第9期学術情報委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成30年3月22日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 電子化の進展を踏まえた学術情報流通基盤の整備と大学図書館機能の強化等について
  2. その他

4.出席者

委員

喜連川主査、引原主査代理、赤木委員、安藤委員、家委員、逸村委員、井上委員、岡部委員、北森委員、五味委員、竹内委員、谷藤委員、美馬委員

文部科学省

(事務局)磯谷研究振興局長、板倉大臣官房審議官(研究振興局担当)
原参事官(情報担当)、丸山学術基盤整備室長、玉井学術基盤整備室参事官補佐

オブザーバー

安達国立情報学研究所副所長

5.議事録

【喜連川主査】  定刻になりましたので、ただいまから第8回の学術情報委員会を開催いたしたいと思います。本日の委員会は、一部の資料を除いてペーパーレスにて行う予定であります。
 前回は、オープンサイエンスにおける基盤整備の観点から、国立情報学研究所の山地先生に、オープンサイエンスを支えるデータ基盤の状況についてお話を伺い、その後、意見交換をいたしました。今回を含めて当分の間、オープンサイエンスを中心に御議論いただきたいと考えております。
 それでは、まず事務局から、資料の確認等をお願いいたします。
【丸山学術基盤整備室長】  本日もよろしくお願いします。
 今、主査から御発言ございましたけれども、本日の委員会は一部の資料を除きましてペーパーレスでの開催としております。お席に資料閲覧用の端末を用意いたしましたので、こちらで資料の御確認をお願いいたします。また資料の4、それから、メーンテーブルのみ机上に配付しておりますけれども、参考資料として、紙媒体で御用意といたしました。
 なお、端末の電源をオフにしますと端末内のファイルが消去されてしまいますので、点灯のままでお使いいただきますようお願いします。それから、操作については、お手元の操作方法の御案内を御用意していますので、こちらで御確認ください。なお、端末の不具合等がございましたら交換いたしますので、事務局までお声掛けください。
 本日の傍聴については、26名の登録がございます。傍聴登録時に御案内いたしましたけれども、傍聴席には閲覧用の端末の貸出しはしておりません。端末の御準備をお願いいたします。椅子の上に置きました資料以外については、ダウンロードをお願いします。ダウンロードの方法については、お手元のクイックガイドをごらんください。
 以上でございます。
【喜連川主査】  ありがとうございます。
 それでは、議論に入ります前に、事務局から御用意いただきました資料について説明を頂戴したいと思います。
【丸山学術基盤整備室長】  それでは、引き続き失礼いたします。まず、資料の1から順に御説明したいと思います。端末の方をごらんただきたいと思います。
 まず、今後の審議の進め方についてお諮りしたいと思います。本日が第8回、一番上の3月22日の回でございます。こちらはこれまでの審議等を踏まえた今後の課題の確認と整理を、本日はお願いしたいというふうに考えております。今日の整理を踏まえまして、次回は5月16日を予定しておりますけれども、整理をされた課題に関する論点について深掘りをしたいと考えております。
 それから、その次は第10回になりますけれども、6月の下旬、27日を予定しております。ここでは、これまでの審議状況のまとめということで、検討課題やそれに対する論点等も含めまして、全体を一度整理してまとめてみたいというふうに考えております。それ以後、11回以降でございますけれども、改めて日程調整の上、開催日時についてはまたお知らせをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、タブレットの資料2を開けていただきたいと思います。不正競争防止法等の一部を改正する法律案の概要でございますが、この不正競争防止法等の改正案が2月27日に閣議決定をされまして、現在開会中の第196通常国会に提出をされる予定になっております。1ポツの法律改正の趣旨にもございますけれども、この真ん中辺の後段、データの利活用を促進するための環境を整備する。それから、知財や標準の分野においてビッグデータ等の情報技術の進展を新たな付加価値の創出につなげるための所要の措置を講ずるというもので、ごく簡単に申し上げれば、不正への規制を強化して、AIなどの進展に対応したデータ活用を促すものというふうに聞いております。
 本日はちょっと詳細な説明はできませんけれども、今回不正競争防止法の改正とあわせて、工業標準化法(JIS法)といったもの等の改正もあわせて行われる予定になっております。詳細は、次回以降の委員会で、この法律を所管いたします経済産業省、あるいはその他詳細を承知しておられる方に御出席を要請いたしまして、御説明をお願いする方向で、現在調整をしております。そのときまた本件は触れさせていただきたいと考えております。
 それから、次は資料の3になります。こちらもペーパーレスで御用意しておりますので、端末の方をごらんいただきたいと思います。
 国立情報学研究所の山地教授による、オープンサイエンスを支える研究基盤の発表を踏まえて、前回は意見交換をさせていただきました。ごく簡単に整理してございますが、ポイントだけ復習をしたいと思います。
 まず、一つ目の丸のところにもございますけれども、海外における研究データ基盤の整備状況について御紹介いただきました。全体の話としては、五つ目の丸のところでございますけれども、アメリカを除き、全体的には現在、インフラとして既にあるネットワーク・認証・計算リソース・データベースなどを組み合わせながら、全体としてオープンサイエンスに向けた基盤を作る方向性が見えると。一方で、一つ丸の上の部分でございますけれども、アメリカでは国やコミュニティ全体としてではなく、個々がよいサービスを作ることに取り組んでいる状況というふうに分析をされています。
 こういう海外の状況も見据えつつ、この二つ下でございますけれども、国立情報学研究所においては、現在構築中の研究データ基盤・管理基盤・公開基盤・研究検索基盤という三つのコンポーネントから構成されるわけでございますけれども、認証によりストレージを柔軟に利用できる管理基盤を目指しているということでございます。
 次のページにいっていただきますと、今後、日本にある各種研究インフラをどのようにつなげ、有機的にしていくか、コストエフェクトを高めていくかも課題であるというふうに説明が行われたところでございます。
 その後の意見交換におきましては、一つ目の丸でございますけれども、日本ではEインフラについて理解してもらう必要がある。それから一つ飛ばして三つ目ですけれども、分野ごとに固有の文化やコミュニティがあるということを注目すると、学協会の役割も非常に大きいと。それから、ずっと飛ばしまして八つ目、下から三つ目になりますが、研究データに関しても、国として何を守るか、守るのは誰の責任であるか、こういったことについて共通の認識を持った上での投資をしていく必要があるのではないか。その下でございますけれども、大学でこのシステムをどのように入れていくか、非常に重要な視点であると。リポジトリのように、各機関の中でこういうシステムを独自に運用できるだけのグループを作るということが重要ではないかという御意見がございました。それから、2ページ目の最後でございますけれども、このシステムにハイ・インパクト・ジャーナルに載る論文を作るようなデータを乗せてほしい。そのためには、認証のあるデータサーバでないといけないという発言がございました。
 それから、最後の3ページでございますけれども、上から3つ目、技術的な基盤ができたところで、今後、利用を拡大するフェーズに移る際に、学会と組むことも必要ではないか。それから、6つ目でございますけれども、コンテンツのオープン化にはファンディングエージェンシーの役割が極めて重要であるという御意見がございました。
 前回の状況については、以上でございます。
 それから、本日御意見を頂きたいメーンの資料でございますけれども、資料の4で御用意をいたしました。これは紙媒体で御用意いたしましたので、お手元の資料をごらんいただきたいと思います。
 表題は、オープンサイエンス推進における今後の審議に向けた課題と整理(案)というふうにさせていただきました。まず、オープンサイエンスが求められる背景、これは各方面でもいろいろ言われておりますけれども、世界的な検討と我が国の状況といたしまして、オープンサイエンス推進の方向性は世界的な研究が進んでいるということで、既に米国、あるいはEU、豪州において、オープンデータの積極的な活用に向けた取組が進められている。
 このような状況下において、我が国が世界の潮流に乗り遅れることがあれば、我が国の研究活動に大きなデメリットを生ずる恐れが指摘されていると。具体的には、地球規模研究におけるデメリット、研究活動における効率化、国際発信におけるデメリット。このようなものを含めまして、日本の「見えない化」というものが進行するのではないかと言われています。ゆえに、我が国においても、世界と積極的に連携をして、オープンサイエンスの動きに遅れることなく、具体的な取組を進めていく必要があるというふうにまとめております。
 それから、このオープンサイエンスの中でもオープンデータを推進する意義、あるいはそれへの期待ということでございますけれども、研究データの相互利用を促進し、知の創出に新たな道を開くということ。とりわけ、データ駆動型の研究を推進することで、イノベーションの創出につなげることを目指した新しい科学の進め方、こういったものが注目をされているという状況。
 それから、契約間、あるいは専門分野を超えた知の創造の加速、新たな共同研究スタイルや研究方法の誕生が期待されるといったようなこと。さらには社会に対する研究プロセスの透明化による理解の促進、社会的認知の広がりによる新たな研究資金の獲得が期待される。それから、研究の過度な重複を避ける、研究費の効率的な活用を可能とすることが期待されるというふうに整理をしています。
 2ポツでございますけれども、オープンサイエンス推進の方向性でございますけれども、こちらはここにも書きましたけれども、オープンサイエンス推進の方向性は、内閣府における政府全体の検討、あるいはこの科学技術・学術審議会における審議等によって示されているという状況でございます。
 その下には、これまでに発表されました主な報告等の概要、要旨を載せておりますけれども、一つは内閣府が27年3月に整理しました国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会のまとめであります。それから二つ目は、第5期の科学技術基本計画、28年1月の閣議決定になります。それから、私ども学術情報委員会の前期でございますけれども、学術情報のオープン化の推進についてということで、審議まとめを取りまとめいただいております。
 三つに共通する部分については、例えば一つ目としましては、この学術情報委員会の審議まとめを例に説明をしますと、三つ目の丸にありますように、公的研究資金による研究成果のうち、論文、あるいは論文のエビデンスとしての研究データは、原則公開とすべきということが言われております。
 それから、二つ目としまして、その下ですけれども、研究データの公開及び利活用を促進する前提として、データが研究者において適切に保管されることが重要であります。
 それから、三つ目としては、どのデータをどのような様式で公開とすべきか、あるいは非公開とすべきかについては、検討を踏まえた対応が必要というふうに言われております。これについては、2ページの上の方でございますけれども、内閣府の報告書においては、研究データの範囲として、公開の対象となる研究データにはメタデータ、数値データ、テキストレコード、イメージ、ビジュアルデータなど多様なデータが含まれるというふうに定義されております。
 それから、四つ目として、研究データを的確に保存し、活用していくためのプラットフォーム整備が重要であるというふうに指摘されております。
 3ページ目にまいりまして、こういったことを踏まえまして、オープンデータ推進における検討課題として、下に羅列をしてございます。本日、3以降に記載させていただきました柱立て等々について過不足があるかないか、あるいはそういった視点の中で抜けているものがあるかないかといったような観点について御意見を賜りまして、次回そういったことも踏まえまして、論点を少し整理して御提示をしたいというふうに考えております。
 まず、オープンデータ推進における検討課題等の中で、大きい柱としては、データマネジメントの推進というふうに柱立てをつけてあります。まず、データマネジメントポリシーの策定等ということで、この小文字のローマ数字の部分が検討課題の柱立てというふうに考えております。それから、その下に点線で囲った部分がございますけれども、この中身は内閣府の報告書であるとか、あるいは科学技術・学術審議会の学術情報委員会でのまとめであるとか、これまでに御議論いただいた内容の主な意見等をまとめたものでございます。
 まず、データマネジメントポリシーの策定等については、一つ目の矢印にございますが、公的研究資金を用いた研究を行うための設備、ルール、人材等を具備している機関においては、論文、研究データ等の研究成果の管理に係る規則を定め、特に、研究成果の散逸、消滅、損壊を防止するための具体的施策を講じる必要があるというふうに内閣府の報告書では言われています。他方で、同じく内閣府の報告書ですけれども、研究分野によって研究データの保存、共有の作法に違いがあることを認識し、特性に応じた計画等を策定する必要があるというふうに言われています。
 現在の動きとして、ちょっと特出しをしましたけれども、その下でございますが、研究分野別のデータポリシー策定を先導する観点から、研究開発法人、ここでいう研究開発法人には、競争的資金配分機関は除いておりますけれども、これについては、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)が作成予定のコアガイドラインを踏まえて、それぞれの法人におけるデータマネジメントポリシーの策定が要請される見込みで議論が進められております。それから、競争的資金制度や公募型研究制度へのデータマネジメントポリシーの導入についても要請がなされる方向で、内閣府において準備が進められています。
 それから、ローマ数字の二つ目として、マネジメント対象となる研究データの範囲及び様式ということで整理をしてあります。一つ目の矢印ですが、メタデータ、数値データ、先ほども申し上げましたけれども、こういった多様なデータがあり、データを扱うプログラムがある場合にはこれも含まれると。なお、研究ノート、予備的分析等々、あるいは契約により公開に条件が付されているものは含まれないというふうに内閣府の報告書では整理がされております。
 それから、ローマ数字の3でございますが、研究データの信頼性及び透明性の確保という点でございます。論文のピアレビューに相当するような評価の仕組みが必要ではないか。それから、論文、研究データの公開は、研究不正を回避する意味でも非常に重要だと。科学技術の進展と研究活動の透明性、公平性を確保することが必要だというふうに言われております。
 それから、次のページ、4ページ目にまいりますと、一番上でございますが、研究データは利活用可能な様式で公開され、かつその信頼性が確保されていることが重要である。研究で使用したプログラムやソフトウエアのバージョン等についても、データ作成者が公開時に明示する必要があると、学術情報委員会で言われております。
 それから、ローマ数字の4ですけれども、利活用を円滑化するためのルールの明示ということで、三つ目ですけれども、研究データは著作物ではないのが通例であるため、CCライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)を活用して意思表示を行う場合は、著作権法上の制約がなく自由に利用できることを意味するCC0を採用することが想定される。一方で、研究データ作成への研究者のインセンティブを確保する観点から、利活用の際にデータ作成者の表示を求めることが望ましい。データ作成者の表示を求める方法としては、CC-BYライセンスを利用することや、研究者コミュニティのルールによって表示することが考えられるということが、本委員会でも言われております。それから、その下ですが、大規模データセットの所有権の定義、とりわけ医療記録、あるいは生体記録などの特定クラスのデータに関連するプライバシー、機密性又はセキュリティの問題に対応しておく必要があるというふうに内閣府の報告書では言われております。
 それから、4ページの最後ですが、ローマ数字5の公開の制限であります。ちょっと定義の問題はございますけれども、機密保持、企業秘密、国益又は国家安全保障に関わるもの、研究成果の商用化・産業化を目的として収集されたデータ、民間企業が保有するデータ、それから、研究成果の公開に制限がある場合などは、公開対象外とするというふうに報告されております。
 それから、5ページ目を開いていただきまして、頭ですけれども、学術情報委員会の中でも個人のプライバシーの保護、財産的価値のある成果物の保護の観点から制限事項を設ける必要があるというふうに言われております。
 それから、研究分野の特性に対する配慮ということで、研究分野によって研究データの保存と共有の作法に違いがあることを認識し、特性に応じたルールづくりが必要であるというふうに内閣府はまとめております。学術情報委員会の中でも、最後ですが、各分野の特色や研究フローを踏まえ、分野ごとに整理・分類することが考えられるという御意見がございました。
 それから、大きな柱立てとして(2)で、研究データの保存・管理等というふうにしています。こちらのところでは、ローマ数字の1として、まず研究データ基盤の整備ということで、二つ目の矢印のところでございますが、研究成果としてのデータがどこにあるかを把握しやすく、あるいはプロジェクト終了後、アクセスできない状況を改善することにより、あらゆるデータが活用・再利用できるようなプラットフォーム作りが必要であると、内閣府の方から言われております。それから、また同時に、担当研究者の退職やプロジェクトからの離脱後に価値のあるデータを管理、理解できる後継者がおらず、放置、あるいは削除される現状の改善につながるようなデータ集約的保存基盤等の構築が必要であるというふうに指摘されております。
 それから、1枚めくっていただいて6ページでございますけれども、一つ目の矢印に、ジャーナルへの論文投稿に伴い、エビデンスとしてのデータが求められることは一般化してきており、それに対応するためのプラットフォーム整備は不可欠であるというふうに学術情報委員会の中でも言われております。それから、最後から二つ目の矢印ですが、既に国立情報学研究所が提供している共用リポジトリサービスを強化し、研究データの公開リポジトリとして整備することが妥当であると、学術情報委員会のまとめでは言われております。さらにはこのプラットフォームの整備に当たっては、勘弁な蓄積・利用に関するユースケース、研究者のインセンティブに裏打ちされたサービス設計が重要というふうな意見もございました。これは前回、国立情報学研究所の山地先生から御紹介いただいたシステムは、こういった考え方に即したものであるというふうに理解しております。
 それから、ちょっと途中でございますが、机上に途中でお配りした日本経済新聞の新聞記事がございますけれども、こちらの記事は、今週の月曜日、3月19日に日本経済新聞の朝刊に出た記事でございます。実験データ共有保管庫ということで、国立情報学研究所、あるいは東京大学の賛助機関と連携しながら、この開発を進めていると。研究の効率化、あるいは改ざん防止という観点もあるということで、非常に前回の山地先生に御発表いただいた内容が分かりやすく整理されておりますので、是非お読みいただければというふうに思います。ただ、ちょっと恐縮でございますが、この新聞記事、また会議終了後に回収をさせていただきたいと思いますので、御協力方よろしくお願いいたします。
 それから、資料の4にお戻りいただきまして、6ページ真ん中のローマ数字の2でございますけれども、保存すべきデータ及び保存期間という部分でございます。研究終了後も研究データの保存・整備が必要とする一方で、全てのデータを保存することは現実的ではないという指摘が内閣府の報告書でもされております。学術情報委員会の中では、失敗データなどの取扱い、一義的に役に立たないと思われるようなものについての考え方を整備すべきという意見もございました。
 それから、ローマ数字の3として、国際認証の取得と書きましたけれども、内閣府の方でも議論されております。また、前回の意見交換でも指摘がなされた部分かと存じます。
 それから、ローマ数字の4として、研究データの利活用ということで、メタデータの標準化、あるいは格納対象とするデータを規定するデータ格納ポリシーの策定等を進める必要があると、内閣府の方ではまとめております。また同様に、異なるインフラ間の相互運用性もデータ共有の障壁になり得るとした上で、データを有効に再利用できるようにするために、データの品質管理、あるいはメタデータとも関連付ける必要があるというふうに言われております。また、学術情報委員会の中でも分野ごとの標準フォーマットについての検討が必要ではないか。あるいは、マシンリーダブル対応が不可欠であるという御意見がございました。
 それから、大きい柱立ての三つ目として(3)研究データを保存・利活用する際のインセンティブということで、まずはローマ数字1の研究者のインセンティブでございます。一枚おめくりいただきまして、研究者及び科学コミュニティに対するインセンティブを高め、オープン化に対する努力を評価することが重要である。内閣府の報告書でございます。あわせて、高品質なデータを提供した研究者に適切な報酬を与えるなど、成果に見合う処遇の仕組みを設ける必要があるのではないか。それから、学術情報委員会の中でも、データは死蔵するのではなく、公開することによって、より科学に寄与することを具体的に示すとともに、そのことをきちんと評価される仕組みを構築することが重要であるというふうに言われております。
 それから、ローマ数字の二つ目でございますが、研究データの引用の評価といたしましたが、アクセス可能となった研究データの利用者は、論文などの引用と同じく引用元を明らかにする義務がある。この引用により、データ作成者の貢献が記録され、業績として評価することを、大学等あるいは研究者コミュニティにおいて共通に認識し、実行していく必要があるというふうに、学術情報委員会のまとめでは言われております。
 それから、三つ目として、識別子の導入というふうにしましたけれども、研究成果の利活用を促進する観点から、論文及び研究データに永続性のあるデジタル識別子を付与する必要があるというふうに、この委員会でも言われております。最後の部分ですけれども、研究データや研究者への識別子付与によって、研究の着想段階から波及効果までがモニター可能となり、研究活動の流れや効果の測定も可能となるといった御指摘もございました。
 それから、大きい柱の(4)、最後の柱として立てておりますけれども、四番の人材の育成・確保という観点でございます。
 オープンサイエンスのためのスキルとローマ数字の1で柱を立てましたけれども、一部の研究分野においては、大規模な研究データを蓄積する慣例を有する場合もあるが、大部分の研究者にはオープンサイエンスを実現するために必要なスキルを開発するための訓練、教育が必要であると内閣府の報告書では整理がされている。
 それから最後に、ローマ数字の2といたしまして、8ページ頭でございますが、データキュレーター等の育成といたしましたが、分野ごとに異なるデータの属性、管理手法、利用者、利用局面等を理解できる人材の確保が必要である。それから最後に、一番下でございますけれども、技術職員や大学図書館職員等がデータキュレーターとしての一定の機能を担っていくことも期待されると。また、職員の能力開発と併せて、専門人材の新たな確保についても考慮することが望まれるというふうにまとめられております。
 資料4については、以上でございます。
 ちょっと長くなりまして恐縮ですが、もう一つだけ。机上にもう一つ、参考といたしまして、オープンサイエンスに関する参考資料というものを用意してございます。これはメーンテーブルのみお配りしてございますけれども、今日はちょっとこれについては御意見を賜るというよりは、ごらんいただきまして、次回以降の議論を進める際に、エビデンスというかデータとして必要になるであろうと思われるものを整理し始めております。目次案と1ページめくっていただきますとありますが、ほかにもこういうデータが必要ではないかといったようなこと、あるいはちょっと後ろでまとめておりますものでは足りないので、こういうものを追加すべきとかいったようなものについて御意見がありましたら、後ほどメール等で御意見出しをお願いしたいと思いますので、その際にコメントを頂けると大変有り難く存じます。
 私の方から、本日御用意させていただきました資料について説明をさせていただきました。以上でございます。
【喜連川主査】  どうもありがとうございました。今、御説明がありました、資料1の、今後の審議の進め方(案)ですが、当面、こういう方向感でよろしいかどうか、すなわち、これまで何回か御審議いただきました、大学図書館機能の高度化に関することについては、オープンサイエンス推進に関わります課題の具体的な方策を御審議いただく際に、関連するトピックスとしてその課題を御議論いただきたいと、考える次第ですが、このような方針でよろしいかどうかという点につきまして、まず皆様の御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
 特段御意見がないようでしたら、この形で進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、今、資料4のオープンサイエンス推進における今後の審議に向けた課題等整理を丁寧に御説明いただいたかと思いますが、これについて御意見を頂ければと思います。
 先ほど御説明ありましたけれども、今後の議論に向けまして検討するべき課題として、このリストアップされた中に不足している事項というものがありましたら、是非御指摘を頂戴したいと思います。今後議論する中で、その切り口とか、あるいは押さえておかないといけないことなど、どんどん自由に御発言いただければと思いますが、ランダムに全部やっているとあちこちに飛んでしまうような気もしますので、丸山室長、ページ3の検討課題等の(1)、(2)、(3)、(4)と扱うわけですが、少しずつ切りながらやった方が、議論がしやすいかもしれないなと、考えている次第ですが。どうでしょうか。
 まず(1)のデータマネジメントの推進というところがあろうかと思いますが、別のところでも構わないのですが、とりわけこの辺に関しまして、御意見あるところがあれば議論を進め、ちょっとしまして(2)に移ると、このような形で進めさせていただくのはどうかと。これまでにもかなり丁寧に議論をさせていただいてきたところではあるかと思いますけれども、こういう視点もちょっと記載上漏れているというようなことも含めて、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。岡部先生。
【岡部委員】  「データマネジメントポリシーの策定等」のところで、これはポリシーを作成するのは研究機関であるとか、あるいは、ファンディングエージェンシーがそういうことを定めよということだと思いますが、一方で、実際に研究者がデータマネジメントに当たって、ポリシーに則って、まずデータマネジメントプランをきちんと立てて、それに沿って行うということが必要だと思います。まずポリシーがあって、それに対して研究者がプランを立てて、最終的にそれが実行されるという形に書く方が、提言として誰それが何々しなさいという書き方で、研究者の立場で何をするかということもここに書いておくといいんじゃないかなと思いました。以上です。
【喜連川主査】  それは丸山室長、いかがですか。
【丸山学術基盤整備室長】  おっしゃるとおりかと存じます。ちょっと時間で、整理の問題で抜けておりますけれども、当然ながら先生がおっしゃるようにポリシーがあってプランがあると、この流れで論点については整理をさせていただきたいと思います。
【喜連川主査】  岡部委員が御指摘されたように、そもそもDMPをファンディングエージェンシーが書いてくださいという言い方にはなっているのですが、まだ余りこなれていないのが実情ですので、最初やる人は、本当にどう書いていいかさっぱり分からないような状況だと思います。DMPも少し整理いただいて、少しひな形みたいなのを作ってもいいのではないかなと思います。これは相当分野によっても大分違うのではないかと思います。
 岡部先生、ありがとうございます。竹内先生。
【竹内委員】  竹内でございます。データマネジメント推進というところに特化しているものではなくて全体に関わることの確認ですけれども、今回のこの課題の整理の中で述べられている研究データというのは、一体どの範囲を指すのかというのが少しよく分からなくなりました。というのも、1を見ておりますと、研究データというのはかなり広いものとして捉えられていると思うのですが、2のオープンサイエンスの推進の方向性以後を見ていきますと、ここで挙げられている研究データは、研究成果の一部として出てくるデータのことしか取り上げられていないのではないかという印象があります。
 これまで行ってきた議論を踏まえ、オープンサイエンスという方向性で議論されるような研究データというものは、確かにそういう限定されたものになるのかもしれないのですが、しかしながら、オープンサイエンスを実際に進めていく上では、様々な研究資源がデジタル化されて、言ってみれば研究データとして扱えるようになるということが、まず大前提としてあるのではないかということがあったと思っておりまして、その部分が議論全体の中からすっぽり抜けているように思います。その点については、是非とも入れていただく必要があるのではないかと考えております。
【喜連川主査】  大変妥当な御指摘を頂きましてありがとうございます。多分、この3のヘッダーの部分が、オープンデータ推進におけるということになっているので、オープンになるであろう、今はオープンでないかもしれないというところが、恐らく論点整理をなされていて、データに基づきながら研究を進めるわけですけれども、オープンにならないようなところまでは、現状は立ち入っていない。全部にすると議論がとても大変なのかなと。どうでしょうか。
【竹内委員】  キーワード的に言うと、いわゆるデジタルアーカイブの問題がここで全く言及されていないのではないかということです。
【喜連川主査】  デジタルアーカイブという言葉はかなり一般的ですけれども、先生がイマジンされているのはどの辺のデジタルアーカイブですか。
【竹内委員】  例えば現在デジタルヒューマニティーズなどで議論されているような状況、つまりもともとは紙の資料として存在していて、それを用いた研究が行われていたわけですけれども、それがデジタル化されることによって、研究の新たな側面が切りひらかれていたり、あるいは文理融合型の研究というのが推進されるという流れが出ているわけですけれども、その事柄は、私はオープンサイエンスと当然関わりがあるだろうというふうに理解をしておりました。そのような部分というのが、今回の整理の中に出てきていないという印象を持っております。
【喜連川主査】  この辺は、どこまでを入れるかの議論になるかと思いますが、いかがでしょうね。
【丸山学術基盤整備室長】  これまで七回にわたって、かなり広範な観点から意見交換していただいてきておりますので、全体の整理の中ではきちっと踏まえつつ、その中で優先して検討するのはどこかといったようなところの順番付けもしながら、論点を少し整理させていただいてはどうかなというふうに考えています。非常に具体的な御指摘を頂いて大変恐縮でございます。確かにデジタルアーカイブ関連のところは、今ここからは落ちてございますけれども、意識としてはございますので、整理のときにまた主査、あるいは副主査とも相談をさせていただきたいと思います。
【竹内委員】  よろしくお願いいたします。
【喜連川主査】  ここはまず、公的研究資金を注入したところに対して、G7合意というところからまずは、その比較的小さなクロージャー部分からということだと思うんですけれども、先生の御指摘のデジタルアーカイブに関しては、文部科学省の中の文化庁等で委員会が立っていると理解していまして、そこは知財本部でも随分議論されていますので、ちょっと何らかの形でこれは先生御指摘のように、言及したいと思います。一方、まずはメインパートから議論をさせていただくということはよろしゅうございますか。
【竹内委員】  はい、もちろんです。
【喜連川主査】  はい。どうもありがとうございます。
それでは、安藤先生。
【安藤委員】  一つ質問。私、分からないところがありまして。今日、机上資料で、オープンサイエンスに関する参考資料というのをお出しいただきまして、その1ページ目の右上に、例えばICSSで進められている高データというのがちょっとあったものですから、それで言うと今度7月に、ICSSとICSですか、要するに自然科学と人文科学一緒になるぐらいの時代で、このコーディネーターのところもそういう意味では、今までは自然科学の方でやっていたんだけれども、いろいろなメンバーが入ってくるというのが話題になっています。そうすると、ここで言うオープンデータのデータというのは、当然ビッグデータとか何かの自然科学がメーンではあるんですけれども、そういうソーシャルサイエンスのようなものですね。実は気にするのは、学術会議は、例えばですが、5年とか10年とかデータ保管とかいいますが、ソーシャルサイエンスとかになると、歴史が深まって価値が出るようなものがあって、10年、20年どころじゃないようなものが、古代のものとかあって、全然桁が違う話も一緒になるものですから、そこら辺、もちろん自然科学が中心ではあるんだろうけれども、そういうものもあるということをちょっとノートだけしておきたいと思いました。
【喜連川主査】  それは、研究分野の特性に関する配慮とか、この辺でしょうか。今のお話は、竹内委員がおっしゃったものとかなり連関する部分もあって、先日、ACIと言いますが、アドバンスド・サイバー・インフラストラクチャーという部門がNSF(全米科学財団)にあるんですが、そこのファンドでは、まさに先生がおっしゃった、ソシオロジー、ソーシャルサイエンスのデータに関して予算をつけています。文系の部分は、理系のデータとは性質が異なるでしょうから、少し特出しのような形で何か入れてもらうのがいいかもしれないですね。大変貴重な御意見ありがとうございます。
 ほかに御意見。引原先生、どうぞ。
【引原主査代理】  今、御指摘の点も含むと思うんですが、結局、ここで言われているのは、プロダクションに当たるデータというか、プロダクトされるデータのライフサイクルをプロットしたものと思うんですね。お二人、委員の方が言われたのは、そのソースのデジタライズという話だと思うんですね。研究ソースの部分と、研究のプロダクトの部分が分かれないといけないと思うんです。だから、そこの部分の書換えをきちんとした方がいいんじゃないかなと思います。
【喜連川主査】  その点もグレーゾーンがいっぱいありそうな気がいたしますが。
【引原主査代理】  ですから、今日の、ここの3の話というのは、プロダクションというか、そこの部分の議論に特化してやれば分かりやすい話で。それでソースの部分というのは、これは研究対象ですね、どちらかというと。研究対象になっていく部分として考えてどうしていくかというのは、また別のルートで話をして。
【喜連川主査】  研究の対象というのはどういう。
【引原主査代理】  ごめんなさい、デジタルヒューマニティーズとかいうのは、それ自身がどのデータをデジタライズするかというのが、まず研究の対象になっているケースもございますので、まだここでの、三番の流れの中に乗ってこないのではないかなと私は思うんです。
【喜連川主査】  人間の像を3次元でとる、あるいは、この人間のホールゲノムをとりますと。まあ、同じと言えば同じことにならないですかね、ソースのデータという。
【引原主査代理】  アーカイブという意味で言えばということですけれども。いや、ですから、それ以外のこの3のルートに入ってきた段階で議論すればいいと。
【喜連川主査】  いや、そうなんですが、今おっしゃった、ソースとプロダクトという切り分けが。
【引原主査代理】  ではないですね。グレーな部分は当然あります。
【喜連川主査】  ありますね。先生のおっしゃっていることはアグリーなんですが、何かいい表現があると分かりやすいなと思います。理系か人文系かと分けた方が、まだ分かるような気がするなと、さっき思ったんですけれども。こういうアイデアは、主査は知識が足らないので。
【逸村委員】  今の話に乗ります。具体的な例を示した方がいいかと思います。例えばユーロピアーナ(Europeana)が進めているのは、第一次世界大戦のときの様々な一次資料、それこそ家族と前線でしょっちゅう手紙のやりとりをしている、それが今ならまだ回収できるので、それをデジタル化するとか、そういうことを強力に進めているんですね。日本でもアジア歴史資料センターリティがそういうようなことをやっていた例があります。そういうことも含めてデジタルアーカイブであり、またリサーチデータになるのかどうか微妙なところですけれども、やっぱりオープンにすべき資料であると。人類の遺産という、そういう言い方になるかと思います。
【喜連川主査】  そうですね。だから、おっしゃっているのは、私もヨーロピアーナのお話を聞いたとき、結構感動しましたけれども、やっぱりナチスのデータは、これは二度と同じことを起こさないために、きっちりと全てをアーカイブするんですとおっしゃっていて、まさにそのとおりだなと。そのときに、理系的にはアーカイブをして、これを出すからこのアーカイブのお金をくださいみたいな、そういう研究資金のとり方をするわけですけれども、そうじゃなくて、これそのものをという、そういうものがあるときに、多分どうするという、何かそういう感じですよね、竹内先生のアーカイブとおっしゃったのは。これは難しい取りまとめなので、オンラインではちょっと考えづらいと思いますので、皆さんも是非協力して、本論の議論のときまでに、ちょっとこういう報告書をまとめるときにどうすればいいかも含めて、御議論させていただければと思います。
 井上先生。
【井上委員】  今の流れでちょっと付け加えますと、社会科学系のデジタルアーカイブのようなものについては、産出する主体が研究者、アカデミアの分野ではなくて、別のところで作られている。アジア歴史資料センターでは、国立公文書館などが持っている文書がアーカイブされています。アカデミアの中で産出される以外のデータアーカイブとアカデミアの研究を結ぶような仕組みが必要だと思います。メタデータの共通化なども必要になってくると思います。
 アカデミアの中にある、あるいはアカデミアの中で作られたデータでなくて、その外にあるデータのアーカイブ化とそれをアカデミアの研究に繋げる仕組み作りの問題です。
【喜連川主査】  アカデミアでないデータを研究者は随分、非常に多くの学問は扱っていると言えば扱っていますね。非アカデミアではない主体が集めたデータというものを、工学、理学の先生が使っているという例は、これは非常にたくさんあるんですけれども。公文書館というのはたまたまあるんですけれども、以前、デジタル記録に関する学会で、講演を依頼されたことなど思い出されます。すみません、この話がどんどん進みますと、何となくアーカイブの方の論点にちょっとドリフトし過ぎて、今現状のいわゆる研究データの議論から逸れていきそうで心配です。
 しかしながら、既に複数の委員から御指摘を頂戴していますので、どこかにそれを書き込むということにしたいと思います。丸山室長、取りまとめはどういう御計画でしょうか。
【丸山学術基盤整備室長】  先ほどの資料1でもお示ししましたけれども、次回はもう少し深掘りした論点のところ、もう少し具体的な話。我々の方でも、これまでの御意見も参考に、今日ちょっと書き切れてない部分もありますので、論点整理をちょっとさせていただいて、より深い議論を個別にまたお願いをした上で、その次のときに、そういったものをならしたもので、中間まとめというと大げさなのかもしれませんけれども、整理案を一応御提示したいと思います。その際は、恐らく言い切れる部分と、まだ論点として残る部分というのが恐らく存在すると思いますので、それは多分、両論併記になる部分はありますし、少しまだ中途半端かなというふうにも思いますけれども、そこで一度、一回整理をしたいというふうに思っています。
 それで、論点に残っている部分を夏以降、個別にまた議論を深める。また、必要に応じて各分野の専門家とか各コミュニティの人にも少し御意見を頂戴しながら議論を進めさせていただきまして、今期の終わりにある程度整理ができればなと。その際には、こういったメーンになる部分、それからサブになる部分も少し書き分けながら、全体として皆さんにお読みいただけるようなものに仕上げていきたいと。ちょっとまだ構想としては雑なものではございますけれども、何らかの形で今期終わりには一定の整理をして、残った部分はまた来期へつないでいくということで、丁寧かつ、主査とも相談しながら大胆な部分に切り込んで、少しでもいい方向に進んでいけるように努力をさせていただきたいなとは考えております。
【喜連川主査】  そうしましたら、今期終わりに出すまとめの中に、今、種々御指摘いただきましたような、社会遺産のようなデジタルデータに関しても言及をするというのを記憶していただくという、そういうことでよろしいでしょうか。
 この議論をやり始めると、ここにかなり皆さん、パッションを感じる次第です。そうではない御指摘の御指摘もありましたら是非。赤木先生、お願いします。
【赤木委員】  データマネジメントポリシーの、マネジメント推進の、ローマ数字の2のところに関わることについて、コメントを残しておきたいと思います。研究データの範囲及び様式、これは先ほど来お話になっている、ソースかアウトプットなのかということは関係なく、この委員会が長期的な見通しのもとで議論するということを前提とすると、実は内閣府の報告書でも、データを扱うプログラムがある場合にはこれも含まれるとか、それから、学術情報委員会の審議まとめでも、データを扱うプログラムがある場合、これが含まれるという書き方をしています。これは大変野心的な表現ぶりだと思います。
 データそのものについて、私の申し上げたいことは、長期的な観点からは、マイグレーションのようなことをしっかり項目として入れておいて、それにもお金がつくような根拠をきちんと置くべきだと考えます。五年もたてば、作ったプログラムは動かなくなる。私はプログラムまで保存するのは現実的ではないと思っています。更にデータをストレージする、例えば今の大学図書館がやっているリポジトリの場合、データのセットのみを収蔵できますというようなことを言わざるを得ない実情があります。データとともにそれを使うプログラムも一緒に預けておいてずっと生かしてもらえますかというオファーがあっても、これは図書館にとって、とても受け入れられるものではありません。ともあれここのところは、やはり別立てにしていただいて、データのことにマイグレーションについては、項目立てをして、将来に向けて議論を押さえておいてほしいなというのが私の希望でございます。私の発言は以上です。
【喜連川主査】  これはコンピュータ屋さんというか、ITで生きている人間としては根源的に難しい問題が実はあるのですけれども、ちょっと先生の御意見を確認させていただけると有り難いのですが、マイグレートをちゃんとしなさいということをおっしゃっているんですか。
【赤木委員】  やはり将来に向かって蓄積されていくデータを、そもそもマネジメントしていくという、マネジメントの中にマイグレーションというのが入ってくると私は理解しています。
【喜連川主査】  メディアマイグレーションは大体みんなある程度やらざるを得ないものですから、やっていくわけですね。ある世代から次の世代にマイグレートしますと、大体容量コスト負担から見ますと1桁くらい下がっていますのでやる価値があります。一方プログラムマイグレーションは、死ぬほど大変なことが多いんですけれども、プログラムをマイグレートしないといけませんとおっしゃっていますか?
【赤木委員】  少なくともここでうたっていますから。ここで指摘するのであれば、そのマイグレーションも考えた方がよろしいと思います。
【喜連川主査】  相当意見が分かれる可能性はありますが、可能な範囲でとか、ちょっと形容詞をつける必要があるかもしれません。過去のVMを立てるということぐらいしかしようがないんですけれども、それ自身も保証されるものでもございませんので、見ていただけると分かりますように、いろんなプログラムやサービスを停止しますから、動くことをそもそも保証すること自身はかなり難しいのが実情です。ですので、可能な範囲レベルのことしかしようがないのが1点です。
 もう一つは、データは、著作権はないのですが、プログラムは著作権があるわけですね。そうしますと、ハンドリングそのものは相当ポリシーを変えないと、この辺は多分井上先生が御専門の領域になると思うのですけれども、どうでしょうかね。改変した、マイグレーションしたものの著作権はどうのこうのとか、何かややこしくなりそうな気がするんですけれども。
【井上委員】  あらかじめ決めておかないとまずいことになると思います。マイグレーションする主体は同じものという前提ですか、それとも別の主体がマイグレーションする前提ですか。
【喜連川主査】  ものというのは?
【井上委員】  人です、人です。
【喜連川主査】  人はさっき書いてありましたように、退職すると書いてありまして、いなくなっちゃいますから、次の人が。
【井上委員】  プログラムの場合特に、著作権についてあらかじめ処理をしておく必要があると思います。改変について、翻案権という権利が働きますので。
【喜連川主査】  ですので、問題の一種として挙げておくということにしましょう。これは、誰でも考えることなんですけれども、過去それが実現できていないとしんどいということでもあります。それぐらいでお許しいただけますでしょうか。結局、いいものは残るんですね。オープンソースになり、世代がどんどん変わって、著作権は僕たちは要りませんというようなことを言えるようなソフトウエアとして生態系が成り立つんですけれども、何でもかんでもこのデータに関連したソフトウエアをパッケージ化しましょう、これも次にいったら動きますよというようなことは、投資対効果は非常に悪いので、現実には相当やる意義が十分あるかどうかというと、疑わしいものも相当あるなと感じます。
 ほかに御意見、何か。北森先生。
【北森委員】  先ほどの議論に戻すつもりは全くないんですが、引原先生のおっしゃった、ソースかプロダクトかというところに関連はしているんですけれども、あるいは赤木先生の御質問にも関係すると思うんですが、データの種類として、1つは研究現場で研究者が出して取っていくデータの種類のものと、これはソースの方だと思うんですが、プロダクトの方としては論文に近いところでまとめている、つまり手が加わっているデータと2つあるのではないか。研究室の方の時系列等でとっているデータの性質と、それを今度は論文にまとめて学協会の編集委員会だとか、あるいはそういったところに上っていくデータと、2つありそうな気がして。そうすると、それを扱う主体は、研究者が所属している機関と、それから論文だとかデータジャーナルを扱おうとしている学協会。ちょっと何となくプレーヤーが分かれそうな気がするので、今のまとめでは、学協会、要は論文化したり、論文を支える研究データを維持しようと、そういうアーカイブを作ろうとしている学協会ですね、その言及がやっぱりあった方がいいんじゃないかなという気がします。
【喜連川主査】  ですから、ステークホルダーとしての学協会から見たとき、今のところは資金提供者と研究者という、この二極の構図になっている中で、学協会というのがこの中に強くインボルブするとき、そこがどういう立ち位置になって、どういう制約、あるいは便益を提供するかみたいなこともまとめの中に入れておいた方がいいだろうと思います。これは北森先生が以前も何度か御指摘いただいていますように、学協会がある意味で大きな力を持つような場合もありますし、非常に弱小なことも日本の場合多々ありますし、そういういろいろな事情の中で、大分温度差が変わってくるかと思いますけれども、大変重要な御指摘を頂いているのではないかと思います。
 先生、どちらがデータを保有するかということに関しては、例えば、ネイチャーは、原則うちは出しているだけですと。したがって、責任はネイチャーは全然知りませんと。原則、悪いのは研究者です、と。誰が考えても、プロフィットカンパニーだったら免責条項そうやって。そうなると、責任をベリファイしてあげるためのものというのは、やはりその研究者を有する法人がということになることが多いような気もするんですけれども、どうでしょうか。
【北森委員】  それが今、過渡的な状況を迎えつつあって、今まではペーパーベースだけであれば、著者に全ての責任があると。どのジャーナルもそう言い切って、それでサポーティングデータ等も含めて、データは著者、すなわち研究者の方で保管しなさいというふうになっていたんですが、これが最近変わってきたのは、あるジャーナルがありますね。例えば、アナリストというジャーナルがあるとすれば、アナリストデータみたいに、その論文を支えるデータジャーナルという考え方が、特に欧米の大きな大学では出てきています。そのデータジャーナルの方にサポーティングデータ、あるいはアペンディクス等につけているデータも全部そこに入れなさいという方向に、どんどんどんどん移りつつありますので。今、一番変わっているところは、変化が大きいところはそこではないかというふうに。
【喜連川主査】  それは逆に有り難いことかもしれなくて、ここで余り保存とか何かを考えなくても、データジャーナル……。でも、あれはポインターで、データジャーナル主体がデータを持つ気は余りない場合もあったりするんじゃないですか。
【北森委員】  そこが非常にアンクリアで、そこに議論しているようなアーカイブの機能を持つような、データをみんな入れなさいみたいなことになるとますます悪くて、国費でやった実験のデータがみんなそっちへ行ってしまうということになりかねない。それはやはり日本にとどめておいて、ある意味二次データになった段階で、論文をサポートするデータに加工されたもの――加工って不正じゃないですよ。例えば、ただの数値から、それが意味を持つ図形になっているというようなものは、それはよこしなさいと言っているわけですから、そこをどうこちら側にとどめておくか。そのあたりを、まさにポリシーの考え方だろうと思うんですが、そこは一定の考え方を示しておかないとまずいかなと。
【喜連川主査】  これは多分、丸山室長、1回いろいろな分野を少し軽くヒアリングをして、例えば、我々の近くですと、国立極地研究所がアーキテックというかポーラーの研究をされた、あそこ、この間データジャーナルを作ったんですけれども、余り生々しくないところなので、とりあえずはいいのかもしれないんですが。例えば、ネイチャージェネティックスは、もうホールゲノムをやらないと、うちは査読に回しませんというようなことをはっきり言っている中で、じゃあホールゲノムって個人のデータみたいなのを一体どうするのかというような話をどこかでちょっと議論しておいた方がいいかもしれないですね。
【丸山学術基盤整備室長】  はい。今日は実は、分野のところの議論は全部ちょっとこの資料からは落としてありまして、この委員会の中でも、これまで各分野の状況については、そんなに細かく深掘りはしていないものの、先生方が関連する分野のところはある程度御発言を頂いて整理をしてございます。主査からも御指摘ございましたように、幾つかやはり取り上げて、いわゆる今後の議論の参考に、あるいはほかの分野の参考になるような分野については、実情などもお聞きしながら、最終的にまとめる際にも生かしていければというふうにも考えております。
【喜連川主査】  ほかにも何か御意見。はい、どうぞ。
【岡部委員】  先ほどの話に戻りますけれども、ローマ数字のⅱのところでは、研究データとして、いわゆるデータだけではなくて、データを扱うプログラムも含まれるというふうに明記されている。これは先ほど議論になったとおりですが、それに続くローマ数字のⅳのところでは、冒頭に研究データは著作物ではないと断言されていて、これは、プログラムは喜連川先生がおっしゃったようにプログラムの著作物という明確なものなので、ちょっとこの内閣府の報告書の書き方はやや乱暴だなと思います。その上で、やはりプログラムに関しては、もう少し丁寧な扱いをした方がいいんじゃないかなと思います。単なるデータを扱うツールとしてのプログラムにとどまっている場合と、プログラムそのものが研究の本質である、例えばシミュレーションサイエンスなんかはそんな感じだと思うんですが、そういう人たちにプログラムを全部オープンソースで出しなさい、自由に改変を認めなさいというと、多分猛反発を食らうだろうと思うんです。ですから、ちょっとここは少しプログラムについての扱いは丁寧にした方がいいんじゃないかなと思いました。
 あと、先ほどありましたように、プログラムを公開するという形にしても、バイナリーで出すのか、オープンソースで出すのかというところも、この話も深入りすると大変なことになると思うので、この委員会として余りそっちの方に時間をとられてはいけないと思いますし、少し注意した方がいいなということだけ申し上げておきます。
【喜連川主査】  このプログラムはベリファイするためには、それがないとできないというのも一方ではトゥルーなんですけれども。さすがにそこまでは、ファーストステージでは入れないだろうなというのは、皆さん思わくのうちには感じておられる中で、どのぐらいで落としどころをつけるかというのは、ちょっと海外と様子見みたいなものでしょうね、多分ね。
 ほかには。もし皆さん御意見がないようでしたら、井上先生からおっしゃった御意見のときに、研究者が踏み出してないデータはいっぱいありますと申し上げたんですけれども、例えば我々ですと、企業から頂くデータってたくさんございまして、道路交通の研究をしようと思いますと、例えば、宅配業者が持っているデータをお貸しいただけませんか。それを解析することによって、非常によく事故が起こる場所というのを検知して、それを学習し、ここは危ないのでというアラートを出すべきだという研究をする。この研究自身は、心清らかな研究なので、みんな喜んでくださるんですけれども、このデータを出せるかというと多分出せなくて、今は自分だけが作る能力というのは少なくて、いろんな人からの頂いたデータをフュージョンして、新しいソリューションを作るという研究がすごく増えているんですね。そういうときに、そもそも産とやる場合はどうなるのか。一方で、産学連携は推奨しましょうといったとき、余り萎縮効果が出ないような構図が何かできるといいなと思っていますけれども。
【井上委員】  一昨年に官民データ活用推進基本法が成立して、官と民、それから学も、データを共有しながら、データ駆動型の研究で新しい知を生み出す。そして、その成果を社会実装していくということが重要になってきています。恐らくは技術レベルのメタデータどうするかというような話もあるんでしょうが、使い方のルールも、先ほどの公開の制限ですとか、産業界でのルールとアカデミアのルールのすり合わせですとか、行政データのオープンデータの文脈ですと完全に自由にというになりますが、ルールがそれぞれ違っています。最終的にはなるべく社会がよくなるようなルールについて、それぞれ利害関心の異なるステークホルダーの間で合意形成していくことが必要です。特に産業界のデータと学での利活用は、これから一番重要なのかなというふうに思います。
 本日の資料のうち不正競争防止法の改正なども、それと関係してくると思いますが、次回扱うということですね。
【喜連川主査】  井上先生の方でも、何かまたちょっと考えていただけると大変有り難いと思いますのと、もう一つややこしいことをちょっと申し上げますと、横軸に年代をとると。縦軸に論文の共著者数をとると、考査数をとるというようなのをやりますと、完璧にリニアに上がっていっている。全ての学問のアベレージで、完璧にリニアに上がっていると。これはなぜかというインベスティゲーションは、なかなかいろいろな議論があるわけですけれども、科学の実験、あるいは研究テーマというものが、より多くの分野融合でないと、そもそも問題が解けなくなってきているということから、オーサー数がぐっと増えるんです。そうなると、ここで言うところのデータのリポジトリというもののコントリビューションが、いろんな人の目線になってくるというときに、従来のピュアなシングルディシプリンのときとは違うような知のシェアリングみたいなものが起こると。これは多分、もっと実は複雑になってきていまして、是非またその辺を議論。ここはそんなくちゃくちゃしたことは全然まとめていないところではあるんですけれども、今のITといいますか、研究の流れからしますと、必ずその方向にはどんどんなってきますよね。そこをちょっと見据えた方向感も、何か入れるといいかなと、個人的には思っている次第です。
 さて、1ばかりやっていると時間がなくなるといけませんので、今の赤木先生の、マイグレーションのお話というのは(2)のようなものもありますので、もう面倒くさいので2、3、4と全部一緒でもいいんですが、残り何か御指摘いただくことがあったら、御意見を頂戴できると有り難いです。
【五味委員】  ちょっと今回の流れを全体読んでみて思ったところなんですけれども、やっぱりまず今回、フォーカスすべきは、やはり成果物としての論文。論文を裏付けるためのエビデンスとしての研究データというんですか、まずそこの部分は最低の一番プリミティブな部分だと思いますので、まず今回のオープンデータといいますか、データマネジメントをオープンにしていくと、まずそこをベースの議論にすべきかなと。とはいえ、その上に乗っかってくるのが、次は利活用という話になってまいりまして、その利活用の中に、先ほどありました研究室の中のデータも、同時にとられたものもあれば、その先にアーカイブのようなものもあれば、いろいろなものが多分そこに含まれてくると思いますので、そこは少し分けて、今回議論を進めるのがよろしいかなというのが一つ。
 あともう一つ、前段から見ていると、オープンサイエンスとオープンデータというところの関係性をどういうふうにこの中で整理していくのかというところは、もう少し。当然オープンサイエンスをやっていて一番ベースになるのは、オープンデータの基盤としての確立ということだろうと思いますので、まずそこの部分は、今回これでさっきのDMPに近い、そういった部分で加工されていくと、次、オープンサイエンスになってきたときに、先ほどの利活用というところがすごく重要になってくるのかなと。それがいろいろな、今、主査の方からもお話がありました、いろんな目線で、新しい研究テーマが出来上がっていくという。
 今回、ちょっとどこまでをフォーカスして、全体として目的的に言うと、やはりデータをきちんと管理してオープンにするというよりも、やはり研究そのものの活性化という意味からしますとオープンサイエンスという、そちらを指向していくということが非常に重要だと思いますので、気持ちはオープンサイエンスなんですけれども、今回はちょっとどのあたりを論点としてこの先議論していくのかというところは、少し整理していただいた方がよろしいかなと思いました。
【喜連川主査】  それはかなり整理はされていまして。
【五味委員】  されているという感じなんですか。
【喜連川主査】  今、御指摘の第1フェーズと第2フェーズというものをバンドルしてやっていきましょうという流れというので、今までも多く議論されていると思っています。つまり、エビデンスとしてのデータを出すということでは、その研究者を守るということが目的なわけですけれども、そのデータをほかの人も見ることによって、第2ステージの利活用ということになると。したがって、分けてもいいんですけれども、実は同じデータなので、両方の視点からうまくシステムを、あるいはルールをデザインしていきましょうということで、一挙両得というか、二側面があるのをまとめた議論をということで、これまでもさせていただいてきたという。
【五味委員】  それはよく分かっているんですが、どうしてもここで議論になりますと、そこの辺のところが議論のテーマとして非常にぶれ始める。
【喜連川主査】  ぶれ始めますか。そうすると、ちょっと丸山室長に、今度いろいろ報告書等をするときに、そこが分かりにくくならないようなまとめ方に配慮するということで、まだちょっとややこしい、ここは分かりづらいなというようなところがあったら、是非御指摘を頂ければ有り難いと思います。どうもすばらしい御示唆をありがとうございます。
 ほかに(2)の保存、保管等に関しましてはいかがでしょうか。余りこれはあれですかね。掛け声だけですから、余り保存しなくていいという意見はなかなか出ようがないですよね。メタデータの標準化も、あればいいということで、そんなに意見は出ないですかね。
 これ、グローバルに見ますと、品質管理に関しては、いわゆる認定機関というか、評価機関みたいなところを使って、ここの機関はキュレーターをこれだけ雇用して、こういうシステムでちゃんとデータの質管理をしているみたいなのの、ある意味の格付みたいなものでしょうかね。そういう流れに、そうせざるを得ないんじゃないかなと思うんですね。一個一個のデータを見て、これがいいとか悪いとかというのは、具体的に体系的にできないようなところがあろうかと思うんですけれども。その辺のまとめのときには、そういう情報もちょっと入れて、こういうのはヨーロッパが得意なところがあるわけですけれども、日本なりにそういうフレームワークをちゃんと作っておくべきか、とか、議論をやっぱりしておかないと、幾らためてもためただけでしょうと後から言われると、ちょっと寂しいことがあるのかもしれないなという気がしていますが。よく議論になるのは、質のところが出てきますね。
 ほかは何か御議論はございますでしょうか。ちょっと文部科学省に是非調べておいていただけると有り難いなと思いますのは、この間、重力波のノーベル賞は、プロジェクトマネージャーがノーベル賞を初めて取ったという例ですよね。つまり、ピュアなサイエンティストではなくて、高エネですので、これ、家先生の方がお得意なので、僕なんかが申し上げるのではなく、是非フォローしていただきたいんですけれども、純粋な研究者ではなくて、非常に大きなチームをマネージするプロジェクトマネジメントに労力を割かれた方というのがノーベル賞の対象者になったという、NHKも大々的にそれを報道していたと思うんですけれども、それが本当かどうかもちょっと教えていただきたいんですが。僕は、次のノーベル賞は、データをきっちり管理した人がノーベル賞を取るということをやれば、全然世界は変わるんじゃないかなと。現実には本当にヒッグス粒子のときだって、ある意味で全てのような気がするんですが。家先生、どうかしら。
【家委員】  今回の受賞対象者がどういう役割を果たしたのか、詳細には知りませんけれども、多分本人にそんなこと言ったら猛反発する、俺はサイエンティストだって言うに決まっているんですけれども。ビッグサイエンスの場合は、大昔のカールロビアとかそういう人たちだって、ビッググループのボスですよね。まあ、そういうことですね。だから、そういう大きなビッグサイエンスの分野では、役割分担はある意味コミュニティの中で不満はあっても、みんなが合意した上でやっているということはあると思います。だから、そういう大きな加速器から出てくるデータ、あるいは望遠鏡から出てくるデータというのは、共通のものであると。多少それの建設に携わった人たちは、先にデータ解析ができるというアドバンテージはあるけれども、やったらみんな共通の、誰でもやっていいという、そういうアグリーのところはできていると思いますね。物理の中でも、ほかの分野は全く違う。
【喜連川主査】  そうですね。ただ、LHCからのデータのティア1、ティア2、ティア3系の、やっぱり見に行きますと、本当に膨大なエネルギーを導入されて、すごいグローバルなシステムを作っておられて、あれがあるからノーベル賞に至る研究がやっぱりできているなというのもすごく強く感じますね。
【家委員】  そうです。ですからこそ、多分データ管理については、ものすごく厳密な事前のルール作りがなされていると思います。
【喜連川主査】  そういう方々を、ノーベルデータ賞とかいうのを作ったら、ノーベル物理学賞じゃなくて化学賞でもなくて、ノーベルデータ賞を作りましょうとかいうの、何でしたっけ、日本学術振興会がやっておられるノーベルダイアログの中に、入れていただけないかと。というような、多分少しワンディケードぐらいでは出てくるんじゃないのかなというのが、個人的な印象でありますけれども。
 ほかに御意見はございますでしょうか。じゃ、ちょっと先生、美馬委員が初めてですので、美馬先生先に。
【美馬委員】  今の喜連川座長のお話に関してですが、ビッグサイエンスの場合は、いろんな機能を持った人たちがチームでいるということです。だから、今回考えていく上で、人材育成まで含めて考えると、全部のそういった機能を1つのプロジェクトで持てない人が、どこまでほかのと共通で人を持つことができるのかという問題でもあると思います。
 例えば今、ここにもいろんなこういう人がいたらいい、こういう機能を持った人が、だからそれは職種、職格ではなくて機能だと思うんですが、例えば今大学や研究機関では、ここでデータサイエンティストとかデータキュレーターとして出てきていますけれども、URAもいますし、サイエンスコミュニケーターもいますし、要するに研究を推進していく上での周辺的なとか、それを支援していくというか、今までの一人がすべての機能を持っていて行ってきました。一人とか数名のチームで進めていくというのとは、近年いろいろな状況が変わってきていて、それを兼ねられるところは兼ねていかないと、とにかく研究を進めるにはこういう人が必要です、こういう人が必要ですといって、提言する。今必要だと言われている人材は、結局、今までの枠割の間を取り持つ人ということだと思うんです。どこを兼ねられるのか、という観点も必要かなと思います。
【喜連川主査】  それは確認ですけれども、この(4)の人材育成の確保というところに記載することが必要で。
【美馬委員】  ちょっと先に。
【喜連川主査】  我々も、結構ありとあらゆるところから、そういう御相談を受けるんですが、早い者勝ちになっていまして。それで谷藤委員のところからデータのインフラを作ってくださいとか最初に言われたのでやっているんですが、ほかから来た人は、もうエネルギーは割けないんですよね。なので、おっしゃるとおりで、人材育成、人材育成って、データサイエンスはマテリアルもやる、あるいはエネルギーもやるみたいな、どんどんどんどん言うと、一個一個やっていられないというのが本当にそのとおりですので、やっぱり今、非常にすばらしい御意見を頂いて、文部科学省としては、個別は重要だけれども、全体としてどうするのかと。人材の配分バランスみたいなものも含めて考えないと、何かいびつになってしまうという、本当にそういうことが起こっていると思いますね。
 とりわけさっき話題に何度もなりました、ソーシャルサイエンスのところというのは、やっぱり予算が薄いですし、非常に地味なので、みんな重要だと思っているんですが、じゃあそこに飛び込む人って必ずしも多くないようなときにどうするのかということは、原則、流れるのはフィンテックですよね。ですから、そういうところの話を、大変いい御指摘だと思いますね。これは入れていきたいと思います。
 北森先生、お待たせしました。恐縮です。
【北森委員】  全然違う話題で、むしろこれは丸山室長から伺う方がいいのかもしれないんですが、5ページ目の(2)ですね。点線で囲ってある一番上の、「次世代の研究者が同じ研究を繰り返すことを避け」というふうな文言があるんですが、これ、同じ研究を繰り返すというのは、研究者としては全くアウトで、普通はこういうことはない。それに同じ研究を繰り返すような競争的資金を採択するとなると、これは採択する委員会の方に問題がある。データの問題なんでしょうか、これは。
 それから、次世代の研究者が同じ研究を繰り返すことを避けると、これを明言するほど、この問題というのは大きくなる。もしこれが本当に問題としてあるのであれば、これは財政当局としても黙っていないでしょうし、何らか研究費を有効に使いましょうという観点では、改善は必要。これがデータに関係することなのかどうか、少しその事情を伺えればと思います。
【丸山学術基盤整備室長】  恐らくは、すみません、1ページ目の最後のところにも書いた文言だと思いますけれども、ちょっとここはソースは恐らく内閣府、あるいは我々の学術情報委員会の、報告書の中からトピックを抜いているものだというふうに思いますが、重複を避け、これはある意味では、研究費の効率的な活用の一つの側面として、例示的に恐らく書いたものであると、ここが多分本質では余りないんだろうなと思いつつも、余り今回精査をせずにそのまま記載したというところで、誤解を生んでいる可能性はあるかと思います。
 研究に関しては、個人的にはやはり追試等もしながらそれを発展していくという観点がございますので、必ずしも同じ研究をしてはいかんということは全くないと。他方で、ある程度これは成果というか、結果は決まったというものに関して、学生がスキルを磨くために同じ研究をまずやってみて、その結果を確認しながら次のステップへ進むということはあるかもしれませんけれども、ここの文言については、そこまで深く考慮して書いているわけではございませんので、また適切な表現があれば、そういったものに改めさせていただきながら進化させていきたいと思います。失礼いたしました。
【家委員】  よろしいですか。私はこれは要するに、論文になった成果についてはオープン、公開されているわけですからそれはよくて、むしろこのコンテキストは、論文にならなかったデータとか、あるいは失敗データとか、そういうコンテキストで書かれているのかなと。失敗を繰り返さないという意味でね。でも、本当に失敗を繰り返させないことがいいのかどうかというのは、私は疑問ですけれども。別の人がやったらうまくいくかもしれない。
【北森委員】  そこのところは全く同意で、企業の経営であればこういうこともあるかもしれないんだけれども、研究者が競争的な環境にあって、同じことを同時に競争するということは大いにあり得るだろうし、過去にうまくいかなかったのが、テクノロジーが進んでうまくいくということもあり得るので、いろいろなケースがある。
【家委員】  これはかなり企業的発想じゃないかなと。
【喜連川主査】  でも、何か最後に至ると、中間の実験みたいなものが、データを出しておいてくれれば、そこからビルドアップせざるを得ないような実験って、工学系では結構ありますよね。ただ、この書き方はちょっと刺激的なところがあるので、北森先生、家先生、あるいは皆さんの御意見を頂きながら、もうちょっと今御議論あったようなことが分かりやすいようなイメージ感で出してはどうかと思います。
 こういう議論がオープンサイエンスの場合は、やっぱり企業からの御参画も随分あるわけですけれども、これは物質・材料研究機構の方がよく御存じですけれども、本当に同じことを全くやっているんですよね。だから、国益として見たときに、こんなに同じことを違う企業がイグザクトに同じことをやることに価値があるのかみたいな議論はあるんですが、それはちょっとここに書く議論としては、このフェーズでは少しあり得ないというか、そこまでは控えておいてもいいのかなという気はしております。
【岡部委員】  一点だけよろしいですか。研究としては異なるんですが、実験としては同じことをするということは当然あって。
【喜連川主査】  そうそう。
【岡部委員】  同じ実験、前の実験結果が分かっていたら、それを使って更に別の実験をやって新しい研究ができるけれども、それがないので前の人がやった研究と同じ実験を繰り返した上でということがあり得るので、多分そういうことが言いたかったんだろうなという気が少し。
【喜連川主査】  そういうことです。
【岡部委員】  ちょっとそれも言葉を補っていただいた方がいいかなと思いました。
【喜連川主査】  そうです。ただ、北森先生の御指摘は大変すばらしくて、これ、納税者から見たとき、何なんだこれはというような印象を与えかねないことも事実です。研究者がおもんぱかって忖度して読めば妥当なんですけれども。すばらしい御指摘を頂戴したかと思います。ありがとうございます。
 井上先生、どうぞ。
【井上委員】  先ほど喜連川座長がおっしゃっていたことに関連して、品質の認証というか、標準化というのは非常重要です。今回資料として配られている不正競争防止法関係の改正のところにも記載がありますけれども、JISについて、データ・サービスを追加することになっています。データは標準化しておかないとなかなか利活用するときに進みにくいということもありますし、また、データの品質をアピールするために標準を設定する、自分たちの標準を世界標準にしていくなどといった標準化戦略が重要になってきます。
 オープンサイエンスの文脈でも、理科系の研究は余り分からないのですけれども、データの標準化を日本がリーダーシップをとって進めていく、あるいは欧米の標準を受け入れるだけじゃなくて、積極的に発言していくということが求められる。知財で議論されている標準化戦略の論点をあてはめるとそのようになります。そういう意味で、データ品質の標準化の問題というのは重要そうだなという気がいたします。
 ちょっと話は変わりますけれども、国際的な戦略の観点から、やはり日本が欧米のジャーナルですとか学会に乗り遅れないようにしなければならないという話がございます。今回も、研究データ、基盤の整備の項に一部そういった議論が引用されています。この点をどこまでこの報告書の中で強調するかいろいろ配慮が必要なのでしょうけれども、そういう視点があるのだとすれば、今の国際認証だとか標準化の話にも関連があるだろうと思います。また、研究データを保存、利活用する際のインセンティブについても、単にどこかでデータをちゃんと公開すればいい、保存すればいいということだけではなくて、日本のデータ基盤に載せることについてのインセンティブを確保すべきだといった書きぶりにもなりうると思います。
【喜連川主査】  幾つか本質的な御指摘を頂いたかと思います。1番目の、標準化戦略を研究者にというのは、多分とてもしんど過ぎる話なので、まさにデータキュレーターといいますか、これまで図書館が担う、竹内先生がアグリーしていただけるかどうか分からないんですけれども、それはまた別途の職域の中で、井上先生が御指摘いただいたようなことを、1つの職能として提示していただくようなことというのが妥当なんじゃないかなと。論文を書く人は、標準化なんていうのは、標準であるようなものを研究することは100%あり得ないですから、標準でも物すごく差があるんですよね。
【井上委員】  標準というか、ここで標準というのは、物差しという意味ですね。
【喜連川主査】  そういう意味ですね。もちろんそうなんですけれども。一番アーリーは、多分要するに、そんなもの何もないところを研究しますので、なかなかそれを研究者に最初から強いるというのは厳しいので、ちょっと盛り上がってきたところで、大分そういうことが重要になってくるのかなと思います。
 2番目の話は私も、それはこの部分よりも全体部分で、どう書くかというのはものすごくデリケートな書きぶりが必要になるかなと思うんですけれども、北森先生。こういうややこしいときは北森先生って、怒られちゃうんですが、いかがでしょうか。
【北森委員】  国際環境の中で、これからどういうビジョンとかポリシーを出していくのかということですね。それも極めて大事で、やはりこの委員会から発信するとしたら、やっぱりそこのところをむしろ十分考慮して、どこかに据えておくというのが必要じゃないかなと私は思います。
 その中で一つとして、ここに今、現状では国際的な協調ということが述べられていますので、協調と。
それから先ほど井上先生が御指摘の点は、逆にこの協調というのが競争の方ですね、コンペティティブなところは、インセンティブがどこにあるのかというようなことを明示していくという、そういう具体的なところ。そこの具体的なところまで書き込むのは、喜連川先生がおっしゃるように、今の段階では大変難しいだろうとは思うんだけれども、それをどういうふうに国際的なコンペティティビティを確保していくのかというようなことは、今後の課題としてやっぱり述べておいた方がいいような気がします。
【喜連川主査】  これ、ですから丸山室長、何か残された課題みたいなところか、どこかにはやっぱり入れておくべきだと僕も思っておりまして、どちらかというときっちりまとまったこの文章だけが、全ての大学の教官に、特に若い先生方にこれが回ったときには、それがスタート地点というか初期値としてインプットされますと、ここで議論しているような戦略性というものは、そもそもそういうことはしちゃいけないんだというところから始まる可能性が強いわけですよね。それはある意味でそうかもしれないんですが、研究もそれほどプレーンなものではない局面ももちろんある中で、どんなふうにそれを進めていくのかというのは、ちょっとどこかには匂うような表現は、工夫していく必要があると思う。どうでしょうね、丸山室長。
【丸山学術基盤整備室長】  なかなか事務局からお答えにくいのでありますが、個人的な気持ちとしては、やっぱりオープンサイエンスを推進しないと、世界になかなか肩を並べて研究の世界で、今後日本が立ち行かなくなるといったようなところの背景としての危機感というものは、何かしらの表現が恐らく必要なんだろうとは感じています。他方で、余り直接的な表現は、やはりいろいろなところに与える影響もあろうかと思いますので、工夫が必要だというふうにも感じています。また、余り抽象的な表現であると、こういった議論に御参画いただいている先生方には、ああ、この話かな、というふうに通じるんだろうと思いますが、単に字面だけを読まれる方に、なかなか本音が通じないというのもちょっとどうかなという感じもしますので、ちょっと表現ぶり、あるいはまとめぶりというんですかね、どういうところにどういう表現で整理すると一番効果があり、かつ影響が少ないのかといったところは、また先生方と御相談をさせていただきながら、最後まとめまでに考えてまいりたいと思います。
【喜連川主査】  そういう形でよろしいでしょうか。ちょっと大人の表現に。
 五味さん、いかがでしょう。
【五味委員】  まさに今の先生の御発言、私どもも非常に共感するところがあるんですけれども。先ほどのオープンサイエンスの研究データを非常に利活用していこうというと、ここでいうとローマ字数字4というところになるかと思うんですが、ここで非常に漠としたところで、異なるインフラ間の相互運用性もデータ共有の障壁になると書いてございますが、オープンサイエンスというのは、多分グローバルに流通して、新しい成果物を広くあまねく、当然日本の研究者も広くあまねく情報をとりたいでしょうから、そこの部分でやはり国際的研究のためのリサーチを、このインフラがこういった障壁なくやっていく日本としての標準型というのは、多分、ちょっと私も専門家じゃないので分かりませんけれども、前回、オープンサイエンスのいろいろツール群が世界中でいろいろどんどん広まっている中で、そういったものとの連携を、できれば日本が世界に先行して、非常にリサーチしやすいメタデータの情報とそういう環境、そんなものが、多分ここが非常に重要になってくるのかなというふうに私はずっと思いました。
 ですので、そういったメタデータが非常に重要になってくると、そのメタデータそのものをどうやって作っていくのかというのが課題になってくるかと思うんですが、利活用の観点からすると、ここは是非グローバルで日本が先進的に進めていくのがよろしいかなと思います。このあたりの国際的なものを是非アピールを。
【喜連川主査】  国際性ですか。
【五味委員】  はい、あったらいいかなとちょっと思いました。
【喜連川主査】  今、御指摘いただいたことは、一方で国際的戦略というものとは反対の極地にある、具体的な協調の領域で、むしろプレゼンスをとるというようなことも戦略の1つであるという、大変すばらしい御指摘を頂きました。
 これは多分、先ほど家先生おっしゃったような、一人では作れないどころか一国では作れないというような、天文とか、高エネとか、ゲノムとか、この辺ではある意味ではグローバルの標準化ができつつあるわけですけれども、そうでない分野がむしろどんなふうにそこら辺に盛り上がっていくかというのが重要ということです。国際性という切り口も、資料のあれにあったかと。
 谷藤委員御発言いかがでしょうか。
【谷藤委員】  申し訳ありません。どの側面をとっても、いわば当事者的立場である材料科学分野では、委員の先生方の、御指摘の点を通り過ぎても、なお今日解決がなかなか遠く感じております。ですので、この文章一つ一つの言葉の意味を捉えるというよりは、総じてその途中の段にある身として見える景色としては、圧倒的に日本は人が足りない。もうこれは国際的に勝負がつかないと思っています。それは、デファクトスタンダードを作りたいとも思うし、そのために資するいろいろなデータ、メタデータの設計とか、いろいろな各パーツ全てにおいて人が足りない。この足りない問題を解決せずして、外国とどうかするというのはかなりにこれは言葉の問題も含み、メンタリティも含み、かなりたくさんの努力を要するわけなんですが、やはり最後のデータキュレーター等の育成というところに、私の今日の意見は落ちつくのですけれども。
 既に美馬先生から御指摘がありましたが、育成という言葉は、多分これを書いたり考えたりしている人は、きっと若い人たちをある程度念頭に置いた、もしかしたら大学の教育課程の中に含めることも念頭に置いているかもしれないんだけれども、そのことに加えて、幅広い人材を創出するという考え方が必要になると思います。それは大学生の数も減るわけですし、一方で70歳を超えても働かなければならない日本社会としては、やはり物質・材料研究機構の例をするなら、公募しても応募する人がいないというこの現状が何を語っているのかというと、人はいると思うけれども、自分がそのことができると思っていないという人が、実はたくさん気がついていないように思うので、多分これはそれこそ文部科学省がある程度リードして、資格試験的に、つまりできるだけ人がマッチングしやすいような社会の仕組みを作っていくと。もちろん大学生もしかり、70歳の人もしかり、こういう分野で自分の経験を生かせる、そこに今、日本が必要なんだというメッセージを強く発信し続けるということが必要ではないかなと思っております。
【喜連川主査】  最後に大変すばらしいメッセージを頂いたかと思います。人が少ない。グローバルに見たときに、日本が人が少ないといったときに、ちょっと奇異に映るかもしれなくて、中国、アメリカ、日本、この順ですね。ほかの国なんて、日本よりもはるかに人口が少ない。だから、日本が少ないといったときに、何をもって多いというかという議論をどこかに入れておかないと、絶対数として1億を超えているポピュレーションを持っている国なんていうのはほとんどないわけですね、グローバルに見たときに。言葉をどう付け加えれば良いでしょうかね。 美馬先生、お願いします。
【美馬委員】  例えば、我々今、ここにいる世代がマインドセットを変えて、自分が研究の中心で引っ張っていたというところから、70歳を超えたら研究者としての訓練を積んだ者としてサポート側に入れるみたいな方が、よいのではないかと。要するにデータの分析の仕方とか、管理の仕方とか、ある程度トレーニング――ある程度というか、それを一線でやってきた人たちがそっち側にうまくシフトしていけるような、退職金もらってのうのうとしているんじゃなくてということを、何かあれば良いなと。
【喜連川主査】  その話と、先ほど谷藤委員がおっしゃった、再雇用ということのための人材のスキル認定みたいなものをすることで、よりマッチングをという御示唆を頂いたわけですけれども。これというよりも、一般化されます線ですかね。
【谷藤委員】  書道でも、コンピュータプログラムでも何でも、日本人は年取っても勉強熱心という国民性があると言われますけれども、それはもうちょっと前向きに、今、オープンサイエンスの話をしているので、サイエンスに向かう支援者として、いつまでも現役できちんと培った専門性を生かせるように、やっぱり持っていくべきではないか。だとすると、じゃあ何がいいのか。今度、雇用する側からこの話を見ると、どうもエクセルできますかとか、パイソンやったことありますかなんていう面接質問なのではなくて、研究データをきちんと保管されるということ、それが使えるようにするためにはいろいろな知恵が要るわけですね。それはもしかしたら、20歳の人よりも60歳の人の方がいいアイデアを持っている場合が多くて、そこはいかにももったいないなと思うのは、そこを適切に示す日本語がまだ探しあぐねている。
 それはオープンサイエンスの推進といったときに、やっぱり重要な人材創出というキーワードはやっぱりあるなというふうに思います。なので、育成ではなく創出と私は先ほど言ったのは、今あるもの全てをリサイクルしないと、日本的にちょっと厳しいなと。なぜなら、日本はとても真面目で、何でもかんでもきちんとやらないと気が済まない。英語に合う日本語を全部用意しないと読まないとなると、何人いても足りない。それはちょっと大陸の感じとは、ちょっと島国日本は違うかなと思います。
【喜連川主査】  そうすると、エクセルを使える人、パイソンを使える人なんていう面接をしない、物質・材料研究機構の面接をほかにも広げていただくということが重要ということですね。
【谷藤委員】  ありがとうございます。
【喜連川主査】  余りに広くしてしまう書き方になる可能性があるので、オープンサイエンスに若干フォーカスをしつつ、谷藤委員から御指摘がありましたように、今の御指摘は多分、図書館の方々がこれからオールデジタルになる中で、大分職能が変わっていく中でも有用な御指摘だと思います。人材育成を実質的にどうやるのか。
【谷藤委員】  駄目ですね。
【喜連川主査】  何かちょっと違う言葉があった方がいいのかもしれませんが、論点として非常にいい。どうですかね、丸山室長。
【丸山学術基盤整備室長】  人材の問題は、余り事務局からオープンの場でしゃべるのもあれなんですが、非常に幅広い課題を抱えておりまして、ここは今、オープンサイエンス、あるいは図書館を中心とした情報基盤の関連の方の話を中心にやっているわけですけれども、一方でAIであるとか、セキュリティであるとか、その他も含めたIT人材全体が足りないというふうに言われています。どうここに対応していくのかって非常に難しい、象徴的な問題ではありますけれども、今、谷藤先生がおっしゃったように、やっぱり各段階を上手に組み合わせていきながらやっていかないといけないのかなと。言葉だけ踊っても、なかなか実体が伴わないと余り意味がない話でございますが、他方で、こういう方々にプラスアルファ活躍してもらいたいみたいなメッセージ性が、恐らく必要なんだろうというふうにも思います。
 若年層の、まさに創出の問題と、それから、中間層が、以前科学官を務められた京都大学の美濃先生がよくおっしゃっていましたけれども、やっぱりダブルメジャー的にいろんな分野の人が横串的に情報のリテラシーをしっかりと持っていく。それから、今おっしゃったような、シニアの方々が支援者的に御支援をいただくといったような方向性もあろうかと思います。なかなか先立つものがないと難しいという問題もたくさんありますので、総合的にまた御意見頂きながら、いい打ち出し方ができればというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
【喜連川主査】  最後に、引原先生から。
【引原主査代理】  別に最後に言うつもりはなかったんですけれども。ここまでの議論で、私は内閣府のオープンサイエンスの座長をやらせていただいているんですが、その中での議論と、やっぱりフェーズが違うと思うんです。ここはやっぱり学術情報的な意味合いでのオープンサイエンス、オープンデータであるべきであって、それが余りにも産業界に引きずられるような方向性に対して、学術としてどういうポリシーを出すかというのが重要だと思います。その点だけはちょっと私、気にしないといけないかなと思っていまして、それをまた向こう側に反映したときに、どういう産業界に対して、経済産業省とかを通して話をするかということになると思いますので、余りブロードにならない方がいいかなというふうに思いました。よろしくお願いします。
【喜連川主査】  どうもありがとうございます。おっしゃるとおりだと存じます。
 それでは、様々な御意見ありがとうございました。多くの場合はもう少し言葉を丁寧に論点を広げるというようなことであったかと思いますけれども、事務局の方で資料4をより細かく整理させていただきたいと思います。
 最後に、事務局から連絡等ございましたらお願いいたします。
【丸山学術基盤整備室長】  それでは、御連絡事項を申し上げたいと思います。本日の議事録でございますけれども、また各委員に御照会をさせていただいた上で、公開の手続をとらせていただきたいと思います。
 次回は第9回でございますけれども、5月16日水曜日、10時~12時ということで、場所は文科省の3F2特別会議室。今日、ここは3F1でございますので、この隣の会議室になります。 
 また、御依頼でございますが、4月になりましたら、本年の6月までの日程をおとりしてございますけれども、7月以降の御日程について、また確認をさせていただきたいと考えております。メールにて御依頼しますので、お手数ですが御回答のほどよろしくお願いします。
 最後に、本日御意見頂きました資料4、それから参考資料として机上に置かせていただきました今後のエビデンスのものでございますけれども、足りないもの、あるいは今後追加が必要なもの、少し論点が悪いのではないかといったような点、また今日終わられて、少し思い出すようなことがあれば、追加でまた御意見等を頂ければ、5月のときの資料のブラッシュアップに大変役立ちますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。またこちらもメールで御依頼したいと思います。
 事務局からは以上でございます。
【喜連川主査】  多分、これはここに捨てていっていただかないと、文化庁が著作権管理をしておりまして、自ら違反を起こすことになるんだそうです。こんなことぐらい、著作権の制限規定に入れるべきだと僕は思うんですけれども、お忘れなきようしていただければなと思います。今回の著作権改正をごらんになると、非常に面白いです。よくこんな改正をしたなと。まずAIのための改正法案になっていますので、時間があったら、不正競争法と著作権改正も両方やってもいいかもしれないと。
 本日、どうも長い間ありがとうございました。失礼いたします。



――了――

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研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室

麻沼、小原

(研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室)