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2)  収載成分項目等
(1)  項目及びその配列
1  四訂成分表及びフォローアップ調査の成分項目(アミノ酸を除く)に加えて、葉酸及びパントテン酸を新たに収載した。
2  食物繊維の収載に伴い、四訂成分表の項目のうち糖質及び繊維の項目を廃止し、炭水化物とした。
3  項目の配列は、廃棄率、エネルギー、水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、無機質、ビタミン、脂肪酸、コレステロール、食物繊維、食塩相当量及び備考の順とした。
4  無機質の成分項目の配列は、各成分の栄養上の関連性に配慮し、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅及びマンガンの順とした。
5  ビタミンは、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けて配列した。脂溶性ビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE及びビタミンKの順、また水溶性ビタミンはビタミンB、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸及びビタミンCの順にそれぞれ配列した。このうち、ビタミンAの項目はレチノール、α‐及びβ‐カロテン、クリプトキサンチン、β‐カロテン当量並びにレチノール当量とした。また、ビタミンEの項目は、α‐、β‐、γ‐及びデルタ‐トコフェロールとした。
6  脂肪酸の項目は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸とした。
7  食物繊維の項目は、水溶性、不溶性及び総量とした。
8  それぞれの成分の測定は、「五訂日本食品標準成分表分析マニュアル」(科学技術庁資源調査会食品成分部会資料(平成9年))に従った。((注)同マニュアルについては、五訂増補成分表に追加して収載した成分項目があることから、内容の見直しを行い、「五訂増補日本食品標準成分表分析マニュアル」(文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会食品成分委員会資料(平成16年))として取りまとめた。」

(2)  廃棄率及び可食部
 廃棄率は、原則として通常の食習慣において廃棄される部分を食品全体あるいは購入形態に対する重量の割合(パーセント)で示し、廃棄部位を備考欄に記載した。可食部は、収載食品から廃棄部位を除いたものである。本食品成分表の各成分値は可食部100グラム当たりの数値で示した。

(3)  エネルギー
 食品のエネルギー値は、可食部100グラム当たりのたんぱく質、脂質及び炭水化物の量(グラム)に各成分ごとのエネルギー換算係数を乗じて算出した。
 エネルギー換算係数の個別食品への適用は、次により行った。食品ごとの適用係数は表2〜5に示す。
1  穀類、動物性食品、油脂類、大豆及び大豆製品のうち主要な食品については、「日本人における利用エネルギー測定調査」(科学技術庁資源調査所資料)1〜4)の結果に基づく係数を適用した(表2(PDF:19KB))。
2  上記以外の食品については、原則としてFAO/WHO合同特別専門委員会報告5)のエネルギー換算係数を適用した(表3(PDF:23KB))。
3  適用すべきエネルギー換算係数が明らかでない食品については、Atwaterの係数6)を適用した(表4(PDF:16KB))。
4  複数の原材料からなる加工食品については、Atwaterの係数を適用した(表4(PDF:16KB))。
5  アルコールを含む食品については、アルコールのエネルギー換算係数としてFAO/WHO合同特別専門委員会報告5)に従い7.1キロカロリー 毎グラムを適用した。
6  酢酸を多く含む食品については、酢酸のエネルギー換算係数として3.5キロカロリー 毎グラム7)を適用した。
7  「いも及びでん粉類」のきくいも、こんにゃく、「きのこ類」、「藻類」及び「し好飲料類」の昆布茶については、四訂成分表では、「日本人における利用エネルギー測定調査」8)の結果において、被験者ごとのエネルギー利用率の測定値の変動が大きいこと等から、エネルギー換算係数を定め難く、エネルギー値を算出しなかった。しかし、目安としてでも、これらの食品のエネルギー値を示すことへの要望が非常に強いことから、同測定調査におけるたんぱく質、脂質、炭水化物の成分別利用率及び食品全体としてのエネルギー利用率を勘案して検討した結果、暫定的な算出法として、Atwaterの係数を適用して求めた値に0.5を乗じて算出することとした(表5)。
 なお、エネルギーの単位については、キロカロリー(キロカロリー)単位に加えてキロジュール(キロジュール)を併記した。また、キロカロリーからキロジュールへの換算はFAO/WHO合同特別専門委員会報告5)に従い次の式を用いた。

  キロカロリーイコール4.184キロジュール


表5 暫定的な算出法を適用した食品
食品群 項目
適用した食品の番号
2 いも及びでん粉類 02001〜02005
8 きのこ類 08001〜08036
9 藻類 09001〜09047
16 し好飲料類 16051

(4)  一般成分
 一般成分とは水分、たんぱく質、脂質、炭水化物及び灰分である。一般成分の測定法の概要を表6に示した。
1  水分
 水分は、食品の性状を表す最も基本的な成分の一つであり、食品の構造の維持に寄与している。人体は、その約60パーセントが水で構成され、1日に約2リットルの水を摂取し、そして排泄している。この収支バランスを保つことにより、体の細胞や組織は正常な機能を営んでいる。通常、ヒトは水分の約2分の1を食品から摂取している。
2  たんぱく質
 たんぱく質はアミノ酸の重合体であり、人体の水分を除いた重量の2分の1以上を占める。たんぱく質は、体組織、酵素、ホルモン等の材料、栄養素運搬物質、エネルギー源等として重要である。

表6 一般成分の測定法
成分 測定法
水分 直接法もしくは乾燥助剤添加法の常圧又は減圧加熱乾燥法による減量法。ただし、アルコール飲料は乾燥減量からアルコール分の重量を、食酢類は乾燥減量から酢酸の重量をそれぞれ差し引いた。
たんぱく質 改良ケルダール法によって定量した窒素量に、「窒素−たんぱく質換算係数」(表7)を乗じて算出。なお、茶類及びコーヒーはカフェインを、ココア類及びチョコレート類はカフェイン及びテオブロミンを別に定量し、これら由来の窒素を差し引いてから算出。また、野菜類はサリチル酸添加改良ケルダール法で硝酸態窒素を含む全窒素量を定量し、別に定量した硝酸態窒素を差し引いてから算出。
脂質 ジエチルエーテルによるソックスレー抽出法、クロロホルム−メタノール改良抽出法、レーゼ・ゴットリーブ法又は酸分解法。
炭水化物注 差し引き(水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計(グラム数)を100グラムから差し引く)法。硝酸イオン、アルコール分、酢酸、タンニン、カフェイン又はテオブロミンを多く含む食品では、これらも差し引いた。
灰分 直接灰化法(550ド)
注 魚介類、肉類及び卵類;アンスロン−硫酸法


表7 窒素−たんぱく質換算係数
食品群 食品名 換算係数
 穀類
アマランサス9) 5.30
えんばく
 オートミール5)
5.83
おおむぎ5) 5.83
こむぎ
 玄穀、全粒粉5)
5.83
 小麦粉5)、フランスパン、うどん・そうめん類、中華めん類、マカロニ・スパゲッティ類5)、ふ類、小麦たんぱく、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮 5.70
 小麦はいが9) 5.80
こめ5)、こめ製品(赤飯を除く) 5.95
ライ麦5) 5.83
 豆類
だいず5)、だいず製品(豆腐竹輪を除く) 5.71
 種実類
アーモンド5) 5.18
ブラジルナッツ5)、らっかせい 5.46
その他のナッツ類5) 5.30
あさ、えごま、かぼちゃ、けし、ごま5)、すいか、はす、ひし、ひまわり 5.30
 野菜類
えだまめ、だいずもやし 5.71
らっかせい(未熟豆) 5.46
10  魚介類
ふかひれ 5.55
11  肉類
ゼラチン7)、腱(うし)、豚足、軟骨(ぶた、にわとり) 5.55
13  乳類
5)、チーズを含む乳製品、その他(シャーベットを除く) 6.38
14  油脂類
バター類5)、マーガリン類5) 6.38
17  調味料及び香辛料類
しょうゆ類、みそ類 5.71
上記以外の食品
6.25

3  脂質
 脂質は、有機溶媒に溶ける食品中の有機化合物の総称であり、中性脂肪のほかに、リン脂質、ステロイド、ろう、脂溶性ビタミン等も含んでいる。脂質は生体内ではエネルギー源、細胞構成成分等として重要な物質である。成分値は脂質の総重量で示してある。ほとんどの食品では、脂質の大部分を中性脂肪が占める。
4  炭水化物
 炭水化物は、生体内で主にエネルギー源として利用される重要な成分である。炭水化物は、従来同様いわゆる「差し引き法による炭水化物」すなわち、水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計(グラム)を100グラムから差し引いた値で示した。ただし、魚介類、肉類及び卵類については、一般的に炭水化物が微量に存在しているため、差し引き法で求めることが適当でないことから、原則として全糖の分析値に基づいた成分値とした。なお、硝酸イオン、アルコール、酢酸、タンニン、カフェイン及びテオブロミンを比較的多く含む食品や、加熱により二酸化炭素が多量に発生する食品については、これらの含量も差し引いて炭水化物量を求めた。炭水化物の成分値には食物繊維も含まれている。食物繊維の成分値は別項目として掲載した。
5  灰分
 灰分は一定条件下で灰化して得られる残分であり、食品中の無機質の総量を反映していると考えられている。差し引き法で求める炭水化物の算出に必要である。

(5)  無機質
 収載した無機質は、すべてヒトにおいて必須性が認められたものであり、四訂成分表に収載されたナトリウム、カリウム、カルシウム、リン及び鉄に加え、新たにマグネシウム、亜鉛、銅及びマンガンを収載した。なお、マンガンの成分値は、五訂成分表(初版)では別表としていたが、五訂増補成分表では本表に収載した。このうち一日の摂取量が概ね100ミリグラム以上となる無機質は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン、100ミリグラムに満たない無機質は、鉄、亜鉛、銅及びマンガンである。無機質の測定法の概要を表8に示した。
1  ナトリウム
 ナトリウムは、細胞外液の浸透圧維持、糖の吸収、神経や筋肉細胞の活動等に関与するとともに、骨の構成要素として骨格の維持に貢献している。一般に、欠乏により疲労感、低血圧等が起こることが、過剰により浮腫(むくみ)、高血圧等が起こることが、それぞれ知られている。なお、腎機能低下により摂取の制限が必要となる場合がある。
2  カリウム
 カリウムは、細胞内の浸透圧維持、細胞の活性維持等を担っている。食塩の過剰摂取や老化によりカリウムが失われ、細胞の活性が低下することが知られている。必要以上に摂取したカリウムは、通常、迅速に排泄されるが、腎機能低下によりカリウム排泄能力が低下すると、摂取の制限が必要になる。
3  カルシウム
 カルシウムは、骨の主要構成要素の一つであり、ほとんどが骨歯牙組織に存在している。細胞内には微量しか存在しないが、細胞の多くの働きや活性化に必須の成分である。また、カルシウムは、血液の凝固に関与しており、血漿における濃度は一定に保たれている。成長期にカルシウムが不足すると成長が抑制され、成長後不足すると骨がもろくなる。
4  マグネシウム
 マグネシウムは、骨の弾性維持、細胞のカリウム濃度調節、細胞核の形態維持に関与するとともに、細胞がエネルギーを蓄積、消費するときに必須の成分である。多くの生活習慣病やアルコール中毒の際に細胞内マグネシウムの低下が見られ、腎機能が低下すると高マグネシウム血症となる場合がある。
5  リン
 リンは、カルシウムとともに骨の主要構成要素であり、リン脂質の構成成分としても重要である。また、高エネルギーリン酸化合物として生体のエネルギー代謝にも深くかかわっている。腎機能低下により摂取の制限が必要となる場合がある。
6  鉄
 鉄は、酸素と二酸化炭素を運搬するヘモグロビンの構成成分として赤血球に偏在している。また、筋肉中のミオグロビン及び細胞のシトクロムの構成要素としても重要である。鉄の不足は貧血や組織の活性低下を起こし、鉄剤の過剰投与により組織に鉄が沈着すること(血色素症、ヘモシデリン沈着症)もある。
7  亜鉛
 亜鉛は、核酸やたんぱく質の合成に関与する酵素をはじめ、多くの酵素の構成成分として、また、血糖調節ホルモンであるインスリンの構成成分等として重要である。欠乏により小児では成長障害、皮膚炎が起こるが、成人でも皮膚、粘膜、血球、肝臓等の再生不良や味覚及び嗅覚障害が起こるとともに、免疫たんぱくの合成能が低下する。
8  銅
 銅は、アドレナリン等のカテコールアミン代謝酵素の構成要素として重要である。遺伝的に欠乏を起こすメンケス病、過剰障害を起こすウイルソン病が知られている。
9  マンガン
 マンガンはピルビン酸カルボキシラーゼ等の構成要素としても重要である。また、マグネシウムが関与するさまざまな酵素の反応に、マンガンも作用する。マンガンは植物には多く存在するが、ヒトや動物に存在する量はわずかである。
 なお、マンガンは、五訂成分表(初版)検討の際に当初予定していた収載成分項目に入っていなかったが、食品成分データベースの充実を目的に分析機関の協力のもとに測定を行い、また、「第六次改定日本人の栄養所要量―食事摂取基準―」においてマンガンの所要量が示されたこと等から、可能な限りの成分値を収載したものである。

 
表8 無機質の測定法
成分 試料調製法 測定法
ナトリウム、カリウム 希酸抽出法又は乾式灰化法 原子吸光法
注釈1、亜鉛、銅注釈2、マンガン 乾式灰化法 原子吸光法
カルシウム注釈3、マグネシウム 乾式灰化法 干渉抑制剤添加−原子吸光法
リン 乾式灰化法 バナドモリブデン酸吸光光度法又はモリブデンブルー吸光光度法
注釈1  一部、1,10−フェナントロリン吸光光度法
注釈2  微量の場合は、キレート抽出による濃縮後、原子吸光法
注釈3  一部、過マンガン酸カリウム容量法

(6)  ビタミン
 脂溶性ビタミンのビタミンA(レチノール、α‐及びβ‐カロテン、クリプトキサンチン、β‐カロテン当量並びにレチノール当量)、ビタミンD、ビタミンE(α‐、β‐、γ‐及びデルタ‐トコフェロール)及びビタミンK、水溶性ビタミンのビタミンB、ビタミンB、ナイアシン、ビタミンB、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸及びビタミンCを収載した。新たに収載したビタミンは、水溶性ビタミンの葉酸及びパントテン酸である。ビタミンの測定法の概要を表9(PDF:14KB)に示した。
1  ビタミンA
 ビタミンAは、五訂日本食品標準成分表−新規食品編−まではレチノール、カロテン及びビタミンA効力(国際単位:IU)の表示を行ってきたが、近年、ビタミンA効力に代え、レチノール当量表示にする趨勢にある。したがって本成分表では、レチノール当量(マイクログラム:マイクログラム)で表示した。
a. レチノール
 レチノールは主として動物性食品に含まれる。生理作用は、視覚の正常化、成長及び生殖作用、感染予防等である。欠乏により、生殖不能、免疫力の低下、夜盲症、眼球乾燥症、成長停止等が起こることが、過剰により、頭痛、吐き気、骨や皮膚の変化等が起こることが、それぞれ知られている。成分値は、異性体の分離を行わず全トランスレチノール相当量を求め、レチノールとして記載した。
b. α-カロテン、β‐カロテン及びクリプトキサンチン
 α-及びβ-カロテン並びにクリプトキサンチンは、レチノールと同様の活性を有するプロビタミンAである。プロビタミンAは生体内でビタミンAに転換される物質の総称であり、カロテノイド色素群に属する。プロビタミンAは主として植物性食品に含まれる。なお、これらの成分は、プロビタミンAとしての作用の他に、抗酸化作用、抗発癌作用及び免疫賦活作用が知られている。
 今回の改訂にあたっては、原則として、β‐カロテンとともに、α‐カロテン及びクリプトキサンチンを測定し、次項目の式に従ってβ‐カロテン当量を求めた。なお、五訂成分表(初版)においては、これをカロテンと記載したが、五訂増補成分表においては、そのままβ‐カロテン当量と表示するとともに、五訂成分表(初版)では収載していなかったα‐及びβ‐カロテン並びにクリプトキサンチンの各成分値についても新たに収載した。なお、一部の食品では四訂成分表の成分値を用いたものがあり、これらについては、α‐及びβ‐カロテン並びにクリプトキサンチンを分別定量していないことから、これらの成分項目の成分値は収載していない。

c.

β‐カロテン当量
 β‐カロテン当量は、次式に従って算出した。

β‐カロテン当量(マイクログラムイコールβ‐カロテン(マイクログラム)プラス1/2 α‐カロテン(マイクログラム)プラス1/2 クリプトキサンチン(マイクログラム)

d.

レチノール当量
 五訂増補成分表におけるレチノール当量の算出については、食事摂取基準2005年版がレチノール当量の算出方法を変更したことを踏まえ、これとの整合性の確保等の観点から、次式に基づきレチノール当量を算出した。10)

レチノール当量(マイクログラムイコールレチノール(マイクログラムプラス1/12 β‐カロテン当量(マイクログラム

(注)五訂成分表(初版)におけるレチノール当量の算出式は、次のとおりであった。

レチノール当量(マイクログラムイコールレチノール(マイクログラムプラス1/6 β‐カロテン当量(マイクログラム

 なお、β‐カロテン当量及びレチノール当量の算出に当たっては、測定値を用い、後述の3)数値の表示方法における数値の丸め方に基づき成分値を決定した。したがって、β‐カロテン当量及びレチノール当量は、本成分表に示した成分値から算出した値と一致しない場合がある。

2  ビタミンD
 ビタミンD(カルシフェロール)は、カルシウムの吸収及び利用、骨の石灰化等に関与し、植物性食品に含まれるビタミンD(エルゴカルシフェロール)と動物性食品に含まれるD(コレカルシフェロール)がある。両者の分子量は異なるが、ヒトに対してほぼ同等の生理活性を示す。ビタミンDの欠乏により、小児のくる病、成人の骨軟化症等が起こることが知られている。
 なお、プロビタミンD(エルゴステロール)とプロビタミンD(7−デヒドロコレステロール)は、紫外線照射によりビタミンDに変換されるが、小腸での変換は行われない。
 ビタミンDについても、ビタミンAと同様、五訂日本食品標準成分表−新規食品編−まではビタミンD効力(国際単位:IU)の表示を行ってきたが、近年の趨勢に従い重量(マイクログラム)で表示した。
3  ビタミンE
 ビタミンEは、脂質の過酸化の阻止、細胞壁及び生体膜の機能維持に関与している。欠乏により、神経機能低下、筋無力症、不妊等が起こることが知られている。
 食品に含まれるビタミンEは、主としてα‐、β‐、γ‐及びデルタ‐トコフェロールの4種である。五訂成分表(初版)においては、項目名をそれまで用いていたビタミンE効力に代えてビタミンEとし、α‐トコフェロール当量(ミリグラム)で示していたが、食事摂取基準2005年版が、これまでのα‐トコフェロール当量に代えてα‐トコフェロールを指標にビタミンEの摂取基準を策定したことを踏まえ、食事摂取基準2005年版との整合性の確保等の観点から、五訂増補成分表ではビタミンEとしてトコフェロールの成分値を示すこととし、α‐、β‐、γ‐及びデルタ‐トコフェロールを収載した。11)

(注)五訂成分表(初版)におけるα‐トコフェロール当量の算出式は、次のとおりであった。

α‐トコフェロール当量(ミリグラム イコールα‐トコフェロール(ミリグラム
プラス40/100 β‐トコフェロール(ミリグラム
プラス10/100 γ‐トコフェロール(ミリグラム
プラス1/100 デルタ‐トコフェロール(ミリグラム

4  ビタミンK
 ビタミンKには、K(フィロキノン)とK(メナキノン類)があり、両者の生理活性はほぼ同等である。ビタミンKは、血液凝固促進、骨の形成等に関与している。欠乏により、新生児頭蓋内出血症等が起こることが知られている。成分値は原則としてビタミンKとK(メナキノン‐4)の合計で示した。
5  ビタミンB
 ビタミンB(チアミン)は、各種酵素の補酵素として糖質及び分岐鎖アミノ酸の代謝に不可欠である。欠乏により、倦怠感、食欲不振、浮腫などを伴う脚気(かっけ)、ウエルニッケ脳症、コルサコフ症候群等が起こることが知られている。成分値はチアミン塩酸塩相当量で示した。
6  ビタミンB
 ビタミンB(リボフラビン)は、フラビン酵素の補酵素の構成成分として、ほとんどの栄養素の代謝にかかわっている。欠乏により、口内炎、眼球炎、脂漏性皮膚炎、成長障害等が起こることが知られている。
7  ナイアシン
 ナイアシンは、体内で同じ作用を持つニコチン酸、ニコチン酸アミド等の総称であり、酸化還元酵素の補酵素の構成成分として重要である。生体中に最も多量に存在するビタミンである。欠乏により、皮膚炎、下痢、精神神経障害を伴うペラグラ、成長障害等が起こることが知られている。成分値はニコチン酸相当量で示した。なお、ナイアシンは、食品からの摂取以外に、生体内でトリプトファンから一部生合成され、トリプトファンの活性はナイアシンの1/60とされている。
8  ビタミンB
 ビタミンBは、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン等、同様の作用を持つ10種以上の化合物の総称で、アミノトランスフェラーゼ、デカルボキシラーゼ等の補酵素として、アミノ酸及び脂質の代謝、神経伝達物質の生成等に関与する。欠乏により、皮膚炎、動脈硬化性血管障害、食欲不振等が起こることが知られている。成分値はピリドキシン相当量で示した。
9  ビタミンB12
 ビタミンB12は、シアノコバラミン、メチルコバラミン、アデノシルコバラミン、ヒドロキソコバラミン等、同様の作用を持つ化合物の総称である。その生理作用は、アミノ酸、奇数鎖脂肪酸、核酸等の代謝に関与する酵素の補酵素として重要であるほか、神経機能の正常化及びヘモグロビン合成にも関与する。欠乏により、悪性貧血、神経障害等が起こることが知られている。成分値はシアノコバラミン相当量で示した。
10  葉酸
 葉酸は補酵素として、プリンヌクレオチドの生合成、ピリジンヌクレオチドの代謝に関与し、また、アミノ酸及びたんぱく質の代謝においてビタミンB12とともにメチオニンの生成、セリン−グリシン転換系等にも関与している。特に細胞の分化の盛んな胎児にとっては重要な栄養成分である。欠乏により、巨赤芽球性貧血、舌炎、二分脊柱を含む精神神経異常等が起こることが知られている。
11  パントテン酸
 パントテン酸は、補酵素であるコエンザイムA及びアシルキャリアータンパク質の構成成分であり、糖及び脂肪酸の代謝における酵素反応に広く関与している。欠乏により、皮膚炎、副腎障害、末梢神経障害、抗体産生障害、成長阻害等が起こることが知られている。
12  ビタミンC
 ビタミンCは、生体内の各種の物質代謝、特に酸化還元反応に関与するとともに、コラーゲンの生成と保持作用を有する。さらに、チロシン代謝と関連したカテコールアミンの生成や脂質代謝にも密接に関与している。欠乏により壊血病等が起こることが知られている。食品中のビタミンCは、L‐アスコルビン酸(還元型)とL‐デヒドロアスコルビン酸(酸化型)として存在する。その効力値については、科学技術庁資源調査会からの問い合わせに対する日本ビタミン学会ビタミンC研究委員会の見解(昭和51年2月)に基づき同等とみなされるので、成分値は両者の合計で示した。

(7)  脂肪酸
 脂肪酸はカルボキシル基1個を持つカルボン酸のうち鎖状構造を持つものの総称であり、脂質の主要な構成成分としてグリセロールとエステル結合した形で存在するものが多い。二重結合を持たないものを飽和脂肪酸、一つ持つものを一価不飽和脂肪酸、二つ以上持つものを多価不飽和脂肪酸という。特に二重結合を四つ以上持つものを高度不飽和脂肪酸と呼んで区別する場合もある。脂肪酸(脂質)の摂取に際しては、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸のバランスが重要であるとされている。本成分表では、脂肪酸は脂肪酸組成に基づき算出し、飽和、一価不飽和及び多価不飽和脂肪酸に分け表示した。
 多価不飽和脂肪酸のうち、末端のメチル基の炭素原子から数えて3番目及び6番目の炭素原子に二重結合がはじめて出現するものをそれぞれn-3系多価不飽和脂肪酸及びn-6系多価不飽和脂肪酸という。これらのうち動物体内では合成されず、食物から摂取しなければならない脂肪酸としてリノール酸及びα‐リノレン酸がある。これらを必須脂肪酸と呼び、多くの生理活性物質の原料となる。必須脂肪酸が不足すると発育不全、皮膚の角質化等が起こる。最近の研究では摂取するn-3系多価不飽和脂肪酸とn-6系多価不飽和脂肪酸の比率が重要と考えられている。
 測定法の概要を表10に示した。
 なお、脂肪酸の組成(各脂肪酸の成分値)は、脂肪酸成分表編に収載している。

(8)  コレステロール
 コレステロールは、食品中や体内では遊離型と、脂肪酸と結合したエステル型で存在する。体内でも合成され、細胞膜の構成成分や胆汁酸や各種ホルモンの前駆物質として重要である。血液中では、リポたんぱく質として全身を移動し、合成されたコレステロールを末端組織に運搬する低比重リポたんぱく質(LDL)、余分なコレステロールを肝臓に運搬する高比重リポたんぱく質(HDL)等がある。血中コレステロール濃度が高いと高脂血症や動脈硬化、胆石等が起こりやすくなるが、濃度が低いと貧血や脳出血等が起こりやすくなるので注意が必要である。
 測定法の概要を表10に示した。

(9)  食物繊維
 本成分表では食物繊維を「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」との考え方の下に、その定量法としてはプロスキー変法を適用した。成分値は水溶性食物繊維、不溶性食物繊維及び両者の合計を総量として示した。ただし、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の分別定量が困難な食品では総量のみを示した。なお、動物性食品は、食物繊維の供給源としての寄与率が低いと判断し、収載しなかった。測定法の概要を表10に示した。
 食物繊維は、消化管機能や腸の蠕動(ぜんどう)運動の促進、栄養素の吸収を緩慢にしたりする等さまざまな生理作用が知られており、今後の研究の発展によりさらにその有用性が広がる可能性もある。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維では生理作用に違いがあるといわれている。


 
表10 脂肪酸、コレステロール、食物繊維の測定法
成分 試料調製法 測定法
脂肪酸 脂質抽出後、エステル化 水素炎イオン化検出−ガスクロマトグラフ法
コレステロール けん化後、不けん化物を抽出分離 水素炎イオン化検出−ガスクロマトグラフ法
食物繊維   酵素−重量法(プロスキー変法)

(10)  食塩相当量
 食塩相当量は、ナトリウム量に2.54を乗じて算出した値を示した。ナトリウム量には食塩に由来するものの他、グルタミン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等に由来するナトリウムも含まれる。

(注) ナトリウム量に乗じる2.54は、食塩(エヌ エーCl)を構成するナトリウム(エヌ エー)の原子量(22.989770)と塩素(Cl)の原子量(35.453)から算出したものである。
エヌ エーClの式量わるエヌ エーの原子量 イコールかっこ22.989770プラス35.453かっことじわる22.989770約2.54

(11)  備考欄
 食品の内容と各成分値等に関連の深い重要な事項について、次の内容をこの欄に記載した。
1  食品の別名、性状、廃棄部位、あるいは加工食品の材料名、主原材料の配合割合、添加物等。
2  硝酸イオン、アルコール、酢酸、カフェイン、タンニン、テオブロミン、しょ糖等の含量。
なお、備考欄記載成分の測定法の概要を表11に示した。

表11 備考欄収載の成分の測定法
成分 試料調製法 測定法
硝酸イオン 水で加温抽出 高速液体クロマトグラフ法又はイオンクロマトグラフ法
アルコール分   浮標法又は水素炎イオン化検出−ガスクロマトグラフ法
酢酸   直接滴定法又は水蒸気蒸留−滴定法
カフェイン 有機溶媒抽出 逆相型カラムと水−メタノール−1モル 毎リットル過塩素酸又は0.1モル 毎リットルリン酸水素ナトリウム緩衝液−アセトニトリルによる紫外部吸収検出−高速液体クロマトグラフ法
タンニン 熱水抽出 酒石酸鉄吸光光度法又はフォーリン・デニス法
テオブロミン 石油エテール抽出 逆相型カラムと水−メタノール−1モル 毎リットル過塩素酸による紫外部吸収検出−高速液体クロマトグラフ法

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