択課題の調整等,同じ審査会で審査を行うメリットがなかなか生かし切れていないということもありますので,是非,基金化を進めてほしいという要望を頂いているということでございます。
 以上2点につきまして,先ほど御説明した資料2-1に,この内容の提案を反映させているということでございます。
 それと,次が3番目の審査委員の負担軽減や適切な判断に資する審査情報の取扱いについてということでございまして,こちらは,科研費の審査部会に主に関連することでございますが,制度にも関連するということで御紹介させていただきます。
 1つ目が審査における研究業績の取扱いについての対応でございます。31年度の公募から,研究業績につきましては応募者の研究遂行能力及び研究環境の中に書いていただくということで,従来ありました研究業績欄というものをなくしました。このことによって,一部に研究業績を書けなくなったとか,書かなくてよくなったみたいな,誤解を与えるようなところがございましたので,この部分については,この変更の趣旨が十分に理解されていないということで,改善を図る必要があるのではないかということでございます。
 令和2年度公募におきましては,変更の趣旨を改めて周知するということと,ちょっと後ろになりますけれども,11ページを御覧いただければと思います。11ページが,基盤研究(A)の研究計画調書の抜粋でございますが,応募者の研究遂行能力及び研究環境のところに留意事項を記載しようと思っております。
 研究業績を記載する場合の留意事項をここに書くことによって,研究計画調書に研究業績を書けることを明示しようということでございますが,審査部会にこれを御報告させていただいたときに,この留意事項につきましては御意見なども頂いており。まだ公募まで時間がございますので,御意見などを反映した上で対応していきたいと思います。
 次が,9ページに戻っていただきますと,大型種目の主な研究業績の概要についてがございまして,作業部会から大型種目について主な業績の具体的な内容の概要を書かせることにより,審査委員が審査をより効率的に行うことができ,審査負担の軽減につながるのではないかとの案が示され,例えば特別推進研究であれば,3つの系で審査をしておりますので,必ずしも専門でない方が,審査をせざるを得ないということで,概要などがあると,より審査を効率的にできるのではないかということでの案でございますが,これにつきましては,これまで振興会では実際に審査をしている審査委員から主な業績について概要が必要であるという意見を受けていないこと,またresearchmapやKAKEN等を通じて,実際の論文等に直接アクセスすることも可能となっておりますので,この概要を記載することについては,現時点においては導入する必要はないのではないかという結論を頂いております。
 次が最後の10ページでございますが,大型種目における審査についてということでございます。大型種目につきましてはヒアリングを実施する,また審査意見書を活用するなどを行っているわけですけれども,これらの運用上の改善,またヒアリングに代わる代替方法による改善などについても検討していただきたいということで,検討していただきました。
 特別推進研究と基盤研究(S)について,ヒアリング審査の適正な運営をするということで,既に幹事との事前打合せを充実する,またヒアリング審査の実施前の事前確認事項を導入するなどの改善を今まさに進めているというところですので,これらの有効性を含めた検証を行った上で今後具体的な検討を進めていく。また,大型種目を中心とした公募・審査スケジュールの見直しと併せまして,適切な審査方法を検討していきたいということでの取りまとめを頂いております。作業部会におきましては,これらについて御確認を頂いて,この方向での取りまとめを頂いているということで,本日の資料2-1に反映をさせていただいております。
 最後に資料2-3について御説明させていただきます。「研究活動スタート支援」の他研究種目との重複受給制限の緩和についてでございます。研究活動スタート支援は,前年の秋の公募に応募できなかった方を対象としているものでございまして,具体的には2ポツの現状の公募~審査~研究のスケジュールを御覧いただければと思いますが,例えば採用が4月の場合,すぐ応募できる種目ということで,8月から内定後すぐに研究を開始することができます。この方は翌年度の基盤研究等に応募することができます。それが採択になった場合には,2年目の研究活動スタート支援につきましては,重複して受給できないというのが現在の取扱いになっているわけですけれども,この2年目の研究活動スタート支援も同時に受給できるようにしてはどうかということでございます。
 3ポツにございます,新しい柔軟な発想を持った採用直後の研究者に一層の挑戦を促すため他種目との重複受給を制限を緩和するということで,若手のチャレンジ機会を促進するということ,また,当初計画に基づいて研究を継続させることが効果的な研究実施に資するのではないかということで,研究活動スタート支援につきましては重複受給制限の緩和をしていきたいということで,こちらの内容につきましても,資料2-1に盛り込んでいるところです。
 資料の説明は以上でございます。
【西尾部会長】  
 どうもありがとうございました。作業部会で御議論いただいている内容でもございますので,小安委員から補足等ございましたら,お願いをいたします。
【小安委員】  
 特に加えなければならないところはないのですが,いろいろとデータを拝見しまして,実際に若手(A)をなくした後に,それを受給していた人がどういう動きをしているかということを見てみました。実際に基盤(B)の方に移っている方もおられるというのは分かりましたが,全員が行っているわけではありません。別に全員が行かなくてもいいと思いますが,やはり挑戦する気がなくなっているとしたら,ちょっともったいないなということで,ではもう少し挑戦させるためにはどうしたらいいかということで,学振とも相談し,いろいろと御意見を伺って,このような形にさせていただいたところです。
 ですから,必ずしも,これで結果がどうなるかはちょっと分からないのですが,今のところ,全ての種目において,若いほど採択率が高いというのは事実なので,こういう形で挑戦を促せば,成功する人間は増えていくのかなと感じています。
 以上です。
【西尾部会長】  
 どうもありがとうございました。また日本学術振興会には,御説明いただいたような内容で御検討いただきましたことに,心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 竹山先生,御退席の時間なので何かございましたら,御意見をどうぞ。
【竹山委員】  
 4月よりJSPSの方でもお仕事させていただいております。 JSPSの中でも,問題・課題の把握をきちんとしており,その上で苦渋の選択をしている状況があるということもよく分かりました。
 科研費は自由な発想の研究に資するものであり、戦略の決まっている他の競争的資金とは違う分、非常に重要です。最近は、若手優遇の制度が非常に多い状況ですが、彼らもいずれその枠から外れます。ですので、その次の年齢層の研究費のあり方も良く考える必要があるかと思います。しかし、そこでは十分な競争の原理が必要であり、若手重視の制度の効果を評価しながら考えるべきかと思います。
【西尾部会長】  
 竹山先生,どうもありがとうございました。
 それでは,今御説明いただいた内容に対しての御質問,あるいは御意見,ございましたらどうぞ。また家先生,日本学術振興会の方からも何かございましたらおっしゃってください。どうぞ。
【中野委員】  
 挑戦的開拓の重複制限の緩和と基金化,これ,どちらも非常に正しい方向だと思うんですが,これで心配なのは,挑戦的研究の開拓が魅力的になり過ぎて,応募が殺到するのではないか。例えば基盤(S),基盤(A)とは重複制限の緩和が既にされていて,大体,その(S),(A)に出されている人の何割ぐらいが挑戦的研究の開拓に出されているかの統計が出ていると思うんですが,基盤(B)はもっと対象者が多いので,それが同じ割合で来るとすると,かなり多くなって,2つ問題が起こると思うんですよね。審査が大変だというのと,採択率が下がってしまう。その2つのことに対して,例えば予算額を増やすことができるのかとか,審査員の確保のめどは立っているのか。その辺のところをちょっと質問したいです。
【西尾部会長】  
 非常に本質的な質問だと思います。梶山課長の方から回答をお願いできますか。
【梶山学術研究助成課長】  
 審査の方は学振からお答えいただければと思いますが,予算のことについてはおっしゃっていただいたとおりだと思います。挑戦的開拓に関して,ある程度の方が応募していくということが考えられますし,今,挑戦的萌芽が(B)で出せますので,重複して出せる方の一部が多分,開拓に移っていくという形になるのではないかと思いますので,一定の予算の増というものを当然要求していきたいと思っております。
【西尾部会長】  
 そうしましたら,日本学術振興会には,ここまで本当に御配慮いただいた上での回答であり,それは非常にありがたいこととして感謝しながら,負荷としてどうなるのかというところでございますが,家先生,いかがでしょうか。
【家日本学術振興会理事】  
 資料2-2の7ページあたりに関連する記述がありますけれども,まず予算については今,梶山課長からおっしゃっていただきましたように,一定の予算措置を行うことが前提となると。ここ,アンダーライン,二重アンダーラインぐらいしたいところなんですけど。このままで応募件数だけ増えれば,今は10%ちょこっとぐらいが一桁%になると。そうすると応募の意欲をそぐということにもなりますので,まさに今御指摘いただいたことは,そのとおりです。
 また,これの措置によって,大体どのぐらい応募件数が増えるだろうかという試算,シミュレーションをやっておりまして,先ほどの若手研究と,基盤(S),(A),(B)の重複応募制限の緩和による増加分と,この挑戦的研究の重複応募制限緩和の両方で,現在,新規応募が約10万件であるのが約10万5,000件ぐらいに増えるのではないかと見込んでいます。当然それなりの審査のロードは増えるわけでありますけれども,重複応募緩和措置は基本的には望ましいことですので,学振としても頑張らなきゃいかんということであります。
 ただ,今問題は,審査員をお願いしても,いろんな事情で,お引受けいただけない方が結構いらっしゃるんですね。そういうカルチャーも変えていかなきゃいけないということと,それから審査員を選ぶ上で,今までどうしてもシニアの方に偏りがちだったので,より積極的に若い方にも審査員を務めていただくと。そういうことによって何とか乗り切ろうと思っております。
【西尾部会長】  
 中野先生おっしゃったように,結構リスクは伴いながらもという状況ですけれども…。
【中野委員】  
 基金化というのは,もっとインパクト大きいような気がするんです。多分それぐらいでは収まらないで,もっと殺到するんじゃないかという感じはします。
【家日本学術振興会理事】  
 基金化には研究費の使い勝手の向上という意味で大きな意義があります。また,現状では、挑戦的研究の萌芽と開拓とが,片や基金、片や補助金と違っているので,せっかく一つの審査会で審査をしているのに,相互調整ができないという,審査員にとっては非常にフラストレーションが溜まる状況になっています。そこの解消の意味でも、基金化も是非進めていただければと思っております。
【西尾部会長】  
 どうぞ。
【白波瀬委員】  
 すみません,ちょっと離れたところで。今までの御努力とか,そういうことを全く否定するつもりはないんですけど,そもそも論のところで分からないことが2つほどあります。
 1つ目は,若手により挑戦的なというか,大型を促したいという,その背景というのが少しわかりにくいと感じました。データ的に若い人たちは本当は(A)欲しいんだけど(B)とか,そういうところに甘んじているという具体的な実態があるのかどうかというのが,私には理解できませんでした。つまり,もし若いとすると,少なくともマネジメントとかというのを最小限にして,ここあたりで研究を展開したいなというような状況もあり得るのかなという感じが一つです。あと全てが横並びで平等が良いとは全く思っていなくて,それは戦略があって良しと。ですから,説明責任ができればいいと私も考えます。
 そういう意味で,こちらでのやり方って,いろんなカテゴリーというか,いろんな種類のものを作られていて,その相互関係ということなんですけれども,私がちょっと単純に考えるとすると,要するに,採択の段階で優先枠を設けるということの方が,カテゴリーとして年齢制限云々ではなくて,よいのではないかと。その中で,それを年齢にするのかどうか分からないですけれども,若手優先とかと,そういうやり方は財務省として見えにくいので,余りアピールがないとか,そういうことなんですかね。何かそっちの方が,すごく素直なような気が,私はするんですけれども。
【西尾部会長】  
 もし可能でしたら,家先生,御返答をお願いします。
【家日本学術振興会理事】  
 まず2番目についてですが,これは先ほど甲斐先生からもお話があったように,かつて若手(S)や(A)というのがありましたが,十分実力のある若手には基盤研究で平場で競争していただきましょうということで廃止したという経緯があります。採択に若手優先枠を設けるというのは,ある意味で若手(A)や(S)の復活にという線の考え方になりますが、それは採らないという基本的な考え方があります。1番目に関しては、若手に限らず、とにかく応募が採択されないというリスクに怯えるあまり、応募に際してシュリンクしている現状はあると思います。
【小安委員】  
 私がそこの議論をした時の記憶ですが、数字は若干違っているかもしれないのですが,こういう試算をしました。若手(A)をもらっていた集団がどこへ行ったのかを調べ,皆が基盤の(B)に次に応募していたら,こういう数字になるはずだという数字があります。全部が(B)に応募していたら,たしか600という数字になるところが実際には400とかいうぐらいの数字だったと思います。つまり200はどこか別のところに行って,要するに,基盤(B)に行っていないという数字がありました。それはやはり,ある意味で怖がって出していないのではないかということで,それを移行させるのであれば,重複制限をなくすのが一つの手であろうということです。ただし,重複制限をなくすということは,そのまま通るということとは全然違います。挑戦ができるということであって,採択されるという意味ではない。採択数を同じにする必要は全くないという議論は,さんざんしました。
 ただ,応募数がどんどん減っていくというのは外から見たときに余り良いことではないのではない。若手(A)をなくしたことに対する反発というのが,かなりあるのは知っていますが,それに対する答えとしては,挑戦ができる環境を作るというのが正しいのではないかと思っています。そういう議論の中で,こういう結論を出させていただきました。
【岡本企画室長】  
 今,小安委員から出た数字なんですけど,資料2-2の4ページの一番下,注釈的に書いているところにありまして,29年度の若手研究(A)の採択件数が約400件ございました。それが30年度の基盤研究(B)の39歳以下の採択件数が約400件ということで,29年度から増えたのが200件だけ。若手研究(A)の400件の採択が基盤研究(B)でそのまま400件増えて,全体で600件になることを期待していたんですけれども,そういうふうにはならなかったということです。
【西尾部会長】  
 どうぞ。
【栗原委員】  
 開拓については,最初の段階から重複制限は取った方がいいという意見が強かったと思うので,審査は大変だと思いますが,やはり,この方向性は大事だと思います。
 それと,先ほど家先生のおっしゃった,審査員を辞退する先生方が結構多いという点について,やはり研究者コミュニティとしては,そういうことに対して,もう少しみんなで支えていくものだという考え方を強くした方がいいということを,ここでもう一度再確認させていただきたいと思います。
 学振で伺ったところでは,ヒアリングのあるようなものは非常に時間がタイトなので,先生方にはお忙しくて,とても都合はつけられないからと辞退される方がいらっしゃるように伺いました。そういう場合には書面審査等の時間の融通のつくものをお願いするとか,やはり,少しずつやれる形のフレキシブルな運用も。そういうことを学振がされると,その都度,手間が掛かって大変でいらっしゃるとは思うのですが,やはり,みんなで支えるという観点は非常に大事だと思いますので,よろしくお願いします。
【西尾部会長】  
 梶山課長,審査の依頼が来たときに,それを断るとか,そういうことがないように,積極的に参画するように促すことについて,文部科学省として,どういうアクションを今後とっていくことを考えらておられますか。
【梶山学術研究助成課長】  
 文科省,学振として一体的にやる必要はあると思っておりますが,本制度というものが,研究者の方々に支えられている制度であって,今現状として,こんなに人数が審査員として必要なんだと。皆様方の協力を,科研費の説明会などにおいて,そういうところを話していこうという話であったり,あともう1回,実は次回にもお願いしたいと思っておりますが,今回のこの成果と御議論いただいたことを,より大学関係者に広めていく必要があると思っておりますので,そこでも大きな発信をしていただければいいのではないかとは思っております。
【西尾部会長】  
 家先生,いかがですか。
【家日本学術振興会理事】  
 辞退されるのは,もちろんいろんな事情があって,肝心のときに日本にいないとか,もっともな理由がある方もいらっしゃいますけれども,中には面倒くさいからやらないという人も少なからずいるという感触は持っております。その辺は,なかなか,そういう方には,言ったからといって変わるものでもないかもしれませんけれども,全体として,やっぱり学術界みんなで。今おっしゃっていただいたように科研費,本当に大事で,100年みんなで支えてやってきたということを共有する必要があるなと思っています。
【西尾部会長】  
 どうぞ。
【西村日本学術振興会学術システム研究センター副所長】  
 学術システム研究センターとしても,できるだけ科研費審査についての理解を広めていきたいということで,科研費の説明会で事務的な説明だけではなく,科研費をもらったからには,やはり審査にも参加してくださいというメッセージを伝えるためのスライドを昨年作りました。これをセンターの研究員の皆さんに配布して,それぞれの大学,あるいは大学の部局でも,学会の中でこういう話をしていただけるような体制をつくりました。審査に参加するというカルチャーを地道に作っていくことが必要かなと思いました。
【西尾部会長】  
 それは我々みんなで,そのカルチャーを醸成していくということをどう今後進めるか,一生懸命考えていきたいと思います。ありがとうございました。
 甲斐先生,審査部会長のお立場で,何かご意見ございますか。
【甲斐委員】  
 昨日の審査部会ではこの話題は出ておりませんので今回は特にございません。
【西尾部会長】  
 今出ている皆さん方の御意見ですと,今回の日本学術振興会の方から御回答いただいている内容をベースに,今後,科研費の改革を進めるということについては,先ほど中野先生がおっしゃったようなリスクを伴うことはありながらも,まずは,それを進めていくということに関して,特段御意見ございませんでしょうか。どうぞ。
【中村委員】  
 全般な話を含めて申し上げます。まずヒアリングの審査の問題です。最近,JSTや経産省とかもどっさりヒアリングがあって先生方が忙しく,いい審査員が見付からなくなっていると思います。何しろ,余りにヒアリングが多過ぎる。東京で大体やりますから,先生方はあちこちから集まってこなくちゃいけないので拘束時間も長い。文部科学省として,やっぱりヒアリングそのものに意味があるかどうかということを考えていただいた方がいいと思います。
 次の点。科研費の(S)も特推も同じだと私は理解していますけれども,書面審査の点数はプレスクリーニングだけに使われ,ヒアリングのときに無視されている,最終審査の基礎点としては考慮されていません。ヒアリングだけで採否が決まるわけで,その場の印象だけで採否が決まっていると思う方はおられるわけです。書面審査,例えば,外国人も含めて特推では6人の意見をとっているわけですから,書面の結果を,例えば8割の基礎点にして,ヒアリングは2割で決める。それぐらいにしないとヒアリング審査方式に対する信頼が得づらいと思います。私も特推の書面審査やったことがありますがプレスクリーニングしか役に立たないということが分かっていて余りやる気が出ない。普通の基盤では書面だけで決まりますから,書面審査はずっと重要です。ですから,このような審査の大枠の点から議論していただかないと,忙しいから断る,という人は必ず出てくると思います。
 今ここにおられる先生,皆さん,そうでしょうけど,国際誌の論文審査だけで何十件もやって,それにさらに科研費の100件が来る。年に3か月も海外出張している人いるわけですから,トッププロフェッサーに,これ以上働けというのは無理です。ヒアリング,その他,東京に来ていただくにはそういう現状を理解していただく必要があると思います。
 それから,挑戦的研究の話がさっき出ていましたけれども,十数年前にできたと思いますが,もう1回いきさつを調べていただきたいんですね。私も以前に頂いたことありますけれども,やはり無責任に出せて無責任に使えるという感じがするんですね。基盤研究の場合には,実際に実施可能かどうかということもきっちり証明しないともらえないわけですが,これはファンシーでとれるんですね。想像力だけだったら何でも書けます。そこが,出す方としても,もらった方としても気になります。実際のところ言って,想像力を現実で裏打ちした,実施可能な挑戦的課題提案がそんなにたくさんあるとも思えない。
 それから,これ9ページ目ですか。大型研究の研究業績の概要についての結論が,「現時点において大型種目の研究計画調書中に新たに主な研究業績の概要を記載させることを導入する必要はないと考える。」この文章,そのまま読むと,研究業績欄を変える必要がないと読めるわけですけれども,もしそうだとすると,もう一度,例えば特別推進研究の研究業績欄を見ていただきたいです。業績欄は,英語版の最後に付いていますが,論文のリストを書くところは実質A4の3分の2しかないです。上の3分の1は説明文で占められています。注意書きが多い分,特別推進研究は特にスペースが少ないですね。報告書をまとめる前に調書の現実を見ていただいて,研究業績欄が実際にどうなっているかということを調べていただきたいんです。
 その記述の上には,research mapとかKAKENデータベースなどを通じて業績を調べればよいのだが,実際の所それは大変だ,と書いてあります。この議論も,少し的を射ていないかなと思います。オリジナルのペーパーを読んでくれと書いてあるわけですけれども,特別推進研究には幅広い分野の審査員が付きますから,オリジナルのペーパー読んでも分からないわけです。この「オリジナルのペーパーを読めばいい」という論調を読むと,審査の現状を理解しないまま書かれた報告ではないかと感じます。
 そうしますと,オリジナルペーパーを読んでも分野外の審査員にはよく分からないので,主要な研究論文の概要を記載させる必要がある,という議論になるわけです。しかしこれに関しては,その1つ上の文章で,本会で行っている大型種目の審査において,これまで「主な研究業績について概要を記載させる必要がある」という趣旨の要望や意見を審査委員から受けたことはないので現状を変更する必要なしと断じています。私も審査員やったことがありますが,確かにそういう要望は出したことはないですね。なぜ要望がなかったのかというと,そういう質問がなかったからではないでしょうか。つまり,改善に向けた意見はありますかという質問は学振から来ていないんですね。要は,質問の仕方が悪いから改善の提案を受けたことがないのではないでしょうか。
 これについては外国でのファンディングの審査をどうやってやっているか,是非調べていただきたいんです。業績リストは,リストだけじゃなくて,例えば主たる20報に関して概要を書けと書いてあるものです。これが,私が理解するに世界の常識です。是非,学振で,世界では大型研究の審査をどうやっているのか,それに対して現状の論文業績欄がA4の3分の2のスペースでいいのかと,こういう観点で是非調べていただきたいと思います。
 以上です。
【西尾部会長】  
 どうも貴重な御意見ありがとうございました。最初のヒアリングが本当に客観的に機能しているのかということについては,もし可能でしたら,文部科学省で科研費だけじゃなくて,中村先生おっしゃっていただいたように,戦略研究費も含めて一度精査いただければと思います。どうかその点お願いします。
 また挑戦的研究のことに関しては,今までこの委員会でも,前期において,中村先生からおっしゃっていただいたようなことは何回か議論いただき,改善いただいてきました。そのことを踏まえて,再度,適切に研究領域としてきっちり機能しているのかというところの確認を是非お願いいたします。
 それと,研究業績に関しては,特に大型研究のところ等に関して,日本学術振興会でもう一度御検討を頂ければと思いますが,そのことをお願いしてもよろしいでしょうか。
【家日本学術振興会理事】  
 はい,検討します。
【西尾部会長】  
 中村先生の御意見に対しての御返答でも結構ですので,ございましたら,よろしくお願いいたします。
【梶山学術研究助成課長】  
ありがとうございます。審査のことに関しては,おっしゃるところが非常にあると思いますので,学振の方でもう一度,協力させながら調べていきたいと思います。
 あと,挑戦的研究の方なんですけれども,挑戦的研究に関しましては,今,採択率というもの,先ほど申し上げましたが,10%,極めて限定したものというところで,挑戦的なものを促しているというところはございます。私も審査を何度か拝見したときに,これは挑戦的に値しないので除外しようというような総合審査がまさに行われているようないい研究が出ているのではないかというところは学振の方でもお考えになっており,私どもでも考えているところでございます。
 今後,制度を変えた成果というのも5年後ぐらいじゃないと,例えば論文であるとか,そういうところは出てきませんが,そういうことも踏まえながら,挑戦的なものがどういくかというところの挑戦的萌芽,開拓というものは,より重視していくことは必要ではないかとは思っているところでございます。
【中村委員】  
 私は研究費というのは税金から出ているので,使った税金に対して成果が出るはずだ,ということを証明する必要が絶対にあると思うんです。ですから,研究テーマは挑戦的であるだけではなく,それが現実的にできるかどうかということが審査対象に絶対なるべきであり,それに対して実施可能かどうかということを調べられるような申請書の仕組みになっている必要があります。
【西尾部会長】  
 山本先生,どうぞ。
【山本委員】  
 何年か前に,いわゆる昔の挑戦萌芽は,新しく挑戦的研究という形の萌芽という形で改組しています。その結果、従前の挑戦萌芽とは全く違います。それは書かせる内容も精査しましたし,それから業績についても,その実行可能性を書くようにしているはずです。なので,それはある程度,かなり改善されていることは事実です。御懸念の点は大変よく分かっておりまして,その辺を改善しようとして,そういうふうにやりました。今後、先ほど課長が言われたように,数年後,やはり検証していくということになろうかと思います。
【西尾部会長】  
 それでは,今,御意見踏まえて,今後,その確認をしっかりしていくということでお願いいたします。どうぞ。
【小安委員】  
 もう一つ,今,中村さんおっしゃっていたヒアリングのことに関して,私もヒアリング審査,少なくとも個人研究に関してはなくてもいいんじゃないかということをずっと前から言っているんですけど。それも,やはり今,その理由は,新しい審査方式が非常にうまく機能していて,スタディ・セクション方式が非常にうまくいっているので。ただ,そうすると,これでいろんな,ほかのNIHなんかでも,別に大きいからといって必ずしもヒアリングするわけではない。それは総合審査がきちんと働いて,皆がちゃんとその内容を理解した上で判断するというのが大前提になっているので。今,始めてまだ2年ですよね。これ,恐らく,しばらくすると,学振の方でも,どういうふうに出したかって検証されると思うので,そのあたりのタイミングで議論を進めていくのがいいんじゃないかなと私は思っています。
【西尾部会長】  
 今日の日本学術振興会で御回答いただいた内容の中で,今後特に大きな変更を伴っていく点に,重複制限のところがございますけれども,そのことに関しては,今日御回答いただいた内容で今後,それをベースとして改定を図っていくということで,皆様,それはよろしいですか。
 ほかにございませんでしょうか。
 今日,2つ大きな審議事項がございましたけれども,最初の方の学術変革領域研究の(B)における年齢に関する記述については,その審議をもう1回お願いできればと思いますので,その点,どうかよろしくお願いいたします。
 2つ目の議題に関しましては,日本学術振興会から頂いた回答を基に,さらに,今日頂いた様々な御意見を踏まえつつ改革を進めていくということで,令和2年度の公募及び概算要求に向けて取り組んでいただければと思いますので,どうかよろしくお願いいたします。
 先ほども出ましたけれども,今日議論しました様々な改革案も,ある程度の予算確保ができないと,なかなか実効的なものになりませんので,どうかその点,文部科学省におかれましては,我々も可能な限りの応援をしていきますので,是非ともよろしくお願いいたします。
 それでは,今日の議論がそろそろ終わりなので,局長の一言をお願いいたします。
【磯谷研究振興局長】  
 すみません,遅参しましたけれども,最後は部会長から励ましの言葉を頂きました。前半の議論,私,聞いておりませんでしたけれども,今日おまとめいただいたように,新学術領域の観点,まだまだ審議をしなければいけない部分もあるということでございますし,それから先ほど来,科研費全体の審査の在り方相当についてのJSPSからの御提言,あるいは審査部会の議論も踏まえて,今日の研究費部会の議論ということであります。
 私も,まさに科研費の原点に戻って,個々の研究者ですとか,あるいは研究グループが最大限にその能力を発揮する,あるいは成果を上げていく,実績を上げていくということのための制度として,コミュニティの支持も頂きながら,全体として日本の研究力の向上とか学術の振興というのを引っ張っていく最大の競争的資金ということで,改善,改革を図っていきたいと思いますし,改善,改革を図りながら,さっき部会長がおっしゃっていただいたように,予算の確保等々についても,国民や社会の理解を得ながら頑張ってまいりたいと思っておりますので,今後とも御指導いただきたいと思います。
【西尾部会長】  
 どうもありがとうございました。
 今日御意見をまだ言っていただいていない方もおられますけど,よろしいですか。どうぞ。
【上田委員】  
 新学術の(B)の件で,若手の年齢制限云々という議論があったと思うんですけど。私も実はワーキングに参加していますので,こちらで意見を言うのもあれかと思っているんですけれども。重要なことは,正論として研究というのは本来,年齢とかジェンダーで評価するものじゃなくて対等である。これは正論で,そのとおりですね。論文というときに,この人何歳だから通すとか,そんなことは当然あり得ない。だけども,今,日本の現状を見たときに,若い人が,例えばドクターに残らない。
 私は本務は企業の基礎研ですけれども,そこで起こっていることは,海外研修に余り行きたがらない。私が若いときは,みんな必死で,そういう権利を得るために,例えばTOEICも800以上とるだとか,そういう勉強もしながら,そういう権利を得ようとしたんですけど,今の人は,仮にTOEIC900の人でも,別に海外なんか行きたくない。これ,何が起こっているかというと,やはりGAFAの影響なのか,研究よりも高いサラリーのある会社に就職する。研究者を目指すのは,実は,言葉悪いですけど,愚か、みたいな風潮が,優秀な若い人ほどある。これをどう直すかといったときに,若い研究者をどうやって研究にエンカレッジするかというような視点で考えていかないと,正論だけで言ってしまうと。割と優秀な人でも,やはりシニアの人に比べると経験が浅く対等ではないので,なかなかファンドも通らない。じゃあ,ファンドも通らないし,研究費がないと研究もなかなかうまくいかないしとなっていって,だんだん研究者離れが加速していくんじゃないかという懸念もあるので,これはあくまで優遇というのじゃなくて,若い人をエンカレッジする施策だということを何か前面に出していかないと,正論で言ってしまうと良くないと思います。
 それだと,例えば国が若手,女性とかというキーワード挙げているときに,やはり,女性の研究員の人たちが声を大にして,まだまだ女性は不遇だという人はいっぱいいるわけですよね。だとしたら,それと矛盾する話になるので,やはり,それは不遇とかじゃなくてエンカレッジだということで,そのポジションをできるだけ多くするような施策を今は過渡的にやっていると。これが正常に戻ったら,その正論でいいと思うんですけど,今,我が国においては,そういう正常じゃない状況にあるので,そういうことを考慮すべきかと。
 私は,そういう意味では,もともと小安委員と同じ意見を言っていたんですけれども。お金をとるためというのは非常に言い方変ですけど,国が若手と言っているなら,それをうまく利用して,若い人にどんどんエンカレッジするようにすべきという思いがあるので。そういう点も考慮して議論をしないと,正論だけで言うのは,ちょっとおかしいかなと思います。今,我が国の現状を踏まえた上での議論かと思います。
 以上です。
【西尾部会長】  
 どうもありがとうございました。これはここでは議論する時間がありませんので,上田委員の意見を今後の部会の議論で参考にしていただくということでお願いします。どうも貴重な御意見ありがとうございました。
 もう一人おられましたね。どうぞ。
【射場委員】  
 私も,事務局には随分重い宿題が残ったなと思うんですけど。さっきの学術変革(B)のところ,研究に年齢制限を設けないというのは皆さん,先生方おっしゃるとおりなんだけど,今議論になっているのは多分,研究代表者ですよね。研究代表者って,随分マネジメント的な要素が強いので,会社でいうと45歳。うちの会社だと,45歳というと,100人から200人ぐらいの部署の部長に,若い人だと,なる年齢で,かなりマネジメントを重視するような方向に。優秀な人を選んで,そうしていくんですけど。そこを,45歳という年齢が適当かどうかの議論は別として,若い人にマネジメントをある程度経験させるということで(B)という枠を設けていたんですよというロジックは1個あるのかなと。方策として,今後どうやるという。
 あとの挑戦的萌芽の10%の採択率のところは,去年も,たしか採択率が,これが適当かどうかの議論はしたと思うんですけど。そこで重複制限外して件数が増えるから予算を増やしてくださいというロジックは,いかにも簡単過ぎるので,もうちょっと,こう工夫するんだけど,やっぱり不足するんですみたいな,何段階か理論武装,要るかなと。
【西尾部会長】  
 どうもありがとうございました。上田委員も,今御意見頂いた射場委員も民間企業からの貴重な御意見として拝聴したいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,これで本日の議事は終了となります。最後に,事務局から連絡事項をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】  
 次回の研究費部会は7月31日を予定しておりますが,正式な開催案内については追って御連絡をさせていただきます。
 それから,本日の配付資料につきましては,後ほどメールでお送りしますので,タブレット端末は切らずに,そのままでお残しください。
 以上でございます。
【西尾部会長】  
 それでは,本日の研究費部会はこれで終了します。貴重な御意見,多々頂きまして,誠にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課企画室

電話番号:03-5253-4111(内線4092)
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-- 登録:令和元年10月 --