参考資料2 総合政策特別委員会における主な意見

1.基本認識

・国全体としての強みを確保し、持続可能な形で組織的に維持発展させるためのプログラムを政府全体で推進すべき。
・日本の強みを発揮するという視点のみならず、世界の中で日本がどう貢献できるのか、といった視点も世界の尊敬を獲得していくためには重要な視点。
・日本がグローバル化の中で国際的に認知し尊重され続けるために科学技術投資はどうしなければいけないか、重要なことは、これまでの投資によって蓄積されたものを最大限有効に活用することである。

・「目指すべき国の姿」の中に「安全保障」という言葉は落とせないのではないか。
・「目指すべき国の姿」の中に「国民が幸福を感じる国」を加えてはどうか。
・「目指すべき国の姿」の中で、最もビジネスにつながるのは「快適」である。
・「目指すべき国の姿」を共有していくことが大事。重要課題は「科学技術イノベーション総合戦略2014」においてすでに示されており、その中で欠けている視点、深堀すべき視点があれば追加していけば良い。

・国際戦略は、個別に議論するのではなく、あらゆる取組に横串的に入るべきもの。
・東京オリンピック・パラリンピックに向けて、この5年間で世界に科学技術を発信していくべき。

2.科学技術の戦略的重点化

・イノベーションによって社会的・公共的価値を実現していく上では、人文・社会科学の振興が重要。
・インターネット・デジタル社会の進展に対して、我が国の取組は、産業界も含めて大きく遅れている。コンピュータ分野への投資や研究者数も少ない。
・デジタル化が進み、ハードウェアのコモディティ化が進展する中で、ソフトウェアが商品にとって決定的に重要になっている。今後はソフトウェアの重要性を一層強調していくとともに、関連する研究開発と人材育成の双方を行っていくことが不可欠。そうしないと、今後商品・製品で全く世界に太刀打ちできなくなってしまう。
・少子高齢化と一括りになっているが、「少子化」と「高齢化」は全く別問題。少子化、すなわち人口減少は、科学技術イノベーションで防ぐのは難しいが、高齢化は科学技術イノベーションで産業創出につなげることが可能。

・現在の国際情勢(東アジア情勢)を考えると、国家存立の基盤となる技術、特に国家安全保障のための基盤技術、コア技術に国としてきちんとコミットメントし、投資を行っていくことが重要である。
・ビッグデータ等の様々なデータの活用が今後重要となるが、商用化を保証したデータの収集方策を考えていく必要がある。

3.科学技術システム改革

・今後、科学技術イノベーションを担う人材(知的資本)が非常に重要になる。特に、我が国は非常に平等主義的社会だが、科学技術イノベーションを牽引していくのはトップ10%の人材であり、そのような人材がどんどんと伸びていく社会にする必要がある。
・科学コミュニティが、国際的な研究ネットワークに参画していくことが重要。
・イノベーション創出のためには、女性や外国人といった「多様性の確保」が最も重要な視点となる。
・異なる背景を持つ異分野融合のチームでは、必ず議論、説得、交渉が必要となる。マネジメントスキルを有する人材が必要となる。
・これまでの、新しいブレークスルーを発見しようとする人材への投資に加えて、今後は、それを普及させていくようなプロセスに関わる人材など幅広い人材への投資が必要。
・イノベーション人材育成において、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育、特に中等教育段階の取組が必要。
・「科学技術を文化として育む」ためには、小学校段階からの教育、小学校教員の教育が重要。

・ファンディングの仕組みについて議論する必要がある。
・科学技術基本法の成立以降、大学、研究機関の環境は充実し国際競争力は強化された。その一方で、過去の投資が必ずしも有効に作用していない部分がある。特に人材を見ると、競争的経費による有期雇用の拡大が、研究者の職としての安定性を失わせている大きな要因となっている。国としての基礎力を付ける方向に転換すべきであり、そのための競争的経費と基盤的経費のポートフォリオの組み合わせについて議論すべきである。
・国立大学においては、基盤的経費が減少する中で、大学の研究環境は悪化し、学術研究の推進はもとより、人材育成にも大きな影響を及ぼしている。今後は、学術政策と大学政策と科学技術政策が連携してデュアルサポートシステムの再構築に取り組み、資源配分効果を最大化することが必要。
・科研費については審査方式の見直し等の改革が必要。基金化については拡充が必要。科研費以外の競争的資金の改革については、CSTIで議論を頂くことが大事。間接経費についても確保・拡充するとともに、大学においてより一層効果的に活用することが必要。
・研究開発機器等の合理的な調達や共用促進による効率化を共通的に進めるべき。

・基礎研究から出てきた成果は、知的財産という形で残る。その際に、大学の知的財産をどのように扱うのか、必ずしも日本企業が全てに手を挙げてくれる訳では無い状況の中で、国益確保の視点からの検討が必要である。また、日本企業の海外進出が進み、我が国に税金として還元しないような例もある。日本企業にライセンスすることだけが国益ではない。
・市場は日本だけに閉じるものではなく、グローバルな出口を意識する必要がある。
・日本企業はオープンイノベーションの取組(大学のシーズやベンチャーの活用)が遅れており、国際競争力の観点から危機的な状況。企業、大学、公的研究機関が一緒になって、国レベルでイノベーションの拠点となる「場」作りが必要。

・研究開発成果について、産学連携、社会実装、課題解決へとつなげていくためには、社会との協働の仕組みを新たに打ち出す必要がある。課題の設定段階から、研究成果の社会実装に至るまで、全てを社会のステークホルダーと協働で行っていく仕組みを考えていく必要がある。
・イノベーションは異なるアイデアが出会って交わって、初めて新しい価値ができる。それを担保するような教育プログラムや社会の仕組みが必要。日本では文系、理系といった縦割りの文化があり、イノベーションが起こりにくい環境。それを排して多様性を確保することが重要。
・産学官のセクター間の異動は現在もほとんど進んでおらず、新たな仕組み作りが必要。その際に、研究開発法人を有効活用することができる。ドイツのフラウンホーファーは一つの例となる。

・イノベーションが生まれると既存の社会を壊すことにつながる。新しいルールを作って初めて成果が社会に実装されることになる。ルール作りと共に、既存のルールを壊していく取組も重要。そこには政治のリーダーシップが求められる。
・情報科学や生命科学では、科学技術イノベーションのシーズ発生から社会的な影響が起こるまでの期間が非常に短くなっているので、必要となる制度的対応について常に検討、予測を行えるような組織が必要になる。
・イノベーションは、非常に大きな技術革新を伴う社会的変動力のあるアイデアや革新と捉えられているが、それがどのように社会やコミュニティの中で普及をしていくかといったプロセスの部分が一番重要ではないか。

・幅広い分野に応用することができ、基礎研究と応用研究のどちらも支えることのできる基盤研究や研究開発基盤(データベースを含む)、それらを支える人材は弱体化してはならない。
・研究開発基盤と、それをサポートする人材を維持していく必要がある。研究者の研究時間の確保という視点からも重要。

4.科学技術イノベーション推進体制

・科学技術政策の外側の様々な制度が科学技術の在り方を規定している。そういう中で持続可能な形、具体的にはPDCAが機能するように組み込んでいかないといけない。
・エビデンスベースドの政策作りを進めるに当たって、人材に関しては、分野、年齢、職階別にどの程度の人材がどこにいるのか、今後の変化の見通しが可能なのではないか。
・エビデンスベースド政策は大事だが、重要課題ほどエビデンスが余り存在せず、有識者が議論して方向性を論理的に構築しないといけない。また、エビデンスの中にも必ずしも信用できないものもあり、見極めが重要。
・日本の科学技術力を向上させるために必要となるデータベースは、機械可読な状態できちんと整備されることが必要。

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科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当)

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官付(制度改革・調査担当))