平成21年6月19日
総合科学技術会議
環境・資源制約といった地球規模で直面する課題への対応や、グローバル化が進展する中での国際競争の激化への対応に加えて、世界的な金融・経済危機の中にあって中長期的な経済成長を確かなものとする上で、科学技術への賢明な投資が重要である。
特に、平成22年度は、第3期科学技術基本計画の最終年度にあたることから、「政府研究開発投資の総額の規模、約25兆円」に込められた国民の期待に向け、科学技術関係予算を充実するとともに、第3期科学技術基本計画及び分野別推進戦略の中間フォローアップ結果を踏まえ、目標達成に向けて取組を強化し、さらに第4期科学技術基本計画に向けた施策の検討を開始することとする。
このような認識のもと、科学技術・イノベーション施策を推進し、我が国を取り巻く課題解決のため科学技術に求められる期待・要請に応える。
なお、宇宙分野について科学技術を含めた宇宙政策全般に亘る宇宙基本計画が決定されたところであり、同計画や海洋基本計画など他の基本計画をも踏まえつつ施策を推進することとする。
我が国が直面する危機を受け止め、その克服のための取組が、新たな成長の原動力となって、安心と活力のある社会を構築することが、今、我が国の科学技術政策に求められている。
このため、平成22年度は、目指すべき国家像の実現にどのような科学技術が必要かという視点に着目して、次の最重要政策課題に予算等の資源を重点化するとともに、最重要政策課題への対応の基盤となる取組を強化することとする。
「経済財政の中長期方針と10年展望」(平成21年1月19日閣議決定)において将来展望として描かれた低炭素社会・健康長寿社会を実現することは国家的課題である。この目標に向け科学技術政策の重点化を図ることが、環境・資源制約を突破し、グローバル化する世界の中で日本が生き残り、日本社会の構造的危機(国力の低下)を回避する道である。また、他国の追随を許さない科学技術を保持し続け、イノベーションに結びつける取組などが重要である。
このような観点から、以下のとおり最重要政策課題を設定する。
環境と経済を両立させながら地球規模で直面する課題に対応するために、「環境エネルギー技術革新計画」に示された革新技術の研究開発目標を前倒しで実現するための取組を加速化するとともに、気候変動適応策に資する技術開発を推進
健康長寿社会のニーズに応えるため、健康研究推進会議において策定する「健康研究推進戦略」に基づく「平成22年度健康研究概算要求方針」により、革新的医薬品・医療機器等の開発を促進(橋渡し研究・臨床研究拠点の機能強化等)するとともに、革新的シーズの発掘に向けた基盤整備、レギュラトリーサイエンス等を推進
「革新的技術戦略」により、他国の追随を許さない革新的技術を生み育てる取組を強力に推進する。そのため、「平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分の方針」において科学技術振興費の1%規模で創設するとした「革新的技術推進費」については、革新的技術の動向を踏まえ、必要な充実を図る
科学技術外交の戦略的展開の観点から必要となる先端研究分野の国際協力、途上国・新興国との協力における重点課題への対応及び地域毎の特性に配慮した地域戦略に資する施策の推進
研究成果の社会還元を加速するため、実証研究と制度改革の一体的推進
地域活性化を図るため、多様性や国際競争力のある地域科学技術拠点群の形成、地域イノベーション人材力を強化
我が国の国力の源泉である科学技術が将来にわたって発展していくためには、基礎研究の強化により絶え間ないシーズが発掘されるとともに、それを担う多様な人材の育成・確保、活躍の促進が重要である。また、研究開発活動によって得られた成果が適切に保護・活用される環境の整備が重要である。
このような観点から、次の取組を推進する。
(1)基礎研究の強化を図るため、独立した若手研究者の育成システムの拡充・改善、世界トップレベルの研究拠点の拡充とともに研究教育拠点の多様化や新たな組織整備への支援等による裾野の拡大、長期的・安定的な研究のため、基盤的経費の確保を図りつつ競争的資金を拡充
(2)国際競争を勝ち抜ける高度科学技術人材とりわけ高度産業人材育成の根幹となる大学院教育を抜本的に強化するため、産業界との連携による実践的・体系的なカリキュラム開発、大学院生をTA・RAとし教育研究に参加させ自立を促す施策の充実等を推進
将来の科学技術を担う人材を継続的に育成・輩出するために、小中高校における魅力ある理数教育を推進
(3) イノベーション促進型知的財産システムへの転換等、「知的財産戦略(2009年)」の施策の推進
(1)我が国の底力の発揮や中長期的な経済成長につながるように、本方針の最重要政策課題、そのための基盤的課題(以下、「最重要政策課題等」という)及び第3期科学技術基本計画のフォローアップ結果を踏まえ、関連する効果的な施策を具体化すること。
(2)平成21年度の革新的技術推進費で加速対象となった技術課題について、加速の効果が維持されるよう、必要な予算を措置するなど、関係府省は努力すること。
(3)先端医療開発特区採択課題の研究開発が所期の目的どおりに促進されるよう、必要な予算を措置するなど、関係府省は努力すること。
(4)研究成果の国民への還元を加速するため、制度・運用上の隘路を解消するなどの方策等を設定し、目標達成のために最適の手法、工程、資金計画、研究開発評価により課題解決に有効かつ効率的な取組を行うこと。
(5)予算額の確保のみならず、措置された予算の一層の弾力的活用等、質の向上に努めるとともに、研究者が研究に専念できるよう研究支援環境の改善に努めること。
(6)関係府省との連携、府省共通研究開発管理システム(e-Rad)の活用等により研究予算の不合理な重複等を排除するとともに、研究費の不正使用等の防止に向けた取組の徹底を図ること。また、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」に沿った研究開発評価システムの改革を推進すること。
(7)上記、(1)~(3)に係る施策の予算を独立行政法人の運営費交付金により措置する場合には、関係府省は、これらの施策が当該独法の中期目標・中期計画上の「業務運営の効率化」対象から除外されるよう努めること。
(1)府省単位の全体ヒアリングを実施する。その際、本方針に掲げる最重要政策課題及び分野別推進戦略の中間フォローアップを踏まえた戦略重点科学技術への重点化の状況(所管独法については取組方針)並びに府省間連携の取組状況を把握する。
(2)社会還元加速プロジェクト及び以下の2.に係る施策以外の個別施策については、新規・継続に分類した上で、優先度判定等を実施。その際、最重要政策課題等優先して取り組むべき効果的な施策に資源が適切に配分されるよう、施策の相対的比較により施策間の優先度等を一層明確化。また、平成22年度が第3期科学技術基本計画の最終年度であることに鑑み、中間フォローアップ結果を踏まえ、研究開発目標の達成に有効な内容かについても確認する。
(3)各府省の取組に対する総合科学技術会議の見解を取りまとめ、各府省に明示。本方針に沿った予算となるよう働きかけを強化する。(1)及び(2)の具体的方法は科学技術政策担当大臣及び総合科学技術会議有識者議員が決定し、各府省に通知する。
我が国の持続的な発展及び底力の強化や、中長期的な経済成長に資する国家的に重要な課題については、関係府省間の連携による一体的取組が求められるものがある。このため、複数府省が連携して戦略及び戦略を実施するための関連施策のパッケージを策定しようとした場合であって、概算要求に先立ち、総合科学技術会議がその妥当性を確認(認定)した場合には、当該施策のパッケージについては、社会還元プロジェクトや健康研究概算要求方針に盛り込まれた施策と同様に、個別に優先度判定等を行わず、施策パッケージとして最重要政策課題とみなすこととする。
なお、「平成22年度健康研究概算要求方針」に盛り込むべき施策については、概算要求に先立ち、総合科学技術会議がその内容・妥当性を精査・評価する。
平成21年度補正予算により、「最先端研究開発支援プログラム」が創設された。この制度は、2,700億円の基金を活用し、基礎研究から出口を見据えた研究開発まで、さまざまな分野及びステージを対象とした先端的研究課題のうち、3~5年間で世界をリードし、世界のトップを目指し得る研究課題を選定し、科学技術の分野でわが国を代表する研究者による研究開発を支援するものである。平成22年度は本プログラムの実施期間中であり、平成22年度科学技術関係予算は、本プログラムにおいて支援される研究開発の取組を踏まえつつ、個別研究課題・研究者レベルでの不合理な重複を排除し科学技術の相乗的な振興が図られるよう執行に努めることが重要である。
高橋、中村、谷村
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