研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会(第44回) 議事録

1.日時

平成23年10月7日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.出席者

委員

有川主査、三宅主査代理、上島委員、倉田委員、坂内委員、田村委員、土屋委員、中村委員、羽入委員、松浦委員

文部科学省

(科学官)喜連川科学官
(学術調査官)宇陀学術調査官
(事務局)戸渡大臣官房審議官(研究振興局担当)、岩本情報課長、鈴木学術基盤整備室長、その他関係官

4.議事録

【有川主査】  それでは、時間になりましたので第44回の学術情報基盤作業部会を始めたいと思います。

 お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日は、科学研究費補助金研究成果公開促進費学術定期刊行物の改善について検討することが主な審議事項になると思います。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  おはようございます。

 まず有識者の方々ですけれども、本日も引き続き、これまで御説明を頂きました学協会並びに関係機関の方々に、審議に御参加いただいております。

 配付資料でございますが、お手元の資料の一番上に議事次第があり、資料として三種類、参考資料として二種類御用意しています。その他に、本日の御議論の御参考といたしまして、机上資料として、科研費の研究成果公開促進費の公募要領、書面審査の手引きを御用意しております。さらに、ドッチファイルに過去の配付資料についてもとじておりますので、審議に応じて御参照いただければと思います。

 本日の傍聴者ですが、19名の登録があり、事前の撮影、録画、録音の登録はございません。

 【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、資料1に「学術情報流通・発信に関するこれまでの議論の整理(案)」がございますが、8月4日開催の本作業部会の後に、各委員の先生方から御意見を頂きました。それを踏まえた上で整理をいたしまして、現時点でのバージョンとして事務局から送付し、御確認を頂いたわけでございます。そして、その次のステップに入る前に改めて特に何かご発言がございましたら、お願いいたします。

 それでは、これにつきましては、十分確認していただいていると思いますし、頂いた御意見を十分に反映したものになっていると思います。一旦ここで、現時点のバージョンとして御確認を頂いたということで、先に進みたいと思います。

 続きまして、学術定期刊行物に関して、関係する研究費部会や日本学術振興会における検討スケジュールにつきまして、鈴木室長からまず御説明いただきたいと思います。

【鈴木学術基盤整備室長】  それでは、参考2の資料に基づいて、スケジュールについて御説明させていただきます。

 今、有川主査からもお話がありましたように、科学研究費補助金研究成果公開促進費の学術定期刊行物、これにつきましては、科学研究費補助金の改善を検討しております研究費部会、それから、学術定期刊行物の実際の公募審査、交付を担当しております日本学術振興会との関係がございます。さらに、先ほど御覧いただきました資料1の議論の整理のような形で、この夏までの議論を整理いただいたわけですが、その残された部分に関して、まず研究成果公開促進費の学術定期刊行物を御検討いただくことになりますのは、研究費部会、日本学術振興会との関係、それからスケジュールの関係で、平成25年度の科研費の公募に間に合わせたいということがありまして、まず各論になりますが、学術定期刊行物の改善について御検討いただければ、ということでございます。

 本学術情報基盤作業部会において、年内にはこの学術定期刊行物の改善の方向を取りまとめるということで、その内容を12月若しくは1月に研究費部会に報告させていただいて、研究費部会で審議し、実際に学術定期刊行物の交付審査を行っております日本学術振興会での具体的な事項の検討を、研究費部会で御承認いただければ、という流れでございます。その上で、今の予定では、年度内、3月いっぱいを目途に、日本学術振興会で具体的な改善の内容を御検討いただき、その検討内容の結果については、日本学術振興会から本学術情報基盤作業部会に中間報告いただく、ということを予定しております。

 そして、全体の具体的な改善事項をもとに、研究費部会において、他の科学研究費補助金の改善事項などと合わせて御検討いただき、来年の7月頃までに、科学研究費助成事業の在り方について、研究費部会において審議がまとめられます。それに基づきまして、それぞれの種目の改善事項については、審議を反映して公募が行われますし、内容によっては概算要求を行い、予算の手当をすることになります。

 スケジュールの御説明は、以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 資料の参考2に基づいて説明していただきましたが、これによりスケジュールと同時に、これからの全体の流れを御理解いただいたと思います。今日の開催以降、議論が12月頃までかかるかも知れませんが、研究費部会を通じて日本学術振興会に検討を依頼し、日本学術振興会からの中間報告を我々が頂いて、そこで若干のやりとりをする。そして、議論がまとまったところで、今度は日本学術振興会から研究費部会に返していただくということです。以上のようなことで、本作業部会としましては、資料のほぼ真ん中にありますように、今年度中ぐらいは、この問題について少し検討していくということになると思います。

 よろしいでしょうか。何かご質問等ございましたら、この段階でお願いします。

 それでは、今のような流れとスケジュールを意識しながら、今日の主な審議事項でございますけれども、「科学研究費補助金研究成果公開促進費学術定期刊行物において検討すべき改善の方向性」を考えていくことになります。一応、先ほど確認をしていただきましたことも踏まえながら、事務局の方でたたき台を整理していただいております。まずそのたたき台について説明を頂いて、それをもとにして議論していただくということになろうかと思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

【鈴木学術基盤整備室長】  それでは、資料2に基づきまして、御説明させていただきます。

 まず、最初にお断りいたしますが、資料2ですが、先に2ページ以降を御覧いただきますとお分かりなるかと思いますが、科研費研究成果公開促進費の学術定期刊行物の公募要領の現状改善案、というような形で資料を作らせていただいております。これは、本作業部会は科研費の公募要領を審議する委員会ではございませんが、制度の内容を御理解いただく上で、現状がこうなっている、それに対して、このような方向で改善を行えば、こうした施策改善ができるのではないかということです。公募要領等の内容について、このような方向で改善をするというような方向性を、御審議いただければと考えているところです。

 資料2の左肩に書いてありますとおり、実際には、科研費の公募要領については、研究費部会、それから、実際に公募審査を行っている日本学術振興会の方で、最終的には決定されるものということでございます。学術定期刊行物は、科研費の中でも基盤研究などと異なり、少し審査や仕組みが異質なものですから、委員の先生方に現状を御理解いただくためには、こういった形がよろしいかと事務局で考えまして、お手元の資料の作りにさせていただいております。御了解いただければと思います。

 まず、1ページ目の助成の考え方ですが、基本として、あくまで今回は科研費の制度の中での助成の在り方の改善という位置付けでございます。これについては、議論の整理におきましても、科研費の改善として若干まとめがされておりますし、前回の本作業部会でも、委員の先生方から幾つか御意見を伺ったところでございます。それを踏まえまして、科研費の研究成果公開促進費については公募要領において、その目的として、学術の国際交流に資するという内容が記載されておりますので、その枠の中で検討を進めるということです。今までの御議論から外れるわけではないと考えており、資料2の二番目の丸を、改めて記載させていただいております。

 三番目の丸については、本作業部会においても、日本学術振興会から学術定期刊行物の現状について、御報告、御説明いただいた資料の中にございます。参考1として、その際の資料を再度配付させていただいておりますが、参考1の2ページの真ん中辺りにございますとおり、学術定期刊行物の予算、実配分額は、平成17年の9億1,000万円をピークに、年々若干ずつ減少しており、平成23年には3億5,000万円余りというような金額になっているということです。科研費全体の予算が伸びている中、もちろん基礎研究の実施は非常に重要と思いますけれども、研究するだけでなく、その成果をきちんとまとめて発信していただくことを考えれば、その発信のための経費に必要な予算額を確保することが必要ではないかということです。何とか改善をした上で、予算の増額というような方向に持っていければということで、このような記載をさせていただいております。

 そして、学術定期刊行物の具体的な制度の改善の観点でございますが、今までの御議論にもございましたとおり、紙媒体での出版を前提にした助成ということもございますので、電子化への対応を検討するということです。それにつきましては、単なる電子化のみではなく、その先を見越した助成を検討するという御意見があったかと思っております。そのためには、ジャーナルの発行方法の改善に必要な経費を助成する。そして、国際発信力強化のための取組の内容の評価を実施する。電子媒体主体の助成の在り方、その仕組み、特にオープンアクセス誌の助成ということを視野に入れるべきではないか、ということでまとめさせていただいております。この辺りの基本的な方向性につきましては、本日十分御議論いただければと思っております。

 資料2の2ページ目でございますが、例えばの例でございますが、今までの本作業部会での御議論等を踏まえ、もしかするとこのように改善すれば、それが公募要領で実行できるのではないかという例を幾つか並べさせていただいております。

 まず第一点目でございますが、学術定期刊行物の対象が、現在は定期的に刊行する学術誌を対象にしている。学術誌の刊行そのものを対象にしておりますので、結果として、質のよい学術誌であれば、昨年と同じ形で引き続き発行を続けていても補助金をずっと受け続けられる。科学研究費補助金は競争的資金ですので、このことが、申請ごとの審査による競争性というものがないではないか、というような批判が一部から出ているところです。これにつきまして、先ほどの国際情報発信力の強化を行うことと合わせますと、改善案にあるとおり、学術の国際交流に資するため、レフェリー制等により質の保証された原著論文の発信を目的として定期的に発行するジャーナルであって、更なる国際情報発信力の強化を行うための事業計画、国際情報発信力の強化に関する取組の計画、これを助成の対象とし、その取組のよしあし、実現性等を対象にしてはどうか、ということでございます。

 3ページ目の応募対象経費でございますが、先ほども方針のところで申し上げましたとおり、現状は紙媒体を意識しまして、組版代や刷版代、印刷代などが補助の対象になっております。ここの部分に関しましては、電子ジャーナル等にも対応するということを考えれば、科学研究費補助金の基盤研究等と同様に、基盤研究も研究に直接必要な経費が助成対象というようにされておりますので、対象となる経費として、ジャーナルの発行に必要な経費というように広げてはどうか。ただ一方で、一気にここまで広げますと、指針のようなものが何かないと、実際に補助金を使用する学会等でも使いにくいのではないかというようなこともありまして、少し例示など何かが必要かどうかということに関しても、御意見をいただければと思っております。

 4ページを御覧いただきたいと思います。国際情報発信力のための取組を評価するといった場合、その評価の部分ですけれども、どのように評価を行うかということです。現状の評価ですが、学術定期刊行物の申請があり、その計画調書を審査する際の評定要素の一つに、現在は学術的価値等について評価を行うと記載されております。評定要素として、学術的価値と質の向上、二つ目として国際性の向上と国際情報発信強化への取組、三つ目として、これは当然のことですが、応募条件に合致しているかどうかということになっております。これにつきまして、先ほど申し上げました国際情報発信力強化の取組を対象にするということで、審査に当たっては、この評定要素の一番目と二番目を入れ換え、国際性の向上と国際情報発信強化への取組に一番重きを置く。もちろん、学術的価値のない雑誌に補助をすることはあり得ないと思いますので、当然のことながら、学術的価値と質の向上も評定要素にそのまま二つ目として存続させる。実際の発信力強化の取組の審査の方法ですが、事業目標の設定ということで、国際情報発信力強化の取組について、3年とか5年の計画の期間でどういった目標を立てるか。例えば、和文誌等も対象になっておりますので、和文誌等であれば、その英文化率を少しでも引き上げる、電子ジャーナル化されていないところは、その期間内に電子ジャーナル化するとか、さらに、国際情報発信力を強化するために、外国人からの投稿を増やすとか、何らかのそうした目標を立てていただき、それについて年次計画を作って取り組んでいただく。その取組に必要な経費を補助するような形で、学術定期刊行物の改善ができるのではないか。合わせて、評価もこういった形に改善すれば、審査評価ができるのではないかということで、これについてもいろいろと御議論いただければと思っております。

 5ページ目の事業期間ですが、先ほど3年又は5年の事業計画の間というお話をさせていただきましたが、現状では、公募要領上は、この事業の期間というのは1から4年間というようになっております。ですが、実態としては、平成23年度の新規に採択された94件を見てみますと、そのうちの85件が事業期間が1年となっています。これは予算的に後年度負担が増えるということもありますし、申請自体が1年しか学会から申請されないということもございますが、国際情報発信力強化の取組の内容を踏まえて審査するという形態を考えますと、事業期間1年ですと、毎年11月には次の年の科研費の申請を行うことになりますので、前の計画が半分ほどの段階で次の計画を行うという、言葉は何ですが、自転車操業的なところで回って審査をされているという実態を考えれば、きちんと3年とか5年というような期間を定めて、年次計画をきっちり審査する体制に変えた方がよろしいのではないか、ということでございます。期間に関しては、案といたしましては、3年間ということを一応記載しておりますが、これはその取組を実施するために必要な期間ということで、どのくらいの期間があればいいのか。長くなれば、それだけいろいろなことに取り組めるかと思いますが、うまくいかないときに軌道が修正できないというような点もございます。さらに、短ければ、今申し上げたように事業の評価ができませんので、どの辺りの期間がこの学術定期刊行物では適切かというようなことも、御意見いただければと思います。

 6ページ目の応募区分でございます。先ほど少し和文誌の話をさせていただきましたが、現在、欧文抄録を有する和文誌につきましては、年間の総ページ中の欧文ページが50%未満であるもの、という条件がついております。また、原則として人文・社会科学を対象とする分野のものに限るということになっておりますが、本作業部会での発表等におきましても、逆に英文ページを増やす意図を持っている学会につきましては、この50%未満というのが、逆に心理的な壁になるということもございました。そういうこともありまして、欧文誌につきましては、現在欧文ページが50%以上となっておりますが、これはもう欧文誌という以上、原則100%だということで、あと、欧文ページを有する和文誌は100%未満ということで、90%で和文誌というのはいかがかということもあるのですが、別にこのタイトルにつきましては、カテゴリー1、カテゴリー2というように分類してもいいかと思います。そういった形で、100%未満のものを別カテゴリーで、これについては原則として人文・社会科学を対象とするものに限るということにしてはどうか。こういうことですと、和文誌がどんどん努力をして、英文ページを増やしていくという努力も可能になるのではないか、と考えているところでございます。現状でございますが、その下に記載してありますとおり、平成22年度の実績ですが、この欧文誌、和文誌のカテゴリーに申請され、採択されたものの72件は欧文ページ数が100%です。更に2件は、一回の号に1から2ページ和文が入るということで、パーセンテージにして98%など、そういった数字です。欧文ページ数が90%未満の雑誌は4件ございました。うち2件が人文・社会系の雑誌です。残る2件が自然科学系で、欧文ページ数は87から88%という現状です。その現状を踏まえても、欧文ページ数が80数%のところに、もう少し努力いただければ、この改善案でもほとんどものが対象になるのではと考えているところです。

 続いて、7ページです。電子媒体主体の新たな取組への助成として、オープンアクセスの雑誌について、特別に重点的に支援するということで、オープンアクセス誌の創設等を強力に政策誘導してはどうかということから、たたき台として提案させていただいております内容です。まず大前提として、当然のこととして、オープンアクセス誌であっても、購読誌と同様に、科研費の欧文誌の枠の助成対象に加えるということに関しては、委員の先生方も異論はないかと思います。ただ、単純に一般の購読誌と同様にオープンアクセス誌も扱うということではなく、場合によっては新たな応募区分、「オープンアクセス誌のスタートアップ支援」というような区分を設けて、重点的に支援するということのイメージが7ページの例ですが、1件当たり年間5,000万円ですとか1億円をこの立ち上げ支援に投入すること、さらには現在、実質的に欧文誌については、一学会一雑誌の支援となっておりますけれども、審査方針で、二件以上の申請があった場合には慎重に審査するということで、場合によっては、従来の購読誌の欧文誌を「欧文誌」の一般の枠で助成しつつ、このオープンアクセス誌のスタートアップの支援は別区分ということで、重複申請、重複採択を可能にする形にしてはどうか、ということです。事業の期間につきましても、一般のものよりスタートアップのところで比較的時間がかかるということを勘案して、少し長目にしてはどうかというのがこの案でございます。従来の応募区分で対応という部分については、そこまで新たな応募区分を作るまでもなく、従来の枠で対応して、オープンアクセス誌も応募可ということもあり得るのではないかということです。その場合ですが、同一区分ということになりますので、今までの流れから言えば、重複応募は認めないというのが通常かと考えますけれども、特例を設けて重複応募を可能にするであるとか、特例を設けてオープンアクセス誌に関しては期間を5年間にするというような、同一区分で特例を設けるということも可能です。ただ、ここまで幾つかの特例を設けるのであれば、きちんとした別区分というものを設けた方がよろしいのではないか、という対比表でございます。

 最後に8ページでございます。オープンアクセス誌による国際情報発信力強化の取組を評価するとともに、先ほど申し上げましたように、重点支援ということで補助率等を高くして、インセンティブを与えるということです。一方、各応募区分に関して、申請の際の上限額というようなものを設定する必要があるのかないのか。上限を設定すれば、上限いっぱい申請するところが増えるということもありますし、逆に、改善後すぐですと、各学会の方も、どのくらいの金額が申請できるかというイメージが分からないということで、ある程度のイメージを示した方がいいのか。

 それから、欧文誌と和文誌に関してのみ触れましたが、他に特定欧文総合誌という区分もございます。複数の学会が連合して雑誌を発行する際に、それに関して補助率を高くするということで設けられております特定欧文総合誌ですが、これについては、採択が現在一雑誌という状況もありまして、その廃止等も視野に入れて検討する必要があるのではないかということでございます。

 また、これは方向性が決まった後の実務的な話でございますが、先ほども申し上げましたように、ほとんどのジャーナルが現在単年度で助成を受けている。これを急に3年あるいは5年などと、一気に延ばしますと、最初の年は3年間で採択できますが、翌年度以降、3年間採択できないというような、予算が倍に伸びませんとそういうことになりますので、移行措置として、予算を平年度化するために、移行期間として短い期間のものを作って試行的に採択というような措置も、場合によっては必要になるということが最後に記載されていることでございます。これは事務的な措置ですので、特に御議論いただくことはないかと思います。

 以上でございます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 学術定期刊行物に関して検討すべき改善の方向性について、これまでの議論なども踏まえて、たたき台を示していただきました。基本となるのは、資料2の「助成の考え方」のところにありますように、科研費については、ピアレビューに基づいて審査を行っていますので、定期刊行物等についても、科研費の枠組みに入っていますから、同じやり方をするということ。それから、この定期刊行物に関しましては、元々、お手元の日本学術振興会の黄色い冊子を見ていただくと分かると思いますが、学術の国際交流に資するということが前提としてありますので、今日、示していただいたたたき台も、国際交流にどう貢献していくか、ということを中心に据えながら示されていると考えられるのではないかと思います。

 これから御意見を頂きたいのですが、あと、資料3を御覧いただいておいた方がいいと思います。先ほどスケジュールについて説明がございましたけれども、年内に一応の方向性を出しまして、それを研究費部会につなげるということになっております。そうしますと、こうした議論を、今日を含めてあと二回程度は行うことになるのでしょうか。そして、議論をまとめていきまして、研究費部会等につなげていくという理解でよろしいでしょうか。

【鈴木学術基盤整備室長】  はい。御議論がまとまるようであれば、もう一回作業部会を費やしましても、それは結構でございます。

【有川主査】  今日は割と大胆な提案といいますか、たたき台が示してありますので、少し議論しなければいけないと思います。

 それで、参考資料1の1ですが「研究成果公開促進費」発足と経緯というところに、昭和22年にスタートした「学会誌出版費補助金」、それから、昭和25年に「研究成果刊行費補助金」、そして、昭和40年に「科学研究費補助金」に入ってきて、科研費の一般的な考え方をこれで受けるようになったわけでございます。また、昭和61年に種目が加えられて、現在は四種目になっていることなども御理解いただいた上で、御議論いただければと思います。

 今、その点に少し触れさせていただきましたのは、一番大事なこととして、国際交流の推進があるわけですけれども、そうしたことが歴史的にどの時点から出てきたのかということを、少し気にしておかなければいけないだろうと思います。その考え方としては、例えば、ネット上に置かれる場合などを考えますと、昔の紙媒体のときに比べて、国際性に関してはもうできていると言っていいのではないかという議論も、極端な議論としてはあり得るのだろうと思ったからであります。しかし、一つの方向としましては、そういうことです。

 そして、もう一つは、学術定期刊行物の支援について、これを他の科研費と同じように強化・増強していく方向です。これは正しい方向かと思うのですが、そうだとするならば、それに対するもう少し説得性のある理屈、あるいは理念が必要だと思います。それは、これから研究費部会等に説明に行くときに、やはりそういったものがないといけないと思います。要するに、なぜ研究成果公開にお金が必要かということを、きちんと表現しておく必要があると思います。

 それでは、御意見を頂きたいと思います。資料2を見ながら、できるだけ最初の方は、基本的なこと、考え方や観点がありますので、その辺りについての議論を先にしていただいて、そして、あとはイメージがかなり具体的に示してありますので、その辺りについて議論していただいたらよろしいかと思います。何かございませんでしょうか。

【中村委員】  一般的なことから議論しなくてはいけないのですが、このお金は元々は文科省のお金で、恒常的な補助を目指したのではないかと思っています。これでよいですよね。

【土屋委員】  大分昔ですよね。

【中村委員】  これが科研費に移った時点から、恒常的な補助ではなくて、特に今回の文書の場合には、改善事業を補助するというようにはっきりと書いてありますが、改善事業を補助するためのお金になる、なるべきであると理解してよいですね。そうすると、事業が完成したらどうなるのかということになる。恐らく、次々に事業は完成していくでしょうから、そうすると、ある学会が完成したので、抜けていく、次の学会が完成して抜けていくと。恐らく、このようになるのが一番望ましい形になっていると思われます。

 なぜそうした質問をするかと言いますと、そのようにはっきりさせないと、審査基準が恐らく作れない。結局は審査の問題にくると思うのですが。ある学会が事業がある程度完成して、抜けていくということです。でも、現実にはこのお金を30年間続けて受けている学会は結構たくさんあり、実質上は恒常的な補助になっているわけです。ここに矛盾が出ます。恒常的な補助でなくなるという今回の審査基準から言うと、今まで受けていた学会が補助を受けなくなって、どうしてやっていくのか。すると、やはりビジネスとして成立するというような、つまり、補助金なしで学会誌が発行できるということを目標した変更に間違いないと思うのです。今回の御提案は、大変すばらしい目標で結構なのですけれども。でも、審査では、実際にそれができるかどうかということを評価するということになるのでしょうか。すると、補助金をもらわなくても雑誌が発行できるようになるというビジョンを提示しているかどうかが、判断基準になるというようなことになるのでしょうね。筋道をたどると、そのようにならざるを得ないのではないかと思うのですけれども、なかなかそう簡単かどうか分からない。根源的な点について、少し最初に議論しないと、御提案のままで細かい評定基準まで落とし込むとするのは、難しいのではないかと思うのです。

 元々、科学研究費というのは研究を補助するもので、出版事業改善もその通り。研究を30年間同じテーマで続けるという人がいないように。

【土屋委員】  いえ、いらっしゃるかと思います。

【中村委員】  そうですか。でも、内容は少しずつ変わるでしょう。雑誌の発行事業というのは、それほど内容が変わるものではありませんから、一旦世界レベルに達したら、もうそれはおしまい。そもそも科研費になじむかという昔からの問題もありますので、その辺りを最初に少し議論する必要があると思いますけれども。

【有川主査】  確かに、その科研費になじむかどうかという問題はあると思います。先ほど、参考資料1の冒頭のところで少し言及させていただきましたような経緯がありますし、それからこれ以外に、科研費もそういう意味では整理の都合上だろうと思いますが、完全なピアレビューで通し切れないようなものも包含している面があります。ですから、必ずしも助成の考え方の冒頭にありましたようなピアレビューということで、全て行われているわけではないという面もあるだろうと思います。

 ただ、科研費に含まれるようになって、これで結構長い間運用してきたという一つの事実はあります。今、中村先生からございましたように、これを学会運営の基本的な財源の一部としているような学会も幾つかある。そうした中で、今回のような改善をいきなり行って、戸惑いもあるのではないかと。だからと言って、今の形での助成をずっと続けていくということに関しては、いわゆる後発だけれども、ものすごく大きく進展・発展しているような学会からしますと、やはり不公平感は否めないと思います。それから、学問分野はこれからもどんどん進化していくと、発展、細分化が進み、あるいは統合も進んでいくと思います。そういう意味では、今後のことも考えておかなければいけないのだろうと思います。

 それから、一方では、今の御指摘のように、スタートアップの観点では、既存のものについては、あるところで全部終わるのではないかと。それで終わって、すべて自前で取り組めるようになれば、この事業は大成功ということになりますが、今言いましたように、次々に新しい分野はやはり出てくるだろうと思います。それからまた、予想しなかった新たな問題も出てくるのだろうと思います。前回どこかでも議論されていたと思いますが、今はやはりどうしても紙媒体を電子化することをイメージしがちですが、紙に絶対なり得ない新しいメディアが地位を獲得して、それが一般的になるということも考えられるわけです。そのようなことで、一回取組をやっていたけれども、更に進化していくこともあるということを、考えなければいけないと思います。

 鈴木室長、何かございますか。

【鈴木学術基盤整備室長】  若干補足をさせていただきたいと思います。

 オープンアクセスのスタートアップについては、スタートアップですから、一回の助成ということを事務局の方でも念頭に置いています。

 ただし、一般的な欧文誌の方の助成、これにつきましては、先ほども御説明させていただきましたように、国際情報発信力強化の取組を評価の対象といたしますが、強化の取組、それから、審査の際の一つの目標が完成したら、次の目標を立てていただければ、複数回応募は可能になる。

 科研費の基盤研究においても、結果的に30年間助成を受け続ける研究者もいらっしゃれば、一回の助成で終了される研究者もいらっしゃるという、イメージとしてはそういったこととほぼ同じでございます。あくまで科学研究費補助金の制度でございますので、経常費補助ではありません。現在は、経常費補助を行うというようなイメージがありますけれども、そういった形ではなく、競争性が生まれるという形です。結果的に半数以上の計画が再度採択されるというようなことは、その取組がよければ十分あり得るという前提で、たたき台は作らせていただいております。もちろん、結果として卒業する学会が出てくるのを妨げるものではございませんが。

【有川主査】  ありがとうございました。

 では倉田先生、どうぞ。

【倉田委員】  中村先生の御意見等は当然のことだろうとは思うのですが、今の鈴木室長の御見解も受けて、私としては、もうあえてやってみても面白いのではないかと思っております。

 ですから、少しなじまないというのは、私はやはりなじまないとは思うのです。やはり普通の研究の科研費のピアレビューということと、雑誌を刊行していく際の審査や評価というのは、研究そのものの中身を評価するわけではないので、その部分に関しては、最初からピアレビューということを余り前面に出されると、やはり違和感は否めないので、そこは何か工夫をした方がいいのではないかとは思いますが、多少の競争性を導入するという基本的な考え方は、かなりドラスティックな改革になるのかも知れませんが、私の意見としては、行ってみることは、一つの選択肢としていいのではないか、というようには思っております。

 ただ、それだけに、対象や条件ということについては、様々な試みを逆に誘発というか、出てくるように、今のようなかなりがちがちに固まっているようなものではなくて、緩やかな、できるだけ条件のない、少し考えれば別の形でもトライできるというような、そういうところをもう少し改善案では出していただいた方がいいのでは、と思います。そこに入ってしまっては、まだいけないのかも知れませんけれども。

 例えば、言葉じりを捉えるようですが、定期的に発行するジャーナルというように限ると、その言い方自体で、紙でということがもう前提になっているような言い方で、そうすると、オープンアクセスで一論文ずつ刊行しているのは、もうこの時点で、自分たちはどのようなものであっても、クエスチョンマークが付いてしまうと捉えられてしまうかもしれないわけで、そういう意味で、できるだけ条件を緩和したような形、「これではよく分からない」と思われるのはまずいとは思うのですけれども、そのような形で検討していけば、少し違ったものも出てくるのかとは思いました。

【有川主査】  ありがとうございました。

 その定期的にというのは、確かに紙媒体を意識していますね。実際には、そうであったにしても、ネット上に置くのであれば、できた分からどんどん出していってもかまわない。整理するときに、ここまでを一つのボリュームとするような整理の仕方もあると思います。ですから、定期的にというところの表現を、少し実態に合うように変えた方がいいのでしょう。

 土屋先生、どうぞ。

【土屋委員】  中身についてもコメントはあるのですが、その前に。一応、最終的にまとめる姿を示していただいているので、やはり制度改善の提案をする形の文章になるということですよね。そうしますと、何かを改善するという提案であるとすると、現在の制度の問題点や分析ということが一言も触れられないで、こう改善したいというのは、かなり無理のある議論の仕方だと思います。やはり、現在の研究成果公開促進費学術定期刊行物の問題点ですとか、その辺りはきちんと記述しておいた方がよろしいのではないかという気がします。

 と思いまして、参考1のグラフを見ますと、例えば、平成23年度の採択率が約80%なわけですね。採択率が80%の競争的資金などというのは、競争的なのかということなので、これはどのように書いたらいいのか、非常に困るのではありますけれども。競争性がなく、しかも金額が減少しているというのは、実際に応募件数が減っているのだからいいではないかという議論に対して、どのように答えるのか。基本的にやはりここは改善を行い、気合を入れてやり直すのだということを示さなければいけないのではないかなと思います。

 特に、先ほどの採択率に戻りますと、平成23年度などは、社会科学系は応募が25件で23件が採択されるということですから、これは言ってみれば既得権化されているのではないかとかという批判が、数字だけ見れば出てくるのも無理はありません。こういうことではいけないから、本来の趣旨に戻って、現状を踏まえてこのように改善するとか、何かそういった論理が必要ではないかと思います。現在、科学研究費補助金という競争的資金の趣旨からいって、何か変になっている事実は認めざるを得ないと思いますので、それを指摘した上でないと、議論はできないのではないでしょうか。そこを少し整理しておいていただきたいし、できれば、日本学術振興会として、どのようにその辺りは分析されているのか、もしお在りであれば伺っておきたいなと思うのですが。

【有川主査】  はい。

【中村委員】  もう一つよろしいですか。それと直接関係しているのですが、先ほど申し上げるのを忘れました。

 事業を改善するのであれば、目標は設定されなければいけません。現状認識と目標。目標も設定していただく。我々が設定するのでしょうかね。はっきりした目標、改善の目的ですね。

【有川主査】  はい、我々が設定するわけです。

 土屋先生は、非常に大事なことを指摘していただいたと思っています。既得権化というか、固定化されているのかもしれないと思うのですが、実際には、例えば新規の採択がどのくらいあるのか、ずっと同じような採択が続いているのかも知れません。

 例えば、安達先生でしたら、情報分野で比較的新しい学会等のことを御存じだと思います。恐らく、新しくできたところは新規参入は少し無理だと思って、一回くらいは申請したかも知れませんが、余りトライしていないのかも知れません。いかがでしょうか。何かデータをお持ちですか。

【鈴木学術基盤整備室長】  今、持ち合わせておりません。申し訳ありません。

【有川主査】  要するに、固定化されてしまっているということをどう考えていくのか。それでいて、科研費ではピアレビューを行っています、と言うわけにもいかない。80%、79.何%という採択率が「競争的」ということにもならないだろうということにもつながっていくと思います。

 松浦先生、どうぞ。

【松浦委員】  この発信力強化の話には、二つの面があります。発信力を強化するという面と、いいものを発信する活動をずっと継続させるという面です。科研費の刊行補助によっていい雑誌がかなり継続的に刊行されているというのは、継続性の面では意味を持っているということです。それを簡単に放棄するのはいかがなものかという印象を持ちます。発信力強化ということと、優れた定期刊行物の継続刊行の二つは、区別して取り扱うべきでしょう。

 今回の検討が、継続の話は棚上げにして、発信力強化の話にするというようにも読めるところが少し気になりました。

【有川主査】  ありがとうございました。

 継続で行いますと、採択の枠がどんどん増えていかなければ、新しい刊行物が入ってこられないということになります。先ほどオープンアクセスのところの表現にあったかと思いますが、スタートアップ的なものを支援して、そして、なるべく早く自立してもらう。そういった助成の在り方の方が、恐らく、説得力はこの時代にはあるだろうと思います。

【松浦委員】  雑誌を出す側からすれば、スタートアップのときに補助を受けるのは非常にありがたい。しかし、それをどうやって継続させるかという仕組みについて、初めからアイデアを持っていなければ、事業は立ち行かなくなります。そういう目で見ると、継続されないような発信力強化というものには、疑問が残ります。

 雑誌を電子化したところで、システム維持のために固定経費は必要です。その固定経費を含めた上で、どのように維持するのかについて、可能なビジネスモデルを申請側が持っているという点を確認しておかないと、立ち上げは支援するが、あとは自分で何とかしなさいというのでは、大局的な検討にはならないと思います。

【有川主査】  喜連川先生、どうぞ。

【喜連川科学官】  以前にも少し発言いたしましたが、学協会の定期刊行物というスタンスに関してですが、学協会側からしますと、定期刊行物としての論文集を出すということは、学会のいろいろな活動のほんの一部でしかありません。ですから、定期刊行物だけを出すという目的の中で、そこでエコモデルを考えるのであれば、今、松浦先生がおっしゃったような議論が成り立ちますが、アメリカの学会でもそうですけれども、どこを収益源にして、どこを強化するかという事情は、非常にダイナミックに変化しています。そうしますと、そのビジネスモデルというものは、実は定期刊行物のビジネスモデルではなくて、学会全体のビジネスモデルに実は連動しているところになりますので、話は実は相当複雑さが高いということも念頭に置きながら、議論を行った方がいいのではないかと考えます。

 例えば、IEEEは数十万の非常に多くの会員から構成されていますが、原則投稿費は無料です。購読料は電子化され、とても廉価です。ですから、全く別のところから収入源は得ています。それが中国やインドを引き付けるための、大変大きなドライバーになっています。ここでポイントは、学会の運営という視点です。

【有川主査】  はい。

 田村先生、どうぞ。

【田村委員】  改善の目標は、簡単に言えば、国際情報発信力の強化ということになるのだと思うのですけれども、今の喜連川先生のお話のとおりで、結局、目標は何なのかというのが、実は結構あいまいで難しいのではないかというように思っております。

 電子化はもう前提で、それから、欧文誌刊行は前提なわけですよね。その上で、更に何を行うことが国際情報発信力の強化になるのかというと、今までこの議論の中で出てきた話というのは、科研費などに非常にのりにくい話のような気がしております。これまでの成功例を見ますと、例えば、海外出版社との踏み込んだ連携、あるいは、対アジア戦略を持つことであるとか、また、優れた編集者をもっと大勢育てなければいけない、ということなのですよね。そうしますと、そういったことが科研費にどのようになじむのか、イメージが持てないために、改善の目標をどこに設定するのかが難しいなと思っています。

【有川主査】  学会の本質的なところまで入っていくと、これは大変なことになります。ここでは定期刊行物、とは言ってはいけないのですが、そういったところに限って議論しているということですね。それを広げてしまうと、もはや我々の手に負えなくなります。我々は学術情報基盤作業部会として議論しているわけですので、そこから、おのずから定まる範囲というのはあるだろうと思います。今、お二方から御指摘いただいたこと、あるいは、松浦先生の御意見も含めて、学会をどう強化して運営していき、そして、国際競争力をつけていくかというようなことも、当然大事なことです。しかし、そのうちの刊行物に関して、どのような助成の在り方がいいかという議論に、取りあえず止めざるを得ないだろうと思います。

【土屋委員】  議論の枠と言うか、土俵と言いますか、それをきちんと画しておかなければいけないということに関しては、全くそのとおりだと思います。

 ただ、我々の夏前の議論で、「整理」のところに書いてありますけれども、日本の研究者の国際発信力そのものはかなり向上したことは事実であって、20年前などと比べたときには、それはもう量的にもはっきり示されていますので、今、日本人の研究者が国際的に発信するために日本の学会が国際雑誌を出すという話は、あり得ないというように考えられています。既に国際化している日本の雑誌であろうが、評価のあるどこの雑誌にも出せばいいですので。

 ですから、やはり問題になっているのは、そうしたコミュニケーションの基盤というものを日本が担っていくという、そこの部分をやはり強調していかなければならないのではないでしょうか。要するに、しかるべき分野で、しかるべき雑誌が、日本でも特徴を持って刊行されている。雑誌という言い方がいいのか分かりませんが。ということは一応確認済みということで、その多様性の確保など、そういった議論は行ったと思いますので、そこまでは形式的には認めているという前提でスタートしていいのではないかなと思います。

 つまり、後で議論を行うと思うのですが、既存の学会という形にこだわる必要はないと思いますが、日本を基盤にした、そうした情報流通への貢献ということは行うべきだということについては、一応確認済みということでよろしいでしょう。その上で、何を具体的に検討していくか、という話になるのではないかなという感じがいたします。

 それと、今までの議論を伺っていて、いっそのことと思ったのですが、「学術定期刊行物」などという言い方は、もう一切やめてしまって、いっそのことと言いますのは、インターネットを利用した学術情報コミュニケーションの改善のような、そのような話にしてしまうという、大きく考えるということもあるかなという気がして参りました。

【有川主査】  その辺りは、オープンアクセスのところに少しは反映されているのですが、方向としては、もうそういうところに持っていくことになるだろうと思います。

 それで、国際発信力強化ということからしますと、この間から報告もしていただいておりますが、SPARC JapanやJ-STAGEなど、いろいろ新しい日本発のものを考えたりはしています。では、それが「ネイチャー」や「サイエンス」に近づくかというと、やはりそれは近づきはしないわけです。ですから、既存のそうしたやり方ではなくて、非常に新しいやり方を考え、それは一つはオープンアクセスでもいいと思います。要するに、オープンアクセスのいい点は、誰でも関心のある人はアクセスできる、読むことができるということで、そういうことを通じて国際的な情報発信力が強化されていく。そこを狙っていくのだという戦略は、一つはあるのだろうと思います。そういうことからしますと、ネット上にあげるとか、あるいはオープンアクセスなどをもう少し意識しながら考えていくということもあるのではないかと思います。

 どうぞ。

【中村委員】  最初に、先ほど申し上げました目標の設定の件なのですが、そのコンセンサスについて、各分野において世界の学術の流れを決定するような有力な雑誌を育てる、というようなことを目標にすると、今までのいろいろな議論は自然と解消するのではないかなと思います。

 日本学術会議が学会の認定をやめてからもう久しいですが、あれ以来、学会と称するものがもう次々にできているわけです。ビジネスモデルなどということを考えずに、学会が次々できているわけです。この場で学会誌、という話にすると、結局、学会の話になってしまいます。でも、学会から離れて、雑誌そのもの、ジャーナルそのものを強化するというように考えれば、目標はかなりはっきりするのではないかと思うのです。

 科研費の制度では、そもそも学会が申し込む制度になっているから、自動的に学会の話になってしまっているのですが、そもそも補助の趣旨は、学会の補助ではなくて、雑誌の補助なわけです。そこをはっきりさせれば、もっと分かりやすくなるかと思うのですが。

【有川主査】  学会ではなくて、雑誌の補助だという考え方を一つ出していただきましたが、いかがでしょうか。今日はいろいろな議論をしていただいた方がいいと思います。

 どうぞ。

【三宅主査代理】  せっかく話がまとまりかけたころに、またという感じはするのですが。

 最近は一つの論文の中で課題、方法、結果だけを発表するよりも、むしろ、どのようなデータが出てきて、そこから何が言えるか、自分でも調べてみたいからそのデータそのものをもらえた方が嬉しいと考えるような研究者集団が、多くなってきているように感じます。そういったものを共有していくことで、いろいろな見方や、「この見方をしてこういう結論付けました」という道筋を評価したい、などです。そうしますと、学会誌というのは何なのだろうかと。日本の強みを生かして、例えば日本語のデータだけれども国際的にも使っていいですよといった内容を提供するとか、そういったことが世界の中でも求められているし、学協会という、好きな人が集まって何かやろうというグループの中でもそうしたものが求められているということがあると思います。それは非常に研究的な試みでもあって、このようなことができます、ということをどこかが勇断でやってみたいという場合、年間300万円ではどうにもならないかも知れませんけれども、そういった支援をここでは行わなくても良いのだろうか、という気がしています。

【有川主査】  それについては、例えば、参考資料1の1に、研究成果公開促進費は現在、四種目あるということが書いてあるのですが、その中の「データベース」などは、三宅先生がおっしゃったことに非常に近いと思います。そう言ったいわゆるデータ、各種データはいろいろな形のものがあるわけです。特に実験系などでは、各種の観測装置から大変な量のデータが出ていて、それは、そのサイトへ行きますと見ることができて、大抵、そういう意味では共有できるようになっているのではないかと思うのです。

 それから、その他のいわゆる調査データのようなものもあると思いますが、その辺りにつきましては、それぞれのところで工夫ができるだろうと思うのです。

 一方では、国立国会図書館で最近言っていらっしゃるのは、これは倉田先生が後でおっしゃってくださるかも知れませんが、何と言いましたか、知識ベースでしたでしょうか。

【三宅主査代理】  知の基盤。

【有川主査】  知識基盤でしたでしょうか。

【中村委員】  知識インフラですね。

【有川主査】  知識インフラという言葉遣いがありまして、それはかなりそういったものも広く包含しております。後で入れていただいてもいいと思います。

 岩本課長、どうぞ。

【岩本情報課長】  今の点ですけれども、事柄としては大変大きなテーマだと思っておりますが、本日御議論いただいていることとは、また別に考えなければなりません。

 現状において、WDSという、これまでのワールド・データ・センターの取組を母体とした取組が、日本学術会議でも議論がされています。特に観測データを中心に、自然一般や人文・社会も含めて将来考えたいという話があります。いずれ本作業部会のような場でも議論は必要かとは思っていますけれども、まだ十分そこに至っていないというような状況でございます。

【有川主査】  そういうことで、一応研究成果を形にしたものを、定期刊行物として少し使いにくいということがあったのですが、意識しながら議論するということになると思います。

 羽入先生、いかがですか。

【羽入委員】  三宅先生がおっしゃっていたことは、気持ちとしては非常に分かりまして。やはり学術コミュニティというものが、非常に流動化しているということは明らかだと思います。そのコミュニティの出す刊行物といったものを支援する、その方法をここで議論することと同時に、もう一つは、私たちの問題意識は別にもあって、恒常的に支援すべき学術基盤があるだろうというようなことを、同時に示しておく必要があるのではないかと思いました。

 中村先生が最初におっしゃった、初期投資といいますか、そういった最初のきっかけを与えるための予算というものがあるのと同時に、やはりそれだけでは日本の学術基盤が非常に不安定なものになりかねないので、より恒常的な基盤が必要だということを、この問題とは別に記していく必要があるという気がいたします。

【有川主査】  倉田先生、どうぞ。

【倉田委員】  今の三宅先生や羽入先生の御意見は、もう本当にそのとおりだと私も思います。確かに何にでも広げすぎると、先ほど岩本課長がおっしゃったように、全く違う議論の話にまで広がったのでは、それはここでは無理だということだと思うのですが。例えば、やはり原著論文の雑誌というような大きな何となくのイメージがあったとしても、今、ほとんどの、ほとんどのというのはちょっと言いすぎですね。多くの主要な一般の科学技術系の雑誌では、いわゆるサプリメンタル・インフォメーションという形でデータをつけるというのは、分野によってですけれども、もはやかなり一般化しております。その辺りのものは、当然、この中で新しい国際的な発信力の強化として、サプリメンタル・インフォメーションを積極的に受け付け、それを定期的にきちんとインターネットで公開するような取組を行うというのは、私は当然この範囲に入ってくる話だと思うのですね。ただ、それを全部のデータの単なる共有アーカイブという話まで広げるのはちょっと無理ですけれども、原著論文というところを中心に、そこに関しての取組であれば、広く補助していくという形にさえなっていれば、あとはそれぞれの学会や分野でお考えいただいて、いろいろな取組をしていただくことは可能なのではないかと思うのですね。

 ですから、継続的に発信を続けるということは、私も大変重要なことだと思うのですが、今のこの補助の枠組みのままというのは、むしろそれを妨げると思うのですね。余りにも条件ががちがちというか、古くさいといいますか、この状態ではオープンアクセスは補助の対象に絶対ならないように、あえてなっているとしか思えないくらい、そうなっているわけですね。

【土屋委員】  聞いたとき、オープンアクセスはなかった。

【倉田委員】  はい、それはそうです。ですので、やはりそういう意味で、今あえて少し変えてしまって。ただ、紙でずっと継続的に続けるということがその分野において重要なら、確かにそうなのですけれども、電子化は前提だというように田村先生もおっしゃいましたが、残念ながら前提になっていないのが日本の現状なのではないかということがやはり大きな課題で、そこをせめて何とかならないのかというのも、このような改革の、一つの目標ではないのですけれども、一つの効果として期待している部分としては、そういう点も、残念ながら考えに入れざるを得ないのではないかとは思っております。

【有川主査】  少しまとめていただいたような格好になっておりますが。

【土屋委員】  ただ、キーワードとしてオープンアクセスという言葉が出てきてはいるのですけれども、現在までの議論の整理のまとめ等を見てみると、まだきちんとした議論は必要かなという点が一つあります。

 つまり、今まで幾つかの学会から頂いたヒアリングの結果というのは、要するに、オープンアクセスはうまくいったというものは一つもないわけで、そうではない、いろいろな努力をすることによって、サブスクリプションのモデルでいい雑誌を作ってきたということが示された、というように議論の整理には今のところ書いてあります。それを根拠にして、オープンアクセスの推進という話にはならないだろうと。

 それから、オープンアクセス推進の一つの主体であるSPARC Japanの事業にしても、オープンアクセスの推進は行ってこなくて、むしろ学会のサブスクリプションモデルの推進ということに結果としてなっているということがあって、現在のところ、成功例というのは、ほとんどオープンアクセスではないわけです。ですから、何とかしてオープンアクセスにすることによって、国際発信力が高まるだろうというのは、オープンにすればみんなが見るだろうという、そこはかとない期待に基づいている以外のものではないと言わざるを得ないと思います。そこはこれから議論して、いい検討をまとめるか、諦めるかのどちらかだと思います。

【有川主査】  どうぞ、庄垣内先生。

【庄垣内名誉教授】  瑣末なことですが、一つお教えいただきたいのですが。

 よく皆さん悩むところが、欧文ということですね。欧文というのは、どう定義しておられるのかと。英語と直すことはいかがか。まさかEuropean languagesではないと思いますけれども、どのように定義しておられるのか。これは非常に重要なことだと思うのですが。少しお教えいただきたいと思います。

【有川主査】  私も気になっていたところです。欧文というのは昔からそうなっているのですが、特にドイツ語でもフランス語でもいいということなのでしょうか。

【庄垣内名誉教授】  それは、いっそのこと、英語であれば英語というようにはっきりした方が、むしろいいと思うのですね。私は個人的には英文とすればいいと思うのですけれども。欧文としているから悩むところがあるでしょうし。例えば人文系では、仏文学会や独文学会は彼らの言語で書いて、欧文だと言います。そういうものとは少し違うと思うのですね。ですから、その辺りははっきりされた方がいいと思います。

【有川主査】  英文のことを皆さん意識はされていると思いますが、やはり欧文と書いてあると、他の言語も当然入るだろうと思ってしまいますね。

 これはどうですか、英文としてしまったら相当問題ですか。

【鈴木学術基盤整備室長】  申し訳ありません。ほとんど問題はないとは思うのですが、フランス語学会ですとかドイツ語学会が、論文をどの言語で書かれているのか、今、手元にその雑誌がないものですから確認できないのですが。

【土屋委員】  確かドイツ語の雑誌などは、今、科研費を受けているのではないですか。ドイツ語がほとんどだと思いますが。

【鈴木学術基盤整備室長】  そのようなところが、対象外になるという。

【土屋委員】  それは、対象外になってもいいと思うのです。

【鈴木学術基盤整備室長】  ということです。

【庄垣内名誉教授】  中国語はどうなるのでしょうかね。中国語で書かれたものについては、どのように考えておられるのか。和文というように考えるのか。

【鈴木学術基盤整備室長】  今のところ、欧文ではありませんので、中国語、韓国語等は欧文にはカウントしていなかったと思います。

【庄垣内名誉教授】  では、和文の方ですね。

【鈴木学術基盤整備室長】  ですから、欧文以外ということです。

【庄垣内名誉教授】  ですから、そうでしたら、欧文とそれ以外というようにされた方がいいかも分かりません。

【有川主査】  欧文という見方自体が、かなり古い見方だと思います。今御指摘のように、中国語といえば、言語のユーザ数ではやはり一番多いわけです。実際に、論文の生産も大変急激に増えてきております。ところが、彼らはほとんど英語で書いているのだと思いますけれども。

 どうぞ。

【松浦委員】  二点意見を申し上げます。

国際的に使用される言語の話は、結局のところ、力のある国の影響力の問題です。現在は、英語です。しかし、エリートのコミュニケーションを越えて影響を与えたいとき、例えば中国語圏に影響を与えたいときには、中国語で書くことで多数のオーディエンスにアクセスできます。人文・社会系の研究には、社会のかなりの人に読ませた方がいいものも多いわけです。その観点からは、英語を中心にしながら、場合によっては例外的措置を認めるというようなやり方を考えたらどうか、ということが一点です。

 もう一点は、元の議論に戻るのですが、中村委員のお話を伺うと、結局、ある種のパブリケーションのベンチャーの事業を支援するという話になります。その場合の目的は、有力な日本発のパブリケーションの仕組みを作ることです。

それならば、雑誌の継続的刊行支援の話は放棄して、その資金を別目的に使用するための検討になります。検討の中心は、優れたベンチャービジネスモデルを提案した組織を支援することであり、評価には、プロジェクトが立ち上がったら、あと何年間はきちんと取り組めるという、継続性までの評価を含めないといけないことになります。しかし、ベンチャービジネスの評価、特に成功するかどうかの判断は容易でありませんから、議論をもう少し詰めなければならないと思います。

【中村委員】  もう一歩踏み込みますと、やはり二つに分けざるを得ないのではないかと思うのですけれども。御提案のものは、きっちりビジネスとして成り立つものを立ち上げなさい、と書いてあります。ですから、継続性のことも考えるのであれば、やはり継続性のことはまた別途に支援しないといけない。そうしませんと、日本学術振興会で評定基準を作るときに、本当に困りますよ。継続的支援と新しい事業立ち上げは、評価基準が全く違いますから。まさにデータベースもそうです。データベースも当初の立ち上げと継続は全く違います。ジャーナルについても、やはり定期的な補助と新しいものの開拓に分離するなど、そうしませんと、最終的にはいいものが選ばれないということになります。混然とした評定基準では、いいものは出てきませんからね。主たる大きな方針は、こちらで決めないといけない。日本学術振興会では決められないわけです。

【小山内日本学術振興会研究事業部長】  ただ今の中村先生のお話と、一番最初の土屋先生の御質問と合わせて、申し上げたいのは、今、現状では集計しておりませんので、次回、どのくらい退出があって、どのくらいの新規参入があるのかというデータは、お出ししたいと思います。

 ただ、基本的に、今、助成を受けている七十何団体、全ての欧文誌がずっと指定席化してきたという認識ではない、ということなのですね。それに、今の中村先生の御認識に関連しますが、新たにオープンアクセス誌を立ち上げるということに対する補助となりますと、恐らくは今ある欧文誌に対して、一つの学会がセカンドレーベルを作る。もしも和文誌がその学会にとってフラッグシップであれば、セカンドレーベル、サードレーベルを新たに作るわけです。そうなりますと、今まである欧文誌に対して、どのように対応していくかという問題がやはり出て参ります。造り酒屋に例えることをお許しいただければ、吟醸酒と、純米酒を作っているところに、更に普通の醸造酒、あるいはどぶろくも作りましょうと。ただ、どぶろくばかりに目線がいってしまうと、今まで作っていた純米酒をどうするのかというような問題があると思いますので、そこのところを、予算との兼ね合いもあるのですが、今、既に助成を受けながら刊行している欧文誌に加えて、更にオープンアクセス誌も作っていきましょうという働きかけをしていくのであれば、そのような判断が学会の中でできるようなシステムにしていかないと、各学会にとっては、少しおっかないかなという感じはします。

【土屋委員】  よろしいですか。

 では、次回お話しいただけるのであれば、単に新規参入率だけではなくて、やはり先ほどお願いしましたように、現状の80%の採択率、また3億円少しの総額に減ってきたということに関しての、実際に審査事業を行っているお立場での分析をしていただけますと、議論を進めていく上で重要だという気がいたします。参入率以外にも気付く点、つまり、分野によって、もしかしたら採択率が高い理由が違うかもしれないわけですね。ですから、その辺りのところまで踏み込んだ、かつ、簡潔な御報告をいただけると大変助かると思うのですが。

【小山内日本学術振興会研究事業部長】  はい、分かりました。

【中村委員】  一つお聞きしたいのですが。日本学術振興会に調べていただきたいのは、請求金額の評価というのでしょうか。つまり、組版料や刷版料などいろいろありますが、昔は何の評価もしなかったのですが、最近は競争入札により値段を決めるということになりましたよね。昔は言い値で支払っていたのですね。具体的な、入札にしたことによって、どれくらい単価が下がったかですとか、大変現実的な話なのですが、これを教えていただきたい。つまり、私の印象ですと、資金の総額はだんだん下がってきているのだけれども、必ずしもそれによって、行われた事業の質が下がったわけではないのではないかなと思っています。そういったもっと具体的な、審査以前の事務的な、お金の使い道に関することも少し教えていただいたら助かるのですが。

【小山内日本学術振興会研究事業部長】  一言申し上げます。

 今のお話ですと、参考1の5ページですが、平成18年度から平成19年度にかけて応募採択件数ががたんと下がっているのですけれども、このときに入札の義務付けがございました。それ以前の資料は、保管年限ぎりぎりですので、少し探して、比較できるものであれば比較してみたいと思います。

【中村委員】  はい。

【有川主査】  他にありますか。

 どうぞ、瀧川先生。

【瀧川教授】  オープンアクセスの話が少し出ておりましたので、申しますと、確かに日本ではオープンアクセスで非常に成功したという雑誌は余りないのですが、外国では幾つか例はありまして、いろいろな分野で、例えば、オープンアクセスで創刊した途端に、何年かの間に非常にインパクトファクターが上がったという例は幾つかありますから、そういった意味で、実例はあるわけですね。ただ、財政的に非常に難しいので、日本でなかなかまだうまくいかないということがあります。ですから、そういう事情であるからこそ、科研費による支援が必要かということもあります。

 それから、もう一つ、オープンアクセスの必要性ということですが、確かに、誰でも見られるからよく読まれるという面はあるのですが、もう一つは、やはり購読誌だけですと、どうしても雑誌の値段が上がり、図書館、機関を圧迫するということは大事な側面だと思います。今、高エネルギー分野で取り組まれておりますSCOAP3というような活動にしましても、やはり購読費が図書館費を圧迫するということを避けるために、そちらをオープン誌の費用にリダイレクトするという、そうした概念があるわけです。そういったことを進めるのには、やはり時間が掛かります。科研費は、ある程度長期的な視野に立ったものを支援するという意味もあると思いますので、それは十分意義があると思います。その点も御考慮いただければと思います。

【有川主査】  幾つかのそういった例は当然あると思いますが、このオープンアクセスについては、いろいろな角度からもう少し議論をする必要があると思います。一方で、成功例がないのではないかということではなくて、一つの方向が見えるのであれば、そこをあえて飛び込んで切り開くべきだと思います。

 例えば、日本が行ってきた非常にいいやり方として、今の共同利用・共同研究、全国共同利用などというような考え方は、日本が導入したものだと思いますが、これは非常にいいやり方だと思います。そういったようなことで、オープンアクセスについては最初ということではないのですが、例えば学術情報の発信、流通、日本から見たときの国際発信力が劇的に強化されるというようなことがあれば、いろいろなことが変わっていく。

 今、瀧川先生がおっしゃいましたように、大きな問題があります。電子ジャーナルをどう維持していくかというような問題などもありますが、そういった問題に対して、若干なりとも一つの方向性を示すことにもなろうかと思うのですが。そういうことも含めて、少し議論してみてもいいのではないかと思います。

【土屋委員】  今、オープンアクセスを取り込む必要はないと申し上げているわけではなく、我々の今までのヒアリングの結果というのは、それ以外の様々な努力も示しているので、そこを評価する側面はもう少し出さないといけないのではないか、ということです。

 J-STAGEでオープンアクセスで刊行していて、インパクトファクターが上がったので、出版社と提携するようになって出すようになった雑誌というのは、頑張ったわけですよね。ですから、オープンアクセスでスタートアップして、質を上げ、サブスクリプションのモデルに移れるというのは、それは自立モデルとしては非常に自然で、図書館経費の問題から考えると別なのですが、学会の自立化モデルとしては非常によいモデルです。これは、否定し難い部分はあるわけですね。実際にそこにいい論文が集まって、活発な学術活動が行われているのであれば、それは振興すべきもので、しかも、そのプラットフォームを提供している雑誌を出しているというのは、立派な努力だと思うのです。その辺りの複雑と言いますか、微妙な側面をきちんと全体として取り込めるように、曖昧にしておく方がいいかなということで、オープンアクセスというキーワードが出過ぎてしまうのも、少し不安だなという感じはします。

 それから、もう一つ、瀧川先生の今の御指摘で、図書館経費という問題はあるのですが、SCOAP3などの場合には、図書館経費のリダイレクションという形をとっているということなので、図書館がオープンアクセス代を支払うという仕組みにはなっています。実は物理学関係の雑誌の刊行のためには、もっとお金が要るんだというように物理学コミュニティが主張したら、そのお金を回さなければいけなくなってしまうので、その場合には、やはり今と同じように、図書館に対する負担が生じます。実際には、日本の図書館の場合には、購読費を大学の研究費から得てくるので、ぐるぐる回ることになってしまうのですけれども。単純に、オープンアクセスになると図書館が助かるだろうというのは、極めて表面上のことで、よく考えてみると、やはり何らかの形で大学、学術コミュニティ全体で負担しなければいけないという側面は変わらないということは、少し指摘させていただきたいと思います。

【有川主査】  これは、今、成果刊行物ということで議論しているわけですけれども、一方では、例えば、普通の基盤研究などの科研費を受けて研究成果を出して、そして、その成果を出すときにお金が要るので、昔の言い方ですと、別刷代や投稿料などは科研費の中で計上することはできると思います。そうすることによって、科研費というのは税金がベースになっているわけですので、納税者に対してきちんとそれを返していくということを、もう極めて分かりやすく行うことになるわけです。別刷代だと、著者やその周りのごく限られた人たち、投稿料という格好だと、印刷物ですと学会の会員に限られるわけです。しかし、それがオープンアクセスになっていれば、納税者の皆さんが見られますよということが言えるという面はあると思います。ですから、その辺りは全体の枠を広げたり、冒頭で少し申し上げたつもりですが、もう少し必要だということでお金を確保する上では、説得力はあるだろうと思います。そういった側面も考えておく必要があると思います。

 他に何かございませんか。

【土屋委員】  もう一点だけよろしいですか。

 これは今回の議論の流れとは外れているので、単にコメントとして申し上げておきたいのですが、国際発信力ということをキーワードとして今回使っているわけですが、学術情報の流通において、日本語の情報流通は結構膨大で、特に医療系など、そういった分野は非常に大きいのですけれども、これは実は、電子化が非常に遅れているという分野です。御本人たちは紙を好むという説もあり、しかも、それは国際的なことだということでもありますが、学術インフラというものを強化するという観点からは、日本語の流通の電子化ということに対する配慮も、どこか別のところで結構ですので、行われるべきだということだけ申し上げておきたいと思います。

【有川主査】  オープンアクセスということで、欧文だけではなくて、日本語も入れておくべき、ということのお話でしょうか。

【土屋委員】  はい。

【有川主査】  分かりました。

 何かございますでしょうか。

 どうぞ、林先生。

【林日本化学会課長】  その国際発信力強化の議論の中で出てきましたのは、まず第一にはクオリティであることは論をまたない、第二は、スケールメリットでプレゼンスを示すということが重要ということだったかと思います。そのとき、今回の案の中で、内外の連携を促すような動きに対する基本方針というのは、特に今は書かれておりませんが、それは考慮された方がよろしいのではないかと思いました。

 その連携も実は二種類あって、発行元が、あえて学会と言わず、発行元と言わせていただきますが、学会がたくさんある連合で、まとめて出す、活動するというスケールメリットの話がまずありますが、今日の議論ではたと気付いたのですが、特に既存の雑誌を持っている学会がオープンアクセス誌を出そうと考えたときに、学会内での事業バランスの問題を考えたら、発行元内での連携、連合と言いますか、一学協会内パッケージのような企画という、そういった面に対する支援も考慮しないと、競争的資金として多数の応募を集めようと考えたときに、学協会が二の足を踏んでしまって、既存の学術誌を守るために新しいことができないというようなことになりかねない点がある、と少し気付きましたので、コメントさせていただきます。

【有川主査】  ありがとうございました。

 何かございますか。よろしいですか。

【鈴木学術基盤整備室長】  私が御質問差し上げるのも何なのですが、既存の雑誌を守るためにオープンアクセスができないという部分に関して、重複して申請できる、重複して採択できるということをたたき台として考えていたのですが、それだけでは不十分だということなのでしょうか。

【林日本化学会課長】  もちろん、その設計で学会内連携にも事実上対応できると思います。その上で、少し自分の中で考えを先走りすぎた感がありますが、新しいことをやろうと思ったときに、独立した学術誌の活動の積み重ねではなくて、それこそ学協会の将来性も考える、申請は雑誌ごとと言っても、結局、学協会の将来を考えた上で申請しないといけないときに、個別の方法よりは、要は、自分たちの分野の研究者コミュニティはこのようにして国際情報発信強化をしていくんだという、そうしたプログラムに対する包括的支援というのはあり得ないのだろうかと、そういう意味合いのコメントです。

 難しいですね。すみません、こうした議論ができるのは最初のうちだと思いましたので。制度策定の各論に落とし込むと、いろいろと問題が起きるのは承知の上ですが。

【土屋委員】  具体的には、雑誌の非常に狭い世界で言えば、パブリック・ライブラリー・サイエンス(Public Library of Science)というものは、基本的に経済的にもたないと言われていたわけです。数年前の「ネイチャー」の記事ですと、実際にはほとんどがドネーションとグラントによって採算を維持しているという、そういう状況だったわけです。それがここ1年くらいで非常に改善されたと言われていますが、それは、PLoS ONEというものを出したからだろうと推測されます。要するに、フラッグシップの雑誌で落ちたもので、それがオープンアクセス、非オープンアクセスで少し状況は違うのですが、落ちたものを救う、定期刊行物とはとても言えないような、しかし、彼らは「メガジャーナル(mega-journal)」という名前で呼んでいるのですが、そういったものを作って、そこで吸収する。そうすると、そこはどういうわけか、みんなどんどん掲載料を支払うので、財政状況は改善されたということはあります。

 それを倣ってかどうかは分かりませんが、例えば、Wileyや、Company of Biologistsなど、更に幾つか同様に、ブランドのフラッグシップ・タイトルはブランドで維持しながら、そこの掲載としては落ちたけれども質のよいもの、ならばそれを落としてはいけないような気もするのですが、それをオープンアクセスで出すのなら、有料でオープンアクセス誌に掲載するというモデルで、かなり費用回収しているところが出てきています。恐らく、商業的なモデルとしては、ブランドを持っているところはみんなそれでいくという、一気にそうした展開をしているという流れがあるようにも感じられます。ですので、例えば、ザ・ジャパニーズ・オープンジャーナルというものを作って、あるレベル以上の雑誌で落ちたものは、全部そこでお金を払えば出してあげるというようなお話ですね。

【林日本化学会課長】  はい。あるいは、もう一つ具体的に考えられる例としては、インパクトファクターを上げる手法の一つとして、既存のジャーナルの却下率を上げて掲載数を絞るという仕方がありますが、残りをオープンアクセス誌を通じて成果の公開を担保する仕組みにするという手法が考えられます。これもあくまで一つの考え方ですが、複数誌を利用してこのような企画を促すというやり方があります。

【有川主査】  それはそれぞれの対象とする学会が行えばいいのだろうと思います。

【林日本化学会課長】  はい。ですので、各論はあくまで各学協会が考えることですけれども、例としてということになります。

【有川主査】  それで、新たに作ってもいいし、既存のものをそちらに持っていくということもできます。先ほど少し申し上げかけた、要するに、投稿料をごく自然に取ることができるようになって、それで、それはオープンアクセスという格好で誰でも見られるというようにすればいいだろうと思うのです。

 今日は結構議論が出てきたと思います。

 どうぞ。

【松浦委員】  今のような方向の議論を進めると、今回検討の科学研究費の性格は、ビジネスモデル開発研究費のようなものになります。申請者は、このようにしたら国際発信力のある定期刊行物発行体制を確立できます、という提案をすることになります。それは刊行支援、国際化、情報発信の話ではなくなります。

 中村委員が指摘されたように、話は二つあって、きちんとパブリケーションを継続させる話と、それから、それなりに自立できるようなビジネスモデルを何とかして開発したいという話です。そうしますと、既に申し上げたことですが、随分違うものを一つのプロジェクトで対応することには、不安が残ります。

【土屋委員】  違いはよく分かるのですが、ただ、今、何が必要かという問題があります。それから、科研費のこの種目と言いますか、カテゴリーの状況というのは、端から見たときには、80%採択率だけでもって、競争的資金と言えるのだろうかという状況だろうと思います。ここを何とか改善しようという話であるならば、やはり何とかしたようなものでないといけないと思います。ですから、要するに、刊行の基盤を維持するのですというような議論は、ほとんど通じないのではないかということです。

 そうなると、やや揶揄されたような言い方でいらしたと思いますけれども、ビジネスモデル開発助成でもいいのではないかな、と考えます。例えば、10年なら10年間ですね。今、それを行って少し考え方を変えていかないと、やはり将来的に学会出版自体がもたないのではないかと思いますので、ここでいろいろなコンテストをやってみるのは悪いことではないような気がするのですけれども。

【有川主査】  そこまでは広げにくいと思います。ただ、今後3年後なら3年後をどうしていくということをきちんと示していただく。そして、それが非常に現実味のあるものに対しては、助成を行うということだろうと思います。

 しかし、学会をこのようにしていくと言われても、この枠組みではとてもできないと思うのです。そういうものを持ちながら、その上で、刊行物をこのようにしてオープンアクセス化するのだ、という提案をしていただくことになるのではないでしょうか。ですから、吸収できるのだろうと思います。

【中村委員】  私も科研費は重要だと、皆さんと同じように思っています。でも、どうもこの刊行物の助成のところだけが、余り評価が高くないのですよ。3億円という金額の割に、科研費全体の足を引っ張っているような感じが昔からしてしょうがない。やはりこれもきちんとしたものにして、科研費というものはこんなにすばらしいということで、もっと全体に大きくした方がいいのではないかなという気がするのですが。

 この際、この3億円を10億円にすることにして、科研費全体を押し上げるための方策に使えた方が、ずっとみんなのためになるのではないかなと思いますけれども。どちらにしろ、この補助金を多少受けても、全ての学会がこれで生き延びるほどの額ではないわけですから。この際、やはりこれを強化して、科研費全体を押し上げるための方策に使って、今、土屋先生がおっしゃったように、これまでと全く違って、明確な目的を持ったものにしたらどうでしょうね。その代わり、10億円、できれば20億円くらいの資金に拡大するというぐらいで、改善したらいかがでしょうか。

【有川主査】  ありがとうございます。

 かなり議論は転移をしましたけれども。

 喜連川先生、どうぞ。

【喜連川科学官】  私はやはりここは文部科学省ですので、余りビジネスモデルが出てくるということに非常に違和感を抱きますので、せめてエコモデルくらいにしていただくのがよろしいかと思うのですけれども。

 やはりタイムスケールということも、考えていく必要があると思います。コンピュータ系の流れで申しますと、ページランクというのは意味がありますが、サイトランクはそれほどでもない。つまり、最後の評価はやはり個の論文に落ちるという流れになります。ですから、ジャーナルのインパクトファクターが、非常に長いスパンで見たときにどれだけのインパクトを持つのかというのは、もう少し真剣に考える必要があるように感じます。そこに特化したビジネスモデルだけを必死になって考えることが、本当に意味があるのかというような点も考える必要があると思います。

 従いまして、いろいろなエコモデルがあって、かつ、ドメインによって、その作り方というのが分野によって非常に違うときに、その多様化も認めないといけないということで、これも結論がないのですけれども、やや上品な意味で、いろいろなトライアルを促進するというような、そういった表現にうまくすることが妥当と考えます。しかも、私は中村先生の御意見に大いに賛成です。審査する身に、幸か不幸か、私はこのカテゴリの審査をした経験がないのですけれども、大変に曖昧模糊とした審査基準になりそうな気も一方でしますので、今日は大いに意見を出させていただくという回ということですので、そういった懸念を少し感じました。

【土屋委員】  ですから、先ほどのピアレビューの「ピア」(peer)というのは、要するに、出版刊行に関するピアが見ているわけではありません。今、日本学術振興会の科研費審査員のデータベースに入っているのは、まず間違いなく研究者ですから、そこは広げていただく努力をしなければいけないのではないかな、という感じはします。

 もう一つ、先ほどの倍率低下についてですが、競争率を上げるためには分母を大きくすればいいというもので、やはり最初からの議論にあるように、学会というきつい縛りをかけるのではなくて、誰でもいいとしてはどうでしょうか。当然、出てきた調書を見れば、個人の思いつきのようなものというものはあるに違いないので、それをチェックすればいいだけのことではないかなと思います。

【有川主査】  図書の出版助成ということが一方でありますね。そういうものは、まさに今おっしゃったようなことでやっていけるのだと思います。図書のようなものと、これまでの言い方ですと、定期刊行物という言い方になっていますが、その定期刊行物という表現は少し考えなければいけませんが、イメージとしては、そういうものを考えておけばいいだろうと思います。

 今日は最初ということもありまして、これまでも実際、議論は断片的には行ってきて、また、学協会からのプレゼンテーションもたくさんしていただきまして、大体ある種のことは分かりながら議論してきたわけです。冒頭で申し上げましたように、少なくともあと一回は議論していただけます。今日は結構大胆なことを言っていただいて、まとめるのが大変だろうと思います。一方では、ただ一つの縛りがありますので、御意見いただいたことをその中に収めていきますと、非常に画期的な提案もできるのではないかと思います。要するに、いろいろなことをやるけれども、我々は、今の我々が議論しているカテゴリーの中でそれをどう実現していくか、あるいはどう促進していくかというように考えていけばいいと思います。そして、提言等をするときに、もう少し外へ出ていく必要も出てきていますよ、ということくらいは表現しておかなければいけないでしょう。

 少し時間はまだありますが、今日は、そういう意味ではいい議論ができたと思います。是非ともという方がいらっしゃいましたら、どうぞ。

 では、安達先生。

【安達国立情報学研究所学術基盤推進部長】  先ほどからビジネスモデルという言葉が議論に出てきているわけですが、SPARC Japanでは、ちょうど時間を五、六年前にずらした形で、当時、ビジネスモデルをどう作るかということを考えながら、学会支援を行ってきました。その当時は、電子化、投稿査読システムの導入、外国からの投稿も容易にするなどのレベルでの支援と、インパクトファクターをどのようにしてあげるのかというような具体的なことなどで、検討していました。

 そういった観点で見ますと、現状の方がもっと難しく、先ほどサプリメンタルデータが話題に出ましたが、このようなものが出てくる中、雑誌のクオリティをもっとよくすることを、外国出版社や外国の大手の学会は行っているわけで、日本の学会がそれに拮抗して、ビジネスとして打ち立てるというのは、ますます困難になってきているという気がします。

 学会も、大きい学会と小さい学会で全く違いまして、日本の問題は、小さい学会が努力して欧文で出版するなどということをやっていて、もともと非常に困難なことをやろうとしているという状況の中で、どうするかということと思います。

 それで、私どもが経験してきた非常につらい話は、結局、そうしたビジネスモデルを作って頑張った雑誌が、欧米の大手出版社に契約して、そこで…。

【土屋委員】  それはいいことだと、おっしゃいましたよね。

【安達国立情報学研究所学術基盤推進部長】  そうですね。それはいいことなのか悪いことなのか、その辺りの価値判断もあるわけです。というのは、インターナショナルになっていくという方向を目指せと言っているわけで、インターナショナルになったという、その出口が何かということですね。

 SPARC Japanでは、このようなことがいろいろあったということをコメントとして申し上げたいということと、もう一つは、今回の提案で、オープンアクセスをはっきりと打ち出しているということが一番重要と思います。従来、文科省のレベルですと、オープンアクセスはいいことだという高いレベルで述べていて、具体的な方策については余りきちんと提言してこなかった。SPARC Japanでも、オープンアクセスというのはビジネスモデルの一つです、という言い方をしてきました。ここではもう少し踏み込んで、オープンアクセスを具体的に推進するということになります。先ほどから議論が出ましたように、オープンアクセスの持つ問題点、欠点というのも随分明らかになっているところに対して、政策レベルでどのように扱うのかが課題になります。

 例えば、有川先生が言われたように、納税者のレベルで、税金を使った成果が還元されるということを考えますと、日本国民には日本語の情報をきちんと還元するという方が、やはり重要という言い方もできます。学問はインターナショナルがいいことだという前提の下で進めようとすると、やはり日本国内の活動とのジレンマが出てきます。そういうことがありますので、オープンアクセスを打ち出していくときに、国としてのポリシーをはっきり打ち出していただけますと、機関としては実務をやりやすくなると思います。

【有川主査】  日本人を意識するから、納税ということで言いますと、欧文ではなくて日本語というように考えなくてもいいのだろうと思います。その辺り、そのようなことを時々言われますね。納税者に対してきちんと説明ができなければいけないと言われます。それに対しては、こうしてやっていますよということを一つ示しておく必要があるだろうと。一方で、国際化ということも言われているわけですから、それで欧文誌でもやっていますということでやっておけば、そうしたことに対してはきちんと対応できると、そういうつもりで申し上げたわけでございます。

 それでは、時間になりましたので、今日はこの辺りにしたいと思います。

 実は、少し項目などにわたって議論もしていただくように予定していましたが、今日は最初ということで、できるだけ御意見を出していただきました。それで、頂いた御意見を今日のたたき台の、恐らくその前の方に反映させるような形で整理をさせていただくことになるだろうと思います。その上で、後ろの方に少し具体的なことなどは書いてありましたけれども、その辺りは次回以降議論していただきたいと思います。

 それでは、今後のことなどにつきまして、事務局からお願いします。

【丸山学術基盤整備室長補佐】  本日の会議の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で、公開の手続をとらせていただきます。

 次回ですが、10月26日水曜日を予定しております。時間は本日と同じく10時から12時、場所も本日と同様、この16F特別会議室を予定しております。よろしくお願いします。

 また、次回以降の日程ですが、資料2のとおりとなっております。大変恐縮ですが、予備日も含め、日程の確保について御配慮いただきますようお願い申し上げます。

 なお、本日の資料ですが、机上にそのままお残しいただきましたら、事務局より郵送させていただきます。

 【有川主査】  ありがとうございました。

 それでは、今日はこれで終わります。

── 了 ──

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