研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第46回) 議事録

1.日時

平成23年12月6日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

有川主査、三宅主査代理、倉田委員、土屋委員、中村委員、羽入委員、松浦委員

文部科学省

(学術調査官)宇陀学術調査官
(事務局)岩本情報課長、鈴木学術基盤整備室長、その他関係官

4.議事録

【有川主査】  それでは、おそろいのようでございますので、始めたいと思います。第46回学術情報基盤作業部会でございます。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は、前回に引き続きまして、科研費研究成果公開促進費学術定期刊行物の改善について検討することにしたいと思います。まず、事務局から御出席いただいている有識者の方々の紹介と、配付資料の確認、傍聴登録等について御報告をお願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  おはようございます。本日でございますが、引き続き前回までに御説明を頂きました学協会、あるいは関連機関の方々に有識者として審議に御参加を頂いております。

 配付資料ですが、資料の頭に議事次第がございます。御覧いただきたいと思いますが、資料は三種類、資料1、2、3となっております。また、机上に倉田先生の資料が二つと、オープンアクセスの雑誌の動向調査がございます。これは御参考ですけれども、御用意しておりますので、審議の中で御参照いただければと思います。それから、ドッジファイルにこれまでの作業部会の資料を置かせていただいております。

 本日の傍聴者でございますが、17名で、撮影、録画、録音の登録はございません。 

【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、科研費の改善について御検討をお願いしたいと思いますが、これまで時折、オープンアクセスについて話題になっておりましたので、一度体系立ったお話をお聞きしておく方がいいと判断しまして、倉田先生から御説明いただきたいと思います。そして、その後で少し議論をしまして、事務局から前回までの御意見等を踏まえた修正案を用意していただいておりますので、それについて議論していただくということが、今日の主な議事ということになります。

 それでは、倉田先生から、20分程度御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【倉田委員】  倉田でございます。それでは、簡単にではありますけれども、オープンアクセスを全般的に一度確認しておいた方がいいのではないか、という主査からの御意見もございましたので、このような形で少しまとめさせていただきました。ただ、何分にも、やはりかなりのいろいろな状況が錯綜しておりますので、私なりにまとめた大きな流れだけというように捉えていただければと思います。

 まず、オープンアクセスとよく言われますが、その理念は何なのかということ自体を一度確認しておきたいと考え、まずそこから入りたいと思っております。これまで多くの議論になっておりますのは、基本的には査読付き学術雑誌論文ということになります。特に、オープンアクセスといった場合には、無料であるというところが非常に強調されております。ただし、基本的な考え方としては、単に無料なだけということではなくて、オープンアクセス、フリーであるということは、技術的にも法的にも、その流通に制約がないということが基本的には非常に重要な点です。ですから、お金という点も、あくまでも様々な障害の一つでしかないと基本的には考えられていると思います。

 それからもう一つは、ここが立場が分かれるところなのですが、オープンアクセスというのは、本来は即時に、つまり、論文が刊行されたと同時に、かつ永久に、その保存、流通がある程度ですけれども、あくまでも半永久的に継続されるということを条件にオープンアクセスとすべきだという意見と、そこまで言っていたのではオープンアクセスという話が成り立たないから、そこは括弧付きにしておこうというのと、立場の違いがあります。ただ、狭義のオープンアクセスといった場合には、基本的にはこの三つがずっと議論されてきたことというように言っていいのだと思います。

 一方で、それとは立場を異にするわけではないのですが、もっと広い文脈で考えようという話は、これは初期の頃からありました。代表としてWillinskyという方を挙げたいのですが、この方にとってオープンアクセスとは、アクセスが向上することであると定義されています。ですから、Science Directも、あのようなe-Journalのプラットフォームも一種のオープンアクセスだというのが、その立場からの考えになります。これは普通の方は、それはいかがか、とおっしゃる考え方です。なぜそれがオープンアクセスなのかといえば、格段にアクセスを向上させたからということです。

 これまででしたら、非常に高価なデータベースでしか見ることができなかった抄録や書誌事項を無料で公開しているという点に、Science Directのアクセスの向上があると考えるわけです。このように考えるのであれば、情報学関係で行われている各種のサービスは、ある意味では全てオープンアクセスに向けた、非常に広い活動の一端というように捉えることもできるわけです。このような考えの背景にあるのは、知識は人類の共通財産で、全ての人がそこにアクセスできることこそが望ましいという考え方です。また、これは全世界的にはなかなか理解し難いですが、米国ではやはり納税者の権利であるという考え方も、この裏にはあるとされております。

 では、一般的にオープンアクセスにすることによって一体どのような効用、長所、メリットがあるのかと言いますと、本当にこれをきちんと証明することは難しいと思うのですが、オープンであることこそが科学研究活動を活性化させるのだ、ということです。これは現在では、いわゆるオープンデータという形で、研究データ自体を自由に皆で使えるということが、様々な共同研究や分野を超えた研究を活性化させる、そうした新たな創造を生み出すのだということと同じ文脈で、学術雑誌論文も、また論文に限らず、様々な成果全てがオープンであることこそが、研究活動の基盤になるのだという考え方です。それから、教育支援という観点からも、そうした成果としての知識は、やはり自由に使えるに越したことはない。そのことが教育の質を向上させるというように言われております。

 このようなオープンアクセスという考え方を採るのであるならば、これは随分昔から実質的には言われてきたことなわけです。ただし、それがやはりこうした電子化の流れの中で、オープンアクセスという旗印でまとまり出したのは、2000年くらいではないかと言われております。その代表的なものがBudapest Open Access Initiativeというもので、このイニシアティブ自体は2002年に広く発布されましたが、2001年の会議に基づいたものです。そこで言われているのは、オープンアクセスをどのように実現させていくかということで、一つがGold Roadと言われる、オープンアクセス雑誌を刊行するということです。これは基本的には、著者支払モデルに基づくものというように考えられています。資料6ページの下にありますのは、でも実は、そういうわけにもいかなかったということがいろいろあるということです。

 もう一つがGreen Roadと言われるセルフアーカイブ、つまり、基本的には著者が自らの成果をオープンアクセスにするというものです。この代表が、大学等に設置されている機関リポジトリに、研究者が自らの成果を上げるということになります。arXivは、これはもう既に何度も出ておりますが、物理学の分野において、研究者たちが自由にe-printを投稿して、皆が見られるようになっているものです。それから、PubMed Centralも生物医学分野に特化した形で、このセルフアーカイブを支えるものという位置付けになっております。

 今、申し上げましたようにe-print archive、これは後のarXivになるわけですが、これ自体は1991年、オープンアクセスという表現と言いますか、用語が使われ出すよりもずっと前から存在していたものです。PubMed Centralができた頃辺りから、少しずつそのような表現が出てきて、このBudapest Open Access Initiative、BOAIの頃から、オープンアクセスということが多くの人の口に上るようになりました。やはり一つの大きな事件と言いますか、イベントであったのは、2004年の米国NIHによる、NIHが助成している研究成果をオープンアクセスにすべきであるという勧告が出されたことです。簡単に書いておりますが、2004年に義務化がなされたわけではなく、その義務化に向けての考え方の最初の方針が出たのが2004年で、米国がそういうものに対してかなり実際に力を入れ出したということが、これで明確になりました。たまたま同じ年に、英国もやはり政府の委員会が学術情報流通とオープンアクセスに関する調査を大々的に行い始めたので、オープンアクセスという考え方自体は、かなりこの時点で進んだと思われます。

 それに対しての反応と申しますか、主要な学術雑誌側の反応は、そういうことであるなら、著者がお金を支払うならオープンアクセスオプションを設けましょう、ということです。つまり、著者が自らの論文に対して一定のお金を支払うなら、その論文だけをオープンアクセスにする。それは幾らでも認めますよ、という反応でした。これはもちろん、基本的なところでは、そんな著者はいないだろうということがあったわけです。これ自体は、2004、5年くらいで、ほぼ主要な学術雑誌ではこうした形でのオプションは認められるようになりました。それに対して2006年頃から、2007年が恐らく一番多かったと思うのですが、研究助成機関及び大学で、自らの所属機関の研究者の、若しくは助成した研究成果に関してはオープンアクセスにすべきである、それを義務化していこうという動きが出てきました。2011年、メガジャーナルと言われるものが出てきたというのは、やはり一つ大きな動きだろうと思います。この最後の方については、後ほどもう少し詳しく御説明いたします。

 オープンアクセス自体の現状としては、確実に進展しているということは、いろいろな統計で既にこれまでも御報告があったと思います。資料9ページの下に挙げましたのは、オープンアクセスジャーナルの数です。2011年に出された論文の中で報告されているもので、ジャーナルの数と論文の数が赤と青で分けて書かれています。青が論文数で、右側の目盛りを御覧いただけたらと思います。他のところでも機関リポジトリ、その他様々なアーカイブにおいても、掲載論文数が非常に進展していることは事実です。

 ただ、当然のことながら、論文数全体も増えているわけでして、オープンアクセスの割合がどうなのかということは、これは実は測ることは大変難しく、Björkさんたちという北欧の研究者の方々がやっておられたPLoS Oneという雑誌に載ったのですが、その推定によりますと、STMの分野において全分野平均で20.4%であるという、これはいろいろな推定を繰り返した結果、このような数値が出ております。一番オープンアクセスが進んでいるのは地球科学の33%、一番低いのは化学の13%という結果が出ております。

 資料の11ページは、私どものプロジェクトで行っているものなのですが、全く違う方法で測っておりまして、生物医学のPubMedに載っている論文が、とにかくGoogleで探せるかというその一点のみで測っております。調査は2005年から行っているのですけれども、ここで示した数値は、2009年に刊行された論文が2010年の3月の時点で読めるかどうかを見ております。そうすると、記事の種類にもよるとは思うのですが、オープンアクセスがとうとう半分を超えたということになります。では、何で読めるようになっているのかと申しますと、やはりOpen Access Journalが多かった。それからもう一つは、Toll Journalも多い。Toll Journalというのは、つまり購読料を普通に支払っている雑誌でも、実はオープンアクセスに読める論文はかなりあるということになります。この53%、あるいは32.8%というのは、あくまでもオープンアクセスになっている論文のうち何割がこの手段によって読めるかということです。

 Open Access Journalと一言で申しましても、これは種々雑多なものが入っておりまして、通常は資料13ページのように五種類程度になります。オープンアクセスジャーナルと言って一番に皆さんが思い浮かべられる著者支払モデルによる、しかも、基本的には創刊誌、つまり、新しく立ち上げられた雑誌というのが、オープンアクセスジャーナルの最も典型なのですが、実はこの一番目に当たるのは、オープンアクセスジャーナルの中でもごく一部、ごく一部というのは言い過ぎなのですが、決してこれが全てではないということです。先ほど申し上げましたように、著者が選べばオープンにするというハイブリッド誌や、寄附等によって賄われているもの、また、印刷版は購読料で販売していてWeb版は無料であるものや、あるいはエンバーゴという、一定期間経てば無料にするものなど、実はオープンアクセスジャーナルと言われているものも、いろいろだということです。

 SOAP、Study of Open Access Publishingというところが調査した2009年のオープンアクセスジャーナル、Directory of Open Access Journalsというデータベースがあるのですが、そこにある雑誌を基本的には調べられた結果が出ています。ただ、そちらには約4,000誌が載っているのですが、英語誌その他を選定しておよそ2,800誌の結果ですが、非常に小規模なものが大部分で、出版社の90%が年100論文以下しか出しておりません。50タイトル以上若しくは1,000論文以上出しているのは、わずか14社です。この14社のうち、かなりの部分は著者支払のモデルを使っているのですが、その他ははっきり言うとよく分からないという、そういう有象無象のものが集まって、今のオープンアクセス雑誌は出来上がっているというのが事実だろうと思います。

 ただし、ごく少数ではありますけれども、割と初期の時代からOUPやIOPといった有名な出版社、学会が出しているオープンアクセスジャーナルというのもございました。ただ、それがうまくいっているかどうかというのはなかなか難しいところで、Nucleic Acids Researchなどは、やはりオープンアクセスにしてすぐにうまくいったわけでは決してなく、かなり大変な状況にあったというような報告書も出ております。そうした時期が長くて、大手の学会や出版社がオープンアクセスジャーナルを出すという機運はなかなかなかったのですが、少しずつですけれども、現在は多様な形での展開が始まり出したと言えると思います。一つは、例えば教育レベル、教育を意識したレビュー誌を出すとか、また、一般向けのもう少し砕けたというのは言い過ぎですが、きちんとした学術論文ではありますが、多少、一般への解説等を組み込んだ、編集を少し強めたような、そうした投稿一本やりではないような形で、オープンアクセスを出していこうということもあります。

 Physical Review X、これは瀧川先生がよく御存じだと思いますが、過去に出ているPhysical Reviewシリーズと同じレベルで、オープンアクセスを出していこうというような雑誌もあります。そういう意味では、多様になってきたということです。その中で一つの大きな傾向が、今年非常に話題になっているメガジャーナルと言われるものです。ブランド力が非常に高い出版社が、しかも、タイトル的に非常に強いタイトルを他に持っていて、あえてオープンアクセス誌を創刊するということです。広い対象分野というのは、基本的には分野は決して狭いところを狙っているものではなく、かなり広い分野を対象としていて、いろいろな論文を集めて、それを刊行できるような、ある意味ではサイズを大きくするということも一つの特徴です。

 それから、簡易と言いますか、それを査読とは言えないのではないかなど、いろいろな御意見がありますが、基本的には査読が緩やかになっているということで、NatureのScientific Reportsが出るというは一つの機運になり、様々な学会や出版社が同様のジャーナルを出してきているということです。PLoS Oneは、これは別に今年できたわけではなく、2006年から始めていたのですが、最近になって非常に安定したということで、そのこともあってこれをメガジャーナルと言っていいかどうかいろいろ議論がありますけれども、そういう意味で嚆矢であるというように捉えられるのではないかと思います。

 オープンアクセスに対する支援策といってもいろいろありますので、ここでは、オープンアクセスの義務化をどれくらいのところが行っているか、というところをまとめさせていただきました。資料18ページは、2011年3月の時点での統計になっておりますが、基本的に義務化をする機関、組織が増えていることは確実です。研究助成機関若しくは研究助成とは言えないのですが、政府系の機関等が義務化しているものを集めますと、51機関から、もう少し足せば88機関というようになります。Wellcome Trustという民間の助成機関が、自らが助成した研究の成果はオープンアクセスにせよ、ということを2005年に言い出したのが、これが最初になります。いろいろな国が行っているのですけれども、カナダや北欧がいろいろな試みをしております。もう一つは、EU、ヨーロッパ委員会はかなり積極的にいろいろな動きをしておりまして、このEuropean Research Councilを始めとして、様々ところがやはり成果をオープンアクセスにすべきである、としております。ただ、通常は6か月から12か月のエンバーゴを認めるというのが、多くのところで採っている方法です。

 ここには全部はとても挙げ切れなかったのですが、リサーチ系では、医学生物系の学会や団体が、こうした義務化を強く打ち出しているのも事実だと思います。それからもう一方では、大学等がその義務化を打ち出しているところもたくさんございます。有名なところではMITですとか、また、ハーバードは大学全体ではなくて、いわゆる学部単位なのでsub Institutionalの中に入りますけれども、学部毎(ごと)、大学院毎(ごと)にその所属機関の教員のオープンアクセスを義務化しています。義務化するからには、お金も通常は大学や学部が負担するということになるわけです。

 研究助成機関の義務化ということでは、一番有名であるのが、資料21ページのNIHのPublic Access Policyということになると思います。PubMed Central自身は、先ほど申し上げましたように、セルフアーカイブにあるものを受け付け出したのは2005年なのですが、最初は義務化されていなくて、リクエストであったわけです。ですので非常に収載論文が少なく、これではいけないということで、2008年に義務化法案が通り、2009年から義務化されたということになります。ただ、義務化されたからといって、急激な右肩上がりになっているわけではなく、これはやはり1年のエンバーゴが認められているため、確実に増えていることは事実なのですが、恐らく、想像ほどは増えていなかったのではないかと思っております。

 もう一つは、物理という特殊な、しかも、高エネルギー分野だけではありますけれども、非常に世界的な連携がうまくいきそうなのかというところまでやっと来た、SCOAP3というプロジェクトもございます。これは図書館が中心になり、学会、研究機関、出版社等が連携してコストを全て分担することによって、主要雑誌を全部まとめてオープンアクセスにしてしまおうというものです。日本も先頃、参加表明がでまして、これで世界28か国、予算の80%をカバーできるという、実現が少し見えてきたのかなというところまで来ております。ただ、特殊な例であることは間違いがありません。

 ざっと見てきたのですけれども、一つには、誰のためにオープンにするのか。あと、いつどういう形でオープンにしていくのかということが、非常に大きな問題だろうとは思います。研究活動の活性化、研究者のためというのが基本なわけですので、そのためには何をどこまでオープンにすればいいのかという考え方も一つあるのではないかということと、より広い文脈で申せば、一般人のニーズということもあります。EUの調査などでも、科学技術情報を十分に入手できていると思うかということに対しては、11%の人しかそう思うと答えていないという調査もございます。また、日本で私どものプロジェクトで調査した際にも、医学分野の専門的な論文を読みたいと思うかということに対して、56%の人が読みたいと言っているという結果も出ております。そういう意味でも、決してニーズがないわけではありません。ただ、そう簡単にはいかないというのは分かっておりますけれども、より今後のことを考えるのであれば、一般向けのオープンアクセスという方向もあり得るということだと思います。

 それからもう一つは、やはり学術雑誌の位置付けをどのように見るのかというのが、こうしたオープンアクセスの議論の今後を考えるにおいては重要だと思います。特に、今、研究データと学術雑誌論文を結びつけて成果としていこうという動きが非常に活発です。Supplementary Informationを整備したり、各種データベースとのリンクを学術雑誌のそのe-Journalのサイト上でどんどん行っていったり、そうなると論文という形式自体が、根幹では変わらないのだとしても、表面上は、表示的には非常に変わっていきます。雑誌というまとまりが、だんだん見えにくくなっていくということも事実だろうと思います。そういった位置付けの変化ということも踏まえて、オープンアクセスをどういう形で考えていくのかということが、問題なのだろうと思っております。

 以上になります。

【有川主査】  ありがとうございました。

 オープンアクセスの歴史的なことから現状の問題点まで、非常にうまく説明していただいたと思います。後で全体の検討の中で時間をとって議論できますが、この段階で簡単な質問などございましたら、どうぞお願いします。

【中村委員】  非常に単純な質問なのですけれども、今の御説明は、学術雑誌を皆さんに無料で見せるという内容ですよね。学術雑誌の情報でしょうか。

【倉田委員】  はい。

【中村委員】  今でも、本が限りなく電子化されていますが、本はお金を受け取って売るというのが普通の考え方ですよね。本は無料ではなく、学術雑誌の情報が無料であるべきであるという、そのロジックは既に検討されているものなのでしょうか。

【倉田委員】  本に関しましても、一般の小説とか娯楽書ではなくて、学術図書に関しては既にオープンアクセスの学術図書というのはございます。実際にそれを普及させるべきだというところまでは、もちろん完全には至っておりませんけれども、理念としては、別に学術図書はいけないというような議論には、決してなっていないというように思います。

【中村委員】  学術図書と小説、両方とも著作物なのですけれども、その差はどこにあるのですか。

【倉田委員】  学術情報であるか否かだと思います。あくまでも理念としてはということです。実際にどうこうということではなくて。

【土屋委員】  よろしいですか。ただ、やはり図書に関してはオープンなものもありますけれども、実際、例えばアメリカやその他、大学出版界、そういったところの出版のものに関しては有料モデルが、今現在、一般的で、既にアメリカ、イギリスでの有料モデルのプラットフォームは大体三つか四つくらい大手が決まってきているということなのです。それは、無料モデルという主張が論理的になされているという形跡はほとんどないと言っていいと思います。

【有川主査】  他にございませんか。それでは、倉田先生、どうもありがとうございました。また後ほどお願いいたします。日本の学術情報発信機能を強化するための科学研究費補助金研究成果公開促進費の活用等についての案という資料が用意されておりますが、それについて鈴木室長から説明を頂いた後で、倉田先生の御説明も含めて、その二つについて議論していただきたいと思います。お願いいたします。

【鈴木学術基盤整備室長】  それでは、資料について御説明させていただきたいと思います。資料1と資料2でございます。資料1が、現時点でのまとめの全体版です。資料2が、前回の会議からの変更点を赤で見え消し版にしているものです。御説明に際しましては、特に前回と変更したところを中心にと思いますので、資料2を用いてお話をさせていただければと思います。基本的に、前回との主な変更点を逐次御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料2の1ページ目の1、学術情報流通・発信と国際化の進展の背景の部分でございますが、丸を二つ追加しております。これは背景、状況の変化のところで、科学研究費補助金で学協会等が発行している学術誌に対して、その助成を行ってきていた成果が、当然のことということですっぽりと抜け落ちておりましたので、それに関して二つほど記載をさせていただいております。

 一つ目が、科研費により支援することで、ジャーナル刊行の継続性や国際的な情報発信力の確保に一定の成果を上げてきたという状況であるということ。二つ目が、学協会が刊行しているジャーナルに関して、科研費による支援を得て国際競争力を向上させ、出版事業における収支構造を改善させるなど財政健全化の動きにもつながっているという記載を追加しております。

 それから、同じ1ページ目の次の部分でございます。日本の学術情報発信の強化、必要性と意義の項目におきまして、一つ追加がございます。学術情報発信において、ジャーナルは、研究者が研究成果を発表する媒体として同一タイトルのもとに継続して発行され、査読制度のもとに質が保証されたものであり、研究活動、教育活動だけでなく、広く社会における様々な活動にはなくてはならないものであるということで、ジャーナルの定義的なものを、ここに記載を追加しております。

 次の2ページ目ですが、基本的に大きな変更はございませんが、学協会の記載に関して、より広くとらえるということで「学術コミュニティ」というように表現を変えております。それから、2ページの最後の「オープンアクセス方式を実現するモデルとしては」の部分の分類の仕方に関してですが、並べて記載していた部分について、大きくオープンアクセスジャーナルを刊行する方法と、セルフアーカイブをする方法という形で分類をした記載に変更しております。

 3ページ目はわずかな修正でございます。4ページ目に入りまして、科研費の研究成果公開促進費の問題点についての記載です。4ページ目の一つ目の丸でございますが、若干言葉を整理させていただいております。それから、項目として三つ目の丸を追加しております。科研費の審査体制に関する記載ですが、現在、学術定期刊行物の審査については、学術定期刊行物を含め、学術図書、データベース等の研究成果公開促進費全体が一つの審査で行われております。その審査体制について、問題点の一つとして、「したがって」以下の部分ですが、ジャーナルの発行に係る実務者等が参画しておらず、発行の改善の取り組み内容を十分に評価できるような審査体制とは言えないということで、この後の改善の部分の記載とも関係いたしますが、その現状を追加しております。

 それから、その後の丸に関しては、少し表現を整理させていただいた修正、また、5ページに参りまして、学協会に関して、学協会のみならず、その学協会の連合体等、広い意味でいろいろな形のものが含まれるということを勘案しまして、学協会の後に「等」を追加させていただいております。5ページ目の、オープンアクセスの取組への助成の部分に関しても、若干言葉を追加しております。速やかに欧米並みのレベルに到達させ、更にリードできるようにすべき状況にあることを考慮すると、科研費で助成することが重要であるということでございます。

 6ページですが、主な修正部分は、その他科研費の改善に関する留意事項の項目ですが、二つ目の丸のところです。特定欧文総合誌に関して、これは複数の学協会が連携して英文化率100%の総合誌を発行する際の助成の区分ということでございますが、現実には申請、採択も非常に少なくなっております。独立の応募区分を設けるのが本当に必要かどうかということです。

 既存の応募区分の中で対象とすることも検討すべきという記載でしたが、一方、この記載のために、学協会の連携を否定するかのような、後ろ向きに評価するというようにとられますと、本来の趣旨とは違うということもございます。我が国の学協会、一つ一つ小さい部分を合わせて連携して強化の取り組みを行うということは、逆に推奨すべきことということもございまして、その後に「一方、学協会等の連携による国際情報発信の強化の取組については、特段の配慮を行うことを検討すべきである」という文章を追加しております。

 それから、先ほどの審査の部分で項目を追加しました関係で、この部分でも、学術定期刊行物の審査について、ジャーナルの改善の取組内容を評価できるような体制を構築すべきであるという丸を一つ追加しております。7ページのその他の部分でございますが、この報告書の位置付けと、今後の予定を書き加えております。本報告書は、これまでの議論を整理したものであり、科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会に対して、電子化やオープンアクセス誌に対応した科研費の制度改善について報告することを主眼としている、ということです。

 引き続き、学術情報基盤作業部会では、人材養成や研究評価等を含めた我が国の学術情報の流通・発信、循環の在り方についての検討を総合的に行うこととしているということで、本作業部会として、この報告を年明けに研究費部会に報告しました後、研究費部会及び科研費の助成を行っている日本学術振興会で具体的な改善の検討が行われます。年度内若しくは年度明け早々を目途に、本作業部会にその結果が報告されるということを踏まえ、その具体的な改善を加えた上で、その時点でまた新たに科研費以外の支援方法も含めた全体的な部分を御検討いただきたいということを考えておりますので、その記載としてこうした文章を追加させていただいております。

 それから、参考資料の方の具体的な改善策についてですが、9ページを若干変更しております。対象とする部分に関しての改善案ですが、対象とする雑誌の定義的な文章を改善案に加えております。研究者が研究成果を発表する媒体として同一タイトルのもとに継続して発行され、査読制度のもとに質が保証されたジャーナルについて、更なる国際情報発信力の強化を行うための事業計画を対象とするということでございます。そのジャーナルについての定義的な部分を備考のところで、上とほぼ同じ形でございますが、研究者が研究成果を発表する媒体として同一タイトルのもとに継続して発行され、査読制度のもとに質が保証されたものとしている、という表記に変えております。

 備考欄にもう一項目追加しております。国際情発信力強化のため、学協会の連携を促進しジャーナル発行を支援する取組にかかる事業計画についても助成の対象とする、ということです。これは従来は科研費の対象として、定期的に刊行する学術誌そのものということで、学会誌そのものが支援、助成の対象でございましたが、今回、改善案で国際情報発信力の強化を行うための事業計画を対象とした結果、そこで対象になるのですが、学術誌そのものを発行しない団体で、学術誌を発行している他の学会や団体を支援する計画が、自ずから国際情報発信力の強化のための事業計画ということに含まれるということです。自ら学術誌を発行しないけれども、取組を強化することを支援するのもこの事業計画に含まれるということでございましたが、そこが広がっているということが意識されていたか、いなかったかという部分もございますので、ここでその部分が広がっているということを、備考に書き加えております。

 10ページでございますが、若干修正を加えております。電子ジャーナルが応募対象の主体だということが分かるように変更しております。11ページに関しましては、「等の団体」ということで、学協会のみならず、学協会の連合体、若しくは支援するための組織等ができた場合には、それも対象になるということが分かるような表記にしております。この辺りも、前回の議論を踏まえての修正です。

 12ページですが、科研費の事業期間に関しては、現在、1年間から4年間になっております。前回の会議では、3年間ということを改善案としておりましたけれども、3年間ではやはり、事業計画を実施し、成果を出すには若干短いということがございます。3年と申しましても、次の申請までを考えますと実質的には2年半ということで、委員の方から御意見がございましたので、今回は5年間としております。ただし、3年で厳しい中間評価を実施するというような案に変更しております。この辺りは、御議論いただければと思います。

 15ページの変更は、学協会の「等」を加えたことと同じ趣旨でございます。16ページには、その他の留意事項で一項目加えております。学術定期刊行物の助成の対象となるのは、研究者が研究成果を発表する媒体として同一タイトルのもとに継続して発行され、査読制度のもとに質が保証されたものであることという条件でございますし、この応募区分、科研費の研究成果公開促進費学術定期刊行物という名称、これ自体も変えた方がいいのではないかという前回の御議論を踏まえ、こちらに留意事項として、名称に関しても検討すべきであるという記載を加えております。

 変更されました部分に関しては、以上です。

【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、先ほどの倉田先生の御説明も含めまして、これからの時間を使って御議論いただければと思います。今、鈴木室長から御説明いただいた内容につきましては、本文が1から、その他を入れまして5まであり、それに参考資料分がございます。その順番でもよろしいですが、全般的には、これまで頂いた議論を反映させる形でまとめられておりますので、お気づきになったところから御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。

【土屋委員】  資料2のaの追加部分で、今、気がついたのですが、科研費に限れば、こういう形での助成ということになっていますが、ここは背景ということですので、必ずしも科研費だけに限るのではないとすれば、やはり日本での学術情報の国際発信ということについては、例えばJ-STAGEであるとか、SPARC Japanといったような取り組みが既にこの周辺でもありますので、それについては触れなくてよいのかということなのですけれども。

【有川主査】  いかがでしょうか。

【土屋委員】  科研費だけに絞ってしまうかなという、その点を少し確認しておきたいということです。

【有川主査】  周辺のことを少し触れて、位置づけをしておくということになろうかと思うのですが、鈴木室長、いかがでしょうか。

【鈴木学術基盤整備室長】  その他のところでも触れましたように、あくまで研究費部会に報告するということを意識してまとめましたので。

【土屋委員】  そう、それは分かるのですが。

【鈴木学術基盤整備室長】  科研費に関してのみが記載されているということで、だからと申しまして、それ以外を入れてはいけないということも全くございませんので、御意見があれば幅広く書き加えたいとは思いますが。

【有川主査】  余り広げてしまいますと、収拾がつかなくなってしまうと思います。

【土屋委員】  少なくともJ-STAGEと、SPARC Japanの取り組みは含めておいた方がいいのではないでしょうか。

【有川主査】  そうですね。この最近、かなり意識的に取り組まれてきたことですので、関係者もいらっしゃいますけれども、いかがでしょうか。含めてあった方がよろしいですか。

【宮川知識基盤情報部調査役】  是非、入れていただけるなら入れていただきたいと思います。

【有川主査】  安達先生、どうぞ。

【安達学術基盤推進部長】  入れていただくと大変ありがたいと思います。ただ、SPARC Japanの活動は、今、オープンアクセスと図書館サイドに力点があることから、そういった意味でこの学会の出版に対しては、ある緊張関係のようなものがあると思いますので、そこをどう評価していただくかがポイントかと思います。

【土屋委員】  ですが、その学会の出版の支援、ビジネスモデル支援を行ったことは間違いないですので。

【安達学術基盤推進部長】  それは強くやりたいですし、学会で編集を行っている方々とのコミュニケーションは、今までよりも一層密にしていきたいという気持ちは強いところがあります。

【有川主査】  学会等や支援などというところに、これまでの活動が包含される可能性もあるわけですね。

 ありがとうございます。それはこのa.の背景のところで一つ丸を増やして、少し記載しておくことにいたしましょうか。余り広げますと大変なことになりますので、その程度にしておきたいと思います。

 他にございますか。

【土屋委員】  もう一点は、やはり修正点に関わるのですが、これは考え方の問題かも知れませんが、資料2の2ページから3ページにかけてのオープンアクセス方式を実現するモデルということですけれども、セルフアーカイブというのはオープンアクセス方式の出版のモデルではないだろうと思います。つまり、セルフアーカイブ方式は、オープンアクセスを可能にするモデルではあるけれども、オープンアクセスはあくまで何らかの形で出版活動が営まれているという前提の上に成り立つという仕組みだろうと思うので、セルフアーカイブ方式にあえて触れない方がいいのではないかという印象を持ちました。こうして二つ並べて説明されますと、どうなのかなという感じになります。つまり、セルフアーカイブできるのだから、今までどおり出版をすればいいではないかという論理にもつながりかねないということだと思いますので、その辺りについての整理をしておいた方がいいかという気がします。

【有川主査】  そうした見方もできると思うのですが、ここはこのように入れておきたいということがあるのだと思います。倉田先生、これに関していかがでしょうか。

【倉田委員】  オープンアクセス出版ということを主眼とするならば、セルフアーカイビングというのは、確かになくていいということはあるのかもしれないと思います。元の案が四つ列挙されているだけということで、それらを組み合わせた出版というのはよく分からなかったので、それならあえて二つに分けた方がいいのではないのかと思ったのですが、電子ジャーナルの雑誌の出版という文脈に限っていい、そういうオープンアクセスジャーナルを刊行するというように言ってしまうのであれば、もうこの丸の最初のところから変えてしまうべきかと思います。けれども、オープンアクセス方式を実現するモデルと言われるとやはり、かなり広い話、元々もう少し広いところからここに持ってこられたので、そこに齟齬が来ているのかもしれないと思います。

【有川主査】  オープンアクセスの方式ということになっていますから、そういったことになっているのですが、それをここに書くかどうかということはあります。一方では、学術情報の発信・流通という観点からしますと、セルフアーカイブあるいは機関リポジトリのようなものなどというのは、新たなやり方であることには変わりないわけです。それは今後のここでの議論の仕方にも関係しますので、最後の方で御報告いただけると思いますが、この辺りについてもこれから議論していくことになろうと思います。ですから、一応、そういったこともあると並べて記載しておいた方がいいのではないかという気もしています。書いてあると差し支えがあるということでなければ、そうしていただいた方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

【瀧川教授】  今、倉田先生がおっしゃったように、セルフアーカイブというのは、オープンアクセスを広める重要な手段であるということで、何かの記載があった方がいいと思うのですが、雑誌の出版とセルフアーカイブというのは機能といいますか、目的が別ですので、並べて書きますと、同じことをしているかという印象を与えてしまうような気が少しいたします。

【有川主査】  ここは書き出しが「オープンアクセス方式を実現するモデルとしては」ということになっていますので、このようになるわけです。先ほどのSPARC JapanやJ-STAGEなどを入れたことと同じように、入れておいた方が後のつながりがよくなるように私自身は感じております。

【瀧川教授】  少し関係するのですけれども、オープンアクセスジャーナルの場合ですが、倉田先生のお話にもありましたが、いわゆるゴールドモデルといいますか、全て、全部オープンにするものと、著者が選んでオープンにするというものがあります。そこはどこかで区別といいますか、参考資料1の制度設計のオープンアクセスジャーナルというのは、それを両方含むのか、あるいはゴールドモデルだけなのかというのは、これはどこかではっきりしないといけないのではないかという気がします。どこかで、その区別があるというのは必要ではないかと思うのですが。

【有川主査】  ここのところですね。

【瀧川教授】  はい。

【有川主査】  今日は倉田先生に整理していただきましたので、そういうやり方があるということでここに入れておきましょうか。倉田先生、そのようなことでよろしいでしょうか。

【土屋委員】  ただ、オープンチョイス等々以下のモデルというのは、今、廃れつつあるのです、恐らく。それ自体、単体としては伸びていないというのがどうも実態のようですから、放置しておいてもいいと言えば、いい気もします。つまり、結局、実際にはサブスクリプションと組み合わせになりますので、では、そのサブスクリプションの購読料からその分を引くのかという話がいつも出てきますが、ほとんどの場合、実際には引かれていない。先ほど言及のあったNAR以外は、周辺以外はほとんど引いていないというのが実態だと思うのです。

 更にマックスプランクやCDL、オランダのコンソーシアムなどで、コンソーシアム規模で、シュプリンガーが言うところのオープンチョイス的な枠組みを組み合わせるという実験を、シュプリンガーと各団体が行ったわけですが、基本的に失敗に終わったということ、やめたということですから、一部論文単位にフリーにするという仕組みは、どうも今の段階で導入は放置されている。要するに、その分収益が上がっているので放置してあるというのが実態だと思いますので、進めるなら100%ゴールドでなければ意味がないような気がするのですけれども。

【中村委員】  一つよろしいですか。

【有川主査】  はい。

【中村委員】  細かい点ではあるのですけれども、私は常々、政府の文章、特に文部科学省が出す文章は、日本語で書くべきだと思っています。今回、セルフアーカイブという言葉が出てきましたけれども、この言葉はそれほどよく知られた言葉ではないと思うのですね。本来は、これは日本語に書き直すべきだと思っております。

 特にここでは、セルフアーカイブと赤でつけ加えた最初のところです。セルフアーカイブとは何かと説明が書いてあって、「著者たちが自ら論文をオープンアクセスとしてアーカイブする方法」がセルフアーカイブだと定義してあるのですけれども、オープンアクセスが言葉の中に入っているので、オープンアクセスとセルフアーカイブがお互いに入れ子になっていて、オープンアクセスとセルフアーカイブがどういう関係にあるのか、もう既に私にはよく分からないのです。言葉の定義が曖昧なものが使ってあるために、文意がよく分からないと思うのですね。その辺りが、今、土屋先生がおっしゃったようなロジックや、全体のロジックが少し弱いというところに出ているのではないかと思います。少し文脈を変えた方がいいのではないかと思っています。

【有川主査】  その辺りは少し整理をさせていただこうと思います。セルフアーカイブというのは、日本語で何と言うのでしょうか。

【土屋委員】  自己書庫でしょうかね。

【有川主査】  自己書庫でしょうか。

【土屋委員】  それで、用語集を作るということはありますけれども。

【中村委員】  アーカイブという言葉自身が、日本語ではないですよね。

【土屋委員】  といいますか、最近はいろいろな意味で使われていますしね。

【有川主査】  アーカイブスという言葉はよく使われるようにはなっていますね。日本語にしてしまうと特定の意味を持ってしまったりするので、そうではなくて本来の意味に近い意味で使いますよというときに、あえて片仮名を使うということがあります。

 どうぞ。

【倉田委員】  中村先生がおっしゃるのは大変よく分かるのですが、今、こういう文章といいますか、こういう用語を使っている人たちの中でよく使われている日本語は、残念ながらありません。それを当てるというわけには恐らくいきませんので、するのであればもっと違う形で、用語をできるだけ使わないで説明するということになるかと思います。

【土屋委員】  セルフアーカイブという言葉を一切抜くということでしょうか。

【倉田委員】  抜くということです。はい。

【有川主査】  そういったことでよろしいでしょうか。確かにそうした問題がありますし、言葉の定義の問題というのは、日本語で日本語を説明していきますと、ずっと最後には循環してしまうわけです。実は理論もありまして、それを展開していきますと、そこで生成される集合のようなもの、空間ができるのですが、それが言葉の意味であるなどということがあります。これはプログラミングの理論でスコットの理論というものがあるのですが、そのやり方などまさにそういったやり方です。このような循環というのは避けられないわけです。同じことでありますと、必ずどこかに出てきてしまう。余計なことを申しましたけれども、ただ、すぐ近くの中で循環するということは避けなければいけませんので、少し整理をさせていただきたいと思います。

【松浦委員】  一つよろしいでしょうか。該当箇所を見ますと、記述は最後のところで、電子ジャーナルのオープンアクセスに関する新たな取り組みを支援することが重要だという結論になっているのですが、セルフアーカイブについては何をするかが書いていません。ですから、ここを読んだときのバランスがよくないと感じるのだと思います。先ほど、土屋先生がおっしゃったように、セルフアーカイブに関する記述を外してしまうと、話はすっきりします。ただ、セルフアーカイブというのは今後の一つの流れだということで、どこか記載しておきたいのだとすれば、ここではなくて少し項目を変えるか何かしないと、落ち着きが悪いのではないかという印象を持ちました。

【羽入委員】  そうしたまとめ方もあるかと思いますが、そもそもここは1.として、学術情報流通・発信と国際化の進展ということについて、その状況を説明しているのであって、したがって、セルフアーカイブということがここに入っていいのではないかと私は思うのです。そのときに、先ほど中村先生がおっしゃったことの紛らわしさは、2ページの一番下の丸の話、オープンアクセス方式を実現するモデルの話なのであって、それにはジャーナルを刊行する方法とセルフアーカイブする方法があるという、この二つのことをただ書いておけばいいということだという理解もできるのではないかと思うのですね。

 紛らわしくさせているのは、もしかしたら、私の理解が間違えているかも知れませんけれども、(1)はオープンアクセスジャーナルということをわざわざ書いてありますので、これはもうジャーナルを刊行する方法というように記載し、もう一つはセルフアーカイブする方法というように記載する、これはそうした分け方ではいけませんか。この丸では、そもそもオープンアクセスのことしか述べていないわけですので、(1)ジャーナルを刊行する、(2)セルフアーカイブするということで分けていけば、全体の現状を把握し、それを説明していることになるのではないかという気がします。誤解があるかも知れませんが。

【土屋委員】  よろしいでしょうか。

【有川主査】  はい。

【土屋委員】  セルフアーカイブをもってオープンアクセスを実現するという考え方と、オープンアクセスジャーナルを刊行することによってオープンアクセスを実現するという考え方。その場合にもちろん、学術情報に対するオープンアクセスは実現しなければいけないという前提があっての話ですが、しかしながら、その二つの方法というのは、実は意外と整合的でない部分があって、特に基本的にオープンアクセスジャーナルを刊行するという場合には、その質を保証する部分というのをオープンアクセス刊行のコストの中に含めるということが前提なわけですが、セルフアーカイブによって実現するという場合には、基本的にその質を保証する部分というのは、通常の商業的出版活動等に依存する。言ってみれば、そこにただ乗りするということを前提にして可能になるということです。

 その実、通常の商業的な場合のそのほとんどが依然として購読料を取って刊行されるものであって、様々な考え方はありますが、まだ当分そういった状態が続くという中で、オープンアクセスを実現していくためにどうしたらいいかという議論になっているのだという感じがしますので、個人的には100%賛成するわけではないですけれども、オープンアクセスジャーナルを刊行するということを一つのターゲットとして考えていくときには、セルフアーカイブのことは忘れた方がいいということです。論理的な整合性のためにはですね。理念としてのオープンアクセスを語ることは、分からないことはないのですが、理念ですので、それよりは実際に国がお金を出して何か実現したという結果を出していくときの論理を作るのだとすると、そのような理念はいいのではないかという気がします。

【安達学術基盤推進部長】  このセルフアーカイブに関しましては、私どもが行っている機関リポジトリのプロジェクトとも非常に密接に関連いたしますので、一言申し上げたいと思います。本日の資料自体は、科研費をどのように活用していくかという趣旨ですので、セルフアーカイブのことを除いてまとめるということも整合性からは考えられると思うのですけれども、一方、倉田先生のプレゼンテーションにありましたように、諸外国では、研究助成機関が研究成果を公開するということを義務化する方向で動いています。今の御議論の流れでは、我が国のそれに相当する科研費の成果の公開については言及せずに、オープンアクセスジャーナルの振興のみを論じているということになってしまいます。

 ですから、諸外国の流れを見ますと、一方ではファンドを出す側がオープンアクセスを推進するための強力な手段として、公開の義務を課すという方向に行っています。それを進めるためには、セルフアーカイブや機関リポジトリなど、そうしたものも必要ですし、NIHのような政策とPubMed Centralのようなものも必要になってくる。そうしたものがちょうど相補的に機能してオープンアクセスが進むというのが諸外国の現状ですので、そのときにセルフアーカイブを意図的に国の政策として落とすということになりますと、我が国においてはセルフアーカイブは見ないで、オープンアクセスはオープンアクセスジャーナルを振興するということで進めるというように受け取られかねません。

 この両方に対して国の施策としてどうするかについては、バランスが取れているということが望ましいのではないかと思います。そういう意味で、セルフアーカイブの扱いはなかなか難しくて、これでいけるのかどうかということも本当は議論を尽くさなければならないのですけれども、何らかの形で言及しておくべきではないかと思います。

【有川主査】  かなり整理ができたように思います。一応、そう記載しておきまして、ジャーナルの方については、2で助成の仕方などについて述べておりますので、そういったモデルがある。しかし、これをきちんと見ますと、対象にするのはいわゆるジャーナルの方だけだということになるかと思うのですが、そういうことでいかがでしょうか。それで、紛らわしさを避けるために、羽入先生がおっしゃいましたように、(1)の部分の「オープンアクセス」は取って、「ジャーナルを刊行する方法」でよいかと思います。丸の出だしのところで、「オープンアクセスを実現するモデル」としてありますので。土屋先生、いかがでしょうか。

【土屋委員】  基本的にはよろしいと思いますけれども、ただ、例えばこのCの部分の流れはもう少し工夫しないと、その論理が出たり入ったりしているような感じがしますので、整理していただきたいと思います。

【有川主査】  はい。これは中村先生の御指摘のとおりでございますので、少し整理をさせていただきたいと思います。その上で、片仮名で書いてあるものについては、用語集をきちんと作っておくことにいたしましょう。変に漢字を当てはめても、そこからイメージすることと、我々が思っていることとは違ったりすることが多々ございます。私の最近の経験では、英語で言う「ライブラリ」というのは結構広い意味で使われるのですが、これを「図書館」とした途端に狭くなってしまいますので、漢字が使えなかったということもありました。ですから、言葉が定着するまでは用心して使った方がいいと思いますので、用語集をきちんと付けることにいたしましょう。ありがとうございました。

 他の部分で何かございませんでしょうか。

【土屋委員】  オープンアクセスがそもそも役に立つのかという根本論なのですが、つまり、理念というのは普通、採用するものではなくて最初にあるものだと思うのですけれども、この論理としてはオープンアクセスを理念として採用するといったときに、オープンアクセスというのは本当に実効的であるかということについての検証の問題ということがあるだろうと思います。最終的にこのような結論を持つ報告書といいますか、提案を出すとしますと、そこが詰められていないとよろしくないという気はします。先ほどの倉田先生のお話を伺いますと、従来のオープンアクセス誌の特徴は小規模で、ビジネスモデル不明が4割ということですが、この4割はどういった4割なのですか。

【倉田委員】  すみません。小規模なその他の出版社の4割はビジネスモデルが分からないという意味です。

【土屋委員】  はい。最近あるアメリカの図書館員、コロラド大学の図書館の人が、問題あるオープンアクセスジャーナル出版社一覧表というのを公開したのですが、その中で、ある程度信用できる出版社と思われるのは、例えばDove Pressというところが含まれているような感じで、大体色分けはできています。幾つか、それはかわいそうという雑誌もあるのです。要するに、単にお金を取りたいだけという出版社が、いま一つよろしくないオープンアクセスジャーナルを出すという認識が、結構あります。それを聞かれたキャンパスの図書館員や、その他の人たちは、こちらの出版社なら大丈夫で、こちらはよくないということを言うのに困っているという報告もありますので、オープンアクセスを出すと言っただけだと、信用されないわけですね。

 特に大規模なものは比較的信用されやすいのですけれども、小規模はそうではなく、ではどういうものが信用されるかといいますと、それはメガジャーナルというところで、倉田先生が指摘されたように、既にブランド力を持っているようなところが出しているものについては信用されます。ですから、信用されるところは信用されるというだけなのですけれども、既に信用を築いているところは信用されるという状況にあって大丈夫かと。また、今のところ、その採算、特にPLoS Oneが典型的なわけですが、PLoSの個々の雑誌はほとんど採算がとれていなかったのですが、PLoS Oneのように広い対象分野とすると採算がとれる。その簡易な査読というのは、カスケード査読と言われているもので、どこか別のところでの査読結果を活用するということになる場合が多いということなのですが、そういうようなものだと成り立つ。

 ですから、もし日本の学会誌でそういったことを行おうとすると、確固たる地位を築いているところが、うちはオープンアクセスをやるのだというように言えば出る。どこが確固たる地位を築いているかについては、恐らく、審査することになるのでしょうけれども、インパクトファクターが幾つ以上かなど、そうした話になるわけですね。つまり、せっかくこうしたことを議論して、何か提案になるものはないというのは非常に形にならないので、その辺りについて本当に我々として詰め切ったかどうかということだけは、確認しておいた方がいいと思うのです。

【有川主査】  その辺りは、我々の議論では学協会等ということがありますので、そこまでいい加減なことにはならないだろうと。要するに、オープンアクセスできないものをオープンアクセスできるようにしようということですから、そうしたことに関しては余り問題はないかと思います。しかし、オープンアクセスであれば何でもいいかというと、そういうことではない。いろいろなものが入ってくるわけですから、おっしゃることは非常にもっともだと思いますが、審査をきちんとするということと、学協会という一応しっかりしたところが取り組むという、そういったことを対象にしようとしているわけです。

【土屋委員】  ただ、その出版という世界では、必ずしも世界的な評価を得ている学協会は多くないわけですね。もちろん学会の方は、ほとんど皆さん国際学会に属しているのできっと立派な方なわけですけれども、今、出版の話をしていますので、雑誌のパブリッシャーとしての評価というのは、必ずしも高くないところが多いことは事実だと思います。

【有川主査】  今、オープンになっていないものをオープンにするために、そうしたものを対象にして助成すべきだということも議論しているわけです。土屋先生のおっしゃることを踏まえますと、学協会が出している論文誌などは見ないからやめたらどうかなどということになると思うのですが、そういうことではないだろうと思います。

【土屋委員】  もちろん、そういったことではありません。

【有川主査】  そういったことは、一方では、今日、倉田先生のお話にもありましたように、方向としてはどんどん伸びている状況にありますので、要点が外れているというわけではないと思います。この件につきまして、何かございますか。

【土屋委員】  もう一つよろしいですか。

【有川主査】  はい。

【土屋委員】  細かいことになるのですが、資料2の6ページですが、本作業部会から研究費部会への具体的な提案がずっと記載されているのだと思うのですが、文末だけ見ていきますと、「検討すべきである」ということと、そうではない表現とがあります。「検討すべきである」ということは、研究費部会検討してもらいたいということを述べているのだと思いますので、そうでないものは研究費部会の検討を経ず、こうすべきだと言っているという理解になると思うのです。6ページの最初の丸に関しても、「政策的にオープンアクセス誌の育成を推進することについて明確化するため、重点的に支援することを検討すべきである」ということは、スタートアップ支援を設けるかどうかということについて検討すべきということか、設けることは決まっているのだけれども、それを重点的に支援することを検討すべきなのかということが、少しはっきりしないという気はします。つまり、設けること自体は我々としては当然と考えているのか、それとも設けること自体についても検討すべきということなのか、ということですね。

【有川主査】  鈴木室長、いかがですか。これは6ページの一番上の丸のところでしょうか。

【土屋委員】  はい。

【中村委員】  もう一つよろしいですか。

【有川主査】  はい。

【中村委員】  補足的に申し上げますと、そうした区分を作るとなると、当然、予算の枠を作るのではないかと思うのですが、現実的には結構難しい問題が生じてきますよね。区分の枠を作ったときに予算の枠を作らないのかということは、日本学術振興会などでも深刻な議論をしなくてはいけなくなります。これをもし改善するとしたら、そのことをもう少し考えた方がいいと思うのですけれども。

【土屋委員】  それはそうですね。

【有川主査】  はい。それは研究費部会の仕事だと思いますが、こちらはそういったことを検討して指摘すればいいと思います。一方では、どこかに記載してありますけれども、このための予算は相当減ってきているわけです。ピーク時、9億円くらいの予算が3億円くらいになってきているという状況にあります。そうした意味では新規軸を出しながら、少し全体を活性化できるようにしなければいけないという意図も、当然入っていると考えなければいけないと思います。6ページの土屋先生の御指摘の部分について、いかがでしょうか。

【土屋委員】  細かいことを言い過ぎているのでしたら、それで結構です。

【有川主査】  多少議論をしますが、オープンアクセス誌スタートアップ支援を設けるということを検討するのか、これは重点的に支援するということを検討するのか。どちらを検討すべきと述べているのかということです。

【土屋委員】  表現としては重点的な支援区分として、支援のための区分としてオープンアクセス誌スタートアップ支援を設けることを検討すべきである、などというようにしていただければ、全部検討できるのでいいのではないでしょうか。

【有川主査】  何か余り変わっていないような感じがします。

【土屋委員】  ええ。文法的には少し。

【有川主査】  検討すべきというのは、研究費部会に述べることなので、そうした表現になっていると考えるのでしょうか。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。

【有川主査】  そうしますと、例えば「重点的」というのを取ればいいということになりますか。

【土屋委員】  いえ、設けることを検討すべきであると書けば、十分重点的な感じはするのではないかという気はするのです。新たな区分を設けるというのは、それはそれなりに大きいことだろうと思います。

【有川主査】  はい。では、そういたしましょう。よろしいですか。「重点的に」と記載しておかないと無視されるというようなことがあるかも知れませんが、これは当然、そういうことは入っているわけです。

【土屋委員】  それは中村先生がおっしゃったように「新たな」ということが結構、大きな問題でしょうから。

【有川主査】  では、区分として設けることを検討すべきであると。これは設けるだけではなくて、やはり支援をしてほしいと述べているのだと思います。

【土屋委員】  設ければ、当然、支援することになるわけです。かなうものがあれば。

【有川主査】  はい。全体とのこともありますので、検討させていただき、ここはお任せ願いと思います。

 他に何かございませんか。

【土屋委員】  あと一つ、意味だけ確認しておきたいのですが、6ページのd.の最初の丸で、学術研究においては発表が大事である、成果発表が大事であるとあります。そのため、基盤研究としての科研費においても、論文投稿料のような経費が措置されているとありますが、つまり、その措置されているものを使って、例えばオープンアクセス誌が出たときに、そのお金を使って払いなさいという含みがあるのかないのか、ということを確認したいと思います。

【有川主査】  明白に述べているわけではありませんので、そうしますと「許容されている」程度でいいのでしょうか。

【土屋委員】  いえ、と言いますか、むしろ、要するに論文投稿料があるのだから、オープンアクセス雑誌を作ったときには、そこに投稿しなさいよという話の気持ちが入っているのかどうかだけ少し。気持ちですから、別に文字だけ読めばいいと言われればそれまでなのですが。

【鈴木学術基盤整備室長】  気持ちと申しますか、あくまでこの段階でオープンアクセス誌に関して、科研費を利用して積極的に投稿しましょうなどという議論はまだなされておりませんし、そういうことをはっきりと書くわけにはいきません。ただ単に事実として科研費で、御承知のとおり研究のための経費と研究成果を発表するための経費、これが両方使えるということになっています。ですから事実として、研究成果を公開するための経費は、科研費から使用できる項目として立っているということを改めて記載して表明しているということです。

【土屋委員】  事実確認ということですか。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。

【土屋委員】  ただ、今の状況ですと、先ほど、安達先生が指摘されたように、要するに科研費による助成を受けた成果の発表はオープンにしなければいけないという議論を、どう位置づけておくか考えておかなければいけないのではないか、ということですよね。そのことについては、この報告書の中には全く触れないということでしょうか。つまり、研究費部会に検討を依頼するということは、ターゲットはもちろんこの研究成果公開促進費ですが、科研費全体の話になるだろうと思うのです。

【鈴木学術基盤整備室長】  その部分の議論は本作業部会でもまだなされていないという、全体のスケジュールを何度かお知らせさせていただいているかと思いますが、そのスケジュールで参りますと、今回はこの報告書をまとめて研究費部会に報告する。その後、年が明けて1月からの本作業部会で機関リポジトリ、オープンアクセスに関して議論をお願いしたいと考えております。

 今、土屋先生がおっしゃいました、科研費を含めた我が国の公的資金による研究成果のオープンアクセスについて、どう考えるべきかということについても、1月からの議論の進展の中で出てくるのではないかと思います。それで、もちろんその部分に関して議論した結果、何らかの結論が出ればまた報告書をまとめる。その際、研究費部会へ検討をお願いすることが追加で必要になれば、同じようにまとめた上で研究費部会に報告書を出すということになるかと思います。

【土屋委員】  分かりました。

【鈴木学術基盤整備室長】  ただ、現時点ではそこは議論されておりませんので、事実関係だけを整理した上で、実際に科研費の学術定期刊行物の種目をこのように改善してもらいたい、若しくは改善を検討してもらいたいという形で、今回この報告書はまとめさせていただいているということです。

【土屋委員】  安達先生に御異議がなければ、私は何も。

【安達学術基盤推進部長】  異議はございませんが、電子ジャーナルの件に関しては、欧米の動きに決定的に遅れているという状況で起死回生ということを考えると、やはりかなりゆっくりというか、非常に穏やかなような気がいたします。私の疑問は、我が国の学会が出す欧文誌をオープンアクセス誌として何とかしたい、つまり、「我が国の」がかかっている議論の部分と、そうではない部分が行ったり来たりするというのが、この議論の難しさです。先ほどの科研費を投稿料に使っていいという議論は、普通の研究者からすると、欧米の雑誌に自分の論文を載せるための投稿料に使うというように動く。それをよしとするのか、いや、そうではなくて、日本の学会が出す雑誌にオープンアクセスで投稿してほしいということとは、随分ポリシーに違いがあります。

 私の理解する限り、科学技術基本計画やこの作業部会の過去の報告書によりますと、オープンアクセスはいいことだということは日本政府として述べています。しかし、そのいいことを実装するためにどうするのか、という施策としてはまだできていなくて、ここで打ち出そうとしていることが具体的な第一歩になると思います。そういう意味で大変重要なわけですが、SPARC Japanの当初からも議論のあった「日本」の雑誌なのか、それともそれにはこだわらない学術振興でよいのか、ということで随分ニュアンスが変わってきます。しかし、やはりこの種の報告書では意図的にこの点を避けないと難しいのかなということが個人的な感想です。

【有川主査】  学会等の助成というのは、日本の学会のどこが対象になるのかだと思いますが、いかがでしょうか。また、d.の最初の丸のところはもう少し深く議論するとなると、我々のこの作業部会が最初に議論すべきことですね。研究費部会等ではなくて、本作業部会で議論をする。そのことを必ずしも十分にしていないものですから、今日、いろいろと問題になっているようなことが出てきているのだろうと思います。ですから、恐らく、次のラウンドあたりでその辺の議論もしていけばいいだろうと思います。ありがとうございます。

【土屋委員】  それでは、提案なのですけれども、7ページのその他のところの最後から三行目から二行目にかけて、「当作業部会では、人材育成や研究評価等を含めた」というところの例示の中に入れていただくというのはいかがでしょうか。

【有川主査】  はい。そのようにしておきましょう。次回も機関リポジトリやオープンアクセスなどをもう少し議論することになっていると思いますので、予告をしておけばいいのかと思います。室長、それでよろしいですか。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。

【有川主査】  では、それを追加することにしましょう。

【小山内研究事業部長】  日本学術振興会といたしましても、研究費部会の指示があり次第、動けるような準備は進めて参りたいと思っております。いろいろ御提言いただきまして、ありがとうございました。本件につきまして、日本学術振興会の中で勉強しているときに出てきた話がございまして、第一回目の会議で日本学術会議の提言が配付されているかと思うのですが、そのときの作業の経験者のお話によると、日本学術会議に動いていただくのは結構大変だったようでございまして、今後、こちらの作業部会の議論の中で、日本学術会議の協力を仰ぐような必要性が出てくる可能性があれば、対応していただきやすいように、どこかで固有名詞として、日本学術会議ということを書くことを御検討願えるでしょうか。

 あるいは、もし日本学術会議そのものの協力を得る可能性はないかもしれないけれども、若干あるかもしれないという場合には、「学協会等の協力を得ながら」のような表現もあり得るかと思います。拝見した限りでは、この最後の文章、今、土屋委員の言われた7ページの最後の文章の辺りに、その可能性によって、固有名詞としての「日本学術会議等の協力を得ながら」というような表現を入れるか、あるいは「学協会等の協力を得ながら」というような表現を入れるか、それともこちらの作業部会で、ほぼこの体制で進められるのではないかということであれば、特に何か入れていただきたいということではないのですけれども、少し御検討いただければと思っております。

【有川主査】  はい。岩本課長、いかがですか。

【岩本情報課長】  恐らくこの問題全般に関して学協会なり日本学術会議なり、御理解と御協力を頂くということは当然必要不可欠な話でしょうから、それを記載すること自体は、問題ないと思いますが。

【有川主査】  日本学術会議などを含めてなど、そういう記述をするかどうかですが、よろしいですか。

【岩本情報課長】  特に問題はないと思います。

【有川主査】  特に問題はないですね。では、そうさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、8ページ以降について何かご意見等ございますでしょうか。参考資料になりますが、丁寧に記載したり、あるいは非常に大きな点では12ページの事業期間ですが、1から4年ということを3年程度でいいのではないかという御意見もありましたが、5年として、3年目に中間評価をするとしています。これはこのままでいいと思います。他に何かございますでしょうか。

【土屋委員】  一つなのですが、備考に書き加えられている「国際情報発信力強化のため、学協会の」というところですが。

【有川主査】  何ページでしょうか。

【土屋委員】  9ページです。9ページの備考のところの加筆部分で、「学協会の連携を促進し」ということで、個別学協会単独ではないようなことを強調されたというか、留意したということなのですが、むしろ、更に何か学協会ということが強くなっているような感じがします。例えば、NIIが「例えばこうしたプロジェクトを出して、学協会を支援しようと思う。ついては、こういったサーバを用意して」というようなことは、応募できないということになってしまうのですか。と言いますか、もっと別の例で申しますと、恐らく始まるであろうJSTのJaLCのDOI付与などというのは、まさに国際流通促進のための非常に重要なステップだと思うのですが、駄目なのでしょうか。

【鈴木学術基盤整備室長】  あくまで科学研究費補助金の枠内での支援ということで考えております。科学研究費補助金は、組織が組織的に行うものは補助の対象外です。科研費は個人補助の形態をとっておりますので、当然のことながら、そうした何らかの公的機関、大学そのものといったものが組織的に行うべき活動に関しては一切考えていないということです。ですから、あくまで学協会若しくは学協会の連合あるいはそうしたボランティア組織を新たに研究者が立ち上げる、というようなものへの助成を念頭に置いております。

【土屋委員】  研究者のグループが提案するということは。

【鈴木学術基盤整備室長】  それは十分あるかと思います。

【土屋委員】  あるのですね。これは、その感じがよく読めないのですね。

【鈴木学術基盤整備室長】  申し訳ありません。

【土屋委員】  「学協会の連携を促進し」と、学協会というのが元々ないと出せないような感じがするのですね。

【鈴木学術基盤整備室長】  なるほど。はい。

【土屋委員】  あるいは何か既に確立した学協会連合みたいなものがないと、難しいような気がする。何かそういった、このためのアドホックな組織でもいいということであれば、それが分かる方がいいような気がするのです。それは最終的にどう記述するかの問題ですね。

【鈴木学術基盤整備室長】  恐らく、公募要領等でどのような表現にするかという部分かとは思いますが、ニュアンスとしてはそういうものも、今回、先ほども御説明させていただきましたように、事業計画が助成の対象になるということを改めてここに記載したということです。

【土屋委員】  分かりました。

【羽入委員】  よろしいですか。

【有川主査】  はい。

【羽入委員】  今、土屋先生がおっしゃったことを反映させるのは重要だと思うのですが、例えば先ほど、学術コミュニティという言葉を使い始めましたよね。ですから、学協会の連携、あるいは学術コミュニティなど、そこにとにかくそういった名称を入れると、もう少し柔軟な対応を想定しているのだということにはなりませんでしょうか。

【有川主査】  学術コミュニティは、どこで出てきましたでしょうか。

【土屋委員】  本文の2ページです。

【有川主査】  下から二つ目の丸ですね。

【羽入委員】  上から二つ目の丸もですね。

【有川主査】  ここでは学術コミュニティという言葉を、学協会を消して使っています。削除して使っているわけですけれども、後でまた学協会に戻っているという感じでしょうか。少し整理した方がいいかも知れません。それから、学会等と記載しているのと三種類ほど入っています。

 どうぞ、岩本課長。

【岩本情報課長】  恐らく余り文言を変えますと、原則論を記載しなければいけなくなるのかと思います。先ほど、鈴木室長が申しましたように、科研費とはそもそもこういうものだから、こういう範囲や枠の中で、というように具体的にここに書かなければいけなくなるかも知れません。余り文言を変えますとですね。文言の範囲内で、その趣旨は辛うじて伝わっているというように理解して、こうした案文を提示させていただいているのですけれども。

【有川主査】  では、あえて学術コミュニティで通さない方がいいということでしょうか。

【岩本情報課長】  それは少し検討させていただければと思います。

【鈴木学術基盤整備室長】  学術コミュニティがジャーナル発行を支援する取組というような、ストレートに仮に書いたとしますと、余り深く検討しておりませんが、少しおかしなことに、その学術コミュニティが何を指すかという意味合いによっては、科研費の対象の部分との整合性が少しおかしくなる可能性があるかという気がしたものですから、ここは学術コミュニティではなく、連携のもとになる学協会ということで、案は提示させていただいたということです。

【有川主査】  よろしいですか。

【中村委員】  一つよろしいですか。

【有川主査】  はい。

【中村委員】  基本的な質問なのですが、この研究成果公開促進費に応募できる主体というのは何なのでしょうか。研究成果公開促進費は、普通の科研費と違いますが、普通の科研費は個人で申請して、個人の講座にお金が下りてくるというのが基本です。経理は機関経理を行っていますけれども。研究成果公開促進費は、具体的にはどのような主体が応募して、どのような主体の方が経理を行うものなのですか。今更という質問ではあるのですけれども。

【鈴木学術基盤整備室長】  科学研究費補助金ですので、あくまで申請が個人ということに関しては、全く同じです。ただ、この研究成果公開促進学術定期刊行物で申せば、学会等の雑誌の編集を行っている方が申請者として申請されます。そして、学会で経理をされるということになります。もっと別な言葉で言えば、学会そのものが実質的な申請主体ということです。

【中村委員】  そうですよね。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。ただ、先ほども申しましたように個人助成ですので、学会組織という言い方はできませんが、実質的には学会が申請主体であります。

【有川主査】  実際は会長名などでしょうか。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。そういうことになります。

【中村委員】  そうですね。そうしますと、今、計画調書を見ましたけれども、応募団体というのがあるわけですね。応募団体があって、その代表者というようなことになっています。ですから、コミュニティとかいろいろと緩くしてきますと、何だか分かりづらくはなりますよね。

【鈴木学術基盤整備室長】  そういうことなのですね。

【中村委員】  実体がなくてはいけないですよね。

【土屋委員】  いえ、ですから、このためのアドホックな組織でもいいような。

【有川主査】  安達先生、どうぞ。

【安達学術基盤推進部長】  今の中村先生の御質問をもっと具体的に申しますと、ある研究者グループが例えばシュプリンガーのような商業出版社と相談して、新しいオープンアクセスジャーナルを作ろうという申請をしたとしたら、それはまず受け付けられるのかどうか。そして採択されたら、シュプリンガーでは編集委員会に外国人を入れてというようなことで取り組んでいくと思うのですが、それもありとするのでしょうか。

【小山内研究事業部長】  現状の公募要領等において「学術団体等」については「我が国の代表的な学会又は複数の学会等の協力体制による団体等」と定義しておりまして、その代表者が申請する形になっておりますので、現状では少なくとも日本学術会議に登録したとかいう条件はありませんけれども、学会の体をとっていないものについては、恐らく現状では対象外であると思います。

【中村委員】  ですから、それで先ほど申し上げたように余り緩く書きますと、その言わずもがなの常識がだんだん分かりづらくなってくるようには思いますよね。今、安達先生がおっしゃったように。

【土屋委員】  ただ、以前も申し上げたように、やはりこのカテゴリーをもし残そうと思うならば、採択率を下げなければいけないわけですよ。ということは、できるだけ多く応募してくる方が、採択率は下がるわけです。

【有川主査】  採択率はどこかで整理してありますけれども、予算が減ってきていて参入が難しいという状況で、減ってきていると考えた方がいいのでしょうか。

【安達学術基盤推進部長】  そうはおっしゃいますけれども、私は根拠なく申し上げているのではなくて、Nature Photonicsを出すときには、フォトニクス分野で顕著な研究者が日本に多いということで、日本をベースに人を集めて創刊しようなどとやっていたと聞きましたし、最近はChinese Journal of Physicsというようなタイトルのオープンアクセスジャーナルが欧米出版社からどんどん出ていまして、中国が頑張ってそういうことをやろうとしたら、このように行うわけです。それに対して日本では、要するに学会の自助努力で頑張りなさいということで進めるということで、何か随分出発点が違うところからスタートする形で頑張れと言っているような感じもあります。その辺りのさじ加減を、ここではどうするのかということが見えないように思います。

【有川主査】  日本の学協会等がきちんと編集をして、そして実際にその出すところが外国であったというようなことも、対象には当然なるのです。ですから、全く問題はない。

【土屋委員】  いえ、ただ、要するに既存の学会では駄目だと。ですから、この人とこの人のいいところをピックアップして、そのグループが主体になって雑誌を出そうなどということに対する助成の方が、成功の確率が高そうな気がするという御指摘ですね、有り体に申せば。

【羽入委員】  私が先ほど申し上げましたのは、ここでの議論で学協会なり既存の学会に特化してよいのかというような議論があったような気がしたものですから、それで、学術コミュニティという言葉も使うようになったのではないかと思うのですね。そうしますと、既にあるものだけに限定して、学術情報基盤の発信ということを考えていいのかどうかという議論があったものですから、ここはもう少し緩やかにしてもいいのかと考えて先ほど申し上げたわけです。

【有川主査】  三種類くらいの言葉が出てきていますので、今、議論していただいたことなどに注意しながら、全体をもう一度検討してみたいと思います。

 中村先生、どうぞ。

【中村委員】  具体的なことを考えてみますと、恐らく今、先生がおっしゃったように、どこか商業出版社の人が旗を振って日本のコミュニティを集めてきて、では、何をするかということです。こうした具体的な例を少し考えてみると分かるのですけれども、サーバになるコンピュータ辺りは会社がお金を出すのは高くつくので、例えば1億円、これを補助金で購入して出版社と一緒に使うという、何となくそういうようなイメージですよね。その場合に、主体としては何か出版社が主体になりそうな感じもするのです。そうしますと、今、土屋先生がおっしゃったようなアドホックに作ったグループというのでしょうか、何々研究会のようなものを誰かが作って、そこで1億円のコンピュータを購入して、実際の運用は出版社に任せるのだろうということが想像されます。そのようなものが入ってきていい、というのがここの結論だと理解してよろしいですか。

【有川主査】  はい。実際にそれをどう実現していくかというのは、実現の仕方はいろいろありますので、今、中村先生から一つの極端なことを分かりやすくお話ししていただいたと思いますが、そういったことも入り得るのではないかと思います。

【鈴木学術基盤整備室長】  そのように新たな学術団体を任意に作って、そして申請を行う。若しくは先ほども申しましたように、自分たちは雑誌を作らずに、既に作っているところや、作ろうとしているグループを支援しますというようなことも、一応、申請はできるということで広げております。代表的な学会ということが現在の申請の段階では言われておりますが、それを消しております。それから、雑誌そのものの発行から、情報発信力強化の事業計画を対象にするということに変えたことにより、おのずとそうした形に広がっているということで、特に今までの議論と齟齬がない、問題がなければ、広がっているということを確認していただければということです。

【有川主査】  今井先生、どうぞ。

【今井教授】  電子情報通信学会の中で様々な議論をしておりますと、電子ジャーナルというのは、これまでの国の施策によって出版することはもはや容易になった。次の課題としては、私どもはやはり学会として電子情報通信を分野にしておりますので、情報通信のシステムとして見たときに、出すだけで終わりではなくて読まれないといけない。読まれるためにはもちろんITの技術、あるいは私ども学会ですとInformation and Communication Technologyということで、ICTの技術が必要であるということです。今の御議論の中では、例えば海外出版社のプラットフォームという話も出ていたわけですけれども、例えば安達先生のNIIの方で開発されている様々なシステムですとか、やはり日本発のそういったICTの技術で電子ジャーナルをより読まれるようにするような学会の連携というのも、恐らくサポートしていただけるとよろしいのではないかという気がするわけです。

 そういった意味では、10ページを見ますと、ジャーナルの発行に関して査読審査、編集、出版及び電子ジャーナルでの流通ということが赤文字で入っておりますが、この流通ということを、そこまで広く理解させていただいてもよろしいものなのかなということを、質問させていただければという点です。

【有川主査】  ありがとうございます。そういったことでよろしいと思います。まさに流通という言葉に非常に広がりと重みを持たせていただいたと思っておりますが、それは全く構わないと思います。もう少しそういったことをどこかで表現してもよろしいですね。要するに多くの人に読まれて、多くの人にインパクトを与えるということが大事なわけですので、どこかに記載する工夫をいたします。ありがとうございます。

 それでは、大分議論していただきました。本日は、この一つの取りまとめに当たっては最後の部会でございました。倉田先生から、体系立ったオープンアクセスについてのレクチャーも頂きましたし、それも含め、研究成果公開促進費の活用等について多方面から深い議論をすることができたと思っております。幾つか修正する点もございますけれども、そこにつきましては事務局と詰めさせていただき、最終的には主査に御一任いただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。大きな修正点がありましたら、もちろん、メール等で確認はさせていただきます。そして取りまとめましたものは、1月26日、金曜日に開催されます研究費部会に報告をすることになります。当日、私は予定がありまして出席できませんので、事務局から研究費部会に説明させていただくことになると思います。

 本日をもちまして、学協会等による情報発信や科研費の改善等に関する議論はひとまず終わります。学協会の有識者の先生方には非常にお忙しい中、都合9回にわたったのではないかと思いますが、長期間にわたり御参画を頂きまして、ありがとうございました。この作業部会としても少し異例の進め方だったと思いますけれども、非常に深い議論ができたと思います。また、今後、必要に応じましてこの会合への御出席をお願いすることもあろうかと思いますが、その節にはどうぞよろしく御協力をお願いいたします。次回からは、本日御説明いただきましたオープンアクセスと機関リポジトリについての議論をして参りたいと思います。そこでの議論に関する重要な点、あるいは方向性等につきましても、これまでの、特に今日の議論などでも大分行っていただきましたので、そういったことをより深く掘って議論をしていくことになろうと思います。

 それでは、事務局から今後のことなどにつきまして、御連絡を頂きたいと思います。お願いいたします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  本日は、どうもありがとうございました。今、主査がおっしゃいましたように、次回以降は全般の議論を含めて総合的に審議をお願いしたいと思います。また、本日のような御発表をお願いする可能性もございますので、その節は改めて御相談させていただきたいと思います。本日の会合の議事録ですが、各委員に御確認をさせていただいた上で、主査の確認を得て公開をさせていただきます。

 次回でございますが、1月24日、火曜日を予定しております。時間は、15時から17時、場所は本日と同じくこの16F特別会議室を予定しております。

 なお、予備日としておりました12月27日の火曜日ですけれども、この日につきましては、会合は開催しないということにさせていただければと思います。

 それ以後の予定でございますけれども、資料3のとおりとなっております。日程の確保については最大限御配慮いただきますようお願い申し上げます。また、4月以降の日程については、ただ今、整理をしておりますけれども、間もなくアナウンスができればと考えております。

 本日の配付資料ですが、机上にお残しいただけましたら郵送をさせていただきます。

 以上でございます。

【有川主査】  どうもありがとうございました。

 それでは、本日の作業部会、これで終わりたいと思います。ありがとうございます。

―― 了 ――

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