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総合政策特別委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成26年9月10日(水曜日)10時00分~12時30分

2.場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」

東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階

3.議題

  1. 今後の人材政策の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

野依主査、濵口主査代理、新井委員、伊地知委員、稲葉委員、上山委員、春日委員、木村委員、五神委員、知野委員、土井委員、永井委員、西尾委員、細野委員、松本委員、結城委員

文部科学省

土屋文部科学審議官、戸谷官房長、徳久総括審議官、岩瀬政策評価審議官、山脇審議官(研究振興局担当)、田中審議官(研究開発局担当)、磯谷審議官(研究開発局担当)、吉田高等教育局長、常盤研究振興局長、田中研究開発局長、榊原科学技術・学術政策研究所長、川上科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、江﨑科学技術・学術政策局企画評価課長、林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)、坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官、ほか関係官

5.議事録

【野依主査】
 ただいまから、科学技術・学術審議会第3回総合政策特別委員会を開催します。
 委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 会議開催に当たりまして、事務局から資料の確認をお願いします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 資料につきましては、お手元の「議事次第」の裏にございますとおり、資料1から3まで、それから参考資料として1から4までを配付しております。欠落等、不備がございましたら、お手数ですが事務局の方までお知らせください。以上です。
【野依主査】
 それでは議事に入ります。議題1「有識者ヒアリングの結果について」を事務局から報告してください。それでは説明をよろしくお願いします。
【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】 
 それでは、資料1について簡単に御紹介いたします。これは先生方の御協力も頂きまして、7月から8月にかけてヒアリングをしたものでございます。ヒアリングの対象者といたしましては、野依主査を除く総合政策特別委員会の委員の全員の方と、また、この親部会に当たります科学技術・学術審議会の総会の先生方、また若干、独法の方が少ないといった形も見られましたので、独法の理事長を4人ということで、計47人のヒアリングの資料集ということになっております。これらは、それぞれの方の確認を得てこういう状況になっておりまして、今日も含めて、今後の議論の論点整理や、議論のそれぞれ個別の論点などに活用したいと思っております。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。それでは、質疑応答に移りたいと思います。ただいまの御説明につきまして御質問はございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、ないようですので、次の議題に移ります。議題2「今後の人材政策の在り方について」です。資料について事務局から説明してください。
【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】
 それではまず、これまでの人材政策の現状について、資料2-1から2-4に基づいて、主に資料2-4を使いながら説明いたします。資料2-1につきましては、第1期基本計画から第4期基本計画までの人材政策に関するところを抜粋したもので、それぞれ「大学・大学院教育の充実」から、最後の「次代を担う人材の育成」の11個に分けて整理したものでございます。資料2-2が、関連する人材政策のデータになりまして、後の説明で少し言及しながら御説明したいと思います。資料2-3が第4期基本計画以降に主な科学技術・学術審議会等でまとめられた報告書、これは科学技術イノベーション総合戦略も入っておりますけれども、人材に関する主な指摘事項をピックアップしたものが資料2-3ということになります。資料2-1では第4期の基本計画までの指摘事項であり、その後をまとめたものが資料2-3ということになります。これらにヒアリングの結果等も踏まえまして、これまでの取組の検証結果を資料2-4にまとめております。これをベースに、これまでの取組の状況について少し説明したいと思います。
 資料2-4を1枚めくっていただきますと、今後の人材政策の在り方を検討するに当たって、以下のとおり評価できるのではないかということで、これも先ほどの第1期基本計画から第4期基本計画と同じ1から11の分類に沿って、主な取組のところには、基本計画の記載事項の主なところを書いておりまして、丸で書いてある数字は、それぞれの第何期という基本計画の期を表しております。それに対して検証結果、その検証結果の一番右にあるページ数はデータ集のページ数を表しておりますので、全部参照するには少し時間が足りませんから、データ集の主要なところだけ参照しながら説明したいと思います。
 まず、大学・大学院教育の充実に関しましては、基本計画の今までの流れの中で、第1期基本計画では規模の拡充がうたわれておりましたけれども、第3期になるにつれて、質の抜本的強化という方向に移ってきて、それをきちんと行うために、振興施策要綱の施策展開をしていくということが書かれております。それに伴いまして、そういう施策展開をする組織を支援するということで、第3期から、そういった組織の重点支援や、また第4期ではリーディング大学院の形成といったものがうたわれております。また大学院生、学生に対する支援につきましては、第1期、第2期ともうたわれておりますけれども、第3期、第4期に関しましては、学生の2割の生活費相当額が年間180万といった数値目標も掲げて行っているといった流れになっております。
 これに関する検証結果ですけれども、大学院教育というものは、これまでリーディング大学院、その前にGP、GCOEというものを行って、改革は進みつつあります。リーディング大学院は今、30大学、62県で行っておりますけれど、少しずつ進んでいるという状況です。さらに、学生に対する経済的な支援については、生活費相当額受給者が今のところ約1割ということで、2割という目標はまだ達成はされていないということになっております。また、博士課程への入学者の減少でございますが、これはデータ集の10ページ、11ページを御覧いただくと、入学者が減少しております。平成12年に15.4%の進学率があったものが10%を切るに至っており、また先生方の認識としても、望ましい能力を持つ人材が進んでいないといったようなことがあります。次に、大学院における社会人学生でありますけれども、これは15ページのデータにありますように、ずっと増加傾向をたどっております。ただ、その中身を見てみますと、かなりの部分が保健分野の学生であるということ、またアメリカなどと比べると、やはりまだまだその割合は低いということでございます。さらに、学生に対する研究倫理教育は、大学において21.6%というデータがございますけれども、これまでの実施状況が非常に不十分であるといった状況でございます。
 (2)番目が、若手研究者の育成・確保で、これまでの主な取組といたしましては、第1期でポスドク制度の整備・確立とともに、1万人計画というものを行いました。これは達成されたわけですけれども、第2期に至っては、今度は当時の大学の職階である助教授の人をもっと自立させないといけないということで、制度改正を求めました。さらに、若手の自立という観点から、研究費の拡充や、さらに自立に向けた環境整備ということで、第3期からはテニュアトラックの導入を始めまして、第4期では、そのテニュアトラックに若手新規採用の3割という目標を付けるという状況になってございます。
 その検証結果でございますが、ポスドクは第1期の基本計画で整備・確立することをうたいまして、職種として定着して、すぐれたポスドクが科学研究に大きな貢献をもたらすといった存在にもなっています。ただ、最近、データの21ページ、22ページを見ていただきますと、いわゆるポスドク問題というのも起こっておりますけれども、減少傾向にあるということと、年齢が上がってきているといった状況がございます。また、大学の任期付き教員も大幅な増加傾向にありまして、若手がキャリアを見通せないという、いわゆるポスドク問題も発生しておりますし、先ほど、ポスドクが減ったということも申し上げましたけれども、今度は特任助教といった別な形で変化しているのではないかという、これはヒアリングの中の指摘でございますけれども、そういった指摘もございます。テニュアトラック制の導入は着実に増加しておりますけれども、新規採用に占める割合の数値目標は未達成です。新規採用全体で見ると約6%、任期なしの若手教員の新規採用に占める割合は20%ということで、未達成ですし、特に大規模大学では定着が不十分であるといった状況になってございます。ポスドクを含めた若手研究者は、キャリアパスの段階に応じた自立が不十分な状況であるということで、その要因として、47ページ等にデータとして載っていますけれども、競争的資金で雇われているといった雇用形態であるとか、指導がまだ不十分でないとか、そういったアンケート結果がございます。また、若手研究者自身の倫理教育に対する意識というのはまだ不十分であり、これは21、23を少し比べると、少し上がっているのですけれども、それでもまだ倫理教育が必要であると思っている人が半数ということで、少し不十分ではないかというところでございます。
 次に、博士課程修了者のキャリアパスの多様化に関してですが、これは、第2期の基本計画の頃から、多様なキャリアパスを開拓しなければいけないということがうたわれ始めまして、3期、4期ではインターンシップという形で具体策が述べられるとともに、第4期では産学官の対話の場を持つということでうたわれているところでございます。これに関しましては、データの26ページにございますように、いろいろな取組の中で、博士課程修了者の就職率は少しずつ増加傾向であるということと、32ページにも少しありますけれども、採用する民間企業もわずかながら増えているということではございますけれども、やはり33ページのデータにありますように、諸外国などと比べると、まだまだ民間の企業における博士号取得者割合は低いということで、なかなか博士課程修了者が民間に行くということが、まだ十分には進んでいないのではないかということが言えます。また、ポスドクの分野別と、企業研究者の分野別の割合などを見ますと、非常に理学、農学などで分野のギャップが多いので、ポスドクが、需給ギャップがあって企業になかなか進めず、不安定な立場で任期付き雇用を繰り返しているのではないかというようなことも示唆されているのではないかと思っております。
 4番が、「任期付導入等の人事制度改革、流動化促進」です。これは、これまでの取組で、第1期のときに任期付き任用を入れるということを決定しまして、そのための制度改革なども行ったわけです。第2期では、では若手研究者は任期付き任用を奨励するということとともに、公正で透明性の高い人事システムを徹底する、具体的には若手一回異動の原則や、自校出身者比率の抑制、外部資金による高齢研究者の能力活用、国際公募や年俸制への期待などが、3期、4期で具体的に挙げられているところです。
 任期付きの状況ですけれども、データ集の41ページ、右側の図に書いてありますけれども、若手を中心に任期付きは定着が図られておりまして、このため、若手研究者の流動性も高くなっているということですけれども、一方、シニアの研究者というのは、まだまだ任期付きが低く、流動性の世代間格差というような状況も出ているのではないかということが示唆されるところです。また、大学教員の自校出身者比率は、わずかではございますが、2001年34%から2010年32.6%と、少しずつ減りつつあります。ただ、国立大学においては比較的高いというような状況が見てとれるところです。さらに、大学、独法の基盤的経費の減少や研究者に対する人件費一律削減といったものも相まって、40ページの図などにも見られますように、若手のポストというのが減りつつあるというような状況になっております。そういった状況の中で、多くの若手が不安定な雇用環境に置かれて、すぐれた学生がキャリアパスを描けず、先ほども申し上げましたけれども、博士課程への進学を敬遠するといった負の循環に陥っているのではないかということがあります。
 それから、大学での人事評価です。これについては仕組みは大体、定着しているのですけれども、データの54ページなどにもありますように、例えば評価結果が悪く業績が低迷していても、なかなかそのための方策がなければ転出させることができないというようなことで、結局、評価結果が適切に処遇に結び付いていないという傾向があるのではないかということです。また、大学、民間、独立行政法人といったもののセクター間の流動性は、なかなか高まっておりませんし、特に大学、企業間の人材流動等については低い状況にあるというところです。また、最近、年俸制やクロスアポイントメント制度が徐々に導入され始めているという傾向があります。
 5番目が、研究者等の海外派遣の充実ですが、第1期の頃から、研究者の海外派遣の充実は常にうたわれてきたところでして、第4期になりまして、研究者だけではなくて、その前の学生の段階から、留学を充実するといったこともうたわれ始めているところです。これに関しましては、データ集の56ページで少し見てとれますけれども、若者の内向き志向、特に長期の海外派遣は、ここ平成12年以降、ずっと減少傾向でしたが、このところ復活の兆しが見られてはおりますけれども、58ページのデータ、大学の先生方の認識等に見えるように、まだまだ海外への派遣は十分ではないということがございますし、また海外の勤務経験を持つ研究者も1割程度ということです。60ページには、アンケートの結果として、なぜ若手研究者が海外派遣をためらうのかということの大きな理由として、帰国後のポストの不安が挙げられているところでございます。
 次のページでは、6番、女性研究者の活躍促進です。これは、女性研究者の採用機会の確保、勤務環境の充実の促進という、これもまた第1期、第2期の頃からずっと言われておりますけれども、第3期の頃から、それを行う機関への支援、具体的な機関の支援を打ち出すとともに、出産・育児の両立に配慮した措置というものもサポートし始めました。第3期の頃から、採用目標設定ということで、第3期では自然科学系全体で25%、第4期では全体30%と、個別分野で少し、何パーセントというものが打ち出されているところです。
 検証結果ですけれども、データの76ページに女性研究者の割合等がございます。女性研究者割合は年々増加していますけれども、やはりまだ諸外国と比べると全体で14.4%ということで、不十分ということです。採用目標は、第4期はまだ途中で、データもないのですけれども、少なくとも第3期については25%まで達していないといった状況になっています。また、研究サポート体制の整備等の取組は比較的進みつつあって、サポート体制の整備は、取組は進んでおりますけれども、指導的立場の女性研究者割合はまだ低い。これは79ページの図にありますけれども、位が上がるほど女性研究者の割合は低くなります。また、自然科学分野の女性研究者を増やすためには、女子学生から増やさなければいけないということで、女子学生の方も見ておりますけれども、81ページにございますように、ここの学生も増加傾向になっておりまして、大体、今、自然科学分野の2割から3割ぐらいが女子学生ということですが、例えばアメリカなどでは4割以上の学生が女子学生ということで、やはりまだ外国と比べると少ないのではないかということです。また、自然科学系の女子学生は、進路が親など身近な人の影響を受けやすいということですので、結局、国民全体に科学技術の興味関心を高めることが非常に必要なのではないかということ、また85ページなどにもありますけれども、ある程度の固定観念がございます。男の子は理系、女の子は文系といった固定観念がまだ少し残っているのではないかといったアンケート結果もございます。
 7番目は外国人研究者の活躍促進ということで、外国人研究者の招聘・登用促進は、第1期の頃から常にうたわれておりますけれども、3期の頃から、より具体的に生活環境に配慮した受け入れ体制の構築支援、第4期では、さらに学生の方まで広げていくという話と、研究者比率を10%とする目標を定めています。これらにつきましては、データとしては、例えば87ページや92ページにございます。留学生の研究者割合は徐々に増えてきているということですけれども、これはやはりまだ諸外国に比べてその割合は不十分ですし、96ページ等のデータを見てみますと、日本が国際的な研究ネットワークから、中核から外れているのではないかということが示唆されてございます。
 一方で、WPIの事業や大学改革などが進んできて、そういうところでは、徐々に外国人の受け入れ環境が整ってきています。特にWPIなどでは、外国人研究者割合30%以上をうたっていまして、実際に平均40%ということで、非常に高い外国人研究者率を達成しております。また、外国人のアンケート結果、これは文部科学省の方で行ったものですけれども、例えば95ページなどにある結果を見ますと、さらなる課題としては、家族のサポート体制がより求められてきているといった状況です。
 8番目が研究支援人材の育成確保で、第1期のときには、研究支援者の目標設定がされていたのですが、それ以降は目標設定自体はされておらず、第4期では、特にリサーチアドミニストレーターや、サイエンステクニシャンといったものの養成・確保が非常に重要であるといったことがうたわれております。
 これに関する検証結果でございますが、105ページに少しございますけれども、URAにつきましては、重要性の認識が高まっているものの、配置状況についてはまだまだ十分ではないということと、これまでの取組として、URAとはどういうものかということが分からないとなかなか人も来にくいだろうということで、職種としての定着を目指して、106ページのデータに書いてありますけれども、スキル標準というものが策定されて、これを基に研修なども進められているといったところです。一方、研究基盤を支える技術者等につきましては、基盤経費の削減の影響もあり、不足しております。これは、少し103ページにもございますように、我が国の研究者1人当たりの研究支援者数はずっと落ちてきておりまして、諸外国と比べても低いという状況ですけれども、基盤的経費の削減という影響もあるのではないかという指摘が複数の先生からあったところです。
 次のページ、大学・独法の人材システムの改革ですけれども、第2期では、そういった人材システムの改革のための、学長等のリーダーシップ発揮のための改革であるとか、構造改革の一環としてのCOEプログラムの充実発展、第4期では、新しい研究開発法人制度の創設といったものがうたわれているところです。
 これまでの取り組み結果としましては、一定程度、進捗しております。研究開発力強化法や、国立大学改革プラン、強化法などに基づく新たな研究開発法人制度というものも、具体的に創設されるに至っておりまして、大学、独法は改革取組を加速できる。これから具体化していくところですので、その中で、そういった人材シフトの改革というものも加速できる環境にあるということです。一方で、人材評価システムの多様性が低いという指摘が複数の先生からございます。研究論文だけで評価するのではなく、例えば大学であれば、教育とか人材育成の面もありますし、独法であれば、産業へのつなぎや、長期的に行わなければいけない非常に地味な研究への評価など、そういった様々な評価軸があるのではないかといった指摘があるところです。一方で、大学における人材育成の重要性について、大学教員の意識改革がまだ進んでいないのではないかということがございます。研究に目が行って、まだ人材育成の重要性が認識されていないのではないかという指摘も何人かの先生からあったところです。また、職種を問わず、研究者の研究時間が減少している傾向ということが見てとれることを書いてございます。
 10番目が、研究費の運用面における工夫ということで、これは人材に関するところですけれども、第2期のときから、競争的資金の間接経費30%を措置することによって、良い人材を各大学で競って採るといったことが行われてきたわけです。それとともに、そういった競争的資金と基盤的経費で雇う基礎的な人もいますので、そういった有効な組み合わせをきちんと検討しなければいけないということも、第3期で指摘されているといったことです。こうした関係につきましては、109ページのデータにございますけれども、大学等の基盤的経費が年々減少しておりまして、競争的経費は増加しているので、多くの若手研究者が競争的経費で雇用されているといった状況にあります。先ほども少し触れましたけれども、そういった状況の中で、若手研究者の研究や指導育成の在り方に少し影響が出ているのではないかというような状況になっているところです。その下に、自立・成長を阻害している要因になっているといったデータがございます。
 競争的資金制度における間接経費というのは、30%は達成されているのですけれども、競争的経費以外の公募的なものがかなりあって、全体に占める間接経費の割合が、21年をピークに落ちていることが、110ページのデータで見てとれます。また、国の方でいろいろ研究費をプログラムごとに出しますけれども、研究費配分が増えた分野の研究者が増えるというようなことが二つのデータから見てとれることも、指摘があるところです。
 11番目、最後ですけれども、次代を担う人材の育成ということで、第1期の頃から教育設備の充実がうたわれるとともに、理科教員の育成支援、若しくは育成・確保の支援が、1期から4期までうたわれていたところですし、またすぐれた理数教育を行う高等学校への支援なども3期の頃からうたわれているところです。
 そういうものに関する検証結果ですけれども、128ページのデータにございますように、小中学生のときには基礎的な素養は世界的に高く、数学的リテラシー、科学的リテラシー、そういうものが高くて向上もしている。また、高校におけるすぐれた教育取組、これはいわゆるスーパーサイエンスハイスクールということで行っておりますけれども、こういうのも着実に進めていると。ただ一方で、130ページなどに見られますように、高校生段階における自然や科学への関心は諸外国に比較して低いですし、その前のデータにもございますけれども、年齢が上がるにつれて理科や数学に対する興味が低くなっているというデータもございます。
 資料2-4については以上です。資料2-3について簡単に御紹介いたしますと、資料2-3は第4期基本計画以降に書かれたいろいろな政策の中にある人材政策関連のものをピックアップしたものです。全部を詳細に御紹介できませんけれども、1枚目に少しまとめがございますので、こちらだけ簡単に触れさせていただきますと、第1期から第4期までと同じように、引き続いてやはりいろいろなネットワークの構築や流動化促進、大学・大学院教育の充実、キャリアパスの多様化、博士課程の経済的支援、若手研究者の育成・確保、女性・外国人、支援人材といったことが引き続き指摘されるとともに、ある意味新しい動きとしては、クロスアポイントメント制度の導入を科学技術イノベーション総合戦略で大々的に打ち上げているところ、また人材委員会などでは、複数機関がコンソーシアムを形成し、その中で若手の安定的なポストと流動性を確保するというところがございます。こういった取組を推進するということも出てきております。また、学術分野の報告書では、これも改めてということになると思いますけれども、若手研究者確保・育成のために、基盤経費と競争的資金の両方で支えていくデュアルサポートシステムを再構築していかなければいけないということが強く指摘されているところです。また、人材委員会の方では、特に分野の特性に応じたきめ細かい人材育成施策が必要ではないかということ。これは、先ほども少し述べましたけれども、ポスドクの分野と企業の分野のミスマッチなども含めて、もう少し分野の特性に配慮することが必要ではないかということが言われ始めていること、昨今の不正の問題を受けまして、不正問題について強く指摘がされているといったことが最近の状況になってございます。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。それでは、今の事務局からの説明につきまして、御質問、御意見はございますか。では、伊地知委員、どうぞ。
【伊地知委員】
 1点コメントと、4点どちらかというと意見のような感じで申し上げたいと思います。
 まず1点は、いろいろ資料を御用意いただきましてありがとうございましたということなのですが、やはり、科学技術活動に関わる人材の、国全体の在り方がどうなっているのかということが、量的によく見えるようになっていた方が良いのではないか。だから、どんな年齢階級にどんな職種の人がどういうセクターにどういう分野でいるのか。人材についてはそれほど変動がないので、少なくとも5年や10年についてはある程度見通せるわけで、そういうものがあると、より検討しやすいのではないか。そして、部分的には断面に相当するものがあるわけですけれども、やはり全体像が見えるように、様々な観点から見えるものがあった方が良いのではないかということがあります。
 それから、4点ほど申し上げたいと思うのですが、まずは個人のところに観点が、もちろん人材では、あるというのがあるのですけれども、加えて、やはり研究開発活動ないしイノベーション活動はチームがあるかと思うので、そういったチームあるいはコミュニティーとして、どう力を発揮するのかということも課題のようなところにもあって良いのではないかということです。
 2点目は、特に若手の人材について、特に短期的なところで、例えばプロジェクト資金等があると思いますけれど、やはりこのバランス、フェローシップによるのか、機関からの雇用によるのか、それとも、ある程度大きなプロジェクトの場合はあるかと思うのですけれども、より短期的なものになってしまっているのかどうかといったバランスに関して、その妥当性がどうなのかということもあります。
 3点目については、それぞれの人材は、研究活動、要するに担い手としての人材なわけで、その取組は、それぞれのプログラムの下で実施されている研究プロジェクト、あるいは研究機関の中でのプロジェクトが行われている。これについてはもう既に、例えば文科省の中の研究開発評価部会の方で議論され、文科省の指針の中でも含まれたところで、やはり個々のプロジェクトや機関に関する評価の中で人材に関する取組がどのように行われているかということも、評価の視点で重要だということがあるかと思います。そういったところについてもう少し、人材のみを切り離すのではなく、プロジェクトと機関の進み方にあわせて検討されているのではないかと思います。そういう点から言うと、やはり資料の中にもあったと思いますけれど、例えば「さきがけ」のようなプログラムはもともとプログラムの趣旨自体がそういうところもあるかと思うのですけれども、そういったところについて、もう少し良い経験を踏まえていけると良いのではないかと思います。
 4点目は、従来の科学技術政策から、さらに科学技術イノベーションということに広がってきているところで、特にイノベーションの人材に関して、もう少しどうなのだろうかということがあります。少し具体的に言うと、例えばこれはリーダーシップですか。リーダーになるというよりは、それぞれの人がそれぞれ、みずから進んで、他の人と調整しながら進めていくというようなことです。例えばそういうことを、研究者ということではなくて、より若い段階、例えば中等教育段階あるいは高等教育段階と、幅広く教育していくようなところが実は課題としてあるのではないかと思います。それから、もう一つ、イノベーション人材に関して言いますと、実は民間企業が、これは資料の中で企業については研究者全体で比較されているので、これはもう少し妥当な比較の方法があるのではないかと思うのですけれど、ここでは課題として挙げられていないということは、恐らく現状では問題視されていないのではないかと思うのですが、いわゆる従来からある、例えば修士課程を出て、そのまま活動するというようなことが前提とされていて、そこのところは余り問題視されていないかのように見えるのですけれども、本当にそのようで良いのかどうなのかというところ。つまり、今まで課題として挙がっていないから、これから5年先、10年先も課題でないと見て良いのかどうなのかと疑問に思います。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。では新井委員、どうぞ。
【新井委員】
 大変、示唆に富むデータをありがとうございました。今、伊地知委員がおっしゃったような、切ったところのデータではなくて、もう少し全体を深く把握できるようなデータが本当は必要なのではないかという御意見があって、それに関連して少しお話をさせていただきますが、本日は人材育成が議題だということを知った後、数日の間に、リサーチマップという国内23万人の研究者が参加しているデータベースから、男女共同参画に関してデータを引っ張ってみまして計算してみました。その結果分かったのですけれども、例えば男女比が25%、つまり1対3、女性が1、男性が3を達成している大学はどういうところにあるか、なども調べてみました。それで、一昨年前に文科省から研究力強化で指定されている大学、ですから研究を一生懸命やっている大学中では、その数値をクリアできているところは1か所しかありませんでした。主には特任の研究者の男女比率が、比較的、女性の比率が高くなっており、ある意味、目標に達成しようとするために、特任の女性研究者の数で女性研究者比率を増やしているようにデータ上では見られます。30代の女性研究者比率は確かに改善しているのですが、そのことから見て、30代の女性の研究者を特任にしておくことで、女性研究者比率をどうも保っている傾向が読み込めるということがございます。理系は全部悪いかというと、そうでもなくて、医学系は比較的良いけれども、工学系が厳しいことと、それから女性研究者の論文数を見ると、どうも長時間労働、つまりワークライフバランスが達成できないような研究分野が女性研究者がファーストオーサーで論文を書きにくい状況になっているのではないかという印象を持ちます。
 これは、先週、議題が分かってからざっと調べたことなので、軽々には言ってはいけないと思うのですけれども、重要なのは、例えばこういう議題が出てきてから、それが一体どういう状況なのかということをデータで示せるまでに掛かる時間が、例えば1週間とか、そのぐらいで、ある程度の状況、正確な状況ではないけれども、ある程度の示唆できるような状況・データが手に入るということが、データに基づいた科学技術政策を考える上で重要なのではないかと思います。今から全数調査をしようと思うと、多分、データが出てくるのが、普通考えると来年度になってしまうわけです。調達をしてアンケート調査をして何をするではなくて、先週これを議題にしよう、これについて考えようと思ったら、今週ある程度数字が出るという状態にするということが、科学技術政策をデータに基づいて行うためには非常に重要だと感じております。必要であれば次回までにデータをお出ししたいなと思っております。以上です。
【野依主査】
 貴重な御意見をありがとうございました。知野委員、土井委員がもうすぐ退出されるということですので、もし何かありましたらお願いいたします。では知野委員、どうぞ。
【知野委員】
 ありがとうございます。この検証結果を見せていただきますと、改めて数値目標がいろいろなところに盛り込まれていることが分かります。ただ、なぜこの数値が選ばれたのか理由が不明なところがあります。例えば、大学・大学院教育の充実で、博士課程の2割が生活相当額を受給。これは達成していないという御説明でしたが、なぜ2割なのかが、いま一つ分からないこと、それから研究支援人材の育成・確保のところで、第1期計画のときにはあった研究支援者の目標設定がなぜ消えてしまったのか。研究支援者の重要性が認識されて目標を達成できたのか、あるいは財政的な理由で無理だったのか。少しそういう分析が欲しいと思います。数値目標自体は、政策を進めるに当たって、モチベーションを与えるという意味がありますが、、その数値が果たして適切かどうかを考える必要があります例えばポスドク1万人計画は達成されたということですが、もちろん日本は博士号取得者が少ないということは分かるのですが、果たしてその目標自体が良いことなのかどうなのか。1万人を作ったけれども質はどうなのかということが、今、疑問として出ています。このまま研究者として残れないから、多様なキャリアパスをと言われていますけれども、多様なキャリアパスといっても、大学院で学びさえすれば、いろいろな仕事に向いた能力を得るわけではありません。数値目標の科学技術政策の中で、1万人計画は当初から始まり、非常にシンボル的なものでもありますので、数値目標の功罪といったものをもう少し分析していくことがこれから必要ではないかと思います。大学院生が多過ぎるのではないかという指摘はかねてからありますので、そこをもう少し考えていく必要があるのではないかと思います。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。数値目標の件、事務局で答えられる範囲で答えてもらえますか。
【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】
 すみません。今は答えられる材料がないのですけれども、調べてみたいと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。それでは土井委員。
【土井委員】
 2点ほど。今まで皆様が御指摘されたことと同じような内容になるのですけれども、今回お示ししていただいたデータは検証ということで、断片的ではありますが、非常にたくさんのデータが出てきている。やはり、この次に必要なのは、例えば女性の30%という目的に対して今はまだ十数%。第2期、第3期と基本計画等でこれだけいろいろやってきたのに、なぜなのかということ。人材育成に関しても、低年齢のうちは理系に興味があっても、高校生になると興味が薄れていく。その理由をひもといていくことが重要ではないかと思います。そういうやり方、先ほど新井委員が御指摘になったように、既にあるデータを解析することで出てくるものもあるかもしれませんし、今後、第5期で基本計画を出して、それをまた検証するときにも同じような課題が出てきますので、そういうところを今後どうやって突き詰めていくのか。アンケート調査だけではないやり方を、もう一歩考えていく必要もあるかと思います。そういうところで、ビッグデータなど解析で役立つものがあれば、情報学の分野で協力できるところがたくさんあるのではないかと考えております。
 それから、今のところに関連するのですけれども、女性の管理者層がこれだけ増えないことについて、海外では増えているわけです。その理由を探るという意味では、例えば海外では、トップ、大学の総長や企業のCEOなど、女性が多いわけです。ですから、そういう比率と日本国内の比率などを比較してみて、トップ層、もしかしたら、そこに政治家も含めないといけないのかもしれませんが、トップ層の女性・男性の比率がどうなっているのかということも見ていかないといけないと思います。多分、ボトムアップで上げていこうと思ってもいけないのではないかと推定しますので、そのあたりも今後、知ることができればと思います。よろしくお願いいたします。
【野依主査】
 ありがとうございました。では、松本委員、どうぞ。
【松本委員】
 各論の資料にはどこかに記載されていると思うのですけれども、今日の説明の資料で少し分かりにくかったのが、現状については、いろいろ精緻に分析されているのですけれども、あるべき姿が何なのかということをしっかりと描くということ。恐らく、こういう人材を育成したいというあるべき姿と現状とのギャップを、どう埋めていくかということが政策、プログラムなわけです。ですから、そこが明確に見えるようにしていただきたい。どこかの資料にいろいろ記載はされていると思うのです。それから、大きなあるべき姿と中期の目標みたいなものをしっかり描くということ。
 例えば、科学技術の英知をしっかりと活用してオープンイノベーションを推進しながら、大きなイノベーションを起こすような人材を育成するということであれば、これは自分の科学技術の研究開発を推進する、また、研究を推進するだけではなく、他の分野の方々の英知を活用するようなプロデューサー的な能力も必要になってきます。ですから、こういう人材を育成するからこんな施策というものが見えるようにしていただけば、非常に明確になるのではないかと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。先ほどの数値目標とも関係してくると思います。木村委員、どうぞ。
【木村委員】
 最近になって、センター・オブ・イノベーションの拠点の一つのプロジェクトリーダーをさせていただいて、ますます思いを深くしているのですが、このサイエンステクノロジーのコミュニティーの中では、やはり経営やリーダーシップが重要だと考える方が少ないと思います。これは、学問の世界だけでなく、産業界の研究者も同じような傾向があるように思います。専門性を深く追求すればするほど、視野を犠牲にして、ますますタコつぼに入ってしまう。例えば研究者はチームワークや他者との協力があまり得意ではない、といったことがよく聞こえてきますが、それは世界中そうかというと必ずしもそうではありません。例えばアメリカでは非常にマネジメント、リーダーシップを得意とするサイエンティストが大勢いるわけです。そういう人材をどうやって養成していくかということが大きな課題であると思います。研究費をどんどんつぎ込んでも、受け手の研究側に経営力がないと、それは非常に効率の悪い使い方になってしまうでしょう。最近の研究プロジェクトはずいぶん大型化し、領域横断的な研究にも随分力を入れてきて、研究者の視野が広がることには役に立っているようですが、まだ要素研究の寄せ集めの段階にとどまっているケースが多いように思えます。しっかりした組織を作り合意された目標を時間内・予算内に達成させる、というような経営戦略を立て、実行できないといけません。集めた要素技術に横串を刺し社会的価値につなげる経営人材が研究の現場では枯渇しており、求められていると思っています。
 一般の社会では今どうしているかといいますと、例えば民間企業ですと、特に外資系は社会人・経営者に育てるための研修を非常によくやっているわけで、その結果同時に選抜も厳しく行っております。ところが大学の研究者は、学生として学部、大学院が終わったら、多くはそのまますぐ助教・講師・准教授と昇って教授になる。ほとんどの方々は、世間でいう社会人研修を受けたことがないのではないかなと思います。しかし、現実には多くの研究者が研究プロジェクトを運営しているわけです。そのような方々は、もともと天才か、我流でこなしている場合も多く、効率が悪いですし、失敗や、トラブルに巻き込まれるリスクも高いのではと懸念します。経営能力の高い資質を持っている方が、芽を出さずに埋もれてしまっているということがあるかもしれません。ですから、研究者を目指す学生に対しては、早い段階から、英語教育と同様に経営に必要なスキルセット、さらには経営マインドセットの教育機会を提供し、プロジェクト経営がきちんとできる経営者を育てるというカリキュラムが不可欠です。リーディング大学院はそのはしりだと思いますが、これをもっと発展させるということが大事だと思います。
 海外では、特にアメリカの例ですと、そういう人材は社会人教育の場としてビジネススクールがあります。ビジネススクールは、今、世界中で発達し、アジアのリーダーも、欧米のビジネススクールの卒業生が活躍しております。このビジネススクールでは、御存じかもしれませんが、例えばスタンフォードの例ですと、多分、学生の半分近くがいわゆる理科系で、PHDや、MDを既に取得している学生も大勢いるんですね。さらにメディカルスクールとビジネススクールのジョイントプログラムというものも発達していて人気があるようです。これらビジネススクールはアカデミックスクールではなくかなり異質なプロフェッショナルスクールなので、従来の日本の大学がビジネススクールに本気で取り組むことがどこまで適切であるかどうか分かりません。ただ、世界中で認められている人材養成プログラムを、日本でも誰かがきっちり提供しないと世界における日本のリーダーシップもこの先難しいのではないかと感じております。
 最後に、URAについては、私もお手伝いをしたことがありますが、やはり研究の支援にとどまっておりプロジェクトの主役ではありません。大学の中では、経営などというものは雑用にすぎないとお考えの人たちがまだまだ多いので、そういう教職員の意識をしっかり変えて、やはりマネジメントが研究の生産性を大きく向上させ、スピードを速め、成果をおおきくするものだということを、大学の仕組みの中、たとえば人事制度に反映・定着させていくとよろしいのかなと思う次第でございます。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。まだまだ人材について続きますので、このセクションはここで終わらせていただきまして、残りの資料について事務局から説明してください。
【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】
 それでは、資料2-5に基づきまして、今後の人材政策の在り方について、事務局の方からたたき台の資料を御説明させていただきます。今ほどの、伊地知先生や松本先生等のコメントに対するある種の答えもこちらの方に入っているかと思いますので、これを踏まえてご意見を頂ければと思います。
 1ページめくっていただくと、基本的な考え方が書いております。大きく二つに分かれていますけれども、上の丸の方で基本的な方向、下の丸の方で人材政策に影響する社会的経済の状況・変化を述べております。上の丸の方が言っておりますのは、我が国における今後の人口減少や、国際的な頭脳獲得競争の激化といった状況を踏まえると、科学技術イノベーション人材の量的拡大は今後難しくなるのではないかということです。こうした中で、我が国の人材政策の基本的な方向性として以下の2点が必要ではないかということで掲げているのが、まず個々の人材の質を高めていくということで、我が国全体の能力を高めていくということ、また人材の持つ能力を適切にイノベーションに結び付けるということ。そういったシステムを構築することによって、我が国で科学技術イノベーションが創出される可能性を高めていくということ。個々の人材の能力とシステムの話と、こういったものを改革していくことが必要ではないかということを言わせていただいております。
 下の2番目としましては、いろいろな社会経済の状況・変化を踏まえると、育てていく人材の視点として、以下を考慮しなければいけないのではないかということで、四つ挙げております。まず、社会が成熟化して、国民のニーズが多様化するということで、新しい価値の創出に当たって、様々な知識、視点、発想が必要になってきているということ。また、グローバル化が一層進展していますので、国を越えていろいろ連携協力する機会も当然増加しておりまして、グローバルな視点がより求められてきているということ。それから、知識・価値創出の在り方が変化しているということ。基盤社会と情報のICT技術の発展が相まって、日々、知識が大量に生み出されるといった時代の中で、その知識の中から真に必要なものを見極められる深い専門知識を持った人材の重要性と、今度、それらのいろいろな知識を組み合わせて新しい価値につなげていくということで、なかなか一人の人材では難しいということで、チームの構築や、そういうものを組織的に行うオープンイノベーションが求められているので、こういうものに対応した人材が今後求められていくだろうということ。それから、国民社会の科学技術に対する見方が変化していること。これは東日本大震災のときも言われておりましたけれども、昨今の不正といった問題もありまして、研究者が公正な研究活動を徹底するとともに、国民・社会からの要請を十分に認識していくことが、より求められていくのではないかという4点を挙げさせていただいております。
 こういった基本的な考え方に基づきまして、具体的な取組の方針といたしまして八つの項目を挙げさせていただいております。まず、個々の人材の質を高めるという観点からは、今、先ほどの現状の中で、博士号取得者を目指す人材が少なくなってきているということですけれども、質を上げるという観点からは、やはりより多くの優れた人材が博士号取得を目指すということが必要ですので、それに向けたキャリアパスの明確化と多様化により、博士課程進学の魅力を高めていくことが必要と思っています。丸2番では、そういったことをプラスの上で、それぞれの高校、大学学部、大学院といった各段階で、人材の質を高める教育が必要であろうということ。特に、グローバルで幅広い視野を有し、社会の多様な場で活躍できる素養を持つ人材。決して研究者だけではなく、多様な場で活躍できる人材を養成するという視点が重要ということ。3番目といたしましては、今度、若手研究員、ポスドク、助教といったものになった段階で、きちんとそうした研究者・教員の能力を伸ばして、またその能力が性別・国籍にかかわらず最大限発揮できるための環境。その各段階での適切な競争・選抜機能といったものが重要ではないかということ。それから、人口減少等を踏まえますと、質を維持するために、裾野の拡大も必要だと思いますので、科学技術の持つ魅力を子供たちにきちんと伝え、裾野を拡大していくというようなことを言っております。
 もう一つ、イノベーション創出の可能性を高めるシステム的な話といたしまして、5から8に書いておりますけれども、まず5では、イノベーション創出に必要な多様性を高めていくということ。女性、若手、外国人、産業界といった、異なる知識、視点、発想を持つ多様な人材を集めていくという話、6番目としましては、その人材の持ついろいろな知識を融合していくことが必要になりますので、人材が機関間、セクター間で移動するといったものを積極的に推進していくこと。7番目では、科学技術イノベーション活動がボーダーレスとなる中、世界の知を取り込んでいき、国際的な研究ネットワークを構築していくことが、国際競争力の保持につながっていきますので、そういったネットワークの構築が必要ではないかということ。8番目といたしましては、研究人材だけではなくて、イノベーションシステムに不可欠な人材、起業人材やプログラムマネジャー、リサーチアドミニストレーターといったものをきちんと育成していかなければいけないのではないかという8個の項目でまとめさせていただいております。
 3ページ以降に、それぞれの8項目に対して、例えば以下のような取組が考えられるのではないかということで、最初の、キャリアパスの明確化・多様化により、博士課程進学の魅力を抜本的に高めるということにつきましては、例えばキャリアパスの明確化のための、ポストドクターの次の段階としての、テニュアトラック制の抜本的な普及・定着。そういうことのために適切な目標設定や導入支援。目標設定については先ほどコメントもございましたけれども、きちんと、こういうことだからこういう目標というものを踏まえた目標設定が必要かと思います。
 それから、大学、独法における若手向けの新規ポストが減っているという現状の中で、これを増加させて、少し安定的な職を得られるようなことをしていかないといけないだろうということで、労働契約法の改正で、任期付きの任期期限も5年から10年に延びたということもあります。こういうことをうまく活用して、シニア教員・研究者にも任期付き雇用を促進することによって、もう少し安定的なポストを若手に回せないかというようなことや、同様の話ではございますけれども、年俸制やクロスアポイントメント制度を導入促進していくということ。それから、そういった取組を実施する機関に対するインセンティブの付与等。こういった取組があるのではないかということ。
 それから、博士課程、ポスドクに対する経済的支援の拡大も重要と思いますし、多様なキャリアパスの確立では、まず意識改革ということを書いてありますけれども、学生、教員、企業の意識改革。博士は研究者だけのために育てているということではなくて、いろいろな場で活躍できる博士を育てるということで、大学院教育改革や、そういうことに向けた産学官の円卓会議の開催等。また、博士課程、ポスドク課程でのインターンシップ充実等の就職支援といったものも重要ではないかと思っています。
 それから、最後、現状などでもいろいろありましたけれども、分野別の状況が少しずつ違うのではないかということで、この辺りの違いも踏まえたきめ細やかな対応も今後検討していくことが必要ではないかということ。それから、博士人材を増やす上で、社会人学生の大学院への受け入れも非常に重要だろうと思います。こういったものをどう取り組んでいくかということが最後に書かれております。
 次のページ、2番目、個々の人材の質を高めるための教育。特に、グローバルで幅広い視野を有し、社会の多様な場で活躍できる素養を持つ人材ということで、その具体的な取り組み例としては、Aのところ、学位プログラムとしての体系的な大学院教育を通じた、グローバルで幅広い視野を持った社会で多様な場で活躍できる人材の養成といったもの。リーディング大学院等々が進められていますけれども、それの一層の推進や、大学院卒業生の質保証のための取組が一部行われていますけれども、これを幅広く広めていくということ。または外国の大学とのダブル・ディグリー、ジョイント・ディグリーによる、国境を越えた協働教育の促進なども重要ではないかというようなこと。また、研究開発法人にポスドクや博士課程を雇用して連携大学院で採らせるということによって、大学よりも、より企業との共同研究を行う機会が充実できるのではないかといった考え方。あとは高校生等で、学生・生徒が切磋琢磨できる能力を伸長する機会の充実ということで、サイエンス・インカレやスーパーサイエンスハイスクール等々の取組の充実。それから、学生・生徒の海外留学生に対する支援の強化というようなことが書かれてございます。 次のページの丸3、若手研究者が能力を伸ばして最大限発揮できるような環境の整備等々ということでございますけれども、まず具体的な取組の例としましては、若手研究者のキャリアの段階が今はどうも不明確になっているのではないかという問題意識は持っておりまして、ポスドクがどういう段階であるかということ。その次の助教や、研究所ではいろいろな名前でなになに研究員というものがあると思いますけれども、若手研究責任者という形で、一定期間、期間を付けて、その中で自立的に研究させて評価をするといった段階。それを経て、きちんと研究責任者になっていくといったキャリアを明確化して、その段階に応じた支援、環境整備が必要ではないかということ。そういうものの一環としての、ポストドクターの次の段階としてのテニュアトラック制の抜本的な普及・定着。これは丸1の方に述べたとおりです。
 またCには、ポストドクターが能力をきちんと発揮できるための環境整備ということで、研究スキルや研究倫理をきちんと指導することとともに、競争的経費で雇用されているポスドクは、なかなか自立的な研究をしにくいというようなこともございます。能力のある研究者には、そういったものがきちんとできるような、競争的経費の使用やルールの評価の在り方の変更も必要ではないかということ。若手の自立を目指すための研究費の量的・質的な充実や研究スペースの充実、また海外で切磋琢磨するための機会の充実。それから、女性研究者・外国人研究者が能力を発揮するための女性リーダーの登用促進や、ワークライフバランスに配慮した支援といった話。それから、機関における人事・評価システムの構築と、先ほど多様性のあるというようなことがありましたけれども、それぞれの研究大学であれば研究大学にふさわしい人事・評価制度であるとか、研発法人であれば、そういう制度を踏まえた人事・評価システムを構築していかないといけないだろうということでございます。
 次のページ、4番目としましては、裾野の拡大ということで、初等中等教育段階における理数教育の充実や理数系教員の支援育成というようなことが必要と思いますし、それから裾野を拡大していくためには、国民全体からの科学技術に対する信頼獲得が重要になっていくだろうということがございますので、国民に対する様々な機会の提供や、リスクコミュニケーションの場の創出も重要ではないかといったところです。
 次からシステム改革の話になってきますけれども、丸5番で、多様な人材を確保するということで、女性研究者、外国人研究者。これは先ほどの丸3のところにもありましたけれども、今も数値目標はありますけれども、適切な数値目標を設定することによって、そういった取組を加速していくということも重要な取組ではないかと思いますし、第一線の外国人研究者を招聘するための環境整備は研究施設、生活環境といったものの環境整備が重要であろうということ。また、そういった様々な人材が集まれるような場も非常に重要ではないかということで、共同利用・共同研究拠点、大規模研究施設における取組の充実や、研究開発法人というものが新たに創設されますので、そこを核としたイノベーションハブの形成。こういったものの取組の充実が重要ではないかということです。
 丸6番ですけれども、セクター間の移動を積極的に促進するということで、移動を促進するための給与制度・雇用制度、年俸制やクロスアポイントメントなど、そういった機関に対するインセンティブの付与等。また、大学や機関が良い人材を獲得するインセンティブになる間接経費の拡大というようなことも検討すべきではないかと思っているところです。
 次のページ、7番ですけれども、国際的な研究ネットワークの構築に向けては、すぐれた外国人を我が国に引き付けるための海外への情報発信の強化や、高いポテンシャルを有する海外の研究機関との戦略的なネットワークの構築。これは、やはり人の行き来が重要になってきますので、若手を派遣したり、優れた研究者を招聘するといったことを行っていくことによる戦略的なネットワークの構築。それから、国際協力によるオープンイノベーション拠点を国内外に構築していくといった取組で、海外の人材の招聘や、こちらから海外に行くといったものをより促進していくことがあるのではないかということ。
 それから、最後に8番目、新たなイノベーションシステムに不可欠になる人材ということで、まずベンチャーマインド育成のための取組として、学生の企業などへの接触機会の増加。インターンシップなどになりますけれども、そういったものの増加や、アントレプレナー教育。研究だけではなく、そういった企業や企業経営に必要な知識を身に付けるためのいろいろな講座といったものの充実があるのではないかということや、プログラムマネジャーというものを育成して、単に確保するだけではなかなか持続的になりませんので、キャリアパスを確立していくことが必要であろうということで、資源配分機関が中核となったマネジメント人材の育成・確保、それからキャリアパスの確立のためには、複数の機関である程度行っていくことが必要だろうということなので、大学、産業界、資源配分機関における活躍の場の構築等。それから、リサーチアドミニストレーターの育成とキャリアパスの確立も同じようなところがございますけれども、今、リサーチアドミニストレーターの方は少しずつスキル表示の確立などが進みつつありますけれども、まだまだ足りないということで、大学等における体制整備を求めるとともに、キャリアパスの確立のためには、様々な複数の機関が連携した戦略的な育成や、キャリアアップといったものをきちんと行っていく必要があるだろうということがございます。それから、研究基盤を支える技術者等、安定的な雇用と適切な評価で育成するための取組といったものも必要ではないかということを書かせていただいております。
 ここに挙げる具体的な取組は、例として事務局で検討してあるものを書いたということなので、こういったところにいろいろ御意見を頂きながら、より良いものにさせていただければと思っておりますので、御意見を頂ければと思います。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。今後の人材政策の在り方を議論するに当たりまして、取組の方向性について御説明いただきました。人材委員会の主査として補足がありましたら、濵口委員から御発言いただきたいと思います。
【濵口主査代理】
 ありがとうございます。特に今後の考え方の中で、人材委員会の議論を踏まえて強調したいことが二つあります。一つはキャリアパスの多様化の点。それからセクターを越えた人材の流動の課題。これは非常に重要だと思っております。それは、先ほどの関連データ集を見ていただくと浮かび上がってくるのですけれども、若手の育成も女性の育成も共通した課題がありまして、大学院の学生の数を見ると、データのところではっきり見えるのは、大学院のレベルでは、これは22のところですけれども、保健が一番多いのです。ところがポスドクになると理学系が多く、工学系がその次になっていまして、理学系、農学系の実はバイオが、非常に多い状態になっています。それが、就職のレベルの企業の研究者と大学の研究者のバランスを見ると、企業系は31の図を見ていただくと、ほとんどが研究者は工学系です。バイオの方々が意外と社会で活用されていない。これが実はもう一つ要素を含んでおりまして、23を見ていただくと、ポスドクの高齢化の問題があるのですけれども、高齢化は実は女性の方がきついのです。先ほどの上位職、少ないのですけれども、女性の数は増えているというのは、実は不安定な職にある女性の研究者が非常に増えている。そこはかなり、バイオとダブっている問題があります。これをセクター間でどうつないでいくのかということは大きな課題であると思います。
 いろいろな方法をこれから開発していく必要があるのですけれども、一つヒントは、学生をインターンシップに送ると就職が上がるというデータが出ていたと思います。この資料集の35になります。民間でのインターンシップ経験があると、民間企業を意識していなかった人が民間企業へ行くようになるのです。こういう工夫は、今、一部、例えばリーディング大学院等で始まっておりますので、これをもう少し議論を深める中で、セクター間、それから分野間にきめ細やかな指導を行いながら制度設計をしていくと、今の人材の滞っている流れを解決できるのではないかというヒントは、人材委員会の議論の中であるように思いますので、よろしくお願いいたします。
【野依主査】
 ありがとうございました。キャリアパスの問題は、先ほど知野委員もおっしゃいましたが、行き先がないからキャリアパスの多様化を探るということも大事でしょうけれども、あらかじめ社会にどのようなキャリアパスがあるべきかということを設定して、それに応じて大学院あるいは研究所が人材を養成する。その両方が必要ではないかと思います。ですから、社会のいろいろなステークホルダーが博士課程の教育問題あるいは研究機関の人材育成にコミットしていくということもやはり必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
【濵口主査代理】  
 大学、行政、産業界の緊密な連携で議論を深めて具体例を積み上げるという作業が、これから非常に重要な時代に入ってくるのではないかと思います。特に産業界、ドクターを評価していない企業が結構多いので、実際にそこにドクターを送って、その力を見せ付けることを大学側はしっかり行わないと、キャリアパスが滞ってくるのではないかと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。それでは、ただいま事務局から御説明がありました資料2-5「今後の人材政策の在り方について」について議論をしたいと思います。まず、1の「基本的考え方」として、個々の人材の質を高めるということと、イノベーション創出の可能性を高めるという視点を御提案いただいています。それに基づいて、2といたしまして「具体的な取組について」として、八つの方向を御提案いただきました。まずは、1ページ目、2ページ目に関して御議論いただきたいと思います。では細野委員、どうぞ。
【細野委員】
 現場にいる人間から少し話をしますと、なぜドクターに日本人が学生は進学しないのか。印象ですが、これは行かない理由があるわけです。これはきちんと熱力学でこの状態になっているわけで、行ってもメリットがないから行かないのです。これが一番大事なことで、政策的なことではないわけです。行かない理由はなぜかと言えば、予備校が潰れる時代、大学がどんどん減る時代に、なぜドクターに行く必要があるのかということです。行ったら危ないではないかということが一つですね。
 それから2番目は、留学生の問題があると思います。留学生1万人計画がありましたけれども、今、日本の大学の工学系のドクターコースは、外国人を除いたら充足率は50%にいっていないと思います。その場合に、では外国人を増やすとどういう問題があるかというと、今度は日本の技術が流れるとか、その辺りのところで国としてコンセンサスがとれていないのです。特許の問題で、私は非常にえらい目にあったことがあるのですけれども、独占ではない通常実施権を出したのに、日本の虎の子技術をなぜ出したかということで、袋だたきに遭ったことがあるわけですけれども、そういうことですら起こるのです。いわんや、ヘイトスピーチなどという言葉が出る国です。そこのところで、留学生が7割、8割、あるいはそれ以上になっているところもかなりあると思いますけれども、そういう状態に対して、政策的には、それで良いではないかという意見と、それに全く反対する意見があるわけです。それは非常に悩ましいことで、どこかでそれははっきりしたい。そうしないと、なかなか現場は動きません。
【野依主査】
 貴重な御意見をありがとうございました。では結城委員、どうぞ。
【結城委員】
 今の話にも関連いたしますけれども、科学技術人材の育成・確保について、いろいろ課題はありますけれども、今、一番深刻で、対応を急ぐべき問題は、学生が博士を目指さなくなったことだと思っています。博士課程に進みたくても、将来を考えると行くに行けないという状況になっている。研究者の道を目指すということが非常に困難な状況になってきていると思います。これはやはり任期付きのポストが非常に増えてきた一方で、任期のないポストが減っているということで、数のバランスが崩れてきているのだと思います。これから本当に、任期なしのポストを若い人にたくさん用意していかないと、若者の研究者離れは止まらないと思っております。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。では、西尾委員。
【西尾委員】
 今日の議論の中で、個々の人材の質を高めるということが出てきていますけれども、質が高い人材とは何なのかということについて、きっちりと議論しておかないと、議論が発散するような気がしました。その上で、例えばグローバルで幅広い視野を有し、社会の多様な場で活躍できる素養を持つ人材が、その一つの典型例であると考えた場合に、資料集の34ページと35ページに記載されているように、未だにこういう状況なのかということを思い知らされました。つまり、企業は、博士人材というものに対して余り期待をしていない。また、社内で研究者能力を高めた方が良いという考えがまだ大半を占めています。もう一方で、興味深かったこととして、次のページに記載されているように、博士人材が企業に就職することを考えた場合には、インターンシップに行くということが非常に大きな効果を持っているということが如実に現れています。そういう意味で、今後、多様な環境で活躍できる人材を育成するときに、現在、博士課程教育リーディングプログラムで行われていることは非常に重要だと考えております。このプログラムでは、産業界と大学が全くイーブンな形でどのような博士人材を育てるかということを考え、従来の博士人材ではない、新たなイノベーション人材を育てることを強力に進めています。今後さらにこのような動きが加速して、博士人材に対するイメージが変わるぐらいのことをしていかなくてはいけないと思います。特に、博士課程に行くということに対しての魅力がなくなっている状況は憂うべきことであり、次の5期は、そのような状況が大きく転換する時期にすべきだと考えます。
 もう一つ、すぐれた若手人材、特に研究者を育てる上での財政的な問題がほとんど議論されていなかったと思うのですけれども、再三申し上げるまでもなく、大学等で若手の研究者に対して安定した環境を与えることは重要です。先ほどお話にありましたように、パーマネントなポジションのことを含めて、若手人材に関する大学の戦略的な取組を支えるという意味でも、やはり、基盤的経費の確保や充実は非常に大事ですし、また多様な研究者による質の高い学術研究支援を加速するという意味では、科学研究費補助金は非常に大きな意味を持っており、デュアルサポートシステムの再構築は人材育成にとっても非常に重要なものだと考えています。特に科研費に関しては、現在、大きな改革がなされていますけれども、単なる多様性を担保しているとか、学術・基礎研究ができるということだけではなく、科研費のシステムそのものに、世界をリードするような研究を推進するようなうまい仕掛けが埋め込まれていることが重要に思います。例えば、サイエンスマップなどを活用した科研費のシステム設計がなされるというようなことが、今後、より重要になっていくのではないかと思います。以上です。
【野依主査】  
 ありがとうございました。パーマネントポジションの確保は大事だと思います。しかし大切なことは、これが単に数値目標にならないように、質を担保しなければいけないことです。それから、社会が求める博士、分野等もあろうかと思いますが、そういうものをきちんと設定した上で雇用の確保を行っていく必要があるのではないかと思っております。松本委員、どうぞ。
【松本委員】
 オープンイノベーションの一環で、いろいろな異分野の企業とのコミュニケーションを進める中で、最近、本当に、日本の企業の産業界ニーズというものが大きく変わってきていると思います。かつては、なかなか厳しい時代、選択と集中の時代は、既存事業の中にやはり集中していた。そういう中では、博士課程の高度な専門の方を採用するというのは多分、なかなかできなかったということが状況でした。ところが、2年ぐらい前から状況は大きく変わってきて、既存の事業をやっていただけではなかなか難しい時代で、新しい事業を生み出すというところに変遷してきております。エネルギー環境業界である我々も、最近、博士号を取得しているような人材の採用に変えております。我々の地方のガス会社ですらそうですから、恐らく日本の大手企業も大分、状況が変わっています。つまり、そういう産業ニーズは、目まぐるしく変わるし、そういう方向性になってきていると思います。
 実は私の研究所も、ポスドクのインターンシップを積極的に行っているのですけれども、ただ、期間が非常に短いので、もっと長期に活躍していただけることも非常に大事なのです。オープンイノベーションで必要なリーダーシップであったり、いろいろな異分野の方々を束ねる力は、企業もまだオープンイノベーションをやり出したばかりなので、そんな人材はまだそろっていません。もし大学の目指すべき、あるべき姿の中で、そういう人材が大学の中でも、つまりドクターの方々もそういうリーダーシップを握れるようなノウハウ、そういう人材がもし育ったとしたら、企業は非常に欲しがると思います。オープンイノベーションで有名なクスマノ教授が、オープンイノベーションのやり方として、1対1ではないものが多い。従来の共同研究・共同開発ではもはや立ち行かない。N対N。これは非常に多様な知識が集まるのですけれども。
 ただ、コンソーシアム型はかえってスピードが遅れます。日本の企業にとって何が良いか。1対Nだと言います。1とは何かというと、リーダーシップを握れる人材がいること、これはオープンイノベーションも実益、イノベーションも進むだろうということで、では、この1になれる人材が企業にいるか、育成できるかというと、必ずしもそうでもありません。だから、ドクタークラスの科学技術の英知、つまり深める人たちが、いろいろな英知を束ねるような人材育成ができて、そういう人たちが例えばインターンシップに来るとか、そういう人たちがいるということを企業が分かれば、これは必ず欲しがってくると思います。そういう観点でニーズを酌み取った人材育成が大事だと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。五神委員、どうぞ。
【五神委員】
 知的集約社会における成長のためには、高度な博士人材の育成が大事だということは、もう既に3期、4期からずっと言ってきた話で、その流れは変わらないと思います。大事なところは、これからの雇用がどうなっていくかということです。要するに、産業構造、産業というものがどう変化していくかということ。今の松本委員のお話にあったように、明らかに変化は起きています。ただし、その変化を大きく伸ばす人材が適材適所で力を発揮できるよう配置がなされていない。そこには、若くて優秀な質の高い博士を戦略的に投入していく必要があり、それは第5期の中で極めて重要です。それによって、この4期の間にどういう事業を行ったかという説明を先ほどしていただいて、私が関わったものも多いのですけれども、いろいろな投資をしてきたということを改めて実感しました。その投資によって蓄積されたストック、あるいは場合によってはポスドクの滞留という格好になっているのかもしれませんが、その中にしみ込んだ価値と新しい価値創造につなげるための転換を、同時にやっていくことが必要だと思います。それをやらないと、細野先生がおっしゃったように、メリットがないから博士には行かないだろうということになってしまいます。要するに産業はこういうふうに変わっていって、そこをどういうふうに人材政策の中で変えていくのか。だから、それを担う、これから先30年、40年働く若い優秀な人たち、博士の学生たちのために、彼らが主導して変革を起こしていくという場をつくっていく。それを産学連携の中で実効あるものにしていくしかないということだと思っています。
【野依主査】
 上山委員、どうぞ。
【上山委員】
 今日は人材育成ということなのですけれども、この会議の全般を通して申し上げたいと思っていることを述べさせていただきます。1995年に科学技術基本法ができて、20年。そもそもこのような新しい科学技術計画を作ろうとしたのは、1980年代にアメリカとの科学技術外交を行なう上で、ある意味、受け身的に日本政府が始めたものです。そのような背景を指摘した上で、私は、そろそろ日本独自の大学、高等教育政策、科学技術政策というところに踏み込んでいく時期に来ているだろうと思っています。その中の一つとしての人材育成、新しい、能力の高い博士課程に行くような人材を養成するに不可欠なこととして、まず一つは、大学間の競争を激化させるような方向に政策を転換していくべきだと思っています。なぜ人材の引き抜きが起こらないのか。なぜ人材の移動が起こらないのか。なぜ博士課程に、新たな知や、能力の高い、アントレプレナーシップの高い人材が行かないのか。それは恐らくは、日本の大学の中の固定した序列制度のようなものが大きく影響していると思っています。つまり、例えばアメリカでしたら、トップ20校ぐらいはほとんど同じレンジで活動しているわけです。同じレンジの中で、自分のところで新しいものを作り出すために、どのようなビジョンを作り出すかということを、個々の大学、個々の研究機関が争っているわけです。そういう環境を作り出すことによって、博士課程の研究環境がより改善し、人材の引き抜きが生まれ、人材育成のシステムが生まれてくるということがまず一つです。
 それから人材育成に関しても、日本は例えばいろいろな目標値を作ってきました。テニュア制度も、ポスドク制度もそうですし、それら多くのものはアメリカの政策を目標値として入れてきたわけですけれども、そろそろそういうものの本質的な含意というものを考えるべきときに来ていると思っています。例えばテニュア制度といえば、これは何も大学の教員の競争を高めるためというより、むしろアメリカで余りにも過度に大学教員の競争が激しく、そして身分が不安定になったために、大学の教授たちの身分保障のために入れた制度です。それが競争的なメカニズムに転換してきたという歴史を考えると、必ずしもそれは一つの目標設定としては、そのまま入れてきて良いものではないと思っています。
 一つの手掛かりとして、恐らく、これほど様々な形で行ってきた政策的な試みというもののある種の連動性を考えるときに来ていると思います。一つの例を申し上げますと、例えば最近、大学の出資法の改正をして、大学に大学発ベンチャーを活性化させるための資金を入れました。これは個別の政策としてはとても新しい試みですけれども、例えば、なぜこれが、今のように議論されている大学院の教育制度と連動していかないのかと思います。例えば、博士課程に行く。それは必ずしも、全員がトップの研究者を目指す人だけではありません。研究そのものにマネジメント力を発揮していくような人材を、大学院教育の中で作っていかなければいけないし、基礎研究も応用研究も、あるいはビジネスも、軽々と垣根を越えていくような新しい人材をつくっていかないといけません。そういうことを考えると、例えば出資法の政策は、またとないチャンスだと思うのです。つまり、大学院の理科系の教育の中に、大学発ベンチャーやベンチャーキャピタルの仕組みを学ぶようなシステムを、それと連動させながら作っていくという、そのような方法の一つの試みだと思います。そういう意味では、今まで様々な形でやってきた政策の幾つかを連動させながら、新しいタイプの日本型のモデルを作っていく時期に来ているだろうと思います。
 そして、例えばもう一つの点で言うと、大学院の中に留学生がどんどん増えてきているということがあります。これは、実はアメリカなどもどんどんそうなってきているわけです。実際に、Caucasianの白人なんて、本当に限定された人間になってきています。そういう人間をどのような形で日本のアカデミアの本質的な力として取り込んでいくかという試みもそろそろ考えた方が良いと思っています。具体的に言うと、高度人材の移民ですね。この話も、どこかでやっぱり大上段に構えてやっていかなければいけない時期に来ているように思います。単純労働の移民というより、むしろ本質的に求められているのは、日本の中の独自の、日本でこそできるような環境の中で高度人材を受け入れていくこと。それが日本の中に定着していくには移民政策ですよね。これは、今後の方針として、やはり考えていくべきときに来ているように思います。
 しかも、またこういう政策を、僕はやっぱり個々の大学が自分のビジョンの中でやっていけるようなシステムを、早く導入した方が良いと思っています。つまり、目標値を国が決めて、個々の大学にこれをやりなさいという形ではなくて、これをやらなければうちの大学はなかなか上の方に上っていけない。新しい人材を作っていかないと競争していけない。そして、それが最終的にその大学のグローバルなランキングにはね返ってくる。そういうシステムです。そういうことをそろそろ考える時期に来ていて、せっかく20年という区切りなのですから、第5期については、そろそろ日本独自のシステムを様々な政策を組み合わせながら作っていく時期に来ていると思っております。
【野依主査】
 では春日委員、どうぞ。
【春日委員】
 今のこの議題の資料2-5の1ページ、2ページで、その前の議題で分析していただきましたような主な取組と現状の検証結果を踏まえた、具体的な取組の提案がされていると思います。
 先ほど土井委員がおっしゃったことについて、私もそのとおりだと思っていたのですけれども、これをつなげるに当たって、現在の検証結果から浮かび上がってきた課題、あるいは達成できていないところの要因分析を、もう少しはっきり浮かび上がらせていただいて、それを克服するための具体的な取組なのだというふうに御紹介いただけると、より実行可能性が増してくるのではないかと感じます。これが1点目です。
 それから、その具体的な取組の内容に関わる話ですが、博士の卒業生の価値を高めるという議論が盛んに行われましたけれども、それに当たって、学者、研究者という私たち集団が決して特殊な専門集団ではなく、あくまでも社会を構築する一つの職業集団なのだという意識を、大学の教育者の方にもより強く持っていただきたいと感じます。そのことが、マネジメントやリーダーシップにすぐれた人材を生むことにもつながると思いますし、また、どういう研究であっても、社会の中で支えられていて、また税金を使って研究しているという責任を、個々の研究者、また学生も持つことにつながると思います。
 それから最後の1点ですけれども、理科教育あるいは科学の魅力を、子供の教育の段階から浸透させていくということは大変重要なことなのですけれども、それに加えて、社会において本当に科学技術が活用されている、重視されているということを、もっと分かりやすく見せていくような場面、あるいは本当に重視されている風土を醸成していくことがもう一つ必要かと思います。トップレベルの研究者の招致あるいは交流ということも盛り込まれていますけれども、各分野のトップレベルの研究者、ノーベル賞受賞者を含めて大変刺激を与えて、その先生方と交流することは本当に大事なことです。国際的な場面を見ますと、また別な切り口で本当に国際政策に貢献している研究者もいらっしゃいます。例えば、国連の事務総長に対する科学アドバイザーの委員会や、国連のIPCC、IPBESのような政策に直接に関与しているような研究者集団など、そういう方々の役割を日本人は余りにも知らなすぎます。こういうことが分かるように文部科学省としても支援していくことは可能だと思います。ボトムアップと同時に、トップレベル、国際政策レベルでの科学技術、また科学者の役割を見せていく。そういう意味で、是非これを具体的な取組として御検討いただければと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。稲葉委員、どうぞ。
【稲葉委員】
 今の春日委員のお話で、要因分析から実際の取組に向けてというところなのですけれども、外国人にしても、女性の問題にしても分析からの取り組み方法を考えてみる必要があると思います。例えば女性は研究者は14.4%、世界最下位であると言いますけれど、あとのデータの方を見ていきますと、大学等といえば25%あるわけです。先ほども他の方がおっしゃっていましたけれども、やっぱり企業が圧倒的に少ないというところに大きな問題があります。ただ、文科省の中でどういう取組をしていくのかというと、やはり企業との連携で、企業に女性の研究者を含めた採用を促進していただく必要があると思います。特に、企業で研究者と言うときには、学位を持っている人たちの割合が大学における研究者に比べて低いことも問題です。ですから、そこのギャップも、企業の中で考えていただけると良いなと思いました。
 それからもう一つ、外国人についてですけれども、例えばリーディング大学院であるとか、スーパーグローバルユニバーシティーというような、いろいろなシステム造りが勧められています。そのときに、タイムズ・ハイアー・エデュケーションの大学ランキング100校に日本の大学を10校入れましょうということもあちこちでうたわれていますけれども、その中で大きな一つの指標に外国人留学生の割合が挙がっています。ところが日本の大学の中で、外国人留学生を受け入れるとき、国費留学生ならば、大学院生の定員の外数です。ところが私費留学生は内数になります。ということは、先ほど、分野によっては何十%の大学院生を受け入れないと定員を埋められないというネガティブな現状もありますけれども、では逆に学部の中で留学生を増やしていくことは、定員の関係からステークホルダーである国民の子弟を受け入れないことになってしまうという、相反する問題も教育の現場にはあると思います。
 もう一つ、大学院生の質の担保あるいは質の保証について、研究者を養成するという側面と、グローバルな視点を持って各地で働ける、いろいろな局面でリーダーシップを発揮できるような人材という二面性があると思います。例えば、本当に研究を進める人材、基礎研究を含めた研究を実際に進めるすぐれた研究者を養成したいという面も、当然、大学にはありますし、一方で、社会の中ではやはり社会で働ける人材の養成が必要で、グローバルやリーディング大学院など、いろいろな視点を持って海外で活躍できる人材を育てましょうという別の博士学位というものも生まれてきています。ですので、現在の大学院教育というものをどういう形で取り扱っていくのかということも考えてみる必要があると思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。まだ御意見があるかと思いますけれども、次に今後5年間の具体的な取組について、2回に分けて議論をしたいと思います。まずは、個々の人材の質を高めるという視点から、2ページ以降の丸1から丸4まで具体的な取組を御提案いただいておりますが、これについて、どなたからでも結構ですので御意見いただきたいと思います。永井委員、どうぞ。
【永井委員】
 総論のところとも関係があるのですけれども、この基本的考え方を読んでいますと、なんだか聖人君子を求めるような感じがするのです。ある意味では成果主義的な匂いと、それから国としての焦りのような感じがあり、その下で具体的な取組が作られているわけです。恐らく若い人がこれを読めば、とても自分にはやっていられないという重荷を感じて大学院へ進まないという面があるのではないかという気がいたします。
 具体的取組の個々の項目もそうなのですけれども、基盤がまずあり、それから幅があって先端性があるのだと思います。そこには当然、科学とは何か、場合によっては科学の限界、二面性まで踏み込んだような考え方があり、科学の位置づけをまず総論として踏まえた上で、こうした人材育成が必要だと思います。そういう意味で、求めている人材が、余りに理想論ばかりでなく、科学万能主義に陥らないように書かなくては、若い人にはこれは負担になってしまって、むしろ自分はこういうところは向いていないから避けた方が良いという印象を与えるのではないかと思います。これはあくまでも基本的な考えで、科学というものの位置づけをよく説明して、いろいろ良い点もあり、限界もあるという、4期のときに少し書いてありましたけれど、文化としての科学を踏まえた上で、具体的取組を挙げるであれば、私は問題ないと思います。その連関が必要と思います。
【野依主査】
 この委員会ももう少し、人文科学系の先生の御意見も取り入れないといけないと思っております。では新井委員、どうぞ。
【新井委員】
 まだ議論として出ていないように思うのですけれども、先ほどの資料のデータ集の17、18ページ辺りに、博士課程学生、大学院生に対する経済的支援に関するデータが出ています。これに対応するような具体的な取組が抜けているのではないかという印象を持っています。つまり、私が知っている限りは、今、若手研究者、ポスドクの方々に聞くと、多くの人が大変優秀な方でも、300万円以上の借金を背負っています。つまり奨学金を借りている。それを返さなければならないという状況にあります。ですから、研究者は、ポスドクになった瞬間に300万円以上の借金があるという職種だということです。それが大変大きなハードルになっていると思います。私自身、アメリカで大学院を出ましたけれども、1円も大学に払っていません。授業料はもちろん払っていませんし、TAあるいはRAで生計を立てていました。それは、多くの同僚がそうでした。データ集の18を見ますと、TAでもらっている金額は1人当たり月額約8,000円です。これですと、何の責任もなく、少しお小遣いを渡すような金額ですよね。アメリカでは、例えば大学院生1年生になったときから、学部の1、2年生の学生の家庭教師のような形で質問に答えるというところから始まって、2年目にはきちんとした教科書が指定されて授業内容を指定されて、TAをやって授業を持つというところで、もう2年生では教えることも始まります。段階を踏んで教えることも研究も両方ができるようになるような研究者育成のプログラムができているのですけれども、日本では、もう35歳になるまで授業で教えたことがないというような研究者が育成されてしまっているということが、構造的に大きな問題だと私は感じています。ですから、研究者支援と質の高い授業が行えるような指導ができるようなプログラムを連動して行うような取組が、個々の人材の質を高めるというところに入っても良いのではないかなと考えます。
【野依主査】  
 ありがとうございました。私も大学院生の生活支援をしっかりしなければいけないと思っております。なぜお金を渡すかということは国によって違っており、例えばアメリカやカナダ、中国、あるいはイギリスもそうだろうと思うのですけれども、そこでは労働対価。TA、あるいはRAをしたりして、それに対する、言い方は悪いですけれども、労働対価としてお金を渡しているわけです。一方、ドイツなどでは奨学金であって、社会が求める人材を育成するのは州の義務という意味でお金を渡していると思います。この辺りのことをきちんと整理した上で若い人にお金を渡し、きちんと志を持って社会人として成長してほしいと思っています。なぜお金をもらっているか、意味合いをしっかり伝えなければいけないと、私はいつも言っています。では上山委員、どうぞ。
【上山委員】
 先ほど、これを読んでいると、大学関係者あるいは研究者に対する期待が多過ぎるという話がありましたけれども、本当にそうだと思います。こういう政策の話は、先ほど言いましたように、政策はかなり連動していると考えるべきだと思います。例えば典型的な例で言いますと、ここに、研究者倫理をもっときちんとしなければいけないという政策の話も書いています。研究者の倫理を高めるために大学院教育を行っていくことが、一つの独立した政策として掲げられていますけれども、僕はこの話を単なる倫理の問題ではないと思っています。例えば利益相反あるいは研究不正に対する倫理は、アメリカでしたら、各大学がそれぞれ個別のガイドラインあるいはポリシーを作成しています。それはそれぞれ大学によっては随分違います。つまり、そのポリシーやガイドライン、倫理決定に対する政策の中に、それぞれの大学の意思決定あるいはビジョンが反映されているわけです。その中で大学間の競争が行われているということが現状だと思いますけれども。
 例えば、倫理を高めなければいけないから、個々の研究者に何をやってはいけないかということをそれぞれ考えろというのは、僕は何かおかしいと思っていまです。研究のようなクリエイティブな活動をする人に、一人一人が倫理を意識して研究を行えというよりも、研究者を引き受けている研究機関が倫理の指針をマネッジするべきです。つまり、ガイドラインを付けて、研究者はこれらを守っている限りは、あとは自由にやって良いですよ、すなわち、研究の自由度を高めることも倫理規定の役割です。あるいはビジネスとの関わりについても、どこまでならばビジネスと関わって良いのかということがきちんと定められていれば、その範囲の中において自由な発想をすることが許される。つまり、研究者の自由度を担保するためのガイドラインあるいは倫理条項であって、研究者に個別の倫理観を押し付けるようなものになってはいけないと思うのです。つまり、できる限り個々の研究者の自由度と発想と能力を高めさせていくようなものがガイドラインであり政策であって、そのような意味では、実は個別の政策とかなり連動している。
 例えば倫理の政策に関してはイノベーションの政策と連動している。そういう視点の中で個別の政策を見直して、これが一体、どのような研究者のインセンティブを高めていくか、あるいは個々の大学院のインセンティブを高めていく政策になっていくのか、ということを考えなければいけない時期に来ていると思います。ですから、目標設定の問題ではないのではないかと思うのです。そういうことを少し申し上げたいと思いました。
【野依主査】
 ありがとうございました。では稲葉委員、どうぞ。
【稲葉委員】
 いろいろな取組が開始されていることが書かれておりますが、多くの場合、それらの事業を始めると言われて、競争的資金のような形で応募して、支援はしていただくのですけれども、一定の年限で終わってしまうというところに多くな問題があると思われます。例えば女性研究者支援にしても支援期間は3年で、あとは各大学で行うこととされています。そのため、お金がなくなった途端にその事業の取組そのものが大学内でなくなってしまうというところが、女性研究者支援では結構あります。ですから、本当に若い女性を採用しても、育児の支援を必要とする人達はいなくならないのですから、そういう支援を恒久的に継続していくという姿勢が見えなくては、女性研究者を支援していくという姿勢とは見えないのではないかと考えます。グローバルにしてもリーディング大学院にしても、それぞれがやはり7年や10年、あるいは5年という文科省からの支援に期限があるので、新しい視点で新しい教育を始めても、支援の中のある部分は大学院生に対する生活支援も含まれていますから、それらも期限が来ると打ち切られてしまうという現状です。実際に、次々と目先を変えた新しい事業が出てくるのですけれども、前の事業をどういうふうに切り替えつつ、新たな事業につなげていくかというところを、私たち自身も考えないといけないのかもしれませんけれども、やはり政策の側としても考えていただけるとありがたいとは思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。永井委員、どうぞ。
【永井委員】
 そういう意味で、この基本計画もそうですし、人材育成も、あらゆることが連動しているわけです。是非、先ほどサイエンスマップという言葉が出ましたけれど、これはある意味で、基本計画マップや人材育成マップで、それぞれの項目がどういう構造になっていて、どういうふうに連関しているかということを、1度押さえておく必要があるのではないかと思います。この計画自体が複雑系になっているわけです。それをよく踏まえた上で要素に還元していかないと、下手をすると要素還元的な計画になってしまって、うまくいかないのではないかという気がします。
【野依主査】
 事務局で俯瞰的に理解できるように、分かりやすい絵を作ってもらえますか。
【林科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官】
 努力いたします。次回か、全体像を議論するときかどこで、お見せできればと思います。
【野依主査】
 よろしくお願いします。では木村委員、どうぞ。
【木村委員】
 企業との接点について一つコメントさせていただきます。社会人大学院ですが、これは是非、充実されると良いと思います。やはり社会人は、リアルワールドに経験があり、特に市場ニーズについては非常に研ぎ澄まされた感性を身につけた上で、いろいろな課題を抱え、その答えを探しに大学院に入ってくるという例が多く見受けられます。ですから、そういう目的意識がはっきりした人間に教育と研究する機会を提供すれば、市場のニーズに応える研究が展開され、人材が輩出されるだろうと思っています。
 ですから、今、大学ではトランスレーショナルリサーチが注目され、研究成果が既にあって、その出口として世の中でどう役立てるかという議論が活発です。しかし発想を変え、出口を入口に変えもっと市場ニーズドリブンにしたらどうなるか。御省もバックキャスティングという考え方をお持ちですが、それを本気になって実践するような研究人材を養成する時機にあるかと思っています。
 それから、前のセッションの続きになるかもしれませんが、企業はもっとポスドクを雇えとか、女性研究者を雇えというご意見については、そのような結果になってほしいということでは大賛成ですが、企業、特に世界に展開している企業にとっては、彼らは、ボストンとかサンフランシスコとか上海で、もう既に大勢のポスドクを雇っていますし女性研究者も雇っています。企業としては世界の人材市場の中で他社と競争しながら必要な人材を必要な地域で雇っているわけです。日本という一部の地域を取り上げて注文をつけるのは企業の立場からするとちょっと筋違いな議論と思われるかもしれません。まずは日本の社会体制などの深いところを議論しないと、なかなか本質的には解決されないのかなと思っております。
【野依主査】
 ありがとうございました。では五神委員、どうぞ。
【五神委員】
 先ほど濵口先生が御指摘された31ページ、資料2-2の図を見ますと、この図は、ポスドクの分野構成比と企業の研究者の分野構成比を示しています。この企業の分野構成比は、現在の産業界において、こういう研究者が企業で必要であるという割合で、工学、理学となっています。これが、現在の産業界にいる人材ストックです。これを今後どう活用していくか。ここからもイノベーションを起こさなければいけません。それから、左と右は明らかにずれがあります。現状の中で、これを最大活用しながらどう変えマッチングを高めていくか。その意味で、社会人の博士、社会で活躍している工学で優秀なノンディグリーの方は多いと思うのですけれど、その方々にディグリーを与えて、産学連携の中で新しい産業を作っていくという活動をしていくことも重要です。
 これと、例えば教員の分布についても同じような図を作ったときにどういうミスマッチがあるかを示すことも重要です。それをふまえて両者の構成をモディファイしていくべきです。その中で、是非新しい成長の力を作っていくという設計をしていただきたいと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。ほかにございますか。細野委員、いかがですか。
【細野委員】
 今、社会人ドクターが非常に良いという話でしたが、現状は、よく御存じでしょうが、社会人ドクターは実体の伴わない人が多いのです。社会人ドクターが余りに増えて、幽霊ドクターが増えてしまうから、むしろ社会に出て、ドクターコースに行かないで学位を取った方が良いではないかという話になっているわけです。そういう現実もあるということです。社会人ドクターが余りスクーリングしなくても簡単に取れるので、無理にコースに3年行くことはないではないかということが現実に起きているわけです。ですから、社会人ドクターが、今言われるような、本来は非常に良いことだと思いますけれども、現状をきちんと把握しないと、それは単に抜け道を作るだけになってしまい。かえってモラルハザードになってしまうと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。では五神委員、どうぞ。
【五神委員】
 今の御指摘は非常に重要な点で、今広まっている社会人ドクターは質保証という点でも多くの問題があります。そうではない新しいシステムを作る必要があります。要するに、日本の場合、優秀な人が修士でやめて就職しているのです。ですから、その方々を掘り起こしてディグリーを与える仕組みを新たに作るという意味です。
【野依主査】
 ありがとうございました。
【木村委員】
 現在の社会人ドクターに課題が多いということについて、私も同じ意見です。社会人ドクターは、所属する企業、学生自身、それに教員が揃って苦労しています。アメリカのビジネススクールは勤め先を辞めて入学するというのがスタンダードですね。ああいうものを参考にする必要があります。
【細野委員】
 企業がスクーリングする時間をシステム的に担保してくれないと、優秀な人間は会社にとっても役に立つので、そんな二足のわらじを履かせたら潰れてしまいます。ですから、どこかできちんと現実を見極めた話をしなくては、今のシステムでは、本当に優秀な社会人ドクターがなかなか来られませんし、取れません。現実を踏まえた制度設計をしなくてはまずいと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。次に参ります。次に、イノベーション創出の可能性を高めるという視点から、6ページ目以降、丸5から丸8まで具体的な取組を御提案頂いております。これについて御意見頂きたいと思います。
【西尾委員】
 丸4でもう一つだけよろしいですか。
【野依主査】
 では西尾委員、丸4についてどうぞ。
【西尾委員】
 裾野の拡大ということについて、初等中等教育の段階までさかのぼって裾野の拡大を図るということは、今後非常に重要なことだと思います。例えばAのところで書いてありますように、さまざまなコンテストやスーパーサイエンスハイスクールなどが急速に拡大しているのですけれども、そのような方法がどれだけ裾野の拡大に貢献しているかということは、一度、その効果を評価することが大事かと思います。そうでなければ、このような流れは拡大の一途をたどるような気がしていまして、それが本当に初等中等教育の現場として良い効果を生むのかどうかが不確かだからです。
 それから、教員の養成について、Aの二つ目の項目がございますけれども、例えば私自身が所属しています情報処理学会等においても情報分野の教員の再教育に関する事業を展開しております。そういう観点から、該当分野の学協会をうまく取り込んで教員のさらなる質の向上をすることも可能なのではないかと思います。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。それでは丸5から丸8についてお願いしたいと思います。これは細野委員が御専門ですけれども、セクター間の積極的な移動を促進するということで、機材の問題などはどのようにお考えになりますか。あるいは国際間の研究者の移動などは。
【細野委員】
 今、野依主査が言われたことは、日本企業というものは実際は何だろうかということです。国益とは何だろうかということを考えますと、なかなか悩ましくて、本当のことは実は分かりません。日本の基礎研究から生まれてきたものは日本の企業がやってくれる。これが一番単純で良いわけですけれども、そういう時代ではなくなってきて、日本の企業はどんどん海外へ出てしまうし、全体としてイノベーションを担う、基礎研究から出てくるものは、実際には社会に還元できるものとしては論文と知財しかない。人材はもちろんありますけれども。知財の部分は、実行されて初めて意味があるわけですけれども、その部分が日本の企業がそんなにやらなくなってくると、これは一体どこにやればいいのだろうか。どこの国にやればいいのだろう。企業にはもう、籍というのは余りないですから、どこに税金を納めているかだけですので。そういうことを考えますと、これは非常に悩ましい。
 それから、繰り返しますけれども、留学生の問題があります。留学生はたくさん来たら、それは良いことなのか悪いことなのか。海外の企業から研究生を受け入れたら、それは良いことなのか悪いことなのか。その辺りのところも非常にナイーブで、現場としてもこれは非常に困ります。何をもって国益かとするのが非常に分かりにくい。そうすると、50対50ぐらいですと、面倒くさいから嫌になってしまうわけですね。けれども実際の日本のイノベーションを担っているのは、海外からの人なのです。50%ぐらいのドクターコースは海外からの人なのです。それを全部鎖国でできるか。そんなものはできっこないわけです。その辺りのところを、感情を交えずに、どうしたら良いか。先ほどの、人材を海外から入れるということも含めて、非常に真面目に考えた方が良いと思いますけれども。
【野依主査】
 ありがとうございました。では松本委員、どうぞ。
【松本委員】
 全体の話なのですけれども。教育の効果を高めるというところですけれども、たまたま一昨日、文科省の産業界ニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業の合同フォーラムがありまして、14の大学の学生がいろいろ議論しながらアクションプランを発表したのですけれども、すばらしい発表でした。これは、特定の1大学の学生が議論したのでは多分出なかったと思うのです。つまり、多様な、いろいろな方々が議論する中から新しい発想が出てくるという、非常にすばらしい発表だったと思うのですけれども、その中で私は企業ももっともっと大学に入っていって、リアルな課題を大学の学生や先生方と一緒に議論する場のようなものが必要ではないかと思います。
 たまたま大阪大学、ビジネスエンジニアリング専攻科というユニークな専攻科があり、招聘教授で行って、ビジネスプランや事業プランといった私が抱えているリアルな課題を工学部の学生に議論してもらいました。企業の人間が気付かないような観点で提案があったり、非常におもしろい提案でした。こういうイノベーション創出を、もっと本当に成果あるものにするためには、プラットホーム的な、拠点的なものが今正に求められているのではないか。つまり、それぞれの質を高めるとか研究開発とか、それは自分たちの機関でやるのですけれども、でもそこに閉じこもっていたのでは、自分のポジションがもう分からないのです。つまり、あるべき姿に向かって自分がどの位置にいるかということは、やはりいろいろな方々がいるような場に入っていって、そこで議論する中で、自分のポジションというのがある。まだまだ足りないところが多いとか。そういう多様なパートナーが集まって、教育もそこで施すような、場合によってはプロジェクトが出てくるような場。そういう、オープンイノベーションのプラットホーム、拠点みたいなものがもしあれば、これはすばらしいと思います。
 そこで教育というのは、MOT、技術経営ですね、科学技術の先生だけではなくて、マネジメントの先生もそこに入っていただく。そういう場があれば、行ったり来たりすることによって、足りないものは何なのかといった自分の成長の度合いが測れるし、場合によったら、そこでまた成長するような拠点作りを、是非、大きな話ですけれども考えていただきたいです。
【野依主査】
 では細野委員、どうぞ。
【細野委員】
 水を差すようで申し訳ないのですけれども、学問とはそんなに甘くないのです。そんな、MOTだ何だって、僕らも引きずられて21世紀COEプログラムのときに新しい試みをやったことがあるのですけれども、やはり学問を極めるというのは、それだけで大変なのです。最近は進歩が速いですから。それに対してキャッチアップして、且つ先端を切り開くというのは、そんなに甘いものではなくて、分野融合とか余り簡単に言わないでほしいと思います。分野連携は分かりますけれど、分野融合なんて、そう簡単にできるものではありません。我々は個々の専門をやっていくだけで、現実の学生だって精いっぱいなのです。そこが強くなくて、そんなMOTだ何だ、余計なものをたくさんやってしまうと、大学の本質が分からなくなってしまう。
【野依主査】
 ありがとうございました。では、永井委員、どうぞ。
【永井委員】
 丸6の移動の促進というものは非常に重要だと思うのですが、ここに給与制度、雇用制度とありますけれども、それだけではなくて、研究費制度も重要と思います。施設を移動した研究者を対象とする研究費を作るとか、留学から帰ってきた人のための研究費など、ここに新たな研究費制度を入れていただきたいと思います。
【野依主査】
 インセンティブが大事だと思います。では伊地知委員、どうぞ。
【伊地知委員】
 基本的な大きなところになるかと思うのですけれども、例えば丸7の表現、それから丸5でも同じなのですけれども、表現が、それなりの方向性が表してあるのではないかという観点からのコメントなのですが、丸7で言うと、「世界の『知』を効果的に取り込み」とあります。それから丸5、「多様な人材を集め」とあります。これはギブアンドテイクで言うとテイクだけですね。そうではなくて、やはりギブをすること、つまり、日本の中で、こういう研究開発活動、あるいはそこで人材育成というものが行われて、それから発していくというイメージを持つと、自然と集まってくるものだろうと思いますので、そういった方向性が共有されると良いのではないかと思います。
【野依主査】
 ありがとうございます。では濵口主査代理。
【濵口主査代理】
 先ほどの松本委員、細野委員のホットな議論になかなか組み込めなかったのですけれども、産業界と大学の連携をプラクティカルに、もっと現実的に進める場を作ることは非常に重要だと思うのです。今、COI(Center of Innovation)がその役割を担い始めていますけれども、どこまで施行できるかはこれから正念場だと思いますけれども、全国の各地の大学に、産業界に積極的に入っていただいて、教育もしながらインターンシップもしながら、オープンイノベーションの場を作るということをやっていく作業だと思います。それをもっと強化して、法的にも、知財的にもそごのないようにやっていただく必要があるということと、細野先生の言っておられることは分かるのですけれど、仕事を分担すれば、つまりとんがった分野を先端的にやる人材と、マネジメントをやる人材、知財をきちっと管理する人材と分けていくことがこれから必要で、俯瞰的な視点を持って全体を束ねる人材も必要なので、そこを分野別にうまく組み合わせながら、有機的な組織体を作る試みがこれから本当に必要だと思うのです。是非、そこのところを御理解いただきたいなと思います。
【野依主査】
 では、上山委員、どうぞ。
【上山委員】
 専門の周辺を拡大していくことの重要性の話をすると、必ず出てくるのがディシプリンの衰退で、日本は本当に危機的な状態になると思うのです。確かにアメリカがやってきたことは、その周辺を拡大して行ったのですが、ではそれによってあの国でコアのディシプリンが衰退したのか。そんなことはありません。僕は例えばスタンフォードの話をするのですけれども、よく言っているのは、人文科学においてさえも、あの大学は周辺社会への対応拡大して行ったのですが、それによって、人文科学のディシプリンが衰退しているとは到底思えないのです。むしろ僕は、1970年代にアメリカの基礎研究あるいはディシプリンの真ん真ん中のところが財政的に非常に困窮し始めた。そのときにとったアメリカの戦略は、社会との関係の拡大の方針であった。それによって、僕はアメリカの基礎研究はむしろよみがえったと思います。
 その意味では、例えばこういう話をしたときに、外国人を何人入れるかや、女性を何人入れるかなど、あるいはMOTのプログラムをどれぐらい作るかという数値目標ではないのです。これを推進していくことこそが、実は本当の本丸のディシプリンの重要なところを高めていくという意識を大学人は持たないといけないと思います。それが、アメリカが経験したことであって、それをわざわざ数値目標を作って、達成していかなければ予算を減らしますよという政策をやめた方が良いと思うのです。なぜならば、本当にピュアなサイエンティストで、本当にノーベル賞に行くような人たちを、マネジメントも含めて、それから知財も含めて、きちんとバックアップするような大きな人材といったものがたくさん大学の中にたまってこなければ、一番中心的なディシプリンも衰退していく。そのことは多分、80年代のアメリカが実は経験したことで、そのためには、個々の大学が自らのビジョン作っていくことが求められていると基本的には思っているのです。ですから、数値目標を作ったりしていくことが、本質的な議論を形骸化してしまう可能性があるということです。
 それから重要なことは、この方向が国家の戦略に関わっているということです。例えば知財の話で言うと、バイ・ド-ル法にはもう明確に、そこで取った特許は外国の企業に渡してはいけないと書いてあるわけです。つまり、知財戦略を行うときに、アメリカは明らかに国家戦略の中で知財戦略を動かしているし、したがって、大学の中で出来上がったものの知財は必ずアメリカのベンチャー企業に渡せと書いてあって、そのことに抵触した者がアメリカの議会の中で、公聴会の中で議論されたりしているわけです。そこには明らかにそういった戦略の中であるわけです。だから、そういうものを含めて、戦略的にこの問題を考えていって、国家戦略の中に落とし込んでいくかという視点がとても重要だと思うのです。その意味で、この話を形骸化させていくことによって、本質的な、サイエンスの一番守らなければいけないところが、逆に大きな傷を負ってしまう。今の日本の状況を鑑みてとても恐ろしいと思います。
【野依主査】
 木村委員、どうぞ。
【木村委員】
 8番のイノベーション人材育成ですが、ここにありますベンチャーマインドを育てる教育をどうするかということは大きな課題です。例えば経営のスキルセットである、会計や経済、統計などの勉強は学校で十分に教育できますが、マインドの教育になりますと、学校の座学だけでは不十分で、やはり社会人としてリアルワールドを体験しないと議論はできません。知らないうちは、畳の上で水泳の勉強をしているようなものです。ですので、大学生は卒業した後一旦社会に出て、リアルワールドに触れて欲しい。課題を自分で発見しそれを背負って、大学に戻り多様な人々が集まってベンチャーマインドを育む教育を受ける。その上でようやく、自分が何をしたいかわかってきて自分で新会社を起こすようなことができると良いかと思います。
社会人学生ではなく、一般の学生に対し社会とのリアルな接点を提供しようとしたら、やはりインターンの経験が一番効果的だと思っています。インターンをもっと充実させ幅広く大人数に提供できると教育効果が格段に上がると思いますし、イノベーションの人材育成には随分役に立つのだろうと思います。しかし現場では、学生当人にとっては、自分の本来の研究との時間の配分で、非常に悩んでいるところだと思います。いずれにしても、社会人に対しての教育システムを大学でどのように担うかということがこれからの大きな課題になると思っています。以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。では五神委員。
【五神委員】  
 具体的に施策を考える上で、先ほど細野先生等との議論の中にもありましたが、6番の知の産業化、社会技術等への発展というものの実際の中身をどう捉えるか。要するに誰のために行うのかということについて、これは国の施策ですから、先ほど知財の話もありましたけれど、日本人の雇用を創出し、日本人の所得がきちんと増えるような活動につなげていくものでなければいけないと思います。要するに、現在の産業活動と遊離したものであってはいけない。けれども、先ほども申しましたように、現在の産業活動が、今のままでは駄目だということが分かっている中で、その資源、ストックを最大活用しながら変えていく。結果として投資している国民にきちんと還元されるシナリオが必要です。それがうまくいって、10年、20年後に、例えばイノベーション、ベンチャーがどんどん出ていくというような形が社会に実装されるというものを予見て、そのための人材育成を着実にするということを二面的にやっていくべきです。その中で日本の産業が連続的に発展していくという形でないと、産業界等からの支援、支持はなかなか得られないのではないかと思います。実際、そこにいる人材をハッピーな形に持っていくことは、第5期において非常に重要で、そこを工夫すべきと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。では西尾委員、どうぞ。
【西尾委員】
 丸5のBのところで、産学官の多様な人材が結集する「共創の場」の構築に関する記述について、その場が、共同利用・共同研究拠点や研究開発法人という、一部、限られたものになっています。私は、こういう共創の場というのはもう大学のどこにおいても作られていく必要があって、しかも、先ほどから出ている、どのように質の高い人材を育成するのかということもきっちり考えるような場を、大学全体、高等機関全体に作っていく必要があるのではないかと思います。
【野依主査】
 ありがとうございました。本日は非常にいろいろな意見を頂きました。本日、皆様から頂いた意見につきましては、年末の中間まとめに盛り込んでまいりたいと思います。なお、次回のテーマ以降も、本日の議論と同じような形で進めてまいりたいと思っております。
 最後ですが、議題3「その他」となりますが、今後の委員会の日程等について事務局から説明してください。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 お手元の資料3「今後の総合政策特別委員会の議題について」を御覧いただければと思います。次回、第4回は、10月3日金曜日、10時から12時半にて開催いたします。個別論点の議論として、「オープンイノベーション時代、グローバル時代における研究開発、成果活用・社会実装の在り方」、「国家存立の基礎となる技術開発(コア技術、共通基盤技術)、研究開発基盤の在り方」がテーマになる予定です。5回目以降は資料3のとおりです。詳細な議題、出欠の御確認などにつきましては、改めて事務局より御連絡させていただきます。
 また、本日の議事録は、後ほど事務局より委員の皆様にメールでお送りさせていただきます。御確認いただきました上で、文部科学省ホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 本日の資料につきましては、お帰りの際に、封筒にお名前を記入の上、机上にお残しいただければ、事務局より後ほど郵送させていただきます。事務局からの連絡は以上です。
【野依主査】
 ありがとうございました。以上で、本日の科学技術・学術審議会第3回総合政策特別委員会を終了させていただきます。ありがとうございました。

お問合せ先

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当))

((科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当)))

-- 登録:平成26年10月 --