科学技術戦略推進費及び科学技術振興調整費による実施プロジェクトの評価の進め方について

平成13年7月18日決定
平成17年8月4日改正
平成23年8月24日最終改正
科学技術・学術審議会
研究計画・評価分科会
研究開発評価部会

  1. 評価の基本的考え方
     科学技術戦略推進費(以下「推進費」という。)により実施する事業を一層総合的かつ効率的に推進する観点から、総合科学技術会議の定める「科学技術戦略推進費に関する基本方針」、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」等に沿って、推進費による実施プロジェクトの適切かつ厳正な中間評価、事後評価及び追跡評価(以下「プロジェクト評価」という。)を行う。推進費は、総合科学技術会議が各府省の施策を俯瞰し、それを踏まえて立案する政策を実施するために必要な施策に活用するとされている。そのため、プロジェクトの評価に当たっては、科学的・技術的観点のみならず、総合科学技術会議が策定する実施方針に定められたプログラムの趣旨、目的等を十分に踏まえ適切に実施するものとする。また、プロジェクト評価の実施に当たっては、その信頼性を高めるために評価の質の高度化を図るとともに、効果的・効率的なシステムの構築に努めることとする。なお、科学技術振興調整費(以下「調整費」という。)で実施されたプロジェクトについても、総合科学技術会議の方針等に基づき決定された経緯があることから、準じた考え方とする。

  2. 評価の目的
     評価は、研究開発の質を高め、その成果を国民に還元していく上で重要な役割を担うものである。このため、厳しく評価を行うとともに、その評価を通じて、創造へ挑戦する研究者を励まし、優れた研究開発を積極的に見出し、伸ばし、育て、また、柔軟かつ競争的で開かれた研究開発環境を創出することにより、優れた研究開発の効果的・効率的推進を図ることが期待される。
     プロジェクト評価は、こうした評価の意義を踏まえつつ、実施プロジェクトの計画の進捗度、目標の達成度等を評価し、その結果を実施プロジェクトの改廃やプログラムの評価・設計、今後の実施方針の策定等に反映させ、効果的・効率的な活用を確保するとともに、その活用について国民に説明する責務を果たすことを目的とする。
     また、推進費は、将来の新たな施策や研究開発のシーズとなって発展する等の政策誘導効果の高い施策に活用されるものであることから、そのプロジェクト評価は、推進費により得られた成果を我が国の科学技術に関する施策等に幅広く反映させることを目的とする。

  3. 評価対象プロジェクト
    (1)原則として、調整費(ただし、先端融合領域イノベーション創出拠点の形成プログラムを除く)及び推進費によるすべての実施プロジェクトを評価対象とする。ただし、実施プロジェクトのうち、実態の把握に係る調査に関するもの等については、実施者からの報告書の提出をもって評価に代えるものとする。
    (2)各年度における評価対象プロジェクトは、別途、研究開発評価部会(以下「部会」という。)で定める。
     
  4. 評価時期及び検討事項
    (1)中間評価
    1.中間評価は実施プロジェクトのプログラムにおいてあらかじめ定められた時期に実施する。
    2.中間評価においては、当該実施プロジェクトに関し、計画の進捗度、中間的な成果の価値等についての検討を行うとともに、これらを踏まえ、次年度以降の継続の可否、研究内容の見直しの要否等についての検討を行う。なお、必要に応じて、進展の激しい研究開発については柔軟に研究計画を変更することを提言するとともに、さらに研究が一層発展するよう助言するなど、新しい研究の展開に向けた指摘を行う。
    (2)事後評価
    1.事後評価は、原則として実施プロジェクトの終了年度の翌年度に実施する。ただし、プログラムごとに事後評価時期を別途定めている場合はその時期に実施する。
    2.事後評価においては、今後のプロジェクトの選定、制度の見直し、運用の改善等に適切に反映させることを目的として、目標の達成度、成果の価値等についての検討を行う。
    (3)追跡評価
    1.追跡評価は、実施プロジェクトの終了後、一定の時間を経過してから、副次的効果を含め、直接の成果(アウトプット)から生み出された効果・効用(アウトカム)や波及効果(インパクト)を確認することを目的として、必要に応じて実施する。
    2.追跡評価については、あらかじめプログラムごとに実施時期が定められている場合はその時期に実施することとし、特段の定めがない場合は、プログラムの趣旨、実施プロジェクトの内容等を勘案して、適切な時期に実施する。

  5. プロジェクト評価の方法
    (1)プロジェクト評価に当たっては、評価方法(評価手法、評価の観点、評価項目・基準、評価過程、評価手段等)を明確かつ具体的に設定し、被評価者に対してあらかじめ周知する。また、実施プロジェクトに係る分野又は領域に関する豊富な知見を有する外部専門家や、科学技術システム改革、研究開発マネジメント等に関する豊富な経験・知見を有する外部有識者による評価を原則とする。このため、専門家及び有識者からなる委員で構成される評価作業部会を部会の下に設置する。評価作業部会は、プログラムオフィサーの協力(プロジェクト評価の実施に当たって必要となる情報の提供等)を得て、プログラムの趣旨、目的等を踏まえ、科学的・技術的な視点や社会的・経済的な視点からの調査・検討を行い、その結果を部会に報告する。部会は、評価作業部会からの報告を踏まえ、総合的な視点で検討を行い、評価結果をとりまとめる。
    (2)あらかじめ設定した目標に対する達成度等を評価することを基本とするが、必要に応じて、プログラムごとに定められた評価項目全体を平均的に判断するばかりでなく、場合によっては優れている点を積極的に取りあげる。また、失敗も含めた研究の過程や計画外の事象から得られる知見、研究者の意欲、活力、発展可能性等にも配慮する。さらに、被評価者が達成度を意識するあまり当初の目標を低く設定することがないよう、高い意義を有するプロジェクトに挑む姿勢を考慮する。
    (3)評価結果のとりまとめに当たっては、被評価者に意見提出の機会を与え、評価プロセスにおける評価者と被評価者のコミュニケーションの確保を図ることとする。なお、被評価者から提出された意見は、事実誤認等の確認や、今後の評価方法等に反映することとする。
    (4)予算規模が小さい実施プロジェクトの評価は柔軟に対応する。
    (5)プロジェクトの実施に当たってアウトリーチ活動が行われている場合は、成果のみならず、そうした活動についても考慮して評価を行うこととする。
    (6)国民の安全確保等の観点から機密保持が必要な場合は、(1)の方法によらず、情報管理の一層の徹底を図るなど、特段の配慮を行うことにより適切な評価方法をとることとする。

  6. 評価の観点・基準
    (1)プロジェクト評価にたっては、独創性、革新性、先導性、発展性等の科学的・技術的意義に係る評価(科学的・技術的観点からの評価)と文化、環境等も含めた国民生活の質の向上への貢献や、成果の産業化等の社会・経済への貢献に係る評価(社会的・経済的観点からの評価)を区別し、プログラムの趣旨等に応じて適切な評価を行う。
    (2)プロジェクト評価は、対象プロジェクトの必要性(重要性、緊急性等)、有効性(成果の有効性等)、効率性(実施方法、実施体制の効率性等)等の観点から行う。
    (3)評価基準については、設定された各評価項目についての判断があいまいにならないよう、あらかじめ明確に設定する。評価基準の設定に当たっては、研究開発等の質を重視することとし、特に科学的・技術的観点からの評価基準については国際的水準等を基本とする。

  7. 評価作業部会におけるプロジェクト評価の進め方等
    (1)評価作業部会の構成、評価作業部会における評価対象プロジェクト及び具体的なプロジェクト評価の実施方法等は、評価対象プロジェクトの分野等を勘案して、毎年度部会で定める。
    (2)評価作業部会に属する委員(主査を含む。)は、部会長が指名する。委員の選任においては、評価の客観性を十分に保ち、さまざまな角度・視点から評価を行うために、年齢、所属機関、性別等に配慮するとともに、プログラムオフィサーからの推薦を基本に、各プログラムの趣旨等に応じて、民間人、若手研究者、外国人等を含め幅広く選任する。
    (3)評価の中立性を十分に保つため、評価対象プロジェクトに参画している者は委員となることができないこととするなど、原則として評価対象プロジェクトの利害関係者が当該プロジェクトの評価に加わらないよう留意することとし、その利害関係者の範囲については部会で定める。
    (4)被評価者に不利益が生じることのないよう、評価者及びプログラムオフィサーには評価内容等に関して守秘の徹底を図る。

  8. 評価結果の取扱い
     総合科学技術会議へ報告対象となるプロジェクト評価の結果は、総合科学技術会議に報告した上で、被評価者に通知するとともに、個人情報や知的財産の保護に配慮して公表する。
     また、評価結果は、実施プロジェクトの改廃や、プログラムの評価・設計、今後の実施方針の策定等に反映させるとともに、適切な審査の実施に活用する。

  9. その他
     その他、プロジェクト評価の進め方について必要な事項は部会が定める。


※ 内閣府設置法(平成11年7月16日法律第89号)が平成26年5月に改正・施行され、「総合科学技術会議」は「総合科学技術・イノベーション会議」と名称が変更された。


 

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科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局企画評価課評価・研究開発法人支援室)