資料1 前回の研究環境基盤部会における御意見の概要

平成30年5月25日研究環境基盤部会(第93回)における御意見の概要

(1)機関における研究の質向上
1 機構法人のガバナンスの強化
○一つの法人である以上、大学共同利用機関法人(以下「機構法人」)のガバナンスの強化は非常に重要であるが、これは、資金が厳しいからという理由だけで行うものではない。研究の進展や経営環境の変化に対して、どのように各機構法人がしっかりと議論して、機構長のガバナンスを発揮するか、ということが重要。

2 人材資源の改善
○(2)に関わることとして、人材獲得・育成の観点から、ポスドクの重要性は言うまでもないが、このことについて議論するためには、機構法人が受け入れているポスドクについて、日本人か外国人か、学位の取得機関はどこかなど、もう少し中身を把握して臨むことが必要ではないか。

4 機関の構成の在り方
○大学共同利用機関(以下「機関」)については、もう少し柔軟に入れ替えができるというようなことを考えた方がよい。例えば、1法人が17機関を設置する、というのが乱暴なのであれば、そこに4つのクラスターを設けるというのはどうか。クラスターであれば、融合することができる。今のままでは何も動かないのではないか。

○研究計画が陳腐化しているのではないか、という指摘もあるが、KEKにおける加速器を用いた研究については、各国が競争しつつ、協調して行うというスタイルが確立しているため、現在のところ、そのようなことは起こっていないと考えている。

○情報・システム研究機構の機関には、外部委員も含む運営会議など各種委員会が置かれており、コミュニティの要請もそこで聴いている。各機関は、名称は変わっていないが、社会やコミュニティのニーズに応じて、内部組織の組み替えは頻繁に行っている。

○自然科学研究機構の機関は、名称は変わっていないが、研究内容は変わってきており、研究領域が抜けているということはあまりないと思われる。ただし、新しい学問分野が出てきている中、機関の数は限られているので、全てカバーできているかというと、そうではないと思われる。
新しい学問分野について、フィージビリティスタディをする組織として、「新分野創成センター」を設けている。ただ、新しい研究組織を作るとなれば、つじつま合わせ的なものでは無理であり、投資が必要である。

○人間文化研究機構の6機関はそれぞれ研究者コミュニティが異なっているため、それぞれのコミュニティの要望に応じてプログラムを推進している。変えてはいけないオーソドックスな部分と時代に要請に応じた部分について、それぞれの機関が対応している。
これに加えて、機構本部に「総合人間文化研究推進センター」を設け、外部の意見も聴いてプログラムを作り、ネットワーク型で、自分たちが有していないリソース、分野も加えて研究している。

○機関には、それぞれの分野で世界トップレベルであることが求められていると思う。

○機関が世界トップレベルであるかについては、1つの指標として、外国から参加している研究者の数が考えられる。KEKの場合は、合計1,500人程度の研究者が参加しており、100人程度が常に滞在している状況。このように、外国の研究者が日本人研究者と切磋琢磨して研究している。

○機関が世界トップレベルであるかの指標については、科学研究費補助金の取得率が考えられる。情報・システム研究機構は、これが非常に高い。また、自分たちのためではなく、全国のために整備しているSINETや、トップの技術が必要な情報セキュリティといった面でも貢献している。


(2)人材育成機能の強化
○機構法人と総合研究大学院大学(以下「総研大」)は別法人でありながら、強い連携を求める仕組みとなっており、総研大の教員でありながら、機関の研究者でもあるため、様々な課題があると認識している。

○総研大は、大学院生の立場では、先端の研究をしているところで研究できるため非常に魅力的。研究者の立場では、次世代を育成しないと、立ちいかない分野では、次世代を育成するという気持ちを持っている。総研大の在り方については、大学院生と研究者の双方の視点を考慮する必要がある。

○総研大については、社会人の入学を増やすようなことはできないか。機械工学とITについては、研究者人口が圧倒的に足りていない。このような時代のニーズを踏まえ、企業の研究者のステップアップのため、機械系を拡充することを考えられないか。


(4)機構法人の枠組み
○1法人に17機関が入っていてはいけないのか。いけないのであれば、その理由が知りたい。現在の4つの機構法人に分かれていることの価値が知りたい。
新分野を生み出したり、どこかを強くしたりする際に、ヒト・モノ・カネというリソースをスケールが小さい1つの組織から生み出すのは困難。必ずしも一法人化すればよいというわけではないが、スケールメリットというものがあるということに気付くことが必要。

○ビジネスの世界における連携の目的は、できるだけコストをかけず、最大の結果を出すために、全て自前でやらずに使えるところはお互いに使って、お互いに成長しましょう、というもの。企業では、ガバナンスの管轄や全体のポートフォリオをみる組織としてホールディングカンパニーを設けているところが多い。機関についても、そのような組織があった方が、優先順位付けや資源分配がやりやすくなるということもあるのではないか。

○現在の4つに分かれた機関の構成がよいのかということについては、継続的に考えていく必要はあるが、1法人化にした場合、適切なガバナンスが可能なのか、法人の中で適切な資源配分が可能なのかという危惧がある。

○KEKとしては、海外の研究機関と直接交渉して協定を締結したり、J-PARCを国立研究開発法人日本原子力研究開発機構と共同運営したりするには、自律的に意思決定できる法人である必要があるため、1法人化には馴染まないと考えている。

○1法人化すると効率化できるところはあるとは思うが、平成16年度に現在の枠組みとなって以来、その枠組みの下で努力して作り上げてきたものがある、ということも考慮する必要がある。

○1法人化すると、ある意味、17の機関がばらばらに戻るのであり、その場合、目配りの効いた優先順位付けや重点化が本当にできるのかということも考えないといけない。

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