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総合政策特別委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成26年12月19日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 中間取りまとめ(案)の審議について
  2. その他

4.出席者

委員

野依主査、新井委員、伊地知委員、稲葉委員、上山委員、小野寺委員、春日委員、木村委員、五神委員、庄田委員、白石委員、竹山委員、知野委員、土井委員、西尾委員、松本委員、結城委員

文部科学省

土屋文部科学審議官、戸谷官房長、岩瀬政策評価審議官、義本審議官(高等教育局担当)、安藤審議官(研究振興局担当)、田中審議官(研究開発局担当)、磯谷審議官(研究開発局担当)、浅田総務課長、吉田高等教育局長、常盤研究振興局長、田中研究開発局長、榊原科学技術・学術政策研究所長、川上科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、江﨑企画評価課長、林科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、坂下企画評価課企画官、ほか関係官

5.議事録

【野依主査】  
 それでは、ただいまから科学技術・学術審議会第8回の総合政策特別委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。本日は、前回に引き続きまして、「中間取りまとめ(案)」につきまして御審議いただきます。
 会議開催に当たりまして、事務局から資料の確認をお願いいたします。

【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】  
 配付資料の一覧は、お手元の議事次第の裏にございます。資料1「総合政策特別委員会 中間取りまとめ(案)目次」でございます。資料2「中間取りまとめ(案)」でございます。資料3「総合政策特別委員会の議題について」でございます。参考資料1、新井委員提出資料といたしまして「researchmap統計調査」、参考資料2「ナノテクノロジー・材料科学技術の研究開発方策について(中間取りまとめ)」でございます。欠落等、不備がございましたら、お手数ですが事務局までお知らせください。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。まずは第1章、第2章につきまして、前回の委員の皆様からの御意見を踏まえまして、事務局で修正していただいております。資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それでは、資料の説明をいたします。第1章、第2章に行く前に、お手元の参考資料、机上資料で追加説明をさせていただきます。机上に、関連データ集ということで、暫定版と少し分厚いデータ集が載っております。これまでこの会議に出してきたデータ集をまとめて、なおかつ、頂いたコメント等を反映できるところを反映して、取りまとめたものです。主な変更点につきまして、1枚紙が後ろに付いておりますけれども、指導的地位に占める女性割合の各国比較や、我が国の論文数及びTop10%補正論文数の推移の1年分の更新、これはこの委員会でも御指摘があったところでございます。その他、関連する統計が更新された部分がございます。科学技術研究調査や産学連携の実施状況、海外の統計など、それに伴って更新をかけているところでございます。あわせてデータに関しまして、会議の中でも新井委員から「researchmap統計調査」の言及がございまして、それを一つの成果として参考資料1で資料をお配りしております。
 それでは、「中間取りまとめ(案)」の第1章、第2章の御説明をいたします。前回の会議の御意見を踏まえて変えたものでございまして、机上配付資料としては、見え消し版になっているものも配付してございますので、それも適宜参考にしながら見ていただければと思います。ただページ数が変わってしまうところがあるので、本文のページ数で御説明いたします。
 1章、2章で主に変わったところについて御説明をいたしますと、まず2ページ目の「知識基盤社会の本格化」の1段落目、2段落目は、前回の小野寺委員のコメントを踏まえて「社会の変化」という観点を追記しております。2ページ目の下から始まる「超サイバー社会の到来」の最後の方に、前回、西尾委員からコメントがありました、サイバー社会の到来により、科学の在り方にも変化が及んでいると、最後から2番目の段落の最後の文章に書いてございます。4ページ目に行きまして、「我が国の科学技術イノベーション政策への影響」ということで、4番目のマルは、前回、土井委員からコメントがございましたけれども、ICTの部分のハードウエアについては人材もお金も投資していたことが分かるようにということですので、特に「ソフトウェアやサービス創出の分野」という限定をかけてございます。2ポツと3ポツを入れ替えています。もともと3ポツが「諸外国の科学技術イノベーション政策の動向」で、2ポツが「第1期科学技術基本計画からの実績と課題」だったのですが、実績と課題を後ろに持っていくことによって、その後の基本的な考え方とうまくつながるようにということで、場所を変えてございます。さらに8ページに行きまして、下に注釈として、基礎-応用-開発研究、学術-戦略-要請研究の定義を書いております。またこの内容につきましては、暫定版でありますが、データ集の125ページに、前回も野依主査から3掛ける3の表ということで、口頭で説明があったところですが、基礎-応用-開発という段階と、研究の契機となる学術-戦略-要請の、3掛ける3のマトリックスの図を入れております。9ページの「産学官連携・事業化支援」の3段落目の後半になりますが、前回、松本委員から、大学発ベンチャーがなぜ余り活性化していないのか、理由を書いた方が良いのではないかということでしたので、理由を書いております。またその下の「研究開発の重点化」の部分で、どういう部分に重点化したかを脚注で入れた方が良いと、庄田委員から、コメントがございました。9ページから10ページの下にかけて、脚注が5、6、7と入ってございます。11ページ、「政府研究開発投資、研究開発資金」でございますが、第4期の投資につきましては、さらなる努力が必要であることを、最後に入れてございます。
 その後、第2章に入りまして、14ページの2ポツでございます。「科学技術イノベーションの構造変化とその創出基盤の重要性の高まり」ということで、ここは第1章の状況の変化等とダブるようなところがあるので、少し整理したらどうかということが、春日委員からあったと思いますので、そこを少し整理しております。15ページの3ポツで、「科学技術イノベーションにおける政府の役割」として、「イノベーション創出基盤の強化」と「科学技術イノベーションによる社会の牽引」の二つを掲げるわけですけれども、「イノベーション創出基盤の強化」は2.にも書いてあるので少し明確なのですが、「科学技術イノベーションによる社会の牽引」はもう少し趣旨を明確にした方が良いということを、いろいろ事務局内でも議論がありましたので、それを3.の2段落目の真ん中辺りから、創出基盤から生み出される様々な知識や価値を発展させて、国内外の課題解決に貢献する価値を創出し、その社会実装を通じ、社会の在り方の変革を牽引していく、すなわち科学技術イノベーションにより社会を牽引していくことが必要だということを入れてございます。次に17ページになりますが、前回、基本姿勢の(1)番の「知のフロンティアを開拓する学術研究の振興」で、最後に学術研究に加えて基礎研究も重要であると、野依主査から頂きましたので、3行、学術研究の振興とあわせてイノベーション創出の基盤となる基礎研究を推進していくことを加えております。18ページでございます。「大学、公的研究機関、民間企業の基本的な役割」で、公的研究機関の役割が少し民間とかぶるようなところがあるのではないかという御指摘を、庄田委員から頂きました。そういうことで、4段落目、「大学、民間企業が上述したような」の2行目で、国立研究開発法人は「直ちに経済的価値にはつながらない研究開発や、社会的、公共的価値に資するための研究開発等に取り組む組織である」という前提をまず入れた上で、マル1からマル5の特性を持っているということで、民間企業との整理をしております。(6)番でございますが、19ページの最後の段落で、春日委員から、ステークホルダーの協働ということを、後ろに書いてあるのを少し前に持ってきた方が良いのではないかということで、入れておりますことと、野依主査から、みんながきちんと、上から言われてやるだけではなくて、自らやっていくということもきちんと書いた方が良いのではないかということで、最後から2番目の段落の最後になりますが、「多くの科学者等がその推進過程に主体的に参画し、様々な改革取組を自ら提案し実行していく姿勢を持つことも望まれる」ということを、追加しております。
 1章、2章に関しては以上でございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 新井委員から、御提出いただいている資料に関して、何か補足はありますでしょうか。あればお願いしたいと思います。

【新井委員】  
 researchmapを用いて、統計がどれくらいできるかということに関して、先日お話ししたところ、資料を提出するようにということでしたので、参考資料1を提出しました。これは、「researchmap統計」を通じて女性の割合について検討したものです。女性研究者の採用目標は自然科学系全体としては25%になっていますが、researchmapで男女というフラグがございまして、それを基に研究大学強化促進事業の採択22機関のうち、researchmapの登録率が正規職で70%を超えている14機関について、検証をしました。なぜこれをしたかというと、研究大学強化促進事業では、申請の段階でresearchmapに登録することが望ましいと書かれているためです。けれども、全部のデータが入っているわけではないので、その点を御留意いただいて、データが独り歩きしないようにお願いしたいと思います。正規職の女性研究者は25%以下というのが、5ページ目に書いてありますが、これが女性の割合が、年齢が上がるほど下がるということです。6ページ目に行きますと、高い職位ほど女性研究者が少ないということで、50代、60代は講師の方は比較的多いのですが、教授、准教授というレベルが、高い年齢の方で十分に数が足りていないことが観察されます。そして、女性は特任職に多いという傾向を、7ページ目からうかがうことができます。
 例えば研究大学強化促進事業に入っている大学は、研究費の特に競争的資金の7割、8割以上ですので、ここに関して中間評価があと一、二年後にあるかと思いますが、そのときにresearchmapのデータを基にして評価を行うと一言言っていただければ、データは100%になるだろうと思っています。それはトムソン・ロイターのような外部の機関の評価ではなくて、真に日本が多様な観点から研究者を評価できる、一人一人の研究者ではなくて、大学の強みをそれぞれ量的に見ることができるために必要なことなので、その一言を書いていただければ、この先、大変スムーズに進むのではないかと認識しております。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、事務局の説明に対して、御質問、御意見はございますか。
 では、伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 御説明いただいた範囲ということで、項目ではないのですが、2点申し上げたいと思います。一つは、6ページの初めの方に英国に関する記述がございますが、一昨日、英国政府からは5年間に向けた戦略として、「Our plan for growth: science and innovation」という文書が出されました。具体的な文案等を御提案することはできないのですが、その内容を踏まえていただければ良いかと思います。その中には、分野別に設置されております研究開発資金配分機関であるリサーチカウンシルズの活動の改善を図るための見直しも入っておりますので、今回のまとめの後段につながるところもあるのではないかと思います。
 2点目は、8ページの下にある脚注の4で、研究に関する定義をしていただいております。その中で、基礎-応用-開発のところに「研究の段階」と書いてあるのですが、他方、本文の14ページだったかと思いますが、リニアモデル的な考え方ではない、そこに矛盾があって、基礎-応用は、特別な応用、用途、目標等を明確に意識するかしないかというところで違いがありますので、ここの部分は「段階」というよりは、「ねらい」あるいは「目的」などの別の言葉で置き換えていただいた方がよろしいのではないかと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 検討させていただきます。
 では、西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 3ページで、サイバー社会の到来がデータ科学やシミュレーション科学の発展、さらにはサイエンスの分野への大きな変化をもたらしていることを追記いただきまして、どうもありがとうございました。ただし、追記の場所的な問題があると思います。サイバー社会において個人情報の漏えいなどのいろいろと深刻な問題点が起こっているという記述に、「さらに」と付け加えるとネガティブな印象を与えます。それよりは、2段上の、サイバー社会において知的な情報処理が実行されているという後につないで、こうした知的な情報処理がデータ科学やシミュレーション科学の発展に貢献可能であることを述べ、ポジティブな側面をより強調するようにした方が良いのではないかと思います。
 もう一つ、16ページから17ページにかけまして、「知のフロンティアを開拓する学術研究の振興」の最後のところに、3行の記述を付け加えられたところですが、基礎研究と学術研究を同時的に振興するという形で基礎研究の振興を記述するよりも、それら二つが良好な連鎖を形成していくという書き方で基礎研究の重要性を記述する方が良いのではないかと思いました。つまり、「学術研究により生み出された多くの知を、経済的、社会的及び公共的価値に結び付ける上で、大きな役割を果たす戦略的・要請的な基礎研究については、最先端の学術研究の動向を踏まえて、その目標設定を行うなど、学術研究と戦略的・要請的な基礎研究の間の卓越知の好循環の確立を図る」というような記述にして、学術研究をベースにして基礎研究の振興を記述する方が望ましいのではないかと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 今まで指摘する機会が余りなかったのですが、大型・大規模な研究についての俯瞰(ふかん)的なアセスメントとビジョンをこれまでの実績の中に入れるべきではないかと思っています。例えば学術会議では学問を俯瞰して、マスタープランを2010年、2011年、2014年と継続的に出していて、それに呼応して文科省でも、学術研究のロードマップを作成しています。先端研究において、大型の基盤、施設等を必要とするものには、これまでも投資が続けられてきています。その中で、国際的な頭脳循環や最先端研究を進めることは不可欠で、それについては専門家コミュニティーでのアセスメントを行ってきているので、第5期においてもきちんと活用すると示すことが必要です。入れる場所としては、例えば9、10ページの「研究開発の重点化」と「国際活動」という項目がありますが、その間の辺りに、「大型・大規模学術研究の俯瞰的アセスメントとビジョン」という項目を設けて、今までの活動も踏まえてそれを活用していく。それに呼応した俯瞰的アセスメントを活用するという文言を、例えば16ページの辺りにあるような、「今後の科学技術イノベーション政策の推進に当たっての基本姿勢」にもあっても良いと考えます。学術会議あるいは文科省でやっている作業は相当大がかりですので、それを活用することを入れていただければと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。大型設備の問題は、財政に大変大きく影響を及ぼすわけで、どのように考えたら良いのですかね。学術会議は主に学術的な観点からこれを重点化するということがありますね。一方で、CSTIはじめ国の要請、あるいは産業界の要請からの大型設備の建設もあろうかと思いますが、この仕組みはどのようになるのでしょうか。
 ほかに。では、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 細かいことですが、18ページの「資金配分の基本的考え方」に、「大学及び研究開発法人」が1段落目と2段落目に出てきますけれども、上の大学、公的研究機関に合わせまして、ここを「大学及び公的研究機関」に直していただくのがよろしいかと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 時間ですので、次に移らせていただきます。第1章、第2章に関して御意見があります場合には、後ほど、お気付きの点を書面にてお願いできればと思います。
 続きまして、第3章以降に関しまして、前回箇条書であったものを、委員の皆様からの御意見も踏まえつつ、文章化しております。まずは第3章に関しまして、事務局から説明してください。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 第3章を御説明します。何分、大部にわたるものですから、ポイントを絞って、特に取組を中心に御説明したいと思います。また、お手元に目次を、別途、別の形で配っておりますので、全体構成については目次も参考していただきながら、見ていただければと思います。
 第3章は「イノベーション創出基盤の強化」ということで、これは第2章の科学技術イノベーションにおける政府の役割の中の一つということで、その具体的な取組を書いていくという章構成になってございます。第3章の下の3段落ぐらいについては、「イノベーション創出基盤の強化」ということで、その重要性を書いてございます。その上で、「イノベーション創出基盤の強化」としては、「イノベーションの源泉の強化」と「持続的なオープンイノベーションを可能とするイノベーションシステムの構築」という二つの柱になっておりまして、最初の1.は「イノベーションの源泉の強化」に入っていきます。
 イノベーションの源泉は、卓越した知識、価値ですが、それを持続的に生み出すためには、まず人が必要であること。そして、そういう価値を生み出す学術研究や基礎研究、それを支える研究施設・設備となってございますので、これらの人、学術研究と基礎研究、研究施設・設備、基盤技術に合わせて、(1)から(3)まで章立てをしてございます。まず(1)が「人材システムの改革」でございまして、最初の方には、問題点と大きな方向性が載っているわけですが、2段落目の2行目ぐらいから、特に大きな問題になっている、若手研究者のキャリアパスが不透明かつ不安定になっており、博士号取得を躊躇(ちゅうちょ)するような状況になっているという話や、その次の段落で、優れた若者が博士号取得を目指す社会を創り出すためには、大学院、博士課程がきちんと改革されていくことが急務であるということを書いてございます。次の21ページに移りまして、その上で、異なる知識、視点、発想を持った多様な人材を確保し、それらの流動を促すことによって、イノベーションが創出される可能性を最大限に高めていく。しかしながら、現状では多様な人材の確保や流動性が諸外国と比べて十分ではない。このような問題意識を踏まえて、「人材システムの改革」では、「若手人材のキャリアシステムの改革」と「科学技術イノベーション人材を育成する教育改革」、「多様な人材の活躍促進」、「人材の機関、セクター、国を越えた異動の促進」の4項目を重点的にやっていくことを掲げております。
 さらに具体的なことが、21ページの真ん中のマル1以降に書いてございます。「若手人材のキャリアシステムの改革」で、まず重要なのは「若手研究者・大学教員のキャリアパスの明確化」でございます。最初に問題意識が書いてあるわけですけれども、任期付き制度が導入されて流動性が高まった。その一方で、テニュア職の流動性が図られなかったということで、若手が挑戦できる安定的なポストが減少し、任期後のキャリアパスが見通せない若手研究者が増加しているということで、このため、キャリアパスについて、まずキャリアの段階に応じた定義や位置付けについて、関係者が共通認識を有することが重要だということです。22ページになりますけれども、研究者のキャリアの段階を、「ポストドクター、若手研究責任者、研究責任者」という段階に分けて、それぞれ定義と位置付けを明確にした上で、関係者が共有していくことが必要ではないかと書いてございます。
 その上で、「テニュアトラック制度の導入拡大」と書いてありますけれども、上の3段階のキャリアパスの中で特に若手研究責任者の段階のときには、新規採用の際に公正、透明性が高く、将来のキャリアパスが見通せる評価・育成システムを導入することがテニュアトラックと言われているものでございますが、これをきちんと導入することが必要であろう。その次の段落で、テニュアトラック制の導入を大幅に拡大していくとともに、法的な研究機関等においても同趣旨の人事システムの導入が求められることを言っております。次の段落で、政府としては、この導入の大幅拡充に向けて実質的な取組を促進するとともに、若手研究者の研究費、研究施設等の充実や、競争的経費における公募要件、評価なども活用していくことを書いてございます。
 その上で、「優れた若手が挑戦できる安定性のあるポスト拡充」ということで、23ページに移りますが、任期制度が若手研究者に定着する一方でシニアには定着していないということで、流動性の世代間格差というべき状況が発生している。その段落の最後にありますが、全ての世代の研究者・大学教員が、基盤経費のみならず、競争的経費、間接経費等を有効に組み合わせて、一定の安定性を確保しながら適材適所に配置されることが望まれる。具体的には年俸制、クロスアポイントメント制や、人事評価の充実と評価結果の処遇への反映を、シニア研究者・大学教員が導入していくことや、外部資金による任期付き雇用への転換などが、シニアの流動性を高める上でも有効な手段ではないかと書いてございます。また、一つの機関のみでこうしたポストを十分確保することは困難ということもございますので、複数の大学・研究機関がコンソーシアムを組んでやっていく取組を推進するとともに、特に優秀な若手研究者に対しては、魅力あるキャリアパスを提供するための新しいシステム、「卓越研究員制度」と仮称で言っておりますが、この創設を検討することを書いてございます。
 次は、「若手人材のキャリアパスの多様化」です。キャリアパスの明確化は、どちらかというと、縦に、研究者になっていくためのキャリアパスの話でございますが、多様化の方は研究者以外のキャリアパスの問題でございます。キャリアパスが不透明な理由の一つには、多様なキャリアパスが確立されていないことが挙げられておりまして、世界的に見ても大学の研究者ポストは博士の選択肢の一つということでございまして、まずそういう意識を改めることから始めることが必要ではないか。すなわち、学生もキャリアパスは自ら開くということで、大学だけではなくて産業界等のキャリアパスを視野に入れることと、それを教育する教員も、変化の激しい社会の中で、学生が幅広いキャリアパスを進むに必要な十分な能力を身に付かせるという意識、産業界は、大学や博士課程に対してニーズを明確かつ具体的に示すとともに、優れた人材が確実に処遇・採用されるように取り組む。また、大学教育に対しても積極的に連携していくことが期待されるところでございます。
 次のページでございますが、そうした意識改革に加えて、キャリアパスの多様化を図る上で、産学官連携での大学院教育改革の取組が非常に重要だろうということで、人材育成に関する産学官連携の対話や、ポスドクを対象としたいろいろな補助的な人材育成プログラムの推進、また博士課程やポスドクの段階での中長期のインターンシップ、ワークプレイスメント、若しくは産学共同研究を通じたマッチングの充実等を進めていくことが必要ではないか。またこういったことは「ヒト」を通じた産学官連携の促進という観点からも有意義だということを述べてございます。さらに国立研究開発法人でも、リサーチアシスタント等を活用してキャリアパスの開拓をしていくことが必要だとしてございます。
 3番目が「若手人材の処遇の充実、自立と活躍の促進」ということで、多くの優れた人材が博士課程を目指すためには経済的な支援も非常に重要だということで、最後の段落になりますが、第3期、第4期では、在学者の2割程度が生活費相当を受給することを目指すことになっているわけですが、これはまだ達成が見込まれていないということで、第5期ではきちんと達成するように、フェローシップを充実するとともに、ティーチングアシスタント、リサーチアシスタントの処遇の改善、また国立研究開発法人でも、リサーチアシスタントの雇用に当たっては生活費相当程度の給与を基本とする。このような充実に取り組んでいくことを掲げてございます。
 25ページに移りますが、「優れた若手研究者・大学教員の養成」ということで、最初に、特に若手研究責任者の方は、先ほどテニュアトラックを掲げていますが、ポストドクターについてここで書いてございます。ポストドクターは研究所の非常に重要な存在であり、その能力が最大限発揮されることが必要ですが、競争的経費で雇用されていることもあり、その制約等によって、必ずしも自立的に研究を行い、一定の経験を積むことが困難になっている部分があるのではないかということで、ポストドクターが能力を伸張し発揮できるように、いろいろな改革が必要ではないか。例えば競争的経費から人件費を出すことを促進していくとか、審査・評価の際に、雇用している人材の育成、キャリアパスの確保という観点をきちんと評価することの強化、ポスドクに対するフェローシップや海外で切磋琢磨(せっさたくま)する機会の充実を通じて、ポストドクターに必要な研究スキルを身に付けるとともに、研究倫理に関する指導をきちんとやっていくこと。若手研究責任者は、先ほども言いましたが、テニュアトラック制をきちんとやっていくことを書いてございます。最後に、若手研究者がきちんと研究時間を確保できるよう、リサーチ・アドミニストレーターのような支援の充実が必要であり、その取組を推進していくこととしております。
 次に、人材を育成するための教育改革でございます。最初に「大学院教育改革の推進」ということで、イノベーション人材の質を高める上で、グローバルで幅広い視野を有し、世界の様々な場でリーダーシップを発揮できる人材をつくっていく中で、次の段落になりますが、リーディング大学院の取組、その中での学位プログラムの構築や、学位の質保証のための取組をやっています。これを更に様々な博士課程を持つ大学に広げていって、きちんと質の高い人材を育成していくことが求められます。また、26ページの上になりますが、国境を越えた協働教育や、社会人にとって魅力的な教育プログラムの構築も必要だと、そのようなものも含めて、「第3次大学院教育振興施策要綱(仮称)」を定めることになっていますので、これを策定し推進していくということでございます。
 次が、「次代を担う人材育成と裾野の拡大」ということで、高度な科学技術イノベーション力を維持するためには、初等中等教育段階からいろいろやっていくことが必要であり、まずは高等学校の教育から大学に行く際の入試のことが書いてございます。最後の3行目に、大学入学者選抜の改革に当たっては、アドミッション・ポリシーを明確化し、学力の三要素を踏まえた総合的な評価を重視した個別選抜が求められることと、また初等中等教育段階からは主体性を持って学び、問題解決力、論理的思考力という汎用的スキルをまず涵養(かんよう)した上で、さらに科学技術に関して優れた能力を持つ学生が切磋琢磨(せっさたくま)する環境を整えることが必要で、サイエンス・インカレや国際科学技術コンテスト、スーパーサイエンスハイスクールの取組を進めていく。また中等教育段階における理数教育の支援や、理数系教員の育成支援も進めていくことが必要だと書いてございます。最後に、グローバル化が進展する中でのグローバル人材の養成ということで、豊かな語学力、コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けることも、今後非常に重要なことになってくるだろうと書いてございます。
 大きなマル3としましては、「多様な人材の活躍促進」でございます。最初は「女性の活躍促進」ということで、最初の段落の真ん中ほどにありますが、女性研究者の割合は着実に増加しているものの、諸外国と比較するとまだ低水準にとどまっているということで、次の段落にありますけれども、女性研究者の活躍を獲得するために、女性リーダーの登用促進や、研究とライフイベントの両立をするための支援、環境整備を行う。また次世代を担う、要は学生から増やしていかないといけないということで、次世代を担う女性の人材を育成していくことが必要だということで、女性研究者の新規採用割合が第4期では定められているのですが、第5期についても、策定までに適切な数値目標を検討し、それを継続してやっていくことが必要ではないかと書いてございます。
 次は「外国人の活躍促進」になってございますが、外国人につきましても増えてはいるのですが、諸外国と比べるとまだ少ないということで、2段落目にありますが、「Research in Japan」イニシアティブ等、より海外に日本の技術の魅力を発信していくとともに、外国人研究者受入れの環境整備を推進していくこと、また、これも第4期に目標は定まっておりますけれども、第5期の策定時までに適切な数値目標の在り方を検討すること。また、研究者だけではなくて留学生を受け入れて定着させることも、将来の研究者という意味では重要でございますので、戦略的にやっていくことが書いてございます。
 次は28ページ、「人材の機関、セクター、国を越えた異動の促進」ということで、まず「産学官のセクターを越えて人材が流動するシステムの構築」でございます。多様な知識の融合による新たな「知」の創出、「ヒト」を介した研究成果の産業化・社会実装が重要でございますが、我が国の伝統的な雇用制度の中でなかなか高まっていかないということでございます。3段落目でございますが、このため、年俸制、クロスアポイント制度といった新たな給与制度・雇用制度を積極的に導入することを推進していくとともに、国立研究開発法人におきましては、産学官の垣根を越えた人材、技術の糾合の場を構築していくことを記載してございます。
 今度は産学官ではなく、「国際的な研究ネットワークの構築」について書いてございますが、28ページの2段落目で、このため、意欲ある若手研究者が海外で切磋琢磨する機会を提供することと、そのまま海外で活躍をしたい人については、その挑戦を促すようなことも必要ではないかということを書いてございます。加えて、海外派遣研究者や在日の経験を有する研究者のネットワークを構築していくことの推進を掲げております。海外における研究活動の経験を有した人材をきちんと採用することに関しては、研究者等の採用に関して、海外の研究者にも情報提供することや、応募・採用の仕組みの工夫、適切な評価をきちんとやっていくことを書いてございます。
 29ページ、(2)番、「イノベーションの源泉としての学術研究と基礎研究の推進」でございます。最初に学術研究と基礎研究の重要性を言ってございますが、その中で、また改めて学術研究、基礎研究の定義を、2段落目、3段落目等で言ってございます。最後の段落に、我が国の研究費全体に占める政府負担割合は主要国に比較して低く、民間企業に大きく委ねている中で、政府としては、市場原理の下では実施されない重要な研究を見極めるという観点から、学術研究と基礎研究への投資を一層重視していくことが必要ではないかと言ってございます。
 次のページで、その上で、「学術研究の推進」として、ここでは具体的な取組として、学術研究を推進する上で重要となる科研費と、共同利用・共同研究体制の改革・強化について焦点を当てております。科研費の改革につきましては、1番目の2段落目に書いてありますが、学術研究の多様性の確保と人材育成を目的として、審査分野、審査方式、審査体制の基本的構造の見直しの実施、さらには、重複制度の見直しや、ライフイベントに配慮した支援、帰国前予約採択等、「学術助成基金」の一層の充実、そして研究成果の可視化に向けたデータベースの構築といった改革を進めた上で、充実強化を図っていくこと。
 次は「共同利用・共同研究体制の改革・強化」ということで、2段落目に書いてございますが、大学改革が進む中で、共同利用・共同研究体制という、個々の大学の枠を越えた取組が積極的に評価されにくく、その強みや特色が十分に発揮できていないということで、その改革強化は急務であると言っております。31ページに移りますが、そのために、そういった機関の意義、ミッションの再確認をし、その改革・強化、具体的にはトップマネジメントの強化やIR機能の強化、他の機関との連携、年俸制、クロスアポイント制度の導入という取組を書いてございます。また、こういった拠点の構築に貢献する学術の大型プロジェクト、先ほど五神委員からもコメントがございましたが、これについては、ロードマップで示された優先順位に基づいて、今後一層戦略的、計画的に推進していくことを書いております。
 次は、「基礎研究の推進」でございます。「また」以降の段落に書いてありますが、基礎研究の代表として、戦略創造事業は、戦略目標を提示し、これを意識することによって、出口を見据えた研究を進めていくという事業でございます。これにつきまして、次の段落にありますが、エビデンスに立脚した戦略目標の策定に向けた改革に取り組んでいくことと、他の研究費とのシームレスな連携、研究情報・成果のデータベースの構築に向けた改革を進めていくこと、さらに、基礎研究は国立研究開発法人でも行っておりますので、そういったものについて強みを生かして取組を強化していくことを言ってございます。
 マル3番が「世界のトップレベルの研究拠点の形成」でございますが、今進めているWPIの充実と、特定研究開発法人の中でも、特に世界トップレベルの成果を生み出す特定国立研究開発法人の制度の実現と充実に努めていくことを掲げてございます。
 (3)番としましては、いろいろな「研究開発活動を支える共通基盤技術、施設・設備、情報基盤の戦略的強化」について掲げてございます。次のページで、マル1番が、「共通基盤技術と研究機器の戦略的開発・利用」について書いてございますが、共通基盤技術に関しましては、i)番「共通基盤技術の戦略的強化」の真ん中から、ナノテク、光・量子、ビッグデータ等の研究開発や、数理科学、システム科学等の科学などの研究開発を共通基盤として進めていく。その際に、それらの科学技術そのものだけではなくて、研究開発手法や関連する人材育成などを含めた研究体制の検討、基礎研究から応用研究、産業利用に至るまでのニーズを十分考慮に入れた研究開発に留意する必要があるということ。研究機器に関しましては、先端の研究機器は科学技術の発展のマザーツールではありますが、最近、ライフサイエンス領域を中心に外国産の製品が多くなっているということで、そこに焦点を定めた先端研究機器の開発、普及に取り組んでいくことを書いてございます。
 マル2番が、「産学官が利用可能な研究施設・設備の整備、共用、プラットフォーム化」でございます。i)番が、「世界の科学技術イノベーションを牽引する最先端の大型研究施設の整備、共用」ということで、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」で規定されている先端の大型研究施設につきましては、今後とも適切な支援を行うとともに、幾つかの施設がございますけれども、ネットワーク構築の取組を通じて、より利用者視点に立った運用体制の構築ということ。また、今後の大型研究施設の整備・高度化の在り方につきましては、学術の大型プロジェクトに関するロードマップも参考にしつつ、学術の観点と、産学官が使う大型研究施設の観点は少し異なるものですから、学術のロードマップはロードマップとしてそれを参考にしながら、どういう大型研究施設が必要かという検討が必要ではないかと書いてございます。また既に今進んでいる「ポスト『京』」の開発整備は計画的に進めていくということです。ii)番「研究施設・設備、知的基盤の共用、高度化、プラットフォーム化」では、大型ではない研究施設・設備の共用化、高度化ということで、大学や公的機関が有する多種多様な研究施設・設備を外部に開放することは、施設・設備の有効利用とともに共同研究や融合領域の開拓など非常に意義が高いのですが、2段落目にあるように、なかなか開放する取組が十分でないということで、政府としては、こういったものを、ネットワークを通じて開放していく「共用プラットフォーム」の形成を促進していく。さらにバイオリソースのような知的基盤についても整備・共用をきちんとしていくことを言ってございます。
 次のマル3番が「大学等の施設・設備の整備」でございますが、35ページの3段落目にありますように、基本計画に合わせて5か年計画を作っておりますので、第5期に合わせて、「第4次国立大学法人等施設整備5か年計画(仮称)」を策定して、長期的視点に立って、計画的、重点的に整備を進める。具体的には、安全・安心と、サステイナブルなキャンパスと、国立大学の機能強化の、三つの課題への対応を重点的に進めていくことを書いてございます。
 その下マル4番は、「情報基盤の強化」で、これは今まで研究情報基盤と言っておりましたけれども、研究開発のみならず、成果の発信、人材育成等にも情報基盤があらゆる科学技術・学術活動を支えるものになっているので、広く情報基盤としてございます。具体的には、特に活動を支える学術情報ネットワーク、SINETにつきましては、諸外国に大きく後れをとっている状況でもございますので、その強化は喫緊の課題であると言った上で、その下にあります、研究成果のオープンアクセス化への対応や、日本初の有力ジャーナル創出に向けた取組の促進を図っていく。この際には、研究データのシェアリングなど、最近オープンサイエンスを巡る新たな動向等がございますので、そういった動向に留意して適切に進めていくということでございます。
 大きな2ポツとしまして、「持続的なオープンイノベーションを可能とするイノベーションシステムの構築」でございます。今までは1ポツとして、イノベーションの源泉を創るということでございますが、そういった源泉から出てきた様々な知識を社会につなげていくための産学官の新しいシステムとして、記述してございます。三つございますが、2.の2段落目、旧来モデルの産学官連携のシステムの革新という部分と、人材の育成・確保、また民間企業のイノベーション活動の促進について、掲げてございます。
 最初に「産学官連携の革新」でございますが、自前主義からオープンイノベーションを重視する傾向や、基礎、応用、製品開発がスパイラル的に進展するようになっており、新しいイノベーションシステムの構築が必要なのではないかと言ってございます。36ページの最後の段落に、新しいイノベーションシステムの構築に当たっては、産学官の人材や資金が結集して、個々の人材の持つ様々な知識、視点、発想が刺激し合い、融合し、人材の個々の能力を超えた成果を創出していく、「共創の場」の整備が有効な手段だと言ってございます。
 そういったものを鑑みて、このパートについては、マル1番からマル3番までに分けて書いてございますが、マル1番が、「産学官のヒト、モノ、カネ、情報の流動促進」ということで、新しいイノベーションシステムにおいては、「ヒト」が流動して、お互いに交わり合いながら協働を図っていく必要がありますし、「モノ」というと、研究データ、研究成果、知的財産でありますが、ヒト、モノに関する「情報」がそれぞれ提供されることが重要だということで、ヒト、モノ、カネの情報が流動促進されることが重要と言ってございます。これを促進するために、3段落目にありますけれども、年俸制、クロスアポイント制度といった新しい人事制度や、情報や研究成果の一元的可視化で情報の一層の「見える化」を促進していくという観点から、「情報循環プラットフォーム(仮称)」の構築を進めていくことを言っております。一方、オープンイノベーションを本格化する中であっても、従来のリニアモデル的なこともありますので、そこの橋渡しについて、研究開発法人の研究を促進していくことも言ってございます。また産学官連携が本格化しない要因として、知財や研究成果、その他研究情報の取扱いに関する意識の相違もございますので、その辺りの規定の在り方についてきちんと検討を行っていくことを書いてございます。
 マル2番で、「ヒト、モノ、カネの情報の流動促進」の一つの在り方としての「産学官の『共創の場』の構築」を掲げてございまして、それらが一つに集まっていく「共創の場」の構築ということで、38ページの2段落目にありますが、大学と企業がアンダーワンルーフで一体となるCOIの取組や、国立研究開発法人を中核とした国家戦略コア技術、あるいは新たな領域の課題等の最先端のプロジェクトの推進に取り組んでいくことが必要だと言ってございます。
 マル3番が、「科学技術イノベーションによる地域創生」の観点ということで、2段落目に、これまで地域クラスター等をやってきましたけれども、地域内のプレーヤーだけで完結しようとする傾向があり、資金・人材・情報等の不足により必ずしも十分な成果が上がっていないということで、今後は、他の地域と積極的に交流して、自分の地域に欠けているものについて取り組むという視点が求められる。このため、自治体の壁を越えた産学官、金融という広域ネットワークを構築して、目利き人材の活用により、地域ニーズと技術シーズのマッチングを促進していく。さらには、地域の拠点が世界に伍(ご)して発展できるように、地域のビジョンに基づく拠点の形成を促進していくことを考えてございます。
 新しいシステムの(2)番目としましては、「民間企業のイノベーション活動の促進と事業化支援の強化」として、民間企業の活動は事業化を通じた経済的価値の創出であり、経済発展と雇用の促進にとって大きな役割を果たしていくものですから、ここをきちんとやっていくということで、まず「ベンチャー・中小企業の支援強化」を掲げております。2段落目に具体的な取組が書いてありますけれども、創業前の段階から、研究開発支援と事業化のノウハウを持った経営人材による事業育成の一体的な実施や、起業家マインドを持ったアントレプレナーの育成・確保、さらには、国策上重要な特許を発掘、集約、強化して、それを大学発ベンチャーにライセンスまた出資する取組、また創造的なイノベーション活動を担う中小企業に対しても、今後の効果的な支援の在り方を検討していくことが必要ではないかということです。次のページになりますが、また、大企業で必ずしも有効に活用されていない知財や技術等の活用を図るためのいろいろな取組も必要ではないかと書いてございます。
 マル2番が、「民間企業のイノベーション活動を促進し社会の変革に資する制度改革」という観点で、第4期から科学技術政策が科学技術イノベーション政策になったことも踏まえて、税制、公共調達、規制改革、政策金融等の取組について、さらに検討を進めていく必要があることと、民間企業に対する税制の優遇も充実を図っていくことを書いてございます。
 最後が「イノベーションシステムを支える人材の育成・確保」ということで、研究者は、最初の人材システムの方にも書いてありますが、新しいトピックとして、産学連携にこの人材を位置付けております。そういったイノベーション推進(仮称)人材としましては、プログラム・マネージャー、リサーチ・アドミニストレーター等の研究マネジメント人材や、技術者、技術支援者等の幅広い人材がございますけれども、プログラム・マネージャーやアントレプレナーの育成・確保に当たっては、経営的な視点も含めて幅広い視野を身に付けさせること、41ページになりますが、それとともにキャリアパスの充実が重要であること、リサーチ・アドミニストレーターにつきましては、社会的地位を確立して、適切な評価の下で明確なキャリアパスを確立していくことが非常に重要であり、政府としては、職種ごとに求められる知識やスキルを明確にしながら、優れたイノベーション推進人材(仮称)の育成・確保のための取組を促進していくということで、締めくくります。
 3章は以上でございます。

【野依主査】  
 いかがでございましょうか。3章に限って。まだあと続きがございますので、端的にお願いします。
 白石委員、どうぞ。

【白石委員】  
 3点、手短に申し上げます。一つは23ページでございますが、第4期の科学技術基本計画に、シニアの研究者について、年俸制やクロスアポイントメント制度の他に、再審制を入れたらどうかということが既に入っておりますので、再審制を入れた方が良いのではないかと思います。テニュアトラックを若い人たちに要求するのであれば、再審制は極めてフェアだと思います。
 2点目に、27ページから28ページの、「外国人の活躍促進」、それから「国際的な研究ネットワークの構築」というところが、少しぼやっとした書き方になっているのではないかと思います。もし国際的なネットワークの中に、日本の研究者、あるいは日本の研究機関をもっと入れていくのであれば、特に欧米のトップクラスの大学でPh.D.を取ったポスドクや若手研究者をリクルートすることは、極めて大事だと私は思っておりますが、それは全部WPIのところで読んでしまえということなのでしょうか。それとも、もう少し別のプログラムも考えるのか、教えていただきたい。例えば、私は大型研究施設もそういう意味では使えると思っていますので、少しここの書きぶりが、現在あるものを、既にそれで良いみたいなニュアンスが少しあるので、そこを教えていただきたい。
 3番目は、35ページから36ページですが、私は、国費で行われた研究の成果はオープンにするのが、もう世界の流れではないかと思います。特にイギリスでは非常にはっきりそういう方向に国際的な流れを作っていこうとしていると思いますが、政府としてどういうスタンスをとるのか、ここの文章では書きぶりが少しぼやっとしていると思います。これもどう考えておられるのでしょうか。

【野依主査】  
 戦略官、いかがですか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 最初のトップクラスの外国人の件につきましては、WPIだけでやるという話ではないので、そういう観点もきちんと入れていきたいと思います。それは28ページではなくて、人材の、外国人の雇用の方にどちらかというと関係するのではないかと思いますので。

【白石委員】  
 27ページで入れるのですか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 その通りです。

【白石委員】  
 それだったら、ここだと第一線の外国人研究者と、それから優秀な外国人留学生という二つの言葉が入っているのですが、その間にちょうど若手研究者やポスドクが落ちてしまうのですね。ですから、それをむしろターゲットにした方が良いという趣旨でございます。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 オープン化につきましては、我々としてもちょうど検討を始めるという、それぐらいの段階でございますので、超サイバー社会のところにも少し書いてございますが、国内外の取組状況など、どういうデータをオープンにできるのかと、当然、国益の観点がございますので、その辺りをきちんと議論しなければいけないという段階でございます。

【白石委員】  
 分かりました。結構です。

【野依主査】  
 今、22ページの辺りのテニュアトラックの問題が出ました。テニュアトラック制度の導入は極めて重要だと思いますけれども、若手新規採用教員の3割程度をテニュアトラック制にすると言っているのですね。この意味が分かりません。テニュアとは、独立性を保障された終身制、あるいは定年制の教員であるとすれば、テニュアトラックの割合を決めるよりは、テニュアの教員の割合を決めなければいけないですね。ここで3割をテニュアトラックにすれば、7割は何なのですか。初めからテニュアなのか、あるいは将来テニュア権を得ることを目指さない人たちを意味しているのか。アメリカでは、若手新規採用教員は100%テニュアトラックですね。この3割以外というのは、何を意味しているのですか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 これは第4期の基本計画の記述でございますが、7割は、最初からテニュアで採るということかと思います。テニュアトラックというのは、日本でまだ完全には確立されていないということですので。

【野依主査】  
 そうであれば、テニュアを何割にするというふうに定めないと、若手の教員にとってはキャリアが極めて不透明ですね。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 ですので、第5期については原則全てテニュアトラックが望ましいということを打ち出していきたいと考えております。

【野依主査】  
 望ましくても、その先がどのぐらい展望が開けるかということが大事ですね。
 五神委員、御意見をお願いします。

【五神委員】  
 つまり人材のポートフォリオを考えたときに、テニュアとして何年在職し、テニュアトラックとしては何年在職するのか。もし例えば定年が65歳だとすれば、それで比率が決まり設計できますよね。そういうものが議論されていないという、野依先生の御指摘だと思います。

【野依主査】  
 ほかに。庄田委員、どうぞ。

【庄田委員】  
 今回の取りまとめの性格上、必ずしもこの構成で基本計画が作成されるかどうか、私は分かっておりませんけれども、一つは、今回の第3章では、イノベーションの源泉が人であり、また学術研究・基礎研究であるとしております。これは第4期の基本計画で言う、第4章の「基礎研究及び人材育成の強化」に当たると思うのです。目次立ての議論の時には気が付きませんでしたけれども、36ページから後ろの「持続的なオープンイノベーションを可能とするイノベーションシステムの構築」は、どちらかというと課題達成型の研究開発・イノベーション活動に関連する事項ではないかと思うのです。ですから、果たして第3章で良いのか。これ以降は、第4章の中に盛り込む方が良いのではないかということが、1点目でございます。
 それから細かいところでは、大学院教育に対する産業界の意見という部分がございましたが、第4期の基本計画の中に、正に大学院教育の抜本的強化に向けた推進方策として、“国は、人材育成に関する共通理解を図るため、産学官の対話の場として「人材育成協議会(仮称)」を創設する、産業界はそれを通じて意見を言っていく”という部分がございます。しかし、実際的にはこの人材育成協議会なるものが、恐らくはまだ創設されていないのではないでしょうか。うたったことをしっかりやることが、まず基本計画の大事なところで、こういう書きぶりでは、恐らくまた実行されないのではないかという危惧をしております。
 まずはその2点でございます。

【野依主査】  
 では、上山委員、どうぞ。

【上山委員】  
 1点だけ申し上げます。人を中心として科学技術に関する大きな変化をもたらすという趣旨は非常に良いと思いますし、非常によくまとめられているという印象を持っているわけですが、1点だけ、人に関しての件で言いますと、大学あるいは研究開発法人に関するマネジメントに関する人材育成の話が余り出てきていないと思います。例えば人材の異動、クロスアポイントメント、テニュア、あるいは、さらにアントレプレナーシップ教育も大学の中に求められていることが書かれているわけです。これは非常に大きな変化をアカデミアの世界に求めようとしているわけですが、実際のところは、日本においてプロフェッショナルな大学経営の人材は非常に欠けているわけです。ですから、大学の中におけるディーンのような役目をする人たちを、どのように育てていくのか。そのキャリアパスがどうなっていくのか。さらにはそれを越えて、プロボストな人間になっていき、さらには大学の学長になっていくような、大学経営に関わる人材のキャリアパスという視点が欠けている。したがって、そのような人材を、大学の中で、あるいは国の資金を使ってもかまわないのですが、どのように育てていくのかというポイントを、是非入れてほしい。そこがなければ、結局それを動かしていく組織の弱体化につながっていきますから、そこが非常に視点として欠けているという意識があります。そのことを少しお考えいただきたいなというのが、私の非常に短いコメントでございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 木村委員、どうぞ。

【木村委員】  
 今の上山委員とかぶる意見ですが、イノベーションを担うエリート人材、特にイノベーション経営リーダーの人材確保をどうするかが非常に大事です。リーディング大学院は良い試みと思いますが、研究者の枠の中にとどまっています。またURAなどの人材も、縁の下の力持ち、研究支援という形ですね。今求められている、例えば産学連携のプロジェクトリーダーやベンチャー企業の社長、ベンチャーキャピタリストなど複雑でかつ専門的な業務を担う人材で、ここが今非常に枯渇している。研究者出身の一流経営者をどう育てるか。この人たちがいないと世界で戦えないし、勝てないのですね。このような人材をどこで誰がどう育てるかが喫緊の課題です。今の大学の中で教育をするには限界があるように思えます。欧米を参考にするなら、そういう人材は功罪ありますけれども、押しなべてMBAなのですね。このイノベーション経営人材を本気で日本で育てるかどうか。これは日本の将来の勝敗の分かれ目だと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、松本委員、どうぞ。

【松本委員】  
 36ページ以降の、「持続的なオープンイノベーションを可能とするイノベーションシステムの構築」の辺りですけれども、特に民間企業のイノベーションの支援も記載されているのですが、民間企業の支援という意味では、大学や公的研究機関の知識、研究シーズを、いかにうまくスムーズに、スピーディーに活用できるかどうか。その支援が非常に大事ではないかと思います。それは一つ特許の開放や、いろいろな施策もありますし、もう一つは、シーズがうまく見えるような仕組み。「共創の場」と記載されているのですが、「共創の場」を具体的にどういう内容にしていくかを検討していく、具体的にやっていくという、明確な記載が必要だと思います。大学や、特に大学発ベンチャーがうまくいかないのは、早く企業とコラボレーションすることがなかなか今はスムーズにいっていないので、それをつなぐ人材として、目利き人材が記載されているのですが、こういう方々がどういう社会的な役割、社会的な位置付けがどうなるかを、具体的に、検討していくことを明確に記載していただきたいと思います。以上です。

【野依主査】  
 土井委員、どうぞ。

【土井委員】  
 2点ございます。1点目は、29ページからあります「イノベーションの源泉としての学術研究と基礎研究の推進」に関してですが、基礎研究は、この三つ目の段落のところで、学術研究と政策的な戦略や要請に基づく研究と、二つ分かれていまして、その後者に関しまして、31ページで「基礎研究の推進」が挙がっております。これですと、学術研究が基礎研究に含まれていて、基礎研究の推進となり、すごく分かりにくくなっているので、もし後者の戦略的な要請に基づくというお話であれば、それを明記していただいた形で、マル2は書いていただく必要があるのではないかと思います。それが1点目です。
 2点目は、先ほどの木村委員からのお話と関わるのですが、38ページで、「産学官の『共創の場』の構築」としてCOIなどが挙がっておりますが、グローバライゼーションを考えますと、特に新興国、アジアでのリフレーションなどをシステマチックにどう対応していくかということも非常に重要です。ですので、COIは大学に拠点がありますが、海外にそういう研究拠点、イノベーションの拠点となるようなものを産学官で一緒に持っていく。そういう中で、先ほど言われておりました、研究者がマネジメントできる、そういう人材も培っていくことが非常に重要ではないかと考えます。よろしくお願良いたします。

【野依主査】  
 ありがとうございます。
 では、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 若手人材のキャリアパスの多様化と流動性の点についてですけれども、お書きになっていることはよく分かるのですが、こうなってほしいということで、このままでは、全然、市場としてというか、経済として動かないように私には思えます。なぜかということですが、結局は、重要なのは、まずはこういう現実を学生、大学教員、社会が認識してもしようがなくて、どちらかというと大学というか部局が認識しなければならないと認識します。どういうことかというと、大学の研究科が定員を置いているわけですけれども、それの出口イメージを、例えば研究者に何人、先ほど木村委員がおっしゃったようなアントレプレナーや民間のリーダーを何人というような比率、出口イメージをきちんと持たせて、それに合わせた教育を行って、それに関して実際そのようになったかどうかを点検させるPDCAサイクルを回させることがないと、どこも、部局化したときに、優れた国際的に通用する何とかの人材をこれだけ作るという話ばかりが並んでしまいます。それだと、いつまでたっても研究者を目指すポスドクが増えることになってしまうと思いますので、出口イメージをはっきりさせて、PDCAサイクルを回させることが、木村委員がおっしゃったようなことが実現されることにもつながると思います。
 また流動性については、流動のためのインセンティブ経費のようなものを作ること、だから、今はシニアも年限を切ったらどうかみたいな話ばかりが出ていますが、流動することに対してインセンティブを持つような、例えば号俸がこれだけ上がるとか、そういうインセンティブ経費を付けることによって流動させる方が経済的には回りやすいと思うのです。だから、そういうインセンティブ経費みたいなものを特別経費としてすることで、流動性を促すことも考えられるかと思います。
 もう1点ですが、共同利用機関に関してですが、昨今、大変数が増えていますが、新分野創生の促進、国際頭脳循環のハブと書いてありますが、これとともに、共同利用状況の量的、質的なエビデンスの提出をすることによって、全ての共同利用機関をずっと維持することはできないわけですから、共同利用状況のエビデンスを出させることで、どれをずっと持っておくかとか、どれは年限を区切ってということにするのかという判断につながるのではないかと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 今、出口を見据えた教育のお話がありましたけれども、私も賛成で、出口を見据えて、大学院の入学試験からやらなければいけないと思うのですね。今、入ってきた学生を後でどうしようということがありますけれども、入り口でその可能性、その志がある大学院生を選考することが必要だろうと私は思います。

【新井委員】  
 それはアントレプレナーを作ることになると、プログラムとしてそういうものを作らなければならない。そうすると、今ある人材では教育できないと、産業界から人材を連れてきて教員とするというようなこともあると思いますので、そういう意味でも促進されると思います。

【野依主査】  
 御発言のない方、竹山委員、どうぞ。

【竹山委員】   
 とても現場にいて、自分の対象なので考えるのですが、とにかくキャリアパスは若手の人たちだけにいつも言われる話なのですが、先ほどもありましたが、例えばテニュアになった人自身が、またキャリアパスを考えなければいけないということがあります。学長を目指す人や、その中での次があり、ずっと研究者を目指して入ったけれども、途中で研究の調子が変わってくる人たちもいる。大学などは特に教育は非常に大きなウエートを占める部分があるのですが、研究をやりながら教育もイコールでバランスよくやることは非常に難しい。大学は今、個々の采配で、WPIみたいなものが入ってくると、あなたは研究を頑張ってくださいとか、教育はこのようにと、比重を変えたりはしているのですが、実はシニアにもキャリアパスが本来はあるのです。でも、なかなかそういうところにはフォーカスはされていないので、大学に入って教授にでもなってしまうと、死ぬまで働いてパーッとやっていかなければいけないのは、あり得ないことなのですね。その中で少しチョイスをしていくとすると、逆にそこがベースになって人材が動いていくこともあると思うのです。余りそこの点がないので、少し考えていただければと思います。

【野依主査】  
 伊地知委員、お願いいたします。

【伊地知委員】  
 りがとうございます。26ページです。「次代を担う人材育成と裾野の拡大」というところですが、「また」以下に三つの段落がございます。先ほどイノベーションに関わる人材をいかに育てていくかということ、あわせて、科学技術に関する国民の理解が非常に重要かと思っています。それに関連して言いますと、最後の「加えて」というのは、理科教育振興法や科学技術基本法に関することでありますし、その一つ前の「さらに」というところにあるものは、教育課程の外側にあることであって、「また」というところは、学習指導要領の改訂に関わって正に教育課程のど真ん中になるのですが、ここには科学技術やイノベーションに関わることは何も触れられていない。これからいかにイノベーションを生み出していくか、あるいはそれに関わっていく人材を育てていくか、それから、変わっていく科学技術の状況を国民全体がよく理解するかということであれば、この教育課程にきちんと反映していくようなことを、科学技術イノベーションに関わるコミュニティーの側から期待したいということで、できれば「また」という段落の中にも入れていただければと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 次に移らせていただきます。続きまして、第4章から第6章に関して、事務局から簡潔に説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 第4章、第5章、第6章を説明させていただきます。
 第4章は、「科学技術イノベーションによる社会の牽引」ということで、国の役割、政府の役割の2番目を具体化しています。その1番目が、「課題設定を通じた科学技術イノベーション」で、(1)番の「社会の重要課題への対応」の五つの課題は既に科学技術イノベーション総合戦略で定められているものでございますが、これについては着実に進めていくことを書いた上で、43ページの(2)になりますが、新たな社会状況の変化に応じたものとして、「望ましい『超サイバー社会』の実現に向けた変革」で、これは、以前は「超サイバー社会への対応」だったのですが、積極性を出して表題を変えてございます。(2)番につきましては、四つのパートがございます。最初はマル1で、「超サイバー社会を先導する研究開発の推進」になってございますが、次のページで、サイバー社会の中で、ビッグデータや、価値の創出が情報のコントロールから情報の活用に移る等、この辺りの研究開発をきちんとやっていかないと、今後競争力が保てないという観点から、4段落目から入りますが、多種多様なビッグデータの利活用技術の研究開発や、今後大きく伸びていく人工知能技術(AI)や、センサー活用技術の研究開発、ビッグデータやセンサー、AIを、社会に適用するためのいろいろなシステム、プラットフォームを構築していくことを書いてございます。最後には、どちらかというと、サイバー空間を支えるインフラの研究開発もきちんとやっていくことを書いてございます。
 マル2番が、「現実社会にもたらされる影響への対応」ということで、いろいろ考えられます。例えば、AI、ロボット等による責任、個人情報やサイバー攻撃などが社会への影響としてあるわけでございますが、45ページで、このため、パーソナルデータのための制度を早期に構築するとともに、匿名性を担保するための技術開発や、革新的なサイバーセキュリティ技術の研究開発、さらに今後生じる倫理的・法的・社会的課題に対するいろいろな調査や検討、自然科学だけではなく人文社会科学の専門家も含めた研究・検討を推進して、社会に反映していくこと。
 マル3番が、今度は「科学技術イノベーション推進手法の革新」で、このため、学術情報ネットワークの強化や、データ科学やスパコンとアプリケーションの研究開発等により、我が国の科学的手法の革新を図っていくこと。3段落目、また、オープンアクセスの促進、研究成果の情報の受発信力。最後がさらにオープンサイエンスの話で、先ほど白石委員からありましたが、意義を書いた上で、国際的な検討状況は、我が国の国益という観点も踏まえつつ促進を図っていくことを書いてございます。
 46ページが、人材育成でございます。まず、既存の研究者、技術者を活用するためのいろいろなプログラムが必要ではないかということ、また、大学等における高度人材の育成、その際に単なる高度人材というだけではなくて、産業界の連携やインターンシップ等を通じて、社会の諸課題の解決や新サービスの創出ができる人材が重要だということを言ってございます。この分野の職の魅力の向上や、いろいろな人に情報モラルやセキュリティー、基本的なリテラシーを身に付けてもらうことが必要ではないかと書いております。
 (3)番は、また新しいものとして「国家戦略コア技術」になってございます。47ページの上に「国家戦略コア技術の選定」と書いてありますが、どういうものが国家戦略コア技術なのかということで、まず、我が国の成長の原動力になり、また我が国及び国民の安全・安心を守る不可欠な国家存立の基盤となる技術を、獲得、蓄積して、自立性・自律性を確保していく。こうした技術のうち、長期性、不確実性があるものは国しかやらないということでございますので、国家戦略コア技術としては、「自立性・自律性」と、「長期性・不確実性・予見不可能性」を基本的な要件として、あとは戦略的に競争優位性・独自性、発展性も踏まえて考えていきます。例示が幾つか挙がっていますが、これはまだあくまでも例示で、今後、専門家の意見も踏まえて政府として検討し、決定していくことを書いてございます。
 こうした国家戦略コア技術の推進ですが、国が戦略にきちんと位置付けてやっていくことが必要ということで、第5期基本計画や総合戦略に位置付けていくことが必要でありますし、国家戦略コア技術の性格からすると、研究開発法人の役割になるのではないかということで、そういう計画にも位置付けてきちんとやっていく。具体的なところにつきましては、まだ技術が定まっていないこともございますが、それぞれの特性を踏まえて、研究開発法人の果たす機能・役割、若しくは政府と産業界の役割分担、オープン・クローズ戦略、他の分野への波及・発展も含めて、推進体制を構築していくということでございます。
 47ページの2ポツ目が、科学技術外交です。社会の牽引というときに、今は国内だけではなく国際的な社会もという観点から、「科学技術外交の戦略的展開」をここに入れてございます。具体的には48ページからですが、大きく二つありまして、1番目が、「国別の特性を踏まえた国際戦略の展開」ということで、まずマル1番で、国別の特性を踏まえた国際戦略を検討して策定することで、具体的には2段落目に書いてありますが、研究開発力の強化、科学技術の進展、社会実装・イノベーションの実現等の幾つかの観点を踏まえて、協力のねらい、重要性、障害要因等について明確化して決めていくこと。さらに決めた方針に沿って、マル2番に書いてありますが、関連する事業の再編、パッケージ化、メニュー化をしていく。具体的には、四つぐらいのパターンで、近年成長著しい新興国、その次の、急激な発展を遂げるアジアの新興国・途上国、47ページでは、欧米を中心とした国、最後にその他の新興国・途上国と、四つに分けてやっていくということでございます。
 大きな柱の二つ目が、「国際協力による研究開発活動の推進」で、最初に書いてあるように、重要なのは、我が国が地球規模課題の解決で先導的な役割を担って、強みを生かしながら他国とウイン・ウインの関係を築くことで、1番目が、「国際協力によるオープンイノベーション拠点の国内外における構築」として、共通的な課題、地球規模問題の解決に向けて、オープンイノベーションの拠点を、相手側、相手国に設置・運営することと、それに呼応したサイトを国内にも設置して、「顔が見える」拠点作りを推進していくことでございます。次の51ページになりますが、マル2の少し上に書いてありますが、重要なのは、協力関係を、一時的なものではなくて持続的な協力関係に発展させていくことでございます。
 また「国際協力による大規模な研究開発活動の推進」ということで、これは今やっているものがございます。引き続き着実に推進していくとともに、今後の参画については、2段目の真ん中辺りから書いてありますが、長期的な見通し、基本的な方針をきちんと検討していく必要があり、その際、その分野における国際的な位置付け、科学的な意義、検討の熟度等を踏まえて、議論と判断を行うことが重要だと書いてございます。
 社会の牽引の3番目が、「科学技術イノベーションと社会との関係強化」でございまして、2段落目に書いてありますが、「社会とともに創り進める」ことが基本でありますが、東日本大震災、研究不正等も踏まえて、「社会からの信頼回復」の視点を重視していくということで、1番目に、「社会からの信頼回復」を置いてございます。具体的には51ページでございますが、研究活動における不正行為、研究費の不正使用への対応として、1段落目は理念を書いておりまして、厳しい姿勢で臨むことが必要であり、政府としてはガイドラインを作り、それに基づいて機関を挙げて問題に取り組むことへの対応の徹底や、調査結果の公表の徹底をきちんとやっていくことと、リスクコミュニケーションをきちんとやっていかなければいけないということ、そのためには、2段落目にありますが、こうしたことを踏まえて、限界、不確実性、想定外の事象が起こることも含めて、きちんと対話・共考・協働をしていくことを書いてございます。
 52ページでございますが、「倫理的・法的・社会的課題への対応」ということで、サイバーのところでも申し上げましたが、従来、生命科学を生命倫理という形でやっておりました。最近のサイバー社会の発展も含めて、今後はやっていかなければならないだろうと考えております。プロジェクトの資源の一定割合を、このような研究に充てるという方針に既になっていますが、これを継続してきちんとやっていくということでございます。
 (2)が「社会とともに創り進める科学技術」で、具体的には、次のページのマル1番が「国民の科学技術イノベーション政策への参画促進」で、2段落目に、このため、ステークホルダーが参画・協働できる場の設定や仕組みの構築をきちんとやっていくことと、ここでも少しオープンサイエンスに取り組むことを書いてございます。
 次が「科学技術コミュニケーション活動の推進」ということで、このため、資源の一定割合をこういう活動に充てる方針を継続して取組を促進すること、特に高度な能力を持つコミュニケーターの養成の取組や、いろいろな施設を利用したコミュニケーション活動の推進をやっていくことを書いてございます。
 マル3番は、イノベーションによる社会変革を見据えた、「人文学・社会科学と連携した取組の推進」を書いてございますが、54ページにもありますように、フューチャー・アース構想のような総合的なプロジェクトなども含めて、こういう取組をより推進していくことを書いてございます。
 次の55ページ以降が第5章で、「科学技術イノベーション創出機能の最適化」でございます。1ポツが「大学の機能の強化」ということで、1段落目、2段落目については大学の役割や最近の状況を書いてございます。国立大学については、国立大学改革プランを踏まえた改革の取組が進んでおりますが、これをきちんと検討し実行していくことが必要でありますし、その際、新聞報道等にも出ておりますが、三つの重点支援の枠組みを新設し、各大学の機能強化の方向性において重点支援の在り方を検討していくことと、また「特定研究大学(仮称)」の特別な支援を行う仕組みの在り方の検討や、「卓越大学院(仮称)」の形成を進めていくことが必要であろうと。
 2番目が「国立研究開発法人のイノベーションハブとしての機能の強化」でございますが、具体的な中身につきましては、56ページに、「国立研究開発法人の本来的な機能の強化」と、「新たなイノベーションシステムに対応する取組の強化」が書いてありますが、最初の「国立研究開発法人の本来的な機能の強化」では、2段落目に、独自の魅力ある評価システム、必ずしも論文にはよらない評価システムや、人材システム改革等を含めたシステム改革の先導、そして、中期目標の設定と法人評価、計画を実行するための予算措置等を通じて促進していく中で、理事長裁量経費や、運用改善をきちんと図っていくこと。また、特定研究開発法人をきちんと実現して充実に努めていくことを書いてございます。「新たなイノベーションシステムに対応する取組の強化」では、国立研究開発法人の特性を生かして、産学官のヒト・モノ・カネ・情報が結集する場を形成していくことを、56ページから57ページにかけて書いてございます。
 3ポツ目、「資金配分の改革」でございますが、これは基盤的経費と競争的経費のデュアルサポートを原則とした上で、(1)番が、「基盤的経費の改革・充実」ということで、1段落目の最後にありますように、競争的経費の充実とともに、基盤的経費の充実を着実に図っていくことが重要であるとしてございます。また「競争的経費の改革・充実」が(2)番になってございますが、具体的な中身は58ページになりますが、研究型、研究開発を主たる目的とする経費につきましては、2段落飛びまして、政府は原則全ての経費に間接経費30%の措置やルールの統一をやっていくとともに、今後の大学、研究開発法人において、成果の最大化が図られるように間接経費の措置の在り方の検討をしていくこと。システム改革や教育改革の促進を目的とするようなシステム改革型の経費については、事業の目的の達成が担保できるような仕組みをきちんと内在化させて実施していくという話、さらにはこういった競争的な資金、資金制度を考えるときに、若手人材の育成の観点をきちんと考える必要があるということで、具体的には59ページに移りますが、厳格なエフォート管理の実現を前提に、人件費支出の促進や、経費の審査・評価において、雇用する若手の育成環境、キャリアパスの確保等についても、きちんと評価していくことを書いてございます。
 次の60ページ以降が、第6章「科学技術イノベーション政策の推進体制の強化」でございます。1ポツが、「政策の企画立案及び推進機能の強化」でございますが、2段落目、3段落目が、司令塔機能ということで、今いろいろな司令塔機能が存在していますけれども、政策が円滑にいくように、どう在り方を考えていくか、真の司令塔として機能を発揮していくことが必要であろうということと、エビデンスに基づく企画立案・評価プロセスの改善のための「政策のための科学」の推進、最後の段落では、専門家の科学的助言を早く具体化していくことを書いてございます。
 2ポツは、「PDCAサイクルの実効化」ということで、61ページの最初の段落の真ん中以降にもありますが、評価指針等にのっとり、きちんとPDCAサイクルをやっていくことを書いてございます。
 3ポツが、「政府研究開発投資の拡充」ということで、第1期から第4期まで研究開発投資の拡充の中で、目標を定めてございました。最後に書いてありますが、政府の研究開発投資については強化していくことが不可欠であると言った上で、62ページの最後の段落にありますが、第5期については、第2期、第3期、第4期で対GDP比1%の達成を目標に掲げたものの未達成である状況や、我が国における政府研究開発投資は他国と比べて低いこと、他国、米国、欧州、アジア各国も、指標として対GDP比を掲げていることを勘案して、政府研究開発投資の対GDP比1%確保を基本として、明確な投資総額を掲げておくべきであるとしてございます。
 説明は以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 全体を拝見しまして、盛りだくさんで、全てのことが入っているので、エグゼクティブサマリーで全体を短く概観するとともに、柱を五、六本か、七、八本か立てることが必要だろうと思います。そこで、プライオリティーをはっきりすること。それは、社会から理解と支援を得るものではないかと思っております。それから、提言をどうすれば実現するかということで、何より財政が一番大事です。研究費の拡大を、当然、財政当局に訴え続けることは大事ですけれども、国の現在の財政を考えれば決して容易ではないということで、ですから日本が保有する、あるいは外から獲得可能な、限定的なヒト・カネ・モノをベースにして、いかにすれば成果を最大化するかという考えが必要で、文部科学省で随分考えていただいておりますトップダウンの政策ももちろん大事ですけれども、ボトムアップで考えないとワークしないと思うのです。そういったボトムアップのシステム改革、ここに五神先生、次期東大総長がいらっしゃいますけれども、その辺りから力強いシステム改革の提案を頂く。そういったことをエンカレッジするようなことも、少しここに書いていただく必要があろうかと思います。
 それでは、五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 今、野依先生が御指摘されたところは私も全く同感です。特に最後のところで、投資目標をきちんと確保することは通常のステートメントとしては大事なわけですが、結局この民間80、政府19.5ということの中身を、どのように質的に向上させていくか。すなわち、通常の経済活動の中で、より未来につながる研究開発に向けた投資の質をいかに高めていくかということが極めて重要で、そのための産学官連携、あるいはその中での人材流動という視点が必要でしょう。そういう意味で言いますと、これから育ってくる人材をどう育てるかという大学の視点だけではなくて、現在産業界の中にいる多種多様な人材を集めてくる、正に「共創の場」を創るという表現は、それをどう実装するかを語ったのだと思います。その中で民間の経済活動をいかに未来に向けた投資に転換していって、そのために政府のお金をどう使うかという視点が、極めて重要だろうと考えます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 上山委員、どうぞ。

【上山委員】  
 今のお話と関係するのですが、私はやってはいけないことは、基本的に、政府が、例えば人材異動のパーセンテージ、あるいはテニュアトラックがどれくらいになっているかなど、目標値を決めて、個々の大学なり研究主体に向けてそれをPDCAでチェックする形の政策は、やってはいけないと思います。むしろ、それぞれの大学なりそれぞれの部局なりが、どのような意識を持ってそれを達成するかということを支援していく。そういう競争的な関係を作っていくことこそが、クリエイティブな政策なので、そのはっきりした目標値を定めてほしいということ。それに関して言うと、ここで、例えば人文・社会科学の問題が出ていますが、人文・社会科学を社会との関係だけで捉えるのは本当に間違っていて、むしろ自然科学系の多くの研究者の中に、様々な形で、知財、あるいは投資活動、マネージャー、リーダーシップ、アントレプレナーシップ、こういうところに入っていくような人材が、今実際の大学にはたくさんいるわけです。この人たちの再教育も含めて、個々の大学なり研究機関なりが、真剣に取り組まないといけない。そういうリーダーシップをとっていくような形は、その意味では、もう人文・社会科学も自然科学もなくて、こういうイノベーションのど真ん中のところにそれが入ってきているという意識で、大学の運営に当たってほしいと思います。

【野依主査】  
 おっしゃるとおりで、大学は、自主性あるいは自律性が一番大事ですが、なかなか個々の法人で決められないわけで、文科省に決めてほしいといったところがあるではないかと思っております。上山委員のおっしゃるとおりだろうと思います。
 では、白石委員、どうぞ。

【白石委員】  
 PDCA、60ページから61ページに、第4期まで、既に20年間、研究開発投資をやってきて、その効果についての体系的な分析と評価は必要だということを、一つ入れるべきではないだろうかと思います。それがないと、政府研究開発投資の拡充だけ言っていても、社会的な説得力がなくなってきているのではないかと思います。

【野依主査】  
 小野寺委員、どうぞ。

【小野寺委員】  
 遅れてきて申し訳なかったのですが、43ページに、「望ましい『超サイバー社会』の実現に向けた変革」を入れていただいたことは、非常に大きいと思います。第4期までにはなかった表現でこれだけのことを書いていただいているので非常に結構だと思うのですが、これの前提となる、第1章の話で申し訳ないのですが、遅れて来たのであえて言わせていただきますが、2ページから3ページにかけての表現を是非直していただきたいと思っています。紙でも出してありますが、3ページの3段落目のサイバー空間での危険性の問題ですが、「大きな問題をもたらす危険性を有している」と。もう危険性を有しているのではなくて危険性は既に出ているわけで、ここの表現はこれではまずいので、何としても変えていただきたいと思います。それが1点目です。
 もう一点は、私の勘違いなのかもしれませんが、国主導で取り組むべき基幹技術の問題ですが、これはもう文科省としては総合科学技術・イノベーション会議ですか、向こうに預ける形で、ここでは一切議論しないとおっしゃっているのでしょうか。その点だけ確認させていただきたいと思います。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 そういうことではなくて、時間の問題もありますので、ここでは理念を確定しておいてもらって、最終的には閣議決定するのが基本計画であり科学技術イノベーション総合戦略であるので、そちらにきちんと書いていって、国家戦略としてやっていく必要があると言っているということでございます。

【野依主査】  
 サイバー社会の問題、西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 小野寺委員がおっしゃいましたように、より積極的な意味のタイトルを付けていただきまして、この件については何回かコメントをさせていただきましたので、どうもありがとうございました。そこで、46ページの「望ましい超サイバー社会の実現に向けた人材の育成・確保」ですが、ここで書かれている人材像が、必要なタイプと思われるさまざまな人材像が羅列してあるのですが、私は超サイバー社会になったときに人材の育成の在り方自身も大きく変わるのではないかと思っています。そこで、この「人材の育成・確保」の最後に、「こうした当面の人材需要への迅速な対応にとどまらず、超サイバー社会の到来が人材育成の基本的な在り方にもたらす長期的インパクトを視野に入れ、職業人、研究者に求められる資質、能力、及びその体系的な育成のためのコンテンツ、方法を研究していくことが必要である」というような記述を付していただきたいと思います。超サイバー社会は大きなイノベーションが起きていく社会ですので、このような先を見据えたことも是非書いていただきたいと思います。

【野依主査】  
 結城委員、どうぞ。

【結城委員】  
 57ページの「資金配分の改革」ですけれども、基盤的経費と競争的経費の関係ですが、この柱書の3行目、4行目に書いてあるように、その配分に当たっては、両経費の最適な組合せを考慮するということで、やむを得ないと私は思います。それで、(1)、(2)、基盤的経費と競争的経費、それぞれを書いていくわけですが、少なくとも同じ強さで、イコールフッティングに書くべきだと思います。その観点から、(1)の「基盤的経費」の4行目ですけれども、「競争的経費の充実とともに」と書いてありますが、これは競争的経費が主であって、基盤的経費がそのついでにという感じになっていますので、「競争的経費の充実とともに」というのは削除すべきだと思います。もう一つ、その後に「充実を着実に図っていく」という表現がありますが、これもここにしかないのですが、「着実に」というのは、できる範囲でゆっくりでという感じを受けますので、この「着実に」も削除していただきたいと思います。
 もう一点、60ページですが、真ん中辺りに、総合科学技術・イノベーション会議が、「それぞれの司令塔を束ねる真の司令塔」という表現がありますが、「真の」というのは、気持ちは分かりますけれども表現として非常に良くないので、これは是非別の表現、例えば「それぞれの司令塔を、科学技術・イノベーションの観点から取りまとめる」とか、そういう、「真の」という言葉は避けた方が良いと思います。

【野依主査】  
 御発言のない方、知野委員、どうぞ。

【知野委員】  
 ありがとうございます。先ほど、委員長も盛りだくさんということをおっしゃったと思うのですが、全体にすごく盛りだくさんで、全体的に難しく、片仮名が多くて、読んでもぱっと頭に入ってこないのではないかというところがあります。また、最近、差別化を図るためにいろいろなものを作る。例えば、国家基幹技術が前にありましたが、今度は国家戦略コア技術がありまして、その説明を読みますと、抽象的で、いろいろ書いているのですが、自律性、長期性、不確実性、予見不可能性、競争優位性、独自性とか、つまり具体的にどういう特質があるのかが分からないので、混乱してしまうのが、難しさの理由の一つです。それから、大学の種類も3種類に分けようという話とか、最高水準の卓越大学院、特定国立研究開発法人、それからさっきの真の司令塔というのもありましたけれども、とにかくいろいろな概念がどんどん上積みされていって、分かりにくくなっていますので、何を目指しているのかをもう少しすっきり整理する必要があるのではないかと感じました。

【野依主査】  
 知野委員には、是非御相談させていただきたいと思っております。
 春日委員。

【春日委員】  
 まず49ページの「国際協力による研究開発活動の推進」のところで、一言文言を付け加えていただきたいと思います。1行目、「科学技術外交の推進に当たっては、地球規模課題の解決で」と書き出されていますけれども、ここに是非「地球の持続可能性の発展のために」ということを書き加えていただきたいと思います。と言いますのは、ちょうど2015年はいろいろな研究の流れの節目に当たり、研究だけではなく国際的な流れの節目に当たり、一つには、災害、防災のところで、「Hyogo Framework for Action」の後継枠組みが稼働します。それから最後辺りで引用していただいていますが、フューチャー・アースが本格的に稼働します。またMDGsの後継としてSDGが最終的に確定しますし、環境教育のESDの10年がちょうど今年で終わったところに当たります。全てに共通するのが、地球のサステナビリティです。そのことが明確に国際協力の共通の目標として認識されるように、もう一度申し上げますが、先ほどの発言に加えて、「国際的共同研究の動向を見据えつつ、地球の持続可能性、課題又は地球規模課題の解決で」というように、少し修文していただきたいと思いますが、その点を盛り込んでいただければと思います。

【野依主査】  
 今のサステナビリティの問題は、ポンチ絵の一番上に書いてあるのですよね。3本の柱のようなところで。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 今回はお渡ししておりませんけれども、前回等のものでは書いてございます。

【野依主査】  
 1丁目1番地で書いてあるのですね。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 この資料の13ページの「目指すべき国の姿」のところでも、1丁目1番地、太文字で書いてありますが、最後の「我が国及び世界の持続的発展を実現する国」ということを明示しております。

【野依主査】  
 世界全体、あるいは日本社会を俯瞰する、概観することが前に短くあって、そして、具体的な柱があるのが良いのではないかと思いますが。

【春日委員】  
 ですので、具体的なことを書いてあるこの章でも、はっきりその言葉を明示していただきたいと思います。

【野依主査】  
 はい。では、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 60ページでございますが、政策のための科学の話ですが、「科学技術イノベーション政策の総合的なデータベースを構築、活用」と書いてありますが、これについてはもうデータベースが林立していますので、これに関しては、例えば手で作るというようなことではなくて、「データの自動収集」、あるいは「による分析評価の半自動化」というようなことにしていただきたい。何と言っても超サイバー社会を目指すような基本計画でございますので。超サイバー社会の部分ですが、これは大変すばらしい内容だと思っておりますが、このまま読むと少し危ないことがありまして、何かというと、超サイバー社会はどのような形で進むかについては、まだその片鱗(へんりん)しか具体的には見えておりませんし、その影響の範囲やスピードも不透明な部分が多いです。ICT技術、とりわけ、AI、ロボット技術は、定型的、構造的環境では爆発的な能力を発揮する一方、不定型、非構造的環境下では無力に近いことが広く知られておりますし、ロボット革命実現会議でもそのような意識の下、ロボットやAIが動くようなロボットバリアフリーな環境をセットで発見して、それを強みにしていこうという話がございます。ですから、この分野にやや不得意な日本が、この不透明な超サイバー社会で我が国の競争力を強化し、新しい価値を創造するためには、まず先端的な技術に突入すると、第4期と同じようなことにならないとも限りませんので、まず羅針盤となるような研究ですね、技術とその可能性と限界について見極めるような眼力を付けるような羅針盤的な研究が、まずもって必要だと思います。そのような話を少し入れていただければと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございます。
 では、土井委員、どうぞ。

【土井委員】  
 今の超サイバー社会と関わるのですが、47ページの「国家戦略コア技術の選定」で、最後の段落に具体的な技術の名前が挙がっているのですが、これが全てハードウエア的な技術ばかりなので、是非、例えばサイバーセキュリティ技術というような言葉を入れていただきたいのと、先ほどのPDCAとも絡むのですが、政策をいかに定量的というかシミュレーションも含めて立案して、それがどうやってきちんと世の中に入っていくかというポリシーメイキングも含めたところも、国家的なコア技術として推進していくことも必要ではないかと思います。そういう意味では、その前の45ページに「科学技術イノベーション推進手法の革新」と書いてありますが、そういうものも国家戦略コア技術として位置付けていくことも重要だと思います。よろしくお願いいたします。

【野依主査】  
 よろしゅうございましょうか。
 では、松本委員で最後にさせていただきます。

【松本委員】  
 49ページに、「国際協力によるオープンイノベーション拠点の国内外における構築」と書いてありますが、これは本当に実効的に実現するためには、研究開発のプレーヤーだけではなくて、イノベーションの専門家と言いますか、社会科学的な専門家もここに入って実施しないと、なかなかうまくいかないと思います。それは前の章とも関係するのですが、申し訳ないのですが、圧倒的に日本は、欧米にイノベーションそのものの研究で負けている可能性もありますので、そのような研究に対する投資や研究費のもう少し拡大なども重要ではないかと思います。大体、オープンイノベーションも海外から入ってくるとか、MOTもそうですけれども、イノベーションの新しいコンセプトは海外から入ってくる、日本からそういうコンセプトが出てくるとか、あるいはそういう方々が一緒に科学技術イノベーションを起こすみたいな枠組みには、イノベーション研究に対するもう少し投資と言いますか、研究費の増大も必要ではないかと思います。

【野依主査】  
 そろそろ時間ですので、これで終了させていただきたいと思いますが、本日皆様から頂きました意見を踏まえて、事務局において中間取りまとめ案を修正していただきまして、その内容について、次回、御議論いただきたいと思います。
 最後に、川上局長から一言お願いしたいと思います。

【川上科学技術・学術政策局長】  
 恐らく、本日は時間が足りていませんので、書面によるコメントがございましたら、是非お願いしたいと思います。私からお願いを申し上げます。次回で「中間取りまとめ」をまとめたいというのは、CSTIの検討が正に開始しておりまして、早い段階でこちらから向こうへ投げておかないと反映が難しくなるようなことになってはいけません。そういうことで、時間は限られているわけでございますが、この限られた時間の中で最大限コメントを反映して良いものにしていきたいというのが、1点目でございます。加えて、これも前から申し述べてございますが、今回の作成過程においては、CSTIにおける検討というだけではなくて、CSTIと協力する形で、例えば産業競争力会議や、政府内の他の会議が並行してこれに類似する、関係するような課題の検討を進めていくという段階にありますので、そういった検討の状況も、適宜、我々文部科学省としての立場も通した上で、必要に応じてCSTIに引き続き投げていかなければいけないと考えてございます。1月に「中間取りまとめ」をまとめて、これで科学技術・学術審議会のもとにおける検討が終了ということではなく、必要であれば引き続き追加の意見をしていくという考え方で臨みたいと思います。先ほど小野寺委員から、国家戦略コア技術について、CSTIに投げるのかという御質問がございましたが、そういった意味で、手放すのではなく、文科省としても引き続き検討しながら、CSTIと協力していきたいという趣旨でございますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 最後に、議題2「その他」となります。事務局から説明してください。

【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】  
 資料3「総合政策特別委員会の議題について」ということで、今後の予定の御説明でございます。次回、第9回総合政策特別委員会は、1月20日火曜日、10時から12時まで、文部科学省旧文部省庁舎の6階第2講堂にて、開催いたします。議題といたしましては、引き続き「中間取りまとめ(案)」の審議になっております。先ほど局長の川上が申し上げましたとおり、御意見がございます場合は、年内に書面にて事務局まで頂ければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事録でございますが、後ほど、事務局より委員の皆様にメールでお送りさせていただきます。御確認いただきました上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本日の資料につきましては、お帰りの際に封筒にお名前を御記入の上、机上にお残しいただければ、事務局より後ほど郵送させていただきます。
 以上でございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、以上で、科学技術・学術審議会第8回の総合政策特別委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当))

-- 登録:平成27年02月 --