第5章 提言 今後の展開方向と課題 2 光資源を活用し、創造する科学技術に共通する課題

2-1 学際的交流の推進

 光科学技術は、物理、化学、生物学、医科学、工学等幅広い分野の科学技術に関係する領域横断的な分野であり、環境、エネルギー、産業、医療、情報通信等様々な分野の研究開発の基盤ともなっている。したがって、光科学技術の振興に当たっては、学際的な交流が円滑かつ広汎に行われること、すなわち、各分野間の横の連携、基礎研究分野と応用研究分野という縦の連携を一層強化することが重要である。

2-2 行政、産業等関係者の連携確保等

 光科学技術の研究開発を推進し、実用化につなげていくためには、研究者、大学等研究組織間の連携はもとより、環境、エネルギー、産業、医療、情報通信等の応用分野を所管する関係府省との行政的連携や産業との密接な連携を図る必要がある。光科学技術は、ものづくりに密接に関係する分野であることからも、産業との連携が極めて重要である。
 更に、ニーズとシーズを融合・マッチングさせる研究開発の仕組みが必要であり、研究開発に当たってマーケティング等を考慮することも必要である。

2-3 人材の育成

 我が国が「光の世紀」の世界をリードしていくためには、光科学技術に携わる人材の育成が喫緊の課題である。
 光科学に関する教育は、大学教育においては、物理学、電子工学など一部の学科において講義が行われているにとどまっているが、学部において「光科学科」が設置され、光科学技術について体系的かつ充実した教育が行われることが期待される。また、生物、医学分野などにおいて光科学技術が大きな役割を果たしてきていることにかんがみると、それらの分野の学生に光科学を学習する機会を与えることも重要である。
 また、若手研究者の外国研究機関における研修や光科学以外の分野の研究者との交流等により、幅広い視野を持った人材を育成することが重要である。
 更に、光科学技術分野における優秀な人材を育成していくためには、高校以前の理科教育において、光科学を含む理科全般についての興味や探究心を育てられるようにすることが重要である。

2-4 国民の理解と支持の獲得

 光資源を活用し、創造する科学技術は、国民生活に極めて密接に関係するものであり、その振興を図るに当たって、国民、社会のニーズを研究者等が共有していくことが重要である。このため、光科学技術及びその果たす役割を、一般国民が十分に理解し、そのニーズが研究課題に反映されうるよう、研究機関・研究者等の双方向コミュニケーション活動であるアウトリーチ活動を推進するとともに、インターネットや科学館など様々な手段、機会を活用して、わかりやすく情報を提供するなど、普及・啓蒙活動の一層の充実が必要である。

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