ここからサイトの主なメニューです

総合政策特別委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成26年10月3日(金曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省13階1~3会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. オープンイノベーション時代、グローバル時代における研究開発、成果活用・社会実装の在り方について
  2. 国家存立の基盤となる技術開発(コア技術、共通基盤技術)、研究開発基盤の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

野依主査、新井委員、伊地知委員、稲葉委員、上山委員、小野寺委員、春日委員、木村委員、五神委員、庄田委員、白石委員、竹山委員、知野委員、土井委員、永井委員、西尾委員、細野委員、松本委員、結城委員

文部科学省

土屋文部科学審議官、戸谷官房長、岩瀬政策評価審議官、徳久総括審議官、義本審議官(高等教育局担当)、山脇審議官(研究振興局担当)、磯谷審議官(研究開発局担当)、関大臣官房文教施設企画部長、常盤研究振興局長、田中研究開発局長、内丸研究開発局開発企画課長、榊原科学技術・学術政策研究所長、川上科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局次長、江﨑科学技術・学術政策局企画評価課長、林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官 ほか関係官

5.議事録

【野依主査】  
 それでは、定刻でございますので、ただいまから科学技術・学術審議会総合政策特別委員会(第4回)を開催します。
 委員の先生方、大変御多用のところお集まりいただきまして有り難く思っております。
 会議開催に当たりまして、事務局から資料の確認をお願いします。

【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】  
 資料につきましては、お手元の議事次第の裏にございます。配付資料一覧ということで資料1から資料5までございます。一つ一つの確認は省略しますが、欠落等不備がございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局の方までお知らせください。どうぞよろしくお願いします。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、議題に移ります。本日の議題は、1番目が「オープンイノベーション時代、グローバル時代における研究開発、成果活用・社会実装の在り方について」、2番目が「国家存立の基盤となる技術開発(コア技術、共通基盤技術)、研究開発基盤の在り方」です。この二つについて、資料の構成を踏まえて、議題(1)、議題(2)のうち、共通基盤技術、研究開発基盤の在り方に関して御議論いただいた後、議題(2)のうち「コア技術」に関して御議論いただく予定です。
 それでは、資料について事務局から説明してください。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それでは、資料に基づきまして、最初に現状を御説明します。
 資料1の方に、科学技術基本計画の関係する抜粋部分を用意してございます。また、資料2-1の方に、この基本計画がどのように今まで取り組まれてきたかという検証を用意しております。また、それに必要な資料として資料2-2を用意しております。資料3-1には、第4期基本計画以降に作られた報告書等から、新しい動きを抜粋して資料としてございます。加えまして、資料3-2と資料3-3で、本日、科学技術振興機構と日本学術振興会の方から、意見を出したいという話がございましたので、それを簡単に紹介させていただきたいと思います。
 それでは、資料1と資料2-1、資料2-2、特に資料2-1をベースに御説明をしたいと思います。
 これまでの科学技術基本計画の取組でございますけれども、資料1を御覧いただくと分かりますように、まず学術研究、基礎研究の推進というくくりと、次のページの科学技術の重点化というくくり、3ページ目の国家的な大規模プロジェクトの推進というくくり、4ページ目、5ページ目に産学官連携の強化というくくり、第6ページ目と第7ページ目で民間企業の研究開発、事業化の促進といったくくり、第8ページ目で大学等の施設・設備の整備というくくり、第9ページ目で産学官が共用可能な先端研究施設・設備の整備といったくくり、第10ページ目に知的基盤の整備、11ページに研究情報基盤の整備という九つのくくりに分けてございますので、このくくりに沿いまして資料2-1と2-2をベースに御説明したいと思います。
 資料2-1をお開きください。1ページ目、学術研究、基礎研究の推進ということで、第1期から第4期の主な取組の記述と、それに関する現状、また、前回の会議で、うまくいっていないところの分析をすべきだという意見もありましたので、分析できるところは追加分析という形で資料を作らせていただいています。
 学術研究、基礎研究のこれまでの主な取組ですけれども、第1期から第4期まで基礎研究の振興が一貫して書かれています。基礎研究の内容について、研究者の自由な発想に基づく基礎研究と書いてある場合と書いていない場合と、ありますけれども、基礎研究につきましては第1期から第4期まで一貫して推進という上で、第2期からは新興・融合、第3期からはハイリスク研究への配慮といったことが記述されています。また、第3期からは、拠点の形成ですとか、論文数の数値目標も設定されているところでございます。
 これに関して現状でございます。現状のところに書いてありますページ数はデータ集のページ数ですので、適宜、御参照いただきながら説明を聞いていただければと思います。データ集の3ページ、4ページに書いてありますように、我が国の論文数は横ばい状況になっております。論文数自体は横ばい状況、高被引用度トップ10%の論文数は少しずつ伸びている、こんな状況になっております。ただ、いずれにしても2000年頃をピークに国際的シェアは低下傾向にあるということがデータ集の5ページに書いてあります。7ページに分野別の状況も書いてありますけれども、工学分野をはじめ、いずれの分野も低下傾向にあるという状況です。
 データ集でいいますと、10ページ以降に基礎研究の質的な評価はしてありますけれども、サイエンスマップ等々を見ていただきますと、10ページから書いてありますが、研究領域の広がりが少ない、学際的・分野融合的領域の参画が少ない、国際共著論文が少ない、そういったデータがございます。
 また、データ集の15ページを見ていただきますと、そういった中でも質の高い論文と言われているサイエンスやネイチャー誌における我が国の論文数は増加傾向にある。それから、科研費、戦略的創造研究推進事業、WPIなどからは質の高い論文が生み出される傾向があるということが18ページや19ページ、23ページ、24ページ、26ページに記載をされてございます。
 データ集の28ページには、ノーベル賞受賞者が書いてあります。我が国は21世紀に入り9名で世界3位ということで、質の高さは見て取れるということですが、追加分析のところにあります、データ集では5ページ、6ページ、なぜ国際的なシェアが落ちているかというと、やはり中国の論文数の大きな伸びと、それを支える政府投資が影響しているのではないかということ。それから、追加分析の最後のポツに書いてございますけれども、基礎研究の多様性が十分でないという理由は、大きな研究者がリスクを取らない研究を志向している、基盤的経費の減少、選択と集中、出口志向の強調等々が影響していると思われます。何も書いていないのは、これまでのヒアリングの中で委員の先生から出た意見ということで書いてございます。
 次のページには、科学技術の重点化が書いてあります。第1期のときには明確な重点化はされていなかったわけですけれども、第2期のときに重点4分野を定めています。ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、この4分野を重点分野と定めた上で、第3期ではその4分野に加えて推進4分野を設定し、ただ分野ごとの重点化ということではなく、その中できちんと重点を置く課題を選んでやっていくと、そういうことが第3期の思想になっています。第4期になった場合は、こういった重点分野ということではなく、課題達成ということで、震災復興・再生、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、この三つを最重要とした上で五つの重要課題を設定しているところでございます。
 現状でございますけれども、なかなか現状把握は難しいところですが、予算の集中という観点でいいますと、第2期期間中は、予算集中は進みましたけれども、第3期期間中は分野に重点するほどでもなかったということもあると思いますが、大きな変化はございません。また、現状の最後に書いてございますように、SIPやImPACT等の重要課題達成に向けた新しい取組も開始されております。データ集32ページ、33ページのところに書いてありますけれども、そういうことが始まっているということでございます。
 下の(3)国家的な大規模プロジェクトの推進ということで、これは第3期の頃から始まっておりまして、第3期で国家基幹技術が選定されました。第4期では、国家安全保障・基幹技術に関する国主導プロジェクト創設も記載されています。
 現状でございます。データ集の37ページ、38ページに国家基幹技術、これは第3期の国家基幹技術ですけれども、五つの技術を推進し、その中で成果が出ているという状況の資料を用意させていただいております。ただ、現状の次のポツに書いてありますように、第4期、これはまだ終わっているわけではございませんけれども、今のところ基本計画に書いてある国主導プロジェクトの検討、実行はされていないという状況でございます。
 追加分析でございますが、第4期でそうした検討が実行されていないのは、委員の意見として、第4期は形が結構多くて具体的な内容が定まっていないものが多いためといった意見がございました。第3期では実行すべき内容が具体的に定められた一方で、第4期では定められていなかったということが大きい要因ではないかと我々は分析しているところでございます。
 次のページ、産学官連携の強化でございます。主な取組でございますけれども、第1期の頃はほとんどの研究機関がまだ国の機関ということで、その辺りの規制緩和が大きなイシューとなっていたことが1行目で、その後、国の委託研究を成果として得られた場合の特許権の優先実施権付与、バイ・ドール条項が意識され始めております。それから、第1期の場合は特許権が、研究者の流動性と合わせて個人帰属の方が活用されるのではないかということで、第1期の場合は個人帰属ということがうたわれていたところでございます。
 第2期に移りまして、産学官連携の重要性がかなり提起されています。基本計画の抜粋を見ていただいても、分量的に非常に多くなっているのはお分かりだと思いますけれども、重要性を提起した上で、国有特許の譲渡、専用実施権の設定、大きく変わったのが研究開発成果を個人帰属から機関管理に転換して、機関として活用していく。そのために、例えばTLO、次の行に大学の技術移転機関と書いてありますけれども、こういったものの活用。さらに、大学が独法化した後は、知財本部やマネジメント体制の整備といったことがうたわれているところでございます。それから、産学連携のやり方として、拠点を作っていくことが有効ではないかということで、第3期の方から先端融合イノベーション拠点であるとか、オープンイノベーション拠点、第4期に書いてありますが、そういったことが記載をされているところでございます。
 次に、現状ですが、データ集の40ページに共同研究件数が書いてありますが、41ページ、受入れ金額、43ページには技術移転機関による技術移転件数、44ページには特許保有件数、こういうものが非常に着実に上がっているということで、産学官連携活動は着実に活性化していることが分かるわけでございます。
 ただ、一方で、46ページにありますように、承認TLOの数が減少しているという話や、共同研究は活発になっているものの、41ページ、42ページにありますように1件当たりの受入れ金額は非常に少ないこと、それから、データ集の47ページにも書いてありますように、大学等の保有する特許の利用・活用は、全体平均52%に比べて、大学の持っているものは18%ということで、なかなか利用が進んでいるとは言い難い状況であることがございます。
 また、48ページ、49ページにありますが、産学官資金の流動が少ないことがございます。大学における研究費は、ドイツは14%に対して日本は3%ということや、50ページ、51ページにありますようにセクター間を超えた人材流動は高まっていないということがございます。
 拠点の方は、着実に整備が進んでおります。52ページには、先端融合領域イノベーション拠点、その次にはつくばイノベーションアリーナとございます。また、56ページには新しい取組であるCOI拠点が発足して、成果が少しずつ出されているということがございます。
 それから、58ページ、産学連携事業の成果ですけれども、規模の小さい企業の方が売上げの貢献につながっている。例えば、最重要特許の商業化などを見ると、大規模になるほどパーセントが減ってくるということが分かると思います。
 追加分析の方ですけれども、産学連携が本格化していないことについては幾つかの理由が考えられると思います。この辺りはデータ集を少し御説明したいと思いますけれども、データ集の60ページでございます。これは、企業研究者の産学連携への参加動機を聞いたアンケートでございます。事業上重要な技術課題を解決するものも高いですけれども、一番高いのはネットワークの形成になっています。
 次の61ページは政策研でやっております定点調査、産学官の1,500人に聞いたアンケート結果でございます。こういうものを見ますと、研究情報の交換や相互の知的刺激の量や、研究者を産学連携で評価しているかどうか、橋渡しする人材の状況が不十分ではないかといった意識が現れているところでございます。
 次の62ページ、知的財産の取扱いについて民間企業における活用状況は、先ほどデータもございましたけれども、不十分ということ。それから、知的財産の運用が円滑かということについては、大学側と民間企業側で少し判断が分かれていて、産業界に近い方は不十分だと思っているけれども、大学では十分やっているといった意識の差も現れているところでございます。
 63ページには、これも定点調査の一環でございますけれども、産学連携の障害になっていることは何かと聞いたときに、大学の研究内容について幾つかコメントがございます。論文を志向していてギャップがあるという話が多い一方で、革新的なものが十分得られていないといったような意見もあるところでございます。
 次の64ページは、国内外で産学官連携を行った企業に答えていただいておりますけれども、青の濃いものが国内の分、薄い方が海外の分で、どういうことが問題かを聞いてございます。この国内と国外の差が多いところが日本の弱いところではないかということで、大きいものに三つ丸を付けております。実用化につながる研究成果が少ないこと、研究のスピードが遅いこと、技術移転機関の体制が不十分であるといった辺りが差の大きいところであります。それに続くのが、2番目に書いてあります契約が円滑に結べないこと、それから研究資金の制約があることが認識として現れているということでございます。
 最後に、65ページのデータでございますが、これは定点調査における自由記述です。産学連携を強化していくために大学、民間企業に望むことを聞いてみますと、企業側の意見としては、いろいろな条件、知的財産、経費分担、コンプライアンス、成果の取扱いといった条件がなかなか合わない、大学側の意識の改革が必要、情報発信、交流が少ない、大学の研究内容に関する要望、評価が十分されていないのではないか、といったことがございます。大学側に聞きますと、企業の意識の改革が必要ではないか、やはり知的財産とか経費分担の条件が合わない、情報発信、企業のニーズがよく分からない、大学における知的財産等の体制、人材の流動性といったものがよく挙げられているところでございます。
 こういったことを踏まえまして、資料2-1の3ページに戻りますが、追加分析といたしまして、産学連携が本格化しない理由としては、産学官相互の理解不足であり、お互いに言い合っているところがございます。そういうものに加えて、知財の取扱い、秘密保持、経費分担について差がある、情報発信や産学官の交流、橋渡し機能が弱い、大学の研究は実用化につながるものが少ない、大学において業績として評価されない、産学連携、知財管理の体制が弱いというところ。企業側に対しては、ネットワーク構築を主目的としていて本気度が低いのではないか、こういったようなことが示唆されるわけでございます。また、その下に書いてございますけれども、研究内容については実用性が低い論文重視であるという企業側の意見もございますけれども、やはり企業側を中心に、大学側の革新性、多様性の弱さに対する懸念を挙げる方も一定程度存在するといった状況になってございます。
 次のページ、4ページでございます。民間企業の研究開発、事業化の促進ということで、主な取組としましては、これも一貫して税制の活用ということが第1期から第4期まで言われてございます。また、中小企業技術革新制度(SBIR)といったものも含めた中小企業への支援も第1期から第4期まで言われていて、第2期辺りからはベンチャー支援、ベンチャーで作ったものを公的部門で活用するとか、規制・制度の改善・活用といったことがうたわれております。その下に書いてあるとおり、知的財産の重要性であるとか、利便性の向上ということがうたわれて、最後、国際標準化活動への積極的対応ということが第2期からうたわれております。
 現状は下に書いてございまして、税制は75ページにありますように、制度改正を経ながら着実に実施されてきております。76ページにSBIRが書いてありますけれども、支出目標額、実績とも横ばい傾向で少し差が出ています。ベンチャーの設立数は、平成16年252件だったのをピークに、平成24年は54件となり大幅な減少傾向にございます。それから、その下のポツでは、いろいろな法律、産業競争力強化法、研究開発力強化法を通じて、イノベーションの隘路となる規制緩和が少しずつ実施されてきているということ。さらにその下のポツには、国際競争力は近年、横ばい傾向、IMDで21位、WEFで6位でございますが、データ集の83ページには、WEFの中で税制、規制、ベンチャーキャピタル、金融、調達、雇用などが少し弱いのではないかということが見て取れます。データ集84、85ページと、特許件数が書いてございますが、出願件数世界2位、登録件数世界1位ということで、国外特許の出願件数も大幅に増加しているということ。また、86ページにありますように、期間も短期化をされているということでございますけれども、現状の最後及びデータ集の88ページにありますように、イノベーション実現企業の割合が諸外国と比較して低い。特にプロジェクトイノベーションなどは低いといったことが見て取れるということでございます。
 追加分析でございますけれども、ベンチャーが進まない理由としましては、資金調達や販路開拓の難しさ、さらにはベンチャーキャピタルの規模が非常に小規模である、90ページにありますように経営を支える人材が十分でないという示唆がございます。それから、委員意見でございますけれども、人材が十分でないといったことにも一因があると思われます。
 次のページ、(6)大学等の施設・設備の整備でございます。大学の施設・設備の整備は、第1期から第4期まで一貫して重要性がうたわれていまして、第2期からは国立大学法人については5年間の計画を作ってやっていくということがうたわれて、それ以降、5年ごとの計画を作ってやっているところでございます。第3期からは、そういった施設・設備の有効活用、相互利用という話。また、科学研究の大型プロジェクトも、第2期から推進、支援ということがうたわれているところです。
 現状でございますけれども、国立大学の施設、データ集の98ページ以降に書いてありますが、計画的、重点的に推進しております。ただ、老朽改善の著しい後れが現れておりまして、施設の安全性、機能性について新たな課題が生じてきているということでございます。また、107ページにございますが、大学等における研究設備、機器の有効利用を図るための取組、設備サポートセンターが平成23年から始まっていますけれども、そういうことが実施されている。また、科学研究の大型プロジェクトのロードマップを作って、優先度に基づいた整理が進められているということがございます。
 (7)産学官が共用可能な先端研究施設・設備の整備でございます。第1期でも共同利用の促進ということが書かれておりますけれども、第3期からは具体的な共用法に基づく最先端のものがうたわれるとともに、第4期では保有している施設・設備のネットワーク化がうたわれております。
 現状でございますが、114ページ以降に書いてございますが、共用法に基づいて「SPring-8」、「SACLA」、「J-PARC」、スパコン「京」といったものが共用開始して、成果も生み出されております。119ページ以降にありますけれども、ナノテクノロジー、スパコン、光ビーム、NMRといった技術領域について、共用のプラットフォームが構築されて利用を始めている。こういった研究施設について、大企業の多くは使っている一方で、小規模企業の活用が進んでいない。一方で、研究成果の創出において非常に役に立っているというデータは129ページにございます。また、施設の共用側ですけれども、130ページにありますが、取組を進めているものが約2割、行っていないものが3割という状況がございます。
 追加分析ですけれども、研究者が外部の研究者施設・設備を利用しない理由は、情報の窓口がないことや、大学側でそういった利用、取組が進まないのは人的リソースの不足が影響しているのではないかという分析になってございます。
 次のページ、知的基盤の整備でございます。知的基盤としましては、整備促進が第1期からうたわれていまして、第4期の頃には大分やっていて、関係機関の連携協力できちんとやっていくということがうたわれるとともに、先端機器の開発を第3期の方から指摘しているところでございます。現状は、今、申し上げましたように知的基盤は2010年の世界最高水準の整備が達成されており、きちんと活用してくださいという状況になっております。
 先端機器につきましては、国産割合が減少傾向で、特にライフ分野での機器は顕著であります。その理由としましては、ライフ分野では性能のほかに、研究領域のスタンダードになっているからという答えが多いという状況になってございます。
 (9)研究情報基盤の整備でございます。第1期から、これは時代を感じるわけですけれども、コンピューターの整備やLANネットワーク、機関間のネットワーク、この辺りから始まっておりまして、それがどんどん発展してきまして、研究ネットワークの整備がずっとうたわれております。また、論文、データなどの電子化も第2期の方からうたわれておりまして、最終的には第4期でオープンアクセスの推進ということがうたわれております。
 現状でも、ネットワーク、SINET4が200万人以上に使われるという状況になっていますけれども、回線速度は欧米、中国に比べると低いことが143ページ等々に載ってございます。また、学術雑誌は年々高騰しておりまして、電子ジャーナルの有用性が高まっておりますけれども、J-STAGEへの参加なども増加傾向にあります。また、機関リポジトリを構築するような大学も増加しています。こういうことがデータに書いてございます。
 資料2-1は以上でございますが、残りの資料3-1、3-2、3-3を簡単に御紹介させていただきます。
 資料3-1は、今、説明しました第4期までの取組以降の話になります。1.で学術研究、基礎研究の推進ということで、ここは第1回の会議時に西尾先生からも御紹介ございましたけれども、学術分科会で推進方策について新しい報告書が出されてございます。17ページに概要を書いてございますけれども、持続可能なイノベーションを源泉としての学術研究を言った上で、役割分担や、課題、今後の改革のための考え方といったものを学術研究の分野で打ち出しています。
 2.共通基盤技術、国家的な大規模プロジェクトの推進につきましては、情報分野で最近のビッグデータの動向を踏まえまして、データ・セントリック・イノベーションを進めるという方向性が出されています。共通基盤技術としては、数学やナノテクノロジー・材料といったところで新しい方向性が出されています。海洋分野では、海洋分野の国家基幹技術を関係省庁と定めて、それを進めていくことが言われております。
 産学連携ですと、研発法人が新しくできますので、そういったものをイノベーション・ハブとして形成していくという話がございます。次のページになりますが、専門人材(URA、産学官連携コーディネーター等)をチームとして機能させるマネジメントといったことがうたわれております。
 5.大学等の施設・設備の整備についても新しい報告書がまとめられております。地域・社会との共生、多様な利用者への配慮、共同利用の一層の推進といった考え方が打ち出されてございます。
 6.産学官が共用可能な先端研究施設・設備の整備では、プラットフォームの構築、計算科学技術につきましてはポスト「京」の整備も始まっているところでございます。
 7.研究情報基盤の整備では、アカデミッククラウドの方向性や次期SINETの整備がうたわれ始めているという状況でございます。
 資料3-2は、バーチャル・ネットワーク研究所であるJSTからの問題提起ということで、JSTが今まで行ってきた取組を踏まえた、第5期に向けての提言を頂いてございます。2ページに現状、3ページから4ページに掛けて提言が書いてありますので、その辺りを簡単に御説明いたします。
 現状認識としましては、国際競争力の低下、人口減少・超少子高齢化への投入、グローバル化、ICT技術の進展、地球規模課題の進展ということで、これをどう打破、克服していくかが重要ということで、新しい価値を創造していくということで四つの価値、社会的価値、産業的価値、科学技術的価値、人の価値の創造が必要ではないかという提言がございます。
 新しい潮流作りということで、新分野領域への積極的な展開、システム化を視野に入れた統合化研究、第3の科学、第4の科学であるICTの活用、人文・社会科学と自然科学の連携といった提言もございます。
 次のページ、システム改革ということで、政策のための科学を重要視するべきではないか。基礎研究の強化、人への投資の重点化。いわゆるリニアモデルではなくて、いろいろな段階で相互に反応しながらイノベーションを創出するオープンイノベーションにおけるスパイラル・アップモデルと、そのためのイノベーション人材が必要である。国際的な価値創造、ダイバーシティーの推進といったことがございます。
 最後、科学技術イノベーション基盤の整備ということで、政策シンクタンクの育成と活用、情報基盤、科学コミュニケーション推進、理工系国際人材の育成、こういったような提言を頂いているところでございますので、議論の中で参考にしていただければということです。
 資料3-3は、日本学術振興会の方から、7月28日に出したパネルディスカッションの資料をそのまま出してほしいということでした。
 2ページ以降、状況の変化ということで、トップ10%の論文のシェアが減っているという話や、大学部門の研究費、研究者数が減っているという話、4ページには、研究費の多様性、大学の厚みが非常に不十分で、日本は1か所に集中し始めているということ。5ページ目には、科研費の充足率がだんだん減ってきていること、6ページ目には、科研費でいろいろな有用な成果が出ていること、7ページには、いろいろな制度改革をして非常に評価が高いことといったことが書いてございます。
 最後の9ページに、ファンディングの在り方ということで書いてありますけれども、多様な基礎研究・学術研究分野、また大学における基礎研究・学術研究、国際共同研究、こういったものへの持続的、安定的なファンディングが非常に重要だろうということ。それから、5.で、基礎研究・学術研究を通した大学の人材育成の重要性の提言を頂いているところでございます。これを議論の中で適宜参考にしていただければと思います。
 少し長くなりましたけれども、以上で説明を終わらせていただきます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 今の事務局からの説明につきまして、御意見、御質問ございましたらお願いします。
 新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 大変貴重な資料の御説明をありがとうございました。幾つか分からない点がございますので、質問をさせていただきます。
 まず、資料集の3ページ、4ページや、15ページ、16ページと書いてあるデータですけれども、最後の年度が2010年とか2011年度になっております。2011年は、正に第4期が始まった年でありまして、このグラフから見られるのは第3期までの計画の結果がどうであったかということであって、第4期をいろいろ努力してどうだったかという、PDCAとしてこの資料が出てくるのがよく分からないのですが。どうして第四期の2011年から2013年ののデータがないのでしょうか。ウェブ・オブ・サイエンスや、エルゼビアを基にしているのであれば、去年までのデータが出てもおかしくないと思うのですけれども。
 もう一つ、日本は中小企業が大変多い国です。例えばベンチャーや中小企業、地方創生の観点からいったときに、日本語で書かれた論文も産学連携上、非常に重要かと思いますけれども、日本語で書かれた論文はどの程度読まれていて、それが産学連携に資するものになっているかというデータはお持ちでしょうか。
 それから、論文数の中で、企業と大学の割合がどうなっているかを把握されているかをお伺いします。
 最後に、特許の数が大変増加しているにもかかわらず、日本の研究は実用性が低いという評価になってしまっているのはなぜでしょうか。例えばですが、特許を出せ、出せと大学に言って、やや無理に出させたということが、実は数は増えたけれども、有用でなかったのではないかという仮説も成り立ち得ると思うのですけれども、その辺りをどのようにお考えかということをお聞かせいただけますか。

【野依主査】  
 事務局から、お願いいたします。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 お答えします。
 最初の質問、年代が古いということにつきましては、特に意味はなくて、集めたものがこうだったということですので、そこはもう一度、科学技術・学術政策研究所等とも見直してみて、新しいデータが出せるようであれば、次回以降、改めて出していきたいと思っております。
 日本語論文数がどの程度読まれているかということは、今、手元にそういったデータを持っておりませんので、これもまた随時探していきたいと思います。
 論文の企業と大学の割合でございますけれども、これはデータ集の16ページに載ってございます。これを見ていただきますと、企業の論文が結構減ってきております。1990年代前半をピークに落ちてきているということと、論文数の中で政府部門、研発法人だと思いますけれども、それが割合としては増えているといったことが分かるところでございます。
 特許につきましては、確かに特許は増えていますけれども、まだ活用されていないというのは、大学の知的財産を管理、運用する部分がまだ弱いのではないかということが考えられまして、我々としても施策としていろいろな特許、特に大学の場合は個別に特許を取っていて、なかなか使いにくいという状況もあるようですので、それをパッケージ化して使いやすい形にするといった施策も始めようとしている状況でございます。

【新井委員】  
 ありがとうございました。

【野依主査】  
 日本語の論文について少し伺いたいのですけれども、いろいろな指標を見ますと工学と臨床医学が随分低いですね。これらは国の実質的な力に直接係るような分野ですから、私は大変懸念していますが、同時に、そのような分野では日本語で書かれた論文が多いのではないかと思います。解析にはウェブ・オブ・サイエンスなど基にしていると思いますけれども、この辺りのことはどうなっているのでしょうか。いろいろなデータ解析で、日本語で書かれた論文はデータベース化されているのか、そういうものは取り入れられているのかどうかということを伺いたい。

【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】  
 JSTやNIIと相談しまして、そういった日本の学術誌に日本語で書かれた論文について、調査ができないかということは検討しています。科学技術・学術政策研究所の方に後で状況を確認して、次回以降、御説明させていただければと思います。

【野依主査】  
 工学系を専門とする委員がいらっしゃいますけれども、良いか悪いかはともかくとして、機械や電気など日本語で書かれた論文は工学系では多いですよね。

【細野委員】  
 はい。建築や土木、地震工学などは日本語がほとんどです。それは、ウェブ・オブ・サイエンスでは出てきませんが、例えばグーグルスカラーを使えば出てきます。ですから、データベースを変えればすぐ出てくる話だと思います。

【野依主査】  
 要するに、世界標準で共通して比べるべきものと、日本の特性を踏まえて評価すべきものとの両方があるのではないかと感じています。是非、今後検討していただければと思います。
 では、知野委員、どうぞ。

【知野委員】  
 質問ですけれども、資料2-1の2ページの国家的な大規模プロジェクトの推進というところで、第4期計画で掲げた国家主導プロジェクトが検討も実行もされていないと指摘されています。第4期にまとめたものを見ますと、非常に広範囲にいろいろなことが書かれていますけれども、なぜ検討も実行も何一つされていないのでしょうか。

【野依主査】  
 事務局、よろしくお願いします。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 当時の検討の主体が内閣府の総合科学技術会議ですので、我々としては検討してもらいたいという話はありますけれども、結果として、今までのところされていないということであります。第3期のときは、少し書いてありますけれども、基本計画が定められたときにはもう既に五つのプロジェクトが決まっており、同時に決定した推進戦略の中で特定されていったという状況でございますけれども、第4期の場合はまだそこが具体化されておらず、また第4期にもいろいろなことが書かれておりますので、まず重要課題達成の方を優先されているのではないかと思っているところでございます。ただ、海洋分野につきましては、最後に御説明いたしましたけれども、我々の方で関係省庁とも連携をしながら、海洋分野の国家基幹技術を特定して、そういった研究開発は少しずつ進めているといったような状況でございます。

【知野委員】  
 第3期基本計画のときに、国家基幹技術という言葉と内容を初めて聞いたわけですけれども、そのときも何が基幹なのかということが、私どもの方は実は取材していてよく分かりませんでした。つまり、国が長期間にわたってお金を保証する大きなプロジェクトということかと、その程度の認識であったわけですが、第4期の方に書かれたことを見ますと、こういうことは検討していない、実行されていないというように記述されていますけれども、実はこういうものは細かくいろいろなところの政策の中に既に織り込まれ、いろいろ研究が行われ、事業も行われていると思います。つまり、国家的大プロジェクトは一体何かという、その辺りから慎重に検討しなければいけないのかなというように思います。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 本日、正に後半でこの辺りの議論をさせていただきたいと思いますので、そのときにまた御意見いただければと思います。

【野依主査】  
 ほかにございますか。細野委員、どうぞ。

【細野委員】  
 企業の方が使われていないという、先ほどの知財の件ですけれども、使われていないという表現は何を意味するのかと思いますと、例えば米国特許に出したもので日本の特許が引例されていれば、それは使われたことと同じです。結局、直接製品になるものはそう早いものではなくて引例になっているということです。その特許がほかの外国の中で引例になっていれば、僕は相当意味があったことだと思います。そういう統計は世の中にもあるわけですので、産業界の方はそこまできちんと持って言っているのかなと思います。自分たちが直接もうからなかったからというのは、僕は随分せこい意見だと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 特許をただ出しているだけでは駄目で、やはり使わなければいけない。細野委員の発言は、特許をパーセンテージ化して、そして使えるようにされているわけでしょうか。

【細野委員】  
 使われるということは確かにそうなのですけれども、その前に特許が特許の中に引用されることは、その段階は必ずあるはずです。それがあることによって、ほかの特許がリジェクトになっているわけですから、それをかなり役に立ったととカウントしてもいいのでは。大学はもうけるために仕事しているのではないですから、そこをきちんと評価していただきたいと思います。

【野依主査】  
 なるほど。防衛特許のようなものも含めてですか。

【細野委員】  
 結局、ミサイルを撃ち落としたわけですから。

【野依主査】  
 では、松本委員、どうぞ。

【松本委員】  
 弊社の知的財産室も、エネルギー業界の中で一番特許数が多いという自慢話をしておりますが、そうではなく、やはり特許の価値をしっかり評価しなさいということです。数もそうですが、今、細野先生がおっしゃったように、その特許の中で実際にそういうような例が幾つあるのか、つまり引用されたものが幾つあるのか。あるいは、潰しにかかられた特許も実は価値があるのです。大阪ガスの場合は、数ではなくて、その特許の価値を別の指標で評価して価値評価をしっかり行っております。これはどこの企業も行っていると思うのです。数だけで幾つと言っている企業は、それほどないと思います。したがいまして、数だけでどうこうというのは、確かに細野先生のおっしゃるように極めて方向性を見間違うと思います。企業はそういうことを行っております。

【野依主査】  
 その観点から言うと、日本は相当頑張っていると評価したら良いですか。

【松本委員】  
 そこは、やはりしっかりとデータを分析していただきたいですが、頑張っているのではないかという気はします。

【野依主査】  
 ありがとうございます。

【松本委員】  
 もう一つ、企業は引用されていることをどこに使うかというと、一つのシーズが実は別の用途に使えるのではないか、つまり用途展開の方向を見るためにも使っております。自分たちの素材や研究資材、あるいは大学との連携でも、大学の先生の特許が別の用途で引用されていたら、そういうところの用途展開ができる可能性がありますので、そこまでいろいろ行うということがオープンイノベーションのやり方ではないかと思うのですが。

【野依主査】  
 ありがとうございました。それでは、庄田委員、どうぞ。

【庄田委員】  
 大学と企業の共同研究のところについて、平均200万円の大変小規模な共同研究が多いというお話ですけれども、これは基本的にステージがどんどん進行してくれば、当然ながら共同研究費が上がっていくはずだと思います。私が驚いたのは、データ集の59ページ、60ページの共同研究を行う動機のところで、大学側は、「研究資金の確保、場合によっては学内における研究開発活動の正当性確保」、それから、企業側は、「社内における研究開発活動の正当性確保」という回答です。もちろん、これが大変重要というアンケート結果にはなっておりませんけれども、その部分もかなりあるということだと思います。本来であれば、やはり大学側は「科学的発見、技術的知見の実用化による社会還元」が共同研究の目的に、あるいは、企業側は下の二つ、「科学的発見、技術的知見を新たに事業化する」、「事業上の重要な技術課題を解決する」、になるべきなのですけれども、これはどういうように読めばよろしいのでしょうか。この二つは多かったというだけなのですけれども、本来的な動機が何かというところは、やはりこれからの産学連携を考える上で大変重要だと思います。
 それから、独立行政法人に関して、なぜ小規模な共同研究しかないのかと、もっと大きな共同研究をすべきではないかということに対してですが、恐らくは企業では個別の研究者レベルで開始されるということで、企業全体で取り組んでいる共同研究プロジェクトが非常に少ないのが実態だろうと思います。ここは問題提起につながるデータではないかと思いました。

【野依主査】  
 ありがとうございました。ほかにございますか。では、小野寺委員、どうぞ。

【小野寺委員】  
 今、お話のあった共同研究に関してですが、共同研究の定義にもよると思うのです。例えば、企業の多く、特に大企業は寄附講座という名目で講座を作っていただいて、そこにお金を出している。これは共同研究とは名乗っていません。そういう形のものも含めて、産学でどういうことを行っているかと少し幅広く見ないと、単に共同研究だけに絞ってしまうと、少し間違うような気がするのです。その辺りのデータは、多分、今はないのではないかと思います。ですから、産学共同研究の意味合いには、先生がおっしゃっているようにいろいろな意味合いがあるので、企業側でここに書いてあることもある意味事実だと思います。特に先生がおっしゃっているように、研究所レベルで行っているものについては、社内で認めてもらうためには、大学と行った方が早いというような話もあるのは事実だと思います。ただ、やはりもっと広い目で見て、共同研究を寄附講座などの形で、大学ででもって、むしろそこで一緒に行っているというようなものも考えていただかないと、額はどんどん小さくなるのではないかと思います。

【野依主査】  
 私どもの研究所でも、企業の名前を冠した研究センターをつくって、そこで常駐していただいて研究しております。ありがとうございました。
 西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 先般、文部科学省の別の委員会で産業界の方々と学術界の立場の方々との間で、学術研究の推進に関して議論をしたしました。そのときに、今、おっしゃった共同研究に関して、なぜ海外の大学に対して大型の共同研究費を出すのに、国内の大学に対しては出さない傾向にあるのかということが結構話題になりました。その議論の過程において、国内の大学と大きな共同研究をしていく上で、制度的な面も含めての、幾つかの問題点が浮き彫りになりました。私は、現在、産と学の共同研究に関しての距離は以前と比べて大分縮まってきていると思うのですが、もう一段近づくために両者が膝を交えて議論することで、第5期における共同研究に関して、更に大きな前進が図れるのではないかと思います。そのような両者の密な議論をするべきではないかと思っています。
 以上です。

【野依主査】  
 イノベーションの話題は次にも出てまいりますので、それ以外のことで何かございますか。はい、どうぞ。松本委員。

【松本委員】  
 確かに、今までは企業もどうしても足元の研究開発に集中していたということで、大学の基礎研究の活用は少し後れていたかもしれませんが、二、三年前から大分状況が変わって、非連続なところをやらなければいけない。この間、デュポンの幹部の方と話していたら、デュポンは今までの事業の中ではサイエンスを行っていたので産学連携は行っていなかったが、新しい事業に進出しなければいけないので、これからは産学連携を行いたいということで大分状況が変わってきたということでした。
 それで、やり方ですが、ピンポイントで共同研究につながるものは非常に難しいので、我々はどういうやり方をするかというと、京都大学さんと包括的連携協定書を民間第1号で結ばせていただきました。これは何かといいますと、中身は決まっていないのですが、一緒に努力して共同研究テーマを作りましょうという協定書で、実は第1号が宇治でもうできています。つまり、これからいろいろな新しいやり方を議論するということも非常に大事ではないかということです。
 最初京都大学さんはそんな包括的契約は嫌だとおっしゃいました。つまり、企業の事情に振り回されたくないと。でも、そうではなくて、新しいことを行って、新しいテーマを一緒に議論したいと、大学の研究シーズを企業も努力してどう活用するかという議論をやりたいと申し上げましたら、京都大学さんは、それであれば是非行いたいということになりました。各企業も、そういう新しいやり方に取り組んでいるので、そういう中で大学の研究シーズを活用するような仕組みや、仕掛けといった議論を、是非次の章でしていただきたいと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。では、五神委員で質問を終わらせていただきます。

【五神委員】  
 新しい価値を生み出す、このJSTのまとめなどにはいろいろ良いことがたくさん書いてありますけれども、要するに無から有を生み出していって、新しいビジネス、そして雇用を創り出していくということが非常に重要だということです。その中で、この20年間に蓄積したストックを最大限活用してほしいと私はいつも言っています。
 それで、私は東京大学の者ですので国立大学について申し上げますと、2004年に国立大学が法人化され、その時には国立大学時代のストックをより効果的に活用するには法人化の仕組みをどうしたら良いかという議論が進みました。そして今、法人としてのガバナンス改革についての議論が行われているところです。例えば国立大学の附置研究所のようなものは、高度経済成長期に非常に高い科学技術力を支えるものとして機能し、トップレベルの学術研究を日本に定着させるためのけん引力になったわけです。
 ところが、今この大きな時代の変化の中で、国立大学が制度的にきちんと最適化されているかということを見直さなければならないわけですが、そのためにはオールジャパンで見て、研究所をどこに置いて、どういう資金を投入しているかを再設計していかなければなりません。しかし、現在のガバナンス改革論は、それぞれの法人の枠の中での最適化という議論が先行し、企業におけるトップダウンマネジメントのような形で強化するという議論が進んでいると感じます。それでは本来求められる見直しは進まないだろうと思っています。
 これまでに仕込んできた資源を第5期のフェーズでより有効活用できるかというと、潜在力としては非常に使えるものがありますが、国家基幹技術の話も先ほどご質問にありましたが、そういったものについてもマッチングが取れていません。あるいは、共用法の中で支援するものについてはある部分の配慮がなされているけれども、純粋な基礎研究のための大型施設では駄目ということになっています。この点についても是非どこかで議論していただきたいと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、予定した時間ですので、次に移らせていただきます。引き続き、残りの資料について事務局から説明してください。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それでは、先ほどは研究開発、成果活用・社会実装、研究基盤に関する今までの取組と現状、データ等を御説明しましたが、これからは今後の在り方ということで二つの資料を用意させていただいております。資料4-1は、一般的な研究開発、成果活用・社会実装の在り方という、今の社会経済の状況を踏まえてどのように行っていくべきか、というものです。資料4-2は、国主導で取り組むべき研究開発の在り方ということで、二つ用意させていただきました。最初に、資料4-1を説明させていただいて議論いただき、その後、資料4-2をお願いしたいと思っています。したがって、最初、資料4-1を説明させていただきます。
 1ページ開いていただきまして、まず基本的な考え方ということが書かれています。これは、今までの継続ではありますが、我が国を巡るいろいろな問題解決をして、持続的発展、グローバル経済社会におけるプレゼンス向上といったもののために、今後も科学技術イノベーションを強力に進めることが重要ではないかということをまず再認識した上で、下の四角、これは何人かの委員の先生方からも言われていますが、イノベーションの創出を経済的な価値の創出のみならず、社会的・公共的な価値の創出、さらにその源である知的・文化的価値の創造を含め、総合的に施策を進めていくことが必要ではないかということです。
 これは、下に書いてありますが、第4期科学技術基本計画における科学技術イノベーションの定義も、科学的な発見や発明等による新たな知識を基にした知的・文化的価値の創造と、それらの知識を発展させて、経済的、社会的・公共的価値の創造に結び付ける革新とうたわれていますので、これを改めて認識して総合的に進めていくことが必要ではないかということです。
 次のページですが、社会経済と留意すべき状況変化ということで五つ書いております。最初に書いてあることは、グローバル化の進展、ICT技術の進展により、変化のスピードが速くなっているのではないかということ。次に、社会の成熟化等々によりニーズが多様化していること。3番目としては、それらを受けて、今後、新たに生じる多様な課題に対して、スピード感を持って機動的、弾力的に対応し、新しい価値創出につなげていく重要性が高まっているのではないかということ。4番目に、そういうことに加えて、知識、情報の量が増えていること。企業を取り巻く経済状況の変化で、なかなか基礎研究をやりにくい状況になっていて、イノベーション創出に必要な知識や技術を全て単独の組織で備えることが困難になってきていることが最後に書いてありますが、外部の知識や技術を積極的に活用するオープンイノベーションの必要性が高まってきているのではないかということです。
 オープンイノベーションの最近の概念について、下にデータや、委員意見が書いてありますが、時間の関係上、割愛させてもらいます。
 そういうことを踏まえて、今後の進め方が3ページになります。第4期科学技術基本計画では、科学技術イノベーション政策には二つの方法があると整理されておりまして、最初は我が国が取り組むべき課題をあらかじめ設定して、それに向けて一体的、総合的に推進していくというやり方。2番目に、独創的な研究成果を生み出し、それを発展させていくという方法です。
 こういった社会状況の変化を踏まえると、やはりこういうことだけでは不十分ということで、下に書いてあるのは、今後、新たに生じ得る予測不可能な多様な問題に対してスピード感を持って対応していくということです。そのためには、国主導で課題設定を行うことだけではなくて、民間が主体的に行う課題設定、課題解決、イノベーションの活用のための活動を支える力、「イノベーション基盤力」の強化が重要な役割ではないかということです。
 具体的には、下に書いてありますように大きく二つ、イノベーションの源泉を強化するということで、人材の強化や、学術研究・基礎研究の強化、基盤技術・研究基盤の強化、さらには、イノベーションを主体的に、主として担う民間セクターが、大学・研究開発法人が有する卓越した知識、技術を効果的、効率的に活用して、スピード感を持って社会実装できるようにするようなシステムを構築していくということです。
 ここでは、上に書いてある2番目のように成果を生み出して、それを発展させることだけではなくて、やはりあらゆる段階で大学・研究開発法人と民間セクターがいろいろなインタラクションを持っていくことが重要であろうし、そういったシステムが必要ではないかということです。
 具体的な取組として4ページに書いてありますが、イノベーションの源泉の強化ということで、さらに具体的には、人材関係でいうと、人材の「質」を高めるとともに、その能力をイノベーションに結び付けることのできるシステムを構築すること。学術研究・基礎研究については、その役割を十分に発揮できるよう改革と強化を図るということ。様々な研究開発の発展に貢献する共通基盤技術は戦略的に研究開発を行うこと。多様な研究開発を支える研究基盤は最大限の活用をするとともに、効果的な整備を行っていくことです。
 イノベーション・システム構築という視点ですと、本格的な産学連携交流を実現するために、セクターを超えたヒト、モノ(成果・知財)、カネ、このような成果・知財だけではなくて、加えて情報、ニーズ、知識といったものの流動を促進していくことが必要ではないかということ。6番目に、その流動の促進の一つの形態として、ヒト、モノ、カネ、情報が結集して、産学官が常にフィードバックを図りながら取り組める拠点の形成が有効ではないかということ。7番目としては、やはりイノベーションの主体となっている企業の研究開発活動の促進や、スピード感を持って技術移転をしていく担い手であるベンチャーや中小企業の支援の強化とともに、出てきた新しい価値が速やかに社会実装に向かうように、社会・公共システムの変革に資する制度改革が重要ではないかということ、研究人材だけではなく、幅広くイノベーション・システムを支える人材の育成・確保が重要ではないかということの8点にまとめさせていただいております。
 5ページ以降に、その8点に関してもう少し具体的な取組例を挙げてあります。
 1番目は、人材の件です。これは第3回の委員会で議論を行っているところですので、詳細については省かせていただいております。
 2番目は、学術研究・基礎研究の改革と強化ということで、具体的な取組としては科研費の改革や、戦略的な基礎研究、いわゆるJSTで行われているCREST等ですが、その改革。優れた研究者が集う研究拠点の形成。研究情報、成果の一層の可視化というのは、社会に対する説明責任ということだけではなくて、産学連携の一層の強化という観点からも重要ではないかということ。学術研究・基礎研究強化のための資源配分戦略の再構築があるのではないかということ。
 次のページ、6ページですが、マル3、共通基盤技術の戦略的な研究開発。多種多様な科学技術のブレークスルーの根幹を担う基盤技術、例えばナノテクノロジー、光・量子技術、ICT、数理解析といったものを戦略的強化するということで、単にそういった基盤技術を革新していくための基礎的な研究の推進だけではなく、広範なユーザー層、やはり使われての基盤技術なので、広範なユーザー層のニーズを踏まえた研究開発を実施していくことが重要ではないかということ。それから、共通基盤の一つとして研究開発機器が書いてありますけれども、研究現場のニーズを踏まえた国産の先端機器の開発、普及や、そういったものを調達、促進するためのルールを検討していくことがあるのではないかということです。
 4番目は、多様な研究開発を支える研究基盤の活用と効果的な整備ということで、国立大学等の施設・設備の整備をきちんと計画を立てて行っていく。現在、大学や研究法人が持っている研究施設・設備等を個別ばらばらに共用するということではなく、ネットワークを組んで、全体としてプラットフォームを構築して共用を促進していく。イノベーションをけん引するような最先端大型研究施設の整備、具体的には2020年を目標としたポスト「京」が始まっていますが、そういったもの。それから、研究情報基盤の充実ということで、ネットワークの強化や、学術情報の流通促進の取組強化といったものが考えられます。
 7ページに行きまして、今度はシステムの方に入っていきます。マル5は本格的な産学官連携・交流を実現するためのヒト、モノ、カネ、情報の流動促進ということで、人に関しては、前回のときに出てきましたが、新たな給与制度、雇用制度で年俸制やクロスアポイントメント制度の導入促進等を掲げております。特に、情報や成果を可視化して発信していく取組が必要だろうということで、情報循環プラットフォームの構築や、大学に散在する知的財産の戦略的な集約・パッケージ化。それから、面と面の連携を促進するための全国の地域、さらには世界各国の優れた知識、技術の活用を可能とするようなシステムの構築も必要になるのではないか。また、橋渡しの場としての研究開発法人の機能強化も重要だと思います。それから、産学連携の進まない一つのネックになっている知的財産の扱いや、秘密保持規定、経費分担など、やはりまだ大学と産業界での意識、考え方の差があります。そこが交渉を長くさせているということですので、基本的考え方を検討して明確化していくことも一つの手ではないかということです。
 その下は、マル6、ヒト、モノ、カネ、情報が結集する拠点の形成ということで、アンダーワンルーフで一体となった社会実装に向けた研究開発の競争の場の推進や、今後出てきますが、研究開発法人を中核としたハブ。それから、やはり拠点の特性に応じてオープン・クローズ、全部クローズで行うというわけにもいきませんので、技術の特性、拠点の特性に応じたオープン・クローズ戦略や、産学が集まったときの知的財産や秘密保持規定といったものの考え方、検討の整備が必要ではないかということ。
 8ページに行きますけれども、マル7、企業の研究開発活動ですとか、ベンチャー、中小企業の支援等々につきましては、やはり強い大学発ベンチャー創出に資する支援の充実。中小企業支援の充実、効果的な支援の在り方。民間企業のイノベーション活動を促進して社会実装を促進していくための税制、規制、金融、雇用、調達といった検討、実行。この辺りにつきましては、文部科学省だけというわけにもいかないと思いますので、ここは内閣府などを中心に関係省庁との連携の下で実行していく部分もあるのかと思っております。
 その下、マル8は、イノベーション・システムを支える人材ということで、マネジメント人材ですとか、若手、学生の頃からベンチャーマインドを持った人材の育成。それから、リサーチ・アドミニストレーターや、研究基盤を支える技術者の安定的なキャリアパスの確立、育成、雇用、評価が必要ではないか。
 こういったことを取組例として掲げております。取組例につきましては、事務局の方で今、考えられることを書いておりますが、こういう点についていろいろ御意見、お知恵をかりたいと思っております。
 以上でございます。

【野依主査】  
 今、事務局から説明がありました資料4-1について、議論したいと思います。まず、1番としまして、「基本的な考え方」として「イノベーションの源泉を強化する」ことと、「新しいイノベーション・システムを構築する」という視点を提案してもらいました。これらに基づき、2番として、「具体的な取組」として八つの方向性を提案していただきました。論点が多岐にわたりますので、まずは1ページから3ページ目の、1番としました「基本的考え方」に関して御議論いただきたいと思います。
 では、結城委員、どうぞ。

【結城委員】  
 このイノベーションの源泉を強化するということは非常に大切なことだと思います。イノベーションの源泉は、要するに大学ということになると思うのですが、大学における学術研究・基礎研究の土壌を豊かに、分厚くしていくことは、本当に今、大事だと思っております。今、これが非常に弱体化してきているのではないかということを懸念しております。その一番の原因は、何といっても大学の経常的な教育研究を支えている基盤的経費、国立大学の運営費交付金がずっと削減されてきておりますし、私立大学に対する経常費補助金もそんなに伸びていないということで、この部分を何とか逆転させていかなければ、源泉の強化は実現していかないのではないかと思っております。こういうことを強調するのは全省庁の中で文部科学省の役割ですし、大学の運営費交付金や経常費補助金という予算は事務折衝では非常に取りにくい、説明のしにくい予算なのですが、第5期では是非頑張って、これまでの流れを逆転させる必要があるのではないかと私は思っております。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 ほかにございますか。では、上山委員、どうぞ。

【上山委員】  
 第1のところで少し考えたことを申し上げますと、前からずっと思っていることは、こういう政策を出していくときの受け手側、すなわち大学や研究開発法人側についての認識、あるいは分析というものが余りなされていないことが、とても大きな問題だと思っています。大学側がどういうインセンティブで研究者が研究し、どういう形で企業と関わっていくのか、その受けての側の認識がしっかりとと共有されていないことに問題があります。例えば、3ページに、我が国が取り組むべき課題をあらかじめ設定し、その計画通りにやっていきましょうとあります。恐らくmこれだけたくさんの資金が投入されていく大学のようなところにたまっている知識を動かすには、その方法では余り役に立たないだろうと思っています。というのも、先ほども少し五神委員から意見が出ましたが、実は大学の中には非常に多くの技術や知識がたまっていて、それが一体どこにあって、どういうものかということを外部の者がなかなか認識できないということに、実は大きな問題がある気がします。
 例えば、1980年代にスタンフォードがシリコンバレー周辺の3,500社に、あなたたちの企業の持つコア技術のうち、どのくらいがスタンフォード発のものを使っていますかというアンケート調査を、エンジニアのデパートメントを中心に実施したことがありますが、その結果は実に5%しかなかった。つまり、ベンチャーがばーっと出てくるようなシリコンバレーであっても、スタンフォード発の技術と完全に認識しているものは、80年代のときでも実はそれほどなかったということです。これは大学側にとって非常にショッキングでしたから、その後に大学の研究シーズを調査して、スタンフォードが持っている、あるいは他の大学が持っている技術をベンチャー企業に輩出していくことができるのかを考慮するようになり、様々な取組が大学の中でなされるようになってきたわけです。
 具体的に言うと、例えばエンジニアデパートメントが300社から400社ぐらいのベンチャーキャピタルのリストを作って、その中の人たちとどのような形でタイアップしていくかということを模索し始めるわけです。個々の大学が自らの持っている知識のストックを、どういう形で社会に用いてもらうのかということの努力が始まった。その辺りがアメリカの90年代の大きな力の源泉になったと思うのです。
 日本の場合は、これほどたくさんの知識とか技術が備わっている大学の中のシーズを、どのように使っていくのかという分析がなかなかありません。ある意味でオープンイノベーションは外部の目が入るきっかけですから、大学陣にはなかなか分からないような技術の根源を誰かが発見してくれるという側面があるわけです。そういう意味で、オープンイノベーションは支えていくべきだと思います。
 一方で、実はオープンイノベーションという考え方そのものは、アメリカの産業政策の中の一つの転換点として生まれてきたもので、もともとアメリカは技術をオープンにしていく方法であったのが、80年代にプロパテントで技術を囲い込む形になってきて、それは少し行き過ぎではないかと、もう一度、公的な機関としての大学の役割や、あるいは企業が持っているような技術を開放していくことによって、よりイノベーションを加速していくことができるのではないかという考え方が生まれたときに、オープンイノベーションという考え方が生まれてくるわけです。ですから、その意味では、大学をもう少し公的な、非常に社会に役に立つようなストックの場として捉え直して、その公的な側面をもう一度強調することによって、オープンイノベーションで大学の中にたまっている技術を何らかの形で発見して、社会に発信していく、そういうシステム改革が求められているのではないかと思っております。

【野依主査】  
 有益な御助言、ありがとうございました。
 では、土井委員。

【土井委員】  
 すみません。今のお話にも関係するのですが、3ページ目の最後の方にイノベーションを担う民間セクターということで、卓越した知識、技術を効果的、効率的に活用すると書いていただいて、これは大変有り難いと思います。ただ、少し気になるのが、知識というと、多分、評価するときには知財になり、技術というと、それは多分、論文になると思うのですが、今、必要なのはビッグデータ、あるいはIoTなどで集められているデータであります。その大学、あるいは公的な機関、いろいろな形で集められたデータを、いかにきちんと匿名化を図り、オープンにしてビジネスに展開していくかというところが非常に重要になっていきます。それがネックになって、いろいろ頓挫しているものもたくさんあります。
 やはりそこを強調していただくために、知識、技術にもう一つ、データを加えていただきたいと思います。データに関しては、どのように評価するのかというときには、もちろんそれによって直接利益が上がるところもあるとは思いますが、どれくらいきちんとそれがデータとして引用されたか。先ほど細野委員が知財の引用もそうだと言われましたが、同じようにデータがどれくらい引用されたかということをきちんと追跡することも重要であると思います。多分、日本だと、非常にコンサバティブなので利用が一番後れると思うのですが、それが後れるということは民間企業が利益を上げることが後れるということ、経済活性化が後れるということになりますので、是非データというものをメインに挙げていただけると有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、竹山委員、どうぞ。

【竹山委員】  
 大学発の技術を民間等に移転する役割としてTLOが各大学に作られてきましたが、ほとんどが赤字になっていることも一因でしょうが、現在は大学の産学官連携の中に吸収するなどの動きもあるようです。ある意味、これも象徴的かと思います。このような状況の中、大学の技術を積極的に移転するやり方に関しては、大学間で差が生じてきており難しさが出てきているかと思います。
 大学の知や技術をいかにオープンにして、皆さんに使っていただけるかということですが、実際、そのやり方がどうも双方でうまくマッチしていないという状況があるのではないかと思っています。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 最初の方は、土井委員がおっしゃいましたことで、やはり第5期に関しましては、とにかくビッグデータ関係が基盤技術としても、また環境整備にしても非常に大事だと思っております。第4期のときには知識インフラという言葉がキャッチコピーとして出てきたのですが、第5期に関しては、ビッグデータという言葉が重要なキーワードとして書き込まれるべきかと思っています。
 1から3ページのところで、先ほど結城委員がおっしゃったことに関連して、さらに追加させていただきたいことがあります。先ほど配られた資料の中で、資料3-3は安西先生の日本学術振興会の資料ですが、その8ページ、イノベーションにおける大学の役割というところで、経済産業省の産業構造審議会の資料が引用され、基盤的な経費の減少が日本における科学技術の進展の上で非常に大きな弊害になっていることが書かれています。
 そういう観点からも、是非、先ほど結城委員がおっしゃったデュアルサポートということに関して、文部科学省のみならず経済産業省もこの資料で重要性を書いていることを踏まえて、第5期では強く書いていただければと思います。
先ほど五神委員からは、日本における大学附置研究所や大学共同利用機関の在り方に関して、もう少しメタなレベルできっちりと考えるべきではないかということをおっしゃっていただきました。それは非常に大事なことで、現在、文部科学省の中でも、共同利用・共同研究拠点であるとか、大学共同利用機関に関しての議論が相当進んでおります。実際、現場に行きますと大変なことが起こっておりまして、そういう研究所が持っている大型設備を年間通して運転できないという状況になってきています。そういう設備を持っているほど、効率化係数が非常に深刻に効いてきまして、1か月とか月単位で動かせない状況に既になっております。
 さらに、例えば新井委員が所属されている国立情報学研究所などでは、学術情報ネットワークSINET関係の設備を止めることができませんので、自らの研究所の研究経費をはじめ重要な運営経費を削ってでも全国の研究者のためのサービスを展開されておられます。この資料にもいろいろ書いてありますが、足元を見たら本当に大変な状況になってしまっており、第5期に関しては、是非、基盤的経費を強化するということは必須の課題ではないかと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 やはりインフラもフル活用しなければいけないと思います。先ほどおっしゃったように、共用法で保証されているものについては動くわけですが、やはり電気代の問題はすごいですね。

【西尾委員】  
 はい。本当に大変なことになっております。

【野依主査】  
 私どもの研究所も、ある大型の施設は年間で3か月程度しか動かせないという状況になっております。やはり日本が持っている資源を、いかにすればフル活用できるかということを考えていかなければいけないと思っております。
 春日委員、どうぞ。

【春日委員】  
 資料4-1の最初の3ページについてということですので、基本的考え方について一言申し上げたいと思います。
 これまでの議論の中で、イノベーションの定義も含めまして、やはり科学技術、また学術の作り手側からの議論が主だったと思います。ですが、第5期を考えるに当たって、それを受ける側、ユーザー側についてもう少し踏み込むことが必要ではないかと思います。事務局の説明からも、もちろんユーザーの希望、ユーザーからのニーズを考える必要があるということは強調されておりましたけれども、そのユーザーというときに、実際は国民、あるいは国や自治体の政策担当者も含まれると思いますが、そういう人たちの、国民であれば生活や生き方そのもの、政策担当者であれば政策立案、また具体的な政治方針の検討に当たって、どう科学技術が、あるいは産学共同の結果が使ってもらえるのか。そういう形の、そこまでのアウトプットを考えていくべきではないかと思います。
 そうしますと、イノベーションの定義も、ここに社会的・公共的価値、あるいは知的・文化的価値と書かれていますけれども、それは科学技術の成果物であるアウトプットの社会的価値だけではなくて、それを受け取る側の市民、あるいは政策決定者等が受ける、それを含めて社会的な価値がどうなるのか。また、知的・文化的価値につきましても、研究者、科学者が生み出す知的・文化的価値だけではなくて、ユーザーがそれを使った上での国民としての文化的・知的価値、そこまで踏み込んだものとして考えるべきではないかと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 上山委員、どうぞ。

【上山委員】  
 運営費交付金のことです。恐らく運営費交付金の減少で一番苦しんでいるのは地方国立大学だと思います。これを見直すときには、エリートの大学か、地方かということを考えないといけません。もう一つは、この研究費に関しては間接経費の問題を本当にきちんと考えてほしいと思います。つまり、間接経費というのは、電気代も含めて個々の大学が必要な経費なので、例えばハーバードだったら75%、もっと小さいところだと50%と、いろいろな幅があるのです。それは、それぞれの大学が自分のところで、どういう研究を行っていくときにどれぐらい必要なのかということを精査して、政府に提出して、政府がそれは駄目だということを削りながら間接経費を決めていく。それは個々の大学の研究の状態に非常にマッチした研究費の配分の仕方なので、運営費交付金をある程度リプレースする形でできるという気がしています。

【野依主査】  
 では、小野寺委員、どうぞ。

【小野寺委員】  
 2点申し上げたいのですが、1点目は3ページの課題設定のところで、国主導で課題設定を行うのみならず、民間が主体的に行う課題設定という言葉があるのですが、この民間が主体的に行う課題設定というのは一体何を意味しているのか、よく分かりません。要するに、産業界としては、各企業がいろいろな自分の企業の目的に応じて、企業としての課題設定は行っていますが、では、それイコール国としての科学技術基本計画の課題になるのか。私は違うような気がします。したがって、この民主導というところ、民間が主体的に行うという意味合いを少しお考えいただきたいというのが一点目です。
 それから、二点目ですが、今、先生方からいろいろランニングコストの話が出ていますが、企業ですと、産業界であれば当たり前に、設備投資のCAPEXキャペックス、それとオペレーションコストのOPEXオペックスと、この両方を検討して設備を打たなければ、それは当たり前に生きないわけです。先ほど野依主査がおっしゃったように、ある一定期間しか使えないとなると、それは国として見ると、とんでもない無駄遣いをしています。なぜかというと、今までの国の予算の仕組みが大体キャペックス、最初の設備投資にだけ光が当たって、オペックスに当たっていないのです。オペックスも合算で設備投資をしていかなければ、設備投資をして使われないものだらけになってしまうわけです。これは是非、国として、予算制度の非常に大きな問題だと思うのですが、考えていだたく必要がありなければならない大きな問題だと思います。

【野依主査】  
 これは、後で出てまいります「コア技術の在り方」等についてのところで議論させていただきたいと思います。
 知野委員、どうぞ。

【知野委員】  
 ありがとうございます。
 イノベーションの源泉強化で、人材、研究、それから研究基盤を強化すると。それぞれはそれで良いことだと思うのですが、その下にイノベーションを担う民間セクターがスピード感を持って卓越した知識や技術を効率的に活用して社会実装とありますけれども、これは、私たちは研究をするけれども、それから先は民間企業にお任せ、と言っているように、感じます。民間企業も技術とか研究の成果がないわけではなくて、割とよく大企業の方々から聞かされるのは、これは半分悔し紛れもあるのかもしれませんが、アメリカなどのIT関係企業が大成功、イノベーションを起こしているようなものは、実は私たちの方がもっと早い段階から研究して成果も出している、ただ社内で、それを果たして売り出すことはどうかと、決裁がおりなかったために負けてしまったと。そういう話をあちらこちらで聞きますので、別に研究成果がないわけではないと思います。となると、民間セクター、大企業にそういう社内文化があるのだとしたら、例えばこういうベンチャーを育成する、など何らかの方法を少し提言しないと、あくまで私たちは研究します、それからは先はよろしくという話になってしまうと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 このセクションは、細野委員、永井委員の御意見で一度打ち切らせていただきます。どうぞ。

【細野委員】  
 先ほど西尾先生、データの話をされたのですが、情報については、非常に重要ですが、今まで日本発でデータベースを作って実用になったものは何もないではないでしょうか。これは、施策の問題もあるし、日本発の科学機器がないということとほとんど同じ問題だろうと思います。データベースを作っても、5年間だけ予算がついて、それからは何もない。だから、世界的なデータベースについては、日本発はゼロだと思います。もし、これに書き込むのであれば、日本発のデータベース、知識のベースを作るということを明解に書き込んでもらわないと、データにお金をつぎ込んでももう何も出てきません。日本語の問題があると、いつもその問題が出てくるのですが、最後は売り物を作るということをやってもらわないと、作成―投資という循環ができない。

【野依主査】  
 では、永井委員。

【永井委員】  
 大学の在り方にも関係があるのですが、大学によって、あるいは領域によって、運営費交付金に依存するところと、余り依存しないところ、あるいはもう削減されて依存しようがないところもあるわけです。具体的には臨床医学、大学病院はほとんど依存しないで運営できるようになりつつあります。資料の9ページを見ても、日本で今、臨床医学だけ論文が伸びています。ということは、かなりまだポテンシャルがある。医療イノベーションということも言われているわけですから、大学病院の在り方を考えるべきでしょう。
 実は、アメリカはもちろんそうですが、イギリスも、韓国も、それから最近、台湾もそうだというのですが、大学附属病院は独立行政法人になっています。大学本体から切り離されているという話もあります。医療の現場にはビッグデータ、イノベーション、産学官連携の問題、全て集約されていますので、医療イノベーションについては別の機会に議論する方が良いと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきまして、今後5年間の具体的な取組となる、「2.イノベーション基盤力強化に向けた具体的取組」について御議論いただきたいと思っております。どうぞ、どなたからでも。
 では、木村委員、どうぞ。

【木村委員】  
 まず、イノベーションは、研究成果の出口としての議論が多く、そのような社会還元のアプローチは大きな前進で高く評価されますが、社会からすれば、実はそれはまだまだ効率が悪い。例えば、アメリカなどで新たな研究プロジェクトを立ち上げる場合、多くはまず市場のニーズをきちんと見定める。商品などのコンセプトをとことん議論し尽くし練り上げたうえで初めて研究開発の戦略・計画を立てる。最近、はやりのバックキャスティングをしてどのような研究が必要かさらには、そこで必要な要素技術を調達してくるのです。それを繰り返して製品コンセプトをどんどん具体化してゆき、イノベーションを作り上げてゆく。このような議論、作業をする場が必要ですが、やはりセクターを超えたネットワーク作りが伴わないとイノベーションにまでたどり着かないのですね。そのためには、アンダーザワンルーフに多様な人たちが集う基盤を作るということが非常に重要かなと思います。
 ただしこの場合、前提として要素技術がふんだんに揃っていることが必要で、それらがあって初めてオープンイノベーションで必要なものを調達することが可能です。ですから基礎研究をきちんとやって多様なシーズが湧き出る状態を確保することは同時に必要だと思います。ただ、アメリカでは基礎研究者でさえも多くは言われなくても製品コンセプトを考えながら基礎研究を進める姿勢があるように思います。このマインドは日本の基礎研究者も考えてほしいところです。
このオープンイノベーションの環境が整備される中で、ベンチャー企業は非常に大きな役割を担っています。日本ではベンチャー企業が育たない原因はいろいろあって、もう十分議論し尽くされていると思います。まだ黎明期で、試行錯誤の最中であるということもあって、日本の既存勢力から見るとなかなか理解し難く別世界に見えるところもあることは、皆さん御存じの通りです。一方、アメリカにおけるベンチャー企業は産業の中で重要な位置を占め、その必勝パターンも確立されています。シリコンバレーのベンチャーキャピタリストとよく意見交換をしますが、投資の成功確率が90%にも迫るファンドもあります。
 日本でも、最近になってベンチャーキャピタルの数は結構増えてきており。その成績も大きな開きが出てきています。これらを十把一からげにせず、違いを精査すれば日本での必勝パターンというものも同定されるでしょう。その結果日本でもベンチャー企業が量産されイノベーションが日本の産業を牽引する日も近いかもしれません。【野依主査】  ありがとうございます。
 五神委員、どうぞ。

【五神委員】  
 スピード感を持って研究成果の社会実装を促進して、イノベーションを実現することが第5期には求められているということですが、イノベーションというのは創発的なものですから人でないとできません。ということは、結局、人材を最大限に活用しなければいけないということです。私が強調している“ストック”の中で、先ほどのインフラもありますが、人材は一番大きなストックです。これは、民間企業の中にある優秀な技術者、民間企業の産業のターゲットがシフトする中で活用されていない人も含みます。そういう人と、ポスドク、それから次世代を担う若者を引き付ける、その3点が極めて重要で、どうやって効果的にスピード感を持って活用する形を作るかというと、ここは第5期を検討している場ですから、政策的に、例えば日本全体で優秀な研究者をプールするような仕組みを時限でも構いませんので作るべきです。そうする中で、今ある人材ストックを10年ぐらいで大きく動かし有効に活用する、まずはそれを行うべきです。スピードアップのためには、それが一番効果的であると思います。

【野依主査】  
 では、伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 全体に関わる、しかし、今、木村委員、五神委員がおっしゃったように、実際に実現をしていくという仕組みがやはり非常に重要だろうということで言いますと、特にイノベーションを実現していくというときに目的、目標をクリアにしていくことが重要です。そうすると、まだ資料は出てきていませんけれども、評価指針等に関する議論の中にもありますが、やはりプログラムという概念、つまり、プログラムと機関をどういうようにデザインし、どのように運営していくのかということを、全般にわたってきちんとしていくということが一つ有効な進め方ではないだろうかと思います。
 あわせて、そういうことを実際に実現していくためには、やはり実際にイノベーション、あるいは研究システムがどのようになっているのかということが見えるようにしなければいけません。それに関しては、様々な業務等のデータから得られるものを分析するということがありますし、それから、今回の資料には出てきていませんけれども、統計も含めて、やはり実際に政策を形成する、執行する、あるいは実際の研究機関、資金配分機関が業務をするというときに必ず必要で、今回もそういうデータがあるから、今回、こういうようにいろいろと資料を用意いただいているわけですが、そういったことをきちんとしていく必要があります。そのことについては、例えばEUであっても、イノベーション・ユニオン・イニシアティブの中で指標等の重要性も指摘されておりますし、最近はアメリカでもナショナルアカデミーズの方からレポートが出ているということで、各国、そういうように当たり前に共有されているところかと思います。
 あわせて、こういうことをやろうとすると、そういったプログラムをうまくデザインし、運営するところ、あるいは各機関の中で研究者と実際に運営をする機関、それから外部、産業界、資金配分機関というところをうまく仲立ちできるような人材の専門性は、ますます高まっていくだろうと思われますので、そういったところもきちんとしていただけると良いのではないかと思います。
 あわせて、これも五神委員と重なるところなのですが、現在、特に大学というところを見た場合には、高等教育は大学という単位が非常に強くなっていて、そこで縛られるところが多くなっています。先ほどの運営費交付金の議論などもあるかと思います。そうした場合に、やはり研究というのは日本全国の中でストックをいかに活かせるか。要するに、全国的観点というものをもう少し生かすべきだと思います。そういったときに、制度的にどういうことができるかということがありまして、例えば他国であればフルエコノミック・コスティング、これは全部原価計算と言いますけれども、必要な費用をきちんと研究機関側から見積もって、それを要求していくだとか、様々な制度的なやりようがあるわけなので、ほかの国が既にやっていて生かせるようなことを学習していって、第5期に生かしていけると良いのではないかと思います。

【野依主査】  
 では、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 先ほどから、西尾委員、小野寺委員ほか皆様方から、インフラの維持に関しては競争的、あるいは単年度的な取組ではなくて、研究者全員が利用できるようなオープンイノベーションとして、ストックとしての価値を高めるためにも、初期投資だけではなくて、オペックスも考えた戦略的な投資が必要という大変有り難いお言葉がありまして、私もそれは本当にオープンイノベーションの基盤だと思いますので、是非していただきたいと思っています。
 もう一つは、土井委員から御指摘があったビッグデータの件と、そのように作られたデータが余り活用されていないのではないかという細野委員の御意見がありましたので、それに関して意見を申し上げます。
 まずは、研究データをシェアリングする仕組みをきちんと確立しなければならないだろうということです。それが掛け声だけではなくて、実質的なものになるべきであろうというのが細野委員の御意見だと思います。それはどうすれば良いかということですが、これまでは基盤的であるようなデータ、例えばコホート系のものであるとか、地球データ系のようなものでさえ、競争的資金の上に乗ってしまう。それでは、インフラとして信頼してずっと研究ができるのかについては何の保証もないわけです。保証がなければ、各研究者はリスクがとれませんから、各人各様のデータの収集を続けてしまう。それが、かえってオープンイノベーションとして使うということを妨げていると考えます。
 ですから、こういうものをストックの見える化というか、利用可能化、もう一つは検索可能化というか、機械可読化ということも重要になってきます。研究データを識別するためのIDの付与ですね。例えば、論文の中で研究データを引用したり、データの公表と再利用を行うに当たって必要なメタデータ、データの内容、作成者と、ライセンスの状況です。どういう人は、どういう状況でそれを使うことができるのかということを、最初、適切に行われたようなデータの持ち方ですね。それは1か所に集めなくても良いですけれども、それぞれの機関が使う、持っているにしても、それが全体として見えるような状態になるということがオープンイノベーションを加速するようなデータの持ち方だと思います。今、欧米では各国、どういうような持ち方が適切かという検討が行われていますが、盛んに検討が行われていますので、日本もそれに後れてはいけないと思います。
 このデータシェアリングに当たっては、まずはデータを分析できるようなデータサイエンティストの数が欧米に比べて日本は非常に少ないということがあります。そして、それは処遇に問題があります。つまり、データを分析するような人であるとか、それを維持する人、あるいはそれができるようなシステムを構築する人というのは評価がされない、そういうようなことがそういう分野に進むことを妨げています。例えば、創薬の分野において、実験結果の分析を医薬品メーカーに丸投げするような体質というのは余り健全とは言えないわけで、そういうものがきちんと自前で分析できるような健全な研究分野になっていくことが必要ではないかと考えます。
 以上です。

【野依主査】  
 では、白石委員、どうぞ。

【白石委員】  
 2点ないし3点申し上げます。一つは、具体的取組ということで、どうもここにまとめられているようなことを文章にしますと、粛々とやりますと、恐らくそういう書きぶりになると思うのですが、そうすると、多分、5年後にまた同じようなことをやることになりかねない。今回は、実は2020年にオリンピックというものがあって、そういう意味では運動会がちゃんと目の前にあるわけですから、こういうものを是非使って、具体的に何か実現しましょうというアクセントを入れるというのが、先ほど大学病院が今、非常にイノベーションの拠点になるのではないかという話がございましたが、そういうものを少し入れ込むというのは重要ではないだろうかというのが第1点でございます。
 もう一つは、人材の流動化、特にリサーチ・アドミニストレーターみたいなところでのキャリアパスの形成、これはそのとおりですが、ここで少し基本的な考え方にも入りますが、資源がどんどん増えていけば計画はすごく楽で、どんどんやりますと言えばいいんですけれども、それは期待できないわけです。実際問題として、恐らく資源配分は極めて限られた資源をどう配分するかということで、それは別の言い方をしますと、何か新しいことをしたければ何かを捨てなければいけないということです。この計画は、そのときに何を取って、何を捨てるのかという基本的な考え方が入っていないと意味がないわけですね。ですから、例えばリサーチ・アドミニストレーターのキャリアパスを確立する、そのために大学や何かで体制整備するというのであれば、それに向けたインセンティブを与えるということは、多分、ある意味では研究者のポストが減るとか、そういう話になってくるはずなので、そこのところをやはりきちんと分かっていないと、粛々と進めます、で終わってしまうことを懸念しております。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、土井委員、お願いします。

【土井委員】  
 ありがとうございます。
 データに関しては新井委員がおっしゃったこと、そのとおりだと思います。ただ、研究者が集めるデータだけではなく、いろいろこれから交通機関とか、そういうところのデータも流れ込んでくるわけで、そういうものを使って地域を活性化していくということも非常に重要であると思います。今、御指摘のあったオリンピック・パラリンピックのときにも、そういうデータを使ってデマンドバスとか交通機関を制御するようなことも非常に重要になってくるので、そういうところに向けて具体的にどのようにデータのオープン化を図るのか、どういう契約にするのかということを考えていただくのには非常に良いきっかけになるのではないかと思います。
 それに関して、実はアメリカでは、シビックテックというように言われていますが、いわゆる一般の人たちがオープンデータを、オープンソフトを使って公共サービスのデザインに参加していくという動きがあります。コード・フォー・アメリカという言い方もあります。そういうことを考えますと、先ほど春日委員が御指摘された、ユーザー、受け手というのももっと考えなければいけないのではないかという御指摘があります。産官学というセクターがありますが、これから、民といったときには民間企業という意味ではなく、いわゆる本当のシビルパーソンですね、市民が加わっていくというのが非常に重要ではないか。実際に今、地方の大学では学生がいろいろな村興し、町興しに関わっていますが、それをさらにいろいろな情報とかデータを使って進めていく。それがうまくいけば、いろいろな地方に同じような枠組みで展開していけるので、是非そういう意味では、運営費交付金をきちんと出していくということも大事ですが、地方という拠点の中にある大学ということも考えつつ、自治体と一緒になっていけるような枠組みをやるという意味で、産学官民という形で少し整理をしていただければと思います。

【野依主査】  
 では、庄田委員、どうぞ。

【庄田委員】  
 具体的な取組が八つあるわけですが、新しいイノベーション・システムを構築する視点ということで、6番、あるいは5番に関連して述べさせて頂きますと、1回目の本委員会、あるいは、本日、五神委員もおっしゃっていますように、科学技術基本計画は、決して第5期から初めて始まるわけではありません。第4期、あるいは第3期からの継続のの中で、新しいものを構築すると必ず過去のものも残ったままになってしまいます。例えば、第4期の中で、先ほど木村委員が言われたバックキャスティングの考え方の下で、現在、SIPですとか、ImPACTが始まっています。あるいは、文部科学省でのセンター・オブ・イノベーションとか、こういうものがある中にまた何か新しいものが追加されていくという在り方ではいけないのではないかと思います。私は、やはり現在進めているものについてしっかり総括をしながら、もし新しいプログラムを始めるのであれば、そのプログラムは過去のプログラムとの関係がどうであるかをしっかり総括した上で始めないと、ここに新しいものを構築するという言葉で、また何か別のものができてくるという恐れを少し感じました。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、竹山委員、どうぞ。

【竹山委員】  
 ありがとうございます。
 様々なプログラムが提示され続ける中、そのプログラムの趣旨に合わせてどの大学も内容を作成するわけですが、個々の大学の規模に合わせて大体似たような内容になってくるというのが実情かと思います。
 5番、6番も明確に人材、研究費、情報等となっていている中、5では流動化、6では拠点化となってくると、趣旨は違うのですが、相反している部分もあります。どうしても拠点化ということは、集中という意味でもあります。集中の良さもありますが、やはり少し問題もあるかと思います。都心、主要大学と地方の格差に関して、役割を教育と研究大学に分ける等の議論があります。地方は地方の特徴を出すことを求められながらも、次々に新しい取り組みが求められることで厳しい状況に置かれていることはたしかです。
ここで書かれていることは、ここ10年以上言われ続け、実際実現していなかったことを、実践・実行するということかと思いますが、相変わらず同じやり方によって同じことが起こる可能性が高いかと思います。やはり人材から研究費に至るまで、集中による弊害もあるので、趣旨は正しいと思いますが、実践するにあたりどの程度可能か等吟味が必要です。
 先ほどデータベースのことで運営費に関して課題である旨お話が出ましたが、日本のODAと同じで、箱物は造るが、継続的な運営費は出さない。場合によっては、他国が少額の運営費を出すことによってその成果を奪われるということも起きています。今までできなかったことを実現するために、先ほどもご指摘があったかと思いますが、今まで行ってきたことをもう一回精査することが必要かと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 知野委員、どうぞ。

【知野委員】  
 今の竹山委員の御指摘とも関連してくるのですが、科学技術基本計画をつくってお金をたくさん研究に使うようになりましたけれども、第2期以降、集中するところには集中する、ないところにはないという状況がずっと続いてきたと思います。最近になって、総合科学技術・イノベーション会議はより大型の、とても巨額なお金を出すプロジェクトを行うようになってきましたので、他省でもその傾向が一層強まっていると思います。
 人材、若手研究者の育成に関して言うと、やはり若手の間では、もっと規模が小さい金額でも良いから科研費をもっと取りやすいようにしてほしいという要望をかなり耳にします。今、ここで書かれている科研費の具体的な取組は、新たな知を創造する科研費の改革というのは、例えば優れた研究者の能力を発揮、重複制限の見直し、国際共同研究推進、国際ネットワーク形成と、やはりより大型化のものを作ろうとしているように、見えます。やはりより多くの若手が研究できるように、意志のある、力、能力もある若手が研究できるような科研費であるという、そこの性質を大事にしていくことが重要ではないかと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 松本委員、どうぞ。

【松本委員】  
 新しいシステムを構築するという視点のところなのですが、視点だけではなくて、具体的にどういうシステムを作るのか、あるいはどういうシステムがふさわしいのかという具体的な議論を是非進めていただきたいと思っています。木村委員がおっしゃったように、ユーザー視点や国民視点でコンセプトなりアイデアを議論すると、そういう中からやるべきことを決めて、必要な技術はオープンイノベーションで探すという、ユーザー起点は非常に大事だと思います。ただ、日本で今、そういうことが大事だということで、フューチャーセンターであったり、デザインイノベーション拠点であったり、そういったものが結構数多く出てきています。これは、個々ばらばらでやっていますと行き詰まる可能性もあるわけです。
 実は、関西でも、財務省さんのバックアップもあって、関西イノベーション・ハブというものを、先月、立ち上げました。これは医療とか、健康、ヘルスケアのイノベーションをやりましょうということで、企業だけで、サントリー、シオノギ、ダイキン、日東電工、阪急、阪神、大阪ガスで一旦立ち上げました。ただ、企業だけでユーザー起点で議論しても、なかなか新しいアイデア、コンセプトが浮かびません。そこで何が足りないのかと思いますと、やはり革新的な研究シーズとか、先ほど要素技術とおっしゃいましたけれども、もしそういう情報が議論の中に盛り込まれれば、本当に新しいコンセプトが生まれる可能性があります。データの分析など、いろいろおっしゃいましたが、そういうイノベーション拠点に、単にイノベーションのやり方をリニアモデルからユーザー起点に変えるだけではなく、海外はそれだけが多いのですが、やはり日本独自のものとしては大学が持っている研究シーズ、そういう情報をこういう議論の中にビルトインできるような仕組みがあれば、ひょっとしたらうまく起動する可能性もあると思います。
 いろいろなハブが、全国でいろいろなところで出てくる可能性があるのですが、やはりそういうものを包括するような国全体の拠点作り、仕組み作りを議論しなければいけません。海外のそういう仕組みの知見を持っておられる先生方が大変多いので、海外ではこんな仕組みがあって、ここは成功しているけれども、ここはこの課題があるとか、そんなものをこの中で議論しながら、日本独自の拠点を作る必要があります。
 今年から、オープンイノベーションの専門部隊を作る日本企業が相当増えています。いろいろな企業からアクセスしていただいているのですが、このやり方がうまくいかないと行き詰まる可能性もありますし、実際、産学連携と言いましても、大学の研究シーズがどこに埋もれているかを探すのは大変なことです。大学も若手の研究者がどんどん新しい研究に取り組んでおりますから、そういう変化を企業側が使う、キャッチすることは大変難しいので、そういう情報が集まるような拠点であって、その情報だけではなく、それを使ってユーザー起点で新しいコンセプト作りを、場合によっては大学の先生方をディスターブしない範囲で、一緒に議論に入っていただくような具体的な仕組み作りを是非議論していただきたいと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 木村委員、どうぞ。

【木村委員】  
 人材について一言申し上げますが、若手人材で、イノベーションを支える人材、あるいはベンチャーマインドを持った人材を育てることは現在の教育システムではなかなか大変です。欧米ではトップレベルの人材はビジネススクールに集まっており卒業生たちはMBAホルダーと呼ばれ社会的地位が極めて高く、経済成長を支えています。ビジネススクールの学生と日本の大学の学生に卒業後に何をしたいかと聞きますと、日本の学生たちはみんな一流企業に勤めたいと言いますが、アメリカのビジネススクールのほとんどは、自分の会社を作りたいと言い切ります。この違いは、使用人に甘んじるか、自ら経営者の道に突き進むか、人生の大きな分かれ道に立っての決断です。若いうちから経営者を目指して切磋琢磨して、ベンチャー企業を経験し極めて自然な流れでイノベーションを推進する人材が育っていくのだと思います。
 日本にもビジネススクール、幾つかございますが、まだまだ層が薄く多様性にも課題があります。ですから、日本の有力大学がもっと真剣にビジネススクール設立の検討を進め、アジアのイノベーション人材輩出の中心になれるぐらいの強力な教育拠点をつくる覚悟を頂きたいところです。これは社会人教育ともつながる話なので、まだまだ議論が必要だと思いますが、是非検討していただけると良いと思います。

【野依主査】  
 では、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 具体的な提案を二つ。一つ目は、共同利用を進めることや、データシェアリングをするということは、本来的にはどの大学、あるいは研究者にとってもメリットがあるはずなのですが、それが第4期の間に残念ながらうまく進まなかったのは、それに対しての大学及び研究者にインセンティブがなかったからだと思います。つまり、共同利用を進めて、これをみんなで、クラウドで使いますということになると、だったら予算は減らして良いですねと言われるのです。共同利用しようとすれば予算が減らされるということがあって、それはインセンティブにつながらない。そこが民間と違う点だったと思います。ですので、共同利用を進めることで、コストを減らす、ということに対して大学及び研究者にインセンティブが働くような仕組みが予算上に必要だと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 全体の予算の枠組みが決まっている中で何を進めるかということで、こういうのはもうやめても良いということがあれば御提案いただければと思います。先ほどの結城委員はじめ多くの委員の方が、基盤的な研究、あるいは教育費を薄く広くということでした。一方で、そのためにはどういうことをやめれば良いのでしょうか。
 では、新井委員、どうぞ。

【新井委員】  
 事業仕分けのときに、どの共同利用とか、どの施設は研究者がどうしても必要だと思っているかという調査が行われました。そのときに、やはり多くの人の支持、多くの研究者の支持が集められるような施設やインフラはまず残し、そうでないものに関しては、どうしてそうなのかという検討を促すことはが必要ではないかと思いました。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、稲葉委員、どうぞ。

【稲葉委員】  
 どうしたら何を省けるかということですが、たまたま昨日、ボルドー大学の副学長の一行が大学に来られまして、そのときにお話をしていたら、ボルドーには四つの大学と、専門学校が三つほどあるのだそうです。それを、一つを除いてマージさせたとおっしゃいました。たまたま混ぜただけではなくて、完全にマージさせることによって、人材交流であるとか、事務的な効率も非常に上がったとおっしゃっていたので、もしかしたらそれは一つ考えられる点かもしれません。法人化したときに幾つかの大学が一緒になりましたけれども、あのときは完全に独立したまま、名前だけが一つになった形になっているところも多いので、大学の中の組織も結構リダンダンスがあるというのが一つあると思います。
 それから、先ほども出ていた共同利用拠点みたいな話ですけれども、附置研究所に共同利用拠点の経費が付いてきていて、概算要求で認められていましたけれども、それが27年度をもって、つい最近、採択されたものも全て切られるということになったので、どうやって大きな施設を持っているところをみんなで有効利用していくかという視点をもう一度考えていただきたいとは思います。

【野依主査】  
 ありがとうございます。
 国によっていろいろ背景が違いますけれども、何をアウトプット、アウトカムの指標を取るかということは非常に大事だろうと思います。一般的に言うと、イギリスやカナダ、さらに比較的小さい国はうまくいっていますよね。アメリカは総量としては大変なアウトプット、アウトカムはありますけれども、決してコストパフォーマンスは良いとは言えません。フランスも余り良いと思わないですし、私の直感からすると、ドイツが一番うまくいっているかなという気がします。やはりこの点を考えませんと、あれもやれ、これもやれではなかなか成案が得られないので、今回の基本計画で、成案が得られるかどうかは分からないですが、ある種の方向性といいますか、サステイナブルなプランを作る必要があろうかと思います。
 では、白石委員。

【白石委員】  
 今の野依主査の発言を踏まえて、一つNISTEPに対するお願いですけれども、数か月前のこの会のときにサイエンスマップ、大学別のものを出していただきましたが、大学全体としてどういう経営戦略で資源配分していくかということを考えるときに、ああいうサイエンスマップというのはものすごく役に立ちます。ただ、そのためには、正直言ってまだ少し不十分ですので、もっと使い勝手の良いものがあって、資源配分のところでそれがうまく使えるように是非していただきたい。

【野依主査】  
 ありがとうございます。
 では、西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 先ほど新井委員のおっしゃったことも十分に分かるのですが、例えば必要でないということを判断するときに、そのユーザーがどのくらいいるかという見方は、少し危険のように思います。新井先生が、そういう意味でおっしゃっているのではないということでしたら、ご容赦ください。日本の科学技術として国際競争力を高めるためには、利用者の数がそれほど多くない場合、さらには投票等をした場合に多くの票が得られないものであったとしても、将来を考えた場合にはここは残しておくべきだというものが多分にあるのではないかと思います。そういう傾向をエビデンスベースできっちり見ていくことが大事であり、今、御意見ありましたように、サイエンスマップもその一例だと思います。現在、NII、JST、JSPSなどいろいろなところに、学術、科学技術に関するデータが分散して置かれている状態ですが、今後、そのようなさまざまなデータを日本全体として関連付けて有効利用できるような、トータルな仕掛けをきっちり作っていく必要があるのではないかと思います。

【野依主査】  
 それでは、そろそろ時間でございますので、次に参ります。続きまして、国主導で取り組むべき研究開発(コア技術)の在り方について議論をしたいと思います。
 資料について、事務局から、説明してください。

【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  
 それでは、資料4-2に基づきまして御説明をいたします。
 資料4-1の話は、先ほど小野寺委員の方からもコメントがありましたが、民間企業が行うイノベーション活動、課題設定、研究開発、課題解決というところに大学や研究機関の知識、成果をどうやって役に立てていくか、そういう観点からの資料であったわけですけれども、資料4-2の方は逆に、そういう中でも国としてきちんと行わなければいけないものがあるのではないか、国が課題設定して行わなければいけないものがあるのではないかということです。
 1ページを開いていただきまして、基本的な考え方ですけれども、これは先ほどの繰り返しです。民間が主体的に行う課題設定、課題解決のための活動。つまり、この課題設定は国が行うものではなくて民間が行うものであって、それにどう公的セクターといったものの知恵、成果を生かしていくか。その強化というのは国の重要な役割というのが今までの議論です。
 他方、社会還元の結果として経済的な対価を得られないものや、技術開発のリスクが大きくなるものは民間主導で行うことは困難である。このため、国の責務としては、「イノベーション基盤力」の強化のほかに、国主導で明確に課題設定を行った上で進めていくことも重要ではないかということを言っております。
 その下にありますように、第4期基本計画では最重要課題として三つ挙げられて一体的に推進されている。また、重要課題五つとして挙げられている中で、国家存立の基盤の保持の達成に向けた研究開発ということが挙げられているのですが、先ほども少し検証のところで申し上げたように検討実現には至っていなくて、改めてそこを具体化していく必要はないだろうかというのが我々の問題意識です。
 2ページに参考で、第3期の国家基幹技術や、第4期の国家安全保障・基幹技術などが書いてあります。これは、先ほどの検証のところでも御説明をしたところですので詳細は省かせていただきますが、第3期では五つの技術を精選したところです。
 次のページに行かせていただきます。3ページ目です。関連する社会経済の状況・変化ということで、我が国を取り巻く地政学的情勢の変化をはじめとする安全保障環境の変化。この安全保障は、ある意味で国の安全や存立基盤を確保するという幅広い意味での安全保障ですが、そういう環境の変化があるのではないかということと、グローバルな環境での競争激化というところで、やはりいろいろな形で日本の持っている重要技術、知的財産が海外に流出する懸念等もあるのではないかということで、下の四角に書いてあるところで、国の持続可能な成長の基盤であって、かつ安全保障の基盤となる基幹技術を「コア技術」として、国主導による重点的な研究開発を行っていくべきではないでしょうかということでございます。
 4ページが「コア技術(群)」の在り方で、要件としては、今まで申し上げたことの繰り返しになりますが、国の自主性・自律性を確保することに不可欠な技術。長期性・不確実性・予見不可能性、つまり民間では行わないようなものが基本的な要件であるとともに、競争優位性、独自性や発展性等も踏まえて、国主導の長期戦略の中で精選していくべきだろうということです。これは、今、具体的にこうだというものは、まだ我々の中で決めているわけではなく、下の点線の四角書きの中に、例えば自然災害観測・予測技術、海域監視・観測技術、海洋資源、宇宙探査技術、ハイパフォーマンス・コンピューティングが想定されるけれども、今後の要件整理を踏まえて、さらなる検討が必要だということが書いてございます。
 5ページ目でございますが、今後の進め方の話ですけれども、進め方を考えるに当たっての状況変化としましては、国立研究開発法人制度の機能強化という観点、また、産学連携、オープンイノベーションという中で、国が行うといっても国だけで行うわけではなく、大学、研究開発法人、民間企業がどういうように人材を糾合して、責任ある産学連携の下、技術の統合化、システム化を目指していくかが課題になるだろうということで、推進方策として一応三つの考え方があるのではないか。戦略性を発揮していくということ、法人の役割を明確化していくということ、「コア技術」の特性を踏まえながら推進体制を構築していくということで、その推進体制の構築の中では、研究開発法人を中核としたものもあるでしょうし、「コア技術(群)」の開発や技術の状況によって産学官の役割分担を明確にしないといけないし、オープン・クローズ戦略というものも構築していかないといけないということがあります。また、必要に応じて、適切な国際協力体制の構築、こういったことを考えながら進めていくことが必要ではないかと書かせていただいています。
 以上でございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 国主導で取り組むべきことに関しまして、「基本的な考え方」、「コア技術の在り方」について整理していただきました。それでは、これについて御議論いただきたいと思います。
 永井委員、どうぞ。

【永井委員】  
 先ほどビッグデータの話がありましたが、コンピューティング技術が、単にポスト「京」、スパコンの開発だけに終わらないように、ビッグデータのためのデータアクイジションも是非視野に入れておいていただきたいと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 白石委員、どうぞ。

【白石委員】  
 2点申し上げます。一つは、安全保障という言葉が入っています。これは第4期からでございますが、私の理解は、この安全保障という言葉は、第4期の言葉で言いますと共通基盤的な技術と、それから大規模プロジェクト、この両方にまたがるようなところで、やはり国としてはデュアルユースの技術についてきちんと考えなければいけないというのが一つ、私としては非常に大きいポイントだったと思います。その上で、現在は安全保障戦略というのは既にできておりまして、そこの中でデュアルユースの話が入っていたとは記憶しておりませんが、意識としては、そういうものも実は国際的な安全保障協力の中で一つ非常に重要になるという理解はあると、私は受け止めております。ですから、その意味で、このデュアルユースのところをどう推進していくのかということをやはり是非考えていただきたい。これが一つです。
 もう一つは、具体的に、先ほど知野委員の方からもお話ありましたように、実際、国家安全保障・基幹技術プロジェクトというものはできていないわけですが、つらつら考えるに、結局、これは文部科学省というよりはむしろ内閣府の方の所掌だと思いますけれども、第4期では「科学技術イノベーション戦略協議会」というものができて、私は今、これがどういう活動をしているのかというのは余り存じておりませんが、この国家安全保障・基幹技術プロジェクトというものを作っていく上で、戦略協議会のような仕組みが果たしてうまくいったのか、いかなかったのか。私は、うまくいかなかったのではないかと思います。そうすると、少し違う仕組みを考えなければいけないのではないだろうかと思います。余りオープンなところでする話でもないと思いますので、むしろ府省の担当者や、あるいは国の研究機関の中のかなり担当に近い要職にある人たちなど、あるいは企業の中のそういう人たち、そういうところのネットワークのハブになるようなものを作るというような、プラグマティックなアプローチを考えた方が良いのかなと、私自身は考えています。

【野依主査】  
 知野委員、何か御意見ございますか。

【知野委員】  
 ありがとうございます。
 少し思ったのは、今回、挙げられている自然災害観測・予測技術とか、どれも今現在、いろいろな規模で、いろいろな省で行われていますよね。これを束ねて「コア技術」というようにしようとしているのか、まずそういう疑問があります。そして、ここは文部科学省ですけれども、それは文部科学省だけの問題ではなく、国土交通省とか、内閣府とか、いろいろなところが関わっていて、かつ、これは単に技術ということではなくて、どれだけ役立てるかというところが今、一番重要なポイントになっていて、観測したら、その情報の出し方をどうするかといった、そういうレベルの話にまで広がっているものを「コア技術」と言われても、納得ができないところです。宇宙探査技術にしても、ロボットも、有人探査も国際宇宙ステーションなどでやっているわけで、これが果たして「コア技術」なのでしょうか。例えば、国際宇宙ステーションなどに関しては、ロシアとアメリカの問題でロシアがアメリカの言うほど運用期間を延長したくないと言っていまして、非常に不安定な状況であるように感じられるのですが、それが国の「コア技術」だと言われると何か少し違う気がします。
 それから、先ほどから御指摘があるように、もし増やすのであるなら何かを減らすというのが野依主査の御指摘であるならば、今まで国家基幹技術と言われていたものに関してはどう考えるのかという見直しも必要だと思います。
 以上です。

【野依主査】  
 これは、文部科学省だけでは議論できないと思いますが、内閣府ですか。
【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  我々の方でまずはコンセプトなりをしっかり固めた上で、関係省庁とも連携を取りながら進めていくという話になるかと思っております。

【野依主査】  
 では、ここで考えて、これを上へ上げていって基本計画を作る段階で検討されるということでしょうか。
【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】  具体的には、そういうこともあるのかなと思っています。ある意味では、具体的な技術に行く前に、どういうものをきちんとやらなければいけないのかというコンセプトのところを固めていく必要があるかと思っています。

【野依主査】  
 そういう議論は、きちんとここでやっていただければと思っております。
 五神委員。

【五神委員】  
 国家基幹技術というカテゴリーに入るものは数百億円以上単位の投資がかかる大規模なプロジェクトで、長期的な安定性と戦略性を持って計画されなければいけません。それは政策的な意味もありますし、科学技術としてもきちんとした専門知見を持って議論されるべきものであるということです。例えばドイツですと、ヘルムホルツ・アソシエーションで、自由電子レーザーのような規模のものの立案や実行を、きちんと責任と権限を持ってやっています。ですから、そういう仕組みを日本としてもきちんと検討する必要があります。その仕組みを作っていく中で、先ほどのデュアルユース研究のようなものはそこに乗るのか、乗らないのか、予算の規模が大きいから基幹技術だという議論で良いかどうかも含めて議論を行う必要がある。安定的で効果的な戦略を立てないと、無駄な投資をした場合にはダメージが大きいですから、やはり専門知見と政策的な知見を両方存分に生かせる仕組みを、そろそろ作っていかなければならないのではないかと思います。 

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、春日委員、どうぞ。

【春日委員】  
 先ほど、地球観測、それから災害予測等が国としての「コア技術」と位置付けられるかどうかという御発言がありましたけれども、確かにこれは文部科学省だけで議論する対象ではなくて、環境省も国土交通省も、そして内閣府も連携して扱う問題です。ただ、そこに関わる研究者は文部科学省の所管、機関にいる方がほとんどですので、研究をどう進めていくかということはこの場で議論すべき課題かと思います。
 そのために、基本的考え方に戻りますが、社会還元の結果としての経済的価値が得られないですとか、国がどうしてもやらなければいけないという対象は、決して大規模な研究だけではないと思います。小規模であっても、国として責任を持たなければいけない、また持続的に持っていなければいけない、そういう研究開発分野がございます。その中には、例えば国対国の政策、調整に関わるような基盤的な研究というものもございますし、また先ほどの地球観測、災害対応のような日本の持続可能性だけではなくて、地球、あるいは人類、あるいはもっと広く生命自体の持続可能性ですとか、生存に関わるような研究も先の展望としてはあるわけです。それが背景にあるということを見据えて、第5期はどう考えるか、あるいは国主導の「コア技術」はどう考えるか。そういうような落とし込み方も一方では必要かと思います。
 もう一つ、デュアルユースに関してです。デュアルユースという言葉は、片仮名で使うといろいろな定義がありまして、そこの定義をすり合わせておかないと議論がかみ合わないという危険を感じております。例えば、日本学術会議では、前期、デュアルユースに関する報告書を出しまして、それを踏まえて科学技術の倫理に関わる方針を改正いたしました。そこで用いるデュアルユースというのは、決して民生対軍事利用という切り分けではなくて、人類の福祉のための研究と、人類の脅威になり得るように悪用される面、そういう意味でのデュアルユースということで用いました。ですので、全ての研究、決して病原体研究とか、原子力研究だけに特化せずに、心理学や、その他の人文・社会科学も含めた全ての学術に関して、デュアルユースということが起こり得ることを研究者自身が認識すべきと、そういう根本に立ったレポートです。ただ、先ほどからの議論は、そういう意味でデュアルユースが使われているわけではないような気がしますので、国家安全保障ということを考えた場合には、そこに立ち返って慎重に議論することが必要かと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 では、伊地知委員、どうぞ。

【伊地知委員】  
 ありがとうございます。
 この資料にありますように、基本的な考え方を科学技術のところで定めるというのは非常に重要だろうと思います。なぜかと申しますと、ここに例示されているようなところというのは、それぞれの政策領域に関しての基本計画に相当するものがあって、「健康・医療戦略」であり、「エネルギー基本計画」であり、「海洋基本計画」である。それは、それぞれにまちまちのタイミングで、まちまちのところで決定する。しかし、研究開発のプロジェクトであり、実際の人材というのは科学技術に非常に関わっているということなので、すぐ第5期の中で具体的にこういうことができるというわけにいかないと思うのですが、少なくともその期間中にいろいろと改定等がされるところでうまく調整して図られるような基本的な考え方、その中でもコミュニティーとしてどのように対応していくのかということが決められるべきだろうと考えます。

【野依主査】  
 ありがとうございます。

【稲葉委員】  
 少し視点が違うかもしれませんが、今、「コア技術」というように書かれていて、科学技術基本計画の中なので技術という言葉は必要なのかもしれませんけれども、何となく技術というと実装できるような、すぐに実現可能なものという印象があって、コアなプロジェクトという方が何となく印象としてみんなが受け入れやすいのではないかと思いました。

【野依主査】  
 しっかりした日本語を考えていただきたいと思います。
 では、最後にさせていただきます。西尾委員、どうぞ。

【西尾委員】  
 この「コア技術(群)」は、第5期の基本計画が公表されたときに、まずこの記述に目が行ってしまうくらい注目を集め、ここに書かれないものは必要ではないものと解釈してしまうことが懸念されます。そういう意味で、「コア技術(群)」の在り方に関しては、今後、もう少し慎重な議論が必要だと思います。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 いろいろ御意見あろうかと思いますが、予定した時間になりました。御意見がございましたら、書面で事務局にお寄せいただきたいと思っております。本日、皆様から頂きました御意見を事務局でまとめまして、中間まとめ案を作成してまいりたいと思います。
 それでは、最後になりましたが、川上局長から一言お願いしたいと思います。

【川上科学技術・学術政策局長】  
 御議論どうもありがとうございました。
 本日のテーマというのは、オープンイノベーションをサステイナブルに続けていくに当たっては、いわゆる社会的な需要からバックキャスティングするか、又は研究成果からプッシュしていくという、従来のリニアモデル的な動きだけではとてもサステイナブルにオープンイノベーションを続けることはできないという観点で、基礎研究を源泉とするという、イノベーションの源泉として捉えるというようなことを中心に置きながら御議論いただいたわけです。
 当然のことながら、サステイナブルに続けていくためには、最大の基盤である人材、それからオープンイノベーションで企業が大学の成果を知るための情報、それから基礎研究などを含めて研究を進めるための資金、こういう三つの大きな要素が先生方のお話から出てきております。そういったことについては、ここの会で、本日も御議論いただいたわけですけれども、また別の回でということで、人材については前回、集中して御議論いただきましたし、情報の問題についてはまた別の回、それから資金の問題についても基盤的経費と間接経費、この関係性も含めまして御議論いただくという形で、引き続き議論を深めていくという形にさせていただいているところでございます。
 それから、野依主査から出された、新しいものをやるからにはやめるものが必要という命題は常に一番重大な問題で、一番難しい問題であります。野依主査から専門家の先生方に投げ掛けられたわけですが、行政にも投げ掛けられている問題です。そういうことこそ本来は行政が行わなければいけないわけですが、どういった方法で行うべきか、継続的な宿題として考えていきたいと思います。
 それから、「コア技術」については、第3期に取り上げた国家基幹技術とは違うものということでまとめていきたいと思います。そして、新しい概念として、行うからには慎重に、どういうものが「コア技術」であるかということの検討は続けていかなければいけないと思いますので、本日お出ししている資料はあくまで例えばであって、これに引きずられないように、「コア技術」は何であるかということを引き続き事務局の方でも議論し、最終的に御報告をしたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、最後に議題(3)「その他」です。今後の委員会の日程等について、事務局から説明してください。

【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】  
 資料5を御覧いただければと思います。今後の総合政策特別委員会の議題について、という一枚物の資料でございます。
 次回は第5回、10月30日木曜日、10時から12時半、文部科学省3階1特別会議室にて開催いたします。出欠の御確認などにつきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。
 本日の議事録ですが、後ほど事務局より委員の皆様にメールでお送りさせていただきます。御確認いただきました上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の資料につきましては、お帰りの際にお名前を記入の上、机上にお残しいただければ、事務局より後ほど郵送させていただきます。
 以上でございます。

【野依主査】  
 ありがとうございました。
 それでは、以上で科学技術・学術審議会総合政策特別委員会(第4回)を終了させていただきます。御多用のところお集まりいただいて、どうもありがとうございました。


 

お問合せ先

(科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当))

((科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当)))

-- 登録:平成26年12月 --