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数学イノベーション委員会(第24回) 議事録

1.日時

平成27年12月22日(火曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室 東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 数学イノベーションに向けた今後の推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

 若山委員、合原委員、今井委員、國府委員、小谷委員、常行委員、中川委員、長谷山委員、樋口委員、舟木委員、本間委員、森委員

文部科学省

 生川大臣官房審議官(研究振興局担当)、行松基礎研究振興課長、粟辻融合領域研究推進官

オブザーバー

理化学研究所初田量子ハドロン物理学研究室
 初田哲男 主任研究員
情報・システム研究機構統計数理研究所
 伊藤聡 副所長

5.議事録

【若山主査】
 それでは、定刻前ですけれども、この時間におそろいになる委員の方々はおそろいになったということで、ただいまから第24回数学イノベーション委員会を開催いたします。
 師走ですけれども、余り寒くなくて、ただ、御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 きょうは、大島委員、グレーヴァ委員、高木委員から御欠席との連絡を頂いております。小谷委員は遅れての出席、國府委員は5時半頃に退室の予定となります。
 それでは、本日の議事を始めるに当たり、事務局より配付資料の確認をお願いします。

【粟辻推進官】
 配付資料を確認させていただきます。座席表、議事次第、委員名簿の後に、資料番号で言いますと、資料1として「数学イノベーションに必要な人材の育成について(整理図)」という資料がございます。資料2が、理化学研究所の初田先生の発表資料でございます。それから、資料3-1が、統計数理研究所の伊藤先生の資料。それから、資料3-2が、数学協働プログラムの中間評価結果報告書でございます。資料3-3が、「数学イノベーション推進に必要な取組に関する論点について」という1枚紙でございます。あと、資料4が、今後の予定。それから、参考資料としまして、参考資料1が前回の議事録。それから、参考資料2が、これまでの議論の概要をまとめたもの。それから、参考資料3が、関連する図や絵でございます。
 以上でございます。何か過不足がございましたら、お伝えいただければと思います。

【若山主査】
 ありがとうございます。
 8月以降、数学イノベーションに必要な人材育成について審議してまいりましたけれども、本日は、数学と諸科学・産業の連携研究拠点やプログラムにおける人材育成について、それを中心に審議したいと考えています。
 それでは、議題に入りたいと思います。
 まず、事務局より、これまでの議論の整理を作成していただいておりますので、説明いただきたいと思います。

【粟辻推進官】
 資料1に少しこれまでの主に人材育成に関する議論を図にして整理してみたものを簡単に御説明して、本日の御発表につなげていきたいと思います。
 まず、資料1なんですけれども、一番左端に「現状の問題点」、真ん中に「背景にある課題」、右端に「必要な方策」という形でまとめておりまして、左側の「現状の問題点」として、いわゆる数学・数理科学の重要性というものは非常に高まっているけれども、実際に様々な科学分野とか産業における問題に数学を使うことができる人材というのは、数学側でも、あるいはそれ以外も含めて、まだまだ少ないということ。それから、そういった人材を大学教育等において育成するということがまだ十分ではないということ。それから、数学専攻の学生、特に博士課程を修了した学生のキャリアパスは主にアカデミアが中心で限定的であるということ、あるいは、こういった数学の応用に対する数学界での評価が必ずしも高くないというような問題があるかと思います。これらの問題は、8月に議論を始めたときに整理させていただいたものを書いております。
 真ん中の「背景にある課題」というのは、こういった問題の背景にどういうものがあるのかということを、これまでの御議論を踏まえて整理してみたものでございます。2つに分けていますけれども、上の、大学におけるカリキュラムの課題、これがどちらかといいますと大学の数学専攻を中心にした問題で、下の2の方が、いわゆる数学界の外から見た場合の問題点ということでございます。
 上の1ですが、まずは、大学の理学部の数学科のようなところにおけるカリキュラムは数学の研究者の育成を目指したカリキュラムが中心で、数学の外に目を向けさせるような機会が乏しいのではないかということ。それから、昨今、数理的なモデルのニーズの高まりの代表的なものとして、ビッグデータが挙げられるわけですが、そういったビッグデータ時代に対応できるような人材を育成するという観点も必ずしも十分ではないと。こうしたこととも相まって、特に博士課程を修了した数学専攻の学生のキャリアパスがアカデミア中心で、企業への就職者というのは極めて少ないという問題がございます。
 下の2の部分が、数学界の外から見た場合の数学へのイメージで、特に企業あるいは大学の他の分野の研究者から見て、数学イコール純粋数学、あるいは何となく近寄りがたく自分から遠い存在だ、というようなイメージがあるのではないかということ。それから、特に高校生あるいは高校の教員などから見て、最新の数学人材へのニーズがすごく高まっている、あるいは、新たなキャリアパスの可能性が広がりつつあることが十分知られておらず、例えば、大学の数学専攻に進む学生は、大学の数学者か高校の教員を目指す人が主流になっているのではないかといった問題点。それから、3つ目が、広い意味の数学・数理科学の研究者、いわゆる数学・応用数理・統計の研究者、あるいは、様々な分野で数理的な研究をしている研究者、こういった方々の相互の連携や協力が少ないのではないか。このような御指摘はこれまでいろいろあったかと思います。
 このような課題を解決していく上で何が必要なのかということを、これまで議論してきたわけですが、右側の「必要な方策」として4つに分けて整理しております。1つ目が、大学のカリキュラム等の話でございます。副専攻、ほかの分野などへのインターンシップ、課題解決型演習を行うのがいいのではないか、あるいは、数学専攻学生がほかの分野の大学院に進学することを促進するのがいいのではないか、というような御意見がこれまでにございました。1ポツの部分が、前回、9月や10月に議論されたところだと思っています。
 2ポツは、いわゆる数学イノベーションの実践の場に参画させることで人材の育成を図ることも必要ではないかということで、具体的には、数学イノベーションの推進拠点の活動や本日御紹介いただきます数学協働プログラムなどの拠点間ネットワーク活動への参画、JSTの戦略的創造研究推進事業の数学関係の領域への参画というような、数学と諸分野や産業との連携の実践の場に参画することで人材の育成を図るというのが2番目でございまして、本日は、この水色の地を付けているところを中心に、理化学研究所の初田先生から、理研の理論科学連携研究推進グループの取組、それから、統計数理研究所の伊藤先生から、数学協働プログラムの取組について御紹介いただいて、議論をしていただければというふうに思っています。
 あと、これ以外の論点として、3番の、企業へのキャリアパスの問題、あるいは数学に対する意識やイメージをどう改めていくのかといった問題があるかと思いますが、これは1月以降にまた議論をさせていただければというふうに思っています。
 以上でございます。

【若山主査】
 どうもありがとうございました。
 きょうはこの青色のところを中心にということで、理化学研究所から初田先生、それから、統計数理研究所から伊藤先生においでいただいております。まず、この整理図について、これは整理図で、今までの、この秋、それから、それ以前に出てきた御意見等をまとめてくださったというものだと思いますが、何かこれについてございましたらどうぞ。
 よろしいですか。
 それでは、早速ですけれども、理化学研究所の理論科学連携研究推進グループ、通称iTHESの活動について、特に理論科学と実験科学との交流を通じた若手の育成と研究成果の事例について、理研の初田量子ハドロン物理学研究室の初田先生にお願いしたいと思います。

【初田主任研究員】
 よろしくお願いします。

【若山主査】
 15分ぐらいでお願いします。

【初田主任研究員】
 15分ぐらいで御説明させていただきます。
 私は、理研の理論科学連携研究推進グループのディレクターを務めております。物理学、化学、生物学、計算科学の4つが理研に存在しますので、それを含めた数理的な活動全体を理論科学と呼んでおります。私自身が理研に来たのは2012年で、それまでは東京大学の物理学科におりました。専門は理論物理学ですが、理研に移ってきて様々な分野を横につなぐ活動を始めました。それが、この理論科学連携研究推進グループiTHESで、その中でも若手人材育成が非常に重要なファンクションであるということは、このグループの共通認識となっています。
 2枚目を見てください。iTHESの目的は、理論科学における分野横断研究を推進することです。国内だけでなく国際的に、しかも分野の枠を超えて活躍する若手研究者を育てることも目的になっています。そのためには、頭脳還流を支える国内外の研究機関との連携が必要となります。さらには、基礎科学の若手研究者に、産業界における課題を知らしめることで、産学をまたぐ人材育成につなげるという活動も行っています。
 iTHESは、新領域開拓課題という理研内の競争的資金で2013年に採択された活動で、5年間継続します。理研には様々な研究センターがありますが、それを横につなぐために、11名のPI、18名のiTHES研究員、50名程度の連携研究者が緩くつながりながら活動しております。
 理化学研究所には、約2,000名の科学者がいて、国内キャンパスが9、海外支所が4程度あり、物理、化学、生物・医科学、工学の分野をカバーしています。数学は歴史的にどういうわけか理研にないのですが、分野間の垣根が非常に低いというのが理研の特徴だと思います。また、世界屈指の大型施設として、Spring-8、京コンピュータ、重イオン加速器などを擁しています。後ほど触れますが、若手研究者の支援制度、理研独自の基礎科学特別研究員制度、それから、JRA、IPAという形で、国内外のポスドク、大学院生、留学生を受け入れております。
 次のページも理研の紹介ですが、先ほど言いましたように、様々な戦略センターや基盤センターがあります。それぞれはミッションオリエンテッドで、それを横につなぐという意味でiTHESは一つの横糸になるということで活動をしております。
 生物も物理も化学も計算科学もそれぞれ方向性は違いますが、基礎になるところで共通の部分があります。実はどの分野でも、ミクロの現象からマクロの現象の解明に挑む際に、組合せ爆発という状況がおこります。自然界では、いかにしてミクロとマクロの間に階層構造が生まれてくるのかということは、生命科学でも、物質科学でも、基礎物理学でも現れる問題で、そういうものを扱う数理的アプローチの発見が一つの共通の目標になり得ます。そういう数理的アプローチは、個々の分野で少しずつ開発されてはいますが、汎用性のある考え方はまだ存在していません。
 物理学なり物質科学なり生物科学のような縦糸に加えて、横糸として数理科学や計算科学を位置づけ、分野を越えた発見を生み出したい、というのがiTHESの大きな目標です。 PIレベルの研究者は、それぞれどこかの分野にベースを持つので、若い方々に間に立って溝を埋めてもらうことを期待するという意味で、人材育成が非常に大事であると考えています。
 その次のページには、iTHESの様々な分野のコアになる常勤研究者と、国際公募で選考する2年又は4年の若手研究者を載せています。赤で書いているのは、常勤職などを得て既にiTHESを離れた方々で、新陳代謝の良さがわかります。自分の専門以外に、別の分野にも興味を持っている方を採用し、分野を越えた研究の推進力になることを期待しています。さらに、理研の様々な理論研究者を連携研究者と位置付けて、iTHESの活動に参加していただいています。
 こういうinterdisciplinaryな活動には、難しさもあります。 今年の9月に『Nature』が我々の活動を記事の一部に紹介してくれていますが、世界的にも分野を超えた活動の重要性と、その難しさが指摘されています。記事の中で私は、「Theoretical science is a good starting point because it is easy for us to interact」というふうに述べていますが、この理論科学を数理科学と読み替えていただいて構いません。
 若手研究者の育成に関しては、iTHESの発足当時から中心的に据えてきた考え方は、朝永振一郎氏のエッセイ『科学者の自由な楽園』にある、「「とにかく、良い人を集めることだ。」たしかにそれである。これは、よい人がそこへ行って研究したいという意欲をそそる環境を生みだすことが先決である、という意味も含まれているわけである。金、体制、運営、その他いろいろな問題がある。が、研究にとって何より必須の条件は人間である」ということです。まだ始まって2年半ですが、若い人を中心にして分野を超えた研究も始まりつつあります。そういうことができる土壌を作るのが我々の目的の一つです。
 iTHESのような理論科学者集団の存在意義の一つは、実験科学と数学の間に入って橋渡しをすることではないかと考えています。
 iTHESの具体的な活動をお話します。やっていることは地道なもので、何か突拍子もないことをやっているわけでは全くありません。例えば、定例のコロキュームを2か月に一度やっています。講師としては、物理、数学、生物、化学、地球科学などなど様々な分野の方々に分かりやすい話をしていただいております。参加者も多く、うまくいっていると思います。また、定期的なセミナー、ワークショップ、それから産学連携レクチャーを2か月に一度ぐらい開催しています。週刊のニュースレターを出して、常に情報共有するということも行っています。さらに、コーヒーミーティングと称して、毎週金曜の12時半から2時ぐらいまで、いろんな分野の人たちが情報共有する活動を続けています。こういうことでお互いの研究内容を知っていくうちに、少しずつ新しい研究が始まることを期待しています。
 iTHESではじまりつつある分野を越えた研究を幾つか紹介します。原子核理論、宇宙物理学、素粒子論、数理物理学、などを専門とする若手研究者が、理論生物学の研究者と共同で代謝ネットワークの縮約理論の研究、魚の網膜細胞のパターン形成の研究、染色体の凝縮と分離のシミュレーションなどを行っています。また、数理物理学の研究者が、物質科学の研究者と一緒に、光学迷彩の理論を研究し、論文を既に発表しています。こういう研究がもっと広い範囲に広がっていくことを期待しています。
 理研の特徴の一つは、京コンピュータを用いた最前線の大規模計算ができるということです。iTHESの連携研究者の一人は、世界で初めてフル三次元の超新星爆発シミュレーションを京コンピュータで行いました。一方で、同じiTHESの別の連携研究者は、バクテリアの一部の全原子シミュレーションを京コンピュータで行っています。全く違う対象ですが、研究者間の交流を通して、互いの計算技法の共有などが進むと良いと考えています。
 若い研究者が国内外にも飛び出していくことも重要です。iTHESとして、国内での活動を広げていくという意味では、東大のIPMU(Institute for the Physics and Mathematics of the Universe)、阪大のTSRP(Theoretical Science Research Project)のような、似たコンセプトを持つ機関と連携協定を結び、合同のワークショップを開催しています。その1回目はIPMUで行いましたが、物質、生命、宇宙の研究者が一堂に会して、理論科学を通して議論することができました。2回目は、南部先生の追悼行事の一環として、数理物理に関係した合同のワークショップを開催しました。これらのワークショップを通して、若い研究者の分野を越えた研究に関する強い関心を実感しております。
 産学連携についても少しお話しします。iTHESの活動を始めてしばらくして分かったことは、数理科学の産業応用という事に関して、我々に余り知識がないということでした。本格的にそのような例を勉強してみようということで、企業で活躍する研究者に、数時間のレクチャーをじっくりしてもらう産学連携レクチャーを始めました。
 これは企業と直ちに共同研究を始めることを目指した活動ではなく、まず知ることから始めようというものです。自動運転、金融工学、産業応用における数値シミュレーション、自動翻訳、人工知能、計算創薬などのレクチャーを既に開催しました。例えば、第2回の金融工学のレクチャーでは、企業から来てもらった講師に、ブラック・ショールズ方程式の導出を丁寧に行ってもらいました。自動翻訳では、その手続きの中身に立ち入って講義してもらいました。この産学連携レクチャーは、理研内でも関心が高く、毎回100人前後の人たちが参加しています。
 来ていただいた講師を見て分かったことは、多くの物理出身の方が産業界で活躍しているというでした。話の内容はもちろんのこと、そういう面でも、参加者が面白く聞いたというところがあります。
 こういう活動の波及効果として、クラウドコンピューティングで基礎科学に貢献できないかとい観点から、iTHESの数理計算連携チームの研究者が、京コンピュータを用いて行った超新星爆発のシミュレーション結果のデータを可視化することを企業と共同で行い、11月30日にプレスリリースをしています。
 理研は、Junior Research associateとして、国内の博士課程の学生を年間約150人受け入れていますし、International Program associateとして、国内外の大学院・研究機関との協定に基づいて外国籍の学生を受け入れています。それ以外に、連携大学院を通じた学生の受入れ、サマープログラム、なども行っています。ポスドクについては、3年任期の基礎科学特別研究員を毎年60名ずつ新規に採用しています。
 もし、iTHESに数学チームができれば、最先端の数学を通して更に基礎科学の拡がりが生まれてくると考える研究者も理研内に多いのが現状です。
 これが最後のページですけれども、理研には和光以外に、横浜や神戸などのブランチがあります。iTHESは、理研の神戸にもオフィスを構えようとしており、そこを頭脳還流の拠点の一つとして、数学、数理科学との連携ができれば良いと考えています。また、国際頭脳還流のプラットフォームを作ろうということで、様々な研究所と連携を進めており、将来的にはクロスアポイントメントの研究員が世界を還流するシステムを構築したいと考えております
 以上です。ちょっと長くなりまして、申し訳ありません。

【若山主査】
 どうもありがとうございました。
 今、御紹介していただきました理研の取組も参考に、数理科学と諸科学・産業との交流を促進するために必要な仕組みは何かということで、国内外の若手研究者、学生の諸科学・産業との共同研究などへの参加とか、異分野の人が集まり自由に議論できる場の設定であるとか、企業の人が話題を提供し自由に議論できる場を設けることとか、海外研究者を招聘・滞在させ、自由に議論できる場を設けること、こういうことに関して、まず、御質問、それから、御意見も含めて、委員の皆さん方から御発言いただきたいと思います。どうぞどなたからでも、よろしくお願いいたします。

【合原委員】
 いいですか。

【若山主査】
 どうぞ。

【合原委員】
 2つお聞きしたいんですが、まず、頭脳還流のところなんですけれど、我々から見ると、基礎特研とかがすごく機能していて、例えば、うちの研究室のドクターを出て基礎特研を経験して、准教授とか講師で戻ってくるという例は結構あるんですよ。そういうふうに本当に還流になっていて、逆に理研から見たときに、基礎特研をやった人が外に出て、初田さんみたいに戻ってくる、本当の意味で還流するような仕組みがあるのかというのが1つと、それから、もう一つは、縦糸、横糸で数理科学、計算科学があるんですけれど、例えば、数理科学の理論自身をもっとどんどん深めていって、横糸のベースをより強固にしていくみたいな、その部分というのは、多分、最後に言われたiTHES-mathとかがそうなるんじゃないかという気もしているんですけれども、その辺の見通しというか、現状というか、その辺を教えてください。

【初田主任研究員】
 最初の御質問に関しては、iTHESで十分育ってもらって、そのあとは外に向かって羽ばたいてもらうということを想定しています。

【合原委員】
 でも、還流というのはそういう意味ではないんですか。

【初田主任研究員】
 ここで言っている還流というのは、4年程度の研究員が、数年は日本に、数年は海外にという風に還流するという意味です。

【合原委員】
 そういう意味ですか。

【初田主任研究員】
 例えば、生命科学関係では、インドのNCBSという研究所がありますけれども、そこに2年間、日本に2年間、滞在する。両方のいいところを吸収して、しかもお互いの交流につながって、その後は自分でキャリアアップしていくという感じです。

【合原委員】
 ただ、その後で更に理研のPIなんかで戻ってくると、より強固な還流になるような気がするんですけれど。

【初田主任研究員】
 余り抱え込む必要もないかと思いますが、いい人が本当に育ってくれたら、当然理研のPIの公募に応募し採用されるということはあると思います。
 2つ目の御質問については、最初に少しお話ししたように、分野を超えた横糸になる論理がきっとあるのだろうと思います。「素過程の大自由度をいかに「縮約」して、本質を記述するか?」というふうにスライドに書きましたが、そういうものは、個別分野でそれぞれ考えられてはいます。一方で、それらを統一するような理論の構築は、数学の研究者が入ると進むのであろうと思います。

【合原委員】
 何かそれが素材になる結び目の研究は出てきているなというのは、よく分かったんですが……。

【初田主任研究員】
 ええ。まだ実際に実ってはいないというのが、現実です。

【若山主査】
 ほかにございますか。どうぞ。

【常行委員】
 いろいろな異分野の方が参加する企画をたくさん立てられていて、それから、写真をみるとたくさんの方が参加されていて、すごいなと思うんですけれど、大学でもそういう企画はないわけではなくて、いろいろやっていて、ただ、実際にやっても、大学院生はなかなか参加しないという現状があります。それで、若い人がそういう異分野に興味を持たないという言い方もありますけれど、好意的に取ると、自分の分野でちゃんと業績を上げていくために、非常にそこで頑張っているためにほかのところまで手が回らないというところもあると思うんですね。
 理研の場合、ここは、その意味では、どうやって違う分野のところに積極的に参加できるように動機付けをやっているか、あるいは、何か工夫をしておられるんでしょうか。

【初田主任研究員】
 実は2年のポジションと4年のポジションがあって、4年のポジションの方は、自分の研究だけじゃなくて、ほかの分野のことも見て、共同研究も進めてほしいということを採用時にお願いしています。一方、2年のポジションの場合には、自分の分野でトップになれないでほかに移ってもうまくいかないというのは明らかなので、自分の研究でいい仕事をしてくださいとお願いしています。ただ、いろいろな面白いことが周りにあるという土壌は用意しておくから、何か面白そうなことがあったら気軽に議論したり、自分の研究に役立てたり、共同研究を始めてほしいと言っています。これらとは違うもう一つ別のカテゴリーの方々がおられて、それは、このような土壌の中で、専門を変えられる方です。例えば、物理学から数理生物学に専門を完全に変えた若手研究者が複数おられます。この3パターンは、どれも大切だと思います。

【常行委員】
 3つ目のカテゴリーの方は、雇用する段階で、もうそういうふうに変えてしまうわけですか。

【初田主任研究員】
 そうなんです。この方々は、iTHESの生物学チームで、数理生物の研究経験はなくて構いません、物理学の素養さえあればいいです、といって公募して採用された方々です。

【常行委員】
 ありがとうございます。

【若山主査】
 ほかにございませんでしょうか。
 なかなか大学では、今の最後のパターンというのは難しそうですね。

【初田主任研究員】
 大学では、そう簡単に分野の枠を超えてというの難しく、そこは理研だからこそうまくいくのかなと思っています。大学でもこういうことをやりたいなと私は思っていましたが、なかなか難しかったです。

【若山主査】
 ほかに。

【中川委員】
 異分野融合の成果をどなたが評価されるのでしょうか。学会なのか、理研の中なのか。

【初田主任研究員】
 まだ成果というほどのものは出ていないので、これから誰に評価してもらうのか考えないといけないとおもいます。先ほどの『Nature』の編集部から言われたことは、このような取り組みに関する成果の評価は難しいですよね、ということでした。私は、それぞれの分野の専門家が見て、高いレベルの研究であればそれでいいのではないかと単純に思うのですが、余り深く考え切れていません。

【國府委員】
 いいですか。

【若山主査】
 はい、どうぞ。

【國府委員】
 このお話の中で、数学の役割が、数理科学と言われているときには、横糸としていろいろな分野をつなぐというような意味で使われていると思いますが、一方で最後におっしゃっていたiTHES-mathというのは、これはこれからの構想だと思いますが、それは、横糸としての数学の役割以外にも、もっとコアな分野としての数学というものも理研の中で重要であるというお考えに基づいているということなんでしょうか。

【初田主任研究員】
 はい。数学といっても、応用に近いところから、純粋に近いところ、様々あると思うんですけれども、平面よりももう一段上がって、違うレベルから見渡せるという、もう一次元足せるんじゃないかというニュアンスです。ただ、純粋数学の場合に、本当にインタラクションできるかというところはきちんと設計しないといけないと思います。それにしても、やっぱり突き抜けた数学というものを何らかの意味で持っているということは、極めて重要と考えています。

【若山主査】
 よろしいですか。どうぞ。

【森委員】
 実は國府さんと同じことを伺おうと思いました。いま一つイメージがはっきりしないんですが、理研というのはやっぱり応用を中心にやってこられたわけですね。その理研が数学者を組み込もうというのは、ここで、数学イノベーションでやっていることを実地にやられようとしているなら、どのような何かアイディアがあるのでしょうか。高い立場で見るといっても、理研として純粋数学者のような人たちを抱え込んでかまわないんでしょうか。

【初田主任研究員】
 孤立した方をぽんと持ってきたのでは、当然ながらうまくいかないのでiTHES-mathチームと書いたんですが、数人の少し違う方向を向いている方々がいて、その中には純粋に近い人も、応用に近い人もいるべきだと思います。なぜその形態がいいかというと、先ほどのJRAとか、学生の受入れとか、基礎科学特別研究員などの機能が既に理研には備わっていますから、そういうチームさえ存在すれば、若い人の流れが自然に生まれてくるのではないかということです。そうすると、その人たちが大学の数学科や数理科学科だけではなく、理研を通してより広い基礎科学に触れる機会が得られるというメリットもあると考えています。

【合原委員】
 今の点は、やっぱり数学のPIがいなかったから、基礎特研に応募する数学の出身者がいなかったという感じですかね。

【初田主任研究員】
 ええ。数学のPIがいないために、基礎特研のカテゴリーの中にも数学がなくて、応募もできないということかと思います。

【合原委員】
 書いていない。

【初田主任研究員】
 数学のPIがいれば、当然、数学というカテゴリーが公募文面に入るので。

【合原委員】
 普通、PIを見て、そこに行きたいと思いますよね。

【初田主任研究員】
 それはそうです。

【若山主査】
 どうぞ。

【樋口委員】
 人材の多様性に関する質問です。先生は多様な人たちが入ってきているというふうに御説明されましたけれど、幅広い研究分野からもうちょっと引いて俯瞰(ふかん)して見ると、物理数学というか、数学の訓練をしっかりと受けてこられたような人、さらには物性理論とか素粒子理論のようなやっぱりある限られたところからの人材が入ってきているし、そういう人たちが興味を持っているようにうかがえました。そうすると、いろいろな分野での産業界とのクロスは、工学領域も含めていろいろ取り組まれていますけれども、現在、焦点を当てられているのは、広い分野からすると、やはりちょっと狭いんじゃないかと思うのです。そのあたりの人材リソースの観点からして、そういうものにならざるを得ないのかということと、あと、そういう人たちが広い分野のどういうふうなところで活躍できるのか、その辺に関してどのようにお感じなんでしょうか。

【初田主任研究員】
 産学連携レクチャーシリーズを開始して、講師をお願いしたら、みなさん物理を専攻した方々でした。我々の周りにいる若い人たちは、物理出身者にそういう活躍の場があるということさえ知らなかったので、ある意味良い刺激になっていると思います。物理だけじゃなくて、ほかの分野の方々もそれを見ていると、多分波及効果があるかなとも思います。

【若山主査】
 よろしいですか。

【小谷委員】
 評価について、初田先生から、最終的にいい結果、いい仕事をしていれば評価されるというお話を頂いて、心強く、それはまさしくそうだと思います。一方、最近は、もう少し短期的な評価があり、それによって、例えば、給料が査定されたり、任期途中で雇用が切られたりと、だんだん厳しい状況になっていることもあります。特に理研はそのような厳しい制度を採択するセンターもあると聞いています。今、初田先生が構想されているセンターでは異分野融合が奨励されていますが、その場合に短期的な成果や評価をどう考えるでしょうか?特に数学の成果や評価は他分野と大きく違います。理論物理と比べても全然違うので、そのあたりをどのように評価いただけるのかがちょっと気にならないでもありません。特に若い方が参画する場合について。

【初田主任研究員】
 iTHESの若手研究者に関しては、短期的な視点で業績評価するようなことは一切考えていません。にもかかわらず、始まって2年半ぐらいですけれども、アカデミアも企業も含めて、若手の良い流れができつつあります。優秀な人をちゃんと採用すれば、良い流れは自然に生まれるのでないかと思うのですが。すみません、質問に答えていないかもしれないですね。

【森委員】
 すると、現在、理研に数学の方が見えないわけですから、数学をどう評価するかという問題もありますね。

【初田主任研究員】
 それは理研の中だけで評価するのでなくて、外部の目を通して評価していただければいいと思います。そうすれば、研究業績の評価という点では、それほど心配する必要はないかと思います。数学の場合には、1年で評価しても意味ないと思うし、それは十分に理解が得られると思います。

【若山主査】
 大学でも、数学教室に物理学者というか、物理出身の人はそれなりにいるわけですね。だけど、多分、物理学科に数学出身の人って極めて少ないと思うんですね。それこそ物理学者が数学者に転向したというのは、歴史的にも世界的にもあると思うんですけれど、その逆は、余りない、ないことはないでしょうけれど、思い付かない。
 産業界でも、やっぱり物理の人って数学がそれなりにできる人が多くて、それと、現象にも関心があるし、実際知っているという方、そういう人たちが結構企業で数理的なことで活躍されてきたという歴史があるような気がするんですけれど、それはやっぱりそういうふうにお感じになりますか。

【初田主任研究員】
 感じます。一方で、数学の高みというのをちゃんと知っている若い学生や研究者が理研に来て、実際の現象にも触れる機会をこちらから提供することで、もっと大きな可能性が開けるんじゃないかという気もします。

【若山主査】
 そういう若い人がいるとは思いますけれども。
 ほかにございませんでしょうか。何かせっかく新しい……。

【本間委員】
 今の話で言うと、やっぱり評価の仕組みというのは若手の方で気にされる方が多い一方、僕も正直言うと、自分の評価、誰がするの? という問題には出くわしていますね。やっぱり一つは共同作業をどれだけ潤滑にやったのかという軸と、専門性の両方をちゃんと見なきゃいけないと思ったときに、確かに専門領域にずっといた方にとっては、専門の上位者がいないことの不安感って、きちんと払拭(ふっしょく)してあげないといけないんだろうなと思う部分はあります。そういう意味では、さっき言った、外部リファレンスでもいいから、何か外部から評価してあげるということは必要な気もします。あと、一方、多分僕も今、いろいろな若手数学者と会っていますけれど、今まで以上に今の若手数学者の人は現象を見ているので、そういう意味では、ピュアな数学以外の自分の生かし方も少しは理解していると思うんですね、前よりは。だから、そこをうまく巻き込んであげることができたら、多分行けるような気はしていて、僕が20年前にいた数学科とは相当違います。産業界の現場の話って、今回の東大のスタディグループでもいろいろ現場の方たちが講演するフェーズがありましたけれど、多くの大学でやっぱり行っていて、興味のある方は出られるチャンスは持っているので、かなり行けそうな気はします。多分、参加される数学者の精神的なストレスをどう取り除いてあげるかは結構大きく気になります。

【若山主査】
 きょうのお話ですと、物理、化学、生物とあって、それから、情報があって、数学のところが欠けているということで、情報というのはある意味では少し数学の立場と似ているところもあるわけですね。横断的だという点など少し似ているところが、ほかの物理、化学、生物に比べると。そういう観点……。

【初田主任研究員】
 すみません、どこですか。情報?

【若山主査】
 ええ。情報。そういう意味で、私は長谷山委員に話を振りたくて、今みたいな発言をしたんですけれど。

【長谷山委員】
 優秀な若手研究者が数学と理論科学の融合を活発に行うことで実現するプロジェクトで、数学と物理学の連携に集中なさっておられますが、今後の参考になるものと思います。この取組を、本日資料の整理図に当てはめて、どのような展開があるのかを考える必要があるかと思います。例えば、産業会に必要な人材の輩出のために連携する学問分野の設定を行う方法や、数学を学んだ学生や若手研究者がキャリアパスとして企業を考える事ができる環境設定などが考えられるかもしれません。このように、次のステップの議論を始めるために、大変に良い取り組みをお示しいただいたものと思っています。

【若山主査】
 お話聞かれて。

【今井委員】
 数学の方の外部評価の話が出ましたが、外部の評価だけではなく、その人たちがそこでいかに自分の分野を生かせるかというところが非常に大事だと思います。今、中にいらっしゃらないのであれば、自分の培ってきたベースとなる分野で何かサジェスチョンがもらえる方を取り入れる仕組みが必要だと思います。理研の中にいらっしゃらなくても、連携を深くしていただいて、数学の分野のプロフェッショナルな方としゃべれる機会とかもかなり設けていただかないと、純粋数学の若手が入ったときにやりにくいのではないかと思いました。その辺は何か方策をたてていらっしゃるのでしょうか。

【初田主任研究員】
 そういう意味では、仮にiTHES-mathみたいなチームを作ったとしても、それが閉じたチームではいけないと思います。例えば、iTHESのポスドクは、あるときはどこかの大学にいて、あるときは理研にと、国内でも国外でも、ぐるぐる回れるようなシステムが良いと考えています。PIの場合でも、理研に張り付いて常駐しないといけない理由は全くなくて、クロスアポイントメントで、半年は大学でティーチング、半年は理研で研究とか、いろいろな可能性があるのかと思います。

【若山主査】
 そうですね。そうされると、今、3人空白があるところでも、6人の数学者が入り込むという。

【初田主任研究員】
 すみません、3人はたまたま箱があるから書いただけで。それは理研がどれくらいサポートしてくれるかによりますから。

【若山主査】
 舟木先生、何か今。

【舟木委員】
 今回のお話を伺って、非常に勇気付けられたといいますか、個人的なことで恐縮ですけれど、私の研究室でも、ミクロからマクロというようなことを数学的に扱っております。いろいろな手法があると、おっしゃっておられましたが、その一つで、局所平衡といったものを通して数学的に厳密な考察を行っています。そのような手法を数理生物に応用するような取組も学生たちもやっております。ですので、非常に勇気付けられました。
 ただ、やはり先ほどの評価の問題というのは非常に心配で、学生がそういうところに行って、数学の中で余り外部ともまれていない中で本当にやっていけるのかなというような心配とか、数学としては、一つの論文を書くのはなかなか大変ですので、すぐに論文を書くというのは、そういう文化も余りないですから、そういった中で本当に評価していただけるのかなという不安は個人的には感じます。
 ただ、非常にすばらしい、こういうことをやっておられるというのは、きょうお話を伺って非常に有り難いと思いましたので、また応募できるような機会があったら、個人的なことで恐縮ですが、学生たちにも勧めたいという印象を持ちました。どうもありがとうございます。

【若山主査】
 何かありますか。

【初田主任研究員】
 こちらこそ非常に勇気付けられました。

【若山主査】
 それでは、どうもありがとうございました。初田先生、きょうはせっかくですから、このままいらしていただければと思います。
 それでは、続きまして、文部科学省の委託事業、数学協働プログラムの活動について、統計数理研究所の伊藤副所長より御紹介いただきたいと思います。お願いいたします。

【伊藤副所長】
 統計数理研究所の伊藤でございます。
 本日、人材育成を中心にしてございますけれども、委託事業、数学協働プログラムの活動を御報告させていただきたいと思います。少々コンピュータの方があれですが、お手元の資料でごらんいただきたいと思うんですが、まず、この委託事業は平成24年11月に開始いたしました。ですので、3年と2か月というところでございますけれども、1ページ目をごらんいただきたいと思います。この事業の目的と業務の内容でございますけれども、まず、数学・数理科学の研究者、それから、諸科学・産業界の研究者、この双方が集中的・継続的に議論する場を提供することにより、数学・数理科学的な知見の活用により解決が期待できる課題の発掘、それから、この双方の協働による具体的問題解決を目指した研究の実施を促進するというのが目的でございます。
 業務の内容でございますけれども、ここに1、2、3とございます。1に書いたものが中心ということで、これは数学・数理科学を活用した課題解決に向けた研究内容・体制の具体化に向けた議論をすると。これが主でございます。そのほか、数学・数理科学側から提案・働きかけをして、諸科学・産業界に対して数学・数理科学の有用性についての理解を促進するということと、それから、協働研究関係の情報の共有・発信、これが従として2つ並んでございます。
 また、委託事業の公募の際には含まれてございませんでしたけれども、こちらの提案書に掲げた活動といたしまして、協働を担う人材の確保・育成、これがきょうの中心ということになるわけですが、そのほか、協働による具体的解決を目指した研究の実施に向けた支援ということで、この支援というのは、我々は協働情報研究システムと呼んでおりますが、電子的なシステムの支援ということでございます。こちら、きょうは人材の確保・育成を中心にして、このあたりの話という形でございます。
 ページをめくっていただきますと、我々の活動といたしましては、大きくわけてこの5つがございます。
 まず、ワークショップの実施、それから、スタディグループというものがございます。ワークショップにおきましては、課題を発掘すると。先ほども出てきましたけれども、数学を活用できる、そういう可能性のある課題を発掘するということでございます。ここで発掘された課題を深掘りするという意味で、スタディグループという課題解決型の研究集会がございます。これは、このワークショップで発掘された課題を深掘りするだけではなくて、後で詳しく御説明申し上げますけれども、産業界から出てきた課題、具体的な課題を解決するという流れもございます。
 そのほか、作業グループというものがございます。これは特定の分野において課題を抽出するというのが目的でございまして、これまで材料科学、それから、生命科学の2分野におきまして活動してまいりました。ただいま最後、あと1年ちょっとでございますけれども、その期間を使って、金融関係の作業グループを立ち上げようと、今しているところでございます。
 そのほか、諸科学・産業に向けたチュートリアルの実施、これは先ほどの2番目に出てきました、数学の有用性についての理解を促進する、これが目的でございます。
 その後、5番目ですけれども、情報の収集、共有・発信、このあたりは、先ほど申しました電子システムでの発信、あるいはSNSでの発信もございますけれども、中高生を含めた一般向けに、数学というのは役に立つんだよというような、アウトリーチ活動もやってございます。これは最後に少しだけお話ししたいと思います。
 まず、実施体制を簡単に御説明申し上げますが、まず、これは情報・システム研究機構が受託したものでございます。実施は統計数理研究所ということでございまして、事務局は、今、常勤職員が3名、それから、非常勤の、いわゆるポスドクですが、特任助教として2名を採用してございます。そのほか、技術補佐員、これを1名ないし2名を雇っております。協力機関でございますけれども、北大から九大まで、これまで3年ちょっとの間、8機関に御協力いただいて活動してきたところでございますが、本年10月に大阪大学に数理・データ科学教育研究センターができましたので、ここにも参画いただいて、現在は9つの協力機関に御協力いただいているところでございます。
 そのほか、運営委員会を設置してございます。これ、ちょっと字が小さくて、また目がちかちかすると思いますけれども、お手元の資料をごらんいただきたいと思いますけれども、協力機関、現在9機関ありますので、9名の代表の方に参加していただいております。緑色の字です。それから、学会代表としまして、日本数学会、日本応用数理学会、日本統計学会の当時の理事長、会長の先生方に入っていただいております。これはオレンジ色でございます。そのほかの、発足当時、産業界に在籍していらした方、6名の方に運営委員として入っていただいております。そのほか、学外の有識者が4名、あとは、情報・システム研究機構から3名が入っております。以上、25名の運営委員会を、3年2か月の間に11回実施いたしました。
 これが実施体制でございます。
 ここから、先ほどの主目的の1番でございますけれども、これについて説明させていただきたいと思います。人材育成を中心にしてということです。この事業のほとんどは重点テーマというものを設定してございます。1のビッグデータ云々から、6番の最適化と制御の数理まで、6個の重点テーマを設定しております。これはもともとこの数学イノベーション委員会がまとめられた数学イノベーション戦略、当時の中間報告に基づいて、運営委員会で議論して決定したものでございます。1から3までが対象ですね。4から6が方法論でしょうか。そのような分類になっております。ほとんどの活動はこの重点テーマに基づいていると。
 まず、ワークショップでございますけれども、ワークショップといいますのは、数学協働プログラムにおきましては、後でお話しするスタディグループとの差別化のために、こちらでは諸科学・産業において顕在化しにくい数学・数理科学へのニーズを発掘する場と捉えております。こちら、公募要領にも、発掘された課題をいかに掘り下げていくつもりか、あるいは、ワークショップ終了後にどのような進展、どのようなフォローアップを考えていらっしゃるかということを必ず書いていただいて、審査して採択して、実施しているということになります。
 これ、平成26年度、昨年度から特に若手研究者の応募、それから、新たな着想に基づく萌芽(ほうが)的な提案を奨励するために、奨励枠というものを別枠として設置しております。こちらの方は、これまでの実績とか、そういうのは余り見ないで、また、その代わり、経済的な支援の金額の上限を今まで20万円にしていたと思いますが、下げて、広く応募を奨励しているものでございます。
 これまでワークショップにつきましては、3年2か月の間に7回の公募を実施いたしまして、応募が66件ございました。そのうち56件を採択、ここに「+3」と書いてございますのは、スタディグループに応募されたものの中で、これはスタディグループというよりもワークショップの方が適当だろうということで、こちらに種別を移して採択したものでございます。1件、中止という事態になったんですが、合計58件をこれまで実施してきたということでございます。
 平成25年度までは、こちらの研究振興局の方でワークショップを公募されていましたが、それを26年度から中止して、この奨励枠に置き換えたというような形でございます。
 26年度から、連携の輪を広げるために、ワークショップの実施におきましては、できるだけチュートリアル等を含めて提案を推奨するというような形にしております。このワークショップの実施後1か月以内に実施報告書を出していただいたり、あるいは6か月後にはフォローアップ調査をして、どのような進展、どのような成果があったのかを調査してございます。中には余りしつこいことをやりますと、怒り出す方もいらっしゃるので、注意深くこのような調査をしております。
 ワークショップにおける重点テーマの分布ですけれども、1から6まで先ほどございました。やはり人気が高いのは、これは採択分でございますけれども、1番の「ビッグデータ、複雑な現象やシステム等の構造の解明」、これが一番多いと。その次は「最適化と制御の数理」、このあたりが多いということになっております。
 先ほどの実施報告書ですとかフォローアップアンケートでどのような課題が出てきたかということの抜粋がこれでございます。平成26年度末までに47ぐらいのテーマが上がっております。運営委員会では、その中でこれだと思うものを深掘りするために、例えば、スタディグループとかそういうものをこちらでアレンジしてはどうかと。そのような話も出ております。進展といたしましては、国内の学会ですとか国際学会を準備したりですとか、あるいは企業との共同研究、特許、それから、ソフトウエアの開発、あるいは当然ながら、共同研究、論文執筆などがございます。そのほか、数学協働への新たな申請ですとか、それから、科研費の特設分野研究の応募、それから、JSTのさきがけ、CRESTへの応募などが見られます。平成26年度末までの調査ですけれども、このワークショップで出てきた成果として、競争的資金への応募で採択されたものが6件、論文発表が38件でございます。
 ワークショップの所属でございますが、このプログラムでは、数学・数理科学側と、それから、諸科学・産業がほとんど半々で組織してくださいということを言っておりますので、大体そのような形になっていると。
 こちらは、新たに奨励枠を作りまして発掘されたといいますか、採択された研究集会のタイトルでございますが、例えば、ここら辺、「健康増進・ヘルスプロモーションに関する数学ニーズの発掘」なんていうものも採択してございます。
 次、スタディグループでございますが、これがきょうの中心でございますけれども、スタディグループと申しますのは、産業界あるいは諸科学分野からの具体的な課題、大体1会合について数課題なんですけれども、この提示を受けて、あるいはワークショップで発掘された特定の課題に対して、コーディネーターが関連する数学・数理科学の研究者を集めて、当該分野、それぞれの分野のエキスパートである研究者・技術者とともに、課題の解決に向けて短期間の集中討議を行うというような、課題解決型の研究集会でございます。発祥としましては、イギリスのオックスフォードでございますけれども、現在は11か国40大学以上に拡大しているということで、最近、ヨーロッパの状況を見ましたけれども、1か月に2回ぐらい、システム化されていまして、例えば、今度の1月はベルギーで1回、それから、スペインで2度目というような、スタディグループが開催されるとのことでございます。
 東大、九大では、平成22年度からスタディグループを実施されていらっしゃいます。歴史的には産業界との協働が原則なんですが、数学協働プログラムにおきましては、運営委員会で議論いたしまして、反対もあったんですけれども、産業界とだけではなく諸科学分野からの課題提示に基づくスタディグループも対象とするということになって現在に至っております。
 産業界・諸科学分野の研究者等にとっては、具体的な課題の解決に結び付く、そういう機会になり得る一方で、数学側にとっては、産業あるいは異分野との問題に接することができるということがあるわけですが、特に若い方、若い研究者の方々には、OJT――On the Job Trainingですとか、PBL――Project Based Learningによる育成にもつながるということで、いろいろな成果が出ております。それについてまた後ほどお話ししますが、数学協働プログラムとしてこれまで21件実施しております。ここに書いてございますけれども、諸科学分野と産業界を比べますと、ほぼ同数の実施状況でございます。
 これが平成26年度に採択したスタディグループのタイトルでございますが、例えば、「自動車用オートマチックトランスミッションのギヤノイズばらつきの要因究明」、これは産業界からのものでございます。それから、このあたり、「航空機開発における不確実性への統計数理科学の応用」、これはJAXAからの課題提供になります。こちら、「産業・異分野における課題解決のためのスタディグループ」、これは東大で実施されたものですが、これにつきましては、後ほど、山本先生から資料を提出いただいておりますので、それをごらんいただきたいと思います。
 スタディグループにおきましても、重点テーマの分布はこのようになっております。こっちは産業界からの課題提供でございますので、4番の「計測・予測・可視化の数理」というところが多くなってございます。
 こちら、所属ですけれども、数学側と諸科学・産業側、ほぼ同数と。
 これだけ数学・数理科学が一面青になってございますけれども、これは明治大学で開催されたスタディグループ、こちらは資料にはございませんけれども、「多孔質媒体の移動と内部構造を考慮した流体モデルの構築」ということで、実際にスタディグループの会場で、これは喫茶店を経営している、いわゆるバリスタというのですか、コーヒーを入れるプロの方に来ていただいて、コーヒーの抽出実験を行いながら、流体モデル、数理モデルを作ったというような面白いスタディグループでございます。スタディグループの会期中、ずっとよい香りがしていたということです。
 問題が解決したかということでございますけれども、すぐ解決してしまうとつまらないわけですけれども、解決したのは青、めどがたったのは赤でございます。スタディグループは大体数課題、課題がございますので、あるものは解決したけれども、あるものはめどが立った、あるものはこれは駄目だろうというような結果になっておるというようなことでございます。
 代表的な成果事例がここにございますけれども、例えば、これ、先ほど挙げたオートマチックのトランスミッションのギヤノイズの関連性モデル化ということですけれども、ギヤノイズに関連する項目をデータ化で予測して、ノイズの低減を目指すということでございますが、これ、スタディグループの会場に統計ソフトウエア企業の方に参加していただいて、その場でデータ解析をして見せて、企業の方と一緒に解決していったと。そのようなスタディグループでございます。
 これは山本先生から御提出いただいたスライドでございますが、東大では、コース生が専門を生かして活躍しているということですが、コース生というのは、数物フロンティアリーディング大学院のコース生ということでございます。多様な業種の企業、海外の研究機関から課題の提示を受けて、5日間の会期中、コース生、ポスドクらによる解決に向けた作業を行うと。最終日には、コース生らが成果報告をして、一方で産業界の方、課題を提示した方々から評価いただくというようなことでございます。
 こちらに新聞記事がございますけれども、山本先生のところでいろいろ、これは共同通信社の取材だと思いますが、いろいろな地方新聞に掲載されていたということでございます。2010年以来、合計58課題を開催しています。これは九州大学IMIとの共同開催も含むということでございます。これは共同研究契約なしの共同作業で、いわゆる「お試し」ということでございます。ほとんどの場合が、その後の深い共同研究のきっかけになるということでございます。
 この新聞でございますが、これ、京都新聞でございます。こちらは若山先生が写っていらっしゃって、合原先生のことも多分ここら辺に書いてあるんだと思います。
 これも課題の例ですね。「シャフトの自動歪取」ですとか、「温暖化ガスの地中取り込み」、「インターネット上の情報伝播の数学モデル」、このような課題が上がっているということでございます。
 あと、時間ももうほとんどございませんので、簡単に説明させていただきたいと思いますが、作業グループというものを実施しております。これはその中の一つ、材料科学の作業グループでございますが、これは10名がメンバーなんですが、若手の方々に特に入っていただいて、自由に議論していただくと。若い方ばかりなので、アドバイザーとして小谷先生とか西浦先生に入っていただいて、お導きいただいてやってきたということですが、一つの成果といいますか、活動として、日本応用数理学会の年会におきまして、中川先生にもオーガナイザーに入っていただいて、このような企画セッションを実施したということでございます。このほか、まだ成果を外に出しておりませんけれども、特定のトピックに関して課題発掘のための討議ですとか、ミニスタディグループを実施したということでございます。この作業グループは、特に若手が議論する場を設定するということで実施しているものでございます。
 もう一つ、生命科学の作業グループでございますが、そちらのメンバーはこの13名程度でございますけれども、こちらの方は理研の望月先生、先ほどもお名前が出ていましたけれども、リーダーになっていただいてまとめていただいたんですが、先ほどの材料科学に比べますと少し年上の先生方なんですが、これまでの数理的研究を振り返って、その分析や経験の整理を行う。成功例とその理由、逆に困難だった例とその原因をまとめるとともに、分野の振興を意図して、今後の発展が期待できる課題を挙げるということで、今年の3月に提言書をまとめました。ここでは、今のように生命科学の礎となる数学を記述した後に、今重要だと若手が考えている未解決問題をオープンプロブレムとして挙げて、活動を終了したところでございます。
 このオープンプロブレムに対して、今年度のワークショップ、スタディグループで公募いたしましたところ、このように6件の研究集会が提案されて、今年度、ほとんど12月からですね、活動するところでございます。
 最後になりますけれども、ほとんど最後ですけれども、その他といたしまして、若手人材の育成に向けた取組といたしまして、数学協働プログラムでは、数学会の社会連携協議会の人材育成に向けた取組、2つございますけれども、まず、異分野・異業種研究交流会、これ、昨年度が1回目、今年度が2回目でございます。これと、キャリアパスセミナーを支援しております。共催しております。
 こちらは、社会連携協議会から頂いた資料なんですけれども、今年度の場合は、参加者が数学関係者45名、企業関係者68名ということで、今年度は是非高校の先生にも参加していただきたいということで、数学教育学会ですか、北海道で開催されたときにチラシを配布いたしまして、是非来てくださいと言ったところ、5名の方にいらっしゃっていただきました。これは首都圏じゃなくて、かなり遠くの方がいらっしゃってくださっておりますが、そのような結果でございます。今回は、昨年度数学側のポスドクとして参加した方が、企業側で参加したということで、そのような事例も1件ございました。
 これは新たな人的ネットワークの構築ということでございまして、ワークショップで課題を発掘して、課題の深掘りをスタディグループという話をしましたけれども、これは感染症に関するものです。感染症に関する課題を、これは文科省の内局ワークショップで発掘して、課題として2つ挙げられたと。その課題を深掘りするために数学協働のスタディグループを実施した。これは論文になったりしているんですが、その応用として、一つは、産業・政策における活用に向けて、これは九州大学のIMIでワークショップ、共同研究集会を実施したと。人材育成に向けたワークショップを統計数理研究所で実施。それから、サマースクールとして、10日間の入門コースを実施したということがございます。これは昨年度と今年度の2年連続で実施いたしました。
 今年度のサマースクールの内訳を次に書いてございますが……、すみません、1点ございました。これは更に国際化を目指すということで、今年度、つい最近、国際ワークショップが開かれました。
 サマースクールの内訳なんですが、青が学生、オレンジと緑が社会人ですね。専門分野で見ますと、青が数学・数理科学なんですが、オレンジが諸科学――数学・数理科学以外の科学、それから、緑が医学、紫が獣医学・農学というふうにかなりいろいろな方が参加されているということが分かります。
 この後でございますが、時間もございませんので、アウトリーチ活動をやっているということで、ぱらぱらと見ていただければと思いますが、「最後に」というところに移らせていただきます。お話ししたところは飛ばしまして、スタディグループにつきましては、数学協働プログラムで、全国の大学で是非展開したいということで、来年度、名古屋大学と大阪大学での実施を目指して、現在、事前打合せ等々をしているところでございます。
 それから、ワークショップやスタディグループを個別に開催するだけでは余り効果がないということで、先ほどの感染症の例にございますように、あのような有機的な流れをこちらの事務局で誘導できたらいいなというふうに思っております。
 あと、これまで関連学会ですとか、産業界と意見交換を随分行ってまいりました。その中の幾つかはワークショップ、スタディグループ、作業グループ等に生かされているわけですが、一つ、日本応用数理学会のものづくり研究会というのがございます。こちらの方で、いろいろ製造業の方々がいろいろなニーズをおっしゃってくださいますので、こういうところでそれを拾い上げて、それを活動に結び付けられたらいいなというふうに思っております。
 あと、情報共有等々は飛ばしまして、あと1年度ございますけれども、連携の輪を広げるために、今後は数学との関連の薄い学会にどんどん出ていきなさいというふうに言われておりますので、医学系、社会科学系の学会に出ていこうというふうに考えているところでございます。
 産業界からの人材を、逆にこちらで受け入れてというのも一つの方策だと思うんですが、なかなか数学協働プログラム自身では難しいと思いますが、各機関がこのような仕組みを取り入れていただければいいんじゃないかなと思います。
 それから、最後の2つは、今後に対する期待なんですが、これまで10機関の連携を行ってまいりましたけれども、せっかくこんな流れができましたので、是非、あと1年で終了しますけれど、後継事業におきましても、これが恒常的な連携につながるようにしていければと思っております。
 それから、日本数学会の社会連携協議会の人材育成に向けた取組、これにつきましては、数学協働プログラムも今支援しておりますけれども、この事業がなくなると、そちらの方もなかなか難しくなるということで、それも後継事業に是非考えていただきたい。それはジャーナリスト・イン・レジデンス、こちらの事業にも同じことが言えますので、是非御検討いただければと思っております。
 すみません、長くなってしまいましたけれども、以上で終わらせていただきます。

【若山主査】
 どうもありがとうございます。
 今、御紹介のあった委託事業ですけれども、それにつきまして、最近、中間評価をしていただきましたので、その紹介を事務局からお願いいたします。

【粟辻推進官】
 余り時間がありませんので、簡単に紹介させていただきますけれども、資料3-2が中間評価結果の報告書でございます。
 1枚めくっていただきまして、中間評価に御協力いただいた先生方の名前が下のところに入っています。下が高橋陽一郎先生で、あと、NTTの岡本先生、それから、システム・バイオロジー研究機構の北野先生、それから、東大医科学研究所の宮野先生に御協力を頂きました。
 それで、めくっていただきまして、5ページに項目と評点が付いております。一番下にあります総合評価がAで、個別の評価がその上に5項目ございます。おおむねaですけれども、bになっていますのが3番のところでして、これが諸科学・産業における数学・数理科学の有用性についての理解の促進というところで、ここはもっとできる余地があるんじゃないかという意味合いでございます。
 それで、その次の6ページ、7ページに具体的なコメントが取りまとめられております。ごく簡単に紹介させていただきますと、総合評価はよくやっているということですけれども、より幅広い分野を対象とすることとか、あるいは社会に対して成果を生み出していくことが今後期待されるとかいうふうにされています。
 個別の項目別の評価としまして、目標の達成度は、運営体制がしっかり作られているという話ですとか、あるいは多数のワークショップの開催を通じて、人材ネットワークの形成のきっかけができているといったことが評価されております。
 2つ目の項目が、いわゆるスタディグループとかワークショップとかを通じた課題の発掘、抽出といったものでございますけれども、スタディグループにつきましては、そこから特許など目に見えるような形になることが期待されるということですとか、さっきありましたように、こういったスタディグループを開催する大学も、これまでは九州大学、東京大学、それから、統数研なんかでも少しやっていただいているわけですけれども、それ以外のところへの拡大なんかを期待するということです。
 ワークショップにつきましては、これもいわゆる数学と連携しやすい分野、あるいは既に関わりがある分野だけじゃなくて、特に国内において数学との連携の実績が少ないような分野を含む幅広い分野において開催できるように努力してほしいと。
 それから、「なお」のところにありますように、いわゆる課題の発掘なんかについて検討するような場、先ほどの作業グループなどを念頭に置いているわけですけれども、こういったところのメンバーの設定とか、あるいは、提言のまとめ方などもさらなる工夫を期待するというふうに書かれています。
 3が、諸科学・産業における数学・数理科学の有用性についての理解の促進というところですけれども、ここも最後のところにありますけれども、数学との交流実績の少ない分野の学会など、他分野の働きかけを増やしていくことも期待するというふうに書かれております。
 それから、最後のページ、7ページの上の部分が、情報の共有・発信、ここにつきましては、システムなどを構築しているわけですけれども、特に過去のワークショップの講演資料なんかがシステム上で見られるといいんじゃないかといった御指摘がございました。
 5番目が、その他(人材育成、新たな人的ネットワークの構築等)でございまして、これもよくやっているんだけれども、例えば、キャリアパスセミナーなどが単なる就職のあっせんにとどまらないように留意してほしいというようなコメントがございました。
 それから、最後の、今後の継続性・発展性につきましては、これは非常に時間が掛かることなので、今後も継続・発展させていくことが望ましいということですけれども、特にやり方につきましては、現在統計数理研究所を中心にやっていただいているわけですけれども、それ以外の協力機関などもそれぞれの特色に応じて適切に役割を分担しながら進めてほしいという御指摘を頂いています。
 これは概略でして、続きまして、資料3-3を1枚用意しています。これが、本日伊藤先生から御紹介いただきました数学協働プログラムのこれまでの活動の実績ですとか、あるいは中間評価の結果、こういったものも踏まえまして、今後数学イノベーションを推進していく上でどのような取組に力を入れていきましょうかという論点を少し整理させていただいたものでございます。
 1つ目の丸が、今申し上げた、どういうところに力を入れていきましょうかということで、例えば、まだまだ人材が足らないので、人材の育成みたいなところに力を入れるべきではないかとか、あるいは、諸科学とか産業から見た場合の認知度というのはまだまだ十分じゃないので、それを向上させることが重要ではないかとか、あるいは、課題の発掘・抽出ですとか、あるいは国際的なプレゼンスの向上ですとか、こういった幾つかまだまだ課題があるかと思いますけれども、どういうところに力を入れていきましょうかというのが1つ目の論点でございます。
 2つ目は、こういった活動、取組をするに当たって、先ほど御紹介がありました、協力機関が全国で9機関、統計数理研究所を入れまして10機関あるわけですけれども、こういった数学・数理科学と異分野や産業との連携の拠点が自ら個別に実施すべき取組と、それから、もう少し全国的な体制の下で協力しながらやるべき取組とかがあると思われるわけですけれども、それはどのように整理すべきなのかというのが2つ目の論点。
 3つ目が、具体的に他分野、産業との連携を進める上で、特定の研究のテーマですとか、あるいは連携相手となるような研究の領域、それから、研究の拠点、こういったところに重点的な支援をしていくのか、それとも、多様な研究テーマ、あるいは大学なんかに幅広く支援をしていくのがいいのかといった問題もあるかと思います。
 本日はこういった点を中心に御議論いただければというふうに思います。以上でございます。

【若山主査】
 どうもありがとうございます。
 今、粟辻さんから御説明のあったようなことについて意見交換をしたいと思いますが、質疑も含めて、伊藤先生の御紹介のあったことに対して御意見を頂戴できればと思います。何かございますか。

【國府委員】
 もう退席しますので、お伺いしたいところだけお伺いしますが、まず、数学協働プログラム、非常に多彩なことをされていて、それぞれ実績が上がっているということで、関係の方の御努力は大変なものだろうと、敬意を表します。
 それで、お伺いしたいのは、ワークショップとかスタディグループとかで参加している数理、諸科学・産業等の分類がありますが、例えば、数理というときに、どれぐらい新しい人が入ってきているのかということです。今日の最初のまとめの資料1のところにありましたように、それまで数学のことしか知らなかった人たちがいろいろなところに触れる場として重要であるという位置付けの部分を考えたとしますと、そのときに、例えば、オーガナイザーの周辺の人だから来るというのはあると思うんですけれども、それ以上にどれぐらいに広がっていっているのかというのについてのデータや情報があるとか、あるいはお考え等がありましたら教えていただければと思います。

【伊藤副所長】
 そのようなデータは集めてはいないんですけれども、今、何と申しましょうか、ある程度公募して採択した際に、運営委員の先生方からいろいろ、例えば、こういう分野と一緒にやればいいんじゃないかというような御意見を頂きますので、それを採択通知とともに運営責任者にお伝えするようにしています。それが実際に実ったかどうかまでは、申し訳ないですけれど、チェックはしておりません。

【若山主査】
 そこは結構難しいところだと。
 ほかにございませんでしょうか。

【小谷委員】
 御紹介いただいた社会連携……、24ページですか、数学の博士課程の学生と研究を中心にされる企業との出会いの場を作るための取り組みで、数学会も主催だか共催にしていただいます。実際には社会連携協議会が数学協働プログラムの支援を受けて実施しています。今まで何度かやっているのですが、最初は、企業側も、会社から言われたから来たという感じ、学生も先生から言われてとか、そういう雰囲気でしたが、何度か開催してているうちに互いの理解が深まったのか、今回はものすごくいい感じでした。企業の方も数学の学生に何を期待するかが見えてきたようですし、学生の方も、企業での研究、特に数学が企業の研究にどのように使われているかなどに関して興味もあり来たという参加者が多く、とてもいい雰囲気に議論が盛り上がっていました。先ほど御指摘ありましたように、この取り組みは、今は、数学協働プログラムで支援していただいていますが、せっかくうまくいき始めたので、継続的に御支援いただけると有り難いです。

【若山主査】
 ほかに。どうぞ。

【合原委員】
 ちょっと関連するんですけれど、今の、学生にとって産業、企業を知るいい機会になっているという成果が上がっていると思うんですけれど、もう一つ、企業側にとってという点があります。例えば、スタディグループの出口戦略みたいなものになると思うんですけれども、我々は工学分野にいるので、例えば、企業の方が民間等共同研究員として我々の所へ研究をしに来て、本当に実用になるような共同研究をやったり、それから、あとは社会連携研究部門みたいなものを本当に企業と一緒に大学の中に作って、出口をやるんですよ。そういうところまで行くと、こういう試みが本当に成果が上がったことになると思うんですよね。だから、その辺の見通しというか、そういうことをうまくやるような仕組みづくりとか、何かその辺は考えられているんですかね。

【伊藤副所長】
 例えば、スタディグループのお話だと思うんですが、スタディグループを実施した場合、企業とのスタディグループの場合は、かなりの割合でこれは共同研究に進んでいると思うんですね。

【合原委員】
 実際にもう形になっているんですか。

【伊藤副所長】
 はい。共同研究契約を結んで、それでなっております。

【合原委員】
 それはいいですね。

【伊藤副所長】
 諸科学の場合は、論文執筆ということになるんでしょうけれども。

【合原委員】
 社会連携講座みたいなのはまだできていないですか。

【伊藤副所長】
 それは数学協働プログラムとしては……。

【合原委員】
 いや、それがきっかけになってというのはまだない?

【伊藤副所長】
 そういうお話は聞いていないですね。

【粟辻推進官】
 そこまでまだ大きなものになっているものが明確にあるというわけではないんですけれども、これがきっかけになって学生さんの論文の執筆につながったりだとか、就職につながったりだとかいう事例は幾つか出てきているというふうに聞いています。だから、そういうものをもっと組織的にシステマティックにできるような仕組みがあるといいのかもしれません。

【若山主査】
 あと、スタディグループの後に学生がインターンシップに行くということは時にありますね。それが例えば、産業界だけじゃなくて、他分野の研究室に行くという、そういうのをもう少しエンカレッジしてもいいのかなという気はしているんですけれど。ただし、遠くの大学に行くときは少しその予算をどうするかというふうな、産業界だと少なくとも住むところは出していただけるので、往復の交通費と。そういうところはちょっとありますね。

【中川委員】
 いいですか。私は、スタディグループの常連で、いつもお世話になっています。今まで参加して、日本のスタディグループは、海外のスタディグループ、例えば、オックスフォード大学とはちょっと違うなという感覚を持っています。オックスフォードの場合は、企業の問題をスタディグループの期間内のいかに解決するかということに重きをおき、専門家を集めて集中的に議論と作業をするのですが、日本は、学生主体のスタディグループですので、企業からの課題提供者が数学の学生さんと対話し議論する過程を通じ学生が数学以外の分野を経験することに重きをおいているような印象をもっています。
 また、学生の専門分野が、偏微分方程式や統計学に偏っており幾何(きか)や代数を専攻する学生の参加割合は非常に少ないと思います。企業の問題設定の仕方もあると思うのですけれど、私も、幾何とか代数を専門とする数学者が活躍できるような問題設定はどうあるべきかをずっと考えていますが、なかなか難しいです。しかし、そこをやらないと、純粋数学の人が連携の場に積極的に参加し、数学の成果を大々的にPRするということにはならないのではと思います。

【若山主査】
 ありがとうございます。中川さんにはずっと本当に努力していただいていまして、そう思います。
 また、九大に関係することですけれど、やっぱり御指摘のように、学生の関心というのを強く最初に思いましたので、オックスフォードで始まったスタディグループの考え方というのは知ってはいたわけですけれども、むしろ博士課程の学生に対するチャンスというものを念頭にといって始め、それが何となく続いているのかなという気はします。
 ほかにございませんでしょうか。

【本間委員】
 そういう意味だと、論点の方に少し書かれていたところで言うと、産業界が問題を持ち込むときの一番の問題点は、どういうアプローチ方法があるか見渡せていないところで問題を持ち込んでいるところです。ドクターだったりポスドクの方たちと相談して、自分の専門領域では考えられるんだけれど、他領域まで含めて広い視点で考えられるかって、そこは若干欠落してしまいます。産業界から割とふわっとした問題提起をどうアプローチするかという、ちょうど中間でトランスレーションする機能というのをどこかに置けると、もうちょっと産業界側もいろいろな人が出てくると思います。今、どちらかというと、トランスレーションまでを産業界が少し行った問題を渡しています。しかし産業界側にまだまだ数学出身者が輩出されていないということを考えると、ある程度中間地点に問題をうまくトランスレーションされるようなコア組織があって、かつそれがオックスフォードほどいかなくても、いわゆるシステマティックに動ける運営中心メンバーの方たちがいらっしゃると、ほかの方たちが多分、もっと勇気を持って参加すると思います。今、産業界にリーチアウトしてできない問題ってプレゼンスの問題というふうに見えているんですけれど、そこよりはもうちょっと産業界が問題を持ち込みやすいという環境を作り出した方が、産業界側が入りやすい気はしています。そういう組織があると非常に有り難いと思っています。

【長谷山委員】
 よろしいですか。

【若山主査】
 はい。

【長谷山委員】
 私も、本間委員の発言と同様の考えです。さらに、意見を述べさせていただきます。この数学協働プログラムは、大変に良く進められていますが、評価コメントの総合評価に「より幅広い分野を対象とすること、そして、社会に対して成果を生みだしていくことが期待される」、項目別評価に「これまで数学との交流実績の少ない分野へ働きかけを増やしていくことを期待する」と言う指摘があります。これは今までこの委員会で議論されてきた内容と同じものと感じています。社会や企業が解決を望む問題を他の科学分野と連携することで、数学の力が一層活(い)かされると考えると、このプログラムで実際に共同研究が行われて、その後更に踏み込んだ問題解決に進もうとした時に、どのような障壁が存在するのかを洗い出すことができれば、オックスフォードとは違う日本流のスタディグループの在り方や数学の産業連携の体制、さらには問題解決における数学の貢献の見える化に示唆を与えるのではないかと思います。

【若山主査】
 ほかにございませんでしょうか。

【合原委員】
 ここは僕もすごく同感で、前、ここで紹介したんですけれど、生産技術研究所という、今、僕がいるところは結構産業界の人がしょっちゅう来られるんですよ。たまたまある企業の方が、自動車のシャフトの問題を僕のところに持ち込まれて、それは偏微分方程式の問題になるので、僕は山本先生を知っていたので、山本先生を紹介して、山本先生が解析して、すごく成果が上がったんですよね。だから、そういう産業界と、数学の誰が解けるかというのの間をつなぐような場に、例えば、このスタディグループがなると、結構そこから本当に問題解決ができる、優れた応用が生まれてくると思うので、そこに期待したいですね。

【粟辻推進官】
 間をつなぐというのは、そういう専任の人みたいなものが多分必要だということなのか、今、やっておられるような先生方が片手間に少しお手伝いしていただくような……。

【合原委員】
 以前ここで議論したコーディネーターとかそんな話ですかね。だから、本間委員が一番ぴったりかと思うんですが。

【本間委員】
 何かやっぱりコアの人がいた方が絶対いいでしょうね。

【小谷委員】
 今、御指摘のあったことは、実は数学だけに関する問題ではないと思います。大きな企業に限らないと思いますが、海外の大学とは連携をするのに、日本の大学と連携しない理由として企業が挙げているのは、海外の大学ではこういうことをやりたいと言うと、それに必要な情報提供が非常に迅速に行われるけれども、日本ではそうではなく、企業の方で一生懸命調べてから、先生に直接コンタクトしなくてはいけないので、とても手間が掛かるのだそうです。数学がモデルケースとなり、企業の問題解決に対して、いろいろな手法や人材のありかを即座に提供できる組織とか仕組みができると、日本全体の企業のニーズと大学の基礎研究との橋渡しが上手にできるのではないでしょうか。このような仕事は片手間ではなかなかできないので、前に議論したように、コーディネーターなりの身分があり、そしてきちっとした知識のある方が必要でないかと思います。

【合原委員】
 あとは何らかの組織がやっぱり要りますよね。

【小谷委員】
 要ると思います。

【合原委員】
 個人の努力でやれる範囲は超えているので。

【粟辻推進官】
 以前、今のこの委員会の、2月に今の体制が立ち上がる前だと思うんですけれども、いわゆる全国的な相談窓口みたいなものがあった方がいいんじゃないかとか、そういうことを受け止められる体制、つまり、そこに相談すれば相談内容を咀嚼(そしゃく)して、適切な数学者を何人か紹介してくれるみたいな、そういう仕組みがあるといいんじゃないかという議論が実はあったんですけれども、じゃ、実際にどういう人がどういう体制でやるのかとか、あるいは大学間の壁とか、あるいは企業側の守秘義務とか、そういったものをどうクリアするのかとか、そういう話もあって、今のところ余り具体的なものにはなっていないところがあるんですけれども、そういったものがやっぱり必要だということなんでしょうか。

【小谷委員】
 そうなんじゃないですか。

【本間委員】
 一方で、この間、全然違うところで話していたのが、恐らく中間の人というのは産業界とアカデミアのインターフェースなので、企業側にも最新のアカデミアの発展で使えそうなものを話す必然性もあります。また当然、持ち込まれた問題を誰につなぐかという両方の側面のインターフェースが、今、多分に必要で、それを知らないが故に、日本の産業界の人たちって海外に研究に行っているケースも見受けられ日本のアカデミアにとっても機会損失もたまに発生していると思います。恐らくそういう意味だと、アカデミアの情報と産業界の情報をうまくクロスさせるという何らかの人がいて、その組織というのは、その手の情報が常にアップデートされる。しかも、スタディグループの過去の経緯を全て捉えていくみたいな人がいるのが、多分ベストな気はしますよ。

【若山主査】
 例えば、頂いた、何ページですかね。平成26年の開催スタディグループというグラフがありますよね。これを見ますと、産業異分野におけるというのが頭に付いていると、確かに諸科学・産業界の人が入っているんですが、ほかのところは、どちらかというと、どっちかに偏っているというか、ほぼどっちかなんですよね。ですが、どちらかというと、産業界と諸科学分野というのは、それまでにスタディグループとかいうのではなくてつながりがあることが多くて、そこをうまく入れていくと、少し先ほどの問題の一部解答ができるんじゃないかと思うんですけれど。
 粟辻さんがさっきおっしゃった、紹介してくださったことは、そういう議論をいたしましたが、以前は少しやっぱり問題を持ち込まれたときにという窓口みたいなところがニュアンスとしては強かったかなという気はしますね。今はもうちょっと発展した議論をきょうはしていただいていると思うんですけれども。

【粟辻推進官】
 そういうことができるような素養がある方というのは、例えば、今、スタディグループを何度か積み重ねてきたので、そういったものに参加、そういったものの中心になってこられたような企業の方ですとか、あるいは大学の数学の先生ですとか、そういった方に知見とかノウハウが見えない形でたまっていると思うんですけれども、そういう方が現状では中心になってやらなきゃいけないということなのか、それとももう少し別の視点、別のもう少し若い方を巻き込んでそういうことをむしろ専門にするような人を育成していかなきゃいけないのか、どんな感じなんでしょうか。

【合原委員】
 そういうインセンティブがある若い人がいるかということですよね、大学院生とかで。

【粟辻推進官】
 そうですね。要は、そういう機能があればいいということはそのとおりだと思うんですけれども、じゃ、誰がやるのか、あるいは、そういうのをやりたい、そういうのを一生の仕事にしたいと思うような人がうまくいるのか、あるいは、インセンティブをうまく与えられるのかという問題があるのかなというふうに思います。

【合原委員】
 若い人はもうちょっと夢を持っているから、ある程度年の人じゃないと難しい。

【小谷委員】
 両方あった方がいいと思います。メンター的にやれる方、きちっといろいろな経験を積まれた方が1人なり2人いて、その下に若い人が何人かいるという形がベストです。若い人に関しては研究を完全にギブアップしてコーディネートだけをやるというのではなかなか人も集まらないかもしれません。両方の出口を見ながら、自分に向いている方向を模索していけるという方が良いと思います。
 東北大学の知の創出センターには異分野融合のコーディネーターを3名置いています。助教レベルですが、彼らにはキャリアとして両方考えていいよと言っています。任期ありの職ですので、異分野交流のコーディネートをしつつ、自分の研究もしっかりする。コーディネーターとしての仕事に関しても、研究のネットワークを作ったり、新しい問題を知る機会になってうれしいと、それぞれのモチベーションを見つけています。

【若山主査】
 こういう議論をお聞きになっていて、初田先生、何か思われたり。

【初田主任研究員】
 ちょっと視点は違うと思うんですけれど、私のスライドの中に理論科学者集団というのがあって、それが純粋と応用を結びつけるということを想定しています。産業界と数学を、いきなりくっつけようとしてもなかなか無理があって、間にトランスレーターが必要と考えていて、理論科学者、特に物理学者は、そういうトランスレーターに適しているのかなと思います。一方で、産業界の極めて具体的なニーズや質問を専門家と結び付けるのは、本当に人間がやらんといかんのかな、とも感じました。それは、AIでも可能ではないかと。

【合原委員】
 そうかもしれないね。

【粟辻推進官】
 データベースとか視点を作れば済むというわけではない……。

【初田主任研究員】
 単なるデータベースでは不十分かもしれませんので、もう少しアドバンスな人工知能的機能というが必要かもしれません。

【合原委員】
 つまり、一人一人がコーディネーターに向いている人ですら、やっぱり知っている人は限られているわけで、それを全部データベースにしちゃえば、本当の意味でのマッピングが作れる可能性はあります。
 ただ、もう一つ、いまだに解決できていないのは、問題解決できる数学者がいたとして、その人に振って、時間を掛けて解決してもらったときに、数学者としてその人の業績になるのかというその部分ですよね。そこはやっぱり悩ましいところで、それで昔、長谷山さんとかと議論したのは、情報とか、もうちょっと応用寄りの人たちも含めて、それを解決する人たちを入れないとうまく回らないんじゃないかという、その部分は数学の分野での評価の問題になるんですけれども。

【粟辻推進官】
 何か将来のポストだとか、そういったところとリンクさせないと、なかなか難しいということですかね。

【合原委員】
 確かにポストがあればね。

【中川委員】
 スタディグループの場合ですと成果は論文だと思います。スタディグループで議論したことを数学者が論文に投稿して、外部からの刺激で数学が発展するという実績を積む。そのためにどういう問題を一緒に議論すればよいかですね。参加した学生も自分の専門以外の問題を自分の専門以外の数学で議論しているというのが今の実情です。そうではなく、産業から提示される科学・技術の未解決問題を数学で議論するということができれば最高だと思います。

【若山主査】
 時間がなくなってきましたけれども、評価のことは難しくて、ちょっと今、初田先生にお聞きしたことを最後に常行先生にも少しお聞きしたいんですけれど、ずっとスタディグループで真ん中が必要だという話が幾つか出てきたんですけれど、何か。

【常行委員】
 今、出てきたトランスレーターとか、そういう話は計算科学の分野で全く同じように起こされていまして、我々の方では、コンシェルジュ機能という言い方をしています。計算機を使ってプログラムをやる人たちと、それから、計算科学的な手法を開発する人たちと、それから、産業界と、この間をつなぐという機能ですね。これがやはり結局問題になるのは、誰がやれるかというところで、特定の個人では難しいという意見もありますし、それから、それを1か所でやるのか、それとも、分散させた方がいいのかとか、いろいろな意見があって、全然そこは収束していない状況です。
 それから、予算的にこれがどういう形の予算が付けられるのか。結構、これは難しくて、非常に見えにくい仕組みなものですから、いつまでたっても議論だけでまだ具体化していないですね。だから、次の、例えば、ポスト京コンピュータとか、そういうときには非常に重要な試みじゃないかとは話はしているんですけれども、ここは答えが全然なくて、申し訳ありません。
 あともう一つ、産業からの認知度の向上という意味で言うと、これも計算科学も同じような問題を抱えているんですが、そこで一番いいのは、産業界の方が数学を使って数学者と協力して成果を上げたことを、産業界向けに自分たちの言葉で話していただくのが一番いいかなと。計算科学もそうなんですけれど、それができるような仕組みができるといいなと思いますけれど。

【若山主査】
 ありがとうございます。
 まだ御意見が恐らく全ての方におありだと思うんですけれども、時間にもなってまいりましたので、本日頂きました御意見、内容を踏まえて、今後の数学イノベーション委員会の検討に更につなげていきたいと考えています。
 最後に、今後のスケジュールについて、粟辻さんの方からお願いいたします。

【粟辻推進官】
 今後の予定という紙を付けております。既に委員の先生方には御連絡しておるかと思いますけれども、次回は来年の1月20日午前10時から、同じ場所で予定しています。また、次々回は、2月17日に同じく午前10時からこの場所で開催を予定しております。
 そして、この後、3月9日にこの上の部会である戦略的基礎研究部会でこれまでの検討状況を中間的に報告したいと考えております。
 また、その後、再来年度の概算要求に向けて、6月頃までに報告書取りまとめの作業に入りたいというふうに思っております。
 以上でございます。

【若山主査】
 ありがとうございました。

【行松課長】
 ちょっと私の方から。次回、産業界の方々が、数学人材に関してどういうニーズを持っておられるか、あるいはどういう要望を持っておられるか、あるいは産業界から数学人材をどう見ておられるのか、そういった話を役員レベルの方をお呼びして伺おうと、それから、まさに本日も御紹介がありましたけれど、大学の中で企業とのマッチングをやっておられる方にお越しいただいて、お話を伺おうと思っております。

【若山主査】
 どうもありがとうございました。それでは、これで終了いたします。

―― 了 ――

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