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参考資料 学術情報基盤作業部会(第40回)で出された主な意見

学術情報基盤作業部会(第40回)の主な意見

  •  日本植物生理学会のPCPは、OUPから刊行している。また、Rapid Reportとして迅速な出版を行っており、「Nature」に投稿される論文とそれほど変わらない高い評価を受けている。この他、著者にとっては、オーサー・チャージが低く、カラー図版を使っても費用かからないという利点を持っている。
  •  PCPは、オンラインでレビューができるシステムを導入するとともに、チーフ・エディターが良い論文にフリーアクセス権を付与する取組を開始している。また、表紙のデザインに専門のデザイナーを登用するなどカラー印刷を向上するとともに、ホームページを利用した、表紙デザインコンテストなども実施している。
  •  PCPは編集委員長による投稿セミナーあるいはMeet the Editorとして、実際に投稿したい大学院生あるいは若手の研究者がエディターと直接話ができる場を提供している。また、一般読者・著者に向けた活動として、競合誌で出版している著者をターゲットにお知らせメールを配信している。今年度からは、年1回、国際シンポジウムを開催し関連する特集号を刊行している。
  •  PCPの強みとしては、出版社との間でさまざまなコミュニケーションを行い、出版社を含めた定期的な戦略会議を行うなど、シンクタンク的な要素として使っていることである。学会と著者・読者である研究者、サポートする出版社のすべてがWin-Winの関係にならないとお互いに発展がない。
  •  出版社のシンクタンク機能の活用については、分野の特性に応じた、データや情報の提供・分析が重要であり、多くの雑誌を手がけている大規模な出版社であれば対応ができるというわけではなく、必ずしも出版社の規模は関係していない。
  •  経済学においては、日本の若手の国際情報発信能力がとても上がっており、従来は、アメリカの大学でPh.D.を取らないとなかなか海外のジャーナルに論文を出せなかったが、現在は、日本の大学から国際的に評価の高い雑誌に論文が掲載される若手研究者や大学院生が出てきている。インターネットのおかげで海外との情報の格差がほとんどなくなっている。
  •  経済学では、主要な大学院でアメリカ流にコアコースを設けて基礎教育を行っており、特にグローバルCOE等の大学院教育支援により、大学院生が海外で報告する機会が増え、英語で論文を書く際の英文の校正費用を援助するなど、大学院生が英語で論文を書く垣根が低くなっている。また、就職の際に英文査読誌への論文が求められる状況があり、少なくとも1本は無いとなかなか就職できない。
  •  海外への研究成果発信のためには、論文は基本的に英文で書くよう義務づけるのが望ましい。例えば、日本語を対象にした言語学の研究でも、英語で書くことは可能であり、欧米やアメリカにも研究者がおり、日本語でしか書けない論文はない。例えば、源氏物語に関する国際会議の公用語は日本語であり英語にはできないという議論があるが、海外への発信のために源氏物語の論文を英語に直すことは可能である。
  •  学会誌の過半数のページが日本語で書かれているのは、初めからオーディエンスを日本人としているからである。英語で書き広く外国に発信するつもりであれば、投稿者は会員でなくても良く、海外からの投稿を認める方向に持っていくなど、学協会において編集方針を考えることもできるのではないか。
  •  情報発信を英語に特化していくという流れはあるが、他方で、それぞれの国の持っている言語の特性を生かした研究はあるべき。日本国内に留まるのであればローカルであるが、日本語を使って、例えば、漢字文化圏の論文をもっと取り入れるような方向もある。また、日本のことを研究するならば、基本的には日本語を使うのが筋という議論もある。
  •  アジアの中で、日本は経済学の研究・教育の最先端であったが、現在、香港やシンガポールで国際的な発信が増えている。これらのトップ校に所属する者は、アメリカのPh.D.を持ち、アメリカスタイルで研究を始めている。また、アメリカに中国から大量に留学しており、アメリカで中国系の学者の集まり・ネットワークを既に作っている。このままでは、アジアの主導権を取られる可能性は十分にある。
  •  電子ジャーナル化、英文化によって、海外からの投稿数も増え、Citation Indexも上がってきた反面、国内の日本人の研究者にとっては、最も権威のあるジャーナルであったのが、今は選択肢の一つになっていることには矛盾がある。今後、アジアにおけるリーダーシップを構築していく上で、言語としての英語、それから電子ジャーナル化は大きなインパクトを持つことになると思われるが、日本人の研究者が少しバックオフしている事実を踏まえた上で、今後どのようにアジアの中で主導権をとっていく体制を確立するか。
  •  アジアの中で現在トップジャーナルである点を生かして主導権を取り、日本が中心になれるようなシステムを何とか構築したい。ヨーロッパ経済学会では、各国の院生を集めてワークショップやサマースクールを開くなど、優秀な大学院生がアメリカに逃げないようなシステムを一生懸命作っている。例えば、Asia Joint Workshopのような取組をもっと広げることで、交流の輪を広げ、日本が中心になれるような位置を保つことが重要である。
  •  学術情報流通・発信に係る環境づくりの検討については、JST、NII、NDL等からのヒアリングを踏まえJST及びNIIにおけるプラットフォーム提供等の支援事業の充実という部分に関して検討を進める。本作業部会でその内容を検討した上で、夏の審議の整理においてその推進方策を盛り込む。さらに取り組みを求めたい点等を本作業部会で継続して検討する必要がある事項については、年内を目途に取りまとめることとしてはどうか。
  •  学術誌の問題を考える中で、学協会による情報発信の強化に落ち着かせるという枠組み自体が非常に大きな問題をはらんでいるのではないか。学術誌による情報流通・発信、特に日本の若い人たちのこれからの情報発信の在り方には全く貢献しないということが示唆された部分もある。今までの議論の枠組みをそのまま踏襲しているだけなのではないかという印象を持つ。
  •  日本の学協会は何を目指すのかに関し、学術情報基盤作業部会では、いわゆる学術論文の流通について議論してきており、それは大事な目標・目的であるが、もっと大事なことがある。それは、学協会が研究者を育成する場所になっているという面であり、学協会の取組は要らないという話にはならない。そういう意味で、成果物である学術情報をどう考えるか。
  •  新しい学術情報の発信の仕方としては、ホームページを使うなど新しい形が出ていて、学術誌がその研究論文の質をオーソライズするというような新しい状況がある。今かなり浸透してきている機関リポジトリについては、ちょうどホームページと学術誌の中間に位置するものとして、新しい学術情報発信・流通の媒体としてしっかり位置づけなければならない。
  •  「言語研究」においては、紙冊子は会員のみに配布し、電子版は無償で制限を設けず刊行から1年後に、Journal@rchiveもしくは学会のホームページで公開している。著作権は基本的には原著者に帰属するが、ウェブサイトに公開するため「日本言語学会著作物取扱規程」を定め、掲載の論文等の著作物を複製・刊行する権利、インターネットを通じて公開する権利が、著者から本学会に許諾されていることを明確にしている。また、日本国内で出版された言語学関係の文献資料の電子化が遅れており、これには著作権の問題も絡むが、早急に推進する必要がある。
  •  英文化については、きちんとした英文にして論文を出すことがすごく大事だと思う。テクニカル・エディティングのサポートは、基本的には本人の責任でやるのか、学協会がある程度サポートしているのかは学協会によって対応が異なるが、JSTがテクニカル・エディティングのサポートを全体としてできないか。
  •  研究成果公開促進費の現在の状況については、応募対象経費等について、電子化に伴う検討など、さまざまな意見がある。12年前の提言でも、既に電子出版への対応について早急に検討する必要があるとされており、学術情報基盤作業部会等における議論が必要である。
  •  前期の研究費部会では、研究成果公開促進費について少し議論に入りかけたことがあり、そのときには図書出版経費のサポートなど、いろいろなことを議論しなければならず、学術定期刊行物の問題が十分扱えずにいた。結果的には、文部科学省では、この10年来、検討されていないという事実を受けとめ、今後、考えていく必要がある。そのため、学術情報基盤作業部会で検討して、研究費部会等で審議していただくことが重要である。
  •  各学会からのヒアリングの際にも出ていた科研費の研究成果公開促進費の活用方策等については、学協会等を通じた国際情報発信の強化という観点から、本学術情報基盤作業部会での意見交換等を踏まえ、夏までに論点を整理し、秋以降に改善策について十分な審議を行った上で、研究費部会にこれらを踏まえた検討を要請してはどうか。
  •  JERは数年前まで科学研究費補助金を受けていたが、使用を厳正にするため4年に一度の入札が求められたため、現在は補助金を受けていない。実際の現実性を見据えたフレキシブルな対応について、ご配慮いただきたい。
  •  研究成果公開促進費の規程によると、欧文抄録を有する和文誌は、仕上がりにおいて欧文のページ数が50%を超えてはならないという制約があるが、この制約は、学会の国際的な発展に支障となるものであり、改善していただきたい。
  •  欧文誌で、和文が大半というのでは若干問題があるが、その逆であれば、実質的な問題は少ないのではないか。
  •  英語論文を増やすための一つの方策として、会員に限定されている論文投稿の枠を外し、現在刊行している和文号とは別に、英文号を電子ジャーナルのみで発行し、これに関しては投稿の制約を設けないことが考えられる。電子ジャーナルであれば印刷経費はかからない。英文電子ジャーナルを立ち上げるための助成金を日本学術振興会で用意できないか。
  •  大手出版社の学術誌は毎年5%購読料が上がっており、世界中の大学の図書館の予算を圧迫しているため、すぐに商業誌に代わるのは難しいかもしれないが、学術的な権威が保証されるようなシステムが確立できれば、オープンアクセスジャーナルの方向が出てくる可能性はあると思う。
  •  オープンアクセスについては、経済学の場合、特に大手のElsevierとWiley-BlackwellとSpringerの三つがほとんどのジャーナルを独占しており、それに対抗して全く無料のオープンアクセスジャーナルをつくる試みがアメリカでもあるが、なかなか定着していない。
  •  オープンアクセスへの取り組みについては、著者自らがオープンアクセス論文としない理由としては、オープンアクセスにするために出版社に支払うお金を著者が負担できないことが挙げられる。オープンアクセスになれば広く皆さんに読んでもらえ引用も上がるが、そのためには、オープンアクセスにするための負担の軽減が必要である。
  •  PCPは、電子版別刷りの無料配布を行っている。最初は、まだ完全に版組みされていないものにアクセスでき、その後、PDFに版組みされたものに自動的にリンクがシフトするフォーマットを持っている。また、今年から出版後1年を経過した論文はすべてオープンアクセス化している。紙の媒体として見る必要が余りないデータベースのような論文はオンラインのみとしている。また、スマートフォンなどで見られるような工夫も行っている。
  •  PCPは植物科学の分野では日本の中ではトップのジャーナル、世界でもトップクラスであり、インパクトファクターは右上がりになっている。インパクトファクターについては、若手研究者に対して自分たちの積極的な論文の引用がインパクトファクターに影響している実態を伝え、あるいは、インパクトファクターはジャーナルのファクターであって、研究者評価はh-indexのようなもっと違うファクターがあることも含め知らせている。
  •  経済学分野では、ウェブに出た段階で優先権はわかるため、各所属機関のワーキングペーパー、ディスカッションペーパー、あるいは、著者が未定稿をそのままウェブで発信することなどが行われている。ジャーナルは最新の情報を発信する場ではなく、研究の質を保証する装置として、内容の客観的な評価を行う役割を担っている。
  •  JERは、日本語で刊行している時は国内で一番権威のある雑誌であったが、英文化し、Social Sciences Citation Indexに入り、徐々に国際的な評価は高まっているが、海外ジャーナルと比べるとまだランクが低い。掲載論文の質にそれほど差があるとは思えず、海外における認知度の差が大きな原因となっている。結局、国際化とは同じ土俵で競争することであり、ゼネラル・オーディエンス・ジャーナルと比べて、日本の学術誌にまず投稿するという愛国心のある人がいれば良いが、なかなかそうはならない。

お問合せ先

研究振興局情報課学術基盤整備室

井上、政田
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(研究振興局情報課学術基盤整備室)

-- 登録:平成23年07月 --