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科学技術・学術審議会学術分科会

2004年4月23日 議事録
科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会(第2期第11回)議事録


1. 日時   平成16年4月23日(金曜日)15時〜17時
       
2. 場所   文部科学省 10階第1〜3会議室
       
3. 出席者    
  委員:   池端部会長、家部会長代理、飯吉委員、池上委員、井上委員、垣生委員、伊賀委員、甲斐委員、谷口委員、鳥井委員、鈴木(昭)委員、豊島委員、末松会長
  事務局:   石川研究振興局長、井上科学技術・学術政策局次長、岡本学術研究助成課長、土橋調査調整課長 ほか関係官
       
4. 審議概要
 
(1) 応募資格の見直しについて

 事務局から資料2「科学研究費補助金の応募資格について(案)」に基づいて説明の後、質疑応答があった。

(○・・・委員 △・・・事務局)

 
委員  応募資格要件として、なぜ、資料中の4「科学研究費補助金が交付された場合に、機関として補助金の管理を行う用意があること。」が必要なのか。関係ないのではないか。

事務局  研究者が応募する場合は、研究機関がその研究者についての補助金の管理を行うということを担保することを応募条件に入れるということである。

委員  しかし、補助金は研究機関に対して出るのだから、研究機関が管理するのは当然ではないか。

事務局  補助金は、研究者に交付されるという前提であり、補助金の経理管理は機関に行ってもらうというルールであるため、このような条件案を提示した。

委員  基本的な考え方としてはこれでよいと思うし、研究機関にその判断を任せるという方法も妥当なものだと思う。質問だが、研究者番号は1人1つという原則を貫くのか。

事務局  例えば2つの研究機関に所属し、両方の機関で研究者として位置づけられ、研究ができる場合は、両方から応募することも可能になるという案を考えているが、そのような場合でも、研究者番号は1つということで考えている。

委員  一人の研究者が複数の研究者番号を持ってしまうと制度として成り立たなくなる。応募を受け付けた後に確認するのはなかなか難しいので、研究者番号は1人1つということを公募要領に明記して、違反したらペナルティを科すしかないと思う。
 また、非常勤研究者の応募資格について最も問題となるのは、若手のポストドクターレベルの研究者だろう。例えば、今、資料2の1ページ目に特別研究員奨励費というのがある。これは日本学術振興会の特別研究員が申請を行えば交付を受けられるものだが、それらの特別研究員は、これがあるから科研費の他の種目には基本的に応募できないとした場合、他の研究費によって雇用されるポストドクター等、特に若手の非常勤研究者の応募資格の判断がかなり微妙で難しくなると思うが、その点はどのように考えているのか。

事務局  資料2について補足説明をさせていただきたい。1ページ目に提示してあるが、応募資格の案の対象となる研究種目が、特別推進研究、特定領域研究、基盤研究、萌芽研究、若手研究であり、対象とならない研究種目は奨励研究、特別研究員奨励費等である。奨励研究は応募資格を問わない研究種目であるため、ここでは対象外としている。また、特別研究員奨励費は日本学術振興会の特別研究員に採用された研究者に科研費から研究費を交付するものであり、交付対象者が限定されているので、ここでは区別して考えている。

委員  日本学術振興会の特別研究員、その他の研究経費によって雇用されるポストドクター等様々な種類の研究者がいるが、その中で、どのような研究者には応募資格を与え、どのような研究者には申請資格を与えないということを想定しているのか。現在も様々な範疇のポストドクターというのがあり、今後それはますます増えていくだろうが、単に非常勤で大学等の研究機関が認めれば科研費への応募資格を認めるという定義では、グレーゾーンのものがかなり出てくるのではないか。

事務局  前回までの議論でも、他の研究プロジェクトで雇われている研究者は、当該研究プロジェクトから人件費等を得ていながら科研費に応募するのはおかしいのではないかという意見と、機関の長が認めればいいのではないかといった意見があった。本日の案においては、それは基本的に研究機関で判断すべき問題であると考えている。

事務局  他の制度で雇われている研究者については、科研費の応募資格は全て認めるという案である。当該他の制度において科研費への応募を認めるかどうか、つまり、職務専念義務を課すかどうかという問題であり、当該制度の側で科研費に応募することを認めるのであれば、科研費制度としてそれを止める理由はないというのが基本的な考え方である。

委員  平成16年度より大学共同利用機関が独立行政法人化し、研究機構という大きな組織になったが、研究機関番号との関連で質問だが、この研究機構をどのような形で研究機関として捉えるのか。

事務局  大学共同利用機関は、従来から大学共同利用機関として研究機関と認められており、それ自体は同じである。研究機関の取り扱いに関しては法人化後も基本的には変わらない。ただし機構の判断で機構として指定機関となることもできる方向で取り扱っている。

委員  資料2で示された応募資格要件の案の1に、「指定された機関において研究活動を行うことを職務に含む者として」とあるが、実際の評価にかかわった際、非常勤の教授や特任教授で、来年度分の科研費が採択されることを条件に、機関でのポストが約束されているといったケースが複数あった。この場合、応募を行う前年度の11月の時点ではこの条件を満たしているが、実際交付を受ける時点では、「職務を含む者」に該当するかが不明である。このような研究者の応募資格について、ぜひ本部会において議論すべきである。

事務局  応募する際は、その時点で資格を有している必要があるわけだが、課題が採択され補助金が交付される時点では失っているかもしれないという場合、それは有資格者ではないと考える方が普通である。従って、現在、特任教授である研究者が応募することは可能だが、今後、特任教授に就任できるかもしれないという場合には応募できない。

委員  それはおそらく、競争的資金の最も根幹の問題であるが、基本的にはそれらの研究者にも応募資格を認めるべきではないか。実際に、ある特任教授が、応募した課題が採択されたものの、大学側が継続して雇用する予定がなかったため、交付を受けることができなかった例があった。しかし、応募した課題が採択された場合、その研究者に研究の場所を与えることを所属機関が保証していれば、応募を認めてもよいのではないか。それにより、優れた研究を行う研究者に科研費を交付できるようにすべきである。

委員  そうすると、研究機関に、その保証を明示してもらうということでよいか。

委員  その保証がなければ応募を受け付けないということである。

委員  科学技術振興調整費で特任教授として雇用されている研究者などが、競争的資金に応募した場合の取り扱いについてもどこかで議論する必要があるのではないか。個人的には、科研費は個人に対する補助金であるので、意欲のある研究者にとってうまくいくような方向を考える必要がある。

事務局  ただいまの意見を資料上で整理すると、1つは、資料2の1ページ目の2「当該研究機関において、実際に研究活動に従事していること」という条件を附すかどうかである。本日の案では、先ほどお話のあったような任命される予定があっても、応募時点で任命されていない研究者の場合は応募を認めないということで2の条件を入れている。2を削除すると、今は機関で研究していないが科研費をもらったら研究するという場合が認められる。
 もう1つは、1で示した研究機関への所属というものをどのように捉えるかによる。応募の時点では機関に所属していないが、今後所属する見込みであるといったケースを認めるかどうかであるが、現在の取り扱いでは、応募資格というのは応募する資格であるとともに、審査が終わった後、補助金の交付を申請する資格であり、かつ、補助金の交付を受けた後、研究を続ける資格でもあって、全て連動している。従って、審査終了後、交付の申請を受け付ける際にも、引き続き応募資格を持っていることを確認するよう研究機関に依頼している。また、補助金の交付を受けた後、応募資格を喪失した場合は研究は継続できないというのが現行のルールであるが、それを、応募から交付までの時点は「見込み」でよいと認めるかどうかということである。

委員  現在研究に従事していることというのは、その人が研究者として周囲から認められているという保証になるので、応募資格の条件としても構わないと思う。課題が採択された研究者が、交付の時点まで雇用契約が延長されるかが未定の場合がある。例えば、寄附講座の教授であって、その契約が終了するが、その研究者の応募課題が採択された場合には、研究機関がその研究者を引き続き雇用し、研究が続けられるようにするといったケースを承認するかどうかということである。
 また、先日、他の競争的資金制度の会議において逆の問題があった。間接経費が措置されている競争的資金を獲得した研究者を、採択が決定した時点で他の研究機関が引き抜く。そうすると、研究者とともに間接経費も移動するので、ある機関にとっては、その間接経費は年間収入の中の非常に大きな部分を占める場合もある。それが認められるかどうかという議論があった。結論としては、競争的資金を獲得した研究者が、よりよいポジションへ引き抜かれることは認めないと仕方がないのではないかというものだったと思う。

委員  それはよく理解できる。問題は、課題が採択されたものの、研究機関に所属するという状態になくなった研究者の取扱いをどうするかという点である。

委員  課題が採択されれば研究者のポストを与えることを大学側が保証するという場合に、応募資格を認めるかどうかという問題にかかわってくるのではないか。

委員  基本的には、研究者の研究能力、応募課題の研究内容等を最も重視し、その研究者に本当に研究能力があるならば、資格を認める仕組みを考えていくことが大切ではないか。
 先ほどから議論に出ている応募資格の問題だが、例えば、特別推進研究では、5年程度継続して研究が行われるが、新規採択の1年後に現在所属している機関では定年になるものの、翌年度からは、他の研究機関の教授に採用されることが内定しているといったケースが過去にかなりあったと思う。研究者の異動先が不確定なままでも、その時点では応募資格があるので、研究内容が優れていれば採択するという仕組みが以前から続いていたと思う。応募課題が採択されれば特任教授として雇用されるという場合でも、応募を認める形で考えていくべきだと思う。
 もう1つ、確認だが、文部科学大臣が指定する研究機関の範疇は、従来とは全く変わっていないのか。

事務局  今回まとめている案では、現在、科学研究補助金に認められている機関の範疇を変えるつもりはない。

委員  先ほどの問題だが、応募時点で資格があれば、例え1年後に定年退職の予定であろうと、次にまた別のポストに就任する場合があり得るので、応募は可能ということでよいか。

事務局  そのとおりである。

委員  そのような研究者の応募資格については、現行の制度でも認められている。問題は、先ほど意見が出されたような、応募の時点では資格がないが、翌年度に研究を開始する時点では、研究機関に所属し資格を有する予定の研究者に応募資格を認めるかどうかではないか。

委員  応募の時点で資格を有していることは前提としてもよいと思う。応募の時点で資格を持たない研究者についてどう考えるかは別問題である。

委員  それなら、線引きは可能であろう。

事務局  この「科研費ハンドブック」に記載されているが、現行のルールでは、研究の継続が可能かどうかは、その時点で応募資格を有するかどうかで判断することになっている。例えば、定年となった研究者が特任教授などとして雇用されれば研究は続けられるが、資格を失えば継続はできない。

委員  考え方としてはあまり大きな意見の違いはない。ある研究者についての諸々の研究条件や研究能力等を外部から判断することは難しいので、それぞれの機関が責任を持って判断するというのが応募資格のルールのにあるという理解だろう。応募資格はこの形でまとめる。また、先ほど事務局からあったように、応募資格があることは、交付申請を行う際、また研究を行う際に常に確認されていくということになる。

委員  確認だが、科研費の交付を受けた後の取り扱いについては定められているのか。

事務局  今回の資料にはその記述はないが、現行の補助条件では、応募資格を途中で喪失した場合はその旨を届け出て、研究を廃止しなくてはならない。他の指定された研究機関に異動した場合には、手続きをとれば、研究を継続することができる。

委員  所属の変更があった場合、自動的に研究を廃止しなければならないということではなくて、異動先が指定された研究機関であれば、研究の継続を認めているということか。

事務局  その通りである。これもハンドブックの11ページに記載されている。

(2) 研究種目の構成の見直しについて

 事務局から資料3「研究種目の在り方」、資料4「重複応募制限の現状」に基づいて説明の後、質疑応答があった

 
委員  応募する側の感覚から言うと、2件までは応募可能とした場合、2件応募する研究者が大量に出てくると思うので、これはしない方がいい。むしろ原則1件で、例外として2件応募できる等と定めた方がよい。

委員  今、事務局から説明があり、議題としては研究種目の構成の見直しについてだが、内容は2つある。1つは研究種目の構成自体の見直だが、これは簡単に結論が出せないので、じっくり腰を据えて議論してはどうかということである。もう1つの重複応募の制限の方は、可能であれば平成17年度公募分から整理するのが望ましいので、先に、こちらから議論してはどうかということである。そこで、まずは重複応募制限の問題から話を進めたいと思う。

委員  議論する基礎になる資料について質問だが、資料4の最後にある統計について、ここでの重複には、例えば、特定領域研究における同じ領域内の研究課題間の重複まで含まれているのか。

事務局  ここでは特定領域研究の中での重複は含まれておらず、特定領域研究と基盤研究といった研究種目間の重複に限られる。

委員  実質的な重複ということか。それから、特別推進研究の場合は研究分担者にも専念義務を課しているのではなかったか。また、「申請」と「応募」の2つの語句はどう使い分けているのか。

事務局  特別推進研究の研究分担者にかかる重複の制限についてだが、以前は基盤研究、萌芽研究、奨励研究(A)等の制限があったが、平成12年度に廃止している。
 語句の問題については、補助金を交付する側の立場から見れば、交付申請書の提出を補助金上の「申請」という。一方、研究者の立場から見て「申請」とは、課題審査の場に書類を提出することをいってきたが、語句の使い分けが明確にされていないと、様々な部分で問題が出てくるので、後者を「応募」という語句で区別させていただいた。

委員  今の説明では、とりわけ特別推進研究の場合、どちらかというと、重複を認めていくという方向で動いてきたということか。

事務局  今回の提案理由は、重複を認めるか否かに関わらず、わかりにくい部分をわかりやすくする方法として、ルールの単純化が図れないかというものである。科研費では従来から、多数の研究課題に参加することは避けるべきという理念がある。重複応募の制限も、この理念に基づいて定められている。

委員  今の説明を聞いても、何を意図しているのかよくわからない。他の制度と異なる科研費の特長は、基礎的な部分の研究について担保している点、また、どんなテーマでも応募してよいとしている点であり、重複応募の制限の問題よりも、そのような点や、総合科学技術会議から指摘のあった各分野への配分の割合の問題、若手研究者の活性化の問題等について議論すべきである。

委員  資料中の「参考」にあるように、1から9までの検討事項を整理し、これまでに1番目の「応募資格の見直し」、それから6番目の「不正な行為の防止」、7番目の「独立した配分機関体制の構築」についても議論した。それから、2番目の「研究種目の構成の見直し」にはこれから入ろうとしている。9番目の「研究費全体の中における科学研究費補助金の在り方」は、最後まで繰り返し論じることになるだろう。
 今の意見は、総合科学技術会議等の指摘について、我々がその対案となる「科学研究費補助金制度の評価について」を取りまとめたが、まだ文面だけに留まっており、実際には変化がないということか。

委員  個人的には、科研費制度はうまく機能していると思う。昨年の取りまとめの際に、大きな研究成果に結びついた例を挙げれば、元をたどればみな科研費による研究であることをPRすべきと主張したように記憶している。
 確かに、科研費はシステムとして大き過ぎるので、制度改正は非常に難しいということも理解しているが、小規模な変更であれば可能であろう。結論としては科研費の予算を増額すべきということだが、その場合でも、明確な増額理由があるとよい。

委員  重複応募の制限の整理に重きを置くのではなく、中身について議論すべきという意見であった。とはいえ、わかりにくさを解消しなければいけないという問題は残っており、これについては事務局に整理を任せてしまうという方法もあり得る。我々には、そこのところまで立ち入っての名案はあまりないが、先ほど意見のあったように、複数の応募を認めると、応募する研究者側の心理として、おそらくみな複数の応募を行うだろう。そうなると審査の負担が大きくなるので、何らかの歯止めをかけておくことが必要になる。

委員  総合科学技術会議が4つの重点分野を示しているが、例えば、科研費の10%程度は、それ以外の分野について採用するというのも1つの方法としてあるのではないかと思う。

事務局  科研費は、もともと重点化というものをあまり念頭に置いておらず、あらゆる分野を対象とするシステムになっている。

委員  4つの重点分野というのはある意味では短期的なものであり、その他の分野についても助成するのが、本制度の特長である。その点をきちんと財務省に説明し、総合科学技術会議からも説明してもらうべきである。文科省の説明にしても、いかに世の中に役に立つかという点でのみ語られているが、それはやはりおかしいのではないか。

委員  今の意見に反対する人はいないと思う。科研費制度が、我が国の学術研究の推進にどう役立っているかについて、本部会あるいは科学技術・学術審議会等から外部へ発信していく必要はあると思う。今までも随分そのための努力をしてきたが、まだ十分に説明し切れていないもどかしさ、難しさがあると理解している。その説明は必ずやらなければならないが、一方、現在議論している重複応募の制限の問題については、事務局に整理を任せてもよいが、審査の能力を考慮すればできるだけ重複は避けた方がよい。それで、このような実例がある、こういった点が困るという点を情報として事務局に提供すればよいのではないか。

委員  科研費の重要性に関しては、これまでの意見に全く賛成である。重複応募の制限の整理を事務局に任せるということでも構わないが、情報の提供ということで発言したい。この問題は、単純に、原則1課題で重複応募は禁止するとか、原則2課題まで認めるといった問題ではないと思う。なぜ科研費にこれだけの研究種目があるのか。交付される金額の違いでしかないのであれば、2課題の応募を認め、2課題採択された場合はより金額の大きい種目を優先するといった方法は可能だと思うが、このように多くの種類があるのはそれなりの背景がある。自分が今まで行ってきた基盤研究の他に、特定領域研究に参画し、他の研究者たちと連携して研究したいという場合や、基盤研究(A)で5年間の研究計画として採択されたが、3年で大きな研究成果が出たので、特別推進研究や、特定領域研究の研究代表者となって研究をさらに進めたいといった場合、現行では応募可能だが、原則1課題とした場合、それは不可能となる。そのような背景があり科研費には多くの研究種目が設けられたのだと思う。単純明快にはいかないという点を考慮してもらいたい。
 それから、重複応募の制限に抵触した課題が約200件あったということだが、約7万件という応募総数から考えるとその程度のミスは仕方がないと思う。それを救うために、そのように厳しい制限を設け、かえって研究の芽を摘むようなことはすべきでない。

事務局  科研費制度は、研究者の意図をできるだけ踏まえて運営されてきており、新しい種目をつくる際に重複応募の制限をかけるかどうかについても、そのような意見を踏まえて決定してきた。そのように蓄積されてできている現在の制度を、事務局で変更してよいものかという不安がある。

委員  ただ、資料4の表を見て、我々がこのように整理すればよいと提案するのは極めて難しい。

事務局  この表は試しに作成したものだが、重複応募の制限を全て把握するのは難しい。わかりやすいルールにできないかと考えている。

委員  現行の重複応募の制限に関するルールがそれほどわかりにくいとは思わない。微妙なケースはあるかも知れないが、基本的には、事務局から提案のあったように、特別推進研究や特定領域研究など、規模の大きな種目は1課題、基盤研究で1課題という基本精神はそのままでよいと思う。資料4の最終ページに平成15年度の重複件数の統計があるが、これは、かなり健全な数字だと思う。従って、現状を変える必要はそれほどないが、よりわかりやすくなるような表現にできるのであれば、整理してもらってよいと思う。しかし、先ほど意見が出されたように、単純に2課題までとか3課題までなどと定めるべきではないと思う。

委員  今の意見に賛成で、科研費には金額の大小を問わず、基盤研究のような個別型の種目と共同的に運営される特定領域研究などの種目がある。個別型の種目の中ではほとんど重複はないが、共同型に係るものが重複応募を認められており、統計上、重複があるようにみえるのはそのためであることを財務当局に理解してもらわなければならない。そのため、種目を精査し、個別型の研究種目と、共同型の研究種目とに分けて考えなければならないと思っている。

委員  個別型の研究で1課題、共同型の研究で1課題というあたりに落ち着いているのではないかと思う。応募する側もおおよそそのように考えているのではないかと思うが、細かい部分のルールについては現場サイドで悩む場合がある。

委員  そのとおりだと思う。研究種目ごとに1課題程度と明示すれば、わかりやすくてよいのではないか。それで、特定領域研究の総括班や支援班への応募は例外になると思う。
 特定領域研究は、政府が領域を設定するのではなく、ボトムアップで研究者から応募のあった領域を採択するもので、これは常に変わる。その一方で、学術研究はどうしてもコンスタントに助成しなければならない部分があるが、その部分は基盤研究その他の研究種目が担っている。

委員  重複応募の制限について、単純に課題数のみで制限すべきでないという意見に賛成である。また、特定領域研究が、政府が重点化していない分野についても助成していること、つまり、研究者コミュニティ自身が重点化を望む研究領域について応募し、それが採択されているわけで、そういった新しい分野を開拓してきたことを含め、科研費の独自性・重要性を訴える努力を事務局にお願いしたい。

委員  特定領域研究に関し、評価者自身が科研費の独自性・重要性を理解していないということはないか。評価者に対しこの点を徹底しないと、結局、実績のある研究者に集中してしまう。

委員  おそらく特定領域研究の審査員は理解していると思う。ただ、それを、外部に訴えることが研究者も苦手だったのではないかと思うし、文科省の側も、もう少し何かやれることがあったのではないか。そのため、日本全体として見たときに、なかなかそのような理解が広まっていない。その解決策は非常に難しいが、部分的には教育の問題だと思う。従って、初等中等教育において学術研究の重要性を理解してもらえるような方策をとるべきだと思う。

委員  社会的に見て、科研費に重複応募があるということが問題になっているのかというと、全く問題にはなってないのではないか。それよりも、他の研究費との重複の方が大きな問題になっていて、そちらの方針をきちんと整理する方が、科研費が社会的にどう見えるかという意味においては、はるかに重要な課題であると思う。科研費制度の中においては、研究者が不明な点について問い合わせのできる窓口などがあれば済む話であり、それほどわかりやすくしなければならないかというと、それほどでもないという気がする。

委員  重複の問題というのは、科研費の中の重複が問題なのか、それとも科研費と他の研究費との重複が問題なのか。社会的に言えば、後者の方がむしろ問題であるという指摘であった。その問題に関し、この科研費と他の研究費の重複について何かデータはあるか。

事務局  研究計画調書には、応募者が他省庁の研究費を獲得している場合には、その旨を全て記載することになっているので、そのデータをまとめることは可能である。また、総合科学技術会議では、各省から情報を集め研究開発データベースというものを構築しており、文部科学省を含めた全省庁の競争的資金の重複状況が確認できる。ただし、両方とも新規に応募した場合、採択されるかどうか先方も不確定、当方も不確定という状況になる。この場合、互いに採択状況が把握できない。

委員  例えば、厚生労働科学研究費補助金で少額の課題が採択され、きちんとした研究を行おうとして科研費に応募した場合、重複制限に該当すると判断されてしまうとそれこそ動きがとれない。このような場合、問題とされる重複とは全く違う。各制度が説明責任をきちんと果たしていないことが問題であるので、きちんと公に説明することが重要である。そうすることで、科研費がどのように使用され、どのような研究成果が生まれたか、あるいは、失敗を積み重ねた上で、初めて優れた成果が生まれるということを理解してもらえる原点になるのではないか。

委員  そういった意味では、委託研究であって、現実には公募しているにもかかわらず競争的資金に入っていることが総合科学技術会議でも問題となった。委託研究を複数行い、さらに科研費で金額の大きな課題が採択された場合、同時に研究を行えるはずがないのではないかという疑問が生じる。

委員  ただいまの意見にあったように、それぞれの研究が結果として何を生み出しているのかという情報を開示し、きちんと説明すれば、重複していてもそれぞれ目的の違う研究であること、あるいは、相互関係があっての重複であることが理解されるだろう。また、もし、競争的資金を数多く獲得した研究者が、研究成果の使い回しを行っていれば、それは社会的に糺弾されるべき問題になるということだろう。
 研究種目の構成の見直しについてという2番目の議題にかかる重複応募の制限については、現状の規定が複雑であり、その整理は必要であるとしても、実質的にそれほど大きな問題を生み出していないのではないかという印象を多くの委員が持っている。しかし、個別型の研究と共同型の研究とに大別し、それぞれに重複がないようにという程度の制限は可能ではないかというあたりが議論の大勢であったと思う。また、単純に数で制限すると、これだけ積み上げてきた科研費の研究種目の意味がなくなってしまうので、そのようにすべきではないという意見が出てきている。そのような意見を踏まえ検討の上、できるだけわかりやすい形に整理してもらいたい。

事務局  整理できるよう検討していきたい。

委員  ぜひ、そうしてもらいたいと思うが、整理することが研究の糧を阻害することになっては元も子もないので、その兼ね合いに気をつけてもらいたい。
 また、研究種目の在り方についてもそう簡単に結論は出そうにないので、今後も検討を続けていかなければならない。
 また、今回は重要な指摘があった。昨年5月に「科学研究費補助金制度の評価について」を取りまとめた際は、科研費による成果を説明するのに苦労した。先ほどの意見を聞き、特定領域研究がボトムアップで設定されているという点をもう少し強調すべきであったという反省がある。その点は留意しておき、今後、科研費の意義を述べる際に提示したい。

委員  問題提起であるが、個人的な印象では、科研費が国の学術研究、あるいは科学全体の基盤を支えている大変重要なシステムであることは、各委員とも意見は全く一致すると思うが、科研費の予算を増額するという現実的な問題があり、それを実現するための方法を具体的に考えるべきで、研究者同士で理想を語り、何とかしてほしいというだけでは済まないのではないか。少なくとも、総合科学技術会議が科研費の重要性を述べたとしても、それにより予算が増額されるとは思えない。
 そうすると、文部科学省で何らかの対応をするべきなのか、あるいは本部会や、もう少し上の科学技術・学術審議会が何らかの対応をするべきなのかといった具体的な戦略を練っていかないと、なかなか実現はできないと思う。この研究種目の在り方や重複応募の制限といった問題も、そのような観点から、外に目を向けて議論をしていくことも重要ではないか。

委員  今回のテーマではないと思って発言しなかったが、科研費が、それ以外の競争的資金制度とどのように整合性をとっていくかということが、科学研究費補助金審査部会で常に問題になる。それぞれの制度の性格や審査方法等について、整理すると、重複の問題も含め、審査がより円滑に進むのではないか。

委員  参考情報でよいので、データを整理してもらいたい。

委員  予算増額のための戦略は、研究者次第だと思う。予算要求は文科省が財務省に対して行うが、その前に総合科学技術会議で政策評価を行う。そこに提出される、文科省の、特に大学関係の基礎的な研究を説明する資料が理解しにくい。これは、文科省の側に責任があるというよりは、材料を提供する研究者の側に責任があるのではないかと思う。きわめて具体的な話であるが、文科省が予算要求のために財務省や総合科学技術会議へ説明する際、研究者の側からしっかりとした材料を提供してもらいたい。

委員  確かに、これはある程度、研究者の責任だろう。例えば、特定領域研究のゲノム関係の4領域が「ゲノムひろば」というものを企画し、毎年数カ所で一般の人に対する発表会を行っており、わかりやすく研究成果を説明している。
 この企画は一般の人、特に中高生を対象にしており、それはかなり参考にできるのではないか。特定領域研究の総括班ではそのような活動が認められているので、今後は他の領域でもそのような成果の発信により心がけるよう、我々からもアドバイスした方がよいのではないか。

委員  それでは、今のご発言をもって、今回の締めとさせていただきたい。

(3) その他
事務局から、次回の第12回研究費部会の開催予定について連絡があった。

(研究振興局学術研究助成課企画室)

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