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「電解と磁気分離による埋立地浸出水の処理」
(学術振興会未来開拓事業・磁気分離プロジェクト、東京都立大学・神奈川工科大学)
図1は実証実験装置の外観図である。図2は装置構成と処理過程を示す。前段の電解槽では、鉄電極を用いた電気分解によって水溶液中に鉄イオンが供給されると加水分解を起こし、すぐさま水酸化鉄コロイドが生成される。このコロイドは正に帯電しているため、水溶液中に含まれるマイナスに帯電した有機物などの不純物が電気的に水酸化鉄コロイド表面に引き寄せられて吸着する。また水溶液中のリンとは化学的な結合によりリン酸鉄を生成する。これらの有機物を吸着した水酸化鉄粒子やリン酸鉄粒子は中間の磁気分離処理で磁気フィルターに捕集される。 |
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図1 装置外観「電解と磁気分離装置」
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図2 電解と磁気分離装置の構成と処理過程
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また磁気分離処理水には、まだ溶解した有機物や窒素および難分解性物質が残っている。そこで、後段の電解槽では、促進酸化法の一つである電気化学的酸化処理を行う。すなわち、発生した ラジカルによって有機物が分解される反応と、処理水中に塩素イオンが含まれるとHOClの発生が確認されており、NH4+との反応によって最終的には 放出が期待できる。また環境ホルモンの1つであるビスフェノールAについては、前段の鉄電解による水酸化鉄イオンとの吸着、後段の電極酸化による分解によって、大幅な低減が可能である。
平成13年9月より12月中旬までの4ヶ月間、東京湾埋立地の排水処理場で、処理水量が毎時100 の連続処理実験を実施した。処理水の水質は、表1と図3に示す通り、従来の微生物と薬品による処理結果と同等またはそれ以上の水質の改善結果を得た。
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表1. 浸出水中のCOD, NH4-N, T-N, T-P濃度
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CODcr
[  ] |
NH4-N
[  ] |
T-N
[  ] |
T-P
[  ] |
| 原水 |
630 |
335 |
363 |
0.80 |
鉄電解処理(1) 磁気分離処理水 |
520 |
335 |
363 |
0.13 |
| 電気化学的酸化処理(2)(4.5時間)水 |
350 |
212 |
274 |
0.12 |
| 電気化学的酸化処理(2)(9.0時間)水 |
200 |
31.8 |
80.7 |
0.10 |
除去率 ( ) |
68 |
91 |
78 |
88 |
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| 図3 処理水の脱色効果 |
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写真
左 埋立浸出水
中央 磁気分離水
右 電気化学的酸化処理水 |
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「メカノケミカル的方法による半導体廃液の磁気分離処理」
(学術振興会未来開拓事業・磁気分離プロジェクト、大阪大学、岡山大学、京都工芸繊維大学)
太陽電池用のシリコンウエハは高純度シリコンロッドから切断加工されている。この切断は高速度で走る多数のワイヤーにシリコンロッドを押し付けて、スラリー(砥粒と分散液からなる)を供給しながら行われる。切断後のスラリーには、砥粒と共にワイヤーの鉄粉が混ざっている。切断直後のスラリーをそのまま再利用すると、ウエハの加工精度を悪くするため、絶えず新しいスラリーと交換する必要がある。このため、使用済みのスラリーは大量の産業廃棄物となっており、同時にウエハの素材コスト高の一要因となっている。今回は使用済みスラリーに鉄粉が混ざっていることに着目し、磁気分離によって鉄粉を分離除去した結果、スラリーの再利用と産業廃棄物の大幅削減、コスト削減が可能になった。
この廃水処理システムについて、経済産業省の交付金を得た企業が試作小型実用機を用い、平成13年度に実用化研究が行われた。図4には、スラリーの供給の元でシリコンロッドを高速ワイヤーで切断するシステムを示している。図5には、切断直後と磁気分離処理後のスラリーの色変化が示されている。 |
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| 図4 シリコンロッドの切断機構 |
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| 磁気分離前 磁気分離後 |
| 図5 スラリーの色調変化 |
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「コロイド化学的な磁性付与による製紙廃水の磁気分離処理」
(学術振興会未来開拓事業・磁気分離プロジェクト、大阪大学、岡山大学、京都工芸繊維大学)
製紙廃水に含まれるサイズ剤等の添加剤や染料を高効率でしかも安価な手法により分離除去することは、近年の排出基準の強化に伴う高度排水処理装置の導入を回避し、さらには下水道使用料金の負担増を軽減することにつながるため、現在確立されている古紙再生ルートを存続させるための極めて重要な課題である。
そこでこれらの問題解決策として、磁気分離法による新たな排水処理法が提案された。対象水の水質に合わせた染料の化学物質にコロイド化学的に磁性付与を行い、磁気分離によって染料の化学物質が効率的に分離除去できる方法である。実験室規模の予備実験では、水質指標のCODが最初200 であったのが、排出基準20 程度にまで低減された。この方法による実用化研究は、平成13年度からNEDOの事業資金を得た関連企業を支援して装置開発が行われている。目標の指標は、 工場から排出される排水量に対応可能な高速処理、 高度処理(CODを20 以下)、 設備投資費が高度処理に比して安価、 省スペース、 廃水の処理費用が安価、 運転に熟練を要しない、 少ない廃棄物である、などである。
なお、今後は排水の水質基準が益々厳しくなる傾向にあるので、処理基準の向上と共に製紙プロセス中での処理水の再利用化を視野に入れた研究展開も検討している。 |
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図6 製紙排水の磁気分離処理
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「磁気分離活性汚泥法を用いた余剰汚泥ゼロの都市下水処理」
(学術振興会未来開拓事業・磁気分離プロジェクト、宇都宮大学)
100年の実績を持つ微生物を利用した活性汚泥法は、環境負荷の少ない有機排水処理方法である。この方法は、曝気槽で微生物が廃水中の有機物を酸化分解後、最終沈殿池で微生物と浄化された水を分離するため、薬剤などの投入が不要で、低コスト、二次処理として満足できるBOD20  以下の処理水質が得られるなどの利点を持つ。しかしながら、活性汚泥法はバイオリアクターとしての側面も持つため、100 (乾燥重量)の有機物を処理すると微生物は40〜70 (乾燥重量)増殖する。増殖分は余剰汚泥と呼ばれ、大量の産業廃棄物発生源となっている。余剰汚泥は肥料などへの再生は困難で、減量化のために大きなエネルギーを消費して脱水・焼却処理をしている。また埋立地に限界が見えて来た現在、活性汚泥法の今後の利用については、技術革新が求められている。
この立場から新たに開発された磁化活性汚泥法は、余剰汚泥ゼロの排水処理方法として期待されるものである。この新しい活性汚泥法は、微生物の比重が水とほとんど等しく、沈降分離に向いていない事を考慮して、新たに磁気分離法の導入を試みた点に特徴がある。予め一定量の活性汚泥に少量のマグネタイト粉を混ぜ、曝気槽で有機物を酸化・分解後に回転ドラムに巻きつけた磁石シート表面に処理水を通過させると、磁化された活性汚泥はシート表面に付着する。付着した磁化活性汚泥は再度曝気槽に戻されるので、新たな余剰汚泥の発生が押さえられる。
小規模の実験によれば、活性汚泥用に製作した磁気分離装置は30秒〜数分で10  の高濃度汚泥を分離でき、従来の沈降分離より100倍以上高速分離できた。そこで、高濃度汚泥条件で水処理を試みた。100 d処理できる実験装置を用い、約2年間連続水処理を行った。余剰汚泥の引き抜きを行わなかったが、汚泥濃度は6  まで増加後、一定となった。磁性粉の流出はほとんどなく、強磁性粉も初期投入後は追加の必要がないことが確かめられた。
処理水の性状は一般の活性汚泥法と同程度で良好な水処理が継続できた。現在、30 dの都市下水処理を行えるパイロットプラントを用いた実証実験が進行中である。(図7) |
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図7 都市下水処理用の磁気分離活性汚泥法の装置
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磁気分離活性汚泥法の主な改善点をまとめると次のようになる。
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余剰汚泥のゼロエミッション化が可能となった。 |
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運転条件が広範囲に許容できるようになり,維持管理が簡略化された。 |
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磁気分離法は高速・確実なため固液分離施設スペースが大幅に縮小できた。 |
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「コロイド化学的磁性付与方法と磁気分離による地熱水無害化」
(物質・材料研究機構マルチコアプロジェクト、岩手県地域結集事業プロジェクト)
このプロジェクトでは、小型軽量の 2223超伝導磁石を岩手県雫石町葛根田渓谷の地熱発電所近くに持ち込んで、処理水量約1トン 時、印加磁場1.7Tの条件で浄化処理実験が行われた。この場合の前処理は、反磁性物質のヒ素に化学的に磁性付与を行っている。実験の結果では、90 以上の地熱水中のヒ素濃度約4 を0.01 以下にまで減らすことに成功し、排出基準の0.1 はもちろん環境基準0.01 をクリヤーしている。この研究プロジェクトでは、将来の高温地熱水の利用に向けて、設備規模とランニングコストのより一層の低減を目指した研究開発に取り組んでいる。
また環境ホルモンの除去研究にも取り組んでおり、表面を疎水処理した磁性粒子を水中に供給し、その表面に環境ホルモンを吸着するシステムを実証した。希薄なノニルフェノールとビスフェノールAを含む水については処理後の残留濃度を元の1/10にまで低減したと報告されている。この実験では、吸着された環境ホルモンはアルコールなどの有機溶剤で濃縮脱離できること、磁性粒子は再利用が可能であることなども確認されている。 |
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図8 水中の環境ホルモンの除去用磁気分離実験装置
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「湖沼・ダムのアオコ除去用高温超電導体利用の磁気分離処理装置の開発」
(九州電力株式会社、日立製作所機械研究所)
湖沼や河川のアオコや有機物の高速除去を目的として、膜分離と磁気分離とを組み合わせた水浄化装置を開発した。動作概要は次の通りである。 被分離対象物質と磁性粒子とを結合させ、磁性フロックを生成する、 磁性フロックをメッシュ間隔数十 の膜でろ過する、 膜面から磁性フロックを磁気力で脱離させる。図9に動作原理図を示す。
この装置では、真空容器に封入された高温超伝導バルクが3.2Tに着磁されており、広い空間に強い磁界を作用させている。この装置により、アオコの浄化実験を行った結果、除去率は、アオコの主成分クロロフィルaについて94.2パーセント、原水中の浮遊粒子については96.4パーセント、リンについては93.9パーセントであり、十分に使用可能であることを確認した。
また、この浄化装置をトレーラに搭載して移動式の水浄化装置として使用する計画がある。(図10参照) |
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図9 高温超伝導磁石利用の排水処理
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図10 トレーラ搭載型排水処理装置 |