参考資料1-2 前回会合での主な議論等の纏め(案)

2018年3月15日

1.先端研究施設・設備の共用
第6期科学技術基本計画を見据え、共用・共同利用関連施策間の連携の強化をどのように進めるか
(1)今後の3Cの役割分担についてどう考えるか
1) 特定先端大型研究施設と共用プラットフォームとの役割
・特定先端大型研究施設と共用プラットフォームが保持する技術と人材のシナジーを生み出すべく、情報共有の仕組みを構築する。(杉沢委員)
2) 各共用プラットフォームの実態を踏まえた今後の共用プラットフォームの役割
・共同利用を本務とする施設(User Facility)、共同研究を本務とする施設(Joint Research Facility)、内部利用を主とする施設・設備の共同利用(Open Facility)を分けて考える。これらは同一手法でも時代と共に変化するので、適宜見直しが必要 。(野村委員)
・既存の施設をベースにプラットフォームを構成しているが、今後は国としての全体像を押さえた上で、プラットフォーム形成を前提に施設整備進める事が望まれる。(野村委員)
・他の研究施策とpfの間の連携強化施策を設けことが望まれる 。(野村委員)
・ユーザーのニーズを反映させて開発を加速し、さらに、利用拡大も促進するという仕組みをしっかりと使っていくことによって、これはプラットフォーム側の高度化にもつながるし、機器の開発も加速するということで、このような部分がこれから必要になるのではないかというのが、私案ですが今考えております。(木川委員)
・共用プラットフォームの固有技術、強みのある技術をより強化しつつ、利用者の裾野を広げ、成果総出量を拡大するための正のフィードバックループを構築する。(杉沢委員)
・UFのミッションを明確にし、政府はそのミッションを実現するために必要な手当を行い、施設及び研究者コミュニティはミッションに即した人事評価を行う 。利用者の研究分野が広く分布するUFは研究基盤的性格が強く、非専門家による利用が多くなり、成果を出すための支援体制の充実と安定的な運用が必要。(野村委員)
・UFは様々な科学・技術関連施策を効率的に進めるために必要であり、全体像を見ながら計画的に整備する(不要なら廃止) 。(野村委員)
・UFにおいて、利用者に対する支援と設備の高度化は表裏一体であり、一体的に対応出来る組織形態が必要。(野村委員)
・JRFは専門家による利用中心であり、制約条件を示した上で、各研究者コミュニティの提案を求める 。この際、国内に存在する必然性が低い施設(または国外に設けた方が良い施設)は国際共同として最適化する(天文台などの例)。(野村委員)
・OFは若手・外国人などの研究者育成に有効である。将来的に共同研究などに発展する研究者を受け入れる事への異論は少ないと思うが、競合関係者や将来的に共同研究に発展しがたい利用者については、分析受託業者などの活用を図り、研究者の負担を軽減する。(野村委員)
・個々の施設に依る広報の他に、必要とする利用者がUF、OFの全体像を把握出来る様にする(ナノプラ、TIA共用施設、大学共同利用機関、共・共拠点など類似企画は沢山あるが、現状は全体像を把握することが困難である)。(韓国NFECのFEEL) (野村委員)
・UF、OFについて、利用メニューや利用料金に対する考え方の標準化や用語の統一を図る 。(野村委員)
・UFの設備・装置の整備・高度化は、利用者が同一装置群のどの装置を使う場合も同じ環境で利用出来る様に、統一的な思想の下で整備することが望まれる 。(野村委員)
・連携して利用者を受け入れる形態、連携して機器開発を進める形態、連携して(主に非市販機器の)標準化を進める形態が想定され、それぞれの必要性に対応した将来のあるべき姿を設計する必要がある。(野村委員)
・市販を見込む機器をpfで開発を行う時、pfは知恵・技術を出してメーカーと共にプロトタイプの開発・評価・debug・解析環境の開発や提供を行い、製品開発後は世界の標準品となることを目指す。(野村委員)
・利用者に対して、最適施設の案内等を行う場合、各施設のコーディネーターが他施設の性能や人材に関する理解を持っていることが重要(野村委員)
・必要となる研究リソースをpf内で融通する。(野村委員)
・原則として、国税により調達した汎用性の高い大型実験装置は研究室で抱え込むのではなく、組織内外の研究者の利用に門戸を開くことが望まれる。このとき、利用制度作りや利用支援のために研究者に過度の負担を掛けることで研究活動を阻害しない施策が必要。(野村委員)
3) 学術研究のための先端研究施設・設備との関係
・学術の特性について考慮する必要はあるが、学術用、科学技術用と区別する必要はない。
(野村委員)
・特定先端大型研究施設、共用プラットフォーム、学術研究のための先端 研究施設・設備間で、重複した開発(ムダな開発)を避け、必要な開発は着実に実施できるような全体的な開発戦略の調整が必須と考える。そのための情報共有と開発戦略の調整を進める仕組みの構築が必要である。(杉沢委員)
4) その他
(支援人材)
・高度研究支援人材に対するミッション定義の明確化が必要 。(野村委員)
・高度研究支援人材は、新たな利用研究者などに対して、研修等を行い、当該研究手法のリーダーを目指すべき。(野村委員)
・放射光の場合も、ビームラインサイエンティストのような、補助者のインセンティブを保つというのがなかなか難しい。(尾嶋委員)
・高度研究支援人材には「普通の」研究者に匹敵する力量を有した上で、技術開発や専門分野以外の利用者に対する最高水準の支援を行うことが求められる。そのためには、支援人材自身が設備の限界で実験を行う必要がある。(野村委員)
・高度研究支援人材を育成するためには、代表的な利用者の理解・協力が不可欠である 。(野村委員)
・利用研究者が研究課題申請前に当該装置を担当する高度研究支援人材と密な相談をし、高度研究支援人材は利用研究者の求めるものを理解し、建設的な提案をすることが、短期間の内に成果を上げる為には必要である。(野村委員)
・メンテナンスの問題ももちろんあるのですが、機器がどんどん新しくなっていきます。どんどん更新したいのですが、もう過去に購入した機械の固定資産の方の費用にばかりお金が回って、実はなかなか新規の機械に代えられないという、非常に苦しい状況があります。分析の研究所では、いつもその課題について、外からお金を稼いでくるのか、自分たちで何とかするのかということが議論なって、分析研究所を切り離したり合体したりを繰り返しています。そういうことを考えると、正直に言って、この3年とか5年とかのスパンだけでいつもつないでいくやり方が非常に気になります。これは何とかならないのでしょうかということと、それは同時に、これもさっきから話題になっていますが、その技術をサポートする方々をどうやってつないでいくかという問題に必ずつながって、その方たちにインセンティブを与えて先々も頑張っていただくためには、ある程度先が見えるプロジェクトでないととても育てていただくということはできないと思います。これはやはり国家的事業の特権なので、予算の形がいかに難しくても、そこを切り抜けて何とかならないのでしょうか。(飯島委員)
(その他)
・事業に関わる人たちのインセンティブの問題、それから、施設の高度化というものがどうしても自助努力頼みであって、なかなかうまくいかないということで、徐々に施設が陳腐化していくことをどうしたらいいかと、このようなことについてこれから真剣に取り組んでいかなければという問題がありました。(木川委員)
・一般的な話として、放射光施設などでもそうですが、最初の投資にお金がたくさんかかり、その後の、利用というか、維持するためのお金というのがフェードアウトしてしまうというケースがやはりあると思います。最初に買ったからもうそれでいいというような発想がどうしても日本の科学技術政策の中にあって、そういう点で、これがサステナブルになるためには、参加企業、今の場合はJEOLさん、それから、装置を持っている4機関、それから、ユーザー、全てが満足できるようにするには、やはり国からの支援が必要。(尾嶋委員)
・(共用事業などは)プロジェクトの助走(準備)期間を設け、その間に十分な準備をできたところが実施する 。(野村委員)


(2)新たな共用システム導入支援プログラムの今後の展開について
1)全学組織・取組へどのようにつなげていくか
・目標を明確に定め、PDCAサイクルを回す中で、機器の利用効率を高める施策を展開する。(杉沢委員)
2)(事業実施対象でない)大学等へどのように波及させていくか
・既存の実施例の中から状況の似た大学のグッドプラクテスを抽出し、対象となる大学の実情に合わせより改善された形で実施する大学を支援する。(杉沢委員)
3)地域の産学官連携、オープンイノベーション等の拠点としての役割
・地域の産業特性、大学の持つ強みを勘案して、地域産業の振興と大学の果たすべき役割の達成の両方に貢献する施策を考えて実行する。(杉沢委員)
・一つの大学で調整できる範囲には限界があると考えられる。地域特性や大学の特性を踏まえ、ナノテクプラットフォームや各共用プラットフォームとの連携や民間の受託分析サービスとの役割分担を考えた上で、広域クラスターを作ることが有効ではないか。(杉沢委員)
・特定の研究課題でのみ使用する機器については、当該研究グループによる管理だが、外部から利用希望があり、利用条件を満たせば利用可能に。(野村委員)
・ある程度汎用性がある高度な装置については、学内外の研究者・技術者に対する利用の門戸を開く。キャンパスが広大である、分散している等の地理的条件を考慮する必要がある。大学のみでは困難な支援は、地元自治体や分析受託企業が支える仕組みを作る。(野村委員)
4)その他
・保守とか、共用化してできるだけ維持費を稼ぐようにはしているのですが、その装置の更新のためにお金を積み立てて繰り越すことができないので、基本的に、この汎用性の高い装置をいずれ更新するときには、また何かの予算がきっとうまい具合に当たるのだろうという、今までのまだ過去のいい時代が少し頭に残っていて、実際に運営費交付金でそれを回すようにしなければいけないという覚悟がまだ十分できていないと思います。ですから、それを国の施策としてやっていくのか、そういう雰囲気に持っていくのかというのが重要な課題なのではというように思います。(網塚委員)
・各教育・研究単位として基盤的に必要となる実験装置群の充実と計画的更新。(野村委員)
・研究プロジェクトの変更やより高性能の装置を調達したことにより余剰となった装置のreuse, recycle市場を作る(韓国NFEC)。(野村委員)
(3)その他
・思いつき的な補正予算や年次計画の一部だけの予算は無駄遣いにつながるおそれがある。(野村委員)
・WPIでは、まだ人もあまりいない状態で、とにかくもうお金が、補正予算来たからといって無理やり買って、私はすごくお金が有効に使われなかったという思いがあって、あまり言うとよくないのですが、どうにかならないのかなと思います。(原田委員)


2.研究機器・共通基盤技術の開発
第6期科学技術基本計画を見通した先端計測分析技術の俯瞰
1)新たな研究開発領域を生み出す革新的先端計測分析機器
・これまでの先端計測・機器開発事業の実績にもあるように、若い研究者の自由な発想の中から生まれるユニークな取り組みを、目利きの研究者が見逃さず、サポートして育てていくことで、世界の最先端研究者のニーズにも応えうる日本発のオンリーワン(ナンバーワン)の技術や機器開発を推進することは、我が国の研究基盤の強化に繋がることであるので、継続して頂きたい。最初からアウトプットが明確な研究・開発ばかりに重点を置いた支援策のみでは、今後、我が国からオリジナルな技術や機器開発が生まれてこないのではと危惧している。(金澤委員)
・1ショット(ナノ秒~ミリ秒)で原子分解能レベルの画像が得られる電子顕微鏡の開発。そのための低コスト高品質パルス電子ビーム源の開発。これにより、実使用環境下での機能性材料の原子・分子レベルの解析が可能になる。また、ブラウン運動の影響を受けずに、液体中の粒子・分子の分子・原子レベルでの解析が可能になる。例えば、膜タンパク複合体をそのままの状態で構造解析する等、その応用は広範囲に広がると期待できる。(杉沢委員)
2)(既存の)先端計測分析技術の更なるブレークスルー
・AI、IoT時代における分析機器の役割は物理空間にある分析対象の”もの”に関する情報をサイバー空間につなげるセンサーとなることである。サイバー空間上で分析対象の”もの”に関する情報を統合的に解析するシステムを構築することで、AIの活用による新次元の解析サービスを利用できることになる。このシステムの利用により、これまで人の力だけで行ってきた材料研究や開発にブレークスルーがもたらされる。さらに、分析機器にロボット機能を組み込み、分析対象の”もの”の前処理作業を人の手を介せずに実施できるようにする。これにより、再現性の高い大量のデータをサイバー空間に上げることができるようになり、このビッグデータとAIにより、ライフサイエンス・創薬・材料など様々な分野での研究開発スピードが加速される。(杉沢委員)
・既存の先端計測分析技術の構成要素のなかでも飛躍的な性能向上が期待できるデバイスは、量子ビーム半導体2次元検出器である。量子ビームには、レーザー、テラヘルツ光、X線、電子・荷電粒子ビームが含まれる。これらの量子ビームを検出する半導体2次元検出器の物理構造には共通性があるので、共通基盤技術としての研究開発を進めつつ、計測目的の物理特性ごとに最適化し、検出器の飛躍的な高性能化を図る。これによって、既存の先端計測分析機器の計測フロンティアが一気に拡大する。また、半導体技術の進歩とともに、その計測フロンティアが急速に広がる。(杉沢委員)
・オンリーワン・ナンバーワンを目指す先端計測分析技術・機器開発プログラムにおいて、SPring-8 を始めとする特定先端大型設備や共用プラットフォームに関連した、もしくは連携した提案が提案レベル・採択レベルともに幾つか見られ、研究開発が進められてきた点です。(例えば現在進行中のものとしては、阪大高橋先生による暗視野X 線タイコグラフィ法の開発など)それらはこれら設備の高度化もしくはユーザビリティー向上に関わり、先端計測分析技術をもってこれら設備の高度化を図ることで、新たな領域を生み出す可能性を秘めるとともに産業育成にも貢献していくものと考えております。中でも、SPring-8 を含む光ビーム関連は、幅広い運営団体による整備が進められてきたことから分かるように、この領域のニーズが極めて高く、今後の競争力強化にとって重要な研究基盤と位置づけられていることが理解されます。これらを踏まえて、大型もしくは共用設備の高度化に資する基盤技術を、先端計測分析技術の新たな切り口と捕らえ、その将来を俯瞰することはできないかと考えております。(中村委員)
3)上記1)、2)を進めるための官民が連携した研究開発方策
・継続的かつ大きな投資と専門的な知見の集積が必要であるが、投資リスクが大きすぎるため、一組織や一企業が単独で実行することは事実上不可能である。そこで、専門的な知見の集積が可能で、継続的かつ大きな投資を維持できる官民連携の研究開発拠点を構築することが必要。そこに、官民の投資を集中するために、共通基盤技術開発、基礎研究、応用研究、製品開発の各フェーズに応じた官民の投資の役割分担を明確にした上で、最終製品が稼ぎ出す事業収益をこの研究開発拠点に再投資するために、適正な成果配分を行う仕組みを導入する。(杉沢委員)
・サイバー空間にアップロードするデータに付加すべきメタデータの付け方に関する研究とその成果を活用する仕組みが必要となる。また、IoT機器の組み込みのためのインターフェース設計や試料前処理ロボットの共通機能開発のための中立的かつ自律的な組織作りが必要。(杉沢委員)
・高品質パルス電子ビームの発生手法として最も有望と考えられる半導体フォトカソード技術に着目し、その開発・生産拠点を官民連携して構築する。次いで、そのアプリケーション開発を実施する官民連携コンソーシアムを結成し、高いアプリケーション生産性を目指し、オープンな開発環境を構築する。(杉沢委員)
・他の研究者による同種の機器製作を容易にするため、研究の一環として行われる機器開発と製品化を繋ぐ施策や国際的な市場を作り出す施策を考える必要がある 。(野村委員)
・製品開発に当たっては、学会でトピックスになる様な装置性能だけでなく、usability、販売価格やデータ解析環境を含めた開発を行ない、世界標準化も目指すべき。(野村委員)
4)その他
・NMRの世界では、特に超高磁場の世界というと、ブルカーの独壇場になってしまって、しかも、それ以外のものは、我々多分使っている現場は正直言って期待していないし、現実的ではないというか、そういうものに対して、これから時間をかけて国産で育てていくというのはかなり厳しい、そういうせめぎ合いをどうするかということもあるし、クライオ電顕でもそうだと思うのですが、その辺の部分の高度化というのをどう捉えていくかということ、それと、もう一つは、人材育成も重要です。当然、その部分を今後は議論すべきでしょう。今日は時間がないので、詳細は述べませんが文科省としてできる範囲で検討すべき課題と思います。維持費は絶対無理でしょう。(西島委員)
・装置開発には入札・設計・製造に長期間が必要であり、複数年での予算執行を容易にすることで効率化できる。計画が期間内に終了しない時に、残予算を使ったプロジェクトの”no fund extension”を可とすることも。(野村委員)


以上

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科学技術・学術政策局 研究開発基盤課

(科学技術・学術政策局 研究開発基盤課)