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総合政策特別委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成26年8月6日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」

東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階

3.議題

  1. 科学技術イノベーションの動向について(科学技術振興機構研究開発戦略センター及び科学技術・学術政策研究所からの発表)
  2. 関連審議会、組織等の検討状況について
  3. 今後の検討の方向性について
  4. その他

4.出席者

委員

濵口主査代理、新井委員、伊地知委員、稲葉委員、上山委員、春日委員、五神委員、庄田委員、白石委員、竹山委員、知野委員、土井委員、西尾委員、細野委員、松本委員、結城委員

文部科学省

戸谷官房長、徳久総括審議官、岩瀬政策評価審議官、佐野審議官(高等教育局担当)、山脇審議官(研究振興局担当)、関大臣官房文教施設企画部長、常盤研究振興局長、田中研究開発局長、榊原科学技術・学術政策研究所長、川上科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、江﨑科学技術・学術政策局企画評価課長、坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官、ほか関係官

5.議事録

【濱口主査代理】
 それでは、お時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会第2回総合政策特別委員会を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、またこの暑い中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日は、主査が御欠席ということですので、私が代理で司会・進行を務めさせていただきます。
 会議開催に当たりまして、まず、前回、御欠席の委員を御紹介いただくとともに、事務局メンバーに交代がありましたので、御紹介をお願いいたします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 前回、御欠席の委員を御紹介させていただきます。本委員会の名簿は参考資料1にございます。名簿の記載順に御紹介をいたします。
 まず、本日、司会・進行を務めていただいています濱口道成名古屋大学総長でいらっしゃいます。本委員会の主査代理でいらっしゃいます。
【濱口主査代理】
 濱口です。よろしくお願いします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 続きまして、竹山春子早稲田大学理工学術院教授でいらっしゃいます。
【竹山委員】
 よろしくお願いいたします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 知野恵子読売新聞東京本社編集局編集委員でいらっしゃいます。
【知野委員】
 よろしくお願いいたします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 結城章夫前山形大学長でいらっしゃいます。
【結城委員】
 結城です。どうぞよろしくお願いします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 続きまして、先月末の人事異動により文部科学省からの出席者に変更がございますので御紹介いたします。科学技術・学術政策局次長、岸本康夫です。
【岸本科学技術・学術政策局次長】
 岸本です。よろしくお願いします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 科学技術・学術政策局企画評価課長、江崎典宏です。
【江崎科学技術・学術政策局企画評価課長】
 江崎です。よろしくお願いします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 以上です。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。それでは、資料の確認をお願いいたします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 資料につきまして、お手元の議事次第の裏にございますとおり、資料1-1から参考資料5-2までを配付しています。欠落等不備がございましたら、議事の途中でも結構ですので、お手数ですが、事務局の方までお知らせください。どうぞよろしくお願いいたします。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。それでは、早速議事に入りたいと思います。「議題1、科学技術イノベーションの動向について」。科学技術振興機構研究開発戦略センター及び科学技術・学術政策研究所から御発表いただきます。
 まず、科学技術振興機構研究開発戦略センターから、資料1-1から資料1-3について、研究開発戦略センター長の吉川弘之様及び研究開発戦略センター上席フェローの林幸秀様から御説明をいただいた後、一旦、質疑応答の時間をとりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 それでは、早速ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
【吉川科学技術振興機構研究開発戦略センター長】
 吉川です。最初に、林さんの前に私がお話しいたしますが、時間は10分ということですので、10分で話せるかどうか分かりませんが、努力をしてお話させていただきます。資料1-1と資料1-2を使いますが、資料1-1だけが主な話で、今日はこれに沿ってお話します。資料1-2は、順序が少し変わっていますが、題目は同じですので、題目に沿って御覧いただければやや詳しいことが書いてあります。
 それでは、お話を始めますが、この題名にありますように、第5期の科学技術基本計画というものは、やはり従来と違わなくてはいけないのではないかという一種の問題意識を持っています。過去の基本計画というのは、改めて全部通読いたしますと、大変立派なことが書いてあるのです。しかし、何となく文脈が不明であるという気がします。それは、読む者がどういう役割でこれに応えていくのかということが不明であるということ。読み進むうちに、書いてあることの背後には、変わることのない堅牢(けんろう)な構造が見えてきて、そこに立ち入らない書き方になっているということで、これでは本当の意味で科学技術イノベーションという我が国における体制を変えることができないのではないかというふうに問題意識を持っているのです。
 そういうことで、最初の基本認識にありますように、現在は、この第5期の基本計画というのは、日本の科学技術を全体的に変革する好機なのだということ。そのためには、大変各層の協力的あるいは知的な協力というものを必要とします。
 この認識の下、実施する構造を変える骨太の方針という提言を言っているわけですが、そういうことを実現するためには、関係省庁及び文部科学省の組織の壁を取り払った議論と実践が不可欠であるというふうに私は考えています。
 それは一体どういうことかと言いますと、基本計画を見ますと、国はこれこれをすべきであると、こういうふうに書いてあります。国というのはもちろん全員ですから、いろいろな意味で解釈ができるのですが、そうではなくて、実は、科学を進める人々というのは、今回、これは「アクター」と呼ばせていただきますが、社会の中に多数存在していて、このアクターはこういう役割である、別のアクターはこういう役割であると、こういうことがはっきり見えるような一つの視点というものを持ち込まなければいけないだろうと思います。
 そういうことをすれば、この一つの科学者の共感あるいは科学者だけではなくて、科学に関わる者が共感するということが可能になります。
 これは、3行目にありますが、この関係する者というのは4行目から、科学者のほか、初等中等教育者あるいは研究機関の経営者、もちろん研究費の配分者もありますし、研究の補助者、あるいは学生や一般国民も入ってくる。そういう人たちが、皆お互いに関係しながら、科学技術イノベーションというものを進めていくわけです。当然、そこには企業の人々も入ってくるというわけです。
 こういった人たちが、実は、この参考資料の3ページにあるようなループを作らなくてはならないと思うのです。これは、説明する時間がありませんが、ロバストな進化型のループを作るということで、この社会の科学技術のステークホルダーたち、アクターたちが協力をするという構造を作らなければいけないという提言が必要だろうということです。もちろん、これはこういった、いわゆるアクターだけではなくて、政策を作る側、当然、政治あるいは政策立案者ということですが、こちらの方も、当然、同じグループを作らなければならないのですが、それについては、同じ参考資料4ページにありますように、いわば同形、アイソモルフィックなのですね。この構造を持っている。しかし、現在のところ、この政策立案、政策空間というものと実施空間の間にきれいな対応が見えていません。これが、私が先ほどから申し上げている、役割意識がはっきりしないということなのですが、そういった問題があって、これを写像関係とする、それがシンクタンクなのです。
 そういうことで、今度は2番目にいきますが、研究達成と人材成長の一体化ということで、これは、恐らく、現在、一番問題になっているのではないかと思います。これは、実は第3期基本計画で大変議論されました「物から人へ」という標語があって、これについて大変詳しい、科学技術イノベーションに関わる人間はこういう人たちがいるのだということの分析と、その役割が書いてあるのですが、実は、それが実施されていないというのが、残念ながら現状であるということです。
 その達成をしなくてはならないということですが、それは、やはり第3期基本計画には欠けておりました、より深く入り込んだ具体性ということかと思います。ここに書いてありますように、研究というのは多様ですから、例えば生命科学の研究と物理学の研究においては、研究する人、これはリーダーもフォロワーも全く違う構造を持っているし、研究の中で役割が違うのです。そういったことで、そういう人たちがどういう役割を果たすかということも言わなければいけない。特に、若手研究者が物理学研究の中ではどういうふうな責任と権限を持つのかというようなことも言わなければいけない。分野を限定しないで、そういうことを言っても駄目なのです。一方、生命科学においては全く違います。物理学は、御存じのように、いわば法則の城という形でできている中に研究者たちは生きているわけであり、一方、生命科学の方は経験の草原と言いますか、法則の城というものはないわけで、そういう中での研究者の在り方は全く変わってくるわけです。そういった問題がなければいけません。
 もちろん、一方で基礎研究と臨床研究というものの違いによって、特に若手研究者に目を当てれば、その役割は全く違っているわけです。そういうことを意識した上で、若手研究者が伸びるというための配慮をする必要がある。本当は、そういうことが科学技術基本計画に書いてなきゃいけないのだと思うのです。そして、同時に、この2の最後にありますように、育成される若手研究者の進路についても、十分な配慮をしなきゃいけない。これは、実は11ページの第4図というところに描いてありまして、御覧いただきますと分かるように、ポスドクの行き場がないという問題が、今、あるのですが、このポスドクの行き先というのが、よく考えるとあるのです。しかし、これはおおむね制度的な壁によって、このフローができていないということです。逆に言えば、これは制度的に解決可能であるということで、これを解決していないということは、政策側の懈怠(けたい)、怠慢であると言うしかないのではないかと私は思っています。
 そして、研究費も非常に重要なことです。現在は研究者の研究費というのは、大学、研究機関ですと、運営費交付金か競争的資金となっているのですが、競争的資金によって、非常に多くの新しいアイデアで、次々といろいろな制度が実行されますが、それがステーブルでないということ。それが、ある意味では、研究をする者にとっては急変というような感じであって、うまくそれに付いていけないというようなことがあります。そういった問題があって、運営費交付金を含む基盤的な資金等を含む国全体の資金制度というもの全体を見ながら、バランスのとれた、整合性のある資金制度の実現、これが不可欠であるというふうに考えているのです。
 その中で、特に、いわば、先ほど法則の城と言いましたが、いわば既存の学問という形でいろいろな分類ができている科研費のような研究費は、そこからはみ出したものについては研究費が取れないのです。これは、本当はいけない。新しい学問というのを常に追求するためには、競争的資金よりも緩い研究費というのが必要で、恐らくこれは運営費交付金の一部が、そういうものに充てられるというような可能性を持つということが必要になるのではないかと私は考えています。
 それから、社会のための科学というのが次に出てまいります。これは何かというと、これは、今、既に非常に広く言われていて、科学というのは税金でやっているのですから、科学者というのは、その成果を社会に還元しなきゃいけない、ことは当然のことであります。これは、第4期基本計画になって非常に強く言われ始め、社会における課題を達成する、すなわち、課題達成型イノベーションという言い方が強く出てきたわけであります。
 しかし、ここですぐ気が付くのですが、その計画に書いてあります課題群というのは、エビデンスがないのです。それは、よく言われていることとか、いわば普通のことが書いてある。そうではなくて、課題を発見するという概念を、ここで導入しなければいけない。変動する社会の中で、国際関係の中で、今、一体何が課題なのかということは、これは研究して発見するものだと思うのです。それを、過去にはないが、「課題の科学」と言わせていただいて、こういったものをきちんと基礎として付けなければいけない。これは、人文社会科学系が主導する研究だと、私どもは議論の中でだんだん気がついていますが、そういった意味で人文社会科学系の方々の、こういった分野に入ってくるということが非常に大事になってきます。
 同時に、今度はそれを「解決の科学」というのが課題の科学に対応してあるわけで、この「解決の科学」というのは従前の研究に近いのですが、特に社会のためということになると、途端に、それは特定領域の研究ではなくなり、文理を超える超領域の戦略研究になるわけです。そういった問題があって、これはまた大変難しいのですが、「社会的期待と科学との邂逅(かいこう)プロジェクト」というような名前を付けて、研究開発戦略センターでいろいろ実験的な試みをして、幾つかの提案もしていますが、可能性が十分にあるのではないかというふうに思います。これは、現在、進行中のCOI(センター・オブ・イノベーション)プログラムあるいはSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、さらに橋渡し研究といったものと思想的に同じでして、そういったものを、単なる制度としてではなく、その背後にどういう哲学や考え方があるのかということを、第5期基本計画ではしっかりまとめ、それを説明するということが不可欠であると考えています。そうしないと、この基本計画の連続性というのが保てないだろうと思っています。
 最後に、科学技術政策に関する助言ということで、これは、科学技術政策のシンクタンクという、政策空間と実施空間というものの間を、写像を取り持つ一つの考え方というんですが、これは、政策的意図、これは国民の意図だと思いますね。そういうものと、科学者の動機というものを同時に理解するような人というのが必要になります。その人の条件として、科学研究経験を持つことによって、科学研究者と対等に議論できること、政策立案の経験を持つことによって、政策立案者と協力的な作業ができることが考えられます。これらの二つを持っている人というのは、実は、日本には余りいないのですが、そういった仕組みは絶対に必要で、そういう中間を取り持つような人材、そういう若手が育ってくるような仕組みというものも作らなきゃならない。そのためには、科学技術政策シンクタンクというようなものが必要と考えていますが、そういったことも、この数年間、そういったことが可能かどうかということを、研究開発戦略センターで検討して参りましたが、それは大変意味のある仕事であると同時に、また、その若者も、そういう仕事を好んでするという人も、潜在的には十分いるということが分かってまいりましたので、そういったことが必要だというふうに考えています。
 以上のように、私の提案は、第5期科学技術基本計画というのは、具体的に誰のことを言っているのかということが分かるような表現に変え、従来、いろいろ出てきたアイデアというものをすっかり書き換えるというふうにするのが必要かと思っています。
 以上。
【林科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー】
 それでは、引き続きまして説明をさせていただきます。
 吉川センター長の下で、海外動向ユニットの上席フローを務めています。海外動向ユニットといいますのは、常勤、非常勤を合わせて10名前後でございまして、アメリカ、それから英独仏の欧州主要国、EU、中国、韓国と、こういったところを中心にしまして、科学技術イノベーションの動向を継続的にモニターしています。
 これまで、我々が調査・分析した情報に基づきまして、各国の状況をまとめたものがお手元に配付されています資料1-3の2ページ目以降に順次書いてございます。
 ただ、本日は時間が限られていますので、その中から1ページ、詳しい方は後ほどお読みいただくということにしまして、1ページ目で、主要国の科学技術イノベーション政策のポイントについて、説明をしたいと思います。
 まずアメリカですが、アメリカは、強大な経済力、軍事力というものを背景にしまして、世界をリードする立場にあります。
 3Dプリンターあるいはビッグデータ等を含めた様々なIT技術あるいは手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ(da Vinci)」、こういった、現在、科学技術で輝いているテーマというのはほとんどアメリカ発です。
 それから、大学や研究機関の基礎研究から応用研究の力においても他国の追随を許していません。
 気掛かりな点としては、軍事費削減に伴いまして、科学技術関係経費の半分を占めています軍事関係研究費というものが減少していることですが、それでも、NIH、NSFを中心とした分厚い基礎研究費あるいは寄附金を基にした巨大な研究費を配分する民間財団、あるいは世界の人材を吸収し活用する研究システム、旺盛な意欲に支えられたベンチャーといったものによりまして、世界一の地位というのは、当分、揺るがないと思っています。
 続きまして英国ですが、英国は、伝統的な強さを誇ります基礎科学力は非常に健在です。それは、科学論文などの指標でも非常に高いレベルになっています。ただ、民間で研究開発投資を積極的に行う産業というものが非常に弱いために、お手元の1-3の資料の最後のページを見ていただきますと、英国は、主要国の中では、研究費あるいは研究者数の指標で非常に低い位置にあります。とりわけ、研究開発費の対GDP比1.73というのは大変低い数字です。そういったことで、現在、英国では、もともと産業革命を起こした国ですので、製造業再建ということに向けまして、政府も積極的な政策を進めています。これが、今後の注目すべき点だと考えています。
 続きましてドイツです。ドイツは、ヨーロッパの中で基礎科学力、産業技術力あるいはイノベーション力といったものについて、非常にバランスがとれた国であるというふうに考えています。輸出総額におきましても、中国やアメリカに続く地位にあります。
 ドイツは、非常に旺盛な研究開発意欲を持った中小企業が多くございまして、世界でもオンリーワンの技術を持った企業が多く、非常に活躍しています。
 それから、フラウンホーファー協会というものを中心にしまして、民間の資金を活用しつつ、産学官連携により新しい研究開発を進めていくというシステムも健在です。
 ドイツの課題としましては、ユーロ危機以降のヨーロッパ経済の停滞の中で、政府の科学技術投資というのは非常に厳しい状況に直面しています。
 そういうことで、ドイツ政府の科学技術当局としましては、科学技術イノベーション政策の優先度を高めまして、研究開発投資総額を現状維持ないしはできれば増やしたいということで努力をしていると聞いています。
 次にフランスです。フランスは、サルコジ政権のときには、いわゆるサルコジ国債ということで、科学技術におきましても非常に明確なイニシアチブが見えました。しかしながら、現在のオランド政権になりまして、よく見えなくなっている状況があります。
 フランスは、伝統的にCNRSなどを中心としました国立の研究機関というものが非常に強く、大学は、研究においては補助的な役割でした。
 ただ、米国並みに大学の研究力を引き出して、産業界とも連携を図ろうということで、例えば、パリ近郊のサクレーというところを中心にしてクラスターを構築するといった動きが見られます。ただ、これは成果が出てくるのはもう少し先だというふうに考えていいます。
 続きまして、欧州のほとんどの国が参加していますEUです。EUの科学技術施策の中心は、これまで7次にわたって積み上げてきたフレームワークプログラムが中心です。ただ、フレームワークプログラムは7まで行ったのですが、これは昨年末に終了し、現在、Horizon2020というものがスタートしています。7年計画で、従来は別の政策としたプログラムを、イノベーションということでくくったために、見掛けとしては予算が増えています。ただ、従来の科学技術そのものの予算と言った方がいいかもしれませんが、それは、同等ないしは減少するのではないかという可能性も指摘されています。Horizon2020あるいはフレームワークプログラムで最も注目すべき点は、欧州全体あるいは欧州周辺国を含めた研究人材を攪拌(かくはん)していく、混ぜ合わせていくという機能が維持できるかどうか、あるいは強化できるかどうかと、これが焦点であろうと考えています。
 中国につきましては、研究資金や研究者数で日本や欧州諸国を抜いておりまして、アメリカに迫る勢いになりつつあります。
 政府としても、低賃金の労働集約型の経済から、イノベーション駆動型経済を目指して、研究開発を中心に進めたいと考えているようです。ただ、少し後で説明したいと思いますが、イノベーションが中国で起こっているわけではないという状況にあると思われます。
 韓国は、イ・ミョンバク政権のときには緑色成長戦略といったことで、科学技術を強化するという動きが見られたのですが、現在のパク・クネ政権では、「創造経済」という言葉が若干躍って、あるいは研究資金が非常に増えてはいまが、余り目に見える成果は出ていないという状況にあると思います。
 以上、横並びで見ますと、アメリカが突出しており、相当に後れて日本とドイツが追従しておりまして、その後に、ドイツ以外の欧州諸国、さらには中国、韓国が続いているという状況であると考えています。
 この後、少し、私が10年ぐらい掛けまして中国の科学技術状況をモニターしている立場から、少し簡単な補足をしたいと思います。
 私は、先月、延べ2週間ほど北京に滞在しまして、アメリカ、欧州主要国、韓国などの在北京の大使館あるいは科学技術関係機関の出先の関係者と面談をしまして、彼らが中国の科学技術の状況をどう思っているか、どのように協力と競争をしていくかということを調査してまいりました。
 彼らの意見を集約しますと、次のようなものです。
 中国では、10年程度前までは、科学技術予算が少ない、優秀な科学技術人材が国内にいない、設備装置が貧弱であるということで、それが科学技術のイノベーションの発展を妨げていると思っていた。しかし、現在は、研究開発費が既に米国に次いでおり、研究者数でも米国を抜いて世界一。また、設備装置は、世界のどこよりも最新鋭を誇っています。それを受けまして、科学論文や特許では非常な急激な上昇になっています。
 しかし、これが確かな科学技術イノベーションになっているかといいますと、そうではないというのが彼らの意見です。私はこの意見に同意いたします。中国は、科学技術大国へのポテンシャルは十分にある。しかし、現在は欧米や日本の後塵(こうじん)を拝しておりまして、キャッチアップの過程にあるというふうに私は考えています。
 では、どうして金、人、物が十分であるにもかかわらず、中国で科学技術イノベーション能力が欧米あるいは日本に比して劣るかということですが、彼らの見方は、現在の中国には科学技術を育て、イノベーションを起こしていくカルチャー、これは文化ですね。あるいはアート、芸術、こういったものが根付いていないのではないかという意見でした。
 この中国の状況というのは、単に、金、人、物を強化しても、これが直ちに科学技術イノベーションに結び付くわけではないということを示唆していると考えています。もちろん、例えば現在のロシアのように、これは明らかに金、人、物が十分でなくて、科学技術がそれこそ臨界未満の状況にあるのですが、そういう意味で言うと、これは必要条件であるとは思いますが、これだけでは十分条件ではないということを言っていると我々は考えています。
 金、人、物を生かして、これをイノベーションの力に持っていくには、極めて抽象的でありますが、カルチャーなのか、アートなのか、あるいはアメリカにたくさんあって、日本とドイツにも少しある、しかし中国にはない、これが一体何であるか。この内容を突き詰めていって、これを強化する手立てを講じるということが、今後の科学技術基本計画の企画立案に非常に資するのではないかというふうに考えています。
 私からの説明は以上です。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。大変すばらしい御指摘を頂きました。
 それでは、質疑応答に移りたいと思います。ただいまのお2人の御説明につきまして、御質問等ございましたら挙手いただきまして、御意見を頂ければと思います。
 どうぞ、細野先生。
【細野委員】
 林先生、質問させてください。
 先ほどの中国の件ですが、トップの論文も相当なフラクションになってきて、にもかかわらずイノベーションが低いという御指摘ですが、この場合のイノベーションというのは、具体的にはどんなことを指して「イノベーション」と言われているのでしょうか。
【林科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー】
 新しい技術やテクニック、そういったいろいろな画期的なものです。例えば、インクリメンターに少しずつ上げていくというようなことは、中国でも十分やっているのですが、画期的なものがないという意味です。
【細野委員】
 要するに、0から1を創るところがないということですね。
【林科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー】
 そういうことです。おっしゃるとおりです。
【濱口主査代理】
 ほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【土井委員】
 いろいろ御説明いただきありがとうございます。
 二点、質問がありまして、一点目は、吉川先生の御説明の中で、社会のための科学、サイエンス・フォー・ソサエティーとありました。これは、非常に重要だと思うのです。課題の科学と解決の科学というお話のところで、課題の科学のところで、イノベーションを起こすためには、現在の社会の課題を解決するのではなく、社会の課題を先取りしていくことが重要ではないかと思うのですが、多分、そこが、先生の言われる理系と人文系の連携というお話だと思うのですが、そういうあたりのところで、例えば、今現在、世界中にある研究の中で、これはそういう連携のベストプラクティスである、といったものがもしあれば、御紹介いただきたいと思います。
 二点目は、林先生の御説明の中で、資料1-3のところの9ページの表を見ると、日本は、研究開発費はそれなりにあるものの、産業界が76%も負担している。つまり、ハイリスク・ハイリターンの基礎研究に投資ができていないというふうにこの表を読むのか、どう考えるのかというあたりを教えていただきたいと思います。
【吉川科学技術振興機構研究開発戦略センター長】
 まず、私の方からお答えします。
 が、御指摘のとおり、課題というものはビジブルなものではなくて、将来、一体何が問題になるかという課題を発見するということにも関わっているのです。
 そういう中で、一番、大きな例はやっぱり温暖化だと思います。これは、1960年代に大気やエコロジーの科学者、あるいは産業、そういった人たちの関係で、地球の温度が上がっているということに関して、その原因を調べている論文というのは数千出てくるのです。これらを集計してみると、人間行動が地球温暖化の原因になっているということが分かってきまして、IPCCができるといった例があります。このように、最終的には、政治的なサミットにまで話題が上がるという形で、人類共通の課題になりました。これは、人文社会学系も含めた、研究者の協力がなければ実現不可能であったことです。
 そのほか、最近の環境問題、生物多様性に関して、アメリカのスタンフォードの人たちが集まって、バイオジオケミストリーというような学問を創ろうという運動があります。それはなぜかというと、海洋環境や、森林環境など、これまで別々に考えられていたことを一つのサイエンスとしてまとめようというような動機からでした。これも一つの例ではないかというふうに思っています。
【林科学技術振興機構研究開発戦略センター上席フェロー】
 二つ目の御質問ですが、産業界の研究開発費の負担割合である76.1%は、非常に高い数字です。これは、民間の方が非常に多く政府よりも研究資金を出しているということです。ただ、研究開発費の対GDP比を見ますと、韓国は別にしまして、ほかの国と比べても非常に高い位置にありますので、政府そのものの絶対値はそれほど問題はないと思うのですが、民間が非常に頑張っているというふうに見た方が良いと思います。ただし、トータルで言うと、これをできるだけほかの国のように、もう少しバランスよくすべきだということはあると思います。
 ハイリスク・ハイリターンとの関係ですが、政府の金が少ない、多いということとは日本は従来、十分な形の対応をしてこなかったことは事実だと思います。
 総合科学技術・イノベーション会議で、今年度になって、DARPA型のSIPを創設したということですが、DARPA型というのは、まさしくゼロからいきなり非常に大きなものをやろうという努力であります。しかし、非常に挑戦的であるというものに投資していくということですので、これからも推進していくべきだと思っています。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【春日委員】
 吉川先生の資料の図の解釈についてもう少し伺えればと思います。
 例えば、実施空間の中で、観察型科学者から設計型科学者、さらに行動者、そして社会、地球環境というように、矢印で次から次に手渡していくようにも読める図になっていますが、前回の委員会で、松本委員と私と、それぞれ別な具体例をイメージしながら、社会のアクターとの関係が非常に重要であるという、そういう発言をいたしました。その際に、松本委員と私の共通点だったのが、いろいろなアクターと研究の進行、あるいはその前の研究の課題発見の段階から、常に、いつでも協調していく、連携していく、それが重要だという意見で、たまたま意見が一致していたのです。先生のこの図でも、アクター同士に次から次に手渡していく以外に、途中段階で、前のアクターあるいは一つ飛び越したところのアクターと、共同作業も可能ということをお考えでしょうか。
【吉川科学技術振興機構研究開発戦略センター長】
 御指摘のように、設計型科学者が観察型科学者に逆流するというようなことは多様にあると考えています。この図では、定量的に表現できませんが、やはり社会の状態というもの、例えば良い社会か悪い社会か考えたときに、少なくとも我々人間にとっていい進化をしてほしいわけです。いわゆるオープンループの考え方というのは、こちらでやったことがこちらへみんな流れていって、それが一体何が起こったか分からないで、次にアイデアがありますよね。ですから、基礎的な科学者というのは、知的好奇心だけでやればいいんだ、よりどころは自分の知識好奇心だけしかないということになるのですが、これはそうではなくて、自分の知的好奇心で研究した結果がどうやって社会を回り、その結果、どういうことが起こったのかということを、観察型科学者も知らなきゃいけないということなのです。そうすることによって、この矢印を流れているものが一体何なのか。これが、実は、研究の大きな対象になるわけです。
 言語や動物の進化もこういう形をしているのです。そういった中に、言語は何が流れているのか、動物は何が流れているのか、それははっきりしない面もあります。ここに書いてある矢印というのは、そういう、未知の進化をつかさどる何らかのパラメータを意味しています。これを実現するためには、いろいろな協力が必要で、観察型の研究が設計型に、設計型の研究が行動者に助言する、行動者は社会に対して行動して、社会にいろいろなことを与える。その結果、社会の変化が起こる。起こった変化を観察型の人が観察する。平たく言えば、こういったことを表しています。厳密に言うと、非常にもっといろいろなことがあるということは、いずれ議論すべきことであると考えています。
【濱口主査代理】
 新井先生、どうぞ。
【新井委員】
 大変示唆に富むお話をありがとうございました。
 吉川先生の科学技術政策シンクタンクというものが、今後は、第5期基本計画に向けて必要になるであろうという御意見に大変共感をするところです。
 そのシンクタンクがどういうことをしていくのかのイメージを、少しお聞かせいただきたいと思います。
また、林先生からお話があった内容で、例えば諸外国との比較、動向調査により、例えば日本に比べてアメリカはこれくらいの研究開発投資をしているとか、博士の人数がこれくらいいるとか、量的な比較は、これまでもよく行われてきた調査と感じています。長期間にわたり調査することの重要性は大変よく存じ上げているのですが、例えば博士人材がアメリカに比べてこれくらい低いので、日本はこれくらい増やしましょうという政策をうったとき、それが本当にうまくいったかどうか。つまり、PDCAサイクルを回すという意味で、ある政策を行ったことがどれくらいうまくいったかとか、いかなかったかとか、それはなぜかということを、エビデンスベースで調べていくようなシンクタンクであるとか、そういう機能というのが、イノベーションさ創出がうまくいっている外国ではどれくらい機能しているのか。うまくいっていない国では、十分なPDCAサイクルが回っているのかといったことも併せて、シンクタンクのイメージについてもう少しお聞かせいただきたく思います。
【吉川科学技術振興機構研究開発戦略センター長】
 シンクタンクというのは世の中にいっぱいあって、これはビジネスシンクタンクと言うのですが、そうではなく、科学技術に関する中立のエビデンスに基づく情報を政策立案者、政治家等に助言していこうというイメージです。最近の政策決定には非常に多くの科学が絡んできます。一番分かりやすい例としては、原子力発電所の事故のような場合に、専門家がどういう助言をすれば、事故を防げたか、ということです。
 諸外国で言えば、そういう助言体制がよく準備されていたり、あるいは危機のときにどういう科学者が動員されて、どういう意見を作り出すかというようなことまで、社会的に決まっています。そういった意味では、我が国は後れていると言わざるを得ない状況です。
 そういった意味で、よく科学者の助言というのは、科学技術政策に対する助言と限定して捉える方が多いのですが、本当の助言というのは、課題に対して、一体、何をすれば解決できるのかということを、冷静に日本のために、あるいは将来のために助言することが必要です。しかし、そういった機能を、今、日本は持っていない。科学者は自らの研究分野の陳情者ばかりなのです。助言には二つ種類があって、英語で言うと「ポリシー・フォー・サイエンス」と。これは、陳情に他なりません。それから、「サイエンス・フォー・ポリシー」。これは、あらゆる政策の中にも科学的な知見が必要なので、そういったものを逐一助言していく。そのためには助言者が必要になりますが、その助言者として、常時、エビデンスを集めながら、いいアドバイスのできるように知恵を創っていくのがシンクタンクだと、こういうイメージになろうかと思います。
【濱口主査代理】
 どうもありがとうございます。大分、頭の整理ができたように思います。
 そろそろお時間ですので、これで質疑応答を終了させていただきます。
 吉川先生、林先生、どうもありがとうございました。御移動をお願いしたいと思います。
 それでは、続きまして資料2に基づきまして、科学技術・学術政策研究所所長の榊原裕二様より御説明をお願いいたします。 
【榊原科学技術・学術政策研究所長】
 本日は説明の機会を頂きましてどうもありがとうございます。資料2に基づきまして、説明をさせていただきます。
 前回の委員会で、事務局より、科学技術動向につきましては、相当、充実した資料で説明されておりましたので、重複するところは省かせていただきまして、本日は、私どもの行いました調査の中で、特に科学技術の状況、現状がどうなっているのかというものと、研究の現状と研究を行った結果がどういうふうに分析されるのか、この2点に絞って、やや詳しめに説明をさせていただきたいと思います。
 まず1点目ですが、3ページを御覧ください。これは、科学技術・学術政策研究所で定期的に実施しています定点調査というものです。これは、同じ質問を決まった研究現場にいらっしゃる各層の方1,000名と、産学連携あるいは企業に従事されている方が500名。これを、同じ方に同じ質問を毎年繰り返しているというものです。
 4ページへ参りますと、実は、設問自身は42項目ございまして、これらについて逐一お話するととても時間がかかりますので、本日は、その問いを整理いたしまして、人材、環境、産学官連携、それから基礎研究、この四つに指数化した結果をお話したいと思います。
 まず、研究人材の指数ですが、右下のグラフにございますように、2011年、12年、13年の3か年の結果を比較しています。
 右手の方に、第1グループから第4グループ、公的研究機関と記載していますが、第1から第4までは、大学を論文の数によってグルーピングをしたものです。内訳につきましては、後ろの方に添付してございますので、御関心がある際には御参照いただければと思います。
 特に第1グループ、第2グループが低下の傾向がございまして、特に第1グループを見ますと、若手研究者や女性研究者の状況というのが、全般的に指数を下げているということです。
 全般的な傾向として見ますと、2011年ですと、それなりに各層の各グループの差があったわけですが、全般的には、その差が収束する方向に動いているように見受けられます。
 2点目が、研究環境状況指数ですが、大学の方を見ますと、第1グループの次に第4グループが環境的には高いスコアを獲得しています。というのが特徴の一つ目でありまして、時間的な変化で見ますと、特に公的研究機関の研究環境に低下傾向が出ているということです。
 内容的には、研究環境ですので、基盤的経費ですとか間接経費、研究施設・設備、そういったものが要因として挙げられます。
 続きまして7ページですが、産学官連携です。ここのところから、一番下にイノベーション俯瞰(ふかん)というラインが一つ増えておりまして、これは、各機関での産学連携を担当しているセクション、それから企業といったところが回答者になります。
 そうしますと、大分傾向が変わりまして、3グループについては、シーズ・ニーズのマッチング状況が上がっていることに起因いたしまして、指数の向上が見られます。それ以外の研究機関の方、大学、公的研究機関は、やや右下がりの傾向がございます。
 他方、産学連携を担当しているセクション、イノベーション俯瞰(ふかん)の部分は、指数的には向上しているという結果になっています。
 続きまして、8ページです、基礎研究です。ここのところ、グラフを見ていただきますと分かりやすいと思いますが、特に第1グループが、2012年から13年にかけて非常に指数が低下しているということが分かります。
 以上の四つの指数を、それぞれのグルーピングごとにプラスマイナスを足し合わせてみるとどうなるかというものが9ページのグラフでして、そうしますと、大学の第3グループはプラスになっていますが、特に第1グループ、それから公的研究機関のところの状況が悪くなっているという傾向がございます。
 なぜ、どういうところが状況が悪くなっているかということにつきましては、色分けをしていますように、それぞれのグループにより事情が異なっており、例えば大学の第1グループですと、基礎研究や研究人材のところで悪化しておりますし、公的研究機関では、むしろ研究環境あるいは産学官連携といったところが指数を悪化させている要因になっているということです。
 10ページですが、これは定点調査の結果ではなく、そういう調査のアンケートを実施していますと、やはり外部資金や基盤的経費といったキーワードがいろいろと出てまいります。それを見まして、総務省の科調統計を再集計したものでありまして、先ほど説明いたしました第1グループ、第2グループというグループ別に集計をしたものです。これは、全体の研究費の中で使用した研究費のうちの外部資金の割合がどれぐらいあるのかということを比べたものでして、各グループ間でこれだけの差があります。特に、外部資金割合の高いです第1グループにつきましては、2011年ではもう半分を超えていると、こういう状況になっているということです。これが一つの相関関係のあるインプットなのではないかと考えています。
 以上が、研究の状況です。
 続きまして、科学技術活動の成果である論文についての分析の結果を御紹介したいと思います。
 御紹介いたしますのは、当研究所で作成していますサイエンスマップです。これは、2002年から2012年までをこういうカバレッジで分析をしているものです。
 12ページは最新の2012の絵を示しています。御存じの方もいらっしゃると思いますが、上位1%の引用率の論文を抽出いたしまして、この論文の引用関係で論文のお互いの距離を絵の上に描くということを行っています。
 そうしますと、距離の近いものは点になります。そういう固まりがどのぐらいあるのかを調べたものであり、左の絵で見るとなかなか分かりにくいかもしれませんが、2012の結果では、国際的に非常に注目を集めている研究領域というのが823領域検出されたという結果です。
 それが、日本の研究活動と比較をしますとどういう形になっているかというのが13ページです。これは2008年から2012年までのサイエンスマップを比較したものです。上段に世界、日本、英国、ドイツを比較しています。世界のところを御覧いただきますと、647領域から823領域と領域数が増えています。そのうち、日本が参画している領域がどれぐらいあるかということで見ますと、2012で274領域、パーセンテージで言いますと33%、約3分の1の領域に日本のペーパーが参画しているということです。
 同じように、英国、ドイツと比べますと、参画領域数は英国、ドイツとも増加していまして、割合で見て同じかプラスマイナス若干動いているところで、割合の方が大体維持されているという感じですので、比較しますと、日本の参画領域数がほかの英国やドイツに比べると伸び悩んでいるという形が見てとれるかと思います。
 13ページの左下のグラフは、どこで参画領域に差が付いているのだろうかということを示したものでして、国内の著者だけで構成されている国内論文と、国際的な共著の論文を比較したものです。国内論文だけで見ると、実は、日本と英国とドイツの間に余り差がなく、国際共著のところで差がついているということが御理解いただけるのではないかと思います。
 以上、その次にサイエンスマップを2002から2012まで6枚描いてきたわけです。そうしますと、時間的にいろいろな領域が生まれたり消えたり、付いたり離れたりということがあるとことに気が付くわけです。
 それをもう少し図示できないだろうかということで、今回、新しく分析したものをSci-GEOチャートと呼んでいいます。どういう考え方で分けているかといいますと、横軸が継続性です。時間的に変化しないといいますか、場所をキープしているようなものと、あるいは時間とともに変動していくような領域、これを横軸にとって、縦軸に、先ほどお見せしましたサイエンスマップの、ほかの領域間の距離、ほかの研究領域との関与が強いか弱いかということを縦軸にとります。そうしますと、四つの象限ができまして、そこにあるような名前を付けています。ですから、アイランド型でありますとかコンチネント型というのは、比較的、時間的な変化に生き残っている領域です。他方、スモールアイランド型、ペニンシュラ型というのは、生まれたり消えたり、あるいはくっ付いたりということを繰り返している領域という形になるのです。
 このような考え方で、先ほど823領域があると申しましたサイエンスマップの2012を整理したものが15ページの右下です。
 そうしますと、研究領域的には、スモールアイランド型が実は一番多くなりまして、その次にアイランド型、コンチネント型と続くという構造になります。ですから、研究領域の数で申しますと、圧倒的にスモールアイランド型が多く、約40%がスモールアイランド型に分類されることになります。
 他方、研究領域の数とその中に含まれている論文の数は微妙に違いまして、左ページの右側のグラフを御覧いただければ分かりますように、それぞれの研究領域を構成する論文数は増えますので、研究論文のベースで言いますと、コンチネント型が多数を占めるという形になります。
 これは世界全体でありますが、こういう分析ができます。
 続きまして、では、これを日本と海外とで比べてみるとどうなるかというのが、次の16ページです。これは、左が参加領域数、絶対値の数で比べたものです。そうしますと、日本のところを御覧になれば分かりますように、日本の参画数は、コンチネント型が比較的多いということが分かると思います。それは、より右手の相対比で示した方を見ていただいた方が分かりやすいかもしれませんが、やはりコンチネント型やペニンシュラ型に比較的日本が多く、特に一番研究領域数の多いスモールアイランド型の領域数が、ほかの国に比べると少ないということが特徴なのではないかと思います。
 同じようにコアペーパー数で見ると、整数カウント、分数カウントというものが17ページのような形になりまして、特に日本の論文数では非常にコンチネント型が多く、論文の数を考えるのか、あるいは領域の数の広がりを見るのかという点が、一つのポイントになるのではないかと思います。
 最後に18ページですが、実は、科学技術・学術政策研究所では、2008年のWeb of Scienceの論文につきましては、既に科研費の論文とのひも付けができています。
 その結果を今回の結果と重ね合わせてみるとどういうことが見えるかというのが18ページです。2008年当時では、263の領域に日本の参画があったわけです。そのうちの203の領域に科研費の論文が含まれておりますので、科研費の研究領域に対するカバー率は非常に高い形になっていることが御理解いただけるかと思います。
 さらに、今回新たにJST論文がどう位置付けられているかを調べてみますと、63領域になります。
 この科研費とJSTの関係を比較しますと、両者が重複している領域が、その右の60ですので、ほとんどのJSTの論文は科研費の領域に含まれていると考えてよろしいのではないかと思います。
 なお、それぞれがどういうセクターに分類されているかを見ますと、科研費の方がそれぞれのスモールアイランドからコンチネント型まで分布しているのに比べると、JSTの方では、アイランド型とコンチネント型に集中しているというのが分析の結果です。
 以上、データの話が長くなって恐縮ですが、説明は以上です。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に御質問等ございますか。どうぞ。
【西尾委員】
 非常に興味深いデータを提示いただきまして、どうもありがとうございました。特に、14ページからのサイエンスマップのSci-GEOチャートは興味深く拝見しました。本日お話しいただきました調査結果から、領域数については日本がより多くの領域に参画することは重要だと思いますが、学術の基礎的な分野により多く参画していくためには、科研費が大きな役割を果たすことを結論付けられるのか、ということをお伺いしたく思います。次に、サイエンスマップが現状の分析していることから、将来を見据えてどの分野を重視していくのかを評価する際に、サイエンスマップがどれだけ役立つのかということがしばしば問われます。そのことと関連して、スモールアイランド型の中でコンチネント型に移っていきそうな研究領域を前もって明確に捉えることができれば非常に役立ち、そのようなことがより一層重要になってくるというような解釈ができるのでしょうか。その辺りを教えていただければと思います。
【榊原科学技術・学術政策研究所長】
 質問の1点目ですが、最後のページを御覧いただければ分かりますように、やはり科研費の領域に占めている、科研費とJSTについて調査、分析をしているだけですが、そういう意味でのカバー率は非常に高いということだと思います。
 それから、2点目の、将来をどう評価するかということはなかなか難しい話ですが、少なくとも過去の分析の結果からということだけでお話をさせていただきますと、コンチネント型のものですと、6割ぐらいが継続されるということになります。そういう意味では、非常に堅いイメージがあると。アイランド型ですと、その6割が4割ぐらいの感じになります。
 今度、スモールアイランドをスタートにしてという話ですが、過去の例を調べますと、3割ぐらいがアイランド型へ行きます。1割ぐらいはコンチネントの方に行くということでありまして、なかなか、スモールアイランドの中からどれが成長する可能性が高い、あるいは持続性が高いということは、なかなかデータの分析から言うことは難しいのですが、大体、そのぐらいの確率になっているということです。このような御説明でよろしゅうございますでしょうか。
【西尾委員】
 どうもありがとうございました。
【濱口主査代理】
 それでは、もう1問。どうぞ。
【白石委員】
 二つ質問です。非常に面白い今日の分析ですが、一つは、やはりこのサイエンスマップですが、ページで申しますと12ページ、報告書の全文もざっと見させていただいたんですが、これは大学別にございますよね。大学別で見るのと、この12ページで見るのと、大体、赤のところの分布のパターンが全然変わりません。ほとんど全ての大学で、もちろん赤が多い、小さいというのはあるのですが、違うパターンの大学がほとんど皆無だったのではないかというのが私の印象ですが、それでよろしいのかどうか。もし、その印象が正しければ、それは日本の大学の中に、幾つかの違うタイプの強みを持った大学というものがないとう解釈でよろしいのかというのが1点目です。
 それからもう一つは、34ページに東京大学の例がございますが、例えばここで赤が付いているところは、国際的に見て競争力のある分野だと思いますが、こういうところは、研究者グループとして、ある程度、アイデンティファイして、資金配分や何かのときに使えるものなのかどうか。
 それから、今日今日の御説明は非常に分析のところで抑えられていて、余り政策的なインプリケーションは明示的にありませんでしたが、もう既に幾つかのインプリケーションはあると思うので、是非、言っていただいた方がここでの議論には良いのではないかということです。
【榊原科学技術・学術政策研究所長】
 それぞれの機関ごとまで見ていただきまして、どうもありがとうございます。
 そこの評価のところは、少し難しいところがありまして、おっしゃいますようにマップ全体で俯瞰(ふかん)すると、比較的、大学間の差は見付けにくいところはあると思います。
 他方、ミクロに見まして、研究領域のレベルで重複があるかという見方をすると、実は、意外に重複が少なくて、これは研究領域の広さをどのぐらいに考えるか、その辺りをどう考えるかというところがこれからの議論になっていくのではないかと思います。
 以上が1点目です。それから、今回の分析でどういうことが言えるかということについては、ある程度、成功しているのではないかなと思っていますのは、今まで、割に多様性ということを言葉ではよく使いますが、それを計測する手段がなかったわけです。それをある程度目に見えるような格好にはできているということではないかと思っています。ですので、今後、いろいろな局面で多様性が話題になったことが、先ほどPDCAの話もありましたが、どういうことになるのかということをこれから示していけるのではないかなと思っておいます。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。最後の質問ということで松本委員。
【松本委員】
 民間の人間なのでこういうデータを見る機会が少なく、まだ理解が十分できていなくて恐縮ですが、スモールアイランド型とコンチネント型は両極端かと思うのですが民間企業では、連続的なイノベーション、既存周辺の研究開発にはかなりの投資をしているのですが、民間では、非連続、新規事業を生み出すようなラディカル・イノベーションに対するリスクを取れない。自分たちの事業の周辺、大陸の周辺をちょっと広くすると、ここにはかなりの研究開発投資をする。ただ、新たな事業を創造するためには、飛び地の研究開発が必要ですよね。新規事業であったり、飛び地のところで新しい研究開発をやるということのリスクをとれない。だから、ラディカル・イノベーションは起こらない、ゲーム・チェンジは起こらないと言われていますが、つまり、スモールアイランド型に日本の研究開発が少ないということは、日本の企業でなぞらえると、ラディカルなイノベーションに対するリスクを取れない。これは、科学技術の世界でもそういう状況になっているのかどうか、その辺はどうなのでしょうか。
【榊原科学技術・学術政策研究所長】
 なかなかイノベーションとの対比を想像させるような分析になっているのは事実だと思いますが、そこのところは、そういう要素もあると思います。他方、スモールアイランド型でどんなものがあるかといいますと、例えば、具体的な事例ですと、細野先生の研究なんかはこういう感じでスタートをされていますので、そういう、今、おっしゃっていたような例に近いのかなと思う例ももちろんございます。
 他方、これはやや特殊なのかもしれませんが、スモールアイランド型の中に、例えば東北の大震災を契機としているようなクラスターもできていまして、そういうものもありますから、そこはもう少し個々には、今、松本委員の御質問に答えるには、もう少し分析が要るかもしれませんが、そういうような両方の例はあると思います。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。それでは、お時間が押していますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 榊原所長、どうもありがとうございました。貴重な御意見、ありがとうございます。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題の2、関連審議会、組織等の検討状況についてであります。
 資料について、事務局から説明をお願いいたします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 はい。資料3-1から3-5まで御説明申し上げます。
 まず、資料3-1ですが、こちらは、平成26年6月24日に閣議決定されました科学技術イノベーション総合戦略2014の概要です。簡単に御紹介いたします。
 まず第1章では、総合戦略2014策定の基本的考え方ということで、経済社会への科学技術イノベーションの役割と期待として、経済再生を確実にする原動力、将来の持続的発展のブレークスルー、グローバル社会でのプレゼンス向上の切り札が挙げられており、将来の持続的発展のブレークスルーを特に重視して、世界で最もイノベーションに適した国へ、世界で最も活発なイノベーション発信拠点へということが示されています。
 スマート化、システム化、グローバル化の三つの戦略的視点を持って、世界トップクラスの経済力を維持し持続的発展が可能となる経済、国民が豊かさと安全・安心を実感できる社会、世界と共生し人類の進歩に貢献する経済社会を2030年の経済社会の姿として描いています。
 具体的なところが第2章、第3章ですが、まず第2章には、科学技術イノベーションが取り組むべき課題として五つの政策課題を挙げています。クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現、国際社会の先駆けとなる健康長寿社会の実現、世界に先駆けた次世代インフラの構築、地域資源を活用した新産業の育成、東日本大震災からの早期の復興再生、この5本柱が政策課題です。そこに、分野横断技術による産業競争力の強化というところが2014から入りまして、ICT、ナノテクノロジー、環境技術の三つが掲げられています。また2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の機会を活用していくということについても記載されています。
 第3章では、科学技術イノベーションに適した環境創出ということで、三つの政策パッケージが記載されています。研究開発法人を中核としたイノベーションハブの形成、若手・女性や中小・ベンチャー企業が挑戦できる環境の整備、大学、研究開発法人、資金、三つの改革に係る取組の推進というところに、さらに研究不正への対応等を含む研究推進体制の強化が全体を支える形で、検討すべきこととして掲げられています。
 最後の第4章は、総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能の発揮ということで、具体的には、科学技術関係予算編成の主導、イノベーション環境整備への誘導、従来の枠組みを超えた革新的研究への投資、世界最高水準の新たな研究開発法人制度によるイノベーションサイクルの実現というのが、その内容になっています。
 本文の方は、机上資料の10というところにございますので、御関心の方はそちらも後で御覧いただければと思います。
 続きまして、資料3-2です。こちらは、文部科学省の科学技術・学術審議会において、平成26年中に取りまとめた関連報告書及び現在検討中の事項についてまとめたものです。
 まず、科学技術・学術審議会の検討状況です。研究計画・評価分科会ですが、研究開発評価部会では、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」が4月に取りまとめられています。ポイントとしまして、科学技術イノベーション創出、課題解決のためのシステムの推進、ハイリスク研究、学際・融合研究、領域間連携研究等の推進、次代を担う若手研究者の育成・支援の推進、評価の形式化・形骸化、評価負担増大に対する改善、研究開発プログラム評価の5課題に焦点を当てているというところが特徴です。
 宇宙開発利用部会では、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の中間まとめが7月に出ています。こちらでは、2024年までの国際宇宙ステーション運用延長提案に関して、我が国が引き続き参加していくということが適当であるということ、また、ポストISSとしての国際宇宙探査の進め方について、各国の合意が得られるよう主体的に国際調整を進めるべきであるというような提言がなされています。
 次のページにまいりまして、情報科学技術委員会です。「情報科学技術に関する推進方策~2020年に世界をリードするデータ・セントリック・イノベーションの創出を目指して~」ということで取りまとめられています。
 データ・セントリック・ソサイエティとは、「すべての人が安心・安全かつ豊かで質の高い生活を送ることができる社会基盤を構築するとともに、国際社会における社会的・科学的課題を解決し、我が国が持続的成長を遂げるのみならず、人類の未来社会に貢献することのできる世界最高水準の高品質で高信頼なデータに基づく社会」を、このように定義しています。その2030年頃の実現を目指した研究開発推進、また第5期の基本計画も視野に入れた情報科学技術分野に今後求められる方向性や課題が明らかにされています。
 ナノテクノロジー・材料科学技術委員会では、先ほどの科学技術イノベーション総合戦略2014に、産業の根幹をなす基盤的な技術としてナノテクノロジー分野が新たに位置付けられたこと等を踏まえ、今後の同分野の研究開発の在り方について議論を行う予定になっています。
 安全・安心科学技術及び社会連携委員会では、リスクコミュニケーションの推進方策について、問題解決に向けたリスクコミュニケーションの場の創出や、媒介機能を担う人材の育成等を進めることとされています。
 3ページにまいりまして、次は学術分科会の検討状況です。「学術研究の推進方策に関する総合的な審議について」の中間報告が5月にまとめられています。
 ポイントとしまして、「挑戦性、総合性、融合性、国際性」の四つの「学術研究の現代的要請」に着目した資源配分の思い切った見直し、学術政策・大学政策・科学技術政策の連携、若手人材育成・教養形成、社会との連携強化が提示されています。
 また、具体的な取組の方向性として、基盤的経費の意義の最大化や科研費大幅改革等デュアルサポートシステムの再構築、若手研究者の育成・活躍促進、女性等多様な人材の活躍促進、共同利用・共同研究の充実、学術情報基盤の充実、学術界のコミットメントが必要であることとされています。
 研究環境基盤部会では、大型プロジェクト推進に当たっての優先度を明らかにする観点から、「ロードマップ2014」が審議されています。また、「共同利用・共同研究の強化」について検討中です。
 研究費部会では、科研費改革の基本的な考え方と具体的な方策を審議中です。
 次、4ページにまいりまして、学術情報委員会です。平成26年7月にまとめられた報告書では、アカデミッククラウド環境構築の必要性と環境整備の方向性、アカデミッククラウドの構築・普及を念頭に置いた学術情報ネットワーク(SINET)の機能強化について提言がされています。
 次に、産業連携・地域支援部会の状況です。イノベーション創出機能強化作業部会におきまして、産学官が密接に結び付く活動等を行う「オープンイノベーション推進拠点」を整理するなど、明確な形で、オープンイノベーションの推進を大学等の機能の一つとして位置付けることや、大学等においてURAシステムを整備し、URAシステムにおける専門人材をチームとして機能させるためのマネジメントを行うことが重要であるということが指摘されています。
 大学等知財検討作業部会では、イノベーション・エコシステムを確立するために、大学等が保有する知的財産を公的機関に集約し活用を図る仕組みを選択肢として設けることや、民間機関等の意見を取り入れて、幅広い視点から知的財産権の活用方策や棚卸しを十分に検討すること、また、研究開発の成果の技術流出等のリスク管理に適切に取り組むことが必要であると指摘されています。
 地域科学技術イノベーション推進委員会では、今後の地域科学技術イノベーション施策の在り方についての提言が検討中です。
 それから、国際戦略委員会です。7月にまとめられた、今後、新たに重点的に取り組むべき事項についてということで、激動する世界情勢における科学技術イノベーションの国際戦略に焦点を当て、国際的な研究協力、共同研究の在り方、国際研究ネットワークの強化、人材育成・確保、国際協力による大規模な研究開発活動の推進、産学官が一体となった科学技術外交、国別の特性を踏まえた国際戦略の基本的考え方等、第5期基本計画等に重点的に盛り込むべき事項を中心に検討がなされています。
 人材委員会では、研究者等が複数の大学間・産学官を行き来し活躍するような新たなシステムの構築や、若手・女性・外国人研究者や研究支援人材をはじめ多様な人材の活躍・促進を図るための方策について検討中です。
 その他、省内における議論等を最後に整理してございます。
 まず、本年1月に「夢ビジョン2020」が取りまとめられています。「オリンピックの感動に触れる。私が変わる。社会が変わる。」を標語としまして、科学技術、教育、スポーツ、文化の観点から、検討がされています。
 今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議では、7月に検討の方向性・課題の整理に関する中間まとめが出ています。安全・安心な教育研究環境の基盤の確保、サステイナブル・キャンパスの形成と地域の共生、国立大学等の機能強化への対応が提言されています。
 高等教育局では、以下の3点の検討がなされています。まず1点目は、「日本再興戦略」等を踏まえて、教育の充実と質の保証や理工系人材の確保等に向け、省内にタスクフォースを設けて、「理工系人材育成戦略」を策定中です。本年の夏までに取りまとめる予定となっています。
 大学院教育の振興のために、文科省が5年間で取り組む重点施策を取りまとめた「第2次大学院教育振興施策要綱」が平成27年度で終了することを踏まえ、28年度以降の要綱の策定が検討されています。
 さらに、昨年11月に策定した「国立大学改革プラン」等を踏まえ、引き続き国立大学の機能強化に向けた取組が実施されています。その中には、国立大学の第3期中期目標期間の検討も含まれています。
 科学技術・学術政策局を中心に、「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」の見直し中です。新たなガイドラインでは、研究機関が組織を挙げてこの問題に取り組むよう求めていくことが方針とされています。
 研究振興局では、戦略的な基礎研究の在り方に関する検討会が行われています。研究者が主体となって、研究の進展等により実現し得る未来社会の姿を見据えて行う「出口を見据えた研究」は、民間企業が行う研究開発とは一線を画し、公共的・普遍的な性格を持つ新たな「知」を得るための活動であるということから、政府が積極的に推進し、役割を果たしていくことが必要であるということ等を明らかにした上で、戦略的創造研究推進事業における戦略目標の策定に係る指針の策定、政策マネジメントサイクルの確立等、「出口を見据えた研究」の在り方について検討がなされています。
 HPCI計画推進委員会、今後のHPCI計画推進の在り方に関する検討ワーキンググループでは、スパコンの開発・整備のグランドデザインや方向性、産業利用の促進施策、人材育成などについて、総合的観点から提言がなされています。
 我が国を代表する世界トップレベルの計算性能と幅広い分野における適用性を有する一つのフラッグシップシステム(ポスト「京」)及びフラッグシップシステムを支える複数の特徴あるシステムを戦略的に整備していくことが重要であるとされています。
 最後、8ページにまいりまして、ポスト「京」で重点的に取り組む社会的・科学的課題についての検討委員会も開催されています。
 研究開発局では、オープンイノベーション時代に取り組むべき研究開発の新たなシステムとして、平成27年4月に創設する国立研究開発法人を中核として、コア技術(持続可能な成長と安全保障の基盤として国主導で進めるべき技術)の研究開発の在り方について検討中です。
 南極地域観測統合推進本部では、「南極地域観測第9期6か年計画」について検討中です。
 省内の「海洋立国日本創造タスクフォース」において、我が国の今後の北極研究の在り方について検討中となっています。
 引き続いて、さらに資料3-3、イノベーション創出に向けた国立大学の改革について、資料3-4、理工系人材育成戦略の策定に向けて、資料3-5、イノベーション創出に向けた研究開発法人の機能強化に関する提言につきまして、本日、御欠席ですが、経団連産業技術委員会共同委員長の小野寺委員から御提出いただいていますので、御紹介申し上げます。
 経団連では、国全体のナショナル・イノベーション・システムを見据えた提言を行っており、第5期科学技術基本計画の検討に当たっては、大学、独立行政法人などの改革について、これまでの科学技術基本計画よりも踏み込んだ議論を期待しているということです。
 以上です。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につき御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。はい、どうぞ、伊地知委員。
【伊地知委員】
 ありがとうございます。資料3-4の経団連から出された資料とかも拝見して、その6番に初等中等教育に関することがあるのですが、資料3-2の中では、文科省の中では、特に初等中等教育局関連の、例えば中央教育審議会の中での御議論等については特に触れられていなかったですが、何か関連するようなところというのはありますでしょうか。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 本日、御用意した中にはございませんが、今後の議論の中では、初等中等教育から高等教育、さらにその後の産業界までというところをターゲットに考えていますので、こちらの省内の動きにつきましても、また随時、御紹介できるものがあればこの場で御紹介したいと思っています。
【濱口主査代理】
 ほか、いかがでしょうか。はい、どうぞ。
【五神委員】
 いろいろなところで、既に第5期に向けた議論が具体的に進んでいることがよく分かりました。その中で、先ほど吉川先生のお話の最後の方に、今までの4期にわたる計画との連続性という言葉も出てきましたが、私はそれが大変重要であると思っています。つまり、過去4期にわたって20年、どういう投資をしてきたか、その中で反省、いい面もあるし、悪い面もあると思いますが、多額の税金を投入した事実があるわけですから、それを踏まえて、その投資の中で蓄積されてきた現在の資源を連続した形でどうつなぎ、次に続けていくかということです。
 この点から考えてみますと、今、御紹介していただいた中で、唯一、そのようなタイムスケールについて記述があるものは、科学技術イノベーション総合戦略2014の基本的考え方のところの「2030年の経済社会の姿」という項目です。つまり、我々は、プラス20年の中でどこに向かっていくのか。今の既存の資源をどう活用し、過去の投資の蓄積がどういう効果を持っているかという既存の潜在力、これらをベースとしながら、2030年の姿に向かってどうしなければいけないか。そのために、第5期として、これから先に続く第一歩のところとしてどういう設計をする必要があるかということです。そのためにはまず大きなビジョンを持つことが必要です。個々のセクターで議論されたことは、それぞれミッションによってタイムスケールが違うと思いますが、そのタイムスケールを考慮しながらそれらを大きなビジョンにはめ込んでいく中で、全体がよりよい姿になるように第5期を設計していく。それが、この委員会のミッションではないかと理解しました。
 2030年の経済社会の姿の議論を背景に、方向の的確性を確認した上でやっていく必要があると思います。
 現在、グローバル化が進んだと実感していますが、それはここ10年ぐらいに顕著に言われるようになったことです。例えば私が学生のころは、「国際化」ということはよく言われましたが、「グローバル化」という言葉は余り聞かれなかった。つまり、それだけ国や世界というものの考え方が根本的に変わってきたということです。グローバル化が20年の間に更に加速する、その中で新しい視点で国家をどう捉えるかということを広く共有しておく必要があります。例えば「国際競争力」といったときにも、それが経済的なリージョンの話なのか、政治的な国益なのか、文化的なものなのかと、いろいろな要素が混在した形で議論してしまうと、この科学技術基本計画の大きな方向性を的確に議論することができない。このことを、まず確認したいと思いました。
【濱口主査代理】
 いかがですか。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 ありがとうございます。今の御指摘を踏まえて、これから議論すべき内容の整理をしていければというふうに思っています。
【濱口主査代理】
 20年後の社会というと、オックスフォード大学が最近、現在アメリカにある職業の65%が20年後には消滅するという報告書があって、随分、社会の構造が変わってくることが、今、予測されていますね。ここをしっかり予測をしながら動いていかなきゃいけないフェーズにあるかなというのを、私も実感しています。
 ほか、いかがでしょうか。よろしければ次の議題へ移りたいのですが、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題、今後の検討の方向性についてお諮りしたいと思います。資料について、資料4を川上局長から御説明をお願いしたいと思います。
【川上科学技術・学術政策局長】
 資料4と資料5を使って御説明をしたいと思いますが、前回、第1回に全体的な問題について各委員の先生方から御意見を頂き、そして、今日、シンクタンクである二つのところからの現状及び将来の分析についての意見があり、それから今ほど五神委員からもおっしゃっていただきましたが、第5期科学技術基本計画を構成するようないろいろな課題についての検討がいろいろなところでなされていて、こういうことを踏まえまして、今後、どういうふうに審議を展開していくかということについて、事務局として少し御提案を申し上げたいと思います。
 資料5に、今後の予定ということを勝手に書かせていただいていますが、一応、前回、総合科学技術・イノベーション会議が本格的に第5期科学技術基本計画の検討を開始するのが、暮れ若しくは来年の初めぐらいであり、それまでにこの審議会として、ある程度、まとまったものを完成させたいというタイムフレームの中で考えますと、次回から4回ほど、重要なポイントについて集中して御議論いただくことが効率的ではないかと考えています。個別論点に関する議論ということで、そういう形で落とさせていただいているわけです。その後で、全体についてもう1回俯瞰(ふかん)し、まとめていくという形でどうだろうかと考えています。
 そうすると、この4回という時間の中で、どういうものを重要なポイントとして議論するかということで、本日、八つのポイントにまとめて御提案を申し上げたいと思います。それが、資料4です。箱に入っているところで、四つを大きな論点とし、その下で、(ア)、(イ)ベースで8点、御提案申し上げたいと思います。
 1点目は、前回の御議論の中でも最も多くの意見を頂いていますし、今日の吉川さんの議論等の中でも出てきていますが、まず人材の問題は大きな問題であると捉えられるかと思います。
 これから、基本計画は基本的には今後10年を見据えた5年間の計画というタイムフレームを持って議論していくわけですが、これから10年を見据えたときに、当然、少子化やローバル化ということがどんどん進展するという、こういう大きな時代背景がある中で、イノベーションによって国を立てていくという国の方針を実現する源泉は人材であるということは、もう先生方の委員のいろいろな御意見の中で固まっていると思いますが、そういった中で、そういう問題について、例えば若手をどう育成をし、活用するかとか、女性、外国人という多様性、ダイバーシティーをどう確保してくのか。それから流動性ということが御意見としても出ていますし、流動性を図る中で、どう異分野を融合させ、異セクターを融合させ、知識を総合化して活用していくか。そういった問題であるとか、御意見を頂いている中でも、マネジメントスキルであるとかプロセスに関わる人材というように、従来、単に研究者ということで焦点が当たっているわけで、その研究者にとどまらない様々な人材種の育成・活用をどうしていくかと、様々な問題があると思います。こういった課題について、集中して御議論を頂くことがあるのではないかというのが1点目です。
 それから、2点目、オープンイノベーション時代というふうに言われて、第4期あたりから本格的に取り組んでいますが、これから10年を見据えても、このオープンイノベーション、グローバルという時代認識は進展をしていくものというふうに思います。ただし、第4期の科学技術基本計画では、オープンイノベーションという掛け声の下で、どちらかというと、企業の中央研究所の肩代わりを公的セクターがするというような捉え方があるのではないかと思います。5年間は、既存にある種を十分活用していくだけで、ある程度の成果が出てくるのかもしれませんが、このオープンイノベーションの時代において、持続的に種を産出し、それを社会に還元するということを続けていくためには、どういうことを国がしなければいけないのかということを、再度、きっちりとした議論をする必要があるのではないかというふうに思います。
 前回の御意見の中でも、そういった観点の中で、基礎研究を一体どういうふうにしていくのかというようなこと、それから得られた知識、成果をどのように固定化をして受け渡すのか。また、具体的に成果を社会に還元していく、つなげる場をどういうふうに構築していくのかなど、様々な御議論を頂いています。そういったことを、改めて体系的に議論をしてみてはどうかというふうに思います。
 2ページ目の真ん中から下のところで、(ウ)のところですが、他方、5年のタイムフレームの中でなかなか議論しにくい問題として、例えばコア技術、ビッグテクノロジーのコア技術であるとか、それから共通基盤、研究開発の基盤というような、比較的時間を通して維持・発展をさせていかなければいけないという性格のものもあります。こういったことについて、どのように変革をしつつ、維持をしていくかといった観点で議論をする必要があるのではないかと思います。
 最近の変化として、技術がデュアルユース化していくという中で、国家安全保障のための技術というのをどう捉えるかというようなことももちろんありますし、研究開発基盤をどういうふうに維持するかというのは、財政が厳しい折の中で重要な課題になっているという認識が出ているのではないかというふうに思っています。
 次に、4点目になりますが、4点目、5点目につきましては、科学技術政策の分野として、一つ、分野であるとか課題というものを捉えて、それをどういうものに重点的に配置をしていくかという問題がございます。その点について、まず(オ)からまいりますが、今回の第4期の科学技術基本計画においては、グリーンイノベーション、ライフイノベーションという二つの課題、これを中心に置いて、また科学技術イノベーション総合戦略2014では、それを更に発展をさせまして、五つの政策課題、これを中心に取り扱っていくという考え方がなされています。まず、その考え方をどう、この次の5年間にエクステンションしていくのかという問題。
 それから、一つ上がりますが、前回も御提起を申し上げましたし、いろいろ御意見を頂いています、急速に発展するインターネット・デジタル社会、リアルな社会とは別のところに経済・社会が生まれつつあるという、これに対して我が国がどういうふうに対応していくのかという点。これを、重要な課題と認識をしてやっていくべきであるかどうかという、そういったことが議論の対象としてあり得るのではないかというふうに思います。
 それから、その次、科学技術のシステムをどう改革をしていくかというのも、従来の科学技術基本計画の大きなテーマであるわけですが、その関連で、一つは、資金制度改革、これに関する具体的方策をどうするかというのは大きな課題であると思います。
 前回の御議論の中でも、競争的資金と基盤的経費の関係付け。それから、もう一つ、間接経費の問題というようなことが取り上げられてきているわけです。こういうことを含んだ、資金をどうするかということについて、具体的な議論が必要なのではないかというふうに思います。
 4ページ目にまいりますが、もう一点、システム改革の面では、先ほどのNISTEPの報告の中でも、この数年間を取り上げたときに、公的研究機関の研究環境の悪化というのは非常に大きな傾向として出ているわけですが、これは、独立行政法人制度という中で、いわゆる行政改革の取扱いで、資金の配分がなかなかなされないということが背景にあるわけですが、来年度から、国立研究開発法人制度という新しい制度ができます。その新しい制度に位置付けられる研究開発法人を含めて、改めて大学研究開発法人、企業、こういったものの科学技術イノベーションのツールとしての位置付けをどうするかということは、新しい転換として、一度、議論しておくことが必要なのではないかというふうに思っています。
 そして、最後に、国民と科学技術イノベーションの関係です。社会の信頼、支持、合意がなければ、科学技術への投資は続かないということで、これも、第1期の科学技術基本計画から何らかの形でずっと取り上げてきているところです。東日本大震災があり、また、最近の研究不正の問題などがあり、いろいろ社会と科学技術の関係というのは揺れ動いているところです。
 また、他方、政策のための科学の取組なども進展をしていて、今度は逆に社会に対して科学技術の方向性をかなり分かりやすく明確に伝えることができるという方向性も出てきています。そういった中で、まだ御議論は進んでおりませんが、こういった問題についても議論をする機会が必要なのではないかということで、4回分につきまして八つほどの課題に取りまとめて一つ一つ御議論いただければどうかということで、御提案を申し上げたいというふうに思います。
 よろしく御審議を頂ければと思います。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。前回の委員会での議論を踏まえ、平成28年度から32年度の科学技術イノベーション政策の策定に向けて、今後、更に各論として議論すべき論点を抽出していただきました。
 本日は、これら個別の論点の設定に関する御意見あるいは次回以降の議論に向けて、資料中に記載されている論点を中心に、さらなる御意見等があればお伺いしたいと思います。どなたからでも結構ですので、御意見がある方はお願いいたします。それでは、上山委員からお願いします。
【上山委員】
 詳しい論点を頂きまして、ありがとうございます。
 一つだけ、付け加えて申し上げたいと思うのは、今日、吉川先生のお話を伺い、またそれに連動して、五神委員からお話がありましたように、ここでは、個別のテーマだけではなくて、我が国の科学技術の方向がどのような長期的なパースペクティブとビジョンを持って向かっていくべきかということ、また、今、我々が置かれているこの地点は、どのような状況で考えざるを得なくなってきたのかということ、歴史的なパースペクティブも含めて、もう一度、振り返るような議論をしてはいいのではないかと思います。というのは、先ほどお話もありましたように、科学・技術というこれまでの用語にイノベーションという概念が明確に付いてしまったことも関連します。これは、ある意味では、経済的な出口を目指したような戦略となるのでしょうが、一方で、この概念を持ち出すならば、なぜ、我々が、今、ここで振り返って、こういう国家の戦略の中に入れなければいけないのかということも把握する必要があるでしょうし、それは、そういうものを考えるようになった契機としてのグローバライゼーションというのは、明確に80年代のアメリカで始まったものだと思っていますが、そのことも踏まえて、人文社会学的な、まさに今日吉川先生がおっしゃったように、新たなビジョンでもって、この概念をもう一度読み解いていくという作業を、やった方がいいのではないかと思っています。
 そのことを基にして、長期的な科学技術政策に対する提言が生まれるでしょうし、そのような作業は、私が関係しているような内閣府よりも、むしろこの文科省の中で生まれる新たなビジョン、新たな計画には整合するのではないかと思いますので、どこかでそれを振り返るような議論があってしかるべきかというふうに感じました。そのことを、付け加えさせていただきたいと思います。
【濱口主査代理】
 春日委員。
【春日委員】
 論点整理の最後、(ク)のところで触れていただいていますが、その一方、前の議題のところでは、資料3-2の科学技術・学術政策局の活動の中で少し詳しく触れていただいているものとして、研究活動の不正行為への対応というものがあります。
 私が9月末日まで副会長を務めている日本学術会議では、前回の委員会の直後に川上局長から審議依頼を頂きまして、この研究不正のための取組を更に深めているところで、明日、その第一回の委員会を開くところです。この点は、第5期の科学技術基本計画を議論する上で避けて通れない観点かと思います。
 特に、国際的にも日本の科学技術が信頼を維持するためにも、科学の健全性はしっかりとした項目として、この論点の中では(ア)の人材育成、人材政策の在り方の中でしっかりと位置付け、倫理に関する広い教育を柱とするような、そういう位置付けで議論することが必要かというふうに思います。
【濱口主査代理】
 それでは、竹山委員。
【竹山委員】
 吉川先生から初めに、いろいろと感じるところも含めてお話を頂いたと思います。その中にもあったかと思いますが、いろいろな部分で構造的な改革が必要であるということです。今までなかなか崩せなかった部分があるということは、多分、皆さん共通に思っていらっしゃるのではないでしょうか。それは省庁間の壁であったり、大学間の壁であったり、様々な単位での壁が存在します。例えば、省庁連携で新しいプログラムを作ったとしても、中でまた縦割りになっているというのが現状だと思います。
 第5期科学技術基本計画を検討する中で、第4期と違うのは、行動することを求められるという点だと思います。今までの科学技術基本計画の中でいろいろな点を掲げてきましたが、その評価を行いつつ、具体的な表現をもって行動していくというのが、次の第5期だと思います。そのためには、本当の意味での壁を取り壊す努力が必要かと思います。様々な話が出てくる中で、そこの部分に関してもう少し明確にメスを入れるような考え方を是非入れていただきたいと考えています。
 様々なプログラムを作る側の省庁間だけでなく、それらを実践する大学や研究機関にも壁を取り払う新しい考え方を導入しないと、世界に勝てる強い日本の科学技術が育たないと思います。今までの概念にとらわれない新しいヒエラルキーを作るような新しい発想を、是非、入れていただきたいと思います。
【濱口主査代理】
 知野委員。
【知野委員】
 ありがとうございます。先ほどの資料3の方の御説明を伺いますと、文部科学省で非常にいろいろな検討が進められているということは分かったのですが、果たして、それをどういうふうに、例えば実用化とか、産業化に結び付けていこうとしているのか、それは一体どこがやるのだろうかということが分からないと思っています。
 それで、先ほどどなたかが指摘されたと思いますが、やはりこの20年間、すごく投資をしてきて、それがどれほど産業なり経済なり、あるいは社会の変化とかに結び付いたのかというところを振り返って分析することが必要なのと、やはり、今、資料を読んで論点を挙げていただいたことを、それはそれぞれもっともなのですが、進めていくに当たっては、イノベーションという言葉を付けた以上、新しい技術を開発するだけではなくて、「出口」という言葉でよく言われますが、そこを目指しているのだと思います。ですので、是非とも、やはり産業界が、一体、今の研究に対して何が足りないと思っているのか、どこに問題があると思っているのかということを、ヒアリングすることが必要ではないかと思います。
 それは、そこで指摘されたことを全て実行せよ、ということではなくて、やはり日本の大学あるいは研究開発法人でやっていくべきところは何なのかというところを、もう少し分析してはどうかと思います。
 以上です。
【濱口主査代理】
 庄田委員、お願いします。
【庄田委員】
 前回、各委員の皆さんから出た御意見を、資料の最後にこういう形でおまとめいただいて、大変よろしいのではないかと思います。一方で、先ほど五神委員が「基本計画の連続性」とおっしゃいましたが、私も吉川先生のお話を伺って、例えば、第4期科学技術基本計画の場合には、課題解決と学術研究を両輪とするとされていながら、課題解決型研究に余りにも重点が移って、基礎的な部分が心配であるというアカデミアの皆さんの御意見が出ていること、あるいは第3期で「モノから人へ」ということでしたが、10年たっても変わっていないということからも、やはり「基本計画の連続性」が重要であると考えます。
 先ほど、文部科学省の科学技術・学術審議会の各委員会で、例えば人材のキャリアパスに関しては、人材委員会で本年8月にまとめ、若手の研究者の方がいかにキャリアパスを積んでいくのかということを制度面で提案する、というお話があり、あるいは、学究的な研究、基礎研究にお金が回らないことに関しては学術分科会で検討されているというお話がありました。これらの検討結果を、一度も伺わずに、この場だけで議論するというよりは、やはり、各委員会を含めた全体で議論していることをしっかり理解した上で、「まさに具体的にアクターが何をやっていくのか」、「国としてはこれとこれを推進する」というような計画でないといけないのではないか、ということを強く感じています。これから、資料4に示されている四つの課題の議論をしていくのであれば、やはりそれぞれのアクターが何をするのであるかを議論すべきではないかと考えます。今、産学連携のお話がございましたが、これについても、例えばCOIと橋渡し機能を強化することと、SIP、これらは全く同じ思想の下であるにも関わらず、名前が違った各府省庁の施策になっている、というような現状にまで踏み込んで議論をしないと、構造的な変革を伴った基本計画の提言にはならないのではないか、そういう議論を是非ともしていけたらと思います。
【濱口主査代理】
 川上局長、いかがですか。
【川上科学技術・学術政策局長】
 一つ一つ、4回を通して返していくべきことだというふうに思います。もちろん、基本的な方向性について、あるべき姿についてしっかり議論しないといけないと思いますが、そのタイミングをどこにするかについては、私の考えとしては、まずちょっと各論をやりながら、もう一度、その次に振り返るというようなことで考えていきたいというふうに思います。
 また、20年間の投資に対して一体何が出てきたのかということについて、今回の審議のこれまでと多少違うところは、第4期科学技術基本計画のレビュー作業は内閣府で行うこととなっておりまして、この内閣府によるレビュー作業がまだ終わっていないので、なかなかお示しできないということが、今、あるわけです。その辺はなるべく早くお示しをしていきたいというふうに思っています。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。それでは、松本委員。
【松本委員】
 各論点、大変重要な整理をされていると思います。ただ、それぞれ仕組みをこう変えていくという具体的なことを、是非、打ち出すような議論にしたいなと思っています。
 我々が大変興味があるのは、例えば人材政策であったり、オープンイノベーションです。オープンイノベーションも、言葉は先行しているのですが、本当にイノベーションが起こるような新しい仕組みを、今、まさに作っていかなきゃいけない。そういう仕組みを作る、こう変えるというのを、是非、議論すべきではないか。
 人材政策もいろいろ言われています。でも、いろいろな成功事例、失敗事例を見れば、成功事例もあると思うのです。我々も、もう20数年前に、当時東大におられた川合眞紀先生に、5年間来ていただいきました。サイエンティフィックな物事の考え方というのを、我々若手の研究者に本当に浸透させていただいたおかげで、例えば、今、活性炭が世界第3位、スマートフォーンのデジカメレンズ材は世界シェア60%以上、iPhoneなんかのレンズ材料は全て我々の材料が入っているとか、あるいは触媒による世界最高効率の燃料電池、水素製造装置であったりと、新しい事業が、先生の指導のおかげで育った研究者がどんどん生み出しています。そういうナレッジ、知識ですね。物事の考え方、サイエンスの知識を浸透させるというのは、仕組みをうまく考えればできると思うのです。20数年前だから、できたのかもしれませんが、今、そういう仕組みが、どうやってやるのかということを具体的に考えていただきたい。
 オープンイノベーションも、実は、MOTとか技術系の教育が、大分、日本の企業に浸透しているので、イノベーションの中流以降のところ、研究開発から商品開発、事業化フェーズのところでは、実は、意外とマネジメント、経営学の先生方との議論というのは相当進んでいるのです。ところがアーリーステージ、上流のイノベーションのところ、ここがなかなか、科学技術の先生方とマネジメントの先生方と企業の人間が議論するような場というのはないのです。だから、そういうフロントイノベーションといいますか、上流のところで多様なパートナー、多様な方々が議論するような場、そこからイノベーションを考える場が必要です。その際に重要なのは社会を変えるとか、どんな価値を生み出すのかという出口の議論もそこでやる。つまりサイエンスの人たちもそういう議論に加わりながらするような場、イノベーション全体を俯瞰(ふかん)するようなフルラインのイノベーションの場というのを、是非、作っていただきたいと考えています。つまり、フロントから最後の出口までを一気通貫でやるような場というのは世界に類を見ないイノベーションのプラットホームだと思うのです。それぞれ、個々にイノベーションのモジュールはあるのですが、そういうフルラインのイノベーションの場を作るような具体的な仕組みを、それぞれの各論の議論をそのプラットホームに落とし込んでいくような議論を、是非、やっていただきたいと思います。
【濱口主査代理】
 土井委員。
【土井委員】
 ありがとうございます。2点ありまして、1点目は、先ほどから五神委員、上山委員が御指摘のビジョンをどう考えるかというお話ですが、今までの第4期までのもので、やはりレビューすることによって、継続すべきものと、イノベーションでありますから、どこかは非連続でないといけないと思うのです。ですから、とがらせないといけない部分は何なのかというところを、両方きちんと見極めるということが大事なのではないかなと思います。
 そういう意味では、レビューを待つというところもありますが、この個別のところの議論をする中で、是非、継続すべき知といいましょうか、そういうところと非連続で考えるべきものは何なのかというところが見極められればいいなというふうに思います。
 2点目は、細かいことで恐縮ですが、資料4の4ページ目の(キ)のところの科学技術イノベーション活動における大学、研究開発法人、企業の役割の明確化というところで、先ほどから制度を見直す、仕組みを見直すというお話がありますが、先ほどのNISTEPのお話の中でも、大学、研究機関が、基礎研究ができていない、あるいは人材がいないということで、少し疲弊をしているというところが顕著に、もう既にデータで出てきているわけで、やはりそこはすごく重要な課題だと思います。今、そこにちゃんと手を付けないと、今のままいくと、ダイバーシティーとか言っている暇なく、若手が疲弊してしまうということになりますので、そこをどう改善できるかというところが非常に重要と考えています。そういう意味で、成果を尖らせつつ、なおかつ倫理をきちんと守りつつ、いかに自由活発な研究ができるようにするかというのが非常に大きな課題だと思いますので、そういうための仕組み作りをどうしていくかというところで、何か方向性が見いだせるかどうかというのが、個人的にはこの第5期の一番重要な課題なのではないかなというふうに思っています。
 以上です。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。五神先生、もう言うことはないですか。
【五神委員】
 一言だけ。社会からの信頼を維持するということは、タックスペイヤーが投資をしたいと考えるかいうことです。経済力が維持できるか。つまり、雇用がきちんと確保できるかということを一番大事だと考えるのだと思います。それに、今までの20年の投資が役に立って、その資源がプラスの形で活用できるのかどうかということを、具体的に議論する必要がある。
 現在の国際的な地位は、2000年の歴史で見れば例外的に高止まりしている状況と考えるべきではないかと思っています。ここ10年ぐらいで見ればずるずる滑り落ちていることが問題なのですが、このような長期的な下落はこれまで経験していないことでしたので焦っているわけです。しかし、もっと長いスパンで見れば、本来の落ち着きどころに向かっているにすぎず、当然のことなのかもしれません。そういう状況の中で、どうやって過去の投資を活用すべきか、この5年はかなり具体的に手を打つ必要があるということを言いたかったわけです。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。では、新井委員。
【新井委員】
 土井先生と五神先生のおっしゃることに大変賛成するのですが、そういう場合に、出口とか多様性とか、今までの資源がうまく活用されているかというのをどう評価するかというところがすごく重要だと思います。投資できる額というのが、ある意味、全体的にシュリンクするわけですから、その中で何か評価をするときに、何と言うか、松花堂弁当みたいにありとあらゆることにすばらしい状態になってくださいと言ったって無理なわけです。例えば、大学の機能強化ということに関しても、全ての大学に、量的な評価という話になるとどうしてもインパクト・ファクターのとか、トップ1%論文が、という話になるわけです。あとは、特許の件数がどうですかとか、産学連携した回数が何回ですかとか、そういうような話になって、報告書を書きなさいといったとき、それを全部書かなきゃいけないというような状態になってくると、もうエッジのとがらせようもなく、松花堂弁当が小さくなって並ぶみたいな状態になってしまっているように思うのです。それは、五神先生の御指摘の投資が最適化しているのかという、例えば人材育成という話で資金を投下したとか、あとは地域活性化で投下したにもかかわらず、論文を何本書いたのですかということも書いてくださいみたいな話になると、一体、何のために投資をしたのかが不明確な状態になる。
 だから、このために投資をする、ということがあったら、そのための出口評価というのはこういうつもりでしますからということがはっきりしていて、例えば人材育成だったら、この大学はどういう出口人材を、例えば大学院の博士課程をこれだけ人数を増やしたら、それは研究者を目指すのか、それとも産業界にハブになる人材を増やすのか、トップマネージャーを目指すのか、それは何を目指すつもりで、その大学は人数をそれだけ博士人材を増やすんですかと。それに合わせて、例えばどういう教育プログラムを作るんですかとか、そういうようなことも含めて、こういうつもりで評価をしますよというのを、もっと各プログラムについて明確化していくことが、効果を最大化するために必要なんじゃないかなという気がいたします。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。お時間が押していますので手短にお願いします。稲葉委員。
【稲葉委員】
 皆さんがおっしゃっていることとよく似てはいるのですが、例えば、今、お話を伺っているときに、第5期科学技術基本計画という話の中で、組織であり、人材育成であり、それから資源の配分であり、その出口でありという、それぞれの視点が違っているわけです。でも、それを一体化して第5期にしてまとめていかないといけないというときに、一体、どういう視点で何を考えるのか。組織改革というのも一つです。組織といっても、国立大学の法人あるいはそれ以外の私学、それ以外にもいろいろな研究機関あるいは企業というときに、どういう視点で何を切り込んでいくのかというのが、恐らく大学自身も違うでしょうし、法人の在り方も違うと思うのです。そういうものを本当に一律に見ていけるのかどうかという、そこをどういう切り口でというのが、私にとっては非常に分かりにくいんですね。例えば、今は大学の組織改革であるとか、マネジメントであるとかということが言われていまして、実際に経団連の方からも資料が来ています。こういうものを、どういう視点で取り込んで、第5期の科学技術基本計画を見ていくのか。私自身が女性研究者支援とかいろいろなことをやってきて、第3期、第4期と確かに科学技術基本計画の中で見てきました。人材育成で理系の女性研究者を増やしましょうという数値目標が出てきていて、結局は、全然達成にはるかに及ばないというところにいるわけです。ここの中で、また幾つかの委員会で、人材育成、女性研究者、理系を増やせと言われつつも、また同じ数字を並べていくのかなというところが非常に不安というか、一体何を言いたいのかというのが分からないので、その点をもう少し考えた上で、明確なものを出していく必要があるのかなというふうに思います。
【濱口主査代理】
 川上局長、まとめの一言ございませんか。
【川上科学技術・学術政策局長】
 追い追い、具体的な議論を挟みながら、そういうことをやらせていただきたいと思います。要素が二つありまして、まず時間が限られているということ。それからもう一つは、先ほど第5期科学技術基本計画というのは実行する計画であるとの御指摘がありました。そのとおりだと思っています。やはり具体的なことをしっかりやらなければならないので、そういうことをうまく取り込みながら、そのバックグラウンドになるものとして、きっちりとやっていきたいということから、具体的に議論していきたいと思っています。
【濱口主査代理】
 ありがとうございます。ということで、お時間が来ました。
【白石委員】
 ちょっとよろしいですか。
【濱口主査代理】
 どうぞ、白石委員。
【白石委員】
 お願いなのですが、3ページの3ポツの科学技術システム改革について。これは、非常に適切なクエスチョンだと思うのです。(カ)ですね。資金制度改革ということですとちょっと狭いのではないかなと。やはり、パフォーマンスの評価と投資を連動させる、いろいろなやり方があると思います。そういう議論を、是非、ここでやっていただきたいので、この(カ)はもう少し広いクエスチョンの方がよろしいかなと私は思います。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。本日、皆様から頂いた御意見は野依主査に御報告し、野依主査及び事務局とも相談した上で、第3回以降の議題を決めさせていただきたいと思います。
 最後に、今後の委員会日程等を事務局から御連絡をお願いします。
【坂下科学技術・学術政策局企画評価課企画官】
 今後の日程につきましては、資料5に、先ほど川上から御説明いたしましたとおりです。
 次回は、9月10日、水曜日、10時から12時半で開催いたします。次回の場所、出欠の御確認などにつきましては、追って事務局より御連絡をさせていただきます。
 本日の議事録は、後ほど事務局より委員の皆様にメールでお送りさせていただきます。委員の皆様に御確認いただきました上で、文部科学省ホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日の資料につきましては、お持ち帰りの際に封筒にお名前を御記入の上、机上にお残しいただければ、事務局より後ほど郵送させていただきます。
 事務局からは以上です。
【濱口主査代理】
 ありがとうございました。以上で、科学技術・学術審議会第2回総合政策特別委員会を終了させていただきます。本日は、長時間どうもありがとうございました。


 

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科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当

(科学技術・学術政策局 科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当)

-- 登録:平成26年09月 --