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第10期研究費部会(第1回) 議事録

1.日時

平成31年4月3日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 部会長及び部会長代理の選任について
  2. 科研費を取り巻く政策動向等について
  3. 科研費改革推進タスクフォース(独立行政法人日本学術振興会)における議論のまとめについて
  4. 第10期研究費部会における議論の進め方及び検討課題について

4.出席者

委員

栗原委員,白波瀬委員,西尾委員,井関委員,射場委員,大野委員,小安委員,城山委員,中村委員,鍋倉委員,上田委員,中野委員

文部科学省

磯谷研究振興局局長,増子大臣官房審議官,原振興企画課長,梶山学術研究助成課長,岡本学術研究助成課企画室長,中塚学術研究助成課企画室室長補佐,他関係官

オブザーバー

家日本学術振興会理事,西村日本学術振興会学術システム研究センター副所長,永原日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

(1)部会長及び部会長代理の選任について

事務局より資料1に基づき説明があった後,委員の互選により,西尾委員が部会長として選出された。その後,西尾委員により白波瀬委員が部会長代理に指名された。

【西尾部会長】
 ここで1点事務局より説明事項があるとのことでございます。お願いいたします。
【中塚企画室長補佐】
 それでは,資料2-5をお開きいただければと思います。本研究費部会の運営規則の一部改正についての御提案でございます。この研究費部会におきましては,以前から科研費を中心としてその制度の在り方等に関する審議を行ってまいりました。科研費の制度改善等の実施に際しては,予算の要求ですとか執行の時期といったものを勘案して審議を行う必要がございます。一方で,緊急に決定すべき事項が発生した場合につきましては,直ちに部会の会議を開催し,審議を行うことが難しいこともあろうかと存じますので,やむを得ない理由により会議を開く余裕がない場合に限って,書面による審査を可能としたいということで,運営規則等の一部改正を行ってはどうかというものでございます。
 改正の内容につきましては,2.の新旧対照表にもございますけれども,部会長がやむを得ない理由により部会の会議を開く余裕がないと判断した場合においては,事案の概要を記載した書面を委員に送付し,その意見を徴(しるし)し,又は賛否を問い,その結果をもって部会の議決とすることができる。そして,その議決を行った場合には,部会長が次の会議において報告をしなければならないということで,1つ,「書面による議決」という条項を加えたいという御提案でございます。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。何か御質問や御意見ございますか。
 今後必要に応じて本部会においてメール審議を行うこともあり得るかもしれませんので,その際には御理解,御協力を何とぞよろしくお願いいたします。

(2)科研費を取り巻く政策動向等について

【西尾部会長】 
 次に,科研費を取り巻く政策動向等についてということで,先月,柴山大臣のイニシアティブで,高等教育機関における教育・研究改革を一体的に推進するプランが示されております。そのプランの方向性にのっとって,この部会が主題とする科研費についてもその在り方を検討していく必要がありますので,柴山イニシアティブを中心として,科研費を取り巻く政策動向や現状の課題認識などについて事務局から説明いただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
【梶山学術研究助成課長】 
 それでは私の方から御説明申し上げます。科研費を取り巻く政策動向として,私の方からは,上の3-1と3-2,それと,本日,戦略事業に関しましても前回の前期における御議論におきまして関連する情報というものを本部会においても御覧いただきながら審議していただくということで,3-3についても金子室長の方から御説明することとしております。
 では,まず3-1の方を御覧ください。横になっております青色のものでございます。高等教育・研究改革イニシアティブ,いわゆる柴山イニシアティブということで,先般文部科学省として打ち合わせさせていただいたものでございます。こちら,副題にございますように,高等教育機関における教育と研究を一体的に改革を推進していこうというものを文科省として色濃く出したものでございます。基本的な考え方につきましては,御承知のような少子高齢化やグローバル化の進展する社会において,人材育成,それからイノベーション創出の基盤となる大学改革が急務だという中で,国の責任において,御承知のことと思いますが,意欲のある若者に関する高等教育の進学機会の確保のための法案というものが,今,国会に提出されております。そちらに合わせて,高等教育機関の取組・成果に応じた手厚い支援と厳格な評価を徹底することにより,教育,研究,ガバナンス改革を加速していきたいというものでございます。こちらにより世界を牽引(けんいん)するトップ大学群と,地域や専門分野をリードする大学群を形成するとともに,最前線で活躍する研究者や次代を担う学生の活躍を促進したいというものでございます。
 大きなものとして少しブレークダウンしたものが下にございまして,改革の方向性というのを御覧ください。4つの柱として,機関へのアクセスの確保,それから大学教育の質の保証と向上,で,この大学教育の質の保証・向上というものを図るのに切っても切れないのが,こちらの方で御議論いただいております研究力の向上であるということ。また,それに対しまして,それを支えるような教育研究基盤・ガバナンス強化というものを図っていく必要があるのではないかと。こちらを手厚い支援と厳格な評価というところで,例えば高等教育機関へのアクセスの確保であれば,授業料・入学料の減免や,奨学金の支給と併せるとともに,そのような対象につきましては,学問の追究と実践的教育のバランスのとれている高等教育機関に限定するなど,このようなところとセットで行っていく。また,大学教育についてもより質を高めていくということ。それから,この部会における検討事項にあります供給力の向上につきましては,研究の人材を改革していきたいというところ,また,資金の改革をしていきたいというところ,また,環境の改革というもの,こういうところを行っていくところを大きく打ち出しているところでございます。
 次のページを御覧いただければと思いますが,主な取組ということで,図示したものになっております。
 このような中で,少し飛んでいただきまして,下のところで,研究というものに関して特化したものが,ページ数でいいますと5ページ目にございます。こちらを御覧いただければと思っております。現状・課題については御議論いただいているところでございますが,先ほど申し上げました研究人材の改革,研究資金の改革,研究環境の改革ということで,例えば研究人材の改革であれば,優秀な若手研究者へのポストの重点化だったり,研究者の質の向上と多様性の確保,また,研究資金の改革ということで言えば,Funding Agency間の連携の強化でありましたり,若手や新興・融合の推進,それから基盤的経費と競争的資金によるデュアルサポート,また,研究費の審査の透明性の一層の向上であったり評価・検証の徹底,また,それを支えるような研究環境の改革というところで,計画的な共用の強化などを考えていく必要があるのではないかというところをプランとして打ち出しているところでございます。
 こちらにつきましては,より具体的な内容につきまして,現在文部科学省におけます高等教育局,それから研究3局の中で,副大臣の下,タスクフォースを作っております。この4月の中にもタスクフォースの検討というものを明らかにして,またその方向で来年度の概算要求や,長期的なものを検討していくということを考えているところでございます。今このようなものが行われていることを御承知おきいただければというふうに思っております。
 それから,3-2を御覧ください。先ほど申し上げましたところはより大きな方向性というところでございましたが,3-2についてはより具体的なものでございます。第1回の会議ということでございますので,関連の議論に資するための資料ということで,アンケートというものをちょっと御紹介させていただければと思ってお時間を頂いているところでございます。3-2の一番上のところを御覧いただければと思いますが,今,科研費改革や科研費の調書などの様式の見直し等が行われているところでございますが,その改善状況であったり,その他科研費において今後検討すべきような課題について意見を聴取するために,文部科学省において,研究者の立場から非常勤として私どもに御支援いただいております科学官,学術調査官の方々にアンケート依頼をしたものでございます。こちらにつきまして御紹介できればというふうに思っております。
 では,次のページを御覧いただければと思います。具体的には,審査方法と審査基準,審査体制ということについてアンケートを頂いたわけでございます。まず(1)として,今回の科研費において審査区分の大くくり化というものを図りました。こちらについての御意見ということで,全体的にこの丸のところが好意的な意見,それからひし形のところが改善などを求める意見や要望があったというものでございます。例えば,(1)の一番上のところにございますが,基盤(S)とか(A)などにおきまして,総合評価というものを入れたということが評価できると。大区分,中区分で審査することは評価できる,研究そのものの評価がしやすくなるのではないかといったような肯定的な意見というのが多うございましたが,四角のところを御覧いただければと思いますが,中区分で行う審査につきまして,該当分野を専門とする審査員の意見が尊重される傾向があるのではないか,こういうところをどう考えていくのかというようなところがアンケートの結果としていただいております。
 また,今のところは区分でございますが,次のページを御覧いただければと思いますが,総合審査,2段階審査でございます。こちらにつきましては,一番上の丸にありますように,同じメンバーで行う2段階審査というようなことは非常によかったのではないかということや,3番目の丸のような総合審査についても,これは理想的な審査方式ではないかということがあったところでございます。ただ,四角のところでございますが,やはり一定のところで最終的な合議というものが必要なのではないか,できればそういうことをやった方がいいのではないかというところ。こちらの御意見もあったところでございます。
 それから次のページを御覧いただければと思います。次のページが審査件数,審査負担の軽減でございます。こちらは後ほど日本学術振興会の方からも検討結果,分析結果というのをお話しいただくところではございますが,調査官等の御意見としても,応募件数の増加ということは非常に大きな要因だが,先ほどお話がございましたが,他の分野の審査というものの負担というものはやはり大きいのではないかということ,他の分野といっても,完全に自分の研究分野そのものではないという意味だと思いますが,そういうことでありましたり,2番目の四角にありますように,1人当たりの審査件数がやはり多いのではないかと。それから3番目の四角にありますように,若手を導入するというようなことが必要なのではないかということや,4番目にありますように,科研費を受けた人は必ず審査委員を担うというようなこと,このようなところを含めどのようなことが考えられるのかというところを御意見としていただいているのではないかと思っております。
 それから,その他審査に関する意見というところでございますが,丸のところで挑戦的研究における概要を出すというような形,そういう審査方式というものに好意的な御意見があったり,それ以外のところで,例えば充足率というものに関して少し考えた方がいいのではないかということ,コメントというものに関してもう少し考えていく必要があるのではないか。それから継続性というものに関して考えていく必要があるのではないか,こういうところについても御意見を頂いているところでございます。
 それから,次のページを御覧いただければと思いますが,研究計画調書についてでございます。研究計画調書に関しましては,研究業績というものに関して,枠がなくなったというお話もあれば,丸の一番下でございますが,研究業績の欄というものをこの審議会において御議論いただきまして修正したわけでございますが,無関係の業績を並べて数で競うというようなことは無意味であり,非常によかったのではないかというところがございます。ただ,四角の一番上にありますように,業績を書いてはいけないというように誤解した方がいらっしゃるんじゃないか,こういうところをきちんと考えていく必要があるんじゃないかということや,その2つ下で,研究遂行能力の評価という意味で適切な量の研究代表者の主要業績などはやはり重要なのではないかということを頂いているところでございます。また,researchmapとの連携につきましても昨年度実施したところでございますが,そちらについて好意的な御意見や,どういうふうに考えていくかというふうな御意見もあったところでございます。
 それから最後,その他ということで,若手研究者の支援というところでございます。こちらにつきましても,後ほど日本学術振興会の方からもお話しいただけると思いますが,シニア研究者のところも重要なのではないかということであったり,若手研究(A)というものの廃止に関しても見直す必要があるのではないかということがあったり,若手研究者の独立の支援ということを試行的に今やっておるわけでございますが,そちらにつきまして今後どのように考えていったらいいのかというところ,それから定年退職後あるいは定年間際の方々に対することについてどう考えていくのかというような話がございました。
 また,デュアルサポートについてですが,こちらにつきましては,長期にわたる地道な研究を支えるという意味で両方を考えていくべきではないかということや,間接経費をどう考えていくのかというところ,また,デュアルサポートということで,長期的な研究を支えていくという意味でどのような仕組みがいいのかということ,こういうことに関して御意見があったというふうに考えております。
 時間が短いところで恐縮でございますが,このような御意見があったということをまず紹介させていただければと思います。私からは以上でございます。
【西尾部会長】 
 では,次の資料3-3についてお願いします。
【金子基礎研究振興課基礎研究推進室長】 
 基礎研究推進室の金子でございます。資料3-3を御覧いただければと思います。科研費を取り巻く政策動向の一つとして,戦略事業の最近の動向について,ポイントを絞ってかいつまんで御説明申し上げたいと思います。
 次のページ,9分の2ページ目でございますけれども,改めてでございますけれども,戦略事業の位置付けということでございます。左下の絵を見ていただければと思いますけれども,科研費,ボトムアップ型の代表的な研究費であるところに対して,戦略事業につきましてはいわゆるトップダウン型の競争的資金ということで,国の方で定める戦略目標の下にJSTにおいて実施している競争的資金ということでございます。規模感といたしましては,科研費の4分の1あるいは5分の1程度で推移しているところでございます。
 次のページ,9分の3を御覧いただければと思います。若干細かい字で恐縮でございますけれども,右上に2019年度,本年度の予算額ということで記載してございますけれども,全体として424億円ということであります。御案内のところでございますけれども,左下に戦略事業の形態ということで3つ主なものを掲げさせていただいておりますけれども,左下がいわゆるCREST,チーム型で実施しているものでございまして,研究期間としては5年半,研究費トータルでございますけれども,1チーム当たりが1.5から5億円程度で推移しているというものでございます。また,さきがけ,いわゆる個人型の,特に若手などを中心とするサポートのタイプでございますけれども,こちらについては研究期間が3年半,1人当たり総額でいきますと3,000から4,000万円程度,さらには,右のERATOがあるところであります。
 右手中ほどに2019年度の予算のポイントと記載してございますけれども,ここは最近の戦略事業の大きなテーマであるところと考えてございまして,すなわち,新興・融合領域の開拓を強力に進めるためには,戦略目標を大くくり化するといったものでしっかりやっていく必要があるということでございます。
 また,その下にCRESTの領域数が書いてございますけれども,括弧内が前年度の領域数でございますけれども,おかげさまをもちまして,2019年度,本年度におきましては,CRESTであれば対前年度3領域に対して4領域,さきがけでいきますと前年度4領域に対して6領域,ERATOにつきましては2課題に対して3課題ということで,増できたところでございます。
 また,もう一つの大きなテーマであるところの若手をしっかり支援する必要があるということで,これは繰り返しになりますが,さきがけについては領域数を拡大することができたということと,もう一点,ACT-Xという若手研究者をスモールスタートで育てていこうというような支援の制度が1つできたということであります。
 次のスライド9分の4でございますけれども,先ほど梶山課長の方からございましたけれども,柴山イニシアティブということで,一体的に整合性を持って一連の制度を改革する必要があるということで,ここで記載してございますのはその中で示されたものでございますけれども,Funding Agency間の連携を強化する,さらには若手をしっかり重点的に支援していく,さらには新興・融合領域の枠組みを構築していくといったことについて戦略事業についても改革を鋭意進めているところでございます。
 また,9分の5でありますけれども,これは,文部科学省で定めるところの戦略目標の策定のプロセスを簡単に御説明いたしますけれども,STEP1といたしましては,まずは世の中の研究動向をしっかり把握しようということで,科研費データベースをはじめとするそういった客観的な動向をしっかり把握するというのが1つファーストステップとしてございます。次のステップといたしまして,そこで見えてきた動向などを参考に,何を現場の研究者の方々が考え,最新の動向をどのようにお考えになっているということをまずはしっかり把握することが必要ということで,2,000名以上の方に意見を聴取して,そういったものから我々が取り組むべきような研究動向を特定するというようなことをSTEP2としてやってございます。
 その上で,そのSTEP2で浮かび上がってきた研究動向を,更に科学的な価値でございますとか社会経済的な価値がどういったものであるかといったことも幅広く意見を聞くというのをSTEP3として,こういったことを総合的に勘案いたしまして,文部科学省の方で戦略目標を決定するというようなプロセスを経ているところでございます。
 こういった経緯を踏まえまして,2019年度,本年度でありますけれども,昨月3月,このような戦略目標を決めたということの御報告でございます。この場では個々の戦略目標について御説明することは控えたいと思いますけれども,科研費を取り巻く政策動向の一端としてこういったことで御報告するものでございます。
 以上でございます。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。今御説明いただいたことに関しての質疑応答等につきましては,まず報告等を全ていただいてから,時間を確保して皆様方から伺いたいと思いますので,そのときまで待っていただければと思います。
 今,戦略研究につきましての説明をいただきましたが,この研究費部会は,従来,科学研究費補助金のことを中心に議論をしてまいりました。ですけれども,科学研究費補助金だけではなくて,日本の研究費全体について議論をする場所が文部科学省の中であるのか,という質問が前期の議論で出ました。そこで,この研究費部会におきまして,科学研究費補助金のことを中心としつつも,それ以外も含めた研究費全般のありようについての議論をこの10期ではできたらと考えております。
 研究費のタイプあるいはカテゴリー分けに関しましては,東日本大震災の後に研究費のありよう等について精査がなされ,1つの考え方が示されました。研究に関しては学術研究,戦略研究,要請研究の3つがある。それが1つの軸であれば,もう一方の軸として基礎研究,応用研究,開発研究の3つがある。ですから,3掛ける3のマトリックスで考えていきましょうという考え方です。科学研究費補助金は学術研究の重要なものでして,国立大学ですと運営費交付金,私学ですと私学助成金等ございますけれども,それらとともに科学研究費補助金が学術研究を支えています。特に科研費については,全ての分野を網羅している。小さい萌芽的な研究から大型研究までを全部カバーしている。それと国公私立の機関を問わないという大きな特徴があります。また,今御説明いただきました戦略研究につきましては,戦略目標というものをどのように定めるかということは非常に重要なことでして,文部科学省とJSTとの連携活動の中で,その策定に関する活動が展開されています。ただし,先ほど,戦略目標の大くくり化というようなことを御説明いただきました。そういう中で,科学研究費補助金との今後の関わり合い,あるいは連携,そのようなことをどうしていくのかということは,重要な論点になってくると思っております。

(3)科研費改革推進タスクフォース(独立行政法人日本学術振興会)における議論のまとめについて

【西尾部会長】 
 それでは元に戻って,いろいろな説明・報告をまずいただくということで,近年,科研費の応募件数が増加傾向にありますが,日本学術振興会では昨年来,学術システム研究センターにタスクフォースを設置して,現状把握と課題解決のための方策について御検討をされてきたと伺っております。本日は,日本学術振興会学術システム研究センターから永原副センター長にお越しいただいておりますので,タスクフォースにおける議論の概要等について御報告をいただければと思います。何とぞよろしくお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】 
 すみません,審議官の増子が参りましたので,御紹介だけさせていただきます。
【増子大臣官房審議官】 
 遅参して申し訳ございません。4月1日付で研究振興局担当の審議官に着任しました増子でございます。これからいろいろお世話になります。よろしくお願いします。
【西尾部会長】 
 どうかよろしくお願いいたします。
 永原先生,それではよろしくお願いいたします。
【永原日本学術振興会学術システム研究センター副所長】 
 では,お手元の資料4に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。頂いた時間が10分ですので,基本的に要旨というところの流れで御説明したいと思います。詳細はその後ろの,ページ数ですと4ページ以降の本文と,更にその後ろに資料がたくさん付いておりますので,御覧いただければと思います。
 まず要旨の冒頭です。科研費というのは現在日本でも最も大事な研究費ではありますが,本来的なものとして,大学等の研究機関の研究者の自由な発想と創造性にあふれた学術研究を,更にピアレビューという,つまり研究者による審査によって最もすばらしい成果が出ると期待されるものを選んで助成するという,そういう性格の研究費であるということです。
 こういう大前提の下に,ただ,科研費の実態はかなり最近いろいろな形でゆがんでいるということで,科研費改革が大きくなされたわけです。その1年目の審査が終わったので,その状況がどうであったかということが1つ。それからもう一つが,今,西尾先生の方から御紹介ありましたように,科研費の応募数が非常に増加していて,このまま何か問題はないのかという,それを検討するようにという,これは文科省の科研費改革に関する作業部会というところから日本学術振興会の方に依頼がありまして,その2つの点を議論するという目的で日本学術振興会の中でタスクフォースを設置して検討を行いました。今から御紹介するのはそのまとめの結果ということでございます。
 まず1点目に,科研費応募数の方の問題です。科研費応募数は,平成10年から30年という20年間で7万5,000件が10万3,000件というふうに大きく増加しているわけです。で,これはもうほとんどコンスタントに増加しておりまして,後ろの方の資料を見ていただくと分かるのですが,一方的な右肩上がりの上昇傾向です。そのことは調査資料の一番初めのページの棒グラフを御覧いただくとクリアであるかと思います。ですが,それは一律に全てのものが増加しているというわけではなく,研究種目で見ますと,基盤研究(C)に増加が集中しております。それからまた組織では,国立大学よりも私立大学において非常に高い伸び率を示しております。それからまた,研究分野においては,医歯薬学,人文学,社会科学,複合領域という分野において顕著な増加を示しており,その他のところではほとんど定常状態に近いというのが現状でございます。今の内容も後ろの方の資料をつぶさに御覧いただけるとお分かりいただけるかと思います。
 こういう現状ではあるのですけれども,そもそもその背景が,文科省の分科会の中では,この科研費の予算が横ばい状態の中で応募数が増加するということは,結局採択率の低下であるとか科研費の充足率の低下ということに直接的につながってまいりますので,科研費の応募資格そのものとかいろいろな形で何か問題はないのかということを日本学術振興会の方に検討してほしいということで依頼がありました。その点を精査いたしましたけれども,それからもう一つ,ここに書いてございませんが,第5期科学技術基本計画において競争的資金は平均的な採択率を30%にという行政目標が掲げられているという大きなポイントがありまして,しかし,我々としましては,国の政策目標が30%であるという理由で,それを満たすために何か資格制限を与えるとかいうことは,科研費の理念に根本的に反することですから,それは考えないと。それで,その増加数の背景,そもそも応募数が増加していることの実態は何かということが問題になるわけですけれども,それはもちろん研究者自身が積極的に研究費を獲得したいという個人の背景というものはもちろんあるわけですけれども,それ以上に,今,科研費の獲得ということが,特に採択が大学の評価であるとか,さらには大学や組織の研究所における個人の評価に非常に強く密着してしまっている。その結果,本人が意図しない形で科研費を応募できるものには全て応募するように,あるいはとにかく応募しないなどということは論外であるというような,そういう風潮が大学や研究所にも非常に強く広まってしまっていることが,この科研費の応募数の一方的な右肩上がりということにつながっているのではないかということを我々としては非常に注目をしております。したがって,このことは,先ほど梶山課長などからの御説明にもありましたけれども,単に科研費の問題ではなくて,やはり大学の運営費の問題あるいは日本の科学技術予算の配分のされ方などの包括的な枠組みの中で考えていかないと,科研費の応募数が増加しているから,そこに何か問題があるのではないかという形の議論をしても本質的な解決にはつながらないであろうということが我々の重要な結論の一つです。
 それで,2つ目です。科研費審査システム改革,2018年度からスタートしましたけれども,その結果がどうであったかという点です。この点に関しましては,実際に審査をやってくださった委員の方,あるいは審査会に陪席した学術システム研究センターの研究員による検証などによって,総合審査というのは,1段階目で書類審査をして,2段階目では同じ委員が合議をするというシステムですし,それから2段階書面審査というのは,同じ審査員の書面審査を2回やる,ただし全てをやるわけではなくて,2段階目ではボーダー付近の課題だけ行いますけれども,そういう新しい審査方式ですが,結論としましては,どちらも有効に機能しているとみなすことができるというふうに考えております。なぜ有効に思うかということは,後ろの方のまた詳細な資料を御覧いただけると分かるわけですけれども,同じ審査員でも合議をすることによって,あるいは2回目の審査をすることによって,自分が初めは何か自分個人の考えだったけど,ほかの委員の意見でもっていろいろ違うポイントがあるというようなことを十分によく認識されたということを審査員の多くの方が意見として述べてくださっているということです。
 それで,他方で,審査員からは,審査の負担がかなり重いという意見も寄せられておりまして,この点に関しましては,既に実は,今この瞬間は,この4月1日で今年度分の科研費のかなり多くのものを既に研究者に交付しておりますので,その審査の段階では,初年度にあった審査員の負担を軽減するために,審査の件数の上限を減らすというような,実際には基盤研究(C)では前年度150件が一番多かったんですが,それを100件までに減らすとか,基盤研究(A)では60件だったものを50件に減らすとかいう形で,具体的に審査件数をかなり減らして,審査員の軽減を図りました。今後においても,もちろんできるところからそういうふうにやっていくと。ただし,審査負担を,1人当たりの件数を減らすということは,審査員の数を増やさなくてはならないということになりますので,そのために審査員資格も再検討したりとか,いろいろな形で軽減を進めております。
 ただし,科研費審査システム改革というのは,そういうプラクティカルな部分だけじゃなくて,本来の問題であった科研費の研究者の研究が非常に細分化されていて,研究者が近視眼的になってはいないかという問題が本当にこれで解消できているか,そういうことにつながっているかという点はもう少し長期的に検討する必要があるということを,今回の科研費システムの制度改革においては我々の結論としております。
 3点目は科研費改革の今後の方向性ですけれども,それに関しては,そこに具体的に書いてございますように,実際に若手の支援がうまくできているかとか,それから重複制限が適切であるかとか,それから幾つかの大型種目では多角的な視点からの評価と専門性の担保という非常に難しいことをやらなくてはいけないのですが,その審査体制が適切であるか等,更に具体的に我々は検証していくことがあるということを具体的に3点ほど指摘させていただいております。
 最後に,現在では基盤研究(S)と特別先進研究という大型種目は年度を越えてまだ審査が続いております。これは何段階にも審査をする,あるいはヒアリングをするために,まだこの先に,4月,5月に行って審査をするために,実は何をしているかといいますと,これらの種目の場合には重複申請が可能になるので,基盤研究(A)に採択されているその人たちが4月1日に科研費を基盤(A)は採択されて,しかし春先になって基盤研究(S)ですとか特別推進のヒアリングを受けて,もし採択になると,その(A)の人たちはたった2か月ぐらいでそれを廃止するというような,非常にうまくない仕組みができておりまして,ただ,これを解消するためには,手間を掛けなくてはいけない大型種目はもっと審査に時間が掛かりますので,もっと早い時期に実は応募を締め切るとか,いろいろな科研費の流れが大きく変わるようなことの検討が必要で,このことを是非今後においてこの研究費部会あるいは審査部会等において検討をしていただくべきではないかということを最後に指摘させていただいております。
 以上でございます。
【西尾部会長】 
 永原先生,どうもありがとうございました。本日はJSPSの方から理事の家先生,また,研究センターの副所長の西村先生にも来ていただいております。どうもありがとうございます。

(4)第10期研究費部会における議論の進め方及び検討課題について

【西尾部会長】 
 それでは,今説明いただいたことも受けながら,本部会の審議の進め方と当分の審議事項,スケジュールの案を事務局にて準備いただいておりますので,それについて説明をしていただき,その後に自由討議を行いたいと思いますので,どうかよろしくお願いいたします。
【岡本企画室長】 
 それでは,資料5-1から5-4を御説明させていただきます。
 まず,資料5-1を御覧いただければと思います。科研費改革の推進に対する審議体制のイメージということで,事務局で考えております審議のイメージでございます。これは前期,第9期と同じ形を基本的に考えておりまして,科研費につきましては,研究費部会と科学研究費補助金審査部会,この2つの部会がそれぞれ役割分担を持って審議をしているところでございます。研究費部会につきましては,主として研究種目・枠組みの見直し,審査部会につきましては,審査に関する見直しを行っているわけですけれども,これは分けて審議できることではなくて,やはり一体的に審議しなければいけないことが非常に多くございますので,前期におきましては,下のところに科研費改革に関する作業部会というものを設けまして,具体的な政策の具体案などにつきましては,この作業部会を使ってある程度案をまとめて,それを研究費部会また審査部会の方で御審議いただくという形をとっておりましたので,今期につきましてもこのような形をというふうに考えているところでございます。
 次に,資料5-2を御覧いただければと思います。資料5-2が,前期29年4月24日に研究費部会と審査部会におきましてこの作業部会を設置したときの資料でございます。趣旨にありますとおり,科研費改革の実施方針に基づく具体的な方策に関する原案を策定し,研究費部会及び科研費審査部会に具申するという役割を持っているところでございます。この作業部会の設置につきましては,先日,審査部会を今期開いておりますが,そちらの方で一応御了解を頂いているというところを御紹介させていただきます。
 続きまして,資料5-3を御覧いただければと思います。今期研究費部会における当面の審議事項について(案)ということでまとめさせていただいております。前期第9期の研究費部会におきまして審議のまとめというのをおまとめいただきましたけれども,そちらに今後の検討課題というものを4点ほどまとめていただいております。当面,この4つにつきまして審議をしていただきたいということで,まとめてございます。
 1つ目が新学術領域研究の見直しでございます。これは前期におきましてもある程度形になるところまでの議論をいただいておりますが,2020年度の助成から見直して公募を行うということを目標にしてございますので,こちらについては,今期また速やかに御審議いただきたいと思っているところでございます。なお,この新学術領域研究の見直しにつきましては,審査の一体的な改善,業務の効率化,利便性の向上を図る観点から,日本学術振興会への業務の移管を見据えて実効性のある見直しを行う必要があるということでございます。
 2点目が応募件数増加への対応ということで,先ほど永原先生の方からも,振興会タスクフォースにおける議論のまとめを御報告いただきましたけれども,非常に応募件数が増えていて,特に基盤(C)の伸びが著しいということで,審査員の負担が増えてきているということがあるわけでございまして,これらの対応について検討するということが2つ目。
 3つ目が審査システム改革による新審査方式の検証及び検証結果を踏まえた見直しということございまして,平成30年度助成から新たな審査区分表により応募を受け付けております。審査方式も新たな審査方式をとっておりまして,よりよい審査方式の在り方につきまして引き続き検討していくということ。
 4点目が科研費制度の総合的観点からの検討ということでございます。先ほど金子室長の方から,戦略事業の戦略目標等について御紹介を頂きましたけれども,科研費が研究費全体の中で果たすべき役割,それを踏まえた制度の改善点について,その他の審議会,部会等と連携して審議をしていく,検討していくということでございます。
 以上4点が当面御議論いただくということで考えているところでございます。
 それと,当然これらにつきましては,先ほども御紹介させていただきましたタスクフォースなどを受けた議論などもしていきたいと思ってございます。
 次が資料5-4でございます。研究費部会の当面のスケジュールについてということで,日程だけ先に決めさせていただいております。5月,6月,7月ということで,月1回のペースで審議をしていきたいと考えております。当面はやはり新学術領域研究の見直しということが非常に重要なことであろうと思います。また7月末には,来年度の概算要求の考え方,例年この時期に研究費部会で御議論いただいておりますので,これらについて御審議をいただくということが考えられます。また,この間に科研費改革に関する作業部会を随時開催させていただきまして,それらの内容につきましても各部会で御報告させていただき,必要な議論を行っていただくということを考えているところでございます。
 資料の説明は以上になります。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。事務局から説明がありましたように,科研費の適切な運営と改善を図るためには,研究費部会と科学研究費補助金審査部会が連携して議論する必要があります。前の期の第9期においても,先ほど来説明がございましたように,作業部会を設置しまして,科研費の予算要求や制度改善に当たって具体的な設計を行っていただいたことで,本部会において非常に有意義な議論を行うことができました。そのことは部会長を務めておりました私として,大変感謝いたしております。そのため,今期の本部会としても両部会の下に合同作業部会を設ける方針をとりたいと思いますが,そのような方針でよろしいですか。
 それと,先ほどのスケジュール案にもございましたように,7月頃までは,来年度の概算要求に向けての科学研究費補助金に関してどういう方針で向かうのかということを審議する重要な期間になりますので,それまでは月に1回を目安として開催させていただき,その後,先ほど来話題になっております研究費全体について,もう少しメタなレベルから議論を展開すること,さらに,その議論の中で科研費の位置付けをより明確にしていきたいと思っております。
 作業部会のことですけれども,その作業部会の委員等につきましては,部会長の方から指名することとなっておりますので,私の方で検討したいと思いますが,よろしいですか。
 事務局から報告いただきましたように,新学術領域の見直しをはじめ具体的な検討を行うべき事項が幾つかございます。今後,作業部会で具体的な検討を進めていただき,適宜本部会において報告を受け,それに基づいて議論,審議をするようにしたいと考えております。本日は,これまでずっと説明・報告をいただいてきましたが,その内容についての御質問,あるいは御自身の考えておられる御意見等を自由にいただきまして,今後の議論につなげたいと思っております。あと時間が50分ぐらいございますけれども,まず,今期から初めて本部会の委員になっていただいた方から, 3分間程度で是非お願いしたく思います。井関委員,大野委員,中村委員,中野委員が今期から委員に御就任いただいております。井関委員,よろしくお願いいたします。
【井関委員】 
 東京医科歯科大学の井関です。先ほど梶山さんからアイウエオ順ですと警告を受けておりましたので。
 私,今も科研費を採択していただきまして,学生と研究を進めているわけですけれども,この科研費制度の在り方というか,科研費制度そのものに関わりましたのは,約10年前に学術調査官という仕事を拝命いたしまして,それ以来,何らかの形で関わってきておりまして,昨年度までは審査部会におりました。実は,本当に恥ずかしいことで,10年前ぐらいから関わっているにもかかわらず,じゃあ今全てその科研費の制度が分かっているかというと,まだ分かっておらず,勉強中であります。これまでは周りの委員の先生方の後について何とか遅れないようにというふうな気持ちで参りましたけれども,もうさすがに私自身も10年も関与していて,後からついていくのではいけないのではないかというふうに今気持ちを新たにしております。
 科研費制度に関わるようになってから,私自身も研究費の制度ですとか,種類ですとかそういったことに興味は出てきます。いろいろ考えているうちに,今回先ほど西尾先生の方から,研究費というものが横軸が学術,戦略,要請,そして縦軸は基礎,応用,開発というふうに分けられるとお話がありましたけれども,もう一つ,私自身,所属学会との兼ね合いでキャリアパスにも少し関わっております。その関係でこれにうまくキャリアパスを組み込む,確かに若手という言葉は出ていますけれども,若手の定義というのはあまりはっきりしておらず,これをもう少しこの中に,まあこの中じゃないのかもしれませんけれども,うまく研究費の種類と,キャリアパスにおけるどういった研究費が必要かということを関連させられるようになると,少し皆様,私も含めて頭の中がすっきりするんじゃないかなというふうには今感じております。これから,最後ではない形で付いていきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。今おっしゃっていただきましたように,科研費のいろいろな種目がございますけれども,それが御本人のキャリアを積んでいくこととうまくつながっているのかどうなのか,あるいはつながっていないのであるならば,キャリアパスとの連動も大事ではないかという御意見でした。これは梶山課長,お答えいただけますか。
【梶山学術研究助成課長】 
 審議会部会におきまして,若手研究者のプランを作成いただきまして,研究スタート支援から始まるような流れというものを一応整理はいただいていると思っております。ただ,プランを越えてどのようにしていくかということについて,プランをより強化充実させるような形の御議論は是非いただければというふうに思っております。
【西尾部会長】 
 井関先生,重要な御指摘ありがとうございました。
 大野委員,いかがでございますか。
【大野委員】 
 東京農工大学の大野です。思い起こせば,私も30年ぐらい前に文部省の学術調査官をやりまして,その頃,今学術振興会理事の家さんとか,隣の机にいて一緒にやっていました。その頃は科研費の書類は紙媒体で,近くの体育館を借りて審査員に山のようなものを送る作業を,今分析官の鈴木さんとかそういう人たちと一緒にやっていた世代です。その頃は,目指せ1,000億という課題で科研費をやっていたんですけれども,それに比べると非常に今よくなってきている状況だと思います。科研費改革も順調に進んできていますし,システム研究センターで主任研究員をやっていた頃には,隣の小安さんと一緒に科研費の在り方とかそういうのを徹底的に議論していたことがあります。そういうことを考えますと,この科研費というのは,日本の研究者の非常に重要なライフラインであるということで,いかに効率よく成果につながるような支援をしていくかということが重要ではないかというふうに思っております。
 今,お話を聞いていて非常に心強く思ったのは,富士山型の支援というものが重要であると。現実はアルプス型で特定の10大学に数十%行ってしまうという状況,これをどう公正に考えながら分布をもう少し裾野を広げていくかというところは,将来の日本の科学技術を考えた上でも重要じゃないかというふうには考えております。その辺も含めまして,また,若輩ですけれども少しお力になればというふうに思っておりますので,よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。井関先生も大野先生も,以前からさまざまな形で科研費に関わっておられる方が委員になっていただいているということで,大変心強く思っております。
 そういう意味では中村先生もいろいろ関わっていらっしゃいます。中村先生,どうぞ。
【中村委員】 
 東大の中村と申します。私は,野依先生が学術システム研究センターのトップで,その後,本庶先生,戸塚先生と3年半,学術システム研究センターの化学の主任研究員をやりました。そのときに,本庶先生の下で,「新しい科学研究費補助金制度を目指して」という,これはもうほとんど忘れられている文書なんですけど,一回また読んでいただきたいと思いますけど,そういう文書を1年半ばかりかけて書きまして,それで10年ほど前に,その提案がかなり実現したというイメージだったんです。そういう時期があって,その後,科研費が全く増えなくなって,それからだんだんおかしくなったというふうに思っています。
 それからもう一つは,その後は実は西尾先生と御一緒だったんですけど,JSTの研究主幹会議議長というのを2年やりまして,CRESTの分配に関しての方針決めをやりました。実は両方とも,前のときは今の磯谷局長が学術研究助成課の課長で,その後は,どこかの局の総括課長のときでした。そういう感じで五,六年こういうことばかりやりましたが,最近研究をやるだけあまりこういうところに出てまいりませんでした。この10年間の展開を見ると,基本的にトップ1%,10%の論文が減って,ボトムも減って,平均も減っているわけですよね。やっぱり誰かが責任をとらなくちゃいけなくて,これは文部科学省が責任とる以外ないです。これはほかの省庁の問題じゃないので,一義的に文部科学省の問題です。その原因の一つがやっぱり科研費であって,それからJSTの予算の在り方も問題であると考えています。今,西尾先生からも提案がありましたように,この会議は今までだと科研費だけやっていればいいよというところだったのが, JSTも含めて議論するということはまことにすばらしいことだと思っております。
 JST資金に関して言うと,政策目標を達成するための資金というようなものですから,やはり自由な基礎研究を支援するということにはなり得ないと思うんですね。少なくとも今の仕組みではそういうことはあり得ないです。このために,今御説明あったように,JSTというのは基本的に周回遅れの研究を支援するものなんですよ。つまり,いろいろ調べ回ってこういうことが重要だからこのテーマに決めるというやり方ですから,これは世界のトップから周回か,2周回も遅れているところを盛り返すための組織なんですね。JSTにそれ以上のものは期待できないです。今の仕組みから見ると。周回より先に行く研究というのは科研費しかないんですね。人の先,前例のないことをできるのは科研費しかなくて,それはまさに基礎研究そのものです。ですから,科研費が方向性を間違えると非常におかしなことになると思うんですね。科研費は下の方で出てくる研究の芽や若手を支えると同時に,芽を育てて上に向かって継続的に支える仕組みにしないとならない,それが実際に細っていますよね。上の方の研究費が外国と比べて大幅に減ってきているので,これでは本当に周回の先をぶっちぎりで行くような研究は日本から金輪際出てこなくなります。本庶先生にしろ,まあ皆さんノーベル賞を取るような方は,まあ野依先生もそうですけど,トップのお金をずっと取って支援されてきているんですよね。本庶先生に,じゃあAMEDかJSTへ行って何とかしろと,こういうのは筋違いで,やはり先生の研究は本当の基礎研究ですから,科研費で支援しなきゃならないんですね。そういうことをやはり皆さんで議論していただきたいと思っています。
 それから,審査に関しては,やはり人を選ぶというのに尽きる,科研費ではテーマを選ぶんじゃなくて人を選ぶに尽きると思いますね。基礎研究では人を選ぶということが大切,それからもう一つは,税金をどうやって有効利用するという観点での実績評価が大切。この辺の基本がこの10年間忘れられたままで,いろいろなことが行われてきたというふうに私は思っています。
【西尾部会長】 
 科研費の持つ重要さを再度リマインドしていただきまして,本当に貴重な御意見,どうもありがとうございました。そういう観点を我々は念頭に置いて,今後議論をしていかなければならないと思います。ありがとうございました。
 中野先生,いかがですか。
【中野委員】 
 大阪大学の中野です。先ほど永原さんから,出せる科研費は全部出せと言っているような人がいると言われてどきっとしたんですが,それにちょっと貢献しておりまして,科研費の応募数が多いということも,実はその科研費に出さざるを得ないという状況がいろんな大学機関で起こっている。先ほどデュアルサポートの大切さというのが出ましたが,そのデュアルサポートがなかなか基盤的な経費ではできなくなってきていて,科研費をある程度基盤的経費に使わざるを得ないという状況が出てきているということもあると思います。
 基盤(C)が非常に応募数が多いということをきょう伺って,それもなるほどと思ったんですが,これは多分基金化されているからだと思います,繰り越せる。で,やはり現在繰り越せるということは非常に大きなことで,実は私,別の科研費で毎年繰り越そうとして,何度も書き直しているんですが,なかなか基盤的経費が細ってデュアルサポートがうまくいってないときに,科研費だけで予定どおり研究を続けようとしてもできない,予定が狂ってしまうということはよくあります。我々の分野,原子核とか素粒子のビッグサイエンスになると,それはもう顕著でありまして,予期せぬことで研究が遅れてしまう。そのときに繰り越せないと無駄が起こるし,それから評価も下がって研究が止まってしまうというようなことが起こります。だから,いろいろなことが複雑に絡み合って今の状況が生まれているんじゃないかなというような感じがして,一面だけ見てとか,ある一つの制度だけ見て何か改革して,それが全てを解決するということは非常に難しいのではないかなという感じを今持っております。初めてこの場に出るので,いろいろと勉強しながら発言していきたいと思いますが,よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。中野先生が今御指摘いただいた点は,日本の学術政策の中で非常に大きな問題です。文部科学省の方からも財務省から予算を獲得する上では言っていただいておりますが,もうデュアルサポートシステムは現在までに崩れてしまっています。その中で,科研費が今おっしゃったように運営交付金の代わりのような形で捉えられつつあるということも大きな危機です。これを踏まえて,本来のデュアルサポートシステムをどうしたら回復できるのかということを,真剣に考えないと日本の学術研究は壊滅状態になってしまいます。今,中野先生がおっしゃったように,学術研究を支える基盤というものを,一体,国としてどうしていくのかの具体的な対策を考えることについては,本当に待ったなしの状況だと思っております。これまで新しく委員に御就任いただき,本日御出席いただいている方々から貴重な御意見を伺うことができました。科研費に相当深く今まで関わってきておられる皆様ばかりで,心強く思いました。今後,是非とも御意見等を積極的におっしゃっていただけるよう,よろしくお願いいたします。
 そこで,これからは以前からの委員の方々で,御意見等ございましたら,何なりとおっしゃっていただければと思います。時間の許す限りいろいろお伺いができればと思います。はい,どうぞ。
【城山委員】 
 多分,当面の課題として挙げられているのは,まさに淡々と多分それをやるべき話だと思うんですけれども,今,西尾先生の言われた点でもあり,多分今の論点リストで最後にある科学研究費制度の総合的観点からの検討というのは,じゃあ具体的にどういうステップで何をやるのかというあたりを,すぐにというわけにはいかないのかもしれませんが,考える必要があるのかなというふうに感じました。で,最終的には恐らく分科会や全体の総会に上げていく案件だと思いますが,そこにここからどういう問題提起ができるかということが重要かなと思いました。
 そういう観点で,必ずしも適切な論点かどうか分かりませんが,若干伺っていて気付いた点で申し上げると,例えばそのJSTの戦略研究のお話を御紹介いただいて,すごくいいと思うんですが,先ほど中村委員が言われたように2周遅れという問題はあるかもしれませんが,他方,私自身若干情報系のところでさきがけのアドバイザーみたいなことをやらせていただくことがあって思ったのは,ああいう経験って文系ではないですね。つまり,領域統括者がいて,アドバイザーが付いて同じような人たちが何年間にわたって合宿をやりながらずっと議論していくというすごくいい,ある種の研究室を越えた議論の機会になっているようなところがあって,例えばああいう運営の仕方なんていうのは,今の戦略研究だけではなくて,例えば文系の研究支援の在り方としても多分あり得るんだと思うんですね。だから,そういう研究マネジメントのモダリティーみたいな面で多分交流して議論するというのは一つあり得る話かなと思いました。そういう意味で,例えば科研費でも特設のBとか,応募した人同士が会いましょうという会をやり始めて,すごくいいと思うんですが,結局年に一遍しか会わないので,あまり踏み込んだ議論にはならないというところがあって,何かそういう研究マネジメントの仕方としてそういう研究費の枠組みの下でプロジェクト横断的に交流できる余地があるかどうかというのは多分1つあるかなと思いました。
 それからもう一つは,これもちょっと正確な認識かどうか分かりませんが,恐らく高等局マターと多分研究の話が横断というのは根本的な論点なんでしょうか,そこはなかなか難しいのかもしれませんが,そのときに,例えば学術分科会の中で,研究環境基盤部会において,例えば大型プロジェクトとかの議論をされていますよね。で,たまたま少し見る機会があったのですが,あれはある種共同拠点の機関支援,運営費的な側面もあるんですが,比率でいうと補助金の比率が結構増えて,研究費的な側面が増えているとか,従来は物理とか巨大なものだけだったんですが,例えば情報系だとか,ライフが入るか入らないかみたいな議論もあるというふうに伺いました。また,文系の史料のシステム化みたいな話もやっているようです。そういう意味でいうと,いわゆる大型プロジェクトとかなり大型の科研費とかの境界領域というのは若干流動化しているのかなという印象を持ちました。例えばそういうものというのは,例えば研究費部会と研究環境基盤部会の共通なアジェンダとしてあり得るのかもしれないなと思います。大型プロジェクトについては恐らく2021年あるいは2022年を目途に多分大幅な改定が予定されており,今もうプロセスが走っているんだと思いますが,そういうことも少し実験的に考えるテーマとしてはあり得るのかなという感じがいたしました。
 以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございました。科研費ということだけではなくて,研究費全体を考えた場合について、城山先生からの御意見でした。そこで,戦略研究等において,今後,人文学・社会科学分野の課題が戦略目標になってくるかどうかということは重要です。以前からこの研究費部会でも,人文学・社会科学分野の重要性についてはいろいろな議論がなされたところです。例えば第6期の科学技術基本計画を考えた場合に,基本計画の定義として人文学・社会科学そのものだけをピュアな課題として推進するものは基本計画の対象外であると定められています。ところが,現在では,文系も理系もない状態であり,情報分野で今後大切なこととしてELSIの問題があります。そうなってくると,第6期の基本計画一つ考えても,テクノロジーとしては大体方向性が見えるものの,倫理の問題,法律の問題,知財の問題などが解決しないと計画の実行が難しいと思います。例えば,知財の関係で,データは誰のものか、というようなことを問われたときに,ヨーロッパ的な考え,米国的な考え,中国的な考えがあるなかで,日本として何らかの方向性,指針あるいはソフトローといっていいと思いますが,そういうものを出していかないと,学術研究の現場でどのように答えたらよいか分からなく,混乱してしまいます。データそのものに関する課題は,JSTの戦略研究等において扱うことはあり得ないのでしょうか。今,城山先生がおっしゃったこととも関係するかとは思うのですけれども。
【金子基礎研究振興課基礎研究推進室長】 
 ありがとうございます。資料3-3の9分の5を御覧いただきたいのですけれども,これは先ほど御紹介申し上げましたけれども,まさに戦略目標策定プロセスという中で,いかに研究領域を設定するかという段階から,特にSTEP3なんかでELSIの問題を,どうしたら実際に生み出された研究成果がよりインパクトのある形で世の中に出ていくかとか,これはまさに戦略目標を作り込む段階からELSIの観点を取り入れるべきという,ここで私どもまさにそのように考えてございまして,ここで社会的な,あるいは経済的な展望を検討するに当たっては,いろいろな方々,産業界は当然でありますけれども,まさにELSIの観点も重要ということで,その際にはそういったことを十分取り入れてやっているところでございまして,そういったことを更に進めていくというか,より積極的にやるというのは一つあるのではないかなということを考えてございます。
【西尾部会長】 
 城山先生がおっしゃいましたように,人文学・社会科学系において,例えば戦略目標の下で行われているERATO,さきがけ,CRESTというような枠組みが,非常に魅力的です。もう一方で,前の期の学術分科会で議論した中で,今後日本にとって人文学・社会科学系で国全体をカバーするような大きな研究プロジェクトの推進,さらには,人文学,社会科学がリーダーシップをとりながら,そこに自然科学系を巻き込んでいくような大きなプロジェクトを文部科学省としてどのように実装していくかということが今後大切なことになります。そういう中,今,城山先生がおっしゃったようなことがJSTの事業等でもできていくと,それは一つの実現方策ではないか,と思ったりしましたので,意見を申させていただきました。
 ほかにございますか。どうぞ。
【中村委員】 
 今の件に関してちょっとだけ。
【西尾部会長】 
 それではまず鍋倉先生,それから中村先生,お願いします。
【鍋倉委員】 
 今個人の自由な発想のボトムアップ基礎研究を支える体制として、科研費に代表される個別に研究者へ配分される研究経費とともに、大学共同利用機関や共同研究。共同利用拠点などの先端研究設備の充実と効率的な運用という視点も重要です。そのほかの研究支援も含めて自由発想の研究を支える仕組みについて大きな枠で考える必要があります。多くの分野において、それぞれに関連する大学共同利用機関や共同研究・共同利用拠点があるので、研究費と研究環境を含めて個人の自由な発想をどう作っていくか,その芽を育てていくのか視点で考えていく必要があると思います。
 以上です。
【西尾部会長】 
 なるほど。そのときに, ERATO,さきがけ,CRESTは戦略目標のもとで推進するのですけれど,その戦略目標が,先ほど御説明いただいたように,今までよりも包括的というか,大きな目標設定になってきているときに,自らの発想の研究がある程度実行可能かどうかということに興味を持ちました。おっしゃるように,キュリオシティー・ドリブンの研究は,国として絶対に推進しなければならないのですが,一方の軸の基礎研究,応用研究,開発研究の3つのカテゴリーについてはきっちり分けられないように思っています。基礎研究をベースに応用研究を行い,さらに開発研究に進み,現場に適用したときに,そこで新たな課題が見つかって基礎研究に戻るという,エコシステムを構築することの重要性があります。そのエコシステムを確実に回すということの重要性もあって,研究のカテゴリーを3つにクリアに分けられるかというところも,きょうは初回なので議論できたらと思った次第です。
【鍋倉委員】 
 例えば基礎研究,それから応用研究,開発研究それぞれにおいてや個人のキュリオシティーがあると思います。だから,基礎研究だけがキュリオシティー・ドリブンではなく、いろいろなところで個人が持っているキュリオシティーををどうやって生かすかという仕組みが必要と思います。
【西尾部会長】 
 分かりました。中村先生,どうぞ。
【中村委員】 
 今の城山先生のに戻るんですけれども,最初に申し上げた本庶先生の下で書いた科研費の在り方という,一番初めに書いてあるのが人文社会科学は日本の顔ということです。私は化学ですけど,化学研究では日本の顔にはならない,人文社会が英語で世界に向かってどんどん発信をする,科研費も人文社会の方が頑張ることによって格が上がるというんですかね,そういうことだということであのときのセンターは一致したんです。人文社会に頑張ってもらわないと,日本のビジビリティーが上がらないんだというような趣旨で書いたんです。そういう意味では,JSTの方も,人文社会科学に入っていただいてプロジェクトを組むことが必要だと思います。JSTも数学をプロジェクトに入れてみたらすばらしい成果が出た,その次は社会科学も組み込んだプロジェクトを入れたらもっとすばらしくなるだろうという話がありました。
【西尾部会長】 
 どうぞ,栗原先生,それから小安先生。
【栗原委員】 
 ちょっと今の点も含めてなんですけども,例えば新学術はやはりかなり議論をその中でやるわけで,そういう場はあまりないわけではないと私は思うんですね。1つはやはりどういうふうに運用していくのかというところが非常に大きいんじゃないかと思います。
 それから先日,共同利用研についての議論にも参加させていただきましたが,やはり場というのは非常に大事なんじゃないかという意見をそのとき申し上げて,もちろん,研究費は基礎として非常に大事なものですが,意見交換をする場,人と人とのインタラクションとか,そういう形で同じ資金や制度がいろいろ生きるようにということは,これは大学の中ももちろんそうですし,研究者がいろいろな仕組みをうまく使う,例えばネットワークもありますし,いろいろな形で生かしていくというようなことも必要だと思います。
 また,きょう,比較的,審査制度とかいろいろな制度についての意見が強く出ましたが,挑戦的研究なんかの制度を作ったときは,学術としてどういうところがこれから大事かというような学術の方向性,例えば融合研究が大事だろうとか,新しく今後研究を育てていくにはどういう観点で研究を見ていくべきかとか,そういう意見交換もあったと思います。それで,制度も大事ですが,多少そういう意見交換もこういう場でできた方がいいのではないかと思うところです。
【西尾部会長】 
 最後のところは考えていきたいと思います。日本の学術研究として,例えばどういう方向性を考え,その上での我々はどういうことを今後のビジョンとして持つべきか,ということだと思います。
 小安先生,どうぞ。
【小安委員】 
 きょう,甲斐さんはお休みですが,甲斐さんと僕がいつも言っているのは,ここは科研費を主に扱うところで,いつも改革,改革というけれど,科研費ほどよくできたシステムは実はなくて,改革しなきゃいけないのはほかの研究費だということなのですが,なかなかここでは突っ込めません。今回少なくともJSTの話が出てきたというのは,大進歩であって,ここはあくまでも学術を支える場として研究費を考えるところですが,そのときに科研費を一つのモデルにして,ほかの研究費に対してどのように意見をだいしていくかみたいなところまで突っ込めるといいと思いますので,是非これをやっていただきたい,それが1点。
 もう一点は,ちょっと話題になった基金のことですが,これはやはりもっともっと僕らは作戦を練るなりして進めることをやらなければいけないと思います。さっき永原さんから出てきた,基盤(A)が決まってから基盤(S)が決まるから,審査員もすごく疲労感を持つし,やっている方も全部切り替えるので大変という話がありました。それはなぜそうなってしまうかというと,基盤(S)を先にやることが日程的に難しい。要するに予算が決まる前に始められないという非常に単純な理由からその順番が変えられないということだったと思いますので,これを全部基金化すれば全て解決する問題です。さっき中野さんがおっしゃったように,効率のいい税金の使い方としても正しいと思います。何年か前に,文科省が頑張ってそれまで不可能だと言われていた基金化を実現してくれたわけです。ですから,これをもっと広げていくということは絶対やらなければいけないし,よく見たら,去年の補正予算でいきなり1,000億がムーンショットで基金に積まれましたね。だから,不可能なはずはないと思うわけです。ですから,ここらのところを一緒に議論して,科研費を全て基金化すればかなりの問題が実は解決できるのではないでしょうか。この2点は私としてはやっていただきたいと思います。
【西尾部会長】 
 JSPSの方から今何かご意見はありませんか。
【家日本学術振興会理事】 
 いいですか。機会を与えていただきましたので。1つですけど,まず先ほどから人文社会系のお話が出ていますけれども,JSPSの方で,まあ規模としてはそれほど大きくありませんけれども,「課題設定による先導的人文社会学・社会科学研究推進事業」という事業をやっているのと,それから今,「人社系のデータ・インフラストラクチャーの整備」という事業をやっています。これらは今のところはJSPSの運営費交付金の範囲でやっているので,規模的にも小さいということがあります。これを,どういう役割分担でやるかということはありますが,広げていくというのが1つ。
 それからもう一つ,きょう資料5-3にこれからの検討事項が入っていましたけれども,先ほども御議論がありましたけれども,私も最後の総合的観点からの検討という,ここが一番長期的に大事だと思っています。そこでの記述が,「デュアルサポートシステムの変容に代表されるように・・・」と,基盤的経費の削減という状況について何かちょっともう諦めた感じの表現になっているんですね。実はここを諦めちゃったら科研費も絶対よくはならないので,ここをもうギブン・バウンダリー・コンディションと思うのではなく,戦わなきゃいけないんじゃないかというふうに私は感じます。ありがとうございます。
【西尾部会長】 
 貴重な御意見に感謝します。頑張らなければならないですね。どうぞ。
【白波瀬委員】 
 先生方のお話を聞いて,ここに座っていていいのかなというぐらい経験があまりないと思うんですけれども,人文社会というお話が出たので少し,きょうは感想程度しか分からないんですけれども意見を述べたいと思います。やっぱり戦略という言葉は,ある意味で人文社会系には言葉的に少し座りが悪いかもしれないなと感じます。人文学というところを見ると,哲・史・文という大きな柱があるんですけれども,そこで科研費を頂いて,それで自らの研究をするというフレームワーク自体がかつてはあまりありませんでした。そこの中で底上げがなされてきたという歴史があります。でも,そういう状況に変化がみられ,哲・史・文の分野にあっても,非常に新しい枠組みで文理融合的なものも実はあるので,その中で競争的資金を獲得しながら,自らの新たな学術分野を形成し,要するに発展させるということを,もう少し個人の努力だけではなくて,少し制度的にも宣伝するというか応援できるような形がいいかなというふうに思うんです。ただ,そのときに特に問題になってくるのは,もちろん学術というのは自律性であるし,自由というのもあるんですけれども,やっぱり評価の問題に最後にいつもぶちあたり,どこの時点でどの産物で評価していただくのかが議論となります。つまり,この会に参加させていただいて,どういうふうに成果が積み上がっていくのかということが人文社会系はちょっと違うのかなというふうに感じましたので,その違いは違っているから別ではなくて,その違いをうまく利用し,かつ日本の顔となるようにと,何か強い励ましの言葉を頂きましたし、進んでいくべきかと。,今英語というか外国語で業績を発信することのハードルは多分人文社会の方が高いと思うんですね。ジャーナルに投稿して採択されるのも,技術的な問題だけではなくて,議論の枠組みというかコンテクストのところでかなりハードルが高くなるという事実がありますから,そこを踏まえたところで次の新しい人たちにグローバルなところで戦っていただくための環境整備が大切です。そのような状況ですので、先生方と一緒に検討していただくと大変有り難いと思います。
【西尾部会長】 
 分かりました。最後の方でおっしゃっていただいた評価との絡み,特にその中での国際性というところは,違うところを単に違うからということで否定的に考えるのではなくて,その違いを積極的に捉えて、どう評価していくのかということが重要な課題ではないかと思っています。
 確かに人文学・社会科学系の研究評価をどのように行うのかということは非常に難しいのですが,逆にそのことについて今何とか我々がある方向性を出さないといけない,このままの状態が続くというのはよくないと思っています。
 あと,射場委員と上田委員,まだ御意見ないので。
【射場委員】 
 ではいいですか。すごい発言したかったんですけど,何か手を挙げるのが早いので。トヨタ自動車の射場です。私はJSTの仕事もいろいろさせてもらっていて,いい点,悪い点,言いたいことはいっぱいあるんですけど,この場ではちょっとそぐわないかなと思っていて,やっぱりこの場で研究費全体の議論を一体どうやって進めていくのかというのは結構難しいなと思っていて,やっぱり科研費との関係ですよね,JSTの事業と。それで制度の違いはもちろんきょうの御説明でよく分かりましたし,人文のあるなしはあるんだけど,じゃあ科学のところで,制度は違いますけど,実際中で動いているテーマは同じじゃないですかみたいなこともちょっと感じられる部分もあって,きょうの御説明の中に,せっかくデータベースがあるんだったら,そのフェーズ感の違いとか,そのデータが出てくると,ある程度,科研費と何が一緒で何が違うのかみたいな議論になると思いますし。で,連携って,私はJSPSでもJSTと連携したらいいじゃないですかと随分発言させてもらったこともあるんですけど,本当に連携が要るんですかというのは根本的に議論した方がいいんじゃないかと思いますね。もともと目指すところは学術とシーズ創出で違うわけで,それで結果として学術をやっていてシーズにつながるというものが出てくれば,それはそれでいいんだけど,初めから連携を目的としてやるべきものではないかなみたいな,そんな議論が中身のデータも含めてされていくといいのかなというふうに思いました。
【西尾部会長】 
 何か御意見ございますか。よろしいですか。
【家日本学術振興会理事】 
 おっしゃるとおりだと思います。
【西尾部会長】 
 貴重な御意見ありがとうございました。上田委員,どうぞ。
【上田委員】 
 私はNTTの基礎研の研究者で,今はちょっと理研も兼務していますけれども,科研費はかつて基盤(C)というのを代表で出しているぐらいです。基本的に外部からはあまりNTTは科研を出すと大学の先生に迷惑になるからと言われていましたので。そういう状況であって,実際研究所はNTTの事業会社からバルクで研究費を頂きますので、皆さんのように運営交付金に対してセンシティブな感覚は共有できないというのは本音のところなんですね。ただ,日本全体の予算,私がこんなことを申し上げる立場じゃないですけれども,見たときには,企業もそうですけど,基本的には予算というのはゼロサムなんですね。どこか重点的なところがあると優先されるのは当然で、逆にそうでないところは削減されます。じゃあ海外はなぜそれがうまくいっているのかというと,GAFAとかのすごい基金,寄附があるんですね。これは何が違うかというと,日本の税金体制において,企業の寄附というものに対する税金の考え方がアメリカと違うんですね。アメリカはむしろ,欧米の企業はそれが自社にとっても有利になるのですね。だからそういう税の在り方から変えて研究予算そのものを増やさない限りは,幾らこの中で運営交付金が足らないと言っていてもあまり意味がなく,私はこの会でも耳にタコができるほど先生から聞いていますけども,それは幾ら言ってもそれはもう愚痴にしかならないですよね。それをどういうふうに変えるといいかという点で、税制のところから考えないといけないというのは1点あると思います。
 もう一つは,今私はAIの研究で理研の業務を兼務している関係上、いろいろ外部状況を見ていますけど,例えばMITはAIのセンターを新設しました。そこには理系とか文系という概念はないんですね。日本では、いまだに、コンピューターサイエンスが理系で,しかもコンピューターサイエンスという言葉はあまり定着しておらずに情報科学とまだ言っているわけですね。コンピューターサイエンスというのは,欧米の考え方は文理共通なんですね。だから,AIも価値をどう作るかというのは文系的なセンスが要るし,技術をどう作るかというのは理系的なセンス,それを総合して初めてAIができる。更にそこをどうビジネスに変えるかと,GAFAが基金を投入して予算をやる。中国に至っては日本の10倍,100倍ぐらいの予算を費やしているわけですね。なので,何かそういうもう少しマクロな会議体での議論を並行してやらないと,この中だけで予算がない,キュリオシティーの研究が大事だとかいっても,ない袖は振れないので,少しそういう点も重要かなと。だから,融合といったときに,会議も融合していろいろ議論をしないと,各部分部分で独立に議論してもなかなか難しいんじゃないかな,そういう印象を持っています。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。システム的なところからもきちんと考えなければならない,ということだと思います。
 先ほど永原先生もおっしゃったように,年度を越しての審査をしていただいていることを変えていこうとすると相当大きな障害があるのですか。もし,できるのであればやるべきだと思うのですけれども。
【永原日本学術振興会学術システム研究センター副所長】 
 よろしいですか。それは実は全く不可能なことではなくて,例えば特別研究員という制度を日本学術振興会はやっていますけれども,これは予算なんかのことが決まるはるか前から募集を初めて,実際動いているわけですね。ですから,それは決してやれないことではないと。特に今問題になっているのは,実は大型の科研費が年度を越してしまってという矛盾なんですけど,それはもう総額から見ると,今,基盤(C)が一番多いんだけど,基盤(C)に予算がたくさん行ってしまっているけど,額は少ないので,実は十分可能です。それを困難にしているのは,公には予算が決まらないといろいろなお金を動かせないんだというような話なんですけど,それは不可能ではないと思います。ただし,個別に日本学術振興会に関して言いますと,もういろんな事業が特別研究費事業とか科研費の事業,その科研費もいろいろ種目がたくさん増えており,それから更に今は新学術がいつ日本学術振興会に降りてくるかというような問題もあって,これは相当丁寧にプランニングをさせていただく必要があると。でもこれは基本的にはテクニカルな問題であると。
【西尾部会長】 
 そうですか。
【永原日本学術振興会学術システム研究センター副所長】 
 はい,私個人は,制度的な問題というよりは,ただ,現状動いている,とにかく科研費が走っていますから,今年のことをお休みして来年から新しい制度にしますよと言えませんので,この辺のプランニングを相当慎重にやって,研究者が困らないようにする必要があるという,そういうことではないかと思います。
【西尾部会長】 
 これは是非何とか変えていきたいと思うのですけれど,何とかならないでしょうか。
【梶山学術研究助成課長】 
 はい,おっしゃっていただいたとおりだと思っております。どこまでできるかというのは政府部内の検討とかも必要だと思うんですが,具体的にそういう方向にできないかということを,先週の金曜日も家理事と相談しております。具体的なプランを作らないとできないものでございますので,両者で考えて,できるだけその方向で検討してまいりたいとは思っております。
【西尾部会長】 
 この10期の間に何かのアクションプランがとれる状況にしたいと思っております。永原先生の御説明を聞きますと,やはり,これは何とかしなければならない,という気がしますので,どうかよろしくお願いいたします。  一通り御意見はいただいたのですけれども,何かもう一言という方がおられましたら。どうぞ。
【中村委員】 
 1つは,これはさっきの新しい科研費を目指してというのを書いた頃から思っているんですけども,サイエンスの評価というのは,やっぱりみんなが感動するかどうかということだと思うんです。サイエンス,芸術,みんな同じで,近い人だけ感動したらちょっとレベルが低いなと。遠くの人も感動したらすごいレベルが高い。これは絵や音楽と同じで,社会科学だって絶対に評価はできるはずです。研究論文を読んだときにみんなが大いに感動したら,もうすばらしい評価なんですよ。ですから,社会科学だって人文学だって絶対に評価ができると思います。
 それから,1つ調べていただきたいことがあるんですけれども,今の基盤(C)が物すごく増えているのは,実は十数年前に応募要件を緩和したためですね。これは私が学振にいるときに,名誉教授が応募できないからPI要件を緩和したというようなことだと聞いていましたけれども,その後に学生を研究員と呼ぶことで応募させようとする機関が出てきたなど,おかしなことが起きてきたと記憶しています。そういう世界的にあり得ないことですね。そこで,なぜPIの要件を緩和したのかというのを是非今の時点で調べていただきたいんです。PIの要件をきっちり定義することが必要です。あそこで要件を緩和したことの悪い影響が多く出ていると思うんです。これまで話題に出ないんですけれども,要件緩和の副作用は重複申請禁止です。これがかなりの害悪をばらまいている。大きな研究室はあまりこたえないと思うんですけども,独りでやっておられるような小さい研究室が一番困ると思うんです。というのは,1つしか申請が出せなくて,採択率30%以下ということで,もし研究費が当たらなかったらもう研究費ゼロです。だから,重複禁止が一番こたえているのは,独りで独立してやっている先生方で,これが日本の全体の足腰を弱めているに違いないと思うんです。水をまいて育てたら,水やりを止めて枯らし,また水をまくという,ことうですよね。ですから,なぜ重複禁止にしたかというと,PIの要件を緩和して応募が激増したからなんですよ。そこで,なぜPIの要件を緩和したのか,緩和することでどんな影響が出ると予測したのか,などについてどれぐらいの検討があの時点で行われていたのかというのを是非次回までに調べていただきたいんです。それで,そのときに恐らく予想しなかったサイドエフェクトがあったんじゃないかと思うんですけど,いかがでしょうか。
【西尾部会長】 
 どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】 
 分かりました。状況についてはまた調べたいと思いますが,基本的に学生というものに対して,院生の想定だと思いますけれども,院生については科研費は出せないということになっております。非常勤の方々や,名誉教授も含めた方々が出せるようになっているものと考えます。そのとき,通常といったら変ですけども,10年,20年前のようなきっちりとした雇用システムというものが揺らいでいった中での話だとは伺っておりますが,ちょっと詳細は調べたいと思っております。
【中村委員】 
 やっぱり非常勤でどれくらい本当にやっているのかということを大学あたりに保証させるというようなことがないと,やっぱりうまく税金が使われないんだと思うんですね。
【西尾部会長】 
 はい,どうぞ。
【井関委員】 
 それが私がさっき言ったキャリアパスという言葉が正しいか分からないですけれども,そのあたりをきちんと明確化するというのは中村先生のおっしゃったように大事なことだと思っております。
【西尾部会長】 
 それでは今回の件,調べておいていただきたく,お願いいたします。  皆様から貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。今後の議論に大きく資する貴重な御意見の数々をいただき,大変有り難く思っております。
 本日の議論はここまでとしたいと思いますが,磯谷局長が来られましたので,一言お言葉をいただけますようお願いします。
【磯谷研究振興局長】 
 研究振興局長の磯谷でございます。遅参をいたしまして申し訳ございません。また,改めまして第10期の研究費部会の発足に当たって,皆様方に御礼申し上げたいと思います。本当に各界で御活躍のすばらしい先生方,今期も集まっていただきまして,委員をお引き受けいただきましたことを心より御礼申します。
 もう既に様々な御意見が出ておりまして,中村先生がおっしゃったような科研費の原点にまた戻るなりあるいは検証していくということも大変重要だと思いますし,上田先生や射場先生が御指摘になった科研費制度を越えたところのいろんな研究費の在り方とか,大きなフレームワークの話も大変重要だと思っていますし,永原先生が御指摘いただいたような,今まさに変えるべきことにきちっと対応していくということも大事ですので,科研費の充実改善も中心としながら研究費構造の全体も視野に置いて,是非御議論はしていただきたいと思っていますし,私どもも,これもいろいろなところで皆さん耳にタコができているぐらいお聞きになっていると思いますが,最近のとにかく研究力の相対的低下傾向というのは非常に危機意識を持っていまして,若手の方たちとかあるいは本当にもっともっと実力を伸ばしていただくべき研究者の方たちが十分に活躍できていないということとか,デュアルサポートは,先ほども御指摘いただいたように劣化しているということも大変危機意識を持っていますので,省を挙げて,あるいは全省庁巻き込んで,この研究力向上とか,あるいは日本の研究環境の改善ということにしっかりと取り組んでいきたいということを大臣以下全職員そういう気持ちでおりますので,是非,今まで言ったのに何もやってくれなかったから,もう言っても無駄だとか,そういうふうには思わずに,是非引き続き御指導いただきたいなというふうに思っておりますので,この期におきましても活発な御議論,御指導を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【西尾部会長】 
 どうもありがとうございました。磯谷局長,また増子審議官,どうかよろしくお願いいたします。
 事務局の方から連絡事項をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】 
 次回の研究費部会につきましては,既にお知らせをしていますとおり,5月22日を予定しております。正式な案内につきましては,後日改めてさせていただきます。  また,本日の配付資料につきましては,後ほどメールでお送りいたします。先ほど来中村委員に御紹介いただいております「新しい科学研究費補助金制度を目指して」という報告につきましては,本日の資料の参考資料2-1,2-2として入ってございますので,こちらも是非御覧いただければと思います。  また,タブレット端末は,切らずにそのままにしてお帰りください。
 以上でございます。
【西尾部会長】 
 本日は,皆様には,本当に貴重な御意見,またコメント等をいただきまして,まことにありがとうございました。心よりお礼申し上げます。これにて会を終了したいと思います。ありがとうございました。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課企画室

電話番号:03-5253-4111(内線4092)
メールアドレス:gakjokik@mext.go.jp

-- 登録:令和元年06月 --