学術情報委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成25年7月24日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

西尾主査、羽入主査代理、上島委員、加藤委員、喜連川委員、倉田委員、後藤委員、斎藤委員、竹内委員、辻委員、土方委員、美馬委員、山口委員、吉田委員

文部科学省

(科学官)美濃科学官
(学術調査官)市瀬学術調査官、宇陀学術調査官
(事務局)吉田研究振興局長、下間参事官(情報担当)、長澤学術基盤整備室長、その他関係官

オブザーバー

安達国立情報学研究所副所長

4.議事録

【西尾主査】  それでは、まだの委員の方もいらっしゃいますけれども、一応時間になりましたので、ただいまより第4回の学術情報委員会を開催いたします。
 本日は、学修環境充実のための学術情報基盤の整備について(審議まとめ)の最終的な取りまとめに向けた意見交換を行いたいと思います。
 まずは事務局より、配付資料の確認及び傍聴登録等について報告をお願いいたします。


【長澤学術基盤整備室長】  それでは、配付資料の確認でございます。お手元の議事次第にございますが、資料として、1から5まで、それから、参考資料を一つ、あとは、机上配付資料でございます。個別の読み上げは省略させていただきますけれども、不備等ございましたら、事務局までお願いできればと思います。
 それから、本日の傍聴登録でございますが、24名の方においでいただいております。
 以上でございます。


【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、審議の取りまとめに向けた討議ということで、学修環境充実のための学術情報基盤の整備についての審議のまとめに当たりましては、前回委員会及びその後頂きました御意見を踏まえて、事務局の方で大幅な修正案を作成いただきました。委員の先生方に事前にお送りさせていただきまして、さらなる御意見の有無について照会もさせていただきました。既に委員の皆様方の御意見についてはかなり集約できていると考えておりますが、更に追加で頂いた御意見も踏まえました最終的なまとめ案について、事務局より簡潔に御説明いただきまして、取りまとめに向けた審議を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、長澤室長の方から御説明をお願いいたします。資料1と2を御参照ください。


【長澤学術基盤整備室長】  それでは御説明させていただきたいと思います。前回委員会におきまして、この審議のまとめ案を提示させていただいていたのですけれども、基本的に作りが悪いということでございまして、それを大幅に直しまして、事前に先生方にお配りをさせていただきました。その後、頂いた御意見をもとに修正したものを本日は中心に御議論いただければと思っております。
 一応、まず、資料1が最終的な冊子の形でまとめたものでございます。1枚めくっていただきますと、目次がございます。本体として、はじめに、背景、基盤整備の在り方、今後の展開における考え方、そのような整理をした本体と用語解説、それから、審議会の内容、経過等を説明した参考資料、それから、本体を説明するために必要な補足説明としての資料という形の構成になってございます。参考資料におきましては、本日以降、本体が確定しましたら、概要も作成しまして、その中に入れる予定にしております。
 個別の内容につきましては、具体的には資料2の方で御説明させていただきたいと思っておりますので、資料2の方をまずごらんいただければと思います。
 変更点を簡潔に申し上げさせていただきます。1ページですけれども、まず、背景のところです。この内容ですが、黄色の蛍光ペンが塗ってあるところは単純に移動したもの、赤字のところは修正したものと御理解をしていただければと思っております。
 まず、背景のところに、「オンライン教育については」というところと、(授業のスタイルの変化)というところですけれども、それぞれ流通体制とか、スペースのところから移動しております。これは教育方法等の変化の状況を説明した記述ということになっておりますので、背景に持ってきたということでございます。
 次の2ページでございますけれども、基本的には細かい修正でございますが、用語と使い方といたしまして、学を修める学修、それから、片仮名のスペース、サポート、こういったものについては、引用部分以外は一般的なものとしまして、習う方の学習、それから、空間、支援という形の漢字の表記に変えさせていただいてございます。
 3ページでございますけれども、次に、b.学修環境充実に関わる基盤整備と現状と課題とまとめさせていただいておるところでございますが、御提示させていただいたところでは、その整備の主な要素として四つということでございましたが、流通体制につきましては、コンテンツと背景等に分散させて含ませるということによりまして、三つの要素に直させていただいてございます。コンテンツのところでございますが、まず、整備は、理想じゃなくて必須であるということと、それから、初めにその印刷媒体の状況というものを追加して、そこから、蔵書の管理とか、スペースの確保につなげていくという構成になってございます。その後のコンテンツの整理とスペースの確保というところは、スペースの方に整理していたんですけれども、どちらかというと、コンテンツの整理の方が重要な問題だということでございますので、コンテンツの方に整理をしてございます。
 4ページでございますが、これは入れ換えを中心でございますけれども、まず、図書、書籍の電子化について書いた後に、教材・授業等の電子化、オンライン教育という構成で、その上の二つが学術書等の電子化、蔵書、教材・授業等の電子的利活用、それから、その次の6ページにございますけれども、オンライン教育の体制整備という形。それから、それに続きまして、データの利活用・流通の促進という形で、これを全てコンテンツと整理をさせていただいて、流通体制のところは、一応その区分をなくすというところでございます。
 それから、スペースのところでございますが、先ほど申し上げましたような授業スタイルの変化につきましては、背景のところに移動させていただいてございます。それから、コンテンツの管理とスペースの確保につきましては、コンテンツの方に移動したということでございます。
 人的サポートの件でございます。8ページでございますけれども、これは簡単な字句的な修正ということで御理解をしていただければと思っております。
 それから、8ページ以降が、新たにその主な要素と、それから、全体的な事項として、さらなる学修環境充実のために推進すべき取組ということで、cとして改めて整理をさせていただいた部分でございます。この部分につきましても、組替えて分かりやすい構成に変えているということが目的でございまして、先生方の意識改革が必要だということと、運営体制の強化といたしまして、図書館の機能強化、それから、大学としての組織運営体制の見直し、それから、機関間の連携等に係るその基盤の充実という形で整理をしております。
 その後、その教育内容の標準化とか、その効果の分析ということで、それに附属するような内容、それを発展させるための内容ということで、質保証のための標準化とか、体系化とか、それから、効果を分析・検証することの必要性という形の整理をしてございます。
 11ページ、最後でございますが、今後の展開における考え方といたしまして、こういった課題とか、取組等を踏まえまして、大学として取り組んでいただきたいということでございます。そういったものを物理的空間と仮想空間を組み合わせて、効果的に学修を展開してほしいということと、アクティブ・ラーニングを推進する上でのその効果を間に追記をさせていただいて、その後、更に具体的な取組といたしまして、ただ、こういったものを画一的にサービスを提供しないで、やはり個性のある大学としてのその状況とか、学生さんの事情に応じてこういった基盤整備を進めて、ユニークな体制を進めていただきたいというふうな展開で、こういうことをやる場合には、よく各大学の取り組みを参考にする例があるわけでございますけれども、それが画一的にならないようにということも付記させていただいて、まとめるという形にさせていただいてございます。
 資料の説明は以上でございます。


【西尾主査】  長澤室長、どうもありがとうございました。
 今、変更点、あるいは修正をしていただきました点を、資料2の見え消し版をベースに御説明いただきまして、それが審議のまとめ案として最終的にまとめられる場合の姿が資料1のような形態で、他のいろいろな基礎資料等も含めた形でまとめられるということでございます。今日は、特にこの審議のまとめ案の本文に関しまして、いろいろ御意見いただきまして、このまとめを終結することを考えておりますので、もし御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。何かございますか。倉田委員、どうぞ。


【倉田委員】  もう大分意見を言わせていただいたので、もうこれで基本的には結構かと思うのですが、まとめとして読ませていただいたときに、細かい点なのですが、2の学修環境の充実に資する学術情報基盤整備の在り方というところで、aとbで書かれていることがほとんど内容が同じだなというのが少し気になりました。まとめてしまってもいいのではないかということです。ここで学術情報基盤とはというふうに始まると、何かまた学術情報基盤の大きい話に話が戻ってしまう感じがして、それよりは、bの始まりの「学修環境充実に関わる学術情報基盤とは」で、このままで、その後、それは主にということで、2の1)コンテンツ、スペース何とかというふうにつなげてしまっても、別にいいのではないかなと、今、御説明を聞きながら思いました。
 それから、もう一点は、スペースを空間に変えたいということのような趣旨に聞こえたのですが、引用部分はどちらにしろ仕方がないとしても、例えば今のようなところで、コンテンツ、スペース、人的サポートではなくて、コンテンツ、空間、人的サポートの方がもしいいというお考えであるなら、もういっそのこと、それで統一した方がよくて、スペースが出てきたり、出てこなかったりするというのは、何かちょっと気持ちが悪いといいますか。こっちは空間で、こっちはスペースでというのがいったりきたりすると、何か意図を持って言っているのかなと思うのですが、でも、あんまりそうも見えないというところがあります。
 例えばここ、最初はスペースなんですね。でも、その次のところの(印刷媒体資料の状況)のところは書庫管理(スペース)なんですね。でも、その前は空間なのですね。その次のところは、適切なところでは空間に変わるんです。ちょっとこれはあんまり意味がないかなと思うので、どちらでも、これは本当に全く私は好みはないので、どちらでもいいので、どちらかでよろしいんじゃないかなとは思いました。
 あと、最後がこれで終わっていいのかなというのはちょっと思うのですが、時間もここまできてしまいますとあまりないということもあって、今の形でもいいのかなとは思っております。
 以上です。


【西尾主査】  まず、これは御質問いただいた中で、簡単と思われる方から議論したいと思います。私も6ページの真ん中より下のところの2)の記述が、スペースになっています。ですから、今の倉田委員のおっしゃったところが、私も相当気になりまして、スペースと空間を使い分けておられるのか、それとも、ここも一貫して空間に直すことになっていたのが、修正しきれていないのか。そこら辺について、事務局の方から教えていただけますか。


【長澤学術基盤整備室長】  引用でスペースとなっているところもありますので、書いたわけですけれども、見出しのところは学修空間でも別にかまわないと思います。


【西尾主査】  はい、どうぞ。今の件ですか。


【美馬委員】  はい。今ので提案なんですが、今回出たまとめ案のホチキス止めをしてある最終版の目次のところを見ますと、今の2のbの1)コンテンツ、2)スペース、3)人的サポートとなっていて、これは、趣味の問題もあるというお話でしたけれども、私は、例えば2)コンテンツを学修資源、2)を学修空間、3)を人的支援という形で整理されたらいかがかなと思いました。
 コンテンツというのは、情報系のところは、いろいろなゲームのコンテンツとか、コンテンツって日本語になっていますけれども、こういう学修環境を充実にというようなところであれば、例えばそれがいろいろな形をなすものであるので、学修資源、2番目は単なる空間よりも学修空間、3番目が、このサポートというのも支援とサポートが混在していますので、人的支援と三つを漢字にするのはいかがでしょうか。


【西尾主査】  今の美馬先生の質問ですが、最初の学修資源といったときに、コンテンツ以外のものも含んでしまうような気がするのですけど、そこら辺りはどうですか。いろんな資源がありますよね。


【美馬委員】  そうすると、コンテンツというのをどういう言い方がいいんでしょうかというのを是非皆さんの御意見をお伺いしたいと思います。


【西尾主査】  コンテンツと現在書かれているところは、一つの中間的な意味で学修コンテンツという言い方もあると思うのですが、今、美馬先生がおっしゃったように、学修資源とまで言うかどうか。この辺りは、重要なところかと思うのですが、どうしたら一番適当な言葉になるのかということについて、倉田先生、どうでしょうか。


【倉田委員】  今のところで、スペースに関しましては、確かにこれは学修のスペースのところだけを言っているという意味では学修空間でも、ちょっと全部が学修空間で置き換えられるかどうかは別としてですけれども、その学修における空間とか、言い方の本文の方は変えていけば、それは対応できるのではないかと思います。サポートも人的支援で、体制的なことも述べているのが多少気になりますけれども、そこは表現の中でいけるかなと思うのですが、学修資源と言ってしまうと、何となく学修のためだけの資源というイメージが非常に強くなってしまうのじゃないかということがちょっと心配です。この場合、例えば具体的に教育を受けたり、学修をしたりする際に出てくるデータそのものも含めたいとなると、学修資源という日本語でそこまでを含められるかなというのは、ちょっと、まあ、これはいろんなとり方がある、分野によってもちょっと違うと思うので、私もあまり片仮名じゃない方がいいというのは基本的にそう思うんですけれども、ちょっと学修資源と言ってしまうと、あまりにも狭いかなということで、無理やりどうしても漢字の方がいいのであれば、あまり好ましくないかもしれませんが、情報資源ぐらいかなとは思います。
 ただ、ここは安易になっているのかもしれませんけれども、コンテンツというのが、図書館では割合と、何となくその曖昧のところを曖昧なままにしているという、あまりいいことではないと思うんですけれども、何かその曖昧さを逆に片仮名でちょっと含めてしまっているという感じはあるかなと思っております。


【西尾主査】  ここら辺り、美濃先生、いかがですか。私はどちらかというと、コンテンツということでこの場合はよいのではないかと思いますが。


【美濃科学官】  コンテンツの方が幅広いというか、何でもかんでもコンテンツですよね。デジタルコンテンツというような形で、学修だけに限らず、幅広い。だから、図書館が集めている全て蔵書とか、それらが全部コンテンツというならば、その中の一部が学修資源です。学修というのをどう考えるかというのも難しいんですけど、学生が見るもの全部が学修コンテンツだというスタンスでいけば、いわゆる図書館で集めているコンテンツと学修資源というのは多分同じことでしょう。
 学修資源というときにもうちょっと違った、コンテンツ以外のものも含むという感じがしますので、その辺、何が書きたいのかというあたりを勘案して決めたらいいんじゃないかという気がします。


【西尾主査】  どうでしょうか。美馬先生、コンテンツという言い方でも構いませんね。その上で学修を付けるかどうか。


【美馬委員】  いえいえ。そういうことではなくて、なるべく分かりやすい形でというので、ただ、ここの、今の黄色が入ってない方の3ページを見ると、例えばタイトルとしては、(適切なコンテンツの管理とスペースの確保)というので、適切のコンテンツの管理というのは、何かこのまますっといくんですけど、図書館におけるコンテンツの整理・効果的な保存はって、図書館におけるコンテンツの整理という言い方は、これはこれで図書館としてよろしいのかどうかというのをちょっとお伺いしたいと思います。


【西尾主査】  図書館の方として、この図書館におけるコンテンツの整理という表現については、竹内先生、どうですか。


【竹内委員】  いまご指摘のあった箇所に限定ということで申し上げれば、このコンテンツは、その上にも出てくる資料という言葉に置き換えても問題ないのではないかと思います。あくまでもこの箇所においてはということですけれども。


【西尾主査】  ここではコンテンツを使わずに資料と書くということですか。


【竹内委員】  はい。下手にコンテンツと使うことによって、あらぬ誤解を招きかねないということであれば、この文脈で言われているものは、その上にある印刷媒体資料と関わっていると思いますので、このパラグラフのコンテンツに関しては「資料」という言葉に置き換えても問題がないのではないかと思います。


【西尾主査】  なるほど。羽入先生、いかかですか。


【羽入主査代理】  今の竹内先生の御意見が適切だと思います。


【西尾主査】  そうしましたら、一応コンテンツという言葉は使うということの上で、ここのパラグラフにおいては、このコンテンツを資料として書き換えるということで、整理するということでいかがでしょうか。
 それで、先ほどの目次のところで、学修コンテンツなのか、単にコンテンツでいいのかというところをどうしましょうか。


【倉田委員】  特にございませんが、それはやはりコンテンツのままの方がいいかと思います。


【西尾主査】  分かりました。それではコンテンツのままで整理していきたいと思います。
 もう一つ、倉田委員の方からありました、見え消し版におきます2ページから3ページにおいて、2という章立てのところで、a、bという項目を設けて記されていることについて議論したいと思います。ここに書かれている内容からすれば、aについては、特段項目を設定して書いておく必要があるのかという意味も含めた御質問でしたけれども、長澤室長、特にa、bという形で書かれているのは、何か整理の上で御配慮なされた結果なのかということを教えていただけますか。


【長澤学術基盤整備室長】  これまでの審議の過程におきまして、まず、学術情報基盤とはこういうものだということをしっかりと述べた上で展開しろということでしたので、こう分けているだけでございます。


【西尾主査】  分かりました。そうすると、例えばここのaとbいう項目をなくして、aのところに書かれているものをbの下に移して、文章を組み立て直すこともあり得るということですか。はい、どうぞ。

【喜連川委員】  お隣の倉田先生に反対すると怖いんですけれども、ここは良いことがすごく書いてありまして、知識インフラという言葉も入っておりますし、システムや情報ネットワークというようなことが書いてありまして、そういう言葉というのは、後ろの方は極めて希薄なんですよね。ですから、まとめてこの基盤というシステムが重要なんだというのを特出しでエンファサイズしていただくことは、倉田先生的にはお気に召さないのかもしれないんですが、読んでいる方としては、重要だということは理解できると思うんです。


【西尾主査】  特にここに学術情報基盤の意義という言葉で書かれておりますので、今、喜連川先生の方からおっしゃっていただいた理由で、項目分けは残すということで、倉田先生、いかがでしょうか。


【倉田委員】  はい。もう全然、別に問題ありません。ただ、学術情報基盤はここに書いてあるよりも、私としては、もっと広い、広いと言うと変ですけど、これだけではないという意識も結構強くて、なので、ちょっと逆に狭くなってしまうのは嫌だなと思っただけで、ここに書いてある言葉は絶対残していただきたいというのは、もうまさにそのとおりです。


【西尾主査】  分かりました。それでは、長澤室長、今の倉田先生のおっしゃったことが、aの文章の軽微な修正によって反映可能だったら、試みていただきたいと思います。ただし、本質的にはこのままということでいきたいと思います。
 後は、倉田先生が最後におっしゃったことで、今後の展開に関する考え方で、もう少し何か書くとしたらどういうことが抜けているのかということについて、もし倉田先生御自身として何かありましたら、おっしゃっていただければと思います。


【倉田委員】  はい。すみません。ここ最後までは十分検討できなくて、先ほど読ませていただいただけなので、ただ、ちょっとアクティブ・ラーニング自身の推進ではないのでは、こういう言い方をするとちょっと語弊があるのですが、アクティブ・ラーニングの位置付けとか、推進はもちろん重要なのですが、この委員会で最後に言うべきは、それがいかに基盤をうまく使うことによって可能かというような言い方の、あ、書いてあること自体は全然よくて、そのとおりなんですけれども、アクティブ・ラーニングがこうなるとか、こうすべきだではなくて、それの推進に当たってはという方が重要じゃないのかなというのはちょっと思って、なので、この間が入ってしまっているのが、展開としてちょっと分かりにくくしているかなというのはちょっと思いました。
 少なくとも最後の基盤整備を行っていくにあたってはというところは、少なくとも、ここは段落は分けないとまずいだろうとは、最低限の提案としてはそこのところです。
 このアクティブ・ラーニングを推進していくことで云々という、そこのところが、うーん、これでいいのかはちょっと今、分かりませんが。


【西尾主査】  分かりました。もし先生の方でまた何か気付かれましたらお願いいたします。


【倉田委員】  はい。


【西尾主査】  倉田委員、貴重な御意見、どうもありがとうございました。ほかに何かお気付きの点がございますか。
 図書館関係の方と私も話す機会がございまして、今、この委員会でこういう議論がなされているということが結構注目されているような状況でして、この審議のまとめ方次第によっては、結構インパクトを持つのではないかと思っています。今回が最後の御意見を頂く機会になりますので、もし何かありましたらどうぞ。土方委員。


【土方委員】  今、主査がおっしゃったとおり、図書館関係者の方が注目されていまして、コンテンツのところで紙媒体をある種整理していくような話だとか、あるいは自動書庫の問題だとか、シェアード・プリンティングみたいな話で非常にコストが掛かる問題もありますし、あるいは資産登録をしている書籍の償却みたいな、いろんな制度上の改革が必要なんじゃないかなというのがあって、ものすごくインパクトのある内容がこの前段にきているような気がするので、この場所でいいのかなというのはちょっと不安になっているというところがございます。内容自身についてとやかく言うつもりはないんですが、かなり、先ほどの主査のお話でいくと、図書館関係の方が見ている部分があるので、ここはちょっと気になったところです。


【西尾主査】  はい。どうも貴重な意見をありがとうございました。
 私は、一般的に図書館関係の方がこの審議のまとめを注目しているということまでは認識していたのですが、土方委員の方からは、この審議まとめが出た場合に、強いメッセージを出し過ぎということなのでしょうか。


【土方委員】  インパクトがあるんじゃないかな。


【西尾主査】  分かりました。はい、どうぞ。


【羽入主査代理】  今、土方先生がおっしゃったところが、私は、実は非常に気になっておりまして、例えば冊子になっている方の3ページの下の方にございますけれども、この表現でいいのかどうかということは少し気にはなります。マル1の上の最後の文章ですが、「図書館スペースの有効活用を推進することが望ましい」というふうに書いてあります。有効活用するのは当然必要なのですが、そのために紙媒体がだんだん軽視される可能性があるとすると、ここで「望ましい」という表現でよいのか気になります。


【西尾主査】  先生、何かよい表現がありますか。


【羽入主査代理】  「望ましい」としていいのかどうか。ここの委員会で「望ましい」というお考えだったら、それでよろしいのですが、私は、「考えられる」ぐらいでいいのかなと思っております。


【西尾主査】  どうもありがとうございます。今のところ、この委員会として出すものですので、「スペースの有効活用を推進することが望ましい」という、「望ましい」というところまで書くのか、「考えられる」というような表現にしておくのかということについては、図書館関係の方へのインパクトを考えました場合、この委員会としては、「望ましい」というようなメッセージを発することに意味があるのだという考えもあると思います。ここら辺りはいかがでしょうか。


【倉田委員】  私は、実はここにない方がいいという説でちょっと意見を出させていただいて、スペースの問題はスペースの問題のところにむしろ書いた方がいいんじゃないのかなというふうに、実はずっと思っていまして、その上のスタンフォード大学の話も、もちろんこのラーニングコモンズとしてこれを捉えた場合に、これはコンテンツにも非常に重要な関わりがある部分ではありますが、この今の書き方ですと、どちらかというと、スペースをいかにデザインするかというか、図書館の中にそういう今まで図書館ではあまり考えられてこなかったいろいろなスペースといいますか、サービスを入れているというもののように、私にはちょっとこの書きぶりからは読めたのですね。その流れの中で、様々な形で今ある図書館のスペースを考えていくことが必要だというような流れであれば、それはどちらかというと、分かれてしまうのはよくないのかもしれませんが、コンテンツをきちっと管理するというのは、それは必要で、でも、そのこととスペースをどう使っていくかは、この場合はわざわざコンテンツとスペースというふうに要素を二つ分けているので、コンテンツの管理は考えていきましょうぐらいで終わっちゃって、具体的にはあんまりなくて、それで、もう一つの方のスペースの方でいろいろスペースの使い方がありますよという例示を出して、その次のところで、そこに至る考え方として、新しい考え方もあれば、別にそうではなくて、伝統的な形できちっとその資料なり、印刷媒体を保管していくという考え方があっても、それはいいはずだと思うんですね。
 ここは何かちょっと、印刷媒体の話のところで、スペースの有効活用が直でつながっているところが、逆に変なふうに解釈される可能性はあるかなと思います。


【西尾主査】  なるほど。竹内先生、どうぞ。


【竹内委員】  今の議論の流れで感じることというか、あるいは私がこの文を拝見して思うことなんですけれども、とにかく紙を減らせということの方が強くここには出ています。本来図書館が学術情報基盤として考えるべきことは、紙の資料を効率的にきちんと残すということのはずなんですね。そこの部分というのは若干薄くなる形で、例えば特にマル1のところで「必然性の低いものは除籍する」といったものが前面に出過ぎてしまっているという印象があるので、そこの記述のバランスをとって、きちんと残していくということと、スペースを作っていくために不必要なものは除いていくということをうまく書くということが必要になるのかなと思いました。


【西尾主査】  先生として、倉田先生の方からお話がありましたように、ここの3ページの「大学の状況に応じて」の部分を、どちらかというと、スペースの方に移してしまった方がよいのではという御意見については、竹内先生はどう思われますか。


【竹内委員】  私もそれでよろしいと思います。


【羽入主査代理】  すいません。むしろ、逆でスペースのところに移すと、かえってスペースを作るため、という文脈になる可能性があると思うので、私はここに入れておく方がいいかなと思っていたんです。


【西尾主査】  分かりました。


【羽入主査代理】  で、例えばですけれども、今、竹内先生がおっしゃったようなことを考慮するのであれば、これも御賛同いただけるか分かりませんが、マル1のところの文章で、「提供する必要性について検討を行う」で止めるとか。必然性が低いって、そもそも必然性とは何かということを考えるとすると、これももしかしたら、読み方によっては幾らでも解釈ができますので、コンテンツとして検討するということにすればよろしいのかなと思います。


【西尾主査】  今の羽入先生からおっしゃっていただきました、「ついての検討を行う」というところまでで一応止めておくという御意見ですけれども、いかがでございますか。それでは、山口委員の方からまずお願いいたします。


【山口委員】  今の議論になっているマル1、2、3が大変強い口調になっている一つの理由は、その前のスタンフォード大学、テキサス大学、慶應義塾大学の事例の内容が「蔵書を減少させた」という点に特化しすぎている点だと思います。書き方の問題だと思います。事例では「蔵書が全くない図書館となっている」という部分が、とても強調されていますが、事例で伝えたいメッセージは「蔵書がなくなった」点ではなく、「スペースを学修や、他の修学のためのスペースに再利用している」という点だと思います。どの様に改良されたかを中心に明記すれば、有効活用することを促進するという点にうまく続くと思います。
 例えばマル1に関しましても、「検討を行い、必然性が低いものは除籍する」と明記するのではなく、「検討を行い、対応する」という口調で書けばよいのではないでしょうか。


【西尾主査】  美馬先生、どうぞ。


【美馬委員】  同じようなことですが、ちょっと違うのは、マル1だけではなく、とてもマル2もマル3も強い言葉だと思うんですね。ここ、「除籍する。」「設置する。」「導入・推進する。」そうすると、ここの委員会としても、これをしなさいと言っているように見えるので、例えばスタンフォード大学等の例をマル1、マル2、マル3の中に入れつつ、こういうことを検討していく、例えばこういう事例があるというような形でここを盛り込むような形、で、何かをしなさいという、そういう提言にならないような形での書き方というのができるのではないかと思います。


【西尾主査】  ありがとうございました。どうぞ。


【羽入主査代理】  今の先生方の御発言を伺っておりますと、少し前の同じページの「印刷媒体資料の状況」というところの、「書庫(スペース)」の(スペース)は削除した方がいいと思うんですね。もうコンテンツの話にしていく方が適切なような気もしますけど、倉田先生、いかがでしょうか。


【西尾主査】  どうぞ。


【喜連川委員】  まさに、私も読んでいてそのとおりだと思います。コンテンツと書いてあって、上から3行分だけがコンテンツで、それ以下は全部スペースの問題です。スペースが大きな問題になって、空間が更に減少しているのが日本で、これをどうしよう。それで海外の事例があって、ということで、これはコンテンツの議論をしているんじゃなくて、スペースの議論が前面に出てきているんです。したがいまして、この段階でこれだけ大きな問題が出るというのはなかなか、ちょっとつけ焼き刃の微調整で済むのかどうかがやや心配になるような気もいたします。


【西尾主査】  ほかに意見ございますか。ここに関しまして要は収拾していくことを考えたいので。そうしましたら、長澤室長の方との、これ、今、貴重な意見がいろいろ出ておりますけれども、一つ大きなやり方で御提案があったのが、1、2、3に関しての表現に関することと同時に、1、2、3の書き方について、事例が書いてあるのとうまく組み合わせて、1、2、3に書かれている内容の後に、マル1の中にある項目を書いた上で、例えばというような形で上の事例を参照するような形で書いていくことも可能でしょうかというところあたり、どうでしょうか。


【長澤学術基盤整備室長】  一応前の部分に「大学の状況に応じて、以下に示す方法などを参考に」と一応書いていますので、1、2、3というのはきつい表現のように見えますが、それはあくまでもその参考の方法として示唆しているだけなので、これを下の方に入れて、あくまでもこれは参考ですよということで、先ほどおっしゃっていただいた「検討を行い、適切に対応する」とかというような止め方で残す、若しくはここのスペース、コンテンツの管理とこの黄色の部分をもとに戻して、スペースのところに戻させていただくか、いずれかで対応するという方向が適切ではないかと思っております。


【西尾主査】  分かりました。今、二つ御提案がございましたが、今日ある程度の方向性を定める必要がございます。該当部分はもともとスペースのところに記述されていたものを、コンテンツの方に移しているということがございまして、それをまたスペースの方に戻しまいますと、羽入先生もおっしゃったように、かえってより強いメッセージになってしまわないのかという懸念がございます。一方で、喜連川先生からもおっしゃっていただいたように、該当部分がコンテンツという項目の下で書かれているにもかかわらず、どちらかというと、スペースのことが書かれているということを考えると、これはやはりスペースの方に移した方がいいという考え方もございます。このままの方がよいかどうかなのですが。


【羽入主査代理】  やはり私は、スペースの方に戻さない方がいいと思っていて、例えば喜連川先生がおっしゃるとおりに、最初の部分がスペースの話になってしまっているので、少し順序を変えて、冊子の方の4ページ目に、「学術書等の電子化」、「コンテンツの管理としての電子化」ということがずっとあって、「蔵書の電子的利活用」、で、「教材・授業等の電子的利活用」があり、そういう傾向に今あると。それで、コンテンツも、電子化すると、スペースの有効活用も同時に図られることになりますという話にしていくというのはどうでしょうか。
 つまり、ここはもう電子化の話にしてしまう。で、副次的にそういった空間的な余地が、スペースというか、余地が出てくるのではないかというふうなことができそうな気がちょっとしたんですが、どうでしょうか。


【西尾主査】  どうぞ。


【倉田委員】  今の印刷媒体資料の状況というところを印刷媒体資料の状況だけにせずに、ここの後ろの「書庫管理は大きな問題となっている」というところをやめてしまい、ちょっと今、文章はすぐにはできないんですが、基本的にはその電子ジャーナルとか、電子書籍とそのデジタル化が非常に進んでいるものに図書館も対処していかなくてはいけないというような全体的な現状の一言を、まずそこまで一気に書いてしまう。それで、印刷媒体に関しては、それなりの規模があるけれども、それを「学術資料のより効果的・効率的」云々というところを、これはあくまでも「効果的・効率的な保存と利用」という形で止めて、スペースの有効活用とはちょっと切り離して、印刷資料をきちっとある意味では整理、管理し、保存の方法を考えていくべきだというのにして、1、2、3の書きぶりは別としても、基本はこの形でこの段落はそのまま押さえる。
 ただし、私は、このスタンフォード大学云々という、ここの例に関しては、ちょっとここだけ違和感があるので、慶應の例は下の例に入れても十分だと思うのですけれども、スタンフォードの例は、減少させたというよりは、電子ジャーナルやそういうものの活用を中心とする新たなスペースを作ったというところのみの話に、例としては、私は重要なんではないのかなと思うので、それこそが一つ、一つのですよね、あくまでも。ラーニングコモンズの一つの在り方として、そういう展開もあるという一例として、そこだけスペースに持っていってはどうかなと思う。
 そうしますと、ここの、何というんでしょうか、こういう何かスペースに転用するための内容も少し狭まって、それでいて、最後のところも有効スペースのということにならず、保存というところで終わるという点では、今、何人かの先生方からのその御心配があった点は、ある程度緩和されるんではないかなと思いました。


【西尾主査】  そうしましたら、まずは、スペースの方に先ほどの黄色のマーキングしてあるところを移すということはやめましょう。その上で、今、倉田先生おっしゃいましたような形で、この印刷媒体資料の状況というのは、こういう括弧付きの見出しは付ける、付けない、のいずれでしょうか。


【倉田委員】  付けない。全体的な現状というのを全部書いてしまう。電子ジャーナルとか、そういうデジタル化に対してある程度対応していかなくちゃいけないというところまでもう書いてしまう。ただし、印刷媒体に関しては、それをきちっと将来的な有効活用も含めて保存もしていかないといけないというので一固まり。で、その次に、学術書の電子化その他、そのデジタル化の方のあれにもちゃんと対処していかないといけないという流れにしてしまうと。


【西尾主査】  分かりました。長澤室長、どうですか。今のお話で対応できそうですか。


【長澤学術基盤整備室長】  紙媒体の状況で電子化の流れで、印刷媒体も適切に管理する必要がある、ということの後に、図書スペースの有効活用ということで、この三つの例示というのを残すということなんでしょうか。この三つの例示も全部取ってしまうということなのかという、そこだけは確認をさせていただきたい。
 で、このスタンフォード大学等の事例については、もう要らないということでしょうか。そこも確認をさせていただきたいと思います。


【倉田委員】  スタンフォードの例だけは、できればスペースの方に入れていただきたいという話です。で、先ほどの三つのマル1、マル2、マル3と書いてあるのは、書きぶりは別として、これはそのまま残す。その後にデジタル化の話を前面的に持ってくる。


【長澤学術基盤整備室長】  この慶應までの事例は、スペースの事例としてスペースに移すということでよろしいでしょうか。


【西尾主査】  スタンフォード大学だけでは。


【長澤学術基盤整備室長】  スタンフォードだけですか。


【西尾主査】  ですよね。

【倉田委員】  はい。


【長澤学術基盤整備室長】  このテキサスと慶應は残すというということでしょうか。


【倉田委員】  これはどっちでもいい。


【西尾主査】  どちらでもよいのですね。


【倉田委員】  はい。どっちでもいいと言うとちょっと語弊があるんですけども、いや、慶應の例を入れておかないとまずいと思うのですけれども。印刷媒体を減らして、学習スペースにしましたという例が三つもあると、ちょっと強過ぎるかなという点を心配しているだけなので、ここは表現的な話ということで、ちょっと最終的な取りまとめのときに御相談させていただいた方がいいかなと思うんです。


【西尾主査】  テキサス大学の場合も、蔵書が全くない図書館になっているということを強調すると、先ほど来議論しておりますことからはインパクトが強過ぎるということになると思います。ですから、もう少し適当な書きようがあるとよいと思うのですが。はい、どうぞ。


【美馬委員】  私は、このスタンフォードとテキサスと慶應義塾大学の事例が載っているということと、この冊子体の5ページ目では、オンライン教育のところでMITとニューヨーク州立大学が載っていますね。基本的にこれ、提言とするならば、何か国内における私立大学が特定の1校だけが載っているというのはとても不自然に感じます。どちらかというと、海外の先進的なすごく極端な例、極端というか、先進的な例を出すというのはいいと思いますけれども、国内では慶應大学だけの例をここで持ってくるのは、私はバランスとしてはあまり望ましくないのではないかと感じます。


【西尾主査】  どうぞ。


【長澤学術基盤整備室長】  おっしゃるとおりなんですけれど、慶應からは来ていただいて、報告を受けて、一応の資料で写真に載っているので、そこをただ単に残しているだけなので、先生方の御意見ならば、それで事例と合わせて落とすことは可能です。


【西尾主査】  いえ。ここでもし書くのだったら、やはり海外の例も一つぐらいあった方がよいと思うので、テキサス大学の例がうまく表現ができて、ここに残せるのだったら、残すというのが一つの方法だと思います。それでよろしいですか。


【美馬委員】  いえ。慶應大学については、どなたかからの関係があって、こちらで発表していただいたということがありますけれども、それが、例えば国内でもほかにあって、そういうところからここに来ていただくとか、そういうきちんとした透明性のあるセレクションではなかったと思うんですね。そういう意味では、国内の事例で慶應大学だけをここに入れるというのは私は適切ではないというふうに個人的には思います。


【西尾主査】  このような事例としてほかでも国内でどこかの大学を書いているところありますよね。確か奈良先端大。該当する大学の全部が網羅できないけれども、一つの例として書かれているという観点では、美馬先生、やはり問題ありますか。


【美馬委員】  何かそこは私としてはすっきりしないということです。そもそも奈良先端大の事例と慶應大学の事例がどうしてそもそもここで説明として呼ばれたのかということもよく分かりませんし、呼ばれてここで発表したから、じゃあ、ここに入れましょうという、そういうロジックできているんだったら、この事例がこの会議の中で紹介されたということについては、実際にそれが起こったことですからいいと思いますけれども、提言書の中に入るのはどうかなと思います。

【喜連川委員】  少なくとも奈良先端大のは、ものすごく長い間先進的にやってこられた取組で、これは日本の中ではほぼオンリーワンに類するものですので、妙なポリティックスのような御発言がありましたけど、それは一切ないと思います。

【西尾主査】  多分慶應大学と奈良先端科学技術大学院大学をこの委員会でヒアリングをさせていただいたのは、該当するコミュニティーの中とか、該当する分野におけるいろいろな会合とかにおいて、二つの大学の事例が先進的な取り組みとしてよく知られており、しばしば発表されているという経緯を、文部科学省としても十分に認識しておられ、そのような状況をもとにこの委員会でヒアリングをさせていただいたという経緯があります。そういう観点からは、ある種の客観性を持っているのではないかと私は判断しております。はい、どうぞ。

【加藤委員】  今の話なんですけれども、報告書上の表現の問題かもしれませんので、ちょっと私の方から御意見申し上げますと、「慶應義塾大学の理工学部図書館等において」もということで、一つの例として、「をはじめとして」でもいいんですけどね、「図書館等をはじめとして、グループ学習や学習相談のスペースとして活用する例も増えてきている」と。それは事実だと思うんで、そういう例示として挙げる分には、私は逆に言うと、奈良先端大もそうですけれども、いろんな図書館の方が見学してもらって参考にしていただくという面では、今回の委員会の中で説明していただいたわけですから、そういう例をここの中へ出すこと自体は問題はないと思います。

【西尾主査】  分かりました。今、加藤委員から言っていただいたのが文章化する上での一つの書き方ではないかと思いますので、そういう点で御配慮いただければと思います。
 そうしましたら、ここの部分に関しましては、いろいろ意見を頂きましたので、コンテンツのところの書きぶりとして、印刷媒体資料の状況、適切なコンテンツの管理とスペースの確保のところに関しては、こういう見出しを付けるかどうか、あるいはこの二つの見出しを更にまとめたような見出しにするのか、さらには、もうここは見出しなしでいくのか、そういうことも含めて、もう一度倉田先生にもご意見頂きながら、最終的な方向へもっていくということにしたいと思います。
 また、ここのマル1、マル2、マル3の表現に関しては、この審議まとめを図書館関係者の方々にも新たな方向として受け入れていただけるような表現を考えるということで向かいたいと思います。
 さらに、三つの例に関しては、スタンフォードの例に関しては、例えばスペースの方に持っていくべきかどうかというようなことも、今後、委員会後に少し検討を再度させていただくということにいたしたいと思っています。
 ほかの部分で何か御意見ございますか。どうぞ。

【斎藤委員】  内容についてではないんですけれども、こういう霞が関から出される文章において、ちょっと漢字が多過ぎると思うんですね。これは重要な問題だと思うんです。やっぱり読みにくいんです。私もいろいろ本を書きますが、出版社の方からは、もうこれは大分、接続詞は全部平仮名にしなさいと、昔は「したがって」というのも全部漢字にして、それはもう大分なくなったんですが、そこでも、この1ページで、例えば「主に」これ、漢字ですね。それから、「在り方」の「在り」、それから、背景(オープンエデュケーションの促進)の1行目の「伴い」、それから、2行目の「目指す」、あと、「様々な」というのはあちこち漢字でありますけれども、これは最近ではもう平仮名に開くことが一般的になりつつあります。あとは、「促す」とか、「我が国」の「我」とか、「極めて少ない」の「極めて」、「更に」、この「さらに」を漢字で書く例は、私はもうほとんど見たことないですね。ですから、これはこの委員会、あるいは文部科学省だけではなくて、一般のことだと思いますが、できれば、趣味の問題ではあるかもしれませんが、もともと漢字の多いこういう公文書ですので、なるべく平仮名に開いていただければということを私は期待しております。

【西尾主査】  これは一つの御意見として承っておくということにしたいと思います。多分、文部科学省として出される文章における何らかのルール的なものもあるかと思いますので、いただいた御意見で反映できる範囲の中で対応をしていただくということで、承りたいと思います。
 ほかにございますか。どうぞ。

【吉田委員】  ちょっと細かい話なんですけれども、今、コンテンツに関してもいろいろ議論がありましたが、もともとここのコンテンツのところのポイントは、多分スペースの話でなくて、利活用だと思うんですよね。だから、利活用ということにポイントを当てられた方がよく、ちょっとそういう観点で前回の資料と見比べてみたんですが、例えば、最後にデータ利活用・流通の促進とあります。前回の資料を拝見すると、そこにデータをある程度標準化して、フォーマットを合わせて利活用できるようにしようという記述があったと思います。そういう利活用する上でのキーになる多少技術的な話は戻していただいた方がいいかなと、そういうふうに思います。
 そうして見ると、やっぱり全体も、スペースを空けるというよりは、コンテンツを流通させて利活用するという話をもう少し前面に出された方がいいのかなと思います。そうすると、事例なんかも、スペースを空けるというよりは、全部情報端末で見られるようになったために流通しやすくなったとか、そういうふうに解釈すればよくなるんじゃないかなと思います。

【西尾主査】  もし可能でしたら、吉田委員、具体的なところで言っていただけるとありがたいのですが。まとめる段階にきていますので。

【吉田委員】  はい。このデータ利活用のところで、以前、データのフォーマットの統一の話がありましたので、こういう文章も出されたらどうですか。後で御連絡いたします。

【西尾主査】  貴重な意見ありがとうございました。
 ほかにございますか。はい、どうぞ。

【加藤委員】  今の話、ちょっと、先ほどからお伺いしておりまして、このコンテンツのところなんですけれども、最初のスタートのところに印刷媒体資料の状況というのが入ってくることによって、皆さん誤解しているのではないかなという感じもしております。
 今の吉田委員のお話ですけれども、学術書の電子化の動向、電子的利活用、オンライン教育の体制整備、あるいはデータの利活用・流通の促進というような施策がありまして、そういうデータの利活用・流通の促進をする上で、印刷資料についてもこういう整理をするという意味合いで、この全体を利活用の推進の後に持ってくることにより、こういう利活用推進のシステムを整備する必要があり、その上で印刷資料についてもこういう形でどうですかということで一番後に持ってくれば、それなりの流れになるのではないでしょうか。コンテンツが急にここにきてしまいますと、何かコンテンツを削減するみたいなことになりますけど、基本的には、全体の電子化の流れの中でそれをやる前提、システムを構築することによって、今ある印刷資料については書庫に移すこともできますし、あるいは各大学との連携においてできることもありますよという形にしていただければ、素直に通るのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

【西尾主査】  これは、先ほどまさにおっしゃったことなんですね。これはここの文章としての順番を変えるということですか。

【加藤委員】  はい。

【西尾主査】  例えば学術書等の電子化とかを上の方に持っていく。

【加藤委員】  はい。最後に、利活用・流通の促進の「データの管理・流通システムを整備する必要がある」と。それを整備することによって、今の印刷資料についてはこういう保管の仕方があるという検討に進めていただければ。ほかのところも、結局はスタンフォードについても、テキサスについても、慶應義塾大学についても、そういった電子ジャーナルを含めた電子化ということを整理した上で、コンテンツ、実際の印刷資料については書庫に移したりしているということになりますので、そういうこの順番を変えるだけで違うのではないかなという気がいたしますが。

【長澤学術基盤整備室長】  初めの印刷媒体資料の状況というところをコンテンツの状況ということで、総合的に書いた上で書籍、それから、教材とか、授業、それから、データについて、その後に、コンテンツの管理と空間ということで、コンテンツの整理と一緒にこういった対応が望めますよということで、整理すればよろしいでしょうか。

【西尾主査】  今の対応でよろしいですね。まさに今、おっしゃった流れだと思います。それで、多分、ここのコンテンツという、ここに一つの節立てをしていることがより生きてくるのだと思います。
 ほかにございますか。
 そうしましたら、吉田委員には、先ほどのことで具体的なことがありましたら、是非事務局の方に寄せていただければと思います。
 特にコンテンツのところに関しましては、これまでにいろいろと集中的なコメントを頂きました。この部分は非常に重要な箇所ですので、事務局の方といろいろ調整をしながら、修正をして取りまとめたいと思います。最終判断等については、いろいろと御意見いただいた方に御確認いただくことも含めてですが、当方に一任いただけますとありがたいのですが、そういう形でよろしいですか。どうかお願いいたします。
 これまで何回かにわたりまして、学修環境充実のための学術情報基盤の整備についてということで、貴重な御意見を多々頂きまして、こういう形でまとめることができました。というか、もう一段ブラッシュアップを行った上で、今の予定としましては、この資料1の表紙の下の方に、平成25年8月というのが一応書いてございますが、8月にはこの審議のまとめを世に出していきたいと考えております。本当にどうもありがとうございました。非常にタイムリーに審議のまとめができましたことを心よりお礼申し上げます。
 次に、審議事項ではございませんが、JSTの情報事業について意見交換を行うということで、加藤委員より、JSTの情報事業の方向性に係る資料3とJ-Stageに係る資料4に基づいて、それぞれ御説明を頂いた後で質疑応答を行いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、資料3について説明をお願いいたします。

【加藤委員】  科学技術振興機構、JSTの執行役ということで、今年の4月1日に着任しております。前職はNTTデータのグループ会社の社長、システムの開発等を担当しておりまして、現在、この事業に携わっているということでございます。今回機会を頂きまして、日本の科学技術情報基盤の在り方、あるいはJST情報事業の今後の方向性ということで、案を作っておりますので、御意見等を伺えればということで、提示をさせていただいております。唐突ではございますけれども、ご説明させていただきます。
 JSTというのは、25年度の予算が約1,340億円ということで、非常に大きなファンディングエージェンシーであり、新しい研究開発のファンディングをして新しい成果を出していこうというような、全体としてはそういう組織でございます。非常に大きな科学技術のファンディングエージェンシーだと思っております。その中で、情報事業というのが、これは数十年前から、前はJICSTということで情報関係の事業をやってございます。その事業を現在担当しているということでございます。したがいまして、大きな特徴としましては、大きなファンディングエージェンシーの中に、科学技術情報を提供するという組織があって、実際そのサービスをしているというのが一つでございます。それから、旧JICSTの時代からは、もう50年を超えて情報提供ということを広く、長く続けてきている、そういう組織があるという二つの点がございます。
 科学技術振興機構法というのがございまして、その第1章の第4条の中に、我が国おける科学技術情報に関する中枢的機関としての科学技術情報の流通に関する業務その他の科学技術の振興のための基盤の整備に関する業務を総合的に行うという法律上の規定もございまして、この情報事業を現在やっているということでございます。
 具体的にはここに書いているものが例示でありますけれども、J-GLOBAL、あるいはJ-STAGE、これは資料4でまた御説明いたしますけど、J-STAGE、1,600誌以上の学協会の電子ジャーナルのプラットフォームとして動いているJ-STAGE、それから、Read&Researchmapということで、研究者情報、22万人の情報をオープンにしておりまして、e-Radというところとも連携しているというような、いろいろなサービスを提供しているということでございます。
 ただ、これらのサービスは、じゃあ、全ての科学技術情報を全部網羅しているかというと、そうでもないということでございます。そういう前提のもとで、最近、次の3ページでございますけれども、先行事例として、バイオサイエンスデータベースセンターというのがございます。通称NBDCと言ってございますけれども、これ、23年の4月に設立されて、現在動いております。これは省庁横断型ということで、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省等のバイオサイエンスに関係するデータベースを統合化して提供しようということで進めているプロジェクトでございます。現在、このデータベースにつきましては、355データベースについて横断検索、統合検索ができるような形になってございます。それ以外に、日本は八百数十件ですけれども、約1,300件のデータベースについてはカタログのデータベースを作っておりまして、これを提供して、どこに何があるかという情報を提供しております。
 また、アーカイブということで、研究データの中のデータにつきましても提供しておりまして、これはクリエイティブコモンズでいうとCCBY-SAということで、表示を継承していく前提で自由にお使いくださいというような形で60から70ぐらいの研究データを公開しているというやり方をしているプロジェクトがございます。したがいまして、このNBDCにまずいきますと、日本におけるバイオサイエンスのデータベースに関しましては、一覧性に基づいて横断検索もできて提供できるサービスです。
 それから、研究データに使えるものにつきましては、アーカイブされたものを自由にダウンロードして使うことができ、それに基づいて研究関係の促進を図ろうということで進めているプロジェクトがございます。私は、これ、先行事例ということで御紹介しております。23年の4月から始まったばっかりで、まだいろいろな課題がたくさん残っておりますけれども、非常にいい取組をしております。先進の取組ということで、今、注目しているところでございます。
 4ページにまいりまして、JSTとしても、先ほど申し上げましたように、科学技術情報を総合的に提供するという点でいきますと、このNBDC、ライフサイエンス分野だけではなくて、ほかの分野、日本の科学技術情報全般につきましても、統合化して提供することがやはり必要ではないかと考えております。そのためには、JST単独で何かをするというよりも、ほかの機関とも十分連携をしながら、従来の研究分野・領域を超えて散在する科学技術情報を統合化していくことで、イノベーションの創出に貢献していきたいと考えているところでございます。
 5ページ目にその概要でございますけれども、JST情報事業につきましては、まずは、ファンディング機関であるということ、ファンディング機関の中で情報事業があるんですけれども、JSTの中のファンディングのデータベース、研究成果のデータベース、ここにつきましては、まだまだ実はデータベース化されていないというのが実態でございます。まず、足元からということで、JSTのファンディング機関としての研究開発成果の流通を是非図っていきたい。それを一つのモデルにいたしまして、日本のファンディングエージェンシーの研究成果につきましても、統合化していく一助になればなと考えております。また、科学技術情報の統合化につきましては、JSTだけではなくて、後で御説明しますけれども、いろいろな機関と連携を構築していこうということでございます。その全体の流れの中にはオープン化の時流ということで、非常に科学技術情報だけではなくて、ほかの分野の情報につきましても、現在世界中でオープン化の流れにございます。そういう科学技術情報にプラスして、ほかの分野の情報とつなぐことによって新たな付加価値を生む仕組みが構築できると考えているところでございます。
 6ページにありますけれども、オープン化の世界的な動きということでは、6ページのその絵に描いてあるのは、具体的には参考資料の方ですけれども、13ページは、J-STAGEは既にオープンアクセスというのが実現されております。それから、14ページということで、JSTはファンディング機関としてオープンアクセスを支持する立場ということを表明してございまして、15ページには、それを宣言しております。16ページにございますけれども、世界のほかのファンディングエージェンシーにおきましても、今まで論文のオープンアクセスについては、いろんなところで実現されております。一方で、研究成果のデータにつきましても、今後、オープン化していこうということで、一つの方向性が出されているということでございます。
 また、17ページでございますけれども、いろんな国際的な取組といたしまして、ここに書いておるような推進団体におきまして、基本的にオープン化していこうという動きが出ているということでございます。また、最近では、18ページにございますけれども、6月12日のG8の科学大臣のアカデミー会合におきまして、研究データのオープン化に対しまして、共同声明文が発表されております。これは、基本的に科学的発見の進歩を加速し、イノベーションを創出するためには、科学的研究については全てオープンなデータとして公開していくべきだということで、5原則というのが今、出ているんですが、基本的にそういうオープン化の流れというのがございます。日本もこれに署名しているという状況でございます。したがいまして、今後の研究成果のデータのオープン化につきましては、これは止めることはできない流れでございますし、我々も是非それをやっていきたいということでございます。
 6ページに戻りまして、オープン化するデータなんですけれども、今まで私どもがやってきたのは、どちらかというと、論文の部分ですね。研究した結果の成果として論文の部分について、いわゆるジャーナルという形でオープン化をしてまいりました。ところが、論文の下には、氷山の一角でございまして、後ろの方にはそれに伴う画像だとか、図表だとか、そういったデータベースも必要ですし、それから、必要な研究成果の根本となる基礎的なデータ、一次データにつきましても、この論文の裏には隠れているということでございます。こういうものにつきましても、基本的にはオープン化していく流れにあるということで、先ほど世界的な動きの中で御説明を申し上げました。
 オープンデータについての五つのステップということで、これはTim Berners-Leeという方が提唱されてますけれども、オープンデータの仕組みも含めて更に高度な形でオープン化していこうという技術的な流れもございます。もちろん先ほど申し上げましたクリエイティブコモンズにおける具体的な権利関係につきまして、これは横軸にあるんですけれども、オープン化の調整が必要になってくるということでございます。
 7ページでございますけれども、JSTの中では、これまで、皆さん方にはなじみがないかもかしれませんけれども、シソーラスだとか、大規模辞書だとか、こういう情報資産が過去何十年もかけてできております。これが参考資料の24ページ目でございますけれども、JSTの情報資源ということで、豊富な辞書類を持っているということです。科学技術関係の用語の辞書、それから、シソーラス、これは用語の上位とか、上位語、下位語、あるいは類似語、関連語というものを体系的に整備した辞書がございます。それから、研究機関名の辞書ということで、これは31万名称、それから、特許技術用語辞書、化学物質辞書等々の豊富な辞書群があるということでございます。
 こういう辞書群につきましては、前に戻りまして、7ページでございますけれども、これはオープンデータ、先ほど申したオープンデータをどうやって検索してリンクを張っていくかというのが今後の課題になるわけでございますけれども、こういった情報資産につきましては、分野横断型、あるいは学際型の領域連携ツールとして、これをオープン化していこうと考えているところでございます。今、私、着任いたしまして、幾つかの大学の先進の先生方のお話をお伺いする中で、是非やってほしいということもございまして、これをオープン化していこう。日本には実はオープンとなるこういった辞書があまりないということで、これをオープン化することによって、皆さん方、使っていただくことによって分野横断型のデータがここでリンクされるということになります。そういうことを進めていこうと考えております。
 それから、ファンディング関連のデータベースの充実ということで、これは後で御説明いたしますけれども、そういった今後のデータになってきますと、画像関係の整理が必要になってくるんですが、それで、平成24年度から震災復興に関係した画像情報の整理・体系化につきましても、こういったシソーラス、辞書を活用という試行を今、始めております。これは、先ほどの研究成果のデータ、いわゆる画像も含めたデータをどうやって整理・活用していく、リンクを張っていこうかというための試行の一つとして、震災復興の中で実現させていただいているということでございます。
 それから、これ、RDFということが、これは最新のデータの形式でございますけれども、JSTが持つ情報資産をRDF化しようと。これに基づいて、これはコンピューターが自動的にプログラミングで解析し、関係性をつけてデータを持ってくることができるようになります。いわゆるビックデータの大きな技術の一つなんですけれども、そういう形で他の情報資産とリンクができるようにするための準備を完了しようというようなことで今、動いているところでございます。
 8ページにございますけれども、現在、今年の2月ぐらいから具体的に動き始めて進めているのが、先ほど申し上げましたけど、JSTがファンディングしている研究成果等につきまして、まずはその情報循環のプラットフォームを構築しようということで進めてございます。基本的には将来オープン化するという前提に基づきまして、JSTの中のファンディングの流れ、そこで出てくるデータにつきましても、格納していくというような仕組み、それに基づきまして、知識インフラを構築するということで今、進めているところでございます。
 具体的にいうと9ページ目に、一つ研究成果、当然分かりやすい公開が必要ですね。ということと、研究者の研究に対する新しい方向性を支援していこうと。それから、今後の基盤的データの構築もしていきましょうということですね。それから、社会的な価値と研究活動との結びつきも含めて、こういうデータに基づいていろんな分析もできるというような形にもっていこうと考えているところでございます。
 それから、震災復興に係る画像の整理・体系化の試行ということで、これは平成24年度から実施しておりますけれども、現在、震災アーカイブというのがございまして、ここに大量の画像情報がたまっておるわけでございます。ただ、そこは基本的にはいつどの場所でという地理情報と時間情報があるだけで、じゃあ、これは何の画像なんだということについては、実は分類・整理が非常に困難な状況にあるということもございまして、ここの中に私どもが持っている情報資産のシソーラス等の辞書のところにタグ付けをすることによりまして、うまくそれを活用して、将来的には被害状況の迅速なマッピングだとか、防災計画に活用するというような形のデータの活用、あるいは研究の活用にもっていくために試行的に今現在やっているということでございます。国立国会図書館を含めまして、みちのく震録伝のデータを使いまして、一つの教師データを作っていこうと。これも基本的にはオープン化をして、これをお使いになる研究者の方々にシソーラス等の情報に基づいてタグ付けをしていただいて、自己増殖型の形にいこうということで、一つの大きなオープン化の流れの中で皆さんに使っていただこうという動きの中で、今、試行を始めているところでございます。
 11ページでございますけれども、今後の方向性ということで、先ほど申しましたけれども、一つの大きな科学技術関係のファンディングエージェンシーの中の情報事業として、ファンディングの横串を通す、ファンディングした結果のデータベースについても、公開を迅速に進めていくということで、ファンディングマネジメントデータベースを構築していこうということでございます。そのオープン化も加速していくということを考えてございます。
 それから、これらの基本的な科学技術情報の統合化につきましては、JSTだけではいけないと思っております。もう組織を超えて、府省横断型・他機関連携を推進していくという環境に基づいて動いていきたいということで、喜連川先生がおられる国立情報学研究所、それから、国立国会図書館、産総研、それから、情報通信研究機構、これらはNICTですね。等々と今、一部協定を結び、一部情報の連携をするというやり方で、具体的な情報の統合化を進めているという状況でございます。
 それから、こういう事業になりますと、非常に最新の情報で研究者の皆さん方、利用者の皆さん方の要望に応えて迅速に利用技術として提供する必要があるということで、現状でそれをやるためには、一つのインフラを作った上でそこで動く利用技術、あるいはツールにつきましては、ファンディングの機能、公募の機能、こういうものをうまく活用して迅速にこれが提供できる体制をしていこうというスキームを今、模索しているところでございます。その中で、科学技術情報全般を流通・提供できる機能を強化していこうということを考えているところでございます。
 具体的な絵としましては21ページでございますけれども、情報循環型モデルへ変革するための取り組みをしようということで、こういった概念図に基づきまして、基本的にはJST単独ではなく、省庁連携型、それから、先ほど申し上げたJSTのいろんな情報基盤、あるいは技術基盤、人的資源というものをうまく活用して統合化する形でもっていきたいと。それに基づいて、情報循環型が新しい提供事業に移行していきたいと考えているところでございます。
 22ページ目に、こういう情報循環型モデルができた場合には、こういった研究の効率化にもつながるでしょうし、あるいは知見だとか、発想の想起・創発、こういう分野を超えた形の連携が今度できるようにしようということでございますので、この辺も追求していきたいということでございます。それから、新しい産業の創出なり、研究者自身のモチベーションの向上、透明性の確保等々につきましても、価値が生まれるのではないかということで進めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上がJST情報事業、今後をこういう形で進めていきたいと、まだ案でございますけれども、そういう方向で今、動いているところでございます。御意見等賜れば有り難いということでございます。

【西尾主査】  申し訳ありませんが時間のことがございますので、資料4をできましたら、5分程度で説明していただけますか。あとで、いろいろと議論をしたいと思います。

【加藤委員】  資料4につきましては、資料4の6ページ目でございますけれども、まず、JSTの中に科学技術情報発信・流通総合システム事業方針検討有識者委員会という委員会を設置いたしまして、これはJ-STAGEなんですけれども、J-STAGEという日本の学協会向けの電子ジャーナルのプラットフォームなんですが、これをJSTだけで単独で方向性を見つけるというのではなく、有識者の御意見を伺いながら、今後、こういう方向でいったらいかがかという御意見を賜っております。その報告書の要約版が今回御説明いたします。資料4のことでございます。
 3ページ目でございますけれども、J-STAGE事業の概要がここに書いてございます。平成11年に運用開始をいたしまして、平成25年6月1日で1,632誌という学協会の電子ジャーナルを実現している。国内の学術論文誌のうち、3分の1がJ-STAGEで電子化されているということでございます。また、J-STAGE登載誌のうちの8割以上がオープンアクセス、オープンとして使えるという形になっているということでございます。
 4ページ目でございますけれども、J-STAGE事業の効果と意義ということで、海外からのアクセスも非常に増えていると。ベスト10の中にはライフサイエンス関係のデータベースが多いようでございますけれども、海外からのアクセスも十分に増えている。それから、インパクトファクターへの寄与につきましても、貢献をしていると考えております。
 5ページ目にございますけれども、そういう運用を11年度からずっとやってきているわけですけれども、実は、一方で、学協会の数というのは年に100誌ぐらい新しくこのJ-STAGEに載っかってくるという状況でございます。平成24年度は138誌新しくJ-STAGEの中に電子ジャーナルの基盤を整備している学協会がございます。学協会もこれからもどんどん増えていく可能性がございます。私ども、JST事業の中では、これ、平成22年と24年ございますけれども、748誌だったものが、24年度に959誌、で、ここに今、1,400誌ほど追加されています。そういう中で、一方では予算の規模としては、私ども、いろんなコスト削減の努力をしてまいりまして、ここに書いているようなかなりの削減をしてきているということでございます。今後の見通しの中で、やはり学協会の誌数が増える、何誌か増えるというふうになりますと、まだまだコスト的には増やす部分がまだございます。その削減努力も限界があるということで、私どもとしましては、全体の事業のコストの平準化を進めてまいりたいというような問題意識を一方では持っております。このJ-STAGEの電子ジャーナルのプラットフォームにつきましては、あるべきプラットフォームでございますけれども、このコストにつきましては平準化を目指していきたいということで、問題意識を持っているところでございます。
 それに関しまして、先ほど申し上げました6ページの委員の先生方の御意見を伺ってほぼ、別紙の参考資料1のとおり、事業の在り方について報告が出されているということでございます。
 7ページ目にその概要が書いてございます。サービス内容を精査して選択と集中を行う等々、一部については、有料化することも含めてやってほしいという、いろいろ等々の御意見が出ております。具体的には8ページ、新たな取組を是非やってほしいということも併せて御提言を頂いているということでございます。一つは、重点投資してほしいということで、重点誌の公募・選定ということで、日本学術振興会の方と連携いたしまして、重点誌を公募・選定して、そこの一番重要誌については流出を防止しながらパッケージ化を推進していくという等々、新しい機能もこの中で追求していくということもこの中で進めていってほしいというお話が出ている。
 それから、9ページ目でございますけれども、これは、現在のJ-STAGEを更にID化によって連携をして、分散した情報を一気通貫で分析・活用できる基盤を構築してほしい。これは先ほどの全体の情報化の流れと同じでございますけれども、研究者情報とのリンク付け、それなどの、世界のORCIDという研究者のIDとのリンクも進めていこう。そのほかJ-GLOBALだとか、ほかのデータベースとの連携も含めて、一気通貫で分析・活用できるような形にしてほしい。あるいは10ページ目でございますけれども、先ほど申し上げました論文だけではなくて、J-STAGEのデータにつきましても、これはJapan Link Centerということで、データにつきましても、一元的に管理できるような取組をされておりますので、そこの中でJ-STAGEのデータにつきましても整備することによって、先ほど言ったようなオープンデータの関係の連携も進めていってほしいというような取組の御提言が出ているところでございます。
 また、一方では、11ページにございますけれども、先ほど言った費用の平準化につきましては、あるオプションの部分につきましては、一部有料にしてもいいのではないかということで、JSTの負担を一部軽くすると。一方で投資をしながら、オプションとして提供している特別なサービスにつきましては、一方で負担を学協会に頂くということも重要ではないかというような御提言を頂いているところでございます。
 12ページ目に、コスト低減のための方策につきましては、これは省略させていただきますけれども、幾つかJSTとしても、これからもセンター業務の軽減につきましては取り組んでいってほしいというお話でございます。
 それから、有料化の部分でございますけれども、13ページでございますが、オプションサービスの有償化ということで、J-STAGE3、新しく投稿審査システムというのをサービスとして提供しております。これは世界的にも広く提供している二つのシステムをASP形式で御提供差し上げているということでございます。これにつきましては、一部を学協会に負担していただくということで御提言を頂いておりまして、8月中旬以降ですか、各学協会の皆さん方にこれについて御説明を進めていこうというような流れになってございます。ここに書いてある一つの例としまして、自己負担額の例がございますけれども、通常この二つの投稿審査システムを使いますと、1論文当たり数千円掛かるというところを、JSTの中の電子ジャーナルの中では、ここに書いてあります、一つの各学会さん、一番多いところでも100万円、一番小さなところでは1万5,000円というふうな形で、圧倒的に経済的な価格でこのオプションサービスを使っていただくようなことであれば、今後、新しいサービス、世界に通用するサービスを新たに追加した場合でも、同じようなやり方で新しい機能追加もできるのではないかということも含めて、こういう御提言を頂いているということでございます。
 14ページにございますけれども、この事業につきましては、利用の学協会様と一緒に協働でやっていくということでございます。また、健全な進展を促進するということで、より効果的・効率的に運営してほしい。あるいは体制の整備や人材育成、あるいは連合・連携体制の構築等につきましても、JSTとしてもやってほしい。また、国際的な電子ジャーナルサイトとして存在感をこれからも保っていただきたい。それにつきましては、JSPS及びNII等の関係機関と緊密なコラボレーションを更に推進して進めていってほしいという御提言を頂いておりますものですから、今年度以降、この方針に基づいて進めてまいりたいと思っているところでございます。
 すいません。時間かかりまして、申し訳ありませんでした。

【西尾主査】  加藤委員、本当にどうもありがとうございました。今、資料3、資料4をベースにJSTの情報事業に関しまして、今後の方向性であるとか、JSTの事業方針の検討有識者委員会で出ております意見等々について御説明を頂いたところです。今、資料3、資料4をベースに御説明を頂きましたことに関しまして、何か御意見とか、コメント等ございましたら、おっしゃっていただければと思います。後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  後藤でございます。
 オープン化は論文等の流通も含めて非常に大事なことだと思いますし、特にオープン化によって知識が共有されるというのは、アカデミックだけでなく、多分産業界の方にとっても非常にいいことだと思います。ただし、ちょっと最近気になっていることが二つございます。一つは、オープン化という意味が、単に何でも外に出せば良い、と誤解をなさる方が多いんじゃないかと。つまり、オープン化の裏には、オープンにしてはいけない情報をしっかりと区分けするクラシファイドの考え方がしっかりなきゃいけない。さらに二つめですが、オープン化するということは、そういうデータ管理がコスト削減できるのではなくて、逆に裏にある本当はちゃんと秘密を守らなきゃいけない情報に関してしっかりデータ管理がされるということが全部組み合わせになっているべきだと思います。特によく米国の情報公開にあるように、情報のライフサイクル管理も含めてしっかりなされるべきじゃないかと思います。
 実際に、私ども、今、セキュリティの関係をやっているんですが、先ほど一次データという話がありましたが、セキュリティ関係の一次データになりますと、ほとんどのものはオープンにできないものばっかりでございます。先日も、私の研究の仲間が持ち込んだテラバイトオーダーのデータは、今、流出してしまっているIDとパスワードのセットなんですね。そういうデータは研究対象なんだけど、これはとてもオープンにできない。もう抱えちゃった人が本当に困っているぐらいです。そういう形で一次データにはそういう危険性があることをしっかり把握することが大事だと思います。というか、そういうことを一般の方が分かるように、データをオープンにする裏には、オープンにしちゃいけないものがしっかりあって、特にまた、セキュリティだけではなくて、昨今ですと、例えばiPS関係のそういう重要な研究データなんかは、これはもう国益のためにもちゃんと管理しなきゃいけないというのもあると思うんですね。そういうことも含めまして、オープン化とともに、オープンにしてはいけない情報をしっかり管理するんだ。そういうことに関してはしっかりシステムを作り上げていくんだ、というようなメッセージを頂けると非常にうれしいなと思った次第です。

【西尾主査】  加藤委員、どうでございましょうか。

【加藤委員】  おっしゃるとおりでございまして、各国でオープンデータ化されているものにつきましては、ほんの一部でございます。ほんの一部でもいろんな利用価値があるというのが現状でございます。多分私ども、いろんなデータを統合していく中で何をオープンにして何を公開するかというものにつきましては、その辺をきちんと基準を設けて進めてまいりたいと思っております。
 一方で、データを加工しやすくなるという意味でも、先ほど言ったRDFみたいなデータ形式で持つことによりまして、いろんな分析・加工ができるということも事実でございますので、それをどこまでオープンにするかにつきましては、今、後藤委員がおっしゃったような形で基準を設けて進めてまいりたいと思っております。

【西尾主査】  ほかに。どうぞ。

【喜連川委員】  したたかな戦略をどう我が国が持つか、もうこれに尽きるのが現状です。つまり、オープンバイ・デフォルトというのはかなりミスリーディングなところということがもう大方広く分かってきていますので、ちょっとその辺の御説明があると、現実感があるなというのが今回のところではないかなと。
 例えば我々、今、ビックデータのCRESTの取りまとめをやらせていただいているんですけれども、プロポーザルがJSTにいきます。JSTに提案された研究費の中でこのデータはオープンにできませんと申請者が書いてこられます。一方JSTはオープンにすると。いわゆるそういうレベルの話じゃないんですね、基準というのは。そこら辺の現実感をもう少し認識しながら、策略を打っていく必要があります。
 根本的な質問なんですけれども、冒頭1,342億円の予算とおっしゃっている中で、ここにおっしゃっている情報流通に関する業務というのが規定されている第4条、これは一体どれぐらいの予算をお使いになっているんでしょうか。

【加藤委員】  情報事業としては約30億円というところでございます。

【喜連川委員】  ちょっと30億だとかわいらしいような気がするんですけれども、その辺、最後の方にありましたように、どこからやっていくのかというところがあったときに、まず、研究者として感じますのは、JSTのプロセスの透明化のようなものがあると非常に有り難いんじゃないかなという気がします。つまり、これは公共政策と同じですので、研究投資というのは。どういう施策を打って、それに対してどういうリターンがあったのかということというのはほとんど何にもオープンになっていないですね、JSTにとって。1,300億の研究資金を投入して、国民に対してどれだけのワクワクした成果を生成したかというようなことのオープン化こそがまず第一に国民が期待することなんじゃないかなと思いますし、一体どうやってその研究費が配分されているのか。これはちょっと戦略にも関わるのかもしれませんけれども、不透明なところがあると感じます。いろんなところから出てきた論文をオープンするなんていうのは、これはワールドワイド、みんなやっていることなので、そんなにおやりになるところに特段大きな努力をお重ねいただかなくても、そこそこ動いていくと思うんです。むしろ、JSTプロパーの部分を是非何か積極的にお進めいただくと、非常に有り難いんじゃないか。
 今、公共政策の研究者は何をやっているかというと、財務省に対して、財務省のホームページの中でここに橋を造った、ここにトンネルを造った、これでどれだけの経済的便益が出たかというのを定量的に判断しましょうという研究を始めている。それと同じことが研究開発費に対してもやってくることはもう目前であるというのが私どもの印象でございます。

【加藤委員】  ファンディングエージェンシーのところにつきましては、現状でも可能な範囲でリターンがどのぐらいがあるか、産業界に出て特許の収入がどのくらいあるかという等につきましては、把握できる範囲で情報公開しておりますので、それはちょっと誤解がないようにお願いしたいと。
 で、それをまた再度、このファンディングマネジメントエージェンシーというJSTの中の部分の透明化につきましては、これは今、進めていくことで、開発に入ってございます。それを一つのプロトタイプとして横展開していくことによりまして、かなりのことができるんじゃないか。今、喜連川先生がおっしゃったようなところにつきましては、ある程度のところまではいけるんではないかなと。ただ、今年開発を開始したばかりでございますので、ちょっと遅いと言われても仕方がありませんけれども、そういう動き方の中で今、おっしゃったようなところにつきましては対応していきたいと思っております。

【西尾主査】  データの戦略的なオープン化ということで、喜連川先生がおっしゃっていただいた点は、もしかしたら、JST単独で考えるというのは難しいかもしれない、と思っております。国費を投じたいろいろな大型プロジェクト等において大型の研究装置が購入されたり、構築されたりして、それらの装置で実験されたり、観測されたりした結果として大量の生データが日々刻々蓄積されています。それらのデータを世界のオープンデータ化の流れの中で、どのような戦略性をもって公開していくのかは非常に重要な課題です。国費を投じて得られた研究成果に繋がる非常に大切な資源を、即刻、世界に向けてオープンにするのか、あるいは、ある程度の期間は国内のみで有用するのか、というような戦略的指針が内閣府をはじめ政府機関から示される必要があると考えます。そのような指針が示されないと、研究者は、自らの研究データをどの時点で提供してよいのかの判断基準が、わからなくて困るというのが実情です。そうこうしているうちに、欧米ではそういう指針の策定が進められており、日本がそれに追従することになってしまうのかという恐れがあります。多額の国費が絡んでいることを考えると、単なるデータの問題というのではなく、国際的な問題にまで発展するぐらいの大きな問題だと思います。今後、国として重要な課題だと思いますけれども、JSTはこの課題に関してそれなりの大きなミッションを持っておられるところなので、指針策定が我が国として推進されていくように、JSTの方からも働きかけていただく必要があるのではないかと思っています。

【加藤委員】  ありがとうございました。

【西尾主査】  ほかにございますか。辻委員、どうぞ。

【辻委員】  先ほど後藤委員の方からも情報を守るという観点のお話がありましたし、今、西尾先生の方からもオープンにする範囲の戦略というお話が出たかと思うんですけれども、企業の人間から考えていきますと、情報を守るという話だけではなくて、必ずビジネスと絡んでくるところがございまして、そういう観点から申しましても、何らかの担保というか、ここまで出しても守ってもらえるというか、というところがある程度ないとオープンできないというところはあろうかと思うんですね。ですので、先ほど西尾先生が言われたような、例えばチームジャパンとしての参加型といいましょうか、ある程度お互い出す相手が決まっていて、範囲も分かっていて、で、その中での役割分担的なものも見えているとか、ギブ・アンド・テイクできるような中身も見えているとかという中でのオープンだというところがあると、一歩前に進めるんではないかなという気がいたしております。
 その意味で、資料の16ページにあった、例えば各国ではFA主導型でやられていたり、強制的なところもあるようなんですけれども、どうやってその辺を進められているかというところも少し各国事例も参考にしながらというところかなと思いました。

【西尾主査】  今の点は特によろしいですか。

【辻委員】  結構です。

【西尾主査】  どうも貴重なコメントありがとうございます。
 美濃先生、いかがでしょうか。

【美濃科学官】  オープン化、その話はすごくいいのですが、データが発生するのは大学なんです。それで、大学も情報を発信しろと言われていまして、例えば研究成果、学協会に出せば学協会でいいんですけど、オープンジャーナルとして、機関リポジトリも作れという話があるわけですね。リサーチマップにしても、研究者の業績を大学で公開しろといいながら、国がまた集めるという話になるわけですね。そうすると、データ入力側にしたら、どっちに入れたらいいの、もっと連携してよという話が常に出てくるわけですね。だから、データのオープン化はいいんですけど、そのデータをどういう形で持つのか、国としてまとめて持つのか、大学が、例えば自分のところの、言ってみれば、競争力強化のためにいろいろデータ分析しなきゃいけないときのデータは手元に置いておきたいというのはあるわけですよね。だから、そのデータベース連携というか、オリジナルは、どこに持って、どこに入れて、どういうふうに流通させるんだということは、大学も含めて、議論を進めていっていただかないと困ります。そのあたりの検討を是非お願いしたい。全体の方向として、私も全くいいと思うので、御検討をお願いしたい。

【加藤委員】  よろしいですか。データを統合化するというのは、データにもいろんなデータがございます。センサーのデータという形の大規模なデータもございますし、研究成果のデータと、同じ次元で考える内容ではございません。それから、データを全部集めてくるというお話のところで、データの場所がどこにあってもいいという前提で、オープンになったデータは、基本的には収集はクローリングのような形で収集できてくると。その後、逆にその利用価値ができるような形でそのデータを変換して分析ができるような体制にするというようなことを考えておりまして、場所はどこに置いてもいいということを考えております。
 また、私どもJSTにおきまして、ほかの機関が作ったデータにつきまして、これは全部オープンだということを私どもが言うわけではございませんので、オープンなデータについてはできれば統合化していきたいということでございますので、統合化することによって新しい連携ができてくるということでございます。だから、オープン化したものについては集めてくることも可能ですし、その場所に置いておいてもいいですということでございますので、決して何か、JSTってそれだけの機関でございまして、何かJSTが全部集めてくるようなところではなくて、今、NBDCがやっているのも同じなんですね。各ところにデータベースはあります、実態が。それを横断検索ができるようにして、こういう検索の中ではそのデータベースにいくというようなやり方の今は統合検索というか、統合化をしているわけでございます。決してそのデータベースを全部持ってくるということでやっていることではございませんので、その辺、利用する側にとって利用しやすい形でどういう形で持つか。あるいは一時的にJSTに持ってくるかということも必要かもしれませんけれども、その辺は利用のやり方によって大分変わってくるかなと思っております。

【美濃科学官】  多分そのデータの種類だとか、そういういろんなデータがあるので、それに応じてちゃんと議論をしてやっていただきたいというのがお願いでございます。勝手にやられて困るということがよくありますので。

【加藤委員】  分かりました。ありがとうございます。はい。議論なくて、これ、できない話でございます。

【美濃科学官】  お願いいたします。

【加藤委員】  はい。

【西尾主査】  じゃあ、美馬委員の方からどうぞ。

【美馬委員】  すいません。これは委員長か、あるいは文部科学省の担当の方にお聞きすべきことかよく分からないんですが、今日、これだけの時間をこの委員会で、この今のJSTの今後の方向性ということを発表された意味というのをもう一度確認させてください。
 つまり、ここでは学術情報基盤の整備の在り方ということで提言を考えてきたわけですね。その中では、今日前半にあったように、かなり教育寄りの資源のリソースをどうするかという話だったので、今後、研究のこういう情報はこういう形で今、進もうとしているということを紹介された上で、もし、この提言書に盛り込むとか、その中でも触れていくのか。あるいはそれか、後、今後の日程というのが資料5にありますけれども、今後はその研究の情報流通というか、利用について基盤をどうしていくかという、後半の議論に関係するので、ここにあったのか、ちょっとそのあたりを教えてください。

【西尾主査】  分かりました。では、長澤室長からお願いします。

【長澤学術基盤整備室長】  これは前回にまとめたものが学術情報基盤という形で話したときに、その学術情報の流通に関する事業として、JSTとか、NIIとか、国会図書館とか、そういうふうな連携を図って流通を進めていくということが一応審議のまとめに入っております。そういう観点からしたときに、こういったJSTの事業をどうやっていくかというふうなことも、今後、これはそのフォローアップとしてこの委員会でやっていく必要があるということで、一応こういうふうな方向性、そういう上で審議事項ではないんですけれども、ここで有識者の先生方に御意見を頂いて、JSTの方でフィードバックをして事業に生かしていただくという趣旨で御説明をしていただいたのと、これから、次は、情報流通という観点でネットワークの審議に入っていきますので、そういう観点でもこういったデータのオープン化というのは入ってきますので、そういうところでも先生方に知っておいていただければということで、本日御紹介いただいたということでございます。

【美馬委員】  最初に、それ、あってほしかったですよね。

【長澤学術基盤整備室長】  失礼いたしました。

【西尾主査】  私の方も議事の進行上、その説明が足らなかったと思いますので、その点御了解いただければと思います。
 山口委員、どうぞ。

【山口委員】  プレゼンテーション、ありがとうございました。
 5ページにあるJSTの情報事業のミッションの変革について質問させていただきたいと思います。わたくし自身、ここで言われている科学技術の情報と異分野の情報をつなぐ仕組みの重要性は、学術国際情報センターに所属する研究者として大変痛感しています。同時に、仕組みというのは、結局異なる領域を連携させるためのツールであって、それを利用する側の研究者のモチベーションをどの様にあげていくのか、また、科学技術の情報と異分野の情報をつなぐためにどの様なデータを提供するのか、それをどのように活用していくのかという点について、JSTとしてはどの様な戦略をもって今後促進していくのかを聞かせていただきたいと思います。

【加藤委員】  今までの情報提供事業におきますと、JSTとしてこういう形で情報を提供しますという、提供者の形での提供の仕方なんですね。それで、これから情報のイノベーションを起こしていこうといった場合には、逆に言ったら、研究者の目線でこういう加工、こういう分析をするとこういうことができるというようなところを押さえていく必要があるだろうと。今、NBDCでも同じなんですけれども、基本的に情報をデータベース化したものについて、どういうツールが必要かとか、こういうツールを作るとこういうことができるというものにつきましても、研究者の皆さん方に開発をしていただいて、それをツールとして、またオープン化して提供させていただいているというやり方をとっております。一部にはそういうやり方で利用者、あるいはマーケティングの面からそのツールを作った方がいいかもしれませんし、そこにつきましては、公募だとか、ファンディングだとか、そういうようなやり方で、あるいは研究者と共同開発するとか、共同研究するだとか、そういうやり方でやっていく必要があるのではないかなと思っています。
 ただ、JSTとしては、そのインフラの部分はきちんと提供すると。で、ある一定のツール、利用方法につきましては、私どもが提供しますけれども、それ以外のいろんな使い方につきましては、むしろ広く一般の研究者の方々を含めてノウハウを活用していくような仕組みにしていきたいなという、これは模索中でございます。現状まだできておりませんので。ただ、NBDCの中では同じようなやり方で既に進めておりますので、一つのプロトタイプとしてこれをうまく活用していければなと思っております。

【西尾主査】  そろそろ最後になりつつありますが、御意見とか、コメントとか、更にございましたら、挙手いただければと思いますが、いかがでございましょうか。
 それでは、今日いろいろと頂きました御意見につきましては、今後のJSTの事業展開に生かしていただくことができれば、ここで議論したことが有意義になると思います。また、今、お話しいただきましたことは、今後、本委員会でアカデミッククラウド・データ科学の進展というところを踏まえた学術情報基盤の在り方の検討に入っていくうえで、前もって我々に頂いた情報として、有り難く聞かせていただきました。感謝いたします。

【加藤委員】  ありがとうございました。

【西尾主査】  そうしましたら、今日、予定しておりましたことに関しましては議論することができましたので、ここまでで閉じたいと思います。返す返すも学修環境充実のための学術情報基盤整備についての審議のまとめに関しましては、短い時間にもかかわらず、活発な議論を頂きましたことに対しまして、ここで皆様方に改めてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 あとは事務局の方にバトンタッチしたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

【下間参事官】  私の方から申し上げるのは、今、西尾先生からお話しいただいたことでございまして、本当に短期間の中を精力的に、またメール等でも御審議を賜りまして、おおむねのその方向性については、本日お取りまとめをいただいたかと存じます。まだ、いろいろと御意見を賜りながら、最終的に8月の取りまとめに向けて切磋が必要な部分がございますけれども、この学修環境充実のための学術情報基盤の整備についての審議のまとめを大学など関係者の皆様方に大いに活用し、また、整備等に生かしていただくべく、私どもとしても引き続き取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

【長澤学術基盤整備室長】  続きまして、連絡事項をさせていただきます。
 本日の会合の議事録につきましては、委員の先生方に御確認いただいた上で公開をさせていただきたいと思っております。
 次回の学術情報委員会でございますけれども、次期学術情報ネットワーク(SINET5)の整備を含みますアカデミッククラウド・データ科学の進展を踏まえた学術情報基盤整備の在り方について御検討いただくということを想定しておりまして、内容につきましては、NIIの方からSINET4の現況について御説明していただいて、考えるべき内容等についての意見交換をさせていただきたいと考えております。日時は、9月12日木曜日でございまして、10時から12時、場所はここと違いまして、13階1・2会議室ということになってございます。また御連絡させていただきますので、日程の確保をよろしくお願いいたします。
 また、それ以外の日程につきましては、資料5のとおりでございますので、よろしくお願いいたします。
 今後ともよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

【西尾主査】  それでは、閉会とさせていただきます。本当に本日はありがとうございました。

 

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