資料2 総合政策特別委員会(第1回~第6回)における主な意見(情報関係抜粋)

総合政策特別委員会(第1回~第6回)における主な意見(情報関係抜粋)

第1回から第6回までのご意見(第6回科学技術・学術審議会総合政策特別委員会 参考資料1抜粋)

1.社会経済の状況・変化

○ デジタル化の進展に対して日本の取組は非常に遅れている。産業界にも責任はあるが、コモディティ化がどんどん進んでしまい、商品のハードウェアには汎用部品しか乗っておらず、ソフトウェアの違いしかない。ところが、日本では、ソフトウェアの研究開発や教育がほとんど実施されてきていない。このままでは、部品・マテリアルは強いけれども、商品・製品では全く太刀打ちできない、となりかねない。
○ 我が国では、行政におけるICT利活用が、諸外国に比べて圧倒的に遅れており、ビッグデータを用いた行政の効率化等、まだまだ改善できる部分は多い。

2.第1期科学技術基本計画からの実績と課題

(人材養成に関する課題)
○ 研究データのデータベース化に当たっては、データを分析するデータサイエンティストが日本は非常に少ない。日本ではこういう仕事が評価されないので、この分野に進むことを妨げている。

3.目指すべき国の姿

 特になし

4.イノベーション基盤力の強化

(研究開発活動を支える基盤技術開発、研究施設・設備の戦略的強化)

○ 運営費交付金が削減される中で、研究開発基盤、インフラ、データベース等をどう維持していくかが課題。
○ ビッグデータ関係が基盤技術としても、環境整備としても非常に重要であり、第5期基本計画では、「ビッグデータ」が重要なキャッチコピーの一つとなるべき。
○ コンピューティング技術が単にスパコンの開発だけに終わらないよう、ビッグデータのためのデータ収集・分析というようなシステムも是非視野に入れて欲しい。
○ 特許や論文など、研究成果の情報を蓄積することを我が国全体として義務づけるなど、ビッグデータに関する情報基盤を整備する必要がある。
○ インフラの維持については、競争的資金や単年度の取組ではなく、価値を高めるためにも運営コストも考えた戦略的な投資が必要であり、それがイノベーションの基盤になる。
○ 共同利用の施設・設備について、多くの研究者の支持が集められるような施設・設備は残すが、そうでないものは検討を促すことも重要ではないか。
○ 多くの研究者の支持が得られないような施設・設備でも将来を考えたときに残しておくべきものはあるはず。そういうものをエビデンスベースで見ていくことが必要。
○ 共同利用やデータの共有について、大学や研究者にインセンティブがないとなかなか進まないのではないか。現状では、共同利用すると予算が削減されることがあるが、コストを減らすことに対してインセンティブが働くようにするべき。

(産学官連携の革新)

○ 現在、ビッグデータの活用、すなわち大学や公的機関のデータを、匿名化し、ビジネスに展開していくかが非常に重要であり、産学官で流動性させる情報の中に、知識、技術に加えてデータも加えてもらいたい。
○ 産学官連携を考えるときに、大学病院の在り方を考えることが重要。諸外国では大学病院は組織的に大学本体と切り離されており、また、医療の現場には、ビッグデータの問題、産学官の連携の問題などが集約されているので、医療イノベーションを考える際には、大学本体とは別に考えるべき。

(イノベーションシステムを支える人材の育成・確保)

4.科学技術イノベーションによる社会の牽引

(急速に進化を続けるサイバー社会への対応)

○ 知識基盤社会においては、情報とその分析能力自体が資本となる中で、我が国がICTを重点分野に置くことは重要。
○ 第3期科学技術基本計画以降現在に至るまで、分野別で予算が縮小しているのはICT分野のみであり、更なる投資の拡充が必要。
○ ICT分野に関して、ハードについては我が国は競争力を保持しているが、産業界や教育も含めて、ソフトウェアに対する考え方が弱かったのではないか。こうした考え方を変え、競争の土俵を我が国自らが先導して提供していくことで、競争力を発揮できるのではないか。
○ ビッグデータについて、皆が使え、流通・処理できるようにしておかないと、諸外国に置いてきぼりをくらう。ソフトウェアの重要性を強調すべき。
○ ビッグデータの解析が重要であり、欧米をリードして社会を観測するメカニズムを構築し、これを多様な分野における社会的課題に対して適用していくことが重要。
○ スパコンやSINETなど、世界最先端を目指したインフラ高度化への投資も国の重要な役割であるが、その重要性が必ずしも認識されていない。
○ 情報セキュリティ分野は日進月歩であり、知識を蓄積していく力よりも、日々現場で起こっている事象に対する判断力が求められる。このため、物理や化学といった分野に比べてインパクトファクターが低く、論文が出にくい。また、情報セキュリティ分野の研究を行い、知見を蓄積しても、こうした理由から、直接的に経済的対価に結びつかない状況にある。現在、情報セキュリティ分野のソフトウェアの研究と、実際の現場での取組が、関連なく行われている状況であり、改善が必要。
○ 従来のコンテンツ以外に、ビッグデータということで様々なデータの活用が今後重要となるが、実際に商用に使おうとすると最初の許諾が問題になって活用できない場合が多い。既に集まっているデータ、これから集めるデータに関して、商用化を保証したデータの集め方を考えていく必要がある。
○ 一般的に、国民は、自らの行動からデータを採取されることに抵抗感を持っている。ビッグデータの利活用に当たっては、こうした国民感情も踏まえ、使用用途を説明するなど、丁寧なコミュニケーション行うことが重要。
○ ICTの発展により、AIが搭載されたロボット等が起こした事象に対する責任や、データの中に入ってしまった個人情報が削除される権利である「忘れられる権利」の問題など、新たな問題が生じてきているが、これらに対する議論が進んでいない。
○ ICT分野において世界と戦っていくためには、データサイエンティストやセキュリティ人材等の育成など、情報科学技術に係る基盤を強化していく必要がある。

(社会からの信頼回復)

6.科学技術イノベーション創出機能の最適化

(大学と研究開発法人の役割)

○ 大学、研究開発法人それぞれがやっていくべきことは何なのかを分析してはどうか。
○ 研究開発法人の仕組みを変えることを踏まえて、産学間の連携について改めて仕組みをきちっと作った上で交流を図っていく必要がある。ドイツのフラウンホーファーのやり方は一つの参考になる。

7.科学技術イノベーション政策の推進体制の強化

(政策の企画立案及び推進機能の強化)

○ 第5期基本計画を出して検証する際に、アンケート調査だけではないやり方を考えておく必要がある。ビッグデータなどは解析に役立つ。

第6回での主なご意見

議題(2)国の資源配分戦略の在り方について

○「超サイバー社会」という言葉が前回の総政特の資料に用いられていたが、IoT、セキュリティの観点は重要。物流や交通システムにおけるビッグデータ利活用も考えられるが、こういったものは公的に進めていくべき。
○どの研究者にも最低限必要なもの(例:論文への電子的なアクセス、ネットワーク)を毎回概算要求して、その結果次第でアクセスが制限されてしまう現状はおかしい。研究環境整備に最低限必要な経費は国が負担すべき。

議題(3)中間とりまとめ構成(案)の審議について

○第5期計画ではICTを新たに位置付ける方向性の中、現在の目次案では、第4章「科学技術イノベーションによる社会の牽引」に位置付けられており、結局社会課題解決のツールが強調され、サイエンスの観点が欠けてしまうことを危惧する。第2章や第3章の1.の次に項立てすべきではないか。

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