研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第52回) 議事録

1.日時

平成24年6月28日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

有川主査、三宅主査代理、倉田委員、田村委員、土屋委員、羽入委員、松浦委員

文部科学省

市瀬学術調査官、宇陀学術調査官
(事務局)吉田研究振興局長、森本大臣官房審議官(研究振興局担当)、下間情報課長、長澤学術基盤整備室長、その他関係官

4.議事録

【有川主査】  それでは、まだ1分程度ございますが、おそろいのようですので、始めたいと思います。第52回の学術情報基盤作業部会でございます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日と7月13日に予定されております次回を使いまして、審議の取りまとめに向けた意見交換を行いたいと思っております。

 最初に事務局から配付資料の確認と傍聴登録等について御報告をお願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  それでは、失礼します。まず、関係機関の方々でございますけれども、本日も引き続き審議に御参画を頂いております。

 配付資料でございますけれども、お手元の資料の一番上、議事次第をごらんいただきたいと思います。資料としては4種類、資料1から資料4を御用意申し上げております。あと、過去の配付資料につきましてはドッチファイルに整理してございますので、必要に応じて御参照いただければと思います。

 本日の傍聴者でございますが、14名の御登録、事前の撮影、録画、録音の登録はございません。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございます。

 審議の取りまとめ案につきましては、事務局から事前にお送りいたしまして、各委員にごらんいただいております。それにつきまして、まず、事務局から御説明いただきまして、議論をしていきたいと思います。

 これまでの論点といたしまして、平成23年10月に学術情報流通・発信に関するこれまでの議論の整理、それから、23年12月に「日本の学術情報発信機能を強化するための科学研究費助成事業(科学研究費補助金(研究成果公開促進費))の活用等について」、そして、今年の1月以降に議論を行ってきました国際情報発信強化の観点からのオープンアクセス、それから、機関リポジトリ、関連機関との連携等について検討してきたわけでございます。

 そうしたものを踏まえて、事務局において整理をしていただいて、事前に意見なども頂いて、それを反映したものを既にお送りしてごらんいただいていると思います。

 本日は、まず、長澤室長から審議の取りまとめ案について20分程度御説明いただきまして、それについてほぼ時間いっぱい意見交換をしたいと思います。

 そして、最後に資料の3の、東日本大震災を踏まえた今後の科学技術政策の検討の視点に係る基本論点について御報告を頂きたいと思います。

 それでは、室長の方からお願いします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、まとめの案の考え方等を整理したものについて御説明をさせていただきたいと思いますので、資料1をごらんいただければと思っております。

 まず、この「学術情報の国際発信・流通力強化に向けた基盤整備の充実について」というところでございまして、はじめにというところで、この論点等に関する背景等について、本文と若干重複しているところもございますけれども、御説明をさせていただいております。

 大体、社会に停滞感が蔓延しているという社会情勢、それから、そういった観点での科学技術の進行とか学術研究の重要性、特にこういった研究成果の流通・発信ということが非常に重要であるということで、この観点では科学基本計画、第4期基本計画においても必要だということがうたわれている。

 一方で、学術レベルがトップ水準にあるということに反して、我が国としての学術情報の発信力については高いとは言えないと。その背景として、なかなか有力なジャーナルがないということで、多くが海外のジャーナルに論文として投稿されているということ、それから、電子化が遅れているというふうなことがあるのではないかと。

 また、国内の研究成果の流通という観点からしますと、電子ジャーナルの購読料が値上がりしていて、一部地方大学等ではなかなか見づらくなっているということで、こういった観点を防ぐためにはオープンアクセスも必要ではないか。

 また、機関リポジトリの構築が進んでおりますけれども、こういったものをオープンアクセスと絡めて使うとか、それから、知識インフラの一部として有効活用できるのではないか。一方、大学の教育、研究情報の可視化という観点でも使えるというふうな側面で、こういったことが重要である。

 それから、裏の2ページですけれども、そのためには、関連機関における支援事業とか、研究環境整備も不可欠でございますけれども、関連する機関が連携しながら、一層その充実に取り組むことが必要であろうというふうなまとめで、背景を説明させていただいております。

 その関連で、今回と次回を入れて16回の審議におきまして、こういったまとめを行うというふうな書きぶりにさせていただいてございます。

 本文でございますけれども、3ページのところで、まず、背景ということで、基本的な考え方として、学術情報基盤の整備というものはやはり研究、教育活動において不可欠であるということと、これからそういった情報流通ということを進めることが、社会における存在感の向上に努めていく上で必要であるというふうなことと、こういった学術情報を見せるということで、研究成果の評価システムとしても機能するというふうなことがある。

 それから、一方、こういった情報のコンピュータ、ネットワーク技術、ICT技術の展開によりまして、国際的にはもう電子化が基本ということになっておりますけれども、まだ電子化等が遅れているというふうな状況があるというようなこと、それから、一方でオープンアクセス化ということにつきましては世界的な流れとして進んでいるということを十分認識しながら、学術情報の流通に対応していく必要があるというふうなところが3ページの背景ということでございます。

 b.が現状というところでございますけれども、先ほど申し上げました研究自体は世界のトップクラスの業績を上げているというふうな一方で、このいわゆるインパクトファクターが高くて、国際的に認知された有力なジャーナルというのが決して多いとは言えないような状況にございます。

 その結果、日本の論文の8割は海外のジャーナルに投稿されていて、結果的にこの査読で不利益をこうむる可能性とか、公開前に情報が流通するようなことを懸念するような声もございますし、一部、日本語の言語の問題がございますけれども、すぐれた研究成果が十分流通しないで埋もれてしまっているような可能性もございますので、こういったジャーナルの整備をしっかりと行っていくということでは、日本としてはやはり十分な成果をこれまで上げてきていないのではないかというふうなことを言ってございます。

 その上で、やはり、日本の学術コミュニティに基礎を置きました国際的なジャーナルが必要であるということで、これは日本学術会議からも強く指摘をされているところでございますということを書いてございます。

 最後に、知識インフラの構築ということは科学技術基本計画にもうたっておりますけれども、こういった観点で多様な取り組みを加速していくということが非常に重要ではないかというふうなことをb.の現状というところに入れさせていただいてございます。

 c.の課題でございますけれども、ジャーナルの刊行で国際的なジャーナルを発行するという観点からしますと、現在は科研費によりまして研究成果公開促進費で紙媒体の発行経費で関する助成を中心に行ってきているんですけれども、やはりこういった国際的なジャーナル育成という観点からしますと、電子ジャーナル化、それから、オープンアクセスジャーナルへの支援、取り組み、そういうものを含めて、こういった国際情報発信力を強化する支援ということをやっぱり改善していく必要があるのではないかということがまず1つでございます。

 それから、研究成果のオープンアクセス化という観点についてはやはり積極的に取り組んでいく必要があるということで、学術情報はやはりできるだけ多く流通させる必要があるということでございますので、こういったものに取り組むんですけれども、この整備に当たりましては機関リポジトリの活用も有用であるという書き方をしてございます。

 特に、その次の機関リポジトリに関することでございますけれども、やはり、重要であるというような認識が余り共有されていないというところも一部ございますので、そういった重要性を一層普及させていくということが必要であるというふうなことを書いてございます。

 その下ですけれども、関連機関の連携・役割分担ということを図りながら、関連事業を強化することが必要だというふうなことをうたって、この具体的な対応についてということにつなげていきたいということでございます。

 まず、その1つ目の事柄でございます。6ページのところですが、科学研究費補助金の研究成果公開促進費、学術定期刊行物の改善についてという方向でございますけれども、まず、a.としては制度の概要ということで、科研費の中に成果公開を進めるための研究成果公開促進費がありまして、その中には学術定期刊行物という区分があって、学術誌に関する助成を行ってきているということでございます。

 その学術定期刊行物の課題でございますけれども、やはり、質のよいジャーナルであれば継続的に支援を受けられるというふうな結果になっていて、一部競争性が十分ではないという御意見があると。

 一方、こういった支援の中で、この学術定期刊行物の配分額が、平成17年度の約9億円をピークにしまして、23年度では約3億5,000万円と、3分の1近くになってしまっているということで、こういった予算の減りに合わせまして応募意欲を減退して、それが結果として応募件数の減少ということで、結局そのジャーナルの活性化を失っているというふうなことにもつながっているということを書いてございます。

 一方では、この支援経費の対象が紙媒体を前提ということにしておりますので、直接的な出版経費の助成ということから、電子化の進展、その様々な取り組みについて支援ができていないというふうなことを課題として挙げてございます。

 7ページのところですけれども、特に認定の基準でございますけれども、先ほど申し上げましたような学術的価値等が中心となっているというふうなところ、それから、審査におきましても研究者のピアレビューが基本になっているというところで、こういったことを背景にしまして、固定化につながっているということでございます。

 c.のところは改善の方向性ということでございますけれども、やはり、世界の学術に貢献するような有力なジャーナルを日本発で育てる必要があるということでございまして、以下にその改善の方向性を示すと。

 実際にはこの改善自体は、研究費部会なり、それから、日本学術振興会において検証しながら具体的に検討していくということで、この部会としては方向性を示すということでございますけれども、具体的なジャーナル発行に必要な経費の助成という観点からしますと、助成対象につきましては国際情報発信力強化のための取り組みを支援するというふうにしまして、応募対象経費につきましても、これまでの紙媒体の直接出版費以外にも柔軟に経費を助成するということが必要であるということでございます。

 次の8ページについて、国際情報発信力強化のための取り組み内容の評価という観点ですけれども、学協会等が自ら申請する国際情報発信力強化の取り組みについて、事業機関を通じて、このようにしたいという目標を自ら設定していただいて、その内容をしっかりと評価をしていくということによって、こういったものの低下の防止につながるということがあるのではないか。

 それから、単年度中心ということの助成になっておりますけれども、こういった目標設定ということになりますと、複数年の事業期間という形になろうかと思いますけど、そういうことが重要であろうと。

 また、その欧文化率についても100%に近づくということになっておりますけれども、少なくても出せるというふうな形にしていくということで、緩和をするということがあるのではないかと。

 一方、オープンアクセスへの取り組みへの助成ということで、なかなかオープンアクセスジャーナルということだと普及は難しいということがございますけれども、こういったオープンアクセスジャーナルへの取り組みに対して科研費で支援するということで、日本発のオープンアクセス誌というものを育成しようということが重要ではないかということで、今の条件としては海外有償頒布の条件というのがありますので、これだとオープンアクセスというのは該当しないので、まずこういった条件はまず削除した上で、「オープンアクセス誌(スタートアップ支援)」というふうな区分を新たに設けまして、ある程度定着するまでの支援を別立てでしてはどうかというふうなアイデアでございます。

 それから、9ページのところの研究成果の公開に必要な事業の拡充ということで、経費の弾力性を認めるということになりますと、予算額の増額が当然必要になるということで、事業の拡充は不可欠であるというふうな形にしていただいてございます。

 その他の留意事項としては、特にやはり日本のジャーナルを強くするということにおいては、学協会と連携して行うような取り組みについては特段の配慮を行うという点を検討すべきであるということで、より規模の大きなジャーナルの発行というものをエンカレッジするというふうな方向を示させていただいている。

 これまでの単年度の支援の助成から、いきなり複数年をとりますと1年限りという形になってしまいますので、段階的に平年度化していくような措置も検討すべきであるということと、名称変更も必要であるというイメージをここの科研費の改善で書かせていただいてございます。

 10ページのところですけれども、オープンアクセス化の必要性ということで、やはりジャーナルに掲載された論文へのアクセスが購読料の高騰により難しくなっているという現状は望ましくないということで、世界的にオープンアクセス化ということになっているわけでございますけれども、このオープンアクセス化の方法につきましては、先ほど申し上げましたようなオープンアクセスジャーナルに投稿するか、若しくは、インターネット上に自ら公表するかという2つのやり方があるというふうなことで、1つはオープンアクセスジャーナルの公表ということでございますけれども、この場合は、これまでの購読料という形ではなくて、研究者が投稿料を負担するという形になりますので、こういった負担が生じるということがございます。

 ただ、外国では既に有力なオープンアクセスメガジャーナルというものもビジネスとして成り立っておりますので、やはり、先ほど申し上げました科研費のような支援によりまして、日本でもやはりこういったジャーナルを支援していく必要があるだろうということでございます。

 また、11ページのところのポツでございますけれども、競争的資金を受けている場合には投稿料はこういった直接経費からも支出可能ということは明記して、科研費ではハンドブック等に明記しておりますので、そういった形で投稿料も出せますということを明確に示していくということも必要ではないかということでございます。

 一方、インターネットへの公表につきましては、研究者が自ら出すということで、場所、時期、内容ということがございますけれども、場所としてはやはり機関リポジトリというものが現実的な受皿ではないかということと、公表時期におきましては、やはりジャーナルの著作権のポリシーの関係で、すぐに公開してはなかなかジャーナルとしては成り立ちようがないということで、一定期間公表できないという猶予期間があるものがあるわけでございますけれども、これは致し方ないということにしますけれども、日本の場合にはこういった著作権ポリシー自体が未定の学協会が多くて、実際に各大学の方で公表していいかどうか判断できないということが課題だということでございますので、こういったところは解決していく必要があるというふうに思っております。

 公表内容につきましても、インターネットへの自らの公表という形になりますと、ジャーナルに出版したものではなくて、その前の著者の最終原稿であるということが多いので、こういったものを望ましくないということで、書誌情報にとどめているケースも多いというような現状がございます。

 このような状況につきましては、やはりできるだけジャーナルの発表時期に近い時期で、また、出版した版に近い内容でできるように努めていくということが重要であって、また、研究者自体にはオープンアクセスにも積極的に対応していくように求めるということが重要であるということで、ここではそういう書きぶりでとどめておるところでございます。

 また、その他の環境整備といたしまして、こういった競争的資金の場合はやはりその支援と成果の関係を把握できるということが重要でございますので、こういった報告等をしっかりとしていただく必要があるということで、特に科研費におきましては成果報告書に論文が掲載される場合はアドレスを載せるとか、逆に課題番号を載せるとかというふうな動きがございますので、そういった科研費のデータベースとのリンクというものもやはり必要であろうということと、こういった情報につきましては流通の標準化という形で取り組んでいくということが重要ではないかというふうなことを書いてございます。

 13ページのところ、機関リポジトリの内容でございますけれども、機関リポジトリについては、情報発信だけではなくて、研究、学習・教育の点でも重要だということで、特にこの意義といたしましては、機関側としては大学全体の知的資産を把握・可視化できると、そういった成果を国内外に発信するということで、大学の存在感、優秀度をアピールする手段ということでなりえますので、大学改革におきましてもポートレートというものが重要視されているということでございますけれども、こういうものにつながるような手段になるのではないかと思っております。

 ユーザー側の例としましては、ワンストップかつ無償で利用できるということで、リポジトリを充実させていくということが非常に重要ではないか。これは非常に活用できるのではないか。

 最後に、その意義としまして、こういった知識インフラを構成する用意として、ネットワーク化することによりまして、社会に共有され、活用されるということで必要であろうということで、大学としては責務として位置づけるということが非常に重要ではないかというふうにしてございます。

 14ページのところはリポジトリの現状でございますので、これまで皆様の相当な努力によりまして、国公私では約250機関、世界的な情報サイトでは4位という位置づけになっているということでございますけれども、やはり、こういった情報を共有する観点からでは、すべての大学等が将来的に機関リポジトリを構築・充実させていただくことが必要だろうということに書いてございます。

 それから、特にこういった有効活用をする上では、やはりリポジトリの連携と横断的なデータ分析が欠かせないということで、これはNIIの方でこういったJAIROというクラウドと共用リポジトリというシステムを準備されておりますので、こういったものを使っていくということがあるのではないかということで。

 また、コンテンツにおきましては、現状は紀要、学術論文、学位論文という形になっているという現状を書かせていただいて、特に紀要論文とかも私立、私学とか人社系でも重要なツールとなっておるというところで、様々な生かされ方があるということを書かせていただいてございます。

 その上での課題、留意すべき点でc.でございますけれども、やはり、この機関リポジトリがうまく機能するかどうかというのは搭載されるコンテンツの充実にかかっているということでございまして、現在では研究者自体に搭載を促す「セルフアーカイブ」という形になっているんですけれども、ジャーナルに既に載っている論文等につきましては、セルフアーカイブにより載せるというふうな形だと二重の負担になったり、先ほど申し上げました、最終原稿であって出版版と違うということが適切ではないという意識等で、個々の研究者のインセンティブは余り高くないということもございますし、ジャーナルの方の発行母体の方は著作権ポリシーが定まってないというようなところが現状としては支障になっているというところがございます。

 そういう観点におきましては、各大学では図書館中心にしまして、様々な取り組みで、例えば研究者はPDF化して送るだけでいいとか、様々な工夫をされているところがございますので、こういった経費負担につながるような内容を共有化していただくということが良いのではないかというふうなことと、自動的に載せられるような仕組みも必要ではないかと。

 一方、研究者の意識改革を進める必要があるだろうということにつきましては、やはり、個々の研究者限りではなくて、大学等でやるということが非常に重要だということ、また、研究者にとっても、結果的に自らの業績等が一般に知られることになって、評価を高めることにもつながるということがあるのではないかということで、研究者の意識改革に努めていただきたいということだろう。

 それから、評価への組入れと、次のページでございますけれども、機関別の評価にも入れていただいたりとか、大学が個人の評価をする場合にも、こういった取り組みについても評価に加えていただくというふうな形で、何とか機関リポジトリの内容の充実を図っていく必要があるのではないかと。

 それから、情報の在り方としましては様々なものがございますので、特にこれからは研究データについても入れられていくということも考えられるのではないか。また、こういった情報を入れることによりまして、タイムスタンプという点で知的財産権保護の立場からも有益だということも付記をさせていただいてございます。また、日本語での搭載等というものもあるということも触れております。

 17ページのところでは、学位論文の搭載が若干遅れているということでございますので、こういったことについても、やはり、一層推進する、促進する必要があるというふうなこと、それから、データの連携という観点からしますと、共有のデータベース、JSTのJ-GLOBALや、研究者情報に関するデータベース、それから、科研費ではその科研費の成果公開、成果報告書、科研費データベースと機関リポジトリの連携等によりまして、様々な観点での研究の課題と成果との連携、それから、研究者との連携というような形で、情報の重要性が更に増してくるというようなこともあるのではないか。

 支援の方向性としましては、やはり未定の学協会に対しては国の方で積極的に著作権ポリシーを早く公表してくださいというようなこともやっていく必要があるだろうということと、NIIの方で提供していただいている共用リポジトリにつきましてはやはり積極的に展開していただくとか、様々なソフトウエアの高度化とかいうことで、運営体制、サービスを充実させる必要があるのではないかというふうなことにしてございます。

 最後に、機関の連携についてということでございます。これは前回お配りしたものとほとんど内容は変わっておりませんけれども、様々な機関がそれぞれの事業を踏まえまして連携・協力、役割分担を進めながら、事業の拡充・強化を図る必要があるということでございます。

 その下に各機関の主な事業の概要を書いてございまして、実際の19ページb.で協力・連携の現状でございますけれども、それぞれの機関におきましてはそれぞれの役割がありますので、統合検索機能とかございますけれども、重複が避けられるようなデータについての共用が図られておりますので、これを完全にセパレートするのではなくて、共に有効活用するというのが望ましい方向であるということが書いてございます。

 その上で、ジャーナルの電子化等につきましては、助成を行っているJSPSとか、それから、プラットフォームを提供するJSTとか、そのセミナー事業という流れとか、やはり役割分担が進んでいるということで書いてございます。

 また、その他、書誌目録その他、いろんな観点で検証しましたところ、相当それぞれの役割分担、連携・協力に対する意識は進んでいるということがわかったということが掲げてございます。

 その上で、その推進する事業でございますけれども、現在、ジャパンリンクセンターということで、学術情報に関する国際的な識別子、DOIというものを導入するということが急務だということでなってございますけれども、こういった共同運営の体制によりまして、こういった情報に識別子を付けていくということを早急に軌道に乗せるということが重要だということを書かせていただいてございます。

 また、最後のページですけれども、この識別子を付与することによりまして、出版版と最終原稿の区別ができるようになるということも考えられますので、こういったことになりますと、一層機関リポジトリへの抵抗感がなくなってくるのではないかということも付記させてございます。

 あと、J-STAGE3の機能につきましては研究者からの要請も非常に強いものがございまして、こういったシステムが改善されることが望まれるということを書いてございます。

 また、SPARC Japanというプロモーション活動、セミナー活動につきましても、やはり共有すべき重要な事業であるということで、なお一層の関連する方々の共有の場として活用していただきたいということを書いてございます。その上で、最後に、こういった統合検索機能とか分析ツールとか、なお一層関係間の連携を図ることが必要だろうということにさせてございます。

 その他ですけれども、今後はやはりデータにつきましては画像、映像、文字テキスト以外のマルチメディアの流通も出てきますし、より一層情報量が多くなるということもございますので、そういったことを見ながら、学術情報基盤の整備が必要であるということ、また、今後の作業部会におきましては、こういったアカデミッククラウドとか技術開発、ビッグデータ、そういった形の知識インフラとか、そういった動きを踏まえながら、こういった流れにどのように対応していくかということを審議していくということが今後必要になってくるのではないかというまとめにさせていただいております。

 若干御説明が長くなってしまいましたけれども、以上でございます。よろしくお願いいたします。

【有川主査】  ありがとうございました。資料の2の方はよろしいですか。

【長澤学術基盤整備室長】  これは参考資料でございます。今後またもう少し精査する必要があると思いますが、バックデータで用意しているものでございます。

【有川主査】  議論の中で適宜御参照いただければと思います。ありがとうございました。

 このまとめは、全部で20ページほどございまして、見出しとしましては、はじめにというのが2枚、それから、1.からその他の6.までございます。基本的には順番どおりやっていただいた方が扱いやすいと思いますが、議論の中でどこに飛んでもかまわないと思います。

 それでは、御意見等を頂きたいと思います。何人かの方からは御意見を頂いていると思うのですが、頂いた御意見がきちんと反映されているかとか、それに対する別の御意見もあるかもしれません。御意見がございましたら、お願いいたします。

【松浦委員】  よろしいでしょうか。

【有川主査】  どうぞ。

【松浦委員】  内容よりも文章表現に関することで意見を述べます。3ページの上から4番目のパラグラフは、「コンピュータ、ネットワーク技術の著しい」で始まります。その趣旨は、自然科学系では電子ジャーナルに移行しているが、人文・社会科学では一部にそういう動きがあるにとどまるというものです。その点が必ずしも十分明確ではないので、若干手を入れていただいたらどうかというふうに思いました。

【有川主査】  具体的に言いますと、電子ジャーナルに移行して……。

【松浦委員】  「移行しており」という話のつなぎ方がなめらかではありません。

【有川主査】  「いるが」、というようにしておくと読みやすいということですか。

【松浦委員】  「が」で、「移行しているが」、人文科学においても、頑張ってはいるけど、まだ十分ではないという趣旨をはっきりさせていただくとよいという意見です。

【有川主査】  そうですね。では、「移行しているが」として、「人文・社会科学においては」とするということでしょうか。

【松浦委員】  はい。

【有川主査】  「電子ジャーナルに移行が加速されてはいるけれども、全体としては」。

【松浦委員】  「あるものの、必ずしも十分ではなくて、全体として学術情報基盤の電子化は遅れている」というようにつながるとよいのではないかと思いました。

【有川主査】  では、「おり」というところを「が」にしておいて、「も」を「は」とするということで、とりあえずいいですか。

【松浦委員】  それで結構です。

【有川主査】  最小限の修正で。

【松浦委員】  ええ。

【土屋委員】  ただ、よろしいですか、そういうふうになってみると、何か全体としてはむしろ進んでいて、人文系だけ遅れているんじゃないんですか。

【松浦委員】  そう読んだのですが、そう読んでいいと思います。

【土屋委員】  本来はそうです。だから、何かそう言うと、学術情報基盤の全体の電子化の遅れがひどく強調されるみたいな感じがして、何か逆になってしまうような気もするんで、その辺、どういうふうに書いた方がいいですかね。

【有川主査】  やっているところもあるけれども、人社系についてはまだ進んでないということを言いたいのですよね。

【松浦委員】  そうだと思います。

【有川主査】  では、そのように、もう少しストレートに書くということで。

【松浦委員】  気を使って書き過ぎていると思います。

【有川主査】  趣旨は分かりましたので、ここで即決というより、一呼吸置いていただければ、きちんと直っていくと思います。ありがとうございました。

 そういったことも含めまして、御意見をいただければと思います。倉田先生、全体的なことをお願いします。

【倉田委員】  今のところの最初の方ですが、「紙媒体を郵送等により頒布する形態から」云々というところが、さすがにもうなくてもいいのではないかと思いました。そこがないと、結構スムーズに後ろにつながるような、つまり、電子ジャーナルという言葉でよろしければ、それだけでも大分、かなり1文が長いので、少し楽になるかなと思いましたというのが1つです。

 あと、後半の方になってしまうんですけれども、9ページのところで、その他の部分なのですが、その他科研費の改善に関する留意事項で、1つの中に、前半は評価体制の話で後半が学協会との連携という話になっているんですが、この学協会との連携というのが少し漠然としていて、何か評価に当たって学協会と連携するわけではないですよね。

【土屋委員】  いえいえ、学協会同士が連携している。

【倉田委員】  検討、「特段の配慮を行う」って、評価に当たってということですか。

【土屋委員】  はい。要するに、複数の学協会が協力して1つ大きな雑誌を出しています。そういう取り組みのことを表現しています。

【倉田委員】  それは多分取り組み内容の評価の方に入っているのであればよくわかるんですけれども、このその他のところは、JSPSといいますか、成果公開促進費の審査をする方の評価体制を整えるべきだというところですよね。ですので、そこに入るよりは、取り組み内容の評価のところに、学協会との連携のものに関しては高く評価すべきだという方が、内容的には良いのではないかと思います。

【土屋委員】  そうすると、1つポツをここにつければいいわけです。

【倉田委員】  ポツをつけて、場所は……。

【土屋委員】  又は、外してしまえば。

【倉田委員】  若しくは、オープンアクセスの取組みへの助成の前の部分の、その国際発信力強化のための取り組み内容の評価という方が、内容的にはちょうど良いというふうに思ったということです。とにかくここは絶対独立させた方が良いと思います。話が少し違いますので。

【有川主査】  8ページの真ん中辺りのオープンアクセスの前に移した方が良いということですよね。

【倉田委員】  はい。その方がより良いのではないかとは思ったのですが。そうではなくて、もっと何か特別な意味があってわざわざその他のところに入れたのでしょうか。

【有川主査】  ここのところは読んだときに少しわかりにくいですね。

【倉田委員】  はい。話がよくわからなかったので、御検討いただければと思います。

【土屋委員】  これは、要するに、小さい学会がたくさんあって、それも問題だというところと対応しているんですけれども、やはり議論としては、あくまで、ジャーナルの刊行というところの改善についての助成であるという観点で、学会そのものをどうこうするのではないというのが本来の趣旨ということですので、あえて「その他」の方に入れているということだと思います。

 ですから、学会の在り方については論じていないのです。現状の分析においては学会の在り方に言及していますけども、学会の在り方自体を改善するのがここの目的ではないので、もしそういうのがあったら、特別にいいことだねというぐらいのことにしましょうということで別に分けてあるということなので、あえて8ページの真ん中には書いてないという成り行きだったということです。

【有川主査】  長澤室長、いかがですか。

【長澤学術基盤整備室長】  表題のつけ方が少しおかしかったのかもしれないんですけれども、括弧のところの取り組み内容の評価というところは、申請する要件に関連するような事柄で、こういった応募をする上では複数年にしたりとか、欧文化率、こういったものを決めるということと、別に、このその他の改善留意事項というのは、その評価体制ということで見たときに、その評価体制としてきちんと見ないといけないし、複数の学会の連携については、その際に特段の配慮を行うというふうな形を入れるべきということですので、そこを分けて書いてあるということだろうと。

 そうしますと、8ページの方に持ってくると、申請の内容に関するところにその複数の学協会の連携する取り組みを検討すべきということになって、少しこちらとも違うかなと。

【有川主査】  申請書の書き方を少し誘導している感じですね。

【土屋委員】  ですから、8ページのところはともかく、確かにこの括弧のタイトルが変ですが、「今度は、強化のための取り組み内容について評価するんだよ」という意味です。つまり、対象となっているのは、雑誌刊行の損失補てんではなくて、改善の取り組みを評価するということをコントラストとして表現している部分が8ページなので、そこは全部それに寄せて書いてあって、それ以外のものはその他に出てしまっているということです。

【有川主査】  それでは、9のところ、「また」をやめて、そこをポツにして、少し格上げをするということにしておきましょう。

【長澤学術基盤整備室長】  はい。もう少しわかりやすく書くと。

【土屋委員】  非常に瑣末だけれども、何か変なことが気になり始めました。電子ジャーナルについて、3ページの上から4つ目の丸のところで、「電子ファイルをインターネットによって頒布する『電子ジャーナル』に移行しており」と書いてあるんですが、僕もこの表現を何度も十数年使ってきた記憶があるんですけれども、電子ジャーナルは「頒布」していないわけですよね。

【有川主査】  そうですね。

【土屋委員】  依然としてこの表現のままでいいかというのはちょっと気になります。

【有川主査】  これは、先ほど倉田先生がおっしゃいましたように、大胆に、自然科学系を中心に電子ジャーナルに移行しているが、というふうにするんですよね。

【土屋委員】  もうそこも取ってしまう方がいいように思います。それ以外にも「頒布」は出てくるんで、ちょっと調べてチェックしていただきたいなと。ともかく、「配って」はいないので。

   それから、同じ3ページで、一番下のところの掲載論文の「平均被引用数、インパクトファクター」と書いてあるんですが。

【有川主査】  何ページですか。

【土屋委員】  3ページの一番最後で、何か誤解を招きそうな気がすることは、「掲載論文の」と書いてあるところです。要するに、ジャーナルの一定期間刊行当たりの平均でないとインパクトファクターにならないので、何かこのままだと論文の平均被引用数と書いてあるように思われます。また、「論文の平均引用数」ということではそもそも何かというのは定義するのが非常に難しくなってしまうので、ここは僕はわかりませんので、倉田先生に正しい表現をお願いします。

【倉田委員】  そこは少し表現が難しいので、申し訳ないのですが、インパクトファクターだけにしてしまって、インパクトファクターの正しい定義を用語集に入れるということでいかがですか。

【土屋委員】  それがいい。

【有川主査】  このインパクトファクターは、掲載論文ではなく、論文誌のですよね。

【倉田委員】  はい、そうです。

【有川主査】  これだと何か論文のことを言っているような感じがします。

【倉田委員】  ただ、論文の引用回数に基づいて雑誌のを計算しているので……。

【有川主査】  それで、雑誌の方が計算。

【倉田委員】  そこのところはちょっと1つの文を入れるのは、ちょっと無理だと。

【有川主査】  この文章は、この中で説明すると長くなりますので、後の用語集の方に記載すると。

 どうぞ。

【三宅主査代理】  すみません、つまらない質問をさせていただいてよろしいでしょうか。とても、中身と全然関係ないんですが、1、2、3、4、5、6があり、a、b、cがあり、大きな丸があり、括弧があり、小さな丸があり、ポツがありというのが、どれが何なのか、どういうシステムで括弧になったり、大きな丸になったり、小さくなったりするのかがにわかにはわからないのですが、ここはよろしいのでしょうか。

【土屋委員】  整合性はあるような気がします。

【三宅主査代理】  7ページの6、7で来てa、b、cと来て、cのところに、7ページの一番真ん中辺の「以下は」というのがあって、括弧が来て小さいのが来るという、ここは何だか、その以下にいろいろ話が来るんだなというのはわかります。

 全体としては、大きな丸があって、何かその大きな丸の中に以下説明しますというのがあって、括弧の見出しが来て小さくなる。10、11あたり、そうなんですが、14ぐらいになると、b、cの下に直接括弧が来て、しかも、今度は丸が大きくなっています。何か大きな丸とか小さな丸とか、括弧があるとかないとかというのはどういうふうに見るとかというようなことは何か統一があった方がよいのかなと思いました。すみません、つまらない話で。

 何か最初、システムがあったんでしょうか。

【長澤学術基盤整備室長】  ある程度の固まりごとに見出し的なイメージをつけるということでやっております。先生が先ほどおっしゃったように、丸があって、丸の中が小分けになっている場合にはそれぞれでポツにして、それに見出しがついているんですけれども、それ以外のところで、特に丸が複数あって1つの項目について語っているところは一応見出しをつけているんですけれども、そこが多少わかりにくいということであれば、また工夫は必要かなということでございます。

【三宅主査代理】  なるほど。

【有川主査】  最近このようなものに関しては同じようなやり方をされていますので、ここだけ余り変更すると。

【三宅主査代理】  括弧が特に下位の見出しということではないのですね。

【土屋委員】  そうそう。

【三宅主査代理】  そうなんですね。どこに書いてあるかによって、括弧が下位的な見出しになったり、そうでなかったりする。文脈を見て判断しなくてはいけないという。

【有川主査】  見出しがまとめをしていて、それが細分化されているので、それ全体に対する見出しみたいな役割はしているのだと思います。しばらく見ていただければ、何とかわかりますし、ほかのこういった書類との整合性もありますので。

【三宅主査代理】  ほかのものも、そうなんですか。

【有川主査】  ここはそうです。

【三宅主査代理】  わかりました。いや、括弧の種類もいろいろあるので、大きな丸をくくる見出しには別の括弧を使うとかというやり方があるのかなとちょっと思ったというだけのことです。こういう文章については括弧のくくりの意味は文脈によって変わるということがわかっている人が読むのであれば、大丈夫だと思います。

【有川主査】  一応御注意は頂いたということで。

【土屋委員】  じゃあ、よろしいですか。ちょっと最初に戻ってしまうんですけれども、今まで自分で書いたような記憶がある文章を見ながら、批判というか指摘するのも変なんですが、その1ページの下から3つ目の段落で、国内で生産される論文の約8割が海外の雑誌に投稿されているということなんですけれども、これ自体の計算をしたのは2000年直後ぐらいですか。

【安達副所長】  いえ、その後です。

【土屋委員】  最近のものですか。

【安達副所長】  その後10年間の調査をして、その結果について私どものウェブに報告書が載っています。正確な数字が8割かどうか、ちょっと今すぐはお答えできません……。

【土屋委員】  それと、その「海外のジャーナル」と「国内」のと書いてあるんですけども、これは結構定義難しいわけで、要するに、一番典型的には国内学会を基盤として海外出版社が出している雑誌とか、そういうのをどちらに入れているかというのを、後でどこかで説明しておいた方がいいかなという気はします。

【有川主査】  この資料2の15ページですか。

【土屋委員】  そうですか、わかりました。海外の雑誌って、これは、何でしたっけ。

【有川主査】  ここで言う海外の雑誌とは何かということですが。例外的なこともあるんでしょうけど。

【安達副所長】  一応分類するときの定義がその報告書に記載してあったと思いますけれども、ちょっと今……。

【土屋委員】  たしかあったので、何かここに、でも、書き込んだ方がいいんじゃないかという気がします。これ、しかも、この15ページの下のやつは、これ、日本の学会が出している英文学術雑誌ですよね。

【有川主査】  下はそうですね。

【土屋委員】  はい。多分、これは海外……。

【有川主査】  その上の、我が国の研究者の海外投稿数とありますね。これは、12年と21年と変わらないんですよね。

【土屋委員】  はい。

【有川主査】  この79.6とか79.1というのを80%と言っているのでしょう。

【安達副所長】  どういうふうに言うか。

【土屋委員】  僕も忘れてしまいました。

【安達副所長】  ウェブ・オブ・サイエンスに日本の研究者はおおよそ7万件余り、論文を出しているとあります。そこで、日本の研究者が出しているという論文の判定も難しく、外国人との共著論文などをどのように案分するかという、その定義をまず行い、日本人の論文かそうではないかを判断した上で、そのうちの2万件余りが日本の学会の出す英文誌に入っていることがわかり、その結果比率が80%というような言い方をしています。

【土屋委員】  その場合、海外出版社で出す日本の学術雑誌って入っているんですか。

【安達副所長】  それは日本の学会が出す学術雑誌として考えております。

【土屋委員】  だけど、この下にある英文雑誌というものの中に、この83%、91%の中には海外出版社が出しているものは含まれてないですよね。

【安達副所長】  海外出版社が出すという定義も必要で、日本の学会が出版や頒布をエルゼビアやシュプリンガーなどに依頼しているというケースも多いわけで、日本の学会が発表する雑誌という意味ではこれらを含めています。

【土屋委員】  含めている。

【安達副所長】  ええ。なぜ排除するのでしょうか。

【土屋委員】  いえ、別に排除しろと言っているんではなくて、そこのところがあいまいではないかなということを。

【安達副所長】  ええ。で、当然、日本の学会が発行する雑誌にも外国人は投稿するわけですから、それは関係ないわけですね。

【土屋委員】  もちろん。もちろん。それは全然このパーセントには影響はない。

【安達副所長】  それ以外にも、細部を見るといろいろ難しいところがあるのですが、大局的には。

【土屋委員】  ちょっとこの15ページのところを、少しもとの資料に当たって、あいまいさのないようにしていただければいいんじゃないかなと思います。

 それで、もう1つは……。

【有川主査】  いずれにしても、2年ほど前のデータは2000年のものと余り変わってないということですか。

【土屋委員】  何かつくったみたいに数字が一致していますよね。

【有川主査】  少し気持ち悪いですね。

【土屋委員】  気持ち悪いから。

【有川主査】  私も気になっているところですが。

【土屋委員】  それから……。

【有川主査】  ただ、そこの表で日本論文の海外誌掲載率となっていますが、これは良いのでしょうか。つまりこれは、ここの日本の論文数を分母にして海外誌の発表数を分子にしたものでしょうか。

【土屋委員】  そうではないですか。

【有川主査】  ちょっと計算してみれば良いのですが。そうすると、何か海外誌掲載率というと少し違うような気もしますが、それで良いでしょうか。

【倉田委員】  はい、多分大丈夫だと。

【土屋委員】  大丈夫じゃないですか。

【土屋委員】  もう1点、よろしいですか。

【有川主査】  はい、どうぞ。

【土屋委員】  1ページの下から2番目の段落で、「弾力のない契約方法」ということですが、ただ、実際には契約方法自体は電子ジャーナルになって基本的に交渉ベースになっているので、むしろ、定義上は弾力性が生まれて、以前に比べて価格が、このタイトルは幾らって決まっているわけではないので、弾力性はむしろ強まっているんだと思います。

 なぜこういう書き方になるかというと、交渉したときに相手が全然何も動いてくれなというところで弾力性がないということで、契約方法自体は弾力的なんです。ただ、それがそのように運用されてないというだけなので、要するに、電子ジャーナルというのは実は契約に弾力性を持ち込んだシステムです。ここ、ちょっと誤解を生むと思いますので、提案としては削除してほしい。

【有川主査】  弾力のないというのを削除する、ということですね。

【土屋委員】  はい。

【有川主査】  よろしいでしょうか。私もここは少し気になった表現ではあります。

 どうぞ。

【田村委員】  少し先の方でもよろしいですか。

【有川主査】  はい、どうぞ。

【田村委員】  13ページで、下の方なんですけれども、「大学等は、責務として」という表現が出てまいります。それから、15ページの方には、下から2つ目の丸で、「機関に所属する者の責務として」ということで、責務という表現が2回出てきます。私など、どきりとしまして、おお、私はこれを責務としてやらなきゃいけないのかというような気になりました。

 13ページは機関の責務でまだわかるのですが、15ページの方は研究者の責務になっています。強い表現だと思いますので、特に研究者については、もう少し何か、どうして責務なのかということを多少解説するようなことがあってもいいのではないかなと思います。いきなり責務だと言われて、私などは少し考えてしまうところがあるということです。

【土屋委員】  その点については、さらっと書いてあって、誰も何も言わなきゃいいなと思ったところなんですけれども、要するに、責務であるということを強調するんだという意識改革は不要なので、意識がどうであろうが、責務は責務として果たすべきだということになりますから、その2つを一緒に置くのは非常にわかりにくいことになります。

  ただ、余り露骨に責務と書き、責務を強調しちゃうと、いわゆる義務づけ論というのになって、それは今、田村先生が御指摘のように、ちゃんとその背景となる理屈を述べろということになってしまうので嫌だなと思っていましたが、さらっとした案で良かったなと思ったのですが、、、、。非建設的で申し訳ないです。

【有川主査】  ここは少し大事なところではないかという気はしているのですが、例えば第4期科学技術基本計画などで、震災後、社会との関連を考え直したりしていると思います。大学だったり、あるいは、研究者のことについてはかなり踏み込んでいますよね。

 ですから、今まではこの手の表現を避けてきたようなところがあるのですが、そういったことではやっていけないというのが、特に震災後、指摘されているんだと思います。別の言い方をしますと、例えば、あの頃に出た、どこかの書類の中にあると思いますが、社会のための科学とか、そういう言い方をしたりしていましたよね。

 あの辺りのことなどを考えますと、もう少しやっていても良いのかなと、そういう時期なのではないのかと思います。そういうことをせずに勝手にやっておけばいいという時期ではないという気がしますし、そういうことを言うことによって、みんなでもっときちんと情報発信や蓄積等にも関係していきましょうというようなところがあるのではないかと思います。

 特に知識インフラというのがその前にありますが、これなんかも放っておいてできるわけではないので。

【土屋委員】  もしそういう脈絡であれば、まだ後で説明があるのかもしれないですけども、資料3の視点1の2つ目のポイント。

【有川主査】  資料3、そうですね。

【土屋委員】  あるいは、「社会への発信や対話を一層促進し」という4ページのところの内容とかを受けて、ここを責務であるとしてしまうと、ちょっと余り十分に議論しないでやっちゃっていいのかどうか、自信ないですけども、そのような方向性は今は考えられるということだと思います。

【有川主査】  そうしましたら、少し前後しますけれども、この資料3の説明をここでやっておいていただけますか。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  それでは、ちょっと前置きですが、資料3について簡単に御説明を申し上げたいと思います。

 これは御記憶の方もおられると思いますけれども、科学技術・学術審議会において、東日本大震災、あるいは、その後の原子力災害事故を踏まえて、科学技術、あるいは、学術の観点から検証を進めようということで議論をしております。観点としては、例えば社会のための、あるいは、社会の中の科学技術といったようなキーワードです。

 実は、昨年7月だと思いますが、この作業部会でも、この資料の8ページに東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点という、23年5月31日とクレジットの審議会決定のペーパーが参考で付してございますけれども、これを御紹介して意見を賜ったという経緯がございます。

 実は、その学術分科会、我々の所属しております親分科会であります学術分科会において、傘下の部会、あるいは、委員会等からの意見も踏まえて、本年の2月に分科会としての意見をまとめまして、総会の方へ報告をしております。

 その後、総会では、改めて、分科会からの意見も踏まえて、この冒頭の基本論点に基づいて審議を行っているわけですが、今後、総会において引き続き審議を進めていくということの前提として、各分科会以下からも改めて意見を頂きたいということで、本日添付をさせていただいたものです。

 今、土屋先生、あるいは、有川先生の発言の観点の部分は、今申し上げたところの8ページの最初に審議会の方でまとめられた検討の視点の冒頭の2パラのところでしょうか。「今後、科学技術・学術審議会においては、東日本大震災の現状を踏まえ」、「真摯に検証を行う」とした上で、「国家的危機の克服と復興、環境変化に強い社会基盤の構築への貢献を視野に入れ、我が国の存立基盤である科学技術・学術の総合的な振興を図るために必要な審議を進めていく」ということで、その際に、これまで以上に社会のための、あるいは、社会の中の科学技術という観点を踏まえつつ、検討を行うということにされております。

 こういったことで、本作業部会との関連で言えば、2ページ目にございます、例えば視点3、研究開発の成果の適切かつ効果的な活用、あるいは、視点4に社会への発信と対話というような観点がございますけれども、こういったあたりが関連するということかと思います。

 幅広に御意見を賜れれば、また分科会あるいは総会の方へ伝えていきたいというふうに考えております。

 資料3については以上です。

【有川主査】  ありがとうございます。

 ということで、田村先生、いかがでしょうか。

【田村委員】  土屋先生は何かさりげなくとかとおっしゃったんですけれど、むしろ、こういうことは大学や研究者の責務であるということを十分認識すべきだというようなことを、少し説明的に書かれた方がよろしいんではないかと思います。研究者個人もそうだと。やっぱり2回、それぞれに言っていいんじゃないかと思います。

【有川主査】  ありがとうございます。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  関連でよろしいでしょうか。ちょっともしかするとピントがずれるかもしれませんが、先生方も御案内のとおり、実は学校教育法が22年に改正をされていて、大学のいわゆる教育研究の成果の普及、あるいは、活用の促進という観点で、その前まではそういった活動の状況の公表については努力義務であったかと思いますが、これが義務化された経緯がございます。

 そういった観点から、社会へ向けた大学の活動をいかに出していくかと、効果的に出していくかというところが、今、大学の、責務という言葉はちょっと強いのかもしれませんが、1つ役割として非常に重要になっているという観点も1つあるのかなと思いますので、1つ御紹介をさせていただきました。

【有川主査】  そこで弱めてもいいと思いますが、一方では、つい先日6月4日の国家戦略会議での文科大臣の発言や、翌日の大学改革実行プランというようなところなどを見ていますと、もう少し強いことが期待されているようなことがありますよね。

 ですから、どこかで踏み込んでおく必要がある、そういう時期なのではないかという気はしております。

 松浦先生、どうぞ。

【松浦委員】  私も、先ほどの田村先生と同様に考えます。13ページの下から3行目「大学等は、責務として」ですが、「責務として」がなくても話は明快です。ここでわざわざ「責務」を入れるのは感情を入れるだけのことです。責務を言うのならその中身を記述した方がいいという気がします。

 15ページのところで、「研究者に対しては」と書いてありますけど、この文の主語は大学等であって、大学が研究者にこういうことをするように意識改革に努めなさいという意味です。

 そうだとすると、「大学等は」を主語にして、大学等は研究者に対して、自分の学術情報をオープンアクセスにすることで、自分にとってもメリットがあることを意識させ、同時に、大学等が自分たちの学術情報を社会に還元するという責務も果たすことができるという表現にしたらどうでしょう。

【有川主査】  大体方向が出たようですが、そういたしますか。その責務が、例えば13ページの「望まれる」というのは、そういった全体の調子を見ますと、「努めるべきである」とか、そういったようなことですから、それは入ってはいるんですね。それから、後ろの方については松浦先生がおっしゃったようなことだろうと思います。

 この場ではそうですが、少し別な立場で考えますと、責務というぐらいのとらえ方をしておかないと、いつまでたっても同じことが、繰り返しいろんな形で指摘されて、そのうちに大変なことになってしまうという危機感を持つんです。自分たちで責務と思ってやって、そして、余り余計なことを言わせずに、きちんとした学問と教育ができるようにしたいという思いが一方ではあるものですから。

 はい、どうぞ。

【倉田委員】  それとの関連で、そういう意味ではこれも最初のところの出だしが少し弱いと思うんですね。

 一番最初のところは何か流していて、後ろの方で結構強い言葉を言っているので、そうではなくて、この冒頭のところで、今お話しいただきましたような、東日本大震災を経てというようなことも含め、思い切って大上段に構えて、それは大学がやるべきことだということを、責務という言葉をうまく入れられるかどうかは別として、とにかく機関リポジトリはその一つだというふうに、最初に言ってしまえば、もう少しすっきりするのではないのかなというふうに思いました。

 話が少しばらばらにいろいろ出てくるので、そのたびに何か引っかかるということがあるのかなと思います。

【土屋委員】  そうすると、むしろ13ページのところに書き込んだ方がよろしいという御提案ですね。

【倉田委員】  はい。

【土屋委員】  賛成です。

【有川主査】  ありがとうございます。どこかの最近の大事な文書なりを引いておけばいいかと思いますので、それはできますよね。

 どうもありがとうございました。ほかに何かございますか。

【土屋委員】  今せっかく、14ページ、15ページに来たので、申し上げておかなければいけないことがあります。

  1つは、その14ページのところで、(これは前も申し上げたかもしれないんですけれども)2つ目の丸の「機関リポジトリの整備」というところで、NIIの共用リポジトリシステムのことが言及されているのですけども、現実に共同リポジトリという形でボトムアップでやっているところも結構あって、NIIが提供しているのは基本的にはシステムまでだという理解なものですから、そういう共同でやるものに対する理解も示すような文章を入れていただきたいなという気はします。

 要するに、特に国立、公立、私立を超えた共同リポジトリの取り組みが多いので、それは大学としてもいいことじゃないかなと思われますので、そこをちょっと触れておいていただきたいなと考えます。

【有川主査】  はい。NIIのものだけではなくて、もう1つぐらいはそういったボトムアップ的なものや、自発的に出てきたものがございますね。

【長澤学術基盤整備室長】  県として取り組んでいるものがあると。

【有川主査】  何件かありますね。ありがとうございます。

 羽入先生、どうぞ。

【羽入委員】  今ちょうど話題になっている箇所で、15ページの最後のところの2つ目の丸ですが、これは機関リポジトリの構築が大学にとって取り組むべきものであり、それを図書館が担っているというのは、明らかなのですが、サポートするというのは、だれが何をサポートするのか、研究者が図書館をサポートするのか、図書館が研究者をサポートするのか、大学が図書館をサポートするのか、どうなのでしょうか。

【有川主査】  それは私も気づいていたのですが、それは国がサポートするということもあるのかな、と思って、うまく書いていると思っていたのですが。

【羽入委員】  そうですね。ここに図書館に対してどういうふうにサポートが必要かということを書くことも必要かなと思うのですが、そうすると、研究者の意識改革とは少しずれますので。

【有川主査】  今のところは図書館がボランティア的にやっているわけですけれども……。

【羽入委員】  そうですよね。

【有川主査】  それをいつまでもそうではないでしょうということで、何らかの形でサポートしなければいけないということを書いたのだろうと思います。

【羽入委員】  きっとそうですね。

【有川主査】  どこがということをあえて言ってないところがみそなのかもしれない。そういうふうに私は読んだのですが。

【羽入委員】  どこかということを。

【有川主査】  ただ、こうしてあると、図書館サイドからすると、そのうちきちんと支援も届くだろうから、もう少し頑張ろうかという気持ちにはなりますね。

【羽入委員】  私は図書館に対する期待があるとすれば、やはり位置づけを、図書館職員の意識というよりも、大学の中での図書館の位置づけも視野に入れて考えておくべきかなというふうに思います。

【有川主査】  それでは、そこは少し書くことにしましょう。

【長澤学術基盤整備室長】  括弧の中に、大学及び研究者の意識改革とすれば良いでしょうか。

【松浦委員】  それでいいと思います。

【土屋委員】  よろしいでしょうか。

【有川主査】  はい。

【土屋委員】  せっかく15ページなので、その上のところにある著作権についての言及について、これをさらっと読んだときにはわからなくて、今見てもやっぱりよくわかりません。つまり、何かちょっと整理できてないような書き方じゃないかなという感じがします。

 つまり、第3段落で、「セルフアーカイブによるというケースが多いが」、「事務的に二重の負担になる」というところで、「事務的に」というのはどういう意味なのかなというのが1つで、「既にジャーナルに掲載した論文については、事務的に」というのはだれの事務なのかということです?

【長澤学術基盤整備室長】  これは研究者の方が、作業的という意味です。

【土屋委員】  作業的という。

【長澤学術基盤整備室長】  事務的というより、作業的にということですね。

【土屋委員】  その「著作権の関係から出版版でなく」というのは、いろんなケースがあります。出版版を出すというところもありますし、特にいわゆるエンバーゴをかけているようなところは出版版でいいというところもあります。一概に言えないのではないかと思います。しかも、ほとんどだというふうに言い切っていいかどうかもちょっと難しいと思いますので、その「著作権の関係から」というのが果たして正確な言い方かどうかよく、原因になっているかどうかよくわかりません。

【有川主査】  これも何かデータがどこかにありましたよね。

【土屋委員】  はい。

【有川主査】  それで、ここのところは、今日は御欠席ですけど、中村先生の発言を入れたことになっているんだと思います。

【長澤学術基盤整備室長】  はい、そうです。

【有川主査】  ただ、そこの「事務的に二重の負担」というのは、事務というよりも、研究者にとって作業が二重になるということですね。

【長澤学術基盤整備室長】  はい。

【有川主査】  ですから、事務的という言葉を別な言葉で置きかえた方がいいかもしれません。

【長澤学術基盤整備室長】  はい。

【倉田委員】  そこのところなのですが、少し繰り返していると思うんですね。11ページに、出版版でないとなかなか出しにくいという話は、一応オープンアクセスの話のところで一度出てきていて、それで、ここでまた違う形で出てきているので、もちろん、何回か言うことは重要だとは思うのですが、こちらの機関リポジトリのところではできるだけ余りごちゃごちゃしたことを言わずに、コンテンツの内容の充実について、もっとやるべきだという話だけにできる限りした方が良くて、その著作権絡みでいろいろなことが問題だという話は、オープンアクセス化の全体的な話の方にできるだけ整理して入れてしまった方が、話としてはすっきりするのではないかと思います。

 オープンアクセスの方には、別にそれを機関リポジトリに直接絡めて言わずに、そういう問題があるというところでとどめておいて、機関リポジトリの方は、いろんな背景から、やはりそういう研究者のインセンティブが得られにくい状況があるという話だけに、著作権と直接そのインセンティブの話をしてしまうと、余計話がわかりにくくなるような気がするので、機関リポジトリの方はコンテンツを充実させることに課題があるという話の流れだけの方にしておいた方がわかりやすいのではないかというふうに思いますが。

【土屋委員】  大変ありがとうございます。釈然としない理由がよくわかりました。

 要するに、多分著作権は関係はないのですよ、機関リポジトリに関して、実際は、仕組みは非常に簡単で、要するにセルフアーカイブは自分の著作権の権利行使なので問題ないということです。それで、当然いろんなエンバーゴとか何とかかかってくると、それは単なる条件にすぎないので、基本的にセルフアーカイブである限りは、問題ないのです。セルフアーカイブでその手間がかかる分についてはお手伝いする人がいればいいという、それだけのことなので、実際に著作権の問題がどうこうだからというので、研究者の皆さんがひるんでいるというような話は一切ない。ただ、もちろん、そういう誤解が流布していることは事実ですけれども、それは誤解であって真実ではないということです。

【有川主査】  ここでのことは、出版するときに、著作権を出版社にトランスファーするので、自分の手元にないということを言っている。

【倉田委員】  いえ。ここは多分、中村先生は、そういう著者最終原稿というような、校正を経ていない出版版ではないもの、それは途中のものだというふうに考える研究者は絶対いると。少なくとも中村先生はそうだと。だから、そういうものは出したくない、ということは明確におっしゃったと思います。

 ですので、そういう意識があるということはやはり入れておいた方が良いのではないかと思います。ただ、だからといって、セルフアーカイブの機関リポジトリは全部駄目だとかいう話とは全然違う文脈で中村先生はおっしゃっているので、そういう意識が出てくるということは、むしろちょっと別のところに書いておいた方がいいんじゃないかなというふうに思ったということです。

【有川主査】  では、そこは整理していただきたいと思います。前の11ページあたりにも出てきておりますので。

【土屋委員】  よろしいですか。

【有川主査】  はい、どうぞ。

【土屋委員】  16ページになって、評価への組入れというところで、多分僕の発言が不正確だったと思うんですけれども、「大学等の機関別評価を行う際に」というようなことで、その「機関別評価」というのは何を指しているか、非常に微妙で、「機関別評価」という名前の大学評価システムはなくて、機関別認証評価か国立大学法人評価なので、どっちを指しているかなと迷います。国立大学の話をするのは、大学全体を議論するときに適当かどうかもよくわからないというのがあって、ちょっとそこを丁寧にしなきゃいけないかなと思います。 それから、もう1つは、機関リポジトリの構築による情報発信への取り組みについて評価する仕組みというのは、確かに、先ほど丸山補佐から御指摘のあった教育情報の公表義務との絡みでチェックポイントにはなり得るということで、そういうような形の指摘をしていただけたらということを多分申し上げたんだと思うのですが、これだとちょっと、取り組み状況そのものの評価はできないんだと、取り組んでいるかどうかの評価までは、しているかということだけは事実関係がチェックできますけども、それがよくできていますとか、ちょっとだけできていますとかという、そういう評価は、もし機関別認証評価でやるとすると、余りなじまないなという感じがするので、僕も考えますけれども、その表現を少し修正していただけたらなというふうに思います。

【有川主査】  そうしたら、1つ正しいことを挙げて、「大学等の機関別認証評価等を行う際に」とやっておいて、取り組み状況についても、仕組みというと少しきつ過ぎるので、「についても評価の対象にとすることで」というぐらいにしておけば良いのではないでしょうか。

【土屋委員】  そうですね。仕組みというとちょっと大げさ過ぎるかなと思います。

【有川主査】  「評価の対象にすることで積極的な整備を促すことが期待できる」というぐらいにしておけばいいのではないでしょうか。

【安達副所長】  1点よろしいですか。研究者が今後はオープンアクセスジャーナルに自分の論文を投稿するということが多くなってきた場合、普通の心理ですと、オープンアクセスジャーナルに投稿しているのだから、必ずしもセルフアーカイブする必要はないと考えると思うので、このレポート全体でどういう方向に向かわせようとしているのかという点を、その観点で書き添えることはできないでしょうか。評価ということと絡んでくるとしたら、少し注意しておいた方がよいと思いました。

【有川主査】  よろしいですか。そこはその下に書いてありますけれども、搭載すべき情報というようなことで言いますと、論文だけではなくて、実に様々なことがあるということだと思います。むしろ大学の情報発信みたいな感じになっていますよね。そういったことを評価する際に対象にしてほしいというようなことだろうと思います。

【土屋委員】  ただ、今の安達先生の御指摘は、特に最近イギリスで出たフィンチ(Finch)レポートをめぐって数日来のインターネット各所における議論を見る限り、極めて重要な御指摘で、結局、オープンアクセスの実現で、ここではいわゆるゴールドとグリーンと両論併記して、グリーンの部分は機関リポジトリが担って、ゴールドの部分も科研費などで支援していく形で、日本の学術コミュニティの基礎、学術雑誌の振興に努めようというような感じで、さらっとまとめているんですけども、安達先生の御指摘のように、ある意味ではもしかしたらこの2つの路線は二律背反かもしれないと。つまり、ゴールドの路線を強く推し進めるということは、グリーンを不要にすることになるだろうという御指摘ですよね。それについて、このレポートとして定義、態度を決めないでいいのかという御疑問だと思います。

【安達副所長】  そこまでは思っておりませんが………。

【土屋委員】  それは、そんな大変なことを言わないでほしかったという感じもします。僕自身は今、答えはありませんが、知らないふりをして両論併記していくという方法しかないかなと考えます。

 つまり、知っているのに黙っていたと言われるのは嫌なんですけども、今までの検討状況だと、我々が1年以上かけて検討した限りでは、両論併記で、可能な限りいろんな方法を使ってオープンアクセスを実現するんだという程度でとどめておいて、それがもしかしたら本質的に今みたいなものは要らなくなるというような理屈になっちゃう可能性は十分あるということは、余り表に出さなくてもいいのではないでしょうか。

 あえてそこで議論するならば、論文に関してはそういうことがあったとしても、有川先生が御指摘のように、それ以外の大学が生み出している知的な生産物というものの社会に対する公表、公開の手段としては絶対必要であり、それが大学の責務だというような論旨でいけば、機関リポジトリの意義については十分擁護できるし、かつ、グリーンという概念に頼らなくても、機関リポジトリの意義づけというのは考えられるんじゃないかなという感じがします。

【有川主査】  確かにそうですけれども、これは議論の中でも、たしか喜連川先生から出たかと思いますが、オープンアクセス誌に載っているとすると、論文そのものではなくタイトルで、そこからジャンプできるようにポインターを貼っておけばいいというようなことがあるわけです。

 ですから、二重に論文を載せておく必要は全くないというようなことなどを考えますと、おっしゃったような問題はあるけれども、その際にはいわゆる機関リポジトリの方が少し軽くなるという感じになりますよね。

 それから、16ページの中ほどにあるように、そういった様々なものも機関リポジトリの方にあるので、今はこれで大丈夫ではないかと思います。

【土屋委員】  もう1点よろしいでしょうか。16ページの下から3つ目の「コンテンツの内容によっては、タイムスタンプ付与により、知的財産保護の立場から」ということなんですが、ちょっと意味がよくわからない部分はあります。議論としては、リポジトリに載せると知的財産保護というか、特許取得との絡みでもって嫌だという研究者の意見も実は結構具体的に出てきているので、単純にこうはいかないのです。

機関リポジトリはある意味でそれほど公的なタイムスタンプとしての制度的な保証があるものではないので、本当にこう言い切ってしまっていいかということは疑問です。こういうふうにも考えられるということは認められますけれども、提案としてはここまで言わないでいいんじゃないかなということで、あえて触れなくてもいいかなという感じがしました。

【有川主査】  ここで大事なことは、そのタイムスタンプということだと思います。そういったような面があるということが大事で、それが知財ということか、あるいは、論文の優先権主張、私の方が先に出しましたということが言えるようにするという、タイムスタンプ付与ということは非常に大事な機能だと思います。

【土屋委員】  ただ、いわゆる学術論文に関しては、もうそのオープンアクセス化という観点での機関リポジトリへの搭載というものは、タイムスタンプ的には学術論文に出すことがいわゆるバージョンレコードというのをつくることになるので。

【有川主査】  その上の内容的なことで言いますと、テクニカルレポート的なものですよね。

【土屋委員】  はい。

【安達副所長】  恐らく、こういうことではないでしょうか。他で特許を取れないように主張するために、あなたが取ろうとしている特許はもう5年も前に機関リポジトリに載っていますというふうに使いたい、あるいは、使えるかという話だと思います。

【土屋委員】  使われちゃう。

【安達副所長】  いや、本当に5年前に公知になっていれば、特許は取れないのでそれでよいわけですが、そのときに、いや、機関リポジトリに載っているのはそういう公知のものではないので、あなたは特許を取れますというようになるのか、その辺のことではないでしょうか。

【土屋委員】  いや、そうだと思うんですけども、ただ、問題はやっぱり機関リポジトリ搭載というのをどのぐらいタイムスタンプとして有効かというのが、そんなにきちっとしているかなという感じがあって。

【安達副所長】  ただ、今のような話は公知であると判断した方がよいですね。

【土屋委員】  そうです。載ってしまえばね。

【安達副所長】  特許を取ろうとしてきたのに、いや、実はもうインターネットの上でそのようなことが書いてありますということであれば、それはそれでよいでしょうということです。

【有川主査】  それが、例えば検索でヒットして、それに関連したいろんな議論がされたりしているということは1つの事実になるというタイムスタンプとして機能すると思いますね。ものすごく多くの人がそれを使って議論し始めたということがあれば、どこかでひそかにというようなことではなくて、とにかくアクセスできることになっているということは大事だと思います。

【松浦委員】  この文章も主語が実ははっきりしません。そのため、一体だれの著作権、知的財産権保護の話になっているのかがよくわかりません。

 安達先生のお話だと、自分が既に発表していて、それで、ほかの人が特許だと言ったときに、そうではないと主張するためには有効だという話だとすれば、それは他人の特許権の主張に反論する根拠に使えるという話になります。あるいは、誰が最初に成果を出したのかを証明する場合に、タイムスタンプにはメリットがあるという話になります。

 そのどっちの話をするのかが、この文章は実はよくわからないのです。そもそも、この話を

 ここで書くだけの必要があるのかなとも感じます。

【有川主査】  実際に現場では、この知的財産権とか、そういったようなことは、特に国際関係では、ものすごく大変なことが起こりつつあります。ですから、こんな言葉はなるべく避けた方がいいという状況ではないという気も一方ではします。

【松浦委員】  書くのなら、もう少し踏み込まないといけないでしょう。

【有川主査】  ちょっとどっち……。

【松浦委員】  これで話が済んだというような書きぶりにはなっていない気はしますが。

【有川主査】  はい。普通の読み方をしますと、タイムスタンプによって自分の知財を主張するというふうなふうに読めるのですが、安達先生がおっしゃったように、そうではなくて、よそが取るのをブロックするといった面もありますね。

 そうしたら、ここだけが文章として短いので、丁寧にあと1行か2行ぐらい書くことにしましょうか。ありがとうございました。

 はい。

【倉田委員】  すみません、12ページに戻るんですが、今のその主語がわからないというので同じで、12ページ目の最初のポツの「著作権を保有する学協会や出版社との交渉等により」というところも、やっぱり主語がないんですね。だれが交渉してだれが努めるのかが、わからないのですが。

【土屋委員】  それは文部科学省ですよ。

【倉田委員】  文科省でよろしいんでしょうかね。いや、文科省でよろしいんなら、これで結構ですけれど。

【長澤学術基盤整備室長】  我々もそうだと思いますし、例えばJUSTICEのようなところもあると思いますし、それぞれの大学とかもあると思いますので、様々な形でこういう対応をしていくことは必要だろうというふうなイメージなんですけれども。

【有川主査】  国でやったり、大学でやったりということですよね。

【長澤学術基盤整備室長】  はい。

【土屋委員】  もう1点、よろしいですか。今の点はいけないと。

【有川主査】  これはどうしますか。日本語は主語がなくても成り立つのですが、書いてしまうと全く別の意味を持ってしまうので、あえて書かないことによって広がりを持たせるというところがありますが。

【倉田委員】  戦略的にということで。

【有川主査】  戦略的に。はい。

【土屋委員】  戻りまして、16ページの次、17ページの頭の学位論文の搭載ということなんですけども、状況を丁寧に書いていただいたと思うんですが、やはり、できれば、「大学の社会への成果還元、さらには説明責任を果たす意味からも、学位論文の機関リポジトリへの搭載を一層促進することが重要である」ということに加えて、それを可能にするような制度的整備なども促進してほしいと思うのですが、それは書き込めないでしょうか。

【有川主査】  そうですね。今おっしゃったことは、具体的には、公表するというのを、ネット上に公表するということにできないか、あるいは、ネット上に公表することで公表したということにかえられないかと、そういったことですね。そこまでちょっと踏み込んでいったらどうかと。

【長澤学術基盤整備室長】  所管する高等局の話では、それを根本的に制度として見直すという方向性がまだ定まっていないという、じっくり考えたいということで、今の時点ではこれは書かないでほしいということでした。

【有川主査】  微妙なところがあるんですね。学位論文の中には、公表は国会図書館には行くわけですが、そういう意味では見られることになっているのですが、やはり、ものによっては、ネット上に置くということとそれとは全然違うというようなことがあります。

 例えば、差別的な歴史的なことであったりすると、それはどこかにはきちんとあるわけです。古い地図などを詳細に大きくして、ネット上に置くということを考えますと、そこで問題が出てきます。ずっと探していって、貴重書の中でやっと探せるというようなところに置いてあるのと、それをみんな見られるようにネット上に置いた途端に、全然想定しなかったような問題が起こるという。

 その辺はちょっと違うんですよね。メディアがただ紙媒体でやっているからいいだろうということとどうも違う。そこを何とか解決しなければならないんです。松浦先生たちのお仕事になるのでしょうか。

【松浦委員】  論文執筆のときの執筆要領を、外国の大学は博士論文を書くときにちゃんとしたパンフレットにしています。あの中にデータの扱いはかなりきちんと書いてあって、それに従えば、かなりの問題や紛争を避けることができるようになっています。デジタル化の時代には、論文の検索は容易になるので出版する人間の責任と執筆者の責任を再度洗いなおす段階にきていると思います。

 しかし、現在は、各大学あるいは各研究者の責任に委ねられているので、先ほどの法制度の整備の話の中できちんとした対応を担当官がしてくだされば非常にありがたいと思います。

【有川主査】  ちょっと待ってほしいとおっしゃるのは、恐らくその辺まで御理解の上でのことではないかと思っています。ですから、土屋先生がおっしゃったような意向でぐっと踏み込みたいところですけれども、今みたいな問題があるので、これはここまで、搭載を一層促進することが重要であるということでも、かなり踏み込んだことにはなると思います。

【土屋委員】  はい、いいんです。一応言ってみたかったということで。

【有川主査】  いずれにしても、それは解決しなければいけないことなんです。いつまでもそういう例外的なわずかなことによって、ネット上に置いた方がいいものが山ほどあるのに、それをできなくするというのはまずいだろうと思います。

 今、国会図書館なんかがやっていらっしゃるような、ああいったことで、一番難しいことは、紙媒体で出したものをネット上に置くときの著作権処理ですよね。ほとんど連絡がつかないし、学位を取るときの条件みたいになっていればしょうがないけれども、取ってしまったら余計なことしたくないといいった気持ちも働きます。ですから、これはほとんど進まないんですね。

【土屋委員】  いやいや。そうなると、やっぱりもう一言申し上げたいので。つまり、今までのものについては著作権処理が必要ですが、これからのものについては制度をつくればいいということです。

【有川主査】  そうです。ですから、どこかでやっておかないと、いつまでもその話が続いてしまうということなんです。

 ほかにございますか。美濃先生。

【美濃科学官】  今日が2回目で、前回から参加したので、余り細かい話は別にして、この提言のタイトルを見ていますと、基盤の整備の充実についてと書いてある。この基盤というのは一体何なんだろうと思って、全体の構成を見ていたんですが、その1番目のタイトルに基盤の整備というのがあるんですけど、書いてある中には全然基盤の整備に当たるようなことはなく、基盤というのは何ととらえておられるのかがよくわからない。

 それから、情報の発信・流通の強化について、発信・流通とあるんですけど、内容は発信のことばっかりが書いてあって、流通というのはどういうふうに考えておられるのかというのがよく見えてこないんですね。前回から来て、ちょっと勉強している段階で、何かそういう議論がなされていたというような気はするんですけども、さっと読ませていただくと、そういう点がすごく気になる。

 それから、2番目のこの公開促進費の改善について、これ、何がしたいからどう改善するのかという話だから、順序としてはこの話はもうちょっと後の方がいいんじゃないかというような気がしないでもない。だから、トップダウン的にそもそも何をしたくて、その基盤の充実の中にオープンアクセスと機関リポジトリの強化というのがあって、それを進めるために、科学研究費の促進費を改善するというような流れにした方が読みやすいんですよね。

 素人的にふっと入ってきて、ちょっと見せてもらったときに、一体何が言いたいんだろう、というのがよく見えなかったんで、もしそういう議論があったとしたら、これでいいかと思いますが、そのあたり、御検討いただきたい。

【有川主査】  ありがとうございます。この定期刊行物のこの位置は、我々が議論した順番になっていますので、そういう意味ではオープンアクセスと言った後にあってもかまわないだろうと思います。事務局に後で少しやっていただきたいのですが。

 それから、基盤というのはどういうことかといいますと、私たちのこの学術情報基盤作業部会で言っているところの基盤とお考えいただければいいんだと思います。

 ですから、最近はこういったことをやっていますけども、前にはネットワーク、インターネットのことをやったり、計算資源ということでスパコンなんかも考えていました。学術論文であったり、あるいは、もっとわかりやすいのは、図書館のことをかなりやったんですけど、そういったものは学術情報の基盤だと、そういった意味なんです。

 ですから、ここでいう基盤というのはそういったことだと思っていただければいいのかなと思います。

 それから、発信・流通というのは、この紙媒体のことを引きずっているようなところがあるのですが、ネット上でのことを考えますと、発信したら流通するというようなところがありますが、少し歴史的なことがあるのかなと思います。

 室長の方からどうぞ。

【長澤学術基盤整備室長】  一応、そういった本質的な基盤というところもありますけれども、学術研究の基盤となる情報の流通というような意味でも両方使っていて、そういう側面から幅広く、ハード的な面から、それを土台とするソフト的な情報までを含めて、一応ここで使っているので、一般的に見たときに基盤の整備とちょっと違うんじゃないかというのは、あるかもしれません。ただ、そういう基盤につながるような学術情報にかかることはすべて一応ここでやるというようなことで理解していただいて。

 あと、ここの国際的なジャーナルを強化するというところ自体は、一応文脈的に順番をそうした方がわかりやすいというところもあるかもしれないんですけど、非常に大きな問題なので、先にこっちの方を議論してやっておりますので、つながり方からすれば、こういったジャーナルの強化というものも結局は学術情報の流通にかかわることですので、そこをまずジャーナルを強化したということと、そこから、そのつながりでオープンアクセスとか、それに情報の関連する基盤として機関リポジトリとかの整備をするというふうなところで、一応文脈的にとらえていただければ、事務局としては必ずしも逆転させなくても御理解していただけるんじゃないかなというふうに思っております。

【有川主査】  これはこのままでもいいと思います。既に定期刊行物に関してはこういったことをやってきたということで、それを押さえた上で、オープンアクセス、機関リポジトリをもっと組織的に進めていくといった説明の仕方は当然あると思います。具体的なことを押さえた上で一般的なところに来てということになりますから、そういうやり方があると思います。

【土屋委員】  もう1つ、よろしいですか。

【有川主査】  美濃先生には理解していただかないといけませんので。よろしいですか。まだそんなにおかしくもないように思っております。

【美濃科学官】  はい。また聞いておきます。

【土屋委員】  1つだけちょっと気になったのは、多分この「国際的な」という点です。「国際」発信というのが入っちゃっているのでしようがないかなという気もするんですけれども、実は依然として、国内の流通、特に雑誌とか(紀要は逆に電子化が進んでしまっているのが)国内の日本語の学会誌というのが意外と電子化されてない。

例えば、NIIのCiNiiとかで、まだ「イメージ」ですよね。でも、流通は行われているという程度で、あとは、例えば医学系雑誌なんていうのは、『メディカルオンライン』という商業的な仕組みで1,000タイトルぐらいが流通しているんですが、これもやっぱり「イメージ」の流通だということで、何というか、国内の部分について、多分一言も触れてないのです。残念ながら、まだそこは促進ないし推進せざるを得ないのが実情です。せめてこの4機関連携のところで何かやった方がいいということを、一言ぐらいどこかに入れた方がよろしいんじゃないかなという気もするんですけども。

【有川主査】  それはどの辺りになりますか。

【土屋委員】  19ページです。

【有川主査】  19ページ、終わりの方ですね。それはよろしいんじゃないでしょうかね。

 どうぞ。

【田村委員】  今の土屋先生の話と同じなんですけれども、流通の中には、検索機能の強化によるアクセシビリティの向上といったことも入るはずです。そう考えますと、5番の見出しが、発信・流通でなく流通・発信というように順番がひっくり返っているのは、それなりに意味があるんじゃないかと思いました。 なので、私も土屋先生と同じで、このb.の連携・協力のところで、検索機能の強化というところに今のフルテキストデータの検索といった話を入れていいのではないかと思います。フルテキストの検索がなかなか進んでいません。CiNiiや雑誌論文だけの話ではなくて、国立国会図書館がせっかく書籍を電子化したのに、画像データで、目次くらいまでしか検索できていません。

 学術のためには全文検索というのが役に立つんだということ、あるいは、そこまでいかなくてもいいんですけれども、検索機能を強化する、すべきであるということについては、このあたりで触れていいんじゃないかなと思います。

【大倉部長】  よろしいでしょうか。オブザーバーですし、もうまとめに入っているところでこういうことを言うのもちょっとどうかなとは思うんですけれども、J-STAGEは今、860余りのジャーナルを公開しており、そのうちの3分の1は日本語のジャーナルです。

 今年度、J-STAGEへ搭載したいという申請が来ているのが既に150ぐらいあって、かなり多くの部分は人文・社会系でもあり、かつ、日本語のジャーナルであるということも多くて、これからJ-STAGEはそのような分野についても更にまだ責務があるなと思っています。事業当初は国際発信力の強化ということで英文のジャーナルを中心にやってきましたけれども、それに加えて、今実際なかなか流通し難いのは日本語のジャーナルであり、また、人文・社会科学系のジャーナルであるということもあり、私たちは、まだまだJ-STAGEでやることがあるなと思っております。

 この報告書の中でも、実はもう少しJ-STAGE内外にたくさん関係している人間が元気が出るような少し文言を盛り込んでいただくと、非常に助かるというふうに思っています。

 その元気が出るというのも2つ意味がありまして、1つは、働いている人間として、こういうところに文言を盛り込んでいただけると、実は非常に元気が出るということもありますし、もう1つは予算ですね。予算の獲得、確保をすることにおける後押しとして、こういう報告書の中で、J-STAGEが今までやってきた国内のジャーナルを電子化することを促進するということが大事で、さらにはオープンアクセスが大事であると取り上げていただけるとうれしい。

 オープンアクセスを受ける枠組みとして機関リポジトリというものがあり、それから、科研費を少し改善するという流れのレポートになっていると思うんですけれども、その電子化を促進したり、オープンアクセス化を推進するという意味で、今までJ-STAGEが果たしてきた位置づけもあると思いますし、それから、期待されている役割もあるというふうに思っておりまして、そこについて少し記述を拡充していただくと非常に助かるというふうに思っています。

 実際今、認可予算ということを考えてみますと、日本全体、同じでしょうけれども、非常に情報に対する予算の割つけの厳しさというものがあって、私たち、責務を感じているものの、実際には予算の獲得は難しいという状況があります。

 その中で、人文・社会系もどんどん取れ入れながら、さらに、学術基盤の流通・発信の強化ということですと、学会のジャーナルだけではないと実は思っておりまして、旧国研が出しておりますものでありますとか、それから、企業が出している技術報告でありますとか、まだまだネット上で流通させていかなければ、電子化して流通させていかなければならないものがたくさんあって、きっとJ-STAGEはそこにも役立っていくんだろうなというふうに思っているのですが、なかなか国の中の予算として厳しい状況があって、是非そういうところの御理解をお願いしたいと思います。

 それから、前回の委員会でも出ましたけど、アジアの中で求心力を持っていくためには、それなりのプラットフォームの在り方もあるんじゃないかというような議論もありましたし、そういうことを含めて、J-STAGEに関する記述をもう少し加えていただくと、非常に助かるなというふうに思っております。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございます。

 18ページあたりから、あるいは、別なところにもありますけど、JST関係は、かなりの量を割いて書いてはいます。JSTが予算を取りやすいようにということでいじるということにはならないんだろうと思うのですが、こちらの方は、結果的にそういうことになっていくということはあるにしても、もう少し全体のことをトップダウン的に考えていかなければいけないのだろうと思います。

【土屋委員】  ただ、今の件に関しては、20ページの2つ目の丸のところにJ-STAGE3の記述があるので、これの中に今おっしゃった、今まで議論に出てきたことは入れておいた方がいいことは事実、ただ、この間出てきたアジアでのプラットフォームであるとか、そういうことは十分可能かなという気がするんですけど。

【有川主査】  そうですね。それから、今、人社系の人が非常に関心を持ち始めてきているとか、J-STAGEが果たしてきている役割が大きくなっていると、方向性やそういったことは評価して書いておけば良いのではないかと思います。

【土屋委員】  ついでで何ですけど、僕が言うのも何ですが、もう時間がないので、さっきのコンテンツを配る仕組みとしてのCiNiiというのに対する言及もちょっと少ないかなという気がしているんですけど、そんなこともないでしょうか。

【安達副所長】  いえ、特に今はJ-STAGEの関係で言えば、まず、電子化するのにはJ-STAGEに相談してはどうですかという形でそちらに振り向けるように、過去四、五年、恐らくもっと前から、ずっと行ってきて今に至ります。我々は別の観点でのアクセシビリティ向上を考えてやってきていますので、その辺は問題ないかと思います。

【土屋委員】  いや、ならば。

【有川主査】  今日は長時間議論していただきまして、ありがとうございました。

 時間が来ましたので、今日はこれで終わりにしないといけませんが、最後にお願いしようとしていたことは途中でやっていただきましたので、そのことを意識しながら進行させていただいたつもりでございます。

 今日頂きました御意見、非常に建設的なこと、様々あったと思います。少し大変かもしれませんが、事務局の方で13日、あるいはもう少し前までにおまとめいただいて、それをもとに、13日には最終的なまとめをして、報告書ができるようにしたいと思います。

 そして、恐らく13日の前までに、これまでと同じように、委員の先生方のところへお届けして見ていただいて、修正をかけるということになると思います。そして、それをもって13日に議論していただくということになると思います。

 それでは、次回のことなどについて、事務局からお願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  本日はありがとうございました。

 先ほど御紹介申し上げました資料3の件につきましては、また御意見等ございましたら、幅広く事務局までメール等でお知らせいただければ大変ありがたく存じます。

 それから、連絡事項でございますが、まず、本日の議事録につきましては、これまでと同様、各委員に御確認を頂いた上で、主査の御了解を得て公開をさせていただきます。

 次回は、今御紹介がございましたが、7月13日金曜日、時間は午前中でございますが、10時から12時、場所はここ、本日と同じ16F特別会議室、この場所を予定しております。

 それ以降の日程につきましては資料4のとおりになっております。日程の確保につきまして、特段の御配慮をいただければありがたく存じます。

 本日の配付資料につきましては、机上にそのままお残しいただけましたら、事務局より郵送させていただきます。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。それでは、本日の作業部会をこれで終わります。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

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