研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第49回) 議事録

1.日時

平成24年3月21日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

有川主査、三宅主査代理、倉田委員、田村委員、土屋委員、中村委員、羽入委員

文部科学省

(科学官)喜連川科学官
(学術調査官)宇陀学術調査官
(事務局)森本大臣官房審議官(研究振興局担当)、岩本情報課長、鈴木学術基盤整備室長、その他関係官

4.議事録

【有川主査】  それでは、時間になりましたので、第49回学術情報基盤作業部会を始めたいと思います。年度末の非常にお忙しい中、時間をとっていただきましてありがとうございます。

 本日は、機関リポジトリ及びオープンアクセスに関する議論の観点等について意見交換を行いたいと思っております。それを2つに分けて、5時までの時間にやろうと思っております。それでは、まず、事務局より配付資料の確認及び傍聴登録等についてお願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  それでは、失礼します。まず、本日も引き続き関連機関の方々には審議に御参画を頂いております。

 配付資料でございますが、お手元の資料の頭に議事次第を載せておりますが、これの中ほど、配付資料といたしまして5種類、資料を用意してございます。それから、ただいま机上に学術図書館研究委員会が調査を行いました電子ジャーナルの関係の結果速報の資料を配らせていただいております。そのほか、毎度でございますけれども、ドッチファイルにこれまでの作業部会の資料をとじてございますので、必要に応じて御参照いただければと思います。

 本日の傍聴者ですが、14名の登録がございます。事前の撮影・録画・録音の登録はございません。以上でございます。

【有川主査】  それでは、始めたいと思います。このような資料がございますが、3月19日時点での速報ということでございます。今日の議論と直接関係するわけではございませんが、我々の作業部会には深く関係したものでございますので、まず、それにつきまして、倉田先生から簡単に説明をお願いいたします。

【倉田委員】  恐れ入ります。少しお時間をちょうだいさせていただきます。いわゆる電子ジャーナルの利用調査結果ということで御報告させていただければと思っております。

 SCREALという形で学術図書館研究委員会を組織いたしまして、全国といっても限られた機関ではございますけれども、45機関の御協力を頂きまして、3,919件の研究者の方から回答を頂いたものでございます。

 これまでも既に幾つかの調査では出されておりますけれども、2011年の最新の成果におきましても、自然科学系部門の研究者において、電子ジャーナルは、もはやなくてはならないところまで来ている。特に、薬学、化学等においては、毎日電子ジャーナルを利用するという方が6割、7割と、これはかなりの割合ではないかと思いますけれども、毎日使うという、まさに日用品のレベルに到達しているのではないかということが結果として出ております。

 人文系、社会系におきましても、週一、二回というのもそれなりの頻度だと思いますけれども、それだけ利用する研究者が社会科学系では既に5割を超えているということで、電子ジャーナルの浸透はすべての分野において進んでいると言うことができるのではないかと考えております。

 これは2007年から継続して行っている調査でございますが、印刷体と電子ジャーナルのどちらが必要かということを前回から聞き始めております。電子ジャーナルがあれば印刷体が不要であるという回答が、今回に関しましては、自然科学系では、特にバックナンバーに関しては6割以上の研究者がもう要らないと言っている点は、かなり注目に値するのではないかと思います。

 人文社会系の場合には、両方欲しいという方がやはりまだまだ多くいらっしゃいますが、それでも、バックナンバーになりますと半数近い方がなくてもいいという答えが出てきているというのは、かなり面白い結果だと思っております。

 今後ということで、電子書籍に対する方向性といいますか、利用の可能性ということで、端末、iPad等を研究・教育に利用しているかという質問に対して、実に4分の1の回答者が既に何らかの形で利用を始めていると答えております。さらに、半分近い回答者が今後は是非利用したいと回答しているという点では、今後、電子書籍的なものへの利用も拍車がかかる可能性があるのではないかと思います。ただし、具体的に電子書籍サイトを知っているかとか、利用しているかということに関しては、ほとんど知られていない、使われていないという現状でございました。

 簡単ではございますけれども、以上、そういう結果が出ました。また、詳しいものは追って御報告させていただきたいと考えております。ありがとうございました。

【有川主査】  どうもありがとうございました。

 何かご質問などございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、予定した審議に入りたいと思います。

 まず、学術情報基盤作業部会の今後の審議の進め方につきまして、事務局から説明をお願いします。

【鈴木学術基盤整備室長】  それでは、資料1を御用意いただければと思います。資料1に基づきまして、今後のスケジュール等について簡単に説明させていただきたいと思います。

 現在、オープンアクセス、機関リポジトリに関します審議ということで、前回2月24日に、この件に関しますフリーディスカッションをお願いしたところでございます。本日、この後でございますが、オープンアクセス及び機関リポジトリに関します議論の観点に基づく審議をお願いするということ、その後、4月に入りましてから、審議を継続していただきまして、昨年4月から12月まで御審議いただきました科学研究補助金の研究成果公開促進費の改善について、現在、科研費の研究費部会を通して日本学術振興会で検討いただいておりますが、その結果の御報告とあわせて、5月の会議をめどといたしまして、学術情報の発信・流通全般に係る施策の在り方を御検討いただくということで、7月を予定しておりますが、今期の学術情報の発信・流通全般に関する議論の整理の中間まとめを取りまとめていただければと考えてございます。

 それから、3月29日に括弧でくくってありますけれども、前回御案内いたしましたとおり、次回3月29日におきましては、研究計画・評価分科会の情報科学技術委員会との合同会議ということで、クラウドの整備活用に関する審議をお願いできればと考えているところでございます。

 夏の取りまとめに向けた全体の予定ということで御紹介させていただきました。説明は以上でございます。

【有川主査】  今後の予定、日程等について説明していただきました。括弧内以外は通常のことですが、夏までに中間まとめを出すということが一つのゴールになっています。

 第50回としております3月29日は合同の会合ですけれども、位置づけとしましては、両方それぞれの会議があるということでよろしいのでしょうか。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。

【有川主査】  お聞きしている理由は、会議の成立要件などはどうなるのかということなのですが、それぞれのところで過半数いないといけないということですね。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。

【有川主査】  ですから、合同だからよかろうということではなくて、出席していただかなければならないと思います。

 テーマがクラウドの整備活用ということで、これから先、私たちの学術情報基盤作業部会に関しまして、特にコンテンツ系でも大事になってくるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

 特に御質問がなければ、次に進みたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、本日は議論の観点(案)というのが資料2等にあるのですが、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスということと、それから、機関リポジトリによるオープンアクセスというように、まず大きく2つに分けまして議論していただきたいと思っております。

 資料は、この2つの議論の観点ごとに分けておりますので、まず、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスについて検討していきたいと思います。

 それでは、まず、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスに関する議論の観点(案)について、鈴木室長から説明を頂きたいと思います。

【鈴木学術基盤整備室長】  それでは、資料2につきまして簡単に御説明をさせていただきたいと思います。資料2の中ほど少し上のところから、議論の観点(例)というもので幾つか挙げさせていただいております。

 まず、大きな項目のうちの一つであります、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスということでございますが、これにつきまして、前回の御議論等を踏まえまして、若干事務局で議論の観点について整理をさせていただいております。

 1つ目といたしまして、公的助成を受けたオープンアクセスの意義及び目標という部分でございます。公的助成といいました場合に、厳密には競争的資金だけではなく、運営費交付金や、私学の一般助成等々を受けました研究費というのもすべて含まれるわけでございますけれども、今回、研究成果としての論文のオープンアクセスにつきましては、まずは科研費等の競争的資金を対象として、競争的資金を受けた研究の成果、その成果として生まれた学術論文についてのオープンアクセス化というところに絞って議論をしていただくことでよろしいかどうかということでございます。

 一般的な国立大学法人等での運営費交付金を含めますと、大学の活動全体ということにも広がってまいりますので、このように整理させていただいてはどうかということでございます。

 それから、2点目でございますが、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの意義についてということで、だれのためにどのような目的を持つ、それから、どのような機能を持たせればいいかという点について御議論いただければと考えております。

 オープンアクセスの意義につきましては、日付が間違っておりますけれども、前回の審議のまとめにおきまして、「論文などの学術研究成果は、本来、人類にとって共通の知的資産であり、その内容を必要とする全ての人がアクセスできることが求められる」ということで、そういったオープンアクセスを推進するということでは本作業部会においても議論していただいたわけでございますけれども、NIHがオープンアクセスを法律で義務づけるといった場合に、かなりの部分に関して、NIH側の説明といたしましては、アメリカ国民に研究成果を還元するという観点も、説明では非常に多用しているということもございます。

 こういった観点、それから、オープンアクセスを進める上で、NIHとしては必要な経費を負担して進めているという部分の経費負担の意味合いといったことも踏まえまして、我が国日本においては、オープンアクセスの意義をどのようにとらえるかということ、特に、日本国民への研究成果の還元ととらえた場合には、オープンアクセスの理想形であります学術論文を、無料、即時、全文ということで、すべてを満たす、理想に最も近い形でのオープンアクセスを一気に進めるべきなのか、NIHと同じように一定期間後、12か月後にオープンアクセスという形なのか、それから、英語論文全文ではなくて、日本語での抄録や概要も対国民ということでは考えられるのではないか、その辺をどのように考えていくかということでございます。

 そして、オープンアクセスの到達目標をどこに置くかということで、4つ例示を挙げさせていただいておりますが、まず、公的助成を受けた研究成果としてのすべての論文をオープンアクセスとすることを、競争的資金の補助条件や委託契約の条件として記載するという形で進めるもの。同じように、競争的資金に関して、通知等で研究者の義務として、こういった補助、助成を受けた研究者が研究成果を発表した場合にはオープンアクセス化をしなければならないという形で周知する。また、同じように論文でございますが、原則として義務化というものから始めて、義務化又は補助条件で示すというところから始めて、しばらくの間は例外措置や経過措置を認めていく。それから、逆にそういった義務という形態ではなくて、公的助成を受けた論文をオープンアクセス化していくための条件整備を進めていき、どちらかというと強い推奨という形で条件整備を併せて進めていき、最終的に100%のオープンアクセスを実現する。どういった形でどういったものを目指すのかということでございます。

 2点目でございます。公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの具体的な内容でございます。

 まず、1つ目として、オープンアクセス化する受皿としてどういったものが考えられるかという点で御議論いただければと思いますが、丸1といたしましては、現在整備が進んでおります大学等の機関リポジトリを活用したオープンアクセス。それから、NIHのPubMed Centralなどと同様に、研究助成機関による自らが実施する情報提供事業を活用したオープンアクセスということで、ファンディングエージェンシー側に何らかの対応をお願いする。若しくは、電子ジャーナル、オープンアクセスジャーナルやハイブリッド誌において無料でオープンアクセス化するという道でオープンアクセスを進める。

 これらの形態に関して、どのように組み合わせて、全体としてオープンアクセス化を進めるに当たっての受皿をどのように考えるかという点で御議論いただければと思います。

 資料3を先にごらんいただきたいと思いますが、本日御議論いただく関係でのデータ類を資料3にまとめてございます。

 まず、資料3の1枚目でございますが、受皿を考える上での状況でございます。競争的資金の中で最も件数が多く、大学の研究者になじみの深い科研費を例に、1ページに、どの程度の機関に対してどの程度の数が交付されているかというものをまとめた資料でございます。

 研究機関種別の後に手書きで数字が入っておりますが、これが機関の数でございます。国立大学86、公立大学79、私立大学538、その他が509ということで、科研費を例にとりますと、全部で約1,200機関に交付されている。その他にございますとおり、科研費の場合ですと、大学機関のみならず、財団法人や企業の研究者等にも補助金が交付されている。そして、採択件数全体としましては、平成23年度、新規、継続合わせて6万3,000件余りが交付されているということでございます。これらの中から、年間1件の補助に対して1、2件の論文が生産されるということになるのかと思っております。

 さらに、2ページでございますが、受皿として考えられる機関リポジトリの構築状況でございますが、平成23年で223機関に機関リポジトリがあるという現状になっているということでございます。

 次のページ、学協会の状況でございますが、セルフ・アーカイビングを許可している日本の学協会の、学協会著作権ポリシーデータベースによるデータでございますけれども、現在アーカイブを認めているものが全体で700学協会程度ということで、全体の6割が現在でも対応がはっきりしていない状況にあるということでございます。

 4ページは、JSPSから先日の会議で発表がありました、諸外国、アメリカ、イギリス、ドイツのオープンアクセスの状況で、NIHは法律により義務化、イギリスは法律ではありませんけれども通知等で義務化している、ドイツは強い推奨であるという状況だということで、その資料を再度資料3としてまとめさせていただいております。

 これらのデータをもとに御議論いただければと思っております。

 資料2に戻っていただきまして、2ページの2の2)でございますが、NIH、RCUK、DFG、NSF等の海外研究助成機関の実態を踏まえて我が国はどのように取り組むべきかという点で、海外等の実績や取り組みを踏まえれば、公的資金を受けた研究成果としての論文は、全文を12か月以内にオープンアクセスにすることが適当ではないかと。その際、オープンアクセス誌以外の日本の学協会のジャーナルによる情報発信力強化の取り組みと両立させるためには、どのような考え方が必要かということでございます。

 3)でございますが、機関リポジトリを具体化する場合の役割分担も御議論いただければということでございます。研究助成機関が実態把握のためにオープンアクセスを研究者及び大学等の所属機関に求める、さらに、その実態を把握する必要性から報告を受けることが助成機関の役割ではないかと。

 研究者の役割といたしましては、個々の研究者の負担を最大限軽減するという観点からも、研究者は所属する大学等の機関に対して、研究成果として論文がどのジャーナルに掲載されたということを連絡することにとどめるということを考えるべきではないかと。

 それ以降につきましては、論文の公表の知らせを受けた大学が、自ら社会への説明責任を果たすということで、全体的な取り組みの支援、事務手続とか経費負担、必要な場合には競争的資金の間接経費等を使用しての体制整備が必要ではないかということでございます。

 ただ、一方、先ほども資料3で説明させていただきましたとおり、大学に所属していない研究者も多数、競争的資金を受けている場合として、機関リポジトリに係る受皿の検討が必要なのではないかということでございます。

 3ページでございます。オープンアクセスの実現に向けた課題でございますが、実際にオープンアクセスの実現を目指す場合、どのような検討が必要かということで、大学等において、電子化、公開するための諸経費、種々の事務手続等のための人員の確保という部分に関しまして、仮に6万件を超える科研費、さらにはその他の競争的資金等々のオープンアクセスを進める場合、その体制という部分に関して実態を把握し、実現可能性を見極めることが必要ではないかと。

 オープンアクセスの到達目標を何年後に実現して、その工程をどのように設定するかということで、現状において即日突然すべてをオープンアクセスというのも非現実的かなと考えまして、その辺も全体の工程表をどう考えるのかと。

 100%のオープンアクセスが速やかに実現しない場合も、そういうことで考えられるということで、一方で、共用リポジトリを含めた機関リポジトリのさらなる整備の促進や、研究者、学協会との意識改革という部分に関しても何らかの方策が必要であり、そういうことを進めるのも重要ではないかということで、一応前回の先生方の御議論に加えまして、事務局でいろいろ整理しましたところ、こういう形でまとめさせていただきました。本日は、できましたら幾つかの区分に分けて御議論いただいて、方向性につきまして御示唆をいただければと考えております。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 本日の議論の進め方としまして、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスに関する議論の観点(案)の幾つかの項目ごと、大きく分けますと、今説明していただきました1.、2.、3.の3つぐらいに分かれるかと思いますが、この内容につきましては、これまで議論していただいたことをこの観点から整理したという格好になっておりますので、今日は少し項目ごとに整理しながら議論していったらどうかと思っております。

 まず、1について、それから次に、2、3という格好で、それぞれ10分程度議論していただきまして、そして、その後で全体について20分程度議論していただくというように、少しコントロールしていきたいと思います。普通ですといろいろなところから議論していきますが、今回は皆さん方の議論の中から出てきたことを整理しているということもございますので、こういった観点で議論していただければと思います。

 まず、1ページ目の1ポツの公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの意義及び目標について議論をいただければと思いますが、いかがでしょうか。ここは、対象をどうするかとか、だれのためにやるかといったことなどからですが、1.の中にも、片括弧で1、2、3、4と分けてございますので、その順番ででも構わないと思います。

 それから、これまで余り議論していなかったかもしれませんが、特に東日本大震災以降、いろいろなデータ、観測データが主だと思いますが、それらの情報にアクセスできるかどうかということが問題になっているかと思います。学術情報成果につきましては、少し違うようなところがあるかもしれませんが、一方では、研究成果についてはだれでも見られるようにしてありますというように、実際に見られるか見られないかということと関係なく、そういったことは大事になってくるだろうと思います。

 時折、社会的に糾弾されたりすることもあるわけですけれども、そのような対応をしておりますと、そういったことに対してきちんと説明ができます。そういった観点が最近の流れとして出てきているのかなという気がしております。

 一般的には、例えば放射能の関係のデータとかが主だったかもしれませんけれども、他のことなどもいろいろ考えますと、どのような議論がされた、どういった成果が報告されているかということなども含めまして、国民の中にはプロがいらっしゃると考えて、そういう人が見ようと思えば何でも見られるといった仕掛けにしておくことは、ひょっとしたら求められているのかもしれません。

 そういったことなども含めまして、まず、片括弧の1や2など、その辺りについていかがでしょうか。まず、競争的資金だけでなく、運営費交付金や私学助成金なども入ってくると思うのですが、対象、公的助成を受けたということの公的助成をどう考えるかということについてはいかがでしょうか。

【倉田委員】  私などには、最初に運営費交付金とか競争的資金と明確に規定されてしまうのが少し……、これは中間まとめに向けてということでよろしいんだと思うんですけれども、そこまで細かく言っていった方がいいのかというのがよくわからなくなったというところはあります。

 つまり、今までこういう形で、日本において研究成果のオープンアクセスということを明確に述べているものはほとんどない状況で、第一歩として、公的な助成を受けているんだから、ある意味では税金を使わせてもらっているのだから、その成果は広くオープンアクセスにすべきであるというのは、一つの大きな主張としてあるということだと思うのです。

 そのことと、具体的に研究助成金の、補助や何かのところで条件をどうするかとか、そのときにはだれに義務化するかというのは、そういう意味ではレベルが別の話だと思うのです。ここに盛り込まなくてはいけないのは、そういう将来的な制度設計も含めたところまで入れた方がいいということであるなら、制度設計という話は、それはそれで別の形できちんと挙げた方がいいのではないかとは思いました。

 オープンアクセスの意義及び目標という見出しが多分問題なのだと思うのですが、一般論的な話と制度設計の話の位置づけがよくわからないなと。それでいて、1だけの話でなくて申し訳ないのですが、3のところ、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの実現に向けた課題という話で、ここでまた広がってしまっていて、具体的な制度設計というところをどこに持っていかれるつもりでこの1のところに入っているのかがよくわからないと、今、全体をお聞きしていて思いました。

 出だしとしては、単純なというと変ですが、意義や目標ということであれば、余り細かいことを言わない方が、次への流れがわかりやすいのかなとは思いました。

【有川主査】  そういう点でいいますと、公的助成を受けたものを対象にするといった程度の抽象的な表現にしておいて次に進んでいき、具体的に何を対象にするかというのは、もう少し後でやったらどうかということですが、この点、いかがでしょうか。

 ここでは、まずは科研費等の競争的資金を対象に議論するということでよろしいかということですが、公的ということでいきますと、運営費交付金と私学助成金とは似たところがあり、国立では、国立大学時代と今とでは大分ニュアンスが変わってきているところがあります。私学の方も同じようなことがあるかもしれません。

 そういうことでいいますと、一番共通な部分というのは科研費等ではないかということになるのでしょうけれども、今の倉田先生の話ですと、ここでは公的助成を受けたものというぐらいにしておいたらどうかということですが、いかがでしょう。どうぞ。

【安達部長】  参考までに御披露したいのですが、国立大学の法人化以前、恐らく今から七、八年ぐらい前だと思いますが、OECDの閣僚級会合で、公的助成を受けたサイエンスデータの公開についてという勧告が取りまとめられるということで、外務省が窓口、文科省は国際交流官付が窓口になり、各省庁それぞれ問題がないかということで、議論になりました。

 そのための専門家会合が開催され、そちらに出席したのですが、国際交流官付は、今回と全く同じことを言われました。その当時は、国立大学は完全に国の機関でしたので、国立大学でつくられたサイエンスデータすべてを公開するというように解釈されるとすれば、国立大学が大変厳しい状況になるのではないかということが懸念されました。研究者の立場から、そのようなことはないと思います、いわゆる科研費等でつくられたデータベースなどが該当するのでしょうと申し上げました。他省庁も比較的その点については、楽観的に考えていたと思います。

 その後、勧告として定まりまして、その文章を読みますと、軍事や知的所有権、ビジネス等に絡むことは除外するという例外事項がまずついて、最後に、それらに該当しない科学的なデータベースが公的助成によりつくられたときは公開する、というような仕組みになりました。その結果、世の中への影響力はほとんどなく、今に至っているわけです。

 その当時も、国レベルで公的助成を受けた成果は公開すべしとなったときは、同様の観点から心配されることがあったとのことで、各国はそれぞれ自国の都合で例外的な事項をいろいろ挙げて、公開せざるを得ない状況にならないよう注意をしていたように思います。

 そのようなことがありましたので、国としての基本方針を立てるときには、今申し上げたことと同じような理由、例えば知的財産権、産業の保護等の観点で考えて、どこまでを公開するというように決めねばならないのではないかという気がいたしました。

【鈴木学術基盤整備室長】  若干補足をいたします。私の説明がちょっと舌足らずだったのかと思うんですが、事務局側、私側の方の意識といたしまして、前期の作業部会におきまして、資料2の3ページにもございますように、本作業部会の審議のまとめといたしまして、オープンアクセスを推進する必要性はあるということはおまとめいただいたということで、それを前提に、今回は精神的にといいますか、大きな目標として進めるというのは前期でまとめていただきましたけれども、それを具体的に一歩進めると。

 観念としてオープンアクセスを推進する必要があるというだけではなくて、NIHであれば法律でPubMedに掲載せよということまでルール化していることを踏まえまして、何らかの形で具体性を持たせて、一歩進めるといった場合にどういうふうに考えていくかという形で今回は御議論いただければという趣旨で、資料をまとめさせていただいております。

 今、安達先生からもありましたように、公的助成という部分をかなり広くとりますと、大学で行われている研究活動すべてが対象になる、税金が何らかの形で入っていると。そうしますと、その研究成果という言い方をしますと、当然のことながら学術論文だけではなくて、その他の形での成果物ということになってきて、知的所有権の問題とかいったものも出てまいりますので、まずは欧米のNIHやイギリスのResearch Council等がやっているような、ファンディングエージェンシー側からの特別な研究助成を受けたものという部分で御議論いただいた方が、議論の具体的なイメージがわきやすいかなということで整理させていただいたものでございます。

 いや、そうではなくて、やはり国公私立を含めた大学の研究活動すべてに関して進めるべき、議論していくべきだということであれば、それも一つかとは思いますが、そういう意味でございます。

【有川主査】  この1)のところは、まずは科研費等の競争的資金を対象にして議論したらどうかということになっているのですが、ここはいかがでしょうか。

 我々が議論しているのは研究成果ということであって、オープンアクセスということがなければ既にやっているものなのです。アクセスはできるのですが、それに対してオープンアクセスできるかどうかということですから、先ほど安達先生から御指摘いただいたことと、2つの面で違っているところがあろうかと思います。

 先へ進めるために、一番わかりやすいところで科研費等というところを前提として議論していくことでいかがでしょうか。倉田先生、いかがでしょうか。

【倉田委員】  はい。逆にそれを最初からうたってしまった方がいいと思います。公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスといいますと、やはりいろいろなものが入ってまいりますし、それはそれでいろいろ考える余地がほかにもあるだろうという話になってしまいますので、そうではなくて、ここではまず小目標といいますか、まとまりとしては、科研費等の競争的な研究資金の意味での公的な助成を受けているものに関してのみを考えて議論を始めるという話に最初からしてしまって、そういう中で考えた場合にどういうことが考えられるかということを細かく詰めるということであれば、別にそれでよろしいのではないかと思います。

【有川主査】  科研費等というのは、実際、それで研究する人口という意味でも一番大きなものです。それから、競争的資金の中には、例えば国策でやる競争的資金といったある種の特別な研究というのもあり、確かに公的な資金でやるものですが、それをいきなり全部オープンにするというわけにはいかないという面はあると思います。ただ、この場合でも、有料でお金を出せばきちんとアクセスできるようなものなのです。

 ですから、そういう意味で、科研費等の競争的資金としておけば、まずは大丈夫だと思います。これを前提として議論を進めることにいたしましょう。

 それでは、2つ目についてはいかがでしょう。公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの意義についてということで、だれのため、どのような目的、どのような機能ということですが、それについては、先ほどの我々の作業部会が出したものや先ほど資料3で見ていただきましたNIH等のほかの国のことなどがございますが、この辺りはいかがでしょうか。

 1について今議論してきたことをそのまま受けた格好になりますので、ここは特に問題はなかろうと思います。

 それを、3の研究成果の国民への還元ととらえるとしますと、それを即時、あるいは一定期間後、全文、オープンアクセス化、あるいは日本語の抄録に限ってみてはどうかとかいった問題が出てくると思いますが、この辺りはいかがでしょうか。どうぞ。

【田村委員】  即時とは、いつの時点をもって即時というのか明確でないと思います。研究終了直後ということですと、実際にはあり得ないということになってしまいます。

 もう一つ、私がわからないのは、日本国民への研究成果の還元という部分で、オープンアクセスと言いつつ、でも、そのアクセスの対象は日本国民に限定しているように読めます。これは税によってという部分があるからこのような話になるのだとは思います。しかし、この話全体で一番難しいのは制度をどうつくるかということで、そういうときに無用な、制度設計に実際に反映されないようなことというのは、余り入れない方が良いのではないかというのは、個人的な感想としては思います。まあ、修飾語句としてつけるのはわかりますが。

 それから、もう一つ、抄録の公開をオープンアクセスというのでしょうか。これ、倉田先生に伺いたいのですが。

【有川主査】  では、倉田先生お願いします。

【倉田委員】  オープンアクセスという理念をうたっている方の中には、エルゼビアのあのような形での書誌情報の提供もオープンアクセスであるという考えを表明していらっしゃる方はいらっしゃいます。ですので、その意味で、日本語で現在抄録すら提供されていない状況のものがよくなれば、それは、アクセスが改善されたという意味でオープンアクセスが進んだと言ってもいいだろうという考えが当然あると思います。

 第一歩かという意味では、それはそうだと思うのですが、普通はそうではなくて、論文全文がアクセスできるように、基本的には無料で、法的その他技術的な制限なく、それを利用できることがオープンアクセスというように考える方が普通だと思います。

 ただ、もう一つは、英語論文に関して日本語での抄録をつけるという意味で、研究者だけではなく一般国民へのアクセスをよりよくするという意味では、また少し別の形でのよりよいサービスという形になるのだと思います。

 ですから多分そこは、先ほどのだれのためというところともかかわってきていて、研究者が研究活動を進めていくという点だけを考えるのであれば、英語論文が英語論文のままで全文が出ることが一番であるということだと思います。そこは微妙に、制度をだれに向けて訴えるのかということで、NIHとかアメリカの場合は、単に研究者だけじゃなくて、医学という分野であることのある意味では独自性という点で、一般国民もそういうことに関心を持っているので、たとえ理解が十分ではなくても全文を国民に出すべきだというような強い考えがあるので、アメリカ国民へ研究成果を還元するという言い方を強く主張しているのだと思います。それを、今の日本のこの状況でやることが適切かというのは考えるべき点ではないかと思います。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それからもう一つ、即時ということですけれども、例えば雑誌から出す場合に即時という意味です。ですから、余り問題はないと思いますが、日本国民ということは、公的と言ったときに、もとになるのは日本の国民が払った、あるいは団体等が払った税金ですので、そのように書いているのですが、これは納税者を意識した言葉づかいということで、ここでは余り気にしなくてもよろしいかと思います。国民へのと言いながら、オープンアクセスということですと世界中からアクセスできるということになるのだと思います。

 それから、「また」以下の全文ではなく抄録ということに関しては、倉田先生に先ほど説明していただきましたが、日本語でということは、英語で出されたものについては一般国民がわかりにくいでしょうと、恐らくそういうことですので、そうすると、そのことに関しては、別のコンテクストで言われることがあるわけです。最近特にサイエンスコミュニケーションという言い方をされるわけですけれども、それはそれでまた別の活動と考えて、余り加工しない、要するに、学術論文なら学術論文、世の中に出たままのものにアクセスできる方が実はいいのではないか。それは、発言の場所が適当ではなかったのですが、冒頭で言ったことでもあったわけです。

 ですから、私は個人的には、日本語での抄録ということはここでは考えずに、アウトリーチやサイエンスコミュニケーションというところで考えていただいて、特に大きな資金などで展開されたものについては、もう少し啓蒙活動も必要でしょうという意味で要求していったらいいのかなと思います。つまり、国民が勉強してその気になれば、まともなものに自由にアクセスできるということが大事で、それが一番説得力があるのではないかと思います。

 最近の震災の後などですと、一般社会の人が線量の問題とかかなり勉強しておられます。あのようなことにつながっていって、グループで勉強したりして、もとの論文がこれだということで見てくださるのではないのかといったことを考えますと、そこを適当に抽象化して抄録をつくるとか、解釈をかけて概要をつくるとかということをしない方がむしろいいのではないかという考え方もあると思います。

 中村先生、どうぞ。

【中村委員】  今の抄録の件は、結果的には同じことですけれども、ここでオープンアクセスにするべきものは、元のオリジナルなものですよね。元のオリジナルに日本語の抄録がついていれば、それはオリジナルだから公開すればいいんですけれども、加工してしまったら、元と同じかどうかもわからないですよね。日本語抄録だけが違うことを書いてあるかもしれないし、ですから、これは元のものを公開するということで十分ではないかと思います。

 もう一つは、全文をすべて満たす形でオープンアクセスにすべきか、オープンアクセスにする人はだれなのか、これを読んでくるとだんだんわからなくなってくるんです。だれがだれにオープンアクセスにしろと言っているんですか。著者にとって無料公開は何ら問題がないので、これは恐らく出版社に対して言っているのではないかと私は思うんですが、そのあたりいかがでしょう。

【鈴木学術基盤整備室長】  先ほど申し上げましたように、仮に競争的資金を対象にすれば、あくまで研究者に対して言うことになると。後ほど役割分担のところで議論いただければと思っているところではございますけれども、まずは研究者が御自分の論文をオープンアクセスしなければならないということになると。

 ただ、実際的に、それを全部研究者の方にやっていただくというのはおかしなといいますか、研究時間がただでさえ減っているという統計も出ておりますので、過重な負担になるのではないかということで、その役割分担のところで御議論いただければと思いますが、所属する機関に手続等はしていただいて、実際の著作権を持っております出版社、学協会との交渉手続をお願いするということでどうなのだろうということを本日御議論いただければという趣旨でございます。

【中村委員】  では、研究者本人の義務として課す、研究者に負担を求めているということですね。

【鈴木学術基盤整備室長】  負担といいますか、義務を課す先は多分研究者になると思います。それで、先ほどの役割分担のところで、再度申しますが、研究者の負担を軽減するために、研究者は論文を発表した時点で、例えば科研費の成果の論文を何月何日の「Nature」に掲載しましたというのをメールで所属機関に通知するというような役割分担にしてはどうかということです。

【中村委員】  それは変ですよ。物の推移からしても、そうはなっていないですよね。

【岩本情報課長】  今、そういう説明があったのですが、論点をつくりました際に、その先のところに書いてあるのですが、我が国としてオープンアクセスについて、その到達目標をどこに置くのかというのをわざわざ挙げさせていただきました。

 そのときに、4つぐらい挙げておりますが、ここを書いた趣旨としましては、多分鈴木室長が申し上げた考え方もあるんだと思うんです。それは最初の方にございまして、研究者が受けるに当たっての条件として、そういうものを課せられたという考え方、2つ目が、研究者の義務とするということで考えて、各論、具体的な実施方法を考えていくというアプローチ、その変形バージョンとして3番目があるという考え方でございます。

 4番目のところに書かせていただいたのは、余りそういう形で研究者の義務と考えるのではなくて、これは義務といっても何といっても、きちんと条件整備が行われないと実現しないということでしょうから、そのようなオープンにできるようなシステムをまずつくっていって、最終的に100%オープンアクセスを実現すると、そこで考え方をとらえた方がいいのではないかと。ことさらに研究者の義務というように論理を構成しない行き方もあるのではないかという趣旨で、一応この到達目標の最後のところにつきましては、そのように書かせていただきました。

 鈴木室長が最初に説明したときに、これは奨励するものだという言い方をしていましたけれども、4番目のところは奨励じゃなくて、最終的に100%オープンアクセスを実現するというところに主眼を置いた書き方にさせていただいているんですが、とらえたときに研究者の義務とかではなくて、全体としてそういうものが実現できるような仕掛けを構築していくというところに視点を置いたらいいのではないかということでございます。

【中村委員】  でも、これ、外国も入っているので、条件整備を国内で行っても余り効果がないわけですよね。条件整備をこう並べて言われると、我々として、文部科学省としてどういう条件を整備していいのか全く見当がつかないことになりますが。

【有川主査】  共著者に外国人がいたりする場合があるわけですが、例えば科研費でやっている研究だと、日本ではオープンアクセスを可能にしなければいけないということになっていますということで、そういうことが可能になるように持っていくことになるのだろうと思います。ですから、日本でそういうことを義務化すると、それに拘束されて発表の形態などにも影響を及ぼすことは当然あり得るわけです。

 どうぞ。

【小山内部長】  今までジャーナルについては国際的な情報発信の強化という観点から議論をされていたはずでございまして、ここで日本国民への成果の還元ということを言い過ぎてしまうと、配付資料に書いてあるように、日本語で抄録、概要を公開すべきだという話になると思いますし、下手に英文で世界にさらすと国益を損ねるのではないかといった話にもなりかねません。また、納税者から見れば、国立大学で研究された成果は、例えば外交にかかわるとか公安にかかわるといった情報公開法で非公開になっているようなもの以外は公開すべきであるという話にもなりうるかと思うんです。

 そういうことから考えますと、これは私たちが反対すべきことではないんですけれども、国民が負担している研究だから成果は自動的にオープンアクセスということではなくて、科研費で得られた研究成果については政策的に誘導しやすいということがある。

NIHではオープンアクセスが義務だからと言っても、NIHは恐らく国民なり議会なりの声を受けてやったことでしょうから、ここでやろうとしていることとはちょっとコンテクストが違うので、余り言い過ぎない方が論理に破綻を来さないのではないかと思います。

【有川主査】  研究成果は、公開できないというものでなければ、既に世の中に出回っている、出しているものなんです。それをオープンアクセスできるようにしたいというだけですので、今おっしゃったようなところまで深入りする必要はないだろうと思います。

【三宅主査代理】  機関レポジトリの話ですが、今の3のところの四角で出していただいている「電子ジャーナルの効率的な整備及び学術情報発信・流通の推進」という21年7月に出したものの中には、研究した成果が「論文等」となっています。ここが少し曖昧かも知れません。学術雑誌に出たものだけをここで問題にしているのか、もう少し手前のものも対象になっているのか。科研費をもらって研究するときに、その成果が、残念ながら今すぐ学術誌には掲載してもらえなくても、「私はここまでやりました」という成果を出しておきたいということもありそうです。むしろ、これは義務ではないかとも考えられると感じます。科研が終了するときなどにはむしろどちらかというと、これだけ研究してきてここまでわかったのだから、ここまでわかってきたものは公開したいということは、当然研究者の側にあると思います。

 そういう発表の場を保障してくれるものとして、機関リポジトリという比較的平等な舞台があって、そこに自分がやったことも出しておける。そうなると更に自費でやった研究でも公開したい、どこかに出したいということまで入ってくるのかもしれないのですけれども、一生懸命研究した、こういうことがわかってきた、ここまでのところはどこかの時点で公開したいというものがあって、どこかにそういう比較的公的なシステムがあって、そこに結果が公開できるというふうになっているのは良いのではないか、と思っています。全体としてこれはどういうことをやろうとしているのかが、議論の持っていき方によっては、ちょっと見えなくなるんだなというような気がしてまいりました。

【有川主査】  機関リポジトリについては、また後ほど議論するわけですが、今言いましたのは、普通のジャーナルなどで考えますと、既に出しているものをオープンアクセス化するということです。ただ、一方で、きちんと見られるようにするということですと、機関リポジトリなどというのは非常に有力な手段になるということは当然あると思います。個人でやったものをオープンにしたいというのは、どうぞ御自由にということだと思います。

【岩本情報課長】  一応考えましたのは、あくまでここの部分につきましては、学術研究の成果を論文等で公表されることについては、有料購読誌の場合でもそうですけれども、従前どおりの考え方でやっていただいた上で、一般の方から見てオープンにアクセスできるような仕掛けをプラスアルファでつくってあげるというところに主眼があります。

 ですから、最初から研究成果の内容として余り発表したくないとかいうものは、もともと研究成果として世の中に公表されていませんので、そういう意味でこのオープンアクセスの対象にはもちろんならないということは、先ほどから有川先生がおっしゃっているとおりでして。

 それから、もともと発表の場を見いだし難いので、そういう場を提供してほしいという話は、それはまた別に、そういう機関リポジトリみたいのをつくるとか、それは、そちらの方で議論していただくということで考えております。

 あくまで既に発表された、公表されたものを、即時にやるのか、1年間猶予を置くのかということはいろいろ議論の余地があるでしょうし、全文なのか、それとも、全文だといろいろお金がかかったりすることもあるかもしれないから、もう少し緩めて、大体研究の概要がわかれば世の中に説明したことになるだろうという考え方にとどめるのか、そういう意識で先ほど論点を書かせていただいたわけでありまして、日本人のために日本語の抄録をつくってプラスアルファでわかるようにしてあげるという趣旨で書いたわけではなくて、全文を出すのはなかなか差し障りがある、抄録なら済むというのであれば、それは一つの実行可能性のあるやり方なのかなということで書かせていただきました。現状の上で英文になっているものを国民のためといって日本語にするということは、別のものが加わってきますので、それは負担になりますので、論点で書いた意図とは少しずれた議論の結論になるのかなと思いました。

 以上です。

【有川主査】  そうしますと、3)の日本語でというのは、別に日本語でなくても、英語でもいいわけですね。

【岩本情報課長】  一応、全文だと差し障りが出てくるときに……。

【有川主査】  それから、一定期間後ということなどは、我々が議論する中でそう考えてよろしいかということですね。恐らく1年以内というぐらいに仮に置いておけばいいかと思うのですが、どうでしょうか。

【喜連川科学官】  1つ大前提として考えておいた方が良いと感じる点は、バランス感覚が必要ではないかという気が致します。観念として進めるという御説明が鈴木室長からあって、それはだれも余りアゲインストするものではないと思います。

 ただ、これをやろうと思いますと、結構大きなコストがかかる中で、今、我が国の国情から見たときに、本件を猛烈に推進することで一体どれだけの投資対効果が得られるのかということも真摯に考える必要があるのではないかと。

 例えばアメリカは、前回、小安先生からヒアリングをされたときに、NIHはやっているけれども、NSFは全然興味ないということでした。ですから、彼らも、医療というある種、一番国民から見たときに突かれやすいところからやっているのであって、全部を一生懸命やっているわけでもないわけです。

 従いまして、ある程度めり張りをつけたような、ある種のバランスが必要なのではないかという気が個人的には致します。このルールをはめて、えいやとやりましょうみたいなことをするほどのゲインがどれだけあるのかというのを一方で明らかにしておく必要があるのではないかなと個人的には思います。

【中村委員】  そこまで踏み込んでいくと、先ほどから気になっているのは、我々がオープンアクセス料というのでしょうか、著者負担のお金を払うんですが、この金額というのは学会とか業者が決めるんでしょうね。そもそも算定基準が全くわからないわけです。外国の雑誌の場合でも、算定基準も全くわからない根拠のないお金を国のお金で払っていいのかなという感じが、実はつきまとっているんです。

 実際にお金がかかるわけで、単純に相手の出版業者か学会の資金補助をしている雰囲気もしないでもない。オープンアクセス料、安くないですよ。だから、日本全国でやったら膨大なお金をどこかの外国の出版社にただ献金していると。かといって、文部科学省がその根拠を示せと言って答えるようなものでもないですし。

 それは、さっき外国と言ったことと同じなんですけれども、外国の話が関係しているので、そこまで手を突っ込んで何かできるのであればいいんですが、税金を使っている意義が、本当にやり出すと問われるような感じがしております。

【有川主査】  倉田先生、どうぞ。

【倉田委員】  やはり、どういう制度を思い描かれているのかが、私もよくわからなくなりました。研究者に義務づけして、研究者の所属機関が交渉するなんて、そんなの絶対不可能だと思うんです。たとえ東大であろうとも、東大の図書館が「Nature」に何か物を言って、「Nature」が言うことを聞いてくれるかといったら、それは鼻にもかけてもらえないという話で終わってしまうと思うんです。そうではない話だと、私は全然違う方を考えていたので、すごく驚いたんです。

 もし、本当にそういうことをやるのであれば、出版社に対して文部科学省がこういう方針でやるので御協力よろしくと言うしかないと思うんです。NIHはそれをやっているんです。ですから、今ほとんどの主要な雑誌の著者へのガイドラインみたいなところに必ず入っているんです。NIHのポリシーに従って、うちの雑誌は1年後にやりますと。それに当たって、著者の人たちは大変でしょうから、お金を払えばうちが全部かわりにやってあげますと。お金を払うのが嫌なら、どうぞ勝手にやってください。NIHの場合には、PubMed Centralという大きな場を持って、とにかくそこに全部出せということをやっているから、そういうことができるわけです。

 でも、文部科学省がそういうことをやるとは、私は全然はなから考えていなかったので、そういう話ではないのかと思っていたので、少なくとも今回の中間まとめに当たっては、どの辺を考えてどこまでの話をどうするのかというところは、やはりもう少し詰めないといけないのだなということが大変よくわかりました。

 ですから、先ほどの先生の機関リポジトリというようなのは、日本でやるならそういうものとか、オープンアクセス雑誌への多少の誘導であるとか、確かに中村先生がおっしゃるように海外に資金援助するのかということはあると思いますが、どうしてもということであれば、即時に出すべき重要な成果であれば、お金を払ってでも出すということは科研費でも認められていることなので、それを使ってやってもいいという、その程度なのかなと思っていたので、話が全然違うんだなというのはわかりました。

【有川主査】  既存のジャーナル等のものに関しては、オープンアクセスのための経費が必要であれば、それを個人なり何なりが負担してオープンアクセス化するということがあるのだろうと思いますが、公的資金で研究したものについてはオープンアクセスできることにしなければならないという一応の方向が出たとしますと、例えば機関リポジトリにテクニカルレポートの段階で置いておいて、それから投稿するなどといったことが考えられてくるのだろうと思います。

 先ほど岩本課長がおっしゃったのは、全文だとそういったところにも恐らく問題が出てくるだろうから、抄録があるとすると、それがどこに出ているということがわかるだろうということで、オープンアクセスへ向かっていく一つの段階として全文ではなく抄録を出すということもあるのだろうということです。既存のジャーナルに対して、すべてそれをオープン化するということだと、それは非常に大変な問題が起こると思うのですが、方針としてそうだから、ここに置かざるを得ないのですということを認めさせる。

 いずれにしても、どこのジャーナルに投稿しようとしても、どうなるかわからないわけですから、どこかで確保しておくわけです。昔ですとテクニカルレポート的なものであったり、今だったら機関リポジトリに置いたり、自分たちの研究室のそういったところに置いたりということはやっているはずです。そういうことをせずに投稿している人がいるとは、とても私は考えられないのです。そういったことがこの中に入っています。

 それで、今日はそこまで議論するのは難しくなってきたのかもしれませんが、あと、機関リポジトリによるオープンアクセスについての議論も予定されています。

 中村先生、どうぞ。

【中村委員】  今ここに私の論文があって、ここに出しますと。でも、同じものを機関リポジトリに置くということはできないわけです。出版社とアグリーメントがないとできないです。私の理解では、出版したものと同じものを機関リポジトリに入れるというのは、大学と出版社の間で個々にやらないといけないのではないかと思うんですけれども、日本全国で包括的に可能なんですか。

【倉田委員】  日本全国ということではないですし、もちろん雑誌によってものすごく厳しいところはありますが、今多くの出版社は著者最終原稿という形。つまり、出版のきれいなレイアウトになったものはもちろん駄目です。あれは出版社の著作権です。その前の原稿段階のものであるならば、それを機関リポジトリに置くことは構わないという規定をしている出版社とか雑誌が非常に多いということは事実です。

【中村委員】  そこが実際のところ気になっていて、それは出版したものと違うものなんですよね。これは、さっき三宅先生がおっしゃったところから気にはなっているのですが、研究者というのは論文で勝負しているわけだから、何だかよくわからないもの、途中原稿みたいな、間違いがあるようなものを出すと大変評判にかかわる。つまり、研究している内容をみんなさらけ出したらそれはいいかというと、そんなことはなくて、変なもの、途中経過みたいなのを出したら評判にもかかわりますし、間違っていたら後で大変なことになります。やはり一字一句最終原稿と同じじゃない限りいけないし、場合によったら、絵のレゾリューションとかいうものも含めて、最後に出るものが最終なので、それ以外のものは、本来は何でも出すべきじゃないと私は考えます。

 出版されたものがそのまま行くならいいわけだけれども、ゲラまで全部見ているわけですから、最終原稿の後、ゲラで直しが入るかもしれないし、そういう意味では一つ手前のやつはにせものですよね。ゲラまで来たところで直しますから、ある意味では、載ったもの最後の原稿は著者の手元には本当はないんです。

【田村委員】  全体の目標にかかわる話ですけれども、オープンアクセスの意義は認めたにしても、実際にそれをどう実現するかというのは非常に難しい気が個人的にはしております。もう一つは、義務化したことによって科学コミュニケーションを阻害するようなことが起こると、これはむしろ逆というか、本来の意図に反するわけです。今までの議論で言えば、いかに情報発信を促進するかということでここでは進めていたはずなので、だとすると、オープンアクセスについては、いかに促進していくかという方向で議論を進めていってはどうかと思うのですが、いかがでしょう。

【有川主査】  学術情報の流通を促進するということで議論していることは確かだと思います。少し筋書きと違った方向に行ってしまっていますが。

【岩本情報課長】  筋書きと違ったというか、議論していくとそういうことになるのですが、私どもが論点を考える際にもいろいろなことを考えました。やはり、相当ハードルが高いと。すべてパーフェクトな形で実現できるかどうかというのは、詰めていくと非常に限界もあるということで、例えば今、中村先生がおっしゃったような、最後にでき上がったものと全く同じでないと意味がないという御意見の立場に立つのであれば、最終的なジャーナル等に出しているものの発表の仕方も当然尊重するということになると、何年後ならそれがいいのか等いう交渉を、しかも、お金を払わなくてもいいということになると、先ほどもお話がありましたように、最終的には交渉せざるを得ないことになってしまうのかなというところまでは想像しておりました。

 その上で、それは「Nature」とか「Science」とか強いジャーナルのみならず、日本の学協会も含めてすべてやらなければいけないと。そういうものをやった上でないと、なかなかできませんし、そこで認められた、許容された範囲内でしかできないと。それが2年後だったらいいということだったら、2年後からのオープンアクセスしかできないという、それは交渉の結果いかんになるのかなと。

 それでもやる意味があるということであれば、100%のオープンアクセスの姿に近づけるという意味において、不完全でもそういうふうにスタートするのかどうかという思考回路になるのかなと思っておりました。

【喜連川科学官】  不適切な発言を先ほどしてしまったのかもしれないんですが、エモーションとしてオープンアクセスにするということをどういう目的に位置づけるかというところで、この方向感は多分だれも間違っているとは思わないです。ですから、なるべくライトウエートに動かすようなフレームワークをつくっていきたいというのが、多分一番重要なポイントです。

 もう一つのポイントは、いわゆる商用のトップジャーナルみたいなものが幅をきかせているゲームを変えていきたいというのが、当初あった機関リポジトリの話だと思うんです。つまり、論文ではなくて、論文の載っている器で評価するようなつまらないゲームに我が国が巻き込まれることは不必要なわけです。そのためにはどういうフレームワークにグラジュアルに動かすかという戦略だと思うんです。

 一気に大きなお金をかけるのは大変ですので、という気持ちをうまく盛り込めるといいんですけれども、個別に議論していくと、一気にオープンアクセス化というように見えてしまっているのが、ややつらいと感じます。

【有川主査】  そういう点では、2.の1つ前のところですけれども、最終的に100%オープンアクセスを目指す、実現するということになっていますが、方向性を一つ示しておくということはいいことだろうと思います。

 何回も言っていますけれども、ICTがこれだけ発達した時代に、昔の紙媒体しかなかったときと同じようなやり方で学術情報の発信・流通というのがいいのかという問題があると思いますし、一方では、学術情報にしても、その質というのは、たとえどれだけしっかり査読がされようと、やはりエラーはエラーとして出てくるわけで、そういう意味で100%完全ということはあり得ないわけです。

 ですが、この時代ですと、ネット上の評価というのが結構意味を持つということにもなっているのだろうと思いますので、新しい学術情報発信・流通の文化をつくっていくという思いが、皆さんの気持ちの中にどこかにあるはずだと思います。

 それから、中村先生がおっしゃったことで、少し思い出したことがあるのですが、確かに研究不正的なことの関係で、こういうことはあり得ます。研究不正や、間違いがあるということが指摘されたとしても、きちんとした査読誌を通っていますと、責任をそちらへ向けることが可能なのです。だから、査読システムというのは、実はそういったところで思わぬ効果もあります。

【中村委員】  雑誌の責任になる。

【有川主査】  自分は正しいと思って、まともな査読を受けたんだということで、通した方が悪いのだという言いわけはききます。責任が薄まるということです。しかし、依然として著者の責任であることにはかわりはないのだと思いますが。

 どうでしょうか。一応方向性をそのように整理をして、少し先へ進んでみたいと思います。

 この1.、2.、3.は、「公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスの」というところまでは全部同じです。その上で、「実現へ向けた課題」であったり、「具体的な内容」であったり、「意義及び目標」ということになっています。

 今度は2.の「具体的な内容」ということで、先ほど鈴木室長から説明していただきました、その辺について少し議論していただければと思います。1つのゴールとしてこうあったらいいなということは、これまでも電子ジャーナルの問題などといったところでも議論してきたことで、一応皆さん納得できることですので、そこを目標としたときに、今度は具体的な内容、それから、どういった課題があるかということについてです。かなり課題については議論してきたことになっていますけれども、いかがでしょうか。

 先ほど既に、ここに踏み込んだようなことを議論しているわけですけれども、その上で何か、改めてございましたらどうぞ。

【中村委員】  さっき喜連川さんがおっしゃった中で、トータルで幾らお金がかかるのかというのは考えた方がいいのではないでしょうか。何をやると幾らお金がかかる。機関リポジトリにしろ、投稿料にしろ、みんなお金がかかるわけですから、そういう試算を事務的にやらないといけないのではないかと思います。それで、効果と比べるんです。

【喜連川科学官】  下世話な話をして、空気が読めない雰囲気になってしまってもいけないかなと思うのですが、先ほどの倉田先生の資料のKindle、iPadへの期待が大きいという御指摘がありましたが、私はそっち方向じゃない方向に向かっていった方がいいんじゃないかと思っていまして、つまり、機関リポジトリは原則ポインターしか書かないと。つまり、さっき中村先生がおっしゃられたように、向こうからPDFの最終原稿が来て、それを直すと。直したものを原文にリフレクトすることは、ほとんど不可能です。ですから、2バージョンできてしまって、どっちがどっちなのか自分でもわからなくなってしまうというところを避けたいとおっしゃられる。

原則我々のIT業界では、とにかくリダンダンシーは悪であると決まっていまして、同じものを2つ置くということがそもそもいけないんです。ですから、ポインターだけ置く。

 ただ、機関リポジトリの方は、さっき三宅先生も有川先生もおっしゃられていますような、付随するデータとか付随するプログラムとかを置くことによって、そこをエンリッチする。それによって集客力を機関リポジトリ側に持ってくるというようなエンパワーメントをして、徐々にゲームを機関リポジトリ側に引きずってくるというか、私はそちらの方が自然な戦略としてはいいのではないのかなと考えます。

【三宅主査代理】  1つだけ確認させていただけませんか。今の「デュプリケーションは悪である」というときに、サマリみたいなものはどうなりますでしょうか。150ワードで書きました、3,000ワードで書きましたとかいうのはいろいろあって、それぞれアクセスできる人が違うといった状況は、デュプリケーションでしょうか、そうではないのでしょうか?

【喜連川科学官】  それは場合、場合だと思うのですが、以前倉田先生が御紹介になられていましたような、某商用雑誌の場合はそこをものすごくエンリッチなコンテンツでつくろうとしているというときに、中村先生がおっしゃられた問題というのは、多かれ少なかれ入ってくる可能性はあるわけです。

 ですから、何でもいいんですけれども、どこかにサマリを置いて、それと同じものを自分のところに置こうとすることは余りせずに、そこにさせればいいというふうに。向こうだってサマリぐらい出すことに対してそれほど大きな抵抗はないと思いますので。

 答えと質問が合ってない可能性があるのですが。

【三宅主査代理】  要するに、今までの科学者の中で著明な方の中には、御本人の論文はほとんど読まれなかったけれども、それをリライトした方がいたから生きたという例は幾つかあって……。

【喜連川科学官】  それは別の話ですよね。

【三宅主査代理】  うまく紹介した人の著作権はどこにあるんだという話があると思うケースもあるので、そういう場合、何をデュプリケーションと呼ぶのかということが、それこそサイエンスライターの人たちが入ってくるような形でというのは、むしろ機関リポジトリ側の強みかもしれないと思っていたものですから、ちょっと伺いました。

【有川主査】  喜連川先生がおっしゃったのは、物自体はどこか一か所に置いて、あとはポインターでそこへ行けばいいじゃないかという話で、いろいろなものを置きますと、こっちは修正したけどこっちは残っているとかいったバージョン管理みたいなことはうまくいかないということをおっしゃっているのだと思います。

 例外的なことを考えていけば、ものすごくいろいろあるのですが、一つの方向を示してみる必要があるだろうと思います。何らかの方向に進み出す必要はあるのだろうと思います。

 2.のところで、特にほかにないようでしたら、公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスのところぐらいは今日終わっておかないといけないと思いますので、3.の、議論はされているんですけれども、実現に向けた課題ということはいかがでしょうか。

【倉田委員】  今、これ2と3に分かれておりますけれども、まずはある種の制度設計と申しますか、最終的には先ほど岩本課長がおっしゃったように、100%のオープンアクセスができるだけ早い段階でできるような方向にいけばいい、喜連川先生がおっしゃるように、無駄なことはできるだけしない方がいいにこしたことはないというのを考えたときに、今までのように少しずつ何かをオープンにしていくとか、どこかの大学とかどこかの研究者が苦労しながら少しずつというのは確かにもう無理で、それに経費や人員をかけても、結局すごく中途半端な形でしかできないのではないかというのは、すごく思うんです。

 機関リポジトリはもちろん方向性として、いろいろな意味で可能性があるので、これは動き出しているだけに、動き出しているものに関しては、今後どれぐらいどうなったらどれぐらいお金がかかってということも計算できると思うのですが、今何もないところで突然制度をつくるというものは、試算も何もないと思うんです。それを今やるには余りにリスキーな話で、やるならコアになって、しかも将来的にも、多分そこをやっておけば無駄には絶対ならないだろうというものをとにかくやってみるという話だろうと思うんです。

 1つは、後で出てくると思うのですが、日本の学協会は学術雑誌の方針が決まっていないところがほとんどです。オープンアクセスが駄目だと言っているのだったら、まだ交渉のしようがあると思いますけれども、そういうことに何の関心もないし、方針をつくっていないというのがほとんどなわけです。大変情けないことではあっても、まずはできるところからやるのであるならば、公的助成を受けた研究はちゃんとオープンアクセスにするのだということが義務にはならなくても、奨励であろうと何であろうとそういう方向に行くのだということを強く言うことが重要です。そこで出てきた成果は今どういう形でどこにあるのかということがわかればいいし、別にそれを全部PDFで文科省のどこかにためておく必要は多分ないと思うのです。そこのところで、考え方は、NIHのPubMed Centralのようなものではないものを設計の最初に考えた方が、日本の場合にはうまくいくのではないかなと思います。

 今いろいろなサービスがインターネット上にすごくたくさん出ているわけです。シェアウェアとかファイルの交換何とかとか、そういうのを見ていると、そこで学術的な情報を流しているサイトを見ると、オープンアクセスで見られる論文なんかがそこら辺に転がっているし、簡単にそこに飛んでいきます。検索エンジンの性能とかが上がっていることもありますが、その前提として,データベースがすごくしっかりしている分野に関しては、基本となる書誌情報が全部そういうサイトにオープンで流れてきているので、すごく効率よく動くんだと思うんです。

 日本のものがそういうものにひっかかりにくいのは、もとの論文の書誌情報が流通しにくく、抄録も出ていないし、そういう意味でもとの基本的なものが流れないので検索エンジンにもかかりにくいし、全文があってもなかなかアクセスできないという、これは悪循環だと思うのです。

 ですから、どこかでそういう基礎的な書誌情報も含めたものをオープンにして、できるだけ学術情報の流通を促進させる方向、そっちに行くような義務化なり奨励なりにしていただくべきなのではないかと思います。

【有川主査】  かなり具体的なことを言っていただいたと思いますが、そういう意味では、オープンアクセスを実現するために、言うならばPubMed Central的なものを用意しておくということが1つあるでしょう。恐らく次回の議論になるのでしょうけれども、例えば機関リポジトリみたいなことを考えていく上でも、そうした仕掛けが必要になってくるのかなと思います。

【中村委員】  今の話でだんだんわかってきましたけれども、トップジャーナルを目指す日本の雑誌とトップじゃないところに低迷している雑誌があるとして、確かにオープンアクセスということは、論文を電子化しろと言っているのと同じことですね。そういう意味では、学術雑誌はすべてオープンアクセスを目標にしろと言っていることは、要は電子化しろと言っていることです。このメッセージは、日本の学術情報の世界発信には極めて意義深いことです。

 そのように思えば、オープンアクセスの努力目標ないし義務化というのは、実は日本の学術研究の底上げに大いに寄与すると思います。そういう観点だったら、大変に意義深いのではないかと思うんです。

 「Science」、「Nature」等と比べるから話がおかしくなるので、そうではなくて、オープンアクセスは電子化を促すための一つの大きな柱だと。それによって情報発信が速やかに行われると。こういうまとめなら大いに賛成します。

【有川主査】  オープンアクセスと言っているときは、日本の学協会に限定していたわけではないのです。要するに公的助成を受けた研究成果のオープンアクセスということですので、日本以外のものに対してもそういったことを求めるということです。

 ですから、ある種の義務化ということになりますと、公的助成を受けたものに関しては、オープンアクセスができないようなところに論文を出すことができないという面も出てくるわけです。そして、そういった動きによって、出版社もそういったところへ誘導していくという面があるのだろうと思います。

 今、中村先生がおっしゃいましたように、それの国内版としては、日本の学協会に対してそういうことを促すということにもつながってはいくと思います。

【中村委員】  やっと私は自分の中で理解しましたけれども、最初にオープンアクセスはだれを対象に行うものですかと質問しましたが、よく考えてみると、日本の雑誌社というか、日本の学会ですか、これは多くの場合に、日本の科研費で行われたものを出版することが多い。100%必ず科研費の成果が出てくるので。だから、日本の出版社はオープンアクセスをしなければならないと。

 出版社向けに文部科学省から、そちらが科研費の成果を載せたいのであれば、絶対にオープンアクセスにしなさいと学協会に強制する、これは極めて意義深いし、日本国内に閉じていますから、エフェクトもはかりやすいです。何%の学協会がきちんとオープンアクセスにしたかと、条件を整えたと言ってもいいかな、そういうことは施策としても実行可能だし、かつその成果も定量的にはかることはできるので、非常に意義深いと思います。

【安達部長】  そこで皮肉なことは、日本の学会は例えばJ-STAGEを使って情報発信しているのですが、それは大部分がオープンアクセスとなっています。

 逆に、エルゼビア等の雑誌はグリーンジャーナルと言われており、半年ないし1年たてば最終原稿を機関リポジトリに載せてよいという雑誌が大部分です。そして、日本の多くの研究者はそのような雑誌に投稿するのですが、機関リポジトリに載せてもよいという論文にもかかわらず載っていないという現実がありまして、皮肉なことにそこが問題なわけです。

【中村委員】  それはまた少し錯誤がありますね。私は今、倉田先生がおっしゃった、日本の論文というのは一向に外部で検索されないということを前提に話をしていていました。それは恐らくJSTがやっておられるのとは違う分野の話なのであって、JSTが出版を行っているものはオープンアクセスなんでしょうね。そうすると、私が申し上げたのは、JSTを通さずに出版されている雑誌がたくさんある、それに対して述べたということのようですね。

【土屋委員】  J-STAGEに載っていなくてというのは、商業出版社の雑誌ということですか。それはほとんどグリーンだから。

【中村委員】  様々な日本の、文化系も含めた学会誌のことを多分述べているのではないかと思います。

【倉田委員】  もちろんJ-STAGEがほとんど実質的に、意識していないところも含めてオープンアクセスの状態になっていることは事実だと思いますが、今600幾つかの雑誌にすぎないというのは言い過ぎかもしれませんけれども、J-STAGEに載っていればそれだけで十二分に――もちろんJ-STAGEに行けば、アクセスしようとすればできるわけですから、それはそれで別としてオープンアクセスになっている。

 安達先生がおっしゃっているのは、一般の研究者がいわゆるハイジャーナル、トップジャーナルに出したときに、トップジャーナルの方ではやってもいいよと言われているのに最終原稿を機関リポジトリに出すことをしないということが、ある種少しひっくり返ったような状態になっていて、問題ではないかというおっしゃり方だと思うのですが、中村先生がおっしゃっている話とはまた別の話だと思っています。

 中村先生がおっしゃっているのは、トップジャーナルに出したようなものの著者原稿ですら2つのバージョンになってしまうものを機関リポジトリに出したくないという気持ちはもともと研究者の方にあるという話で、それが問題といえば問題かもしれないのですが、その点を、このような公的な研究資金の義務化なり奨励ということでうまく誘導できるのかと言われると、私もどういう制度をつくればそうなるのかは確かにわからないと思います。

 ですから、おっしゃっているところというか、話しているところが大分いろいろ食い違ってきているので、話が錯綜としているような感じがしますが、それぐらい制度設計が、皆さん考えていらっしゃるのがばらばらだということを、今のお話は端的に表しているような気がするんです。皆さんがイメージしていらっしゃるのは、それぞれ全部かなり違うので、違うまま進めるのも1つだと思うのですが、もう少し整理しないと、話がかなり錯綜としてきているという感じがいたします。

【有川主査】  今日は、冒頭で言いましたように、用意されたチャプターごとに議論しようとしていたわけですが、その中で、考え方の違いというのもかなりはっきりしてきたと思います。一方で、ある種の共通の理解もあるようですので、その辺りを中心にしてやっていくことだろうと思います。

 もう一つの、機関リポジトリによるオープンアクセスということについて今日は議論しておりませんけれども、その辺りも一緒になってきますと、もう少し違ってくるだろうと思います。

 ある種のゴールといいますか、こうあるべきではないかということは、恐らく皆さん共通にお持ちだろうと思っておりまして、その辺をうまく引き出してこなければいけないのですが、多くの側面があったり、それから経費の問題などもあります。それから、今まで培ってきた文化があって、その中で研究者は生きているわけですから、それを余り変えたくないということも当然あると思います。一方では、一生懸命そうしてやっているんだけれども、ある種の力が働いて根底からひっくり返されるようなことも最近頻繁にあるわけです。そういったことにならないとも限らないので、少し我々のサイドで考えられるところまではきちんと考えていた方がいいのではないかと思っています。そして、整合する建設的な方向を示していくということをしなければいけないのではないのかと思っているわけです。

 どうぞ。

【岩本情報課長】  なかなか議論が錯綜しているわけでございますけれども、もしよろしければ、私どもとしてはどちらかというと2番の具体的な内容の中の、具体的にどのような条件整備を行うのかというところは、大きくシステムとして見たときには違ってくるのかなと思っていまして、丸1とか丸2とか丸3だとか、一体、主体としてどこにオープンアクセスというものをやらせるのかということによって、いろいろメリット、デメリットを考えるときの前提が違ってくるのかなと思うものですから、今日、先生方が出された意見も踏まえて、幾つかの考え方についてメリット、デメリットを少し整理して、また御議論いただくことはできるのではないかと思います。

【有川主査】  今回は、このことについてまともに取り組んだ最初ですので、このぐらいでいいかと思います。次回からは、今日の議論をできるだけ整理して、そこは共通の理解ということで先に進んでいきたいと思います。

 それほど単純でない面は当然あるわけです。国内で閉じているわけではありませんし、日本人の研究者、要するに科研費を受けている日本人研究者だけに限定されるわけでもありません。相当難しい問題はあると思うのですが、一つの思いとしては、日本の方からある種の学術情報発信・流通の仕掛けを提案していくぐらいのことをやってもいい時期なのではないのかなと思っています。そういう意味では、少し大胆なことをこの作業部会でも言って、ほかの研究環境基盤部会や科学技術・学術審議会などでもう少し踏み込んだ考え方をしていただく際の糧になっていけばいいのかなとも思うわけであります。

 皆さん方の考え方とのギャップもかなり感じておりますが、それはそれで現実ですので、いきなりそこへ飛んでいくわけにはいかないとは思っております。

 喜連川先生、どうぞ。

【喜連川科学官】  先ほど中村先生が、電子化のエンカレッジメントであるというインサイトでまとめると一つの切り口が見えるとおっしゃられたのは、本当にそのとおりです。

 私は今、通信学会の副会長をしているんですけれども、その前は情報処理学会だったのですが、学会のインカムのマジョリティーというのは論文なんです。どうしてそうなる構造になるかといいますと、論文を査読してパブリッシュしてディストリビュートするという情報システムへの投下というのは、生半可な額ではないんです。ですので、今先生がおっしゃられた、トップじゃない、ヘッドじゃない、テール側の部分にそれをエンフォースメントするといったときに、やはりセーフティーネットをつくらないと、それだけでは普通の学会では動かないんです。

 数万人規模の学会ですと、それだけの情報化投資できるのですが、そういうところをNIIが頑張るとかいう話につながっていくと、今、有川先生がおっしゃられたような、日本の枠組みを大きく揺り動かすような感じになってくるんじゃないかなと思います。ちょっと簡単でございますが。

【中村委員】  もう一つコメントで、今おっしゃったのと同じことですけれども、アメリカ化学会は、たしかオープンアクセスはやっていないはずです。これはビジネスが成り立たないからであるということは明言しております。何百億円の収入源ですから、少しでも収入源が減るようなことはやりたくないと。お金の話をしないと、この話は成り立たないのではないかと思うんです。

【喜連川科学官】  でも、電子化することでものすごくライトウエートになるんです。

【中村委員】  もっともうけたい。

【喜連川科学官】  いえ、もっともうけたいではなくて、某商業者はそこでぼっともうけるんですが、フェースフルな学会は、全部サブスクリプション費をぐっと下げているんです。ですので、その価値観をどう伝えるかというという意味で今回のメッセージをまとめますと、それはそれで結構動くドライバーになるのではないかという気がいたします。

【土屋委員】  あえて申し上げれば、学会は基本的に学会の会員のためにあり、もし収益が学会の会員が公益性を持つ事業に使うのであれば、それは論理的な破綻はないので、別にサブスクリプションを下げる必要は全然なく、論理的に上げてもかまわないぐらいだということです。収益が出てしまうので、その分だけよりよく会員及びその学術分野に対して貢献できるようになったという論理は、ACSならおっしゃるかもしれない。

【中村委員】  ずっと昔に申し上げたかもしれないけれども、文部科学省が所管されている学会はみな、会員のために存在するのではないでしょうか。ですから、何も国際発信したりするとかいうことは目的に入っていないのではないかと思うんです。そういう意味で、先生がおっしゃったようにいいサイクルに入ると、雑誌を出せば出すほど儲かって会員のためになるんです。会費も安くなる。でも、悪いサイクルだと、大体お金ばかりがかかって。これで国際発信しようと思うと、ますます初期投資がかかって赤字になる。これではできませんと。そうすると、学会は会員のために存在するのだから、海外発信する必要はありませんと言い出す会員が必ず出てくると思うんです。

 だから、そういう問題も、 全体の政策として行わないと、部分だけでやっていくとだんだんおかしなことになってくるのではないかと思います。

 そういう意味では、それぞれの学会が国際発信するということを定款に書き込みなさいという指導ですね。そういうところから来るのではないですか。国民に対する成果発表をしなければならないということを自覚してもらう。それとオープンアクセスは大いに関係してくると思います。

【喜連川科学官】  そのとおりで、ただ、そこが結構難しいのは、それなりの英断で初期投資をしなければいけないというのが1つと、もう一つは、結構回すのがしんどいんです。実は、1回作ったらほとんど同じかというと、全然そんなことはなくて、査読システムというのは今ものすごく進化していると思うんです。

 そういうものを定常的に動かすエネルギーが各小さな学会にあるかというと、そこは相当しんどいので、そういう基盤によって電子化で発信力を上げるんだというシナリオは、ものすごく健全なシナリオになってくるのではないかなという気がします。

【中村委員】  だんだん話がもとに戻ってしまうのですが、査読システム自身も、大手の出版社も大変に苦労しているところです。アメリカ化学会もそうですけれども、大手の出版も査読システムはだんだん外注になりつつあります。

 日本語のシステムでは国外への外注は無理です。そういう意味では、J-STAGEにそういうところをどんどん開発していただいて、日本の中で使いやすい査読システムをつくってくれと。

【土屋委員】  システムは今度、外注されたんじゃないですか。

【中村委員】  そうですか。ですから、そういうところ全部かかわっています。

【安達部長】  今の先生方のお話を伺いまして、日本の学会の発行する英文雑誌で論文数が増えているとしたら、それは日本人の著者ではなくて、日本に近い国からの投稿が増えて伸びているという現状があり、その意味では、ようやく日本の英文雑誌も国際化してきたと言えます。そうすると、私の属する通信学会の場合のように、外国からどんどん投稿してくる論文のために、従来通り日本人が査読していたのが、その日本人が増える論文の査読を負担するという状況になっております。本当に国際化という中でどうやっていくか。

 その中で、オープンアクセスにするとよいのか、それとも、購読料を取る方針で外国に売りに行き、コストリカバリーをすることをより積極的にやっていくのかという課題もありますが、ビジネスとしてオープンアクセスに持っていった方がもっと合理的によい出版ができる可能性もあるという戦略も考えられるのではないかと思います。

【有川主査】  どうぞ。

【岩本情報課長】  また次回、相当詰めた議論をしていただくことになるんだと思うんですけれども、最後、御参考までに申し上げたい。我々、この問題について、実務レベルで見たときの見方を1つ紹介申し上げたいのですが、まず1つは、どのような条件整備を行うのかというときに、例えば電子ジャーナルを活用したオープンアクセスを主軸にするということに関しては、これは多分100%のオープンアクセスをしていくときに、部分は担えるだろうと、実際にオープンアクセス誌をやっているところはその分は担えるだろうと思いますが、これを基軸にすることは、実務的には非常に難しいそうだという見方をしています。

 それから、PubMed Centralみたいな形で、丸2にございますように、研究助成機関が自ら情報提供事業を活用して行うということについては、かなり新たなものを導入しなければいけないということになりますので、普通の見方をすると、喜連川先生もおっしゃっていたように、相当コストなり財政投入が必要になってくるので、なかなかこれは厳しいという見方をしています。

 丸1の大学の機関リポジトリに関して言うならば、機関リポジトリとしてうまく活用されるのであれば、これは一つの実施スタイルとしてはかなり現実味があるし、また、大学の個々的な責任として、研究者がオープンアクセスをしていくというときに、いろいろな手間とかを含めて、ある程度担っていただくというのは、一つの考え方としてはあり得るのかなと思っております。

 ただ、機関リポジトリを設けているのは限られた大学であるし、また、実際、科研費をもらっている研究者の中には大学に所属していないところもございますので、そのあたりをどう考えたらいいのかというところまで考えておりました。

 以上です。

【有川主査】  次回には機関リポジトリのことについて議論していただくことになると思います。そこについては調査もしてあり、機関リポジトリを持っている大学は二百数十大学しかなかったと思います。そういったことはあるのですが、大学全体としてはといいますか、科研費の申請資格を持っている機関ということでいいますと、恐らく1,000ぐらいあるだろうと思いますが、そういったところでぽつぽつと論文が出るようなところをどうするかという問題も含めまして、少し国としてのことも当然考えなければいけないと思います。

 先ほどの電子化を進めるということは方向としてあるのかもしれませんが、もう一つは、機関リポジトリをもう少し推奨することも当然あるはずでございまして、できるところをやっていくのですが、ある種の方向を国なりが示しておくということは必要な時期なのではないかという気はしております。

 非常に難しい問題ですので、今回はあえて2つに分けて、しかも項目ごとに議論してみようとしたわけですけれども、なかなか難しい話だということもわかったような気がいたします。しかし、非常に重要なこと、考えられそうなことは出していただいたのかなと思います。そういうことを生かしながら、次回、機関リポジトリという観点から考えてみたいと思います。

 本日は、私の方の不手際もございまして、時間が過ぎてしまいましたが、これで終わりたいと思います。次回のことなどにつきまして、事務局からございましたらお願いします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  まず、本日の議事録でございますが、毎度でございますけれども、各委員に御照会させていただいた後、主査の確認を得て公開の手続をとらせていただきます。

 また、次回第50回でございますが、今月29日木曜日に、冒頭御紹介申し上げましたように、科学技術・学術審議会の計評分科会、情報科学技術委員会との合同会合を予定してございます。当日は、クラウドの整備活用に関する審議をお願いしたいと考えております。時間でございますが、3月29日木曜日、14時から16時、場所は本日と同様、この16F特別会議室を予定しております。

 それから、次々回第51回の作業部会でございますけれども、4月20日金曜日に開催を予定したいと思います。時間は午前中10時から12時、場所は同じくこの16F特別会議室を予定しております。

 次々回は、また改めまして、機関リポジトリあるいはオープンアクセスについての検討を行っていただきたいと思います。

 また、それ以降の予定でございますが、資料5に用意してございます。日程の確保につきましては、特段の御配慮を頂きますよう、お願い申し上げたいと思います。

 配付資料につきましては、毎度でございますが、机上にお残しいただけましたら、郵送の手続をとらせていただきます。

 以上でございます。

【有川主査】  それでは、本日はこれで終わります。ありがとうございました。

―― 了 ――

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