「日本食品標準成分表2010」について第3章の4

4)豆類

 豆類の全般に通じる主な事項は、次のとおりである。

1) 豆類は、マメ科マメ亜科植物の完熟種子のうち、食用とするもの及びそれを原料とした製品を収載している。なお、「らっかせい」は、脂質含量が高いため、種実類に分類した。また、未熟の莢(さや)やもやしを利用する「さやい んげん」(いんげんまめ)、「さやえんどう」、「ふじまめ」、「アルファルファもやし」等は、野菜類に分類した。

2) 原料用の豆類は、国産品、輸入品ともに、生産、流通する品種、銘柄等に変化がみられる。このため、品種、生産地域、生産年次等による成分の変動を考慮し、成分値を決定した。

3) 調理した食品は「ゆで」を収載した。「乾」と同一の試料を用いて調理し、分析した。各食品の調理方法の概要を表14に示した。

4) 加工品は、加工法に著しい変化がみられるため、一般的な食品又は食品素材について、加工に伴う成分変化等を考慮して、成分値を決定した。

 以下、食品ごとに成分値に関する主な留意点を述べる。

あずき<小豆>

-04001 全粒、乾

-04002 全粒、ゆで

-04003 ゆで小豆缶詰

-あん

 -04004 こしあん

 -04005 さらしあん

 -04006 つぶしあん

 「あずき」はササゲ属に属し、東アジアの原産である。国内生産量の年次変動が大きいため、国産とともに中国、カナダ、米国産等のものが用いられている1)。「乾」は国産及び中国産あずきを対象とした。成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値2) 3)に基づき決定した。「ゆで」の成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「ゆで小豆缶詰」の成分値は、原材料として砂糖も使用している市販品の内容物全量を試料とした分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「あん」の「こしあん」は国産及び輸入あずきを原料とした生あん、「さらしあん」は国産及び輸入あずきを原料とした製品、「つぶしあん」は国産あずき及び砂糖を原料とした練りあんを対象とした。「つぶしあん」は小倉あんともいう。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。なお、生あん及びさらしあん(乾燥あん)は砂糖を加えていないものを指し、練りあんはこれらに砂糖等を加えて練り上げたものを指す。

いんげんまめ<隠元豆>

-04007 全粒、乾

-04008 全粒、ゆで

-04009 うずら豆

-04010 こしあん

-04011 豆きんとん

 「いんげんまめ」はインゲンマメ属に属し、中南米の原産である。ゴガツササゲ(五月ササゲ)、サイトウ(菜豆)ともいう。品種が多く、子実の色沢、形状等の外観がかなり異なる。国内産の品種は、主として草型及び子実の色沢、形状、大小により命名されることが多い。代表的な品種群(その代表的品種)としては、手亡(てぼう)類(大手亡、銀手亡、姫手亡等)、金時(きんとき)類(金時、大正金時、昭和金時等)、白金時類(大正白金時、十勝金時、福白金時等)、長鶉(ながうずら)類、中(ちゅう)長鶉類、高級菜豆(大福、虎豆等)等がある。国内生産量が少ないため、煮豆、菓子、あん等の加工原料の多くを、カナダ、中国、米国等から輸入している1)。「乾」は、国産の金時類、手亡類及び高級菜豆の代表的な品種を対象とした。成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値3) 4)に基づき決定した。「ゆで」は、前記のもののうち、手亡類を除くものを対象とした。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「うずら豆」は、金時類、輸入の赤系中粒いんげんを原料とした煮豆製品で、慣習的名称である。成分値は、市販品の液汁を除いた全量の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「こしあん」は、国産の手亡類、輸入の白系中粒いんげん等を原料とした生あんを対象とした。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「豆きんとん」の成分値は、白いんげん、大白花豆(おおしろはなまめ、「べにばないんげん」の一品種)、豆白あん、さつまいもあん、寒天及び増粘剤(カラギーナン等)を原料とした製品の分析値に基づき決定した。

えんどう<豌豆>

-04012 全粒、乾

-04013 全粒、ゆで

-04014 グリンピース(揚げ豆)

-04015 塩豆

-04016 うぐいす豆

 「えんどう」はエンドウ属に属し、東地中海地方、西アジアの原産である。国内生産量が少ないため、加工原料のほとんどは輸入品で、カナダ、英国、米国等から輸入している1)。種皮の色により、青えんどうと赤えんどうがある。「乾」は、国産の青えんどうと赤えんどう、カナダ産の青えんどうを対象とした。成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値3) 4)に基づき決定した。なお、プロビタミンAは国産の赤えんどうの成分値を本表の備考欄に示した。「ゆで」の成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。なお、プロビタミンAは、「乾」と同一試料の国産の赤えんどうの「ゆで」の成分値を備考欄に示した。

 「グリンピース」は、青えんどうをフライ味付けした市販品を対象とした。成分値は、分析値に基づき決定した。

 「塩豆」は、輸入青えんどうを用いた製品で、水分が低く、外側は食塩、炭酸カルシウム等で覆われている。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値(「塩えんどう」)に基づき決定した。

 「うぐいす豆」は、青えんどうを原料とした煮豆製品で、市販品を対象とした。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

ささげ< 豆、大角豆>

-04017 全粒、乾

-04018 全粒、ゆで

 「ささげ」はササゲ属に属し、アフリカ原産である。小豆と同様の用途に用いられるが、水に浸漬した際に胴切れが少ない特徴がある。「乾」は、国産及び米国産を対象とした。成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値3)4)に基づき決定した。「ゆで」の成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

そらまめ<蚕豆>

-04019 全粒、乾

-04020 フライビーンズ

-04021 おたふく豆

-04022 ふき豆

 「そらまめ」はソラマメ属に属し、東地中海地方、西アジアの原産である。大部分は中国から輸入している1)。「乾」は、中国産、ポルトガル産及び国産を対象とした。成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値3)に基づき決定した。

 「フライビーンズ」は、そらまめを油で揚げた後、食塩を添加したものである。中国産の原料豆を用いた市販品を対象とした。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「おたふく豆」及び「ふき豆」は、煮豆製品である。前者は種皮付きの豆を、後者は皮を除いた豆を原料としている。市販品を対象とした。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

だいず<大豆>

[全粒・全粒製品]

-全粒

 -04023 国産、乾

 -04024 国産、ゆで

 -04025 米国産、乾

 -04026 中国産、乾

 -04027 ブラジル産、乾

-04028 水煮缶詰

-きな粉

 -04029 全粒大豆

 -04030 脱皮大豆

-04031 ぶどう豆

 「だいず」はダイズ属に属し、東アジアの原産である。国内生産量が少ないため、消費量の大部分を米国、ブラジル、カナダ等から輸入している5)。米国、ブラジル産大豆の多くは製油用であるが、米国産、カナダ産及び中国産大豆は、国産大豆とともに食品用として使われる。

 「国産、乾」は、国産大豆の主生産地5)である東北、北海道、関東東山及び九州の代表的な品種を対象とした。成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値4) 6) 7)に基づき決定した。「ゆで」の成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「米国産、乾」、「中国産、乾」及び「ブラジル産、乾」は、それぞれ主産地の代表的な輸入銘柄を対象とした。成分値は、分析値、四訂成分表成分値(「ブラジル産、乾」を除く。)及び文献値8) 9)に基づき決定した。

 「水煮缶詰」の成分値は、水切りした市販品の分析値に基づき決定した。

 「きな粉」は、「全粒大豆」、「脱皮大豆」ともに、国産、中国産の黄大豆、青大豆を原料とする市販品を対象とした。成分値は、「全粒大豆」は分析値及び四訂成分表成分値、「脱皮大豆」は分析値に基づき決定した。なお、青大豆を原料とする「きな粉」のプロビタミンAの成分値は、備考欄に示した。

 「ぶどう豆」は、煮豆製品である。国産の黄大豆、黒大豆を原料とする市販品を対象とした。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

[豆腐・油揚げ類]

-04032 木綿豆腐

-04033 絹ごし豆腐

-04034 ソフト豆腐

-04035 充てん豆腐

-04036 沖縄豆腐

-04037 ゆし豆腐

-04038 焼き豆腐

-04039 生揚げ

-04040 油揚げ

-04041 がんもどき

-04042 凍り豆腐

-04043 豆腐よう

-豆腐竹輪

 -04044 蒸し

 -04045 焼き

 「木綿豆腐」は、浸漬した大豆を磨砕した生呉(なまご)を加熱し、熱水によりたんぱく質その他の可溶性成分を抽出し、不溶性の種皮や細胞壁等を濾(ろ)過して除き、豆乳をつくる。これに凝固剤を加えて凝固させ、それを崩し、上澄を除いて、布を敷いた型箱に移し、圧搾、成型し、切断、水晒(さら)ししたものである。「絹ごし豆腐」は、豆乳と凝固剤を型箱の中で混合し、全体を凝固させ、切断、水晒(さら)ししたものである。「ソフト豆腐」は、豆乳に凝固剤を添加して、凝固させたものを、あまり崩さずに型箱に入れ、木綿豆腐に比べ、弱く圧搾、成型し、切断、水晒(さら)ししたものである。「充てん豆腐」は、冷却した豆乳に凝固剤を添加して容器に充てんし、密閉後、加熱、凝固させ、冷却したものである。豆腐の成分組成の特徴は製造方法の違いによるもので、特に、使用する凝固剤の種類の影響が大きく、硫酸カルシウム主体ではカルシウムが、塩化マグネシウム(にがり)主体又は併用ではマグネシウムが高い値を示す10)。凝固剤としてグルコノデルタラクトンが併用される「絹ごし豆腐」、「ソフト豆腐」及び「充てん豆腐」では、カルシウム、マグネシウムはともに低い値となる10)。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「沖縄豆腐」は、堅(硬)豆腐の一種で、島豆腐ともいわれ、水を少なめに使って作った生呉を濾過し、豆乳を加熱して、凝固、成型し、堅く絞ったものである。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「ゆし豆腐」は沖縄独特の豆腐である。豆乳に、にがりを加えてできる、ゆらゆらとした軟らかい固まりで、豆乳の凝固物と「ゆ」の混ざった状態で市販されている。従来は凝固させるために海水を用いたが、現在ではにがりを使い、製品に0.5~0.6 %程度の食塩を添加している。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「焼き豆腐」は、通常、若干水切りした木綿豆腐に焼き目を付けたものである。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。 

 「生揚げ」は、通常、厚めに切り、若干水切りした木綿豆腐を油で揚げたものである。なお、内部は木綿豆腐の組織と同様で膨化していない。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「油揚げ」は、豆腐に比べやや控えめに加熱した豆乳から豆腐を造り、切断、加圧水切り後、120 °C程度の油中で豆腐生地を約3倍に伸展させ、更に180 °C程度の油中で表面を固めたものである。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「がんもどき」は、木綿豆腐を崩し、水切り後、野菜、海草等を混ぜ合わせ、やまいも(山芋)粉又はでん粉をつなぎとして成形し、油で揚げたものである。地域により、形状、副原料が大きく異なるため、その成分値にも大きな幅がある。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「凍り豆腐」は、高野豆腐ともいう。従来は、豆腐を寒風下で凍らせた後、乾燥して造られていた。現在では、市販の製品の多くは、10~15倍加水量の薄い豆乳に塩化カルシウム等の凝固剤を添加して硬い豆腐を造り、凍結後、低温に2~3週間保蔵して、凍結変性させてスポンジ化したものを、解凍、脱水、乾燥したものである。調理時の膨軟性を高めるために、従来は、乾燥後の製品にアンモニアガスを吸着させる加工処理が行われていた。現在では、もや(熟成)、脱水後の中間製品を炭酸水素ナトリウム(かん水)に浸し、乾燥して製品とするかん水加工が一般的である。そのため、炭酸水素ナトリウム処理製品を収載した。成分値は、市販品の分析値に基づき決定した。

 「豆腐よう」は、沖縄独特の豆腐加工品で、硬めに造った豆腐を角切りし、乾燥の後、泡盛で洗い、漬け汁(米麹(こうじ)を泡盛ですりつぶし、砂糖及び食塩で調味したもの)に2~6か月程度漬け込み、発酵させたものである。成分値は、市販品の分析値及び文献値11)に基づき決定した。

 「豆腐竹輪」は、木綿豆腐に魚肉すり身を混和し、練り上げて調味し成型したものである。「蒸し」は、これを蒸気で加熱したものであり、「焼き」は焙(ばい)焼したものである。成分値は、それぞれ分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 なお、「凍り豆腐」には、品質表示基準12)がある。

[納豆類]

-04046 糸引き納豆

-04047 挽きわり納豆

-04048 五斗納豆

-04049 寺納豆

 「糸引き納豆」は、蒸煮した大豆を納豆菌で発酵させたもので、糸を引くのでこの名称で呼ばれている。成分値は、市販品の分析値、四訂成分表成分値及び文献値13)~18)に基づき決定した。

 「挽きわり納豆」は、「糸引き納豆」の一種であり、「糸引き納豆」が大豆の全粒を使用するのに対して、大豆を乾燥、割砕し、種皮を除いたものを原料として製造する。成分値は、市販品の分析値及び文献値17)に基づき決定した。 

 「五斗納豆」は、糸引き納豆に米麹(こうじ)と食塩を加えて、発酵熟成させたものである。山形県米沢地方で古くから製造されている。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「寺納豆」は、別名塩辛納豆、浜納豆とも呼ばれ、京都や浜松近辺の寺で造られていたもので、大徳寺納豆や浜納豆等の銘柄がある。大豆から麹を造り、塩水中に仕込み熟成させ、乾燥したものである。製品の水分や食塩含量は銘柄ごとにかなり差異がみられる。成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 なお、「納豆類」は、ビタミンKとしてメナキノン-7を含むので、メナキノン-4に換算して、成分値を決定した。

[その他]

-おから

 -04050 旧来製法

 -04051 新製法

 「おから」は、豆腐製造において呉(ご)から豆乳を絞る際の副産物として得られる。保水性が高くて絞り難く、「旧来製法」は、水分が約80~83 %であった。最近では豆乳分離機の改良が進み、スクリュープレス方式や回転ドラム方式を用いた方法が広く採用され、水分が約76 %となるまで絞ることができるようになった。「新製法」は、これらの機械を用いて得られた製品である。「旧来製法」は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値、「新製法」は、市販品の分析値に基づきそれぞれ成分値を決定した。

-豆乳

 -04052 豆乳

 -04053 調製豆乳

 -04054 豆乳飲料・麦芽コーヒー

 豆乳類の日本農林規格19)では、「豆乳」は、大豆(粉末状のもの及び脱脂したものを除く。)から熱水等によりたん白質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料(大豆豆乳液)で大豆固形分が8 %以上のもの、「調製豆乳」は、大豆豆乳液に植物油脂及び砂糖類、食塩等の調味料を加えた乳状の飲料(調製豆乳液)で大豆固形分6 %以上のもの等、「豆乳飲料」は、調製豆乳液等で大豆固形分が4 %以上のもの、調製豆乳液等に果実の搾汁、野菜の搾汁、乳又は乳製品、穀類粉末等を加えた乳状の飲料で大豆固形分4 %以上のもの等と規定している。

 「豆乳」の成分値は、市販品の分析値、四訂成分表成分値及び文献値4)に基づき決定した。

 「調製豆乳」の成分値は、市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「豆乳飲料・麦芽コーヒー」の成分値は、関係資料20)に基づき決定した。

-大豆たんぱく

 -04055 粒状大豆たんぱく

 -04056 濃縮大豆たんぱく

 -04057 分離大豆たんぱく

 -04058 繊維状大豆たんぱく

 「大豆たんぱく」は、大豆又は脱脂大豆を主原料として造られ、畜肉加工品、水産練り製品、惣菜、冷凍食品、調理加工食品等の品質改良剤、増量剤として広く用いられている。「粒状大豆たんぱく」は、大豆から得られたたんぱくを主原料として粒状又はフレーク状に成形し、かつ、肉様の組織を有するもの、「濃縮大豆たんぱく」は、大豆のたんぱくを軽度に濃縮して乾燥した粉末、「分離大豆たんぱく」は、大豆から抽出、分離してたんぱく純度を高め乾燥した粉末、「繊維状大豆たんぱく」は、大豆たんぱくを主原料とし、繊維状に成形し、かつ、肉様の組織を有するものである。植物性たん白の日本農林規格がある21)。成分値は、いずれも関係資料22)に基づき決定した。

-湯葉

 -04059 生

 -04060 干し

 「湯葉」の「生」は、豆乳を80 °C以上の温度で加熱し続けることにより生ずる薄膜をすくい上げたものである。「干し」は、これを更に乾燥したものである。成分値は、それぞれ市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

-04061 金山寺みそ

 「金山寺みそ」は、煎(い)った大豆と浸漬大麦又は小麦を混ぜて蒸した後、麹(こうじ)を造り、これに塩押しをしたなす、白瓜、その他の野菜類(しょうが、しその実等)を加え、熟成させたものに、水あめや砂糖を加えて調味加工したものである。原料配合や製造方法は地方により一定しない。成分値は、市販品の分析値、四訂成分表成分値及び文献値23)に基づき決定した。また、ビタミンKとしてメナキノン-7を含むので、メナキノン-4に換算して、成分値を決定した。

-04062 ひしおみそ

 「ひしおみそ」には甘露ひしおと野田ひしおとがある。甘露ひしおは、裸麦と大豆を用いて麹(こうじ)を造り、食塩水で仕込み、熟成後、水あめ、砂糖を加えて調味加工したもので、これに瓜やなすなどを加えたものである。野田ひしおは、小麦と大豆で麹を造り、生しょうゆで仕込み、発酵させたもので、外観はしょうゆのもろみと似ている。成分値は、市販品の分析値、四訂成分表成分値及び文献値23)に基づき決定した。また、ビタミンKとしてメナキノン-7を含むので、メナキノン-4に換算して、成分値を決定した。

-04063 テンペ

 「テンペ」はインドネシアの伝統的な発酵食品である。伝統的な方法では、大豆を水に漬し、脱皮、水煮、成形後、バナナの葉に包み発酵させる。特に重要な発酵菌はクモノスカビ(Rhizopus oligosporus)で、近代的な工場では純粋培養菌の胞子懸濁液を煮豆に混合する。試料は国産大豆を原料とし、製法は後者の方法によるものである。成分値は、市販品の分析値及び文献値18) 24)に基づき決定した。

つるあずき<蔓小豆>

-04064 全粒、乾

 「つるあずき」は、ササゲ属に属し、カニメともいう。インド、インドシナの原産である。五訂増補成分表の「たけあずき」を名称変更した。アジア、太平洋地域で栽培され、タイ、ミャンマー、中国等から輸入している。種皮色が赤色のものは赤系あんの主原料となっている。成分値は、分析値及び文献値3) に基づき決定した。

ひよこまめ<雛豆、鶏児豆>

-04065 全粒、乾

-04066 全粒、ゆで

-04067 全粒、フライ、味付け

 「ひよこまめ」は、ヒヨコマメ属に属し、西アジアの原産である。ガルバンゾーとも呼ばれる。大粒と小粒がある。メキシコ、カナダ、米国等から輸入している1)。トルコ、メキシコ及び米国産の輸入品を対象とした。「乾」及び「ゆで」の成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値3) 4)に基づき決定した。

 「フライ、味付け」は、「乾」を水に浸漬後、油で揚げて食塩で味付けしたものである。成分値は、市販品の分析値に基づき決定した。

べにばないんげん<紅花隠元>

-04068 全粒、乾

-04069 全粒、ゆで

 「べにばないんげん」は、インゲンマメ属に属し、中南米の原産である。ハナマメ(花豆)とも呼ばれ、種皮が白色の品種と紫黒色の品種がある。国内では、北海道等の冷涼な地域で生産される。また、中国、南アフリカ、アルゼンチン及びイギリスから輸入される。煮豆、甘納豆、白あんの原料となる。

 「乾」の試料は、北海道産の白花豆及び紫花豆を用いた。成分値は、分析値及び文献値3)に基づき決定した。「ゆで」の成分値は、分析値に基づき決定した。

らいまめ<葵豆、莱豆>

-04070 全粒、乾

 「らいまめ」は、インゲンマメ属に属し、中南米の原産である。ライマビーン、アオイマメともいう。種皮が白色系の品種は、白あんの原料として使用される。成分値は、ミャンマー及び米国産輸入品の分析値、四訂成分表成分値(「ライマまめ」)及び文献値3) 4)に基づき決定した。

りょくとう<緑豆>

-04071 全粒、乾

-04072 全粒、ゆで

 「りょくとう」は、ササゲ属に属し、インドの原産である。ヤエナリ、ブンドウともいう。名前が示すように多くの品種の種皮は緑色をしている。近縁種のケツルアズキ(Vigna mungo)とともにもやしの原料としても用いられる。中国産を対象とした。「乾」の成分値は、分析値、四訂成分表成分値及び文献値3) 4)に基づき決定した。「ゆで」の成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

レンズまめ<扁豆>

-04073 全粒、乾

 「レンズまめ」は、ヒラマメ属に属し、東地中海地方の原産である。大粒と小粒がある。主要生産国はインドであり、他の多くの国々でも栽培されている。米国、インド、カナダ等から輸入している。成分値は、米国産市販品の分析値及び文献値3) 4)に基づき決定した。

文献

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 5)  http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/d_data/index.html(検索:2010年6月18日)
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11)  安田正昭・松本哲也・坂口真樹・小波本直忠:Monascus属菌を用いたとうふようの熟成過程における化学成分の変化.日食工誌,40, 331(1993)
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16)  菅野彰重・高松晴樹・土橋 昇・渡邊智子・高居百合子:納豆とヒキワリ納豆の製造及び保存中におけるトコフェロール含有量の変化.日食工誌,32, 754(1985)
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20)  日本豆乳協会:分析結果資料(未公表)
21)  植物性たん白の日本農林規格:昭和51年農林省告示第838号
22)  日本植物蛋白食品協会:分析結果資料(未公表)
23)  平 春枝:なめ味噌の品質におよぼす要因.醸協,94, 890(1999)
24)  松本伊左尾・今井誠一:テンペ発酵中の成分変化.日食工誌,37, 130(1990)

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