資料3 第3回 学術の基本問題に関する特別委員会概要(ポイント)

科学技術・学術審議会 学術分科会
学術の基本問題に関する特別委員会
(第7期第4回)
平成26年4月14日

 

○ 「はじめに」と1.については、意見を入れていただき感謝。
  細かい点だが、「インターアクト」という言葉が2カ所出てくるが、その後のカッコの中身がそれぞれ違うので片仮名は不要ではないか。
  2.について、大学等の研究現場の現状に関しては大体この通りで良いが、研究時間の減少の中に、研究資金獲得のための申請書と評価書の作成に係る負担だけでなく、審査と評価を行う側にも負担が生じているという点も含めて欲しい。
  一方、学術研究に対する厳しい見方に関しては違和感がある。「厳しい見方も強まっている」というのはそれでいいが、「学術研究の現場が次のような状況であるため」というところの2行は要らないのではないか。さらに、その下に挙げられている具体例がどういうことを指しているのか理解できないところがある。
  「タコツボ化」という言葉は、使う人によって意味が違い客観的な書き方ではないので報告書に載せるべきではない。
  「十分な投資効果が出ていない」という文言は、投資効果を測る基準の問題もあり、ミスリーディングを呼ぶ。
  こうしたことを書くのであれば、一つ一つ明確に書くべき。例えば、資料から言えることは、国際的なネットワークに積極的に参加していないということではなく、共著論文が少ないということ。国際競争力・影響力の相対的な低下が本当なのか疑問。また、共著論文が少ないというのは色々理由があり、国際的なネットワークに積極的に参加していないからとは考えにくい。例えば、国際会議や共同研究への参画は増えていると思うので、ミスリーディングにならないよう、書くのであれば、賛成意見と反対意見の両方の資料を載せるべきではないか。
  また、「未来への可能性の観点が不十分な評価に基づく人事」というものは、何の根拠もない。どういうことを言っているのかも分からないので、書くのであれば具体的に一個ずつ書くべき。
  「社会との繋がりが不十分」という部分で、社会の付託に応えていく姿勢の欠如という批判は当たっていない。ここ10年位の間に、各大学で社会に発信する努力をしろという方向性が強くなり、それに取られている時間も非常に多いぐらい皆さん頑張っている。もし書くのであれば、発信不足だけでいいのではないか。
  以上のことからすると、ここに挙げられている課題は課題として挙げるほどなのか疑問。もし、財政投資がなされてきたにもかかわらず論文指標での低迷があるなどと書くのであれば、一緒に科研費以外のが上がっていないということも書くべき。

○ 人事・研究費等の既得権化との記述は、様々なプロジェクトに関してそれが既得権化しているような状況に対する批判ということであれば、書いた方がいい。

○ 具体的な書き方には慎重を期すべきだが、学術研究に対する厳しい見方という項目自体は必要。また、できるだけ誤解の余地を残すような用語は避けて、端的に踏み込んだ形で書くべき。
  一番反対したいのは、厳しい見方という項目を消せば、委員会の認識の甘さをそれこそ厳しく見られるということになるので、項目としては残すべき。

○ 学術研究に対する厳しい見方のところに研究者モラルのことも書くべきでないか。

○ 全体の流れはこれで良いが、我々研究者の決意というものがもう少し伝わるようなものにする必要があると思うので、学術界における取組などの項目の中でそうしたことを強調すべき。
  また、研究者倫理や研究費の不正使用ということに対しても、昨今の色々な事情を考えた場合、学術界が本当に真剣に改革に進めるんだということを強調すべき。

○ 学術研究に対する見方をというものをきちんと書くことは非常に大事だが、資料の中にある学術研究に対する批判は、学術研究だけに特化したネガティブポイントなのかというと、そんなことはないのではないか。いわゆる研究開発プロジェクトも全く同じ問題を抱えていると思うが、そのことがあまり今まで言われてきていない。
  学術研究以外の研究プロジェクトは投資効果があったのかというと、これはあまり厳密には検討されていないのではないか。また、国際的ネットワークへの参画は、研究開発に近くなればなるほど囲ってやらざるを得ないという面があるので、むしろ学術研究の方がまだ国際的な場でやっていると言える。さらに、人事・研究費等の既得権化というのは、別の委員からの指摘にもあったように、いわゆる時限付プロジェクトの方がもっとあるのではないかと思う。

○ 議論の骨子はこれで良いが、外に出すときにはエビデンスがあった方が理解をしてもらいやすいので、参考資料として付けた方が良い。
  それで、論文数やインパクトファクターに関しては、研究開発評価指針でも書いてあるようにこれに偏重することは良くないが、あえて論文成果の話をするのであれば、プロジェクト型の方はどうなのかということも総合的に検討しなければならない。良いことばっかり書いてもいけないし、悪いことばっかり書いても不十分なので、生のデータがあればエビデンスとして載せた方がいい。

○ 基本的にはこの方向で賛成。ただし、1ページ目で、短期的経済効果等を求め特定の目的を設定した巨額の時限付き研究プロジェクトに関する問題点指摘する一方、5ページ目で、取り組むべき事項として成果最大化のための財政支援・制度改革を挙げるのは誤解を招くのではないか。5ページ目で指す成果というのが、結局、短期的な経済効果と読みかえられ、誤解を招かないようにすべき。

○ 提言は、感傷的な文章ではなく必ずエビデンスがないといけない。その際、例えば、財務省等が示すデータでは20年位のスパンのものもあるので、それらとも比較できるように長いスパンのデータがそろっている方がいい。

○ 「はじめに」や「国力の源」のところでは、人材育成の重要性が繰り返し出てくるが、「現状と課題」のところにくると、ネガティブな要素は書いてあるものの、次世代の創造性の高い人材を育成するためにどのような科学技術政策を展開すべきか、という議論がまだまだ不十分だという印象がある。
  例えば、課題解決の基本的方向性のところを見ると、あれもダメこれもダメということだけが出ているが、こうしたらもう少し育つ、そのためには投資が必要であるという、プラスの要素をもう少し書き込めないか。若手をPIとして成長させていくために、どういう科研費の設計が必要であって、そのときに現状ではここが足りないというところまで踏み込んだ話が欲しい。

○ 2-2のところにある、「生き金」という表現は品がないので、学術的見地に立つ財源を目的のために生かすというような表現にして、人材育成の視点もそこに入るようなつくりにすべき。

○ 若手について書く際に、若手が非常に頑張っているというニュアンスを入れて欲しい。日本の生命科学一般の若手は世界からとても期待されていて、日本の若手をリクルートするためにトップサイエンティストがどんどんやって来る。それは、コミュニティにとっていいモチベーションになる。そういうことを前面に出し、「しかしながら、これだけ大学が疲弊していると、若手の芽を摘むことになる」というふうに、強調すれば良い。

○ 2-1と2-2は、課題をどう認識しているか、それに対して解決の方向性をどう考えているかということなので、関連させて記述する必要がある。
  学術研究に対する厳しい見方については、投資効果の問題、何をどう評価するかという問題、社会との関連をどう考えるか、人材育成をどう考えるかということがある。評価基準そのものに問題がある可能性もあるので、この厳しい見方を少しカテゴライズして、どういう面で厳しい見方が行われているのかを検証しながら書く必要がある。
  財政投資と投資効果の点については、先程来意見が出ているとおり、学術研究だけではなく研究全体の問題かもしれない。大学等の研究現場の現状という項目があるが、これは広く捉えて記述しているのに、突然学術研究に対する厳しい見方というふうに狭くなっている。研究全体に対する厳しい見方もあり、かつ、それが学術研究に特化した部分もあるというように、書き方を分けるといいのではないか。

○ 先程来指摘のある人材育成に関することについては全く同感。特に、具体的な取組を検討する際には、先程指摘のあったようなことが必要。ただし、国や学術界による取組のところで意識改革という形で片づけるのがいいかどうかは疑問。
  また、若手という言葉が使われているが、はっきりとした定義がないので、他の使用例と整合するように工夫が必要。分野にもよるが、おおよそ学位取得後10年あるいは45歳までというのが一般的な想定。
さらに、評価は質を担保するためのものという視点が必要。質の指標化は非常に難しく、論文だけではないという側面もあるかと思うが、質をどう確保するのかという視点を入れて欲しい。

○ 評価の関係の記述に、評価の多様性や評価の目的等を加えて欲しい。そういうものが色々ないと結果だけを評価するという形になり、短期的な視点と直結してしまうので、いろんな評価があり得るということを盛り込む工夫をして欲しい。

○ 人材育成の評価について、どういう人材が育成できたらよくできたと評価できるのか。例えば、科研費のPIになれるようになったとか、大きな研究費が取れるようになったということもあるかもしれないが、実際に我々が意図している人材育成はそうではない部分もあると思うので、そこら辺をもう少し考えて入れたらいいのではないか。
  昔は、国の尊厳、国力の高揚、人格の陶冶といういつも出てくる言葉があったが、使い古されたのか出てこなくなってしまったので、いわゆる国や国民の知を増やすという意味の何かうまい書き方があればいいと思う。

○ シニアのポストを若手へ渡すために、承継職員の一部を年俸制に変えようとするが、財源がない。シニアを年俸制にしても給与は払わなければいけないので、若いところへポストが回らない。35歳以下のPIないしはパーマネントポジションが非常に少なくなっている。マネジメントできて教育もできる人材を幅広く育成するという観点で、齟齬を来しているような構造がある。そういう構造もよく分析しながら議論しないと、定性的な議論になってしまって定量的な議論にならない。
  昔は、日本はポスドクが少なかったがチームとして動いてきたから一定のアクティビティが保てた。また、科研費もそんなに潤沢ではなかったが、チームの誰かが取ることによって、お互いに補完しながらチームとしてのアクティビティを継続できた。さらに、恒常的な運営費交付金があったことで講座費が確保されていたため、もし大型の資金が取れなかったときも生き延びることができた。これが、いまはサドンデスになるという構造になっている。
  大型研究費を取っている人ほど、たくさんポスドクを任期制で雇っているので、来年取れなかったら、自分一人だけではなくチーム全体がサドンデスになるという意味でストレスが高い。そういう全体的に非常に歪なシステムをどうするかという議論をもう少しやった方がいい。

○ 今議論されている人材というのは学術研究を支える人材であって、大学が実際に研究教育を通じて送り出しているのは、社会を支える人材だと思うので、もう少し広く取ってもいいのではないか。
  そう考えると、社会の隅々まで支えるような人材を送り出していくためには、多様性が非常に大事になるが、多様性を求めると必ずばらまきという批判が来る。これは、現状で常に我々が受けている厳しい見方の一つに入るのではないかなと思うので、それは入れておいてもいいと思う。しかし、逆に社会に対して隅々まで支える人材を送り出すためには、多様性がなければならないということも主張しないといけない。

○ 最近、学位の与え方について大学人が同じような意識を持っているかどうかが分からなくなってしまった。また、ある医学系の学会では、未完成な成果の論文は投稿しないでくれということがホームページに書いてあると聞く。結論を書かない論文を投稿すればレビュワーからコメントがあるだろうから、それを補って論文を完成させるということだと。人材育成をする側の方の問題もかなり大きい。なかなか書き込めないような内容もあるかもしれないが、もう少し具体的なものが必要という気がする。

○ 以前他の委員から、上の者が下の者に良い論文を書かせるような場を作ることが一番大事で、そういう場所だったらモラルは悪くならないという意見があったが、それと意識改革と人材育成というのをつなげられれば良いと思う。

○ 研究者個人の意識の問題ではなく、制度改革が問題になる文脈では、誰であれ機構の中に入って機能を果たす人の意識という問題もあって、それはメカニズムデザインの一部として重要な役割を持っている。したがって、現状をかなり厳しく見るという際に出てくる批判というのは、実はかなり積極的な問題提起をしているはずなので、メカニズムをどうやって機能させるかを考える上では、どうしても必要なステップとして考えるべき。
  その上で、国による取組と学術界における取組が分けて書かれているが、これから議論すべき課題の解決方策の中では、国による制度改革に対して、学術側がそれにどう主体的な形で参与していくか、そのために意識改革が必要になるというのが一番重要な点。
  その点から言えば、重要なことは、国がどんな制度を作っても、それが本当に機能を全うするために、学術界が引き取ってやらなければいけないことはたくさんある。先程から出ている評価の問題については、自分自身がプロジェクトを実施するということの他に重要なこととして、その制度改革の中で役目を果たすということがある。具体的に言えば、国から提供される公共的な資金を個々の研究にどう的確に配分するかということは、学術側が入っていかなければいけないこと。そこでの意識改革をどう考えるかということが、一番重要なことだと思う。それは個人のモラルの問題だけではなくて、制度をどうやって動かしていくかということについての我々のコミットメントの仕組みということに関わること。

○ 今の御意見に賛成。ここの取組は、具体的な取組と書いてあるので、今が言われたことを一つ一つ書いた方がいい。
  国による取組に関しては、まだ漠然としている印象。国による取組の最初に、大学の制度・構造の見直し・再検討を入れて欲しい。教育を行う大学と大学院を持つ大学の数や制度について再検討すれば、総額を変えなくても大学院大学を重点的にできる。反対が多ければやめてもいいが、一度検討すべき課題。この部分は、制度と財政支援が一緒になっているが、財政支援の在り方は制度の検討に伴って出てくるものなので、別にすべき。また、デュアルサポートの再検証については、財政の一つかもしれないが、ここは大事なことなので、項目を分けて欲しい。
  資金配分に関しても、国主導で配分した資金に関する評価を適正に行うことを書いて欲しい。科研費に関しては、何度も自己評価をして改革をしようと努力しているが、国主導の研究費に関しての評価と改革案というのは、十分には見えてこない。
  また、学術界における取組の方には、意識改革と書くよりは、先程から出ている研究倫理や質の高いPIを育成するための改革を入れて欲しい。

○ 国による取組については、やっぱりデュアルサポートが重要であるという議論になっているが、一方で、デュアルサポートを研究者が怠けるためのシステムにしないための工夫が要る。それは学術界における取組で、特に人事の透明性・公平性、説明責任を貫徹した人事体制になっているか。例えば、教授選考をきちっとやっているのか、それから、助教を教授が恣意的に選んでいないのか。それをはっきりと見せるようなシステムを作るということを、意識改革ではなく組織改革として入れるべき。その一部分として、テニュアトラックがなぜ進まないのかという分析も、ちゃんとやらないといけない。ある意味、研究者として一人前のPIになっていくプロセスを指標化して承認するプロセスが、教授選考以外コミュニティの中にはない。教授になるまでは、それぞれのプロジェクトの中で生きていくような形になっており、人材育成の観点で非常に問題がある。

○ 申請書を書く負担などが大変だという話もあるので、URAのような第三の職についての言及があっていいのではないか。
  また、提案として、現在URAの数が少ないので、例えば、国の中にURAみたいなものが何かできるというような新しい考えがあれば良い。

○ 国民として、危機に立つ日本という章題を見ると、学術界として日本全体にどういうことをしてくれるのかというのを非常に期待して読み始めてしまう。持続的な発展のための新たな知を創出するという学術の意味がここでうたわれているわけだが、それ以降の段落では、学術界が疲弊しているとか、学術界のそのものの課題が多く述べられていると思うので、ここの題名は危機に立つ日本の学術研究というような形にした方がいいのではないか。
  また、人材育成について社会から見たとき、優秀な研究者だけでなく、全国津々浦々の人材の供給源としての人材育成の面が一番重要なところではないか。他の学術研究の施策に関しても、トップではない研究・大学をどうしていくのかというような視点での議論ももう少し深めたほうがよい。

○ 私自身は、危機に立つ日本を救うのは学術研究だという立場で書かれるべきなのではないかと思う。その意味で、国力という言葉が用いられているが、「国力とは」ということを書く場合は、よく練った方が良い。後々、学術界が国力とは何だと思っているかが残るものであるので、書く場合は非常に大事なものになる。また、「国力の源」という用語は、そんなに頻繁に使うべきものではない。
  国による取組、学術界における取組との別は、現時点ではあまり気にする必要は無い。制度の問題、基盤経費と競争資金のデュアルサポートの問題、人事の在り方の問題、研究者の評価の問題といったことをしっかり書いて、それを学術界もきちんとやっていくし、一方で、それを国としてサポートすることが大事だということをはっきりうたっていけばよい。
  若手に関して言うと、ポストの問題というのは、シニアの研究者の評価をどうするのかという問題。若手の方がむしろ優秀かもしれないわけで、そのことを抜きにしてはいけない。
  また、研究開発に近い戦略的プロジェクトに入れてしまえば、お金が来るので、若い人は、独立した研究者になるかどうかというよりは、誰の下で働いているかによって、お金の来方が全く違うということが起こっている。そういうことを考えると、ここで書かれている課題は、学術研究の問題だけではなく研究開発プロジェクトの問題まで含んでいるはず。だが、研究開発プロジェクトの投資効果というのが測られたことは、ほとんどないのではないか。
  FIRST、NEXTにもかなりの額が投入されており、恐らくこれから何十年かかかって見返りが出てくると思うが、効果が出るのに長時間かかるのは科研費も同じ。それなのに、学術研究については効果がないと批判する一方で、研究開発プロジェクトについてはそのままでいいというのは、少し違うのではないかと思う。

○ 多様性については非常に重要なキーワード。生物学的にも多様性がなかったら、地球上の全ての生き物は絶滅している。「ばらまきだ」として、基礎学問を支える基盤経費の削減が容赦なく続いているが、これは決してばらまきではないことを、多様性の重要性論に立脚して論破して欲しい。国策の名の下に、ある特化したテーマにのみ多額の予算配分をすることにより、多様性の宝庫である基礎学問が次々と絶滅させられているという現実を、はっきりと主張して欲しい。「多様性」という言葉を、単に流行語のようにうすっぺらに使うのではなく、具体的なイメージを念頭において、文言として入れて欲しい。

○ 国による取組として、大学院生に対する給付型の奨学金あるいはRA費というものを検討して欲しい。

○ 人材育成に関して、研究者育成と一般的な人材育成というのは、ある程度文言上峻別して書くということが必要。
  若手の育成に関して、シニアの責務というものをしっかりと認識すべき。学際融合領域の発展には、シニアの力が発揮されないとだめだというような意見もあったように、今後の学術研究の振興のためのシニアの役割というものがある。若手育成というのを大上段に言うことも非常に大事だが、やっぱりシニアの責務という問題をやはりもう少し明確化するということも、大きな提言につながるのではないか。
  研究者のモラルというものが入ってきたが、専門教育の後の教養という問題もある。多くの専門家たちは、根本的なところで教養を失っているというか、専門性に特化された人間が大きく失っていく教養という側面を、新たな視野から捉え直して、いわゆる若者だけでなく広い意味での研究者の人格育成ということも含め、研究者の生涯教育的な教養という問題もある程度あった方がいい。

○ 博士修了者の雇用促進は非常に重要な問題。現在、ポスドク1万5,000人いて、約10%が40歳以上でどうしようもない状態で固まってしまっている。他方、外国にも多くがポスドクで出ているが受け皿がない。これは、我々が作り出してきたキャリアパス。したがって、これをどうするのかということを学術界が本気で取り組まないと、人材育成といっても空文句になる。若者をもう少し戦略的にシステミックにきちっと社会へ送り出すことによって、高度に教育された人材が社会で役立つという意味での人材育成もはっきり見えてくると思うが、研究者から会社員になるというキャリアパスが細いので、これをどうしたらいいのかが問題。例えば、会社員以外にも教育者になる道があり、小・中・高校で受け入れてもらえるような工夫をもっとシステミックにやらないと、若者が非常に不安定なままになる。

○ 若手研究者の問題は、シニアの自己改革つまり、どこまで身を切るのかという努力がそれぞれの大学で行われないことには、一方的な財政負担になるだけ。そのあたりの決意を踏み込んで書くべき。

○ ポスドクの雇用財源の分布を調べると、いわゆる短期のプロジェクトから出ている部分が多い。これは、プロジェクトを立てるときに、そのポスドクを使ったまま放り出すということを、シニアや政策側がやってきたということ。
  学術界だけではなかなか扱いきれない複雑な問題であるので、きちんとその点は書く必要がある。

○ 各委員からの意見を踏まえると、具体的な取組の書き方は、国による取組、学術界における取組、企業等による取組と分けて書くのではなく、課題ごとに書いて、それに対して国はどうする、学術界はどうする、企業はどうするというような方向で書く。その中で、例えば、国の政策に対して学術界がそれをどう受けとめて生かしていくのかというような点も含めて書くということでよいか。

○ 3.具体的な取組については、例えば人材や科研費や評価など、個別の委員会・部会でも重要問題として議論されているので、どういう議論や対応を各委員会等で行おうとしているかということが分かれば議論の参考になる。重要な問題であっても重複した議論が続くことも良くないので、各委員会等での状況を出していただいて、それをまたもとにして、この学術の在り方についてどう入れ込むか、という議論の仕方もある。
  また、「国力とは何か」というのは大きな問題であり、政権によって取り方を間違えたら大問題となることもあるので、注意して使うことが必要。ここに書くとしたら、どういうふうに理解できるかということも委員会で議論した方がいい。国益とか国力という言葉は本当に重要な言葉だが、どの軸に立ったものなのかということを理解しないといけない。

○ 国力という言葉は重いので、無理に使う必要は無い。
  海外の学術機関では研究に関するいろんな議論がなされているが、その際に日本が一定の発言力を持ち得るのは、今まで蓄積してきた学術研究のおかげだということが肌感覚として分かるので、そういう意味での国力の源として用いられればよいという思いはある。

○ だからこそ国力という言葉を入れなければいけない。

○ 是非国力という言葉は、このまとめの一つのキーワードにしたい。

○ あまりちりばめないで欲しい。


(以上)

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