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総合政策特別委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成26年12月9日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階第2講堂

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 中間とりまとめ(案)の審議について
  2. その他

4.出席者

委員

野依主査、新井委員、伊地知委員、上山委員、小野寺委員、春日委員、木村委員、五神委員、庄田委員、土井委員、西尾委員、細野委員、松本委員、結城委員

文部科学省

土屋文部科学審議官、戸谷官房長、岩瀬政策評価審議官、義本審議官(高等教育局担当)、安藤審議官(研究振興局担当)、田中審議官(研究開発局担当)、浅田総務課長、吉田高等教育局長、常磐研究振局長、田中研究開発局長、榊原科学技術・学術政策研究所長、川上科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、江﨑科学技術・学術政策局企画評価課長、林科学技術・学術政策局戦略官(制度改革・調整担当)、坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官、ほか関係官

5.議事録

【野依主査】  
 それでは、ただいまから科学技術・学術審議会の第7回の総合政策特別委員会を開催します。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席いただきまして、有り難く思っております。
 さて、本日は中間取りまとめの案につきまして御審議いただきます。
 会議開催に当たりまして、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。

【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】  
 資料につきまして、お手元の議事次第の裏にございますとおり、配付資料が1から4、参考資料が1-1から3までとなっております。欠落等不備がございましたら、お手数ですが事務局までお知らせください。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に関連する審議会等の状況について御報告いただきたいと思います。
 一つは人材委員会で取りまとめた資料について、もう一つは国立大学改革に関し、産業競争力会議の議論の状況について、報告を受けたいと思っております。
 まず、人材委員会の取りまとめに関しまして、人材委員会の主査でいらっしゃる濱口主査代理から意見を頂いておりますので、併せて事務局から説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それでは、参考資料の1-1、1-2、1-3について御説明いたします。
 最初に資料1-1について、これはこの委員会の主査代理でもあります濱口主査代理が人材委員会の主査でありまして、そこで早急に措置すべき施策というものをまとめたので、ここの中間まとめに関しては、その施策の観点を盛り込んではどうかと、こういった意見も頂いているところです。本来であれば、濱口主査代理から説明したいということでありましたが、急きょ、本日御欠席でございますので、私の方から参考資料1-2を基にして人材委員会でまとめた政策について、御紹介したいと思います。
 これは早急に措置すべき施策ということで11月中旬に人材委員会でまとめられたもので、1ページの真ん中辺りに書いてありますが、3本の大きな柱ということで、1本目が若手研究者の活躍支援と流動性の高い人材システムの構築、2本目が国境を越えて優秀な人材を獲得する仕組みの構造化、3本目が多様な研究者が活躍するダイバーシティ研究環境の整備、この3本柱から成っておりまして、これは基本計画に最優先で盛り込み、早急かつ確実な実施を求めるといったものになっております。
 それぞれの中身を少し御紹介いたしますと、1番目の若手研究者に関しましては、まず、テニュアトラック制の活用促進。テニュアトラック制につきましては、そのページの一番下に書いてありますけれども、一定の任期を付して、最終的にテニュア審査をきちんと受けるといった制度をきちんと活用するということ。
 2ページに参りますけれども、(1)の最後のところに、こういったテニュアトラック制を活用するとともに、若手研究者が研究責任者として研究室を運営していく能力を育成するとともに、メンター制等の充実によって研究機関全体としてのシステム構築に努めるべきだというような提言になってございます。
 同じく2ページの(2)「優秀な研究者が機関や分野の枠を超えて活躍できる新たな制度の創設」でございます。その下の2段落目、「具体的には」と始まる段落の後半部分になりますけれども、優秀な研究者が、単に任期付きのポストを繰り返すのではなく、将来のキャリアのステップアップの見通しを持って、独創的な研究に専念できるよう、国が責任を持って研究者集団を支えることができる仕組みとすべきであるということ。さらに、その制度構築に当たっては、科学技術政策及び高等教育政策の整合性の確保とともに、デュアルサポートシステムの中で競争的資金等の外部資金で雇用する研究員と、運営費交付金等の基盤的経費等で雇用する研究者を適切な組合せにしていくといった認識を共有しないといけないということをうたっております。
 3ページ目に行きまして、(3)「産学官のマッチング機会の更なる充実」ということで、冒頭に書いてございますけれども、若手研究者が、早い段階から産業界を含む異分野・異業種とのインタラクションの機会を得ることは非常に重要だと言った上で、具体的な取組につきましては、3ページの真ん中ぐらいから「博士課程教育リーディングプログラム」を着実に進めるとともに、中長期研究インターンシップやワークプレイスメント(有償型就業体験制度)、「産学共同研究講座」の更なる充実といったものを進めるべきということ、また、次の段落に、研究開発法人が進めるイノベーションハブの中でも連携大学院による教育研究指導やリサーチアシスタントとして博士課程学生を雇うといったことでキャリアパスを見据えた指導を行う仕組みを構築することが望まれるということが書いてございます。
 4ページ、2番目の柱として、「国境を越えて優秀な人材を獲得する仕組みの構造化」ということで、まず、(1)で「頭脳循環を加速する取組の推進」になってございます。1段落目の真ん中ぐらいでございますけれども、世界の第一線の研究者を招へいするための大胆な研究環境整備を行うとともに、国際共同研究や人材育成の取組を加速するといったこと、さらには(2)「優秀な留学生の定着・活躍促進」を図ることの重要性について述べております。
 3番目の柱が「多様な人材が活躍するダイバーシティ研究環境の整備」ということで、特に最初は(1)「女性研究者の活躍促進」です。真ん中に書いてありますように、従来の施策に加えて、経営層の女性研究者を増やす施策を新たに実施するということと、また、今までやっていた女性研究者となる裾野を拡大するといったものを併せて、全体として持続可能なシステムを構築することが重要とされております。なお、女性研究者の活躍促進に関しましては、別途、JSTが報告書をまとめており御参考までに机上に配付させていただいておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 ダイバーシティの2番目が(2)「研究推進に係る多様な人材(研究推進人材)の位置づけの明確化」ということで、研究者のみならず、リサーチ・アドミニストレーター、プログラムマネージャ、技術支援者等々の新たなイノベーションシステムに不可欠となる人材、これをきちんと育成確保していくことの重要性について述べているところでございます。
 5.「今後の検討課題」では、(1)「博士号取得者の質を担保するための大学院教育の在り方」や(2)「大学員博士課程学生への経済支援の在り方」、(3)「若手研究者育成の観点からの競争的資金制度の在り方」ということを述べております。ここは前回のこの委員会の場でも少し議論があったところでございますけれども、任期付き研究員については、競争的資金における任期付き雇用と、任期終了後は基盤的経費や間接経費による雇用を柔軟に組み合わせることによって、ある程度の期間、安定的に雇用する仕組みをきちんと検討すべきだというような話でございます。最後、(4)「セクター別・分野別の状況の詳細把握」になってございます。
 資料1-2については以上でございます。
 続きまして、参考資料1-3でございます。これは産業競争力会議の新陳代謝・イノベーションワーキンググループで大学改革について議論が行われているところでございますので、その状況について、簡単にポイントだけ紹介したいと思います。
 これは11月19日に行われたワーキンググループで、橋本主査から示された論点とその方向性ということで、時間もございませんので項目だけ紹介いたしますけれども、1番目が「大学の機能強化」、2番目が大学の「目標及び評価指針の設定」、3番目が「評価及び評価結果の資源配分への反映」、4番目が特に研究大学については「競争的資金との一体改革」を考えるということ、5番目が「特定研究大学」の要件等について、6番目が「卓越大学院」についての考え方、そして次のページの7番目が「卓越研究員」制度についての重要性、8番目が「地域イノベーション機能の強化」、こういった論題を出しておりまして、これに基づいて議論がされているところです。
 このワーキンググループにつきましては12月中旬にもう一度行い、1月中には方向性を取りまとめるという方向で進んでおりますので、こういった状況も踏まえながら、この中間取りまとめの中に反映をしていきたいと考えております。
 以上でございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは質疑応答に移りたいと思います。なお、これらの内容をどう中間まとめに盛り込むかは、後ほど中間取りまとめの案の審議にて行いたいと思います。
 どなたか御質問ございますでしょうか。西尾委員。

【西尾委員】  
 この委員会の前に学術の基本問題に関する特別委員会が開催されまして、そこでの意見を下に発言をさせていただきます。今なされました人材委員会の報告に研究推進人材という言葉があり、その意味するところは、研究者と協働できる研究者以外の研究推進に係る人材ということになっています。しかし、研究推進人材と言われますと、やはり研究を自ら推進する人材を想像してしまいます。つまり、この言葉を用いた場合には、研究を自ら推進している方とそれをサポートする方の区別がつきにくいのではないかという意見がありました。
 以上です。

【野依主査】  
 どうぞ、林戦略官。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 その点につきましては、本委員会の事務局内で共有しまして、本日、濱口主査もいらっしゃいませんので、濱口主査代理とも相談しながら、人材委員会の方で更に検討してもらうということにしたいと思います。また、この名称につきましては、本委員会の中間取りまとめ素案でも使っておりますので、そうした検討も踏まえて、最終的にどういう言い方をしたら良いのかということを決めていきたいと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 人材の問題について、たくさん良いことが書いてあると思います。やはり国全体として優秀な若手、その他の人材を確保することが大事ですけれども、一つの小さな大学、あるいは研究所でそれをキープすることは、維持することが大変難しいので、何か一つコンソーシアムやプールのようなものを作って、そこには厳密な適正な評価が必要だろうと思いますけれども、評価された人たちを一つのプールあるいはコンソーシアムで維持するというような御意見は出ていますでしょうか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 この人材委員会の取りまとめの2ページの(2)の2段落目、「具体的には」というところで、まず、「科学技術人材育成のためのコンソーシアムの構築」等の施策によってと書いてあります。これは実際に今年度からの施策でございますので、既に立ち上がっておりまして、これをモデル的にして更に広げていくという考え方、さらには五神委員も仰られている研究員制度を更に検討していくといったことがありまして、それは今の中間取りまとめ素案の個別の中にも入れさせていただいております。

【野依主査】  
 そうですか。大変結構だと思います。
 次に参りますが、よろしゅうございますか。はい、どうぞ。

【土井委員】  
 大学改革の方の3ページ目の4.「競争的資金との一体改革」で、競争的資金の使い勝手の改善と、これは非常に重要なことだと思うのですが、少し気になりますのが、その内訳が大学のガバナンス強化を支える間接経費の拡大、直接経費の使途の柔軟化と書いてありますが、この大学のガバナンス強化を支える間接経費が括弧してオーバーヘッドとなっていて、オーバーヘッドは必ずしも大学のガバナンス強化をしなくてもかかるものを意味するので、ここをなぜあえてオーバーヘッドとわざわざ注が入っているのかが少し気になりますので、これは不要のような気もいたします。 

【野依主査】  
 林戦略官、どうぞ。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 これは別の会議の資料なので、変えることはできないのですが、この委員会の報告書の中ではそこのところはきっちり整理をして書いていきたいと思います。

【土井委員】  
 よろしくお願いします。

【野依主査】  
 五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 今の点ですけれども、間接経費という言葉が何を意味するかというところが多様な意味合いで使われている場合があって、その使い方については縛りが入っている場合も多いと思います。ここで言っているのは、要するに大学が全体運営のためにフリーハンドで使えるような資金を、きちんと外部資金に比例した形で蓄えられるようにするということが重要です。米国などでは一般的なオーバーヘッドという意味です。ここはそれを明示する意図だと思います。

【土井委員】  
 逆に、間接経費が要らないのですね。

【五神委員】  
 と言いますか、言葉の整理が必要だという意味です。

【土井委員】  
 そうですね。

【野依主査】  
 木村委員、どうぞ。

【木村委員】  
 少し特殊な人材になるかもしれませんが、医学部医学科を卒業した医師の皆さんをどう社会全体で最大活用するかということは実は大事で、もともと優秀な人たちが集まっていますが、医師としての知識経験というのは医療現場以外でもいろいろな医療産業や組織で役に立つのです。医療現場だけに閉じ込めておくのはなかなかもったいないところもあるかもしれません。医師の経験者でないとできないこと、例えば製薬企業の研究開発を担うということは、日本ではまだまだ少数派であります。一方、海外では医師がが産業界で広く有効活用されています。それを実現するためには給与体系など人事制度を手直しするような、いろいろな社会的な課題があると思いますが、この貴重なな人材をどう社会で最大活用するかはこれからますます重要になると思っております。

【野依主査】  
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。中間取りまとめ(素案)について審議を行いたいと思いますが、資料が大部になりますので、まずは資料の前半について、事務局から説明をお願いいたします。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それでは、資料1、2、3、特に資料3に基づいて説明いたします。
 資料1が目次案ということでございますが、これは前回の議論も踏まえて、少し修正をしておりますので、その点だけ最初にまず簡単に御紹介したいと思います。
 4ページ以降が前回からの見え消しになってございますので、そちらを見ていただいた方がはっきりするところでございますが、まず第1章「基本認識」のところに3.「諸外国の科学技術イノベーション政策の動向」というものを追加したということ。それから、第2章の2ポツのところで、「科学技術イノベーションにおける政府の役割」を導き出す前に「科学技術イノベーションの構造変化とその創出基盤の重要性の高まり」を入れた上で、今まで「イノベーション基盤力」と言っていたのを「イノベーション創出基盤」という形に言い換えております。また、4.「今後の科学技術イノベーション政策の推進に当たっての基本姿勢」の中では、「知のフロンティアを開拓する学術研究の振興」を追加するとともに、前回、何人かの委員から意見のあった「世界を意識した」というところは、「グローバル社会における」という形で言い換えております。
 それから、主な修正としましては、次の5ページ目の真ん中辺りの2.ですが、「民間企業が行うイノベーション活動を支える」となっていたのを「持続的なオープンイノベーションを可能とするイノベーションシステムの構築」と修正するとともに、6ページの上の方、(3)について、「コア技術」と言っていたところを、省内の検討も少し進みまして、単にコア技術と言うと、民間企業では共通基盤技術みたいなものを指して言うという部分もあるので、「国家戦略コア技術」という名前にしているところでございます。
 それから、前回、野依主査から「強化」という言葉はなるべく消した方が良いのではないかという御指摘も踏まえて、修正しております。
 そして、資料2の方は、今の構造に即して、少し図を変えているところでございます。
 それで、資料3でございますが、第1章、第2章は文章にしておりまして、第3章以降、個別の取組につきましては、まだ箇条書ということになってございます。この箇条書の部分につきましては、次回の委員会までに文章化をしてお示ししたいと思っておりますが、分量も多いものですから、本日は第1章、第2章の文章の部分と第3章以降の項目で、この項目案が適当かどうかということについて議論いただければと思い、資料を用意いたしました。
 最初の第1章、第2章までの部分について御説明をいたします。文章で長いものですから、かいつまんで行いたいと思います。
 まず、「はじめに」については、文章が入っておりませんけれども、書く内容としては科学技術イノベーションの意義や本検討の趣旨など、この中間取りまとめ素案がどういう位置付けになっているか。これからまだいろいろな場の議論を踏まえて、それを取り込んで、最終的な取りまとめにしていくといった趣旨のことを「はじめに」に書く予定にしております。
 そして、第1章の「基本認識」でございます。第1章の下に4段落ほどありますけれども、ここで言っているのは「基本認識」に書く内容の趣旨でございます。最初に言っているのが、平成7年に科学技術基本法が制定され、その法律に基づいてこれまで4期20年にわたって科学技術基本計画というものが作られてきたということ。その中で研究開発投資、システム改革等々により、研究環境の改善、人材の蓄積、成果の創出が図られてきたこと。一方、国内外の社会経済は変化していますし、諸外国も科学技術に力を入れています。こういった状況を3段落目で言って、そういうことを踏まえ、中長期的な政策を提示するに当たって、そういった様々な動向を踏まえることが不可欠であり、それを基本認識として整理しましたということを第1章の4段落目に書いております。
 そして、基本認識、三つのパートに分かれていますが、最初の「社会経済の状況・変化」の中で、1ページの一番下に「人口減少と社会の成熟化」というものがございます。最初の段落では急速な少子化、総人口の減少といったものが我が国の経済規模や国民の生活水準の維持、向上に対する大きな脅威となっているといった状況。また、二つ目の段落では、社会の成熟化により国民のニーズが変化してきており、こういった価値観の多様化は更に進んでいくこと。こういった状況を2段落目で言っているところです。
 次のページをお願いいたします。2ページ目の最初でございますが、グローバル化といった観点、グローバル化の中で、2行目になりますが、様々な活動が国境を越えて展開され、情報や人の移動が活発化し、社会は日々刻々と変化するようになっている。また、そのスピードも速くなっている。こうした中で、世界に広がる様々な知識・技術、優れた人材の能力をいかに活用するかが重要になっていますし、民間企業は厳しい競争に晒されているといった状況がございます。
 また、次としまして「知識基盤社会の本格化」ということで、2行目から書いてありますように、知識・情報の量が加速度的に増加していると。そういった知識や技術を全て個人で備えることが難しくなっているので、イノベーション創出においても多種多様な人材が結集し、チームとして対応することが求められておりますし、2段落目にあるように民間企業においても同様で、全て自分でやるということがなかなか難しくなっており、オープンイノベーションの重要性が高くなっているということを書いてございます。
 その下が「超サイバー社会の到来」ということで、委員会の場でも議論いただいたところですけれども、センサー技術、ネットワーク技術、さらにはスマートフォンの普及といったものにより、いまや世界中のヒト同士、ヒトとモノ、モノ同士、これがネットワークでつながることで、サイバー空間が急速に拡大し、また、実空間との一体化、さらにはサイバー空間での知的な情報処理、こういったものが実行されるようになってきて、新しいサービスや価値の創出にサイバー空間の果たす役割も大きくなっていること。最後の段落ですが、一方、サイバー空間の発展は個人情報の漏えいやサイバーセキュリティーなど、やはり現実の社会経済に大きな問題を及ぼす危険性もあることを言った上で、3ページの方になりますが、こういったサイバー社会の劇的な変化、これに的確に対応していくことが求められているのではないか。
 次のパートが「我が国と世界が直面する課題の存在」ということで様々な課題を挙げております。国内で言いますと、東日本大震災からの復興再生、それに伴うエネルギー安全保障、さらには高齢化や都市化、それに伴う地方の活力低下といった問題、そして自然災害のリスク、地政学的情勢の変化といったもの、また、世界を見ると、食料、エネルギー、水資源、感染症、テロ対策、環境問題といった様々な問題があって、きちんと取り組んでいかなければいけないということを書いてございます。
 次のパートが「社会との関係の変化」ということで、東日本大震災や昨今の研究不正等の発生により社会の信頼が失われてきているのではないかといった状況を書いてございます。
 こういった状況変化等を踏まえて、「我が国の科学技術イノベーション政策への影響」を3ページの下からまとめております。最初に、国内外の諸課題の解決に向けては、やはり科学技術イノベーションの推進が今後とも重要だと言った上で、科学技術イノベーションとは第4期基本計画の定義でございますが、「科学的な発見や発明等による新たな知識を基にした知的・文化的価値の創造と、それらの知識を発展させて経済的、社会的・公共的価値の創造に結び付ける革新」、この意義に立ち返って総合的に推進していくということを言っております。
 次の4ページでございますが、その上で社会情勢の変化として、やはり人口減少と、また、国際的な頭脳獲得競争といった中で、我が国の人材の量的拡大はどんどん困難になっていくだろうということ。そのため、人材力を今後高めていくことが非常に重要だということを4ページの最初で言ってございます。
 次がニーズの多様化や社会変化のスピードの高まりによって、今後生じる多様な課題に対して、スピード感を持って機動的・弾力的に対応していく。このためには、リニアモデルからの転換、持続的にオープンイノベーションに取り組める新たなモデルの提示といったことが不可欠ではないかということ。次が超サイバー社会の到来について、きちんと迅速に対応していく必要があるということや地政学的情勢の変化、グローバル環境での競争激化等の状況を踏まえて、国が責任を持って獲得、保持、蓄積すべき技術をきちんと研究開発していく必要があるのではないかといったこと。最後が社会からの信頼回復に向けて、迅速かつ真摯な取組を進めていくべきといったことを社会経済の状況・変化が政策に及ぼす影響ということでまとめているところでございます。
 次の4ページの真ん中以降が「第1期科学技術基本計画からの実績と課題」となっております。
 最初に「人材システム」について述べてございます。第1期基本計画で大きな目玉がポストドクター計画と任期付制度の導入であったことを言った上で、5ページ目になりますが、そういった政策によってポストドクターが科学技術の発展に大きな貢献をし、また、任期付きについては特に若手を中心に定着が図られて流動性が高まったこと。こういう中で、研究者が世界に伍して切磋琢磨する環境自体は整いつつあるというような評価をした上で、3段落目以降ですけれども、やはりそうはいっても、我が国特有の雇用慣行も影響があり、人材の能力が最大限活用できていない状況にあるのではないかということを次以降に述べております。例えば、任期付制度につきましては、若手には定着しているけれども、シニアには定着せず、「流動性の世代間格差」といったものが見られるとともに、基盤的経費が減少して若手向けのポストが減少する中で、任期後のキャリアパスが見通せない任期付きの若手研究者が増加しているということ、また第3期基本計画からは、この対応のためにテニュアトラック制度も導入されたわけですけれども、大学の人事制度の主流とはなりきっていないという話。その後の段落で、博士課程修了者の多様な場の活躍という観点から、リーディング大学院等の取組も進められているわけですけれども、まだ民間企業における博士号取得者の割合は依然として低いままであり、そういった取組が必要になっているということで、以上のようなキャリアパスをめぐる様々な問題に加えて、やはり経済的支援が十分でないという中で、優れた学生が博士課程への進学を敬遠している状況で、これは非常に大きな問題であろうということを言っております。
 その後、1行空けて、女性研究者、外国人研究者の多様性の問題を記述しております。第1期基本計画から進められてきて、女性研究者、外国人研究者の割合は着実に増加しているものの、諸外国と比べて割合は低く、特に指導的立場の女性が少ないということも課題であること。また、第1期基本計画からは研究支援者の問題、これも重要性は指摘されており、第4期基本計画においてもリサーチ・アドミニストレーターという形で重要性が指摘されています。こういう認識は徐々に高まり、人材確保の動きも見られるところですが、まだ配置は十分でないということで、こういった中で大学教員の研究時間の減少も起こり始めているというような話。
 次のページをお願いします。「基礎研究」でございます。1段落目でノーベル賞の受賞等を例に引きながら、世界から見た我が国の基礎研究力に対する評価は極めて高いといった上で、次の段落になりますが、ただ、論文数全体を見ると、国際的なシェアは低下傾向であるということ。また、基盤的経費の減少や評価の改善、そういった状況を理由として、基礎研究の多様性の低下、また、多くの研究者がリスクを取らない研究を志向する傾向があるという指摘があり、今後の大きな問題になっていること。
 次が研究基盤になっておりますが、これも第1期基本計画以降、充実が図られてきておりまして、「J-PARC」、「SACLA」等の研究施設が供用開始をして、これらは我が国の大きな強みになっているという状況でございます。一方で、大学、研究開発法人を見ますと、基盤的経費の減少等も影響しまして、整備した施設・設備の運転時間を十分確保できないことや、技術者も不足しているといったような状況になってございますし、また、あらゆる研究活動の基盤となっている学術情報ネットワーク(SINET)といったものも他国に比べると弱い状況になっているということ。そういう中で、研究施設や設備を外部に開放していく取組はまだ十分実施されておらず、こういった研究基盤の効果的・効率的利用に向けた課題として残っているという評価をしています。
 6ページの最後のパートでは、「産学間連携、事業化支援」ということで、2行目から書いてありますが、大学、研究開発法人と民間企業との共同研究件数、特許保有件数等については着実に増加して、大きく活性化しているということを言った上で、7ページ目に、しかしながら、本格的な産学官連携の取組はまだ一部にとどまっていること。この場でも議論がございましたが、産学官共同研究1件当たりの金額は100万円未満であるなど、まだ初期段階の取組が多いということでありますとか、産学官のセクターを越えた人材流動はほとんど起こっていないこと。さらには産学連携事業においては意思決定が早くリスクを取りやすい中小企業・ベンチャー、ここが重要になってくるわけですけれども、大学発ベンチャーは、御承知のとおり、大幅な減少傾向にありますし、中小企業の支援も停滞しております。また、地域の科学技術振興、クラスター等をやってございましたけれども、地域経済に一定の効果をもたらしたものの、大きく発展するまでには至っていないといった状況であること。
 7ページの真ん中辺りから「研究開発の重点化」です。第2期基本計画では4分野の重点化、第3期基本計画では戦略重点科学技術を選定して資源配分の重点化が行われてきたこと。第4期基本計画では、今度、そういった分野の重点化ではなくて、課題を設定して、その達成に向けた科学技術を戦略的に活用していくというふうにされておりまして、これを受けて、イノベーション総合戦略では五つの課題を特定して工程表が定められ、それに沿ったような形でSIPなどの新しいプログラムが開始されているといった状況を書いてございます。
 次に、「国際活動」が書いてございます。これも第1期基本計画からずっと推進されてきております。8ページ、外国人の割合は増加傾向にあるものの、諸外国と比べてまだまだ不十分な状況であるという話。また、国境を越えた人材の流動性は低いという中で、我が国の研究開発のグローバル化は十分とは言えず、国際的な研究ネットワークの中核から外れてきている傾向も見られるということ。
 次に、「科学技術と社会」ということで、これも実施はしてきたところですけれども、社会が変化する中で、その期待や要望に応えるための取組は十分実施されているとは言えない状況だということが書いてございます。
 また、「研究開発機関」でございます。1段落目にありますように、大学及び研究開発法人の改革は大きく進展をしていること。一方で、これらの大学、研究開発法人が役割を最大限発揮できる状況にはなっていないということで、こういった大学や研究開発法人の役割をきちんと行うための取組が必要だということを言ってございます。
 次が「政府研究開発投資、研究開発資金」で、これは第1期から第4期まで、研究開発投資に目標が掲げられていることを言うとともに、9ページ、その中で1行飛んだ段落に入りますけれども、運営費交付金等の基盤的経費が減少し、様々な問題を生み出す要因になっているということや競争的資金の要件が厳格化されたことを受けて、研究費であっても間接経費が30%措置されていないという状況を述べているところでございます。
 最後に、「まとめ」ということで、最初の段落では、科学技術イノベーションをすすめていくための環境を着実に整備されてきており、研究者や特許等の量的規模、基礎研究や研究基盤が有する国際競争力、これは我が国の大きな強みであると言った上で、これまでもるる述べてきましたけれども、それらの取組が我が国の社会構造の中で必ずしも有機的に結びついておらず、多くの問題が顕在化していること。特に若手をはじめとする人材の問題、さらには科学技術イノベーション活動の実行主体である大学や研究開発法人の改革強化、それとあらゆる活動を支える資金改革、そういったものは有機的なつながりを持って実行される必要があるのではないかということを述べているところでございます。
 9ページ以降の諸外国の状況は簡単に説明しますが、アメリカであれば「米国競争力法」や「米国イノベーション戦略」といったものを定めています。欧州であれば、「欧州2020」やドイツの「ハイテク戦略」、更にそれに基づく「Industrie4.0」を定めていること。中国では国家中長期科学技術発展計画綱要、韓国では第3次科学技術基本計画などそれぞれの国がそういった科学技術イノベーションに関する戦略を定めて強力に進めているといった状況を俯瞰(ふかん)して書いているところでございます。
 12ページ以降、こういった第1章の基本的認識を踏まえまして、第2章では「今後の科学技術イノベーション政策の基本方針」を明らかにしてございます。
 まず、1.「目指すべき国の姿」としては、「科学技術イノベーション立国」すなわち、「高度な科学技術イノベーション力を有し、その活用により、国内外の諸課題を解決し、我が国及び世界の持続的発展を実現する国」を最初に掲げた上で、国内外の諸課題を解決して持続的発展の実現の具体的な内容として三つの理念というものを掲げてございます。
 これは前回、コメントいただいた部分もありますが、理念1としては「地球と共生し、人類の進歩に貢献」すること。ここは地球の諸課題の解決に貢献するとともに、新たな知のフロンティアの開拓を先導し、科学技術を国の文化として育みながら、人類の進歩に絶えず貢献するといった理念を示しているところです。
 理念2で「国と国民の安全を確保し、心が豊かで快適な生活を実現」するといった理念にしてございますが、13ページにその内容でございますが、自然災害、自然エネルギー不足、地政学的情勢の変化等々から、国家・国民の生命、財産を守り、安全保障にも貢献する。それをベースに、国民が長期にわたり健やかで快適に生活できる、そういった社会環境を実現していくといったこと。
 理念3といたしましては、「世界トップクラスの経済力と存在感を維持」するということで、少子化に伴う人口減少が進展する中で、世界トップクラスの経済発展と雇用の創出を維持していくといった理念を掲げているところでございます。
 こういった国の姿を実現する上で政府の役割というところにつながるわけですが、その間に今回、新たに付け加えたのが2.「科学技術イノベーションの構造変化とその創出基盤の重要性の高まり」であって、創出基盤の重要性が高まっているのではないかということを書いてございます。2.の3段落目に、「このような」で始まる段落がございますが、知のフロンティアの拡大により、何が新しい価値に繋がるのか予測が困難となっている中で、なおかつ迅速な価値創出が求められていること。そういう中で、古典的なリニアモデルのイノベーションが機能しにくくなっており、オープンイノベーションへの転換が進むとともに、基礎研究、応用研究、製品開発が相互に作用しながらスパイラル的に進展していくこと。こういうふうにイノベーション自体の構造が変化しているのではないかということ。1段落飛ばしまして、こういった構造変化の中でイノベーション創出の力となるのは、やはり多様で質の高い研究開発から持続的に創出される卓越した知識、価値、それを担う人材、それを更に実際的な経済的、社会的、公共的価値に結び付けるシステム、こういった創出基盤が重要ではないかという説明を2.に入れているところでございます。
 そういった状況も受けて、3.「科学技術イノベーションにおける政府の役割」という中で、まず、政府の役割の1番目としましては、「イノベーション創出基盤の強化」ということで(1)に掲げているところでございます。中身としましては(1)の4段落目から入ってきますが、「イノベーション創出基盤」の中で最も重要となるのが、あらゆる科学技術イノベーション活動を担う人材ということで、その段落の最後になりますが、あらゆる取組手段を通じて人材システムの改革を実行し、この20年間の蓄積も活かしつつ、人材力を高めていくということ。さらに、卓越した知識・価値を生み出すためには、新たな強みを持続的に創り出すことが必要であり、研究者の内在的動機に基づく学術研究や、民間企業では実施できないリスクの高い基礎研究、さらにはそれらを支える共通的・基盤的な研究開発や研究基盤といったものが必要であるということ。さらには、オープンイノベーションが本格化する中で、こういった源泉から生み出された知識や価値を民間企業等が実施するイノベーション活動で効果的・効率的に活用し、社会実装していく必要があること。このためのイノベーションシステムの構築を先導していくということを(1)で述べた上で、(2)では「科学技術イノベーションによる社会の牽引」ということで、科学技術イノベーションで社会にある課題をきちんと解決し、社会を牽引していくといった考え方を書いてございます。真ん中辺りになりますけれども、まず課題設定を通じた研究開発ということで、今、科学技術イノベーション総合戦略に掲げられている五つの重要課題に加えて、超サイバー社会への対応や、国が責任を持って獲得、保持、蓄積する技術の的確な対応をするとともに、我が国だけではなくて国際社会への貢献という観点から科学技術外交に積極的に取り組んでいくということ。また、科学技術イノベーション政策を進めていくためには、社会の理解、信頼、支持が重要でありますので、「社会からの信頼回復」の視点を重視した取組を行っていくということを(2)で言ってございます。
 次に、4ポツに移りますが、これらの政策の推進に当たっての基本姿勢ということで、「目指すべき国の姿」の実現に向けて、政策を効果的・効率的に進めていくための六つの姿勢をここで掲げてございます。
 次の16ページになってございますが、まず、(1)で述べているのが学術研究の振興で、知のフロンティアが急速な拡大と革新を遂げている中で、研究者の内在的動機に基づく学術研究がイノベーションを創出する可能性を有しており、正にイノベーションの源泉であることを言った上で、最後の段落になりますが、学術研究の振興は国の重要な責務であると同時に、学術界においてもその役割を十分認識し、社会からの負託に応えていくことが求められるということを述べてございます。
 (2)が「グローバル社会における取組の推進」ということで、グローバル化進展の中で全てのステークホルダーが国際的視点を持って科学技術イノベーションに取り組むといったことを1段落目で言った上で、2段落目では研究環境のグローバル化と国際的な研究ネットワークの中核を担っていくような取組、3段落目では「強み」と「弱み」を把握して世界との協調、競争、オープン戦略とクローズ戦略をきちんと組み合わせてやっていくということ。また、17ページに移りますけれども、世界への発信という観点からは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの機会の活用が重要であろうというよことを述べております。
 (3)が「大学、研究開発法人、民間企業の基本的役割」と、これは前回の委員会でも議論いただきましたけれども、科学技術イノベーション活動の実行主体である大学、公的研究機関、民間企業、この三つの役割について、まず大学につきましては教育、研究、社会貢献ということで、大学改革を着実に進めて、この三つの役割をきちんと最大限発揮させていくことが重要だといった点。民間企業につきましては、研究開発成果の事業化を通じて経済的価値を創出していくといった活動が促進されるような取組が必要だということと、公的研究機関、とりわけ国立研究開発法人では下に掲げるような五つの特性、トップダウンで研究開発を実施していることや長期的・計画的な取組を実施できること、組織として一丸となって対応できることといったような、五つの特性を十分生かした活動をしていくということで、イノベーションの駆動力となるイノベーションハブとしての機能強化が重要ではないかということを述べております。
 (4)の「資源配分の基本的な考え方」は基盤的経費と競争的経費のデュアルサポート、この原則を言った上で、それらの改革と機能強化、それぞれの充実をしていく必要があるということを述べているところでございます。
 次のページに行きまして、(5)が「関係行政機関との連携による政策の一体的推進」ということで、科学技術イノベーション政策は大学政策、学術政策、科学技術政策、更に社会実装の段階でのイノベーション政策、これらは大きな関わりがあるので、これを一体的に推進していくということ。特に国内外の諸課題の解決には、社会実装に関連する、例えば税制や規制緩和といったものがございますので、これら政策の連動を掲げるとともに、政府においては様々な基本計画、基本方針がございます。科学技術は横串的に関係するものですから、これらの基本方針と整合性を取りながら進めていく必要性とともに、やはり各政策領域できちんと実施されるように、司令塔機能を一層発揮していくことが求められるのではないかということを書いております。
 (6)が「全てのステークホルダーとの意識の共有と協働」ということで、これは第2回の委員会でCRDSの吉川センター長のご発言内容も踏まえて、こういった科学技術イノベーション政策の基本的な考え方をあらゆるステークホルダーが共有していくこと、そのために政策の推進段階においてはステークホルダーとの対話を欠かさない姿勢を持つとともに、多くの科学者等が推進過程に主体的に参加していくことが望まれるという、六つの基本的な姿勢を述べて、第2章を終えているところでございます。
 以降、第3章になるので、次の説明にしたいと思います。
 一応、ここで説明を終わらせていただきます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明がありました中間取りまとめの素案の第2章までについて議論したいと思います。議論に当たりましては、第1章と2章に分けて議論を行いたいと思います。
 まず、第1章に関して議論を行いたいと思います。
 少し戦略官にお伺いしたいのですが、この素案は、文部科学省の立場で書かれているのか、あるいは国全体の科学技術イノベーションについての提言なのでしょうか。例えば、ヨーロッパやアメリカの状況が書いてあるところは国全体のことがいろいろ書いてありますよね。私の提案は、これは文部科学省から出すものですから、とにかく文部科学省としては科学技術イノベーションの振興に向けてこういうことをやりたいということを明確に打ち出しておいて、それからイノベーション、あるいは産業化のその辺りのメジャープレイヤーはやはり経済産業省ですし、それからほかの省庁ですから、このところは余り詳しく書いていないから、あるいはまた我々にも能力が不足しているので、CSTIに提案したときに、我々はこういう観点で書いているから、その辺りのことは各省庁できちんと補ってくれと、そういうふうにすることはできませんか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 当然、文部科学省の審議会ということもございますので、文部科学省が中心ということではございますけれども、やはり文部科学省は我が国の科学技術イノベーション政策の中で相当の資源と機関を担っているということもあり、科学技術イノベーション政策全体に大きく密接に関わっているということもあるので、やはり全体を視野に入れながら書きつつ、ただ、重点は、文部科学省がどうすべきか、ということを言っているということでございます。必要に応じて関係省庁に関係する部分も述べて良いのではないかと思っております。

【野依主査】  
 全体を俯瞰することは大事ですけれども、やはり文部科学省としての主張がぼやけてしまうのではないかと思います。
 では、この辺り、局長、よろしくお願いします。

【川上科学技術・学術政策局長】  
 文部科学省の審議会がまとめるものでありますので、文部科学省の立場ということで申し上げるわけですけれども、その前に文部科学省の権能を明らかにしなければいけなくて、多くの方々は研究、大学、こういうところを念頭に置くわけですが、「科学技術に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること」という事務をつかさどっており、文部科学省所管である大学や研究機関などにとどまらず、各省の事務にまで踏み込んで、基本的な政策について意見を述べるという立場にございますので、是非そういう立場でまとめていただきたいと思います。ただし、政府の権能は重層構造になっておりまして、CSTIはいわゆる内閣補助事務として総合調整を行う、政府全体の科学技術政策をつかさどる、それから基本計画そのものの立案はCSTIが行うということになっておりますので、それぞれ違った立場があるので、我々が作ったものがそのまま基本計画に反映されるというものではないという断り書きは付けさせていただきたいと思います。

【野依主査】  
 どうもありがとうございました。
 土屋文部科学審議官、何か御注文はありますか。

【土屋文部科学審議官】  
 野依主査がおっしゃったとおり、やはり文部科学省が担っているミッションと総合科学技術・イノベーション会議が行うこととは、やはり当然、違ってきますし、特にイノベーション創出が極めて重要な政策課題になっている中で、そのシーズを作り出す文部科学省は、よりラジカルな取組を進めることが必要なので、政府全体で言えないようなことであっても、文部科学省の立場でシャープに言うべきかと考えております。

【野依主査】  
 ありがとうございます。
 そういう性格のまとめだそうですので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、御意見賜りたいと思います。細野委員、どうぞ。

【細野委員】  
 6ページ目の基礎研究のところについて、この表現は少し現場にいる人間としてはかちんと来るのです。なぜかと言いますと、「基礎研究の多様性が低下し」、ということはこれは事実だと思います。問題は、「多くの研究者がリスクを取らない研究を志向」している、の部分であり、これは事実誤認です。日本の研究者は世界的に見たら、随分、リスクを取る研究を行っていると思います。ただ、それが残念なことに、まだ世界的に大きな潮流になっていないのです。ここは我慢が必要なのです。ですから、この表現は、基礎研究の多様性が低下をし、までは良いのですが、この後ろの部分は事実と即していないと思います。

【野依主査】  
 どうもありがとうございました。
 結城委員、どうぞ。

【結城委員】  
 全体よく書けていると思いますけれども、4ページの大きい2ポツについて、少し意見がございます。
 ここは4期20年間の実績を評価して、現在の抱えている課題を摘出するところでありますけれども、実績の評価が少し肯定的過ぎて、課題摘出が少しぼやけているような印象を受けました。具体的に申し上げますと、4ページの2ポツの表題から8行目ぐらい下になりますけれども、「これまでの20年間の取組の蓄積、特に人材をはじめとする豊富な研究資源」と書いてありますけれども、我が国の研究資源は決して豊富だと思いませんし、豊富だと言った途端に議論はそこで終わってしまいますから、こういうことは言うべきではないと思います。
 それから、今、細野委員から御指摘があった6ページでありますけれども、「<基礎研究>」のところの出だしが、「基礎研究は我が国の科学技術の大きな強みである」と言っておりますけれども、これは中国、韓国と比べれば、こういうことは言えるのかもしれませんが、ヨーロッパやアメリカと比べて、本当にこれが言えるのかどうか、これは肯定的過ぎるのではないかと思います。
 その下の「<研究基盤>」のところでもJ-PARC、SACLA、スパコンの「京」といったものが我が国にそろっているのは我が国の科学技術における大きな強みであると言っておりますけれども、これらは10年、20年前に投資をしたものでありまして、では、今、我々は将来に向けて何を仕込んでいるのか、次の投資ができているのかというところをむしろ考えるべきではないかと思います。
 同じことが8ページにもありまして、「<国際活動>」の上の方ですけれども、ITER、LHC、ISS、IODPといった国際プロジェクトに参画をして貢献をしていることを言っておりますけれども、これも我々の先人がやったことであって、それを威張ってみてもしようがないのであって、将来に向けて、今、我々が新しいものを仕込めていないことをむしろ反省をすべきではないかと思っております。
 そして、その下の方の政府研究開発投資のところでありますけれども、これは非常に書き方が難しいのですけれども、第1期、第2期、第3期に関しては書かれているとおり事実なので仕方がないわけですけれども、次のページの1行、2行目の辺りですけれども、第4期25兆円は達成できないけれども、第3期よりも上回るから良いのではないかという書き方になっていますけれども、まだ第4期はもう1年ありますし、補正予算で上乗せするという可能性もないわけではないと思いますので、約25兆円は閣議決定をした政府の達成目標でありますから、それに向かって最後まで努力するというのが正しい姿勢ではないかと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございます。余り肯定的に書かない方が良いと、危機感をあおるように書かなければいけないということですね。
 付け加えさせていただきますが、研究基盤に関するお話がございましたけれども、これをやはりフル活動させることはどこかに書き込んでいただかなければいけないことではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 ここは現状と課題なので、取組のところで述べております。

【野依主査】  
 そうですか、ありがとうございました。
 では、五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 恐らく、CSTIは5年という年限を考えたときにどういうことを最適化して公表すべきかを総合的に整理・調整するミッションを担っていると思います。今の議論の冒頭のところでありましたように、文部科学省としては人材と日本の科学技術政策全体を見ているという立場で見ますと、やはり10年、20年という流れの中で、次の5年はどう出なければいけないかというバウンダリーコンディションと言いますか、そういう枠をきちんと毅然とした態度で提示するというところがこの委員会の取りまとめとしては極めて重要だと思います。この観点で見たときに十分な投資か十分でないかということは別としても、事実として20兆円/5年ぐらいの規模の投資がこれまで4期続いてきています。ですから20年間の継続的な投資が日本のシステム強化として、科学技術基本計画が始まる前に比べてどういうふうに体力がついたのか、そこが実は投資に対して十分な効果があったのかどうかというところを捉えて、次の5年のときに、きちんと体力強化につながるように制度改革などをやっていくべきです。その典型的な例が人材の問題なのです。これだけ多くの競争的資金によって多くの人を雇用したのだけれども、結果として若者がこういう基礎研究開発から遠ざかっているという兆候が出ているということは、20年間のこの投資がやはり最適化されていなかったのではないか。そこはきちんと直すべきところは直してやっていく。そのためには、どこに向かうかというビジョンを、ロングレンジで語れる場として述べる必要があります。例えば基礎研究にしても、日本という国が国際社会の中で尊重されて、新しい価値を生み出して人類全体の雇用などに貢献するために、日本の今、持っている研究力を更に高めていくことが重要です。日本の基礎研究力は世界の中で見たときに、決して弱いわけではない。まあ、欧米に比べれば弱いというのもありますけれども、世界の中で見れば、やはりまだ強い部分があって、しかし、それがこの20年間の中で最適な形で伸ばされていないのではないかということを述べて、今回、何をすべきか、ということを語る。エレメントとしては重要なことがほとんど含まれていて、良く書かれていると思うのですが、その筋が見えないのです。

【野依主査】  
 私はこの世界で長く働いておりますのでよく分かりますが、それまでは何もなかったわけですから、この20年間で格段の進歩があったと思います。しかしながら、どの程度、満足できるものかということはやはり検証に値するかと思います。
 それから、今出ました人材の問題ですけれども、初期のポストドクターフェローが推進されたころ、初期ポスドクだった方は、その後、どうなっているのでしょうか。今現在のポスドクの方の大変深刻な状況は私どもも聞いているのですけれども、最初、ポスドク制度が発展してきた状況、その中にあった方は今、どうしていらっしゃるのですか。今、50歳ぐらいになっていらっしゃると思うのですけれども、何かそういうデータはあるのでしょうか。満足していらっしゃるのか、あるいはそうでないのか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それを示す直接なデータはないと思いますが、ポストドクターの年齢構成はデータがありまし、40歳後半でもまだやっていらっしゃる方がいるので、そういう状況の方もいるのではないかと推測します。

【野依主査】  
 よく調査していただければと思います。
 では、庄田委員、どうぞ。

【庄田委員】  
 何点かございますが、まず、第1章のところです。基本的に、「それでは第5期でどうするのか」については、第2章、第3章、第4章で具体的に提案されているのだと思いますが、一方で、「これが課題である」とか、「こういうことが指摘されている」という観点から、「第5期ではこうするのだ」ということを第1章の中でも触れるべきではないかと思います。項目自体についてはこれまでこの委員会でも議論してきましたので、これでよろしいのではないかと思います。
 2点目は、「基礎研究」と「学術研究」の用語の違い、定義の明確化です。第4期が余りにも課題解決、出口志向になり過ぎて、学術的な研究への投資が少ないという御指摘があり、一方では「学術研究は国力の源である」という表現が使われている中で、あらためて「基礎研究」、「学術研究」という言葉の定義を明確にした方が良いと思います。
 3点目は、7ページの「研究開発の重点化」の中にある第2期科学技術基本計画では「4分野への重点化」、あるいは今回の科学技術イノベーション総合戦略での「5つの重要課題」という記載についてです。今回の中間取りまとめだけを読まれる方には、これが何かということが分からないと思います。例えば脚注で、重点4分野は、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料ですとか、あるいは五つの重要課題はクリーンで経済的なエネルギーシステムの実現、国際社会への先駆けとなる健康長寿社会の実現などと、しっかりと書かれたらよろしいかと思います。
 4点目は、第1章「基本認識」の2ページにある「グローバル化の進展」の項における民間企業に関する記載です。いまや民間企業は国境なしに事業活動しております。この記載ですと、重要技術や知的財産が海外に流出するという、どちらかというと、いわゆる経済指標で言うGDP的な視点と言えますが、グロス・ナショナル・インカム的な視点も必要だと思います。企業は既に自らが海外で研究所を持ち、研究活動をし、海外の人材も雇用しており、この記載では非常に受け身な表現であり、今の民間企業の実際の事業展開と大分ずれがあるような印象です。
 以上です。

【野依主査】  
 今、御質問がございました学術研究と基礎研究はどう違うのかということ、これは科学技術・学術審議会で一度、定義がなされたと思いますが、3掛ける3のマトリックスで基礎研究、応用研究、開発研究というのが一つ縦軸にあると。一方で、学術研究、戦略研究、、要請研究というものがある。学術研究は内在的な動機に導かれて行う、主に大学で行われている研究。大学で行われている研究が必ずしも基礎研究とは限りませんので、農学部、薬学部、あるいは臨床研究では応用的な研究も十分やっていらっしゃるでしょう。共通するところは、内在的な動機に導かれて行う研究を学術研究としていること。基礎研究は大学だけで行うわけではなくて、仮に軍事研究であろうと、あるいは産業的な研究であろうと、基礎がなければ、しっかりやっています。その上に応用研究、開発研究が成り立つということで、3掛ける3のマトリックスで一度、定義したことがあろうかと思います。
 その観点で言いますと、16ページの(1)「知のフロンティアを開拓する学術研究の振興」は新しく入れていただいたところだろうと思いまして、大変結構だと思います。同時に、やはり国の戦略に沿った研究も振興しなければいけないことをやはり入れていただくのが良くて、例えばアメリカなどもオバマ大統領のイニシアチブで脳研究が始まっておりますけれども、そういったことも戦略的な基礎研究であろうかと思います。これもやはり振興しなければいけないと思っておりますので、学術研究の振興だけでなくて、今、申し上げた戦略的な研究も振興するということ、これも入れていただけると大変有り難いなと思います。
 長くなって申し訳ありません。
 どうぞ、松本委員。

【松本委員】  
 第1章、現状認識のところですが、やはり第2章、第3章以降に具体的な各論につながるような、もう少しこうだった、ああだったというよりも、こんな課題があるなどをしっかり明記すべきではないかなと思います。
 例えば一例を挙げますと、6ページ目の「<産学官連携、事業化支援>」のところは第3章2.(1)「産学官連携の革新」という項目がありますよね。つまり、大きく変えていくということですね。だから、第1章「基本認識」のところで、産学連携が確かに活性化したインパクトがある成果事例も見られた、これは事実だと思いますが、では、成功事例についても、どういうところが良かったか、でも、全体としては大きな課題があった。その課題が何なのか、やはり明記すべきではないかと思います。それが結果として第3章の革新、どう変えていかなくてはいけないのか、というところにつながるのではないかと思います。
 7ページ目の大学発ベンチャーについても、減少傾向にある、活性化が進んでいないということだけではなくて、これはなぜ進まないのか、ファンドの問題なのか、あるいは大手企業との連携がうまく行かないのか、そういったところを明記して、その課題をどう第3章以降に書いていくかというところにつなげるべきじゃないかという気がします。特許についても、確かに多いということは良いのですけれども、特許がどう価値を生み出すかというところで本当にどういう成果が出たか。そこに課題があるのであれば、ここで浮き彫りにして、それを今後どう変えていくか、各論のところにつながるような書きぶりが良いのではないかという気がします。
 以上です。

【野依主査】  
 どうもありがとうございました。
 西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 前回のこの委員会で申し上げました、特に学術研究の重要さ、科学技術イノベーションを起こす源流としての学術研究の振興に関して、今回、16ページで「知のフロンティアを開拓する学術研究の振興」ということで、明確に項目立てをしていただいたことについては、先ほど野依先生がおっしゃった意味でも非常に重要なことでございまして、その点は御対応いただいたことにお礼申し上げます。
 さらに、そのときにもう一つ申し上げたことが、いわゆる情報通信技術の劇的な進歩が単に社会的な観点からの様々なイノベーションを起こしているということに加えて、サイエンス、テクノロジーそのものの進め方に関して大きなイノベーションを起こしているということでした。第1章でも、結構、研究や開発などの方法論について書かれているところもございますので、2ページの「超サイバー社会の到来」というところに、科学技術のありようが、経験科学から理論科学、計算科学へと向かい、それから超サイバー社会の到来の中で、現在、e-サイエンスとかデータセントリックサイエンスと言われているような科学技術の方法論までが、大きく変わりつつあるということを少しなりとも書いておいていただけると後につながっていくと思います。どうか検討いただければと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 木村委員、どうぞ。

【木村委員】  
 7ページから8ページに「<国際活動>」とあります。若者の内向き志向や国際的なネットワークから外れているとあります。分かりきったことをここであえて言わせていただきますと、やはり根本的には英語能力が原因だと思うのです。英語教育は若者を中心に随分いろいろな手だてを打たれていて改善が進んでいると思いますが、今、正に活躍している研究者の英語能力が足りないがために、評価が低いということが起きているわけです。企業であれば、重要人物についてはお金をかけて英語のサポートを厚くして弱点を補おうとしますが、大学ですとそんな予算は無い。これは避けて通れない発信力の鍵を握っている本質的な問題だと思います。何か具体的な施策や資金的なもの工夫すれば、即効性の高い明日から発信力が倍増することにもつながると思います。御検討いただければと思います。

【野依主査】  
 ほかに。では、土井委員、どうぞ。

【土井委員】  
 細かいことで恐縮ですが、4ページ目のところでマルの3番目のところ、「超サイバー社会の到来」のところについて記述していただいていますが、少しここで気になりますのが、この文章の一方で、「我が国の対応は立ち遅れており、投資や人材も弱かったことから」とあります。そのとおりですが、ただ、必ずしも投資や人材が弱かったわけではなく、半導体やデバイスなど、そういう要素技術に関しては投資や人材育成は行われていたのだと思いますが、後の方でイノベーションシステムというお話がありますが、システムとしてインフラを考えていくという意味での投資や人材が弱かったのではないかなというふうに思いますので、この辺りの書きぶりを検討していただけると有り難いと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 冒頭のお話の中で、ここの場は必ずしも文部科学省だけではなくて国全体の、ということがありましたので、少し触れさせていただきたいと思います。オープンイノベーションに関することが書かれているかと思います。ここでオープンイノベーションについて書かれているということは、クローズドイノベーションが現状でもそうだというところかと思います。けれども、いまやオープンとクローズドとをいかにうまくやるのかというような観点が重要になってきているのではないかと思いますので、少し遅れたような表現は、もう少し認識をアップデートしていただけると良いのではないかと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、上山委員、どうぞ。

【上山委員】  
 いろいろな御意見を頂いて納得するところもございましたので、簡単に申し上げますけれども、書き出しが、例えば人口減であったり、グローバル化であったり、サイバー社会であったり、つまり、私たちが今、置かれている現状に対応する形で新たな科学技術政策を、という書きぶりになっているというところが、果たしてそういった受け身性みたいなものがどれほど良いのかなという感じがいたします。やはり20年間、科学技術政策をやってきて、大きな転換点であるという姿勢がもう少し出てほしいということが最初です。
 もう一つは、学術研究の在り方について、いろいろな技術がありますけれども、こういうものを読むといつも思うのは、大学における学術研究の中で、例えば社会科学の分野をどういうふうに位置付けていくのかということです。例えば、アメリカの歴史を見ますと、科学技術の大きな展開があったときに、新しい社会科学の分野が出てくるのです。エコノミクスは典型ですけれども、60年代に科学技術の新しいタイプのものが出てきたときに、モダンエコノミストというものが初めて出てきました。そういう意味で、こういう新しい科学技術基本計画を推進していくときに、大学の中の学術研究の一環として社会科学、あるいは人文科学のような分野がイノベーションとどう関わっていくかという姿勢は、文部科学省の報告書なのですから、その意味でもう少し幅広い視野と言いますか、学術といっても、科学技術のみならず、それも含めて、あくまでサイエンスの一環としての社会についての認識の在り方がどこかであっても良いのではないかと思います。とりわけ、社会と科学についての意識をある程度考えないといけないという記述があるわけですから、そこの中間を埋めるような知識の在り方としての学術のもう一つの側面についてどこかで触れられても良いのではないかと思います。

【野依主査】  
 では、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 少し分からないので教えていただきたいのですけれども、5ページ目、人材システムの任期付制度について、例えば、「任期付制度が若手に定着する一方で、シニアには定着せず、「流動性の世代間格差」とも言うべき状況が発生している」という文からは、シニアにも任期付制度を導入したいというように読めるわけですが、その後、「任期付制度は、その後の任期を付さない職(テニュア職)の前段階の位置付けで導入奨励されたものである」と書いてあるので、これはシニアであれば任期がついてないことが想定されているようにも読めるので、ここは論理的に整合性がないように思われるのですけれども、これはどういう意味でしょうか。

【野依主査】  
 戦略官、どうぞ。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 ここは最終的には適材適所ということではあるのですけれども、今、若手の雇用が非常に不安定になっているという部分が大きな問題になっていて、その一つはシニアが余り動かないことによって若手の挑戦の場が少なくなっているのではないか、そういった問題意識でございますので、これは全員を全員、任期付きにすれば良いという話ではなくて、その人の持つ能力に応じて適材適所でもう少し違った職という在り方もあるのではないか。若手のポストが減っている一因は、やはり基盤的経費が一定部分の中で、それを全部、シニアが取ってしまっているという部分があると思いますので、そこを少し変えていけば、若手が少しそういう安定的なポストに挑戦できる機会が増えるのではないかということでございます。それと裏腹の問題で、若手に対しては、今、過度な流動性になっているので、安定的なポストをもう少しあてがっていくべきではないかといったことです。全体でバランスを取っていくということを狙っていきたいということです。

【野依主査】  
 その点は、テニュアトラック制度との整合性をきちんととってほしいですね。テニュアトラックで5年や7年研究した後は、そこでアウトかアップしてテニュアになるということですから。アメリカなどではテニュアトラックは一般に、例外として少し違う人もいますけれど、若い人のためにあるわけで、5年や7年やって、そこで審査を受けて、アウトかテニュアになるわけです。だから、テニュアになったら定年までいるわけですから、そこのところを少し整合させる書き方にしていただければと思います。

【新井委員】  
 私もこれは若手の安定的なポジションを考えると、年をとっても任期付きで、流動させられるのだと思ったら、余計に若手は来ないわけで、これはパイが同じだとこういうことにならざるを得ないのだろうと思いますが、そこのところをきちんと考えますという第5期なはずなので、増やし過ぎてしまったのか、増やしても、その出口をきちんと考えるかのどちらかですので、それは年齢が行っても、テニュアも取らせないでずっと流動させますといった話でしたら、より不安定さが増すと思われますので、計算上で合わせるということではなくて、本当にマインドとしてきちんとよい人材が定着するように書いていただくことが重要かと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 川上局長。

【川上科学技術・学術政策局長】  
 少し補足説明をしたいのですが、任期付制度は流動性を向上させる一つの手段にすぎないわけで、任期付きを導入したから若手が流動化したというのは、これは事実としてありますが、では、シニアに任期付きを導入すれば流動性が増すか、あるいはそれが唯一の方法であるかと言うと、そうではありませんので、ここのところは書き方を検討します。ただし、シニアにも任期付きが入って良いと、今よりは入っても良いと思いますし、それに加えて、任期付きで育った若者がシニアになったときに、やはり適材適所を求めて流動するという気構えは持ってもらいたいと思いますので、任期付き制度をシニアに対して直接結び付けるのは短絡なので改めますが、世代間格差があり、その中でやはり若手がキャリアを積んでいくためには、シニアの研究者がもっと流動化して適材適所になるべきであるという考え方は維持させていただきたいと思います。

【細野委員】  
 そこは違うのではないですか。それはむしろシニアに年俸制と任期性を入れろということですよ。トータルのパイは一緒なのですから、新井さんがはっきり言われたように、トータルは決まっているのですから、若い人のリスクは、シニアも背負わないと仕方がないのですよ。それを恐れて書かないから、こういう臆病な表現になるのです。

【野依主査】  
 私は理化学研究所に所属しておりますけれども、少し紹介させていただきますと、大部分が任期制でやっているのですけれども、一部分、定年制というものがあります。しかし、その人たちは60歳までです。それから先は、そこで評価を厳しくして、任期制で3年や5年など、そういうシステムを取っております。ですから、そういうやり方もあるのではないかと、そんなふうに思います。

【細野委員】  
 そういうことです。

【川上科学技術・学術政策局長】  
 今の細野委員の言われた年俸制、これはシニアの流動化を促進するために有効な施策だと思っております。それは今、国立大学改革の中で打ち出されていますので、その辺りは後半部分の人材対策のところではきっちりと取り上げて、むしろ、それを推奨するような方向で、この基本計画を作るという方向で考えております。

【野依主査】  
 では、五神委員。

【五神委員】  
 今のポイントは、要するにテニュアを取った後の流動性が極めて低いということです。これが欧米であれば、テニュアを取った人はどんどん動きます。人が動けるようなシステムになっていないことが問題で、流動性と雇用の安定性が両立するシステムをつくるためにどうしたら良いかということ、そこができていないから直しましょうという話だと思います。

【野依主査】  
 ほかに。
 小野寺委員、どうぞ。

【小野寺委員】  
 今回、全体の流れとしては、これでかなり良い方向なのだろうと思いますし、私は大賛成なのですけれども2ページ目のところで「知識基盤社会の本格化」という言葉が出てきております。前回、超サイバー社会について皆さんが議論されて、この方向ということだと思うのですけれども、この知識基盤社会という用語は、もう一般化されているのでしょうか。私はここに書かれているのは、まさしくこのとおりだと思っていて、技術の進展だけではなくて、まさしく社会構造そのものが変わっていく途中なので、この言葉、今後、一般化していくのであれば、私はこれによって社会構造そのものが大きく変わっていく可能性があるので、そこにも目を留めなくてはいけないというくらい強く言っていただいても良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 確認ですが、御質問の趣旨は知識基盤社会自体でしょうか、それとも本格化の方でしょうか。

【小野寺委員】  
 知識基盤社会という言葉そのものが、もう一般用語化されているものなのでしょうか。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 これはかなりほかの報告書でも使われている言葉でございまして、一般化されているかとは思っております。特に21世紀に入って、先進国は知識基盤社会に、など、いろいろな言い方があります。知識社会と言う場合もあるし、少しバリエーションはあるのですけれども、言葉自体は恐らく、かなり一般的なものかとは思っております。ただ、今回、ここで入れたのは、更にそれが進んで、先進国のみならず、新興国まで行っている、更に本格化している、そういう趣旨のことを言っているというところは少し新しいのかもしれません。

【小野寺委員】  
 知識社会という言葉は私もしょっちゅう聞くのですけれども、知識基盤社会って、基盤が入ったのはあまり見たことなかったものですから、申し上げたのが1点です。ただ、中身としては、ここは非常に重要なことを言っていると思っていまして、ここではチームとしての対応やオープンイノベーションというところに非常に焦点が当たっているのですけれども、実はここのところは本来、もっと重要なことが含まれているのではないかと思っております。それはここに書かれていることと前に書かれていることと一緒のことになってしまうので、ここで全部整理してしまっても良いのかもしれませんが、ここはやはり少し皆さんで議論していただいて、これによって科学技術基本計画そのものにどういう影響を与えるのかということが、チームとしての対応やオープンイノベーションの重要性だけではないような気がするものですから、もう少しここを書き込んでいただけると、もう少し分かりやすくなるのではないかと思います。

【野依主査】  
 考えさせていただきたいと思います。
 それでは、次に移りたいと思います。第2章について議論を行いたいと思いますので、御意見ございましたら、挙手をお願いいたします。
 では、細野委員、どうぞ。

【細野委員】  
 この理念1、2、3ですけれども、この順番で良いのでしょうか。僕は3が一番上に来た方が現実に近いと思っているのです。もうこんなきれいごとを言っている時期ではないのではないでしょうか。少し文部科学省としては品がないのかもしれませんが、僕は品がない方が本音だと思っていますので。

【野依主査】  
 少し考えさせてください。
 ほかにございませんか。どうぞ、春日委員。

【春日委員】  
 2点ございます。
 まず、項目立てですが、第2項に「科学技術イノベーションの構造変化とその創出基盤の重要性の高まり」とありますが、この内容は一部、第1章の基本認識と重なる部分があるのではないかと思いまして、重複して出てくるような文言は整理していただいて、認識の部分は第1章だけできちんと収めていただくということはいかがかと思いました。
 2点目は、第2章の最後になります。基本姿勢の中の(6)「全てのステークホルダーとの意識の共有と協働」の部分です。こちらの中身につきましては、今後、また議論していくことになる第4章3.(2)「社会とともに創り進める科学技術」の方に詳しく書き込まれるものと思いますけれども、これまでの議論の中で出てきました内容をやはり基本姿勢の中でも書き込んでいただきたいと思います。それは科学技術の推進において、全ての段階において社会のステークホルダーとともに進めていく、そういう考え方の転換が必要だという点です。18ページの原案では、科学技術イノベーション政策推進の基本的考え方をステークホルダーとともに意識として共有する、その点にとどまっていると思いますので、実際の科学研究の推進に当たっても、全ての段階でステークホルダーとの協働が必要だということを是非ここに書き込んでいただきたいと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、庄田委員、どうぞ。

【庄田委員】  
 17ページの、(3)「大学、研究開発法人、民間企業の基本的役割」の第4パラグラフで、「大学、民間企業が上述したような役割を持つ中で」の後、公的研究機関、とりわけ国立研究開発法人は、大学、あるいは民間企業とこのように違うという中に、マル1「研究開発成果の最大化を目的としている」、マル2「機関の長のトップダウンで研究開発を実施している」、マル3「長期的・計画的な取組を実施できる」、マル4「組織として一丸となって対応できる」、マル5「研究開発資源を結集できる」と書かれています。この直前の部分には、「国の方針に基づき」とあるので、ここは民間企業の研究開発活動と違うのかと思います。ただ、民間企業との違いをこのように表されるよりは、3ページにある科学技術イノベーションの定義にあるように、経済的価値の創造だけではなく、「社会的・公共的価値の創造に結び付ける革新」を担う点が正に研究開発法人の性格かと思いますので、それとリンクして、具体的に違いを書かれてはいかがでしょうか。今の文章ですと、マル1からマル5は民間の研究開発にもあてはまりますので、「国の方針に基づき」というところだけが民間との違いではないか、と感じました。
 それから、もう1点、質問です。18ページの一番上に「これらの機関が民間企業からの資金を積極的に獲得していく取組も求められる」と書かれています。これは大変大事だと思うのですが、文部科学省の関係ではない国立の研究開発法人のお話で、「民間企業から資金を導入すると、基盤的経費、運営費交付金がその分、減額される」という課題を御説明された記憶があります。実際はそういうことにはならないのか、あるいは現実的にそういう課題が存在するのかどうか、お伺いをしたいと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 17ページのところは、大学との違いが主に書いてあるのですね。

【庄田委員】  
 そうであれば、民間企業を外されたらいかがでしょうか。

【野依主査】  
 そうですね。民間企業を除けばすっきりするのではないでしょうか。

【村田科学技術・学術総括官】  
 これは研究開発法人だけではなく、ほかの独立行政法人も共通ですけれども、今までの運用の中で、そういった自己努力によって収入を増やしてきました。そうすると、その分、結果として運営費交付金が減らされてしまう形になったということがあって、去年の独立行政法人改革の議論の中でもそういうことを改めて、特に研究開発法人については、できるだけインセンティブを高めるような制度にしようということになりまして、これは今、具体的に制度所管の官庁とも相談をしているところでございますけれども、何とかそういう形で自由裁量の幅を広げて自己資金を獲得できるインセンティブを高めるという方向で、せっかくの制度でございますので、活用していきたいというふうに考えてございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 17ページの大学、研究開発法人、民間企業の基本的役割というところに関連しまして、実はここでは余り議論されていないところですけれども、イノベーションシステムについて発言させていただきます。確かにこの三つのセクターは重要な役割を果たしているということはそうなのですけれども、イノベーションシステムといった場合に、それ以外の多様なアクターがあるかと思います。例えば、民間の非営利の財団が研究支援もしているような国もあれば、ほかの例で言いますと、例えばベンチャーキャピタルのようなものが存在して、それが大学や研究機関とその成果を実際に企業等に生かしているというようなことがありますので、そういった多様なアクターがやはりイノベーションシステムの中で重要だという点にも触れていただくと良いのではないかと思います。そうした場合に、やはり民間非営利組織になると、政策上は議論されていませんし、触れられていないと思いますけど、例えば税制といったことにも関わってきて、正に活動としての多様性を支える仕組みについて、もう少し触れていただくと良いのではないかと思います。

【野依主査】  
 木村委員、どうぞ。

【木村委員】  
 16ページの知のフロンティアを開拓するというところについて、この分野融合的という部分がやはり科学技術領域の融合という議論にとどまっている印象を持ちます。先ほど御発言がありましたが、社会科学なども含めた、例えばレギュラトリーサイエンスや、エコノミクスなども含めたより広い領域を取り込んだ分野融合が必要ですし、さらには、横串を刺すマネジメントサイエンスなどのスキルセットをきちんとここで位置付け、融合的という意味をもっと広げて議論するとよろしいかと思っております。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 五神委員。

【五神委員】  
 やはりこの章で何をやるかということを整理して明確に書く必要があると思います。これまでの20年間の議論を踏まえて、では何をやるかという点で言うべきこととしては、やはり国としてのスケールメリットをもっと活用することが第5期基本計画の答申の中で行われなければいけないことと、5年という期限ではなくて、それ以上のタイムスパンを持った長期的計画性と戦略性を底流に合わせ持った施策を講じるということだと思います。そのために、短期的な投資を長期的な効果につなげるための工夫、知恵を出すこと、その3点をきちんと述べる必要があります。それが第4期までの投資に対する結果を見たときに有効ではないかと考えます。是非、これらを明確に述べてほしいと思います。

【野依主査】  
 土井委員、お願いいたします。

【土井委員】  
 3点ございます。
 1点目は、17ページの先ほど御指摘のあったイノベーションシステムという中で、イノベーションハブと書いてある部分についてですが、これが国立研究開発法人だけの役割ということで定義されているのかが1点目です。
 2点目は、少し細かいことで恐縮ですが、(3)の表題は大学、研究開発法人となっていて、その下の1行目には大学、公的研究機関となっていて、先ほどの1ページ目から4ページ目では大学、公的研究機関になっていて、5ページ目以降が大学、研究開発法人になっているのですね。言葉が使い分けられているのであれば使い分けていただくか、そうではないのであれば、公的研究機関に統一していただくのが良いかなというのが2点目です。
 3点目は、その次の18ページですが、(5)の「関係行政との連携による政策の一体的推進」、これは必要だと思うのですが、このときに、先ほどの2ページ目に知識基盤社会というお話がありましたが、やはり政策は知をどうやって政策に生かしていくかという話なので、2ページ目に書いていただいた知識基盤社会というお話に呼応する形で、それから先ほど上山委員が言われた社会学や人文学といったものとの連携という意味も、ここは重要だと思いますので、その辺りを書き込んでいただけると有り難いと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 松本委員、お願いいたします。

【松本委員】  
 イノベーションハブのところですけれども、産学官の役割を踏まえて、なぜイノベーションハブを作らなくてはいけないのか。やはり海外に比べて、こういう拠点作りが非常に遅れているという現状認識を踏まえてハブを作らなくてはいけない。これが単に研究開発法人が良いのかどうかという議論も恐らくあると思うので、大学がそういうイノベーションの拠点になるということが海外では非常に多いわけですよね。あるいは、いろいろなステークホルダーを巻き込んで、産学が一緒になって新しい拠点を作るということを打ち出すことも一つの方法ですし、私は個人的にはそちらが良いと思うんですけれども、研究開発法人がハブになることだけをここに明記するのはどうかという気がしますけれども、いかがでしょうか。

【野依主査】  
 新井委員、お願いいたします。

【新井委員】  
 3の「科学技術イノベーションにおける政府の役割」を二本柱で書いていらっしゃって、この二つが並んでいるのですけれども、本来的には、ここでも何度もお話が出ていますけれども、科学技術政策を立てて、そしていろいろ投資をしますみたいな話で終わっているわけですけれども、投資をしたことがどのようにうまく行ったかということを不断に評価することが重要です。不断に評価するというのは、やった人たちがうまくやっていますかということで、それぞれの研究者を評価するということではなくて、それも含まれますけれども、むしろ、人材育成に関して何人という目標を作ったりとか、テニュアトラックを入れたりというようなことが本当にうまく行っているのかどうか。先ほど五神先生が何回もおっしゃったことは、結局、どうなりましたかということがきちんとデータに基づいて、きちんと不断に自分たちの行ってきた科学技術政策が良かったのかどうかということを自ら振り返り続けるということを出していただきたいと思います。それがあって、これからの新しい時代の科学技術政策というのは、そこまで含めて自分はきちんとやっていくという方向性を出していただきたいなと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 今の視点で大事なことは、日本の科学技術基本計画ですから、そのことを踏まえなくてはいけないと同時に、やはりグローバル化していることもあり、やはり世界にある程度通用するものでなければ、またいけないのではないかと思っておりますので、よくお考えいただければと思います。
 次に移らせていただきます。
 中間取りまとめ(素案)の後半について、事務局から説明してください。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 余り時間がありませんので、とりあえず項目を読み上げて、本日、時間の関係上、意見が足りないところがあれば、また別途、メール等で頂ければと思います。
 19ページ以降になります。第3章以降です。ここからそれぞれ第2章で掲げた基本的な方針を踏まえて、具体的な取組ということになってございますが、第3章の「イノベーション創出基盤の強化」で、1.が「イノベーションの源泉の強化」、その中でも(1)が「人材システムの改革」ということで、「若手人材のキャリアシステムの改革」であるとか、その中で四つ目のチェックで、先ほど話題にあがりました年俸制やクロスアポイントメント制度、そういうようなことも含め、2番目として「若手人材のキャリアパスの多様化」ということで、これは産業界も含めて様々な場で活動するためのいろいろな取組を書いてございます。3番目が「若手人材の処遇の充実、自立と活躍の促進」ということで、経済的支援やポスドクに対するいろいろな研究費、ステージというものを書いております。
 人材の2番目が「質の高い人材の育成」ということで、ここでは大学院教育の改革や、そこに至るまでの初中等教育段階から大学段階までの教育について、質の高い人材の育成を書いてございます。
 3番目が「多様な人材の活躍促進」ということで、女性や外国人などの活躍促進ということで、21ページ、4番目は「人材の機関、セクター、国を越えた異動の促進」ということで、セクターを越えた流動システム、それからは国際的な異動ということで研究ネットワークの構築というようなことを書いてございます。
 「イノベーションの源泉強化」の2番目としましては、「イノベーションの源泉としての学術研究と基礎研究の推進」ということで、それぞれデュアルサポートシステムの再構築、学術研究と基礎研究の重視といった姿勢を示した上で、「学術研究の推進」としては「科学研究費助成事業の改革・強化」でありますとか「共同利用・共同研究体制の改革・強化」、22ページに移りますけれども、マル2として「基礎研究の推進」、さらには「世界トップレベルの研究拠点の形成」といったものを学術研究、基礎研究の中で入れているところでございます。
 (3)では「研究開発活動を支える共通基盤技術、研究施設・設備の戦略的強化」ということで、まずマル1の「共通基盤技術と研究機器の戦略的開発・利用」として、例えばナノテク、光・量子、情報通信(ビッグデータ)、数理解析いったものを共通基盤技術としてきちんとやっていくということをマル1の中で言うとともに、マル2では産学官が利用可能な研究施設を整備、共用、プラットフォーム化していくということ。マル3では、「大学等の施設・設備の整備」、マル4では「研究情報基盤の整備」、学術情報ネットワークをはじめとしたいろいろな情報基盤がありますけれども、それらの整備強化といったものをうたっております。
 イノベーション創出基盤の2番目としましては「持続的なオープンイノベーションを可能とするイノベーションシステムの構築」ということで、その1番目に「産学官連携の革新」ということで、「産学官のヒト、モノ、カネ、情報の流動促進」ということ、これは全体的にやっていくという中で、2番目の「産学官の「共創の場」の構築」ということをうたっているところでございます。ここもCOIのような形で構築するというのもありますし、また、研究開発法人を中核として構築するというのもあるという形で書いてございます。3番目が「科学技術イノベーションによる地域創生」の観点です。
 システムの2番目としましては「民間企業のイノベーション活動の促進と事業化支援の強化」ということで、「ベンチャー・中小企業の支援強化」、それから「民間企業のイノベーション活動を促進し社会の変革に資する制度改革」。3番目がイノベーションシステムを支える研究開発も含めたいろいろな人材ということで、先ほど研究推進人材というところにコントございましたけれども、ここではイノベーション推進人材(仮称)として、その育成確保を図るというようなことを書いてございます。
 26ページからは第4章になってございます。ここは「科学技術イノベーションによる社会の牽引」の具体的な中身ということで、まず、(1)が「社会の重要課題への対応」ということで、これは科学技術イノベーション総合戦略で規定されている五つの課題を着実にやっていくということ。
 2番目としては、「「超サイバー社会」への対応」ということで、ここでは「超サイバー社会を先導する研究開発の推進」や「現実社会にもたらされる影響への対応」、さらには西尾委員からコメントありましたけれども、科学技術イノベーションの推進手法自体が革新していますので、それに対する的確な対応ということ、そういったものを支える人材の育成。特に、単に専門家ということでだけでなくて、ICTを活用して新しい課題の解決や新サービスの創出ができる人材の育成、こういうものが重要だろうというふうに書いております。
 3番目が「国主導で取り組むべき基幹技術(国家戦略コア技術)の推進」というものを入れてございます。
 「科学技術イノベーションによる社会の牽引」の2番目が「科学技術外交の戦略的展開」ということで、「国別の特性を踏まえた国際戦略の展開」ということと「国際協力による研究開発活動の推進」というものを二つの柱として入れておりまして、3番目が「科学技術イノベーションと社会との関係強化」ということで、27ページの下、「社会からの信頼回復」として、「研究活動における不正行為、研究費の不正使用への対応」や「リスクコミュニケーションの強化」、「倫理的・法的・社会的課題への対応」といったことと、28ページの真ん中から「社会とともに創り進める科学技術」ということで、「国民の科学技術イノベーション政策への参画促進」や「科学技術コミュニケーション活動の推進」、「人文学・社会科学の連携した取組の推進」といったものを入れてございます。
 30ページから第5章ということで、「科学技術イノベーション創出機能の最適化」になってございます。1番目が「大学の機能の最大化」ということで、今、大学改革がいろいろ行われておりますので、その方向性をエンカレッジするようなことを書いてございますし、2番目が「国立研究開発法人のイノベーションハブとしての機能の強化」、これは先ほど少しコメントがございましたけれども、単に研究開発法人だけがイノベーションハブということだけではなくて、研究開発法人が機能強化する方向性として、こういう機能を強化していったら良いのではないか、そういう形での提案ということで、本来機能の強化と新しいシステムということで書いてありますけれども、ヒト、モノ、カネ、情報が結集する拠点や、新たな領域にスピード感を持って対応できるような研究開発ということがあります。
 3番目が「国の資金配分の改革」ということで、「基盤的経費の改革・充実」と「競争的経費の改革・充実」と入れてございます。特に競争的経費については、細部にも書いてありますように、若手人材育成の観点からの工夫も必要だろうと述べてございます。
 最後、32ページになりますが、第6章でございます。ここに先ほど新井委員からご発言ありましたようなことが書いてございますけれども、「科学技術イノベーション政策の推進体制の強化」ということで、「政策の企画立案及び推進機能の強化」、科学的助言を得るための仕組みの検討や司令塔機能の在り方、政策のための科学の推進、2.としてはPDCAサイクルをきちんと実行化していくこと。3.では「研究開発投資の拡充」ということで、対GDP比1%の確保を目指し、明確な投資目標を掲げて一層拡充していく。こういったことを書くのかなということで、第3章以降、簡単でございますけれども、説明を終わらせていただきます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 現時点では、中間まとめに盛り込むべき事項を箇条書に記載しているわけですけれども、これらの項目が適切かどうか議論したいと思います。
 全体を見ると、イノベーション、イノベーション、イノベーションと書いてあるわけですけれども、前期の主なテーマであった課題解決が消えているわけではありませんね。少しありますけれども。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それはありません。第4章で課題解決はきちんとやってきたことも、科学技術総合イノベーション戦略の方でかなりしっかりと書かれておりますので、我々としては、ここはきちんとやっていくのだと考えております。それで足りない部分について、例えば「超サイバー社会への対応」や「国家戦略コア技術」などを提言していったらどうかという考え方です。

【野依主査】  
 そうですか。少し反省しなければいけないのは、第4期のときには課題解決の課題が上から与えられるということで、研究者界が必ずしも自律的に動かなかったと思うのですけれども、やはり研究者界が自ら課題を提案、設定するということが非常に大事ではないかと思いますので、どこかにそういったことを書き入れていただければと思っております。
 もう5分ぐらいしか時間がありませんけれども、この項目の中で削るべきこと、あるいは付け加えることがございましたら、お願いしたいと思います。
 結城委員、どうぞ。

【結城委員】  
 30ページの国の資金配分について、(1)で基盤的経費、(2)で競争的経費ということで並列して書いてあります。それで、全体の資源が有限であることを考えると、相互関係を考えざるを得ないと思っておりまして、先ほどの総論では最適な組合せというふうな表現になっているのですけれども、ここはもう少し踏み込んで、第4期まで競争的経費を伸ばしてきたわけですけれども、第5期では競争的経費をある程度抑えてでも基盤的経費を増やすべきではないかと、そこまで書き込むべきではないかと思っておりまして、その辺りは全体の書きぶりを見て、また、次回議論させていただこうと思っております。
 もう1点、最後の政府の研究開発投資、ここが一番、基本計画の大事なところだと思っておりますので、ここを是非きちんと強く書き込んでいただきたいと思っております。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 幾つかあるのですけれども、時間の関係がありますので一つだけ言わせてください。
 26ページの4章の二つ目の項目が「「超サイバー社会」への対応」となっているのですけれども、先ほど意見がありましたように、何か受け身的な意味合いが強いと考えます。ここは、ICTの革新による超サイバー社会の創造というような項目名が良いと思います。ICTの革新としては、インターネット、ユビキタス、それから現在は、アンビエント技術が大変重要なのですけれども、そういう革新の過程で超サイバー社会を日本がきっちり創造していくのだというような、もう少し積極的なタイトルにしていただけたら有り難く思います。

【野依主査】  
 対応だけでは少し受け身ですね。

【西尾委員】  
 はい、そうです。

【野依主査】  
 よろしくお願いします。
 じゃあ、土井委員。

【土井委員】  
 今、御指摘のあったところの下の「現実社会にもたらされる影響への対応」ということで、その中の2番目に増加するサイバー攻撃というお話があるのですが、これは現存の情報システム、ICTについて書かれていると思いますが、超サイバー社会の中でも指摘されていますように、フィジカルな空間、実際にはIoTということで制御のシステムもネットワークにつながるわけなので、そういう意味では情報システムだけではなく、社会インフラに対してのサイバー攻撃を考えて、もう少し幅広い観点での研究開発として読めるようにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 庄田委員。

【庄田委員】  
 それでは、1点だけ。
 先ほども少し議論がありました24ページの「イノベーション推進人材」のところです。こうした人材が第3章最初の「イノベーションの源泉の強化」の中に入らずに、「イノベーションシステムの構築」の方に分けられ、イノベーションを「支える」人材と位置付けられているという意図が少し分かりかねます。有志の産業界で構成しています産業競争力懇談会、COCNという略称で呼ばれておりますが、そこでは、技術人材の重要性も議論されています。この中間取りまとめ案では「技術者」という表現になっていますけれども、これが最初の「イノベーションの源泉の強化」の「人材システム改革」の中には入らないというのは、どのような意図がおありでしょうか。本来は、やはり最初のところに入れるべきではないか、という意見でございます。

【野依主査】  
 上山委員、どうぞ。

【上山委員】  
 時間がないので、本当に端的に。
 この人材システムの改革と、例えば産学連携の推進や基礎研究の新しい推進などについて、これは誰がやるのかということが見えません。やるのはやはり大学ですし、アカデミア自身がやらなければいけないので、その人たちがそういうことをできるような体制がどうかということを、まだ恐らく今後書かれると思うのですが、それを書いてほしいですよね。そうすると、これ、足りませんよねって言って、きちんとチェックしてPDCA回せますよねって、それでは恐らく現場のところから大きな改革の力にはなっていかないので、そういう体制を作るためにはどういうことをやるべきか。やはりやるのはあなたたちですよということを最初のところでうたってほしいと思いました。

【野依主査】  
 新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 2点あります。
 20ページの「質の高い人材の育成」について、ここの部分に知識基盤社会という文言が最初に出てきているわけですから、知識基盤社会に必要とされる人材という、だから知識基盤社会が来るということに対応した人材ということが分かるように書いていただきたいと思います。
 もう一つ、先ほどセキュリティーのところ、土井委員から御指摘がありましたけれども、増加するサイバー攻撃に適切に対応するための研究開発に終わっておりますけど、恐らく、第5期基本計画の際には社会コミュニケーションですか、科学コミュニケーション等で今、公開されている様々な公開サーバー等が攻撃にさらされることが目に見えておりますので、セキュリティーのことは研究開発だけではなく、それに対する実際、今稼働しているシステムでの対応も含めて、後ろ側にも書いていただきたいと思います。

【野依主査】  
 春日委員、どうぞ。

【春日委員】  
 27ページの科学技術外交の戦略的展開ですけれども、この項目は是非、第2章で挙げられた理念1、この順番が1になるか3になるかは分かりませんけれども、理念1として出していただいた地球と共生し、人類の進歩に貢献するという、この理念と合う形で中身を書き込んでいただきたいと思います。また、できれば、このタイトルも「科学技術外交の人類の進歩に貢献する戦略的展開」などのように理念をしっかりと受け止めているものだということを分かりやすくしていただければと思います。

【野依主査】  
 小野寺委員、どうぞ。

【小野寺委員】  
 少し視点が違うのですけれども、Horizon2020などを見ますと、必ず雇用の創出ということが出ていますよね。今回、雇用の話は全く議論されていませんが、やはり科学技術イノベーションによって、新しい雇用を創出するという観点がどこかに少し入って良いような気がするのですけれども、いかがでしょうか。

【野依主査】  
 よろしくお願いします。
 木村委員で最後にさせていただきますが。

【木村委員】  
 全般的になのですが、やはり日本が国際競争の中で生き残るのだという迫力に少し欠けるかなと思います。イノベーションは、国家間競争の主戦場になるはずです。人材や、資金は世界中を自由に動きまわるのですね。地下資源は動かないので国の事情に合わせてマイペースで開発ができますが、人材、資金などの経営資源は国家間競争中で取り合いになり、日本がどう勝ち残るか、ということが今、問われているので、その文脈をこの中に反映していただければと思います。

【野依主査】  
 頂いた時間がなくなりました。御意見、たくさんお持ちでしょうから、是非お帰りになりまして、書面で事務局にお伝えいただきたいと思います。
 それでは、本日、たくさんの御意見を頂きましたので、それを踏まえ、第1章と第2章の修正と第3章以降の文章作成を行いまして、次回以降、御議論いただきたいと思います。
 最後に川上局長、一言お願いしたいと思います。

【川上科学技術・学術政策局長】  
 様々な意見を頂きましてありがとうございました。
 全編を書かないで本日出したということで、後半に書くべきようなことでも前半でご指摘を受けたようなところもありますので、そういうことの整理も含めて検討して、次回に向けて新しい案を御提示させていただきたいと思います。
 それから、特に、全体の投資及び競争的経費と基盤的経費の割合は重要な問題です。ただし、これは財政当局との間で最も厳しい交渉事項になりますので、どの段階でどういうふうにやるべきであるか、そういうことも含めて検討させていただきたいと思います。
 本日はいろいろ御意見ありがとうございました。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、最後に議題2のその他ですが、事務局から説明してください。

【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】  
 資料4を御覧ください。次回、第8回の総合政策特別委員会は12月19日金曜日、10時から12時まで、文部科学省3階1特別会議室にて開催いたします。議題は本日に引き続きまして中間取りまとめ(案)の審議でございます。
 本日の議事録は後ほど事務局より委員の皆様にメールで送らせていただきます。委員の皆様に御確認いただきました上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の資料につきましては、お帰りの際に封筒にお名前を記入の上、机上にお残しいただければ、事務局で後ほど郵送させていただきます。
 以上でございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、以上で科学技術・学術審議会の第7回の総合政策特別委員会、終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当))

-- 登録:平成27年01月 --